非結合体化フィコビリタンパク質を含む、マルチカラーフローサイトメトリー組成物
(i)リガンド結合体化フィコビリタンパク質タンデム色素および(ii)非結合体化フィコビリタンパク質を含み、前記フィコビリタンパク質が、同じ細菌または真核藻種から得られるものである、新規組成物を提供する。前記フィコビリタンパク質は、同じでなくてはならないか、または、異なり、交換する幾つかの非架橋サブユニットを含有しなくてはならない。これらの組成物を調製するための方法、これらの組成物を含有するキットまたはそれらの成分、ならびに細胞および非細胞分析のためのこれらの組成物の使用方法も提供する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
フィコビリタンパク質およびそれらのタンデム色素(tandem dye)は、フローサイトメトリーにおける蛍光標識として広く用いられている重要な蛍光色素である。タンデム色素の使用は、異なる発光スペクトルを有する追加の蛍光色素を供給することによるフローサイトメトリーでの進展されたマルチカラー分析能力を、1つのレーザー線によって励起される単一ドナー色素を使用して進展させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
マルチカラー組み合わせで多数のタンデム色素を使用すると、蛍光シグナル間の識別困難が生ずることがある。今日まで、当該技術分野は、一般に、これらの「困難」を色素不安定性のためであるとしてきた。しかし、これらの問題に対処するための明確な回答および提案は、一切されていない。従って、フィコビリタンパク質結合体化リガンドのユニークな組み合わせを用いる分析のための組成物および方法が、当該技術分野において依然として必要とされている。詳細には、当該技術分野において公知の組成物で遭遇する経時的分解を制限するフィコビリタンパク質含有タンデム色素組成物が、当該技術分野において依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の概要)
理解を容易にするために、以下の概要および詳細な説明においてフィコビリタンパク質、リガンド、色素または種に適用する場合、用語「第一の」、「第二の」、「第三の」などは、あるフィコビリタンパク質、リガンド、色素または種と別のフィコビリタンパク質、リガンド、色素または種とを、同じ組成物中に存在するときにそれぞれ区別するために用いる。量、順序または重要度を特定するためにこれらの用語を用いてはいない。
【0004】
1つの態様において、第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドを含有する組成物を提供する。前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含む第一のフィコビリタンパク質と、前記第一のフィコビリタンパク質に結合体化した第一のパートナー色素とを含む。前記組成物は、非結合体化第二のフィコビリタンパク質も含む。前記第一のフィコビリタンパク質および前記第二のフィコビリタンパク質は、第一の(すなわち同じ)細菌種または真核藻種から得られる。1つの実施形態において、前記第一のフィコビリタンパク質と前記第二のフィコビリタンパク質は同じである。もう1つの実施形態において、前記第一および第二のフィコビリタンパク質は異なり、前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0005】
もう1つの態様において、上に記載したような組成物は、第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンドをさらに含有する。前記第二のタンデム色素は、第三のフィコビリタンパク質と、該第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のパートナー色素とを含む。前記第三のフィコビリタンパク質は、架橋および非架橋サブユニットを含有し、ならびに前記第一の細菌または真核藻種から得られる。この組成物は、サブユニットを含む非結合体化第四フィコビリタンパク質も含有する。前記第四のフィコビリタンパク質も前記第一の細菌または真核藻種から得られる。1つの実施形態において、前記第一、第二、第三および第四のフィコビリタンパク質は、同じである。もう1つの実施形態において、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二および第三のフィコビリタンパク質と異なり、ならびに前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二および第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0006】
さらなる態様において、上に記載したような組成物は、第三のタンデム色素に結合体化した第三のリガンドを含有する。前記第三のタンデム色素は、第五のフィコビリタンパク質と、該第五のフィコビリタンパク質に結合体化した第三のパートナー色素とを含有する。前記第五のフィコビリタンパク質は、架橋および非架橋サブユニットを含有し、ならびに前記第一の細菌または真核藻種から得られる。この組成物は、非結合体化第六のフィコビリタンパク質も含有する。前記非結合体化第六のフィコビリタンパク質は、サブユニットを含有し、および前記第一の細菌または真核藻種から得られる。1つの実施形態において、前記第一、第二、第三、第四、第五および第六のフィコビリタンパク質は、同じである。もう1つの実施形態において、前記第六のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三、第四および第五のフィコビリタンパク質と異なり、ならびに前記第六のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三、第四および第五のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0007】
さらにもう1つの実施形態において、上に記載したような組成物は、第四のタンデム色素に結合体化した第四のリガンドも含有する。前記第四のタンデム色素は、第七のフィコビリタンパク質と、該第七のフィコビリタンパク質に結合体化した第四のパートナー色素とを含む。前記第七のフィコビリタンパク質は、架橋および非架橋サブユニットを含有し、ならびに前記第一の細菌または真核藻種から得られる。この組成物は、非結合体化第八のフィコビリタンパク質も含有する。前記非結合体化第八のフィコビリタンパク質は、サブユニットを含有し、および前記第一の細菌または真核藻種から得られる。1つの実施形態において、前記第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七および第八のフィコビリタンパク質は、同じである。もう1つの実施形態において、前記第八のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三、第四、第五、第六および第七のフィコビリタンパク質と異なり、ならびに前記第八のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三、第四、第五、第六および第七のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0008】
もう1つの態様では、上に記載した組成物のいずれもが、フィコビリタンパク質でない色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンドを含む。
【0009】
さらにもう1つの態様において、前記第一のタンデム色素に結合体化した前記第一のリガンドと前記非結合体化第二のフィコビリタンパク質とを含有する上記組成物は、第一の細菌または真核藻種から得られる第三のフィコビリタンパク質に結合体化した1つ以上の追加のリガンドも含む。1つの実施形態において、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質または前記第二のフィコビリタンパク質と同じである。もう1つの実施形態において、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質または前記第二のフィコビリタンパク質と異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0010】
なおまたさらなる態様において、前記第一のタンデム色素に結合体化した前記第一のリガンドと前記非結合体化第二のフィコビリタンパク質とを含有する上記組成物は、(a)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンドおよび(b)非結合体化第四のフィコビリタンパク質も含む。前記第二のタンデム色素は、第三のフィコビリタンパク質と、該第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のパートナー色素とを含む。前記第三のフィコビリタンパク質は、架橋および非架橋サブユニットを含有し、ならびに第二の細菌または真核藻種から得られる。前記非結合体化第四のフィコビリタンパク質は、サブユニットを含有し、および前記第二の細菌または真核藻種から得られる。1つの実施形態において、前記第三および第四のフィコビリタンパク質は同じである。さらなる実施形態において、前記第三および第四のフィコビリタンパク質は異なり、ならびに前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0011】
さらなる態様において、検体における細胞および非細胞集団を分析するための方法を提供する。この方法は、前記検体と本明細書に記載する組成物とを併せる工程、および蛍光を分析することによって前記検体中の前記集団を同定する工程を含む。望ましくは、前記細胞および非細胞集団の少なくとも1つは、前記第一のリガンドの受容体を含む。
【0012】
本特許請求の範囲の本発明の様々な実施形態の他の態様および利点を、以下の発明の詳細な説明において開示する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】図1A〜3Jは、2つの異なる蛍光色素の蛍光強度を同じ全血検体の様々な細胞集団についてプロットしている、2および3色試薬組成物の二重パラメータヒストグラムである。これらのヒストグラムは、異なる量の遊離フィコビリタンパク質の使用による本明細書に記載するリガンド−色素組成物の保管中の安定性向上を明示している。図1Aは、2から8℃で21日間個々に保管した成分から新たに処方した、リガンド/色素結合体、すなわちCD3−アロフィコシアニン(APC)(0.5μg)、およびリガンド/タンデム色素結合体、すなわちCD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、を含有する先行技術分野において入手可能な試薬組成物、すなわち「先行技術の作りたて(fresh)混合物」を使用して調製した検体の、および該試薬組成物の効果を示す、二重パラメータヒストグラムを提供するものである。両方の結合体におけるAPCは、同じ細菌種、すなわちSpirulina platensisからのものである。遊離(非結合体化)APCは存在しない。
【図1B】図1Bは、2から8℃で事前処方して21日間保持した、CD3−APC(0.5μg)およびCD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)を含有する先行技術分野において入手可能な組成物、すなわち「先行技術の保管混合物」を使用して調製した検体の、および該組成物の効果を示す、二重パラメータヒストグラムを提供するものである。両方の結合体中のAPCは、同じ細菌種、すなわちSpirulina platensisからのものである。遊離(非結合体化)APCは存在しない。
【図1C】図1Cは、2から8℃で21日間個々に保持した成分から新たに処方した、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および非結合体化APC(0.5μg)を含有する本明細書に記載する2色試薬組成物を使用して調製した検体の、および該2色試薬組成物の効果を示す、二重パラメータヒストグラムを提供するものである。
【図1D】図1Dは、21日間、2から8℃で事前処方しておいた、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および非結合体化APC(0.5μg)を含有する本明細書に記載する2色試薬組成物を使用して調製した同じ検体の、および該2色試薬組成物の効果を示す、二重パラメータヒストグラムを提供するものである。図1Aおよび1Bを図1Cおよび1Dと対比させる。
【図2A】図2Aは、CD3−APC(0.5μg)およびCD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)を含有する先行技術の2色試薬組成物、すなわち「先行技術の作りたて混合物」を使用して新たに調製した対照検体の、二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2B】図2Bは、CD3−APC(0.5μg)およびCD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)を含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、先行技術の2色試薬組成物、すなわち「先行技術の保管混合物」を使用する検体の、二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2C】図2Cは、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および0.0625μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、本明細書に記載する2色試薬組成物を使用する検体の二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2D】図2Dは、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および0.125μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、本明細書に記載する2色試薬組成物を使用する検体の二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2E】図2Eは、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および0.25μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、本明細書に記載する2色試薬組成物を使用する検体の二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2F】図2Fは、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および0.5μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、本明細書に記載する2色試薬組成物を使用する検体の二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2G】図2Gは、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および2.0μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、本明細書に記載する2色試薬組成物を使用する検体の二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2H】図2Hは、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および5.0μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、本明細書に記載する2色試薬組成物を使用する検体の二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2I】図2Iは、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および10μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、本明細書に記載する2色試薬組成物を使用する検体の二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。図2Aおよび2Bと2Cから2Iとの比較により、先行技術のものに対する本明細書に記載する組成物の安定性向上が示される。
【図3A】図3A〜3Jは、2つの異なる蛍光色素の蛍光強度を同じ全血検体の様々な細胞集団についてプロットしている、3色試薬組成物を使用することによって得た二重パラメータヒストグラムである。図3Aおよび3Bは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素を含有する先行技術の組成物、すなわち「先行技術の作りたて混合物」を使用して新たに調製した検体の、蛍光ヒストグラムを提供するものである。図3E〜3Jのものとの比較のために、これらのヒストグラムを提供する。
【図3B】図3Aおよび3Bは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素を含有する先行技術の組成物、すなわち「先行技術の作りたて混合物」を使用して新たに調製した検体の、蛍光ヒストグラムを提供するものである。図3E〜3Jのものとの比較のために、これらのヒストグラムを提供する。
