説明

非水電解質電池及び非水電解質電池モジュール

【課題】耐振動性及び耐衝撃性が高いとともに小型化が可能な非水電解質電池及び非水電解質電池モジュールを提供する。
【解決手段】本発明の非水電解質電池は、電池要素と、前記電池要素を収納した可撓性を有する外装材と、前記外装材から外部に引き出された電極リード端子部とを含み、前記外装材の外周は、矩形状に形成され、前記外装材の外周辺のうち、谷折りされた一辺以外の三辺が所定の幅をもって接合されて封止部を形成し、前記谷折りされた一辺と対向する封止部から前記電極リード端子部が引き出され、前記電極リード端子部が引き出されている封止部以外の封止部が、支持部材に巻きつけられて固定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有する外装材を備えた非水電解質電池及び非水電解質電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯電話やノート型パーソナルコンピューター等の携帯機器の電源として広く用いられている。携帯機器の高性能化に伴ってリチウム二次電池の高容量化がさらに進む傾向にあり、エネルギー密度をさらに向上させるため、可撓性を有するラミネート外装材を用いた扁平型非電解質電池が多く使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、従来のラミネート外装材を用いた扁平型非電解質電池が記載されている。図14は、特許文献1に記載の非水電解質電池の斜視図である。図14において、非水電解質電池100は、深絞り成形が施されて空間部106が形成されたラミネートフィルムからなる外装材103に電池素子が収容され、上記電池素子の各電極と導通される電極端子リード104、105が上記外装材103の内部から外部に引き出されている。また、外装材103は、深絞り成形が施された周囲のうち、谷折りされた一辺以外の三辺が所定の幅をもって熱溶着されるとともに、電極端子リード104、105が引き出されている部分以外の熱溶着されたサイド部107が折り畳まれている。
【0004】
また、特許文献2には、それぞれシート状又はフィルム状の正極板、電解質を保持するセパレータ及び負極板からなる扁平な電池要素を、ポリアミド樹脂層を有する樹脂フィルム主体のラミネートシートで形成された外装ケース内に収納した非水電解液二次電池が記載されている。
【0005】
一方、最近では非水電解質電池の高性能化に伴い、非水電解質電池が携帯機器の電源以外の電源としても用いられ始めた。例えば、自動車用やバイク用の電源、ロボット等の移動体用の電源等に非水電解質電池が用いられ始めた。非水電解質電池をこのような電源として用いる場合には、高容量であるだけでなく、高い耐振動性及び耐衝撃性が要求される。
【0006】
また、非水電解質電池を自動車用やバイク用の電源、ロボット等の移動体用の電源等に用いる場合には、さらなる高容量化のため非水電解質電池を複数組み合わせてモジュール化して用いられる。
【0007】
例えば、特許文献3には、一対の外装フィルムの周縁部を接合して上記外装フィルム内に発電要素を密閉した電池本体と上記発電要素に接続されるとともに上記周縁部を接合した接合部から外部に引き出された電極タブよりなる電池を複数多段に積層して、積層方向に隣合う電池の電極タブ同士を接続することで、各電池を直列接続又は並列接続又は直並列接続してなるモジュール電池が記載されている。
【0008】
また、特許文献4には、正極、負極及びリチウム塩を含む非水系電解質を備え厚さ12mm未満の扁平形状の電池容器にて密閉されエネルギー容量が30Wh以上且つ体積エネルギー密度が180Wh/L以上である単電池の複数枚を、並列配置し、電気的に接続した電池モジュールを収容するための電池モジュールケースが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3829502号公報
【特許文献2】特許第4135353号公報
【特許文献3】特許第3649213号公報
【特許文献4】特許第4102957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1〜4では、電池自体の耐振動性及び耐衝撃性については何ら考慮されておらず、また、特許文献3及び4でも、電池モジュールの耐振動性及び耐衝撃性は何ら考慮されていない。
【0011】
