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非特異反応が抑制された免疫測定方法および試薬
説明

非特異反応が抑制された免疫測定方法および試薬

【課題】 非特異的反応が抑制された測定対象物の免疫学的定量方法を提供する。
【解決手段】 水性媒体中、可溶性インターロイキン−2受容体に特異的に結合する第1の抗体に酵素が標識として結合している酵素標識化抗体を用いて試料中の可溶性インターロイキン−2受容体を定量する免疫学的定量法において、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2である酵素標識化抗体の、全標識化抗体に対する分子数の割合が50%以上である酵素標識化抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程および免疫複合体の酵素活性を測定する工程を含むことを特徴とする、標識酵素に反応する抗体に起因する非特異的反応が抑制された可溶性インターロイキン−2受容体の免疫学的定量方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非特異的反応が抑制された測定対象物の免疫学的定量方法、非特異的反応が抑制された測定対象物の免疫学的定量方法に用いる試薬および測定対象物の免疫学的定量方法における非特異的反応の抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物の免疫学的定量方法においては、しばしば非特異反応が起こることが確認されている。抗原抗体反応における非特異的反応としては様々な種類が知られているが、特に、ヒト抗マウス抗体(human anti−mouse antibody、以下HAMAと略記する)により生じる非特異反応が問題となっている。HAMAには、HAMAタイプIとHAMAタイプIIの2種類が存在し、HAMAタイプIはマウスタンパク質に感作されたことのない人の血液に生じるものであり、HAMAタイプIIは動物飼育者などのマウスに接触している人やマウス抗体などのマウスタンパク質の投与を受けた人に生成するものである。一般的に、HAMAは免疫学的定量方法にマウス抗体を用いるときに問題となる非特異因子で、HAMAにより測定系へ誤差を与え正確な値を測定することができなくなることが知られている。従って、試料中の測定対象物を定量する免疫測定方法で得られる測定対象物の定量値で病態等をモニターする際に誤った判断を与えかねず、正確な定量値を与える測定法の開発が求められている。
【0003】
免疫学的定量方法におけるHAMAによる非特異的反応の抑制方法としては、免疫測定に用いる抗体と同一動物種における免疫グロブリンや重合化免疫グロブリン等が有効であることが知られている(特許文献1、特許文献2、非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3参照)。
また、抗原抗体反応における非特異的反応として、抗体の標識に用いる酵素に反応する抗体により生じる非特異反応もあり、測定系に不活性化した該酵素を共存させる非特異反応の抑制方法が報告されている(特許文献3参照)。
【0004】
インターロイキン−2(以下、IL−2と記す)は133個のアミノ酸から構成されるサイトカインであり、主にCD4+やCD8+のT細胞より産生されるが、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)からも産生される。IL−2は、主に免疫系への活性化に関与し、様々な生理活性を有している。例えば、IL−2はT細胞、B細胞、NK細胞、LAK細胞(lymphokine activated killer細胞)、マクロファージ、好中球などに対し、細胞周期を進めるプログレッション因子として作用する。
【0005】
IL−2の受容体(以下、IL−2Rと記す)はα鎖、β鎖、γ鎖から構成されているが、α鎖の一部が細胞上から遊離した可溶性インターロイキン−2受容体(以下、sIL−2Rと記す)が血中に存在することが知られている。sIL−2Rは活性化T細胞、B細胞によって産生されるために、生体の免疫防御機構の活性化、T細胞系及びB細胞系などの活性化に伴い血中のsIL−2Rが上昇することが報告されている。血清中のsIL−2R濃度は、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患や、ウイルス性肝炎、後天性免疫不全症候群(AIDS)などのウイルス感染症の患者で高値を示し、体内の活性化リンパ球の指標の1つとなることが報告されている。また腫瘍細胞がsIL−2Rを産生し、成人T細胞白血病(ATL)や非ホジキンリンパ腫の進行と血清中のsIL−2R濃度の変動が良く相関することが知られている。このように様々な免疫系の疾患や病態との関連が報告され、造血疾患のなかで有望な血液中のマーカーとなってきている。血清中のsIL−2R濃度は成人T細胞白血病においては病態モニタリングの指標など、非ホジキンリンパ腫においては治療効果の判定、寛解後のフォロー、再発の早期発見の指標などとして臨床的に有効活用されている。
【0006】
これまでに、sIL−2Rの測定法として、2つの抗sIL−2R抗体を用いる免疫学的測定法が報告されており(特許文献4参照)、またsIL−2R測定用試薬として、酵素免疫測定法に対応した試薬、例えば、「セルフリーIL−2R」(山之内製薬株式会社製)などが開発され、発売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−65162号公報
【特許文献2】特開平1−254869号公報
【特許文献3】特開平5−188055号公報
【特許文献4】特開昭62−70761号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】クリニカル・ケミストリー(Clinical Chemistry),1999年,第45巻,942−956頁
【非特許文献2】キャンサー・イムノロジカル・イムノセラピィ(Cancer Immunolgical Immunotherapy),1991年,第33巻,80−84頁
【非特許文献3】クリニカル・ケミストリー(Clinacal Chemistry),1990年,第36巻,1093頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、非特異的反応が抑制された測定対象物の免疫学的定量方法、非特異的反応が抑制された測定対象物の免疫学的定量方法に用いる試薬および測定対象物の免疫学的定量方法における非特異的反応の抑制方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記(1)〜(23)に関する。
(1) 水性媒体中、可溶性インターロイキン−2受容体に特異的に結合する第1の抗体に酵素が標識として結合している酵素標識化抗体を用いて試料中の可溶性インターロイキン−2受容体を定量する免疫学的定量法において、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2である酵素標識化抗体の、全標識化抗体に対する分子数の割合が50%以上である酵素標識化抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程および免疫複合体の酵素活性を測定する工程を含むことを特徴とする、標識酵素に反応する抗体に起因する非特異的反応が抑制された可溶性インターロイキン−2受容体の免疫学的定量方法。
【0011】
(2) 第1の抗体が結合する可溶性インターロイキン−2受容体の抗原決定部位とは異なる抗原決定部位に特異的に結合する第2の抗体に分離手段が結合している抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程を含む(1)記載の免疫学的定量方法。
(3) 第1の抗体が、Fc部分を除去した抗体である(1)または(2)記載の免疫学的定量方法。
【0012】
(4) 酵素標識化抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程に、IgG重合体および/またはIgGを共存させる(1)〜(3)のいずれかに記載の免疫学的定量方法。
(5) IgG重合体および/またはIgGが、マウスIgG重合体および/またはマウスIgGである(4)記載の免疫学的定量方法。
【0013】
(6) 酵素標識化抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程に、該酵素標識化抗体の標識に用いる酵素と同じ酵素を不活性化した酵素を共存させる(1)〜(5)のいずれかに記載の免疫学的定量方法。
(7) 酵素がペルオキシダーゼである(1)〜(6)のいずれかに記載の免疫学的定量方法。
【0014】
(8) 可溶性インターロイキン−2受容体に特異的に結合する第1の抗体に酵素が標識として結合している酵素標識化抗体であって、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2である酵素標識化抗体の、全標識化抗体に対する分子数の割合が50%以上である酵素標識化抗体を含有することを特徴とする、標識酵素に反応する抗体に起因する非特異的反応が抑制された可溶性インターロイキン−2受容体の免疫学的定量方法に用いる試薬。
【0015】
(9) 第1の抗体が結合する可溶性インターロイキン−2受容体の抗原決定部位とは異なる抗原決定部位に特異的に結合する第2の抗体に分離手段が結合している抗体を含有する(8)記載の試薬。
(10) 酵素活性測定用試薬を含有する(8)または(9)記載の試薬。
(11) 第1の抗体が、Fc部分を除去した抗体である(8)〜(10)のいずれかに記載の試薬。
【0016】
(12) IgG重合体および/またはIgGを含む(8)〜(11)のいずれかに記載の試薬。
(13) IgG重合体および/またはIgGが、マウスIgG重合体および/またはマウスIgGである、(12)記載の試薬。
【0017】
(14) 酵素標識化抗体の標識に用いる酵素と同じ酵素を不活性化した酵素を含む(8)〜(13)のいずれかに記載の試薬。
(15) 酵素がペルオキシダーゼである(8)〜(14)のいずれかに記載の試薬。
(16) さらに、水性媒体、金属イオン、塩類、糖類、界面活性剤、防腐剤、タンパク質、タンパク質安定化剤からなる群より選ばれる一つまたは複数の物質を含有する(8)〜(15)のいずれかに記載の試薬。
【0018】
(17) 可溶性インターロイキン−2受容体に特異的に結合する第1の抗体に酵素が標識として結合している酵素標識化抗体を用いて試料中の可溶性インターロイキン−2受容体を定量する免疫学的定量方法において、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2である酵素標識化抗体の、全標識化抗体に対する分子数の割合が50%以上である酵素標識化抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程を含むことを特徴とする、可溶性インターロイキン−2受容体の免疫学的定量方法における、標識酵素に反応する抗体に起因する非特異的反応の抑制方法。
