説明

非水系温感皮膚用組成物

【課題】優れた温熱感を有するとともに、非水系であるにもかかわらず、油性感やベタつき感を抑えた非水系温感皮膚用組成物の提供。
【解決手段】(A)非極性油、好ましくは、流動パラフィンおよび/又はデカメチルシクロペンタシロキサン、(B)発熱剤、好ましくは、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウムの群から選ばれる少なくとも1種、(C)炭酸塩および(D)有機酸および/又は無機酸を含有してなる非水系温感皮膚用組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系温感皮膚用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水と混ざり合うことで温熱効果を付与する試みがなされている。このような温熱効果を付与するものとしては、皮膚に対する安全性や発熱の穏やかさの観点から、主にアルコール類や多価アルコール類の水和熱が利用されている。
【0003】
具体的には、アルコールとソルビットエーテルを含有した非水系化粧料(例えば、特許文献1を参照)、グリセリン又はジグリセリンとアニオン性高分子化合物と水を含有したゲル状温熱マッサージ料(例えば、特許文献2を参照)、特定の多価アルコールとスクラブ剤と水溶性高分子化合物を含有したマッサージ化粧料(例えば、特許文献3を参照)などの手段が提案されている。
【0004】
しかしながら、アルコール類や多価アルコール類の水和熱を用いた場合、温熱感の発現が穏やかであるとともに、水と容易に混合するために発熱時間が短く、望ましい温熱感が得られ難いといった問題がある。また、適度な温熱感を得るためには多量に配合しなければならず、ベタつき感などの使用感に劣るといった問題がある。
【0005】
また、アルコール類や多価アルコール類と比較して、水と混ざり合うことで瞬時に温熱効果を発現する無機塩などを用いた試みもなされている。具体的には、硫酸マグネシウムを含有するクレンジングパック化粧料(例えば、特許文献4を参照)、発熱剤と温感剤を含有する皮膚化粧料(例えば、特許文献5を参照)、特定の油剤と無機塩と活性剤を含有した非水系化粧料(例えば、特許文献6を参照)などの手段が提案されている。
【0006】
しかしながら、これら無機塩の水和熱を用いた場合、優れた温熱効果は得られるものの、性質上、剤型を非水系、所謂、油性剤型としなければならず、油っぽさやベタつき感などの使用感に劣るといった問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開平6−80534号公報
【特許文献2】特開平11−12126号公報
【特許文献3】特開2000−247860号公報
【特許文献4】特開平7−173033号公報
【特許文献5】特開平11−60460号公報
【特許文献6】特開平11−228332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、優れた温熱感を有するとともに、非水系であるにもかかわらず、油性感やベタつき感を抑えた非水系温感皮膚用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は、
〔1〕(A)非極性油、(B)発熱剤、(C)炭酸塩および(D)有機酸および/又は無機酸を含有してなる非水系温感皮膚用組成物、
〔2〕(A)成分が、流動パラフィンおよび/又はデカメチルシクロペンタシロキサンである前記〔1〕に記載の非水系温感皮膚用組成物、
〔3〕(B)成分が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウムの群から選ばれる少なくとも1種である前記〔1〕又は〔2〕に記載の非水系温感皮膚用組成物、並びに
〔4〕(C)成分が、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムの群から選ばれる少なくとも1種である前記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の非水系温感皮膚用組成物
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の非水系温感皮膚用組成物は、優れた温熱感を有するとともに、非水系であるにもかかわらず、発生する炭酸ガスの気泡により、使用感が軽くなり、施術中の油性感および使用後のベタつき感を低減することできるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の非水系温感皮膚用組成物は、(A)非極性油、(B)発熱剤、(C)炭酸塩および(D)有機酸および/又は無機酸を含有してなる。
【0012】