本発明は上記問題を解決したもので、耐振動性及び耐衝撃性が高い非水電解質電池及び非水電解質電池モジュールを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の非水電解質電池は、電池要素と、前記電池要素を収納した可撓性を有する外装材と、前記外装材から外部に引き出された電極リード端子部とを含む非水電解質二次電池であって、前記外装材の外周は、矩形状に形成され、前記外装材の外周辺のうち、谷折りされた一辺以外の三辺が所定の幅をもって接合されて封止部を形成し、前記谷折りされた一辺と対向する封止部から前記電極リード端子部が引き出され、前記電極リード端子部が引き出されている封止部以外の封止部が、支持部材に巻きつけられて固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、耐振動性及び耐衝撃性が高いとともに小型化が可能な非水電解質電池及び非水電解質電池モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1Aは本発明の実施形態1で用いる電極体を説明するための斜視図であり、図1Bは電極体を外装材に収納している状態を示す斜視図であり、図1Cは電極体を外装材に収納した状態の斜視図である。
【図2】図2Aは本発明の実施形態1の非水電解質電池の斜視図であり、図2Bは実施形態1の非水電解質電池の底面図である。
【図3】図3Aは本発明の実施形態1の非水電解質電池の変形例の斜視図であり、図3Bは本変形例の底面図である。
【図4】本発明の実施形態2の非水電解質電池の外装材を支持部材に巻きつけて固定する前の斜視図である。
【図5】図5Aは本発明の実施形態2の非水電解質電池の斜視図であり、図5Bは実施形態2の非水電解質電池の底面図である。
【図6】本発明の実施形態3の非水電解質電池に保護部材を取り付ける前の斜視図である。
【図7】本発明の実施形態4の非水電解質電池に保護部材を取り付ける前の斜視図である。
【図8】図8Aは本発明の実施形態5の非水電解質電池の底面図であり、図8Bは実施形態5の非水電解質電池の変形例の底面図であり、図8Cは実施形態5の非水電解質電池の他の変形例の底面図である。
【図9】本発明の実施形態6で用いる連結部材を支持部材に接合する前を示す斜視図である。
【図10】連結部材により非水電解質電池を複数連結する前の斜視図である。
【図11】図11Aは積層された非水電解質電池の正極リード端子部と負極リード端子部とを電気的に接続する構造を示す斜視図であり、図11Bは本発明の実施形態6の非水電解質電池モジュールの分解斜視図である。
【図12】落下試験の1サイクルの内容を示す模式図である。
【図13】電極収納部の幅x、長さy、厚さzを示す図である。
【図14】特許文献1に記載の非水電解質電池の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の非水電解質電池は、電池要素と、上記電池要素を収納した可撓性を有する外装材と、上記外装材から外部に引き出された電極リード端子部とを少なくとも備えている。また、上記外装材の外周は、矩形状に形成され、上記外装材の外周辺のうち、谷折りされた一辺以外の三辺が所定の幅をもって接合されて封止部を形成し、上記谷折りされた一辺と対向する封止部から上記電極リード端子部が引き出され、上記電極リード端子部が引き出されている封止部以外の封止部が、支持部材に巻きつけられて固定されている。
【0016】
本発明の非水電解質電池は、電極リード端子部が引き出されている封止部以外の封止部が、支持部材に巻きつけられて固定されているので、高い耐振動性及び耐衝撃性を有するともに、電池の幅方向の大きさを縮小することができる。
【0017】
また、上記支持部材は、棒状体であることが好ましい。棒状体であれば、最小のスペースで電池に耐振動性と耐衝撃性とを付与できるからである。
【0018】
さらに、上記支持部材は、中空棒状体であることが好ましい。中空棒状体であれば、最小のスペースで電池に耐振動性と耐衝撃性とを付与できるとともに、電池の軽量化も図ることができるからである。
【0019】
上記支持部材と上記封止部とは、接着して固定されていることが好ましい。接着による固定が最も簡便な固定法だからである。
【0020】
上記外装材の厚さ方向における上記支持部材の径又は高さは、上記外装材の厚さとほぼ等しいことが好ましい。これにより、電池表面の凹凸部をなくして、電池全体を扁平型に形成することができ、電池の設置スペースを縮小できる。
【0021】
上記支持部材と上記封止部とは、固定部材により固定されていることがさらに好ましい。これにより、支持部材と封止部とをより強固に固定できるからである。
【0022】
また、上記固定部材は、上記封止部に形成された嵌合穴と、上記支持部材に形成され、上記嵌合穴に嵌合する突起部とからなることが好ましい。嵌合穴と突起部とによる固定は簡便な固定法であるとともに、より確実な固定法だからである。
【0023】
