説明

非水電解質二次電池

【課題】優れた充放電サイクル特性を備えたリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】アルカリ金属イオンを挿入・脱離可能な正極活物質を備えた正極、アルカリ金属イオンを挿入・脱離可能な負極活物質を備えた負極及び非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、前記正極活物質は、アルカリ金属遷移金属複合酸化物を含み、前記非水電解質は、下記一般式(1)


(式中、A及びBは水素原子またはフッ素原子を表し、AとBは互いに異なる。n及びmは1〜4の整数を表す。)で表される含フッ素リン酸エステルが非水電解質の溶媒に対して20体積%以上含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、ノートパソコン等の携帯機器用、電気自動車用などの電源としてエネルギー密度が高く、かつ自己放電が少なくてサイクル性能の良いリチウム二次電池に代表される非水電解質二次電池が注目されている。
【0003】
現在のリチウム二次電池の主流は、2Ah以下の携帯電話用を中心とした小型民生用である。しかしながら、今後の中型・大型、特に大きな需要が見込まれる自動車用途へのリチウム二次電池の展開を考えた場合、安全性が非常に重要視されるため、現在の小型電池向けの仕様では必ずしも充分であるとはいえず、高安全でエネルギー密度の高い電池が求められている。
【0004】
そこで、リチウム二次電池の安全性を高めるために、非水電解質に難燃性あるいは不燃性の添加剤を含有させる試みが行われている。
【0005】
特許文献1には、「リン酸エステル化合物を含有することを特徴とする非水電解液」(請求項1)の発明が、特許文献2には、「含フッ素リン酸エステルを0.5〜30体積%含む有機溶媒と電解質塩を含む非水系電解液」(請求項1)の発明がそれぞれ開示されている。特許文献1によれば、「リチウム金属との反応性が低く自己消火作用を示し、実用レベルの伝導度を持つ非水電解液を提供することができる。」(段落0039)との記載があり、特許文献2によれば、「リチウム二次電池用の電解液として有用な不燃性かつ難燃性で、しかも電解質塩の溶解性が高く、放電容量が大きく、充放電サイクル特性に優れた非水系電解液を提供することができる。」(段落0011)と記載されている。また、「本発明の電解液は、不燃性であることから、ハイブリッド自動車用や分散電源用の大型リチウム二次電池用の電解液として有用であるが、そのほかアルミニウム電解コンデンサ用電解液、電気二重層キャパシタ用電解液などの非水系電解液としても有用である。」(段落0030)としている。特許文献1の実施例には、上記のリン酸エステル化合物の例としてリン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)が例示されており、特許文献2の実施例には、上記の含フッ素リン酸エステルとしてリン酸トリス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)、リン酸トリス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)が例示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平8-88023号公報
【特許文献2】特開2008−21560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1及び特許文献2の技術では、非水電解質の難燃性の向上によるリチウム二次電池の安全性改善効果は期待できるものの、難燃性化合物を含有することによる電池性能の低下、特に、電池のサイクル特性が低下するという課題を有する。また、特許文献1及び2には、本発明の一般式(1)で表される含フッ素リン酸エステルにおいて、AとBがいずれも水素あるいはフッ素原子であるものについては具体例が記載されているものの、本発明のようにAとBが異なる場合は例示されていない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、特定の含フッ素リン酸エステルを非水電解質に含有させることにより、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の構成及び作用効果は以下の通りである。但し、本明細書中に記載する作用機構には推定が含まれており、その正否は本発明を何ら制限するものではない。
【0010】
アルカリ金属イオンを挿入・脱離可能な正極活物質を備えた正極、アルカリ金属イオンを挿入・脱離可能な負極活物質を備えた負極及び非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、前記正極活物質は、アルカリ金属遷移金属複合酸化物を含み、前記非水電解質は、下記一般式(1)
【化1】

(式中、A及びBは水素原子またはフッ素原子を表し、AとBは互いに異なる。n及びmは1〜4の整数を表す。)
で表される含フッ素リン酸エステルが非水電解質の溶媒に対して20体積%以上含まれていることを特徴とする非水電解質二次電池である

ここで、アルカリ金属遷移金属複合酸化物とは、アニオン部位が酸素原子のみから構成されるものを表し、LiFePO等のアニオンが複数の元素から成るポリアニオン化合物は、含まないものとする。
【0011】
