説明

非水溶性活性薬剤の放出および吸収を増強するための方法

水難溶性活性薬剤の放出および/または吸収を増強するための方法が、本明細書に記述されている。本方法は、水難溶性活性薬剤を、1種または複数の融解した脂肪酸、結合型脂肪酸、高HLB値を有する(半)固体界面活性剤、および/または親水性ポリマーに溶解、融解、または懸濁することを含む。その後、融解した活性薬剤混合物は、親水性または親油性担体中に懸濁および均質化されて、親水性または親油性担体に懸濁された微粒子を形成する。親水性または親油性担体に懸濁された微粒子は、硬質ゼラチンもしくは軟質ゼラチンまたは非ゼラチンカプセルに封入することができる。上述されている方法により生成される微粒子は、溶解プロファイルの増強を示すことになると考えられる。シロスタゾールおよびフェノフィブラートを含有する製剤のインビトロ放出試験は、15分間でシロスタゾールの100%溶解、および35分間でフェノフィブラートの90%を超える溶解を示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、非水溶性活性薬剤の放出および吸収が増強された微粒子を製造するための方法の分野に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年12月15日に出願された「Methods for Enhancing the In Vitro Release and Absorption of Water Insoluble Active Agents」と題する、Aqeel Fatmi、Tae Kyoung Kim、およびKarla Madrigalによる米国特許出願第61/122,497号に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
特に液体形態および半固体形態の水難溶性活性薬剤の製剤化は、担体と充填物質とが適合しないため、挑戦的な課題である。この不適合性は、時間の経過に伴って活性薬剤が凝塊を形成するという結果をもたらす場合があり、それにより、インビトロ/インビボでの溶解性が低いという結果がもたらされる場合がある。さらに、水中での低溶解性および/またはインビボでの低吸収性を示す活性薬剤(生物薬剤分類系(Biopharmaceutical Classification System)に基づき、BCSクラスIIおよびクラスIV活性薬剤として分類される)は、インビトロ効能およびインビボ効能間の相関性に関する不確実性のため、製剤に組み込むことが難しい場合がある。例えば、BCSクラスIIおよびクラスIV活性薬剤は、特に高脂肪食で著しい食物効果を示す場合がある。
【0004】
水溶性活性薬剤の溶解性および生物学的利用能を増強するための様々な技術は、文献に記述されている。Liversidgeらの米国特許第5,145,684号明細書には、表面改質剤がその表面に吸収されている結晶性活性薬剤物質を含有する分散性粒子が記述されている。この粒子は、表面改質剤と共に粉砕媒質の存在下で湿式粉砕することにより作製される。Liversidgeは、非水溶性活性薬剤をコーティング材料中に融解または溶解し、混合物を親水性または親油性担体に添加して、微粒子を形成することにより微粒子を作製することを開示または示唆していない。
【0005】
Stammらの米国特許第6,652,881号明細書には、微粉化フェノフィブラートを含有する組成物が記述されており、この組成物は、2重量%のポリソルベート80または0.025Mのラウリル硫酸ナトリウムを有する水で構成された溶解媒質中で、ヨーロッパ薬局方に従って回転羽根を75rpmで使用して測定したとき、5分間で少なくとも10%、10分間で20%、20分間で50%、および30分間で75%の溶解性を示す。この組成物は、微粉化形態のフェノフィブレート活性成分、親水性ポリマー、および随意に界面活性剤を含有する少なくとも1つの層、ならびに随意に1つまたはいくつかの外側の相または層で被われた不活性水溶性担体を含有する。Stammは、非水溶性活性薬剤をコーティング材料中に融解または溶解し、混合物を親水性または親油性担体に添加して、微粒子を形成することにより微粒子を作製することを開示または示唆していない。
【0006】
Rydeらの米国特許第6,375,986号明細書には、難溶性活性薬剤、少なくとも1種のポリマー性表面安定剤、およびジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(DOSS)を含む固体用量ナノ微粒子組成物が記述されている。このポリマー性表面安定剤は、約1ミクロン未満の有効平均粒径を維持するのに十分な量で活性薬剤の表面に吸着されている。Rydeは、非水溶性活性薬剤をコーティング材料中に融解または溶解し、混合物を親水性または親油性担体に添加して、微粒子を形成することにより微粒子を作製することを開示または示唆していない。
【0007】
Deboeckらの米国特許第5,545,628号明細書には、哺乳動物の高脂血症または高コレステロール血症またはその両方を治療するための医薬組成物が記述されており、この医薬組成物は、有効量の各フェノフィブラートおよび1種または複数のポリグリコール化グリセリド(polyglycolyzed glyceride)を含有する賦形剤を含有している。この組成物は、フェノフィブラートおよびポリグリコール化グリセリドを共融解して、均質な混合物または溶液を形成することにより調製される。融解した混合物は、硬質ゼラチンカプセルに充填することができる。Deboeckは、非水溶性活性薬剤をコーティング材料中に融解または溶解し、混合物を親水性または親油性担体に添加して、微粒子を形成することにより微粒子を作製することを開示または示唆していない。
【0008】
Reliant Pharmaceuticals,Inc.社の国際公開第2006/062933号パンフレットには、脂肪酸エステルに可溶化されたフェノフィブラートを含有するフェノフィブラート組成物が記述されている。この脂肪酸の酸部分またはエステル部分は、C1〜C15基、好ましくはC1〜C6、より好ましくはC1〜C4基である。フェノフィブラートは、熱を使用してまたは熱を使用せずに、好ましくは加熱せずに、この脂肪酸エステルに溶解することができる。国際公開第2006/062933号の出願では、非水溶性活性薬剤をコーティング材料中に融解または溶解し、混合物を親水性または親油性担体に添加して、微粒子を形成することにより微粒子を作製することは、開示または示唆されていない。
【0009】
非水溶性活性薬剤の溶解性および生物学的利用能を増強するためのさらなる方法の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,145,684号
【特許文献2】米国特許第6,652,881号
【特許文献3】米国特許第6,375,986号
【特許文献4】米国特許第5,545,628号
【特許文献5】国際公開第2006/062933号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、非水溶性活性薬剤の溶解性および生物学的利用能を増強するための方法を提供することである。
【0012】
さらに、本発明の目的は、非水溶性活性薬剤の溶解性および生物学的利用能の増強を示す組成物、およびその使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
水難溶性活性薬剤のインビボ放出および吸収を増強するための方法が、本明細書に記述されている。本方法は、水難溶性活性薬剤を、1種または複数の脂肪酸、結合型脂肪酸、高HLB値を有する(半)固体界面活性剤、および/または親水性ポリマーに溶解、融解、または懸濁することを含む。好適な脂肪酸には、C10〜C18脂肪酸、好ましくはC16〜C18脂肪酸が含まれる。好適な結合型脂肪酸には、グリセロール(例えば、モノグリセリド)、モノサッカライド、および/またはポリエチレングリコール(PEG)と結合されたC10〜C18脂肪酸、好ましくはC16〜C18脂肪酸が含まれる。好適な親水性ポリマーには、ポロキソマー(poloxomer)およびポロキサミンが含まれる。
