説明

非組み込み型レトロウイルスベクターワクチン

本発明は、宿主に投与されると動物宿主において免疫反応を引き起こす非組み込み型、非複製型のレトロウイルスベクターに関する。このベクターは、宿主において細胞に形質を導入し、そこでウイルス様粒子(VLP)を産生させ、これが細胞から放出されるときに宿主においてさらなる免疫反応を刺激する。このベクターは、長い末端反復と、パッケージング配列と、ウイルスの構造タンパク質をともにコードする一つまたは複数のポリヌクレオチド配列に機能的に連結された異種プロモーターとを含む、非組み込み型、非複製型のレトロウイルスベクターである。該ベクターを作出および使用する方法も開示される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、2009年3月13日付で出願された米国仮特許出願第61/160,285号、2009年4月5日付で出願された同第61/166,769号および2009年4月6日付で出願された同第61/167,088号の恩典および優先権を主張するものであり、これらは全てその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明はワクチンに関し、具体的には、宿主に投与されると動物宿主において免疫反応を誘導する非組み込み型の複製不全レトロウイルスベクターに関する。本発明のベクターはまた、宿主において細胞に形質を導入し、そこで本発明のベクターはウイルス様粒子(VLP)を産生させ、これが宿主においてさらなる免疫反応を刺激する。
【背景技術】
【0003】
背景
レトロウイルスベクターは当業者に周知である。それらは、エンベロープで覆われた、レトロウイルス由来のビリオン粒子であり、感染性であるが非複製性である。それらは一つまたは複数の発現可能なポリヌクレオチド配列を含む。したがって、それらは標的宿主細胞に入り込むことができ、発現可能な配列を細胞の中に運び込むことができ、そこでそれらが発現される。それらは非複製性であるように遺伝子操作されているので、その形質導入された細胞は、さらなるベクターまたは感染性レトロウイルスを産生しない。
【0004】
レトロウイルスは、レトロウイルス(Retrovirida)科に属するエンベロープで覆われたRNAウイルスである。宿主細胞に感染した後に、RNAが逆転写酵素によってDNAに転写される。次いで、このDNAはインテグラーゼ酵素によって細胞のゲノムに取り込まれ、その後、宿主細胞のDNAの一部として複製する。レトロウイルス科にはアルファレトロウイルス(Alpharetrovirus)属、ベータレトロウイルス(Betaretrovirus)属、ガンマレトロウイルス(Gammaretrovirus)属、デルタレトロウイルス(Deltaretrovirus)属、イプシロンレトロウイルス(Epsilonretrovirus)属、レンチウイルス(Lentivirus)属およびスプマウイルス(Spumavirus)属が含まれる。
【0005】
ガンマレトロウイルスに由来するレトロウイルスベクターが当技術分野で周知であり、遺伝子を細胞に送達するために、長年、使われてきた。そのようなベクターには、モロニーマウス白血病ウイルスまたはネコ白血病ウイルスのような、マウス白血病ウイルスから構築されたものが含まれる。
【0006】
レンチウイルスに由来するレンチウイルスベクターも当技術分野で周知である。それらは、そのゲノムを非分裂細胞のゲノムに組み込むことができるという点でレトロウイルスベクターよりも有利である。レンチウイルスには、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ウシ免疫不全ウイルス、ウマ伝染性貧血ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、ピューマレンチウイルス、ヤギ関節炎脳炎ウイルスおよびビスナ/マエディウイルスが含まれる。
【0007】
外来抗原であるこれらのベクターは、動物宿主において免疫反応を生じさせる。本発明ではこの反応を用いて、哺乳動物において望ましい免疫を発生させる。本発明の非組み込み型ベクター(NIV)は、自己追加免疫性ワクチンである。レトロウイルスベクター粒子は、それ自体がワクチンとして働くだけでなく、その非組み込みゲノムからのVLPの産生をコードするので、細胞に侵入した後に抗原性VLPを産生もする。これによって2回目の免疫刺激が得られる。
【0008】
VLPはウイルスではない。それらは外側のウイルス殻だけからなり、いずれのウイルス遺伝物質も持たない。したがって、それらは複製しない。多くのウイルスのカプシドタンパク質の発現は、ウイルス遺伝物質に由来するが、ウイルス遺伝物質を含まない天然ウイルスに似た、超分子の、非常に繰り返しの多い、正二十面体粒子または棒状粒子へのその自発的集合を引き起こす。したがって、VLPは、自然免疫反応も適応免疫反応も刺激する非複製性、非感染性の粒子抗原送達系となる。粒子状物質であるため、それらは、強力かつ耐久力のある(複数回の免疫の後に)免疫反応の発生にとって重要である決定的な「危険シグナル」を提供する。VLPは、構造という点で極めて多様でありえ、脂質エンベロープを持つかまたは持たないかのいずれかの単一または複数のカプシドタンパク質からなる。最も単純なVLPは、ヘパドナウイルス、パピローマウイルス、パルボウイルスまたはポリオーマウイルスに由来するVLPで明らかなように、無エンベロープであり、たった一種の主要なカプシドタンパク質の発現によって集合する。
【0009】
NIVは、細胞への侵入によって、VLPを含むタンパク質を発現できる遺伝情報も含むことを除き、VLPに類似している。それゆえ、NIVそれ自体がVLPワクチン(粒子の内部にコアおよび抗原が含まれている)であるだけでなく、宿主動物への投与後に細胞へ侵入することで、ウイルス遺伝情報が組み込まることなく、核に効率的に侵入もする。ここで、NIVは高いレベルにまでタンパク質を発現し、これが集合して体内でVLP粒子を作出し、免疫原性作用を増幅する。これによって、強力な一次免疫反応が得られるだけでなく、長期にわたる免疫を発生させうる持続免疫反応も得られる。
【0010】
NIVワクチンのさらなる利点は、免疫反応を発生させるために必要な量が少ないことである。その粒子は、体内で細胞から産生された後に増幅されるので、免疫反応を発生させるために必要な初期物質の量が非常に少なく、このようなワクチンの経済的側面を劇的に改善する。
【0011】
AIDSの予防用ワクチンはやりがいのある目標である。タンパク質サブユニットワクチンは無効であることが示されている。生菌弱毒化HIVは動物実験で効果を発揮したが、その病原性によってそのさらなる開発は妨げられている。ウイルスベクターも候補HIVワクチンの開発のために使われている。最も顕著なものは、最近になってヒト臨床試験に失敗したMerckアデノウイルスベクターに基づくAIDSワクチンであった。このワクチンは感染対象においてHIV伝染またはウイルス複製を減らすことに失敗しただけでなく、ワクチンを作出するために使われたアデノウイルス株に過去に曝されたワクチン接種者にはHIV感染に対する感受性の明らかな増大もあった。失敗の理由は知られていないが、過去の動物実験から、抗ベクター免疫が免疫反応の分岐を生じさせ、複数回注射後にワクチンの効力を低減させることが実証された。
【0012】
本発明のNIVはAIDSワクチンとしてとりわけ有望なはずである。非組み込みHIVベクターは、そのゲノムが、VLPを作出するのに十分な時間にわたり非分裂細胞中でエピソームとして維持され、かつ細胞分裂によって希釈されることを除き、従来のHIVワクチンの特質の全てを有する。HIV NIV粒子それ自体がワクチンである。さらに、その粒子は細胞に形質を導入し、HIVタンパク質を発現し、より多くのHIV VLPをさらに産生させて、ワクチンの効果を増強する。NIV粒子は1回の複製を経るだけで、いずれの遺伝物質もないVLPだけを生ずるので、それらは、生ウイルス曝露後の有害な後遺症なく、HIV感染を模倣するものと考えられる。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、宿主に投与されると動物宿主において免疫反応を引き起こす非組み込み型、非複製型のレトロウイルスベクターに関する。該ベクターは、宿主において細胞に形質を導入し、そこでウイルス様粒子(VLP)を産生させ、これが細胞から放出されると、宿主においてさらなる免疫反応を刺激する。前記レトロウイルスベクターは、長い末端反復と、パッケージング配列と、ウイルスの構造タンパク質をともにコードする一つまたは複数のポリヌクレオチド配列に機能的に連結された異種プロモーターとを含む。一つの態様において、前記レトロウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。本発明は、薬学的に許容される担体の中に本発明のベクターの一つまたは複数を含んだ薬学的組成物も含む。
【0014】
本発明は、プラスミド、ヘルパー構築体、ならびにベクターを構築および産生するために使われるプロデューサー細胞を含む。前記プラスミドは、レトロウイルスの長い末端反復配列と、レトロウイルスのパッケージング配列と、ウイルスの構造タンパク質をともにコードする一つまたは複数のポリヌクレオチド配列に機能的に連結された異種プロモーターとを含む。一つの態様において、レトロウイルス配列はレンチウイルス配列である。この態様の一つの局面において、レンチウイルス配列はHIV配列である。パッケージング細胞は、本発明のプラスミド、およびインテグラーゼ遺伝子を含まないヘルパー構築体または機能的ではないインテグラーゼ遺伝子を含んだヘルパー構築体を含む。一つの態様において、細胞は哺乳動物細胞である。プロデューサー細胞は、本発明のプラスミド、およびインテグラーゼ遺伝子を含まないヘルパー構築体または機能的ではないインテグラーゼ遺伝子を含んだヘルパー構築体を含む。一つの態様において、細胞は哺乳動物細胞である。
【0015】
本発明のベクターおよび薬学的組成物はワクチンとして使われる。したがって、本発明は、哺乳動物において免疫反応を引き起こすのに十分な量で哺乳動物にベクターまたは薬学的組成物を送達することにより哺乳動物において免疫反応を引き起こす方法を含む。ベクターが哺乳動物において細胞に形質を導入した後に、細胞は、ウイルスの構造タンパク質を含むVLPを産生および放出し、哺乳動物においてさらなる免疫反応を引き起こす。VLPは標的ウイルスの構造タンパク質を含む。ウイルスは、VLPを形成する自己集合性の構造タンパク質を本発明のベクターが産生できる、任意のウイルスである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のNIVのいくつかの例を示す。LTR: 長い末端反復。Psi: パッケージング配列(リーダーに加えてGag配列の断片)。AS: wt-HIVとの組み換えを防ぐために高度に保存された天然のインテグラーゼ遺伝子配列(または他の配列)の300 bpを標的とする任意のアンチセンス; RRE: rev応答エレメント。P: 抗原発現を推進するために使われるプロモーター(高い確実性でCMV、SFFVまたはTet-Oプロモーターのいずれか)。Gag-Pol: コドン最適化されたGagおよびプロテアーゼ遺伝子(フレームシフト領域におけるコドン最適化を回避する)、欠損インテグラーゼならびに任意で欠損逆転写酵素、後者は構築体から、必要に応じて、ある種の型の構築体から、任意で欠失していてもよい。2A: 2A切断配列は各タンパク質が翻訳後に切断されることを可能にする; 一つのレンチウイルスベクターにおける三つの2Aの使用が実証されている。Env: コドン最適化されているSIVの天然エンベロープ配列; 異なるエンベロープ株を用いて免疫反応を広幅化することができる。CTLエピトープは、標的ウイルスの任意のタンパク質由来の複合性CTLおよび/または液性エピトープをコードするポリヌクレオチド配列である。HIVの場合、これはタンパク質Vpx/Vpr/Vif/Nef/Tat/Rev/の任意の組み合わせでありうる: ポリペプチド配列; 各ポリペプチドは、連続的に並べられているコドン最適化された配列として存在する; これらのタンパク質を個別に発現する必要はない; Nef遺伝子配列はキナーゼドメインにおいて突然変異している; CTL配列は、主要なエピトープの全てを単一のポリペプチド配列に統合したポリペプチド配列である; 全VpxはVLP粒子へのその取り込みを容易にするためにポリタンパク質のN末端に挿入されている。GFP: インビトロでのおよびインビボでの細胞の標識のために用いた緑色蛍光タンパク質遺伝子。TMPK: 安全な遺伝子の例; 3'-アジド-3'-デオキシチミジン(AZT)をリン酸化してカスパーゼ-3(capase-3)活性化およびアポトーシスを引き起こすチミジル酸キナーゼ(TMPK) (TK、dCKなどのような他のものを使用することができる。IL-12: 記憶T細胞応答を促進するために用いられたインターロイキン12遺伝子; 他のサイトカイン、タンパク質および/またはRNAiを用いることができる。SIN-LTR: 逆転写(ヘルパーによりビリオン中のタンパク質として提供されるRT)の間に二重コピーされる自己不活性化LTR。P-CMV: サイトメガロウイルスプロモーター。Gag-Pol: ビリオン形成およびRTのための全ての構造タンパク質および酵素タンパク質を発現するが、インテグラーゼは陰性(黒棒)のヘルパープラスミド; Gag-PolはSIV NIVにおけるPsi配列との配列類似性を限定するためにコドン縮重されている。ヘテロenv: 例えば、VSV-g、デングEタンパク質、HA、gp120、フラビウイルスEnvタンパク質、レンチウイルスベクターでシュードタイプできる任意の異種env。
【図2】レトロウイルスベクターコアタンパク質ではないコアタンパク質を発現するNIVの産生のために用いられるNIVヘルパープラスミド構築体を示す。それらはレトロウイルスのGagタンパク質およびPol遺伝子を発現するが、欠損インテグラーゼ分子を発現する。ヘルパー構築体は特定のプラスミドに限定されるのではなく、他のHIVタンパク質を含む、他の変異形を持ちうる。このヘルパーはまた、その結果がパッケージング細胞株であるように細胞株に組み込まれうる。パッケージング細胞株がベクターを含むなら、これによってプロデューサー細胞株が得られるであろう。
