説明

非矩形状物体の漸次的噴射のための噴射システム

スプレーガン又はノズルの制御のためのシステム及び方法であって、移動する対象物体又は移動する対象物の一部の寸法に対応するようにスプレーガン液体放出パターンが動的に変えられるシステム及び方法。スプレーガンは、ファンエア、霧化エア、液体及びシリンダエアのための入力を含んでいる。例えばコンベアベルト上で近づいてくる対象物体の検出時に、対象物体又は対象物体の一部の形状に対応するスプレーパターンを与えるための所定の或いは同時形成された曲線にしたがってファンエア圧力、霧化エア圧力、液体圧力、シリンダエア圧力が変えられ、それにより、過剰噴射に起因する無駄及び非効率さが最小限に抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に噴射システムに関し、特に、非矩形状物体及び/又は噴射装置が互いに一方向に並進される間に非矩形状物体に噴射するための方法及び装置に関する。
【発明の背景】
【0002】
[0002]スプレーガン又は同様のスプレーノズルアセンブリを利用する噴射システムは、今日、工業環境において多種多様な用途を有している。スプレーガンは、液体材料をまき散らして例えば一領域又は物体を噴射材料の粒子で覆うために非常に頻繁に使用される。そのような噴射システムの1つの特定の用途は、パッケージ食品又は他の食品の生成である。例えば、穀物製品は、甘味料、添加物、補給剤などを穀物製品にコーティングするスプレーガンの配列を通過する移動ベルト上で搬送されても良い。そのようなシステムは、多くの場合、食品の個々の単位をコーティングするための手動又は自動のブラッシング装置或いは他のコーティング装置等のより対象を絞った塗布システムよりも実用的である。
【0003】
[0003]しかしながら、その正に本質により、噴射は、より対象を絞った方法よりも方向があまり規定されず、そのため、コーティングプロセスのための手作業を回避することにより得られる経済性は、噴射材料の消耗によって相殺され或いは最小限に抑えられる可能性がある。これは、かなりの量の噴射材料が、コーティングされるようになっている製品上ではなく、コンベアベルト上、支持体上、又は、他の製造要素上で終わってしまう場合があるという事実に起因している。また、この過剰スプレーは、一般に、手作業によって製造環境から除去されなければならず、それにより、更なるコストがかかる。更に、そのような清掃は、多くの場合、清掃が行なわれる間、製造ラインの一時的な停止を伴い、そのため、生産性が損なわれる。
【0004】
[0004]そのため、過剰スプレーが最小限に抑えられ、したがって、このタイプの材料供給技術によって得られる経済性が最大になる噴射システムが必要とされる。
【発明の目的及び概要】
【0005】
[0005]本発明の目的は、過剰スプレーを最小限に抑えつつ非矩形状又は他の不規則な形状の物体に噴射する噴射システムを提供することにある。
【0006】
[0006]他の目的は、材料の無駄を最小限に抑えつつスプレーコーティングによって与えられる経済性を最大にするためにスプレーガンノズルシステムが使用される製造システムを提供することである。
【0007】
[0007]本発明の更に他の目的は、かなりの過剰噴射を伴うことなく選択的に移動する非矩形状物体へパターンが集中されるようにスプレーガン又はノズルのスプレーパターンを動的に変えるための方法を使用するコンピュータ可読媒体及び方法を提供することである。
【0008】
[0008]本発明の他の目的及び利点は、以下の詳細な説明を読んで図面を参照すれば明らかになる。
【0009】
[0021]本発明は様々な変更及び代替的な構成が可能であるが、本発明の特定の例示的実施形態が図面に示されており、以下、この実施形態について詳しく説明する。しかしながら、本発明を開示された特定の形態に限定しようとする意図がないことは言うまでもなく、それどころか、本発明は、本発明の思想及び範囲内に入る全ての変形例、代替的構成及び等価物を網羅するものである。
【発明の詳細な説明】
【0010】
[0022]ここで、特に図面を参照すると、本発明に係る例示的な噴射システム10が示されている。この場合、噴射システム10は横方向に離間された複数のスプレーガン11を備えており、これらのスプレーガン11は、コンベアベルト14上に横方向に離間された列を成して配置される丸いピザ等の非矩形の製品12に対して、コンベアベルト14が円形製品12をスプレーガン11の真下に通過させる際にコーティング剤を方向付ける。この場合、スプレーガン11はそれぞれ、通過する製品12へと放出スプレーを下方に方向付けるべく向けられて共通のヘッダ15上に支持されている。図1に示されるように、また、以下で明らかとなるように、スプレーガン11のための流体供給ライン18〜21は、ヘッダ15内に長手方向で形成されたマニホールド通路に接続されて連通されるとともに、対応する流体供給源に連通している。特定のスプレー用途に応じてスプレーガン11の数を変えても良いことは言うまでもない。
