説明

非水性、単一チューブ型の歯磨増白組成物、その使用方法および調製方法

本発明は、少なくとも酵素および基質を含有する単一チューブ型の非水性歯磨増白組成物を含む口腔ケア組成物、その使用方法および調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも酵素および基質を含有する単一チューブ型の非水性歯磨増白組成物を含む口腔ケア組成物、その使用方法および調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001] 活性酸素または過酸化水素を放出する成分、たとえば過酸化物、ペルカーボネートおよびペルボレートを含有する歯磨剤、特に練り歯磨、歯磨ゲルおよび歯磨粉を用いて、歯の表面から汚染を除去することはできる。しかし、これらの方法は歯を速やかに増白したい者の要望は満たさない。
【0003】
[0002] 家庭で行なうある一般的な増白方法は、漂白剤を入れたトレーを利用し、それを患者の歯に付与して漂白を行なわせる。この処置方法は、無機質脱落によるものと思われる歯の知覚過敏および口腔組織の刺激を含めた欠点をもつ。
【0004】
[0003] 酸素放出性の漂白組成物を含有する家庭用漂白製品の欠点のひとつは、これらの製品が製造後に比較的短期間内で分解し、これと同時に、有効な酸素の全部または実質量が失われやすいことであり、これにより歯の増白組成物としてのこれらの製品の有効性が制限される。過酸化化合物、たとえば過酸化水素は、過酸化物レベルの維持に関して不安定であり、適切な保存寿命をもちなおかつ口腔に適用した際に容易に酸素を放出する水性のゲルまたはペースト中へ配合するのは困難であることが認められている。歯を増白するためのある種の酸素放出組成物の配合物は、無水粉末または水を含まないペーストもしくはゲルを利用し、それらは混入および化学物質相互作用に対して保護されなければならない。そのような無水製品を使用することの欠点は、水が存在しないためそれらの口腔用組成物の適用によって口腔組織が乾燥する傾向があることであり、これは刺激および組織損傷をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
[0004] 本発明は、歯の表面を増白し、歯石の蓄積を除去し、または減らし、歯肉炎を予防するのに有効な、口腔ケア製品およびそれの使用方法に関する。
[0005] 1態様において、本発明は、少なくとも1種類の酵素、少なくとも1種類の基質、および適切なキャリヤーを含む安定な非水性歯磨組成物の形の口腔ケア製品を提供する。
【0006】
[0006] 本発明の他の態様は、少なくとも1種類の酵素、少なくとも1種類の基質、および適切なキャリヤーを含み、歯および/または口腔を増白および清浄化することができる、安定な非水性歯磨組成物を提供する。
【0007】
[0007] 本発明の他の態様は、少なくとも1種類の酵素、少なくとも1種類の基質、少なくとも1種類の研磨剤、少なくとも1種類の界面活性剤、および少なくとも1種類のキャリヤーを含み、歯および/または口腔を増白および清浄化することができる、安定な非水性歯磨組成物を提供する。
【0008】
[0008] 本発明の他の態様は、歯の表面を増白し、または口腔から歯石を減らし、もしくは除去する方法を提供する。
[0009] 本発明の他の態様は、少なくとも1種類の酵素、少なくとも1種類の基質および適切なキャリヤーを含む安定な非水性歯磨組成物を収容したキットを提供する。本発明のキットは、少なくとも1種類の研磨剤、少なくとも1種類の界面活性剤、少なくとも1種類のフッ化物源、および少なくとも1種類のポリマーまたはコポリマーをも含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0010] 全体を通して用いる範囲は、その範囲内のそれぞれおよびすべての数値を記載するための略記として用いられる。その範囲内のいずれの数値もその範囲の境界として選択できる。本明細書に引用するすべての参考文献の全体を本明細書に援用する。本明細書中の定義と引用した参考文献の定義が矛盾する場合は、本明細書が支配する。
【0010】
[0011] 1態様において、本発明は、少なくとも1種類の酵素、少なくとも1種類の基質、および適切なキャリヤーを含む安定な非水性歯磨組成物を提供する。本明細書中で用いる用語“適切なキャリヤー”は、別途指示しない限り、酵素と基質を近接して安定に保持することができる非水性の系を形成するいずれかの作用物質または作用物質の組合わせを表わし、これには界面活性剤、ポリマーおよびコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。本明細書中で用いる用語“基質”は、別途指示しない限り、酵素と接触した際に過酸化水素を発生するいずれかの作用物質を表わす。過酸化水素を発生する酵素と基質の例は、グルコースオキシダーゼとグルコースである。
