説明

非種油系アルカノールアミドに由来するエポキシ樹脂及びその製造方法

少なくとも1種の非種油系アルカノールアミドに由来するグリシジルエーテルアミド及びグリシジルエーテルアミドの少なくとも1種のような、少なくとも1種のエポキシアミドを含んでなるエポキシ樹脂;並びにこのようなエポキシ樹脂の製造方法。前記エポキシアミド及び前記エポキシアミド以外の1種又はそれ以上のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物を製造できる。また、少なくとも1種の硬化剤及び/又は少なくとも1種の硬化触媒を含む前記エポキシ樹脂組成物から、硬化性エポキシ樹脂組成物も製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にエポキシ樹脂に関する。更に詳しくは、本発明は、アルカノールアミド、特に非種油系(又は非種子油系)(non-seed oil-based)アルカノールアミドに由来するグリシジルエーテルアミド及びグリシジルエステルアミドのようなエポキシ樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、最も広く用いられているエンジニアリング樹脂の一つであり、高強度繊維と共に複合体(composite)に使用されることでよく知られている。エポキシ樹脂は、ガラス状網状構造を形成し、優れた耐蝕性及び耐溶剤性、良好な付着性、相対的に高いガラス転移温度並びに適正な電気的性質を示す。残念ながら、相対的に高いガラス転移温度(>100℃)を有する架橋したガラス状エポキシ樹脂は脆い。ガラス転移温度が高いエポキシ樹脂の劣った衝撃強度が、構造体としての及び複合体へのエポキシ樹脂の使用を制限している。
【0003】
エポキシ樹脂の別の主要な用途はコーティングの作成である。このコーティングでは良好な付着性、硬度及び耐蝕性を達成できるが、ガラス転移温度が高い場合には特に、靭性及び耐衝撃性にかなりの改善の余地がある。更に、芳香族エポキシ樹脂を用いて作成されたコーティングは、直射日光暴露中にチョーキングを受ける。これは、屋外用途でのこのようなコーティングの使用を著しく制限する。
【0004】
エポキシ樹脂を含む熱硬化樹脂の典型的な要求性能は、高い軟化点(>200℃)、低い燃焼性、耐加水分解性、耐薬品性及び耐溶剤性並びに温度変化によって安定な誘電性などである。エポキシ樹脂はこれらの性質を示すことができるが、種々のエポキシ系は、反応速度が遅いために硬化サイクルが遅いという欠点を有する場合がある。
【0005】
種々のエポキシ系の他の欠点は溶剤の使用、結果として生じる反応副生成物及び/又は不充分なUV安定性である。溶剤及び反応副生成物は、硬化中に不所望な化学薬品暴露又は放出並びに気泡形成を引き起こすおそれがある。不充分なUV安定性は、更に、エポキシ系の最終用途を制限する可能性があるので、それらはほとんどの屋外用途において全く使用できない。
【0006】
従って、粘度を低下させ且つ溶剤の必要性を排除するような方法で、エポキシ樹脂の加工を改善するニーズがある。また、UV安定性及び可撓性並びに耐損傷性の改善のような、エポキシ樹脂コーティングの性能を改善する必要がある。このため、コーティングに有用な、改善されたエポキシ樹脂を提供することが望まれる。
【0007】
本発明以前は、種油系材料からコーティングに有用な改善されたエポキシ樹脂を生成する試みがなされた。例えば非特許文献1には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとブレンドして使用される、主鎖の二重結合を介してエポキシ化された植物油が開示されている。
【0008】
特許文献1はアルケン酸によるアルコールのエステル化によって得られた生成物を、末端二重結合を介してエポキシ化し、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとブレンドして使用できることを開示している。
【0009】
特許文献2はルイス酸触媒の存在下におけるヒマシ油とエピハロヒドリンとの反応によってヒマシ油のポリハロヒドリンエステルの形成した後にそれを脱ハロゲン化水素化してエポキシ樹脂を形成することによって、ヒマシ油のポリ(グリシジルエーテル)を製造することを開示している。
【0010】
特許文献3はビスフェノールジグリシジルエーテル、ヒマシ油ポリグリシジルエーテル、ビスフェノール類、脂肪酸類及びダイマー酸類を基材とする高固形分のコーティング組成物を開示している。
【0011】
非特許文献2はヒマシ油グリシジルエーテル、エポキシ樹脂UVR 6100及び光重合開始剤UVI 6990から調製されたコーティングを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO 001187511(H.Bjornberg;Novel Primary Epoxides;2000年4月6日)
【特許文献2】NL 6602411(Poly(glycidyl ethers);1966年8月8日)
【特許文献3】米国特許第4,786,666号(J.L.Cecil,W.J.Kurnik,D.E.Babcock;Coating Compositions Containing Glycidyl Ethers of Fatty Esters;1988年11月22日)
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Frischinger,P.Muturi,S Dirlikov,Two Phase Interpenetrating Epoxy Themosets that Contain Epoxidized Triglyceride Oils Part II,Applications,Advances in Chemistry Series(1995),239(Interpenetrating Polymer Networks),539-56
【非特許文献2】S.F.Thames,H.Yu,R.Subraminian,Cationic Ultraviolet Curable Coatings from Castor Oil,Journal of Applied Polymer Science (2000),77(1),8-13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前記先行技術は、いずれも、以下の理由から、改善された性能を有する非種油系アルカノールアミドを基材とするエポキシ樹脂を提供するという長年にわたる要求を満たしていない:
(1)先行技術において言及されたエポキシモノマーは、それらの構造及びより高いオリゴマー含量のため、より高いエポキシ当量重量(epoxy equivalent weight)を有する。これは、硬化材料の架橋結合密度及び結果として得られる熱的/機械的性質を低下させる。
(2)先行技術のほとんどは、それらの製造方法(二重結合の酸化)のため、非グリシジルエーテル構造を有するエポキシ樹脂に関する。グリシジルエーテル構造を欠くため、これらのエポキシ樹脂とジアミンのような硬化剤との反応性は著しく低い。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一面は、少なくとも1種の非種油系アルカノールアミドに由来する少なくとも1種のエポキシアミドを含んでなるエポキシ樹脂に関する。
【0016】
一態様において、本発明は、少なくとも1種の非種油系アルカノールアミドに由来するグリシジルエーテルアミド及びグリシジルエステルアミドの少なくとも1種を含んでなるエポキシ樹脂に関する。
【0017】
本発明の別の面は(a)少なくとも1種の非種油系アルカノールアミド、(b)エピハロヒドリン及び(c)塩基性作用物質を一緒に反応させることを含んでなる前記エポキシ樹脂の製造方法に関する。
【0018】
本発明の更に別の面は前記エポキシアミドと、前記エポキシアミド以外の1種又はそれ以上のエポキシ樹脂を含んでなるエポキシ樹脂組成物に関する。
【0019】
本発明の更に別の面は前記エポキシ樹脂組成物並びに少なくとも1種の硬化剤及び/又は少なくとも1種の硬化触媒を含んでなる硬化性エポキシ樹脂組成物に関する。
【0020】
他の面及び利点は、以下の説明及び添付した特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一面において、本明細書中に開示した態様は、エポキシ樹脂コーティングの加工及び性能の改善に関する。より詳しくは、本明細書中に開示した態様は、非種油をベースとするアルカノールアミドに由来する新規グリシジルエーテル及びグリシジルエステルに関する。これらのグリシジルエーテル及びグリシジルエステルは、単独でも他のエポキシ樹脂と組み合せても使用でき、結果として得られるエポキシ樹脂、コーティング、複合体、接着剤、電子機器及び成形品の加工、UV安定性及び可撓性/耐損傷性を改善することができる。
【0022】
前述のように、本発明のエポキシ樹脂は、非種油アルカノールアミドを基材とするエポキシ樹脂である。例えば本明細書中に開示した本発明のエポキシ樹脂は、非種油系アルカノールアミドに由来するグリシジルエーテル及びグリシジルエステルを含むことができる。このグリシジルエーテル及びグリシジルエステルは、下記式I:
【0023】
【化1】

【0024】
{式中、R1は一価ヒドロカルビル又は二価ヒドロカルビレン部分であり;R2は二価ヒドロカルビレン部分であり;R3は水素(H)若しくは一価ヒドロカルビル部分又は下記式II:
−R2−O−R4
式II
[式中、R2は前に定義した通りであり;R4は以下に定義する通りである]
で表される部分であり;R4は下記式III又は下記式IV:
【0025】
【化2】

【0026】
[式中、R5は水素(H)又は炭素数1〜約4の脂肪族炭化水素基であり;R6は二価ヒドロカルビレン部分であり;nは1又は2である]
で表される部分である}
で表すことができる。
【0027】
本明細書中で使用する「ヒドロカルビレン部分」は、アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ポリシクロアルケニル、芳香環置換アルキル、芳香環置換シクロアルキル、芳香環置換ポリシクロアルキル、芳香環置換アルケニル、芳香環置換シクロアルケニル及び芳香環置換ポリシクロアルケニル部分からなる群から選ばれる二価部分を意味する。
【0028】
本明細書中で使用する「ヒドロカルビル部分」は、アルキル、シクロアルキル、ポリシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ポリシクロアルケニル、芳香環置換アルキル、芳香環置換シクロアルキル、芳香環置換ポリシクロアルキル、芳香環置換アルケニル、芳香環置換シクロアルケニル、芳香環置換ポリシクロアルケニル部分からなる群から選ばれる一価部分を意味する。
【0029】
1が芳香環を含む部分である場合には、前記芳香環は、ハロゲン原子、好ましくは塩素若しくは臭素、ニトリル基、ニトロ基、炭素数1〜約6、好ましくは1〜約4、最も好ましくは1〜約2のアルキル若しくはアルコキシ基(1個若しくはそれ以上のハロゲン原子、好ましくは塩素若しくは臭素で置換されることができる)、又は炭素数1〜約6、好ましくは1〜約4、最も好ましくは1〜約3のアルケニル若しくはアルケニルオキシ基を含む1個又はそれ以上の置換基を含むことができる。同様に、R1、R2及びR3がH以外の部分である場合には、それらはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、好ましくは塩素若しくは臭素、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、エーテル結合(−O−)又はチオエーテル結合(−S−)を含む1個又はそれ以上の置換基を含むことができる。R1又はR3がアルキル又はアルケニル部分である場合には、それは線状(直鎖)又は分岐鎖であることができる。本明細書中で使用する用語「シクロアルキル」及び「シクロアルケニル」は対応するジ及びポリシクロ部分も包含するものとする。
【0030】