【0011】
[0023]スプレーガン11は、本発明と同じ譲受人に対して譲渡され且つその開示内容が参照することにより本願に組み入れられる米国特許第6,776,360号に示される外部混合エア噴霧スプレーノズルアセンブリなどの公知のタイプのものであっても良い。図4に最も良く示されるように、図示のスプレーガン11はそれぞれ本体又はハウジング25を含んでおり、この場合、ハウジング25は、ネジ込み保持リング26によって互いに結合された前側及び後側ハウジング部25a、25bと、後側本体部25bと螺合可能に係合できる後側ハウジングキャップ28と、ノズル本体25の下流側端部のノズルアセンブリ30とを備えており、ノズルアセンブリ30は、スプレーチップ又はノズル挿入体31と、スプレーチップ31に対してこれを上側から覆って取り囲む関係を成して装着され且つ保持ナット34によってノズル本体上に保持されたエアキャップ32とを含んでいる。図示のノズル本体25は、液体入口ポート35と、シリンダエア入口ポート36と、霧化エア入口ポート38と、ファンエア入口ポート39とを有している。液体は、それぞれの液体供給ライン18(図1)から入口ポート35に対して供給されて、スプレーチップ31内の中央長手方向通路41に通じ、スプレーチップ31の前方に延びる鼻部45によって形成される液体放出オリフィス44(図5)を通り抜ける。
【0012】
[0024]スプレーガン11からの液体の放出を制御するために、バルブニードル48は、ハウジング本体25を貫通して同軸に延びており、スプレーチップ通路41の下流側テーパ入口部と当接係合するバルブ閉位置と非当接バルブ開位置との間で往復移動できる。この場合、バルブニードル48は、テーパ座部と、軸方向に延びる追出鼻部49とを有しており、追出鼻部49は、使用中に通路の流れが停滞しないように維持するべく閉位置にあるとき(図4)に放出オリフィス44内を貫通して位置することができる。
【0013】
[0025]バルブニードル48を動作させるため、ピストン50がニードル48の上流側端部に装着されており、ニードル48の上流側端部は、ピストン50と上流側ハウジングキャップ28との間に介挿された圧縮スプリング52によってバルブ閉方向へと付勢されている。ピストン50は、ハウジング本体25内の円筒孔55とシール係合する環状シールリング54を支持している。圧縮スプリング52は、ピストン50、したがってバルブニードル48を、図4に示される完全当接位置すなわちバルブ閉位置に向けて前方へ付勢している。バルブニードル48は、加圧エア供給ライン19(図1)からシリンダエア入力ポート36へと選択的に方向付けられてハウジング本体25を通じてピストン50の下流側のエアチャンバ58に通じる加圧エア(以下、“シリンダエア”という)により、スプリング52の力に抗して反対方向(図4の左側方向)に軸方向移動することができる。
【0014】
[0026]スプレーチップ31から放出する液体を霧化するため、スプレーチップ鼻部45及びエアキャップ32の中央オリフィスは、スプレーチップ31とエアキャップ32との間に形成された環状エア通路62及び傾斜した霧化エア通路61に連通する環状霧化エア放出オリフィス60を形成しており、また、環状エア通路62は、霧化エア供給ライン20によってヘッダに接続された霧化エア入口ポート38とノズル本体25を介して連通している。環状放出オリフィス60を通じて方向付けられる加圧エアは、放出液体流ストリームとの相互作用のために液体放出オリフィス44の外側に通じている。
【0015】
[0027]放出液体スプレーを平坦なファンスプレーパターンへと形成して方向付けることにより移動製品12に対してより幅広く横方向に塗布するため、各スプレーガン11は、液体スプレーの両側に加圧エア(すなわち、“ファンエア”)を衝突させるようになっている。図示の実施形態において、加圧エアは、加圧エア供給ラインからスプレーガン11のファンエア入口ポート39に通じており、これにより、エアキャップ32の上流側端部に隣接する環状チャンバ64とノズル本体25を介して連通している。環状チャンバ64は、加圧エアを一対の長手方向通路65へと通じさせ、これらの長手方向通路65は対向する傾斜放出通路66で終端しており、傾斜放出通路66は、製品が方向付けられる製品の移動方向と直交する比較的平坦な狭いスプレーパターンへと液体スプレーを広げるために加圧エア流66aを鋭角で放出液体スプレーの両側に方向付ける。
【0016】