【0011】
[0012] 本発明のある態様において、組成物は1種類以上の追加の作用物質をも含有することができる。他の態様において、組成物はさらに少なくとも1種類の研磨剤を含有する。他の態様において、組成物はさらに少なくとも1種類のフッ化物源を含有する。他の態様において、組成物はさらに少なくとも1種類のポリマーまたはコポリマーを含有する。他の態様において、組成物はさらに少なくとも1種類の界面活性剤を含有する。他の態様において、組成物はさらに少なくとも1種類のビタミンを含有する。他の態様において、組成物はさらに少なくとも1種類の矯味矯臭剤を含有する。他の態様において、組成物はさらに少なくとも1種類の酵素を含有する。他の態様において、組成物はさらに少なくとも1種類の保湿剤を含有する。他の態様において、組成物はさらに少なくとも1種類の保存剤を含有する。
【0012】
[0013] 本発明のある態様において、非水性歯磨組成物は単一容器、たとえば単一チューブに収容されている。
[0014] 本発明のある態様において、研磨剤には、研磨用のシリカ、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、2水和リン酸二カルシウム、ケイ酸アルミニウム、か焼アルミナ、ベントナイトもしくは他のケイ質材料、またはその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0013】
[0015] 本発明の他の態様において、フッ化物源には、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、モノフルオロリン酸(MFP)ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フッ化スズ(II)および塩化スズ(II)が含まれるが、これらに限定されない。
【0014】
[0016] 本発明の他の態様において、ポリマーまたはコポリマーには、ポリエチレングリコール、PEG/PEGコポリマー、PVP、および/またはポリエチレンが含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
[0017] 本発明の他の態様において、矯味矯臭剤には、ウインターグリーン油、ペパーミント油、スペアミント油、サッサフラス油、チョウジ油、アスパルテーム、アセスルフェーム、サッカリン、デキストロース、レブロースおよびシクラミン酸ナトリウム、ならびにその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
[0018] 本発明はまた、歯の表面を増白し、および/または口腔から歯石を減らし、もしくは除去するための方法であって、歯の表面または口腔を、少なくとも1種類の酵素、少なくとも1種類の基質、および適切なキャリヤーを含む本発明の安定な非水性歯磨組成物と接触させることを含む方法を包含する。
【0017】
[0019] 本発明の組成物は、1種類以上の酵素を含有する。本発明の酵素は、基質と相互作用して過酸化水素を発生する作用をする。有用な酵素には、利用できるいずれかのオキシダーゼであって基質と接触した際に相互作用して過酸化水素を発生するものが含まれる。
【0018】
[0020] ある態様において、酵素はグルコースオキシダーゼ、モノアミンオキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、グルコノラクトンオキシダーゼ、ラッカーゼ、リシルオキシダーゼ、またはその組合わせである。
【0019】
[0021] 本発明において、酵素または数種類の適合する酵素の混合物は、本発明中に0.002重量%〜2重量%、0.05重量%〜1.5重量%、または0.1重量%〜0.5重量%の量で存在し、これらの量は組成物に対する重量%を表わす。
【0020】
[0022] 本発明の基質には、適宜な酵素と接触した際に過酸化水素を発生するいずれかの基質が含まれる。基質の例にはグルコースが含まれ、これはグルコースオキシダーゼと接触した際に過酸化水素を発生する。
【0021】