【0014】
活性薬剤混合物は、親水性または親油性相に懸濁および均質化されて、親水性または親油性相に懸濁された微粒子を形成する。親水性または親油性相は、活性薬剤の放出速度を改変する第2の速度制御障壁として作用することができる。親水性または親油性相に懸濁された粒子は、経口剤形に製剤化することができる。例えば、親水性または親油性担体に分散された微粒子は、硬質ゼラチンもしくは軟質ゼラチンまたは非ゼラチンカプセルに封入することができる。
【0015】
最終製剤の粒径は、均質化プロセス、特に均質化時間により決定される。典型的な粒径は、50nm〜25ミクロンである。1つの実施形態では、粒子の直径は、約0.1〜約25ミクロン、好ましくは約10〜約25ミクロン、より好ましくは約10〜約20ミクロンである。別の実施形態では、微粒子は、10ミクロン未満、5ミクロン未満、1ミクロン未満、0.5ミクロン未満、0.25ミクロン未満、または0.1ミクロン未満の直径を有する。微粒子は、球形であってもよく、または任意の他の形状であってもよい。
【0016】
本明細書に記述されている方法により生成される微粒子は、溶解プロファイルの増強を示すことができる。シロスタゾールおよびフェノフィブラートを含有する製剤のインビトロ放出試験は、15分間でシロスタゾールの100%溶解、および35分間でフェノフィブラートの90%を超える溶解を示した。さらに、脂肪酸コーティングシロスタゾールナノ粒子は、Pletal(登録商標)(水中に懸濁された錠剤形態のシロスタゾール)、ならびにレシチンおよびCapmul(CLZ−02)を含有する油性担体に懸濁されたシロスタゾールと比較して、インビボでの吸収増強を示した。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】ポリエチレングリコール(PEG)に懸濁されたフェノフィブラートおよび脂肪酸(ステアリン酸ポリオキシル40(□)およびモノステアリン酸グリセリン(○))を含有する微粒子のインビトロでの溶解プロファイル(放出フェノフィブラート%)を、ステアリン酸ポリオキシル40およびモノステアリン酸グリセリンに懸濁されたフェノフィブラートおよび脂肪酸(◇)と比較して、時間(分)の関数として示すグラフである。
【図1B】ステアリン酸ポリオキシル40でコーティングされたシロスタゾールおよび脂肪酸結合体(ベヘネートのグリセリルエステル、Compritol888 ATOとして販売されており、Gattfosse社、サンプリースト、フランスから入手可能)を含有する微粒子(◇)のインビトロ溶解プロファイル(放出シロスタゾール%)を、均質化を行って(□)および行わずに(△)、レシチンおよびCapmul中のシロスタゾール懸濁液と比較して、時間(分)の関数として示すグラフである。
【図2A】絶食条件下で、ベヘネートのグリセリンエステルでコーティングされたシロスタゾールナノ粒子のインビボでの吸収が、Pletal(登録商標)(水中に懸濁された錠剤形態のシロスタゾール)ならびにレシチンおよびCapmul(CLZ−02)を含有する油性担体に懸濁されたシロスタゾールと比較して増強されたことを示すグラフである。
【図2B】給食条件下で、ベヘネートのグリセリンエステルでコーティングされたシロスタゾールナノ粒子のインビボでの吸収が、Pletal(登録商標)(錠剤形態のシロスタゾール)およびCLZ−02と比較して、増強されたことを示すグラフである。
【図3A】絶食条件下で、脂肪酸コーティングフェノフィブラート(○)および水中に懸濁されたフェノフィブラート(△)について、フェノフィブラート(フェノフィブリン酸、ng/mL)吸収の違いを時間(時間)の関数として示すグラフである。
【図3B】非絶食条件下で、脂肪酸コーティングフェノフィブラート(◆)および水中に懸濁されたフェノフィブラート(▲)および高脂肪食後に摂取された脂肪酸コーティングフェノフィブラート(*)について、フェノフィブラート(フェノフィブリン酸、ng/mL)吸収の違いを時間(時間)の関数として示すグラフである。
【図4】3つのフェノフィブラート製剤:参照製剤(実施例3に記述されている)、固体脂質ナノ粒子(SLN)、および高脂肪を有する固体脂質ナノ粒子(SLN HF)の吸収に対する食物効果を製剤の関数として示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
I.定義
「非水溶性活性薬剤」は、本明細書で使用される場合、水に溶解しない、および/または水と共に均質な単一相を形成しない活性薬剤を指す。例えば、活性薬剤は、25℃で10mg/ml未満、25℃で5mg/ml未満、25℃で1mg/ml未満、または25℃で0.5mg/ml未満の水溶解度を有し得る。
【0019】
「親油性担体」は、本明細書で使用される場合、脂質に対して親和性を有する物質(複数可)を指す。
【0020】
「親水性担体」は、本明細書で使用される場合、水に対して親和性を有する物質(複数可)を指す。
【0021】
「半固体」は、本明細書で使用される場合、固体および液体の両方の属性を有する物質、例えば、固体と液体との中間の硬度および粘性を有する物質(複数可)を指す。
【0022】
「微粒子」は、本明細書で使用される場合、一般的に、比較的小さなサイズの粒子を指し、必ずしもミクロンサイズの範囲である必要はなく、この用語は、例えば、約50nm未満〜約100ミクロン以上であってもよいサイズの粒子に関して使用される。1つの実施形態では、粒子の直径は、約0.1〜約25ミクロン、好ましくは約10〜約25ミクロン、より好ましくは約10〜約20ミクロンである。別の実施形態では、粒子の直径は、10ミクロン未満、5ミクロン未満、1ミクロン未満、0.5ミクロン未満、0.25ミクロン未満、または0.1ミクロン未満である。本明細書で使用される場合、微粒子という用語は、別様の指定がない限り、マイクロスフェア、マイクロカプセル、微粒子、およびナノ粒子を包含する。微粒子は、複合的構成であってもよく、必ずしも純粋物質である必要はない。微粒子は、球形であってもよく、または任意の他の形状であってもよい。
【0023】
「低吸収性」は、本明細書で使用される場合、胃腸管での吸収に制限がある薬物を指す。胃腸管での吸収が低い薬物は、一般的に、例えば25℃で10mg/ml未満の低水溶性を有する。
【0024】
「高透過性」は、本明細書で使用される場合、ヒトにおける吸収の程度が、物質収支に基づくかまたは静脈内基準用量と比較して、投与用量の90%を超えると判定される薬物を指す。
【0025】
「高い親水性親油性バランス」または「高HLB」は、本明細書で使用される場合、一般的に、約10を超える、好ましくは16を超えるHLBを有する物質(複数可)を指す。
【0026】
「界面活性剤」は、本明細書で使用される場合、両親媒性化合物、すなわち親水性基および疎水性基の両方を含有する化合物を指す。界面活性剤は、それらの親水性親油性バランス(HLB)により分類することができる。より低いHLB値を有する界面活性剤はより親油性であり、より高いHLB値を有する界面活性剤はより親水性である。
【0027】
「AUC024」は、本明細書で使用される場合、時点0から24時間までの血漿中濃度曲線下面積を指す。AUC024は、線形台形則を使用して計算される。
【0028】
II.微粒子を作製する方法
本明細書には、1種または複数の非水溶性活性薬剤を含有する微粒子を作製する方法が記述されている。微粒子は、1種または複数のコーティング物質でコーティングされているか、コーティング物質に溶解しているか、またはコーティング物質に分散している活性薬剤を含有する。例示的なコーティング物質には、脂肪酸、結合型脂肪酸、高HLBを有する界面活性剤、親水性ポリマー、およびそれらの組み合わせが含まれる。微粒子は、水性または油性担体に懸濁された活性薬剤と比較して、活性薬剤の比較的迅速な溶解および増強された吸収を示すことができる。
