説明

非球状粒子及びその製造方法

【目的】 静電荷像を現像する為のトナーや生理活性物質固定化用担体として用いるに好適な非球状粒子を提供することである。
【構成】 複数個の重合体微粒子が会合してなる非球状粒子であって、該粒子が重合体微粒子分散液の臨界凝集濃度以上の凝集剤及び水に対して無限溶解する有機溶媒で処理されてなる非球状粒子。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電荷像を現像する為のトナーや、生理活性物質固定化用担体に用いられる非球状粒子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】従来、一般的に用いられているトナーは、各種重合法で得られるポリマーをカーボンブラック等の着色剤、帯電制御剤及び/又は磁性体と適宜乾式混合を行い、その後押出機等により溶融混練し、次いで粉砕、分級することにより製造されている。
【0003】又、別の方法として懸濁重合等により直接トナーを製造する方法が提案されている。又、乳化重合により生成した粒子を用いる方法も提案(特開昭60−220358号公報、特開平4−284461号公報)されている。しかしながら、上記のような溶融混練粉砕法によって得られたトナーは、トナー粒径の制御に限界があり、小粒径のトナーを収率良く製造することが困難であるばかりでなく、分散が不均一で、帯電分布がブロードになり易い。この結果、現像剤として用いた場合、解像度が低く、カブリ、飛散等が発生し易いという欠点を有している。
【0004】又、懸濁重合で直接製造する方法も、小粒径化が困難であるばかりか、その粒度分布は非常に広いものとなる欠点を有している。又、重合法で製造されるトナーは基本的に真球状になる。この真球状のトナーは電子写真プロセス内で、クリーニングが困難であるという欠点を有している。一方、特開昭60−220358号公報及び特開平4−284461号公報に開示された方法は、非球形粒子を得ることが可能な方法であるが、粒径、粒度分布を制御することが困難で、反応終了後所望の粒径、粒度分布にする為、分級する必要がある。更に、特開平4−284461号公報に開示された方法は、顔料と重合体粒子のゼータ電位を調整することが困難である。又、本来、この方法では大粒子と小粒子の比率を厳密に規定しなければならないが、この規定がない為、粒径の制御が困難であること、又、生成した粒子が強固な構造を持てず、機械的強度を持ち得ないという欠点を有している。
【0005】又、生理活性物を固定する担体は、通常、球状重合体ビーズが用いられている。生理活性物質担持用担体としての球状ビーズは、表面積を大きくとる為には粒径を小さくする必要があり、この結果、操作性が悪く、かつ、カラム等の反応容器内に充填し、反応液を通液した際の圧損失が非常に大きいという欠点を有している。逆に、粒径を大きくすると、表面積が小さくなり、生理活性物質の担持量が少なくなるという欠点を有している。
【0006】
【発明の開示】本発明の目的は、例えば静電荷像を現像する為のトナーや生理活性物質固定化用担体として用いるに好適な非球状粒子を提供することである。すなわち、粒径が充分制御され、粒度分布が狭く、機械的強度が高く、特に粒度調節する為の工程を経ずとも良く、静電記録用のトナーとして用いた場合、解像度に優れ、カブリ、飛散が少ない電子写真用トナーを提供することを目的とする。
【0007】又、生理活性物質固定化用担体として用いた場合、表面積が十分大きく、生理活性物質の担持量が多く、充填した際の圧損失が小さい生理活性物質担持用担体を提供することを目的とする。ところで、本発明者らは、幅広い粒径の範囲で制御が可能であり、かつ、粒度分布が狭く、解像度が高く、カブリや飛散が発生しない粒子会合型重合トナーについて種々検討を重ねた結果、重合体粒子に対し一定の処理を行うことにより前述の目的が達成されることを見出した。
【0008】即ち、重合体微粒子を複数個会合・融着してなる非球形重合体粒子において、臨界凝集濃度以上の濃度の凝集剤及び水に対して無限溶解する有機溶媒で処理することによって上記の目的が達成される微粒子が得られることを見出したのである。又、重合体微粒子分散液に凝集剤を該分散液の臨界凝集濃度以上の濃度で添加し、更に水に対して無限溶解する有機溶媒を添加し、重合体微粒子のガラス転移温度(Tg)以上の温度で加熱融着することにより上記の目的が達成される微粒子が得られることを見出したのである。
【0009】このような知見を基にして本発明が達成されたものであり、上記本発明の目的は、複数個の重合体微粒子が会合してなる非球状粒子であって、該粒子が重合体微粒子分散液の臨界凝集濃度以上の凝集剤及び水に対して無限溶解する有機溶媒で処理されたことを特徴とする非球状粒子によって達成される。又、複数個の重合体微粒子が会合してなる非球状粒子の製造方法であって、a) 重合体微粒子分散液に、臨界凝集濃度以上の金属塩又は金属塩水溶液を添加する工程、b) 金属塩含有重合体微粒子溶液に、水に無限溶解する有機溶媒を添加する工程、c) 上記混合液を重合体微粒子のガラス転移温度以上で加熱する工程を具備することを特徴とする非球状粒子の製造方法によって達成される。
【0010】以下、本発明について詳しく説明する。
〔凝集剤〕本発明で用いられる凝集剤は金属塩の中から選択されるものが好ましい。金属塩としては、一価の金属、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属、例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、マンガン、銅等の二価の金属塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属塩等が挙げられる。これら金属塩の具体的な数例を以下に示す。一価の金属の金属塩の具体例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、二価の金属の金属塩として塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられる。三価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等が挙げられる。これらは目的に応じて適宜選択される。一般的には一価の金属塩より二価の金属塩のほうが臨界凝集濃度(凝析値あるいは凝析点)が小さく、更に三価の金属塩の臨界凝集濃度は小さい。
