非破壊単結晶基板応力測定法、測定装置および測定プログラム
【課題】パッケージ内に実装された半導体チップの反り応力を、パッケージを破壊することなくX線を用いて測定する方法と装置およびプログラム等を提供する。
【解決手段】単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射し、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出し、前記検出ステップの結果を用いて前記単結晶基板の応力を求める。
【解決手段】単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射し、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出し、前記検出ステップの結果を用いて前記単結晶基板の応力を求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体チップの反り応力を測定する方法と装置およびプログラムに関し、特にパッケージ内に実装された半導体チップの反り応力を、パッケージを破壊することなくX線を用いて測定する方法と装置およびプログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品の小型化、高機能化、高性能化といった要求に対し、さまざまなLSIチップの実装技術が開発されている。このような、いわゆる先端実装技術を実現するための要素技術には、LSIチップに加わる機械的応力が大きくなると懸念される技術が多い。このため、実装されたLSIチップへの応力や歪を非破壊で測定する技術の重要度が増している。
【0003】
実装された半導体チップの応力や反りの評価は、従来、ラマン分光法や歪ゲージ法を用いて行われてきた。しかし、ラマン分光法はパッケージの断面において測定を行う破壊検査であり、断面作成の際に応力が緩和するため、測定結果が実際の半導体チップの応力を反映しない場合があるという懸念がある。また、歪ゲージ法は非破壊検査であるが、この方法で測定される歪はパッケージ表面の歪であり、半導体チップに加わる歪は、推定でしか求められない。非破壊かつ直接、半導体チップの反り応力を測定する方法が求められている。
【0004】
そこでパッケージされた半導体チップの反りをX線回折を用いて非破壊かつ直接測定する方法が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された方法では、まずパッケージ材料越しに半導体チップからの回折X線を取得し、ロッキング曲線の試料位置依存性を測定する。次に、その結果得られた回折ピーク位置の試料位置依存性から半導体チップの形状すなわち反りをもとめる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−203212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては回折X線を得るための実験上の手続きについては詳細な記述があるものの、半導体チップの反り応力は求められていない。反り応力のデバイス特性への影響を予測したり、測定結果を応力シミュレーションの結果と比較したりする場合には、回折測定から反り応力を解析する方法が必要である。
【0007】
本発明は上記の問題を考慮してなされたものであり、パッケージされた半導体チップの反りをX線回折を用いて非破壊かつ直接測定する方法において、妥当性を備えた解析方法を提供し、かつこの妥当な解析方法を含んだ一連の調整作業や解析作業の一部ないし全部を自動化するプログラムやこれを実現する装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の非破壊単結晶基板応力測定法は、単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射するステップと、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出する検出ステップと、前記検出ステップの結果を用いて前記単結晶基板の応力を求める解析ステップとからなる非破壊単結晶基板応力測定法であって、前記検出ステップは、前記回折X線のロッキング曲線を測定するステップと前記部品を移動する移動ステップとを測定位置が前記単結晶基板の一端部から反対側の端部に達するまで繰り返し行うステップであり、前記解析ステップは、前記検出ステップにより得られたロッキング曲線から回折ピーク角度を求めるステップと、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωBと表し、前記移動ステップにおける移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を
【0009】
【数1】
として算出するステップであることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射し、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出し、前記回折X線のロッキング曲線を前記単結晶基板の一端部から反対側の端部に達するまで繰り返し行うことにより求め、前記求めたロッキング曲線から回折ピーク角度を求め、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωBと表し、前記移動ステップにおける移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を
【0011】
【数2】
として算出する。
【0012】
