説明

非破壊検査方法及びその装置

【課題】検査対象物の残肉厚を適切に検出することができる非破壊検査方法を提供する。
【解決手段】所定の厚みを有する配管10B等の検査対象物にγ線Eをその厚さ方向に照射し、コンプトン効果により散乱された散乱γ線Eのうち特定のエネルギーを有する単色の散乱γ線Eを弁別し、弁別した散乱γ線Eに基づき前記配管10Bの散乱γ線Eによる二次元の画像C1´,C2´を得、この二次元の画像C1´,C2´を正常な配管10Aの画像C1,C2と比較することにより前記配管10Bの状態を検査するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非破壊検査方法及びその装置に関し、特にコンプトン散乱を利用した検査対象物の非破壊検査に適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
原子力設備の配管の検査等にはX線を利用した非破壊検査が汎用されている。これは検査対象物である配管等にX線を照射し、これによる検査対象物の透過画像を検査することにより減肉の程度等を検出するものである(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図6は従来技術に係る非破壊検査の態様を概念的に示す説明図である。当該非破壊検査では、同図(a)乃至(c)に示すように、検査対象物である配管03の一方側(図中左側)に配設したX線源01からX線を照射し、配管03を透過したX線を配管03の反対側(図中右側)に配設した検出器02で検出している。この結果、横軸に検出器回転位置(検出器02の配管03に対する相対位置)を採り、縦軸に透過信号強度(検出器02で検出した透過X線の強度)を採った図6(d)に示すように、配管03に減肉部04が存在した場合、減肉部04に対応する部分の透過信号強度が、平坦な正常部05に較べて上に凸の強度特性を有する。この場合の凸状の大きさは,減肉の程度に比例しており、したがって凸の程度、換言すれば透過信号の強度により減肉の程度を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006―177841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図6に示す従来技術において、図6(a)に示すような減肉量Iの減肉部が存在した場合、減肉量Iに比例する透過信号強度が得られ、同様に図6(b)に示すような減肉量Iの減肉部が存在した場合、減肉量Iに比例する透過信号強度が得られ、図6(c)に示すような減肉量Ic1、Ic2の減肉部が存在した場合、減肉量(Ic1+Ic2)に比例する透過信号強度が得られる。したがって、I=I=(Ic1+Ic2)の場合、検出器02で検出する透過信号強度ではこれらの各場合を区別することができない。
【0006】
一方、配管03の交換は残肉厚を基準に評価しているので、図6(a)及び(b)に示す減肉量I、Iの場合は交換の必要がある場合でも、図6(c)に示す減肉量Ic1又はIc2の場合には交換する必要がない場合もある。
【0007】
このように、従来の非破壊検査では、相対向する部位に交換にはまだ余裕がある少量の減肉が発生していても、両者の和が減肉量として検出されてしまうので、交換時期を間違える等、検査の精度における問題を有していた。
【0008】
本発明は、上述の点に鑑み、検査対象物の残肉厚を適切に検出することができる非破壊検査方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は上記目的を達成すべく新規な原理による非破壊検査方法の開発を開始しコンプトン散乱を利用することに思い至った。コンプトン散乱とは、図1に示すように、γ線E(エネルギーの高いX線を含む)をターゲットTに照射したとき、反跳電子Eとともに、エネルギーが変化した散乱γ線Eとして散乱される現象をいう。ここで、散乱γ線Eの散乱角θはターゲットTに照射されるγ線Eのエネルギーeと散乱される散乱γ線Eのエネルギーeとで一意に定まり、次式(1)で表される。
【0010】
【数1】

【0011】