[0028]本発明の重要な態様においては、スプレーガンを通過して運ばれる非矩形状の製品の形状に従ってスプレーガンにより引き起こされる散布パターンを動的に変化させるために制御システムが設けられる。特に、パターン変化は、噴霧される非矩形製品の形状及び並進速度に関係している。このようにして、スプレーパターンが対象物体に対して集中され、それにより、非矩形物体の従来の噴射に関連する無駄及び散乱が最小限に抑えられる。図示の実施形態では、スプレーガンがスプレーパターンを放出する態様が動的に変化されることにより、図2A〜2Cに示されるように製品被覆率を確保しつつ、損失及び散乱が減少される。製品12がスプレーガン11の真下を通過し始める位置へとコンベアベルト14が製品12を運ぶ際には、例えばコンベアベルトに隣接して配置されたセンサ68による対象製品12の検出によってスプレーガンが作動される。センサ出力は、以下で明らかになるように、噴射動作を制御するための制御ステーション又はコンピュータに接続される。スプレーガン動作の作動時には、製品12のそのポイントでの狭い幅を十分にカバーし得るだけの幅のスプレーパターン70がスプレーガンから放出される。製品12がスプレーガン11の真下を通過する際、スプレーパターン70は、コンベアベルトをかなり過剰に噴射してコーティングすることなく製品12の被覆率を確保するように漸次的に変化される。
【0017】
[0029]したがって、図2Bに示されるように製品12の最も幅のあるポイントがスプレーガン11の真下を通過する際には、スプレーパターン70の幅が、製品12のそのポイントでの最大幅とほぼ一致するように増大される。また、以下で明らかとなるように、全体のスプレー流は、幅のある領域の被覆密度が狭い領域の被覆密度と同様になるように、スプレー幅に応じて増大される。図3Cに示されるように製品12がスプレーガン11の下側をほぼ完全に通過した状態で、スプレーパターン70は、スプレーガンの下側の製品12のそのポイントでの幅と一致する幅へと漸次的に狭くなる。コーティングされる製品12に対応するようにスプレーガン11のスプレーパターンをこのようにして動的に変えることにより、製品の適切なスプレー被覆を可能にしつつ、過剰なスプレーによって引き起こされる無駄及び非効率さの両方を最小限に抑えることができるため、噴射が効率的となることは言うまでもない。
【0018】
[0030]本発明を実行するため、制御システムは、スプレーガンへの液体、シリンダエア、霧化エア及びファンエアの供給を制御するための流体供給制御装置71を含んでいる。図8に示される図示の流体制御装置は、エア供給遮断弁76と圧力インジケータ(又はゲージ)77とエアフィルタ74とを介して、加圧エア供給源75に接続されている。エア供給源75からの加圧エアは、エア供給遮断弁76から、例えば圧力チューブを介してシステム内に入り、それにより、霧化エア圧力、ファンエア圧力、シリンダエア圧力(スプレーガンのニードルバルブをON/OFFするための圧力)、加圧液体を解放するためのエアがスプレーガンに対して供給される。特に、エア供給遮断弁76からのエアは、3つの主要な入力と出力とを有する比例霧化エアレギュレータ79によって制御されるバルブ78に連通される。比例霧化エアレギュレータ79は、入口80を介して圧力ライン内の圧力を検出するとともに、設定信号入力82にしたがってライン圧力を制御する。バルブ78からの加圧エアは、この例ではヘッダマニホールド通路及び入口ライン20を介して、スプレーガンの噴霧入口ポート38へ供給される。
【0019】
[0031]エア供給源75からの加圧エアは、この例では、スプレーガン11へのファンエアも形成する。特に、バルブ76からの供給エアは、比例ファンエアレギュレータ85によって制御されるバルブ84へと供給される。比例ファンエアレギュレータ85は、入力87で検出されたエア圧力に基づき、入力86で受けられた設定信号にしたがって、出力87を介してバルブ84を制御する。バルブ84からの加圧エアは、ヘッダマニホールド通路及び入口ライン21を介して、スプレーガンのファンエア入口ポート39へ供給される。
【0020】
[0032]また、エア供給源75からのエアは、スプレーガン11のバルブニードル48を開閉するための供給エアも更に形成する。特に、バルブ76からのエアは、シリンダエアを選択的にON/OFFするように動作できるソレノイド制御される遮断弁89に連通されるスプレーガンシリンダエアのためのエア圧力を事前設定するために使用される手動エア圧レギュレータ88に対して供給される(例えば、シリンダエアがONのとき)。閉止弁89からの加圧エアは、手動遮断弁90を通じて、マニホールド通路及びシリンダエア入口ライン19により、スプレーガン11のシリンダエア入口ポート36へと連通させることができる。
【0021】
[0033]最後に、エア供給源75からのエアは、スプレーガン11に対する加圧液体の供給を制御するための供給エアも形成する。特に、エア供給源75からのエアは、液体圧用比例エアレギュレータ92によって調整されるバルブ91に対して供給される。液体圧用比例エアレギュレータ92は、入口93を介してバルブ91以降のエア圧を検出するとともに、入口94を介して受けられた設定信号にしたがって出口93を介してバルブ91を制御する。また、バルブ91を通過するエアは圧力調整弁95を制御する。圧力調整弁95は、加圧液体供給源からのヘッダマニホールド液体流通路及び液体供給ライン18を介したスプレーガンの液体入口ポート35に通じる加圧液体の流れを制御する。