【図3C】図3Cおよび3Dは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素を含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された先行技術の組成物、すなわち「先行技術の保管混合物」を使用する検体の、蛍光ヒストグラムを提供するものである。図3E〜3Jのものとの比較のために、これらのヒストグラムを提供する。
【図3D】図3Cおよび3Dは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素を含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された先行技術の組成物、すなわち「先行技術の保管混合物」を使用する検体の、蛍光ヒストグラムを提供するものである。図3E〜3Jのものとの比較のために、これらのヒストグラムを提供する。
【図3E】図3Eおよび3Fは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素および0.5μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された、本明細書に記載するとおりの組成物を使用する検体の蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図3F】図3Eおよび3Fは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素および0.5μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された、本明細書に記載するとおりの組成物を使用する検体の蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図3G】図3Gおよび3Hは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデムおよび1.0μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された、本明細書に記載するとおりの組成物を使用する検体の蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図3H】図3Gおよび3Hは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデムおよび1.0μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された、本明細書に記載するとおりの組成物を使用する検体の蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図3I】図3Iおよび3Jは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素および2.0μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された、本明細書に記載するとおりの組成物を使用する検体の蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図3J】図3Iおよび3Jは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素および2.0μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された、本明細書に記載するとおりの組成物を使用する検体の蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図4】図4は、様々な架橋度を有するSpirulina platensisから単離したAPCサンプルの、ならびにSpirulina platensisから単離した架橋を有さない一(1)つのAPCサンプルの、サイズ排除クロマトグラフィー保持容積に対する波長(A280)のプロットを提供するものである。前記APCの架橋率は、溶出ピーク下面積を計算することによって決定した。クロマトグラムにおける全面積に対するインタクトピークの積分面積の比によってサンプルについての架橋率を得た。このプロットの右側の最高ピークは、前記一(1)つの非架橋APCサンプルに対応する。このプロットの残りのピークは、前記架橋APCサンプルに対応する。具体的には、このプロットの左側のピークは、インタクトAPC分子に対応し、およびこのプロットの右側の(非架橋APCピークの下の)小ピークは、APCサブユニットに対応する。
【図5】図5は、フィコビリタンパク質と蛍光発生性(fluorescable)色素とを含むタンデム色素で標識したリガンドを、フィコビリタンパク質で直接標識したリガンドと共に保管したときに経時的に発生するサブユニット交換を示す略図である。山括弧(^)は、架橋を表し、L1は、第一のリガンドを表し、L2は、第二のリガンドを表し、「色素」は、蛍光発生性色素を表し、「α」は、フィコビリタンパク質の1つのサブユニットを表し、および「β」は、フィコビリタンパク質の第二のサブユニットを表す。用語「架橋」またはその変化形は、容易に破壊されない共有結合による分子ユニットの連結を指す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本明細書に記載する組成物および方法は、マルチカラー試薬処方物中のフィコビリタンパク質含有タンデム色素の分解または不安定性に関連した困難に対する解決策をもたらす。
【0015】
本出願の発明者らは、一緒に保管したフィコビリタンパク質およびそれらのタンデム色素への異なる抗体の結合体を含有する組成物を使用してこの問題を確認した。具体的には、異なる抗体に結合体化したアロフィコシアニン(APC)およびAPC−タンデム色素(例えば、APC.AlexaFluor(登録商標)700、APC.AlexaFluor(登録商標)750、APC.Cy(登録商標)7など)の結合体を、マルチカラー処方物において一緒に保管し、生物検体と併せ、その後、フローサイトメトリーを用いてそのサンプルを分析したとき、上に記載した「困難」が観察された。それらの蛍光ヒストグラムでは、別々に保管した同じ試薬の新たな混合物を他の点では同一の条件下で使用したときの蛍光ヒストグラムと比較して、補正要求(ブリード・オーバー(bleed over))の漸進的増加が観察された。フィコエリトリン(PE)およびPE系タンデム色素(例えば、PE−Texas RedTM、PECy(登録商標)5、PECy(登録商標)5.5、PE−AlexaFluor(登録商標)647、PE−AlexaFluor(登録商標)700およびPECy(登録商標)7)の抗体結合体を使用したときも、類似した観察がなされた。
【0016】
理論により拘束されることを望まないが、本発明者らは、フィコビリタンパク質を含有するリガンド−タンデム色素結合体とリガンド−フィコビリタンパク質結合体との間で、それらが混合状態にあるとき、発生するサブユニット交換が、該タンデム色素と該直接結合体化フィコビリタンパク質との間での補正要求の望ましくない増加(ブリード・オーバー)を生じさせる結果となると推測した。本発明者らは、架橋フィコビリタンパク質の結合体、例えばXL.APC、と架橋タンデム色素の対応する結合体、例えば、XL.APC−AlexaFluor(登録商標)750、とを併せ、約2から約8℃の温度で保持したとき、個々のフィコビリタンパク質分子のサブユニットが交換するようであることに気づいた。例として、本発明者らは、CD3−APCをCD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750と混合し、ある期間にわたって約2から約8℃で保持したとき、蛍光ヒストグラムによって証明されるように、CD3−APC−AlexaFluor(登録商標)750およびCD19−APC結合体が形成されたようであることに気づいた。
【0017】
このフィコビリタンパク質サブユニット交換の1つの態様を図5において図によって明らかにする。勿論、図5に示すリガンドおよび/または蛍光発生性色素の1つ以上を架橋サブユニットまたは非架橋サブユニットに結合体化し得ること、ならびにこのサブユニット交換の様々な変更形態が同じ溶液中で発生し得ることは、当業者には理解される。
【0018】
アロフィコシアニンB(APC−B)とアロフィコシアニン(APC)(両方とも、Synechococcus 6301、シアノバクテリウム、から単離されたものである)の間のサブユニット交換は、文献において論じられている(Journal of Biological Chemistry,256,12600(1981)参照)。要約すると、APC−BとAPCの混合物では、異種三量体がサブユニット交換によってほぼ統計量で形成されることが書き留められている。例えば、APCが、個々のサブユニットの構造およびアミノ酸配列に基づき疎水性相互作用ならびに水素およびイオン結合の組み合わせによって会合している3つのα−サブユニットおよび3つのβ−サブユニットを含む四量体構造を有することは公知である。低濃度で、低pH条件で、および1つ以上のカオトロピックイオンに曝露されたとき、APCがそのサブユニット(α−βモノマーならびにαおよびβ成分)に解離することも公知である。本明細書において用いる場合の用語「カオトロピックイオン」は、分子内相互作用の安定化に干渉することによりフィコビリタンパク質の三次元構造を破壊する作用因子を指す。架橋APC組成物は、様々な販売元(数ある中でも、Prozyme Inc.およびMartek Biosciences)によって報告され、市販されている。
【0019】
本発明者らは、この望ましくないサブユニット交換問題に対処するために本明細書において論じる新規試薬組成物を考案した。本発明者らは、リガンド結合体化フィコビリタンパク質タンデム色素を含有する試薬組成物に、該リガンド結合体化タンデム色素におけるフィコビリタンパク質と同じ細菌種からのものであるか、またはそれらとサブユニット交換することができる、非結合体化フィコビリタンパク質を添加することによって、比較的安定な試薬組成物が得られることを発見した。上の概要において述べた、および下で詳細に論ずるようなこれらの安定な色素組成物の様々な実施形態により、生物検体分析用の先行技術のマルチカラー組成物について本発明者が確認した安定性の問題は解決される。本明細書に記載する組成物の様々な実施形態は、次の標識リガンドを含有することがある:(a)フィコビリタンパク質を含有するタンデム色素に結合体化した少なくとも1つのリガンド;(b)場合により、フィコビリタンパク質に直接結合体化した1つ以上のリガンド;および(c)場合により、フィコビリタンパク質ではない蛍光性色素または標識に結合体化した1つ以上のリガンド。前記組成物は、タンデム色素に結合体化したリガンドのフィコビリタンパク質とサブユニットを交換する少なくとも1つの非結合体化フィコビリタンパク質も、別の成分として含有する。
【0020】
本明細書において用いる場合の用語「安定な」は、生物検体との混合前および/または後の本発明の組成物を指す。1つの実施形態において、「安定な」は、生物検体に添加し、その後、蛍光を用いて細胞集団についてそれを分析したとき、蛍光特性に有意な変化を生じさせる結果とならない、本明細書に記載する組成物を指す。望ましくは、「安定な」は、リガンド結合体化タンデム色素の蛍光特性、および任意の他のリガンド結合体化フィコビリタンパク質の蛍光特性が、混合後に変化しない組成物を指す。さらなる実施形態において、前記組成物は、その成分を混合した直後および生物検体と混合する前に「安定」している。もう1つの実施形態において、前記組成物は、混合後少なくとも1週間から約52週間まで約2から約8℃で保管した後、「安定」している。追加の例として、そのような組成物は、混合後少なくとも4、10、15、20、25、30、35、40、45、50、または51週間、安定している。
【0021】
望ましくは、前記組成物は、それらの保管または取扱いに必要な任意の温度で安定している。1つの実施形態において、前記組成物は、低温、すなわち室温より低い温度、で安定している。もう1つの実施形態において、前記組成物は、約2から約10℃で安定している。特定の実施形態において、前記組成物は、約2、3、4、5、6、7、8、9または10℃で安定している。さらにもう1つの実施形態において、前記組成物は、室温で安定している。いっそうさらなる実施形態において、前記組成物は、高温、すなわち室温より高い温度、で安定している。
【0022】
本明細書に記載する新規色素組成物を細胞および非細胞分析のための方法において用いたとき、リガンド結合体化タンデム色素、またはリガンド結合体化フィコビリタンパク質、いずれかで標識した細胞の蛍光特性に関して、低減されたブリードオーバーが観察されたか、または新たに調製した組成物に比べてブリードオーバーは観察されなかった。例えば、本図面、および本明細書の中で提供する実施例を参照のこと。さらに、前記色素組成物は、誤ったデータの減少、より少ない廃棄色素組成物に起因する費用低減、および作りたて色素組成物(作りたて対照組成物を含む)を連続調製するために必要とされる時間の低減をもたらした。
【0023】
(I.定義)
以下の定義を提供する。以下の定義は、当該技術分野において広範に利用できる情報を含む。ある用語の例を提供する場合、それは、網羅的であることを意図したものではなく、当該技術分野において公知のまたは利用できる他の例を含むことがある。従って、そのような例は、本発明の限定を意味するものではない。
【0024】
(A.「検体」)
本明細書において用いる場合の「検体」は、細胞および/または非細胞集団を含有する任意の哺乳動物細胞含有懸濁物、すなわち生物検体、である。特定の実施形態において、検体を提供する哺乳動物はヒトであるが、他の非ヒト哺乳動物からの検体も用いることができる。用語「細胞の」および「非細胞の」は、当業者には容易に理解される。細胞または非細胞集団の少なくとも1つは、上で記載した組成物に用いられる異なるリガンドそれぞれについての受容体を必要とする。典型的「細胞」集団としては、限定ではないが、血液学的細胞および非血液学的細胞が挙げられる。そのような検体としては、限定ではないが、全血、末梢血、骨髄吸引液、リンパ節組織、脾臓組織、脳脊髄液、皮膚組織、粘膜組織、胸腔穿刺液、胸膜液、および脊髄液が挙げられる。血液学的(すなわち血液)細胞集団は、単球、リンパ球、好中球、好酸球、好塩基球、骨髄球、後骨髄球、前骨髄球、未成熟顆粒球、杵状球(band)、芽球、変異(variant)リンパ球および異型(atypical)リンパ球の中から選択される。非白血球血液学的細胞集団としては、赤血球、網状赤血球、有核赤血球、血小板、網状血小板および巨核球が挙げられる。血液中の異型細胞としては、骨髄球、後骨髄球、前骨髄球、未成熟顆粒球、杵状球(band cells)、芽球、異形リンパ球、変異リンパ球、有核赤血球、巨大血小板、血漿細胞などが挙げられる。非血液学的細胞としては、数ある中でも、上皮細胞および内皮細胞が挙げられる。典型的な「非細胞」集団としては、限定ではないが、数ある中でも、ビーズ、タンパク質、微粒子、ミクロソームが挙げられる。
【0025】
1つの実施形態において、検体は、単球、リンパ球、好中球、好酸球および好塩基球である5つの「正常」な白血球集団を含有し、ならびに疾患、有害な環境刺激、例えば発癌性物質、に対する反応、または治療処置の結果に起因する多数の異型細胞集団をことによると含有する、ヒト全血または末梢血検体である。従って、これらの方法による分析に適する検体は、成熟および未成熟両方の白血球および非白血球集団、ならびに異型細胞を含有し得る可能性が高いヒト患者血液検体である。1つの例では、検体は、芽球を含有する。さらなる例では、検体は、有核赤血球を含有する。もう1つの例として、検体は、未成熟顆粒球を含有する。さらにもう1つの例として、検体は、異形リンパ球を含有する。異常検体中の細胞の他の組み合わせも、本明細書に記載する方法および組成物によって分析することができる。
【0026】
(B.「リガンド」)
本明細書に記載する組成物のすべての実施形態において、用語「リガンド」は、細胞または非細胞粒子の表面に存在する受容体に結合する部分(例えば、抗体)を指す。1つの実施形態において、リガンドを、上で記載したタンデム色素のフィコビリタンパク質「に結合体化させる」、「と会合させる」または「に結合させる」。当業者は、当該技術分野における方法により、タンデム色素をモノクローナル抗体などのリガンドに容易に結合体化させることができる。1つの実施形態では、前記タンデム色素を、該色素のイミノチオラン活性化によって、前記リガンドに結合体化させる。
【0027】
本明細書において用いる場合、リガンドは、1つ以上の特定の受容体を検出して該受容体と反応する様々な作用因子を含む。すべての適するリガンドは、粒子集団の特定受容体を結合する望ましい能力を特徴とする。1つの実施形態において、前記リガンドは、細胞表面受容体のすべてまたは一部分に優先的に結合する成分である。典型的に、前記リガンドは、単離することができ、および自然に存在することがあり、または組換え生産することができ、または人工のもしくは合成のものであり得る、アミノ配列または核酸配列を含有する。1つの実施形態において、前記リガンドは、タンパク質、例えば抗体もしくは酵素、またはそれらのフラグメントである。もう1つの実施形態において、前記リガンドは、核酸プローブである。さらに他の実施形態において、前記リガンドは、多分子集合体、例えば組換えタンパク質の四量体、である。そのようなリガンドの構築に有用な方法は、当業者に公知である。
【0028】
慣例的には、細胞分析のために、細胞表面決定基に対する抗体または抗体フラグメントが、一般に好まれるリガンドである。本明細書において用いる場合の用語「抗体」は、クラスIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEのポリクローナル、モノクローナル、合成または組換え抗体を包含することを意図したものである。抗体フラグメントも有用であり、抗体フラグメントとしては、限定ではないが、上のインタクト抗体の1つ以上についてのFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメントまたはFc抗体フラグメントが挙げられる。類似して、一本鎖可変抗体フラグメントまたは抗体の相補性決定領域(CDR)を含む組換え構築物をこれらの方法において有用なリガンドとして用いることができる。さらに、所望の細胞表面抗原を結合する抗体の機能的に等価の結合特性を保持するために十分なCDRを共有する合成抗体またはキメラ抗体またはヒト化抗体構築物も、一般に好まれるリガンドとして利用することができる。