[0023] 組成物は場合により1種類以上の研磨剤を含有してもよく、これにはシリカ研磨剤、たとえば最高20ミクロンの平均粒径をもつ沈降シリカ、たとえばJ. M. Huberにより市販されているZeodent 115(登録商標)が含まれるが、これらに限定されない。有用な研磨剤には、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、2水和リン酸二カルシウム、ケイ酸アルミニウム、か焼アルミナ、ベントナイトもしくは他のケイ質材料、またはその組合わせも含まれる。本発明に有用なシリカ研磨剤系の研磨材料、および他の研磨剤は、一般に0.1〜30ミクロン、または5〜15ミクロンの平均粒度をもつ。シリカ研磨剤は、沈降シリカまたはシリカゲルからのもの、たとえばU.S. Pat. No. 3,538,230, Paderら、およびU.S. Pat. No. 3,862,307, Digiulioら(両者を本明細書に援用する)に記載されるシリカキセロゲルであってもよい。特定のシリカキセロゲルは、Syloid(登録商標)の商品名でW. R. Grace & Co., Davison Chemical Divisionにより市販されている。沈降シリカ材料には、J. M. Huber Corp.が商品名Zeodent(登録商標)で市販しているものが含まれ、これにはZeodent(登録商標)115および119の表示をもつシリカが含まれる。これらのシリカ研磨剤はU.S. Pat. No. 4,340,583, Wasonに記載されており、これを本明細書に援用する。
【0022】
[0024] ある態様において、研磨材料には、100cc/100gシリカ未満、45cc/100g〜70cc/100gシリカ、45cc/100g〜65cc/100gシリカ、または45cc/100g〜60cc/100gシリカの範囲の吸油価をもつシリカゲルおよび沈降非晶質シリカが含まれる。吸油価は、ASTA Rub-Out Method D281を用いて測定される。他の態様において、シリカは3ミクロン〜12ミクロン、および5〜10ミクロンの平均粒径をもつコロイド粒子である。
【0023】
[0025] 本発明の実施に際して特に有用な低い吸油性のシリカ研磨剤は、Sylodent XWA(登録商標)の商品名でDavison Chemical Division of W.R. Grace & Co.(21203メリーランド州ボルチモア)により市販されている。Sylodent 650 XWA(登録商標)、すなわち29重量%の含水率、平均して7〜10ミクロンの直径、および70cc/100gシリカ未満の吸油量をもつコロイドシリカの粒子から構成されるシリカヒドロゲルは、本発明の実施に際して有用な低い吸油性のシリカ研磨剤の例である。研磨剤は、本発明の口腔ケア用のストリップまたはテープ組成物中に組成物の1〜40重量%、他の態様においては5〜30重量%、他の態様においては10〜20重量%の濃度で存在する。個々のストリップまたはテープにおける研磨剤の用量(すなわち1回量)は、組成物の0.01〜0.4重量%、0.05〜0.3重量%、他の態様においては0.1〜0.2重量%である。
【0024】
[0026] 組成物は1種類以上のフッ化物イオン源をも含有することができる。広範なフッ化物イオン供与物質を本発明組成物中に可溶性フッ化物として使用できる。適切なフッ化物イオン供与物質の例はU.S. Pat. No. 3,535,421, Brinerら; U.S. Pat. No. 4,885,155, Parran Jr.ら; およびU.S. Pat. No. 3,678,154, Widderら,にあり、これらを本明細書に援用する。
【0025】
[0027] 代表的なフッ化物イオン源には、フッ化スズ(II)、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、モノフルオロリン酸(MFP)ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、ならびにフッ化スズ、たとえばフッ化スズ(II)、および塩化スズ(II)、ならびにその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の態様は、フッ化スズ(II)またはフッ化ナトリウム、およびその混合物を含む。
【0026】
[0028] ある態様において、本発明の組成物は、25ppm〜5,000ppmのフッ化物イオンを供給するのに十分な量のフッ化物イオンの供給源またはフッ素供給成分をも含有することができる。
【0027】
[0029] フッ化物イオン源は、1態様においては組成物の0.01重量%〜3重量%、または他の態様においては0.03重量%〜1重量%のレベルで、本発明の組成物に添加することができる。個々のストリップまたはテープの用量(すなわち1回量)は、組成物の0.0001〜0.003重量%、0.0005〜0.003重量%、他の態様においては0.001〜0.02重量%であってもよい。
【0028】
[0030] 本発明の組成物に含有される他の作用物質は、界面活性剤または適合する界面活性剤の混合物である。適切な界面活性剤は、広いpH範囲にわたって妥当な程度に安定なもの、たとえば陰イオン性、陽イオン性、非イオン性または双性イオン性の界面活性剤である。
【0029】
[0031] 適切な界面活性剤は、たとえばU.S. Pat. No. 3,959,458, Agricolaら; U.S. Pat. No. 3,937,807, Haefele;およびU.S. Pat. No. 4,051,234, Gieskeらに、より十分に記載されており、これらを本明細書に援用する。