或る態様において、本明細書中に開示したグリシジルエーテル及びグリシジルエーテル組成物は以下:非種油系アルカノールアミドに由来するモノグリシジルエーテル又モノグリシジルエステル;非種油系アルカノールアミドに由来するグリシジルエーテル又グリシジルエステルのオリゴマー;及びそれらの組合せの1種又はそれ以上を更に含むことができる。
【0031】
前記グリシジルエーテル及びグリシジルエステルは、単独でも他のエポキシ樹脂と組合せても、使用できる。組成物中の他のエポキシ樹脂に対する、前記グリシジルエーテル及びグリシジルエステルの比は、いくつかの態様では、約1:0〜約0.05:0.95の範囲であり、他の態様では約0.4:0.6〜約0.7:0.3の範囲であることができる。他の態様において、前述のグリシジルエーテル及びグリシジルエステルの量は、エポキシ樹脂の総重量に基づき、約0.05〜約90重量%の範囲であることができる。
【0032】
一般に、本発明のエポキシ樹脂は、以下の成分:(a)非種油系アルカノールアミド又は非種油系アルカノールアミドの混合物;(b)エピハロヒドリン;及び(c)塩基性作用物質(好ましくは固体の形態)を一緒に反応させることを含む方法(例えばエポキシ化反応法)によって製造できる。本発明のエポキシ樹脂の製造方法は、任意的に、以下の成分:(d)溶媒;(e)触媒及び/又は(f)脱水剤の任意の1種又はそれ以上を含むこともできる。
【0033】
本発明のエポキシ樹脂を形成するためのエポキシ化方法は、非種油系アルカノールアミド中に存在するアミド結合の任意のかなりの加水分解を回避する。本発明の方法の実施中に加水分解が起こる場合には、アミド結合の加水分解を防ぐために、任意的には1種又はそれ以上の脱水剤、成分(f)をこの方法に使用できる。本発明の方法は、典型的には、アミド結合の構造的一体性(structural integrity)を保持しながら、理論値の少なくとも80%又はそれ以上のエポキシ化を達成する。
【0034】
一態様において、本発明のエポキシ樹脂の製造方法は、非種油系アルカノールアミドとエピハロヒドリンとの初期反応によるハロヒドリン中間体の形成を含む。次に、ハロヒドリン中間体を塩基性作用物質と反応させて、ハロヒドリン中間体をエポキシ樹脂最終生成物(グリシジルエーテル及び/グリシジルエステル)に転化させる。
【0035】
別の態様においては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物を触媒として使用することができ;このような触媒を化学量論量又はそれ以上で用いる場合には、非種油系アルカノールアミドとエピハロヒドリンとの初期反応によって、ハロヒドリン中間体をその場で(in situ)生成させる。現場生成されたハロヒドリン中間体は、次に、塩基性作用物質を添加せずに、エポキシ樹脂最終生成物に転化させることができる。
【0036】
「非種油(又は非種子油)(non-seed oil)」は、飽和及び不飽和脂肪酸エステル;飽和及び不飽和脂肪酸;又は飽和及び不飽和脂肪酸トリグリセリドのアミノリシスに基づかない、アルカノールアミドを意味する。
【0037】
本明細書中に開示したエポキシ樹脂を製造するために本発明の態様において使用する非種油系アルカノールアミドには、例えば1個又はそれ以上のアミド部分を含む任意の脂肪族又は脂環式モノ−、ジ−又はポリヒドロキシ化合物;及びそれらの混合物がある。非種油系アルカノールアミドの非限定的例としては、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサンアミド;N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)アジパミド及びN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)スクシンアミド;N,N−(2−ヒドロキシエチル)ドデカンアミド、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0038】
本発明において有用な非種油系アルカノールアミドの他の代表例としては、以下の化合物が挙げられる:
【0039】
【化3】

【0040】
【化4】

【0041】
【化5】

【0042】
本発明において有用な非種油系アルカノールアミドは、市場で商業的に入手可能な製品から購入できる。例えば商業的に入手可能な非種油系アルカノールアミドとしては、EMS-PRIMIDから入手可能な、アジピン酸及びジエタノールアミンに由来するヒドロキシルアルカノールアミド、PRIMID XL−552が挙げられる。
【0043】
別の態様において、本発明において有用な非種油系アルカノールアミドは種々の既知の方法によって製造できる。例えば非種油系アルカノールアミドを製造するための1つの方法では、官能基化非種油系酸エステル及びジエステルを、例えば本出願と同一日付で出願された同時係属出願である米国特許出願第 号(代理人整理番号65426)(引用することによって本明細書中に組み入れる)に開示された方法を用いて、非種油系カルボン酸エステル又はカルボン酸のアミノリシスによって反応させることができる。
【0044】
アミノリシスの一態様の実例として、アミノリシス法は、非種油系酸エステルと、アミノジオール及びポリオール(例えばジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−(メチルアミノ)エタノール、それらの混合物など)との反応を含むことができる。
【0045】
非種油系アルカノールアミドを製造するための別の方法においては、アミノモノオール、ジオール及びポリオールを、非種油系ヒドロキシカルボン酸又はカルボン酸エステルと反応させることができる。この方法の例は、モノエタノールアミンとグリコール酸又はグリコール酸エステルとの反応によるアミドジオールの生成である。また、ジエタノールアミドとヒドロキシシクロヘキサンモノカルボン酸エステルとの反応によるアミドトリオールの生成もこの方法の例である。
【0046】
同様に、ジアミン及びポリアミンをヒドロキシカルボン酸又はカルボン酸エステルと反応させて、非種油系アルカノールアミドを生成することもできる。この方法の例は、エチレンジアミンと2当量の1−ヒドロキシドデカン酸又は1−ヒドロキシドデカン酸エステルとの反応によるジアミンジオールの生成である。また、ピペラジンと2当量のグリコール酸又はグリコール酸エステルとの反応によるジアミドジオールの生成もこの方法の例である。
【0047】
同様に、非種油系アルカノールアミドは、ジカルボン酸又は酸エステルとアミノモノオール、ジオール又はポリオールとの縮合反応によって製造できる。この方法の例は、ジエタノールアミンとアジピン酸又はアジピン酸エステルとの反応によるジアミドテトロールの生成である。モノエタノールアミンとシクロヘキサンジカルボン酸又はシクロヘキサンジカルボン酸エステルとの反応によるジアミドジオールの生成もこの方法の例である。
【0048】
本明細書中に開示した本発明のエポキシ樹脂の製造に使用するエピハロヒドリンの例としては、例えばエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、メチルエピクロロヒドリン、メチルエピブロモヒドリン、メチルエピヨードヒドリン及びそれらの任意の組合せが挙げられる。本明細書中に開示した態様に使用する好ましいエピハロヒドリンは、エピクロロヒドリンである。
【0049】
非種油系アルカノールアミドに対するエピハロヒドリンの比は一般に約1:1〜約25:1、好ましくは約1.8:1〜約10:1、より好ましくは約2:1〜約5:1(非種油系アルカノールアミド中の第一ヒドロキシル基当たりのエピハロヒドリンの当量)である。
【0050】
本明細書中で使用する用語「第一ヒドロキシル基(primary hydroxyl group)」は、非種油系アルカノールアミドに由来する一つ又はそれ以上の第一ヒドロキシル基を指す。第一ヒドロキシル基は、ハロヒドリン中間体の形成プロセスにおいて形成されるような第二ヒドロキシル基(secondary hydroxyl group)とは異なる。
【0051】
塩基性作用物質(basic acting substance)は、本発明において、前記ハロヒドリン中間体と反応させて、本明細書中に開示した本発明の最終エポキシ樹脂生成物を形成するのに使用できる。本発明において使用する適当な塩基性作用物質の例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩及びそれらの任意の混合物などが挙げられる。
【0052】
本発明において有用な塩基性作用物質のより具体的な例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化マンガン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マンガン、それらの任意の組合せなどが挙げられる。本発明において有用な好ましい塩基性作用物質は、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムである。
【0053】
本明細書中に開示した本発明の方法は、溶媒の不存在下でも存在下でも、実施できる。本発明の方法を溶媒の不存在下で実施する場合には、エピハロヒドリンがこのような方法において溶媒及び反応体の両方の役割を果たすことができる。本発明の方法を溶媒の存在下で実施する場合には、使用する溶媒は、本明細書中に開示したエポキシ樹脂の製造方法に対して不活性である、例えば反応体、触媒、本発明の方法の間に形成される任意の中間生成物及び最終生成物に対して不活性であることが必要である。
【0054】
本発明において使用できる溶媒の例としては、脂肪族及び芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、脂肪族エーテル、脂肪族ニトリル、環状エーテル、ケトン、アミド、スルホキシド、それらの任意の組合せなどが挙げられる。本発明において使用される他の溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、二塩化エチレン、メチルクロロホルム、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、それらの任意の組合せなどが挙げられる。
【0055】
本発明の方法に溶媒を用いる場合には、所望の結果を得るのに必要な最小量の溶媒が好ましい。この方法において溶媒は、非種油系アルカノールアミドの総重量に基づき、一般に約250重量%〜約1重量%、好ましくは約50重量%〜約1重量%、より好ましくは約20重量%〜約5重量%の量で存在できる。溶媒は、本明細書中に記載したエポキシ樹脂を形成する反応の完了時に、常法を用いて、例えば真空蒸留によって除去することができる。
【0056】
本発明においては、本明細書中に記載したエポキシ樹脂を製造するために触媒を、任意的に、使用することもできる。本発明において有用な触媒の例としては、第四アンモニウム又はホスホニウムハロゲン化物が挙げられる。本発明において有用な触媒のより具体的な例としては、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムクロリド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムヨージド、エチルトリフェニルホスホニウムクロリド、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、それらの任意の組合せが挙げられる。
【0057】
触媒の量は、反応時間及び反応温度のような要因によって異なり得るが、所望の効果をもたらすのに必要な最低量の触媒が好ましい。触媒は、非種油系アルカノールアミドの総重量に基づき、一般に約0.01重量%〜約3重量%、好ましくは約0.05重量%〜約2.5重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の量で使用できる。
【0058】
本発明のエポキシ樹脂の製造においては、他の成分を存在させることができ、又は非種油系アルカノールアミドに故意に微量で添加することができる。非種油系アルカノールアミドに故意に添加できる少量成分(minor component)の例としては、非種油系アルカノールアミド以外の、脂肪族ジオール、脂肪族ポリオール及び脂環式ジオールが挙げられる。
