説明

非病害性アグロバクテリウム株、Riプラスミド、およびそれらに基づく形質転換方法

本発明は、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)の「非病害性」(disarmed)変異株、RiプラスミドpRi2659の「非病害性」プラスミド変異体、およびそれらの誘導体、ならびに植物形質転換におけるこれら菌株およびプラスミドの利用方法に関する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
a) アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)または該菌株の誘導体のトランスジェニック非病原性変異株の細菌を準備するステップ、ここで、該変異株は植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損し、かつ該変異株はさらにトランスジェニックT−DNAを含むものである、および
b) 植物細胞を前記細菌と共培養するステップ、および
c) 安定的にゲノムに組み込まれた前記トランスジェニックT−DNAを含んでなる植物細胞を単離または選択するステップ
を含む、トランスジェニック植物細胞の作製方法。
【請求項2】
以下のステップ:
a) アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)または該菌株の誘導体のトランスジェニック非病原性変異株の細菌を準備するステップ、ここで、該変異株は植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損し、かつ該変異株はさらにトランスジェニックT−DNAを含むものである、および
b) 植物体、植物細胞または植物組織を前記細菌と共培養するステップ、および
c) 安定的にゲノムに組み込まれた前記トランスジェニックT−DNAを含んでなる植物を単離または選択し、かつ任意により再生するステップ
を含む、トランスジェニック植物の作製方法。
【請求項3】
前記非病原性変異株が、植物細胞に感染可能であり、植物細胞へのT−DNAの移入を媒介することが可能であり、かつ植物ゲノムへのT−DNAの挿入を媒介することが可能であるが、毛状根表現型誘発性は欠損している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記アグロバクテリウム株K599(NCPPB2659)の誘導体が、土壌の植物病原性細菌であって、配列番号5、6、7、8、9、10、11、12、13、および14により示される配列モチーフからなる群より選択される少なくとも1つの配列モチーフを含む16S−23S rRNA遺伝子間配列により特徴付けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記非病原性変異株が、RiプラスミドpRi2659または該プラスミドの誘導体の非病原性プラスミド変異体を含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記非病原性プラスミド変異体が、以下のもの:
a) 配列番号24により示される配列または配列番号24により示される配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチドからなる配列を含む配列
b) 配列番号24により示される配列または配列番号24により示される配列のうち少なくとも1000個の連続したヌクレオチドからなる配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列
c) 5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と等価の条件下で、配列番号24により示される配列もしくはその相補配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチドからなるプローブにハイブリダイズする配列
により示される配列の群より選択される少なくとも1つの配列を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記植物細胞、植物組織、または植物体が、単子葉植物、双子葉植物、および裸子植物からなる群より選択される植物に由来する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記植物が、ウマゴヤシ属(Medicago)、トマト属(Lycopersicon)、アブラナ属(Brassica)、キュウリ属(Cucumis)、ナス属(Solanum)、クルミ属(Juglans)、ワタ属(Gossypium)、リンゴ属(Malus)、ブドウ属(Vitis)、キンギョソウ属(Antirrhinum)、ハコヤナギ属(Populus)、イチゴ属(Fragaria)、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)、トウヒ属(Picea)、トウガラシ属(Capsicum)、アカザ属(Chenopodium)、キク属(Dendranthema)、アサガオ属(Pharbitis)、マツ属(Pinus)、エンドウ属(Pisum)、イネ属(Oryza)、トウモロコシ属(Zea)、コムギ属(Triticum)、ライコムギ(Triticale)、ライムギ属(Secale)、ドクムギ属(Lolium)、オオムギ属(Hordeum)、ダイズ属(Glycine)、トガサワラ属(Pseudotsuga)、リュウキュウベンケイ属(Kalanchoe)、フダンソウ属(Beta)、ヒマワリ属(Helianthus)およびタバコ属(Nicotiana)からなる群より選択される属に由来する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記トランスジェニックT−DNAが、植物で発現可能な選択マーカー遺伝子を少なくとも1つ含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
以下のもの:
a) 配列番号24により示される配列または配列番号24により示される配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチドからなる配列を含む配列
b) 配列番号24により示される配列または配列番号24により示される配列のうち少なくとも1000個の連続したヌクレオチドからなる配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列
c) 5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と等価の条件下で、配列番号24により示される配列もしくはその相補配列のうち少なくとも100個の連続したヌクレオチドからなるプローブにハイブリダイズする配列
により示される配列の群より選択される、単離されたヌクレオチド配列。
【請求項11】
植物細胞感染および形質転換に必要な機能をもたらすが、毛状根表現型を引き起こす配列は欠損している、pRi2659または該Riプラスミドの誘導体の非病原性プラスミド変異体。
【請求項12】
請求項10に記載のヌクレオチド配列により示される、請求項11に記載の非病原性プラスミド変異体。
【請求項13】
前記誘導体が、配列番号112により示される配列に対して少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するvirD2タンパク質をコードする、請求項11または12に記載の非病原性プラスミド変異体。
【請求項14】
植物細胞感染および形質転換に必要な生来型の病原性pRi2659またはその誘導体の配列を含むが、毛状根表現型を媒介するT−DNAの配列は欠損している、請求項11または13に記載の非病原性プラスミド変異体。
【請求項15】
境界領域を含むT−DNA全体が生来型のプラスミドから欠失している、請求項11〜14のいずれか1項に記載の非病原性プラスミド変異体。
【請求項16】