【0029】
1つの実施形態において、本明細書に記載する組成物に使用するための個々のリガンドまたは抗体は、選択された検体中の細胞集団上で差次的に発現される抗原決定基にそれぞれ結合するものであり、ならびに光散乱および/または電気的パラメータとの特定の組み合わせによって所望の差次的情報が得られるように選択される。例えば、1つの実施形態において、本明細書において有用な抗体は、白血球および非白血球の集団上で差次的に発現される抗原決定基に結合する。そのような抗原決定基は、非白血球には完全になく、白血球上でしか発現されない場合がある。あるいは、そのような抗原決定基は、白血球上で豊富に発現され、非白血球上で最小限にしか発現されないことがある。従って、そのような抗体は、白血球と非白血球、例えば赤血球(RBC)、有核赤血球または血小板、を識別および差別化することができる。さらに他の実施形態は、同じ細胞タイプまたは集団上の異なる決定基を結合する1つより多くの抗体を用いる。従って、同じ細胞タイプまたは集団上の異なる決定基を結合する異なる抗体の組み合わせを、細胞集団上の1つの決定基を結合する単一の抗体の代わりに用いることができる。もう1つの実施形態において、そのような抗体(または抗体の組み合わせ)は、白血球が成熟および加齢するにつれての該白血球上の抗原決定基の差次的発現に基づき、成熟白血球と未成熟白血球とを区別することもできる。
【0030】
本明細書に記載する組成物においてリガンドとして有用な、および血液学的分析のために有用な抗体としては、限定ではないが、当該技術分野に公知であるものの中でもとりわけ、抗CD2、抗CD3、抗CD4、抗CD5、抗CD7、抗CD8、抗CD9、抗CD10、抗CD11a、CD11b、抗CD13、抗CD14、抗CD15、抗CD16、抗CD16b、抗CD18、抗CD19、抗CD20、抗CD23、抗CD24、抗CD25、抗CD33、抗CD35、抗CD36、抗CD38、抗CD41、抗CD45、抗CD45RA、抗CD48、抗CD49d、抗CD50、抗CD52、抗CD53、抗CD55、抗CD56、抗CD59、抗Cd61、抗CD62L、抗CD62p、抗CD64、抗CD66b、抗CD66c、抗CD73、抗CD82、抗CD87、抗CD90、抗CD117、抗CD142、抗CD235a、抗CD235b、抗CD235c、抗CD236、抗CD236r、抗CD239、抗CD240、抗CD241、抗CD242、抗gp42、抗LY−6、抗RT 6、抗SCA−2、抗Kappa、抗Lambda、および抗HLA−DRが特に挙げられる。前記組成物中の特定のリガンド(単数または複数)の選択によって本発明が限定されないこと、および当業者が、前記組成物に含めるために、本明細書に具体的に列挙しない他のリガンドまたは抗体を選択し利用できるだろうということは、容易に理解される。
【0031】
前記組成物は、1つ以上のリガンドを含有する。1つの実施形態において、前記組成物は、2つ以上のリガンドを含有する。もう1つの実施形態において、前記組成物は、3つ以上のリガンドを含有する。さらなる実施形態において、前記組成物は、4つ以上のリガンドを含有する。さらにもう1つの実施形態において、前記組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のリガンドを含有する。単一の試薬組成物において用いることができるリガンドの「最大」数がないこと、ならびにその選択が利用する試薬および計器の能力に依存することは、当業者には容易に理解される。
【0032】
単一の組成物中に存在するリガンドは、同じであることもあり、または異なることもある。1つの実施形態において、前記組成物は、2つのリガンドを含有し、それらのリガンドは同じである(L1およびL1)。もう1つの実施形態において、前記組成物は、2つのリガンドを含有し、それらのリガンドは異なる(L1およびL2)。さらなる実施形態において、前記組成物は、3つのリガンドを含有し、それらのリガンドのすべてが同じである(L1、L1、およびL1)。なおまたさらなる実施形態において、前記組成物は、3つのリガンドを含有し、3つすべてのリガンドが異なる(L1、L2、およびL3)。さらにもう1つの実施形態において、前記組成物は、3つのリガンドを含有し、それらのリガンドのうちの2つが同じであり、1つのリガンドが異なる(L1、L1およびL2)。さらなる実施形態において、前記組成物は、4つのリガンドを含有し、それらのリガンドのすべてが同じである(L1、L1、L1、L1)。なおまたさらなる実施形態において、前記組成物は、4つのリガンドを含有し、それらのリガンドの4つすべてが異なる(L1、L2、L3、L4)。さらにもう1つの実施形態において、前記組成物は、4つのリガンドを含有し、それらのリガンドのうちの任意の2つが同じであり、および他の2つは同じであるが、最初の2つのリガンドとは異なる(L1、L1、L2、およびL2)。なおまたさらなる実施形態において、前記組成物は、4つのリガンドを含有し、それらのリガンドのうちの任意の3つは同じであり、第四のリガンドが異なる(L1、L1、L1、およびL2)。同様の数列を、5つ以上のリガンドを含有する組成物に用いることができ、当業者はそれを容易に決定できる。下記方程式を参照のこと(式中、nは、リガンドの総数であり、rは、他のものと異なるリガンドの数であり、および0≦r≦n)。
【0033】
【化1】
本明細書に記載する組成物または方法において使用するために選択されるそれぞれのリガンドを、蛍光色素または蛍光性色素と呼ばれる蛍光検出可能標識と会合させるか、該標識に結合体化させるか、または該標識に結合させる。そのような蛍光色素または蛍光性色素には、フィコビリタンパク質;フィコビリタンパク質である場合もあり、ない場合もあるパートナー色素に結合体化した、フィコビリタンパク質を用いるタンデム色素;ならびにリガンドを標識するために従来用いられている他の色素などがある。本明細書に記載する組成物の実施形態のすべてにおいて、少なくとも1つのリガンドを、フィコビリタンパク質を含有するタンデム色素に結合体化させる。他の実施形態では、加えて、少なくとも1つのフィコビリタンパク質または他の蛍光性色素を、リガンドに直接結合させる。
【0034】
選択された蛍光色素とリガンドを会合、結合体化またはカップリングさせるための方法は、同様に従来的であり、当業者に公知である。公知の蛍光色素取付け法は、記載されている(例えば、数ある中でも、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,第6版,R.P.Haugland,Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR,1996;Pierce Catalog and Handbook,Life Science and Analytical Research Products,Pierce Chemical Company,Rockford,IL,1994/1995;米国特許第6,692,968号および同第5,164,311号を参照のこと(これらは、参照により本明細書に援用されている))。従って、タンデム色素またはフィコビリタンパク質または他の非フィコビリタンパク質色素のカップリング方法の選択により、本明細書に記載する組成物は限定されない。同様に、タンデム色素の成分を結合体化させる方法は、従来的であり、当該技術分野に公知である。
【0035】
前記方法において使用されるリガンドの最適な濃度は、選択されるリガンドに基づいて規定され、当業者はそれを決定できる。
【0036】
(C.「タンデム色素」)
本明細書に記載する組成物の実施形態のすべてにおいて、フィコビリタンパク質を含有するタンデム色素に少なくとも1つのリガンドを結合体化させる。当業者に公知のとおり、および本明細書において用いる場合の用語「タンデム色素」は、本明細書において「パートナー」色素と呼ぶ別の蛍光性色素に結合体化した、そのサブユニット間にある程度の架橋を有するフィコビリタンパク質で構成された自然に存在しない分子を指す。様々な公知のおよび市販されているタンデム色素を本記載組成物に用いることができる。
【0037】
本明細書における組成物に有用なタンデム色素の例は、米国特許第4,542,104号;同第5,272,257号;および同第5,171,846号;A.S.Waggonerら、1993 Ann.N.Y.Acad.Sci.,677:185−193;M.Roedererら、1996 Cytometry,24:191−197に記載されており、これらは参照により本明細書に援用されている。1つの望ましい実施形態において、前記タンデム色素は、アロフィコシアニンとAlexaFluor(登録商標)700色素のタンデム色素、アロフィコシアニンとAlexaFluor(登録商標)750色素のタンデム色素、アロフィコシアニンとCy(登録商標)7色素のタンデム色素、フィコエリトリンとTexas RedTM色素のタンデム色素、フィコエリトリンとCy(登録商標)5色素のタンデム色素、フィコエリトリンとCy(登録商標)5.5色素のタンデム色素、フィコエリトリンとCy(登録商標)7色素のタンデム色素、およびアロフィコシアニンとH7TM色素のタンデム色素である。
【0038】
1つの特定の実施形態において、前記タンデム色素は、APC.AlexaFluor(登録商標)700色素である。もう1つの特定の実施形態において、前記タンデム色素は、APC.AlexaFluor(登録商標)750色素である。さらにもう1つの特定の実施形態において、前記タンデム色素は、APC.Cy(登録商標)7色素である。
【0039】
(D.「フィコビリタンパク質」)
当業者に公知のとおり、および本明細書において用いる場合のフィコビリタンパク質は、細菌または真核藻から単離される2つ以上の連結されたサブユニットで構成された蛍光タンパク質であり、血液学的分析に広範に用いられている。参照により本明細書に援用されている「Phycobiliproteins」,Robert MacColl and Deborah Guard−Friar,CRS Press(1987)を参照のこと。フィコビリタンパク質は、当該技術分野において、限定ではないが、数ある中でも、Invitrogen/Molecular Probes、Pierce(Thermo Fisher Scientific)、Sigma、およびProzymeをはじめとする販売元から、幅広く入手できる。
【0040】
1つの実施形態では、前記フィコビリタンパク質を細菌種から単離することができる。一定のフィコビリタンパク質は、シアノバクテリウムから単離される。フィコビリタンパク質を発現することができるシアノバクテリア種の例としては、限定ではないが、Spirulina platensis、Anabaena variabilis、Gloeobacter violaceus、Tolypothrix tenuis、またはLyngbya lagerheimiiが挙げられる。さらなる実施形態では、前記フィコビリタンパク質を真核藻種から単離することができる。
【0041】
1つの実施形態において、前記フィコビリタンパク質は、限定ではないが、アロフィコシアニン(APC)、フィコエリトリン(PE)、フィコシアニン(PC)、およびフィコエリスロシアニン(PEC)である。さらなる実施形態において、前記フィコビリタンパク質は、R−フィコエリトリン(RPE)、B−フィコエリトリン(BPE)、C−フィコエリトリン(CPE)、Y−フィコエリトリン(YPE)、C−フィコシアニン(CPC)、フィコエリトリン566(PE566)、フィコエリスロシアニン(PEC)、R−フィコシアニン(RPC)、およびアロフィコシアニン(APC)である。もう1つの実施形態において、前記フィコビリタンパク質は、アロフィコシアニンである。
【0042】
(E.蛍光性色素または蛍光色素)
本明細書において用いる場合、タンデム色素を形成するために、今記載したばかりのフィコビリタンパク質に結合体化させる、「パートナー」と記述するいずれの色素も、非フィコビリタンパク質色素に直接結合体化した1つ以上のリガンドを含有する組成物の実施形態において用いることができる。従って、フィコビリタンパク質以外の蛍光色素、蛍光標識、または蛍光性色素についての以下の記載は、タンデムパートナー色素(これは、一般に、フィコビリタンパク質以外のものである)にも、これらの組成物の自由選択のリガンド成分に直接結合体化した個々の色素にも、あてはまる。これらの組成物および方法の一定の実施形態では、少なくとも1つのフィコビリタンパク質または他の蛍光性色素をリガンドに直接結合させる。タンデム色素についてのドナー−アクセプターペアの望ましい特性は、参照により本明細書に援用されている米国特許第4,542,104号に記載されている。
【0043】
それぞれの蛍光性色素は、特性「発光スペクトル」を有し、その一部分が特性「ピーク発光スペクトル」である。本明細書において用いる場合、用語「発光スペクトル」は、蛍光色素が励起されたときに放射する、それぞれの周波数の電磁放射線の量を一般に意味する。一般に、発光スペクトルは、ナノメートルで通常は測定される一定の周波数帯(すなわち波長)によって構成される範囲またはプロフィールである。本明細書において用いる場合、用語「ピーク発光スペクトル」は、発光スペクトルの最大強度部分を意味する。多種多様な色素についての発光スペクトルが当該技術分野において公知であり、ならびに限定ではないが、参照により本明細書に援用されているShapiro,Howard M.(2003)Practical Flow Cytometry 第4版,Wiley−Liss,Hoboken,NJ pp.296−297を含む様々な周知テキストにおいて公表されている。任意の所与の蛍光色素についてのピーク発光スペクトルは、公知であり、ならびにそのような蛍光色素を記載している出版物、例えば、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,第6版,R.P.Haugland,Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR,1996;Pierce Catalog and Handbook,Life Science and Analytical Research Products,Pierce Chemical Company,Rockford,IL,1994/1995,Molecular Probes、および当業者に公知の他の類似のテキストから容易に得ることができ、ならびに参照により本明細書に援用されている。蛍光分光光度計を使用してスペクトルスキャンを行うことにより、任意の所与の蛍光色素についての発光スペクトル特性を得ることもできる。
【0044】
当業者は、任意の数の追加の、および従来用いられている、蛍光性色素を、タンデム色素の「パートナー」色素として、またはリガンドに直接結合体化させられる色素として、容易に選択することができる。前記パートナーおよび他の色素は、供給源、例えば、Sigma−Aldrich、GE Healthcare、Molecular Probes、Inc.、Eugene、ORおよびProzyme、Inc.、San Leandro、CAから商業的に容易に入手することができる。前記パートナー色素は、市販されており、それらの使用は、当該技術分野において公知である。
【0045】
さらに他の蛍光性色素が他の供給源から入手可能であり得、または将来開発されることがあり得る。そのような蛍光性色素または蛍光色素は、下の実施例の例示的蛍光性色素と同様にこれらの様々な方法において有用であると予想される。下で提供する蛍光色素のこれらのリストは、前記組成物および方法の実施形態のうちの1つにおいて「パートナー」色素としてのまたはリガンドに直接結合体化した色素としての使用に適する色素の代表的なものにすぎず、網羅的リストを含むことを企図したものではない。当業者は、本明細書の追加の教示にかんがみて本明細書に記載する組成物および方法における使用に適する蛍光色素組み合わせを容易に選択できるはずである。
【0046】
前記パートナーまたは他の色素が、細胞透過性であることもあり、非細胞透過性である場合もある、蛍光性色素。用語「細胞透過性の」とは、組成物または反応混合物中に透過性化剤(permeabilizing agent)の追加の存在を必要とすることなく、細胞膜を容易に透過して細胞の成分を染色する色素を記述するためのものである。もう1つの実施形態において、前記パートナーまたは他の色素が選択され得る蛍光色素は、細胞不透過性色素、例えば、赤色、緑色または青色励起波長領域内の細胞不透過性色素である。
【0047】
本明細書におけるタンデム色素において用いることができる蛍光性「パートナー」色素、または一定の実施形態においてリガンドに直接結合体化させることができる色素の例としては、限定ではないが、シアニン色素、例えば、Cy(登録商標)5色素、Cy(登録商標)5.5色素、およびCy(登録商標)7色素;AlexaFluor(登録商標)色素、例えば、AlexaFluor(登録商標)405色素、AlexaFluor(登録商標)610色素、AlexaFluor(登録商標)595色素、AlexaFluor(登録商標)647色素、AlexaFluor(登録商標)700色素、およびAlexaFluor(登録商標)750色素、およびAlexaFluor(登録商標)488色素;Rhodamine 123;Texas RedTM色素;ならびにAttoTM色素が挙げられる。これらの色素の多く、ならびに本明細書に記載する方法においてタンデム「パートナー」色素としてまたはリガンド(単数もしくは複数)への直接結合体化のための色素として用いることができる他のものが、Molecular Probes Inc.(オレゴン州ユージーン)から市販されている。参照により本明細書に援用されている米国特許第5,563,070号を参照のこと。