従って、製品内の半導体チップの反り応力を非破壊、簡便に測定することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の非破壊単結晶基板反り応力測定装置は、単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射する手段と、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出する検出手段と、前記検出手段により得られた結果を用いて前記単結晶基板の反りを求める解析手段とからなる非破壊単結晶基板反り測定装置であって、前記検出手段は、前記回折X線のロッキング曲線を測定するステップと前記部品を移動する移動ステップとを測定位置が前記単結晶基板の一端部から反対側の端部に達するまで繰り返し行うことができる手段であり、前記解析手段は、前記検出手段により得られたロッキング曲線から回折ピーク角度を求める手段と、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωBと表し、前記移動ステップにおける移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を
【0014】
【数3】
として算出する手段であることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の非破壊単結晶基板反り測定プログラムは、請求項2に記載の非破壊単結晶基板反り応力測定装置に含まれるコンピュータを、前記X線を照射する手段、前記検出手段、前記解析手段、として機能させる。
【0016】
請求項4に記載の非破壊単結晶基板反り測定プログラムは、請求項2に記載の非破壊単結晶基板反り応力測定装置に含まれるコンピュータを、前記X線を照射する手段、前記検出手段、前記解析手段、前記回折ピーク角度の試料位置依存性から求めた、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωB(x)と表し、前記移動ステップにおける移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を
【0017】
【数4】
として算出する手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射し、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出し、前記検出結果を用いて前記単結晶基板の応力を求めるため、製品内の半導体チップの反り応力を非破壊、簡便に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】反り測定の原理を説明する図である。
【図2】反り測定の原理を説明する図である。
【図3】反り測定の原理を説明する図である。
【図4】反り測定の原理を説明する図である。
【図5】反り測定の原理を説明する図である。
【図6】反り測定を行った試料の模式図である。
【図7】反り測定を行った測定系の模式図である。
【図8】入射X線、回折X線、X線の照射領域と試料の位置関係を示す模式図である。
【図9】本発明に係る反り測定の測定手順の説明図である。
【図10】反りによって生じたチップの曲率半径と反り歪との関係を示す図である。
【図11】チップ曲率半径と2測定点のピーク角度の差(法線のなす角)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本願の最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
まず、回折X線を用いて半導体チップの反りを測定する方法の原理について説明する。図1は反り測定法の基本となるX線回折法で用いる手段とその構成、及びX線光線図の概略を示したものである。図1は説明のために簡略化されており、実際の測定における手段とその構成、及びX線光線図と完全には一致しない場合もある。
【0022】
適切なX線源4で発生した入射X線5はSiチップ10の照射領域11(領域A)に入射する。X線検出器6を固定したまま、試料ステージ7の(波数ベクトル8の方向から計った)回転角ωを変化させると、ブラッグ条件が満たされるとき、すなわち領域Aの表面に対する入射X線5の入射角αがある特定の値αBをとるとき、領域AにおいてX線の結晶回折が生じX線検出器6で回折X線9が検出される。ここで、回折X線が検出されるときのωをωBと表す。さらに、領域AにおけるωBの値をωB(A)と表すことにする。
【0023】
単結晶基板が反っていない場合、ωをωB(A)にしたまま、試料ステージ7をx軸方向へ移動させ、図2に示すように、Siチップ10上の他の照射領域12(領域B)にX線を照射しても、回折X線は検出されるままである。これはチップ表面に対する入射X線5の入射角αが領域Aと領域BとでαBのまま同じためである。
【0024】
これに対して、図3から図5に示すように、Siチップ13が上に凸に反っている場合を考える。まず図3に注目して、照射領域14(領域C)にX線を照射したときのωBをωB(C)とする。このとき、回折X線9が検出されているのでαはαBである。次にωをωB(C)に設定したまま、試料ステージをx軸に平行にx軸の正の方向へ移動し、照射領域15(領域D)にX線を照射する(図4)。領域Dでは反りによりαがαBからずれるため、回折X線は検出されない。領域Dにおいて回折X線を検出するためには、αがαBとなるようにωの値を変化させればよい(図5)。すなわち、測定点が移動することによって生じるαの変化を打ち消す方向にωの値を調整すればよい。定量的には、領域Cの表面と領域Dの表面とのなす角をΔθ≧0とするとき、
【0025】
【数5】
… 式(1)
とすれば、領域DにおけるαがαBとなり、回折X線が検出される。以上の説明から、反りにより回折X線が検出される際のωが変化することが理解される。
