説明

非病原性のエルビニア属の新菌株,これを用いたイネ内穎褐変病の防除剤及び防除方法

【課題】イネ内穎褐変病の防除剤を提供する。
【解決手段】イネに非病原性の新規微生物、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エルビニア(Erwinia)属の新菌株、イネ内穎褐変病の防除剤及びイネ内穎褐変病の防除方法に関し、特に、イネ内穎褐変病の防除に有効な、非病原性のエルビニア属の新菌株、非病原性のエルビニア属の新菌株を含有するイネ内穎褐変病の防除剤、及び、非病原性のエルビニア属の新菌株を含有するイネ内穎褐変病の防除剤を用いたイネ内穎褐変病の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イネ内穎褐変病は、籾を変色させて、玄米やイネ種子の品質低下を引き起こす病気であり、近年、主に、関東以西でその発生の増加が問題となっている病気である。
【0003】
イネ内穎褐変病の病原菌(Erwinia ananas)は、自然界において、イネに存在していることが、明らかになっている。
【0004】
イネ内穎褐変病菌(Erwinia ananas)は、イネの発病籾をはじめ、栽培中のイネの枯死組織(部位)、出穂後の葯、及び、収穫後の切り株から分離されており、それ以外の部位あるは植物から分離されたという報告はない。
【0005】
一般に、イネ内穎褐変病菌(Erwinia ananas)は、腐生性の強い細菌であり、環境条件が揃った時に病原性イネ内穎褐変病菌(Erwinia ananas)が増殖し、発病に至ると考えられる。
【0006】
従来、イネ内穎褐変病菌(Erwinia ananas)の防除には、例えば、オキソリニック酸粉剤、オキソリニック酸水和剤(商品名:「スターナ水和剤」(「スターナ」(登録商標)、住友化学株式会社)や、フェリムゾン・フサライド粉剤(商品名:「ブラシン粉剤DL」(「ブラシン」(登録商標、住化武田農薬株式会社)や、カスガマイシン・フラサイド粉剤(商品名:「カスラブサイド3DL」(「カスラブサイド」(登録商標、株式会社クレハ)等が用いられている。
【0007】
しかしながら、オキソリニック酸粉剤や、オキソリニック酸水和剤や、フェリムゾン・フサライド粉剤や、カスガマイシン・フラサイド粉剤等の化学農薬(殺菌剤)には、薬剤耐性菌の出現により、防除効果が低下するといった問題や、長期連用により、耕地生態系の単純化や環境への影響が懸念されている。
【0008】
近年、このような背景から、化学農薬に代わる新たな防除技術として、環境への安全性が高いと想定される、自然界に存在する微生物を用いた生物防除技術、即ち、生物農薬(微生物農薬)を用いた防除技術が注目されている。
【0009】
そのような技術として、例えば、イネばか苗病、イネごま葉枯病及びイネいもち病の防除を目的として、イネに対して弱病原性のフザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)をイネの種子に処理する技術(特許文献1を参照。)や、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)CAB-02菌株を有効成分として含有するイネ苗の立枯性病害防除剤(特許文献2を参照。)や、トリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−1菌株、SKT−2菌株又はSKT−3菌株を含有するイネいもち病、イネ苗立枯細菌病等の防除剤(特許文献3を参照。)や、イネの育苗時期に病害を引き起こす病原菌(イネばか苗病菌(Gibberella fujikuroi)、イネいもち病菌(Magnaporthe grisea)、イネごま葉枯病菌(Cochliobolus miyabeanus)、イネもみ枯細菌病菌(Burkfolderia glumae)、イネ苗立枯細菌病菌(Burkfolderia plantarii)、イネ褐条病菌(Burkfolderia avenae)、イネ苗立枯病菌であるフザリウム(Fusarium)属菌、ピシウム(Pythium)属菌、リゾプス(Rhizopus)属菌、トリコデルマ(Trichoderma)属菌のうちの少なくとも1つ)に対して、拮抗作用を有するタラロマイセス属(Talaromyces)に属する糸状菌(タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus))を含有する、イネの育苗時期に発生する病害の防除剤(特許文献4を参照。)等が、既に、提案されている。
【0010】
しかしながら、イネ内穎褐変病菌(Erwinia ananas)に有効な生物農薬(微生物農薬)は、本発明者の知る限り、非病原性エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)NR97菌株(1980年岡山県農試送付の健全玄米由来株)以外、これまで報告されていない。
【0011】
また、オキソリニック酸水和剤は、イネ内穎褐変病菌(Erwinia ananas)に有効であるが、カスガマイシン・フラサイド粉剤や、フェリムゾン・フサライド粉剤は、イネいもち病菌(Magnaporthe grisea)には有効であるが、イネ内穎褐変病菌(Erwinia ananas)には、あまり効果がなく、イネ内穎褐変病菌(Erwinia ananas)に対して、有効で、安全な且つ薬剤耐性菌の出現の無い、新たな農薬の開発が長年望まれていた。
【0012】
また、イネ内穎褐変病菌(Erwinia ananas)は、人畜無害の安全な細菌として考えられることから、イネ内穎褐変病に対して、非病原性のイネ内穎褐変病菌(Erwinia ananas)を利用できれば、安全性の観点からも望ましい、と考えられる。
【特許文献1】特開平5−65209号公報
【特許文献2】特開平9−124427号公報
【特許文献3】特開平11−225745号公報
【特許文献4】特開2007−31294号公報
【非特許文献1】畔上耕児等、「非病原性Erwinia ananasとファージによるイネ内穎褐変病菌の発病抑制」、日本植物病理学会報(講演要旨)((Jpn.J.Phytopathol.)、71(1)、Feburuary、2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、以上のような観点からなされたものであって、イネに非病原性のエルビニア属の新菌株を提供すること、イネ内穎褐変病に対して防除効果が高く、環境汚染の無い、イネ内穎褐変病の防除剤及び防除方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意努力した結果、イネ内穎褐変病に対して防除効果が高く、環境汚染の無い、イネに非病原性のエルビニア属の新菌株を見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