【0048】
1つの特定の実施形態において、前記蛍光性パートナー色素は、Texas RedTM色素、AlexaFluor(登録商標)色素、シアニン色素、およびAttoTM色素から選択される。もう1つの特定の実施形態において、前記AlexaFluor(登録商標)色素は、AlexaFluor(登録商標)610色素、AlexaFluor(登録商標)595色素、AlexaFluor(登録商標)647色素、AlexaFluor(登録商標)700色素、およびAlexaFluor(登録商標)750色素の中から選択される。さらに特定の実施形態において、前記シアニン色素は、Cy(登録商標)5色素、Cy(登録商標)5.5色素、およびCy(登録商標)7色素から選択される。
【0049】
(II.フィコビリタンパク質含有組成物)
上で論じたように、本明細書において提供する組成物は、一番単純な実施形態では、フィコビリタンパク質含有タンデム色素に結合体化したリガンドと、非結合体化フィコビリタンパク質とを含有する。
【0050】
(A.パートナー色素に結合体化したフィコビリタンパク質を含有するタンデム色素)
前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分を、上で述べた任意のフィコビリタンパク質、市販されている任意のフィコビリタンパク質および従来の方法によって調製または精製することができる任意のフィコビリタンパク質から選択することができる。幾つかの架橋サブユニット(および場合により非架橋サブユニットも)を含有するか、または架橋を含有するように修飾される任意のフィコビリタンパク質を、本明細書に記載する組成物および方法においてタンデム色素として用いることができる。
【0051】
当該技術分野において販売元から入手できるAPCにおける架橋度を決定しようとして、本発明者らは、限定ではないが高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む、当該技術分野において公知の技術を用いた。さらに、当業者は、商業的供給源から入手できるものと一致するかまたはそれより高度な架橋を有するフィコビリタンパク質を得るために、販売元から入手できるAPCにおいて公知の精製および架橋技術を実行することが容易にできる。より高度に架橋したフィコビリタンパク質を精製または獲得するそのような方法は、当業者に公知である。そのような従来の方法としては、Trinquet E.,Maurin F.,Preaudat M.,Mathis G.(2001)「Allophycocyanin 1 as a Near Infrared Fluorescent:Isolation,Characterization,Chemical Modification,and Use in a Homogeneous Fluorescence Resonance Energy Transfer System」,Analyt.Biochem.296,232−244が挙げられる。
【0052】
1つの実施形態において、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分は、少なくとも約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、76、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%、またはそれらの間の分数百分率、の架橋を含有する。もう1つの実施形態において、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分は、約50%から約100%架橋を含有する。さらなる実施形態において、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分は、約60%から約100%架橋を含有する。さらにもう1つの実施形態において、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分は、約70%から約100%架橋を含有する。なおまたさらなる実施形態において、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分は、約80%から約100%架橋を含有する。さらにもう1つの実施形態において、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分は、約90%から約100%架橋を含有する。いっそうさらなる実施形態において、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分は、約95%から約100%架橋を含有する。しかし、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分が20%未満の架橋を有したとしても、それは本発明の制限ではない。
【0053】
タンデム色素を形成するためにフィコビリタンパク質に結合体化させる蛍光性「パートナー」色素は、上に記載した色素から選択することができる。本明細書に記載する方法および組成物の様々な実施形態によると、リガンド(単数または複数)に結合体化させる、タンデム色素におけるパートナー色素として使用する色素は、別のフィコビリタンパク質を有するタンデム色素においても使用することができ、またはその組成物中のリガンドを独立して標識するために使用することもできる。
【0054】
(B.非結合体化フィコビリタンパク質)
上で論じた標識リガンドに加えて、本明細書に記載する組成物の実施形態は、非結合体化フィコビリタンパク質の存在も必要とする。本明細書において用いる場合の「非結合体化」または「遊離」フィコビリタンパク質は、上で記載したフィコビリタンパク質であるが、リガンドに結合体化していないものである。非結合体化フィコビリタンパク質は、サブユニットを含有し、これらのサブユニットのうちのいくつかは、架橋していてはいけない。1つの実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質は、そのサブユニット間の架橋を含有しない。もう1つの実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質は、サブユニット間の架橋を含有する。前記非結合体化フィコビリタンパク質に架橋が存在する場合、前記非結合体化フィコビリタンパク質中の架橋の量は、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質における架橋の量より少ないことが望ましい。
【0055】
1つの実施形態では、前記非結合体化フィコビリタンパク質を、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と同じ細菌または真核藻種から得なければならない。最良の結果のために、それぞれのリガンド結合体化タンデム色素について、(前記タンデム色素中のフィコビリタンパク質と同じ種から得た)対応する非結合体化フィコビリタンパク質をその組成物に添加しなければならない。1つの実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質は、前記結合体化フィコビリタンパク質と同じである。用語「同じ」は、結合体化および非結合体化フィコビリタンパク質を記述するために用いるとき、それぞれの分子の同一の構造的特徴を指す。
【0056】
もう1つの実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質は、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質とは異なるが、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0057】
前記非結合体化フィコビリタンパク質は、上で述べた販売元から購入することもでき、または上に記載したように、単離されたタンパク質、天然タンパク質、合成タンパク質、または修飾タンパク質である場合がある。しかし、フィコビリタンパク質の供給源またはここでの使用のためにそれに施される修飾の量は、本発明の制限ではない。前記非結合体化フィコビリタンパク質を、その蛍光を除去するかまたは減少させるように改変または修飾することもできる。1つの実施形態では、前記非結合体化フィコビリタンパク質を、例えばUV光の照射によって、フォトブリーチ(photobleach)する。もう1つの実施形態では、前記フィコビリタンパク質を、化学的に、すなわち1〜3%Clorox(登録商標)試薬を使用することにより、ブリーチ(bleach)することができる。当業者は、当該技術分野において標準的な方法論を用いてここで使用するために非結合体化フィコビリタンパク質を修飾することが容易にできる。
【0058】
前記組成物において必要とされる非結合体化フィコビリタンパク質の量は、その組成物を安定させるために十分である量である。望ましくは、前記非結合体化フィコビリタンパク質は、定常状態で非架橋サブユニットの交換を可能にする量で存在する。1つの実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質対、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質の比は、少なくとも0.125:1、0.25:1、0.50:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、もしくは20:1、およびそれらの間の分数比率である。もう1つの実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質対前記結合体化フィコビリタンパク質の比は、約0.125:1から約20:1である。さらにもう1つの実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質対前記結合体化フィコビリタンパク質の比は、約0.25:1から約10:1である。さらなる実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質対前記結合体化フィコビリタンパク質の比は、4:1から0.25:1である。
【0059】
1つの実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、同じであり、アロフィコシアニン、フィコエリトリン、フィコシアニンまたはフィコエリスロシアニンである。もう1つの実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、異なる。しかし、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質が異なる場合、それらは、互いに交換する非架橋サブユニットを含有しなければならない。例えば、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、異なり、独立してアロフィコシアニン、フィコエリトリン、フィコシアニンまたはフィコエリスロシアニンであり、および互いに交換する非架橋サブユニットを含有する。さらなる実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、同じであり、APC、R−PE、B−PE、C−PE、Y−PE、またはPECである。いっそうさらなる実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、異なり、独立してAPC、R−PE、B−PE、C−PE、Y−PE、またはPECであり、および互いに交換する非架橋サブユニットを含有する。さらにもう1つの実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、同じであり、R−PE、B−PE、Y−PE、PE566、PEC、R−PCまたはAPCである。さらなる実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、異なり、R−PE、B−PE、Y−PE、PE566、PEC、R−PCまたはAPCから独立して選択され、および互いに交換する非架橋サブユニットを含有する。さらにもう1つの実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、同じであり、アロフィコシアニンである。さらにもう1つの実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、同じであり、フィコエリトリンである。
【0060】
(C.前記組成物中の追加のリガンド結合体化色素成分)
単一のフィコビリタンパク質含有タンデム色素および単一の非結合体化フィコビリタンパク質に加えて、色素およびリガンド含有組成物の他の実施形態は、複数のリガンド、複数のタンデム色素、複数の非結合体化色素および他の自由選択成分を含有することがある。列挙している様々な細胞集団に最も有用であるために、前記色素組成物が、複数のリガンド結合体化蛍光性色素を含有することは有利である。当業者は、これに関連して用いる場合の「追加の」という用語を容易に判断することができる。例えば、用語「追加の」は、リガンド結合体化色素成分および非結合体化フィコビリタンパク質を含む、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10以上の成分を含むことがある。
【0061】
前記色素組成物に含まれるそれぞれの追加の色素または追加のフィコビリタンパク質を該組成物の1つ以上のリガンドに直接結合体化させなければならない。本明細書に記載する組成物の大部分において、前記色素組成物中には非標識または非結合体化リガンドは存在しない。
【0062】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、フィコビリタンパク質でない蛍光性色素または蛍光色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンドを含む。例えば、前記色素組成物は、y個の色素に結合体化したx個のリガンドを含むことがある(この場合、x=y、および整数である)。1つの実施形態において、xおよびyは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。さらなる実施形態において、xおよびyは、1、2、3、または4である。前記色素は、上に記載した色素のいずれであってもよい。当業者は、前記色素組成物への追加に適する色素を容易に選択することができる。
【0063】
もう1つの実施形態において、本発明の色素組成物は、追加のフィコビリタンパク質に直接結合体化した1つ以上の追加のリガンドを含む。1つの実施形態において、前記追加のフィコビリタンパク質は、前記色素組成物中のリガンド結合体化タンデム色素のフィコビリタンパク質と同じ細菌または真核藻種からのものである。もう1つの実施形態において、前記追加のフィコビリタンパク質は、前記色素組成物中の前記リガンド結合体化タンデム色素のフィコビリタンパク質とは別の細菌または真核藻種からのものである。例えば、前記色素組成物は、y’個のフィコビリタンパク質に結合体化したx’個のリガンドを含むことがある(この場合、x’=y’、および整数である)。1つの実施形態において、x’およびy’は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。さらなる実施形態において、x’およびy’は、1、2、3、または4である。別のリガンドを直接標識するために用いるフィコビリタンパク質は、上に記載したフィコビリタンパク質のいずれであってもよい。1つの実施形態において、前記追加のフィコビリタンパク質は、前記組成物中のフィコビリタンパク質のいずれか(前記リガンド結合体化タンデム色素、または前記非結合体化フィコビリタンパク質のいずれか)の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有しない。さらなる実施形態において、前記追加のフィコビリタンパク質は、前記組成物の前記リガンド結合体化タンデム色素のフィコビリタンパク質または前記非結合体化フィコビリタンパク質の1つ以上の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。当業者は、リガンドへの直接結合体化および試薬混合物へのその後の添加に適するフィコビリタンパク質を容易に選択することができる。
【0064】
もう1つの実施形態において、本発明の色素組成物は、追加のフィコビリタンパク質を含有する追加のタンデム色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンドを含む。例えば、前記色素組成物は、y’’個のタンデム色素にそれぞれが別個に結合体化したx’’個のリガンドを含むことがある(この場合、x’’=y’’、および整数である)。1つの実施形態において、x’’およびy’’は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。さらなる実施形態において、x’’およびy’’は、1、2、3、または4である。1つの実施形態において、前記追加のタンデム色素中の前記フィコビリタンパク質は、第一のリガンド結合体化タンデム色素組成物中のフィコビリタンパク質と同じ細菌または真核藻種からのものである。もう1つの実施形態において、前記追加のフィコビリタンパク質は、第一の色素組成物中のフィコビリタンパク質のものとは異なる細菌種または真核藻種からのものである。しかし、前記追加のタンデム色素中の追加のフィコビリタンパク質が、別の細菌または真核藻種からのものである場合、非結合体化形態の同じフィコビリタンパク質をその色素組成物に添加しなければならない。しかし、フィコビリタンパク質の供給源に係らず、当業者は、上に記載したフィコビリタンパク質のいずれかからそれを選択することができる。
【0065】
