説明

非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀コア−金シェル微粒子の製造方法

【課題】 簡便にかつ生産性良く、しかも安価に、金と同様の光学特性を呈し、再分散可能な銀−金の複合金属微粒子を製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 (イ)非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子を水と相溶性のない有機溶媒に分散させた銀微粒子分散溶液と(ロ)金イオン含有水溶液との界面において、金イオンの還元反応を行い、銀微粒子表面に金微粒子を析出させることにより、銀微粒子2を金微粒子3が被覆し、その周りを非水溶性高分子顔料分散剤4が取り囲んだ構成を有する銀コア−金シェル微粒子10を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀コア−金シェル微粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
数十nm以下の粒径を有する金微粒子は、バルクの金には見られない微粒子に特有の性質を活かして、化学的に安定な着色剤、カラーフィルター、導電性ペースト、化学反応の触媒、透明導電膜など、その応用分野を拡大している。
【0003】
金微粒子のような金属微粒子を製造する方法としては、気相法と液相法がある。気相法には例えばガス中蒸発法、RAD法等があり、ガス中蒸発法では、不活性ガスを導入した真空容器内で金属を蒸発させ、チオール系やアミン系の有機化合物で被覆した状態の金属微粒子が得られる。一方、液相法は、金属イオン含有溶液に紫外光を照射あるいは還元剤を加えて金属イオンを還元することによって金属微粒子を得る方法である。特に還元剤を用いる方法は、特別な装置を必要とすることなく、比較的容易に金属微粒子を製造することが可能である。
【0004】
近年では、新規な金属微粒子として複合金属微粒子を作製する試みもなされている。
例えば、第1金属が保護ポリマーで被覆されたポリマー保護金属コロイドを調製する工程と、該ポリマーに第2金属イオンを配位させコロイド−錯体複合体を形成する工程と、該コロイド−錯体複合体から該保護ポリマーを除去する工程とからなる複合金属コロイドの製造方法がある。(例えば特許文献1参照)
【0005】
また、粒子径10nm以下の金等の貴金属又はこの貴金属を含む合金コロイド超微粒子を核とし、分散剤としてアルキルアミン、カルボン酸アミド又はアミノカルボン酸塩存在下で核の表面に還元法により金等の貴金属又はこの貴金属を含む合金を析出させることによって、金属微粒子分散液を得る方法も開示されている。(例えば特許文献2参照)
【0006】
また例えば、高分子顔料分散剤を含む原料金属コロイド溶液中で、金属化合物の還元を行なうことにより、大きな粒子径及び高い金属濃度を有する金属コロイド溶液の製造方法が提案されている。(例えば特許文献3参照)
【特許文献1】特開2000−296339号公報
【特許文献2】特開2004−51997号公報
【特許文献3】特開2004−75703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記製法を用いて、コア部を安価な金属微粒子、シェル部を金微粒子で構成した複合金属微粒子を製造すれば、金微粒子と同等の特性を有し、しかも従来の金単独で構成された微粒子を製造する方法よりも金使用量が少なく、コストを削減できるのではないかと期待された。
【0008】
しかしながら、特許文献1のような複合金属コロイドの製造方法では、コロイド−錯体複合体を作製する工程に非常に時間を要するため、生産性が悪いといった問題があった。また特許文献2のような金属微粒子分散液の調製方法では、得られた金属微粒子分散液に未反応の分散剤が多量に残存するため、反応後の反応液を複数回洗浄する必要があり、製造に時間を要した。更に、特許文献3のような金属コロイド溶液の製造方法では、原料金属コロイド溶液に金属化合物、還元剤を投入するため、金属化合物由来の残留イオンが得られた金属コロイド溶液中に残存するといった不具合があった。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、洗浄を複数回行なうことを必要とせず、簡便にかつ生産性良く、しかも安価で、金と同様の光学特性を呈し、再分散可能な銀−金の複合金属微粒子を製造する方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち本発明は、非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀コア−金シェル微粒子の製造方法であって、(イ)非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子を水と相溶性のない有機溶媒に分散させた銀微粒子分散溶液と(ロ)金イオン含有水溶液との界面において、金イオンの還元反応を行い、銀微粒子表面に金微粒子を析出させることを特徴とする。
【0011】