【0026】
さらに、式(1)を変形すると、式(2)を得る。
【0027】
【数6】
… 式(2)
式(2)は、領域Dと領域CとでωBを測定すれば、その変化から領域Cと領域Dの表面のなす角、すなわち反りによる表面の角度変化が求められることを示している。
【0028】
以上では、単結晶基板が上に凸に反っている場合について説明したが、下に凸に反っている場合も同様の原理で反りによる表面のなす角の変化が測定可能である。
【0029】
次に上記の方法を用いて実際に行った測定について述べる。
【0030】
測定に用いた試料は図6に示したものである。また、測定に用いたX線回折装置の概略を図7に示した。入射X線5および回折X線9と試料との関係を試料近傍について示したのが図8である。この図では、説明のためにモールド樹脂やプリント基板等を省略し、Siチップ19のみを示した。入射X線17のビーム形状はスリットによりSW1×SW2=2mm×0.2mmの長方形に規定されているが、Siチップ19上でのX線の照射領域20はおよそW1×W2=2mm×0.26mmの領域となる。これは、入射X線がSiチップ表面に対して斜めに入射するためである。
【0031】
以下測定の手順を示す。
【0032】
まず、図7に示したような測定系において、パッケージを試料ステージ7上に(半導体チップの中央がX線照射位置に重なるように)配置する。その後、半割り調整によるX線光学系の軸調整を行う。半割り調整は一般的な薄膜試料のX線回折測定の場合にも行われる調整であるので説明を省略する。次に回折X線を取得するために2θ軸(入射X線の波数ベクトルの方向から測った検出器の方位角)とω軸(入射X線の波数ベクトルの方向から測った試料ステージの回転角)とを調整する。
【0033】
本実施例においてはSi(0 0 1)基板から作成した半導体チップの反りをMo Kα1 特性X線(エネルギー:17.48keV、波長: 7.0926×10−2nm)を用いてSi(0 0 12)反射のロッキング曲線を観測するので、Bragg角θBはSi(0 0 12)の面間隔d、X線の波長λを用いて、式(3)より、θB=51.59°と求められるので、まず、2θ=2θB=103.18°、ω=51.59°に設定する。
【0034】
【数7】
… 式(3)
そして2θ−ωスキャンを行い回折ピークを探す。このスキャンを行っても回折ピークが得られない場合は、次のいずれかの操作により回折ピークを見出す。イ)2θを2θBに固定し、ωをθB付近でスキャン。ロ)ωをθBに固定し、2θを2θB付近でスキャン。ハ)χ(x軸周りの試料ステージの回転角)をプラス(あるいはマイナス)0.5°に設定し、上記の2θ−ωスキャンか、イ)あるいはロ)の操作で回折ピークを探す。上記のいずれかの操作により回折ピークが見出される。
【0035】
上記の操作により回折ピークが見出されたら、回折強度が最大となるように、調整を行う。回折ピークが見出されたときの2θ、ω、χの条件をそれぞれ2θ0、ω0、χ0であらわす。
【0036】
まず、イ)2θ、ωを2θ0、ω0に固定し、χをχ0の周辺でスキャンし、回折強度が最大となる点を探しχをその点χ1に移動する。ロ)ω、χをω0、χ1に固定し、2θを2θ0周辺で走査する。回折強度が最大となる点を探し2θをその点2θ1へ移動する。ハ)2θ、χを2θ1、χ1に固定し、ωをω0周辺で走査する。回折強度が最大となる点を探しωをその点ω1へ移動する。以降、各走査で得られる回折強度の最大値が変化しなくなるまで、イ)〜ハ)の走査を繰りかえす。以降の調整、測定においては2θの値は固定する。
【0037】
次に回折X線を手がかりに次のようにチップ端部を決定する。すなわち、確実にSiチップに入射X線が照射されている位置から始めて、「試料ステージをx軸方向に一定距離移動する」、「ロッキング曲線を測定する」の操作を繰り返し、ロッキング曲線に回折X線が現れなくなった位置の直前の位置をチップ端部と判定する。このようにして2つのチップ端部を探し出す。
【0038】
次に上記の方法で決定した2つのチップ端部でロッキング曲線を測定する。2点での回折ピーク角度が含まれるように以下の測定におけるロッキング曲線の始点ωsと終点ωeを決定しておく。
【0039】
続いて一方のチップ端部にX線が照射されるように試料位置を調整する(図9左上)。そして、ロッキング曲線24をω=ωsからω=ωeの区間で取得しピーク角度ωBを求め、ωの値を初期値ωsに戻す(図9右上)。その後、試料ステージを一定距離たとえば0.1mmだけx軸方向に平行移動し(図9左下)、再びその位置でロッキング曲線24をω=ωsからω=ωeの区間で取得しピーク角度ωBを求め、ωの値を初期値ωsに戻す(図9右下)。このように「ロッキング曲線をω=ωsからω=ωeの区間で取得し、ピーク角度ωBを求め、ωの値を初期値ωsに戻す。」、「試料ステージをx軸方向に沿って移動させる。」といったステップを測定位置が出発点とは逆の半導体チップ端部に達するまで繰り返す。
【0040】
なお、上記の手続きにおいては、取得したロッキング曲線を測定点と対応付けて記録しておき、各測定点でのロッキング曲線でのピーク角度の特定を測定終了後に一括して行ってもよい。
【0041】
このようにしてピーク角度ωBの試料位置依存性が求められれば、以下のようにチップ応力を求めることができる。
【0042】
まず、チップ断面の一部を示した図10を用いて、応力なしの状態(左側)から応力が外から加えられた場合(右側)を考える。Siチップ27および28の中央は応力が0(中立層)であると仮定する。すると、応力が加えられた場合においては、中央から上半分が引っ張り応力、中央から下半分が圧縮応力を受けると考えられる。そうすると、反ることによって生じるチップ表面の歪は、tをチップ厚さとするとき、式(4)により算出されるので、これにチップのヤング率Eをかけることでチップ表面の表面接線方向への反り応力σが得られる(式(5))。