組成物の様々な実施形態は、タンデム色素に結合体化した複数のリガンドを含有する。例えば、1つの望ましい実施形態において、前記組成物は、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドおよび(b)第一の非結合体化フィコビリタンパク質に加えて、次の成分を含有することがある:(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二のタンデム色素は、(i)架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質(前記第三のフィコビリタンパク質は、第二の細菌または真核藻種から得られる)と、(ii)前記第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のパートナー色素と含む);および(d)サブユニットを含有する非結合体化第四のフィコビリタンパク質。前記第二のフィコビリタンパク質は、第二の細菌または真核藻種から得られる。前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は、同じである。あるいは、前記第三および第四のフィコビリタンパク質は異なり、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0066】
もう1つの望ましい実施形態において、前記組成物は、すぐ上で記載した成分に加えて、(e)第四のフィコビリタンパク質に結合体化した第三のリガンドをさらに含有することがあり、前記第四のフィコビリタンパク質は、第一の細菌種、第一の真核藻種、第二の細菌種、または第二の真核藻種から得られる。前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二または第三のフィコビリタンパク質と同じであるか;あるいは、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二または第三のフィコビリタンパク質と異なり、および前記第一、第二または第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0067】
さらなる望ましい実施形態において、前記組成物は、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドおよび(b)第一の非結合体化フィコビリタンパク質に加えて、次の成分を含有することがある:(c)第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のリガンド(前記第三のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られる)。前記第三のフィコビリタンパク質は、第一もしくは第二のフィコビリタンパク質と同じであるか;あるいは、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一もしくは第二のフィコビリタンパク質と異なり、ならびに前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。1つの態様において、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一または第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有しない。もう1つの態様において、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一または第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0068】
もう1つの望ましい実施形態において、前記組成物は、フィコビリタンパク質でない色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンドをさらに含有する。
【0069】
(D.前記組成物中の他の自由選択の非色素成分)
追加のリガンド、フィコビリタンパク質、タンデム色素、および蛍光性色素以外の成分を、本明細書に記載する組成物に含めることができる。当業者は、それらの追加の成分の選択を容易に選択することができ、ならびにそれらの追加の成分は、数ある中でも、分析する検体、その組成物の成分、分析するパラメータに依存する。例えば、参照により本明細書に援用されている米国特許第6,551,831号において列挙されている界面活性剤を参照のこと。
【0070】
組成物の実施形態は、その組成物のpHを約6から約9の範囲内の任意の所望のpHに維持する緩衝液などの、他の成分をさらに含有することがある。緩衝液の例としては、限定ではないが、リン酸緩衝生理食塩水または等張食塩水、例えば、ISOTON IIバッファー(フロリダ州マイアミのCoulter Corporation)および参照により本明細書に援用されている米国特許第3,962,125号において特定されているものが挙げられる。
【0071】
保存薬も前記組成物に添加することができ、それらは、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンから選択することができるが、これらに限定されない(そのような保存薬を、例えばProClin(登録商標)300またはProClin(登録商標)150として、商業的に購入することができる)。
【0072】
当業者は、本明細書に記載する様々な方法において使用するための組成物に用いることができる適切な界面活性剤、緩衝液、保存薬または他の従来の試薬の選択を行うことができる。そのような選択は、本明細書において教示する方法および組成物の制限ではない。
【0073】
(E.複数の標識リガンドを含有する組成物)
1つの望ましい実施形態において、前記組成物は、タンデム色素に結合体化した1つのリガンドを含有する(L1−タンデム色素1)。もう1つの実施形態において、前記組成物は、2つのリガンドを含有し、この場合、1つの抗体は、タンデム色素に結合体化しており(L1−タンデム色素1)、および他のリガンドは、フィコビリタンパク質に直接結合体化している(L2−pbp)。さらなる実施形態において、前記組成物は、2つのリガンドを含有し、この場合、1つのリガンドは、1つのタンデム色素に結合体化しており(L1−タンデム色素1)、および1つのリガンドは、第二のタンデム色素に結合体化している(L2−タンデム色素2)。もう1つの実施形態において、前記組成物は、3つのリガンドを含有し、この場合、1つのリガンドは、1つのタンデム色素に結合体化しており(L1−タンデム色素1)、第二のリガンドは、第二のタンデム色素に結合体化しており(L2−タンデム色素2)、および第三のリガンドは、フィコビリタンパク質に結合体化している(L3−pbp)。さらにもう1つの実施形態において、前記組成物は、1つのタンデム色素に結合体化した1つのリガンド(L1−タンデム色素1)、フィコビリタンパク質に結合体化した第二のリガンド(L2−pbp)、およびx数のタンデム色素に独立して結合体化したx数のリガンド(Lx−タンデム色素x)を含有する。さらなる実施形態において、前記組成物は、1つのタンデム色素に結合体化した1つのリガンド(L1−タンデム色素1)、フィコビリタンパク質に結合体化した第二のリガンド(L2−pbp)、およびx数の非フィコビリタンパク質蛍光性色素に独立して結合体化したx数のリガンド(Lx−色素x)を含有する。
【0074】
(III.本発明の組成物の特定の実施形態)
上で一般に説明した組成物の第一の例として、組成物は、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドを含有する。前記第一のタンデム色素は、第一のフィコビリタンパク質を含有し、前記第一のフィコビリタンパク質は、該第一のフィコビリタンパク質に結合体化した第一のパートナー色素に結合体化した架橋および非架橋サブユニットを含有する。前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られる。前記組成物は、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質も含有し、この第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られる。この組成物の1つの実施形態において、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は、同じである。この組成物のもう1つの実施形態において、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。表1参照。
【0075】
【表1】
本明細書に記載する組成物の第二の例または実施形態として、組成物は、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドを含有する。前記第一のタンデム色素は、第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、該第一のフィコビリタンパク質に結合体化した第一のパートナー色素に結合体化した架橋および非架橋サブユニットを含有する。前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られる。前記組成物は、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質も含有し、この第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られる。この組成物の1つの実施形態において、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じである。この組成物のもう1つの実施形態において、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。組成物のこの第二の実施形態は、(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンドをさらに含有し、前記第二のタンデム色素は、(i)架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質と、(ii)前記第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のパートナー色素とを含む。前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られる。この組成物の1つの実施形態において、前記第一、第二および第三のフィコビリタンパク質は、同じである。この組成物のもう1つの実施形態において、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質とは異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。表2参照。
【0076】
【表2】
さらなる実施形態において、組成物は、
(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、(i)架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質(前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られる)、および(ii)前記第一のフィコビリタンパク質に結合体化した第一のパートナー色素を含む)と;
(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、および第三のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質とは異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(d)第三のタンデム色素に結合体化した第三のリガンド(前記第三のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第四のフィコビリタンパク質を含み、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第三のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、第三および第四のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質とは異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)
を含有する。表3参照。
【0077】
【表3】
いっそうさらなる実施形態において、組成物は、
(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、(i)架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質(前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られる)、および(ii)前記第一のフィコビリタンパク質に結合体化した第一のパートナー色素を含む)と;
(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、および第三のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質とは異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(d)第三のタンデム色素に結合体化した第三のリガンド(前記第三のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第四のフィコビリタンパク質を含み、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第三のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、第三および第四のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質とは異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(e)第四のタンデム色素に結合体化した第四のリガンド(前記第四のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含む第五のフィコビリタンパク質を含み、前記第五のフィコビリタンパク質は、前記細菌または真核藻種から得られ、および第四のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、第三、第四および第五のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第五のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三もしくは第四のフィコビリタンパク質とは異なり、および前記第五のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三もしくは第四のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)
を含有する。表4参照。
【0078】
【表4】
さらにもう1つの実施形態において、組成物は、
(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含有し、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)と;
(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または第一の真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(c)フィコビリタンパク質でない色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンド
を含有する。表5参照。
【0079】
【表5】
さらなる実施形態において、組成物を提供し、この組成物は、
(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含有し、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)と;
(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、第二の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化している)と;
(d)サブユニットを含有する非結合体化第四のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第二の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)
を含有する。表6参照。
【0080】
【表6】
もう1つの実施形態において、組成物を提供し、この組成物は、
(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含有し、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)と;
(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、第二の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化している)と;