【0029】
A.活性薬剤
任意の治療薬、予防薬、または診断薬、栄養補助食品、または他の作用剤(総体として「活性薬剤」と呼ぶ)を、微粒子に組み込むことができる。活性薬剤は、典型的には、水中での低溶解性および/またはインビボでの低吸収性を有する。1つの実施形態では、活性薬剤は、インビボでの高透過性および低溶解性を有する活性薬剤、またはインビボでの低透過性および低溶解性を有する活性薬剤である。生物薬剤分類系に基づき、そのような活性薬剤は、それぞれクラスIIおよびIV活性薬剤であると特徴付けられる。
【0030】
好適なクラスの活性薬剤には、これらに限定されないが、鎮痛薬、抗炎症剤、抗寄生虫薬、抗不整脈薬、抗細菌薬、抗凝血薬、抗うつ薬、糖尿病用薬、抗てんかん薬、抗マラリア剤、抗偏頭痛薬(antimigrane agent)、抗ヒスタミン剤、抗高血圧薬、抗ムスカリン様作用薬、抗ミコバクテリア薬、抗腫瘍薬、免疫抑制剤、抗原生虫薬、抗甲状腺薬、抗ウイルス物質、不安緩解鎮静薬、収れん剤、ベータアドレナリン受容体遮断薬、血液製剤および代用物、イオンチャネル作用性心臓薬(cardiac ionotropic agent)、コルチコステロイド、咳止め薬、診断薬、利尿薬、ドーパミン作用薬、止血薬、脂質調節薬、筋弛緩薬、副交感神経刺激薬、プロスタグランジン、性ホルモン、刺激薬および食欲減退剤、交感神経刺激薬、甲状腺薬、および血管拡張薬が含まれる。
【0031】
クラスIIおよびクラスIV活性薬剤の例には、Amidonら、Mol Pharm.、Vol.1、No.1,85〜96頁(2004年)に記述されている。クラスIIおよびクラスIV活性薬剤の例には、これらに限定されないが、フェノフィブラート、シロスタゾール、アセタゾラミド、アルベンダゾール、アロプリノール、アゾチオプリン、カルバマゼピン、クロファジミン、ダプソン、ジアゼパム、フロ酸ジロキサニド、ドキシサイクリン、エファビレンツ、フロセミド、グリベンクラミド、グリセオフルビン、ハロペリドール、イブプロフェン、ロピナビル、ネビラピン、ニクロサミド、ニフェジピン、パラセタモール、副甲状腺カルシトニン、パルミチン酸レチノール、リトナビル、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、およびスルファサラジンが含まれる。
【0032】
活性薬剤の濃度範囲は、微粒子および担体を含有する組成物の約50重量%まで、好ましくは約1〜約30重量%、より好ましくは約1〜約15重量%である。あるいは、微粒子中の薬物担持パーセントは、約1%〜約50%、約1%〜約40%、約1%〜約30%、約1%〜約25%、または約1%〜約20%である。
【0033】
1つの実施形態では、活性薬剤は、フェノフィブラートなどのフィブラートである。本明細書で使用される場合、用語「フィブラート」は、本明細書に記述されている方法に有用なフィブリン酸誘導体のいずれか、例えばフェノフィブラートを意味する。フェノフィブラートは、フィブラート化合物であり、それらの他の例は、ベザフィブラート、ベクロブラート、ビニフィブラート、シプロフィブラート(ciplofibrate)、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリン酸、エトフィブラート、ゲムフィブロジル、ニコフィブラート、ピリフィブラート、ロニフィブラート、シンフィブラート、およびテオフィブラートである。
【0034】
一般的に、フィブラートは、高コレステロール血症、混合脂肪血症、高トリグリセリド血症、冠状動脈性心疾患、および末梢血管疾患(症候性頚動脈疾患を含む)などの状態の治療および膵炎の予防に使用される。フェノフィブラートは、高レベルの血中トリグリセリドにより引き起こされる膵炎(膵臓の炎症)の発症防止を支援することもできる。フィブラートは、腎不全の治療に有用であることも知られている。フィブラートは、脂質調節薬が典型的に使用される他の適応症に使用することもできる。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「フェノフィブラート」は、フェノフィブラート(2−[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]−2−メチルプロパン酸,1−メチルエチルエステル)またはその塩を意味するために使用される。フェノフィブラートは、血中トリグリセリド(脂肪様物質)レベルを低下させるために使用される。具体的には、フェノフィブラートは、上昇したLDL−C、総C、トリグリセリド、およびアポBを低減し、HDL−Cを増加させる。この薬物は、高トリグリセリド血症、つまり高レベルの血漿中超低密度リポタンパク質(VLDL)を特徴とする疾患を治療するための補助療法としても承認されている。
【0036】
従来の微結晶性フェノフィブラートの絶対的生物学的利用能は、この化合物が注射に好適な水性媒質に事実上不溶性であるため、決定することができない。しかしながら、フェノフィブラートは、胃腸管から十分に吸収される。
【0037】
別の実施形態では、活性薬剤は、シロスタゾールである。シロスタゾールは、治療の重点をcAMPに合わせた選択的PDE3ホスホジエステラーゼ阻害薬である。シロスタゾールは、血小板凝集を阻害し、直接的動脈血管拡張薬である。その主な効果は、血液を脚に供給する動脈の拡張、および血小板凝固の減少である。
【0038】
B.コーティング物質
非水溶性活性薬剤は、1種または複数のコーティング物質でコーティングされる。例示的なコーティング物質には、脂肪酸、結合型脂肪酸、高HLBを有する界面活性剤、親水性ポリマー、およびそれらの組み合わせが含まれる。コーティング物質は、好ましくはリン脂質ではない。
【0039】
1.脂肪酸および脂肪酸のエステル
好適な脂肪酸には、C10〜C18脂肪酸、より好ましくはC16〜C18脂肪酸が含まれる。例示的な脂肪酸には、これらに限定されないが、ドデカン(ラウリン)酸、テトラデカン(ミリスチン)酸、ヘキサデカン(パルミチン酸)酸、ヘプタデカン(マルガリン)酸、オクタデカン(ステアリン)酸、エイコサン(アラキジン)酸、ドコサン(ベヘン)酸、テトラコサン(リグノセリン)酸、ヘキサコサン(セロチン)酸、ヘプタコサン(カルボセリン(carboceric))酸、オクタコサン(モンタン)酸、トリアコンタン(メリシン)酸、ドトリアコンタン(ラッセル)酸、トリトリアコンタン(セロメリシン)酸、テトラトリアコンタン(ゲダ)酸、およびペンタトリアコンタン(セロプラスチン)酸が含まれる。脂肪酸は、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0040】
油類、例えば大豆油などの植物油を、単独でまたは上記に列挙されているコーティング物質と組み合わせて使用することができる。大豆油は、飽和脂肪酸を14.4%、オレイン酸などの一価不飽和脂肪酸を23.3%、リノール酸およびアルファリノール酸などの多価不飽和脂肪酸を57.9%含有している。
【0041】
1つの実施形態では、脂肪酸は、グリセロール、ソルビトールまたはソルビタンなどのモノサッカライド、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなどのポリアルキレンオキシド、またはそれらの組み合わせと共有結合で結合している。これら物質は、結合型脂肪酸と呼ばれる。好適な結合型脂肪酸には、これらに限定されないが、Gelucire(登録商標)という商品名で市販されているものなどの脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、モノステアリン酸ソルビタンなどの脂肪酸のソルビタンエステル、ベヘン酸グリセロールおよびモノステアリン酸グリセリンなどの、上記に列挙されている脂肪酸のグリセロール脂肪酸エステル、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0042】
