説明

非水系透明油性組成物

【課題】低温下(約0℃)で長時間保管されても凍結せず、透明性の維持効果に優れ、しかも皮膚に塗布した際にべたつかず、のびが良く、さっぱりとした感触を有する、非水系透明油性組成物を提供する。
【解決手段】(a)25℃における粘度が20mPa・s以下のシリコーン油を10.0〜30.0質量%、(b)有機概念図におけるIOBが0.1〜0.6のエステル油を10.0〜30.0質量%、(c)ホホバ油を10.0〜25.0質量%、および(d)ホホバ油を除く25℃で液状〜粘性液状である油脂および/または非極性油を15.0〜70.0質量%含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系透明油性組成物に関する。さらに詳しくは、ホホバ油を含むにもかかわらず低温(約0℃)で凍結せず、肌へののびおよび浸透性が良く、使用時にべたつかず、さっぱりしており、塗布後にはしっとり感を与える、安定性と使用性に優れた非水系透明油性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
オイル製剤は塗布時に肌へのなじみがよく、使用後にも保湿剤に起因するべたつきがない点から、近年開発が盛んに行われている皮膚化粧料である。なかでも外観上も美観を損なうことのない透明タイプが人気を博している。
【0003】
例えば、特許文献1には、液状動植物油、シリコーン油、算出HLB値が5〜8である非イオン性界面活性剤の1種又は2種以上を含有する液状油性ボディオイル組成物が提案されている。この液状油性ボディオイル組成物は、入浴後の濡れた肌に直接塗布し、その後に軽くすすぐ方法で使用される。当該文献によれば、保湿成分として液状動植物油、感触改善剤としてシリコーン油、すすぎ流し成分として非イオン性界面活性剤を組合せて含有させることにより、使用性に優れ、肌をつるつるとした状態にし、しっとりとした感触と高い保湿力を与え、安定性も良好であるとされている。しかしながら、すすぎ流しを必須とするものは、肌表面に残る油分が少ないため、肌の表面を油分で覆うことによって肌からの水分の蒸発を防ぐという観点からの保湿ケアとしては十分とは言えない場合がある。
【0004】
そこで、このようなすすぎ流しを必要としない非水系の保湿ケア剤として、スクワランや流動パラフィンなどの炭化水素系の油性成分を含むオイル製剤が提案されている(特許文献2〜4)。これらのオイル製剤は、肌表面を油分で覆って皮膚が持つ水分の揮散を適度に制御し、皮膚を柔軟にする効果および保湿効果を発揮するとされている。
【0005】
ところで、このようなオイル製剤には、感触がよく、植物由来で安全性にも優れていることから、ホホバ油が頻繁に用いられる(特許文献2〜4)。しかしながら、ホホバ油は10℃程度で凝固してしまうことから、ホホバ油を含有するオイル製剤は、冬場や低温地域においてしばしば凍結を生じてしまう。凍結によりオイル製剤としての品質が著しく損なわれることはないものの、使用の度に、凍結した製剤を常温(25℃程度)に戻して融解する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−37792号公報
【特許文献2】特開平10−130131号公報
【特許文献3】特開2003−96304号公報
【特許文献4】特開2009−46468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ホホバ油を含有するにもかかわらず、低温下(約0℃)で長時間保管しても凍結せず、透明性の維持効果に優れ、しかも皮膚に塗布する際にべたつかず、のびが良く、浸透性に優れ、さっぱりとした感触を有し、塗布後にしっとり感を与える、非水系透明油性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、25℃における粘度が20mPa・s以下のジメチルポリシロキサンと、有機概念図におけるIOBが0.1〜0.6のエステル油と、ホホバ油を除く25℃で液状〜粘性液状である油脂及び/又は非極性油とを特定の割合にて配合することにより、ホホバ油を含有する非水系透明油性組成物に係る前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下を要旨とするものである。
(1)(a)25℃における粘度が20mPa・s以下のシリコーン油を10.0〜30.0質量%、
(b)有機概念図におけるIOBが0.1〜0.6のエステル油を10.0〜30.0質量%、
(c)ホホバ油を10.0〜25.0質量%、および