(A)成分の非極性油としては、例えば、炭化水素油、揮発性シリコーンなどが挙げられる。炭化水素油の具体例としては、オゾケライト、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、セレシン、パラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリンなどを例示することができる。また、揮発性シリコーンの具体例としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサンなどの環状シリコーン;オクタメチルトリシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、低粘度メチルポリシロキサンなどの鎖状シリコーンなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な(A)成分としては、使用感および製剤安定性の観点から、軽質イソパラフィン、流動パラフィン、低粘度メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが好ましく、中でも、流動パラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサンを用いることがより好ましい。
【0013】
(A)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、非水系とする観点から、組成物中、10重量%以上が好ましく、より好ましくは15重量%以上である。また、油性感を低減する観点から、70重量%以下が好ましく、より好ましくは60重量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは15〜60重量%である。
【0014】
(B)成分の発熱剤は、水と混合することで発熱し、適度な温熱感を奏するものであれば特に限定されないが、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムなどの無機塩などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。これら(B)成分の中でも、水との混合後、素早く発熱し、適度な温熱感を奏する観点から、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムを用いることが好ましい。
【0015】
尚、(B)成分は、市販品をそのまま用いることもできる。塩化カルシウムの市販品としては、例えば、塩化カルシウムH(商品名,富田製薬社製)、塩化マグネシウムの市販品としては、例えば、塩化マグネシウム(商品名,富田製薬社製)、硫酸カルシウムの市販品としては、例えば、硫酸カルシウム(商品名,馬居化成工業社製)、硫酸マグネシウムの市販品としては、例えば、無水硫酸マグネシウムO−TS(商品名,富田製薬社製)などを例示することができる。
【0016】
(B)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、温熱感を付与する観点から、組成物中、5重量%以上が好ましく、より好ましくは10重量%以上である。また、適度な温熱感とする観点から、50重量%以下が好ましく、より好ましくは45重量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜45重量%である。
【0017】
本発明では、非水系剤型特有の油性感、並びにベタつき感を低減させるために、(C)炭酸塩と、(D)有機酸および/又は無機酸を含有させることを特徴とする。即ち、両成分を併用することで、施術時における水との混合で炭酸ガスの気泡を発生させ、油性感を低減することで、非水系であるにもかかわらず軽い使用感とすることができるとともに、使用後のベタつき感も低減することができる。また、本発明の非水系温感皮膚用組成物は、使用時に「シュワシュワ」という音とともに発生する炭酸ガスの気泡により、従来の非水系剤型では成し得なかった異質な使用感をも奏するものである。
【0018】
(C)成分の炭酸塩としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素アンモニウム塩、炭酸アンモニウム塩、セスキ炭酸アンモニウム塩などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。本発明においては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムを用いることが好ましい。
【0019】
(D)成分の有機酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸などのジカルボン酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸などの直鎖脂肪酸;グルタミン酸、アスパラギン酸などの酸性アミノ酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などのオキシ酸、並びにこれらの有機酸の酸性塩などを例示することができる。また、無機酸としては、例えば、リン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸カリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、スルファミン酸などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0020】