脂肪酸の濃度範囲は、組成物の約1〜約20重量%、好ましくは組成物(微粒子および担体)の約5〜約15重量%である。
【0043】
2.高HLBを有する界面活性剤
非水溶性活性薬剤は、1種または複数の界面活性剤だけで、あるいは1種または複数の脂肪酸もしくは結合型脂肪酸および/または1つもしくは複数の親水性ポリマーと組み合わせてコーティングすることができる。1つの実施形態では、界面活性剤は、約10を超える、約12を超える、約14を超える、または約16を超える(1〜18の程度の)HLB値を有する。所望のHLBを有する界面活性剤は、当技術分野で公知である。界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、または非イオン性であってもよい。1つの実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。
【0044】
そのような界面活性剤の例には、これらに限定されないが、ポリソルベート20、40、および80(TWEEN(登録商標)という名称で販売されている)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン、モノラウリン酸スクロースなどのいくつかの糖エステル、エトキシ化ノニルフェノール、アルファオレフィンスルホネート、エトキシ化獣脂アミン、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、エトキシ化大豆アミン、脂肪酸およびアルコール、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびステアリン酸ポリオキシエチレンが含まれる。
【0045】
1つの実施形態では、界面活性剤は、脂肪酸鎖を含有する高HLB界面活性剤である。好適な界面活性剤には、これらに限定されないが、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびステアリン酸ポリオキシエチレンが含まれる。
【0046】
ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体は、主として、30〜50分子のエチレンオキシドでエトキシ化されたリシノレイルグリセロールを含有する。ポリソルベートまたはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビトールおよびその無水物の各1モルにつき、およそ20、5、または4モルのエチレンオキシドと共重合されたソルビトールおよびその無水物の一連の部分的脂肪酸エステルである。その結果生じる生成物は、広範囲の分子量を有する分子の混合物である。ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、ラウリル、ミリスチル、セチル、およびステアリルアルコールなどの直鎖脂肪アルコール(n−アルコール)の一連のポリオキシエチレングリコールエーテルである。ステアリン酸ポリオキシエチレンは、ステアリン酸のポリエトキシ化により生成される。
【0047】
いかなる理論にも束縛されることは望まないが、界面活性剤の親水性部分は、インビトロまたはインビボで、活性薬剤と水性溶解媒質との適合性を増強し、脂肪酸側鎖は、脂肪酸の酸化により吸収を増強すると考えられる。脂肪酸が酸化される間に、細胞内のCa2+が消費され、その結果としてギャップ結合の拡大がもたらされ、活性薬剤の細胞間通過が可能になる。さらに、そのようなコーティングされた粒子は、例えば活性薬剤の酸化を防止することにより、薬物単独より安定している場合がある。
【0048】
界面活性剤の濃度は、組成物(微粒子および担体)の約1〜約50重量%、好ましくは約5〜約15重量%である。
【0049】
3.親水性ポリマー
好適な親水性ポリマーには、これらに限定されないが、ポロキサマー、ポロキサミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース系物質、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、およびポリペプチドが含まれる。
【0050】
親水性ポリマーの濃度は、組成物の約1〜約50重量%、より好ましくは組成物の約5〜約15重量%である。親水性ポリマーがポリエチレングリコールである場合、濃度は、組成物の約1〜約80重量%、組成物(微粒子および担体)の約30〜約60重量%、約35重量%〜約60重量%、または約40重量%〜約60重量%である。
【0051】
C.担体物質
1つの実施形態では、微粒子は、薬物およびコーティング物質(複数可)の混合物を、薬学的に許容される担体に添加することにより形成される。1つの実施形態では、担体は、親水性または親油性担体である。その結果生じる粒子は、担体に懸濁されている。担体は、単一成分であってもよく、または複数成分の混合物であってもよい。担体は、溶媒、界面活性剤、または他の賦形剤を含んでいてもよい。担体物質は、微粒子からの薬物の放出速度および/または薬物の溶解速度を変更または改変することができる。組成物は、微粒子の放出制御特性および担体の放出制御特性により、二相性放出プロファイルを示してもよい。担体物質の質的および量的組成を変えることにより、活性薬剤の放出プロファイルを調節することが可能になる場合がある。担体は、活性薬剤の放出を制御する1種または複数の速度制御賦形剤を含有していてもよい。例示的な速度制御賦形剤には、これらに限定されないが、ベヘン酸グリセリン、GELUCIRE(登録商標)、クレモフォール、水素化植物油、蜜ろう、ヒプロメロースなどのセルロース系ポリマー、アルギネート、CARBOPOL(登録商標)、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0052】
1つの実施形態では、担体は、約10を超える、約12を超える、約14を超える、または約16を超えるHLB値を有する界面活性剤を含有する親水性担体であり、および/または水溶性である。例示的な親水性担体には、これらに限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン32ラウリン酸グリセリド(ACCONON(登録商標)M−44という商品名でAbitech社から入手可能)、ポリオキシエチレン8カプリル酸/カプリン酸グリセリド(ACCONON(登録商標)MC−8という商品名でAbitech社から入手可能)、およびグリコフロールが含まれる。親水性媒体は、グリセリン、エタノール、グリコフロール、およびカプリロカプロイルマクロゴール−8(caprylocaproyl macrogol−8)(LABRASOL(登録商標)という商品名で、Gattefosse S.A.社、サンプリースト、フランスから入手可能)などの1種または複数の混和性溶媒をさらに含有することができる。
【0053】
1つの実施形態では、親水性担体は、水またはアルコールである。別の実施形態では、担体は、ポリエチレングリコール、ならびに随意に1種または複数の界面活性剤および/または水を含有する親水性担体混合物である。特定の実施形態では、親水性担体は、PEG400(例えば、組成物の57重量%)、水(例えば、組成物の8重量%)、およびTween20(例えば、組成物の10重量%)の混合物である。親水性担体は、クレモフォールRH40を含有することもできる。親水性担体の濃度は、一般的に、組成物(微粒子および担体)の約50〜約85重量%、好ましくは組成物の約70〜約80重量%である。
【0054】