(d)ホホバ油を除く25℃で液状〜粘性液状である油脂および/または非極性油を15.0〜70.0質量%含有する非水系透明油性組成物。
(2)(a)25℃における粘度が20mPa・s以下のシリコーン油が、粘度6mPa・s以下である(1)の非水系透明油性組成物。
(3)(a)25℃における粘度が20mPa・s以下のシリコーン油が、粘度2mPa・s以下である(1)の非水系透明油性組成物。
(4)(d)非極性油の配合量が60.0質量%以下である(1)〜(3)のいずれかの非水系透明油性組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る非水系透明油性組成物によれば、低温条件下(約0℃)で長時間保管されても凍結せず、かくして透明性の維持効果に優れ、しかも肌へののびおよび浸透性が良く、塗布する際にべたつかず、さっぱりしており、塗布後にはしっとり感を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
<成分(a):25℃における粘度が20mPa・s以下のシリコーン油>
本発明に用いられる成分(a)の25℃における粘度が20mPa・s以下のシリコーン油は、化粧料に通常使用されるシリコーン油の1種又は2種以上を任意に選択して用いることができる。このようなシリコーン油としては、限定されるものではないが、例えば、ジメチルシリコーン油であり、
・メチルポリシロキサン20mPa・s[商品名:KF−96A−20cs(信越化学工業株式会社製)、商品名:SH200 C Fluid 20cs(東レ・ダウコーニング株式会社製)、商品名:TSF451−20A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)]、
・メチルポリシロキサン10mPa・s[商品名:KF−96A−10cs(信越化学工業株式会社製)、商品名:SH200 C Fluid 10cs(東レ・ダウコーニング株式会社製)、商品名:Element 14 PDMS 10−JC(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)]、
・メチルポリシロキサン6mPa・s[商品名:KF−96A−6cs(信越化学工業株式会社製)、商品名:SH200 C Fluid 6cs(東レ・ダウコーニング株式会社製)]、
・メチルポリシロキサン5mPa・s[商品名:KF−96A−5cs(信越化学工業株式会社製)、商品名:SH200 C Fluid 5cs(東レ・ダウコーニング株式会社製)、商品名:Element 14 PDMS 5−JC((モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)]、
・メチルポリシロキサン2mPa・s[商品名:KF−96A−2cs(信越化学工業株式会社製)、商品名:SH200 C Fluid 2cs(東レ・ダウコーニング株式会社製)]、
・デカメチルテトラシロキサン[商品名:KF−96L−1.5cs(信越化学工業株式会社製)、商品名:SH200 C Fluid 1.5cs(東レ・ダウコーニング株式会社製)]、
・トリシロキサン[商品名:KF−96A−1cs(信越化学工業株式会社製)、商品名:SH200 C Fluid 1cs(東レ・ダウコーニング株式会社製)]
を挙げることができる。
【0013】
これらのシリコーン油の中でも、とりわけ肌へのなじみの観点から、粘度10mPa・s以下のシリコーン油が好ましく、さらに好ましくは粘度6mPa・s以下のものが好ましく、最も好ましくは粘度2mPa・s以下のものが好ましい。
【0014】
成分(a)のシリコーン油の含有量は、組成物全体に対して、10.0〜30.0質量%であり、好ましくは、15.0〜25.0質量%である。10.0質量%未満では、低温下(約0℃)での凍結抑制に十分な効果を発揮しにくい。一方、30.0質量%を超えて配合すると、0℃よりさらに低温でも凍結しにくくなるが、べたつき、さっぱりさ、浸透感が劣り、使用性に物足りなさを感じるようになってしまう。通常、本発明に係る組成物は住居内で使用されるものであり、住居内の室温が0℃より低温になることは考えにくいことから、0℃より低温になることまで想定してシリコーン油の配合量を多くする必要はない。しかし、使用温度が0℃より低くなる地域や環境に合わせて、上記範囲を超えて配合することを妨げるものではなく、本発明の効果を著しく損なわない範囲内であれば当該シリコーン油の配合量を適宜増やしてもよい。
【0015】
<成分(b):有機概念図におけるIOBが0.1〜0.6のエステル油>