【0059】
前記少量成分のより具体的な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、トリメチロールプロパン類、シクロヘキサンジオール類、ノルボルナンジメタノール類及びジシクロペンタジエンジメタノール類、それらの任意の組合せなどが挙げられる。ジオール又はポリオールは、非種油系アルカノールアミドのエポキシ化の間に同時にエポキシ化することができる。結果として得られるエポキシ樹脂は、非種油系アルカノールアミドから生成されたエポキシ樹脂と、非種油系アルカノールアミド以外の個別の脂肪族ジオール、脂肪族ポリオール又は脂環式ジオールから生成されたエポキシ樹脂との混合物を含む。このように、別個の供給源からのエポキシ樹脂を混合することなく、エポキシ樹脂の特定の混合物を得ることができる。これにより、特定の性質、例えば少量成分を含まない非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂の粘度に比較して低い粘度を得ることができる。
【0060】
少量成分の量及び型は、その成分の特異的化学構造及び非種油系アルカノールアミドの製造に使用する方法によって異なり得る。非種油系アルカノールアミドは、非種油系アルカノールアミドの総重量に基づき、一般に約25%未満、好ましくは約0.001重量%〜約10%、より好ましくは約0.001重量%〜約1%の少量成分を含むことができる。
【0061】
本発明のエポキシ樹脂の製造方法は、種々の条件下で実施できる。例えば本明細書中に記載したエポキシ樹脂の製造方法の温度は、一般に約20℃〜約120℃、好ましくは約30℃〜約85℃、より好ましくは約40℃〜約75℃である。
【0062】
本明細書中に記載したエポキシ樹脂の製造方法の圧力は、一般に約30mmHg〜約100psia、好ましくは約30mmHg〜約50psia、より好ましくは約60mmHg〜約大気圧(例えば約760mmHg)である。
【0063】
本明細書中に記載したエポキシ樹脂の製造方法を完了させるための時間は、一般に約1時間〜約120時間、より好ましくは約3時間〜約72時間、最も好ましくは約4時間〜約48時間である。
【0064】
本明細書中に記載したエポキシ樹脂の製造方法の完了の確認には、種々の分析方法(例えばガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及びゲル透過クロマトグラフィー(GPC))を使用できる。選択する正確な分析方法は、反応体及びエポキシ樹脂生成物の構造によって異なる。例えばHPLCは、中間生成物及び最終生成物(例えば非種油系アルカノールアミドに由来するジグリシジルエーテル及びジグリシジルエステル、非種油系アルカノールアミドのモノ及びジグリシジルエーテル並びにそれらの任意のオリゴマー)の形成と同時に非種油系アルカノールアミドの反応を監視するのに使用できる。GPC分析も、揮発性でなく且つガスクロマトグラフィーのような分析方法によっては一般に検出されてない、オリゴマーの分析に使用できる。
【0065】
赤外線分光光度(IR)分析及び核磁気共鳴(NMR)分光法のような他の分析方法は、非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂の分析に効果的に使用される。例えばIR分析を実施することによって、エポキシ樹脂生成物中のアミド構造の保持を容易に確認することができる。
【0066】
更に、エポキシ化方法の監視するための分析方法を用いて、種々の成分を含む本明細書中に記載したエポキシ樹脂を得ることができる。例えば反応時間が短いほど且つ/又は反応温度が低いほど、一般に、多量の非種油系アルカノールアミドのモノグリシジルエーテルを含むエポキシ樹脂が形成され、同時に生じるこのようなエポキシ樹脂のオリゴマーの量が少ない。逆に、反応時間が長いほど且つ/又は反応温度が高いほど、一般に、少量の非種油系アルカノールアミドのモノグリシジルエーテルを含むエポキシ樹脂が形成され、同時に生じるこのようなエポキシ樹脂のオリゴマーの量が多い。従って、反応時間と反応温度の組合せを調整して、所望のエポキシ樹脂を生成できる。
【0067】
種々の態様によれば、本明細書中に記載した本発明のエポキシ樹脂は、例えば(1)スラリーエポキシ化法、(2)無水エポキシ化法、又は(3)ルイス酸触媒カップリング反応とスラリーエポキシ化反応法との組合せを含む種々のエポキシ化法によって製造できる。
【0068】
スラリーエポキシ化法
本発明において有用なスラリーエポキシ化法は、以下の成分:(a)非種油系アルカノールアミド、例えば前記非種油系アルカノールアミドのいずれか、(b)エピハロヒドリン、例えば前記エピハロヒドリンのいずれか及び(c)固体形態又は水溶液の塩基性作用物質、例えば前記塩基性作用物質のいずれかを、一緒に反応させることを含む。
【0069】
スラリーエポキシ化法は、任意的に、以下の成分:(d)溶媒若しくは水以外の溶媒の混合物、(e)触媒及び/又は(f)脱水剤の任意の1種又はそれ以上を含むことができる。本発明のスラリーエポキシ化法の実施中に加水分解が起こる場合には、アミド結合の加水分解を防ぐために、1種又はそれ以上の脱水剤(f)をこの方法に使用できる。
【0070】
スラリーエポキシ化法において、塩基性作用物質が固体形態である場合には、通常ペレット、ビーズ又は粉末の形態である。種々の粒度又は粒度分布の塩基性作用物質を使用できる。例えば約−40〜約+60メッシュ又は約−60〜+80メッシュの粒度分布を有する、固体水酸化ナトリウムのような塩基性作用物質を使用できる。別の態様においては、使用する粒度分布は約−80メッシュであることができる。
【0071】
スラリーエポキシ化法において、塩基性作用物質が水溶液として得られる場合には、この水溶液を、最初に、水以外の溶媒又は溶媒混合物に添加して、溶媒−水共沸混合物又は溶媒若しくは溶媒と水の混合物との共蒸留性混合物を形成させる。この塩基性作用物質水溶液中の水は、溶媒−水共沸混合物の共沸蒸留、又は水と溶媒若しくは溶媒混合物との共蒸留によって除去できる。この蒸留は通常、真空下で行う。蒸留は、所望の塩基性作用物質がニートな固体(乾燥)として又は溶媒スラリーとして(残留非水溶媒を含む)生成されるまで、連続的に実施できる。残留溶媒を残して、塩基性作用物質の溶媒スラリーを形成する場合は、使用する溶媒は、反応体、任意の中間生成物及び最終生成物を含むスラリーエポキシ化反応に対して不活性でなければならない。このような溶媒の例には、トルエン及びキシレンがある。
【0072】
本明細書中において、用語「共沸混合物(azeotrope)」は、蒸気形態の混合物が液体形態の混合物と同じ組成を有するために一定の沸点を有する液体の混合物(例えばスラリーエポキシ化法における溶媒と水の混合物)を指す。このような混合物の成分は、通常、単純な蒸留によっては分離できない。
【0073】
本明細書中において、用語「共蒸留物(codistillate)」は、水が溶媒と共蒸留される液体の混合物を指す。塩基性作用物質の水溶液から水を単純にフラッシュ蒸留して、乾燥した塩基性作用物質を固体として残すことも可能である。
【0074】
共沸蒸留は、他の方法では容易に分離できない生成物を蒸留によって分離する方法である。この方法の本質的特徴は、生成物中の初期成分と共沸混合物を形成する別の成分の導入であり、初期成分は次に留去されて生成物が残され、純粋な生成物が得られる。
【0075】
スラリーエポキシ化法には、スラリーエポキシ化反応を抑えるか又は促進するために脱水剤を用いることもできる。脱水剤は、塩基性作用物質の添加前、添加後又は添加と同時に添加できる。ある種のアルカノールアミド反応体の場合には、アミド結合の加水分解を防ぐために、前記脱水剤の添加及び使用が極めて重要である。
【0076】
脱水剤の例としては、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、分子篩(molecular sieve)、それらの組合せなどが挙げられる。脱水剤のより具体的な例としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、分子篩、それらの任意の組合せなどが挙げられる。
【0077】
スラリーエポキシ化法の一態様において、この方法は水酸化ナトリウムのエピクロロヒドリン中撹拌スラリーへの非種油系アルカノールアミドの添加を含む。水酸化ナトリウムは、ペレット、ビーズ若しくは粉末又はそれらの混合物のような固体の形態であることができる。固体水酸化ナトリウムは、本質的に無水〜わずかに湿っている状態であることもできる。本明細書中で使用する用語「本質的に無水」又は「わずかに湿っている」は、固体水酸化ナトリウムが、固体水酸化ナトリウムの総重量に基づき、約5重量%未満の水を含むことを意味する。
【0078】
一般に、固体水酸化ナトリウムは、固体水酸化ナトリウムの総重量に基づき、約5重量%未満、好ましくは約4重量%未満、より好ましくは約2.5重量%未満の水を含む。
【0079】
スラリーエポキシ化法の別の態様において、この方法は、水酸化ナトリウム及び無水硫酸ナトリウムのエピクロロヒドリン中撹拌スラリーに非種油系アルカノールアミドを添加することを含む。塩基性作用物質、即ち水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムは、ペレット、ビーズ、粉末若しくは顆粒のような固体の形態であることができる。固体水酸化ナトリウムは、本質的に無水であるか又はわずかに湿っていることもでき、固体水酸化ナトリウムの総重量に基づき、約5重量%未満の水を含む。無水硫酸ナトリウムは、顆粒の形態であるのが好ましい。
【0080】
本発明の開示によれば、エポキシ樹脂中のアミド構造を保持すると同時に、可能な限り多量の非種油系アルカノールアミドのジグリシジルエーテル及びジグリシジルエステルを含む前記エポキシ樹脂を生成するのが望ましい。しかし、スラリーエポキシ化法の間に、反応が約95重量%又はそれ以上の転化率(非種油系アルカノールアミドからエポキシ樹脂生成物への)に達するので、反応スラリーの粘度が上昇し、それが混合及び反応スラリーからの有効熱伝達を著しく低下させることが判明した。このような粘度上昇により、反応の継続が困難になる。更に、これらの条件下では、相当量の非種油系アルカノールアミドのモノグリシジルエーテルが依然として存在する可能性がある。粘度を低下させ、同時に熱伝達を回復させ、ひいては反応を継続させるために、エピクロロヒドリンの更なる添加(「逆添加(back-addition)」とも称する)が必要な場合がある。好ましくは、エピクロロヒドリンは、非種油系アルカノールアミド中に最初に存在する第一ヒドロキシル当たりエピクロロヒドリン約0.25〜約1当量の添加量で逆添加することができる。
【0081】
スラリーエポキシ化法において、最終的な粘度制御のために反応の最初により多量のエピクロロヒドリンを添加することは、本明細書中に開示した本発明の態様の範囲内である。一般に、非種油系アルカノールアミド中に最初に存在する第一ヒドロキシル当たりエピクロロヒドリン約0.50〜約2当量の追加量を、反応の最初に添加することができる。しかし、スラリーエポキシ化法の間に、反応の最初の混合物中の第一ヒドロキシル当たりエピクロロヒドリン約2〜約3当量を超えてエピクロロヒドリンの化学量論比を増加させると、望ましくない副生成物が更に形成される可能性があることが判明した。これらの望ましくない副生成物の形成は、有用なエピハロヒドリンと水酸化ナトリウムのような塩基性作用物質を消費する可能性がある。副生成物が形成される場合には、真空蒸留によって除去することができる。
【0082】
本発明のエポキシ樹脂は無水エポキシ化法によっても製造できる。無水エポキシ化法は、(a)非種油系アルカノールアミド、例えば前記非種油系アルカノールアミドのいずれか、(b)エピハロヒドリン、例えば前記エピハロヒドリンのいずれか及び(c)水溶液の塩基性作用物質、例えば前記塩基性作用物質のいずれかを一緒に反応させることを含む。無水エポキシ化法は任意的には、下記の成分、即ち(d)溶媒及び/又は(e)触媒の任意の1種又はそれ以上を含むことができる。
【0083】