別の実施形態では、担体は、親油性担体である。好ましい実施形態では、親油性担体は、約10未満のHLB値を有し、および/または油溶性である。例示的な親油性油状媒体には、これらに限定されないが、植物油、中鎖モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド、ステアリン酸グリセリル(IMWITOR(登録商標)という商品名でSasol社から入手可能)、ポリオキシエチル化オレイン酸グリセリド(LABRAFIL(登録商標)という商品名で、Gattefosse,S.A.社、サンプリースト、フランスから入手可能)、鉱油、モノオレイン酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリル酸プロピレングリコール、およびモノラウリン酸プロピレングリコール(CAPMUL(登録商標)という商品名でAbitec Corp.社、コロンバス、オハイオ州から入手可能)などのモノグリセリドおよびジグリセリド乳化剤、ならびにシメチコンなどのジメチルポリシロキサンが含まれる。
【0055】
親油性担体の濃度は、一般的に、組成物(微粒子および担体)の約10〜約50重量%、好ましくは組成物の約5〜約35重量%である。
【0056】
D.他の添加剤
記述されている組成物は、安全で有効であるとみなされている1種または複数の薬学的に許容される賦形剤を含有することができ、望ましくない生物学的副作用または不要な相互作用を引き起こさずに個体に投与することができる。例示的な添加剤には、これらに限定されないが、溶媒、懸濁化剤、分散剤、緩衝剤、pH調節剤、等張性調節剤、保存剤、抗菌剤、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0057】
本明細書に記述されている組成物に含めるのに好適な添加剤には、これらに限定されないが、酸化防止剤(例えば、ビタミンEアセテートなどのアルファトコフェロール、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、およびブチル化ヒドロキシトルエン);極性溶媒(例えば、水、プロピレングリコール、およびグリセリン);疎水性溶媒(例えば、トウモロコシ油、ヒマシ油、大豆油、オリーブオイル、魚油、落花生油、ハッカ油、サフラワー油、胡麻油、中鎖トリグリセリド、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリドでヤシ油またはパーム種油に由来するもの);および増粘剤(例えば、ゼラチン、グリセリン、カラゲナン、コロイド状二酸化ケイ素、水素化植物油、ポビドン、およびアルギン酸プロピレングリコール)が含まれる。
【0058】
E.剤形
本明細書に記述されている微粒子組成物は、一般的に、経口または非経口投与用に製剤化される。好適な経口剤形には、硬質ゼラチンもしくは軟質ゼラチンまたは非ゼラチンカプセル剤などのカプセル剤、または経口懸濁剤もしくはシロップ剤が含まれる。好適な非経口製剤には、懸濁剤が含まれる。
【0059】
1.カプセル
1つの実施形態では、微粒子組成物(親水性または親油性担体に懸濁された微粒子)は、硬質カプセルまたは軟質カプセルなどのカプセルに封入される。カプセルは、天然および/または合成の皮膜形成ポリマーから調製することができる。好適な天然の皮膜形成物質には、ゼラチンが含まれるが、これに限定されない。非ゼラチンカプセルには、これらに限定されないが、カラゲナン、シェラック、アルギネート、ペクチン、およびゼインから作られるカプセルが含まれる。好適な合成の皮膜形成ポリマーには、これらに限定されないが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、およびポリ(メタ)アクリレートなどのアクリレートが含まれる。
【0060】
組成物は、カプセルが腸溶コーティングでコーティングされているか、またはカプセルシェルが、Banner Pharmacaps,Inc.社の国際公開第2004/030658号明細書に記述されているような腸溶性ポリマーを含有する、腸溶性カプセルに封入することもできる。
【0061】
硬質シェルカプセルは、典型的には、2つの半カプセルを形成し、その半カプセルのうちの1つを充填溶液で満たし、その後、半カプセルを一緒にして密封し、最終カプセルを形成することにより調製される。軟質ゼラチンカプセルは、典型的には、回転式ダイカプセル化プロセスを使用して調製される。そのようなプロセスは、当技術分野で公知である。
【0062】
カプセルシェルは、1種または複数の添加剤を含有することができる。好適なシェル添加剤には、可塑剤、乳白剤、着色剤、湿潤剤、保存剤、香味料、ならびに緩衝性の塩および酸、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0063】
可塑剤は、ゼラチンに添加して、この物質をより軟質でより柔軟にする化学薬品である。好適な可塑剤には、これらに限定されないが、グリセリンと、ソルビトールおよびソルビタンの混合物であるソルビトール溶液と、プロピレングリコールおよびマルチトールなどの他の多価アルコール、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0064】
乳白剤は、封入された活性薬剤が光感受性である場合に、カプセルシェルを不透明にするために使用される。好適な乳白剤には、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0065】
着色剤は、販売のためおよび製品の識別/区別のために使用することができる。好適な着色剤には、合成および天然の染料およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0066】
湿潤剤は、軟質ゲルの水分活性を抑制するために使用することができる。好適な湿潤剤には、グリセリンおよびソルビトールが含まれ、それらは可塑剤組成物の成分であることが多い。乾燥され適切に保管された軟質ゲルは水分活性が低いため、微生物の最大リスクは、カビおよび酵母からもたらされる。この理由で、保存剤をカプセルシェルに組み込んでもよい。好適な保存剤には、p−ヒドロキシ安息香酸のメチル、エチル、プロピル、ブチルおよびヘプチルエステルなどのアルキルエステル(総称的に「パラベン」として知られている)またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0067】
香味料は、充填製剤の不快な匂いおよび味を遮蔽するために使用することができる。好適な香味料には、合成および天然香味料が含まれる。香味料の使用は、ゼラチンを架橋する可能性があるアルデヒドが存在するため、問題となる場合がある。そのため、ゼラチンの架橋を阻害するために、アルデヒドを含有する香味料と共に、緩衝性の塩および酸を使用することができる。
【0068】
2.経口懸濁剤
あるいは、組成物は、シロップなどの経口懸濁剤として投与することができる。液剤または懸濁剤は、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤を使用して調製することができる。好適な賦形剤には、これらに限定されないが、界面活性剤、湿潤剤、可塑剤、結晶化抑制剤、湿潤剤、分散剤、pH調整剤、香味料、着色剤、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0069】
III.製造方法
A.微粒子
本明細書に記述されている微粒子は、油性担体(例えば、レシチンおよびCapmul、またはステアリン酸ポリオキシル40およびモノステアリン酸グリセリン)または水性担体に懸濁された活性薬剤を含有する製剤と比較して、インビボでの溶解性の向上および吸収の増強を示すことができる。微粒子は、共融解プロセスまたは共溶解プロセスにより作製することができる。例えば、活性薬剤は、活性薬剤の融点、および微粒子を形成するために使用される任意のコーティング物質に応じた温度で、1種または複数の融解した脂肪酸、結合型脂肪酸、親水性ポリマー、および/または界面活性剤に、融解、溶解、または懸濁することができる。活性薬剤、コーティング物質(複数可)、および随意に任意の添加剤は、典型的には約40℃〜約75℃、好ましくは約40℃〜60℃の温度で、薬剤タンクなどの好適な反応器中で融解される。溶媒は、コーティング物質に活性薬剤を溶解または懸濁するために使用することできる。
