説明

非水系温感皮膚洗浄用組成物

【課題】製剤安定性に優れるとともに、洗浄時の優れた温熱感と、濯ぎ後のすっきりとした清涼感の両質感を併せ持つ非水系温感皮膚洗浄用組成物の提供。また、肌への密着性が良く、優れた皮脂汚れ除去効果を奏するとともに、使用後の肌状態を良好にする非水系温感皮膚洗浄用組成物の提供。
【解決手段】(A)非極性油、(B)発熱剤、(C)粘土鉱物、(D)非イオン性界面活性剤および(E)清涼剤を含有してなる非水系温感皮膚洗浄用組成物とする。所望により、(F)スクラブ剤を含有させることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系温感皮膚洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、皮膚を柔軟にし、毛穴に詰まった皮脂汚れを除去する試みの一つとして、水と混ざり合うことで温熱効果を付与し、クレンジング効果を向上させる手段が用いられている。このような温熱効果を付与するものとしては、皮膚に対する安全性や発熱の穏やかさの観点から、主にアルコール類や多価アルコール類の水和熱が利用されている。
【0003】
具体的には、アルコールとソルビットエーテルを含有した非水系化粧料(例えば、特許文献1を参照)、グリセリン又はジグリセリンとアニオン性高分子化合物と水を含有したゲル状温熱マッサージ料(例えば、特許文献2を参照)、特定の多価アルコールとスクラブ剤と水溶性高分子化合物を含有したマッサージ化粧料(例えば、特許文献3を参照)などの手段が提案されている。
【0004】
しかしながら、アルコール類や多価アルコール類の水和熱を用いた場合、温熱感の発現が穏やかであるとともに、水と容易に混合するために発熱時間が短く、望ましい温熱感が得られ難いといった問題がある。また、適度な温熱感を得るためには多量に配合しなければならず、ベタつき感などの使用感に劣るといった問題がある。加えて、塗布時の肌への密着感にも劣るといった問題もある。
【0005】
また、アルコール類や多価アルコール類と比較して、水と混ざり合うことで瞬時に温熱効果を発現する無機塩などを用いた試みもなされている。具体的には、硫酸マグネシウムを含有するクレンジングパック化粧料(例えば、特許文献4を参照)、発熱剤と温感剤を含有する皮膚化粧料(例えば、特許文献5を参照)、特定の油剤と無機塩と活性剤を含有した非水系化粧料(例えば、特許文献6を参照)などの手段が提案されている。
【0006】
しかしながら、これら無機塩の水和熱を用いた場合、優れた温熱効果は得られるものの、性質上、剤型を非水系、所謂、油性剤型としなければならず、ベタつき感などの使用感に劣るといった問題がある。また、油分の分離により、保存時の製剤安定性に劣るといった問題や、塗布時の肌への密着感に劣るといった問題もある。
【0007】
一方、皮膚洗浄用化粧料に求められる効果としては、皮脂汚れ除去効果が十分に実感できる使用感、所謂、すっきりとした清涼感を有することが挙げられる。通常、このような使用感を付与するためには、清涼剤が配合される。しかしながら、上記したアルコール類や多価アルコール類による温熱感を有する化粧料に清涼剤を配合しても、清涼感が温熱感を上回り、十分な温熱感が得られないといった問題がある。また、無機塩による温熱感を有する化粧料に配合しても、べたつき感が清涼感を上回り、濯ぎ後のすっきりとした清涼感の実感に劣るといった問題がある。
【0008】
【特許文献1】特開平6−80534号公報
【特許文献2】特開平11−12126号公報
【特許文献3】特開2000−247860号公報
【特許文献4】特開平7−173033号公報
【特許文献5】特開平11−60460号公報
【特許文献6】特開平11−228332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、製剤安定性に優れるとともに、洗浄時の優れた温熱感と、濯ぎ後のすっきりとした清涼感の両質感を併せ持つ非水系温感皮膚洗浄用組成物を提供することを課題とする。また、肌への密着性が良く、優れた皮脂汚れ除去効果を奏するとともに、使用後の肌状態を良好にする非水系温感皮膚洗浄用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明は、
〔1〕(A)非極性油、(B)発熱剤、(C)粘土鉱物、(D)非イオン性界面活性剤および(E)清涼剤を含有してなる非水系温感皮膚洗浄用組成物、
〔2〕(A)成分が、流動パラフィンおよび/又はデカメチルシクロペンタシロキサンである前記〔1〕に記載の非水系温感皮膚洗浄用組成物、
〔3〕(B)成分が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウムの群から選ばれる少なくとも1種である前記〔1〕又は〔2〕に記載の非水系温感皮膚洗浄用組成物、
〔4〕(C)成分が、カオリン、タルク、マイカ、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトおよびジメチルジステアリルアンモニウムベントナイトの群から選ばれる少なくとも1種である前記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の非水系温感皮膚洗浄用組成物、