無水エポキシ化法においては、水溶液の塩基性作用物質を使用できる。塩基性作用物質の水溶液中の水とエピハロヒドリン(例えばエピクロロヒドリン)は、エピハロヒドリン−水二成分共沸混合物又はエピハロヒドリン−水−溶媒三成分共沸混合物を形成する。水は、エピクロロヒドリン−水共沸混合物又はエピハロヒドリン−水−溶媒共沸混合物の共沸蒸留又は共蒸留によって除去することができる。蒸留は真空下で実施できる。
【0084】
共沸蒸留又は共蒸留によるエポキシ化中の水の除去方法に関する詳細は、米国特許第4,499,255号に示されており、これを引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0085】
無水エポキシ化法の一態様において、無水エポキシ化法は、水溶液の水酸化ナトリウムを非種油系アルカノールアミドとエピクロロヒドリンの撹拌混合物に制御添加すると共に、エピクロロヒドリン−水共沸混合物を連続的に真空蒸留し、蒸留された共沸混合物から水分を除去し且つ回収されたエピクロロヒドリンを反応に循還させることを含む。水酸化ナトリウム約50重量%を含む水溶液が特に好ましい。より稀釈された水酸化ナトリウム水溶液も使用可能であるが、更なる水を除去するために更なる時間及びエネルギーが消費されるので、それほど好ましくない。触媒を撹拌混合物に添加することもできる。第四アンモニウムハロゲン化物触媒が特に好ましい。
【0086】
無水エポキシ化法を実施する際にアミド結合の加水分解が起こる場合には、本発明の他のエポキシ化法の1つを用いて、前記アミド結合の加水分解を防ぐことができる。
【0087】
ルイス酸触媒カップリング/スラリーエポキシ化法
本発明のエポキシ樹脂は、ルイス酸触媒カップリング反応及びスラリーエポキシ化反応法(本明細書中では「ルイス酸触媒カップリング/エポキシ化法」と称する)によっても製造できる。一般に、ルイス酸触媒カップリング/エポキシ化法は、触媒カップリング反応工程とそれに続くスラリーエポキシ化工程を含む。従って、ルイス酸カップリング/エポキシ化法は、最初にカップリング反応工程において(a)非種油系アルカノールアミド(例えば前記のいずれか)と(b)エピハロヒドリン(例えば前記のいずれか)を(c)ルイス酸触媒(例えば前記触媒のいずれか)の存在下で反応させることを含む。このカップリング反応工程は、ハロヒドリンを含む中間生成物を生成する。次に、中間生成物を、脱ハロゲン化水素化反応工程において、例えば前記スラリーエポキシ化法のようなエポキシ化法を用いて、(d)固体形態の塩基性作用物質と反応させる。ルイス酸カップリング/エポキシ化法は任意的には、(e)溶媒、(f)ルイス酸触媒以外の触媒及び/又は(g)脱水剤の任意の1種又はそれ以上を含むこともできる。
【0088】
ルイス酸触媒カップリング/スラリーエポキシ化法のルイス酸触媒カップリング反応工程に使用するルイス酸の例としては、三フッ化ホウ素又は三フッ化ホウ素錯体、例えば三フッ化ホウ素エーテラート;塩化錫(IV);塩化アルミニウム;塩化第二鉄;塩化亜鉛;四塩化珪素;四塩化チタン;三塩化アンチモン;それらの任意の混合物などが挙げられる。
【0089】
使用するルイス酸の量は、非種油系アルカノールアミド モル当たり約0.00015〜約0.015モル、好ましくは約0.00075〜約0.0075モル、より好ましくは約0.0009〜約0.005モルの範囲であることができる。ルイス酸の量は、反応時間及び反応温度のような個々の反応変数によっても異なると可能性がある。
【0090】
ルイス酸カップリング/エポキシ化法のルイス酸触媒カプリング反応工程の一態様において、カップリング反応は、エピクロロヒドリンを非種油系アルカノールアミドとルイス酸触媒の撹拌混合物又は溶液に加えて、クロロヒドリンを含む中間生成物を生成することを含む。四塩化錫(IV)が、ルイス酸触媒として、特に好ましい。反応の完了後、次に中間生成物をスラリーエポキシ化法において脱ハロゲン化水素化反応で固体としての水酸化ナトリウムと反応させる。
【0091】
別の態様においては、ルイス酸カップリング反応工程から得られた、結果として生じた中間生成物は続いて、スラリーエポキシ化法を用いて、脱ハロゲン化水素化反応工程で、固体としての水酸化ナトリウム及び無水硫酸ナトリウムと反応させる。
【0092】
ルイス酸触媒以外の触媒も、エポキシ樹脂の製造に使用できる。使用する場合には、非ルイス酸触媒は、スラリーエポキシ化又は無水エポキシ化法の間の任意の時点で添加できるが、ルイス酸カップリング/エポキシ化方法の脱ハロゲン化水素化反応工程(スラリーエポキシ化法)にのみ添加する。
【0093】
前記ルイス酸触媒カップリング反応工程と同様にして、アルカリ金属水素化物も添加して非種油系アルカノールアミドと反応させ、次いで得られたアルコキシドをエピハロヒドリンと反応させることができる。使用できるアルカリ金属水素化物の例としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム及びそれらの任意の混合物などが挙げられ、水素化ナトリウムが好ましいアルカリ金属水素化物である。次に、中間生成物をスラリーエポキシ化方法を用いて脱ハロゲン化水素化工程において(d)固体形態の塩基性作用物質と反応させる。アルカリ金属水素化物を用いるこの方法は、任意的には、以下の成分、即ち(e)溶媒、(f)ルイス酸触媒以外の触媒及び/又は(g)脱水剤の任意の1種又はそれ以上を含むこともできる。
【0094】
スラリーエポキシ化又は無水エポキシ化法は溶媒の不存在下で実施することもでき、その場合にはエピクロロヒドリンは溶媒と反応体の両者の役割を果たす量で使用する。例えば、スラリーエポキシ化法は、非種油系アルカノールアミドとエピハロヒドリンとを、混合物中の第一ヒドロキシル当たりエピハロヒドリン約2〜約3当量の比で反応させることによって実施できる。このスラリーエポキシ化法は、反応スラリーの初期粘度が低いので、容易に混合される反応スラリーを提供し、エポキシ化法によって発生する熱(反応による熱及び反応混合物の撹拌による熱を含む)は反応器から外に容易に移すことができる。
【0095】
本明細書中に開示した本発明方法は回収及び精製プロセスを含むこともできる。回収及び精製は、重力濾過、真空濾過、回転蒸発及び分別真空蒸留を含む真空蒸留、遠心分離、水洗又は水抽出、溶媒抽出、デカンテーション、カラムクロマトグラフィー、流下膜式蒸留(falling film distillation)、薄膜蒸留(wiped film distillation)、静電凝集(electrostatic coalescence)並びに他の既知の回収及び精製処理法などのような方法を用いて実施できる。流下膜式蒸留又は薄膜蒸留が、オリゴマーを実質的に含まない本発明の高純度(例えば約99%超)のエポキシ樹脂の回収及び精製プロセスに好ましい方法である。本明細書中で使用する用語「オリゴマーを含まない」又は「オリゴマーを実質的に含まない」は、オリゴマーが、エポキシ樹脂最終生成物の総重量に基づき、約2重量%未満、好ましくは約1重量%未満、より好ましくは0重量%の量で存在することを意味する。
【0096】
回収及び精製プロセスは、非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂の沸点よりも低い沸点を有する成分を含む比較的低沸点の成分を除去及び回収することを含む。これらの成分の例としては、未反応エピハロヒドリン及び共生成グリシジルエーテル(例えば2−エポキシプロピルエーテル)副生成物が挙げられる。回収されたエピハロヒドリンは循還させる(例えば反応体として再利用する)ことができ、ジグシジルエーテル副生成物は他の目的で、例えば反応性中間生成物として使用することができる。
【0097】
本発明の好ましい態様によれば、非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂より低い沸点を有する成分を含む成分は、非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂より低い沸点を有する成分の総量がエポキシ樹脂最終生成物の総重量に基づき、約0.5重量%未満となるまで、真空蒸留(回転蒸発)によって除去する。非種油系アルカノールアミドのモノグリシジルエーテルが存在する場合には、その一部又は全てを、真空蒸留によって除去することもできる。
【0098】
非種油系アルカノールアミドのモノグリシジルエーテルが真空蒸留によって全く除去されないか又は一定量しか除去されない場合には、この方法は、非種油系アルカノールアミドのジ−及び/又はポリグリシジルエーテル及びエステル、非種油系アルカノールアミドのモノグリシジルエーテル並びにそれらのオリゴマーを含むエポキシ樹脂最終生成物を生成する。
【0099】
非種油系アルカノールアミドのモノグリシジルエーテルが全て、真空蒸留によって除去される場合には、この方法は、非種油系アルカノールアミドのジ−及び/又はポリグリシジルエーテル並びにそれらのオリゴマーを含むエポキシ樹脂最終生成物を生成する。或いは、この反応は、任意のモノグリシジルエーテルを本質的に含まない、非種油系アルカノールアミドのジ−及び/又はポリグリシジルエーテル並びにそれらのオリゴマーを含むエポキシ樹脂最終生成物を直接提供できる。
【0100】
一態様では、回収及び精製プロセスにおいて、スラリーエポキシ化反応によって生成されたエポキシ樹脂を遠心分離し且つ/又は濾過して、固体の塩(例えば未反応水酸化ナトリウム及びエピクロロヒドリンを用いる場合には、塩化ナトリウム)を除去することができる。非種油系アルカノールアミドより低い沸点を有する成分を含むエポキシ樹脂中の成分及び任意的には任意の未反応非種油系アルカノールアミドは、真空蒸留(回転蒸発)によって除去して、本発明のエポキシ樹脂最終生成物を生成する。この回収及び精製プロセスは本質的に非水法であり、水を用いる方法によって発生する取扱い及び廃棄処分がより困難な水性廃液ではなく、廃棄処分の容易な固体として廃塩を回収するので、水溶液を用いる他の回収及び精製プロセスより有利である。
【0101】
別の態様において、スラリーエポキシ化からの生成物の遠心分離及び/又は濾過後に得られるエポキシ樹脂溶液は、水又は他の水溶液(例えば炭酸水素ナトリウム又は燐酸二水素ナトリウム)による1回又はそれ以上の洗浄によって洗浄することができる。これはまた、エポキシ樹脂生成物の安定性に対して有害と考えられる微量の塩又は他の水溶性夾雑物を1回又はそれ以上の洗浄によって除去すると同時に、廃棄処分が容易な固体としての廃塩の大部分の回収を可能にする。同様に、洗浄は、エポキシ樹脂生成物中に存在する可能性のあるイオン性塩化物レベルを、効果的に低下させることができる。
【0102】
本明細書中に開示した一部のエポキシ樹脂は、室温(例えば25℃)において結晶化しないと可能性があり、その低粘度のために高固形分を受容できる。更に、スラリーエポキシ化法又は無水エポキシ化法によって生成されるエポキシ樹脂は典型的には、塩化物(イオン性塩化物、加水分解性塩化物及び総塩化物を含む)含量が低い。塩化物含量が低いこのようなエポキシ樹脂は、以下:(a)従来のエポキシ樹脂硬化剤による硬化時におけるエポキシ樹脂の改善された反応性;(b)増加したジ又はポリグリシジルエーテル含量;(c)エポキシ樹脂の低下した電位腐蝕性(potential corrosivity);及び(d)エポキシ樹脂の改善された電気的性質のような利点を有する。ルイス酸カップリング/エポキシ化法によって生成されるエポキシ樹脂は、スラリーエポキシ化法及び無水エポキシ化法に比較して、総塩化物含量(例えばエポキシ樹脂構造に結合したクロロメチル基)が高いと可能性があるが、ルイス酸触媒カプリング反応工程は比較的単純な方法であるという点で有利である。
【0103】
本発明の一態様によれば、(A)非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂、例えば前記非種油系アルカノールアミドを基材とする前記エポキシ樹脂のいずれかと、(B)少なくとも1種の硬化剤及び/又は少なくとも1種の硬化触媒を含む硬化性エポキシ樹脂組成物を製造できる。本発明の別の態様において、硬化性エポキシ樹脂組成物は任意的に、種油系アルカノールアミド(A)のエポキシ樹脂に加えて、それとは異なる1種又はそれ以上の追加エポキシ樹脂コンパウンド(C)を含むことができる。
【0104】
用語「硬化性」(「熱硬化性」とも称する)は、組成物が、組成物を硬化又は熱硬化状態(state and condition)にするであろう条件に暴露され得ることを意味する。