請求項1に記載の微生物は、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1206菌株(FERM AP-21274)である。
【0016】
請求項1に係る新規微生物:エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1206菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに、平成19年3月12日に寄託申請書とともに寄託し、平成19年3月16日付の受領書中に、以下の受領番号が付与されている。
【0017】
Erwinia ananas CTB1206:FERM AP−21274
請求項2に記載のイネ内穎褐変病の防除剤は、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1206菌株(FERM AP-21274)を有効成分として含有する。
【0018】
請求項3に記載のイネ内穎褐変病の防除方法は、請求項2に記載のイネ内穎褐変病の防除剤を含む水溶液を、イネに噴霧する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載のエルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1206菌株(FERM AP-21274)は、イネに非病原性であり、イネ内穎褐変病に対して防除効果が高く、環境汚染が無い。
【0020】
請求項2に記載のイネ内穎褐変病の防除剤は、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1206菌株(FERM AP-21274)を有効成分として含有しているので、イネ内穎褐変病に対して高い防除効果を発揮する。
【0021】
請求項3に記載のイネ内穎褐変病の防除方法は、請求項2に記載のイネ内穎褐変病の防除剤を含む水溶液を、イネに噴霧するようにすることで、イネ内穎褐変病に対して高い防除効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、実施例に基づいて、本発明を更に詳しく説明する。
【実施例1】
【0023】
ここでは、イネ内穎褐変病に対する発病抑制微生物の選抜方法について説明する。
【0024】
エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1206菌株(FERM AP-21274)(以下、単に、「エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1206菌株」という。)の分離は、以下の方法によって行った。
【0025】
一般に、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)には、イネに病原性を持つタイプと病原性を持たないタイプが存在している。
1.エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)の選択培地の調製
植物体には多くの微生物が常在おり、この中から目的の微生物(実施例1では、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas))を特異的に選択分離するために、選択培地(NSVC培地)を準備した。
【0026】
エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC培地)の組成及び調整方法は、以下の通りである。
【0027】
この例では、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC培地)は、まず、酵母エキス5g、ペプトン10g、塩化ナトリウム(NaCl)50g、寒天15g、蒸留水1000ml、pH6.8の組成で構成される基礎培地を準備し、この基礎培地を、高圧滅菌(121℃、20分間)した後、シクロヘキシミド100mg及びバンコマイシン100mgを添加することにより作製した。
2.分離菌株の作製
次に、表1に、その植物名、採取した部位、採取時期及び採取場所を示す、植物を採取した。
【0028】
【表1】

次に、表1に示す採集植物の各々(植物1、植物2、植物3、植物4及び植物5の各々)100mgに、滅菌水5.0mlを加えた後、乳棒及び乳鉢を用いて磨砕したものを、各々、用意した。
【0029】
次に、上述したエルビニア・アナナス(Erwinia ananas) 選択培地(NSVC培地)に、以上により作製した磨砕液を10−2に希釈した希釈液100μlを塗沫し、平板希釈法により磨砕液から黄色細菌36菌株を分離し、凍結保存(−80℃)した(保護剤の組成:蒸留水に、スキムミルク(Difco)10%、グルタミン酸ナトリウム(特級)1%、保護剤のpH:無調整)。
【0030】
実施例1では、植物1から7菌株を、植物2から6菌株を、植物3から7菌株を、植物4から8菌株を、及び、植物5から8菌株を分離した。
3.非病原性エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)の選抜
(1)接種源の調製
1)前培養
まず、PSA(potato sucrose agar)斜面培地の各々に、上記に示す36菌株の各々を移植し、28℃で、2日間、上記に示す36菌株の各々を増殖した。
【0031】
この例では、栄養培地として、PSA(potato sucrose agar)培地、より具体的に説明すると、じゃがいも200gの煎汁、Ca(Co・4HO 0.5g、NaHPO・12HO 2.0g、ペプトン 5.0g、サッカロース 20g、寒天 20g及び蒸留水 1000ml、pH6.8のPSA(potato sucrose agar)傾斜培地に、上記に示す36菌株の各々を移植し、28℃で、2日間、上記に示す36菌株の各々を増殖させた。
【0032】
次に、このようにして培養した36菌株の各々に滅菌水を加え、菌濃度を約1×10cfu/mlに調整した、36菌株の懸濁液を準備した。
【0033】
2)接種用イネ