(C)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、十分な炭酸ガスを発生させる観点から、組成物中、1重量%以上が好ましく、より好ましくは2重量%以上である。また、温熱感の低減を抑制する観点から、30重量%以下が好ましく、より好ましくは25重量%以下である。これらの観点から、(C)成分の含有量は、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜25重量%である。
【0021】
また、(D)成分の含有量は、炭酸ガスが発生する量あれば特に限定されないが、配合される炭酸塩1モルに対して、0.2〜2モルを用いることが好ましく、0.3〜1.5モル用いることがより好ましい。
【0022】
本発明の非水系温感皮膚用組成物には、製剤安定性の観点から、粘土鉱物を含有させることができる。用いられる粘土鉱物としては、天然物、天然物からの精製物又は合成の何れのものであっても特に限定されないが、例えば、カオリン、ナクライト、ディッカイト、ハロサイトなどのカオリン族粘土鉱物;アンティゴライト、アメサイト、クロンステダイトなどのアンティゴライト族粘土鉱物;パイロフィライト、タルク(滑石)などのパイロフィライト族粘土鉱物;イライト、海緑石、セラドナイト、セリサイト、マイカ(雲母)、白雲母、クロム白雲母、黒雲母などの雲母族粘土鉱物;ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントナイト、サポナイト、ヘクトライト、ルーセンタイトなどのスメクタイト族粘土鉱物;バーミキュライトなどのバーミキュライト族粘土鉱物;緑泥石(クロライト)などの緑泥石族粘土鉱物;スメクタイト族やバーミキュライト族の粘土鉱物を塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウムなどの第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理した有機変性粘土鉱物などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。本発明においては、カオリン、タルク、マイカ、セリサイト、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイトを用いるのが好ましい。
【0023】
また、本発明の非水系温感皮膚用組成物には、洗い落ちの観点から、非イオン性界面活性剤を含有させることができる。用いられる非イオン性界面活性剤としては、例えば、モノステアリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどのソルビット脂肪酸エステル;モノステアリン酸グリセリン、モノカプリル酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリンなどのグリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンヒマシ油;ポリオキシエチレンラノリン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。本発明においては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステルを用いることが好ましく、中でも、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、セスキオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビットを用いることが好ましい。
【0024】
本発明の非水系温感皮膚用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧品に用いられる成分、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどの多価アルコール;シリカ、球状ポリエチレン、結晶セルロースなどの粉体;デキストリン脂肪酸エステル、増粘性高分子などの増粘性成分;固形ロウ類、油脂、高級脂肪酸などの油性成分;陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性などの界面活性剤;無機顔料、有機顔料、パール顔料などの粉体;酸化防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、植物抽出エキス、香料などを目的に応じて適宜配合することができる。
【0025】
非水系温感皮膚用組成物を製造する場合、前記各構成成分を混合し、公知の方法、例えば、ディスパーミルで攪拌することにより製造することができる。尚、本発明における「非水系」とは、「別途、水を含有させることはしない」という意味であり、各配合成分に含有される少量の水までを除外するものではない。
【0026】
使用方法としては、特に限定されないが、例えば、(1)該組成物を乾いた肌に塗布後、水で濡らした指先で馴染ませる方法;(2)該組成物を濡れた肌に塗布後、乾いた指先又は水で濡らした指先で馴染ませる方法;(3)該組成物を乾いた指先に取り、該化粧料と指先に水を含ませた後、肌に塗布して馴染ませる方法;(4)該組成物を水で濡らした指先に取り、肌に塗布して馴染ませる方法などを例示することができる。これら使用方法の中でも、上記(1)の方法を用いることで、本発明の優れた温熱感をより実感することができとともに、炭酸ガスによる油性感およびベタつき感を低減することができる。