【0011】本発明の臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こる点の濃度を示している。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著 高分子化学17,601(1960)等に記述されており、これらの記載に従えばその値を知ることが出来る。又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
【0012】本発明の金属塩を用いて臨界凝集濃度以上の濃度になるように重合体微粒子分散液を処理する。この時、当然の事ながら、金属塩を直接加えるか、水溶液として加えるかは、その目的に応じて任意に選択される。水溶液として加える場合には、重合体微粒子分散液の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属塩が重合体微粒子分散液の臨界凝集濃度以上になる必要がある。
【0013】本発明における凝集剤たる金属塩の濃度は、臨界凝集濃度以上であれば良いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上添加される。
〔水に無限溶解する有機溶媒〕本発明の水に無限溶解する溶媒は、重合体微粒子を溶解させないものが好ましい。具体例としてメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等が挙げられる。
【0014】本発明における水に対して無限溶解する有機溶媒は、凝集剤含有重合体微粒子分散液に対し1〜300%の範囲から適宜選択される。
〔重合体微粒子〕重合体微粒子は、一般に、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、沈澱重合法、界面重合法、合成樹脂の粉砕微粉等を用いることが可能であるが、好ましくは乳化重合法により製造される重合体微粒子が用いられる。
【0015】本発明に係る固体成分を重合体微粒子と複合化させる為には、例えば懸濁重合法を採用するのが容易である。これらは本発明に係る固体成分を所望の単量体中に固体成分を分散するか、又は固体成分が溶解可能であれば、単量体中に溶解させた後に分散剤中に分散し、重合することで合成可能である。他の重合方法に関しても、前記懸濁重合で調整した後に、固体成分を単量体中に分散又は溶解した溶液を用い、各々の重合法に従い重合することで固体成分を複合化した重合体微粒子を得ることが可能である。
【0016】特に好ましくは、本発明の固体成分複合化非球状粒子を調整する際には、固体成分複合重合体微粒子を用いることが好ましい。固体成分複合重合体微粒子は、臨界ミセル形成濃度(CMC)以上の濃度の界面活性剤の存在下で本発明に係る固体成分を分散し、この固体成分分散液が含有する界面活性剤がCMC以下になるように希釈を行い、ラジカル重合性単量体及びラジカル重合開始剤を添加し、所定の温度で重合を行うことにより得られる。
【0017】これらの重合体微粒子の粒径は目的とする非球状粒子の粒径以下であれば任意に用いることが可能であるが、一般的に用いられる重合体微粒子の粒径としては約0.01〜10μmの範囲のものが好ましい。
〔単量体〕本発明の重合体微粒子を得る為には、疎水性単量体が用いられる。更に必要に応じてイオン性解離基を有する単量体を含有させることが可能である。このイオン性解離基を有する単量体は全体の単量体に対し約0.1〜30重量%、好ましくは約0.5〜20重量%の範囲で含有することである。
【0018】本発明の疎水性単量体の例としては、スチレン誘導体、例えばスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−クロルスチレン、o−クロルスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、p−エトキシスチレン、p−ブトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジクロルスチレン、p−クロルメチルスチレン、o−クロルメチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン等が挙げられる。(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸エステル類も挙げられる。又、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル系単量体、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体、酢酸ビニルや酪酸ビニル等のビニルエステル系単量体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ジメチルブタジエン等の共役ジエン類等も挙げられる。これらは必要に応じて単独又は二種以上で用いられる。又、以下のイオン解離性基を有する単量体と組み合わせて用いられる。