有機概念図とは、藤田穆により提案されたものであり、その詳細は“Pharmaceutical Bulletin”,vol.2,2,pp.163−173(1954)、「化学の領域」vol.11,10,pp.719−725(1957)、「フレグランスジャーナル」,vol.50.pp.79−82(1981)等に説明されている。すなわち、すべての有機化合物の根源をメタン(CH)とし、他の化合物は、すべてメタンの誘導体とみなして、その炭素数、置換基、結合様式(単結合、二重結合、三重結合の違い)、環等にそれぞれ一定の数値を設定し、そのスコアを加算して有機性値、無機性値を求め、有機性値をX軸、無機性値をY軸にとった図上にプロットしていくものである。有機概念図については、「有機概念図−基礎と応用−」(甲田善生著、三共出版、1984)等にも示されている。
有機概念図におけるIOBとは、Inorganic/Organic Balanceの略であって、有機概念図における有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比、すなわち、「無機性値(IV)/有機性値(OV)」を指す。
【0016】
本発明に用いられる成分(b)のエステル油としては、例えば、2−エチルヘキサン酸2−エチルヘキシル(IOB=0.2)、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール(IOB=0.52)、イソデシルベンゾエート(IOB=0.23)、ジカプリル酸プロピレングリコール(IOB=0.32)、イソノナン酸イソノニル(IOB=0.2)、2−エチルヘキサン酸セチル(IOB=0.52)、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(IOB=0.36)、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット(IOB=0.35)、コハク酸ジ2−エチルヘキシル(IOB=0.32)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明においては、成分(b)として、IOBが0.1〜0.6のエステル油の一種又は二種以上を任意に選択して用いることができる。
【0017】
IOBが0.1未満のエステル油を用いると、敏感な肌に対して刺激を生じる場合があり、また使用感の面でもさっぱりせず、べたつく感触を生じる場合がある。一方、IOBが0.6を超えるエステル油は、水に溶解する性質が高まり、油分としての機能を発揮しなくなる。
【0018】
成分(b)のエステル油の含有量は、組成物全体に対して、10.0〜30.0質量%であり、好ましくは、20.0〜30.0質量%である。10.0質量%未満では、本発明の効果であるさっぱりとして、べたつきのない感触を与えることができない。一方、当該エステル油を30.0質量%を超えて配合しても効果の増強は得られず、却って皮膚への安全性を損なう場合があるため好ましくない。
【0019】
<成分(c):ホホバ油>
本発明に用いられる成分(c)のホホバ油は、化粧料に通常使用されるものが用いられる。
具体的な商品としては、AEC Jojoba Oil Pure(A&E Connock(Perfumery&Cosmetics)Ltd.社製)、AEC Jojoba Oil Refined(A&E Connock(Perfumery&Cosmetic)Ltd.社製)、Australian Jojoba Oil−Cosmetic Grade(Southern Cross Botanicals P/L社製)、Certified Organic Jojoba Oil(Formula One Sciences,Inc.社製)、Certified Organic Jojoba Oil Light(Formula One Sciences,Inc.社製)、Floraesters Jojoba Oil(Floratech Americas社製)、Refined Jojoba Oil(Alban Muller Industrie社製)、Jeen Jojoba Oil(Jeen International Corporation社製)、Jojoba Oil(Purcell Jojoba International社製)、Jojoba Oil(Aldivia S.A.S社製)、Jojoba Oil(Active Concepts LLC社製)、Jojoba Oil(Floratech Americas社製)、Jojoba Oil(Jan Dekker International社製)、Jojoba Oil(International Cosmetic Science Centre社製)、Jojoba Oil Colorless(Desert Whale Jojoba Co.,Inc.