【0070】
活性薬剤−コーティング物質混合物を、典型的には室温以下で、激しく撹拌および/または均質化しながら親油性または親水性担体に添加して、親水性または親油性担体に懸濁された微粒子を形成する。あるいは、親水性または親油性担体を、薬物およびコーティング物質(複数可)の混合物に添加し、均質化して微粒子を形成することができる。
【0071】
活性薬剤−コーティング物質混合物および親水性または親油性担体を、混合物が均質になるまでの期間、典型的には約30分未満の期間撹拌して、微粒子を形成する。1つの実施形態では、混合物を、約10分間、好ましくは約5分間撹拌して、約100nm〜約25ミクロン、好ましくは約5〜約25ミクロン、より好ましくは約10〜約25ミクロン、より好ましくは約10〜約20ミクロンの直径を有する微粒子を形成する。別の実施形態では、微粒子は、約10ミクロン未満、約5ミクロン未満、約1ミクロン未満、0.5ミクロン未満、0.25ミクロン未満、または0.1ミクロン未満の直径を有する。微粒子の直径は、混合時間を変えることにより変えることができ、一般的には、混合時間が長ければ、粒子はより小さくなる。
【0072】
均質化プロセスを使用して、粒径を低減することもできる。均質化は、粒子または液滴をミクロンサイズに細分化して、さらなる処理のための安定した分散物またはエマルションを生成することを伴う流体力学的プロセスである。このプロセスは、液体が、均質化バルブの微細な隙間を通過する際に生じる。これにより、圧縮、加速、圧力低下、および衝撃と共に、高度な乱流および剪断状態が作り出され、粒子の崩壊および生成物全体にわたる分散が引き起こされる。均質化の後、粒子は、均質化の操作圧および時間に応じて、均一のサイズをもつ。
【0073】
B.微粒子の封入
微粒子単独または親水性もしくは親油性担体混合物に懸濁された微粒子を、硬質カプセルまたは軟質カプセルに封入することができる。カプセルは、ゼラチンカプセルであってもよく、または非ゼラチンカプセル(例えば、カラゲナン、デンプン、ポリサッカライドなど)であってもよい。封入は、充填物の流れを容易にするために、室温または高温(軟質ゼラチンカプセルの場合は35℃まで、非動物性の軟質シェルカプセルの場合は60℃まで)で行うことができる。軟質シェルカプセルへの封入は、標準的手順を使用して、回転式ダイカプセル充填機を使用して行うことができる。カプセルは、包装、出荷、および保管時のカプセル取扱いを容易にするために、所望の硬さおよび/または充填物含水量に乾燥される。最終カプセルの充填物重量範囲は、典型的には、えん下するのに好適なサイズのカプセル中に100mg〜2200mgである。カプセルは、標準的手順に従って加工され、ボトルまたはブリスター包装のいずれにも包装することができる。カプセルは、1種または複数の遅延放出性物質、持続放出性物質、または腸溶性物質でコーティングすることができる。あるいは、微粒子は、Banner Pharmacaps,Inc社の国際公開第2004/030658号パンフレットに記述されているような、腸溶性ポリマーがカプセルシェルに含有されている腸溶性カプセルに組み込むことができる。
【0074】
IV.使用方法
本明細書に記述されている組成物は、その必要性がある患者に活性薬剤を投与するために使用することができる。投与される活性薬剤の量は、当業者であれば容易に決定することができ、治療しようとする疾患または障害、ならびに患者の年齢および体重を含むいくつかの要因に依存する。具体的には、本明細書に記述されている組成物は、難溶性および/または低吸収性の活性薬剤を投与するために使用することができる。本明細書に記述されている組成物は、活性薬剤の溶解性および/または生物学的利用能を増強することができる。
【0075】
本明細書に記述されている組成物の溶解性能は、少なくとも部分的には、界面活性剤のHLBおよび/または修飾脂肪酸に依存する。低水溶性の疎水性薬物は、難溶解特性を示す。薬物溶解性を向上させるため、薬物の物理的特性を改変して、有効表面積を増加させることができる。高HLB界面活性剤を製剤補助剤として使用することは、水または極性溶媒の存在下で湿潤性およびミセル可溶化を増強することにより、薬物溶解性を向上させることができる。さらに、活性薬剤の吸収は、微粒子上の脂肪酸コーティングにより増強することができる。
【0076】
結合型脂肪酸コーティング非水溶性薬物を含有し、親水性担体に懸濁された微粒子は、その薬物の水性または油性の懸濁剤より迅速な溶解速度を示す。例えば、脂肪酸コーティングフェノフィブラート微粒子を含有する製剤のインビトロ放出試験は、15分間でフェノフィブラートのおよそ85%が溶解し、60分間でおよそ100%が溶解することを示した。これは、水性担体に懸濁されたフェノフィブラートよりも有意に迅速である。絶食条件下では、インビボでのフェノフィブラート濃度は、水中に懸濁されたフェノフィブラート濃度の2倍を超えていた。非絶食条件下では、脂肪酸コーティング薬物粒子からのフェノフィブラートの吸収は、水中に懸濁されたフェノフィブラートよりも実質的に高かった。非絶食および高脂肪条件下では、脂肪酸コーティング微粒子のフェノフィブラート吸収は同等であった。
【0077】
別の実施形態では、シロスタゾールを含有する製剤のインビトロ放出試験は、15分間でシロスタゾールの100%が溶解することを示した。これは、レシチンおよびCapmul(CLZ−02)を含有する油性担体に懸濁されたシロスタゾール、および水中に懸濁された錠剤形態のシロスタゾール(Pletal(登録商標))よりも有意に迅速である。同じ製剤は、給食および絶食条件下において、水性および油性懸濁剤と比較して、インビボでより大きな吸収性を示した。例えば、本明細書に記述されている組成物は、絶食条件下で、Pletal(登録商標)と比較して、AUC024が400%近くの増加を示し、レシチンおよびCapmulを含有する油性担体に懸濁されたシロスタゾールと比較して、AUC024が100%近くの増加を示した。
【0078】
別様に定義されていない限り、本明細書に使用されている技術用語および科学用語はすべて、開示されている発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【実施例1】
【0079】
脂肪酸コーティングフェノフィブラート粒子の調製
脂肪酸およびフェノフィブラートを含有する微粒子を調製した。モノステアリン酸グリセリンを、70℃で混合しながら融解した。フェノフィブラートを、融解したモノステアリン酸グリセリンに、撹拌しながらゆっくりと添加した。混合物を70℃に維持し、親水性担体を、混合物が均質になるまで350rpmで混合しながら、ゆっくりと添加した。混合物を30℃に冷却した。冷却した後、凝集塊のない懸濁液が得られるまで、混合物を均質化した。
【0080】
薬物とコーティング物質との混合物の組成、および微粒子の形成に使用した親水性相は、表1に示されている。
【0081】
【表1】

【実施例2】
【0082】
脂肪酸コーティングフェノフィブラート粒子のインビトロ放出プロファイル
インビトロ薬物放出試験は、USP社製溶解装置II(羽根式)を使用して75rpmで実施した。実験は、1000mLの0.05Mドデシル硫酸ナトリウム中、37.0±0.5℃の溶解媒質中で実施した。試料を取り出し、UV検出器を備えたHPLCで分析した。検出波長は286nmだった。結果は、図1Aに示されている。フェノフィブラートを含有する製剤のインビトロ放出試験は、15分間でフェノフィブラートのおよそ85%が溶解し、60分間でおよそ100%が溶解することを示した。これは、油性担体に懸濁されたフェノフィブラートより有意に迅速である。