〔5〕更に、(F)スクラブ剤を含有してなる前記〔1〕〜〔4〕の何れかに記載の非水系温感皮膚洗浄用組成物、
〔6〕(F)成分が、球状ポリエチレンおよび/又は結晶セルロースである前記〔5〕に記載の非水系温感皮膚洗浄用組成物、
〔7〕ペースト状であることを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕の何れかに記載の非水系温感皮膚洗浄用組成物、並びに
〔8〕前記〔1〕〜〔7〕の何れかに記載の非水系温感皮膚洗浄用組成物からなる非水系温感洗顔剤
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の非水系温感皮膚洗浄用組成物は、優れた製剤安定性を有し、肌への密着性に優れるという効果を奏する。また、洗浄時には、適度な温熱感を有するとともに、皮脂汚れ除去効果に優れた効果を奏する。加えて、濯ぎ後は、滑らかな肌状態とし、すっきりとした清涼感を付与するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の非水系温感皮膚洗浄用組成物は、(A)非極性油、(B)発熱剤、(C)粘土鉱物、(D)非イオン性界面活性剤および(E)清涼剤を含有してなる。
【0013】
(A)成分の非極性油としては、例えば、炭化水素油、揮発性シリコーンなどが挙げられる。炭化水素油の具体例としては、オゾケライト、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、セレシン、パラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリンなどを例示することができる。また、揮発性シリコーンの具体例としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサンなどの環状シリコーン;オクタメチルトリシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、低粘度メチルポリシロキサンなどの鎖状シリコーンなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(A)成分としては、使用感および製剤安定性の観点から、軽質イソパラフィン、流動パラフィン、低粘度メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが好ましく、中でも、流動パラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサンを用いることがより好ましい。
【0014】
(A)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、非水系とする観点から、組成物中、10重量%以上が好ましく、より好ましくは15重量%以上である。また、使用感および製剤安定性の観点から、60重量%以下が好ましく、より好ましくは50重量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜50重量%である。
【0015】
(B)成分の発熱剤は、水と混合することで発熱し、適度な温熱感を奏するものであれば特に限定されないが、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムなどの無機塩などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。これら(B)成分の中でも、水との混合後、素早く発熱し、適度な温熱感を奏する観点から、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムを用いることが好ましい。
【0016】
尚、(B)成分は、市販品をそのまま用いることもできる。塩化カルシウムの市販品としては、例えば、塩化カルシウムH(商品名,富田製薬社製)、塩化マグネシウムの市販品としては、例えば、塩化マグネシウム(商品名,富田製薬社製)、硫酸カルシウムの市販品としては、例えば、硫酸カルシウム(商品名,馬居化成工業社製)、硫酸マグネシウムの市販品としては、例えば、無水硫酸マグネシウムO−TS(商品名,富田製薬社製)などを例示することができる。
【0017】
(B)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、温熱感を付与する観点から、組成物中、5重量%以上が好ましく、より好ましくは10重量%以上である。また、適度な温熱感とする観点から、50重量%以下が好ましく、より好ましくは45重量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜45重量%である。
【0018】