【0030】
[0032] ある態様において、本発明に有用な陰イオン界面活性剤には、アルキル基中に10から18個までの炭素原子をもつアルキル硫酸の水溶性塩、および10から18個までの炭素原子をもつ脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が含まれる。ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウム ラウロイルサルコシネートおよびナトリウム ヤシモノグリセリドスルホネートが、このタイプの陰イオン界面活性剤の例である。陰イオン界面活性剤の混合物も使用できる。
【0031】
[0033] 他の態様において、本発明に有用な陽イオン界面活性剤は、8〜18個の炭素原子を含む1つの長いアルキル鎖をもつ脂肪族第四級アンモニウム化合物の誘導体と広く定義できる;たとえば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ジイソブチルフェノキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヤシアルキルトリメチルアンモニウムナイトレート、セチルピリジニウムフルオリド、およびその混合物。
【0032】
[0034] 陽イオン界面活性剤の例は、U.S. Pat. No. 3,535,421, Brinerら(本明細書に援用する)に記載されている第四級アンモニウムフルオリドである。ある陽イオン界面活性剤は、本発明の組成物中で殺菌剤としても作用することができる。
【0033】
[0035] 本発明の組成物中に使用できる非イオン界面活性剤の例は、アルキレンオキシド基(親水性)と疎水性有機化合物(脂肪族性またはアルキル芳香族性のものであってもよい)との縮合により製造される化合物と広く定義できる。適切な非イオン界面活性剤の例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:Pluronic類、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドとプロピレンオキシドおよびエチレンジアミンの反応生成物との縮合により誘導される生成物、脂肪族アルコール、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖第三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシドのエチレンオキシド縮合物、ならびにそれらの物質の混合物。
【0034】
[0036] ある態様において、本発明に有用な双性イオン性の合成界面活性剤は、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウムおよびスルホニウム化合物の誘導体と広く記載でき、それらにおいて脂肪族基は直鎖または分枝鎖であってよく、それらにおいて脂肪族置換基のひとつは8〜18個の炭素原子を含み、ひとつは陰イオン性の水可溶化基、たとえばカルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェートまたはホスホネートを含む。本発明の組成物中に含有させるのに適した界面活性剤の具体例には、アルキル硫酸ナトリウム、ナトリウム ラウロイルサルコシネート、ココアミドプロピルベタインおよびpolysorbate 20、ならびにその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
[0037] 界面活性剤または適合する界面活性剤の混合物は、本発明の組成物中に全組成物の0.1重量%〜5重量%、他の態様においては0.3重量%〜3重量%、他の態様においては0.5重量%〜2重量%存在することができる。個々のストリップまたはテープにおける界面活性剤の用量(すなわち1回量)は、組成物の0.001〜0.05重量%、0.003〜0.03重量%、他の態様においては0.005〜0.02重量%である。
【0036】
[0038] 本発明の組成物は、矯味矯臭剤をも含有することができる。本発明の実施に際して用いられる矯味矯臭剤には、精油、および各種の芳香性アルデヒド類、エステル類、アルコール類、ならびにそれらに類する物質が含まれるが、これらに限定されない。精油の例には、スペアミント、ペパーミント、ウインターグリーン、サッサフラス、チョウジ、セージ、ユーカリ、マヨラマ(marjoram)、ニッケイ、レモン、ライム、グレープフルーツおよびオレンジの油が含まれる。メントール、カルボン(carvone)およびアネトールなどの化学物質も有用である。ある態様は、ペパーミントおよびスペアミントの油を用いる。
【0037】