【0019】
(18) 第1の抗体が結合する可溶性インターロイキン−2受容体の抗原決定部位とは異なる抗原決定部位に特異的に結合する第2の抗体に分離手段が結合している抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程を含む(17)記載の抑制方法。
(19) 第1の抗体が、Fc部分を除去した抗体である(17)または(18)記載の抑制方法。
【0020】
(20) 酵素標識化抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程に、IgG重合体/またはIgGを共存させる(17)〜(19)のいずれかに記載の抑制方法。
(21) IgG重合体/またはIgGが、マウスIgG重合体/またはマウスIgGである(20)記載の抑制方法。
【0021】
(22) 酵素標識化抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程に、該酵素標識化抗体の標識に用いる酵素と同じ酵素を不活性化した酵素を共存させる(17)〜(21)のいずれかに記載の抑制方法。
(23) 酵素がペルオキシダーゼである(17)〜(22)のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、非特異的反応が抑制された測定対象物の免疫学的定量方法、非特異的反応が抑制された測定対象物の免疫学的定量方法に用いる試薬および測定対象物の免疫学的定量方法における非特異的反応の抑制方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】POD標識化抗sIL−2RモノクローナルF(ab’)抗体のゲルろ過カラムクロマトグラム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.非特異的反応
本発明における非特異的反応としては、測定対象物の免疫学的測定法において見られる非特異的反応であれば特に制限はないが、HAMAに起因する非特異的反応、標識酵素に反応する抗体に起因する非特異的反応などがあげられる。HAMAとしては、HAMAタイプIおよびHAMAタイプIIがあげられる。標識酵素に反応する抗体としては、例えばペルオキシダーゼに反応する抗体、アルカリフォスファターゼに反応する抗体等があげられる。本発明における標識酵素に反応する抗体とは、本発明の免疫学的測定法において用いている酵素標識化抗体を標識している該酵素に反応する抗体であり、非特異反応を惹起する。
【0025】
2.試料
本発明において使用される試料としては、例えば全血、血漿、血清、髄液、唾液、羊水、尿、汗、膵液などがあげられるが、全血、血漿、血清などが好ましい。
【0026】
3.測定対象物
本発明の測定対象物としては、抗原となる物質であればいかなるものでもよく特に制限はないが、少なくとも2個の抗原決定基を有する抗原であるのが好ましい。例えば、sIL−2R、心筋梗塞のマーカーとして知られているミオグロビン、クレアチンキナーゼMB(CK−MB)、トロポニンTなどがあげられる。
【0027】
4.抗体
本発明において使用される酵素標識化抗体を形成する第1の抗体としては、測定対象物に特異的に結合する抗体であれば特に制限はなく、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれも使用できるが、モノクローナル抗体が好ましい。また、本発明においては、抗体のみならず、抗体をパパイン処理により得られるFab、ペプシン処理により得られるF(ab’)、ペプシン処理−還元処理により得られるFab’などのFc部分を除去した抗体フラグメントも使用できる。抗体フラグメントとしては、F(ab’)が特に好ましい。
【0028】
本発明において使用される固相化抗体を形成する第2の抗体としては、測定対象物に特異的に結合する抗体であれば特に制限はなく、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれも使用できるが、モノクローナル抗体が好ましい。第2抗体は、第1の抗体が結合する測定対象物の抗原決定部位とは異なる抗原決定部位に特異的に結合する抗体であることが好ましい。
【0029】
本発明において使用する抗体は、測定対象物またはそのエピトープに相当するペプチドを抗原として用いて通常の方法により取得することができるが、市販品としても入手可能である。
sIL−2Rに特異的に結合する抗体としては、例えばハイブリドーマAM92.3が産生するモノクローナル抗体〔ピアース(PIERCE)社製〕、モノクローナル抗体7G7/B6(ピアース社製;特開昭62−70761公報参照)などがあげられ、それぞれ任意に第1の抗体または第2の抗体として使用できる。
【0030】
5.酵素標識
本発明において第1の抗体と結合している酵素としては、例えばペルオキシダーゼ(以下、PODと略す)、アルカリフォスファターゼ、ルシフェラーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼなどがあげられ、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼが好ましく、ペルオキシダーゼが特に好ましい。ペルオキシダーゼとしては、いかなる由来のペルオキシダーゼも使用できるが、西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼが好ましい。アルカリフォスファターゼとしては、例えば牛小腸由来のアルカリフォスファターゼなどがあげられる。
【0031】
6.第1抗体と酵素の結合
本発明における酵素標識化抗体は、測定対象物に特異的に結合する第1の抗体に酵素が標識として結合しているものであるが、当該結合における結合様式としては、例えば共有結合があげられ、酵素と抗体が直接結合していても、リンカーなどを介して間接的に結合していてもよい。結合体の作製方法としては、例えばグルタールアルデヒド法、過ヨウ素酸法、マレイミド法、ピリジル・ジスフィド法などをあげることができる(例えば、石川榮治著「酵素免疫測定法」1987年、医学書院発行参照)が、マレイミド法が好ましい。具体的には、例えばイミノチオランなどでスルフヒドリル化した抗体と、スクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]−シクロヘキサン−1カルボン酸(succinimidyl4−[N−maleimidomethyl]−cyclohexane−1−carboxylate、SMCC)、N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド〔N−(6−maleimidocaproyloxy)succinimide、EMCS〕などでマレイミド化した酵素とを混合して調製することができる。
【0032】
7.酵素標識化抗体の抗体と酵素の結合数
本発明に使用する酵素標識化抗体は、抗体1分子当たり少数の標識酵素分子が結合している酵素標識化抗体であり、具体的には、第1の抗体と酵素の結合数が、それぞれ1:1、1:2、1:3および2:1である酵素標識化抗体からなる群より選ばれる一つまたは複数の酵素標識化抗体のみを実質的に含有する酵素標識化抗体であり、好ましくは、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2および1:3である酵素標識化抗体からなる群より選ばれる一つまたは複数の酵素標識化抗体のみを実質的に含有する酵素標識化抗体であり、より好ましくは、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1および1:2である酵素標識化抗体からなる群より選ばれる一つまたは複数の酵素標識化抗体のみを実質的に含有する酵素標識化抗体である。
【0033】
酵素標識化抗体としては、第1の抗体と酵素の結合数が1:1または1:2である酵素標識化抗体が特に好ましく、酵素標識化抗体が混合物であるときは、第1の抗体と酵素の結合数が1:1または1:2である酵素標識化抗体の、全標識化抗体に対する分子数の割合が50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
このような酵素標識化抗体は、前述のグルタールアルデヒド法、過ヨウ素酸法、マレイミド法、ピリジル・ジスルフィド法などで第1の抗体と酵素とを結合させたあと、多数の酵素が結合した第1の抗体、未反応の酵素および抗体を、例えばイオン交換クロマトグラフィー法、ゲル濾過カラムクロマトグラフィー法、疎水クロマトグラフィー法などの方法やこれらの方法を組み合わせた方法などを用いて除去することにより調製することができる。
【0034】
8.固相化抗体
本発明における固相化抗体は、測定対象物に特異的に結合する第2の抗体に分離手段が結合しているものである。分離手段としては、固相それ自体または固相に結合した物質に特異的に結合する物質等あげられる。当該結合における結合様式としては、固相を用いるときは非共有結合があげられ、固相に結合した物質に特異的に結合する物質を用いるときは共有結合があげられ、抗体と該物質が直接結合していても、リンカーなどを介して間接的に結合していてもよい。固相に結合した物質およびそれに特異的に結合する物質の組み合わせとしてはビオチンとアビジンの組み合わせ等があげられる。
【0035】
固相としては、第2の抗体を固定化し、測定対象物の免疫学的測定法を可能にする固相であれば特に制限はなく、例えばマイクロタイタープレートなどのポリスチレンプレート、ガラス製または合成樹脂製の粒状物(ビーズ)、ガラス製または合成樹脂製の球状物(ボール)、ラテックス、磁性粒子、ニトロセルロース膜などの各種メンブレン、合成樹脂製の試験管などがあげられる。
【0036】
9.IgG重合体およびIgG
本発明におけるIgG重合体としては、IgGが重合したものであれば特に制限はなく、例えばMAK33−IgG1/IgG1 Poly、MM33−IgG(2b)/Fab(2a)Poly〔いずれも、ロシュ・ダイアグノスティックス(Roche Diagnostics)社製〕などがあげられる。本発明におけるIgGとしては、動物のIgGであれば特に制限はなく、例えばマウス、ラット、ハムスター、ウサギ、モルモット、ヤギ、ヒツジ、ニワトリ、ウシ、ウマなどの動物のIgGがあげられるが、マウスIgGが好ましい。動物のIgGは精製したものでもよいし、動物の血清でもよい。
【0037】
10.水性媒体