【実施例3】
【0083】
脂肪酸コーティングシロスタゾール粒子の調製
シロスタゾール(14.5重量%)を含有する粒子を、上述されている手順および物質を使用して調製した。微粒子は、ベヘネートのグリセリンエステル(8.49% w/w)、ビタミンEアセテート(8.49% w/w)、モノステアリン酸ソルビタン(Span80、1.00% w/w)、およびシロスタゾールの混合物を、ポリエチレングリコール(54.74% w/w)、水(8.43% w/w)、クレモフォールRH40(1/89% w/w)、およびTWEEN20(3.78% w/w)を含有する親水性担体と混合することにより形成した。Ultra−Torraxを使用して混合物を均質化し、その後脱気した。均質化した脂肪酸懸濁液を、Ultra−Torraxに3回通して粒度分布を低減した(<500nm)。
【実施例4】
【0084】
脂肪酸コーティングシロスタゾール粒子のインビトロおよびインビボ放出プロファイル
インビトロ薬物放出試験は、USP社製溶解装置II(羽根式)を使用して75rpmで実施した。実験は、1000mLの0.05Mドデシル硫酸ナトリウム中、37.0±0.5℃の溶解媒質中で実施した。試料を取り出し、UV検出器を備えたHPLCで分析した。検出波長は286nmだった。結果は、図1Bに示されている。シロスタゾールを含有する製剤のインビトロ放出試験は、15分間でシロスタゾールの100%が溶解することを示した。これは、レシチンおよびCapmul(CLZ−02)を含有する油性担体に懸濁されたシロスタゾール、および水中に懸濁された錠剤形態のシロスタゾール(Pletal(登録商標))よりも有意に迅速である。
【0085】
図2は、給食および絶食条件下における種々のシロスタゾール製剤の吸収性を示す。図2Aは、ベヘネートのグリセリンエステルでコーティングされたシロスタゾールナノ粒子のインビボでの吸収が、Pletal(登録商標)(水中に懸濁された錠剤形態のシロスタゾール)ならびにレシチンおよびCapmul(CLZ−02)を含有する油性担体に懸濁されたシロスタゾールと比較して、絶食条件下で増強されたことを示す。図2Bは、ベヘネートのグリセリンエステルでコーティングされたシロスタゾールナノ粒子のインビボでの吸収が、Pletal(登録商標)(錠剤形態のシロスタゾール)およびCLZ−02と比較して、給食条件下で増強されたことを示す。
【実施例5】
【0086】
脂肪酸コーティングフェノフィブラート粒子のインビトロおよびインビボ放出プロファイル
フェノフィブラートの脂肪酸コーティング粒子を、実施例1に記述した手順と類似した手順を使用して調製した。薬物−コーティング物質混合物は、ベヘネートのグリセリルエステル(4.25% w/w)、ステアロイルマクロゴールグリセリド(Gelucire50/13という商品名で販売されており、Gattefosee社から入手可能、4.25% w/w)、大豆油(8.49% w/w)、モノステアリン酸ソルビタン(Span80、1.89% w/w)、およびフェノフィブラート(15.08% w/w)を含有していた。フェノフィブラートを、脂肪酸混合物と共融解し、アルミホイル上に広げて冷却を可能にした。33.96%のフェノフィブラート/脂肪酸混合物を、ポリエチレングリコール(54.74% w/w)、水(7.54%、w/w)、クレモフォールRH49(1.89% w/w)、およびTWEEN20(1.89% w/w)を含有する親水性担体に添加した。Ultra−Torraxを使用して、混合物を5分間均質化し、その後脱気した。均質化した脂肪酸懸濁液を、Ultra−Torraxに3回通して粒度分布を低減した(<500nm)。
【0087】
2つの製剤:(1)水溶液中のフェノフィブラート懸濁剤、および(2)PEG 400に懸濁されたフェノフィブラート/脂質粒子を使用して比較試験を実施した。ラットにおけるインビボ吸収を、下記のように測定した。
【0088】
20.0mgフェノフィブラート/200μLを含有する2つの製剤を、強制経口投与で異なる2群のラット(n=6)に投与した。非絶食実験の場合、各群のラットには普通食を自由に与えた。絶食実験の場合、食餌は、投薬前の12時間禁止し、投与の2時間後に再び与えた。別の群は、25%(w/w)ピーナッツバターを含有する高脂肪食で処置した。すべての群で、水は自由に与えられた。血液試料を、投与の0、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、6.0、8.0、10.0、12.0、および24.0時間後に採取し、直ちに10,000RPMで10分間遠心分離して血漿試料を得た。
【0089】
血漿試料を、n−ヘキサン/酢酸エチル(90/10 v/v)と共にボルテックスし、10,000RPMで4分間遠心分離した。有機層を分離し、40℃、減圧下で一晩乾燥した。残留物をアセトニトリルに戻し、HPLCにより分析した。HPLCは、UV検出器(286nm)を使用し、フェノールカラム(4.6×250mm、5μM)を使用して25℃で実施した。移動相は、アセトニトリル/0.02Mリン酸混合物だった。結果は、図3に示されている。
【0090】
図3は、種々のフェノフィブラート製剤の吸収を時間の関数として示すグラフである。図3Aは、絶食条件下で、脂肪酸コーティングフェノフィブラート(○)および水中に懸濁されたフェノフィブラート(△)について、フェノフィブラート(フェノフィブリン酸、ng/mL)吸収の違いを時間(時間)の関数として示すグラフである。インビボでのフェノフィブラートの吸収は、水中のフェノフィブラート懸濁剤と比較して2倍を超える改善を得た。
【0091】
図3Bは、非絶食条件下で、脂肪酸コーティングフェノフィブラート(◆)および水中に懸濁されたフェノフィブラート(▲)および高脂肪食後に摂取された脂肪酸コーティングフェノフィブラート(*)について、フェノフィブラート(フェノフィブリン酸、ng/mL)吸収の違いを時間(時間)の関数として示すグラフである。脂肪酸コーティング薬物粒子からのフェノフィブラートの吸収は、水中に懸濁されたフェノフィブラートよりも実質的に高かった。非絶食および高脂肪条件下では、脂肪酸コーティング微粒子のフェノフィブラート吸収は同等であった。高脂肪条件下のTmaxは、非絶食条件下のTmaxよりわずかに長かった。
【0092】
図4は、3つのフェノフィブラート製剤:脂肪酸コーティングフェノフィブラート粒子(基準)、固体脂質ナノ粒子(SLN)、および高脂肪の固体脂質ナノ粒子の吸収に対するラットの食物効果を、製剤の関数として示すグラフである。NaCl溶液に懸濁された脂肪酸コーティングフェノフィブラート粒子は、普通食で食物効果を示した。AUC024の上限(158%)および下限(142%)は、絶食条件と比較して、対応する範囲である80〜125%の外側だった。固体脂質ナノ粒子を含有する充填物製剤は、対応する範囲である80〜125%内に、AUC024の中央値(120%)および下限(103%)を含んでいた。高脂肪食条件下(25%(w/w)のピーナッツバターを含有する食餌)において、固体脂質ナノ粒子製剤は、普通食の場合より顕著な食物効果を示した(AUC024による食物効果の比率は、122%〜155%)。この観察は、通常げっ歯動物食餌中25%(w/w)の高脂肪食(例えば、ピーナッツバター)が、フェノフィブラートの吸収を増強し得ることを示唆している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子を作製する方法であって、
(a)少なくとも1種の脂肪酸または結合型脂肪酸、界面活性剤、親水性ポリマー、またはそれらの組み合わせに、少なくとも1種の非水溶性活性薬剤を溶解、融解、または懸濁して混合物を形成するステップ、および
(b)ステップ(a)の混合物を親水性または親油性担体と混合して、微粒子を形成するステップ
を含む方法。
【請求項2】