[0039] 矯味矯臭剤は、本発明の口腔用組成物中に、組成物の0.1〜5重量%、または0.5〜1.5重量%の濃度で含有される。個々のストリップまたはテープにおける矯味矯臭剤の用量(すなわち1回量)は、組成物の0.001〜0.05重量%、他の態様においては0.005〜0.015重量%である。
【0038】
[0040] 本発明の組成物は、場合により、細菌の細胞壁中にあるカルシウムを錯化しうる1種類以上のキレート化剤をも含有することができる。このカルシウムの結合は細菌壁を脆弱にし、細菌溶解を補助する。
【0039】
[0041] 本発明においてキレート化剤として使用するのに適した他のグループの作用物質は、可溶性ピロリン酸塩である。本発明組成物中に用いられるピロリン酸塩は、いずれかのアルカリ金属ピロリン酸塩であってもよい。ある態様において、塩類にはテトラアルカリ金属ピロリン酸塩、ジアルカリ金属二酸ピロリン酸塩、トリアルカリ金属一酸ピロリン酸塩およびその混合物が含まれ、それらにおいてアルカリ金属はナトリウムまたはカリウムである。これらの塩類はそれらの水和形および非水和形の両方で有用である。本発明組成物に有用なピロリン酸塩の有効量は、一般に少なくとも組成物の1.0重量%のピロホスフェートイオン、1.5%〜6%、3.5%〜6%のそのようなイオンを供給するのに十分なものである。個々のストリップまたはテープにおけるキレート化剤の用量(すなわち1回量)は、組成物の0.01〜0.6重量%、他の態様においては0.035〜0.06重量%である。
【0040】
[0042] 本発明の組成物は、場合により、1種類以上のポリマーをも含有することができる。そのような物質は当技術分野で周知であり、それらの遊離酸または部分中和もしくは完全中和された水溶性アルカリ金属(たとえば、カリウムおよびナトリウム)塩またはアンモニウム塩の形で用いられる。ある態様は、無水マレイン酸またはマレイン酸と他の重合性エチレン性不飽和モノマー、たとえばメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)との1:4〜4:1コポリマーであって30,000〜1,000,000の分子量(M.W.)をもつものを含有する。これらのコポリマーは、たとえばGAFChemicals CorporationのGantrez AN 139 (M.W. 500,000)、AN 119 (M.W. 250,000)およびS-97医薬用(M.W. 70,000)として入手できる。
【0041】
[0043] 他の適切なポリマーには、たとえば下記のものが含まれる:無水マレイン酸とアクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、N−ビニル−2−ピロリドンまたはエチレンとの1:1コポリマー:これらはたとえばMonsanto EMA No. 1103, M.W. 10,000およびEMA Grade 61として入手できる;ならびにアクリル酸とメタクリル酸メチルもしくはヒドロキシエチル、アクリル酸メチルもしくはエチル、イソブチルビニルエーテル、またはN−ビニル−2−ピロリドンとの1:1コポリマー。
【0042】
[0044] 一般に適切なものは、活性化された炭素−炭素オレフィン性二重結合および少なくとも1つのカルボキシル基を含むオレフィン性またはエチレン性不飽和カルボン酸、すなわちオレフィン性二重結合を含み、それがモノマー分子中にカルボキシル基に対してアルファ−ベータ位に存在するかまたは末端メチレン基の一部として存在するので重合に際して容易に機能する酸が、重合したものである。そのような酸の具体例は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アルファ−クロロアクリル酸、クロトン酸、ベータ−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、アルファ−クロロソルビン酸、ケイ皮酸、ベータ−スチリルアクリル酸、ムコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、アルファ−フェニルアクリル酸、2−ベンジルアクリル酸、2−シクロヘキシルアクリル酸、アンゲリカ酸、ウンベル酸、フマル酸、マレイン酸、および酸無水物である。そのようなカルボン酸モノマーと共重合しうる他の種々のオレフィン性モノマーには、酢酸ビニル、塩化ビニル、マレイン酸ジメチルなどが含まれる。コポリマーは水溶性であるのに十分なカルボン酸基を含む。
【0043】
[0045] 他のクラスのポリマー物質には、下記のものを含有する組成物が含まれる:置換アクリルアミドのホモポリマー、ならびに/あるいは不飽和スルホン酸およびその塩類のホモポリマー、特にポリマーがアクリルアミドアルカンスルホン酸、たとえば2−アクリルアミド 2−メチルプロパンスルホン酸から選択される不飽和スルホン酸を基礎とするものであって、1,000〜2,000,000の分子量をもつもの;U.S. Pat. No. 4,842,847, 1989年6月27日, Zahidに記載され、これを本明細書に援用する。