【0105】
用語「硬化」又は「熱硬化」は、L.R,Whittington[Whittington’s Dictionary of Plastics(1968),239ページ]によって以下のように定義されている:「完成品としての最終状態で実質的に不融性且つ不溶性である樹脂及びプラスチックコンパウンド。熱硬化性樹脂は多くの場合、その製造又は加工中のある段階で液体であり、熱、触媒作用又は他の何らかの化学的手段によって硬化される。完全に硬化された後、熱硬化樹脂は熱によって再軟化されることができない。通常は熱可塑性である一部のプラスチックは、他の材料による架橋という手段によって熱硬化性にされることができる。」
前記硬化性エポキシ樹脂組成物において有用な、非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂である成分(A)は、前記非種油系アルカノールアミドを基材とする前記エポキシ樹脂のいずれかであることができる。
【0106】
非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂(A)単独、又は非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂コンパウンド(C)とのブレンド若しくは混合物を含む硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化に有用な硬化剤及び/又は触媒である成分(B)は、エポキシ樹脂を硬化させることで知られている任意の硬化剤及び/又は触媒であることができる。
【0107】
硬化剤の例としては、脂肪族、脂環式、多脂環式若しくは芳香族第一モノアミン類;脂肪族、脂環式、多脂環式若しくは芳香族第一及び第二ポリアミン類;カルボン酸及びその無水物類;芳香族ヒドロキシル含有化合物類;イミダゾール類;グアニジン類;尿素−アルデヒド樹脂類;メラミン−アルデヒド樹脂類;アルコキシル化尿素−アルデヒド樹脂類;アルコキシル化メラミン−アルデヒド樹脂類;アミドアミン類;エポキシ樹脂付加物類;並びにそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0108】
特に適当な硬化剤の例としては、例えばメチレンジアニリン;イソホロンジアミン;4,4’−ジアミノスチルベン;4,4’−ジアミノ−α−メチルスチルベン;4,4’−ジアミノベンズアニリド;ジシアンジアミド;エチレンジアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;尿素−ホルムアルデヒド樹脂;メラミン−ホルムアルデヒド樹脂;メチロール化尿素−ホルムアルデヒド樹脂;メチロール化メラミン−ホルムアルデヒド樹脂;フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、スルファニルアミド、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン;t−ブチルトルエンジアミン;ビス−4−アミノシクロヘキシルアミン;イソホロンジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ヘキサメチレンジアミン;ピペラジン;アミノエチルピペラジン;2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジアミン;1,12−ドデカンジアミン;トリス−3−アミノプロピルアミン;及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0109】
適当な硬化触媒の例としては、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素エーテラート、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、四塩化珪素、塩化第二錫、四塩化チタン、三塩化アンチモン、三フッ化ホウ素モノエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体、ピリジン−ボラン錯体、ジエタノールアミンボレート、フルオロホウ酸亜鉛、金属アシレート、例えばオクタン酸第一錫若しくはオクタン酸亜鉛、及びそれらの任意の混合物が挙げられる。
【0110】
硬化剤は、硬化性エポキシ樹脂組成物を効果的に硬化させるであろう量で使用できるが、硬化剤の量は、硬化性エポキシ樹脂組成物中に存在する個々の成分、例えばエポキシ樹脂反応性希釈剤、エポキシ樹脂、使用する硬化剤及び/若しくは硬化触媒の型によっても異なるであろう。
【0111】
一般に、硬化剤の適当な量は、エポキシ樹脂中のエポキシ基の当量当たりの硬化剤中の反応性水素原子の当量が約0.80:1〜約1.50:1、好ましくは約0.95:1〜約1.05:1の範囲であることができる。反応性水素原子は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と反応性の水素原子である。
【0112】
同様に、硬化触媒も、硬化性エポキシ樹脂組成物を効果的に硬化させるであろう量で使用するが、硬化触媒の量も、硬化性エポキシ樹脂組成物中に存在する個々の成分、例えば非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂(A)並びに使用する硬化剤及び/若しくは硬化触媒の型によって異なるであろう。
【0113】
一般に、硬化性エポキシ樹脂組成物の総重量に基づき、約0.0001〜約2重量%、好ましくは約0.01〜約0.5重量%の適当な量の硬化触媒を使用できる。
【0114】
1種又はそれ以上の硬化触媒は、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化方法において、硬化プロセスを促進するか又は他の方法で改良するために使用できる。
【0115】
前記硬化性エポキシ樹脂組成物において有用な、本発明の非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂である本発明の成分(A)は単独で使用することもできるし、或いは1種又はそれ以上の異なるエポキシ樹脂、成分(C)と組合せて、エポキシ樹脂の混合物又はブレンドを形成することもできる。従って、本発明は、非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂;本発明のエポキシ樹脂(A)、例えば前記グリシジルエーテルアミド及びグリシジルエステルアミド;エポキシ樹脂コンパウンド(C);並びに少なくとも1種の硬化剤及び/又は少なくとも1種の硬化触媒(B)を含んでなる硬化性エポキシ樹脂ブレンド組成物も含む。エポキシ樹脂のブレンドにおいて、組成物中の他のエポキシ樹脂(C)に対する前記グリシジルエーテル及びグリシジルエステルの重量比は、約1:0〜約0.05:0.95、好ましくは約0.4:0.6〜約0.7:0.3の範囲であることができる。
【0116】
エポキシ樹脂コンパウンド(C)として使用できるエポキシ樹脂は、分子当たり平均1個超のエポキシ基を有する任意のエポキシド含有コンパウンドであることができる。エポキシ基は、任意の酸素、硫黄若しくは窒素原子又は−CO−O−基上の炭素原子に結合した単結合酸素原子に結合することができる。酸素、硫黄、窒素原子又は−CO−O−基の炭素原子は、脂肪族、脂環式、多脂環式又は芳香族炭化水素基に結合することができる。脂肪族、脂環式、多脂環式又は芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、好ましくはフッ素、臭素若しくは塩素;ニトロ基を含む(これらに限定するものではないが)任意の不活性置換基で置換することもできるし;或いはこれらの基は、平均で1個より多い−(O−CHRa−CHRat−基[式中、各Raは、独立して、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル若しくはハロアルキル基であり(但し、Ra基は1つだけがハロアルキル基であることができる)、tは1〜約100、好ましくは1〜約20、より好ましくは1〜約10、最も好ましくは1〜約5の値を有する]を含む化合物の末端炭素原子に結合することもできる。
【0117】
エポキシ樹脂コンパウンド(C)に適当なエポキシ樹脂のより具体的な例としては、
1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール);1,3−ジヒドロキシベンゼン(レソルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、水素化ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールA、4,4’−チオジフェノール;4,4’−スルホニルジフェノール;2,2’−スルホニルジフェノール;4,4’−ジヒドロキシジフェニルオキシド;4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン;1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン;3,3’−5,5’−テトラクロロビスフェノールA;3,3’−ジメトキシビスフェノールA;4,4’−ジヒドロキシビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−α−メチルスチルベン;4,4’−ジヒドロキシベンズアニリド;4,4’−ジヒドロキシスチルベン;4,4’−ジヒドロキシ−α−シアノスチルベン;N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミド;4,4’−ジヒドロキシアゾベンゼン;4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジメチルアゾキシベンゼン;4,4’−ジヒドロキシジフェニルアセチレン;4,4’−ジヒドロキシカルコン;4−ヒドロキシフェニル−4−ヒドロキシベンゾエート;ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリ(プロピレングリコール)、チオジグリコールのジグリシジルエーテル;
トリス(ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテル;
フェノール又はアルキル若しくはハロゲン置換フェノール−アルデヒド酸触媒縮合生成物(ノボラック樹脂)のポリグリシジルエーテル;
4,4’−ジアミノジフェニルメタン;4,4’−ジアミノスチルベン;N,N’−ジメチル−4,4’−ジアミノスチルベン;4,4’−ジアミノベンズアニリド;4,4’−ジアミノビフェニルのテトラグリシジルアミン;
ジシクロペンタジエン若しくはそのオリゴマーとフェノール又はアルキル若しくはハロゲン置換フェノールとの縮合生成物のポリグリシジルエーテル;並びに
それらの任意の組合せ
が挙げられる。
【0118】
エポキシ樹脂コンパウンド(C)として使用できるエポキシ樹脂はまた、エポキシ樹脂と芳香族ジ及びポリヒドロキシル又はカルボン酸含有化合物とのアドバンス反応(advanced reaction)生成物を含むことができる。芳香族ジ及びポリヒドロキシル又はカルボン酸含有化合物との反応に使用するエポキシ樹脂は、非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂を含むことができる。
【0119】