(d)サブユニットを含有する非結合体化第四のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第二の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(e)第四のフィコビリタンパク質に結合体化した第三のリガンド(前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌種、前記第一の真核藻種、前記第二の細菌種、または前記第二の真核藻種から得られ;この場合、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質、前記第二のフィコビリタンパク質、もしくは前記第三のフィコビリタンパク質と同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質とは異なり、および前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)
を含有する。表7参照。
【0081】
【表7】
当業者は、本明細書の教示を用いて、選択された追加の成分を含有する他の組成物を調製することができる。
【0082】
(IV.本発明の組成物を調製および使用するための方法)
本明細書において論じる組成物を調製するための方法は、選択されたマルチカラー組成物の標識リガンド成分と遊離フィコビリタンパク質成分とを併せるかまたは事前混合する工程、および場合により、前記事前混合組成物を保管する工程を一般に含む。その後、前記組成物を、当業者が判定して必要な場合には希釈し、分析を意図して選択された生物検体と併せる。
【0083】
具体的には、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋を含有する第一のフィコビリタンパク質と第一の色素とを含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および前記第一の色素に結合体化している)と、(b)前記第一の細菌または真核藻種から得られる非結合体化第一のフィコビリタンパク質とを混合することによって、前記組成物を調製する。分析する集団に依存して、上で説明したように、追加の成分を添加してもよい。1つの実施形態において、第二のフィコビリタンパク質、前記第二のフィコビリタンパク質を含む第二のタンデム色素、およびフィコビリタンパク質ではない色素からなる群より選択される、第二の色素に結合体化した第二のリガンドを、前記反応混合物に添加する。
【0084】
当業者は、下で記載する方法において使用するために必要な組成物の量を決定することができる。1つの実施形態では、少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200μLの前記組成物を用いる。もう1つの実施形態では、約5から約200μLの前記組成物を用いる。さらなる実施形態では、約100μLの組成物を使用する。
【0085】
これらの成分を、一般に、室温、周囲温度または2℃ほどもの低さの低温を含む任意の選択された温度でインキュベートすることによって混合するかまたは反応させる。もう1つの実施形態では、約40℃という高温を用いることがある。しかし、分析時の前記組成物の温度は、検体中の細胞の生存可能性にとって十分なものでなければならない。1つの実施形態では、約2から約8℃の温度を、詳細には前記混合物の混合と保管の両方に、用いることができる。
【0086】
前記反応の時間範囲は、一般に、約15秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、または15分より長期であるか、それらの間の秒数である。もう1つの実施形態において、前記インキュベーションの時間は、約15秒から約30分である。さらなる実施形態では、前記組成物の成分の濃度を調整すれば、より速い反応時間を得ることができる。
【0087】
上で説明した成分を含有する、上で調製したような組成物は、下の実施例によって実証するように、検体中の細胞および非細胞集団を分析するための従来の方法において有用である。そのような従来のフローサイトメトリー法は、当業者に公知であり、ならびに検体と本明細書に記載する組成物とを併せる工程、および蛍光を分析することにより検体中の集団を同定する工程を含む。望ましくは、前記細胞および非細胞集団の少なくとも1つは、前記第一のリガンドの受容体を含む。参照により本明細書に援用されている米国特許第6,551,831号を参照のこと。
【0088】
(V.本発明のキット)
さらにもう1つの態様において、これらの組成物の混合または従来のフローサイトメトリー分析での使用を可能にするキットを提供する。望ましくは、本発明のフローサイトメトリー診断方法を行うためにそのようなキットを用いる。しかし、他の安定化試薬の開発および評価における研究のためにそのようなキットを組み立てることができる。
【0089】
好都合な使用のために、前記組成物、それらの成分、ならびに上で記載した方法の任意の数の変形形態を実施するために必要な成分を組み合わせてキットを作ることができる。そのようなキットは、別々の成分として組成物を形成するために必要な成分を含有し得る。1つの実施形態において、別個の容器の中に存在する1つの別個の成分は、第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドであり、前記第一のタンデム色素は、第一の色素に結合体化し、架橋を含有し、および第一の細菌または真核藻種から得られる、第一のフィコビリタンパク質を含有する。第二の容器の中に存在する第二の別個の成分は、前記第一の細菌または真核藻種から得られる非結合体化第一のフィコビリタンパク質である。これら2つの成分を、使用のために購入者の裁量で併せることができる。もう1つの実施形態において、前記キットは、1つの「事前混合」容器を含有することがあり、この容器は、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、(i)架橋を含有する第一のフィコビリタンパク質(前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られる)と(ii)第一のパートナー色素とを含む);および(b)前記第一の細菌または真核藻種から得られる非結合体化第一のフィコビリタンパク質を含む。上で論じたように、本明細書において論じる組成物の利点は、それらが分解しない点、血液学的分析に干渉する別個の成分間でのサブユニット交換を有しない点である。
【0090】
追加の容器を前記キットにさらに含めることができる。これらの追加の容器は、上で特定した自由選択の成分のいずれかを独立して含むことができる。しかし、もしあれば、その(それらの)追加の成分は、前記試薬組成物の安定性に悪影響を及ぼさない生理的pHを有さなければならない。
【0091】
そのようなキットは、前記組成物の別個の成分を混合するための説明書;前記組成物の成分を含む適切な器;前記組成物と生物検体を混合するための適切な器;細胞の正常または疾患特性値についての適切な対照または表;抗凝固剤または凝固経路インヒビター、フローサイトメトリー分析の実施に適する他の試薬およびそれらの組み合わせ;検体に適する希釈剤および緩衝液;使い捨て手袋;除染についての説明書;アプリケータースティックまたは容器;ならびに調製用カップのうちの1つ以上をさらに含有し得る。
【0092】
当業者は、分析用の検体に対して前記方法を行うために必要な情報および成分を有する任意の数のキットを組み立てることができる。
【0093】
1つの実施形態において、キットを提供し、このキットは、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)を含む第一の容器と、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第二の容器とを含有する。1つ以上の追加の容器を前記キットに含めることができ、およびそれらの容器は、上に書き留めた試薬のいずれか1つを含むことができる。表8参照。あるいは、前記組成物の成分が1つの容器に存在することがある。
【0094】
【表8】
もう1つの実施形態において、キットを提供し、このキットは、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)を含む第一の容器と、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第二の容器と、(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二タンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二および第三のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質とは異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第三の容器を含有する。表9参照。あるいは、前記組成物の成分が1つの容器に存在することがある。
【0095】
【表9】
さらなる実施形態において、キットを提供し、このキットは、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)を含む第一の容器と、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第二の容器と、(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二タンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二および第三のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質とは異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第三の容器と、(d)第三のタンデム色素に結合体化した第三のリガンド(前記第三のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第四のフィコビリタンパク質を含み、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第三のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、第三および第四のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質とは異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第四の容器を含有する。表10参照。あるいは、前記組成物の成分が1つの容器に存在することがある。
【0096】
【表10】
いっそうさらなる実施形態において、キットを提供し、このキットは、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)を含む第一の容器と、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第二の容器と、(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二タンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二および第三のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質とは異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第三の容器と、(d)第三のタンデム色素に結合体化した第三のリガンド(前記第三のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第四のフィコビリタンパク質を含み、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第三のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、第三および第四のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質とは異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第四の容器と、(e)第四のタンデム色素に結合体化した第四のリガンド(前記第四のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含む第五のフィコビリタンパク質を含み、前記第五のフィコビリタンパク質は、前記細菌または真核藻種から得られ、および第四のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、第三、第四および第五のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第五のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三もしくは第四のフィコビリタンパク質とは異なり、ならびに前記第五のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三もしくは第四のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第五の容器を含有する。表11参照。あるいは、前記組成物の成分が1つの容器に存在することがある。
【0097】
【表11】
さらにもう1つの実施形態において、キットを提供し、このキットは、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)を含む第一の容器と、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第二の容器と、(c)フィコビリタンパク質ではない色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンドを含む第三の容器を含有する。表12参照。あるいは、前記組成物の成分が1つの容器に存在することがある。
【0098】
【表12】
さらなる実施形態において、キットを提供し、このキットは、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)を含む第一の容器と、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第二の容器と、(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、第二の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化している)を含む第三の容器と、(d)サブユニットを含有する非結合体化第四のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第二の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第四の容器を含有する。表13参照。あるいは、前記組成物の成分が1つの容器に存在することがある。
【0099】
【表13】
もう1つの実施形態において、キットを提供し、このキットは、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および結合体化した第一のパートナー色素に結合体化している)と、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と、(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、第二の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化している)と、(d)サブユニットを含有する非結合体化第四のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第二の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と、(e)第四のフィコビリタンパク質に結合体化した第三のリガンド(前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌種、前記第一の真核藻種、前記第二の細菌種または前記第二の真核藻種から得られ;この場合、前記第四のフィコビリタンパク質は前記第一のフィコビリタンパク質、前記第二のフィコビリタンパク質もしくは前記第三のフィコビリタンパク質と同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質とは異なり、および前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含有する。表14参照。あるいは、前記組成物の成分が1つの容器に存在することがある。
【0100】
【表14】
以下の実施例は、本発明の様々な態様を例証するものである。これらの実施例は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0101】
(実施例)
(実施例1)
Spirulina platensisから単離したAPCにおける架橋率を判定するためにこの実施例を行った。
【0102】
Sephadex(登録商標)G−50カラムを用いてPBS緩衝液(10mM K3PO4+150mM NaCl+2mM EDTA pH7.2)で様々な架橋および非架橋APCサンプルを脱塩した。Micron(登録商標)YM−30膜(Millipore Corporation,Part♯ UFC903024)を用いて、それらの脱塩溶液を約15±2mg/mLに濃縮した。次に、当該技術分野における技術および下記の条件/計器を用いてHPLCによりこれらのAPCサンプルを分析した:
カラム: Superdex(登録商標)200 HRサイズ排除カラム(GE Health Care,Part♯17−1088−01)
溶離剤: 10mM K3PO4+150mM NaCl+2mM EDTA+1M NaClO4 pH7.2