本発明の非水電解質二次電池において、非水電解質の溶媒に含まれる一般式(1)の含フッ素リン酸エステルの含有量が、30体積%以下であることが好ましい。ここで、非水電解質に含まれる一般式(1)の含フッ素リン酸エステルの含有量とは、非水電解質の全溶媒に対して30体積%以下であることを意味する。
【0012】
さらには、一般式(1)の含フッ素リン酸エステルは、リン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2,2,3,3−テトラフルオロプロピルであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
特許文献1、特許文献2及び後述の実施例にあるように、含フッ素リン酸エステルにはその側鎖の構造により、数多くの種類が存在する。これらの含フッ素リン酸エステルの性質は、医薬品などの化合物と同様に、側鎖の長さ、フッ素やその他置換基とその置換位置、構造対称性の僅かな差異により大きく影響を受ける。従って、含フッ素リン酸エステルを非水電解質に含有させた場合の非水電解質二次電池に現れる効果は、用いた含フッ素リン酸エステル毎に様々であり、これを推測することは容易ではない。
【0015】
本発明者は、検討を重ねた結果、ある特定の構造をもつ含フッ素リン酸エステルを非水電解質の溶媒中に特定量含み、しかもこの非水電解質を特定の正極活物質を有する非水電解質二次電池に適用した場合に非水電解質二次電池の充放電サイクル特性が改善されるという驚くべき効果を見いだし、本発明に至ったものである。
【0016】
本発明に使用する一般式(1)の含フッ素リン酸エステルは、一般的な非水電解質二次電池用の溶媒と比較して、耐酸化性に優れることが本発明者の調査により判明している。この性質により、一般式(1)の含フッ素リン酸エステルを含む非水電解質では、正極反応場における溶媒の酸化分解が抑制されるために、充放電サイクル特性が改善するものと考えられる。ところが、後述の実施例に示すように、一般式(1)の条件を満たさない含フッ素リン酸エステルを含む非水電解質を、アルカリ金属遷移金属複合酸化物を正極活物質とする非水電解質二次電池に適用した場合においては、本発明の効果が奏される事は無かった。また、一般式(1)の含フッ素リン酸エステルを含む非水電解質を、リン酸鉄リチウム(LiFePO)を正極活物質として用いた非水電解質二次電池に適用した場合は、逆に充放電サイクル特性を低下させてしまうという事実が明らかとなっている。このことから、一般式(1)の含フッ素リン酸エステルは、正極活物質としてアルカリ金属遷移金属複合酸化物を有する非水電解質二次電池に適用した場合に、特異的に効果を奏するということが判る。
【0017】
一般式(1)の含フッ素リン酸エステルは、その末端基がCF2HとCF3の2種の異なる側鎖アルキル基を有する非対称構造であり、このような構造とすることにより、それぞれの末端基がもたらす、高い耐酸化性と低粘度という特性を合わせ持つものと考えられる。また、末端基としてCF2Hを含むことにより、負極反応場における含フッ素リン酸エステル自身の還元分解、あるいは、負極の被膜形成に含フッ素リン酸エステルが関与することで、非水電解質二次電池のサイクル特性を改善するような良質な被膜が形成していることも考えられる。さらに、前記側鎖アルキル基の長さを炭素数5以内とすることにより、含フッ素リン酸エステルを含有させることによる非水電解質の不要な粘度上昇が抑制されている。
【0018】
一般式(1)の含フッ素リン酸エステルとしては、例えばリン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2,2−ジフルオロエチル、リン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、リン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル、リン酸ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)2,2−ジフルオロエチル、リン酸ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル)2,2−ジフルオロエチル、リン酸ビス(2,2−ジフルオロエチル)2,2,2−トリフルオロエチル、リン酸ビス(2,2−ジフルオロエチル)2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、リン酸ビス(2,2−ジフルオロエチル)2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、リン酸ビス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)2,2,2−トリフルオロエチル、リン酸ビス(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)2,2,2−トリフルオロエチル等を挙げることができる。これらの中で特にリン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2,2,3,3−テトラフルオロプロピルが充放電サイクル特性の点で望ましい。これら一般式(1)の含フッ素リン酸エステルの含有量が少なすぎる、即ち、非水電解質の全溶媒に対する含有量が10体積%以下の場合には、本発明の効果が得られないので、含フッ素リン酸エステルの含有量は10体積%を超えることが必要である。好ましくは15体積%以上であり、特に好ましくは20体積%以上である。また、これら一般式(1)の含フッ素リン酸エステルの含有量が多すぎないものとすることにより、非水電解質の粘度の上昇による電池特性、特に出力特性が低下する虞を低減できることから、非水電解質の全溶媒に対する一般式(1)の含フッ素リン酸エステルの含有量は50体積%以下が好ましい。より好ましくは40体積%以下であり、特に好ましくは、30体積%以下である。