【0019】本発明に係る重合体微粒子は、解離性基を有する重合体単位を有することも可能である。解離性基を有する単量体単位とは、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基(第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン等を含む)、第四級アンモニウム塩等の基が単量体構造中に含まれる単量体を示す。具体例としては、例えばカルボキシル基を含む単量体としてアクリル酸、メタクリル酸、マイレン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。スルホン酸基を有する単量体としてスチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート及びこれらの塩等が挙げられる。リン酸基を有する単量体としてアシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0020】更に、アミノ基アクリル(メタクリル)酸エステル又はアクリル(メタクリル)酸アミドあるいは任意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノ又はジ置換されたアクリル(メタクリル)酸アミド、又はNを環員として有する複素環で置換されたビニル化合物及びN,N−ジアリルアルキルアミン或いはその第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらアクリル(メタクリル)酸エステルの具体例として、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等)及びこれらの酸塩又は第四級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
【0021】アクリル(メタクリル)酸アミド或いは任意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノ又はジ置換されたアクリル(メタクリル)酸アミドの具体例としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ピペラジル(メタ)アクリルアミド、N−オクタデシルメタアクリルアミド等を挙げることができる。
【0022】Nを環員として有する複素環で置換されたビニル化合物及びN,N−ジアリルアルキルアミン或いはその第四級アンモニウム塩の具体例として、例えばビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール及びこれらの第四級アンモニウム塩、更にN,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0023】更に、ビニルベンジルクロライド、ビニルフェネチルクロライド等の活性ハロゲンを有する単量体も用いることが可能である。例えば、このまま共重合成分として、共重合を行った後に適当なアミンを用い、3級アミン又は第四級アンモニウム塩にする事も可能である。又、ジアルキルアミン或いは第四級アンモニウム塩として共重合する事もできる。例えば、ビニルベンジルクロライドにジアルキルアミンをモノマーに反応或いは高分子反応で導入することができる。
【0024】これら上記各種単量体は、目的に応じ、例えば所望のガラス転移温度、溶融温度等にしたがって選択される。
〔ラジカル重合開始剤〕本発明の重合体微粒子を合成する際には、その重合方法に従ってラジカル重合開始剤の選択がなされる。即ち、懸濁重合法の場合、油溶性ラジカル重合開始剤が用いられ、乳化重合法の場合、水溶性ラジカル重合開始剤が用いられる。更に、分散重合の場合、用いられる分散媒によって適宜選択されるが、非水溶媒を用いる場合及び水混和性有機溶媒と水の混合溶媒を用いる際は、水溶性ラジカル重合開始剤を用いることが可能である。
【0025】水溶性ラジカル重合開始剤の例として過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等、水溶性アゾ化合物、例えばアゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩等、水溶性過酸化物、例えば過酸化水素等が挙げられる。油溶性ラジカル重合開始剤の例としては、油溶性過酸化物、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。油溶性アゾ系重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等が挙げられる。これらは目的とする重合体微粒子の分子量等にしたがって添加量を決定する事が可能である。更には、必要に応じて、分子量調節剤、例えばチオール化合物に代表される連鎖移動剤、例えばドデカンチオール、オクチルチオール等を挙げることが可能である。
【0026】本発明に係る重合体微粒子は、そのTgが−10〜120℃の範囲にあれば良く、更に好ましくは0〜90℃である。又、軟化点は80〜220℃の範囲である。上記重合体微粒子の単量体組成はこの範囲を満足するものであり、かつ、解離性基を有する重合体単位を重合体に対し約0.1〜20重量%含有されておれば良く、その他の共重合モノマーの種類及び組成は問わない。
【0027】本発明に係る重合体微粒子の分子量は特に限定されないが、トナーとして用いる場合は重量平均分子量で2000〜1000000、好ましくは8000〜500000である。又、分子量分布は重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mnと略記する)で1.5〜100、好ましくは1.8〜50である。
〔固体成分〕本発明に係る重合体微粒子は、前述の如く固体成分と複合することができる。固体成分は必要に応じて種々の物質と複合化することが可能でる。固体成分として一般的なものは顔料、染料等である。特に、電子写真用トナーとして用いる場合、前記顔料、染料、定着性改良剤、帯電制御剤等が挙げることができる。これらは単独又は併用して複合することができる。