【図3】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるデング熱ウイルスNIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がデングコアタンパク質の発現を推進する。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、単一のORF、または2AもしくはIRES配列によって分けられた複数のORF (示されていない)でありうるデングエンベロープタンパク質の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図4】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるC型肝炎ウイルスNIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がC型肝炎コアタンパク質の発現を推進する。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、C型肝炎E1またはE2エンベロープタンパク質の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図5】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるC型肝炎ウイルスNIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がC型肝炎コアタンパク質の発現を推進する。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられたC型肝炎E1およびE2エンベロープタンパク質の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図6】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるB型肝炎ウイルスNIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がC型肝炎コアタンパク質の発現を推進する。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、2AもしくはIRES配列(示されていない)によって分けられたB型肝炎E1および/またはE2エンベロープタンパク質の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図7】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるインフルエンザウイルスNIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がインフルエンザウイルスコア(少なくともM1しかし任意で同様にM2)タンパク質の発現を推進する。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられたC型インフルエンザHAおよびNAエンベロープタンパク質の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図8】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるインフルエンザウイルスNIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がインフルエンザウイルスコア(少なくともM1しかし任意で同様にM2)タンパク質の発現を推進する。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、株が異なった、かつ2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた複数のインフルエンザHAエンベロープタンパク質の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図9】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成される腫瘍抗原NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がインフルエンザウイルスコア(少なくともM1しかし任意で同様にM2)タンパク質の発現を推進する。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、好ましくは膜タンパク質である腫瘍抗原の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図10】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成される細菌性抗原NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がインフルエンザウイルスコア(少なくともM1しかし任意で同様にM2)タンパク質の発現を推進する。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、HA膜貫通ドメインとの融合によりエンベロープ中に固定されてキメラタンパク質を作出する細菌性抗原の発現を推進する。各抗原は2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられている。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図11】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成される腫瘍抗原NIVワクチン構築体2を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がインフルエンザウイルスコア(少なくともM1しかし任意で同様にM2)タンパク質の発現を推進する。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、腫瘍抗原およびサイトカインの発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図12】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるHIV NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV Gagおよびプロテアーゼコアタンパク質の発現を推進する。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、HIVエンベロープタンパク質およびCTLエピトープポリペプチド(HIVゲノム上に主要なCTLエピトープをコードする)の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図13】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるHIV/AIDS NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV GagおよびPolコアタンパク質の発現を推進し、ここでインテグラーゼは突然変異しており、機能的ではない。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、HIVエンベロープタンパク質の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図14】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるHIV/AIDS NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV GagおよびPolコアタンパク質の発現を推進し、ここでインテグラーゼは突然変異しており、機能的ではない。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、HIVエンベロープタンパク質およびCTLエピトープポリペプチド(HIVゲノム上に主要なCTLエピトープをコードする)の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図15】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるHIV/AIDS NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV GagおよびPolコアタンパク質の発現を推進し、ここでインテグラーゼは突然変異しており、機能的ではない。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、HIVエンベロープタンパク質およびサイトカイン(例えばIL12)の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図16】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるHIV/AIDS NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV GagおよびPolコアタンパク質の発現を推進し、ここでインテグラーゼは突然変異しており、機能的ではない。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、どれも2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、HIVエンベロープタンパク質、CTLエピトープポリペプチド(HIVゲノム上に主要なCTLエピトープをコードする)、サイトカイン(例えばGCSF)および細胞死誘導遺伝子(例えばTMPK)の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図17】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるC型肝炎NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV GagおよびPolコアタンパク質の発現を推進し、ここでインテグラーゼは突然変異しており、機能的ではない。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、どれも2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、C型肝炎E1およびE2エンベロープタンパク質の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図18】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成される腫瘍抗原NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV GagおよびPolコアタンパク質の発現を推進し、ここでインテグラーゼは突然変異しており、機能的ではない。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、複数なら、どれも2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、腫瘍抗原タンパク質の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図19】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるデング熱NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV GagおよびPolコアタンパク質の発現を推進し、ここでインテグラーゼは突然変異しており、機能的ではない。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、複数なら、どれも2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、デングEタンパク質の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図20】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるマラリアNIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV GagおよびPolコアタンパク質の発現を推進し、ここでインテグラーゼは突然変異しており、機能的ではない。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、複数なら、どれも2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、キメラ(例えばHA膜貫通-マラリアAg)でありうるマラリア抗原タンパク質の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図21】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成されるマラリアNIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV GagおよびPolコアタンパク質の発現を推進し、ここでインテグラーゼは突然変異しており、機能的ではない。