【0019】
本発明の一般式(1)の含フッ素リン酸エステルは、例えば、J. Fluor. Chem., 113,65(2002)又はJ. Fluor. Chem., 106, 153(2000)に記載の方法に従い、スキーム1により合成することができる。
【化2】

【0020】
本発明に係る非水電解質二次電池に用いる、アルカリ金属イオンを挿入・脱離可能な正極活物質は、アルカリ金属遷移金属複合酸化物である。即ち、一般式AMO(Aはアルカリ金属、Mは遷移金属から選ばれる少なくとも一つ以上の元素、t>0)で表されるものである。具体的には、LiMeO(MeはNi,Co,Mn等の第一遷移系列元素から選ばれる少なくとも一つ以上の元素)、LiMn、LiNi1/2Mn3/2、LiM1[M2NiMnCo]O(0<a≦1、0≦b<1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z≦1、c+x+y+z=1、M1はアルカリ金属から選ばれる少なくとも一つ以上の元素、M2は周期表の1族、2族、13族の中から選ばれる少なくとも一つ以上の元素)、LiV、MnO、V等が挙げられる。その中でも充放電容量、高率充放電特性、安全性等のバランスが良く、充放電サイクルが優れている点で、LiNi1/3Mn1/3Co1/3の組成を有するリチウム含有遷移金属酸化物が特に好ましい。
【0021】
本発明電池の負極は、何ら限定されるものではなく、リチウム金属、リチウム合金(リチウム―アルミニウム、リチウム―鉛、リチウム―錫、リチウム―アルミニウム―錫、リチウム―ガリウム、およびウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(LiTi12等)、ポリリン酸化合物等が挙げられる。これらを、二次電池に用いる電解質の種類に応じて使用することができる。これらの中でもグラファイトは、金属リチウムに極めて近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電を実現できるため本発明の負極活物質として好ましい。例えば、人造黒鉛、天然黒鉛が好ましい。特に,負極活物質粒子表面を不定形炭素等で修飾してあるグラファイトは、充電中のガス発生が少ないことから望ましい。
【0022】
本発明において、正極活物質及び負極活物質の粉体は、平均粒子サイズ100μm以下の粉体であることが好ましい。特に、0.1〜50μmがより好ましい。また、粉体粒子の流動法窒素ガス吸着法によるBET比表面積は、0.1〜100m/gが好ましい。より好ましくは1〜30m/gである。粉体を所定の形状で得るため、粉砕機や分級機を用いることができる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等を用いることができる。粉砕時には水、あるいはアルコール、ヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いても良い。分級方法としては、特に限定はなく、必要に応じて篩や風力分級機などを乾式、或いは湿式にて用いることができる。
【0023】
本発明の非水電解質二次電池用正極及び負極には、前記活物質の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
【0024】
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。
【0025】
これらの中で、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが望ましい。導電剤の添加量は、正極または負極の総質量に対して0.1質量%〜50質量%が好ましく、特に0.5質量%〜30質量%が好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要炭素量を削減できるため望ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
【0026】
前記結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種または2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。
【0027】
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば特に限定されない。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極または負極の総重量に対して添加量は30重量%以下が好ましい。
【0028】
正極及び負極は、前記主要構成成分(正極においては正極活物質、負極においては負極材料)、およびその他の材料を所定の割合で含有し、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン等を溶媒とする合剤ペーストを調製した後、得られた合剤ペーストを下記に詳述する集電体の上に塗布し、50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度加熱して溶媒を除去すること等により好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコーター等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本発明の非水電解質二次電池用正極及び負極を非水電解質中で用いる場合には、各電極中に含まれる水分量は少ない方が好ましく、具体的には1000ppm未満であることが好ましい。水分量を減少させる手段としては、高温・減圧環境において電極を乾燥する方法や、電極に含まれる水分を電気化学的に分解する方法が適している。