【0043】
【数8】
… 式(4)
【0044】
【数9】
… 式(5)
一方、曲率半径RはωB(x)と次のような関係にある。図11に示すように、Siチップ29上の2点(30および31)の表面法線(32および33)がなす角をΔθ、2点間の距離をΔxとすると、曲率1/Rは、式(6)によって与えられる。
【0045】
【数10】
… 式(6)
一方、Δθの絶対値は各点でのロッキング曲線におけるピーク角度の差ΔωBの絶対値に等しいので、式(7)を得る。
【0046】
【数11】
… 式(7)
式(5)と式(7)とを用いると反り応力式(8)が得られる。
【0047】
【数12】
… 式(8)
なお、ΔωBの符号は測定系や測定位置の順序付けの方法によって変わりうるため、適宜正しい応力の符号が得られる様に修正されるべきである。ここでは、図2に示したような測定系を想定した。以上のように、各測定点でのωBと測定点間の距離Δxを用いてチップ表面の反り応力を求めることができる。
【0048】
以上説明したように、非破壊単結晶基板応力測定法は、単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射するステップと、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出する検出ステップと、前記検出ステップの結果を用いて前記単結晶基板の応力を求める解析ステップとからなる非破壊単結晶基板応力測定法であって、前記検出ステップは、前記回折X線のロッキング曲線を測定するステップと前記部品を移動する移動ステップとを測定位置が前記単結晶基板の一端部から反対側の端部に達するまで繰り返し行うステップであり、前記解析ステップは、前記検出ステップにより得られたロッキング曲線から回折ピーク角度を求めるステップと、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωBと表し、前記移動ステップにおける移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を、式(8)により算出する。
【0049】
従って、製品内の半導体チップの反り応力を非破壊、簡便に測定することが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 プリント基板
2、10、13、19、27、28、29 Siチップ
3 モールド樹脂
4 X線源
5、17 入射X線
6 X線検出器
7、23 試料ステージ
8 入射X線の波数ベクトル
9、18 回折X線
10 樹脂基板
11、12、14、15、20 照射領域
24、25 ロッキング曲線
30、31 ロッキング曲線の測定点
32、33 各測定点におけチップ表面法線
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体チップの反り応力を測定する方法と装置およびプログラムに関し、特にパッケージ内に実装された半導体チップの反り応力を、パッケージを破壊することなくX線を用いて測定する方法と装置およびプログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品の小型化、高機能化、高性能化といった要求に対し、さまざまなLSIチップの実装技術が開発されている。このような、いわゆる先端実装技術を実現するための要素技術には、LSIチップに加わる機械的応力が大きくなると懸念される技術が多い。このため、実装されたLSIチップへの応力や歪を非破壊で測定する技術の重要度が増している。
【0003】
実装された半導体チップの応力や反りの評価は、従来、ラマン分光法や歪ゲージ法を用いて行われてきた。しかし、ラマン分光法はパッケージの断面において測定を行う破壊検査であり、断面作成の際に応力が緩和するため、測定結果が実際の半導体チップの応力を反映しない場合があるという懸念がある。また、歪ゲージ法は非破壊検査であるが、この方法で測定される歪はパッケージ表面の歪であり、半導体チップに加わる歪は、推定でしか求められない。非破壊かつ直接、半導体チップの反り応力を測定する方法が求められている。
【0004】
そこでパッケージされた半導体チップの反りをX線回折を用いて非破壊かつ直接測定する方法が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された方法では、まずパッケージ材料越しに半導体チップからの回折X線を取得し、ロッキング曲線の試料位置依存性を測定する。次に、その結果得られた回折ピーク位置の試料位置依存性から半導体チップの形状すなわち反りをもとめる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−203212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては回折X線を得るための実験上の手続きについては詳細な記述があるものの、半導体チップの反り応力は求められていない。反り応力のデバイス特性への影響を予測したり、測定結果を応力シミュレーションの結果と比較したりする場合には、回折測定から反り応力を解析する方法が必要である。
【0007】