芳香族ジ−及びポリヒドロキシル又はカルボン酸含有化合物の例としては、ヒドロキノン、レソルシノール、カテコール、2,4−ジメチルレソルシノール;4−クロロレソルシノール;テトラメチルヒドロキノン;ビスフェノールA(4,4’−イソプロピリデンジフェノール);4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン;4,4’−チオジフェノール;4,4’−スルホニルジフェノール;2,2’−スルホニルジフェノール;4,4’−ジヒドロキシジフェニルオキシド;4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン;4,4’−ビス(4(4−ヒドロキシフェノキシ)−フェニルスルホン)ジフェニルエーテル;4,4’−ジヒドロキシジフェニルジスルフィド;3,3’,3,5’−テトラクロロ−4,4’−イソプロピリデンジフェノール;3,3’,3,5’−テトラブロモ−4,4’−イソプロピリデンジフェノール;3,3’−ジメトキシ−4,4’−イソプロピリデンジフェノール;4,4’−ジヒドロキシビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−α−メチルスチルベン;4,4’−ジヒドロキシベンズアニリド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)テレフタレート;N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミド;ビス(4’−ヒドロキシビフェニル)テレフタレート;4,4’−ジヒドロキシフェニルベンゾエート;ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1,4−ベンゼンジイミン;1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;フロログルシノール;ピロガロール;2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルホン;トリス(ヒドロキシフェニル)メタン;ジシクロペンタジエンジフェノール;トリシクロペンタジエンジフェノール;テレフタル酸;イソフタル酸;4,4’−ベンズアニリドジカルボン酸;4,4’−フェニルベンゾエートジカルボン酸;4,4’−スチルベンジカルボン酸;アジピン酸;及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0120】
前記アドバンス反応生成物の製造は、通常はエポキシ樹脂を分子当たり、平均1個超の反応性水素原子を有する1種又はそれ以上の適当な化合物と合することを含む既知の方法を用いて実施できる。反応性水素原子は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と反応性の水素原子である。分子当たり1個超の反応性水素原子を有する化合物の、エポキシ樹脂に対する比は、一般に約0.01:1〜約0.95:1、好ましくは約0.05:1〜約0.8:1、より好ましくは約0.10:1〜約0.5:1[エポキシ樹脂中のエポキシ基の当量当たりの反応性水素原子の当量]である。
【0121】
これらのアドバンス反応生成物の例としては、ジヒドロキシ芳香族、ジチオール、ジスルホンアミド若しくはジカルボン酸化合物、或いは1個の第一アミン若しくはアミド基、2個の第二アミン基、1個の第二アミン基と1個のフェノール性ヒドロキシ基、1個の第二アミン基と1個のカルボン酸基、又は1個のフェノール性ヒドロキシ基と1個のカルボン酸基を含む化合物、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0122】
アドバンス反応は、加熱及び混合をしながら、溶媒の存在下又は不存在下で実施できる。アドバンス反応は、大気圧、過圧又は減圧下で約20℃〜約260℃、好ましくは約80〜約240℃、より好ましくは約100℃〜約200℃の温度において実施できる。
【0123】
アドバンス反応を完了させるのに必要な時間は、使用温度、分子当たり1個超の反応性水素原子を有する使用化合物の化学構造、及び使用エポキシ樹脂の化学構造のような要因によって異なる。温度が高いほど必要な反応時間を短縮でき、温度が低いほど必要な反応時間が長くなると考えられる。
【0124】
一般に、アドバンス反応完了のための時間は、約5分〜約24時間、好ましくは約30分〜約8時間、より好ましくは約30分〜約4時間の範囲であることができる。
【0125】
アドバンス反応においては触媒も添加できる。触媒の例としては、ホスフィン類、第四アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物及び第三アミンが挙げられる。触媒は、エポキシ樹脂の総重量に基づき、約0.01〜約3重量%、好ましくは約0.03〜約1.5重量%、より好ましくは約0.05〜約1.5重量%の量で使用できる。
【0126】
本発明において有用なアドバンス反応に関する他の詳細は、米国特許第5,736,620号及びHandbook of Epoxy Resins,Henry Lee and Kris Nevilleに示されており、これらを引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0127】
非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂、成分(A)はエポキシ樹脂コンパウンド(C)に機能的に相当する量で添加できる。例えばエポキシ樹脂(A)は、最終エポキシ樹脂組成物の個々の最終用途によって要求される一定範囲の特性、例えば耐紫外線性、増大した耐衝撃性などを有するエポキシ樹脂組成物を提供する量で添加できる。
【0128】
一般に、非種油系アルカノールアミドのエポキシ樹脂、成分(A)は、エポキシ樹脂組成物の総重量に基づき、約0.5〜約99%、好ましくは約5〜約55%、より好ましくは約10〜約40%の量で使用できる。
【0129】
硬化性エポキシ樹脂組成物は、少なくとも1種の添加剤、例えば硬化促進剤、溶剤若しくは希釈剤(非反応性稀釈剤、モノエポキシド希釈剤、反応性非エポキシド希釈剤、及びエポキシ樹脂(A)以外の希釈剤を含む)、改質剤、例えば流れ調整剤若しくは増粘剤、強化材、充填剤、顔料、染料、離型剤、湿潤剤、安定剤、難燃剤、界面活性剤又はそれらの任意の組合せとブレンドすることもできる。
【0130】
これらの添加剤は機能的に相当する量で添加でき、例えば顔料及び/又は染料は、組成物に所望の色を与えるであろう量で添加することができる。一般に、添加剤の量は、硬化性エポキシ樹脂組成物の総重量に基づき、約0〜約20重量%、好ましくは約0.5〜約5重量%、より好ましくは約0.5〜約3重量%であることができる。
【0131】
本発明において使用できる硬化促進剤としては、例えばモノ、ジ、トリ及びテトラフェノール類;塩素化フェノール類;脂肪族又は脂環式モノ又はジカルボン酸;芳香族カルボン酸;ヒドロキシ安息香酸;ハロゲン化サリチル酸;ホウ酸;芳香族スルホン酸;イミダゾール類;第三アミン;アミノアルコール;アミノピリジン類;アミノフェノール類;メルカプトフェノール類;及びそれらの任意の混合物が挙げられる。
【0132】
特に適当な硬化促進剤としては、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、4−メチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、4−ニトロフェノール、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、吉草酸、シュウ酸、安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸、5−クロロサリチル酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ヒドロキシ安息香酸、4−エチル−2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノ)フェノール、4−ジメチルアミノピリジン、4−アミノフェノール、2−アミノフェノール、4−メルカプトフェノール又はそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0133】
本発明において使用できる溶剤の例としては、例えば脂肪族及び芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、脂肪族エーテル類、脂肪族ニトリル類、環状エーテル類、グリコールエーテル類、エステル類、ケトン類、アミド類、スルホキシド類及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0134】
特に適当な溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、テトラヒドフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、二塩化エチレン、メチルクロロホルム、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、N−メチルピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、スルホラン、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0135】
本発明において使用できる希釈剤の例としては、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、スチレン、低分子量ポリスチレン、スチレンオキシド、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンオキシド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、チオジグリコールジグリシジルエーテル、無水マレイン酸、ε−カプロラクタム、ブチロラクトン、アクリロニトリル及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0136】
特に適当な希釈剤としては、例えばエポキシ樹脂希釈剤、例えば前記ネオペンチグルリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、チオジグリコールジグリシジルエーテル及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0137】
増粘剤及び流れ調整剤のような改質剤は、硬化性エポキシ樹脂ブレンド組成物の総重量に基づき、0〜約10重量%、好ましくは約0.5〜約6重量%、より好ましくは約0.5〜約4重量%の量で使用できる。
【0138】
本発明において使用できる強化材としては、織物、マット、モノフィラメント、マルチフィラメント、一方向繊維、ロービング、ランダム繊維若しくはフィラメント、無機充填剤若しくはホイスカー、又は中空球の形態の天然及び合成繊維が挙げられる。他の適当な強化材としては、ガラス、炭素、セラミック、ナイロン、レーヨン、コットン、アラミド、グラファイト、ポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0139】
本発明において使用できる充填剤としては、例えば無機酸化物、セラミック微小球、プラスチック微小球、ガラス微小球、無機ホイスカー、炭酸カルシウム及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0140】
充填剤は、硬化性エポキシ樹脂ブレンド組成物の総重量に基づき、約0〜約95重量%、好ましくは約10〜約80重量%、より好ましくは約40〜約60重量%の量で使用できる。
【0141】
本発明によれば、硬化エポキシ樹脂は、前記硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化方法によって製造する。
【0142】
本発明の硬化性エポキシ樹脂ブレンド組成物の硬化方法は、大気圧、過圧若しくは減圧において、約0〜約300℃、好ましくは約25〜約250℃、より好ましくは約25〜約200℃の温度において実施できる。
【0143】
硬化性エポキシ樹脂ブレンド組成物の硬化方法を完了させるのに必要な時間は、使用温度によって異なる。温度が高いほど必要な硬化時間が短く、温度が低いほど必要な硬化時間が長い。一般に、この方法は、約1分〜約48時間、好ましくは約15分〜約24時間、より好ましくは約30分〜約12時間で完了させることができる。
【0144】
また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を部分硬化させて(B段階)、B段階生成物を形成し、その後しばらく経ってからB段階生成物を完全に硬化させることも実施可能である。