社製)、Jojoba Oil Colorless Organic(Desert Whale Jojoba Co.,Inc.社製)、Jojobaoil “COS”(Cosmetochem International AG社製)、Jojoba Oil Deodrant(Koei Kogyo Co.,Inc.社製)、Jojoba Oil Golden(Desert Whale Jojoba Co.Inc.社製)、Jojoba Oil Golden Organic(Desert Whale Jojoba Co.Inc.社製)、Jojoba Oli−Refined(Floratech America社製)、Lipovol J(Lipo Chemicals.Inc.社製)、Lipovol J Clear(Lipo Chemicals.,Inc.社製)、Nikkol Jojoba Oil E(Nikko Chemicals Co.,Inc.社製)、Nikkol Jojoba Oil S(Nikko Chemicals Co.,Inc.社製)、Organic Refined Jojoba Oil(Koei Kogyo Co.,Ltd.社製)、OriStar Jojoba Oil(Orient Stars LLC社製)、Phytol Jojo(Custom Ingredients,Inc.社製)、PNJ Certified Organic Golden Jojoba(Purcell Jojoba International社製)、PNJ Deodrized Clear Jojoba(Purcell Jojoba International社製)、PNJ Deodrized Jojoba(Purcell Jojoba International社製)、PNJ Golden Jojoba(Purcell Jojoba International社製)、PNJ Organoic Clear Jojoba(Purcell Jojoba International社製)、PNJ Winterized Golden Jojoba(Purcell Jojoba International社製)、Refined Jojoba Oil(Frank B.Ross Company.Inc.社製)、Simchin Natural(Rita Corpoation社製)、Simmondsia Chinensis Seed Oil ies(IES Labo社製)、Zanaride JO−100R(PK International社製)等が挙げられる。
【0020】
本発明における成分(c)のホホバ油の配合量は、組成物全体に対して、10.0〜25.0質量%が好ましく、さらに好ましくは、10.0〜20.0質量%である。10.0質量%以下では、本発明の効果である塗布後の良好なしっとりさを得ることができない。一方で、25.0質量%を超えて配合すると、0℃での凍結安定性が損なわれる場合がある。
【0021】
<成分(d):ホホバ油を除く25℃で液状〜粘性液状である油脂および/または非極性油>
本発明に用いられる成分(d)の常温25℃で液状〜粘性液状である油脂としては、具体的には、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、月見草油、エノ油、大豆油、落下生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、胚芽油、トリグリセリン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリン等の液体油脂が挙げられる。
【0022】
また、本発明に用いられる成分(d)の非極性油としては、流動パラフィン、イソパラフィン、イソヘキサデカン、イソドデカン、スクワラン、スクワレン、水添ポリイソブテン等が挙げられる。
【0023】
成分(d)としては、25℃で液状〜粘性液状である油脂および非極性油から、一種又は二種以上を任意に選択して用いることができる。成分(d)の配合量は、組成物全体に対して、15.0〜70.0質量%が好ましい。成分(d)の配合量をこの範囲内とすることにより、優れた安定性と使用感を与えることができる。
ただし、スクワランや流動パラフィン等の非極性油分を大量に配合すると使用感が重たく、肌なじみが悪くなる傾向があるため、成分(d)として非極性油を配合する場合には、その配合量を組成物全体に対して60.0質量%以下、より好ましくは50.0質量%以下にとどめることが好ましい。
【0024】