流速: 0.8mL/分。
【0103】
濃縮したAPCサンプルのそれぞれを緩衝液中0.5mg/mLに希釈し、30分間、約22±2℃でインキュベートした。その後、それぞれのサンプルを前記サイズ排除カラムに注入し、溶出中、波長A280、A652およびA616をモニターした。代表サンプルおよびn−APCについてのA280のプロットを図4に示す。インタクトAPCは、12mLの保持容積で溶出し、および解離APCは、14.5mLの保持容積で溶出した。溶出ピーク下面積を計算することによって、APCにおける架橋率を決定した。クロマトグラムの総面積に対するインタクトピークの積分面積の比によって、サンプルについての架橋率を得た。図4は、これらの架橋および非架橋APCのクロマトグラムである。
【0104】
プロットの右側の最高ピークは、一(1)つの非架橋APCサンプルに対応する。プロットの残りのピークは、架橋APCサンプルに対応する。具体的には、プロットの左側のピークは、インタクトAPC分子に対応し、プロットの右側の(非架橋APCピークの下の)小ピークは、APCサブユニットに対応する。これらのクロマトグラムに基づき、架橋APCサンプルについての架橋率は、約76から約96%であった。
【0105】
(実施例2)
この実施例は、非結合体化フィコビリタンパク質を含有する2色リガンド結合体化タンデム色素組成物を含む、本明細書に記載する組成物および方法の利点を例証するものである。
【0106】
四(4)つの組成物を調製し、それぞれが、Spirulina platensisから単離したフィコビリタンパク質およびタンデム色素に独立して結合している二(2)つのモノクローナル抗体を含有した。具体的には、それぞれの組成物(10μL)は、アロフィコシアニンに結合体化したCD3(CD3−APC)0.5μg、およびアロフィコシアニン−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素に結合体化したCD19(CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750)0.5μgを含有した。
【0107】
組成物1、すなわち対照組成物は、新たに調製したものであり、追加の成分を含有しなかった。組成物2は、追加の成分を含有しなかったが、2から8℃で21日間保持したものであった。組成物3および4は、Spirulina platensisから単離した0.5μgの非結合体APCも含有し、組成物3は、すべての成分を新たに混合したものであったが、組成物4は、生物検体への添加および分析前に21日間、2から8℃で保持したものであった。
【0108】
その後、これらの組成物を、全血(0.1mL)を含有する生物検体と独立して併せ、10〜12分間インキュベートし、標準的なVersaLyse(登録商標)法を用いて処理し、フローサイトメーターを用いて分析した。当業者は、処理した生物検体とVersalyse(登録商標)試薬/0.2%ホルムアルデヒド(1mL)とを10分間、併せる工程、処理した検体をスピンダウン(spinning down)させる工程、上清を吸引する工程、PBS(3mL)にそのペレットを再懸濁させる工程、そのPBS溶液をスピンダウンさせる工程、および分析のためにそのペレットをPBS/0.1%ホルムアルデヒド(0.5ml)に再懸濁させる工程を含む当該技術分野において公知であるようなVersaLyse(登録商標)法を容易に行うことができる。図1A〜1D参照。
【0109】
これらの結果は、フローサイトメトリー分析に関して、先行技術(図1B)と比較して、本発明の組成物(図1D)の有用性を明確に示す。
【0110】
(実施例3)
この実施例は、2色リガンド結合体化タンデム色素組成物に非結合体化フィコビリタンパク質を添加することを含む、本明細書に記載する組成物および方法の利点を例証するものである。
【0111】
九(9)つの組成物を調製し、それぞれが、フィコビリタンパク質およびタンデム色素に独立して結合している二(2)つのモノクローナル抗体を含有した。具体的には、それぞれの組成物(10μL)は、Spirulina platensisから単離したアロフィコシアニンに結合体化したCD3(0.5μg;CD3−APC)と、アロフィコシアニン(Spirulina platensisから単離したもの)−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素に結合体化したCD19(CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750)0.5μgとを含有した。組成物1、すなわち「先行技術の作りたて混合物」は、新たに調製したものであり、追加の成分を含有しなかった。組成物2、すなわち「先行技術の保管混合物」は、追加の成分を含有しなかったが、2から8℃で21日間保持したものであった。組成物3〜9は、Spirulina platensisから単離した様々な量の非結合体化APCも含有し、生物検体への添加および分析前に21日間、2から8℃で保持したものであった。表15参照。
【0112】
【表15】
その後、上の実施例2におけるように血液検体のフローサイトメトリー分析のためにこれらの組成物を用いた。図2A〜2I参照。
【0113】
これらの結果は、サブユニット交換の影響を最小にする点での、二色リガンド結合体化APCタンデム色素およびリガンド結合体化APC試薬組成物への(広範にわたる)天然非結合体化APC添加の有用性の例証となる。より高い濃度(具体的には500μg/mL以上)は、細胞の非特異的標識の増加につながる。しかし、0.0625μg(図2C)から2μg(図2G)の量での非結合体化APCは、細胞の非特異的標識のそのような増加を示さず、およびまた、先行技術の組成物に所望の安定性をもたらした(図2B)。これらの結果はまた、0.0625μgから10.0μgにわたる遊離、非結合体化フィコビリタンパク質の添加が、事前処方製品の経時的な分解を制限することの例証になる。
【0114】
(実施例4)
この実施例は、3色リガンド結合体化フィコビリタンパク質およびリガンド結合体化タンデム色素組成物への非結合体化フィコビリタンパク質の添加を含む、本明細書に記載する組成物および方法の利点を例証するものである。五(5)つの組成物を調製し、これらの組成物は、Spirulina platensisから単離したフィコビリタンパク質および2つのタンデム色素に独立して結合している三(3)つのモノクローナル抗体を含有した。具体的には、それぞれの組成物(10μL)は、Spirulina platensisから単離したアロフィコシアニンに結合体化したCD19(CD19−APC)0.5μgと、アロフィコシアニン(Spirulina platensisから単離したもの)−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素に結合体化したCD4(CD19−APC−A700)0.5μgと、アロフィコシアニン(Spirulina platensisから単離したもの)−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素に結合体化したCD8(CD8−APC−A750)0.5μgを含有した。組成物1、すなわち対照組成物は、新たに調製したものであり、追加の成分を含有しなかった。組成物2は、追加の成分を含有しなかったが、2から8℃で120日間保持したものであった。組成物3〜5は、加えて、Spirulina platensisから単離した様々な量の非結合体化APCを含有し、分析前に120日間、2から8℃で保持した。表16参照。
【0115】
【表16】
その後、これらの組成物を、実施例2におけるように血液検体を分析するために独立して使用した。図3A〜3J参照。これらの図は、異なる量の遊離フィコビリタンパク質の使用による保管中のリガンド−色素組成物の安定性を明示している。それにより、これらの結果は、遊離、非結合体化フィコビリタンパク質が、3色試薬のさらに複雑な混合物において事前処方組成物の経時的な分解を制限することの例証となる。
【0116】
上に列挙したすべての出版物、特許および特許出願、ならびに優先権書類の開示は、参照により本明細書に援用されている。本明細書に記載する方法および組成物についての非常に多数の従来の変更形態および変形形態が上記明細書に含まれており、それらは当業者には明らかであると予想される。本発明の様々な実施形態の組成物およびプロセスに対するそのような変更形態および変形形態は、本明細書に添付する特許請求の範囲に包含されると考えられる。
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
フィコビリタンパク質およびそれらのタンデム色素(tandem dye)は、フローサイトメトリーにおける蛍光標識として広く用いられている重要な蛍光色素である。タンデム色素の使用は、異なる発光スペクトルを有する追加の蛍光色素を供給することによるフローサイトメトリーでの進展されたマルチカラー分析能力を、1つのレーザー線によって励起される単一ドナー色素を使用して進展させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
マルチカラー組み合わせで多数のタンデム色素を使用すると、蛍光シグナル間の識別困難が生ずることがある。今日まで、当該技術分野は、一般に、これらの「困難」を色素不安定性のためであるとしてきた。しかし、これらの問題に対処するための明確な回答および提案は、一切されていない。従って、フィコビリタンパク質結合体化リガンドのユニークな組み合わせを用いる分析のための組成物および方法が、当該技術分野において依然として必要とされている。詳細には、当該技術分野において公知の組成物で遭遇する経時的分解を制限するフィコビリタンパク質含有タンデム色素組成物が、当該技術分野において依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の概要)
理解を容易にするために、以下の概要および詳細な説明においてフィコビリタンパク質、リガンド、色素または種に適用する場合、用語「第一の」、「第二の」、「第三の」などは、あるフィコビリタンパク質、リガンド、色素または種と別のフィコビリタンパク質、リガンド、色素または種とを、同じ組成物中に存在するときにそれぞれ区別するために用いる。量、順序または重要度を特定するためにこれらの用語を用いてはいない。
【0004】
1つの態様において、第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドを含有する組成物を提供する。前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含む第一のフィコビリタンパク質と、前記第一のフィコビリタンパク質に結合体化した第一のパートナー色素とを含む。前記組成物は、非結合体化第二のフィコビリタンパク質も含む。前記第一のフィコビリタンパク質および前記第二のフィコビリタンパク質は、第一の(すなわち同じ)細菌種または真核藻種から得られる。1つの実施形態において、前記第一のフィコビリタンパク質と前記第二のフィコビリタンパク質は同じである。もう1つの実施形態において、前記第一および第二のフィコビリタンパク質は異なり、前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0005】
もう1つの態様において、上に記載したような組成物は、第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンドをさらに含有する。前記第二のタンデム色素は、第三のフィコビリタンパク質と、該第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のパートナー色素とを含む。前記第三のフィコビリタンパク質は、架橋および非架橋サブユニットを含有し、ならびに前記第一の細菌または真核藻種から得られる。この組成物は、サブユニットを含む非結合体化第四フィコビリタンパク質も含有する。前記第四のフィコビリタンパク質も前記第一の細菌または真核藻種から得られる。1つの実施形態において、前記第一、第二、第三および第四のフィコビリタンパク質は、同じである。もう1つの実施形態において、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二および第三のフィコビリタンパク質と異なり、ならびに前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二および第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0006】
さらなる態様において、上に記載したような組成物は、第三のタンデム色素に結合体化した第三のリガンドを含有する。前記第三のタンデム色素は、第五のフィコビリタンパク質と、該第五のフィコビリタンパク質に結合体化した第三のパートナー色素とを含有する。前記第五のフィコビリタンパク質は、架橋および非架橋サブユニットを含有し、ならびに前記第一の細菌または真核藻種から得られる。この組成物は、非結合体化第六のフィコビリタンパク質も含有する。前記非結合体化第六のフィコビリタンパク質は、サブユニットを含有し、および前記第一の細菌または真核藻種から得られる。1つの実施形態において、前記第一、第二、第三、第四、第五および第六のフィコビリタンパク質は、同じである。もう1つの実施形態において、前記第六のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三、第四および第五のフィコビリタンパク質と異なり、ならびに前記第六のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三、第四および第五のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0007】
さらにもう1つの実施形態において、上に記載したような組成物は、第四のタンデム色素に結合体化した第四のリガンドも含有する。前記第四のタンデム色素は、第七のフィコビリタンパク質と、該第七のフィコビリタンパク質に結合体化した第四のパートナー色素とを含む。前記第七のフィコビリタンパク質は、架橋および非架橋サブユニットを含有し、ならびに前記第一の細菌または真核藻種から得られる。この組成物は、非結合体化第八のフィコビリタンパク質も含有する。前記非結合体化第八のフィコビリタンパク質は、サブユニットを含有し、および前記第一の細菌または真核藻種から得られる。1つの実施形態において、前記第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七および第八のフィコビリタンパク質は、同じである。もう1つの実施形態において、前記第八のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三、第四、第五、第六および第七のフィコビリタンパク質と異なり、ならびに前記第八のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三、第四、第五、第六および第七のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0008】
もう1つの態様では、上に記載した組成物のいずれもが、フィコビリタンパク質でない色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンドを含む。
【0009】
さらにもう1つの態様において、前記第一のタンデム色素に結合体化した前記第一のリガンドと前記非結合体化第二のフィコビリタンパク質とを含有する上記組成物は、第一の細菌または真核藻種から得られる第三のフィコビリタンパク質に結合体化した1つ以上の追加のリガンドも含む。1つの実施形態において、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質または前記第二のフィコビリタンパク質と同じである。もう1つの実施形態において、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質または前記第二のフィコビリタンパク質と異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0010】
なおまたさらなる態様において、前記第一のタンデム色素に結合体化した前記第一のリガンドと前記非結合体化第二のフィコビリタンパク質とを含有する上記組成物は、(a)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンドおよび(b)非結合体化第四のフィコビリタンパク質も含む。前記第二のタンデム色素は、第三のフィコビリタンパク質と、該第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のパートナー色素とを含む。前記第三のフィコビリタンパク質は、架橋および非架橋サブユニットを含有し、ならびに第二の細菌または真核藻種から得られる。前記非結合体化第四のフィコビリタンパク質は、サブユニットを含有し、および前記第二の細菌または真核藻種から得られる。1つの実施形態において、前記第三および第四のフィコビリタンパク質は同じである。さらなる実施形態において、前記第三および第四のフィコビリタンパク質は異なり、ならびに前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0011】
さらなる態様において、検体における細胞および非細胞集団を分析するための方法を提供する。この方法は、前記検体と本明細書に記載する組成物とを併せる工程、および蛍光を分析することによって前記検体中の前記集団を同定する工程を含む。望ましくは、前記細胞および非細胞集団の少なくとも1つは、前記第一のリガンドの受容体を含む。
【0012】