本発明は上記の問題を考慮してなされたものであり、パッケージされた半導体チップの反りをX線回折を用いて非破壊かつ直接測定する方法において、妥当性を備えた解析方法を提供し、かつこの妥当な解析方法を含んだ一連の調整作業や解析作業の一部ないし全部を自動化するプログラムやこれを実現する装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の非破壊単結晶基板応力測定法は、単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射するステップと、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出する検出ステップと、前記検出ステップの結果を用いて前記単結晶基板の応力を求める解析ステップとからなる非破壊単結晶基板応力測定法であって、前記検出ステップは、前記回折X線のロッキング曲線を測定するステップと前記部品を移動する移動ステップとを測定位置が前記単結晶基板の一端部から反対側の端部に達するまで繰り返し行うステップであり、前記解析ステップは、前記検出ステップにより得られたロッキング曲線から回折ピーク角度を求めるステップと、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωBと表し、前記移動ステップにおける移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を
【0009】
【数1】
として算出するステップであることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射し、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出し、前記回折X線のロッキング曲線を前記単結晶基板の一端部から反対側の端部に達するまで繰り返し行うことにより求め、前記求めたロッキング曲線から回折ピーク角度を求め、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωBと表し、前記移動ステップにおける移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を
【0011】
【数2】
として算出する。
【0012】
従って、製品内の半導体チップの反り応力を非破壊、簡便に測定することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の非破壊単結晶基板反り応力測定装置は、単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射する手段と、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出する検出手段と、前記検出手段により得られた結果を用いて前記単結晶基板の反りを求める解析手段とからなる非破壊単結晶基板反り測定装置であって、前記検出手段は、前記回折X線のロッキング曲線を測定するステップと前記部品を移動する移動ステップとを測定位置が前記単結晶基板の一端部から反対側の端部に達するまで繰り返し行うことができる手段であり、前記解析手段は、前記検出手段により得られたロッキング曲線から回折ピーク角度を求める手段と、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωBと表し、前記移動ステップにおける移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を
【0014】
【数3】
として算出する手段であることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の非破壊単結晶基板反り測定プログラムは、請求項2に記載の非破壊単結晶基板反り応力測定装置に含まれるコンピュータを、前記X線を照射する手段、前記検出手段、前記解析手段、として機能させる。
【0016】
請求項4に記載の非破壊単結晶基板反り測定プログラムは、請求項2に記載の非破壊単結晶基板反り応力測定装置に含まれるコンピュータを、前記X線を照射する手段、前記検出手段、前記解析手段、前記回折ピーク角度の試料位置依存性から求めた、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωB(x)と表し、前記移動ステップにおける移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を
【0017】
【数4】
として算出する手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射し、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出し、前記検出結果を用いて前記単結晶基板の応力を求めるため、製品内の半導体チップの反り応力を非破壊、簡便に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】反り測定の原理を説明する図である。
【図2】反り測定の原理を説明する図である。
【図3】反り測定の原理を説明する図である。
【図4】反り測定の原理を説明する図である。
【図5】反り測定の原理を説明する図である。
【図6】反り測定を行った試料の模式図である。
【図7】反り測定を行った測定系の模式図である。
【図8】入射X線、回折X線、X線の照射領域と試料の位置関係を示す模式図である。
【図9】本発明に係る反り測定の測定手順の説明図である。
【図10】反りによって生じたチップの曲率半径と反り歪との関係を示す図である。
【図11】チップ曲率半径と2測定点のピーク角度の差(法線のなす角)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本願の最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
まず、回折X線を用いて半導体チップの反りを測定する方法の原理について説明する。図1は反り測定法の基本となるX線回折法で用いる手段とその構成、及びX線光線図の概略を示したものである。図1は説明のために簡略化されており、実際の測定における手段とその構成、及びX線光線図と完全には一致しない場合もある。