【0027】
また、優れた温熱感を発現するために用いられる水の量は、特に限定されないが、当該組成物1重量部に対し、0.05〜10重量部の水を用いることが好ましい。10重量部を超える量を用いた場合、当該組成物が皮膚上から流れ落ち、温熱感を実感することができない。
【0028】
尚、本発明の非水系温感皮膚用組成物の商品形態は、特に限定されないが、ジャー容器、チューブ容器などに充填した商品形態とすることができる。また、使用形態としては、優れた温熱感が実感することができるとともに、油性感を低減し、軽い使用感とすることから、洗顔剤、マッサージ化粧料、シェービング剤、ボディーソープ、ハンドソープなどに用いることができ、中でも、洗顔剤、マッサージ化粧料、シェービング剤として好適に用いることができる。
【0029】
本発明の非水系温感皮膚用組成物を洗顔剤、又はマッサージ化粧料として用いた場合には、本発明の特有の効果に加え、温熱効果で毛穴を広げ、炭酸ガスの発泡で毛穴の汚れを浮き上がらせることから、優れた洗浄効果をも付与することができるという効果を奏する。また、炭酸ガスの発泡による血行促進効果も加わり、くすみ改善にも優れた効果を奏する。
【0030】
また、本発明の非水系温感皮膚用組成物をシェービング剤として用いた場合には、本発明の特有の効果に加え、適度な温熱感による蒸らし効果により髭を柔らかくして剃り易くするとともに、炭酸ガスの発泡により、刃滑りが良くなり剃刀による肌への負担を低減するという効果を付与することができるという効果を奏する。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「重量%」を表す。また、評価はすべて、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。
【0032】
(試料の調製1)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1〜4および比較例1〜4の非水系温感皮膚用組成物、並びに比較例5の多価アルコール系温感皮膚用組成物を常法に準じてそれぞれ調製し、下記評価に供した。結果をそれぞれ表1および表2に併記する。
【0033】
(試験例1:使用感の評価1)
専門パネル20名により、各実施例および各比較例で得られた試料を、乾いた頬へ塗布してもらい、指先を濡らして試料塗布した部位をマッサージするように1分間馴染ませてもらい、施術中の「温熱感」、「油性感」について以下の評価基準に従って官能評価した。尚、濯ぎ後はタオルドライにより水分を拭き取った。
【0034】
<温熱感の評価基準>
◎:20名中16名以上が適度な温熱感があると回答
○:20名中11〜15名が適度な温熱感があると回答
△:20名中6〜10名が適度な温熱感があると回答
×:20名中5名以下が適度な温熱感があると回答
【0035】
<油性感の評価基準>
◎:20名中16名以上が油性感がなく、軽い使用感であると回答
○:20名中11〜15名が油性感がなく、軽い使用感であると回答
△:20名中6〜10名が油性感がなく、軽い使用感であると回答
×:20名中5名以下が油性感がなく、軽い使用感であると回答
【0036】
(試験例2:使用感の評価2)
同パネル20名により、試験例1の評価後の「ベタつき感」について以下の評価基準に従って官能評価した。
【0037】
<ベタつき感の評価基準>
◎:20名中16名以上がベタつき感がないと回答
○:20名中11〜15名がベタつき感がないと回答
△:20名中6〜10名がベタつき感がないと回答
×:20名中5名以下がベタつき感がないと回答
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
表1および表2に示された結果から、各実施例で得られた非水系温感皮膚用組成物は、各比較例で得られた非水系温感皮膚用組成物と対比して、優れた温熱感が得られるとともに、(C)成分と(D)成分により発生する炭酸ガスの気泡により、油性感のない軽い使用感が得られ、使用後のベタつき感もないことが分かる。また、比較例5の多価アルコール系温感皮膚用組成物においては、(C)成分と(D)成分により発生する炭酸ガスの気泡により、軽い使用感になるものの、最適な温熱感が得られないことが分かる。
【0041】
また、表1および表2に記した実施例1〜4および実施例1〜5の同一組成物を洗顔剤の形態で下記評価に供した。結果をそれぞれ表3および表4に併記する。
【0042】
(試験例3:汚れ除去の評価)
実施例および比較例の洗顔剤を、毎朝1回、専門パネル20名により、2週間連続して使用してもらい、洗浄後の「汚れ除去」について以下の評価基準に従って官能評価した。
【0043】
<汚れ除去の評価基準>
◎:20名中16名以上が汚れ除去効果に優れると回答
○:20名中11〜15名が汚れ除去効果に優れると回答
△:20名中6〜10名が汚れ除去効果に優れると回答
×:20名中5名以下が汚れ除去効果に優れると回答
【0044】
(試験例4:くすみ改善の評価)
同パネル20名により、2週間使用後の「くすみ改善効果」について以下の評価基準に従って官能評価した。
【0045】
<くすみ改善の評価基準>
◎:20名中16名以上が肌のキメが整い、肌が明るくなったと回答