【0022】
[0034]本発明においては、噴霧される製品の特定の形状にしたがってスプレーガンのスプレーパターンを変えるためにコンピュータ可読媒体が設けられる。スプレーガンのスプレーパターンを動的に制御するための例示的なプロセスが図9に示されるタイミング図及び図10に示されるフローチャートに描かれている。フローチャート150のステップ151に示されるように、液体制御弁95は、スプレーガン11へ供給されるべき液体における既定圧力を形成するように設定される。ステップ152において、プロセスは、開始信号を待ち、すなわち、対象物体が検出されるのを待つ。開始信号は、タイミング図98のトリガ信号97すなわち方形パルスとして図9に示されている。開始信号が受けられると、プロセスがステップ153へと移行し、ここで、トリガ信号97の立ち上がりからの遅延時間Tがカウントされる。時間Tにわたって待った後、プロセスはパラレルステップ154a、154bへと移行する。ステップ154aでは、ファンエア制御弁84がタイミング図99に示されるように既定開始値Pflに設定される。同時に、霧化エア制御弁78は、タイミング図100に示されるように、既定開始値Palに設定される。
【0023】
[0035]ステップ155における他の遅延時間Tの満了後、プロセスはパラレルステップ156a〜15dへと移行する。ステップ156aでは、所定の圧力曲線101にしたがってファンエアを期間Tにわたって供給するためにファンエア制御弁84が制御される。ほぼ円形の対象物体においては、曲線101が図示のようにほぼ半円である。ファンエア圧力が大きくなればなるほど、スプレーガンのスプレーパターンも幅広くなる。同時に、ステップ156bでは、所定の圧力曲線102にしたがって霧化エアを同じ期間Tにわたって供給するために霧化エア制御弁78が制御される。パラレルステップ156cでは、所定の圧力曲線103にしたがって液体を同じ期間Tにわたって供給するために液体制御弁95が制御される。最後に、同時に、パラレルステップ156dでは、同じ期間Tにわたってシリンダエアバルブ89が開放され、それにより、その期間にわたってスプレーガンのバルブニードルが開放される。この時点まで実行されるステップの結果がスプレーパターンであり、スプレーパターンの度合いは主に曲線101によって規定され、スプレーパターンの密度は主に曲線103によって規定され、スプレーパターンの均一性は主に曲線101、103に対する曲線102の関係によって規定される。例えば、液体圧力曲線103は、曲線101に類似しておらず平坦である場合、液体材料は、動的に変化する領域にわたって略一定の速度で噴射され、それにより、密度が不均一となる。
【0024】
[0036]スプレー時間T後、プロセスはパラレルステップ157a〜dへと移行する。ステップ157aでは、最終圧力値Pfeのファンエアを期間Tにわたって供給するためにファンエア制御弁84が制御される。同時に、ステップ157bでは、最終圧力Paeの霧化エアを同じ期間Tにわたって供給するために霧化エア制御弁78が制御される。並行して、ステップ157cでは、既定圧力の液体を再び供給するために液体制御弁95が制御される。最後に、ステップ156dでは、シリンダエアバルブ89が閉じられ、それにより、スプレーガンのバルブニードルが再び閉じられる。そのとき、Tが満了し、プロセスがパラレルステップ158a〜dへと移行する。ステップ158aでは、ファンエア制御弁84が閉じられ、一方、ステップ158bでは、霧化エア制御弁78が閉じられる。パラレルステップ158a〜b後、プロセスは、次の対象物体の到達に伴うトリガ信号を待つためにステップ152へ戻る。
【0025】
[0037]前述したように、移動物体の形状に対応するべくスプレーガンパターンを動的に変えるためのプロセスは、対象物体がスプレーガンの真下に近づいていることを示すトリガ信号に依存していても良い。図示の実施形態において、この検出機能は、ビームブレークセンサ又は差動センサ(対象物体とコンベアベルトとの間の差を検出するためのセンサ)などの電気光学センサによって実行される。しかしながら、検出機能は、トリップレバーなどの任意の従来のセンサ技術によって実行されても良い。
【0026】
[0038]或いは、噴霧される物体は、コンベアベルト上の一組の所定の場所に配置される。この例において、トリガ信号は、ベルト自体とセンサとの相互作用によって(例えば、コンベアベルト上の一連の穴に隣接して装着されたブレークビームセンサによって)得られても良く、或いは、コンベアベルトの速度及びベルト上の物体の相対的位置に関する知識に基づいて内部で形成することができる。
【0027】