式(1)は入射するγ線Eが単色(単一エネルギー)である場合、特定の単色エネルギーの散乱γ線Eは常に同一散乱角θで散乱されることを意味している。したがって、図2に示すように、散乱γ線Eを二次元検出器1で検出すれば、ターゲットTの厚さIを反映した円環状の画像Cを得ることができる。さらに詳言すると、単色のγ線EがターゲットTの外面T1で散乱された特定エネルギーの散乱γ線Eが二次元検出器1で検出された場合、散乱角θと、外面T1から二次元検出器1までの距離とで決まる所定半径R1の円となり、またターゲットTの内面T2で散乱された特定エネルギーの散乱γ線Eが二次元検出器1で検出された場合も散乱角θと内面T2までの距離で決まる所定半径R2の円となる。すなわち、ターゲットTが厚さIの厚みを持つ場合、二次元検出器1上には(I×tanθ)の幅を持つ円環状の画像Cが形成される。なお、散乱角θは単色の散乱γ線Eのエネルギーが小さくなればその分大きくなる。したがって、散乱γ線Eのエネルギーeが小さいほど円環状の画像Cの半径R1,R2は大きくなる。また、二次元検出器1の代わりに検査対象物である配管03の中心を通る直線(直径)に沿う一次元データや、前記直線に沿ってポイント検出器をスキャンして得る一次元データを処理して検出する配管03の外面乃至内面の位置に基づいても減肉を的確に検出することができる。
【0012】
本発明者等はかかる現象に着目し、特定エネルギーの散乱γ線Eが厚みを有するターゲットTで散乱されることにより得るデータに基づき厚みを有する検査対象物の状態を検出することに思い至った。
【0013】
かかる知見を基礎とする本発明の第1の態様は、所定の厚みを有する検査対象物にγ線をその厚さ方向に照射するとともにコンプトン散乱により散乱された散乱γ線のうち特定のエネルギーを有する単色の散乱γ線を弁別し、弁別した散乱γ線に基づき前記検査対象物の散乱γ線に基づくデータを得、このデータを前記検査対象物の基準の状態が保証された同様の基準のデータと比較することにより前記検査対象物の状態を検査するようにしたことを特徴とする非破壊検査方法にある。
【0014】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載する非破壊検査方法において、前記基準のデータは、前記検査対象物と同様の対象物であって前記検査対象物の基準の状態が保証されている基準対象物に対しγ線をその厚さ方向に照射してコンプトン効果により散乱された散乱γ線のうち前記特定のエネルギーを有する単色の散乱γ線に基づくデータにより得るようにしたことを特徴とする非破壊検査方法にある。
【0015】
第3の態様は、第1又は第2の態様に記載する非破壊検査方法において、前記検査対象物は所定の肉厚を有する管路とし、これにより得られた前記データにより前記管路の減肉を検出するようにしたことを特徴とする非破壊検査方法にある。
【0016】
本発明の第4の態様は、γ線を所定の厚みを有する検査対象物にその厚さ方向に照射してコンプトン散乱により散乱された散乱γ線のうち特定のエネルギーを有する単色の散乱γ線を弁別するとともに弁別した散乱γ線に基づき前記検査対象物の散乱γ線に基づくデータを検出する検出手段と、前記検出手段が検出した前記データと、前記検査対象物の基準の状態が保証された同様のデータとを比較することにより前記検査対象物の状態を検査する情報処理部とを有することを特徴とする非破壊検査装置にある。
【0017】
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載する非破壊検査装置において、前記検出手段は、前記検査対象物の横断面形状である二次元画像データを得る二次元検出器で構成したことを特徴とする非破壊検査装置にある。
【0018】
本発明の第6の態様は、第4の態様に記載する非破壊検査装置において、前記検出手段は、前記検査対象物の中心を通る直線に沿う一次元データを得る一次元ラインセンサであることを特徴とする非破壊検査装置にある。
【0019】
本発明の第7の態様は、第4の態様に記載する非破壊検査装置において、前記検出手段は、前記検査対象物の中心を通る直線に沿う一次元データを得るよう前記直線に沿ってスキャンされるポイント検出器であることを特徴とする非破壊検査装置にある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コンプトン散乱による散乱γ線に基づく画像が検査対象物の厚さを反映したものとなることを利用して検査対象物の基準対象物に対する厚さの変化を定量的に検出することができるので、所定の厚みを有する検査対象物の減肉の程度等、検査対象物の状態を非破壊検査で容易に把握することができる。ここで、減肉の程度は各肉厚部における肉厚をそれぞれ反映したものとなっているので、残肉厚を的確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】コンプトン散乱の概念を示す説明図である。