【0028】顔料としては、無機顔料、有機顔料が挙げられる。無機顔料としてはカーボンブラック、グラフト化カーボン、ファーネスブラック、サーマトミックカボーン等のカーボン系顔料、マグネタイト、フェライト、ベンガラ、酸化チタン、亜鉛華、シリカ、酸化クロム、コバルトブルー、ウルトラマリーン、セルリアンブルー、ミネラルバイオレット、四酸化三鉛等の金属酸化物系顔料、亜鉛粉、鉄粉、銅粉等の金属粉系顔料、硫化亜鉛、カドミウムレッド、硫化水銀、セレンレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料、モリブデンレッド、バリウムイエロー、スチロンチウムイエロー、クロムイエロー等のクロム酸塩系顔料、ミロリブルー等のフェロシアン化塩系顔料などが一例として挙げられる。
【0029】特に、無機顔料としてはマグネタイト、フェライト等の磁性材料が好ましい。有機顔料としては、カラーインデックス等に記載されているような化合物が挙げられる。例えば、シアン又はグリーン顔料として、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0030】マゼンタ又はレッド顔料としてC.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0031】イエロー又はオレンジ顔料としてはC.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180等が挙げられる。
【0032】一般的には、シアン有機顔料としてはC.I.ピグメントブルー15:3として知られる銅−フタロシアニンが、マゼンタ有機顔料としてはC.I.ピグメントレッド122として知られるジメチルキナクリドンが、イエロー有機顔料としてはC.I.ピグメントイエローとして知られるジスアゾイエローが用いられる。
【0033】更に、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、酸化処理されたポリエチレン、酸化処理されたポリプロピレン、酸変性処理されたポリエチレン、酸変性処理されたポリプロピレン、ポリオレフィン系ワックス(例えば、東邦化学工業社製のハイテック)等の定着性改良剤を用いることが出来る。又、ニグロシン系の電子供与性染料、ナフテン酸や高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩、アルキルアミド、金属錯体、顔料、フッ素処理活性剤などのプラスの帯電制御剤や、電子受容性の有機錯体、塩素化パラフィン、塩素化ポリエステル、銅フタロシアニンのスルホニルアミン等のマイナスの帯電制御剤を用いることが出来る。
【0034】これらは各々重合体に対し約0.1〜25重量%含有することができる。
〔非球形化反応〕本発明の非球形粒子は、本発明の重合体微粒子を複数個会合させて製造される。この際、着色剤は、重合体微粒子を複数個会合させる際、同時に分散液として添加し、会合時に複合化させても良い。好ましくは、本発明に係る重合体微粒子の合成時に同時に添加し、着色剤複合重合体微粒子を生成し、これを用いることが好ましい。これによって着色剤の分散性が著しく向上する。
【0035】本発明の非球状粒子は、本発明に係る重合体微粒子分散液に攪拌下、凝集剤である金属塩を臨界凝集濃度以上に添加し、更に水に無限溶解する有機溶媒を添加し、重合体微粒子のTg以上の温度で加熱することで達成できる。本発明は、その非球形粒子の平均粒径、粒度分布は凝集剤濃度、水に無限溶解する有機溶媒の添加濃度、更に重合体粒子のイオン性解離基を有する単量体単位の解離度により決定される。例えば、水に無限溶解する有機溶媒の添加温度及び重合体粒子のイオン性解離基を有する単量単位の解離度が一定の場合、凝集剤濃度が大きくなれば一般的に粒径は大きくなり、凝集剤濃度が小さくなれば粒径も小さくなる。同様に、凝集剤濃度、重合体粒子のイオン性解離基を有する単量体単位の解離度が一定の場合、水に無限溶解する有機溶媒の添加濃度が大きくなれば粒径は大きくなり、小さいと粒径は小さくなる。更に、重合体粒子のイオン性解離基を有する単量体単位の解離度を変化させると、解離度が大きくなると粒径は小さく、解離度が小さい場合は生成粒子の粒径も小さくなる。
【0036】すなわち、本発明において、前記三つの因子を適宜変化させる事で所望の粒径を得ることが出来る。又、この三つの因子の働きにより、非常に狭い粒度分布の粒子を得ることが出来る。
〔水に無限溶解する有機溶媒〕本発明の水に無限溶解する有機溶媒は、本発明に係る重合体微粒子を溶解させないものから選択される。少なくとも本発明に係る重合体微粒子を膨潤させる程度のものが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール等のアルコール類、更にアセトニトリル、1,4−ジオキサン等が挙げられる。好ましくはアルコール類が選択され、更に好ましくは2−プロパノールが挙げられる。
【0037】これら本発明の有機溶媒の添加量は、用いる溶媒、所望の粒径、そして凝集剤濃度、重合体微粒子のイオン解離性基を有する単量体単位の有無、更に解離度により適宜選択される。一般的には、重合体微粒子分散液に対し5〜300容量%で添加される。
〔製造方法〕本発明は重合体微粒子分散液に対し、必要量の金属塩又は金属塩水溶液を攪拌下で添加する。更に、水に対して無限溶解する有機溶媒を添加し、重合体微粒子のTgの−5℃〜+50℃の温度で加熱する工程が基本となる。但し、各添加剤の添加順序は特に規定されない。
【0038】以下に、本発明の製造工程について数例を示す。
製造法〔1〕
■重合体微粒子分散液を攪拌しつつ、塩又は塩水溶液を添加する。
■上記塩/重合体微粒子混合液に対し、水に無限溶解する有機溶媒を添加する。
■必要に応じて上記有機溶媒を含む塩/重合体微粒子混合液を水中に添加する。
■上記混合液を重合体微粒子のTgの−5℃から+50℃の温度範囲で加熱し、重合体微粒子を加熱融着させ、非球状粒子を得る。
【0039】製造法〔2〕
■重合体微粒子分散液を攪拌しつつ、水に無限溶解する有機溶媒を添加する。
■上記重合体微粒子水・有機溶媒混液分散液に対し、塩又は塩水溶液を添加混合する。
■必要に応じて上記有機溶媒を含む塩/重合体微粒子混合液を水中に添加する。