本発明にかかる非水系透明油性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、化粧料や医薬品の分野で通常配合されている各種成分、例えば、粉末成分、固体油脂、保湿剤、増粘剤、金属イオン封鎖剤、色素、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、防腐剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0025】
本発明にかかる油中水型皮膚外用剤の使用用途は、特に限定されるものではないが、特に、顔または身体用の美容オイル、マッサージオイル等、種々の製品に応用することが可能である。
【実施例】
【0026】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。
【0027】
(代表例)
実施例に先立ち、先ず本発明にかかる非水系透明油性組成物の代表例と、本実施例で用いた評価方法を説明する。
【0028】
【表1】

【0029】
表1の処方に基づき、各成分を室温にて均一に混合溶解して、非水系透明油性組成物を得た。
【0030】
(評価方法)
得られた非水系透明油性組成物(試料)について、後述の各方法により、凍結安定性および使用性(のび、べたつき、さっぱりさ、浸透感、塗布後のしっとりさ)を評価した。
【0031】
[凍結安定性試験]
試料を0℃の恒温槽中に入れ、4週間経過後、0℃での状態の外観を目視にて観察し、下記評価基準により判定した。
(評価基準)
○ :全く凍結が見られず、透明であった。
△ :若干の凍結(濁り)が見られた。
× :凍結が見られた。
【0032】
[使用性試験]
女性専門パネル(10名)による実使用試験を行い、使用性について、それぞれ下記の評価基準により評価した。
(のび:評価基準)
◎ :10名全員が、のびが軽く、なめらかな使用性を有すると判定。
○ :7〜9名が、のびが軽く、なめらかな使用性を有すると判定。
△ :3〜6名が、のびが軽く、なめらかな使用性を有すると判定。
× :0〜2名が、のびが軽く、なめらかな使用性を有すると判定。
【0033】
(べたつきのなさ:評価基準)
◎ :10名全員が、べたつきがない使用性を有すると判定。
○ :7〜9名が、べたつきがない使用性を有すると判定。
△ :3〜6名が、べたつきがない使用性を有すると判定。
× :0〜2名が、べたつきがない使用性を有すると判定。
【0034】
(さっぱりさ:評価基準)
◎ :10名全員が、さっぱりした使用性を有すると判定。
○ :7〜9名が、さっぱりした使用性を有すると判定。
△ :3〜6名が、さっぱりした使用性を有すると判定。
× :0〜2名が、さっぱりした使用性を有すると判定。
【0035】
(浸透感:評価基準)
◎ :10名全員が、浸透感がある使用性を有すると判定。
○ :7〜9名が、浸透感がある使用性を有すると判定。
△ :3〜6名が、浸透感がある使用性を有すると判定。
× :0〜2名が、浸透感がある使用性を有すると判定。
【0036】
(塗布後のしっとりさ:評価基準)
◎ :10名全員が、しっとり感がある使用性を有すると判定。
○ :7〜9名が、しっとり感がある使用性を有すると判定。
△ :3〜6名が、しっとり感がある使用性を有すると判定。
× :0〜2名が、しっとり感がある使用性を有すると判定。
【0037】
(実施例)
表2〜表5の処方に基づき、各成分を室温にて均一に混合溶解して、得られた美容オイル(試料)について、前記評価基準に基づき、凍結安定性および使用性(のび、べたつき、さっぱりさ、浸透感、塗布後のしっとりさ)を評価した。
【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
【表4】

【0041】
【表5】

【0042】
表2〜4の結果から、本発明に係る実施例1〜27の美容オイルは、使用性(肌へののび、べたつき、さっぱりさ、浸透感、塗布後のしっとりさ)に優れ、なおかつ低温0℃での凍結もなく、凍結安定性に優れたものであることがわかる。
一方、表5の結果から、成分(a)の25℃における粘度が20mPa・s以下のシリコーン油の配合量が10.0質量%に満たない場合、低温(0℃)で保管した際に凍結が認められ(比較例1、4、7および8)、30質量%を超えて配合した場合、凍結安定性は問題ないものの、べたつき、さっぱりさ、浸透感において劣るものとなった(比較例2および5)。また、成分(b)の有機概念図におけるIOBが0.1〜0.6のエステル油を10.0〜30.0質量%の範囲で含まないものはべたつき等の使用性に劣り(比較例2、4、5、7および9)、成分(c)のホホバ油を10.0〜25.0質量%の範囲で含まないものは塗布後のしっとりさにおいて満足な結果を得ることができなかった(比較例3、6、8および9)。