○:20名中11〜15名が肌のキメが整い、肌が明るくなったと回答
△:20名中6〜10名が肌のキメが整い、肌が明るくなったと回答
×:20名中5名以下が肌のキメが整い、肌が明るくなったと回答
【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
表3および表4に示された結果から、本発明の非水系温感皮膚用組成物は、洗顔剤として使用した場合、毛穴などに詰まった汚れの除去効果に優れるとともに、継続使用により、肌のキメを整えて明るくするといったくすみ改善効果にも優れた効果を奏していることが分かる。
【0049】
(試料の調製2)
表5および表6に記した組成に従い、実施例9〜12および比較例11〜15の非水系温感皮膚用組成物(上記した実施例1〜4および実施例1〜5の組成物から結晶セルロースを含有しない組成物)を常法に準じてそれぞれ調製し、シェービング剤の形態で下記評価に供した。結果をそれぞれ表5および表6に併記する。
【0050】
(試験例5:肌への刺激感の評価)
実施例および比較例のシェービング剤を、毎晩1回、専門パネル20名により、2週間連続して使用してもらい、シェービング中の「髭の剃り易さ」および「刺激感」について以下の評価基準に従って官能評価した。
【0051】
<髭の剃り易さの評価基準>
◎:20名中16名以上が温熱感による蒸らし効果により、髭が剃り易いと回答
○:20名中11〜15名が温熱感による蒸らし効果により、髭が剃り易いと回答
△:20名中6〜10名が温熱感による蒸らし効果により、髭が剃り易いと回答
×:20名中5名以下が温熱感による蒸らし効果により、髭が剃り易いと回答
【0052】
<刺激感の評価基準>
◎:20名中16名以上が刃滑りがよく、剃刀による刺激感はないと回答
○:20名中11〜15名が刃滑りがよく、剃刀による刺激感はないと回答
△:20名中6〜10名が刃滑りがよく、剃刀による刺激感はないと回答
×:20名中5名以下が刃滑りがよく、剃刀による刺激感はないと回答
【0053】
【表5】

【0054】
【表6】

【0055】
表5および表6に示された結果から、本発明の非水系温感皮膚用組成物は、シェービング剤として使用した場合、適度な温熱感による蒸らし効果により、髭を剃り易くするとともに、剃刀による肌への刺激感を低減するという効果を奏していることが分かる。
【0056】
以下、本発明に係る非水系温感皮膚用組成物の処方例を示す。尚、含有量は重量%である。
【0057】
(処方例1:洗浄剤)
流動パラフィン 32.8
ワセリン 2.0
キャンデリラロウ 2.0
硫酸マグネシウム 25.0
炭酸水素ナトリウム 10.0
フマル酸 8.0
カオリン 5.0
ポリオキシエチレン(20)オクチルドデシルエーテル 10.0
2−エチルヘキサン酸セチル 4.0
トコフェロール 0.2
球状ポリエチレン 1.0
合 計 100.0
【0058】
(処方例2:マッサージ化粧料)
デカメチルシクロペンタシロキサン 29.0
塩化マグネシウム 15.0
塩化カルシウム 15.0
炭酸水素ナトリウム 8.0
マレイン酸 6.0
ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 3.0
マイカ 8.0
POE(20)ポリオキシエチレンベヘニルエーテル 8.0
イソノナン酸イソトリデシル 3.0
結晶セルロース 5.0
合 計 100.0
【0059】
(処方例3:シェービング剤)
流動パラフィン 28.4
硫酸マグネシウム 25.0
炭酸水素ナトリウム 15.0
乳酸 15.0
ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 3.0
タルク 3.0
テトラオレイン酸POE(30)ソルビット 8.0
l−メントール 0.4
トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
トコフェロール 0.2
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)非極性油、(B)発熱剤、(C)炭酸塩および(D)有機酸および/又は無機酸を含有してなる非水系温感皮膚用組成物。
【請求項2】
(A)成分が、流動パラフィンおよび/又はデカメチルシクロペンタシロキサンである請求項1に記載の非水系温感皮膚用組成物。
【請求項3】
(B)成分が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウムの群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の非水系温感皮膚用組成物。
【請求項4】
(C)成分が、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムの群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3の何れかに記載の非水系温感皮膚用組成物。

【公開番号】特開2009−298718(P2009−298718A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153522(P2008−153522)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】