■上記混合液を重合体微粒子のTgの−5℃から+50℃の温度範囲で加熱し、重合体微粒子を加熱融着させ、非球状粒子を得る。
【0040】製造法〔3〕
■重合体微粒子分散液を攪拌しつつ、塩水溶液を添加する。
■更に、上記塩/重合体微粒子混合液に対し水に対し無限溶解する有機溶媒を添加する。
■必要に応じて上記有機溶媒を含む塩/重合体微粒子混合液を水中に添加する。
■上記混合液を重合体微粒子のTgの−5℃から+50℃の温度範囲で加熱し、重合体微粒子を加熱融着させ、非球状粒子を得る。
【0041】製造法〔4〕
■重合体微粒子分散液を攪拌しつつ、水に対して無限溶解する有機溶媒を添加する。
■更に上記重合体微粒子水/有機溶媒混合液に対し、塩又は塩水溶液を添加する。
■必要に応じて上記有機溶媒を含む塩/重合体微粒子混合液を水中に添加する。
■上記混合液を重合体微粒子のTgの−5℃から+50℃の温度範囲で加熱し、重合体微粒子を加熱融着させ、非球状粒子を得る。
【0042】製造法〔5〕
■塩水溶液及び水に対して無限溶解する有機溶媒の混合液を重合体微粒子分散液に添加するか、又は逆の操作を攪拌下に行う。
■上記混合液を重合体微粒子のTgの−5℃から+50℃の温度範囲で加熱し、重合体微粒子を加熱融着させ、非球状粒子を得る。
【0043】以上の操作は全て攪拌操作の下に行われる。幾つかの変法はここの範疇に入る。本発明における加熱温度は−5℃〜+50℃で選択される。この際、加熱温度及び加熱時間を適宜選択することで形状を制御できる。例えば、加熱温度が一定の場合、加熱時間が長くなるにつれて形状は真球状に近づく。又、加熱温度を高くすると、真球状になる速度が早くなる。
【0044】形状を表す指標としては幾つかの係数が提案されている。例えば、非球形化度として下記に示される値がある。
非球形化度=(非球状粒子のBET比表面積)/(非球状粒子の平均粒径から真球とし計算した時の表面積)
本発明の非球状粒子は、上記非球形化度が1.1以上である。特に、電子写真用トナーとして用いる場合は、非球形化度が約1.1〜5.0、好ましくは1.2〜3.5である。一方、生理活性物質固定用担体として利用する場合は、機械的強度に問題が無ければ粒子表面積が大きい方が好ましい。この為、非球形化度としては2.0以上、好ましくは2.5〜5.0である。
【0045】〔電子写真用トナー〕本発明の非球状粒子は、電子写真用トナーとして用いることが出来る。電子写真用トナーとして用いる場合、その平均粒径は約3〜25μmが好ましい。特に、本発明の非球形粒子は、小粒径になっても粒度分布に変化が無く、小さいままであり、分級操作等の後処理がなくとも収率高く得ることができる為、小粒径トナーとして用いるのに好ましい。特に、平均粒径約5μm程度が好ましく用いられる。本発明の非球形粒子は着色剤である顔料及び/又は染料を含有している。更に、帯電量を制御する為の帯電制御剤及び定着性改良剤を含有することが可能である。但し、帯電制御剤及び定着改良剤は必須では無い。例えば、本発明の非球形粒子は、イオン解離性基を有する単量体単位を含むことが出来る。このイオン解離性基を含む重合体単位の解離度を増加させることにより、非球形粒子の帯電量を増加させることが可能である。更に、イオン解離性基を含む重合体単位の含有量を増加すれば、帯電量を任意の水準に設定することが可能である。
【0046】上記形状係数で規定される非球形化度が約1.1〜5.0、更に好ましくは非球形化度が約1.2〜3.5が好ましい。これら非球形粒子は単独でもトナーとして用いられるが、流動化剤としてシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム及びこれらの疏水化処理物等を併用できる。流動化剤はトナー100重量部に対し0.01〜20重量部添加されることが好ましく、0.1〜10重量部添加されることが更に好ましい。更に滑剤としてステアリン酸のカドミウム、バリウム、ニッケル、コバルト、ストロンチウム、銅、マグネシウム、カルシウム塩等、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、コバルト、銅、鉛、マグネシウム塩、パルミチン酸の亜鉛、コバルト、銅、マグネシウム、ケイ素、カルシウム塩、リノール酸の亜鉛、コバルト、カルシウム塩、リシノール酸の亜鉛、カドミウム塩、カプリル酸の鉛塩、カプロン酸の鉛塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。これらは必要に応じて添加される。
【0047】〔生理活性物質固定化担体〕本発明の非球形粒子は生理活性物質固定用担体として用いることが可能である。本発明で言う生理活性物質とは、酵素、抗原、抗体、レセプター、デオキシリボ核酸、リボ核酸などが挙げられる。例えば、本発明の非球形粒子表面に酵素を化学的に又は物理的に固定させ、これを固定化酵素として用いる。酵素を固定化した本発明の非球形粒子を保温ジャケット付きカラムに充填し、保温ジャケットを酵素の至適温度(例えば、37℃)に調整し、指摘pH、イオン強度の緩衝液をカラム内に充填し、さらに酵素の基質を添加し、カラムから酵素反応後の生成物を取り出す、所謂リアクターとして用いることが可能である。更に、酵素を組み合わせて固定することで、分析用の固定化酵素を調整することが可能である。例えば、検体注のブドウ糖を分析する際にはグルコースオキシダーゼ(COD)及びパーオキシダーゼ(POD)を固定化した本発明の非球形粒子をカラムに充填し、pH=7.0の0.2Mリン酸緩衝液を満たし、ブドウ糖を含む検体及び色原体(例えば、ジアミノベンチジン)を添加し、色原体の色変化あるいは濃度変化を予め濃度既知のブドウ糖溶液から作成した検量線から求め、検体中のブドウ糖濃度を知ることが可能である。