【0030】
また、電極合材層の厚さは電池のエネルギー密度との兼ね合いから、合材層の厚みは10μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0031】
本発明における、一般式(1)の含フッ素リン酸エステルを含有させる主溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネ−ト等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエ−テル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等からなる非水溶媒や水を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
電解質塩としては、例えば、LiBF、LiPF、LiClO、LiN(CSO、LiN(CFSO等のイオン性化合物が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する二次電池を確実に得るために、0.5mol/l以上5mol/l以下が好ましく、さらに好ましくは、1mol/l以上2.5mol/l以下である。
【0033】
セパレーターとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレーターを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
【0034】
セパレーターの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
【0035】
また、セパレーターは、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。非水電解質を上記のようにゲル状態で用いると、漏液を防止する効果がある点で好ましい。
【0036】
さらに、セパレーターは、上述したような多孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して用いると、電解質の保液性が向上するため望ましい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面及び微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマーを被覆したフィルムを形成し、前記フィルムの微孔内に電解質を保持させることで、前記親溶媒性ポリマーがゲル化する。
【0037】
前記親溶媒性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンの他、エチレンオキシド基やエステル基等を有するアクリレートモノマー、エポキシモノマー、イソシアナート基を有するモノマー等が架橋したポリマー等が挙げられる。該モノマーは、ラジカル開始剤を併用して加熱や紫外線(UV)を用いたり、電子線(EB)等の活性光線等を用いて架橋反応を行わせることが可能である。
【0038】
非水電解質二次電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極及びロール状のセパレーターを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が一例として挙げられる。
【0039】
更に、非水電解質二次電池を構成する上記各部材には、リチウム二次電池の性能の向上を目的として意図的に不純物や異種元素を共存させてもよく、本発明の効果が奏される場合においては、そのようなものも本発明の範囲として含まれるものである。
【実施例】
【0040】
以下に、実施例を例示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。実施例及び比較例に用いた正極活物質、負極活物質等の非水電解質二次電池の構成部材は、特に記載の無い限りは、周知の方法により合成または作製したものである。
【0041】
(実施例1)
(リン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(E2PP)の合成)
三塩化リン340gとジクロロメタン650gとの混合溶液、t−ブチルアルコール184gとジクロロメタン325gとの混合溶液及び2,2,2−トリフルオロエタノール496gとジクロロメタン325gとの混合溶液を、ガラス製の反応容器中0℃で混合し、その後攪拌を続け、60℃で3時間反応させた。次いで、塩素ガス193gを6時間かけて吹き込んだ。次に、溶媒を減圧留去後、濃縮液に塩化マグネシウム9.4g、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール409gを加え、130℃で4時間反応させた。冷却後、反応液に水500g及び炭酸水素ナトリウム16gを加えて攪拌後、水層を除去した。有機層を蒸留精製し、リン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)626gを得た。