[0039]前述したように、本発明の図示の実施形態では、多くの所定の圧力曲線を使用して、スプレーガンパターンの動的変化を決定する。或いは、対象物体の形状が動的に検出されるとともに、検出された形状に基づいて流体圧力(例えば、ファン圧力、噴霧圧力、及び、液体圧力)が動的に決定されても良い。電気光学センサが利用されるのが好ましいが、製造環境に応じて、代わりに他のセンサタイプが使用されても良い。これは、変化に富んだ或いは不均一な形状の物体をスプレーコーティングしなければならない場合に特に有用である。
【0028】
[0040]前述したスプレーガンのスプレーパターンを動的に変えるプロセスが自動化されることが好ましいことは言うまでもない。これは、変数の数及び速度並びにこれらの変数が調整されるべき精度が、それら自体、手動操作に向かないからである。したがって、図10に示される図示のプロセスは、適したソフトウェアを実行するコンピュータによって実行されることが好ましい。コンピュータは、パーソナルコンピュータ(PC)を含む任意の形態のものであっても良い。磁気メモリ、電子メモリ又は光メモリなどのコンピュータ可読媒体上に書き込まれる一連のコンピュータ実行可能命令としてプロセスソフトウェアが具現化されることは言うまでもない。或いは、本明細書で説明したプロセスは、代わりに、適切な入力及び出力を有する論理回路で具現化されても良いが、そのような形態は自由度が低く、一般にあまり望ましくない。
【0029】
[0041]また、対象物体がスプレーガンのスプレー領域を横切るときに対象物体を噴射液体材料によって実質的に覆うことができるものとして本発明を説明してきたが、スプレーパターンの同じ動的変化は、物体表面のほぼ全てよりも少ない表面を備える対象物体の所定の部分のコーティングに適用できることは言うまでもない。例えば、本発明のシステムは、前述したように単に正しい圧力曲線をスプレーガン入口に適用するだけで、ピザ生地をソースで実質的にコーティングする(例えば、薄いコーティングされていないパイ皮だけを残して)ために使用でき、或いは、クッキーの半分をフロスティングでコーティングするために使用できる。このように、対象物体の被覆の程度又は密度は重要ではなく、また、これらの程度又は密度は、ユーザの好みを満たすために前述した本発明により要求通りに制御できる。ファンエア及び霧化エアを別個の入口を介して個別に供給することにより、結果として得られるスプレーの噴霧パターン及びファンパターンに関してより独立性の高い制御を行なうことができることは言うまでもない。また、図示のシステムは外部混合エア噴霧スプレーガンを使用するが、内部混合エア噴霧スプレーガンを含む他の形態を使用することもできる。加えられる圧力に応じて、例えば、ファンエア及び霧化エアが同じ方法で変えられるかどうかに応じて、単一オリフィススプレーノズルが使用されても良い。本明細書中における用語に関して、スプレーガンは、ガン形状等にかかわらずスプレーノズルアセンブリを全体的に網羅するように意図されている。
【0030】
[0042]最後に、スプレーガンは一般的に固定されているが、コンベアベルトが移動しているかどうかとは無関係に、1つ以上のスプレーガンがコンベアベルトと平行な面内で走査されても良い。また、図示のシステムはスプレーガンと噴霧される製品との間で1対1の関係を使用しているが、本発明が図示のシステムに限定されないことは言うまでもなく、また、物体の形状及び他の検討材料が影響する場合があるため、複数の製品単位を処理するために単一のガンが使用されても良く、単一の製品単位を処理するために複数のガンが使用されても良いと考えられる。
【0031】
[0043]以上から分かるように、本発明の噴射システムは、概して、材料の無駄及び後片付けを最小限に抑えつつ非矩形状又は他の不規則な形状の物品をスプレーするようになっている。噴射システムは、コンピュータ可読媒体を利用するとともに、スプレーガン又はノズルからのスプレーパターンを動的に変えて、かなり過剰なスプレーを伴うことなく選択的に移動する非矩形状の物品へとパターンが集中するようにする方法論を利用する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】移動するコンベアベルト上の非矩形物体に噴射するための本発明に係る噴射システムの斜視図である。
【図2A】対象物体が部分的にスプレーガンの下側に位置してスプレーガンへ向けて移動している、図示した噴射システムのスプレーガンのうちの1つの拡大斜視図である。
【図2B】対象物体がスプレーガンの下側の中間に位置する図2と同様の拡大斜視図である。
【図2C】対象物体が部分的にスプレーガンの下側に位置してスプレーガンから離れるように移動している、図2A及び図2Bと同様の拡大斜視図である。
【図3】図示した噴射システムのスプレーガンのうちの1つの拡大斜視図である。
【図4】図3の線4−4の面で切断された図示のスプレーガンの長手方向拡大断面図である。