【0048】更には、抗原抗体反応を用いる酵素免疫測定法、リセプターアッセイ法、更にDNAやRNAの相補的結合反応等を用いることが可能である。更に、抗原抗体反応を用いるラテックス凝集反応あるいは凝集阻止反応等の担体として用いることが可能である。リアクターとして用いる場合の非球形粒子は平均粒径が25〜100μmのものを用いることが好ましく、凝集反応用の担体として利用する場合には0.3〜1.5μmのものが好ましい。又、非球形化度は、機械的強度があれば大きい程同一粒径での表面積が大きくなることから好ましく、例えば非球形化度としては2.0以上、好ましくは2.5〜5.0である。
【0049】以下に本発明を具体的な実施例をもって説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0050】
【実施例】
〔実施例1〕
〔重合体粒子の合成〕500mlの冷却管、温度計、攪拌装置、窒素導入管を付けた四頭フラスコを用意し、ここに脱気したイオン交換水300ml、トライトン−770(Rohm & Hass社より入手、アルキルフェノキシポリエトキシスルホン酸ナトリウム)1.8gを入れ、更にこれにスチレン36g、n−ブチルアクリレート6.75g、メタクリル酸2.25gを混合添加した。これを攪拌速度250rpmで攪拌しつつ、窒素を流した。内温を70℃まで昇温させた後、過硫酸カリウム1.8gを脱気済みイオン交換水50mlに溶解した開始剤水溶液を添加し、窒素気流下で70℃、7時間重合反応を行った後、No.3ガラスフィルターで濾過を行い、重合体微粒子を得た。これを光散乱電気泳動粒径測定装置ELS−800(大塚電子工業(株)製)を用い粒径を測定した。その結果は平均粒径0.06μmであった。
【0051】更に、モノマー組成をスチレン40.5g、アクリル酸4.5gに変え、他は同様の条件で重合を行った。同様にELS−800を用い粒径を測定した処、平均粒径は0.04μmであった。又、モノマー組成をスチレン45g単独とし、他は同様の条件で重合を行った。同様にELS−800を用い粒径を測定した処、平均粒径は0.12μmであった。
【0052】これらをP−01〜03とし、臨界凝集濃度を塩化カリウムを用いて常法にしたがって測定したところ、P−01は0.25mol/l、P−02は0.28mol/l、P−03は0.24mol/lであった。
〔着色剤複合重合体微粒子の合成〕イオン交換水50mlにドデシル硫酸ナトリウム0.346gを溶解した水溶液に、カーボンブラック(リーガル330、キャボット社製)1.62gを加え、分散を行った。分散液中のカーボンブラックの平均粒径は0.08μmであった。
【0053】この分散液を500mlの冷却管、温度形、攪拌装置、窒素導入管を付けた四頭フラスコに入れ、脱気済みイオン交換水150mlを加え、窒素気流下で攪拌速度500rpmで攪拌を行いつつ、内温を70℃に昇温した。70℃において脱気済みイオン交換水50mlに過硫酸カリウム1.125gを溶解した重合開始剤水溶液を添加し、7時間重合を行った後内温を室温まで下げ、No.3ガラスフィルターで濾過を行った。
【0054】上記反応において、モノマー、顔料等をかえて同様に重合を行った。結果は前記重合体の合成と併せて下記の表−1に示す。
表−1 モノマー組成 顔料(wt%) 平均粒径 Mw Mw/MnP−1 St/BA/MAA=80/15/5 − 0.06μm 7.4×104 3.16P−2 St/AA=90/10 − 0.12μm 10.5×104 4.18P−3 St/BA/MAA=80/15/5 CB(8wt%) 0.16μm 6.9×104 2.98P−4 St/BA/MAA=80/15/5 PB-15:3(8wt%) 0.21μm 7.2×104 3.18P−5 St/BA/MAA=80/15/5 PR-122(8wt%) 0.22μm 7.0×104 3.06P−6 St/BA/MAA=80/15/5 PY-17(8wt%) 0.24μm 7.1×104 3.28P−7 St/BA/DMAEA=80/15/5 CB(8wt%) 0.18μm 6.8×104 3.42P−8 St/BA/CMSt=65/20/15 CB(8wt%) 0.17μm 7.6×104 4.02表中St:スチレン、BA:n−ブチルアクリレート、MAA:メタクリル酸AA:アクリル酸、DMAEA:N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、CMSt:クロルメチルスチレン(ビニルベンジルクロリド)、CB:カーボンブラック、PB−15:3:ピグメンブルー15:3、PR−122:ピグメントレッド122、PY−17:ピクメントイエロー17〔非球状粒子の合成1〕前記着色粒子P−3を用い、これを1N−水酸化ナトリウム水溶液を用い、電導度測定装置で重合体微粒子中のMAAが一定量のナトリウム塩になるように調整した。この時の解離の程度を5,20,50,75,100%にした。この時の臨界凝集濃度を塩化カリウムを用いて測定した。更に、この状態の重合体微粒子分散液100mlを、攪拌装置、冷却管、温度計付き四頭フラスコに入れ、室温下で250rpmで攪拌しつつ、塩化カリウム2.98gを水50mlに溶解した塩水溶液を添加した後、iso−プロパノール50mlを添加し、更に水250mlを添加した。更に、内温を85℃まで昇温し、このまま6時間加熱攪拌した。
【0055】加熱を終了した分散液を、粒径測定装置SALD−1100(島津製作所製)で体積基準平均粒径(d50)、標準偏差(σ50)、粒度分布(CV=σ50/d50)を測定したので、その結果を表−2に示す。
表−2 解離度(%) 臨海凝集濃度 d50 σ50 CVPR−1 0 0.004mol/l 38.79μm 11.32μm 0.29 PR−2 5 0.01mol/l 28.35μm 10.33μm 0.36 PR−3 20 0.03mol/l 12.14μm 5.12μm 0.42 PR−4 50 0.05mol/l 8.62μm 3.76μm 0.44 PR−5 75 0.07mol/l 5.79μm 2.54μm 0.44 PR−6 100 0.08mol/l 0.67μm 0.24μm 0.36 表−2に示したように、重合体微粒子の解離性基を有する単量体単位の解離度を制御すること及び重合体微粒子分散液の臨界凝集濃度以上の塩を添加することで、平均粒径を制御可能なばかりでなく、その粒度分布が狭い単分散非球形粒子を容易に合成できる。