得られたE2PPについて、NMR測定及びGC−MS測定を行った。その結果を次に示す。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ 5.92(tt,1H),4.39〜4.51(m,6H)、19F−NMR(376MHz、CDCl)δ −76.01(t,6F),−125.15(t,2F),−137.97(d,2F)、EI−MS m/z 357[M−F]+,356[M−HF]+,275,245,225,165,163,143,115,95,83,69,64,51,33。
【0042】
(正極の作製)
正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3を使用した。前記正極活物質と、導電剤であるカーボン材料(アセチレンブラック)と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、正極活物質:カーボン材料:PVdF=90:5:5の質量比で含有し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒とする正極ペーストを調製した。該正極ペーストを、厚み20μmのアルミ箔の両面に塗布し、130℃で乾燥させてNMPを除去した。正極の塗布質量は12mg/cmとした。該正極を110℃に加熱したローラープレス機により加圧成型して正極活物質層を成型した後、130℃で14時間減圧乾燥して、極板中の水分を除去した。ローラープレス後のアルミニウム箔と正極活物質層の厚みの合計は108μmであった。このときの極板の空孔率は35%であった。
【0043】
(負極の作製)
負極活物質であるグラファイトと、結着剤であるPVdFとを、グラファイト:PVdF=94:6の質量比で含有し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒とする負極ペーストを調整した。該負極ペーストを、厚み10μmの銅箔の両面に塗布し、130℃で乾燥させてNMPを除去した。負極の塗布質量は、6.4mg/cmである。該負極を110℃に加熱したローラープレス機により加圧成型して負極活物質層を成型した後、130℃で14時間減圧乾燥して、極板中の水分を除去した。ローラープレス後の銅箔と負極活物質層の厚みの合計は100μmであった。このときの極板の空孔率は35%であった。
【0044】
(非水電解質の溶媒の調製・・・E2PP20vol%)
エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比6:7:7の割合となるように混合した混合溶媒に、E2PPを溶媒全体に対して20vol.%の濃度となるように溶解させた。このときの溶媒組成の体積比は、エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート:E2PP=6:7:7:5であった。
【0045】
(非水電解質の調製)
次に、上記混合溶媒に電解質塩であるLiPFを1.0mol/lの濃度で溶解させた。さらに、添加剤としてビニレンカーボネートを2質量%の濃度になるように溶解させることで非水電解質を作製した。該非水電解質中の水分量は50ppm未満とした。
【0046】
(リチウム二次電池の作製)
セパレーターとして、厚み27μm、透気度95秒及び空孔率50%のポリエチレン製微多孔膜を用い、セパレーターが上記の正極および負極の間に位置するようにして上記の正極、負極及びセパレーターを巻回したのち、アルミニウム製の角形電槽缶(高さ49.3mm、幅33.7mm、厚み5.17mm)に収納した。この容器内部に上記非水電解質を2.8ml注入したのちに封口して、定格容量0.6Ahのリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を本発明電池A1とする。
【0047】
(実施例2)
非水電解質の溶媒の調製工程において、非水電解質の溶媒に含有させるE2PPの量を、溶媒全体の30体積%となるようにした非水電解質を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を本発明電池A2とする。ちなみに、このときの溶媒組成の体積比は、エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート:E2PP=4.2:4.9:4.9:6.0である。
【0048】
(比較例1)
非水電解質の溶媒にE2PPを含まない非水電解質を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を比較電池B1とする。ちなみに、このときの溶媒組成の体積比は、エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート:E2PP=6:7:7:0である。
【0049】
(比較例2)
非水電解質の溶媒に含有させるE2PPの量を、溶媒全体の10vol%とした非水電解質を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を比較電池B2とする。ちなみに、このときの溶媒組成の体積比は、エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート:E2PP=5.4:6.3:6.3:2.0である。
【0050】
(比較例3)