水性媒体としては、例えば脱イオン水、蒸留水、緩衝液などがあげられ、緩衝液が好ましい。緩衝液の調製に使用される緩衝剤としては、緩衝能を有するものならば特に限定されないが、pH1〜11の例えば乳酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、フタル酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ジエタノールアミン緩衝剤、リジン緩衝剤、バルビツール緩衝剤、イミダゾール緩衝剤、リンゴ酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、グッド緩衝剤などがあげられる。
【0038】
グッド緩衝剤としては、例えば2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)緩衝剤、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)緩衝剤、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)緩衝剤、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)緩衝剤、2−[N−(2−アセトアミド)アミノ]エタンスルホン酸(ACES)緩衝剤、3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)緩衝剤、2−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸(BES)緩衝剤、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)緩衝剤、2−{N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}エタンスルホン酸(TES)緩衝剤、N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2−スルホエチル)ピペラジン(HEPES)緩衝剤、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)緩衝剤、2−ヒドロキシ−3−{[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}プロパンスルホン酸(TAPSO)緩衝剤、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパン−3−スルホン酸)(POPSO)緩衝剤、N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)ピペラジン(HEPPSO)緩衝剤、N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(3−スルホプロピル)ピペラジン(EPPS)緩衝剤、トリシン[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン]緩衝剤、ビシン[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン]緩衝剤、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノプロパンスルホン酸(TAPS)緩衝剤、2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)緩衝剤、3−(N−シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(CAPSO)緩衝剤、3−(N−シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸(CAPS)緩衝剤などがあげられる。
【0039】
緩衝液の濃度は測定に適した濃度であれば特に制限はされないが、0.001〜2.0mol/Lが好ましく、0.005〜1.0mol/Lがより好ましく、0.01〜0.1mol/Lが特に好ましい。
【0040】
11.金属イオン
金属イオンとしては、例えばマグネシウムイオン、マンガンイオン、亜鉛イオンなどがあげられる。
【0041】
12.塩類
塩類としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウムなどがあげられる。
13.糖類
糖類としては、例えばマンニトール、ソルビトールなどがあげられる。
【0042】
14.界面活性剤
界面活性剤としては、例えば非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などがあげられ、非イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤としては、例えばツイーン20(Tween20)、ノニデットP−40(NP−40)などがあげられる。
【0043】
15.防腐剤
防腐剤としては、例えばアジ化ナトリウム、抗生物質(ストレプトマイシン、ペニシリン、ゲンタマイシンなど)、バイオエース、プロクリン300、プロキセル(Proxel)GXLなどがあげられる。
【0044】
16.タンパク質
タンパク質としては、例えば牛血清アルブミン(BSA)、ウシ胎児血清(FBS)、カゼイン、ブロックエースTM(大日本製薬社製)などがあげられる。
【0045】
17.タンパク質安定化剤
タンパク質安定化剤としては、例えばパーオキシダーゼ安定化緩衝液〔Peroxidase Stabilizing Buffer、ダコサイトメーション(DakoCytomation)社製〕などがあげられる。
【0046】
18.不活性化した酵素
本発明における不活性化した酵素としては、本発明の測定対象物の免疫学的定量方法に用いる酵素標識化抗体の標識に用いている酵素と同じ酵素、すなわち同じ生物由来で同じ酵素活性の酵素を不活性化したものであればよい。例えば、免疫学的定量方法においてPOD標識化抗体を用いている場合は、該PODを不活性化したものを用い、アルカリフォスファターゼ標識化抗体を用いている場合は、該アルカリフォスファターゼを不活性化したものを用いる。不活性化した酵素は、担体や抗体に結合したものでもよいが、この場合の抗体は測定対象物や抗体と反応しないものである必要がある。不活性化とは、非特異反応の原因となる標識酵素に反応する抗体との反応性は保ちながら、本発明の免疫学的定量方法に関与する酵素活性を完全または実質的に欠失させることをいい、加熱処理、酸またはアルカリによる変性処理、プロテアーゼによる酵素消化、凍結融解等の処理、これらを組み合わせた処理により行うことができる。例えばPODでは100〜125℃で10〜60分間処理することにより不活性化PODを得ることができる。不活性したPODとしては、Inactive Poly−POD(ロシュ・ダイアグノスティクス社製)があげられる。不活性化したアルカリフォスファターゼとしては、Scavenger−ALP(オリエンタル酵母社製)などがあげられる。
【0047】
19.測定対象物の免疫学的定量方法
本発明の測定対象物の免疫学的定量方法としては、測定対象物に特異的に結合する第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2、1:3および2:1である酵素標識化抗体からなる群より選ばれる一つまたは複数の酵素標識化抗体のみを実質的に含有する酵素標識化抗体を試料に反応させ測定対象物との免疫複合体を形成させる工程および免疫複合体の酵素活性を測定する工程を含む方法であれば特に制限はないが、さらに第1の抗体が結合する測定対象物の抗原決定部位とは異なる抗原決定部位に特異的に結合する第2の抗体に分離手段が結合している固相化抗体を試料に反応させ測定対象物との免疫複合体を形成させる工程を含む方法が好ましい。
【0048】
酵素標識化抗体としては、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2および1:3である酵素標識化抗体からなる群より選ばれる一つまたは複数の酵素標識化抗体のみを実質的に含有する酵素標識化抗体が好ましく、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1および1:2である酵素標識化抗体からなる群より選ばれる一つまたは複数の酵素標識化抗体のみを実質的に含有する酵素標識化抗体がより好ましい。
【0049】
酵素標識化抗体としては、第1の抗体と酵素の結合数が1:1または1:2である酵素標識化抗体が特に好ましく、酵素標識化抗体が混合物であるときは、第1の抗体と酵素の結合数が1:1または1:2である酵素標識化抗体の、全標識化抗体に対する分子数の割合が50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
具体的な定量方法としては、例えばサンドイッチ法、競合法などがあげられるが、サンドイッチ法が好ましい。サンドイッチ法としては、例えば1ステップ法、ディレイ1ステップ法、2ステップ法などがあげられる。
【0050】
より具体的な測定対象物の免疫学的定量方法の例としては、例えば以下の工程を含有する定量方法があげられる。
(1)固相化抗体と試料中の測定対象物を反応させ、免疫複合体を形成させる工程(1次反応)、
(2)酵素標識化抗抗体と試料中の測定対象物を反応させ、免疫複合体を形成させる工程(2次反応)、
(3)免疫複合体を形成しない酵素標識化抗体を固相と分離する工程、
(4)固相に生成した免疫複合体中の酵素標識の酵素活性を測定する工程、
(5)予め既知濃度の測定対象物を用いて作成した検量線より、工程(4)で測定した酵素活性と比較することにより測定対象物を定量する工程。
【0051】
上記の(1)と(2)の工程との間に、必要に応じて1次反応後の固相を洗浄する工程を追加してもよい。また、(1)の工程と(2)の工程は同時行うこともできる。
1次反応は水性媒体中で行われることが好ましい。1次反応の反応温度としては、例えば0〜50℃であり、4℃〜40℃が好ましい。1次反応の反応時間としては、例えば5分間〜20時間である。1次反応後の固相の洗浄の際に使用する洗浄液としては、例えばリン酸緩衝化生理食塩水(0.15mol/L塩化ナトリウムを含有する10mmol/Lリン酸緩衝液、pH7.2、以下、PBSと記す)や界面活性剤を含有するPBSなどがあげられる。界面活性剤としては、例えばツイーン20などの非イオン性界面活性剤などがあげられる。
【0052】
2次反応は水性媒体中で行われることが好ましい。2次反応において使用され、酵素標識化抗を形成する抗体(第1の抗体)における抗原決定基は、1次反応において使用される抗体(第2の抗体)における抗原決定基と異なっていることが好ましい。2次反応の反応温度としては、例えば0〜50℃であり、4℃〜40℃が好ましい。2次反応の反応時間としては、例えば5分間〜20時間である。1次反応後の固相の洗浄の際に使用する洗浄液としては、例えば前記の洗浄液などがあげられる。