更に本発明は、上記非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀コア−金シェル微粒子の製造方法であって、非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子は、銀イオン含有溶液を、顔料親和性基を主鎖および/または複数の側鎖に有し、かつ溶剤親和部分を構成する複数の側鎖を有し、更に溶媒和部分が疎水性の構造を有する非水溶性高分子顔料分散剤の存在下で、銀イオンの還元反応を行い、溶媒を除去することにより得られることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により得られた銀コア−金シェル微粒子は、銀微粒子を金微粒子が被覆したコア−シェル構造であって、その周りを非水溶性高分子顔料分散剤が取り囲んだ構成となっており、金微粒子と同等の光学特性を呈することから、再分散が可能で安価な金微粒子代替品の製造方法として期待できる。
【0013】
また本発明の銀コア−金シェル微粒子は、有機相、すなわち水と相溶性のない有機溶媒中に存在することから、金イオン含有水溶液を作製する際に副生成された雑イオンなどは水相に残され、洗浄工程を複数回行なう必要がない。更に、銀微粒子分散溶液の作製時に新たに分散剤を添加する必要がなく、ひいては未反応の分散剤が有機相に多量に残存することがないため、洗浄工程を複数回実施する必要はない。よって、銀コア−金シェル微粒子を簡便に生産性よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀コア−金シェル微粒子の製造方法は、(イ)非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子を水と相溶性のない有機溶媒に分散させた銀微粒子分散溶液と(ロ)金イオン含有水溶液との界面において、金イオンの還元反応を行い、銀微粒子表面に金微粒子を析出させることを特徴とする。
【0015】
非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子1は、図1に示すように銀微粒子2の周りを非水溶性高分子顔料分散剤4が取り囲んだ構成であって、例えば特開平11−76800号公報に開示されているような作製方法により得られる。すなわち、銀化合物を溶媒に溶解した後、非水溶性高分子顔料分散剤の存在下で銀を還元させる。その後、溶媒を除去することにより、非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子を得ることができる。上記銀化合物としては、例えば酢酸銀、硝酸銀、過塩素酸銀などを挙げることができる。
【0016】
ここで使用する非水溶性高分子顔料分散剤としては、例えば(1)顔料親和性基を主鎖および/または複数の側鎖に有し、かつ溶剤親和部分を構成する複数の側鎖を有する高分子が挙げられる。ここで溶媒和部分は疎水性の構造を有する。また顔料親和性基を1分子中に2〜3000個、溶剤親和部分を構成する側鎖を1分子中に2〜1000個有し、数平均分子量が2000〜100万のものが好ましく用いられる。顔料親和性基として具体的には、カルボン酸、アミンを有することが望ましい。また(1)以外にも、(2)主鎖中に顔料親和性基からなる複数の顔料親和部分を有する高分子、(3)主鎖の片末端に顔料親和性基からなる顔料親和部分を有する直鎖状の高分子なども使用可能である。
【0017】
非水溶性高分子顔料分散剤として市販品では、ソルスパースシリーズ(アビシア社製)、EFKAシリーズ(EFKAケミカル社製)、アジスパーシリーズ(味の素社製)などが挙げられる。
【0018】
非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子において、銀微粒子の平均粒子径は1〜30nmであることが望ましい。1nm未満であれば、コア−シェル構造微粒子のコアとしての役割を果たさなくなる。30nmを超えると、発色性が悪くなるため好ましくない。また非水溶性高分子顔料分散剤は、銀微粒子100重量部に対して300〜100000重量部であることが望ましい。300重量部未満であると、銀微粒子の分散安定性に乏しく、100000重量部を超えると、金イオンを還元して銀コア−金シェル微粒子を作製する際に金微粒子単独が生成される可能性がある。
【0019】
上述の如き非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子を用いて、(イ)非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子を水と相溶性のない有機溶媒に分散させた銀微粒子分散溶液を作製する。水と相溶性のない有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン等の有機溶媒が挙げられる。有機溶媒であっても、エタノール、メタノールなどの水と相溶性のある有機溶媒は好ましくない。尚、銀微粒子分散溶液の固形分濃度は1〜50重量%となるよう調整されることが望ましい。また銀濃度は0.001〜30重量%であることが望ましい。
【0020】
本発明の(ロ)金イオン含有水溶液は、例えば金化合物を水に溶解することにより調製できる。金化合物としては、塩化金酸、塩化第一金、塩化第二金、亜硫酸金、金酸カリウムなど、水に溶解することにより金イオンを生じるものが挙げられる。
【0021】
(ロ)金イオン含有水溶液の金モル濃度は特に制限されるものではないが、1×10−5〜0.5mol/lであることが望ましい。1×10−5mol/l未満の場合、銀微粒子の金被覆が充分ではなく、金微粒子と同様の光学特性が得難い。一方、0.5mol/lを超えると、銀微粒子表面の金析出量が多くなり、金微粒子同士及び/又は銀コア−金シェル微粒子同士の凝集が起こり易く、ひいては所望の光学特性が得難い。
【0022】