【図5】スプレーガンのスプレーノズルアセンブリの部分拡大断面図である。
【図6】図示のスプレーガンのうちの1つ及びその放出するスプレーパターンの側面図である。
【図7】図6の線7−7の面で切断された図示のスプレーガンの正面図である。
【図8】図示のスプレーガンに関連するエア供給源、液体供給源及びコントローラを示す図示の噴射システムのシステム図である。
【図9】噴射システムの動作中のスプレーガンに対するトリガ信号、ファンエア圧力、霧化エア圧力、液体圧力、シリンダエア圧力における波形を示す相関タイミング図の組である。
【図10】噴射システムの動作中に対象物体の形状に対応するようにスプレーガンのスプレーパターンを動的に変えるプロセスを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物体経路に対して垂直なスプレーパターンの幅を制御するために1つ以上のファンエアオリフィスを有するスプレーガンアセンブリから液体物質を対象物体に噴射する方法で、前記スプレーパターンが前記対象物体経路の方向でスプレー領域に制限される、前記方法であって、
前記対象物体を前記対象物体経路に沿って前記スプレー領域へと搬送するステップと、
前記対象物体の少なくとも一部が前記スプレー領域に入る時期を検出するステップと、
前記対象物体の少なくとも一部が前記スプレー領域に入るときに、前記スプレーガンを作動させて、前記液体物質のスプレーを噴出するステップと、
前記スプレーパターンの幅を前記スプレー領域内の前記対象物体の幅と略一致するように制御する工程と噴射される前記液体材料が前記対象物体上にほぼ落下するように、前記対象物体を前記対象物体経路に沿って搬送し続ける工程とを含む制御されたスプレー動作を行なうステップと、
前記対象物体のどの部分も前記スプレー領域内にとどまっていないときに、前記スプレーガンの動作を停止させて、前記液体物質の前記スプレーの噴出を止めるステップと
を備える方法。
【請求項2】
前記スプレーパターンの幅を前記スプレー領域内の前記対象物体の幅と略一致するように制御する前記工程が、対象物体位置をエア圧力に関連付ける所定の圧力曲線と一致する圧力でファンエアを前記1つ以上のファンエアオリフィスへ加えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
制御されたスプレー動作を行なう前記ステップが、前記対象物体の任意の部分が前記スプレー領域内に入る前にファンエアを初期圧力で前記1つ以上のファンエアオリフィスへ加える工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記スプレーガンアセンブリが、エアを前記ファンエアオリフィスに対して供給するための1つ以上のファンエア入口と、噴射されるべき前記液体物質を供給するための1つ以上の液体入口と、前記噴射された液体物質を霧化するためのエアを供給する1つ以上の霧化エア入口とを更に備え、前記スプレーパターンの幅を前記スプレー領域内の前記対象物体の幅と略一致するように制御する前記工程が、前記1つ以上のファンエア入口、液体入口、及び霧化エア入口を介してファンエア、霧化エア、及び前記液体物質が前記スプレーガンアセンブリに対して供給される際のそれぞれの圧力を制御することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スプレーパターンの幅を前記スプレー領域内の前記対象物体の幅と略一致するように制御する前記工程が、
前記スプレー領域内の前記対象物体の幅を検出することと、
前記スプレーパターンの幅を前記スプレー領域内の前記対象物体の幅に一致させる圧力で、前記1つ以上のファンエアオリフィスに対してファンエアを動的に加えることと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記スプレーガンアセンブリが、前記スプレーガンアセンブリからの前記液体物質の噴出を可能にする或いは防止するべく前記スプレーガンアセンブリ内のバルブニードルを制御するエアを供給するためのシリンダエア入口を更に含み、前記スプレーガンを作動させて前記液体物質のスプレーを噴出する前記ステップが、前記バルブニードルが前記スプレーガンアセンブリから前記液体物質を噴出させることができる十分な圧力で前記シリンダエア入口に対してエアを供給する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記スプレーガンの動作を停止させて前記液体物質の前記スプレーの噴出を止める前記ステップが、前記バルブニードルが前記スプレーガンアセンブリからの前記液体物質の噴出を防止できる十分低い圧力で前記シリンダエア入口に対してエアを供給する工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