【0145】
本明細書中に記載したエポキシ樹脂組成物の一部は、溶媒を用いなくても極めて低い粘度を有することができ、長期貯蔵時間後であっても室温で結晶化を示さないと考えられる。更に、エポキシ樹脂組成物が低塩化物(イオン性塩化物、加水分解性塩化物及び総塩化物)の形態のエポキシ樹脂を含む場合には、結果として得られる硬化性エポキシ樹脂組成物もまた、低塩化物含量を有し、それと共に従来のエポキシ樹脂硬化剤への反応性が増大し、固有ジ又はポリグリシジルエーテル含量がより高く、腐蝕性が低下し、電気的性質が改善されるであろう。
【0146】
本明細書中に記載した硬化エポキシ樹脂は、物理的及び機械的性質の改善を示すことができる。例えば硬化エポキシ樹脂は高いガラス転移温度、改善された防湿性及び耐蝕性、改善されたコーティング特性及び従来のエポキシ樹脂硬化剤との改善された相溶性、より良好な塗膜品質、メチルエチルケトンに対する改善された抵抗性、増加した硬度、並びにより高い耐衝撃性及び剛軟度のうち一つ又はそれ以上を有することができ、付着性、耐紫外線性(非チョーキングコーティング)及び速硬性の低下がない。
【0147】
エポキシ樹脂は、コーティング、特に耐溶剤性、防湿性、耐摩耗性及び耐候性を示す保護コーティング;電気用又は構造用の積層品又は複合体;フィラメント巻き線;成形品;注型品;カプセル封入品;プラスチック用安定添加剤などにおいて有用であることができる。
【実施例】
【0148】
実施例中においては、以下の標準的な分析装置及び方法を用いる:
エポキシド%/エポキシド当量重量(equivalent weight)(EWW)の分析
標準的な滴定法を用いて、種々のエポキシ樹脂中のエポキシド%を測定した。サンプルを秤量し(約0.1〜0.2gの範囲)、ジクロロメタン(15mL)中に溶解させた。酢酸中臭化テトラエチルアンモニウム溶液(15mL)をサンプルに加えた。得られた溶液を3滴のクリスタルバイオレット溶液(酢酸中0.1%w/v)で処理し、Metrohm 665 Dosimat滴定装置(Brinkmann)上で酢酸中0.1N過塩素酸で滴定した。ジクロロメタン(15mL)及び酢酸中臭化テトラエチルアンモニウム溶液(15mL)を含むブランクサンプルの滴定により、溶媒バックグラウンドに関する補正を行った。この滴定のための一般的な方法は、科学文献、例えばJay,R.R.,”Direct Titration of Epoxy Compounds and Aziridines”,Analytical Chemistry,36,3,667-668(March,1964)に記載されている。
【0149】
以下の実施例は、本発明を更に詳細に説明するものであるが、本発明の範囲を限定するものと解してはならない。
【0150】
実施例1
アジピン酸及びジエタノールアミンから製造したアルカノールアミドからのポリグリシジルエーテルの合成
1リットルの3口丸底ガラス反応器に窒素下でエピクロロヒドリン(222.07g,2.4モル)、水酸化ナトリウム(ペレット,無水,試薬用,≧98%)(26.88g,0.672モル)、及び硫酸ナトリウム(顆粒状,無水)(59.68g,0.42モル)を装入した。反応器に更に、凝縮器(0℃に保持)、温度計、クライゼンアダプター、オーバーヘッド窒素入口(1 LPM N2を使用)、すりガラス栓及びスターラーアセンブリ(TEFLON(登録商標)パドル,ガラスシャフト,変速モーター)を装着した。アジピン酸とジエタノールアミンの縮合反応に由来する固体アルカノールアミド(25.51g,0.30−OH当量)をボトル中に秤取し、シールした。使用したアルカノールアミドの構造は以下の通りであった:
【0151】
【化6】

【0152】
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)分析は、純度98.3面積%を示し、残りは単一の微量成分であった。エポキシ化反応に使用したガラス器具は全て、オーブン中で150℃において≧48時間予備乾燥させた。撹拌により、24℃の、水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムのエピクロロヒドリン中スラリーが生成し始めた。7分間の撹拌後、サーモスタット制御加熱マントルを用いることによって反応器の加熱を開始した。撹拌スラリーが40℃で平衡に達したら、スパチュラを用いて固体アルカノールアミドの最初のアリコート(2.77g)を反応器に加えた。特に断らない限り、アリコートの添加の間じゅう、反応温度は40℃に保持した。アリコートは以下のように添加した:
【0153】
【表1】

【0154】
エポキシ化反応の進行は、HPLCによって監視した。累積19.67時間の反応後、薄いタン色のスラリーの加熱が止まり、続いてメチルイソブチルケトン(400ml)を添加し、反応器外部をファンで25℃に冷却した。600mlの粗目ガラス漏斗上に支持された1インチの珪藻土パッド上で、メチルイソブチルケトンスラリーを真空濾過した。最大油浴温度70℃を用いた濾液の回転蒸発により、極めてわずかに濁ったゴールデンアンバー色の液体25.48gが得られた。この生成物を無水トルエン(250ml)中に溶解させ、次いで、600mlの粗目ガラス漏斗上に支持された1/2インチの珪藻土パッド上で真空濾過した。最大油浴温度140℃を用いた1時間の濾液の回転蒸発により、明澄なライトゴールデンアンバー色の液体21.27gが得られた。GC分析は、残留エピクロロヒドリン及びジグリシジルエーテル副産物を含む本質的に全ての軽沸点成分が除去されたことを示した。得られた生成物の1対のアリコートの滴定は、平均30.67%のエポキシド(エポキシド当量重量140.3)を示した。KCL板上のアルカノールアミド反応体及びそのポリグリシジルエーテルの両者のニートな薄膜の赤外線分光光度分析から、以下が確認された(注:アルカノールアミド反応体の薄膜は、KCL板上で固体を溶融させることによって作成した):
【0155】
(1)1640.6cm-1における、ポリグリシジルエーテル中のアミド結合の結合性の完全な保持;
(2)ヒドロキシル基のグリシジルエーテル基への転化と、ポリグリシジルエーテル中に存在する極めて小さいヒドロキシル吸光度(3432.7cm-1);
(3)ポリグリシジルエーテル中における1111.0cm-1の強い脂肪族エーテルC−O伸縮の出現;並びに
(4)ポリグリシジルエーテル中における1254.9cm-1、906.6cm-1及び854.0cm-1のエポキシドエーテルC−O伸縮の出現。
【0156】
結果として得られるポリグリシジルエーテルは以下のように示される。
【0157】
【化7】

【0158】
実施例2
実施例1からのポリグリシジルエーテルを基材とするコーティングの作成と試験
実施例1からのポリグリシジルエーテル15.02g(エポキシ当量重量140.3;0.107当量)、ANCAMINE 2074硬化剤9.85g(水素当量重量92;0.107当量;Air Productsから入手可能)及びBYK(登録商標)310 3滴をガラスボトル中で合した。次いで、これらの成分を撹拌して、均質で明澄な液体を得た。この液体から、BYK Chemie USA製の#48ドローダウンバーを用いて、0.03インチ×4インチ×12インチの磨かれていない冷間圧延鋼パネル上にコーティングをドローダウンした。この配合物をまた、10milドローダウンバー(これもまた、BYK Chemie製)を用いて3インチ×6インチの磨かれていないコイルコートホワイトパネルに適用した。BYK乾燥試験を三重反復試験で実施し、この配合物に関する室温での結果は以下の通りであった:
【0159】
指触乾燥時間(set to touch time)=4.5時間
ダストタイム(dust time)=5.2時間
硬化乾燥時間(dry-through time)=10.5時間
【0160】
前記配合物からのコーティングを、周囲条件で2日間硬化させ、次いで強制空気対流式オーブン中で140℃において24時間硬化させた。硬化後、Fisherscope Film Thickness Meterを用いてコーティング厚を測定した。次いで、コーティングを試験した。冷間圧延鋼パネル上でのコーティングの試験から得られた特性は以下の通りである:
コーティング厚=2.147mil
【0161】
ガラス転移温度(示差走査熱量測定法による)=70℃
振り子(Konig)硬度(ASTM D4368による)=152秒
鉛筆硬度(ASTM D3363による)=2B
1/8インチ・コニカルマンドレル曲げ(ASTM D522−93aによる)=破損なし
クロスハッチ付着性(ASTM D3359−90による)=2B
直接衝撃強度/逆衝撃強度(ASTM D2794による)=136/40in.lbs.
メチルエチルケトン往復摩擦(ASTM D5402による)=>200
【0162】
コイルコートホワイトパネル上のコーティングについては、平均厚さは4.281milであった。これらのコーティングの光沢度を、ASTM法D−523に従って光沢計を用いて測定した。60°及び85°の角度における平均光沢度(%光反射率)は、それぞれ、72および88であった。次に、パネルを、ASTM法G−53に記載された装置中に入れ、60℃における4時間の紫外線暴露と50℃における4時間の水分凝縮暴露を反復サイクルで交互に行った。この装置内での紫外線照射は、340nmの波長で動作するUV−A型ランプの配列から行った。光沢度に対するこれらの条件の影響を測定するために、パネルを定期的に装置から取り出し、測定を行った。3000時間のこの試験の後、これらのコーティングパネルについて高レベルの光沢度保持が観察された。350時間の暴露では、コーティングパネルの60°及び85°における光沢度はそれぞれ、42(元の値の58%)及び62(元の値の70%)である。
【0163】
前述のように、非種油系アルカノールアミド及びカルボン酸の(これらのモノマーに由来する)無水エピハロヒドリンエポキシ化によって、従来のエポキシ樹脂に匹敵する硬化速度を有する新規のグリシジルエーテル及びエステルを生成できる。このような新しいレベルの反応性を獲得することによってコーティングへの利用が可能となると考えられ、アルカノールアミド構造が従来のエポキシ樹脂の加工及び性能を改善することができる。
【0164】
有利なことに、本明細書中に開示した態様は、より低い粘度(コーティング配合物への溶剤の必要性を排除できる(VOCを用いない));優れたUV安定性と良好な付着性及耐蝕性の組合せ(多くの工業用途、海洋用途及び自動車用途において多重被覆の必要性を排除できる);並びに改善された可撓性及び耐損傷性の一つ又はそれ以上をエポキシ樹脂塗膜に与えることができる。更に、本明細書中に記載した組成物は、より高い架橋結合密度(改善された熱安定性)、主鎖の構造設計による改善された反応性、より高いエポキシ化度(副生成物がより少ない)、及びグリシジルエーテル官能価を有することができる。
【0165】
実施例3
A.1,3−及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びジエタノールアミンから合成されるアルカノールアミドの製造