前記欠失したT−DNAが、配列番号4の塩基538付近から塩基15519付近までの配列または配列番号26の塩基3644付近から塩基18577付近までの配列により示される配列に対応する、請求項11〜15のいずれか1項に記載の非病原性プラスミド変異体。
【請求項17】
5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と等価の高ストリンジェンシーの条件下で、病原性アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)の生来型の病原性RiプラスミドpRi2659の全体とハイブリダイズするが、該高ストリンジェンシーの条件下で、配列番号4により示される配列の塩基538付近から塩基15519付近までの配列または配列番号26により示される配列の塩基3644付近から塩基18577付近までの配列とはハイブリダイズしない、請求項11〜16のいずれか1項に記載の非病原性プラスミド変異体。
【請求項18】
前記pRi2659の誘導体が、植物細胞への土壌細菌からのT−DNAの移入を媒介することができ、
a) 生来型pRi2659プラスミド(アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659に含まれるものと同様)をコードするDNAに対して少なくとも90%の配列同一性を有すること、または
b) 5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100μg/mLの変性サケ精子DNAからなる溶液中、68℃での結合またはハイブリダイゼーションと、それに続く、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃での洗浄と等価の高ストリンジェンシーの条件下で、生来型pRi2659プラスミドとハイブリダイズすること
によりさらに特徴付けられるプラスミドである、請求項11〜17のいずれか1項に記載の非病原性プラスミド変異体。
【請求項19】
アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)pRi2659プラスミド由来の少なくとも1つのT−DNA境界領域がつなげられ、毛状根表現型を引き起こす配列を含まない、トランスジェニックT−DNA。
【請求項20】
前記境界配列が配列番号18または19により示されるものである、請求項19に記載のトランスジェニックT−DNA。
【請求項21】
前記トランスジェニックT−DNAが、前記植物に、農学上有益な形質または少なくとも1つのマーカー遺伝子を付与するための少なくとも1つの発現カセットを含み、該マーカー遺伝子は、形質転換された植物体、植物細胞もしくは組織の選択および/または特定を可能にするものである、請求項19または20に記載のトランスジェニックT−DNA。
【請求項22】
請求項19〜21のいずれか1項に記載のトランスジェニックT−DNAを含んでなるトランスジェニックベクター。
【請求項23】
請求項10に記載のヌクレオチド配列、請求項11〜18のいずれか1項に記載の非病原性プラスミド変異体、請求項19〜21のいずれか1項に記載のトランスジェニックT−DNA、もしくは請求項22に記載のトランスジェニックベクターを含んでなる細胞または非ヒト生物。
【請求項24】
細菌、酵母、植物、哺乳動物、および昆虫からなる群より選択される、請求項23に記載の細胞または非ヒト生物。
【請求項25】
リゾビウム科(genes Rhizobiaceae)の土壌細菌である、請求項23または24に記載の細胞または非ヒト生物。
【請求項26】
植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損している、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)またはその誘導体の非病原性変異株。
【請求項27】
植物細胞に感染可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損しており、さらにトランスジェニックT−DNAを含んでなる、アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)またはその誘導体のトランスジェニック非病原性変異株。
【請求項28】
植物細胞に感染可能であり、植物細胞へのT−DNAの移入を媒介することが可能であり、かつ植物ゲノムへのT−DNAの挿入を媒介することが可能であるが、毛状根表現型誘発性を欠損している、請求項26または27に記載の非病原性変異株。
【請求項29】
前記アグロバクテリウム株K599(NCPPB 2659)の誘導体が、土壌の植物病原性細菌であって、配列番号5、6、7、8、9、10、11、12、13、および14により示される配列モチーフからなる群より選択される少なくとも1つの配列モチーフを含む16S−23S rRNA遺伝子間配列により特徴付けられる、請求項26〜28のいずれか1項に記載の非病原性変異株。
【請求項30】
RiプラスミドpRi2659またはその誘導体の非病原性プラスミド変異体を含んでなる、請求項26〜29のいずれか1項に記載の非病原性変異株。
【請求項31】
前記非病原性プラスミド変異体が請求項11〜18のいずれか1項に記載のものである、請求項30に記載の非病原性変異株。
【請求項32】
突然変異型もしくはキメラ型virAまたはvirG遺伝子の存在あるいは強毒性プラスミドの存在からなる群より選択される1以上の特徴をさらに含む、請求項25〜31のいずれか1項に記載の非病原性変異株。
【請求項33】
以下のもの:
a) 配列番号112により示される配列またはそのうちの少なくとも200個の連続したアミノ酸からなる配列、
b) 配列番号112により示される配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
【請求項34】
以下のもの:
a) 配列番号25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、126、128、129、130、131、132、133、134、136、137、139、140、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、154、155、156、158、159、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、もしくは187のいずれか1つにより示される配列またはそのうちの少なくとも200個の連続したアミノ酸からなる配列、
b) 配列番号25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、126、128、129、130、131、132、133、134、136、137、139、140、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、154、155、156、158、159、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、または187のいずれか1つにより示される配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有する配列
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
【請求項35】
請求項33または34に記載のポリペプチドをコードする配列を含むヌクレオチド配列。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2008−511294(P2008−511294A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528773(P2007−528773)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009366
【国際公開番号】WO2006/024509
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(501383750)ビーエーエスエフ プラント サイエンス ゲーエムベーハー (17)
【Fターム(参考)】