制御されたスプレー動作を行なう前記ステップが、前記対象物体の動く方向と平行な面内で前記スプレーガンアセンブリの位置を制御する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記対象物体の少なくとも一部が前記スプレー領域に入る時期を検出する前記ステップが、電気光学センサによって前記対象物体の位置を検出する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
対象物体経路に対して垂直なスプレーパターンの幅を制御するために1つ以上のファンエアオリフィスを有するスプレーガンアセンブリから液体物質を対象物体に噴射する方法を行なうためのコンピュータ実行可能命令を保持するコンピュータ可読媒体で、前記スプレーパターンが前記対象物体経路の方向でスプレー領域に制限される、前記コンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータ実行可能命令が、
前記対象物体を前記対象物体経路に沿って前記スプレー領域へと搬送するための命令と、
前記対象物体の少なくとも一部が前記スプレー領域に入る時期を検出するための命令と、
前記対象物体の少なくとも一部が前記スプレー領域に入るときに、前記スプレーガンを作動させて、前記液体物質のスプレーを噴出するための命令と、
前記スプレーパターンの幅を前記スプレー領域内の前記対象物体の幅と略一致するように制御するためと噴射される前記液体材料が前記対象物体上にほぼ落下するように、前記対象物体を前記対象物体経路に沿って搬送し続けるための命令を含む制御されたスプレー動作を行なうための命令と、
前記対象物体のどの部分も前記スプレー領域内にとどまっていないときに、前記スプレーガンの動作を停止させて、前記液体物質のスプレーの噴出を止めるための命令と
を備える、コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
制御されたスプレー動作を行なうための前記命令が、前記対象物体の任意の部分が前記スプレー領域内に入る前にファンエアを初期圧力で前記1つ以上のファンエアオリフィスへ加えるための命令を更に含む、請求項10に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記スプレーパターンの幅を前記スプレー領域内の前記対象物体の幅と略一致するように制御するための前記命令が、対象物体位置をエア圧力に関連付ける所定の圧力曲線と一致する圧力でファンエアを前記1つ以上のファンエアオリフィスへ加えるための命令を含む、請求項10に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記スプレーガンアセンブリが、エアを前記ファンエアオリフィスに対して供給するための1つ以上のファンエア入口と、噴射されるべき前記液体物質を供給するための1つ以上の液体入口と、噴射された前記液体物質を霧化するためのエアを供給する1つ以上の霧化エア入口とを更に含み、前記スプレーパターンの幅を前記スプレー領域内の前記対象物体の幅と略一致するように制御するための前記命令が、前記1つ以上のファンエア入口、液体入口、及び霧化エア入口を介してファンエア、霧化エア、及び前記液体物質が前記スプレーガンアセンブリに対して供給される際のそれぞれの圧力を制御するための命令を更に含む、請求項10に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記スプレーパターンの幅を前記スプレー領域内の前記対象物体の幅と略一致するように制御するための前記命令が、
前記スプレー領域内の前記対象物体の幅を検出するための命令と、
前記スプレーパターンの幅を前記スプレー領域内の前記対象物体の幅に一致させる圧力で、前記1つ以上のファンエアオリフィスに対してファンエアを動的に加えるための命令と
を含む、請求項10に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記スプレーガンアセンブリが、前記スプレーガンアセンブリからの液体物質の噴出を可能にする或いは防止するべく前記スプレーガンアセンブリ内のバルブニードルを制御するエアを供給するためのシリンダエア入口を更に含み、前記スプレーガンを作動させて前記液体物質のスプレーを噴出するための前記命令が、前記バルブニードルが前記スプレーガンアセンブリから前記液体物質を噴出させることができる十分な圧力で前記シリンダエア入口に対してエアを供給するための命令を含む、請求項10に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記スプレーガンの動作を停止させて前記液体物質の前記スプレーの噴出を止めるための前記命令が、前記バルブニードルが前記スプレーガンアセンブリからの前記液体物質の噴出を防止できる十分低い圧力で前記シリンダエア入口に対してエアを供給するための命令を含む、請求項15に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