鳥取県農業試験場内ほ場(中南8号北)で栽培した、出穂期の水稲コシヒカリを使用した。
【0034】
3)接種
次に、上記1)にて準備した接種源(各細菌懸濁液)120 mlを、コシヒカリ6株(畦畔沿いの3株×2条)に均一に噴霧した。
【0035】
尚、対照として、鳥取県農業試験場保存のイネ内穎褐変病菌エルビニア・アナナス(Erwinia ananas )CTB 1061菌株を供試した。
【0036】
また、無接種区には、滅菌水を噴霧した。
【0037】
4)発病調査
菌接種コシヒカリの、出穂14日後に肉眼観察で発病の少ない処理区を選抜した。
【0038】
また、収穫・自然乾燥後、全穂について内穎褐変籾率を調査し、防除価を算出した。
【0039】
尚、防除価は、下記(式1)に基づいて算出した。
【0040】
防除価=[(無処理区発病苗率−薬剤処理区発病苗率)/無処理区発病苗率]×100(式1)
(2)分離細菌の発病抑制効果
上記植物からエルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC培地)で分離した黄色細菌のイネ内穎褐変病発病抑制効果についての試験結果を、図1に示す。
【0041】
尚、図1中では、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1206菌株を、CTB1208と表示している。
【0042】
図1により、以下のことが、明らかになった。
【0043】
1)分離細菌の中に、病原性の内穎褐変病菌エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)と推定される菌株が、4菌株存在し(発病籾から2菌株、健全籾から2菌株)、それ以外の34菌株は、イネ穂に影響を及ぼさない非病原性細菌であった。
【0044】
2)菌無接種区(自然発生)では、発病籾率8.6%と多発生であった。
【0045】
3)コシヒカリの出穂後14日目の肉眼観察では、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1206菌株が最も高い発病抑制効果を示した。
【0046】
4)収穫後調査の結果では、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株を含めて11菌株が防除価81以上の高い発病抑制効果を示した。
【0047】
5)以上の結果から、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株を、本発明に係る非病原性のエルビニア・アナナス(Erwinia ananas)として選抜した。
【0048】
尚、本発明に係る非病原性の新菌株は、グラム反応が陰性で、発酵性、運動性があり、非水溶性黄色色素を産生する点、また、メリビオース、ソルビオース、ソルビトール、セロビオース、ラクトース、グリセロールから酸を産生し、イノシトール、デキストリンを利用せず、インドールを産生し、硝酸塩還元、オキシターゼ活性およびフェニルアラニン・デアミナーゼの活性がない、という科学的性質等に基づいて、分類学上の位置が、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)であることが、確認された。
【実施例2】
【0049】
ここでは、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の選抜培地について説明する。
【0050】
まず、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC培地)に、上述した磨砕液を塗沫し、28℃で6日間培養後に調査した際の、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)及びエルビニア・ハービコーラ(Erwinia herbicola)の集落(コロニー)の一例の性状を、図2に示す。
【0051】
エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC培地)を用いた場合、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)(病原性のタイプと非病原性のタイプ(この中に、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株も含まれる。)の集落(コロニー)及びエルビニア・ハービコーラ(Erwinia herbicola)の集落(コロニー)のいずれも、円状の黄色コロニーとなる。
【0052】
次に、このエルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC培地)の改良を試みた。
【0053】
即ち、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC培地)の酵素エキスを、myo−イノシトールに代えたものを準備した(以下、この選択培地を、「エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)改良選択培地(NSVC−In培地)」という。)。
【0054】
エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)改良選択培地(NSVC−In培地)の組成及び調整方法は、以下の通りである。
【0055】
この例では、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)改良選択培地(NSVC−In培地)は、まず、myo−イノシトール10g、ペプトン10g、塩化ナトリウム(NaCl)50g、寒天15g、蒸留水1000ml、pH6.8の組成で構成される基礎培地を準備し、この基礎培地を、高圧滅菌(121℃、20分間)した後、シクロヘキシミド100mg及びバンコマイシン100mgを添加することにより作製した。
【0056】
次に、実施例1と同様にして、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)改良選択培地(NSVC−In培地)に、磨砕液の10−2希釈液100μlを塗沫し、28℃で6日間培養後に調査した際の、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)の集落(コロニー)の性状を観察した。
【0057】
エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)改良選択培地(NSVC−In培地)に、上述した磨砕液を塗沫し、28℃で6日間培養後に調査した際の、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)の集落(コロニー)の一例の性状を、図3に示す。
【0058】
エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC培地)を用いた場合には、黄色細菌が検出され、また、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)改良選択培地(NSVC−In培地)を用いた場合には、乳白色細菌が検出され、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC培地)を用いた場合に検出された黄色細菌数は、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)改良選択培地(NSVC−In培地)を用いた場合に検出された乳白色細菌数の約4〜70倍であった。
【0059】
また、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC培地)及びエルビニア・アナナス(Erwinia ananas)改良選択培地(NSVC−In培地)を用いた場合の、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)、エルビニア・ハービコーラ(Erwinia herbicola)及びその他の微生物の培養特性の実験結果を、図4に示す。
【0060】
尚、図4中では、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株を、非病原性エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1208と表示している。
【0061】
エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC培地)を用いた場合には、多数の微生物(細菌)の中から、主として、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)と、エルビニア・ハービコーラ(Erwinia herbicola)が選択される。
【0062】
一方、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)改良選択培地(NSVC−In培地)を用いると、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)のみが選択され、この中には、病原性エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)と、一部の非病原性エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)とが含まれ、この非病原性エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)の中には、本発明に係る非病原性のエルビニア・アナナス(Erwinia ananas)である、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株が含まれる。
【0063】
図4から明らかなように、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)改良選択培地(NSVC−In培地)を用いた場合、生育が良好で特徴的な乳白色の大型コロニー(集落直径:6.0mm以上7.5mm以下)の中では、病原性エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)の割合は、約70%で、一方、非病原性エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)(この中に、非病原性のエルビニア・アナナス(Erwinia ananas)である、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株が含まれる。)の割合が、約30%であった。
【0064】
また、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)改良選択培地(NSVC−In培地)を用いた場合、特徴的な乳白色或いは黄白色の小型コロニー(集落直径:1.3mm以上3.8mm以下)の中に、非病原性エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)が存在したが、この中には、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株が含まれていなかった。
【0065】
以上より、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)改良選択培地(NSVC−In培地)では、非病原性エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)は、生育が良好なタイプと、不良なタイプとに分けられ、非病原性のエルビニア・アナナス(Erwinia ananas)である、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の生育は良好であることが、判った。
【0066】
即ち、myo−イノシトール、ペプトン、塩化ナトリウム、寒天、蒸留水、シクロヘキシミド及びバンコマイシンを含有する、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)改良選択培地(NSVC−In培地)は、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の選択培地として用いることができる。
【実施例3】
【0067】
ここでは、本発明に係る非病原性のエルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株を用いたイネ内穎褐変病の防除方法の好ましい例を例示的に説明する。
【0068】
まず、凍結乾燥されたエルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株に滅菌水を加えた後、栄養培地(例えば、PSA(potato sucrose agar)培地)で増殖させる。