【0022】
適切なX線源4で発生した入射X線5はSiチップ10の照射領域11(領域A)に入射する。X線検出器6を固定したまま、試料ステージ7の(波数ベクトル8の方向から計った)回転角ωを変化させると、ブラッグ条件が満たされるとき、すなわち領域Aの表面に対する入射X線5の入射角αがある特定の値αBをとるとき、領域AにおいてX線の結晶回折が生じX線検出器6で回折X線9が検出される。ここで、回折X線が検出されるときのωをωBと表す。さらに、領域AにおけるωBの値をωB(A)と表すことにする。
【0023】
単結晶基板が反っていない場合、ωをωB(A)にしたまま、試料ステージ7をx軸方向へ移動させ、図2に示すように、Siチップ10上の他の照射領域12(領域B)にX線を照射しても、回折X線は検出されるままである。これはチップ表面に対する入射X線5の入射角αが領域Aと領域BとでαBのまま同じためである。
【0024】
これに対して、図3から図5に示すように、Siチップ13が上に凸に反っている場合を考える。まず図3に注目して、照射領域14(領域C)にX線を照射したときのωBをωB(C)とする。このとき、回折X線9が検出されているのでαはαBである。次にωをωB(C)に設定したまま、試料ステージをx軸に平行にx軸の正の方向へ移動し、照射領域15(領域D)にX線を照射する(図4)。領域Dでは反りによりαがαBからずれるため、回折X線は検出されない。領域Dにおいて回折X線を検出するためには、αがαBとなるようにωの値を変化させればよい(図5)。すなわち、測定点が移動することによって生じるαの変化を打ち消す方向にωの値を調整すればよい。定量的には、領域Cの表面と領域Dの表面とのなす角をΔθ≧0とするとき、
【0025】
【数5】
… 式(1)
とすれば、領域DにおけるαがαBとなり、回折X線が検出される。以上の説明から、反りにより回折X線が検出される際のωが変化することが理解される。
【0026】
さらに、式(1)を変形すると、式(2)を得る。
【0027】
【数6】
… 式(2)
式(2)は、領域Dと領域CとでωBを測定すれば、その変化から領域Cと領域Dの表面のなす角、すなわち反りによる表面の角度変化が求められることを示している。
【0028】
以上では、単結晶基板が上に凸に反っている場合について説明したが、下に凸に反っている場合も同様の原理で反りによる表面のなす角の変化が測定可能である。
【0029】
次に上記の方法を用いて実際に行った測定について述べる。
【0030】
測定に用いた試料は図6に示したものである。また、測定に用いたX線回折装置の概略を図7に示した。入射X線5および回折X線9と試料との関係を試料近傍について示したのが図8である。この図では、説明のためにモールド樹脂やプリント基板等を省略し、Siチップ19のみを示した。入射X線17のビーム形状はスリットによりSW1×SW2=2mm×0.2mmの長方形に規定されているが、Siチップ19上でのX線の照射領域20はおよそW1×W2=2mm×0.26mmの領域となる。これは、入射X線がSiチップ表面に対して斜めに入射するためである。
【0031】
以下測定の手順を示す。
【0032】
まず、図7に示したような測定系において、パッケージを試料ステージ7上に(半導体チップの中央がX線照射位置に重なるように)配置する。その後、半割り調整によるX線光学系の軸調整を行う。半割り調整は一般的な薄膜試料のX線回折測定の場合にも行われる調整であるので説明を省略する。次に回折X線を取得するために2θ軸(入射X線の波数ベクトルの方向から測った検出器の方位角)とω軸(入射X線の波数ベクトルの方向から測った試料ステージの回転角)とを調整する。
【0033】
本実施例においてはSi(0 0 1)基板から作成した半導体チップの反りをMo Kα1 特性X線(エネルギー:17.48keV、波長: 7.0926×10−2nm)を用いてSi(0 0 12)反射のロッキング曲線を観測するので、Bragg角θBはSi(0 0 12)の面間隔d、X線の波長λを用いて、式(3)より、θB=51.59°と求められるので、まず、2θ=2θB=103.18°、ω=51.59°に設定する。
【0034】
【数7】
… 式(3)
そして2θ−ωスキャンを行い回折ピークを探す。このスキャンを行っても回折ピークが得られない場合は、次のいずれかの操作により回折ピークを見出す。イ)2θを2θBに固定し、ωをθB付近でスキャン。ロ)ωをθBに固定し、2θを2θB付近でスキャン。ハ)χ(x軸周りの試料ステージの回転角)をプラス(あるいはマイナス)0.5°に設定し、上記の2θ−ωスキャンか、イ)あるいはロ)の操作で回折ピークを探す。上記のいずれかの操作により回折ピークが見出される。
【0035】
上記の操作により回折ピークが見出されたら、回折強度が最大となるように、調整を行う。回折ピークが見出されたときの2θ、ω、χの条件をそれぞれ2θ0、ω0、χ0であらわす。
【0036】
まず、イ)2θ、ωを2θ0、ω0に固定し、χをχ0の周辺でスキャンし、回折強度が最大となる点を探しχをその点χ1に移動する。ロ)ω、χをω0、χ1に固定し、2θを2θ0周辺で走査する。回折強度が最大となる点を探し2θをその点2θ1へ移動する。ハ)2θ、χを2θ1、χ1に固定し、ωをω0周辺で走査する。回折強度が最大となる点を探しωをその点ω1へ移動する。以降、各走査で得られる回折強度の最大値が変化しなくなるまで、イ)〜ハ)の走査を繰りかえす。以降の調整、測定においては2θの値は固定する。
【0037】
次に回折X線を手がかりに次のようにチップ端部を決定する。すなわち、確実にSiチップに入射X線が照射されている位置から始めて、「試料ステージをx軸方向に一定距離移動する」、「ロッキング曲線を測定する」の操作を繰り返し、ロッキング曲線に回折X線が現れなくなった位置の直前の位置をチップ端部と判定する。このようにして2つのチップ端部を探し出す。