(C)成分の粘土鉱物の具体例としては、天然物、天然物からの精製物又は合成の何れのものであっても特に限定されないが、例えば、カオリン、ナクライト、ディッカイト、ハロサイトなどのカオリン族粘土鉱物;アンティゴライト、アメサイト、クロンステダイトなどのアンティゴライト族粘土鉱物;パイロフィライト、タルク(滑石)などのパイロフィライト族粘土鉱物;イライト、海緑石、セラドナイト、セリサイト、マイカ(雲母)、白雲母、クロム白雲母、黒雲母などの雲母族粘土鉱物;ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントナイト、サポナイト、ヘクトライト、ルーセンタイトなどのスメクタイト族粘土鉱物;バーミキュライトなどのバーミキュライト族粘土鉱物;緑泥石(クロライト)などの緑泥石族粘土鉱物;スメクタイト族やバーミキュライト族の粘土鉱物を塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウムなどの第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理した有機変性粘土鉱物などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0019】
本発明においては、製剤安定性の観点、並びに、皮脂汚れ除去の観点から、カオリン、タルク、マイカ、セリサイト、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイトを用いるのが好ましく、中でも、カオリン、タルク、マイカ、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイトを用いることがより好ましい。
【0020】
尚、(C)成分は、市販品をそのまま用いることもできる。カオリンの市販品としては、例えば、カオリン(商品名,伊那貿易社製);タルクの市販品としては、例えば、TALK PP(商品名,松村産業社製);マイカの市販品としては、例えば、カシュミール(商品名,触媒化成社製);ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライトの市販品としては、例えば、ベントン38V(商品名,エレメンティスジャパン社製);ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトの市販品としては、例えば、ベントン27V(商品名,エレメンティスジャパン社製);ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイトの市販品としては、例えば、ベントン34(商品名,エレメンティスジャパン社製)などを例示することができる。
【0021】
(C)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、製剤安定性、皮脂汚れ除去、並びに塗布時の密着性を良好にする観点から、組成物中、0.5重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上である。また、使用時の刺激感を低減する観点から、40重量%以下が好ましく、より好ましくは35重量%以下である。これらの観点から、(C)成の含有量は、好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%である。
【0022】
(D)成分の非イオン性界面活性剤としては、例えば、モノステアリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどのソルビット脂肪酸エステル;モノステアリン酸グリセリン、モノカプリル酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリンなどのグリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンヒマシ油;ポリオキシエチレンラノリン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(D)成分としては、製剤安定性の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビット脂肪酸エステルを用いることが好ましく、中でも、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットを用いることが好ましい。
【0023】
(D)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、製剤安定性の観点から、組成物中、1重量%以上が好ましく、より好ましくは3重量%以上である。また、使用感の観点から、15重量%以下が好ましく、より好ましくは13重量%以下である。これらの観点から、(D)成分の含有量は、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは3〜13重量%である。
【0024】
(E)成分の清涼剤としては、例えば、l−メントール、メンチルグリセリルエーテル、メンチルラクテート、1−メンチル−3−ヒドロキシブチレート、dl−カンファ、オイゲノール、メントン、ミント、サリチル酸メンチル、ユーカリ油などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(E)成分としては、濯ぎ後の清涼感に優れる観点から、l−メントール、メンチルグリセリルエーテルを用いることが好ましく、l−メントールを用いることがより好ましい。
【0025】