【0053】
2次反応により固相上に生成した免疫複合体中の酵素標識の活性を測定する方法としては、酵素の基質を当該酵素と反応させ、生成した物質を測定することにより、免疫複合体中の酵素活性を測定することができる。酵素の基質と当該酵素との反応は、水性媒体中で行われることが好ましい。
酵素がペルオキシダーゼである場合には、例えば吸光度法、蛍光法、発光法などにより免疫複合体中のペルオキシダーゼ活性を測定することができる。吸光度法によりペルオキシダーゼ活性を測定する方法としては、例えばペルオキシダーゼとその基質である過酸化水素および酸化発色型色原体の組み合わせとを反応させ、反応液の吸光度を分光光度計などで測定する方法などがあげられる。酸化発色型色原体としては、例えばロイコ型色原体、酸化カップリング発色型色原体などがあげられる。
【0054】
ロイコ型色原体は、過酸化水素およびペルオキシダーゼなどの過酸化活性物質の存在下、単独で色素へ変換される物質である。具体的には、o−フェニレンジアミン(OPD)、テトラメチルベンジジン(TMB)、10−N−カルボキシメチルカルバモイル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン(CCAP)、10−N−メチルカルバモイル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン(MCDP)、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム塩(DA−64)、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン、ビス[3−ビス(4−クロロフェニル)メチル−4−ジメチルアミノフェニル]アミン(BCMA)などがあげられる。
【0055】
酸化カップリング発色型色原体は、過酸化水素およびペルオキシダーゼなどの過酸化活性物質の存在下、2つの化合物が酸化的カップリングして色素を生成する物質である。2つの化合物の組み合わせとしては、カプラーとアニリン類(トリンダー試薬)との組み合わせ、カプラーとフェノール類との組み合わせなどがあげられる。カプラーとしては、例えば4−アミノアンチピリン(4−AA)、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾンなどがあげられる。アニリン類としては、N−(3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOPS)、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(HDAOS)、N,N−ジメチル−3−メチルアニリン、N,N−ジ(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−サクシニルエチレンジアミン(EMSE)、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−アセチルエチレンジアミン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−4−フルオロ−3,5−ジメトキシアニリン(F−DAOS)などがあげられる。フェノール類としては、フェノール、4−クロロフェノール、3−メチルフェノール、3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸(HTIB)などがあげられる。
【0056】
過酸化水素の測定において、過酸化活性物質の濃度は、測定に適した濃度であれば特に制限はないが、過酸化活性物質としてパーオキシダーゼを用いる場合は、1〜100kU/Lが好ましい。また、酸化発色型色原体の濃度は、測定に適した濃度であれば特に制限はないが、0.01〜10g/Lが好ましい。
蛍光法によりペルオキシダーゼ活性を測定する方法としては、例えばペルオキシダーゼとその基質である過酸化水素および蛍光物質の組み合わせとを反応させ、生成した蛍光の強度を測定する方法などがあげられる。当該蛍光物質としては、例えば4−ヒドロキシフェニル酢酸、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、クマリンなどがあげられる。
【0057】
発光法によりペルオキシダーゼ活性を測定する方法としては、例えばペルオキシダーゼとその基質である過酸化水素および発光物質の組み合わせとを反応させ、生成した発光の強度を測定する方法などがあげられる。当該発光物質としては、例えばルミノールなどがあげられる。
酵素がアルカリ性ホスファターゼである場合には、例えば発光法などにより免疫複合体中のアルカリ性ホスファターゼ活性を測定することができる。発光法によりアルカリ性ホスファターゼ活性を測定する方法としては、例えばアルカリ性ホスファターゼとその基質とを反応させ、生成した発光の発光強度を発光強度計などで測定する方法などがあげられる。アルカリ性ホスファターゼの基質としては、例えば3−(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3’−ホスホリルオキシ)フェニル−1,2−ジオキセタン・二ナトリウム塩(AMPPD)、2−クロロ−5−{4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリシクロ(3.3.1.13,7)デカン]−4−イル}フェニルホスフェート・二ナトリウム塩(CDP−StarTM)、3−{4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリシクロ(3.3.1.13,7)デカン]−4−イル}フェニルホスフェート・二ナトリウム塩(CSPDTM)、[10−メチル−9(10H)−アクリジニルイデン]フェノキシメチルリン酸・二ナトリウム塩(LumigenTM APS−5)などがあげられる。
【0058】
酵素がルシフェラーゼである場合には、例えば発光法などにより免疫複合体中のルシフェラーゼ活性を測定することができる。発光法によりルシフェラーゼ活性を測定する方法としては、例えばルシフェラーゼとその基質とを反応させ、生成した発光の発光強度を発光強度計などで測定する方法などがあげられる。ルシフェラーゼの基質としては、例えばルシフェリンなどがあげられる。
【0059】
酵素がβ−D−ガラクトシダーゼである場合には、例えば吸光度法(比色法)などにより免疫複合体中のβ−D−ガラクトシダーゼ活性を測定することができる。吸光度法(比色法)によりβ−D−ガラクトシダーゼ活性を測定する方法としては、例えばβ−D−ガラクトシダーゼとその基質とを反応させ、反応液の吸光度を分光光度計などで測定する方法などがあげられる。β−D−ガラクトシダーゼの基質としては、例えば2−クロロ−4−ニトロフェニルβ−D−ラクトシド、2−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシド(ONPG−)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(X−gal)などがあげられる。
【0060】
酵素がグルコースオキシダーゼである場合には、グルコースオキシダーゼにその基質であるグルコースを作用させ、生成した過酸化水素を測定することにより、免疫複合体中のグルコースオキシダーゼ活性を測定することができる。過酸化水素の測定は、例えば前述のペルオキシダーゼ活性の測定法により行うことができる。
本発明の免疫学的定量方法においては、前述の緩衝剤、金属イオン、塩類、糖類、界面活性剤、防腐剤、タンパク質、タンパク質安定化剤などを反応に共存させることができる。
【0061】
20.定量試薬
本発明の測定対象物を定量する免疫学的測定方法に用いる試薬は、測定対象物に特異的に結合する第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2、1:3および2:1である酵素標識化抗体からなる群より選ばれる一つまたは複数の酵素標識化抗体のみを実質的に含有する酵素標識化抗体、必要に応じて、第1の抗体が結合する測定対象物の抗原決定部位とは異なる抗原決定部位に特異的に結合する第2の抗体に分離手段が結合している固相化抗体および/または酵素活性測定用試薬をさらに含有する。
【0062】
酵素標識化抗体としては、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2および1:3である酵素標識化抗体からなる群より選ばれる一つまたは複数の酵素標識化抗体のみを実質的に含有する酵素標識化抗体が好ましく、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1および1:2である酵素標識化抗体からなる群より選ばれる一つまたは複数の酵素標識化抗体のみを実質的に含有する酵素標識化抗体がより好ましい。
【0063】
酵素標識化抗体としては、第1の抗体と酵素の結合数が1:1または1:2である酵素標識化抗体が特に好ましく、酵素標識化抗体が混合物であるときは、第1の抗体と酵素の結合数が1:1または1:2である酵素標識化抗体の、全標識化抗体に対する分子数の割合が50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
【0064】
本発明の測定用試薬の具体的態様を以下に記す。
・試薬1
固相化抗体、酵素標識化抗体および、標識した酵素の活性測定用試薬を含有する試薬。
・試薬2
固相化抗体、酵素標識化抗体、IgG重合体および標識した酵素の活性測定用試薬を含有する試薬。
・試薬3
固相化抗体、酵素標識化抗体、マウスIgGおよび標識した酵素の活性測定用試薬を含有する試薬。
・試薬4
固相化抗体、酵素標識化抗体、IgG重合体、マウスIgGおよび標識した酵素の活性測定用試薬を含有する試薬。
【0065】
・試薬5
固相化抗体、酵素標識化抗体、抗体を標識している酵素を不活性化した酵素および標識した酵素の活性測定用試薬を含有する試薬。
・試薬6
固相化抗体、酵素標識化抗体、マウスIgG、抗体を標識している酵素を不活性化した酵素および標識した酵素の活性測定用試薬を含有する試薬。
・試薬7
固相化抗体、酵素標識化抗体、IgG重合体、抗体を標識している酵素を不活性化した酵素および標識した酵素の活性測定用試薬を含有する試薬。
・試薬8
固相化抗体、酵素標識化抗体、マウスIgG、IgG重合体、抗体を標識している酵素を不活性化した酵素および標識した酵素の活性測定用試薬を含有する試薬。
【0066】
・試薬9
固相化抗体、酵素標識化抗体、標識した酵素の活性測定用試薬および測定対象物標準品を含有する試薬。
・試薬10
固相化抗体、酵素標識化抗体、IgG重合体、標識した酵素の活性測定用試薬および測定対象物標準品を含有する試薬。
・試薬11
固相化抗体、酵素標識化抗体抗、マウスIgG、標識した酵素の活性測定用試薬および測定対象物標準品を含有する試薬。