本発明の非水電解質電池は、上記支持部材に巻きつけられた上記封止部を覆う保護部材をさらに備えることが好ましい。これにより、上記支持部材と上記封止部とからなる固定部の強度をさらに強化できるからである。
【0024】
本発明の非水電解質電池は、上記外装材を2個重ね合わせて備え、上記各外装材の上記電極リード端子部が引き出されている封止部以外の封止部を、それぞれ支持部材に巻きつけて固定することができる。これにより、2個の単電池を組み合わせた非水電解質電池の耐振動性と耐衝撃性とを向上できるとともに、支持部材を2個の単電池で共有できるため、構成部材の数を削減できる。
【0025】
また、本発明の非水電解質電池モジュールは、上記本発明の非水電解質電池を複数積層している。高い耐振動性と耐衝撃性とを有する本発明の非水電解質電池を複数積層しているので、電池モジュール全体としての耐振動性及び耐衝撃性を向上できる。
【0026】
また、上記非水電解質電池は、連結部材により連結されていることが好ましい。これにより、任意の数の電池を簡便に積層することができるとともに、電池モジュール全体の耐振動性及び耐衝撃性を向上できるからである。
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。但し、図1〜図11では、同一部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する場合がある。
【0028】
(実施形態1)
先ず、本発明の非水電解質電池の実施形態について扁平型リチウムイオン二次電池を例に説明する。図1Aは本実施形態で用いる電極体を説明するための斜視図であり、図1Bは電極体を外装材に収納している状態を示す斜視図であり、図1Cは電極体を外装材に収納した状態の斜視図である。
【0029】
図1Aにおいて、電池要素に含まれる電極体10は、矩形状の正極11と矩形状の負極12とを、矩形状のセパレータ13を介して積層して作製される。正極11の一端には、正極リード端子11aが設けられ、負極12の一端には、負極リード端子12aが設けられている。
【0030】
図1Bにおいて、可撓性を有する矩形状の外装材14は、谷折りされて第1外装面14aと第2外装面14bとから構成されている。第1外装面14aには、深絞り成形により電極収納部15が形成されている。また、各正極リード端子11a(図1A)及び各負極リード端子12a(図1A)は、それぞれ重ね合わされて溶接されて、それぞれ正極リード端子部16a及び負極リード端子部16bを形成している。
【0031】
図1Cにおいて、電極体10は、電解液とともに谷折りされた第1外装面14aと第2外装面14bとが形成する空間部(電極収納部15)に収納される。また、外装材14の外周辺のうち、谷折りされた一辺以外の三辺が所定の幅をもって接合されて封止部17a、17b、17cを形成している。正極リード端子部16a及び負極リード端子部16bは、外装材14の谷折りされた一辺と対向する封止部17cから外部に引き出されている。
【0032】
正極11は、正極活物質、正極用導電助剤、正極用バインダ等を含む混合物に、溶剤を加えて十分に混練して得た正極合剤ペーストを、正極集電体の両面に塗布して乾燥した後に、その正極合剤層を所定の厚さ及び所定の電極密度に制御することにより形成できる。
【0033】
上記正極活物質としては、例えば、LiCoO2等のリチウムコバルト酸化物、LiMn24等のリチウムマンガン酸化物、LiNiO2等のリチウムニッケル酸化物等が使用できるが、リチウムイオンを吸蔵・放出可能であればこれらに限定はされない。
【0034】
上記正極集電体としては、構成された電池において実質的に化学的に安定な電子伝導体であれば特に限定されない。正極集電体としては、例えば、アルミニウム箔等が用いられる。
【0035】
負極12は、負極活物質、負極用導電助剤、負極用バインダ等を含む混合物に、溶剤を加えて十分に混練して得た負極合剤ペーストを、負極集電体の両面に塗布して乾燥した後に、その負極合剤層を所定の厚さ及び所定の電極密度に制御することにより形成できる。
【0036】
上記負極活物質としては、例えば、天然黒鉛又は塊状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛等の人造黒鉛等の炭素材料が用いられるが、リチウムイオンを吸蔵・放出可能であればこれらに限定はされない。
【0037】
上記負極集電体としては、構成された電池において実質的に化学的に安定な電子伝導体であれば特に限定されない。負極集電体としては、例えば、銅箔等が用いられる。
【0038】