1,3−シクロヘキサンジカルボン酸(25.00g,0.145モル,0.29−COOH当量)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(25.00g,0.145モル,0.29−COOH当量)、メタノール(10ml)中85%KOH 0.52g及びジエタノールアミン(244.24g;2.323モル,2.323−NH当量)を500mlの一口丸底フラスコ中に入れた。フラスコを、80℃の熱油浴温度及び378mmHgの真空を用いるロータリーエバポレーター上に置いた。1分間の回転蒸発後、熱油浴温度を130℃に設定した。真空は286mmHgまで低下していた。累積12分間の回転蒸発後に30mmHgに達するまで、真空を継続的に低下させた。この時点で、フラスコの内容物は明澄となり、泡立ちを伴っていた。累積4.7時間の回転蒸発後、真空は20mmHgまで低下しており、回転蒸発は停止した。フラスコの内容物を、ベンゼン(300ml)と共に1リットルの一口丸底フラスコに移し、70℃の油浴温度及び616mmHgの真空のロータリーエバポレーター上に戻した。30分後、回転蒸発が停止し、生成物を回収し、分液漏斗に加えた。高温ベンゼンの最上層を除去し、廃棄し、最下層を新鮮なベンゼン(300ml)と共にフラスコに戻した。前記方法を用いて、ベンゼンによる抽出を更に4回(合計5回)行った。これらの抽出後に残る生成物を、完全真空下で130℃の最大油浴温度を用いて回転蒸発させた。この回転蒸発からの生成物のサンプルのFTIR分光光度分析は、極めて小さいエステル吸光度(1732.8cm-1)を伴う強いアミド吸光度(1615.8cm-1)を示した。生成物の一部(123.8g)を取り出し、完全真空下で180℃の油浴温度を用いて回転蒸発させて、生成物重量を3.1g減少させた。メチルイソブチルケトン(200ml)の添加によって形成されたこの生成物のスラリーを1リットルの分液漏斗に加え、5重量%炭酸水素ナトリウム100mlずつで4回洗浄した後、DI水(100ml)で最終洗浄を行った。洗浄されたメチルイソブチルケトンスラリーを無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、中目ガラス漏斗を通して濾過した。濾液を75℃の油浴温度で回転蒸発させて、溶媒の大部分を除去し、次いで110℃において完全真空下で1時間回転蒸発させた。最終生成物(97.05g)は、周囲温度において粘稠な透明のライトアンバー色液体であった。FTIR分光光度分析及び1H NMR分析は、アミドポリオール構造を裏付けた。HPLC分析は、3つのピーク(ピークの1つに肩が存在する)からなる100面積%を示した(4つの成分は、アルカノールアミドのシス,トランス−1,3−及び1,4−シクロヘキシル異性体であると予想される)。
【0166】
B.1,3−及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びジエタノールアミンからなるアルカノールアミドのポリグリシジルエーテルの合成
1リットルの三口丸底ガラス反応器に、窒素下でエピクロロヒドリン(231.43g,2.5モル)、水酸化ナトリウム(ペレット,無水,試薬用,≧98%)(40.0g,1.0モル)及び硫酸ナトリウム(顆粒状,無水)(99.43g,0.70モル)を装入した。反応器に更に、凝縮器(0℃に保持)、温度計、クライゼンアダプター、オーバーヘッド窒素入口(1 LPM N2を使用)、すりガラス栓及びスターラーアセンブリ(TEFLON(登録商標)パドル、ガラスシャフト、変速モーター)を装着した。前記Aからの1,3−及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びジエタノールアミンの縮合反応からの予熱固体アルカノールアミド(43.05g,0.50−OH当量)をサイドアームベント型添加漏斗に加え、それを次に反応器に取り付けた。撹拌により、24℃の水酸化ナトリウム及び硫酸ナトリウムのエピクロロヒドリン中スラリーが生成し始めた。15分間の撹拌後、サーモスタット制御加熱マントルを用いた反応器の加熱が始まった。撹拌スラリーが40℃で平衡に達したら、アルカノールアミドの最初のアリコート(10ml)を2分間にわたって反応器に加えた。アルカノールアミドの追加アリコート(10ml)を15分間隔で3回添加した。このアリコート添加中、反応温度は40〜43℃に保持した。エポキシ化反応の進行をHPLCによって監視した。アルカノールアミド添加完了の30分後に、反応生成物のアリコートのHPLC分析は、アルカノールアミドの85.6%の転化を示した。累積16.17時間の反応後、HPLC分析は、アルカノールアミドの100%の転化が達成されていることを示した。累積16.75時間の反応後、薄いライトタン色スラリー0の加熱が停止した。続いてファンを用いて反応器外部を25℃に冷却し、ジクロロメタン(500ml)を添加した。ジクロロメタンスラリーを4つのポリプロピレンボトル中に等しく分割し、シールし、2000RPMで1時間遠心分離した。透明な液体の最上層を、真空を使用してサイドアームフラスコを用いて、600ml中目ガラス漏斗上に担持された珪藻土パッド(Celite(登録商標)545最下層1/2インチ,Celite(登録商標)577中間層1/2インチ,Celite(登録商標)545最上層1/2インチ)に通してデカントした。ボトル中に残った固形分を、新鮮なジクロロメタンを用いて総重量600gまで等しく稀釈し、次いで機械的振盪機上に1時間置き、続いて前述のような遠心分離及びデカンテーションを行った。更なるジクロロメタン(50ml)を用いて、濾過器内容物中に残る生成物を濾液中に洗い流した。濾液を125℃の最大油浴温度で1時間回転蒸発することにより、粘着性白色固体41.88gが得られた。GC分析は、残留エピクロロヒドリン及びジグリシジルエーテル副産物を含む本質的に全ての軽沸点成分が除去されていることを示した。得られた生成物の1対のアリコートの滴定は、平均25.15%のエポキシド(EEW171.09)を示した。KCL板上のアルカノールアミド反応体及びそのポリグリシジルエーテルの両者のニートな薄膜のFTIR分光分析から以下が確認された:
【0167】
(1)アルカノールアミド反応体に関する1636.0cm-1及び1615.8cm-1におけるポリグリシジルエーテル中のアミド結合の結合性の保持;
(2)アルカノールアミド反応体の3313.3cm-1のヒドロキシル基の転化と、3259.6cm-1のポリグリシジルエーテル中に存在する小さいヒドロキシル吸光度(肩も存在);
(3)ポリグリシジルエーテル中における1107.7cm-1の強い脂肪族エーテルC−O伸縮の出現;並びに
(4)ポリグリシジルエーテル中における1254.1cm-1、909.4cm-1及び853.6cm-1のエポキシドエーテルC−O伸縮の出現。
【0168】
アルカノールアミド反応体及びポリグリシジルエーテル生成物の両者は、いずれも、少量(minor)のエステル官能価を示すと考えられる小さい吸光度(それぞれ、1734.7+1717.4cm-1及び1728.2cm-1)を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の非種油系アルカノールアミドに由来する少なくとも1種のエポキシアミドを含んでなるエポキシ樹脂。
【請求項2】
非種油系アルカノールアミドに由来するグリシジルエーテル及びその任意のオリゴマーを含むか;又は非種油系アルカノールアミドに由来するジグリシジルエーテル及び非種油系アルカノールアミドに由来するモノグリシジルエーテルを含む請求項1に記載のエポキシ樹脂。
【請求項3】
(a)少なくとも1種の非種油系アルカノールアミド、(b)エピハロヒドリン及び(c)塩基性作用物質;並びに任意的な溶媒を反応させることを含んでなる、エポキシ樹脂の製造方法。
【請求項4】
最初に、非種油系アルカノールアミドに由来するグリシジルエーテルをアルカリ金属水素化物と反応させて中間生成物を形成せしめ、続いて前記中間生成物を前記エピハロヒドリンと反応させることを更に含み、且つ前記アルカリ金属水素化物が水素化ナトリウム及び水素化カリウムの少なくとも1種である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法がスラリーエポキシ化法であり;前記スラリーエポキシ化法が(a)非種油系アルカノールアミドに由来するグリシジルエーテル;(b)エピハロヒドリン;(c)固体形態又は水溶液中の塩基性作用物質;(d)任意的に、水以外の溶媒;(e)任意的に、触媒;及び(f)任意的に、脱水剤を反応させることを含む請求項3に記載の方法。
【請求項6】
(i)前記水溶液中の塩基性作用物質に水以外の溶媒を加え;そして(ii)前記塩基性作用物質がニートな固体又は溶媒スラリーとなるまで、溶媒−水共沸混合物の真空蒸留によって前記塩基性作用物質から前記水溶液(水)を除去することを更に含み、且つ前記溶媒がトルエン又はキシレンを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
追加のエピハロヒドリンを前記反応に逆添加し;且つ前記追加エピハロヒドリンの添加量が第一ヒドロキシル基当たりエピクロロヒドリン約0.25〜約1当量である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が無水エポキシ化法であり;且つ前記無水エポキシ化法が(a)前記非種油系アルカノールアミドに由来するグリシジルエーテル、(b)前記エピハロヒドリン及び(d)前記水溶液中の塩基性作用物質、任意的に(d)溶媒並びに任意的には(e)触媒を反応させることを含む請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記塩基性作用物質が実質的に無水の固体となるまで、エピクロロヒドリン−水共沸混合物の真空蒸留によって前記塩基性作用物質から前記水溶液(水)を除去することを更に含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法がルイス酸触媒カップリング及びエポキシ化法であり;前記ルイス酸触媒カップリング及びエポキシ化法が、カップリング反応において(a)前記非種油系アルカノールアミドに由来するグリシジルエーテル、(b)前記エピハロヒドリンを、(c)ルイス酸触媒の存在下で反応させ、続いて得られたハロヒドリン中間体の脱ハロゲン化水素化反応を、(d)前記水溶液中の塩基性作用物質、任意的に、(e)前記溶媒及び任意的には(f)前記ルイス酸触媒以外の触媒を用いて行うことを含む請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記カップリング反応が、ルイス酸触媒の存在下で非種油系アルカノールアミドに由来する前記グリシジルエーテルを前記エピハロヒドリンと反応させて、ハロヒドリン中間体を形成せしめることを含み;且つ前記カップリング反応が前記ハロヒドリン中間体を前記水溶液中の塩基性作用物質と反応させてエポキシ樹脂を形成する脱ハロゲン化水素化反応を更に含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
コーティング、電気用若しくは構造用の積層品、電気用若しくは構造用の複合体、フィラメント巻き線、成形品、注型品、接着剤又はカプセル封入品のうちの少なくとも1つである請求項1に記載のエポキシ樹脂を含む物品。
【請求項13】
非種油系アルカノールアミドに由来するグリシジルエーテルを含むエポキシ樹脂(A)及び前記エポキシ樹脂(A)以外の1種又はそれ以上のエポキシ樹脂を含む樹脂コンパウンド(B)を含んでなるエポキシ樹脂反応性組成物。
【請求項14】
(a)請求項1に記載のエポキシ樹脂反応性組成物;並びに(b)少なくとも1種の硬化剤及び/又は少なくとも1種の硬化触媒を含んでなる硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項15】
(a)請求項23に記載のエポキシ樹脂反応性組成物と(b)少なくとも1種の硬化剤及び/又は少なくとも1種の硬化触媒のブレンドを含んでなり;前記硬化剤が、分子当たり、少なくとも1個の水素原子を有する物質を含み、前記エポキシ樹脂反応性組成物が少なくとも1個のエポキシ基を含み、前記硬化剤中の反応性水素原子が前記エポキシ樹脂反応性組成物中のエポキシ基と反応性である硬化性エポキシ樹脂ブレンド組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の硬化性エポキシ樹脂ブレンド組成物を硬化させることを含む方法。
【請求項17】
コーティング、電気用若しくは構造用の積層品、電気用若しくは構造用の複合体、フィラメント巻き線、成形品、注型品、接着剤又はカプセル封入品のうち少なくとも1つである請求項16に記載の方法によって製造された硬化エポキシ樹脂を含んでなる物品。

【公表番号】特表2011−521079(P2011−521079A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510608(P2011−510608)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/044289
【国際公開番号】WO2009/143037
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】