・試薬12
固相化抗体、酵素標識化抗体抗、IgG重合体、マウスIgG、標識した酵素の活性測定用試薬および測定対象物標準品を含有する試薬。
【0067】
・試薬13
固相化抗体、酵素標識化抗体、抗体を標識している酵素を不活性化した酵素、標識した酵素の活性測定用試薬および測定対象物標準品を含有する試薬。
・試薬14
固相化抗体、酵素標識化抗体、マウスIgG、抗体を標識している酵素を不活性化した酵素、標識した酵素の活性測定用試薬および測定対象物標準品を含有する試薬。
・試薬15
固相化抗体、酵素標識化抗体、IgG重合体、抗体を標識している酵素を不活性化した酵素、標識した酵素の活性測定用試薬および測定対象物標準品を含有する試薬。
・試薬16
固相化抗体、酵素標識化抗体、マウスIgG、IgG重合体、抗体を標識している酵素を不活性化した酵素、標識した酵素の活性測定用試薬および測定対象物標準品を含有する試薬。
【0068】
本発明の測定用試薬における標識した酵素の活性測定用試薬としては、例えば当該酵素の基質を含有する試薬があげられる。当該酵素活性測定用試薬における酵素としては、例えば前述の酵素があげられる。当該基質としては、例えば前述の基質があげられる。
本発明の測定用試薬における測定対象物標準品としては、例えば既知濃度に調整された測定対象物の水溶液があげられる。
【0069】
本発明の測定用試薬は、キットの形態で保存、運搬されてもよく、また、必要に応じて、前述の緩衝剤、金属イオン、塩類、糖類、界面活性剤、防腐剤、タンパク質、タンパク質安定化剤などを含有してもよい。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、本実施例においては、下記メーカーの試薬、酵素、血清および器具を使用した。
ハイブリドーマAM92.3:ピアース社製
ハイブリドーマ7G7/B6:ピアース社製
α−MEM(Minimum Essential Medium alpha Medium):インビトロジェン(Invitrogen)社製
96穴マイクロタイタープレート:ナルジェ・ヌンク・インターナショナル(Nalge Nunc International)社製
BSA:インタージェン(InterGen)社製
サッカロース:関東化学社製
ツイーン20:関東化学社製
ゲンタマイシン:和光純薬工業社製
塩化ナトリウム:和光純薬工業社製
バイオエース:クミアイ化学工業社製
オルトフェニレンジアミン(OPD):シグマーアルドリッチ社製
尿素過酸化水素塩:シグマーアルドリッチ社製
プロクリン:シグマーアルドリッチ社製
POD:東洋紡績社製、ロシュ・ダイアグノスティックス社製
硫酸:関東化学社製
ペプシン:ロシュ・ダイアグノスティックス社製
イミノチオラン:ピアース社製
EMCS:ピアース社製
FBS:ハイクローン(HyClone)社製
NP−40:カルビオケム(Calbiochem)社製
マウスIgG:スカンティボデーズ・ラボラトリー(Scantibodies Laboratory)社製
プロキセルGXL:アビシア(Avecia)社製
POD安定化緩衝液:ダコサイトメーション社製
MES:同仁化学研究所社製
MAK33−IgG1/IgG1 Poly:ロシュ・ダイアグノスティックス社製
MAK33−IgG(2b)/Fab(2a)Poly:ロシュ・ダイアグノスティックス社製
正常人血清:アリエス社製
HAMA血清タイプI:ロシュ・ダイアグノスティックス社製
HAMA血清タイプII:ロシュ・ダイアグノスティックス社製
Inactive Poly−POD:ロシュ・ダイアグノスティックス社製
【0070】
参考例1 抗sIL−2Rモノクローナル抗体の調製と精製
抗sIL−2Rモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマAM92.3およびハイブリドーマ7G7/B6をそれぞれプリスタン等で処理したマウス腹腔に移植し、腹水を回収した。腹水からモノクローナル抗体を、常法に従いプロテインAカラムrプロテインAセファロース・ファスト・フロー(rProtein A Sepharose Fast Flow、アマシャム・バイオサイエンス社製)を用いて精製した。ハイブリドーマAM92.3より得られたモノクローナル抗体をKTM−302抗体、ハイブリドーマ7G7/B6より得られたモノクローナル抗体をKTM−303抗体とした。
【0071】
参考例2 sIL−2Rの調製
凍結保存された、sIL−2Rを分泌発現することが知られているリンフォーマ細胞株U937(大日本製薬株式会社製)を37℃の水浴で素早く解凍し、15mL滅菌チューブに移し10%FBS、ペニシリン、ストレプトマイシンを含有するα−MEMを10mL添加し、穏やかに懸濁した。これを室温で5分間遠心分離(1200rpm)した後、上清を吸引除去した。残渣に同培地を10mL添加し懸濁させた細胞懸濁液を25cm2Tフラスコに全量移し、炭酸ガス培養装置(5%CO、37℃)で2〜3日間培養した。その後、150cmTフラスコ、225cmTフラスコへと順次、拡大培養を行った。225cm2Tフラスコ内で細胞が100%コンフルエントになったことを確認した後、培養上清を滅菌された容器に回収し、4℃で10分間遠心分離(1200rpm)した。遠心分離により得られた上清を滅菌された容器に移し、15分間穏やかに撹拌した後、0.2μmフィルターでろ過処理をしたものをsIL−2Rの標準物質とした。
【0072】
なお、文献〔J.Immunol.,135,3172−3177(1985)〕に基づき、10%IL−2で4日間刺激した正常ヒトIL−2依存性T細胞の無細胞培養上清(無希釈)中に含まれるsIL−2Rの量を1000U/mLとして、標準物質の値付けを行った。
【0073】
参考例3 抗sIL−2Rモノクローナル抗体を固定化した固相の調製
KTM−302抗体を終濃度4μg/mLになるようにPBSで希釈し、固相用の96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに100μLずつ添加した。室温で1晩静置後、ブロッキング液〔1%BSA、5%サッカロース、0.05%ツイーン20、0.01%ゲンタマイシン硫酸塩を含有する10mmol/Lリン酸緩衝液、pH7.2〕で洗浄し、ブロッキング液を200μL加え室温で1晩静置しブロッキングした。ブロッキング液を除去した後、真空乾燥機で3日間乾燥し、抗sIL−2Rモノクローナル抗体固定化固相(プレート)を調製した。
【実施例1】
【0074】
(1)POD標識化抗sIL−2RモノクローナルF(ab’)抗体の作製
参考例1で調製したKTM−303抗体を0.01%ペプシンで消化した後、G3000SWカラム(東ソー社製;φ21.5mm×60cm)を用いたHPLCシステム(日立製作所社製)でF(ab’)を分離精製した。得られたF(ab’)4mgを100mmol/Lホウ酸緩衝液(pH8.0)で透析した。
該抗sIL−2RモノクローナルF(ab’)抗体とPOD(東洋紡績社製)とを以下のようにマレイミド法によって結合させた。
【0075】
すなわち、該F(ab’)をイミノチオランを用いてスルフヒドリル化し、セファデックスG−25カラム(アマシャム・バイオサイエンス社製)で未反応のイミノチオランを除去した。PODは、マレイミド化試薬EMCSを用いてマレイミド化し、セファデックスG−25カラムで未反応のEMCSを除去した。上述のスルフヒドリル化した該F(ab’)モノクローナル抗体とマレイミド化したPODとを混合し、30℃で30分間反応させ、POD標識化抗sIL−2RモノクローナルF(ab’)抗体を作製した。
【0076】
(2)ゲルろ過カラムクロマトグラフィーによるPOD標識化抗sIL−2RモノクローナルF(ab’)抗体の分離
F(ab’)抗体の分子量は約92kDa、PODの分子量は約44kDaである。従って、該抗体とPODの結合数が1:1である酵素標識化抗体の分子量は約136kDa、1:2のものは約180kDa、1:3のものは約224kDa、1:4のものは約268kDa、1:5のものは約312kDa、2:1のものは約228kDa、2:2のものは約272kDa、2:3のものは約316kDa、3:1のものは約320kDaと計算される。
【0077】
上記(1)に記載の方法で調製した標識化抗体を、G3000SWカラム(東ソー社製;φ21.5mm×60cm)を用いたHPLCシステム(日立製作所社製)で分画した。0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.4)を移動相として流速3mL/分、室温でHPLCを行った。フラクション回収は3mL/フラクションで行った。なお分子量マーカーは高分子量ゲルろ過較正用キット(HMW Gel Filtration Calibration Kit、アマシャム・バイオサイエンス社製)および低分子量ゲルろ過較正用キット(LMW Gel Filtration Calibration Kit、アマシャム・バイオサイエンス社製)を使用した。
【0078】
各フラクションの280nmでの吸光度を測定した結果を図1に示す。図1に示すように1)フラクション33、2)フラクション40、3)フラクション43、4)フラクション48、5)フラクション52に吸光度のピークが確認された。
分子量マーカーとの比較により推定された上記の吸光度のピークを示した各フラクションの分子量は、それぞれ1)250kDa以上、2)約170kDa、3)約140kDa、4)約100kDa、5)約40kDaであった。従って、1)フラクション33中の酵素標識化抗体は、F(ab’)とPODが重合化した標識化抗体、2)フラクション40中の酵素標識化抗体は、F(ab’)1分子にPOD2分子が結合した標識抗体、3)フラクション43中の酵素標識化抗体は、F(ab’)1分子にPOD1分子が結合した標識抗体、4)フラクション48には、未反応のF(ab’)が、5)フラクション52には、未反応のPODが含有されることが推測された。
【0079】
(3)SDS−PAGEによる各フラクション中の酵素標識化抗体の同定
上記(2)で得られたフラクション32〜52の各フラクションについて、それぞれのフラクション由来の蛋白量が2〜3μg/レーンになるように電気泳動用サンプルを調製した。このサンプルにSDS−PAGE用サンプルバッファー[8%SDS(和光純薬工業社製)、24% 2−メルカプトエタノール(ナカライテスク社製)、および40%グリセロール(関東化学社製)を含有する1mol/L Tris緩衝液、pH6.8]を1/4量添加し、95℃で5分間加熱した。熱処理したサンプルをSDS−PAGE用ゲル〔パジェル SPG−520L(アトー社製)〕に20μL/レーンでアプライし、ゲル1枚当たり20mAで電気泳動を行い、常法に従いバンドを検出した。なお、分子量マーカーはプレステインド・ブロード・レンジ〔Prestained Broad Range、Bio−Rad社製、250kDa、150kDa、100kDa、75kDa、50kDa、37kDa、25kDa、16kDa、10kDa)を使用した。