セパレータ13としては、大きなイオン透過度及び所定の機械的強度を有する絶縁性の微多孔性フィルムが用いられる。また、一定温度以上(100〜140℃)で微孔を閉塞し、抵抗を上げる機能を有するものが、電池の安全性向上の点から好ましい。具体的には、上記セパレータとしては、耐有機溶剤性及び疎水性を有するポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー又はガラス繊維からなるシート、不織布、織布、又はオレフィン系の粒子を接着剤で固着した多孔質体層等が用いられる。
【0039】
外装材14としては、アルミニウム等の金属層と熱可塑性樹脂層とが積層されたラミネートフィルム等を用いることができる。これにより、封止部17a、17b、17cは、熱溶着により確実に接合できる。
【0040】
上記電解液としては、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、γ−ブチロラクトン等の有機溶媒を1種類又は2種類以上混合した溶媒に、例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3等から選ばれる少なくとも1種類のリチウム塩を溶解させた電解液を用いればよい。この電解液中のLiイオンの濃度は、0.5〜1.5mol/Lとすればよい。
【0041】
図2Aは本実施形態の非水電解質電池の斜視図であり、図2Bは本実施形態の非水電解質電池の底面図である。図2A、Bにおいて、非水電解質電池20の正極リード端子部16a及び負極リード端子部16bが引き出されている封止部17c以外の封止部17a、17bは、断面形状が円形で中空の棒状(円筒状)に形成された支持部材18a、18bに巻きつけられて固定されている。封止部17a、17bと支持部材18a、18bとは、例えば、両面テープ、接着剤等を用いて接着固定される。また、外装材14の厚さ方向における支持部材18a、18bの径は、外装材14の厚さとほぼ等しく設定されている。
【0042】
図3Aは本実施形態の非水電解質電池の変形例の斜視図であり、図3Bは本変形例の底面図である。本変形例では、支持部材18a、18bは、断面形状が四角形で中空の棒状(角筒状)に形成されている以外は、本実施形態の非水電解質電池(図2A、B)と同様の構成である。本変形例では、外装材14の厚さ方向における支持部材18a、18bの高さは、外装材14の厚さとほぼ等しく設定される。
【0043】
支持部材18a、18bの断面形状は、円形又は四角形に限定されず、楕円形等であってもよく、支持部材18a、18bは中空でなくてもよい。また、支持部材18a、18bの材質も限定されないが、強度が大きい金属材料が好ましく、特に、重量が小さく、強度が大きいアルミニウム材が好ましい。
【0044】
本実施形態の非水電解質電池は、正極リード端子部16a及び負極リード端子部16bが引き出されている封止部17c以外の封止部17a、17bが、支持部材18a、18bに巻きつけられて固定されているので、高い耐振動性及び耐衝撃性を有するともに、電池の幅方向の大きさを縮小することができる。
【0045】
(実施形態2)
本発明の非水電解質電池の他の実施形態について説明する。図4は、本実施形態の非水電解質電池の外装材を支持部材に巻きつけて固定する前の斜視図である。また、図5Aは本実施形態の非水電解質電池の斜視図であり、図5Bは本実施形態の非水電解質電池の底面図である。
【0046】
図4において、封止部17a、17bには、それぞれ嵌合穴19a、19bが設けられている。また、支持部材18a、18bには、それぞれ突起部21a、21bが設けられている。嵌合穴19a、19b及び突起部21a、21bは、封止部17a、17bと支持部材18a、18bとの固定部材を構成している。
【0047】
図5A、Bにおいて、突起部21a、21bが、嵌合穴19a、19bに挿入されて嵌合することにより、封止部17a、17bは支持部材18a、18bに固定される。
【0048】
本実施形態の非水電解質電池の上記以外の構成は、実施形態1の非水電解質電池(図2A、B)と同様の構成である。
【0049】
上記固定部材として、嵌合穴19a、19b及び突起部21a、21bの組み合わせを例示したが、これに限定されず、例えば、支持部材18a、18bに設けたネジ穴とネジとの組み合わせ、支持部材18a、18bに設けた丸穴とアンカーピンとの組み合わせ等を採用することもできる。
【0050】
本実施形態では、上記固定部材により支持部材18a、18bと封止部17a、17bとをより強固に固定できるため、実施形態1のようにさらに両面テープ、接着剤等を用いて接着固定する必要はないが、そのようにさらに接着固定してもよい。
【0051】
(実施形態3)