【0038】
次に上記の方法で決定した2つのチップ端部でロッキング曲線を測定する。2点での回折ピーク角度が含まれるように以下の測定におけるロッキング曲線の始点ωsと終点ωeを決定しておく。
【0039】
続いて一方のチップ端部にX線が照射されるように試料位置を調整する(図9左上)。そして、ロッキング曲線24をω=ωsからω=ωeの区間で取得しピーク角度ωBを求め、ωの値を初期値ωsに戻す(図9右上)。その後、試料ステージを一定距離たとえば0.1mmだけx軸方向に平行移動し(図9左下)、再びその位置でロッキング曲線24をω=ωsからω=ωeの区間で取得しピーク角度ωBを求め、ωの値を初期値ωsに戻す(図9右下)。このように「ロッキング曲線をω=ωsからω=ωeの区間で取得し、ピーク角度ωBを求め、ωの値を初期値ωsに戻す。」、「試料ステージをx軸方向に沿って移動させる。」といったステップを測定位置が出発点とは逆の半導体チップ端部に達するまで繰り返す。
【0040】
なお、上記の手続きにおいては、取得したロッキング曲線を測定点と対応付けて記録しておき、各測定点でのロッキング曲線でのピーク角度の特定を測定終了後に一括して行ってもよい。
【0041】
このようにしてピーク角度ωBの試料位置依存性が求められれば、以下のようにチップ応力を求めることができる。
【0042】
まず、チップ断面の一部を示した図10を用いて、応力なしの状態(左側)から応力が外から加えられた場合(右側)を考える。Siチップ27および28の中央は応力が0(中立層)であると仮定する。すると、応力が加えられた場合においては、中央から上半分が引っ張り応力、中央から下半分が圧縮応力を受けると考えられる。そうすると、反ることによって生じるチップ表面の歪は、tをチップ厚さとするとき、式(4)により算出されるので、これにチップのヤング率Eをかけることでチップ表面の表面接線方向への反り応力σが得られる(式(5))。
【0043】
【数8】
… 式(4)
【0044】
【数9】
… 式(5)
一方、曲率半径RはωB(x)と次のような関係にある。図11に示すように、Siチップ29上の2点(30および31)の表面法線(32および33)がなす角をΔθ、2点間の距離をΔxとすると、曲率1/Rは、式(6)によって与えられる。
【0045】
【数10】
… 式(6)
一方、Δθの絶対値は各点でのロッキング曲線におけるピーク角度の差ΔωBの絶対値に等しいので、式(7)を得る。
【0046】
【数11】
… 式(7)
式(5)と式(7)とを用いると反り応力式(8)が得られる。
【0047】
【数12】
… 式(8)
なお、ΔωBの符号は測定系や測定位置の順序付けの方法によって変わりうるため、適宜正しい応力の符号が得られる様に修正されるべきである。ここでは、図2に示したような測定系を想定した。以上のように、各測定点でのωBと測定点間の距離Δxを用いてチップ表面の反り応力を求めることができる。
【0048】
以上説明したように、非破壊単結晶基板応力測定法は、単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射するステップと、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出する検出ステップと、前記検出ステップの結果を用いて前記単結晶基板の応力を求める解析ステップとからなる非破壊単結晶基板応力測定法であって、前記検出ステップは、前記回折X線のロッキング曲線を測定するステップと前記部品を移動する移動ステップとを測定位置が前記単結晶基板の一端部から反対側の端部に達するまで繰り返し行うステップであり、前記解析ステップは、前記検出ステップにより得られたロッキング曲線から回折ピーク角度を求めるステップと、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωBと表し、前記移動ステップにおける移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を、式(8)により算出する。
【0049】
従って、製品内の半導体チップの反り応力を非破壊、簡便に測定することが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 プリント基板
2、10、13、19、27、28、29 Siチップ
3 モールド樹脂
4 X線源
5、17 入射X線
6 X線検出器
7、23 試料ステージ
8 入射X線の波数ベクトル
9、18 回折X線
10 樹脂基板
11、12、14、15、20 照射領域
24、25 ロッキング曲線
30、31 ロッキング曲線の測定点
32、33 各測定点におけチップ表面法線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射するステップと、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出する検出ステップと、
前記検出ステップの結果を用いて前記単結晶基板の応力を求める解析ステップとからなる非破壊単結晶基板応力測定法であって、
前記検出ステップは、前記回折X線のロッキング曲線を測定するステップと前記部品を移動する移動ステップとを測定位置が前記単結晶基板の一端部から反対側の端部に達するまで繰り返し行うステップであり、
前記解析ステップは、前記検出ステップにより得られたロッキング曲線から回折ピーク角度を求めるステップと、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωBと表し、前記移動ステップにおける移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を