【図2】コンプトン散乱により形成されるターゲットの二次元画像を示す概念的に示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る非破壊検査装置を示すブロック線図である。
【図4】図3に示す非破壊検査装置を用いた検査の態様を説明するための図で、(a)は検査対象である配管を概念的に示す模式図、(b)は検査対象物が正常な配管である場合の模式図、(c)は検査対象物が減肉した配管である場合の模式図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る非破壊検査装置を用いた検査の態様を説明するための図で、(a)は検査対象物が正常な配管である場合の模式図、(b)は検査対象物が減肉した配管である場合の模式図、(c)は検査対象物が正常な配管である場合の信号強度を示す波形図、(d)は検査対象物が減肉した配管である場合の信号強度を示す波形図である。
【図6】従来技術に係る非破壊検査の態様を概念的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
図3は本発明の実施の形態に係る非破壊検査装置を示すブロック線図である。同図に示すように、本形態においては基準対象物2と検査対象物3とを単色(例えば500keV)のγ線Eを照射するターゲットとしている。検査対象物3は当該検査装置で実施する非破壊検査の対象となるもので、例えば配管を好適な検査対象物3として挙げることができる。ただ、配管に限らずある程度の厚みを有するものであれば,検査対象物3とすることができる。これに対し基準対象物2は検査対象物3の良否を判定するための基準のデータを提供するためのものである。したがって、検査対象物3と同様のものではあるが、予め正常性が保証されている対象物である。例えば、検査対象物3を配管とする場合には,これと同様の配管であって、減肉等が発生していない正常な配管が基準対象物2となる。本形態における実際の検査に際しては基準対象物2に基づき基準データを採取しておき、実際の検査により取得した実データと比較することにより検査対象物3の良否を判定している。
【0024】
二次元検出器1は、γ線Eの基準対象物2又は検査対象物3に対する照射に伴うコンプトン散乱による散乱γ線Eを検出するエネルギー弁別機能付きの検出器であり、例えばエネルギー弁別機能と組み合わせたCsIシンチレータで好適に構成することができる。すなわち、この二次元検出器1では、入射された散乱γ線Eのうち特定のエネルギー(例えば400keV)を有する単色の散乱γ線Eを弁別し、弁別した散乱γ線Eに基づき検査対象物3の散乱γ線Eによる二次元画像データを得るようになっている。ここで得られた二次元画像データはこれを表す電気信号S1として切替手段4を介し基準データ記憶部5又は実データ記憶部6に供給され、検出データとして記憶される。ここで、切替手段4はγ線Eを照射するターゲットが基準対象物2である場合には電気信号S1が基準データ記憶部5に記憶され、ターゲットが検査対象物3である場合には電気信号S1が実データ記憶部6に記憶されるように切替える。
【0025】
データ処理部7は基準データ記憶部5に記憶された基準対象物2の検出データを表す電気信号S2と実データ記憶部6に記憶された検査対象物3の検出データを表す電気信号S3とを比較し、両者の差を表す電気信号S4を判定部8に送出する。判定部8では電気信号S4が表す差が所定の閾値を超えて大きいときに異常、閾値以下の場合は正常と判断し、それぞれの状態を表す出力信号OUTを送出する。
【0026】
かかる装置を用いた配管を対象とする非破壊検査の態様を図4に基づき説明する。図4(a)は検査対象である配管を概念的に示す模式図、(b)は検査対象物が正常な配管である場合の模式図、(c)は検査対象物が減肉した配管である場合の模式図である。図4(a)に示すように、この場合のターゲットとなる配管10は所定の肉厚を有している。そこで、先ず図4(b)に示すような正常な配管10Aにその軸方向に直交する方向からγ線Eを照射する。この結果、単色のγ線Eの線源(図示せず)に近い方から順に存在する配管10Aの外面T1と内面T2との間で散乱角θで散乱された単色の散乱γ線Eにより環状の画像C1が二次元検出器1に二次元画像として形成される。同様に、配管10Aの反対側の内面T3と外面T4との間で散乱角θで散乱された単色の散乱γ線Eにより環状の画像C2が二次元検出器1に二次元画像として形成される。すなわち、この場合には同心円状の二つの画像C1,C2が形成される。かかる画像C1,C2に基づくデータが基準データ記憶部5に記憶され所定の非破壊検査の基準データとなる。
【0027】