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、どれも2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、キメラ(例えばHA膜貫通-マラリアAg)でありうるマラリア抗原タンパク質およびサイトカインの発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図22】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成される細菌性NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV GagおよびPolコアタンパク質の発現を推進し、ここでインテグラーゼは突然変異しており、機能的ではない。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、複数なら、どれも2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、キメラ(例えばVSV-G膜貫通-細菌性Ag)でありうる細菌性抗原タンパク質の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図23】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成される汎用NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV GagおよびPolコアタンパク質の発現を推進し、ここでインテグラーゼは突然変異しており、機能的ではない。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、どれも2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、関心対象のタンパク質の抗原およびCTLエピトープ(標的病原体の)の発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図24】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成される汎用NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV GagおよびPolコアタンパク質の発現を推進し、ここでインテグラーゼは突然変異しており、機能的ではない。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、どれも2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、関心対象のタンパク質の抗原およびサイトカインの発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図25】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成される汎用NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV GagおよびPolコアタンパク質の発現を推進し、ここでインテグラーゼは突然変異しており、機能的ではない。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、関心対象のタンパク質の抗原、およびワクチンの免疫原性を調節するshRNAiの発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【図26】psiパッケージング配列、RREエレメントおよび任意でいくつかの非コードTat配列とともに5'LTRで構成される汎用NIVワクチン構築体を示す。サイトメガロウイルスプロモーター(SCMV)がHIV GagおよびPolコアタンパク質の発現を推進し、ここでインテグラーゼは突然変異しており、機能的ではない。ホスホグルコキナーゼ(PGK)プロモーターは、どれも2AまたはIRES配列(示されていない)によって分けられた、関心対象のタンパク質の抗原、CTLエピトープおよびサイトカインの発現を推進する。エンベロープORFおよびポリAより遠位に転写後調節エレメント(PRE)が任意で挿入されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本発明は、宿主に投与されると動物宿主において免疫反応を引き起こす非組み込み型、非複製型のレトロウイルスベクターに関する。該ベクターは、宿主において細胞に形質を導入し、そこでウイルス様粒子(VLP)を産生させ、これが細胞から放出されるときに宿主においてさらなる免疫反応を刺激する。
【0018】
前記レトロウイルスベクターは、長い末端反復と、パッケージング配列と、ウイルスの構造タンパク質をともにコードする一つまたは複数のポリヌクレオチド配列に機能的に連結された異種プロモーターとを含む。このウイルスは、哺乳動物において免疫反応を発生させることが望まれるものである。したがって、レトロウイルスベクターはこの標的ウイルスに対するワクチンである。一つの態様において、構造タンパク質はレトロウイルスgag遺伝子によってコードされる。このベクターは、インテグラーゼ遺伝子を含まないヘルパー構築体または機能的ではないインテグラーゼ遺伝子を含んだヘルパー構築体によってパッケージングされる。あるいは、ベクターは、機能的なインテグラーゼタンパク質をコードしない変異インテグラーゼ遺伝子を含んだレトロウイルスpol遺伝子を含む。そのような変異インテグラーゼ遺伝子およびそれらを含む構築体は、当技術分野において公知の技法によって調製することができる。一つの態様において、ベクターは自己不活性化(SIN)ベクターであり、これは3' LTRのU3領域中に不活性化欠失を有する。一つの態様において、ベクターはガンマレトロウイルスベクターである。別の態様において、それらはレンチウイルスベクターである。特定の態様において、レンチウイルスベクターはHIVベクターである。本明細書において用いられる場合、「HIV」という用語は、ヒト免疫不全ウイルス1 (HIV-1)およびヒト免疫不全ウイルス2 (HIV-2)の全てのクレードおよび/または株を含む。
【0019】
ベクターが宿主細胞に形質を導入した後に、ウイルスの構造タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列が発現され、構造タンパク質が産生される。ベクターは、構造タンパク質がVLPに自己集合するのに十分な数および種類のポリヌクレオチド配列を含む。一つの態様において、構造タンパク質はウイルスカプシドタンパク質を含み、VLPはウイルスカプシドである。別の態様において、構造タンパク質はまた、エンベロープを有するそれらの標的ウイルスに対するウイルスエンベロープタンパク質を含み、VLPはウイルスカプシドおよびウイルスエンベロープを含む。
【0020】
構造タンパク質が産生されるウイルスは、本発明のベクターが、VLPを形成する自己集合性の構造タンパク質を産生できる任意のウイルスであってよい。これらはレンチウイルス、他のレトロウイルス、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス、フィロウイルスおよびフラビウイルスを含む。より一般的には、これらは以下の科由来のウイルスを含む: アデノウイルス科、アレナウイルス科、アストロウイルス科、バキュロウイルス科、ブニヤウイルス科、カリシウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、フラビウイルス科、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科、オルソミクソウイルス科、パラミキソウイルス科、パルボウイルス科、パポバウイルス科、ピコルナウイルス科、ポックスウイルス科、レオウイルス科、レトロウイルス科、ラブドウイルス科およびトガウイルス科。特定の態様において、ウイルスは、HIV-1、HIV-2、SIV、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、A型、B型およびC型肝炎ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、西ナイルウイルスならびにデング熱ウイルスからなる群より選択される。したがって、本発明のレトロウイルスベクターは、宿主動物の細胞に形質を導入した後に、上記のウイルスおよびこのようにVLPを産生できるその他任意のウイルスの抗原特徴を有するVLPを産生する。これにより、ワクチンとしてのそれらの使用が可能になる。
【0021】
ベクター中のポリヌクレオチド配列によってコードされるカプシドおよびエンベロープタンパク質は、同じまたは異なるウイルス由来であってよい。例えば、カプシドおよびエンベロープタンパク質は単一の型のウイルスに由来する; カプシドタンパク質は一つの型のウイルス由来であり、かつエンベロープタンパク質は別の型のウイルス由来である; またはカプシドタンパク質は一つの型のウイルス由来であり、かつエンベロープタンパク質は複数の型のウイルス由来である。複数の型のエンベロープタンパク質は、同じ型のウイルスの異なる株に由来してもよく、またはそれらは異なる型のウイルスの異なる株に由来してもよい。
【0022】
一つの態様において、ベクターは、異種タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチド配列を含む。すなわち、そのタンパク質は、ベクターが由来する天然のレトロウイルスの一部ではない。ベクターは、異なる異種タンパク質をコードする二種またはそれ以上の異なる異種配列を含むこともできる。これらのタンパク質は、ベクターポリヌクレオチド配列が宿主細胞中で発現された後でVLPの一部となる。
【0023】
異種タンパク質は、レトロウイルスベクターでシュードタイプできる任意のエンベロープタンパク質であってよい。周知の例はVSV-Gタンパク質である。他の例としては、C型肝炎エンベロープタンパク質E1および/またはE2、デングウイルスEタンパク質、バキュロウイルスエンベロープタンパク質、HIVエンベロープタンパク質、両種性レトロウイルスエンベロープタンパク質、アルファウイルスエンベロープタンパク質、フラビウイルスエンベロープタンパク質、ならびにウイルス由来のその他任意のエンベロープタンパク質が挙げられる。ウイルスエンベロープタンパク質は、一つのタンパク質の膜貫通ドメインおよび第二のタンパク質の細胞外ドメインを含むという点で、キメラタンパク質でありうる。また、本発明は単一のタンパク質の発現に限定されるのではなく、複数のタンパク質を含むこともできる。例えば、インフルエンザの場合、M1タンパク質に加えてヘマグルチニンおよびノイラミニダーゼエンベロープタンパク質の両方が発現されて、VLPを作出する。同じウイルスまたは異なるウイルス由来であるかを問わず、任意のタンパク質の組み合わせが関連しうる。
【0024】
異種ポリヌクレオチドは、抗原、免疫調節タンパク質、RNAi、または細胞死を誘導しうるポリペプチドをコードすることもできる。それは、哺乳動物において疾患過程に関わる任意の因子をコードすることができる。これらのタンパク質は単一のタンパク質としてまたはキメラとして作出されることができる。
【0025】
抗原は任意のタンパク質またはその一部であることができる。抗原はウイルス、細菌、寄生生物または他の病原体に由来することができる。抗原は、腫瘍細胞由来の細胞膜タンパク質のような、腫瘍抗原であることもできる。
【0026】
免疫調節タンパク質は、免疫系の調節に関わる任意のタンパク質または免疫反応の調節に影響を及ぼす任意のタンパク質である。一つの態様において、それはインターロイキン、インターフェロンまたは腫瘍壊死因子のような、サイトカインである。一つの局面において、サイトカインはIL-2、IL-12、GM-CSFまたはG-CSFである。
【0027】
細胞死を誘導しうるポリペプチドは、ある種の薬物のような、ある種の化学物質に曝露されると細胞を直接的または間接的に死滅させる、細胞中のポリペプチドである。その例は当業者に公知であり、チミジンキナーゼ(TK)、デオキシシチジンキナーゼ(dCK)、ならびに2006年11月14日付で出願された米国特許出願第11/559,757号に開示され、かつ米国特許第2009/0074733A1号として2009年3月19日付で公開されている修飾型の哺乳動物およびヒトチミジル酸キナーゼ(TMPK)を含み、その特許はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0028】
NIVは、一般的にshRNA (NIVが細胞中でそのゲノムを発現することにより細胞内で発現される)の形態にあるRNAi配列(アンチセンス、リボザイムなどを同様に含む任意の遺伝子阻害配列)を含むこともできる。これらの配列は、VLPを産生する細胞の野生型ウイルス感染を阻害するために、ワクチンに対する免疫反応を増強するために、VLPタンパク質の産生を増強するために、VLPのグリコシル化を変える(例えば、そのグリコシル化に関わるタンパク質を標的化することによって表面タンパク質を脱グリコシル化する)ために、またはアポトーシスもしくは細胞生存遺伝子経路の標的化によって細胞の寿命を増やすもしくは減らすために発現される。
【0029】
一つの態様において、ポリヌクレオチド配列はコドン最適化される。コドン最適化は当技術分野において周知である。それには、より高いレベルのタンパク質が産生されるようにコドン使用頻度の改変が含まれる。また、コドン最適化を用いて、特定の目的のためにコドン使用頻度を縮重させることもできる。この一例は、NIVが、VLPを産生する同一の細胞に感染する野生型ウイルスと組み換えを起こす機会がないように、野生型ウイルスに対してコドン使用頻度を縮重させることである。
【0030】
上記のように、レトロウイルスベクターはレンチウイルスベクターを含む。これらのベクターは、本明細書に含まれる教示を考慮すれば、当業者に公知の技法によって任意のレンチウイルスから構築することができる。一つの態様において、レンチウイルスベクターは、HIV-1もしくはHIV-2またはその組み合わせから構築された、HIVベクターである。別の態様において、それはSIVから構築された、SIVベクターである。これらのベクターの全てが上記のレトロウイルスベクターの特徴を有する。もちろん、それらは他のレトロウイルスの代わりに当該の特定のレンチウイルスに由来する。