【0069】
この例では、栄養培地として、PSA(potato sucrose agar)培地、より具体的に説明すると、じゃがいも200gの煎汁、Ca(Co・4HO 0.5g、NaHPO・12HO 2.0g、ペプトン 5.0g、サッカロース 20g、寒天 20g及び蒸留水 1000ml、pH6.8のPSA(potato sucrose agar)傾斜培地に、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株を植菌し、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株を増殖させた。
【0070】
次に、以上により増殖させた、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株に水を加え、防除剤とした。
【0071】
このとき、防除剤のエルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度は、特に、以下の場合に限定されることは無いが、例えば、1.0×10cfu/ml以上1.0×10cfu個/ml以下の範囲にすることが好ましい。
【0072】
以上のようにして調製した防除剤を、イネに散布する。
【0073】
この例では、防除剤として、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整したものを用いた。
【0074】
次に、イネ内穎褐変病の防除効果試験の方法について説明する。
【0075】
図5は、2004年において、自然発生区において、イネ内穎褐変病の防除効果試験の試験方法の一例と、その結果を示す図である。
【0076】
尚、図5中では、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株を、非病原性エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1208と表示している。
【0077】
この実験では、自然発生区において、以下の6つの群を作製した。
【0078】
1.エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂期)、120リットル(Litter)/10アール(a)を、噴霧した群を作製した。
【0079】
2.エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、120リットル(Litter)/10アール(a)を噴霧した群を作製した。
【0080】
3.フェリムゾン・フサライド粉剤を、その使用方法に従って、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、4Kg/10アール(a)を散布した群を作製した。
【0081】
4.カスガマイシン・フサライド粉剤を、その使用方法に従って、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、4Kg/10アール(a)を散布した群を作製した。
【0082】
5.オキソリニック酸粉剤を、その使用方法に従って、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、4Kg/10アール(a)を散布した群を作製した。
【0083】
6.無処理の群を作製した。
【0084】
自然発生区において、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂期)、120リットル(Litter)/10アール(a)を、噴霧した群、及び、自然発生区において、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、120リットル(Litter)/10アール(a)を噴霧した群は、いずれも、自然発生区において、フェリムゾン・フサライド粉剤を、その使用方法に従って、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、4Kg/10アール(a)を散布した群、及び、自然発生区において、カスガマイシン・フサライド粉剤を、その使用方法に従って、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、4Kg/10アール(a)を散布した群に比べ、イネ内穎褐変病に対し、高い防除効果を発揮することが、明らかになった。
【0085】
また、自然発生区において、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂期)、120リットル(Litter)/10アール(a)を、噴霧した群、及び、自然発生区において、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、120リットル(Litter)/10アール(a)を噴霧した群は、自然発生区において、オキソリニック酸粉剤を、その使用方法に従って、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、4Kg/10アール(a)を散布した群と、イネ内穎褐変病に対し、概ね同等の防除効果を発揮することが、明らかになった。
【0086】
また、図6は、2004年において、病原細菌接種区において、イネ内穎褐変病の防除効果試験の試験方法の他の一例と、その結果を示す図である。
【0087】
尚、図6中では、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株を、非病原性エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1208と表示している。
【0088】
この実験では、病原細菌接種区において、まず、病原細菌接種区において栽培した、イネ(品種:コシヒカリ)に、病原性エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)を接種した(2004年7月30日)。
【0089】
次に、病原細菌接種区に、以下の6つの群を作製した。
【0090】
1.エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂期)、120リットル(Litter)/10アール(a)を、噴霧した群を作製した。
【0091】