一方、図4(c)に示す配管10Bは点線で示す元の内面(配管10Aの内面T2、T3)から減肉が進行し、内面T2´、T3´になった場合である。したがって、この場合には、配管10Bの外面T1と減肉後の内面T2´との間で散乱角θで散乱された単色の散乱γ線Eにより環状の画像C1´が二次元検出器1に二次元画像として形成され、配管10Bの反対側で減肉後の内面T3´と外面T4との間で散乱角θで散乱された単色の散乱γ線Eにより環状の画像C2´が二次元検出器1に二次元画像として形成される。すなわち、この場合に形成される同心円状の二つの画像C1´,C2´は、図4(c)に点線で示す正常な配管10Aの内周面よりも径方向外側(画像C1´の場合)及び径方向内側(画像C2´の場合)にそれぞれずれており、外面T1と内面T2´との間の距離及び内面T3´と外面T4との間の距離で表わされる配管10Aの厚みが減じられていることを示している。かかる画像C1´,C2´に基づくデータが実データ記憶部6に記憶され所定の非破壊検査の実データとなる。
【0028】
かくして、基準データと実データとを比較することにより検査対象物3の減肉の程度を容易に把握することができる。
【0029】
このように、本形態によれば、コンプトン散乱による散乱γ線Eに基づく画像が検査対象物3の厚さを反映したものとなることを利用して検査対象物3の基準対象物2に対する厚さの変化を定量的に検出することができる。この結果、配管10Aの減肉の程度等、検査対象物3の状態を非破壊検査で容易に把握することができる。ここで、内面T2から内面T2´への減肉は画像C1から画像C1´への変化として、内面T3から内面T3´への減肉は画像C2から画像C2´への変化としてそれぞれ独立に検出し得るので、減肉の程度は各肉厚部における肉厚をそれぞれ反映したものとなっており、残肉厚を的確に検出することができる。
【0030】
なお、上記実施の形態では、二次元検出器1で検査対象物3の二次元画像を基準に減肉の程度を検出するようにしたが、これに限るものではない。二次元検出器1の代わりに検査対象物3である配管の中心Oを通る直線(直径)に沿う一次元データを一次元ラインセンサ(一次元検出器)で検出しても良いし、また前記直線に沿ってポイント検出器をスキャンして同様の一次元データを得ても良い。
【0031】
かかる他の実施の形態を図5に基づきさらに詳細に説明する。図5(a)は図4(b)と同様に、検査対象物が正常な配管である場合の模式図、(b)は図4(c)と同様に、検査対象物が減肉した配管である場合の模式図、(c)は検査対象物が正常な配管である場合の信号強度を示す波形図、(d)は検査対象物が減肉した配管である場合の信号強度を示す波形図である。
【0032】
一次元ラインセンサは図5(c)に示すように、X軸に沿って配設される。この結果、正常な配管の場合、コンプトン散乱により図5(c)に示すような波形(信号強度データ)が得られる。かかる信号強度データは正常な配管10A(図4(b)参照)の外面T1の位置で立ち上がるとともに内面T2の位置で立ち下がり、以下同様に内面T3の位置で立ち上がるとともに外面T4の位置で立ち下がり、外面T4の位置で立ち上がるとともに内面T3の位置で立ち下がり、内面T2の位置で立ち上がるとともに外面T1の位置で立ち下がるパルス状の信号となる。
【0033】
一方、減肉が進行した配管10B(図4(c)参照)の場合の同様の信号強度データは図5(d)に示すように、配管10Bの外面T1の位置で立ち上がるとともに内面T2’の位置で立ち下がり、以下同様に内面T3’の位置で立ち上がるとともに外面T4の位置で立ち下がり、外面T4の位置で立ち上がるとともに内面T3’の位置で立ち下がり、内面T2’の位置で立ち上がるとともに外面T1の位置で立ち下がるパルス状の信号となる。ここで、(T2−T2’)、(T3−T3’)が減肉量を表すデータとなる。この結果、本形態に示すようにコンプトン散乱による検査対象物3の直径方向の一次元データを検出することによっても、図3に示す実施の形態と同様に所定の減肉検出を行うことができる。
【0034】
なお、上述の如き一次元ラインセンサの代わりにある点におけるコンプトン散乱光を検出するポイント検出器を前記直径方向にスキャンしても同様の一次元データを得ることができる。
【0035】
さらに、本発明は、コンプトン散乱を利用した厚みのある検査対象物の厚さを基準に、単色の散乱γ線Eを利用してその検査を行うものであれば、上記実施の形態のものに限定するものでは勿論ない。例えば、上記実施の形態では二次元検出器1としてエネルギー弁別機能付きの検出器を用いたが、これに限定するものではない。検出器の機能と弁別の機能が独立していても構わない。要は、検出手段の出力として特定エネルギーの散乱γ線Eに基づくデータが得られれば良い。また、上記実施の形態では基準対象物2も検査対象物3と同様に実測して基準データを得るようにしたが、これに限定するものでもない。検査対象物3の設計データ等をそのまま使用することもできる。要は、検査対象物3に減肉等を発生することなく正常な状態が保証されている初期の状態を表すデータであれば特に制限はない。