(E)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、清涼感の観点から、組成物中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.3重量%以上である。また、清涼感による温熱感の低下を抑制する観点から、1.5重量%以下が好ましく、より好ましくは1重量%以下である。これらの観点から、(E)成分の含有量は、好ましくは0.1〜1.5重量%、より好ましくは0.3〜1重量%である。
【0026】
尚、本発明の(A)成分の非極性油に溶解しないl−メントールなどの清涼剤を用いる場合、非水系製剤への溶解性の観点から、脂肪酸エステル油に溶解して配合させることが好ましい。用いられる脂肪酸エステル油としては、溶解させることができれば特に限定されないが、皮膚へのベタつき感を低減し、軽い使用感とする観点から、親油性の低い脂肪酸エステル油を用いることが好ましい。具体的には、例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、ネオペンタン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソステアリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0027】
脂肪酸エステル油の含有量は、特に限定されないが、軽い使用感とする観点から、組成物中、0.5〜6重量%が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。0.5重量%未満では、清涼剤の溶解性に劣るため好ましくない。また、6重量%を超えて含有すると、濯ぎ後の清涼感に劣るため好ましくない。
【0028】
また、本発明の非水系温感皮膚洗浄用組成物には、(F)スクラブ剤を含有させることができる。(F)成分を含有させることにより、皮膚表面に点在する古い角質を取り除き、濯ぎ後の肌状態をより良好とすることができる。また、毛穴などに詰まった皮脂汚れを浮かし、粘土鉱物の皮脂吸着を助力する効果も奏する。更には、洗浄時の油膜感を低減し、発熱剤の温熱感をより向上させることができる。具体的な(F)成分としては、例えば、球状ポリエチレン、球状ナイロン、球状ポリエステル、結晶セルロース、シリカなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(F)成分としては、上記観点から、球状ポリエチレン、結晶セルロースを用いることが好ましい。
【0029】
用いられる(F)成分の粒径は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、例えば、球状ポリエチレンを用いる場合は、平均粒経が10〜800μmのものが好ましく、150〜400μmのものを用いるのがより好ましい。また、結晶セルロースを用いる場合は、平均粒経が10〜150μmのものが好ましく、30〜100μmのものを用いるのがより好ましい。
【0030】
尚、(F)成分は、市販品をそのまま用いることもできる。球状ポリエチレンの市販品としては、例えば、フロービーズCL5007(商品名,住友精化社製);結晶セルロースの市販品としては、例えば、セオラス PH−101、PH−102(商品名,何れも旭化成社製)などを例示することができる。
【0031】
(F)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、肌状態をより良好とする観点から、組成物中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上である。また、使用感の観点から、20重量%以下が好ましく、より好ましくは15重量%以下である。これらの観点から、(F)成分の含有量は、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%である。
【0032】
本発明の非水系温感皮膚洗浄用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧品に用いられる成分、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどの多価アルコール;デキストリン脂肪酸エステル、増粘性高分子などの増粘性成分;固形ロウ類、油脂、高級脂肪酸などの油性成分;陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性などの界面活性剤;無機顔料、有機顔料、パール顔料などの粉体;酸化防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、植物抽出エキス、香料などを目的に応じて適宜配合することができる。
【0033】
非水系温感皮膚洗浄用組成物の適用部位は、特に限定されないが、濯ぎ後に滑らかな肌状態とすることから、例えば、額、鼻、目元、目じり、頬、口元などの顔部;肘、指先、膝、かかとなどの身体部などに適用することができる。中でも、皮脂汚れ除去効果に優れることから、皮脂が多い顔部に用いることが好ましく、特に、皮脂量が最も多い部位、所謂、Tゾーンと称される額から鼻筋にかかる部位に好適に用いることができる。
【0034】