2.エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、120リットル(Litter)/10アール(a)を噴霧した群を作製した。
【0092】
3.フェリムゾン・フサライド粉剤を、その使用方法に従って、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、4Kg/10アール(a)を散布した群を作製した。
【0093】
4.カスガマイシン・フサライド粉剤を、その使用方法に従って、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、4Kg/10アール(a)を散布した群を作製した。
【0094】
5.オキソリニック酸粉剤を、その使用方法に従って、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、4Kg/10アール(a)を散布した群を作製した。
【0095】
6.無処理の群を作製した。
【0096】
病原細菌接種区において、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂期)、120リットル(Litter)/10アール(a)を、噴霧した群、及び、自然発生区において、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、120リットル(Litter)/10アール(a)を噴霧した群は、いずれも、病原細菌接種区において、フェリムゾン・フサライド粉剤を、その使用方法に従って、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、4Kg/10アール(a)を散布した群、病原細菌接種区において、カスガマイシン・フサライド粉剤を、その使用方法に従って、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、4Kg/10アール(a)を散布した群、及び、病原細菌接種区において、オキソリニック酸粉剤を、その使用方法に従って、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂3日後)、各々、1回当たり、4Kg/10アール(a)を散布した群に比べ、イネ内穎褐変病に対し、高い防除効果を発揮することが、明らかになった。
【0097】
また、図7は、2005年において、自然発生区において、イネ内穎褐変病の防除効果試験の試験方法の他の一例と、その結果を示す図である。
【0098】
尚、図7中では、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株を、非病原性エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1208と表示している。
【0099】
この実験では、自然発生区において、以下の7つの群を作製した。
【0100】
1.エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂2日前)、120リットル(Litter)/10アール(a)を、噴霧した群を作製した。
【0101】
2.エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂期)、120リットル(Litter)/10アール(a)を、噴霧するという群を作製した。
【0102】
3.エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂2日後)、120リットル(Litter)/10アール(a)を、噴霧するという群を作製した。
【0103】
4.エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂4日後)、120リットル(Litter)/10アール(a)を、噴霧するという群を作製した。
【0104】
5.エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、2回(出穂前日及び出穂4日後)、各々、1回当たり、120リットル(Litter)/10アール(a)を噴霧した群を作製した。
【0105】
6.オキソリニック酸水和剤を、その使用方法に従って、1000倍希釈のオキソリニック酸水和剤(オキソリニック酸水和剤1gを1リットル(Litter)の水に溶かしたもの)を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂期)、120リットル(Litter)/10アール(a)を噴霧した群を作製した。
【0106】
7.無処理の群を作製した。
【0107】
自然発生区において、 エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂期)、120リットル(Litter)/10アール(a)を、噴霧するという群、自然発生区において、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂2日後)、120リットル(Litter)/10アール(a)を、噴霧した群、及び、自然発生区において、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂4日後)、120リットル(Litter)/10アール(a)を、噴霧するという群は、いずれも、自然発生区において、オキソリニック酸水和剤を、その使用方法に従って、1000倍希釈のオキソリニック酸水和剤(オキソリニック酸水和剤1gを1リットル(Litter)の水に溶かしたもの)を、1回(出穂期)、120リットル(Litter)/10アール(a)を噴霧した群に比べ、イネ内穎褐変病に対し、概ね同等の防除効果を発揮することが、明らかになった。
【0108】
また、図8は、2005年において、自然発生区において、イネ内穎褐変病の防除効果試験の試験方法の他の一例と、その結果を示す図である。
【0109】
この実験では、自然発生区において、以下の3つの群を作製した。
【0110】
1.エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調製した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂期)、120リットル(Litter)/10アール(a)を、噴霧するという群を作製した。
【0111】