【0080】
SDS−PAGEで得られたバンドの位置と分子量マーカーから、フラクション32〜35中の酵素標識化抗体は、F(ab’)とPODの結合数がそれぞれ1:5、2:3、3:1などの高重合体である酵素標識化抗体の混合物(バンドはスメア状に観察された)、フラクション36中の酵素標識化抗体はF(ab’)とPODとの結合数がそれぞれ1:4および2:2である酵素標識化抗体、フラクション37中の酵素標識化抗体は、F(ab’)とPODとの結合数がそれぞれ1:4、1:3、2:1および2:2である酵素標識化抗体の混合物であると同定した。
【0081】
同様に、フラクション38中の酵素標識化抗体は、F(ab’)とPODとの結合数がそれぞれ1:3および2:1である酵素標識化抗体の混合物、フラクション39中の酵素標識化抗体は、F(ab’)とPODとの結合数がそれぞれ1:2、1:3および2:1である酵素標識化抗体の混合物、フラクション40〜41中の酵素標識化抗体は、F(ab’)とPODとの結合数が1:2である酵素標識化抗体、フラクション42中の酵素標識化抗体は、F(ab’)とPODとの結合数がそれぞれ1:2および1:1である酵素標識化抗体の混合物、フラクション43〜46中の酵素標識化抗体は、F(ab’)とPODとの結合数が1:1の酵素標識化抗体であると同定した。
【0082】
また、フラクション47中のタンパク質は、F(ab’)とPODとの結合数が1:1の酵素標識化抗体と未反応F(ab’)の混合物、フラクション48〜51中のタンパク質は、未反応F(ab’)、フラクション52中のタンパク質は未反応のPODであると同定した。
【0083】
(4)各フラクション中の酵素標識化抗体を用いるsIL−2Rの定量用検量線の作成
参考例3で調製した固相化プレートに、0U/mL、200U/mL、400U/mL、1600U/mL、3200U/mL、6400U/mLのsIL−2Rを含む標準物質溶液(150mmol/L塩化ナトリウム、4%BSA、1%サッカロースおよび0.01%バイオエースを含有する10mmol/Lリン酸緩衝液、pH7.5)を各ウェルに50μLずつ添加した。酵素標識化抗体希釈液[150mmol/L塩化ナトリウム、10%FBS、0.2%NP−40、100μg/mLマウスIgG、0.2%プロキセルGXL、10%POD安定化緩衝液および0.16μg/mL POD(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を含有する100mmol/Lの酢酸緩衝液、pH6.0]を用いて上記(2)の各フラクション中の標識化抗体を希釈して調製した標識化抗体溶液(24〜140ng/mL)を各ウェルに50μLずつ添加し、水平回転振とう器を用い室温で90分間振とうした(140〜160rpm)。洗浄液(150mmol/L塩化ナトリウム、0.05%ツイーン20を含有する10mmol/Lリン酸緩衝液、pH6.8)で各ウェルを洗浄後、OPD溶液〔2mg/mL OPD、0.75g/L尿素過酸化水素塩、0.01%プロクリン300を含有する100mmol/Lリン酸−クエン酸緩衝液、pH4.4〕を各ウェル100μLずつ添加し、室温で30分間、静置反応させた。反応停止液として1mol/L硫酸を50μL添加し、反応液の吸光度を主波長490nm、副波長660nmで測定した。抗原濃度と吸光度から各フラクションの標識化抗体別に検量線を作成した。
【0084】
(5)POD標識抗sIL−2Rモノクローナル抗体を用いた試料中のsIL−2Rの測定
試料として、HAMA血清タイプI(Lot.92069721)、HAMA血清タイプII(Lot.14482684)および正常人血清(Lot.101001−2)50μLを用い、各血清試料中のsIL−2Rを、上記(2)の各フラクションの標識化抗体を用いて上記(4)記載の方法で測定した。sIL−2R測定値(U/mL)を第1表に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:5、2:3、3:1などを含む高重合体である酵素標識化抗体であるフラクション32〜35ではHAMA血清タイプIにおけるsIL−2Rの測定値が1000U/mLを越えており、特に高重合化していると考えられるフラクション32は約16000U/mLと高値であった。また、抗体と酵素の結合数が1:4または2:2と同定されたフラクション36もかなりの高値を示した。
【0087】
しかし、抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:3、2:1、1:2および1:1である酵素標識化抗体からなる群より選ばれる一つまたは複数の酵素標識化抗体のみを含有すると同定されたフラクション38から46中の酵素標識化抗体では、ほぼ500U/mL以下とHAMA血清タイプIの非特異反応が抑制されることが示された。
特に、F(ab’)1分子にPOD2分子が結合した酵素標識化抗体を含有するフラクション40からF(ab’)1分子にPOD1分子が結合した酵素標識化抗体を含有するフラクション46付近で約300U/mLで平衡状態となった。
【0088】
これらの結果より、抗体1分子当たり少数の標識酵素分子が結合している酵素標識化抗体、好ましくは、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2、1:3および2:1である酵素標識化抗体からなる群より選ばれる一つまたは複数の酵素標識化抗体のみを実質的に含有する酵素標識化抗体、より好ましくは、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2および1:3である酵素標識化抗体からなる群より選ばれる一つまたは複数の酵素標識化抗体のみを実質的に含有する酵素標識化抗体、特に好ましくは、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1および1:2である酵素標識化抗体からなる群より選ばれる一つまたは複数の酵素標識化抗体のみを実質的に含有する酵素標識化抗体を用いることによりHAMA血清タイプIに強く認められる非特異反応が効果的に抑制されることが示される。
【実施例2】
【0089】
HAMA非特異反応におけるマウスIgGの効果
HAMAによる非特異的反応の抑制に及ぼすマウスIgGの添加効果を検討した。実施例1で調製したフラクション40〜46中の酵素標識化抗体を酵素標識抗体希釈液〔150mmol/L塩化ナトリウム、10%FBS、0.2%NP−40、マウスIgG、0.2%プロキセルGXL、10%POD安定化緩衝液、0.16μg/mL POD(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を含有する75mmol/L MES緩衝液(pH6.5)〕で希釈し、マウスIgG濃度をそれぞれ0.20、40、60、80、100、200μg/mLとなるように調製した。
【0090】
HAMA血清タイプI(Lot.92069721)、HAMA血清タイプII(Lot.14482684)および正常人血清(Lot.101001−2)各50μLを用い、各血清中のsIL−2R活性を、実施例1(5)と同様な方法で測定した。
結果を第2表に示す。
【0091】
【表2】

【0092】
マウスIgGが添加されていない時のHAMA血清タイプIIの測定値は9000U/mL以上でHAMAによる非特異反応が生じているが、マウスIgGを20μg/mL添加することでHAMAによる非特異反応が抑制され、437U/mLまで低下した。しかしながら、さらにマウスIgGを添加することでHAMA血清の測定値が低下し、80μg/mL以上の添加でsIL−2R値は平衡に達した。HAMA血清タイプIにおいても、80μg/mLで測定値が平衡に達したが、HAMA血清タイプIIの時のような大きな変化は見られなかった。また、正常人血清の測定値はマウスIgG濃度に依存せず一定であることから、マウスIgGの添加は、200μg/mLまで測定系に影響を及ぼさないことが確認された。これらの結果から、マウスIgGを80μg/mL以上添加することでHAMA血清タイプIIによる非特異反応を十分に抑制できることが判明した。HAMA血清タイプIにおいても抑制効果は確認された。
【実施例3】
【0093】
HAMA非特異反応における高重合化マウスIgGの効果および高重合化マウスIgGの至適濃度の検討
HAMAによる非特異的反応の抑制に及ぼす高重合化マウスIgGの添加を検討した。実施例1で調製したフラクション40〜46中の酵素標識化抗体を酵素標識抗体希釈液〔150mmol/L塩化ナトリウム、10%FBS、0.2%NP−40、100μg/mLマウスIgG、高重合化マウスIgG、0.2%プロキセルGXL、10%POD安定化緩衝液および0.16μg/mL POD(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を含有する75mmol/L MES緩衝液、pH6.5〕で希釈した。重合化マウスIgGとしてMAK33−IgG1/IgG1 Polyを用いた場合は、該濃度がそれぞれ0、75、100、125、150、175、200、300μg/mLとなるように酵素標識化抗体溶液を調製した。重合化マウスIgGとしてMAK33−IgG(2b)/Fab(2a)Polyを用いた場合には、該濃度がそれぞれ0、5、50、100μg/mLの濃度となるように酵素標識化抗体を調製した。
【0094】
HAMA血清タイプI(Lot.90643629)、HAMA血清タイプII(Lot.92069831)および正常人血清(Lot.101001−2)各50μLを用い、各血清中のsIL−2Rを、実施例1(5)と同様な方法で測定した。
MAK33−IgG1/IgG1 Polyの添加効果を第3表に示す。
【0095】
【表3】

【0096】
その結果、第3表に示すように、MAK33−IgG1/IgG1 Poly未添加の状態でのHAMA血清タイプI中のsIL 2Rの測定値は435U/mLであるが、MAK33−IgG1/IgG1 Polyの添加濃度依存的に測定値が低下し、添加濃度125μg/mL以上でsIL−2Rの測定値がほぼ一定となった。
また、MAK33−IgG1/IgG1 Polyを300μg/mLまで添加しても正常人血清の測定値が変動しておらず、300μg/mLまでのMAK33−IgG1/IgG1 Poly添加は測定系に影響を及ぼさないことが確認された。
【0097】
これらの結果より、酵素標識化抗体溶液にMAK33−IgG1/IgG1 Polyを125μg/mL以上添加することでHAMA血清タイプIによる非特異反応を十分に抑制できることが判明した。
また、MAK33−IgG(2b)/Fab(2a)Polyの添加効果を第4表に示す。
【0098】
【表4】

【0099】