施術方法としては、特に限定されないが、例えば、(1)該組成物を乾いた肌に塗布後、水で濡らした指先でマッサージするように洗浄する方法;(2)該組成物を濡れた肌に塗布後、乾いた指先又は水で濡らした指先でマッサージするように洗浄する方法;(3)該組成物を乾いた指先に取り、該化粧料と指先に水を含ませた後、肌に塗布してマッサージするように洗浄する方法;(4)該組成物を水で濡らした指先に取り、肌に塗布してマッサージするように洗浄する方法などを例示することができる。これら施術方法の中でも、上記(1)の方法により洗浄を施すことで、本発明の優れた温熱感をより実感することができる。優れた温熱感を発現するために用いられる水の量は、特に限定されないが、当該組成物1重量部に対し、0.05〜10重量部の水を用いることが好ましい。10重量部を超える量を用いた場合、当該組成物が皮膚上から流れ落ち、温熱感を実感することができない。
【0035】
洗浄に要する時間については、特に限定されないが、適度な温熱を感じ、肌の皮脂汚れを十分に除去する観点から、30秒以上洗浄を施すことが好ましい。また、肌への負担の観点から3分以下とすることが好ましい。
【0036】
また、上記(1)の方法のように、乾いた肌へ塗布する場合、肌からの垂れ落ちを抑制し、密着性を向上させる観点から、非水系温感皮膚洗浄用組成物の性状をペースト状とすることが好ましい。より具体的には、当該組成物の稠度(N)を0.04〜4の範囲で調製することが好ましく、0.1〜1の範囲とすることがより好ましい。尚、稠度(N)は、レオメーター(RHEO METER CR−500DX、サン科学社製)を用いて、測定温度:25℃、アダプター:10φ球、スピード:6cm/分の条件下で2cm挿入させた際の最大応力を測定した値である。また、本発明における「ペースト状」とは、「流動性のない半固形状の性状」のことを言い、「流動性のあるクリーム状」、「流動性のある粘性液体」、「固形」とは異なるものである。
【0037】
尚、非水系温感皮膚洗浄用組成物を製造する場合、前記各構成成分を混合し、公知の方法、例えば、ディスパーミルで攪拌することにより製造することができる。尚、本発明における「非水系」とは、「別途、水を含有させることはしない」という意味であり、各配合成分に含有される少量の水までを除外するものではない。
【0038】
本発明の非水系温感皮膚洗浄用組成物の商品形態は、特に限定されないが、ジャー容器、チューブ容器などに充填した商品形態とすることができる。中でも、ペースト状剤型の取り出しに好適なチューブ容器による商品形態とすることが好ましい。また、使用形態としては、洗顔剤、ボディーソープ、ハンドソープなどとして用いることができる。中でも、皮脂汚れを除去し、滑らかな肌状態へと導き、すっきりとした清涼感を付与することができることから、洗顔剤として好適に用いることができる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「重量%」を表す。また、評価はすべて、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。
【0040】
(試料の調製)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1〜7および比較例1〜5の非水系温感皮膚洗浄用組成物、並びに比較例6の多価アルコール系温感皮膚洗浄用組成物を常法に準じてそれぞれ調製し、下記評価に供した。結果をそれぞれ表1および表2に併記する。
【0041】
(試験例1:性状の確認)
調製直後の各実施例および各比較例の試料の性状を目視観察した。
【0042】
(試験例2:製剤安定性の評価)
各実施例および各比較例で得られた試料を、100mL容の広口容器に充填し、40℃の恒温槽にそれぞれ2週間保管後、製剤の状態を目視観察して以下の評価基準に従って評価した。
【0043】
<製剤安定性の評価基準>
◎:ペースト状の形状を保持している
○:ペースト状の形状を保持するが、表面に僅かな分離が認められる
△:ペースト状の形状を保持しておらず、表面に明らかな液体の離液、液動化が認められる
×:分離している
【0044】
(試験例3:肌への密着感の評価)
専門パネル20名により、各実施例および各比較例で得られた試料を、乾いた額から鼻筋にかかる部位へ塗布してもらい、塗布時の密着感について以下の評価基準に従って官能評価した。
【0045】
<密着性の評価基準>
◎:20名中16名以上が密着感に優れると回答
○:20名中11〜15名が密着感に優れると回答
△:20名中6〜10名が密着感に優れると回答
×:20名中5名以下が密着感に優れると回答
【0046】
(試験例4:使用感の評価1)
同パネル20名により、試験例3の評価後、指先を濡らして試料塗布した部位をマッサージするように1分間クレンジングしてもらい、クレンジング時の「温熱感」について以下の評価基準に従って官能評価した。尚、濯ぎ後はタオルドライにより水分を拭き取った。
【0047】
<温熱感の評価基準>
◎:20名中16名以上が適度な温熱感があると回答
○:20名中11〜15名が適度な温熱感があると回答
△:20名中6〜10名が適度な温熱感があると回答
×:20名中5名以下が適度な温熱感があると回答
(試験例5:使用感の評価2)