【0043】
(処方例)
以下に、本発明の皮膚外用剤の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。尚、配合量は全て製品全量に対する質量%で表す。
【0044】
処方例1.フェイシャル美容オイル
(成分名) 配合量(%)
(1)成分(a)ジメチコン 10.0
商品名:KF−96L−1.5cs、信越化学工業株式会社製
(2)成分(a)メチルポリシロキサン 5.0
商品名:KF−96A−5cs、信越化学工業株式会社製
(3)成分(a)メチルポリシロキサン 5.0
商品名:KF−96A−20cs、信越化学工業株式会社製
(4)成分(b)ネオペンタン酸イソステアリル(IOB=0.14) 5.0
(5)成分(b)ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(IOB=0.32) 10.0
(6)成分(b)リンゴ酸イソステアリル(IOB=0.28) 10.0
(7)成分(b)アジピン酸イソブチル(IOB=0.46) 5.0
(8)成分(c)ホホバ油 20.0
商品名:Refined Jojoba Oil、香栄興業株式会社製
(9)成分(d)水添ポリイソブテン 29.9
(10)香料 0.1
【0045】
[製法]
(1)〜(10)を室温にて混合溶解して、目的のフェイシャル美容オイルを得た。得られたフェイシャル美容オイルにて、実施例と同様の評価を行ったところ、低温下0℃でも凍結せず、安定性に優れ(安定性評価:○)、かつ使用性に優れている(使用性評価:肌へののび、べたつきのなさ、さっぱりさ、浸透感、塗布後のしっとりさの全てにおいて○または◎)ものであった。すなわち、使用時には、のびが軽く、べたつかず、さっぱりしているが、塗布後にはしっとりした感触を有しているものであった。
【0046】
処方例2.フェイシャルマッサージオイル
(成分名) 配合量(%)
(1)成分(a)トリシロキサン 5.0
商品名:KF−96A−1cs、信越化学工業株式会社製
(2)成分(a)ジメチコン 10.0
商品名:KF−96A−20cs、信越化学工業株式会社製
(3)成分(b)2−エチルヘキサン酸2−エチルヘキシル(IOB=0.2) 10.0
(4)成分(c)ホホバ油 25.0
商品名:Refined Jojoba Oil、香栄興業株式会社製
(5)成分(d)α−オレフィンオリゴマー 25.0
(6)成分(d)イソヘキサデカン 24.9
(7)香料 0.1
【0047】
[製法]
(1)〜(7)を室温にて混合溶解して、目的のフェイシャル美容オイルを得た。得られたフェイシャル美容オイルにて、実施例と同様の評価を行ったところ、低温下0℃でも凍結せず、安定性に優れ(安定性評価:○)、かつ使用性に優れている(使用性評価:肌へののび、べたつきのなさ、さっぱりさ、浸透感、塗布後のしっとりさの全てにおいて○または◎)ものであった。すなわち、使用時には、のびが軽く、べたつかず、さっぱりしているが、塗布後にはしっとりした感触を有しているものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)25℃における粘度が20mPa・s以下のシリコーン油を10.0〜30.0質量%、
(b)有機概念図におけるIOBが0.1〜0.6のエステル油を10.0〜30.0質量%、
(c)ホホバ油を10.0〜25.0質量%、および
(d)ホホバ油を除く25℃で液状〜粘性液状である油脂および/または非極性油を15.0〜70.0質量%含有する非水系透明油性組成物。
【請求項2】
(a)25℃における粘度が20mPa・s以下のシリコーン油が、粘度6mPa・s以下である請求項1記載の非水系透明油性組成物。
【請求項3】
(a)25℃における粘度が20mPa・s以下のシリコーン油が、粘度2mPa・s以下である請求項1記載の非水系透明油性組成物。
【請求項4】
(d)非極性油の配合量が60.0質量%以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の非水系透明油性組成物。

【公開番号】特開2012−171880(P2012−171880A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32912(P2011−32912)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】