第4表に示されているように、MAK33−IgG(2b)/Fab(2a)PolyをMAK33−IgG1/IgG1 Polyの代わりに用いた場合でも、同様に、HAMA血清タイプI中のsIL−2Rの測定値が低下した。
このことから、IgG1だけでなく、その他のサブタイプのIgG重合体を添加することでもHAMA血清タイプIによる非特異反応を抑制できることが判明した。
【実施例4】
【0100】
HAMA血清検体中のsIL−2Rの測定(1)
実施例1で調製したフラクション40〜46の酵素標識化抗体を標識化抗体希釈液(150mmol/L塩化ナトリウム、10%FBS、0.2%NP−40、100μg/mLマウスIgG、200μg/mL MAK33−IgG1/IgG1 Poly、0.2%プロキセルGXL、10%POD安定化緩衝液および0.16μg/mL PODを含有する75mmol/L MES緩衝液、pH6.5)により希釈して調製した酵素標識化抗体溶液を用いて、実施例1(5)の方法と同様により、HAMA血清タイプI(Lot.90643637)およびHAMA血清タイプII(Lot.92069840)中のsIL−2Rを測定した。以下、上記で調製した酵素標識化抗体溶液、および実施例1(4)に記載の方法で用いる酵素標識化抗体溶液以外の試薬(参考例3で調製した固相化プレート、実施例1(4)の標準物質溶液、洗浄液、OPD溶液および反応停止液)をまとめて、「実施例4の試薬」とよぶ。以下に実施例4の試薬の組成を記載する。
【0101】
実施例4の試薬
抗sIL−2R抗体固定化プレート:4μg/mL KTM−302抗体を100μL/ウェルで固相化した8ウェル×12ストリップの96ウェルマイクロタイタープレート
標準物質溶液:0U/mL、200U/mL、400U/mL、1600U/mL、3200U/mL、6400U/mLのsIL−2Rをそれぞれ含む標準物質溶液(150mmol/L塩化ナトリウム、4%BSA、1%サッカロースおよび0.01%バイオエースを含有する10mmol/Lリン酸緩衝液、pH7.5)
酵素標識化抗体溶液:所定量(24〜140ng/mL)の実施例1のフラクション40〜46のPOD標識化抗体を含む標識化抗体希釈液(150mmol/L塩化ナトリウム、10%FBS、0.2%NP−40、100μg/mLマウスIgG、200μg/mL MAK33−IgG1/IgG1 Poly、0.2%プロキセルGXL、10%POD安定化緩衝液および0.16μg/mL PODを含有する75mmol/L MES緩衝液、pH6.5)
洗浄液:150mmol/L塩化ナトリウム、0.05%ツイーン20を含有する10mmol/Lリン酸緩衝液、pH6.8
OPD溶液:2mg/mL OPD、0.75g/L尿素過酸化水素塩、0.01%プロクリン300を含有する100mmol/Lリン酸−クエン酸緩衝液、pH4.4
反応停止液:1mol/L硫酸
また、別にイムライズIL−2R(DPC社製)を用いた各血清中のsIL−2Rの測定も行った。結果を表5表に示す。
【0102】
【表5】

【0103】
その結果、イムライズIL−2Rのキットを用いた測定よりも、HAMA血清中のsIL−2Rが低く、HAMAの非特異反応を十分に抑制できていることが示唆された。
【実施例5】
【0104】
HAMAを含む検体のsIL−2Rの測定(2)
正常人血清にHAMA血清を量を変えて添加した検体のsIL−2Rを測定し、HAMAの濃度が測定値に及ぼす影響を調べた。
まず、検体の調製に用いるHAMA血清タイプI(Lot.90643656)、HAMA血清タイプII(Lot.92069858)および正常人血清(F41489B)を試料とし、各試料のsIL−2Rを実施例4の試薬を用いて測定し、またHAMAをHAMA測定用サンドイッチELISAキットであるイムストリップHAMAフラグメント(ImmuSTRIP HAMA Fragment)〔イムノメディクス(Immunomedics)社製〕を用いて測定した。それぞれの測定結果、および検体の調製には5倍濃縮したHAMA血清(以下、5×HAMA血清とよぶ)を用いるので、5×HAMA血清のsIL−2RおよびHAMAの濃度の理論値(理論値=測定値×5)を第6表に示した。
【0105】
【表6】

【0106】
5×HAMA血清(タイプIまたはタイプII)と正常人血清とを1:1、1:2および1:4でそれぞれ混合したものを試料として、各試料のsIL−2Rを実施例4の試薬およびイムライズIL−2Rを用いて測定した。一方、上記で求めた5×HAMA血清および正常人血清のsIL−2R濃度と試料の血清の混合比とから計算される、各試料のsIL−2Rの理論値を求め、さらに各試料のsIL−2Rの理論値に対する測定値の比から、測定値への影響率(%)を求めた。各試料のHAMAの濃度もsIL−2Rの理論値と同様にして計算により求めた。
5×HAMA血清と正常人血清の混合比が1:aの場合のsIL−2Rの理論値
=(5×HAMA血清のsIL−2R濃度(理論値)+正常人血清のsIL−2R濃度×a)/(1+a)影響率(%)=〔(sIL−2R濃度の測定値/sIL−2R濃度の理論値)×100〕−100
第7表に実施例4の試薬を用いた場合、第8表にイムライズIL−2Rを用いた場合それぞれの、各試料中のHAMAの濃度、sIL−2R濃度の理論値と測定値、影響率を示した。
【0107】
【表7】

【0108】
【表8】

【0109】
HAMA血清タイプIに関して、実施例4の試薬で測定した場合は、HAMA濃度が65.3μg/mL(市販HAMA血清タイプIに含まれるHAMAの2.5倍)まで上昇しても測定値への影響率は10%以下であるが、イムライズIL−2Rで測定した場合は、測定値への影響率が30〜40%でありHAMAの影響を受けることが判明した。また、HAMA血清タイプIIに関して、実施例4の試薬で測定した場合は、HAMA濃度が31.1μg/mL(市販HAMA血清タイプIIに含まれるHAMAの2.5倍)まで上昇しても測定値への影響率は5%以下であるが、イムライズIL−2Rで測定した場合は、測定値への影響率が120〜160%でありHAMAの影響を大きく受けることが判明した。これらの結果からも、イムライズIL−2RではHAMAによる非特異反応の抑制が不十分であるが、実施例4の試薬は、HAMAによる非特異反応を十分に抑制できていることが示唆された。
【実施例6】
【0110】
sIL−2R測定キット
下記の各試薬からなる試薬キットを構成した。
1)抗sIL−2R抗体固定化プレート
4μg/mL KTM−302抗体を100μL/ウェルで固相化した8ウェル×12ストリップの96ウェルマイクロタイタープレート
2)酵素標識化抗体
組成:所定量(24〜140ng/mL)の実施例1のフラクション40〜46のPOD標識化抗体を含む標識化抗体希釈液(150mmol/L塩化ナトリウム、10%FBS、0.2%NP−40、100μg/mLマウスIgG、200μg/mL MAK33−IgG1/IgG1 Poly、0.2%プロキセルGXL、10%POD安定化緩衝液および0.16μg/mLPODを含有する75mmol/L MES緩衝液、pH6.5)
容量:6mL/ボトル
3)標準物質
0U/mL、200U/mL、400U/mL、1600U/mL、3200U/mL、6400U/mLのsIL−2Rをそれぞれ含む標準物質溶液(150mmol/L塩化ナトリウム、4%BSA、1%サッカロースおよび0.01%バイオエースを含有する10mmol/Lリン酸緩衝液、pH7.5)0.5mL/バイアル相当の凍結乾燥品
4)検体希釈液
組成:150mmol/L塩化ナトリウム、4%BSA、1%サッカロース、0.2%プロキセルGXLおよび20μg/mLマウスIgGを含有する10mmol/Lリン酸緩衝液(pH7.45)
容量:6mL/ボトル。
5)発色基質
OPDタブレット(シグマーアルドリッチ社製)10mg/錠×6
6)発色基質溶解液
組成:0.75g/L尿素過酸化水素塩および0.1%プロクリン300を含有する100mmol/Lリン酸−クエン酸緩衝液(pH4.4)
容量:30mL/ボトル
7)反応停止液
組成:1mol/L硫酸
容量:6mL/ボトル
8)洗浄液
150mmol/L塩化ナトリウムおよび0.05%ツイーン20を含有する10mmol/Lリン酸緩衝液(pH6.8)
【実施例7】
【0111】
PODに反応する抗体に起因する非特異反応の抑制
(1)HAMA以外の原因による非特異反応を示す検体
ヒトの血清である検体Aを、検体希釈液(50mmol/L塩化ナトリウム、4%BSA、1%サッカロース、0.2%プロキセルGXLおよび20μg/mLマウスIgGを含有する10mmol/Lリン酸緩衝液、pH7.45)で1/1、1/4、1/8に希釈し、それぞれのsIL−2Rの濃度を実施例4の試薬で測定した。第9表に、測定値および測定値と希釈率とから求めた検体原液のsIL−2Rの計算値を示した。検体原液のsIL−2R計算値が希釈率によって異なっていて、希釈直線性が不良であり、非特異反応が生じていることが判明した。
【0112】
【表9】

【0113】
検体Aの非特異反応の原因がHAMAであるかどうかを確認するため、検体Aに含まれるHAMAの濃度を、HAMA測定キットであるHAMA ELISA(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を用いて測定した。結果を第10表に示したが、HAMA血清タイプI、HAMA血清タイプIIでは、高濃度のHAMAが検出されたが、検体AのHAMA値は定量限界である5ng/mLを下回っており、HAMAの存在が否定された。したがって、検体Aの非特異反応は、HAMA以外の原因によるものと考えられた。
【0114】
【表10】

【0115】
(2)検体Aの非特異反応の抑制
検体Aを検体希釈液で1/2、1/4、1/6、1/11、1/21、1/31に希釈し、以下に示す構成からなる、過ヨウ素酸法で標識されたPOD標識抗体を用いたsIL−2R測定試薬(以下、sIL−2R測定試薬Bとよぶ)を用いてsIL−2Rを測定し、測定値と希釈率から検体原液のsIL−2Rの計算値を求めた。なお、sIL−2R測定試薬Bは酵素標識化抗体溶液以外は実施例4の試薬と同じ構成であり、そのPOD標識抗体は、ゲルろ過による抗体の分離はされていない。
【0116】
sIL−2R測定試薬B
抗sIL−2R抗体固定化プレート:4μg/mL KTM−302抗体を100μL/ウェルで固相化した8ウェル×12ストリップの96ウェルマイクロタイタープレート
標準物質溶液:0U/mL、200U/mL、400U/mL、1600U/mL、3200U/mL、6400U/mLのsIL−2Rをそれぞれ含む標準物質溶液(150mmol/L塩化ナトリウム、4%BSA、1%サッカロースおよび0.01%バイオエースを含有する10mmol/Lリン酸緩衝液、pH7.5)
酵素標識化抗体溶液:所定量(24〜140ng/mL)の過ヨウ素酸法で標識されたPOD標識化抗体を含む標識化抗体希釈液(150mmol/L塩化ナトリウム、10%FBS、0.2%NP−40、20μg/mLマウスIgG、0.2%プロキセルGXL、10%POD安定化緩衝液および0.16μg/mL POD)を含有する10mmol/Lリン酸緩衝液、pH7.5)