非水電解質の溶媒に含有させるフッ素化リン酸エステルをリン酸トリス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)(TFPP)とした非水電解質を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を比較電池B3とする。
【0051】
(比較例4)
非水電解質の溶媒に含有させるフッ素化リン酸エステルをリン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)(TFEP)とした非水電解質を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を比較電池B4とする。
【0052】
(比較例5)
非水電解質の溶媒に含有させるフッ素化リン酸エステルをリン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ジメチルアミド(E2AP)とした非水電解質を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を比較電池B5とする。
【0053】
(比較例6)
(正極の作製)
正極活物質としてカーボンコートを施したリン酸鉄リチウム(LiFePO)を使用した。前記正極活物質と、導電剤であるカーボン材料(アセチレンブラック)と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、正極活物質:カーボン材料:PVdF=90:5:5の質量比で含有し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒とする正極ペーストを調整した。該正極ペーストを、厚み20μmのアルミ箔の両面に塗布し、130℃で乾燥させてNMPを除去した。正極の塗布質量は13mg/cmとした。該正極を110℃に加熱したローラープレス機により加圧成型して正極活物質層を成型した後、130℃で14時間減圧乾燥して、極板中の水分を除去した。ローラープレス後のアルミニウム箔と正極活物質層の厚みの合計は152μmであった。このときの極板の空孔率は40%であった。
【0054】
(負極の作製)
実施例1と同様にして負極を作製した。
【0055】
(非水電解質の溶媒の調製・・・E2PP30vol%)
実施例2と同様にして非水電解質の溶媒を調製した。
【0056】
(非水電解質の調製・・・E2PP30vol%)
実施例1と同様にして非水電解質を調製した。
【0057】
(リチウム二次電池の作製)
上記の正極、負極及び非水電解質を用い、実施例1と同様にして、定格容量0.5Ahのリチウム二次電池を作製した。但し、容器内部に注入する非水電解質は3.0mlとした。このリチウム二次電池を比較電池B6とする。
【0058】
(比較例7)
非水電解質の溶媒にE2PPを含まない非水電解質を用いた点以外は、比較例7と同様にしてリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を比較電池B7とする。ちなみに、このときの溶媒組成の体積比は、エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:エチルメチルカーボネート:E2PP=6:7:7:0である。
【0059】
(比較例8)
非水電解質の溶媒に含有させるフッ素化リン酸エステルをリン酸トリス(2,2,3,3−テトラフルオロプロピル)(TFPP)とした非水電解質を用いた点以外は、比較例7と同様にしてリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を比較電池B8とする。
【0060】
(比較例9)
非水電解質の溶媒に含有させるフッ素化リン酸エステルをリン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)(TFEP)とした非水電解質を用いた点以外は、比較例7と同様にしてリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を比較電池B9とする。
【0061】
(初期活性化工程)
上記のようにして作製した本発明電池A1、A2、及び比較電池B1〜B9を温度20℃において、1サイクルの充放電を行う充放電工程に供した。本発明電池A1、A2及び比較電池B1〜B5については、充電条件を、電流0.2CmA(約5時間率)、電圧4.2V、8時間の定電流定電圧充電とし、放電条件は、電流0.2CmA(約5時間率)、終止電圧2.5Vの定電流放電とした。比較電池B6〜B9については、充電条件を、電流0.2CmA(約5時間率)、電圧3.6V、8時間の定電流定電圧充電とし、放電条件は、電流0.2CmA(約5時間率)、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。
【0062】
(充放電サイクル試験)
初期活性化工程に供した本発明電池A1、A2、及び比較電池B1〜B9を500サイクルの充放電を行う充放電サイクル試験に供した。本発明電池A1、A2及び比較電池B1〜B5については、温度60℃において、充電条件を、電流2CmA(約0.5時間率)、電圧4.2V、2時間の定電流定電圧充電とし、放電条件は、電流2CmA(約0.5時間率)、終止電圧2.5Vの定電流放電とした。比較電池B6〜B9については、温度45℃において、充電条件を、電流2CmA(約0.5時間率)、電圧3.6V、2時間の定電流定電圧充電とし、放電条件は、電流2CmA(約0.5時間率)、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。