【0031】
ガンマレトロウイルスベクターのような他のレトロウイルスベクターと比べた場合、レンチウイルス構築体、とりわけHIVまたはSIVに関連したものにはある種の差異が存在することを当業者は認識するであろう。例えば、AIDSワクチンの産生の場合、ベクターは、ベクターによって形質導入された細胞におけるHIV構造タンパク質の発現のためにHIV gag遺伝子を含むことが好ましいであろう。完全なgag遺伝子はHIVカプシド、ヌクレオカプシドおよびマトリックスタンパク質を発現するであろう。さらに、HIVベクターは、VLPがエンベロープタンパク質を含むようにHIV env遺伝子を含むことが好ましいであろう。ベクターは、例えばVSV-GまたはデングEタンパク質で、シュードタイプすることもできる。ひいては、それらを用いて、HIVタンパク質がCD4 T細胞に感染するのみであるように非CD4細胞に形質を導入することができる。好ましくは、ベクターはまた、SIVベクターであろう。このベクターは、さまざまなHIVクレードまたはHIV株の主要な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)および液性B細胞エピトープを統合するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むこともできる。一つの態様において、これは、図1に示されるVpx/Vpr/Vif/Nef/Tat/Rev/CTLポリペプチド配列である。
【0032】
一つの態様において、HIVベクターは好ましくは、インテグラーゼ遺伝子が欠失しているか、またはインテグラーゼ遺伝子が野生型ヌクレオチドのいくつかの欠失もしくは修飾によって突然変異したpolポリヌクレオチド配列を含む。したがって、それは機能的なタンパク質をコードしえない。この態様の一つの局面において、修飾インテグラーゼ遺伝子は、アミノ酸D64、D116およびE152の少なくとも一つに変異を有するインテグラーゼタンパク質をコードする。一つの特定の局面において、変異はD64変異である。
【0033】
HIVベクターは抗Polアンチセンス配列を含むこともできる。一つの局面において、この配列は約800ヌクレオチド長である。
【0034】
本発明の性質を限定するわけではないが、NIVは、その免疫原性効果を有するようにいくつかの組み合わせのタンパク質を発現することができる。それらは、レトロウイルス(レンチウイルスおよびレトロウイルス科の他のウイルスを含む)由来のコアおよび他のタンパク質、またはワクチンの標的であるウイルス由来のコアタンパク質のいずれかを発現することができる。レトロウイルスコアおよび他のタンパク質を用いる場合、レトロウイルスのインテグラーゼは、好ましくは不活性化されるべきである。しかしながら、LTRのatt (付着)部位の破壊を含む、他の手段によってベクターの組み込みを阻止できる可能性もある。あるいはおよび好ましくは、標的ウイルスのコアタンパク質が用いられる(例えば、インフルエンザの場合、それはM1、場合によりM2タンパク質であり; デング熱ウイルスの場合、pMタンパク質であるなど)。NIVが標的ウイルスのコアをコードするなら、NIVをパッケージングするためにヘルパー構築体を用いてNIVを産生するべきである。このヘルパー構築体は、逆転写および組み込みに必要なレトロウイルスGagおよびPol酵素を少なくとも含むべきであり、インテグラーゼ欠損でなければならない。NIVは、標的ウイルスに在来のVLPを発現できるよう粒子の形質導入を容易にするために異種エンベロープタンパク質で任意でシュードタイプされてもよい。
【0035】
本発明は薬学的組成物も含む。この組成物は薬学的に許容される担体中に本発明のベクターの一つまたは複数を含む。そのような担体は当業者に公知である。一例は、ラクトース、スクロースまたはトレハロースを含む等張緩衝液である。組成物は一つまたは複数のアジュバントを含むこともできる。そのような担体も当業者に公知である。例としては以下の一つまたは複数が挙げられる: ミョウバン、脂質、水、緩衝液、ペプチド、ポリヌクレオチド、重合体および/または油。
【0036】
本発明のベクターは、本明細書に含まれる教示を考慮すれば、当業者に公知の技法によって構築される。レトロウイルスベクターの産生のための技法は、米国特許第4,405,712号、同第4,650,746号、同第4,861,719号、同第5,672,510号、同第5,686,279号および同第6,051,427号に開示されており、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。レトロウイルスベクターの産生のための技法は、米国特許第2008/0254008 A1号として公開されている米国特許出願第11/884,639号に開示され、米国特許第5,994,136号、同第6,013,516号、同第6,165,782号、同第6,294,165 B1号、同第6,428,953 B1号、同第6,797,512 B1号、同第6,863,884 B2号、同第6,924,144 B2号、同第7,083,981 B2号、同第7,250,299 B1号に開示されており、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0037】
エンベロープで覆われたベクター粒子は、天然のレトロウイルスまたはレンチウイルスの宿主範囲および感染性を変化させる、非レトロウイルスおよび非レンチウイルスを含む別のウイルス種由来の遺伝子操作されたまたは天然のウイルスエンベロープタンパク質で、シュードタイプすることができる。エンベロープポリペプチドは、ウイルス表面上に提示され、ウイルス粒子による宿主細胞の認識および感染に関わる。宿主範囲および特異性は、例えば異なる(異種の)ウイルス種によって発現されたまたは別の方法で修飾されたエンベロープで、エンベロープポリペプチドを修飾または置換することによって変化させることができる。例えばYee et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 9564-9568, 1994を参照されたく、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。水疱性口内炎ウイルス(VSV)プロテインG (VSV-G)は、その広範な種および組織親和性、ならびに物理的安定性および高感染性をベクター粒子に与えるその能力のため、広く使われている。例えば、Yee et al., Methods Cell Biol., (1994) 43:99-112を参照されたく、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。利用できるエンベロープポリペプチドの例としては、例えば、デング熱ウイルス、HIV gp120 (天然型および修飾型を含む)、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLVまたはMMLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSVまたはHSV)、マウス乳がんウイルス(MuMTVまたはMMTV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLVまたはGALV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、モロカ(Moloka)、狂犬病、フィロウイルス(例えば、NP066246およびQ05320を含めて、GP1/GP2エンベロープのような、エボラおよびマールブルグ)、両種性、アルファウイルス、などが挙げられる。他の例としては、例えば、トガウイルス科、ラブドウイルス科、レトロウイルス科、ポックスウイルス科、パラミキソウイルス科、エンベロープで覆われた他のウイルス科由来のエンベロープタンパク質が挙げられる。ウイルス由来のエンベロープの他の例は、ワールドワイドウェブにある次のデータベースncbi.nlm.nih.gov/genomes/VIRUSES/viruses.htmlに記載されている。ある種のエンベロープタンパク質の使用によって、レトロウイルスベクターが樹状細胞および他の抗原提示細胞のような、CD4 T細胞以外の細胞に形質を導入することが可能になる。
【0038】
本発明は、プラスミド、ヘルパー構築体、ならびに本発明のベクターを構築および産生するために使われるプロデューサー細胞を含む。このプラスミドは、レトロウイルスの長い末端反復配列と、レトロウイルスのパッケージング配列と、ウイルスの構造タンパク質をともにコードする一つまたは複数のポリヌクレオチド配列に機能的に連結された異種プロモーターとを含む。一つの態様において、レトロウイルス配列はレンチウイルス配列である。この態様の一つの局面において、レンチウイルス配列はHIV配列である。
【0039】
パッケージング細胞は、本発明のプラスミドおよびインテグラーゼ遺伝子を含まないヘルパー構築体または機能的ではないインテグラーゼ遺伝子を含んだヘルパー構築体を含む。一つの態様において、細胞は哺乳動物細胞である。一つの局面において、細胞はサル細胞である。別の局面において、細胞はヒト細胞である。例としては293細胞、PER.C6細胞、幹細胞株、胚細胞株もしくは新生児細胞株、臍帯に由来する細胞または任意のヒトもしくは哺乳動物細胞株のような公知の細胞株が挙げられる。パッケージング細胞は、ヒトまたは哺乳動物細胞または細胞株を、本発明のプラスミドおよび必要ならば適切なヘルパー構築体でトランスフェクトすることによって作出される。
【0040】
プロデューサー細胞は、本発明のプラスミドおよびインテグラーゼ遺伝子を含まないヘルパー構築体または機能的ではないインテグラーゼ遺伝子を含んだヘルパー構築体を含む。一つの態様において、細胞はヒトまたは哺乳動物細胞である。一つの局面において、細胞はサル細胞である。別の局面において、細胞はヒト細胞である。細胞の例としては前段落に述べたものが挙げられる。プロデューサー細胞は、哺乳動物細胞または細胞株を、本発明のプラスミドおよび適切なヘルパー構築体でトランスフェクトすることによって作出される。これらの細胞は培養され、継続的にまたはバッチでベクターを産生する。VSV-Gが用いられるなら、このタンパク質は高レベルに発現されると細胞にとって有毒であるので、細胞は限られた時間、誘導されるだけでVSV-G装飾粒子を産生することができる。ベクターは公知の技法によって上清から回収される。エンベロープで覆われたワクチンベクター粒子を構成的に産生するプロデューサー細胞株は、天然のVSV-Gタンパク質以外のエンベロープタンパク質を用いて産生することができる。
【0041】
本発明のベクターおよび薬学的組成物はワクチンとして用いられる。したがって、本発明は、哺乳動物において免疫反応を引き起こすのに十分な量で哺乳動物にベクターまたは薬学的組成物を送達することにより哺乳動物において免疫反応を引き起こす方法を含む。ベクターおよび組成物はワクチンの技術分野において公知の手段により送達される。例えば、それらは皮下にまたは筋内に、例えば注射により送達することができる。ベクターが哺乳動物において細胞に形質を導入した後に、細胞は、ウイルスの構造タンパク質を含むVLPを産生および放出し、哺乳動物においてさらなる免疫反応を引き起こす。一つの態様において、哺乳動物は実験動物である。例えば、哺乳動物はマウス、ラットもしくはモルモットのような、げっ歯類、イヌもしくはネコ、または非ヒト霊長類でありうる。別の態様において、哺乳動物はヒトである。
【0042】
VLPはウイルスの構造タンパク質を含む。ウイルスは、本発明のベクターが、VLPを形成する自己集合性の構造タンパク質を産生できる任意のウイルスである。これらはレンチウイルス、他のレトロウイルス、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス、フィロウイルス、フラビウイルス、または本出願において前述した科に由来するウイルスのいずれかを含む。特定の態様において、ウイルスは、HIV-1、SIV、インフルエンザAウイルスおよびインフルエンザBウイルス株を含む季節性および汎発性インフルエンザ、A型、B型またはC型肝炎ウイルス、西ナイルウイルスを含むアルボウイルス感染症、エボラウイルス、サイトメガロウイルス、呼吸器合胞体(Respiratory Syncitial)ウイルス、狂犬病ウイルス、SARSを含むコロナウイルス感染症、ヒトパピローマウイルス、ロタウイルス、単純ヘルペスウイルス、マールブルグウイルス、ならびにデング熱ウイルスからなる群より選択される。構造タンパク質はウイルスのコアを含む。それらはウイルスのエンベロープを含むこともできる。
【0043】
コアおよびエンベロープタンパク質は、同じまたは異なるウイルス由来であってよい。例えば、カプシドおよびエンベロープタンパク質は単一の型のウイルスに由来する; カプシドタンパク質は一つの型のウイルス由来であり、かつエンベロープタンパク質は別の型のウイルス由来である; またはカプシドタンパク質は一つの型のウイルス由来であり、かつエンベロープタンパク質は複数の型のウイルス由来である。複数の型のエンベロープタンパク質は、同じ型のウイルスの異なる株に由来してもよく、またはそれらは異なる型のウイルスの異なる株に由来してもよい。HIVまたはSIVの場合、構造タンパク質は、カプシドタンパク質および/またはヌクレオカプシドタンパク質および/またはマトリックスタンパク質の一つまたは複数である。
【0044】
エンベロープタンパク質は、レトロウイルスベクターでシュードタイプでき、かつVLPの一部となることができる任意のタンパク質である。例としてはVSV-Gタンパク質、C型肝炎エンベロープタンパク質E1およびE2、インフルエンザウイルスHAおよびNAタンパク質、デング熱エンベロープタンパク質、ロスリバーウイルスエンベロープタンパク質、セムリキ森林ウイルスエンベロープタンパク質、シンドビスウイルスエンベロープタンパク質、HIVまたはSIVエンベロープタンパク質、モコラウイルスエンベロープタンパク質、ならびにレトロウイルス両種性エンベロープタンパク質が挙げられる。これらのエンベロープタンパク質は、任意のウイルスに由来することができ、またはキメラもしくは新規のエンベロープタンパク質として初めから合成することもできる。