【0044】
[0046] 他の有用なクラスのポリマー物質には、ポリアミノ酸、特にある割合の陰イオン界面活性アミノ酸、たとえばアスパラギン酸、グルタミン酸およびホスホスセリンを含有するものが含まれる;U.S. Pat. No. 4,866,161, Sikesらに開示され、これを本明細書に援用する。
【0045】
[0047] 組成物を調製する際には、望ましい稠度を付与するために、時にはある増粘性物質を添加する必要がある。ある態様において、増粘剤はカルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、およびセルロースエーテル類の水溶性塩類、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムである。天然ゴム、たとえばカラヤゴム、アラビアゴム、およびトラガントゴムも含有させることができる。コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムまたは超微粒子状シリカを増粘組成物の成分として用いて、組成物のテキスチャーをさらに改善することができる。全組成物の0.5重量%から5.0重量%までの量の増粘剤を使用できる。
【0046】
[0048] 口腔用組成物には、組成物が空気に曝された際に硬化するのを防ぐために保湿剤を含有させることも望ましい。ある保湿剤は、歯磨組成物に望ましい甘味または芳香をも付与することができる。保湿剤は、純粋な保湿剤基準で、一般に1態様においては歯磨組成物の15重量%〜70重量%、他の態様においては30重量%〜65重量%含有される。
【0047】
[0049] 適切な保湿剤には、食用多価アルコール、たとえばグリセリン、ソルビトール、キシリトール、プロピレングリコール、および他のポリオール、ならびにこれらの保湿剤の混合物が含まれる。グリセリンとソルビトールの混合物を、ある態様において本発明の歯磨組成物の保湿剤成分として使用できる。
【0048】
[0050] 前記の構成要素のほかに、本発明の態様は多様な任意の歯磨剤成分を含有することができ、それらのうち若干を以下に記載する。任意成分には、たとえば接着剤、起泡剤(sudsing agent)、着香剤、甘味剤、追加の抗歯垢剤、研磨剤、および着色剤が含まれるが、それらに限定されない。これらおよび他の任意成分はさらに、U.S. Pat. No. 5,004,597, Majeti; U.S. Pat. No. 3,959,458, Agricolaら; およびU.S. Pat. No. 3,937,807, Haefeleに記載され、これらのすべてを本明細書に援用する。
【0049】
[0051] 本発明の組成物は、口腔製品の分野で一般的な方法を用いて調製できる。
[0052] 1例示態様において、非水性口腔ケア組成物は下記により調製される:Pluracare L-1220、L-4370、およびPEG 600を合わせ、それらをMini Rossポット内で完全真空下に15分間混合した。サッカリンおよびフッ化ナトリウムを添加し、混合物を完全真空下に5分間混合した。次いで高キレート性シリカおよびヒュームドシリカを添加し、混合物をさらに15分間混合した。フレーバー、グルコースオキシダーゼおよびグルコースを次いで添加し、混合物を15分間混合した。
【0050】
[0053] 以下の実施例は本発明の範囲内の例示態様を記載および提示する。それらの例は説明のために示すにすぎず、本発明の精神および範囲から逸脱することなく多くの変更が可能なので本発明の限定と解釈すべきでない。
【実施例】
【0051】
実施例1
[0054] 実施例1は、単一チューブ型の非水性歯磨組成物の多様な範囲の組成の例示態様を示し、例示態様においては各成分をこの範囲で含有することができる。
【0052】
【表1】

【0053】
実施例2
[0055] 実施例2は単一チューブ型の基本型を示し、これを一般的な2チューブ様式と比較し、放出される過酸化物の量を測定する。
【0054】
【表2】

【0055】
[0056] GOX(グルコースオキシダーゼ)/グルコースを含有する単一チューブ製品(処方1)を、試料が発生する過酸化物の量を測定することにより過酸化物有効量について分析した。この製品を、GOXとグルコースが互いに分離された水性2チューブ製品と比較した。結果を下記に示す。意外なことに、このデータは単一チューブ製品が一般的な2チューブ様式より多量の過酸化物を発生することを示す。
【0056】
実施例3