【0056】〔非球状粒子の合成2〕前記着色粒子P−7を用い、これを1N−塩酸水溶液を用い、電導度測定装置で重合体微粒子中のDMAEAが一定量の塩酸塩になるように調整した。この時の解離の程度を50%にした。この時の臨界凝集濃度を塩化カリウム、硫酸亜鉛、塩化アルミニウムを用い測定した処、臨界凝集濃度は塩化カリウムは0.2mol/l、硫酸亜鉛は4.3×10-3mol/l、塩化アルミニウムは3.4×10-4mol/lであった。更に、この状態の重合体微粒子分散液100mlを、攪拌装置、冷却管、温度計付き四頭フラスコに入れ、室温下で250rpmで攪拌しつつ各金属塩を臨界凝集濃度の約2倍になるように添加し、次いでn−プロパノール50mlを添加し、更に水を300ml添加し、内温を85℃まで昇温し、このまま6時間加熱攪拌を行った。
【0057】加熱を終了した分散液を、粒径測定装置SALD−1100(島津製作所製)で体積基準平均粒径(d50)、標準偏差(σ50)、粒度分布(CV=σ50/d50)を測定したので、その結果を下記の表−3に示す。併せて非球形化度も示す。
表−3 d50 σ50 CV 非球形化度PR−7 5.46μm 2.57μm 0.47 1.53PR−8 5.66μm 2.42μm 0.42 1.49PR−9 5.58μm 2.49μm 0.45 1.58表−3に示したように、重合体微粒子分散液の臨界凝集濃度を基準に添加量を決定することにより、価数の異なる金属塩を用いてもほぼ同じ平均粒径で粒度分布の非球形粒子が得られることが判る。
【0058】〔非球形粒子の合成3〕重合体微粒子分散液P−3〜7を用い、これを1N−水酸化ナトリウム水溶液を用い、電導度測定装置で重合体微粒子中のMAAが一定量のナトリウム塩になるように調整した。この時の解離度を75%にした。この時の塩化カリウムによる臨界凝集濃度を測定した処、P−3は0.07mol/l、P−4〜6は0.09mol/lであった。この後、攪拌装置、冷却管、温度計付き四頭フラスコに各重合体微粒子分散液100mlを入れ、室温下で250rpmの速度で攪拌しつつ塩化カリウム6.04gを水50mlに溶解した金属塩水溶液を添加し、iso−プロパノール50mlを加え、更に水250mlを添加した後、85℃で3時間及び6時間加熱し、平均粒径(d50)、粒度分布(CV)及び非球形化度を測定したので、その結果を下記の表−4に示す。
【0059】
表−4 加熱時間(3時間) 加熱時間(6時間)
50 CV 非球形化度 d50 CV 非球形化度PR−10 5.12μm 0.43 2.35 6.24μm 0.41 1.23PR−11 4.18μm 0.42 3.15 5.68μm 0.45 1.51PR−12 4.89μm 0.48 3.44 5.89μm 0.51 1.42PR−13 4.99μm 0.44 2.83 5.75μm 0.48 1.78この結果が示すように、粒径のみならず、非球形化度も制御可能なことが判る。
【0060】〔比較非球形粒子の合成〕特開昭60−220358号公報に記載の実施例−1の方法及び特開平4−284461号公報に記載の実施例−2の方法を用い、カーボンブラック含有非球形粒子を合成した。その結果を下記の表−5に示す。
表−5 d50 CV 非球形化度比較粒子−1 5.87μm 1.98 5.86比較粒子−2 5.37μm 0.89 3.86これから、比較の非球形粒子は粒度分布が広く、非球形化度の制御も困難であることが判る。
【0061】〔実施例−2〕本発明の非球形粒子PR−10〜13(但し、3時間及び6時間反応後を使用し、3時間反応品はPR−14〜17とした。)及び比較非球形粒子−1,2を用い、これらを100重量部に対し疏水性シリカ2重量部、酸化チタン1重量部を添加混合し、この外添処理トナー5重量部とメタクリル酸メチル/スチレン共重合体(MMA/St=7/3重量比)で表面被覆したフェライト粒子(キャリア、平均粒径60μm)95重量部を混合し、本発明の現像剤1〜8及び比較現像剤1,2とした。更に、スチレン/アクリル酸n−ブチル(重量比:85/15)、Iカーボンブラック8重量部を添加し、混練粉砕により5μmのトナーを得た。これを同様に処理し、比較現像剤−3とした。
【0062】上記現像剤を熱ローラ定着器とクリーニングブレードを備えた電子写真複写機「U−Bix−3028」を用い、解像度、カブリ、耐オフセット性(ホットオフセット発生温度)、トナー着色度(着色度)、クリーニング性、粒度分布変化を調べたので、その結果を下記の表−6に示す。尚、評価方法は次の通りである。
【0063】■ 解像度細線チャートのコピー画像を形成し、識別可能な細線の1mm当たりの本数で判定した。
■ カブリ連続して形成されたコピー画像について、「サクラデンシトメータPDA−60」(コニカ(株)製)を用いて白地部分の各色の反射濃度を測定し、この反射濃度が0.02を超えた場合をカブリ発生とし、この時点におけるコピー回数で評価した。
【0064】■ 耐オフセット性(ホットオフセット発生温度(H温度)、℃)
定着用熱ローラの設定温度を段階的に変化させてコピー画像を形成し、ホットオフセットに起因するトナー汚れが発生した時点の定着ローラの設定温度を測定し、この温度をオフセット発生温度とした。
■ トナーの着色度(トナーの反射濃度)
白色ラベルにトナーを単層に貼り付け、このトナー層を「サクラデンシトメータPDA−60」を用い、各色の反射濃度を測定した。
【0065】■ クリーニング性(CL性)
感光体の表面を目視で観察し、クリーニング不良が発生した時点のコピー回数で評価した。
■ 粒径分布の経時的変化(体積%)
体積平均粒径の1/3以下の粒径を有するトナー粒子の個数割合(個数%)を、初期(実写テスト開始時)及びカブリ発生時もしくは5万回コピー時(後期)においてそれぞれ測定した。前記個数割合が10%以上となるとトナーの帯電性が阻害される傾向がある。尚、トナー粒子の粒径は、レーザ回折式粒径測定装置「SALD−1100」(島津製作所製)を用いて測定した。