洗浄液:150mmol/L塩化ナトリウム、0.05%ツイーン20を含有する10mmol/Lリン酸緩衝液、pH6.8
OPD溶液:2mg/mL OPD、0.75g/L尿素過酸化水素塩、0.01%プロクリン300を含有する100mmol/Lリン酸−クエン酸緩衝液、pH4.4
反応停止液:1mol/L硫酸
【0117】
一方、検体Aをマウス血清で1/2、1/4、1/8と希釈し、実施例4の試薬を用いてsIL−2Rの測定を行う非特異反応吸収試験の結果、検体Aに含まれるsIL−2Rの理論値は3624U/mLと計算された。上記および(1)の実施例4の試薬を用いた場合の各希釈率での検体原液のsIL−2Rの計算値について、理論値3624U/mLに対する比を求め、sIL−2R測定値、検体原液のsIL−2R計算値とともに、第11表(実施例4の試薬を用いた場合)および第12表(sIL−2R測定試薬Bを用いた場合)に示した。
【0118】
【表11】

【0119】
【表12】

【0120】
同じ希釈率1/4の検体の測定値で比較した場合に、実施例4の試薬と比べ、sIL−2R測定試薬Bでの測定値は約4倍の値を示した。また、実施例4の試薬は1/8の希釈率で非特異反応の影響がほぼなくなるのに対し、sIL−2R測定試薬Bでは、1/11の希釈率でも理論値に対し125%の値の非特異反応が見られ、ほぼ非特異反応の影響をなくすためには1/21〜1/31の希釈が必要であった。一般的に、過ヨウ素酸法により抗体と酵素を結合させると、重合化したハイコンジュゲートな標識抗体となることが報告されている(石川榮治著「酵素免疫測定法」1987年、医学書院発行)。したがって、sIL−2R測定試薬Bで使用している過ヨウ素酸法で標識されたPOD標識抗体は、抗体とPODの結合数が1:4や1:5のように抗体1分子当たりのPOD結合数が高いものや、抗体とPODの結合数が2:2、2:3および3:1のような抗体が重合したものが含まれていると考えられる。
【0121】
以上から、実施例1のフラクション40〜46のPOD標識化抗体、すなわち抗体とPODの結合数がそれぞれ1:1および1:2であるPOD標識抗体を用いた実施例4の試薬は、HAMA以外の原因による非特異反応に対しても効果的に抑制することが示された。
【0122】
(3)検体Aの非特異反応における不活性化したパーオキシダーゼの効果
200μg/mL MAK33−IgG Polyまたは400μg/mL Inactive Poly−PODを添加した酵素標識化抗体希釈液を用いた実施例4の試薬により、1/4希釈した検体Aおよびコントロール血清II(ヒト正常人血清にsIL−2Rを添加したもの)のsIL−2Rを測定した。対照として実施例4の試薬でも測定を行った。結果を第13表に示した。なお、コントロール血清IIに含まれるsIL2−RはsIL−2R測定試薬Bによる測定で2154U/mLであり、1/4希釈した検体AのsIL2−Rの理論値は906U/mL(3624U/mL×1/4)と計算された。
【0123】
【表13】

【0124】
実施例4の試薬に、200μg/mL MAK33−IgG Polyまたは400μg/mL inactive Ploy−PODを添加しても、コントロール血清IIの測定値が変化しないことから、測定系への影響はないと考えられた。
1/4希釈した検体Aの実施例4の試薬によるsIL−2R測定値は2022U/mLであり、理論値と比べると非特異反応が認められるが、標識化抗体希釈液にMAK33−IgG PolyまたはInactive Poly−PODを添加することにより、理論値付近まで測定値が低下し、非特異反応がさらに抑制されていた。特に、Inactive Poly−PODを添加により非特異反応がほぼ完全に抑制されていることから、PODと反応する抗体に起因する非特異反応が存在していることが判明した。実施例4の試薬は、検体Aの非特異反応、すなわちPODに反応する抗体に起因する非特異反応を抑制することができ、さらに不活性化したPODを共存させることで、抗POD抗体に起因する非特異反応を十分に抑制することができた。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明により、病態モニタリングや疾患の診断などに有用な試料中の測定対象物の免疫学的定量方法および定量試薬、ならびに、免疫学的定量方法における非特異的反応の抑制方法が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中、可溶性インターロイキン−2受容体に特異的に結合する第1の抗体に酵素が標識として結合している酵素標識化抗体を用いて試料中の可溶性インターロイキン−2受容体を定量する免疫学的定量法において、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2である酵素標識化抗体の、全標識化抗体に対する分子数の割合が50%以上である酵素標識化抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程および免疫複合体の酵素活性を測定する工程を含むことを特徴とする、標識酵素に反応する抗体に起因する非特異的反応が抑制された可溶性インターロイキン−2受容体の免疫学的定量方法。
【請求項2】
第1の抗体が結合する可溶性インターロイキン−2受容体の抗原決定部位とは異なる抗原決定部位に特異的に結合する第2の抗体に分離手段が結合している抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程を含む請求項1記載の免疫学的定量方法。
【請求項3】
第1の抗体が、Fc部分を除去した抗体である請求項1または2記載の免疫学的定量方法。
【請求項4】
酵素標識化抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程に、IgG重合体および/またはIgGを共存させる請求項1〜3のいずれかに記載の免疫学的定量方法。
【請求項5】
IgG重合体および/またはIgGが、マウスIgG重合体および/またはマウスIgGである請求項4記載の免疫学的定量方法。
【請求項6】
酵素標識化抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程に、該酵素標識化抗体の標識に用いる酵素と同じ酵素を不活性化した酵素を共存させる請求項1〜5のいずれかに記載の免疫学的定量方法。
【請求項7】
酵素がペルオキシダーゼである請求項1〜6のいずれかに記載の免疫学的定量方法。
【請求項8】
可溶性インターロイキン−2受容体に特異的に結合する第1の抗体に酵素が標識として結合している酵素標識化抗体であって、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2である酵素標識化抗体の、全標識化抗体に対する分子数の割合が50%以上である酵素標識化抗体を含有することを特徴とする、標識酵素に反応する抗体に起因する非特異的反応が抑制された可溶性インターロイキン−2受容体の免疫学的定量方法に用いる試薬。
【請求項9】
第1の抗体が結合する可溶性インターロイキン−2受容体の抗原決定部位とは異なる抗原決定部位に特異的に結合する第2の抗体に分離手段が結合している抗体を含有する請求項8記載の試薬。
【請求項10】
酵素活性測定用試薬を含有する請求項8または9記載の試薬。
【請求項11】
第1の抗体が、Fc部分を除去した抗体である請求項8〜10のいずれかに記載の試薬。
【請求項12】
IgG重合体および/またはIgGを含む請求項8〜11のいずれかに記載の試薬。
【請求項13】
IgG重合体および/またはIgGが、マウスIgG重合体および/またはマウスIgGである、請求項12記載の試薬。
【請求項14】
酵素標識化抗体の標識に用いる酵素と同じ酵素を不活性化した酵素を含む請求項8〜13のいずれかに記載の試薬。
【請求項15】
酵素がペルオキシダーゼである請求項8〜14のいずれかに記載の試薬。
【請求項16】
さらに、水性媒体、金属イオン、塩類、糖類、界面活性剤、防腐剤、タンパク質、タンパク質安定化剤からなる群より選ばれる一つまたは複数の物質を含有する請求項8〜15のいずれかに記載の試薬。
【請求項17】
可溶性インターロイキン−2受容体に特異的に結合する第1の抗体に酵素が標識として結合している酵素標識化抗体を用いて試料中の可溶性インターロイキン−2受容体を定量する免疫学的定量方法において、第1の抗体と酵素の結合数がそれぞれ1:1、1:2である酵素標識化抗体の、全標識化抗体に対する分子数の割合が50%以上である酵素標識化抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程を含むことを特徴とする、可溶性インターロイキン−2受容体の免疫学的定量方法における、標識酵素に反応する抗体に起因する非特異的反応の抑制方法。
【請求項18】
第1の抗体が結合する可溶性インターロイキン−2受容体の抗原決定部位とは異なる抗原決定部位に特異的に結合する第2の抗体に分離手段が結合している抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程を含む請求項17記載の抑制方法。
【請求項19】
第1の抗体が、Fc部分を除去した抗体である請求項17または18記載の抑制方法。
【請求項20】
酵素標識化抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程に、IgG重合体/またはIgGを共存させる請求項17〜19のいずれかに記載の抑制方法。
【請求項21】
IgG重合体/またはIgGが、マウスIgG重合体/またはマウスIgGである請求項20記載の抑制方法。
【請求項22】
酵素標識化抗体を試料に反応させ可溶性インターロイキン−2受容体との免疫複合体を形成させる工程に、該酵素標識化抗体の標識に用いる酵素と同じ酵素を不活性化した酵素を共存させる請求項17〜21のいずれかに記載の抑制方法。
【請求項23】
酵素がペルオキシダーゼである請求項17〜22のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−197014(P2011−197014A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147178(P2011−147178)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【分割の表示】特願2006−514609(P2006−514609)の分割
【原出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000162478)協和メデックス株式会社 (42)
【Fターム(参考)】