金イオンの還元に際して、(イ)非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子を水と相溶性のない有機溶媒に分散させた銀微粒子分散溶液と(ロ)金イオン含有水溶液を混合する。その混合比率としては各溶液に含まれる金属重量比、すなわち銀と金が重量比で1:0.1〜50となるよう混合されることが望ましい。0.1未満の場合は、銀微粒子の金被覆が充分ではなく、金微粒子と同様の光学特性が得難い。一方、50を超えた場合は、銀微粒子表面の金析出量が多くなり、金微粒子同士及び/又は銀コア−金シェル微粒子同士の凝集が起こり易く、ひいては所望の光学特性が得難い。
【0023】
金イオンの還元方法としては、前記混合溶液に還元剤を添加する方法により行なうことができる。還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムカリウム、水素化アルミニウムセシウム、水素化アルミニウムベリリウム、水素化アルミニウムマグネシウム、水素化アルミニウムカルシウム等の水素化アルミニウム塩、ヒドラジン化合物、クエン酸及びその塩、コハク酸及びその塩、アスコルビン酸及びその塩などを用いることができる。これらは水あるいは、エタノール、プロパノール等のアルコールに0.01〜0.1mol/l程度の濃度で溶解して使用することができる。
【0024】
また金イオンの還元は、(イ)非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子を水と相溶性のない有機溶媒に分散させた銀微粒子分散溶液と(ロ)金イオン含有水溶液の界面で行なわれる。水相と有機相の界面で金イオンの還元を行なうことで、銀微粒子の表面で金を析出せしめることができ、金微粒子が単体で生成することを抑制する。そのために、還元剤の添加速度を調節することが望ましい。
【0025】
これにより得られた銀コア−金シェル微粒子10は、図2に示すように銀微粒子2を金微粒子3が被覆した銀コア−金シェル構造であって、その周りを非水溶性高分子顔料分散剤4が取り囲んだ構成となっており、有機相、すなわち水と相溶性のない有機溶媒中に存在する。この混合溶液を例えば分液漏斗等により有機相を分離し、該有機相から有機溶媒を除去することにより、非水溶性高分子顔料分散剤に保護された銀コア−金シェル微粒子を得ることができる。ここで、金イオン含有水溶液を作製する際に副生成された雑イオン(金化合物として塩化金酸を使用した場合は塩素イオンなど)は水相に残されるため、洗浄工程を複数回行なう必要がなく、また相間移動剤を使用しなくともよいといった利点がある。更に、非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子を水と相溶性のない有機溶媒に分散させて銀微粒子分散溶液とすることから、銀微粒子分散溶液の作製時に新たに分散剤を添加する必要がなく、ひいては未反応の分散剤が有機相に多量に残存することがないため、洗浄工程を複数回実施する必要はないといった特徴もある。
【0026】
尚、得られた銀コア−金シェル微粒子の平均粒子径は5〜100nmであることが望ましい。5nm未満であると粒子径が小さすぎて発色性が十分でなく。100nmを超えると粒子径が大きすぎて発色が十分でなくなる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。
【0028】
100mlビーカー中において、蒸留水50mlに硝酸銀0.186gを溶解させ硝酸銀水溶液を作製した。別の300mlビーカー中に、100mlの水と、
カルボン酸、アミンを顔料親和性基として有する櫛型構造のポリエステル系非水溶性高分子顔料分散剤1.96g(ソルスパース(商品名)アビシア社製)
をいれ、マグネチックスターラ−を用いて、80°Cで加熱・攪拌を行なった。次に、該300mlビーカーに前記硝酸銀水溶液を流し入れ、2分間加熱・攪拌を行った後、ジブチルアミン2.4gを1g/minの滴下速度で添加した。滴下終了後、更に30分間加熱・攪拌した後、上澄み液を除去し、残分を蒸留水で2〜3回洗浄して、黄色の沈殿物である非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子を採取した。
【0029】
実施例1
上記非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子(銀6重量%)0.12gをトルエン30mlに分散させて、銀微粒子分散溶液を作製した。一方で、塩化金酸(金50重量%)0.14gを水30mlに溶解させて、金イオン含有水溶液を調製した。
上記金イオン含有水溶液と上記銀微粒子分散溶液を混合した後、マグネチックスターラーを用いて80°Cで加熱・攪拌を行いながら、ジブチルアミン1.00gを1g/minの滴下速度で添加した。還元剤を滴下終了後、更に30分間、加熱・攪拌を行なった後、分液ロートを用いて有機相を取り出した。この有機相は赤色を呈し、紫外・可視分光光度計(UV−VIS)で吸光度を測定したところ、図3の(a)のようなUV−VISスペクトルが得られた。
【0030】
実施例2
塩化金酸(金50重量%)の添加量を0.07gとした以外は、実施例1と同様に行った。有機相は赤色を呈し、紫外・可視分光光度計(UV−VIS)で吸光度を測定したところ、図3の(b)のようなUV−VISスペクトルが得られた。
【0031】
実施例3
ジブチルアミンの添加量を1.50gとした以外は、実施例1と同様に行なった。有機相は赤色を呈し、紫外・可視分光光度計(UV−VIS)で吸光度を測定したところ、図3の(c)のようなUV−VISスペクトルが得られた。
【0032】
比較例1
上記非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子(銀6重量%)0.01gをトルエン30mlに分散させて、銀微粒子分散溶液を作製した。紫外・可視分光光度計(UV−VIS)で吸光度を測定したところ、図4の(d)のようなUV−VISスペクトルが得られた。