【0066】
表−6 発明1 発明2 発明3 発明4 発明5 発明6 発明7 発明8 比較1 比較2 比較3 解像度 19 20 18 17 20 19 19 18 15 14 17カブリ 9万 9万 10万 9万 8万 10万 10万 9万 5万 4万 5万H温度 230 220 225 230 230 220 225 230 230 230 235着色度 1.32 1.29 1.30 1.26 1.31 1.29 1.30 1.28 1.10 1.05 1.23 CL性 9万 10万 10万 9万 8万 9万 8万 7万 4万 4万 5万初期時 1.9 1.4 2.0 2.3 1.4 1.6 1.8 1.8 13.5 9.8 11.5後期時 2.3 1.8 2.4 2.8 1.5 1.7 2.0 1.9 20.3 15.7 18.3* カブリの欄における本発明のものについては、カブリが発生していないものの、試験を途中で停止したので、その停止回数を表示したものである。
【0067】* クリーニング性の欄における本発明のものについては、クリーニング不良は発生していないものの、試験を途中で停止したので、その停止回数を表示したものである。
表−6の結果から、本発明のトナーから得られた現像剤1〜8は優れた諸特性を有するものであることが判る。
【0068】特に、本発明の現像剤1〜8は、トナー粒子の粒径分布がシャープであって、しかも粒径分布の経時的変化も小さく、比較現像剤1〜3に比べて耐久性が格段に優れている。
〔実施例3〕オートクレーブに重合体微粒子P−2を1N−水酸化ナトリウムで10%解離状態にした(電導度滴定装置により確認)分散液100mlを添加し、室温下250rpmで攪拌しつつn−ブチルアルコール10ml、iso−プロピルアルコール25mlを順次滴下した後、120℃で3時間反応を行い、非球状粒子を作成した。この非球状粒子は、平均粒径d50=52μm、標準偏差σ50=11.4μm、粒度分布σ50/d50=0.22であった。
【0069】P−2と同様のモノマー組成で、分散剤をリン酸カルシウム、ドデシルベンセンスルホン酸ナトリウムを用い、50μmになるよう液滴を形成した後、温度を上げて懸濁重合で重合体粒子(非球状粒子)を作成した。この非球状粒子は、平均粒径d50=51μm、標準偏差σ50=29.8μm、粒度分布σ50/d50=0.58であった。
【0070】これらを濾過、洗浄を行った後に乾燥した。この粒子を0.5mol/lリン酸塩緩衝液(pH=7.2)に再分散を行い、DCC及びグルコアミラーゼを添加し、5℃で24時間反応を行った後、濾過を行い、更に0.5mol/lリン酸塩緩衝液(pH=7.2)を用い、洗浄を行った。このグルコアミラーゼ固定化粒子を同重量で、恒温ジャケット付きカラムに充填し、37℃に保温しつつ、オリゴサッカライド水溶液[0.5mol/lリン酸塩緩衝液(pH=7.5)]を通液した。5時間後にオリゴサッカライド水溶液を分取し、高速液体クロマトグラフィを用い、生成したグルコースを定量した処、本発明の担体を用いた場合グルコースへの転化率は98%であった。これに比較し比較担体の転化率は43%であり、本発明の担体は非常に優れたものであることが判明した。
【0071】
【効果】電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電荷像を現像する為のトナーや生理活性物質固定化用担体として好ましい非球状粒子が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数個の重合体微粒子が会合してなる非球状粒子であって、該粒子が重合体微粒子分散液の臨界凝集濃度以上の凝集剤及び水に対して無限溶解する有機溶媒で処理されたことを特徴とする非球状粒子。
【請求項2】 凝集剤が金属塩の群の中から選ばれたものであることを特徴とする請求項1の非球状粒子。
【請求項3】 水に対して無限溶解する有機溶媒が重合体微粒子を溶解しないものであることを特徴とする請求項1の非球状粒子。
【請求項4】 重合体微粒子がイオン性解離基を有する単量体単位を含むものであることを特徴とする請求項1の非球状粒子。
【請求項5】 重合体微粒子がイオン性解離基を有する単量体単位を含み、かつ、イオン性解離基の一部又は全部が解離状態にあることを特徴とする請求項1の非球状粒子。
【請求項6】 重合体微粒子が固体成分複合重合体微粒子であることを特徴とする請求項1の非球状粒子。
【請求項7】 重合体微粒子が顔料、染料、定着性改良剤、帯電制御剤の中から選択される少なくとも一種の固体成分が複合された固体成分複合重合体微粒子であることを特徴とする請求項1の非球状粒子。
【請求項8】 電子写真用トナーとして用いられることを特徴とする請求項1〜7記載の非球状粒子。
【請求項9】 生理活性物質固定化用担体として用いられることを特徴とする請求項1〜7記載の非球状粒子。
【請求項10】 生理活性物質が、酵素、抗原、抗体、リセプター、デオキシリボ核酸、リボ核酸から選択される少なくとも一種の生理活性物質であることを特徴とする請求項9記載の非球状粒子。
【請求項11】 複数個の重合体微粒子が会合してなる非球状粒子の製造方法であって、a) 重合体微粒子分散液に、臨界凝集濃度以上の金属塩又は金属塩水溶液を添加する工程、b) 金属塩含有重合体微粒子溶液に、水に無限溶解する有機溶媒を添加する工程、c) 上記混合液を重合体微粒子のガラス転移温度以上で加熱する工程を具備することを特徴とする非球状粒子の製造方法。

【公開番号】特開平6−329947
【公開日】平成6年(1994)11月29日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−115572
【出願日】平成5年(1993)5月18日
【出願人】(000001270)コニカ株式会社 (4,463)