本発明の非水電解質電池の他の実施形態について説明する。図6は、本実施形態の非水電解質電池に保護部材を取り付ける前の斜視図である。図6において、本実施形態の非水電解質電池20は、支持部材18a、18bに巻きつけられた封止部17a、17bに、それらを覆う保護部材22a、22bをさらに取り付けるものである。本実施形態の非水電解質電池20は、保護部材22a、22bを取り付ける以外は、実施形態1の非水電解質電池(図2A、B)と同様の構成とすることができる。
【0052】
本実施形態では、保護部材22a、22bを備えることにより、支持部材18a、18bと封止部17a、17bとの固定部の強度をさらに強化できる。保護部材22a、22bの材質については特に限定されず、金属でも樹脂でもいずれも用いることができる。
【0053】
(実施形態4)
本発明の非水電解質電池の他の実施形態について説明する。図7は、本実施形態の非水電解質電池に保護部材を取り付ける前の斜視図である。図7において、本実施形態の非水電解質電池20は、支持部材18a、18bに巻きつけられた封止部17a、17bに、それらを覆う保護部材22a、22bをさらに取り付けるものである。保護部材22a、22bには、突起部21a、21bと嵌合するための嵌合穴23a、23bが形成されている。本実施形態の非水電解質電池20は、保護部材22a、22bを取り付ける以外は、実施形態2の非水電解質電池(図5A、B)と同様の構成とすることができる。
【0054】
本実施形態では、保護部材22a、22bを備えることにより、支持部材18a、18bと封止部17a、17bとの固定部の強度をさらに強化できる。実施形態3と同様に保護部材22a、22bの材質は特に限定されない。
【0055】
(実施形態5)
本発明の非水電解質電池の他の実施形態について説明する。図8Aは本実施形態の非水電解質電池の底面図であり、図8Bは本実施形態の非水電解質電池の変形例の底面図であり、図8Cは本実施形態の非水電解質電池の他の変形例の底面図である。
【0056】
図8A、B、Cの非水電解質電池では、2個の外装材24、25を重ね合わせて備え、外装体24、25の封止部17a、17bは、それぞれ1個の支持部材18a、18bに巻きつけられて固定されている。外装材24、25としては、実施形態1で説明した外装体14と同様のものを使用できる。また、本実施形態の構成は、実施形態1〜4で説明した非水電解質電池の構成と組み合わせることもできる。
【0057】
本実施形態では、2個の単電池を組み合わせた非水電解質電池の耐振動性と耐衝撃性とを向上できるとともに、支持部材を2個の単電池で共有できるため、構成部材の数を削減できる。
【0058】
(実施形態6)
次に、本発明の非水電解質電池モジュールの実施形態について説明する。本実施形態の
非水電解質電池モジュールは、実施形態1〜5で説明した非水電解質電池を複数積層したものであり、上記非水電解質電池が、連結部材により複数連結されている。
【0059】
以下に示す図9、図10及び図11A、11Bでは、非水電解質電池の全部又は一部の図示を省略する場合がある。
【0060】
図9は、本実施形態で用いる連結部材を支持部材に接合する前を示す斜視図である。図9において、支持部材18a、18bの端部が、連結部材26の上下に配置された連結穴26a、26bのうち、上部に配置された連結穴26aに接合されることにより、支持部材18a、18bの端部に連結部材26が取り付けられる。支持部材18a、18bと連結部材26との接合方法は、嵌合でも溶接でもよく特に限定されない。また、連結部材26の材質も特に限定されないが、通常は支持部材18a、18bと同様の材質が用いられる。
【0061】
図10は、連結部材により非水電解質電池を複数連結する前の斜視図である。複数の非水電解質電池20は、上に配置された連結部材26の連結穴26bと、下に配置された連結部材26の連結穴26aとが重なるように積層される。
【0062】
図11Aは積層された非水電解質電池の正極リード端子部と負極リード端子部とを電気的に接続する構造を示す斜視図であり、図11Bは本実施形態の非水電解質電池モジュールの分解斜視図である。
【0063】
図11Aにおいて、正極リード端子部16a及び負極リード端子部16bにそれぞれ接続された正極端子27aと負極端子27bとは、接続部材31を用いてそれぞれ直列に接続される。正極端子27aと負極端子27bとの電気的接続は、直列接続に限らず、並列接続とすることもできる。
【0064】
図11Bにおいて、本実施形態の非水電解質電池モジュール30は、上面板28a、下面板28b、側面板29a、29bを電池積層体の外面に取り付けることにより、全体が一体として形成される。上面板28a、下面板28b、側面板29a、29bの材質も特に限定されず、金属でも樹脂でもいずれも用いることができる。