【0045】
上記のように、ベクターは、抗原、免疫調節タンパク質、RNAi、または細胞死を誘導しうるポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチド配列を含むことができる。そのような場合、VLPは、抗原、免疫調節タンパク質、RNAi配列、または細胞死を誘導しうるポリペプチドを含むであろう。
【0046】
抗原は任意のタンパク質またはその一部であることができる。抗原はウイルス、細菌、寄生生物または他の病原体に由来することができる。抗原は、腫瘍細胞由来の細胞膜タンパク質のような、腫瘍抗原であることもできる。抗原は、細胞膜上にない腫瘍抗原であることもできる。そのような場合、そのような腫瘍抗原は、膜貫通ドメインで組み込まれ、その結果、それらは粒子の表面上に発現されるか、またはそれらはその他任意のタンパク質との結合なしに細胞内に単独で発現されるかのいずれかである。腫瘍抗原は、腫瘍抗原の免疫原性を高める他のタンパク質またはペプチド配列に連結させることもできる。そのような配列は当技術分野において公知であり、それらは一般に、TLR経路を通じて自然免疫を刺激する。
【0047】
免疫調節タンパク質は、NIVワクチンの標的抗原に対する宿主の免疫反応を上方制御する、下方制御する、または調節する任意のタンパク質である。一つの態様において、それはインターロイキン、インターフェロンまたは腫瘍壊死因子のような、サイトカインである。一つの局面において、サイトカインはIL-2、IL-12、GM-CSFまたはG-CSFである。組み入れることができる、免疫反応を調節する他のサイトカインの例は、www.ncbi.nlm.nih.govで見出される。免疫調節タンパク質は、サイトカインに限定されるだけではない。それらはリガント、またはリガンドとして働くタンパク質断片のような他のタンパク質であってよい。それらは、細胞上の標的タンパク質のリガンド結合部位を標的とする抗体で構成されてもよい。抗体およびリガンドの一例はCTLA-4抗体およびCD-40Lタンパク質である。他の例は当技術分野において見出され、そのいくつかはwww.ncbi.nlm.nih.govで見出すことができる。
【0048】
細胞死を誘導しうるポリペプチドは、ある種の薬物のような、ある種の化学物質に曝露されると細胞を直接的または間接的に死滅させる、細胞中のポリペプチドである。上記のように、例としてはチミジンキナーゼ(TK)、デオキシシチジンキナーゼ(dCK)、ならびに修飾型の哺乳動物およびヒトチミジル酸キナーゼ(TMPK)が挙げられる。細胞死を誘導しうる他のポリペプチドは、www.ncbi.nlm.nih.govで見出すことができる。
【0049】
一つの好ましい態様において、本発明のベクターは、HIV LTRと、HIVパッケージング配列と、HIV gag配列およびHIV pol配列に機能的に連結されたCMVプロモーター、EF1-αプロモーター、MNDプロモーター、PGKプロモーターのような異種プロモーターとを含む、HIV SINベクターである。pol配列は、機能的なインテグラーゼタンパク質をコードしないインテグラーゼ配列(インテグラーゼ-ve)を含む。あるいは、インテグラーゼ配列を欠失させることも可能である。一つの局面において、異種プロモーターはまた、gp 120/41エンベロープタンパク質をコードするHIV env配列に機能的に連結される。別の局面において、このベクターは、抗原提示細胞のような、より多くの数の細胞への形質導入を容易とするために、例としてはVSV-Gエンベロープタンパク質、モコラウイルスエンベロープタンパク質、両種性レトロウイルスエンベロープタンパク質、またはデング熱ウイルスエンベロープタンパク質である、エンベロープタンパク質を発現する第二の型のヘルパー構築体でシュードタイプされている。ベクターはパッケージング細胞またはプロデューサー細胞により産生され、以下の構築体を含む: 第一の構築体は、HIVのGagPol (インテグラーゼ-陰性)構造タンパク質および酵素(プロテアーゼおよび逆転写酵素)タンパク質を発現し、かつ同ベクター構築体上の第二のプロモーターを用いて、(任意の株のまたは複数の株もしくはクレード由来の) HIV gp 120/41を発現するベクター構築体であり; 第二の構築体(第二の型のヘルパー)は、異種プロモーターから上記の異種envタンパク質の一つを発現し、好ましくは、細胞、好ましくは抗原提示細胞(例えば樹状細胞)へのNIVの形質導入増大の促進およびシュードタイプのために十分なレベルにのみ発現される。
【0050】
別の好ましい態様において、本発明のベクターは、HIV LTRと、HIVパッケージング配列と、C型肝炎ウイルス構造タンパク質およびエンベロープタンパク質に機能的に連結されたCMVプロモーター、EF1-αプロモーター、MNDプロモーターまたはPGKプロモーターのような異種プロモーターとを含む、HIV SINベクターである。一つの局面において、GagPol (インテグラーゼ-陰性)タンパク質を発現する第一のヘルパー構築体に加えて第二のヘルパー構築体が用いられる。この第二のヘルパー構築体は、抗原提示細胞のような、より多くの数の細胞への形質導入を容易とするために、VSV-Gエンベロープタンパク質、モコラウイルスエンベロープタンパク質、両種性レトロウイルスエンベロープタンパク質またはデング熱ウイルスエンベロープタンパク質などのNIVでシュードタイプできるウイルスのエンベロープタンパク質を発現する。これらのシュードタイプされたエンベロープタンパク質は体内でのNIVによる細胞の形質導入の後、VLP産生中に発現されると、免疫反応をかき乱すので、ベクター中にコードされるべきではない。
【0051】
一つの局面において、特に標的ウイルスのエンベロープはNIVでシュードタイプすることができ、NIVによる抗原提示細胞の形質導入を可能にするなら、シュードタイプエンベロープタンパク質を発現する第二のヘルパーベクターは使われない。これはデング熱ウイルスエンベロープタンパク質にも当てはまる。それゆえ、シュードタイプされたエンベロープタンパク質を発現する第二のヘルパーは、デング熱ウイルスNIVワクチンには必要とされないであろう。デング熱ウイルスエンベロープタンパク質は、樹状細胞のような抗原提示細胞を効率的に形質導入できる、HIVに基づくレンチウイルスベクターでシュードタイプできることは公知である。同じことは、ワクチンの標的でありうる他の多くのウイルスにも当てはまるが、あらゆる場合に当てはまるわけではなく、そのような場合には、シュードタイプエンベロープタンパク質を発現する第二のヘルパー構築体を用いて、ワクチンの投与直後にNIVによる抗原提示細胞の形質導入を促進することが好ましいであろう。全てのヘルパー構築体から発現されるタンパク質(第一の型 - 構造タンパク質、および第二の型 - エンベロープタンパク質)がベクター中にコードされるわけではなく、それゆえ、注射後のワクチンの初期導入を過ぎると抗原性ではないことに留意されたい。持続的な免疫反応は、体内のNIVから産生されるVLPから生み出され、それらは完全に(場合によっては、ほぼ完全に)自然なものであるため、免疫反応は標的ウイルスに高度に特異的であるように訓練される。
【0052】
以下の実施例は本発明のある種の局面を例証し、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0053】
本実施例は非組み込み型レトロウイルスベクターワクチンの構築を示す。HIVに由来するNIVは、上記の背景の項で述べた理由によりAIDSワクチンとしてとりわけ有望なはずである。効力および原理の証明を実証する手段として、SIV NIVを最初に開発し、後に、HIV版に移行する。
【0054】
ワクチンは、プロデューサー細胞に導入されたプラスミド、つまり全ての関連抗原を含むNIVプラスミド、ならびに二つのヘルパー構築体、つまりGag、変異PolおよびVSV-Gを発現する第一のヘルパー構築体(初回免疫用)、およびGagおよび変異Polだけを発現する第二のヘルパー構築体(追加免疫用)の使用によって産生される。図1を参照されたい。得られた複製欠損NIV粒子はワクチンとして用いられ、細胞に形質を導入し、HIVタンパク質を発現し、NIV VLPを産生させて免疫系を活性化する。この特徴は生ウイルス曝露後の後遺症なしに、HIV感染を模倣するであろう。
【0055】
原型NIVは、一般集団で用いるのに安全とするよう以下の安全特徴を含むであろう。これらのベクターは、野生型HIVとの逆組み換えまたは復帰変異のいずれの可能性も排除するように遺伝子操作されよう:
(a) NIVは非複製性であり、唯一、細胞に形質を導入し、HIVタンパク質およびHIV様粒子(VLP)を発現しうるが、(以下でさらに具体的に記述されるように)複製に必要とされる不可欠なタンパク質およびシス作用性エレメントが欠失しているのでこの一回を超えて複製することはできない。
(b) NIVは変異体-インテグラーゼヘルパーを用いて産生されよう。それゆえ、ベクターゲノムは非分裂細胞の中に入り、その中に残るが、それは組み込まれていない。インテグラーゼ遺伝子内の三つの変異の組み合わせが使われよう。あるいは、変異体ベクター付着部位を単独でまたは変異体インテグラーゼとの組み合わせで用いることができよう。
(c) HIV gag、envおよび他のHIVタンパク質のシス作用性エレメントを取り除き、タンパク質発現が増大するようコドンが最適化された/縮重している形での、HIV gag、envおよび他のHIVタンパク質の発現。
(d) ベクターはさらに、抗Polアンチセンス配列を含んで、ヘルパーとの組み換えを阻止し、wt-HIVに同時感染するような細胞におけるwt-HIVの複製を阻害するであろう。アンチセンスは、長さが約800塩基であり、Pol遺伝子、つまりHIVの高度に保存された領域に対して標的化されよう。
(e) ベクターは、好ましくは、コドンが縮重された変異体Pol配列を含み、またはwt-HIVと組み換えが行われるなら、その結果が非機能的なウイルスであるようにいずれのPol配列も含まないであろう; 変異体Pol (変異体インテグラーゼ)遺伝子の機能は、産生中にヘルパーからのみ発現されるであろう。
(f) NIV 3'LTRは、プロモーターおよびエンハンサー領域中で欠失しており、したがって、その結果は自己不活性化(SIN)ベクターであろう; それゆえ、ワクチン接種を受けた個体の細胞には天然のLTRが存在しないであろう(3'LTRは逆転写中に二重コピーされ、二コピーのエンハンサー/プロモーター欠失LTRを生ずる)。
(g) 必要ならばAZTの経口投与により形質導入された細胞が除去されることを可能にする、ベクター中のヒト安全性遺伝子(例えばヒト変異体TMPK、つまりヒトTK遺伝子の一種)の存在。
【0056】
基本的なおよび最適化されたNIVの抗原特性は以下の通りである:
(a) NIVはワクチン接種の標的とされるウイルスに対して異種のベクターではないので、HIVであるNIVは、反復注射の間に非HIV免疫反応を誘導しないであろう。
(b) コドン最適化されたHIV遺伝子(Gag、Env、Rev、Tat、Vpu、Vpr、Nef、しかし好ましくはPolではない)、またはこれらのタンパク質の変種を発現するために高度に活性なプロモーター(例えばEF-1α、CMV、MND)を用いることで、高レベルのHIVタンパク質発現が得られるであろう。
(c) 全てのこれらのタンパク質を発現させることにより、NIVはまた、形質導入された細胞からHIV VLPを産生させ、ワクチンの免疫原性を潜在的に増大させるであろう。
(d) NIVは初回免疫のためにVSV-Gでシュードタイプされ、したがって、樹状細胞および他の細胞種が形質を導入されてHIVタンパク質を持続的に発現するであろう。
(e) 追加免疫のために用いられるNIVでは、wt-HIVによって通常標的化されうる細胞を標的化するために、代替的なシュードタイプエンベロープ、または好ましくはシュードタイプされていないエンベロープ(天然のgp 120/41エンベロープのみ)のいずれかを用いるであろう。
(f) NIVは、HIV株(またはHIVクレード)の主要なCTLエピトープを統合するポリペプチドを任意で発現してもよい。
(g) NIVは、ワクチンの免疫原性または持続性を増強/調節しうる遺伝子(例えばIL-12もしくはIL-15)または抑制性因子(例えばmiRNA/RNAi)を任意で発現してもよい。
(h) HIVワクチンベクター株の混合物を開発することができよう; 抗原競合を評価する必要があろう。
【0057】
実験
NIVが開発され、インビトロで発現することが示されよう。これらのNIVはひいては、非ヒト霊長類での免疫原性試験に使われよう。SIV239Macモデル系が使われよう。
【0058】
(1) SIVタンパク質を発現するSIV NIVのデザイン。
SIV 239Macはベクターの骨格配列として用いられる。NIV全体を合成し、安定なプラスミド骨格にクローニングすることができる。EF1αまたはCMVプロモーターは、コドン最適化されたSIV Gag、Env、Tat、Rev、Vif、Vpr、VpxおよびNefを発現する。付属タンパク質をコードする遺伝子のないNIVも開発されよう。インテグラーゼ遺伝子に対して標的化されるアンチセンスをNIVにクローニングすることもできる。Pol遺伝子および複数の変異を任意で有してもよい、変異体インテグラーゼ遺伝子を発現する、ヘルパー構築体を同様に合成することもできる。ヘルパー構築体はGag-変異体-Pol (インテグラーゼ陰性)遺伝子を発現し、VSV-GまたはデングEタンパク質を発現するか、または発現しないかのいずれかであろう。
【0059】
(2) SIVタンパク質を発現するSIV NIVの合成。
当技術分野において公知の方法を用いてベクターおよびヘルパープラスミドDNA構築体は合成される。
【0060】
(3) SIV NIVの製造。
ベクターおよびヘルパー構築体を293細胞にトランスフェクトし、NIVベクター粒子を濃縮および精製することができる。SIVおよびHIV粒子の類似性を考慮すれば、産生、濃縮および精製方法は非常に似通っているはずである。
【0061】
(4) CEM細胞におけるHIVタンパク質の形質導入および発現についてのSIV NIVの試験。