【0033】
比較例2
100mlビーカー中において、蒸留水50mlに塩化金酸0.23gを溶解させ塩化金酸水溶液を作製した。別の300mlビーカー中に、100mlの水と、カルボン酸、アミンを顔料親和性基として有する櫛型構造のポリエステル系非水溶性高分子顔料分散剤1.96g(ソルスパース(商品名)アビシア社製)をいれ、マグネチックスターラ−を用いて、80°Cで加熱・攪拌を行なった。次に、該300mlビーカーに前塩化金酸水溶液を流し入れ、2分間加熱・攪拌を行った後、ジブチルアミン2.4gを1g/minの滴下速度で添加した。滴下終了後、更に30分間加熱・攪拌した後、上澄み液を除去し、残分を蒸留水で2〜3回洗浄して、黄色の沈殿物である非水溶性高分子顔料分散剤で保護された金微粒子を採取した。
上記非水溶性高分子顔料分散剤で保護された金微粒子(金6重量%)0.01gをトルエン30mlに分散させて、金微粒子分散溶液を作製した。紫外・可視分光光度計(UV−VIS)で吸光度を測定したところ、図4の(e)のようなUV−VISスペクトルが得られた。
【0034】
比較例3
比較例1の銀微粒子分散溶液及び比較例2の金微粒子分散溶液の混合溶液を作製した。紫外・可視分光光度計(UV−VIS)で吸光度を測定したところ、図4の(f)のようなUV−VISスペクトルが得られた。
【0035】
この結果、実施例1〜3では波長;528〜530nmに吸収ピークを示し、これは比較例1の銀微粒子の表面プラズモン共鳴吸収ピーク位置(波長;420nm)とは異なり、比較例2の金微粒子の表面プラズモン共鳴吸収ピーク位置とほぼ等しく、かつ短波長にシフトしていないことからも、実施例は銀−金合金微粒子ではなく、銀微粒子の表面が金で被覆された銀コア−金シェル微粒子であることが知見された。また、金微粒子と銀微粒子を混合した比較例3のスペクトル構造が、波長;528nmと420nmにピークを有することからも、実施例が銀微粒子と金微粒子が独立で並存するわけではないことも確認できた。
【0036】
実施例1で得た有機相を、エバポレーターを用いて溶剤であるトルエンを除去することにより、非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀コア−金シェル微粒子の固形物を得ることができた。この固形物0.01gをアセトン,乳酸ブチル各20mlに夫々添加したところ、凝集や沈殿することなく再分散させることができた。また水20mlに該固形物0.01gを添加したところ、赤色の沈殿が確認された。
【0037】
このことから得られた銀コア−金シェル微粒子は、非水溶性高分子顔料分散剤で保護されており、有機溶媒に再分散可能であることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0038】
金微粒子の代替品を製造する方法として、コストダウンが期待でき、得られた銀コア−金シェル微粒子は塗料や樹脂組成物用の着色剤などとして様々な分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子を概念的に示す説明図である。
【図2】非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀コア−金シェル微粒子を概念的に示す説明図である。
【図3】実施例にかかる微粒子分散溶液のUV−VISスペクトルである。
【図4】比較例にかかる微粒子分散溶液のUV−VISスペクトルである。
【符号の説明】
【0040】
1 非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子
2 銀微粒子
3 金微粒子
4 非水溶性高分子顔料分散剤
10 非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀コア−金シェル微粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀コア−金シェル微粒子の製造方法であって、
(イ)非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子を水と相溶性のない有機溶媒に分散させた銀微粒子分散溶液と(ロ)金イオン含有水溶液との界面において、金イオンの還元反応を行い、銀微粒子表面に金微粒子を析出させることを特徴とする非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀コア−金シェル微粒子の製造方法。
【請求項2】
非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀微粒子は、銀イオン含有溶液を、顔料親和性基を主鎖および/または複数の側鎖に有し、かつ溶剤親和部分を構成する複数の側鎖を有し、更に溶媒和部分が疎水性の構造を有する非水溶性高分子顔料分散剤の存在下で、銀イオンの還元反応を行い、溶媒を除去することにより得られる請求項1記載の非水溶性高分子顔料分散剤で保護された銀コア−金シェル微粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−52238(P2006−52238A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232609(P2004−232609)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】