【数1】
として算出するステップである非破壊単結晶基板反り応力測定法。
【請求項2】
単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射する手段と、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出する検出手段と、前記検出手段により得られた結果を用いて前記単結晶基板の反りを求める解析手段とからなる非破壊単結晶基板反り測定装置であって、前記検出手段は、前記回折X線のロッキング曲線を測定する手段と前記部品を移動する移動手段とを測定位置が前記単結晶基板の一端部から反対側の端部に達するまで繰り返し行うことができる手段であり、前記解析手段は、前記検出手段により得られたロッキング曲線から回折ピーク角度を求める手段と、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωBと表し、前記移動手段における移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を
【数2】
として算出する手段であることを特徴とする非破壊単結晶基板反り応力測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の非破壊単結晶基板反り応力測定装置に含まれるコンピュータを、
前記X線を照射する手段、
前記検出手段、
前記解析手段、
として機能させることを特徴とする非破壊単結晶基板反り測定プログラム。
【請求項4】
請求項2に記載の非破壊単結晶基板反り応力測定装置に含まれるコンピュータを、
前記X線を照射する手段、
前記検出手段、
前記解析手段、
前記回折ピーク角度の試料位置依存性から求めた、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωB(x)と表し、前記移動ステップにおける移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を
【数3】
として算出する手段、
として機能させることを特徴とする非破壊単結晶基板反り応力測定プログラム。
【請求項1】
単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射するステップと、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出する検出ステップと、
前記検出ステップの結果を用いて前記単結晶基板の応力を求める解析ステップとからなる非破壊単結晶基板応力測定法であって、
前記検出ステップは、前記回折X線のロッキング曲線を測定するステップと前記部品を移動する移動ステップとを測定位置が前記単結晶基板の一端部から反対側の端部に達するまで繰り返し行うステップであり、
前記解析ステップは、前記検出ステップにより得られたロッキング曲線から回折ピーク角度を求めるステップと、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωBと表し、前記移動ステップにおける移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を
【数1】
として算出するステップである非破壊単結晶基板反り応力測定法。
【請求項2】
単結晶基板をパッケージ材料で封止した部品にX線を照射する手段と、前記単結晶基板からの回折X線を前記パッケージ材料越しに検出する検出手段と、前記検出手段により得られた結果を用いて前記単結晶基板の反りを求める解析手段とからなる非破壊単結晶基板反り測定装置であって、前記検出手段は、前記回折X線のロッキング曲線を測定する手段と前記部品を移動する移動手段とを測定位置が前記単結晶基板の一端部から反対側の端部に達するまで繰り返し行うことができる手段であり、前記解析手段は、前記検出手段により得られたロッキング曲線から回折ピーク角度を求める手段と、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωBと表し、前記移動手段における移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を
【数2】
として算出する手段であることを特徴とする非破壊単結晶基板反り応力測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の非破壊単結晶基板反り応力測定装置に含まれるコンピュータを、
前記X線を照射する手段、
前記検出手段、
前記解析手段、
として機能させることを特徴とする非破壊単結晶基板反り測定プログラム。
【請求項4】
請求項2に記載の非破壊単結晶基板反り応力測定装置に含まれるコンピュータを、
前記X線を照射する手段、
前記検出手段、
前記解析手段、
前記回折ピーク角度の試料位置依存性から求めた、隣り合う2つの測定点のピーク角度の差をΔωB(x)と表し、前記移動ステップにおける移動距離をΔxと表したとき、前記単結晶基板のヤング率Eと前記単結晶基板の厚さtとを用いて、前記単結晶基板の位置xにおける反り応力σ(x)を
【数3】
として算出する手段、
として機能させることを特徴とする非破壊単結晶基板反り応力測定プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−7645(P2011−7645A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151791(P2009−151791)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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