SIV NIV粒子でCEM細胞に形質を導入して、HIVタンパク質の形質導入および発現を実証することができる。形質導入は、NIV中に含まれうる特有の配列を用い、コピー数によってモニタリングされる。定量的なPCRアッセイ法を用いて、この配列を有するベクターの形質導入効率を測定する。タンパク質発現をウエスタンブロットおよびFACS分析によって確認する。
【0062】
(5) マカク細胞におけるHIVタンパク質の形質導入および発現についてのSIV NIVの試験。
上記の方法により形質導入およびタンパク質発現について初代マカクPBLにおいてNIVを試験する。
【0063】
(6) NIVの安全性の実証。
SIV NIVの安全性はいくつかの方法によって実証することができる。初めに、SIV NIVで形質導入されたCEM細胞の上清をろ過し、次いで未処置のCEM細胞上で継代して、複製可能なウイルスの存在について試験する。同様に、NIVで形質導入された初代細胞由来の上清を次に、CEM細胞上で複製可能なウイルスについて試験する。ゲノムへの組み込みの頻度を分析するために、ゲノムDNAを細胞から単離し、定量的PCRを行う。組み込みが行われることが示されれば、組み込み部位を逆PCRによってマッピングする。
【0064】
(7) SIV NIVの抗SIV効果の実証。
SIV NIVを遺伝子操作して、wt-SIVに対して標的化された抗Polアンチセンス配列を発現させる。他のアンチセンス配列をデザインし、試験してもよい。形質導入されたCEM細胞をwt-SIVで攻撃することによってNIVの抗SIV効果を実証し、p27 ELISAアッセイ法によってwt-SIV複製の阻害レベルを測定する。
【0065】
(8) プロセス開発およびGLP条件下でのSIV NIVの製造。
GMP HIVに基づくレンチウイルスベクターの製造および産生のための既存のプロセスをGLP条件下でのSIN NIVの産生に適合することができる。タンジェント流ろ過およびイオン交換クロマトグラフィーの組み合わせがHIVに基づくレンチウイルスベクターの濃縮および精製のために成功裏に用いられている。製造後、GLP NIVの材料をいくつかの試験について試験した後に、動物実験のために解放する。
【0066】
(9) 非ヒト霊長類におけるSIV NIVの免疫原性の実証。
動物にSIV NIV GLP材料を注射し、これを免疫原性について試験する。インド原産のアカゲザルに各3頭の群において、107、108または109の感染単位を皮下注射する。血漿ウイルス血症をRT-PCRによって定量化する; 下記のように複製可能なウイルスの存在についても動物を評価する。免疫反応を、1) 全てのSIVタンパク質に対応する重複性ペプチドのプールを用いたPBMCのインターフェロン-γ ELISPOTアッセイ法; 2) CD4+およびCD8+ T細胞における4つのエフェクタ機能(IFN-γ、TNF-αおよびIL-2の分泌、ならびにCD107aの上方制御)を評価する、GagまたはEnvペプチドプールで刺激されたPBMCを用いた細胞内サイトカイン染色アッセイ法; かつ3) gp140 ELISAならびにSIVmac251およびSIVmac239の中和を用いたSIV特異的抗体の分析によって評価する。免疫原性が認められたとしたら、動物を初回ワクチン接種から6ヶ月後に単回、高直腸内用量のSIVmac239で攻撃し、上記のように血漿ウイルス血症、全身性および中枢性の記憶CD4+ T細胞反応の保護、ならびにSIV特異的な液性および細胞性免疫反応について追跡する。
【0067】
(10) 非ヒト霊長類におけるSIV NIVの安全性の実証。
さまざまな組織から生検を採取し、PCRによりSIV NIV DNAの存在についてアッセイすることにより、SIV NIVの生体内分布を判定する。推定上の複製可能なレンチウイルス(RCL)について試験するために、SIV NIVでワクチン接種された非ヒト霊長類由来のPBLを単離し、CEM細胞と共培養してRCLの存在について判定する。共培養細胞をp27アッセイ法および/またはqPCRにより、適切な陽性および陰性対照とともにSIVの存在についてアッセイする。ゲノムDNAも単離して、SIV NIVの組み込みの頻度を判定する。組み込みが行われていたら、組み込み部位を逆PCRによってマッピングする。
【0068】
概要
SIVΔNefは依然として、これまでに開発された最も強力な候補HIVワクチンである。免疫に相互に関連があるものは正確には知られていないが、HIVタンパク質の持続的な発現が重要であるように思われる。また、アデノウイルスベクターのような、異種ベクターからのHIVタンパク質の発現は問題のあることもあり、著しい抗ベクター免疫反応を引き起こすことが知られている。本実施例では、組み込みをしないが、形質導入された細胞から高いレベルでHIV抗原(およびVLP)を発現できる非複製型HIVベクターについて例証する。NIVは、HIV特異的な免疫反応の発生から免疫系をそらしかつ分岐させるように発現される非HIVタンパク質がないため、HIVタンパク質を発現する異種ベクターに比べて利点を有するはずである。NIVによる反復ワクチン接種はSIVΔNefに類似の効果を生み出しうるが、その弱毒化ウイルスで認められた安全性の問題がない。
【0069】
類似の実験手法を他の疾患用ワクチンの開発のために適合することができる。その構築体は、本出願において記述された形式を含むであろう。これらの構築体は、上記の手順を用いて合成またはクローニングされ、その後、製造される。これらのベクターを次に、安全性および免疫原性について動物モデルで試験する。HIV以外の感染症に対して標的化されるワクチンの場合、NIVはコア、および関心対象のウイルスを引き起こす病原体に発生している他のウイルスタンパク質を発現することができる。このNIVから得られたVLPは、タンパク質が関心対象の病原体ウイルスに完全に由来するようには免疫反応をかき乱さないであろう。
【0070】
参考文献
Braun SE, Lu XV, Wong FE, Connole M, Qiu G, Chen Z, Slepushkina T, Slepushkin V, Humeau LM, Dropulic B, Johnson RP, Potent inhibition of simian immunodeficiency virus (SIV) replication by an SIV-based lentiviral vector expressing antisense Env, Hum. Gene Ther. 2007 Jul. 18(7):653-64。
【0071】
本発明をそのある種の態様に関して記述し、多くの詳細を例示の目的で記載してきたが、本発明はさらなる態様を受け入れる余地があること、および本明細書において記述される詳細のある種のものは本発明の基本原理から逸脱することなしにかなり変わりうることは、当業者には明らかであろう。
【0072】
参照
交付済み特許および公開済み特許出願、ならびにurlアドレスまたはアクセッション番号によって特定される全てのデータベースエントリを含む、全ての刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長い末端反復と、パッケージング配列と、ウイルスの構造タンパク質をともにコードする一つまたは複数のポリヌクレオチド配列に機能的に連結された異種プロモーターとを含む、非組み込み型、非複製型のレトロウイルスベクター。
【請求項2】
インテグラーゼ遺伝子を含まないヘルパー構築体または機能的ではないインテグラーゼ遺伝子を含んだヘルパー構築体によってパッケージングされる、請求項1記載のベクター。
【請求項3】
機能的なインテグラーゼタンパク質をコードしない変異インテグラーゼ配列を含んだレトロウイルスpol遺伝子をさらに含む、請求項1記載のベクター。
【請求項4】
構造タンパク質がレトロウイルスgag遺伝子によってコードされ、かつ機能的なインテグラーゼタンパク質をコードしない変異インテグラーゼ配列を含んだレトロウイルスpol遺伝子をベクターがさらに含む、請求項1記載のベクター。
【請求項5】
ベクターによって形質導入された細胞において前記ポリヌクレオチド配列が発現すると、構造タンパク質がウイルス様粒子(VLP)へと自己集合する、請求項1記載のベクター。
【請求項6】
自己不活性化(SIN)ベクターを含む、請求項1記載のベクター。
【請求項7】
ウイルスが、レンチウイルス、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス、アルファウイルス、フィロウイルスおよびフラビウイルスからなる群より選択される、請求項1記載のベクター。
【請求項8】
ウイルスが、HIV-1、SIV、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型肝炎ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルスおよびデング熱ウイルスからなる群より選択される、請求項1記載のベクター。
【請求項9】
構造タンパク質がウイルスのカプシドである、請求項1記載のベクター。
【請求項10】
構造タンパク質がウイルスのエンベロープをさらに含む、請求項9記載のベクター。
【請求項11】
カプシドおよびエンベロープタンパク質が単一の型のウイルスに由来する、請求項10記載のベクター。
【請求項12】
カプシドタンパク質が一つの型のウイルス由来であり、かつエンベロープタンパク質が別の型のウイルス由来である、請求項10記載のベクター。
【請求項13】
カプシドタンパク質が一つの型のウイルス由来であり、かつエンベロープタンパク質が複数の型のウイルス由来である、請求項10記載のベクター。
【請求項14】
複数の型のエンベロープタンパク質が、同じ型のウイルスの異なる株に由来する、請求項13記載のベクター。
【請求項15】
エンベロープタンパク質が、異なる型のウイルスの異なる株に由来する、請求項10記載のベクター。
【請求項16】
異種タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチド配列を含む、請求項1記載のベクター。
【請求項17】
異種タンパク質が異種エンベロープタンパク質である、請求項16記載のベクター。
【請求項18】
異種エンベロープタンパク質が、レトロウイルスベクターでシュードタイプできる任意のエンベロープタンパク質である、請求項16記載のベクター。
【請求項19】
抗原、免疫調節タンパク質、RNAi、または細胞死を誘導しうるポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチド配列を含む、請求項1記載のベクター。
【請求項20】
異種タンパク質が哺乳動物において疾患過程に関わる因子である、請求項16記載のベクター。
【請求項21】
抗原がウイルス、細菌、寄生生物または他の病原体に由来する、請求項19記載のベクター。
【請求項22】
異種タンパク質が腫瘍抗原である、請求項16記載のベクター。
【請求項23】
腫瘍抗原が細胞膜タンパク質である、請求項22記載のベクター。
【請求項24】
異種タンパク質が免疫調節タンパク質である、請求項16記載のベクター。
【請求項25】
免疫調節タンパク質がサイトカインまたは抗体である、請求項24記載のベクター。
【請求項26】
サイトカインが、インターロイキン、インターフェロンおよび腫瘍壊死因子からなる群より選択される、請求項25記載のベクター。
【請求項27】
サイトカインがIL-2、IL-12、GM-CSFまたはG-CSFである、請求項25記載のベクター。
【請求項28】
細胞死を誘導しうるポリペプチドがTMPK、TKまたはdCKを含む、請求項19記載のベクター。
【請求項29】
細胞死を誘導しうるポリペプチドがTMPKを含む、請求項19記載のベクター。
【請求項30】
ポリヌクレオチド配列が、コドンが最適化されているかまたはコドンが縮重しており、コドン使用頻度が天然のものから改変されている、請求項1記載のベクター。
【請求項31】
ガンマレトロウイルスベクターである、請求項1〜30のいずれか一項記載のベクター。
【請求項32】
マウス白血病ウイルスまたはネコ白血病ウイルスから構築される、請求項31記載のガンマレトロウイルスベクター。
【請求項33】
マウス白血病ウイルスがモロニーマウス白血病ウイルスである、請求項32記載のベクター。
【請求項34】
レトロウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、請求項1〜30のいずれか一項記載のベクター。
【請求項35】
レンチウイルスベクターがHIVベクターまたはSIVベクターである、請求項34記載のベクター。
【請求項36】
HIV-1ベクターである、請求項35記載のベクター。
【請求項37】
ウイルスが、レンチウイルス、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス、フィロウイルスおよびフラビウイルスからなる群より選択される、請求項34記載のベクター。
【請求項38】
ウイルスが、HIV-1、SIV、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型肝炎ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルスおよびデング熱ウイルスからなる群より選択される、請求項34記載のベクター。
【請求項39】
構造タンパク質が、HIV gagタンパク質、インフルエンザマトリックスタンパク質および肝炎コアタンパク質からなる群より選択される、請求項34記載のベクター。
【請求項40】
構造タンパク質が、HIV gag遺伝子によってコードされる、請求項34記載のベクター。
【請求項41】
機能的なインテグラーゼタンパク質をコードしない変異インテグラーゼ配列を含んだレトロウイルスpol遺伝子をさらに含む、請求項40記載のベクター。
【請求項42】
HIVクレードまたはHIV株の主要なCTLエピトープを統合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項34記載のベクター。
【請求項43】
異種タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチド配列を含む、請求項34記載のベクター。
【請求項44】