【0065】
本発明の非水電解質電池モジュールは、高い耐振動性と耐衝撃性とを有する非水電解質電池を連結部材により任意の数だけ簡便に積層できるとともに、電池モジュール全体としての耐振動性及び耐衝撃性を向上できる。
【実施例】
【0066】
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0067】
(実施例1)
<正極の作製>
正極活物質であるLiCoO2:80重量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:10重量部と、バインダであるポリフッ化ビニリデン(PVDF):5重量部とに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶剤として加えて、均一になるように混合して正極合剤含有ペーストを調製した。この正極合剤含有ペーストを、正極集電体となる厚さ15μm、長さ197mm、幅109mm(未塗布の電極リード接合部長さ20mm×幅20mmは含まず。)のアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥した。その後、カレンダー処理を行って、全厚が約150μmになるように調整して、アルミニウム箔製の正極リード端子を備えた正極を作製した。
【0068】
<負極の作製>
負極活物質である黒鉛:90重量部と、バインダであるPVDF:5重量部とに、NMPを溶剤として加えて、均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製した。この負極合剤含有ペーストを、負極集電体となる厚さ10μm、長さ205mm、幅105mm(未塗布の電極リード接合部長さ14mm×幅20mmは含まず。)の銅箔の両面に塗布して乾燥した。その後、カレンダー処理を行って、全厚が約150μmになるように調整して、銅箔製の負極リード端子を備えた負極を作製した。
【0069】
<電極体の作製>
図1Aに示すように、上記のように作製した正極と負極との間に、厚さ20μm、長さ208mm、幅117mmのポリエチレン製の微多孔性フィルムよりなるセパレータを配置して交互に積層し、15枚の正極及び16枚の負極を有する電極体を作製した。次に、正極リード端子及び負極リード端子をそれぞれ重ね合わせて溶接し、それぞれ正極リード端子部及び負極リード端子部とした。
【0070】
<電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒(EC:DECの混合体積比は1:2)中にLiPF6を1.2mol/L溶解させた電解液を調製した。
【0071】
<電池の作製>
図1Bに示すように、厚さ150μmのアルミラミネート外装材の片面に深絞り成形により電極収納部を形成し、図1Cに示すように、その電極収納部に上記電極体を収納した。その後、上記電極体に上記電解液を注液し、電極体に電解液を十分に浸透させた後、上記外装材の谷折りされた一辺以外の三辺を幅10mmの範囲で熱溶着して封止部を形成した。このときのセル外形は、長さ235mm(リード端子部含まず。)、幅142mm、厚さ約6mmであった。次に、図2Aに示すように、外径6mm、長さ235mmの中空アルミニウム管を支持部材として用い、上記アルミニウム管に上記外装材の封止部を幅10mmの両面粘着テープを介して巻きつけて固定して、本実施例の扁平型リチウムイオン二次電池を作製した。
【0072】
(比較例1)
図1Cに示したように、封止部を支持部材に巻きつけていない以外は、実施例1と同様にして本比較例の扁平型リチウムイオン二次電池を作製した。
【0073】
(比較例2)
図14に示すように、上記外装材の封止部を幅5mmで2回折り返して、幅5mmの両面粘着テープを介して固定した以外は、実施例1と同様にして本比較例の扁平型リチウムイオン二次電池を作製した。本比較例の電池は、特許文献1に記載したものである。
【0074】
<耐振動性及び耐衝撃性の評価>
実施例1及び比較例1、2の各電池の耐振動性及び耐衝撃性を評価するために、下記のとおり電池の落下試験を行った。
【0075】
落下試験は、図12に示すように、落下高さH:1.5m、落下面:コンクリート床面、落下方向を下記(1)〜(4)とし、(1)〜(4)を1サイクルとして、5サイクル行った。
【0076】
(1)電池の底部の角部側からの落下
(2)電池の電池収納部側からの落下
(3)電池の底部側からの落下
(4)電池の電極リード端子部側からの落下
【0077】