そして、各電池について、1サイクル目の放電容量に対する500サイクル目の放電容量の割合を「容量維持率(%)」として算出した。このようにして得られた各電池の「容量維持率(%)」を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
(E2PPの含有量と充放電サイクル特性)
表1からわかるように、正極活物質としてアルカリ金属遷移金属複合酸化物を用いた本発明電池A1及びA2と比較電池B1及びB2とを比較すると、式(1)を満たす含フッ素リン酸エステルとしてE2PPを用いた本発明電池A1、A2は、式(1)を満たす含フッ素リン酸エステルを含有していない比較電池B1や式(1)を満たす含フッ素リン酸エステルを10体積%含有する比較電池B2よりも容量維持率が優れていることがわかる。つまり、式(1)を満たす含フッ素リン酸エステルとしてE2PPを非水電解質に10体積%を超えて含有させることにより、リチウム二次電池の充放電サイクル特性が改善していると云える。
【0065】
(含フッ素リン酸エステルの種類と充放電サイクル特性)
表1において、正極活物質としてアルカリ金属遷移金属複合酸化物を用いた本発明電池A1と比較電池B3〜B5とを比較すると、本発明電池A1の容量維持率が最も高いことがわかる。また、含フッ素リン酸エステル含有していない比較電池B1を比較対照として加えると、含フッ素リン酸エステル含有していない比較電池B1の容量維持率を上回る電池は式(1)を満たす含フッ素リン酸エステルとしてE2PPを用いた本発明電池A1のみであり、式(1)を満たさない含フッ素リン酸エステルを用いた他の比較電池B3〜B5はいずれも含フッ素リン酸エステル含有していない比較電池B1の容量維持率を下回る結果となった。この結果は、正極活物質としてアルカリ金属遷移金属複合酸化物を用いた電池においては、今回の試験で使用した種々の含フッ素リン酸エステルのうち、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を向上させる効果を有するものは式(1)を満たす含フッ素リン酸エステルであるE2PPのみであり、式(1)を満たさない含フッ素リン酸エステルは、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を低下させることを示している。このことから、一般式(1)の含フッ素リン酸エステルを非水電解質に含有させることにより、リチウム二次電池の充放電サイクル特性が優れるという本発明の効果は、類似構造の含フッ素リン酸エステルの中でも特異的なものであると云える。
【0066】
(リチウム二次電池の正極活物質の種類と充放電サイクル特性)
表1において、正極活物質として遷移金属リン酸化合物を用いた比較電池B6〜B9を比較すると、いずれの含フッ素リン酸エステルを用いた比較電池B6、B8、B9も、含フッ素リン酸エステルを用いていない比較電池B7より容量維持率が低下している。従って、正極活物質として遷移金属リン酸化合物を用いた電池では、式(1)を満たす含フッ素リン酸エステルであるE2PPを含有させても、電池の容量維持率は向上することなく、含フッ素リン酸エステルであるE2PPを含まない電池よりも性能が低下する結果となった。
従って、非水電解質に一般式(1)の含フッ素リン酸エステルを含有させることによる充放電サイクル特性改善効果は、アルカリ金属遷移金属複合酸化物を正極活物質とする非水電解質二次電池において、特異的に発現するものであると言える。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の非水電解質二次電池は、安全性が高く、充放電サイクル特性に優れるので、今後の展開が期待される電気自動車等、産業用電池など、特に電池の大型化が求められる分野への応用に適しており、産業上の利用可能性は極めて大きい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属イオンを挿入・脱離可能な正極活物質を備えた正極、アルカリ金属イオンを挿入・脱離可能な負極活物質を備えた負極及び非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、前記正極活物質は、アルカリ金属遷移金属複合酸化物を含み、前記非水電解質は、下記一般式(1)
【化1】

(式中、A及びBは水素原子またはフッ素原子を表し、AとBは互いに異なる。n及びmは1〜4の整数を表す。)
で表される含フッ素リン酸エステルが非水電解質の溶媒に対して20体積%以上含まれていることを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記非水電解質の溶媒に含まれる前記一般式(1)で表される含フッ素リン酸エステルの含有量が、30体積%以下であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項3】
前記一般式(1)で表される含フッ素リン酸エステルがリン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)2,2,3,3−テトラフルオロプロピルであることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載のリチウム二次電池。

【公開番号】特開2012−164441(P2012−164441A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22098(P2011−22098)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】