異種タンパク質が異種エンベロープタンパク質である、請求項43記載のベクター。
【請求項45】
異種エンベロープタンパク質がレンチウイルスベクターでシュードタイプできる任意のエンベロープタンパク質である、請求項44記載のベクター。
【請求項46】
異種エンベロープタンパク質が、ウイルスカプシドタンパク質とは異なるウイルスに由来するエンベロープタンパク質を含む、請求項34記載のベクター。
【請求項47】
ウイルスが、レンチウイルス、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス、フィロウイルスおよびフラビウイルスからなる群より選択される、請求項46記載のベクター。
【請求項48】
ウイルスカプシドタンパク質がHIVカプシドタンパク質を含む、請求項47記載のベクター。
【請求項49】
ウイルスが、HIV-1、SIV、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型肝炎ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルスおよびデング熱ウイルスからなる群より選択される、請求項48記載のベクター。
【請求項50】
抗原、免疫調節タンパク質、RNAi、または細胞死を誘導しうる遺伝子をコードする異種ポリヌクレオチド配列を含む、請求項34記載のベクター。
【請求項51】
異種タンパク質が哺乳動物において疾患過程に関わる因子である、請求項43記載のベクター。
【請求項52】
抗原がウイルス、細菌、寄生生物または他の病原体に由来する、請求項50記載のベクター。
【請求項53】
異種タンパク質が腫瘍抗原である、請求項43記載のベクター。
【請求項54】
腫瘍抗原が細胞膜タンパク質である、請求項53記載のベクター。
【請求項55】
異種タンパク質が免疫調節タンパク質である、請求項43記載のベクター。
【請求項56】
免疫調節タンパク質がサイトカインまたは抗体である、請求項50記載のベクター。
【請求項57】
サイトカインが、インターロイキン、インターフェロンおよび腫瘍壊死因子からなる群より選択される、請求項56記載のベクター。
【請求項58】
サイトカインがIL-2、IL-12、GM-CSFまたはG-CSFである、請求項56記載のベクター。
【請求項59】
機能的なタンパク質をコードしえないインテグラーゼ遺伝子を含む、請求項34記載のベクター。
【請求項60】
インテグラーゼ遺伝子が、アミノ酸D64、D116およびE152の少なくとも一つに変異を有するインテグラーゼタンパク質をコードする、請求項59記載のベクター。
【請求項61】
変異インテグラーゼタンパク質がD64変異を含む、請求項60記載のベクター。
【請求項62】
抗Polアンチセンス配列をさらに含む、請求項60記載のベクター。
【請求項63】
前記配列が約800ヌクレオチド長である、請求項62記載のベクター。
【請求項64】
自己不活性化(SIN)ベクターを含む、請求項59記載のベクター。
【請求項65】
抗原、免疫調節タンパク質、RNAi、または細胞死を誘導しうるポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項64記載のベクター。
【請求項66】
抗原がウイルス、細菌、寄生生物または他の病原体に由来する、請求項65記載のベクター。
【請求項67】
異種タンパク質が腫瘍抗原である、請求項43記載のベクター。
【請求項68】
腫瘍抗原が細胞膜タンパク質である、請求項67記載のベクター。
【請求項69】
異種タンパク質が免疫調節タンパク質である、請求項43記載のベクター。
【請求項70】
免疫調節タンパク質がサイトカインまたは抗体である、請求項69記載のベクター。
【請求項71】
サイトカインが、インターロイキン、インターフェロンおよび腫瘍壊死因子からなる群より選択される、請求項70記載のベクター。
【請求項72】
サイトカインがIL-2、IL-12、GM-CSFまたはG-CSFである、請求項70記載のベクター。
【請求項73】
細胞死を誘導しうるポリペプチドがTMPK、TKまたはdCKを含む、請求項65記載のベクター。
【請求項74】
細胞死を誘導しうるポリペプチドがTMPKを含む、請求項65記載のベクター。
【請求項75】
Gag、Env、Rev、Tat、Vpu、VprおよびNefからなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子に対する少なくとも一つの高度に活性なプロモーターをさらに含む、請求項64記載のベクター。
【請求項76】
プロモーターが、EF-1α、CMVおよびMNDからなる群より選択される、請求項75記載のベクター。
【請求項77】
異なるHIVクレードまたはHIV株の主要なCTLエピトープを統合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項64記載のベクター。
【請求項78】
ベクターがHIVベクターであり、かつポリヌクレオチド配列がHIV gag配列である、請求項59記載のベクター。
【請求項79】
請求項35記載のベクターを含む哺乳動物細胞。
【請求項80】
サル細胞を含む、請求項79記載の哺乳動物細胞。
【請求項81】
ヒト細胞を含む、請求項80記載の哺乳動物細胞。
【請求項82】
レトロウイルスの長い末端反復配列と、レトロウイルスのパッケージング配列と、ウイルスの構造タンパク質をともにコードする一つまたは複数のポリヌクレオチド配列に機能的に連結された異種プロモーターとを含む、プラスミド。
【請求項83】
レトロウイルス配列がレンチウイルス配列である、請求項82記載のプラスミド。
【請求項84】
レンチウイルス配列がHIV配列である、請求項83記載のプラスミド。
【請求項85】
請求項82〜84のいずれか一項記載のプラスミドと、インテグラーゼ遺伝子を含まないかまたは機能的ではないインテグラーゼ遺伝子を含んだヘルパー構築体とを含む、パッケージング細胞。
【請求項86】
哺乳動物細胞を含む、請求項85記載のパッケージング細胞。
【請求項87】
哺乳動物細胞がサル細胞を含む、請求項86記載のパッケージング細胞。
【請求項88】
哺乳動物細胞がヒト細胞を含む、請求項86記載のパッケージング細胞。
【請求項89】
請求項82〜84のいずれか一項記載のプラスミドと、インテグラーゼ遺伝子を含まないかまたは機能的ではないインテグラーゼ遺伝子を含んだヘルパー構築体とを含む、プロデューサー細胞。
【請求項90】
哺乳動物細胞を含む、請求項89記載のプロデューサー細胞。
【請求項91】
哺乳動物細胞がサル細胞を含む、請求項90記載のプロデューサー細胞。
【請求項92】
哺乳動物細胞がヒト細胞を含む、請求項90記載のプロデューサー細胞。
【請求項93】
請求項34記載のベクターを含むプロデューサー細胞。
【請求項94】
哺乳動物細胞を含む、請求項93記載のプロデューサー細胞。
【請求項95】
哺乳動物細胞がサル細胞を含む、請求項94記載のプロデューサー細胞。
【請求項96】
哺乳動物細胞がヒト細胞を含む、請求項94記載のプロデューサー細胞。
【請求項97】
請求項89記載のプロデューサー細胞によって産生される、非複製型、非組み込み型のレトロウイルスベクター。
【請求項98】
哺乳動物細胞を請求項82〜84のいずれか一項記載のプラスミドでトランスフェクトする段階を含む、パッケージング細胞を作出する方法。
【請求項99】
哺乳動物細胞を請求項82〜84のいずれか一項記載のプラスミドでトランスフェクトする段階を含む、プロデューサー細胞を作出する方法。
【請求項100】
請求項89記載のプロデューサー細胞を培地中で培養する段階、および該細胞によって産生されたベクターを回収する段階を含む、非複製型、非組み込み型のレトロウイルスベクターを産生する方法。
【請求項101】
請求項1〜30のいずれか一項記載のレトロウイルスベクターを、哺乳動物において免疫反応を引き起こすのに十分な量で、哺乳動物に送達する段階を含む、哺乳動物において免疫反応を引き起こす方法。
【請求項102】
ベクターが皮下にまたは筋内に送達される、請求項101記載の方法。
【請求項103】
哺乳動物が実験動物である、請求項101記載の方法。
【請求項104】
哺乳動物が非ヒト霊長類である、請求項101記載の方法。
【請求項105】
哺乳動物がヒトである、請求項101記載の方法。
【請求項106】
レトロウイルスベクターが哺乳動物において細胞に形質を導入し、かつ形質導入された細胞が、ウイルスの構造タンパク質を含むVLPを、哺乳動物においてさらなる免疫反応を引き起こすのに十分な量で産生および放出する、請求項101記載の方法。
【請求項107】
哺乳動物が実験動物である、請求項106記載の方法。
【請求項108】
哺乳動物が非ヒト霊長類である、請求項106記載の方法。
【請求項109】
哺乳動物がヒトである、請求項106記載の方法。
【請求項110】
請求項34記載のレンチウイルスベクターを、哺乳動物において免疫反応を引き起こすのに十分な量で、哺乳動物に送達する段階を含む、哺乳動物において免疫反応を引き起こす方法。
【請求項111】
ベクターが皮下にまたは筋内に送達される、請求項110記載の方法。
【請求項112】
哺乳動物が実験動物である、請求項110記載の方法。
【請求項113】
哺乳動物が非ヒト霊長類である、請求項110記載の方法。
【請求項114】
哺乳動物がヒトである、請求項110記載の方法。
【請求項115】
レトロウイルスベクターが哺乳動物において細胞に形質を導入し、かつ形質導入された細胞が、ウイルスの構造タンパク質を含むVLPを、哺乳動物においてさらなる免疫反応を引き起こすのに十分な量で産生および放出する、請求項110記載の方法。
【請求項116】
哺乳動物が実験動物である、請求項115記載の方法。
【請求項117】
哺乳動物が非ヒト霊長類である、請求項115記載の方法。
【請求項118】
哺乳動物がヒトである、請求項115記載の方法。
【請求項119】
薬学的に許容される担体の中に請求項1〜30のいずれか一項記載のベクターを含む薬学的組成物。
【請求項120】
担体が、ラクトース、スクロースまたはトレハロースを含む等張緩衝液である、請求項119記載の組成物。
【請求項121】
アジュバントをさらに含む、請求項120記載の組成物。
【請求項122】
アジュバントが、ミョウバン、脂質、水、緩衝液、ペプチド、ポリヌクレオチド、重合体または油の一つまたは複数を含む、請求項121記載の組成物。
【請求項123】
薬学的に許容される担体の中に請求項35記載のベクターを含む薬学的組成物。
【請求項124】
一つのHIV株に由来する少なくとも一つのベクターと、別のHIV株に由来する少なくとも一つのベクターとを含む、請求項123記載の薬学的組成物。
【請求項125】
請求項123記載の薬学的組成物を、哺乳動物において免疫反応を引き起こすのに十分な量で、哺乳動物に送達する段階を含む、哺乳動物において免疫反応を引き起こす方法。
【請求項126】
ベクターが皮下にまたは筋内に送達される、請求項125記載の方法。
【請求項127】
哺乳動物が実験動物である、請求項125記載の方法。
【請求項128】
哺乳動物が非ヒト霊長類である、請求項125記載の方法。
【請求項129】
哺乳動物がヒトである、請求項125記載の方法。
【請求項130】
レトロウイルスベクターが哺乳動物において細胞に形質を導入し、かつ形質導入された細胞が、ウイルスの構造タンパク質を含むVLPを、哺乳動物においてさらなる免疫反応を引き起こすのに十分な量で産生および放出する、請求項125記載の方法。
【請求項131】
哺乳動物が実験動物である、請求項130記載の方法。
【請求項132】
哺乳動物が非ヒト霊長類である、請求項130記載の方法。
【請求項133】
哺乳動物がヒトである、請求項130記載の方法。
【請求項134】
ウイルスの構造タンパク質を含むVLP。
【請求項135】
構造タンパク質がウイルスのカプシドを含む、請求項134記載のVLP。
【請求項136】
構造タンパク質がウイルスのエンベロープをさらに含む、請求項135記載のVLP。
【請求項137】
異種エンベロープタンパク質を含む、請求項135記載のVLP。
【請求項138】
単一の型のウイルスに由来するカプシドおよびエンベロープタンパク質を含む、請求項134記載のVLP。
【請求項139】
一つの型のウイルス由来のカプシドタンパク質と、複数の型のウイルス由来のエンベロープタンパク質とを含む、請求項134記載のVLP。
【請求項140】
複数の型のエンベロープタンパク質が、同じ型のウイルスの異なる株に由来する、請求項134記載のVLP。
【請求項141】
エンベロープタンパク質が、異なる型のウイルスの異なる株に由来する、請求項134記載のVLP。
【請求項142】
カプシドがHIVカプシドである、請求項134記載のVLP。
【請求項143】
HIVマトリックスをさらに含む、請求項142記載のVLP。
【請求項144】
HIVヌクレオカプシドをさらに含む、請求項143記載のVLP。
【請求項145】
抗原、免疫調節タンパク質、または細胞死を誘導しうるポリペプチドからなる群より選択される異種ポリペプチドをさらに含む、請求項134〜144のいずれか一項記載のVLP。
【請求項146】
抗原がウイルス、細菌、寄生生物または他の病原体に由来する、請求項145記載のベクター。
【請求項147】
抗原が腫瘍抗原である、請求項145記載のベクター。
【請求項148】
腫瘍抗原が細胞膜タンパク質である、請求項147記載のベクター。
【請求項149】
免疫調節タンパク質を含む、請求項145記載のベクター。
【請求項150】
免疫調節タンパク質がサイトカインまたは抗体である、請求項149記載のベクター。
【請求項151】
サイトカインが、インターロイキン、インターフェロンおよび腫瘍壊死因子からなる群より選択される、請求項150記載のベクター。
【請求項152】
サイトカインがIL-2、IL-12、GM-CSFまたはG-CSFである、請求項150記載のベクター。
【請求項153】
細胞死を誘導しうるポリペプチドがTMPK、TKまたはdCKを含む、請求項145記載のベクター。
【請求項154】
細胞死を誘導しうるポリペプチドがTMPKを含む、請求項145記載のベクター。
【請求項155】
請求項34記載のベクターを哺乳動物細胞にインビボで感染させる段階を含む工程によって産生されるVLP。