落下試験開始前(初期)及び落下試験が1サイクル終了毎に、図13に示すように、各電池に共通する電池収納部15の幅x、長さy、厚さzを測定するとともに、電解液の漏液の有無を観察した。その結果を表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
表1の結果から、初期に対する5サイクル終了後のx、y、zの変化率を計算すると表2の結果となった。各寸法の変化率(%)は、下記式により計算した。
変化率=〔|(5サイクル後の寸法)−(初期の寸法)|/(初期の寸法)〕×100
【0080】
【表2】

【0081】
表2から、実施例1の電池は、比較例1及び2の電池に比べて、落下試験による電極収納部の変形が少なく、耐振動性及び耐衝撃性が高いことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上説明したように、本発明は、耐振動性及び耐衝撃性が高いとともに小型化が可能な非水電解質電池及び非水電解質電池モジュールを提供できる。従って、本発明の非水電解質電池及び非水電解質電池モジュールは、高い耐振動性及び耐衝撃性が要求される自動車用やバイク用の電源、ロボット等の移動体用の電源等として広く利用できる。
【符号の説明】
【0083】
10 電極体
11 正極
11a 正極リード端子
12 負極
12a 負極リード端子
13 セパレータ
14、24、25 外装体
14a 第1外装面
14b 第2外装面
15 電極収納部
16a 正極リード端子部
16b 負極リード端子部
17a、17b、17c 封止部
18a、18b 支持部材
19a、19b 嵌合穴
20 非水電解質電池
21a、21b 突起部
22a、22b 保護部材
23a、23b 嵌合穴
26 連結部材
26a、26b 連結穴
27a 正極端子
27b 負極端子
28a 上面板
28b 下面板
29a、29b 側面板
30 非水電解質電池モジュール
31 接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池要素と、前記電池要素を収納した可撓性を有する外装材と、前記外装材から外部に引き出された電極リード端子部とを含む非水電解質二次電池であって、
前記外装材の外周は、矩形状に形成され、
前記外装材の外周辺のうち、谷折りされた一辺以外の三辺が所定の幅をもって接合されて封止部を形成し、
前記谷折りされた一辺と対向する封止部から前記電極リード端子部が引き出され、
前記電極リード端子部が引き出されている封止部以外の封止部が、支持部材に巻きつけられて固定されていることを特徴とする非水電解質電池。
【請求項2】
前記支持部材が、棒状体からなる請求項1に記載の非水電解質電池。
【請求項3】
前記支持部材が、中空棒状体からなる請求項1に記載の非水電解質電池。
【請求項4】
前記支持部材と前記封止部とが、接着して固定されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
【請求項5】
前記外装材の厚さ方向における前記支持部材の径又は高さが、前記外装材の厚さとほぼ等しい請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
【請求項6】
前記支持部材と前記封止部とが、固定部材により固定されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
【請求項7】
前記固定部材が、前記封止部に形成された嵌合穴と、前記支持部材に形成され、前記嵌合穴と嵌合する突起部とからなる請求項6に記載の非水電解質電池。
【請求項8】
前記支持部材に巻きつけられた前記封止部を覆う保護部材をさらに含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
【請求項9】
前記外装材を2個重ね合わせて備え、前記各外装材の前記電極リード端子部が引き出されている封止部以外の封止部が、それぞれ支持部材に巻きつけられて固定されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水電解質電池。
【請求項10】
請求項1〜9に記載の非水電解質電池を複数積層したことを特徴とする非水電解質電池モジュール。
【請求項11】
前記非水電解質電池が、連結部材により連結されている請求項10に記載の非水電解質電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−218756(P2010−218756A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61386(P2009−61386)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】