同パネル20名により、試験例4の評価後、「清涼感」「皮脂汚れ除去」および「肌状態」について以下の評価基準に従って官能評価した。尚、「皮脂汚れ除去」は、洗浄部位を指先で撫でてもらい、指先に皮脂が付着するか否かで評価した。また、「肌状態」は、洗浄部位を指先で撫でてもらい、指先の感触で評価した。
【0048】
<清涼感の評価基準>
◎:20名中16名以上がすっきりとした清涼感があると回答
○:20名中11〜15名がすっきりとした清涼感と回答
△:20名中6〜10名がすっきりとした清涼感と回答
×:20名中5名以下がすっきりとした清涼感と回答
【0049】
<皮脂汚れ除去の評価基準>
◎:20名中16名以上が指先に皮脂が付着しないと回答
○:20名中11〜15名が指先に皮脂が付着しないと回答
△:20名中6〜10名が指先に皮脂が付着しないと回答
×:20名中5名以下が指先に皮脂が付着しないと回答
【0050】
<肌状態の評価基準>
◎:20名中16名以上が滑らかな肌状態であると回答
○:20名中11〜15名が滑らかな肌状態であると回答
△:20名中6〜10名が滑らかな肌状態であると回答
×:20名中5名以下が滑らかな肌状態であると回答
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
表1および表2に示された結果から、各実施例で得られた非水系温感皮膚洗浄用組成物は、各比較例で得られた非水系温感皮膚洗浄用組成物と対比して、製剤安定性、密着感、温熱感、清涼感、皮脂汚れ除去性、使用後の肌状態において格段に優れた効果を奏していることが分かる。また、比較例6の多価アルコール系温感皮膚洗浄用組成物においては、肌への密着性、温熱感、皮脂汚れ除去に劣っていることが分かる。
【0054】
以下、本発明に係る非水系温感皮膚洗浄用組成物の処方例を示す。尚、含有量は重量%である。
【0055】
(処方例1)
流動パラフィン 34.2
セレシン 5.0
硫酸マグネシウム 30.0
セリサイト 8.0
タルク 10.0
POE(9)ラウリルエーテル 8.0
l−メントール 0.5
2−エチルヘキサン酸セチル 3.0
球状ポリエチレン 0.5
黒酸化鉄 0.1
ビタミンE 0.2
1,2−オクタンジオール 0.5
合 計 100.0
【0056】
(処方例2)
デカメチルシクロペンタシロキサン 23.5
オクタメチルシクロテトラシロキサン 10.0
塩化マグネシウム 15.0
塩化カルシウム 15.0
ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト 3.0
マイカ 15.0
POE(20)ポリオキシエチレンベヘニルエーテル 8.0
l−メントール 0.5
ミリスチン酸イソプロピル 3.0
結晶セルロース 5.0
球状ナイロン 2.0
合 計 100.0
【0057】
(処方例3)
流動パラフィン 31.5
ワセリン 2.0
キャンデリラロウ 2.0
硫酸マグネシウム 25.0
カオリン 20.0
無水ケイ酸 3.0
セスキオレイン酸ソルビタン 2.0
POE(10)オレイルエーテル 8.0
l−メントール 0.5
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 4.0
球状ポリエチレン 2.0
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)非極性油、(B)発熱剤、(C)粘土鉱物、(D)非イオン性界面活性剤および(E)清涼剤を含有してなる非水系温感皮膚洗浄用組成物。
【請求項2】
(A)成分が、流動パラフィンおよび/又はデカメチルシクロペンタシロキサンである請求項1に記載の非水系温感皮膚洗浄用組成物。
【請求項3】
(B)成分が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウムの群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の非水系温感皮膚洗浄用組成物。
【請求項4】
(C)成分が、カオリン、タルク、マイカ、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライトおよびジメチルジステアリルアンモニウムベントナイトの群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3の何れかに記載の非水系温感皮膚洗浄用組成物。
【請求項5】
更に(F)スクラブ剤を含有してなる請求項1〜4の何れかに記載の非水系温感皮膚洗浄用組成物。
【請求項6】
(F)成分が、球状ポリエチレンおよび/又は結晶セルロースである請求項5に記載の非水系温感皮膚洗浄用組成物。
【請求項7】
ペースト状であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の非水系温感皮膚洗浄用組成物。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の非水系温感皮膚洗浄用組成物からなる非水系温感洗顔剤。

【公開番号】特開2009−215256(P2009−215256A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62528(P2008−62528)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】