2.オキソリニック酸水和剤を、その使用方法に従って、1000倍希釈のオキソリニック酸水和剤(オキソリニック酸水和剤1gを1リットル(Litter)の水に溶かしたもの)を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂期)、120リットル(Litter)/10アール(a)を噴霧した群を作製した。
【0112】
3.無処理の群を作製した。
【0113】
自然発生区において、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株の菌濃度を、5.0×10cfu/mlに調整した防除剤を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂期)、120リットル(Litter)/10アール(a)を、噴霧した群は、自然発生区において、オキソリニック酸水和剤を、その使用方法に従って、1000倍希釈のオキソリニック酸水和剤(オキソリニック酸水和剤1gを1リットル(Litter)の水に溶かしたもの)を、イネ(品種:コシヒカリ)に、1回(出穂期)、120リットル(Litter)/10アール(a)を噴霧した群に比べ、イネ内穎褐変病に対し、概ね同等の防除効果を発揮することが、明らかになった。
【0114】
以上の実験結果から、この防除剤は、イネの出穂期からイネの出穂後4日までの間に、1回、噴霧すれば、イネ内穎褐変病に対し、オキソリニック酸粉剤や、オキソリニック酸水和剤と同等又は同等以上の防除効果が得られる、ということが、明らかになった。
【0115】
以上、詳細に説明したとおり、本発明に係るエルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1206菌株は、イネに非病原性であり、イネ内穎褐変病に対して防除効果が高く、環境汚染が無い。
【0116】
また、本発明に係るイネ内穎褐変病の防除剤は、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1206菌株を含有しているので、イネ内穎褐変病に対して高い防除効果を発揮する。
【0117】
また、本発明に係るイネ内穎褐変病の防除剤は、生物農薬であるので、化学農薬にみられるような薬剤耐性菌の出現により、防除効果が低下するといった問題や、長期連用により、耕地生態系の単純化や環境への影響が、少ない。
【0118】
また、本発明に係るイネ内穎褐変病の防除剤は、自然界に存在する、非病原性のエルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株を用いているので、安全性に優れている。
【0119】
また、本発明に係るイネ内穎褐変病の防除方法は、イネ内穎褐変病に対して高い防除効果を発揮する。
【0120】
また、本発明に係るイネ内穎褐変病の防除剤及び本発明に係るイネ内穎褐変病の防除方法を用いれば、イネ内穎褐変病の防除ができるので、変色の無いきれいな籾を得ることができ、玄米やイネ種子の品質低下が生じない。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明に係るエルビニア・アナナス(Erwinia ananas) CTB1206菌株は、イネに非病原性であり、イネ内穎褐変病に対して防除効果が高く、環境汚染が無いので、イネ内穎褐変病の防除剤として、また、イネ内穎褐変病の防除方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】数種の植物からエルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC培地)で分離した黄色細菌のイネ内穎褐変病発病抑制効果についての試験結果を示す図である。
【図2】エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC培地)に、上述した磨砕液を塗沫し、28℃で6日間培養後に調査した際の、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)の集落(コロニー)の一例の性状の写真である。
【図3】エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC−In改良選択培地)に、上述した磨砕液を塗沫し、28℃で6日間培養後に調査した際の、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)の集落(コロニー)の一例の性状の写真である。
【図4】エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC培地)及びエルビニア・アナナス(Erwinia ananas)選択培地(NSVC−In改良選択培地)を用いた場合の、エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)、エルビニア・ハービコーラ(Erwinia herbicola)及びその他の微生物の培養特性の実験結果を示す図である。
【図5】自然発生区において、イネ内穎褐変病の防除効果試験の試験方法の一例と、その結果を示す図である。
【図6】病原細菌接種区において、イネ内穎褐変病の防除効果試験の試験方法の他の一例と、その結果を示す図である。
【図7】自然発生区において、イネ内穎褐変病の防除効果試験の試験方法の他の一例と、その結果を示す図である。
【図8】自然発生区において、イネ内穎褐変病の防除効果試験の試験方法の他の一例と、その結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1206菌株(FERM AP-21274)。
【請求項2】
エルビニア・アナナス(Erwinia ananas)CTB1206菌株(FERM AP-21274)を有効成分として含有する、イネ内穎褐変病の防除剤。
【請求項3】
請求項2に記載のイネ内穎褐変病の防除剤を含む水溶液を、イネに噴霧する、イネ内穎褐変病の防除方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−245621(P2008−245621A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94345(P2007−94345)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(592072791)鳥取県 (19)
【Fターム(参考)】