[0057] 実施例3は、本発明の安定な非水性単一チューブ型組成物の組成の種々の例示態様を示す。非水性歯磨組成物の使用は製品中の不適合成分GOXとグルコースの相互作用を阻止することが見出された。ある態様において、GOXの固体または非水性組成物をPEG、グリセリン、およびPG中に用いた。同様に、エチレン基およびプロピレン基をもつ種々の分子量のpluronic。さらに、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの苦みのない液体コポリマー、たとえばBASF Pluracare L4370およびL1220を使用できる。
【0057】
【表3】

【0058】
[0058] 多数の参考文献を引用した;それらの開示内容全体を本明細書に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1種類の酵素;
(ii)前記の少なくとも1種類の酵素に対する少なくとも1種類の基質;
および適切なキャリヤーを含む、安定な非水性歯磨組成物であって、少なくとも1種類の基質が水性条件下で少なくとも1種類の酵素の存在下に反応して過酸化水素を発生する組成物。
【請求項2】
さらに、少なくとも1種類の研磨剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに、少なくとも1種類のフッ化物源を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
さらに、少なくとも1種類のポリマーまたはコポリマーを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
さらに、少なくとも1種類の界面活性剤を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
非水性歯磨組成物が単一容器に収容されている、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
さらに、少なくとも1種類のビタミン、少なくとも1種類のさらに他のポリマー、少なくとも1種類の矯味矯臭剤;少なくとも1種類のさらに他の酵素、少なくとも1種類の保湿剤、および/または少なくとも1種類の保存剤、ならびにその組合わせを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
酵素がグルコースオキシダーゼである、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
基質がグルコースである、前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
研磨剤が、研磨用のシリカ、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、2水和リン酸二カルシウム、ケイ酸アルミニウム、か焼アルミナ、ベントナイトもしくは他のケイ質材料、またはその組合わせから選択される1メンバーである、請求項2に記載の組成物。
【請求項11】
フッ化物源が、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、モノフルオロリン酸(MFP)ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フッ化スズ(II)および塩化スズ(II)から選択される1メンバーである、請求項3に記載の組成物。
【請求項12】
ポリマーまたはコポリマーが、ポリエチレングリコール、PEG/PEGコポリマー、PVP、ポリエチレンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項13】
矯味矯臭剤が、ウインターグリーン油、ペパーミント油、スペアミント油、サッサフラス油、チョウジ油、アスパルテーム、アセスルフェーム、サッカリン、デキストロース、レブロースおよびシクラミン酸ナトリウム、ならびにその組合わせから選択される1メンバーである、請求項7に記載の組成物。
【請求項14】
歯の表面を増白するための方法であって、歯の表面を前記請求項のいずれか1項に記載の安定な非水性歯磨組成物と接触させることを含む方法。
【請求項15】
口腔の歯石蓄積の処置に使用するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の安定な非水性歯磨組成物。

【公表番号】特表2013−512897(P2013−512897A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541985(P2012−541985)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/066737
【国際公開番号】WO2011/068514
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】