ステップ(a)の界面活性剤が、約10を超える、好ましくは約16を超えるHLBを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
界面活性剤の濃度が、組成物の約1重量%〜約50重量%、好ましくは組成物の約5重量%〜約15重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
結合型脂肪酸が、C10〜C18モノグリセリド、ポリアルキレンオキシドに結合したC10〜C18脂肪酸、モノサッカライドに結合したC10〜C18脂肪酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
結合型脂肪酸の濃度が、組成物の約1重量%〜約20重量%、好ましくは組成物の約5重量%〜約15重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
脂肪酸が、C10〜C18脂肪酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
脂肪酸が、ドデカン(ラウリン)酸、テトラデカン(ミリスチン)酸、ヘキサデカン(パルミチン)酸、ヘプタデカン(マルガリン)酸、オクタデカン(ステアリン)酸、エイコサン(アラキジン)酸、ドコサン(ベヘン)酸、テトラコサン(リグノセリン)酸、ヘキサコサン(セロチン)酸、ヘプタコサン(カルボセリン)酸、オクタコサン(モンタン)酸、トリアコンタン(メリシン)酸、ドトリアコンタン(ラッセル)酸、トリトリアコンタン(セロメリシン)酸、テトラトリアコンタン(ゲダ)酸、ペンタトリアコンタン(セロプラスチン)酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
脂肪酸の濃度が、組成物の約1重量%〜約20重量%、好ましくは組成物の約5重量%〜約15重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
親水性ポリマーが、ポロキソマー、ポロキサミン、およびポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
親水性ポリマーの濃度が、組成物の約1重量%〜約80重量%、好ましくは組成物の約30重量%〜約60重量%、より好ましくは組成物の約5重量%〜約15重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
非水溶性活性薬剤が、約40℃〜約70℃の温度で、コーティング材料中に融解、溶解、または分散される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(a)の混合物が、室温以下で前記親水性または親油性担体に添加される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(a)の混合物が、親水性または親油性担体に懸濁および均質化される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
親水性担体が、ポリエチレングリコール、水、および1種または複数の界面活性剤を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
非水溶性活性薬剤が、フェノフィブラート、シロスタゾール、アセタゾラミド、アルベンダゾール、アロプリノール、アゾチオプリン、カルバマゼピン、クロファジミン、ダプソン、ジアゼパム、フロ酸ジロキサニド、ドキシサイクリン、エファビレンツ、フロセミド、グリベンクラミド、グリセオフルビン、ハロペリドール、イブプロフェン、ロピナビル、ネビラピン、ニクロサミド、ニフェジピン、パラセタモール、副甲状腺カルシトニン、パルミチン酸レチノール、リトナビル、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、およびスルファサラジンからなる群から選択される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
活性薬剤が、フェノフィブラートまたはシロスタゾールである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の方法により取得可能な、少なくとも1種の非水溶性活性薬剤を含む微粒子。
【請求項18】
活性薬剤が、給食条件または絶食条件下で、水性媒質に懸濁された活性薬剤を含有する製剤と比較して、水性媒質での溶解速度の増強を示す、請求項17に記載の微粒子。
【請求項19】
少なくとも1種の非水溶性活性薬剤の溶解および吸収を増強するための方法であって、請求項17に記載の微粒子を提供することを含む方法。
【請求項20】
非水溶性活性薬剤が、フェノフィブラート、シロスタゾール、アセタゾラミド、アルベンダゾール、アロプリノール、アゾチオプリン、カルバマゼピン、クロファジミン、ダプソン、ジアゼパム、フロ酸ジロキサニド、ドキシサイクリン、エファビレンツ、フロセミド、グリベンクラミド、グリセオフルビン、ハロペリドール、イブプロフェン、ロピナビル、ネビラピン、ニクロサミド、ニフェジピン、パラセタモール、副甲状腺カルシトニン、パルミチン酸レチノール、リトナビル、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、およびスルファサラジンからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
活性薬剤が、フェノフィブラートまたはシロスタゾールである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項17に記載の微粒子を含む、1種または複数の非水溶性活性薬剤を送達するための医薬組成物。
【請求項23】
非水溶性活性薬剤が、フェノフィブラート、シロスタゾール、アセタゾラミド、アルベンダゾール、アロプリノール、アゾチオプリン、カルバマゼピン、クロファジミン、ダプソン、ジアゼパム、フロ酸ジロキサニド、ドキシサイクリン、エファビレンツ、フロセミド、グリベンクラミド、グリセオフルビン、ハロペリドール、イブプロフェン、ロピナビル、ネビラピン、ニクロサミド、ニフェジピン、パラセタモール、副甲状腺カルシトニン、パルミチン酸レチノール、リトナビル、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、およびスルファサラジンからなる群から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
活性薬剤が、フェノフィブラートまたはシロスタゾールである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
微粒子が、100nm〜25ミクロンの直径を有する、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
微粒子が、軟質ゼラチンもしくは硬質ゼラチン、または非ゼラチンカプセルに封入されている、請求項22に記載の組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−512174(P2012−512174A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540967(P2011−540967)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/068017
【国際公開番号】WO2010/075065
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(511144620)バナー ファーマキャプス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】