【請求項156】
哺乳動物細胞がヒト細胞である、請求項155記載のVLP。
【請求項157】
請求項35記載のベクターを哺乳動物細胞にインビボで感染させる段階からなる工程によって産生されるHIV VLP。
【請求項158】
哺乳動物細胞がヒト細胞である、請求項157記載のVLP。
【請求項159】
HIVの長い末端反復と、HIVパッケージング配列と、HIV gag遺伝子に機能的に連結された異種プロモーターとを含む、非組み込み型、非複製型のレンチウイルスベクター。
【請求項160】
HIV env遺伝子と、機能的なインテグラーゼタンパク質をコードしない変異インテグラーゼ配列を含んだHIV pol遺伝子とをさらに含む、請求項159記載のベクター。
【請求項161】
異種env遺伝子をさらに含む、請求項160記載のベクター。
【請求項162】
異種env遺伝子が、VSV-G env遺伝子、A型インフルエンザウイルスenv遺伝子、B型インフルエンザウイルスenv遺伝子、C型肝炎ウイルスenv遺伝子、エボラウイルスenv遺伝子、マールブルグウイルスenv遺伝子およびデング熱ウイルスenv遺伝子からなる群より選択される、請求項161記載のベクター。
【請求項163】
抗原、免疫調節タンパク質、RNAi、または細胞死を誘導しうるポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項161記載のベクター。
【請求項164】
抗原がウイルス、細菌、寄生生物または他の病原体に由来する、請求項163記載のベクター。
【請求項165】
抗原が腫瘍抗原である、請求項163記載のベクター。
【請求項166】
腫瘍抗原が細胞膜タンパク質である、請求項165記載のベクター。
【請求項167】
免疫調節タンパク質が抗体である、請求項163記載のベクター。
【請求項168】
免疫調節タンパク質がサイトカインである、請求項163記載のベクター。
【請求項169】
サイトカインが、インターロイキン、インターフェロンおよび腫瘍壊死因子からなる群より選択される、請求項168記載のベクター。
【請求項170】
サイトカインがIL-2、IL-12、GM-CSFまたはG-CSFである、請求項168記載のベクター。
【請求項171】
細胞死を誘導しうるポリペプチドがTMPK、TKまたはdCKを含む、請求項163記載のベクター。
【請求項172】
細胞死を誘導しうるポリペプチドがTMPKを含む、請求項163記載のベクター。
【請求項173】
請求項159〜172のいずれか一項記載のベクターを、ヒトにおいて免疫反応を引き起こすのに十分な量で、ヒトに送達する段階を含む、ヒトにおいて免疫反応を引き起こす方法。
【請求項174】
ベクターがヒトにおいて細胞に形質を導入し、かつ形質導入された細胞が、ヒトにおいてさらなる免疫反応を引き起こすのに十分な量のVLPを産生および放出する、請求項173記載の方法。
【請求項175】
薬学的に許容される担体の中に請求項159〜172のいずれか一項記載のベクターを含む薬学的組成物。
【請求項176】
担体が、ラクトース、スクロースまたはトレハロースを含む等張緩衝液である、請求項175記載の組成物。
【請求項177】
アジュバントをさらに含む、請求項176記載の組成物。
【請求項178】
アジュバントが、ミョウバン、脂質、水、緩衝液、ペプチド、ポリヌクレオチド、重合体または油の一つまたは複数を含む、請求項177記載の組成物。
【請求項179】
一つのHIV株に由来する少なくとも一つのベクターと、別のHIV株に由来する少なくとも一つのベクターとを含む、請求項179記載の薬学的組成物。
【請求項180】
請求項175〜179のいずれか一項記載の薬学的組成物を、ヒトにおいて免疫反応を引き起こすのに十分な量で、ヒトに送達する段階を含む、ヒトにおいて免疫反応を引き起こす方法。
【請求項181】
薬学的組成物中のベクターがヒトにおいて細胞に形質を導入し、かつ形質導入された細胞が、ヒトにおいてさらなる免疫反応を引き起こすのに十分な量のVLPを産生および放出する、請求項180記載の方法。
【請求項182】
請求項35記載のベクターを含むプロデューサー細胞。
【請求項183】
哺乳動物細胞を含む、請求項182記載のプロデューサー細胞。
【請求項184】
哺乳動物細胞がサル細胞を含む、請求項183記載のプロデューサー細胞。
【請求項185】
哺乳動物細胞がヒト細胞を含む、請求項183記載のプロデューサー細胞。
【請求項186】
請求項35記載のレンチウイルスベクターを、哺乳動物において免疫反応を引き起こすのに十分な量で、哺乳動物に送達する段階を含む、哺乳動物において免疫反応を引き起こす方法。
【請求項187】
ベクターが皮下にまたは筋内に送達される、請求項186記載の方法。
【請求項188】
哺乳動物が実験動物である、請求項186記載の方法。
【請求項189】
哺乳動物が非ヒト霊長類である、請求項186記載の方法。
【請求項190】
哺乳動物がヒトである、請求項186記載の方法。
【請求項191】
レトロウイルスベクターが哺乳動物において細胞に形質を導入し、かつ形質導入された細胞が、ウイルスの構造タンパク質を含むVLPを、哺乳動物においてさらなる免疫反応を引き起こすのに十分な量で産生および放出する、請求項186記載の方法。
【請求項192】
哺乳動物が実験動物である、請求項191記載の方法。
【請求項193】
哺乳動物が非ヒト霊長類である、請求項191記載の方法。
【請求項194】
哺乳動物がヒトである、請求項191記載の方法。
【請求項195】
薬学的に許容される担体の中に請求項34記載のベクターを含む薬学的組成物。
【請求項196】
担体が、ラクトース、スクロースまたはトレハロースを含む等張緩衝液である、請求項195記載の組成物。
【請求項197】
アジュバントをさらに含む、請求項196記載の組成物。
【請求項198】
アジュバントが、ミョウバン、脂質、水、緩衝液、ペプチド、ポリヌクレオチド、重合体または油の一つまたは複数を含む、請求項197記載の組成物。
【請求項199】
HIV LTRと、HIVパッケージング配列と、HIV gag配列およびHIV pol配列に機能的に連結された異種プロモーターとを含む、非組み込み型、非複製型のHIV SINベクターであって、前記pol配列が機能的なインテグラーゼタンパク質をコードしないインテグラーゼ配列を含む、ベクター。
【請求項200】
プロモーターが、CMVプロモーター、EF1-αプロモーター、MNDプロモーターおよびPGKプロモーターからなる群より選択される、請求項199記載のベクター。
【請求項201】
異種プロモーターが、gp 120/41エンベロープタンパク質をコードするHIV env配列に機能的に連結されている、請求項199記載のベクター。
【請求項202】
異種エンベロープタンパク質でシュードタイプされている、請求項199記載のベクター。
【請求項203】
異種エンベロープタンパク質が、VSV-Gエンベロープタンパク質およびデング熱ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選択される、請求項202記載のベクター。
【請求項204】
HIV LTR配列と、HIVパッケージング配列と、HIV gag配列およびHIV pol配列に機能的に連結された異種プロモーターと、HIV env配列に機能的に連結された第二の異種プロモーターとを含む第一の構築体; ならびに異種エンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第二の構築体を含むパッケージング細胞であって、前記pol配列が機能的なインテグラーゼタンパク質をコードしないインテグラーゼ配列を含む、パッケージング細胞。
【請求項205】
HIV LTR配列と、HIVパッケージング配列と、HIV gag配列およびHIV pol配列に機能的に連結された異種プロモーターと、HIV env配列に機能的に連結された第二の異種プロモーターとを含む第一の構築体; ならびに異種エンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第二の構築体を含むプロデューサー細胞であって、前記pol配列が機能的なインテグラーゼタンパク質をコードしないインテグラーゼ配列を含む、プロデューサー細胞。
【請求項206】
請求項199〜203のいずれか一項記載のベクターを、ヒトにおいて免疫反応を引き起こすのに十分な量で送達する段階を含む、ヒトにおいて免疫反応を引き起こす方法。
【請求項207】
ベクターがヒトにおいて細胞に形質を導入し、かつ形質導入された細胞が、ヒトにおいてさらなる免疫反応を引き起こすのに十分な量のVLPを産生および放出する、請求項206記載の方法。
【請求項208】
HIV LTRと、HIVパッケージング配列と、C型肝炎ウイルス構造タンパク質およびエンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に機能的に連結された異種プロモーターとを含む、非組み込み型、非複製型のHIV SINベクター。
【請求項209】
プロモーターが、CMVプロモーター、EF1-αプロモーター、MNDプロモーターおよびPGKプロモーターからなる群より選択される、請求項208記載のベクター。
【請求項210】
異種エンベロープタンパク質でシュードタイプされている、請求項208記載のベクター。
【請求項211】
異種エンベロープタンパク質が、VSV-Gエンベロープタンパク質またはデング熱ウイルスエンベロープタンパク質からなる群より選択される、請求項208記載のベクター。
【請求項212】
HIV LTR配列と、HIVパッケージング配列と、C型肝炎ウイルス構造タンパク質およびエンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に機能的に連結された異種プロモーターとを含む第一の構築体; HIV gag配列およびHIV pol配列を含む第二の構築体; ならびに異種エンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第三の構築体を含むパッケージング細胞であって、前記pol配列が機能的なインテグラーゼタンパク質をコードしないインテグラーゼ配列を含む、パッケージング細胞。
【請求項213】
HIV LTR配列と、HIVパッケージング配列と、C型肝炎ウイルス構造タンパク質およびエンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に機能的に連結された異種プロモーターとを含む第一の構築体; HIV gag配列およびHIV pol配列を含む第二の構築体; ならびに異種エンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む第三の構築体を含むプロデューサー細胞であって、前記pol配列が機能的なインテグラーゼタンパク質をコードしないインテグラーゼ配列を含む、プロデューサー細胞。
【請求項214】
請求項208〜211のいずれか一項記載のベクターを、ヒトにおいて免疫反応を引き起こすのに十分な量で送達する段階を含む、ヒトにおいて免疫反応を引き起こす方法。
【請求項215】
ベクターがヒトにおいて細胞に形質を導入し、かつ形質導入された細胞が、ヒトにおいてさらなる免疫反応を引き起こすのに十分な量のVLPを産生および放出する、請求項214記載の方法。
【請求項216】
HIV LTRと、HIVパッケージング配列と、デング熱ウイルス構造タンパク質およびエンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に機能的に連結された異種プロモーターとを含む、非組み込み型、非複製型のHIV SINベクター。
【請求項217】
プロモーターが、CMVプロモーター、EF1-αプロモーター、MNDプロモーターおよびPGKプロモーターからなる群より選択される、請求項216記載のベクター。
【請求項218】
HIV LTR配列と、HIVパッケージング配列と、デング熱ウイルス構造タンパク質およびエンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に機能的に連結された異種プロモーターとを含む第一の構築体; ならびにHIV gag配列およびHIV pol配列を含む第二の構築体を含むパッケージング細胞であって、前記pol配列が機能的なインテグラーゼタンパク質をコードしないインテグラーゼ配列を含む、パッケージング細胞。
【請求項219】
HIV LTR配列と、HIVパッケージング配列と、デング熱ウイルス構造タンパク質およびエンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に機能的に連結された異種プロモーターとを含む第一の構築体; ならびにHIV gag配列およびHIV pol配列を含む第二の構築体を含むプロデューサー細胞であって、前記pol配列が機能的なインテグラーゼタンパク質をコードしないインテグラーゼ配列を含む、プロデューサー細胞。
【請求項220】
請求項216または217記載のベクターを、ヒトにおいて免疫反応を引き起こすのに十分な量で送達する段階を含む、ヒトにおいて免疫反応を引き起こす方法。
【請求項221】
ベクターがヒトにおいて細胞に形質を導入し、かつ形質導入された細胞が、ヒトにおいてさらなる免疫反応を引き起こすのに十分な量のVLPを産生および放出する、請求項220記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2012−520084(P2012−520084A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554266(P2011−554266)
【出願日】平成22年3月13日(2010.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/027262
【国際公開番号】WO2010/105251
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(511221884)レンチゲン コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】