制御されたスプレー動作を行なうための前記命令が、前記対象物体の動く方向と平行な面内で前記スプレーガンアセンブリの位置を制御するための命令を更に含む、請求項10に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記対象物体の少なくとも一部が前記スプレー領域に入る時期を検出するための前記命令が、電気光学センサによって前記対象物体の位置を読み取るための命令を更に含む、請求項10に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
スプレーガンから液体材料を非矩形状物体に噴射する方法であって、
対象経路に沿って第1の方向でスプレー領域へと前記物体を搬送するステップと、
スプレーパターンを突出させるように配置されるスプレーガンを前記スプレー領域に設けるステップであって、前記スプレーガンが、前記第1の方向と垂直な第2の方向で前記スプレーパターンを可変的に煽るように制御可能なステップと、
前記第1の方向及び前記第2の方向の両方と平行な面内で前記物体の寸法にほぼ制限されるパターンで前記スプレーガンから前記液体材料を搬送された前記物体上に噴射するために、前記スプレーパターンを動的に煽るステップと
を備える方法。
【請求項20】
前記スプレーガンが、ファンエア入力と、霧化エア入力と、液体材料入力とを備え、前記スプレーパターンを動的に煽る前記ステップが、前記ファンエア入力、前記霧化エア入力、前記液体材料入力に対してファンエア、霧化エア、液体材料が供給される際の圧力を動的に変える工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
処理方向に対して垂直な方向で横方向幅が変化する相対的に移動可能な非矩形状製品を処理するのに用いるための噴射システムであって、
少なくとも1つのスプレーノズルアセンブリと、噴霧されるべき前記製品を支持するための支持要素とを備え、
前記スプレーノズルアセンブリ及び前記支持要素が前記処理方向に相対的に並進移動するように配置され、前記スプレーノズルアセンブリが、液体供給源から加圧液体を受けてこれを噴霧されるべき前記製品へと方向付ける液体入口と、前記加圧液体の噴射及び方向付けを容易にするために加圧エア供給源から加圧エアを受ける少なくとも1つの加圧エア入口とを有し、
前記製品の外周を超えるかなり過剰な噴射を伴うことなく、前記処理方向と垂直な方向で前記スプレーノズルアセンブリから放出する前記スプレーの前記横方向幅が前記製品の一部の噴射されるべき部分の前記横方向幅と一致するように、前記スプレーノズルアセンブリへの加圧液体及びエアの供給を制御するためのプログラマブル制御装置を備えている、噴射システム。
【請求項22】
前記プログラマブル制御装置が、噴霧されるべき前記製品の前記横方向幅の違いにかかわらず噴射材料の略均一なコーティングが噴霧されるべき前記物品に対して塗布されるように前記液体供給及び加圧エア供給を制御するようになっている請求項21に記載の噴射システム。
【請求項23】
前記スプレーノズルアセンブリが、噴射される前記液体の霧化を容易にする加圧エアを受けるための加圧霧化エア入口と、前記製品の前記処理方向に対して垂直に向けられた平坦なスプレーパネルへ放出する前記スプレーを煽るための加圧エアを受けるファンエア入口とを含み、前記プログラマブル制御装置が、前記霧化エア入口及び前記ファンエア入口への前記加圧エア供給を制御するようになっている請求項21に記載の噴射システム。
【請求項24】
互いに横方向に並ぶ関係を成して装着される複数の前記スプレーノズルアセンブリを含み、各スプレーノズルアセンブリが、噴霧されるべき製品の対応する列に噴射し、前記プログラマブル制御装置が、前記各スプレーノズルアセンブリに対する前記加圧液体及びエアの供給を制御するようになっている請求項21に記載の噴射システム。
【請求項25】
噴霧されるべき前記製品が、前記スプレーノズルの下側で処理方向に移動できるコンベア上で搬送される請求項21に記載の噴射システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−544836(P2008−544836A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511352(P2008−511352)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/018210
【国際公開番号】WO2006/124500
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(595170502)スプレイング システムズ カンパニー (18)
【Fターム(参考)】