【0036】
また、上記実施の形態では、二次元検出器1が検査対象物3に対しγ線源の反対側にある場合について説明したが、これに限るものではない。γ線の後方散乱光も検出に利用することができるので、この場合にはγ線源と同じ側に二次元検出器1を配設することもできる。かかる配置は検出スペースが検査対象物3の片側のみにしかない場合等、狭隘な場所での検出の際に特に有用なものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は配管等の非破壊検査を行うとともに、その装置を製造販売する産業分野で有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
γ線
E 散乱γ線
1 二次元検出器
2 基準対象物
3 検査対象物
5 基準データ記憶部
6 実データ記憶部
7 データ処理部
8 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の厚みを有する検査対象物にγ線をその厚さ方向に照射するとともにコンプトン散乱により散乱された散乱γ線のうち特定のエネルギーを有する単色の散乱γ線を弁別し、弁別した散乱γ線に基づき前記検査対象物の散乱γ線に基づくデータを得、このデータを前記検査対象物の基準の状態が保証された同様の基準のデータと比較することにより前記検査対象物の状態を検査するようにしたことを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載する非破壊検査方法において、
前記基準のデータは、前記検査対象物と同様の対象物であって前記検査対象物の基準の状態が保証されている基準対象物に対しγ線をその厚さ方向に照射してコンプトン効果により散乱された散乱γ線のうち前記特定のエネルギーを有する単色の散乱γ線に基づくデータにより得るようにしたことを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する非破壊検査方法において、
前記検査対象物は所定の肉厚を有する管路とし、これにより得られた前記データにより前記管路の減肉を検出するようにしたことを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項4】
γ線を所定の厚みを有する検査対象物にその厚さ方向に照射してコンプトン散乱により散乱された散乱γ線のうち特定のエネルギーを有する単色の散乱γ線を弁別するとともに弁別した散乱γ線に基づき前記検査対象物の散乱γ線に基づくデータを検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した前記データと、前記検査対象物の基準の状態が保証された同様のデータとを比較することにより前記検査対象物の状態を検査する情報処理部とを有することを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載する非破壊検査装置において、
前記検出手段は、前記検査対象物の横断面形状である二次元画像データを得る二次元検出器で構成したことを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項6】
請求項4に記載する非破壊検査装置において、
前記検出手段は、前記検査対象物の中心を通る直線に沿う一次元データを得る一次元ラインセンサであることを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項7】
請求項4に記載する非破壊検査装置において、
前記検出手段は、前記検査対象物の中心を通る直線に沿う一次元データを得るよう前記直線に沿ってスキャンされるポイント検出器であることを特徴とする非破壊検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−249785(P2010−249785A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102422(P2009−102422)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】