本特許請求の範囲の本発明の様々な実施形態の他の態様および利点を、以下の発明の詳細な説明において開示する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】図1A〜3Jは、2つの異なる蛍光色素の蛍光強度を同じ全血検体の様々な細胞集団についてプロットしている、2および3色試薬組成物の二重パラメータヒストグラムである。これらのヒストグラムは、異なる量の遊離フィコビリタンパク質の使用による本明細書に記載するリガンド−色素組成物の保管中の安定性向上を明示している。図1Aは、2から8℃で21日間個々に保管した成分から新たに処方した、リガンド/色素結合体、すなわちCD3−アロフィコシアニン(APC)(0.5μg)、およびリガンド/タンデム色素結合体、すなわちCD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、を含有する先行技術分野において入手可能な試薬組成物、すなわち「先行技術の作りたて(fresh)混合物」を使用して調製した検体の、および該試薬組成物の効果を示す、二重パラメータヒストグラムを提供するものである。両方の結合体におけるAPCは、同じ細菌種、すなわちSpirulina platensisからのものである。遊離(非結合体化)APCは存在しない。
【図1B】図1Bは、2から8℃で事前処方して21日間保持した、CD3−APC(0.5μg)およびCD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)を含有する先行技術分野において入手可能な組成物、すなわち「先行技術の保管混合物」を使用して調製した検体の、および該組成物の効果を示す、二重パラメータヒストグラムを提供するものである。両方の結合体中のAPCは、同じ細菌種、すなわちSpirulina platensisからのものである。遊離(非結合体化)APCは存在しない。
【図1C】図1Cは、2から8℃で21日間個々に保持した成分から新たに処方した、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および非結合体化APC(0.5μg)を含有する本明細書に記載する2色試薬組成物を使用して調製した検体の、および該2色試薬組成物の効果を示す、二重パラメータヒストグラムを提供するものである。
【図1D】図1Dは、21日間、2から8℃で事前処方しておいた、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および非結合体化APC(0.5μg)を含有する本明細書に記載する2色試薬組成物を使用して調製した同じ検体の、および該2色試薬組成物の効果を示す、二重パラメータヒストグラムを提供するものである。図1Aおよび1Bを図1Cおよび1Dと対比させる。
【図2A】図2Aは、CD3−APC(0.5μg)およびCD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)を含有する先行技術の2色試薬組成物、すなわち「先行技術の作りたて混合物」を使用して新たに調製した対照検体の、二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2B】図2Bは、CD3−APC(0.5μg)およびCD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)を含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、先行技術の2色試薬組成物、すなわち「先行技術の保管混合物」を使用する検体の、二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2C】図2Cは、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および0.0625μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、本明細書に記載する2色試薬組成物を使用する検体の二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2D】図2Dは、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および0.125μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、本明細書に記載する2色試薬組成物を使用する検体の二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2E】図2Eは、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および0.25μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、本明細書に記載する2色試薬組成物を使用する検体の二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2F】図2Fは、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および0.5μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、本明細書に記載する2色試薬組成物を使用する検体の二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2G】図2Gは、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および2.0μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、本明細書に記載する2色試薬組成物を使用する検体の二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2H】図2Hは、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および5.0μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、本明細書に記載する2色試薬組成物を使用する検体の二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図2I】図2Iは、CD3−APC(0.5μg)、CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素(0.5μg)、および10μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で21日間保持された、本明細書に記載する2色試薬組成物を使用する検体の二重パラメータ蛍光ヒストグラムを提供するものである。図2Aおよび2Bと2Cから2Iとの比較により、先行技術のものに対する本明細書に記載する組成物の安定性向上が示される。
【図3A】図3A〜3Jは、2つの異なる蛍光色素の蛍光強度を同じ全血検体の様々な細胞集団についてプロットしている、3色試薬組成物を使用することによって得た二重パラメータヒストグラムである。図3Aおよび3Bは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素を含有する先行技術の組成物、すなわち「先行技術の作りたて混合物」を使用して新たに調製した検体の、蛍光ヒストグラムを提供するものである。図3E〜3Jのものとの比較のために、これらのヒストグラムを提供する。
【図3B】図3Aおよび3Bは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素を含有する先行技術の組成物、すなわち「先行技術の作りたて混合物」を使用して新たに調製した検体の、蛍光ヒストグラムを提供するものである。図3E〜3Jのものとの比較のために、これらのヒストグラムを提供する。
【図3C】図3Cおよび3Dは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素を含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された先行技術の組成物、すなわち「先行技術の保管混合物」を使用する検体の、蛍光ヒストグラムを提供するものである。図3E〜3Jのものとの比較のために、これらのヒストグラムを提供する。
【図3D】図3Cおよび3Dは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素を含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された先行技術の組成物、すなわち「先行技術の保管混合物」を使用する検体の、蛍光ヒストグラムを提供するものである。図3E〜3Jのものとの比較のために、これらのヒストグラムを提供する。
【図3E】図3Eおよび3Fは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素および0.5μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された、本明細書に記載するとおりの組成物を使用する検体の蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図3F】図3Eおよび3Fは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素および0.5μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された、本明細書に記載するとおりの組成物を使用する検体の蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図3G】図3Gおよび3Hは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデムおよび1.0μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された、本明細書に記載するとおりの組成物を使用する検体の蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図3H】図3Gおよび3Hは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデムおよび1.0μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された、本明細書に記載するとおりの組成物を使用する検体の蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図3I】図3Iおよび3Jは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素および2.0μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された、本明細書に記載するとおりの組成物を使用する検体の蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図3J】図3Iおよび3Jは、CD4−XL−4−APC−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素、CD19−APCおよびCD8−XL−APC−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素および2.0μgの天然の、非結合体化APCを含有し、ならびに2から8℃で120日間保持された、本明細書に記載するとおりの組成物を使用する検体の蛍光ヒストグラムを提供するものである。
【図4】図4は、様々な架橋度を有するSpirulina platensisから単離したAPCサンプルの、ならびにSpirulina platensisから単離した架橋を有さない一(1)つのAPCサンプルの、サイズ排除クロマトグラフィー保持容積に対する波長(A280)のプロットを提供するものである。前記APCの架橋率は、溶出ピーク下面積を計算することによって決定した。クロマトグラムにおける全面積に対するインタクトピークの積分面積の比によってサンプルについての架橋率を得た。このプロットの右側の最高ピークは、前記一(1)つの非架橋APCサンプルに対応する。このプロットの残りのピークは、前記架橋APCサンプルに対応する。具体的には、このプロットの左側のピークは、インタクトAPC分子に対応し、およびこのプロットの右側の(非架橋APCピークの下の)小ピークは、APCサブユニットに対応する。
【図5】図5は、フィコビリタンパク質と蛍光発生性(fluorescable)色素とを含むタンデム色素で標識したリガンドを、フィコビリタンパク質で直接標識したリガンドと共に保管したときに経時的に発生するサブユニット交換を示す略図である。山括弧(^)は、架橋を表し、L1は、第一のリガンドを表し、L2は、第二のリガンドを表し、「色素」は、蛍光発生性色素を表し、「α」は、フィコビリタンパク質の1つのサブユニットを表し、および「β」は、フィコビリタンパク質の第二のサブユニットを表す。用語「架橋」またはその変化形は、容易に破壊されない共有結合による分子ユニットの連結を指す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本明細書に記載する組成物および方法は、マルチカラー試薬処方物中のフィコビリタンパク質含有タンデム色素の分解または不安定性に関連した困難に対する解決策をもたらす。
【0015】
本出願の発明者らは、一緒に保管したフィコビリタンパク質およびそれらのタンデム色素への異なる抗体の結合体を含有する組成物を使用してこの問題を確認した。具体的には、異なる抗体に結合体化したアロフィコシアニン(APC)およびAPC−タンデム色素(例えば、APC.AlexaFluor(登録商標)700、APC.AlexaFluor(登録商標)750、APC.Cy(登録商標)7など)の結合体を、マルチカラー処方物において一緒に保管し、生物検体と併せ、その後、フローサイトメトリーを用いてそのサンプルを分析したとき、上に記載した「困難」が観察された。それらの蛍光ヒストグラムでは、別々に保管した同じ試薬の新たな混合物を他の点では同一の条件下で使用したときの蛍光ヒストグラムと比較して、補正要求(ブリード・オーバー(bleed over))の漸進的増加が観察された。フィコエリトリン(PE)およびPE系タンデム色素(例えば、PE−Texas RedTM、PECy(登録商標)5、PECy(登録商標)5.5、PE−AlexaFluor(登録商標)647、PE−AlexaFluor(登録商標)700およびPECy(登録商標)7)の抗体結合体を使用したときも、類似した観察がなされた。
【0016】
理論により拘束されることを望まないが、本発明者らは、フィコビリタンパク質を含有するリガンド−タンデム色素結合体とリガンド−フィコビリタンパク質結合体との間で、それらが混合状態にあるとき、発生するサブユニット交換が、該タンデム色素と該直接結合体化フィコビリタンパク質との間での補正要求の望ましくない増加(ブリード・オーバー)を生じさせる結果となると推測した。本発明者らは、架橋フィコビリタンパク質の結合体、例えばXL.APC、と架橋タンデム色素の対応する結合体、例えば、XL.APC−AlexaFluor(登録商標)750、とを併せ、約2から約8℃の温度で保持したとき、個々のフィコビリタンパク質分子のサブユニットが交換するようであることに気づいた。例として、本発明者らは、CD3−APCをCD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750と混合し、ある期間にわたって約2から約8℃で保持したとき、蛍光ヒストグラムによって証明されるように、CD3−APC−AlexaFluor(登録商標)750およびCD19−APC結合体が形成されたようであることに気づいた。
【0017】
このフィコビリタンパク質サブユニット交換の1つの態様を図5において図によって明らかにする。勿論、図5に示すリガンドおよび/または蛍光発生性色素の1つ以上を架橋サブユニットまたは非架橋サブユニットに結合体化し得ること、ならびにこのサブユニット交換の様々な変更形態が同じ溶液中で発生し得ることは、当業者には理解される。
【0018】
アロフィコシアニンB(APC−B)とアロフィコシアニン(APC)(両方とも、Synechococcus 6301、シアノバクテリウム、から単離されたものである)の間のサブユニット交換は、文献において論じられている(Journal of Biological Chemistry,256,12600(1981)参照)。要約すると、APC−BとAPCの混合物では、異種三量体がサブユニット交換によってほぼ統計量で形成されることが書き留められている。例えば、APCが、個々のサブユニットの構造およびアミノ酸配列に基づき疎水性相互作用ならびに水素およびイオン結合の組み合わせによって会合している3つのα−サブユニットおよび3つのβ−サブユニットを含む四量体構造を有することは公知である。低濃度で、低pH条件で、および1つ以上のカオトロピックイオンに曝露されたとき、APCがそのサブユニット(α−βモノマーならびにαおよびβ成分)に解離することも公知である。本明細書において用いる場合の用語「カオトロピックイオン」は、分子内相互作用の安定化に干渉することによりフィコビリタンパク質の三次元構造を破壊する作用因子を指す。架橋APC組成物は、様々な販売元(数ある中でも、Prozyme Inc.およびMartek Biosciences)によって報告され、市販されている。
【0019】
本発明者らは、この望ましくないサブユニット交換問題に対処するために本明細書において論じる新規試薬組成物を考案した。本発明者らは、リガンド結合体化フィコビリタンパク質タンデム色素を含有する試薬組成物に、該リガンド結合体化タンデム色素におけるフィコビリタンパク質と同じ細菌種からのものであるか、またはそれらとサブユニット交換することができる、非結合体化フィコビリタンパク質を添加することによって、比較的安定な試薬組成物が得られることを発見した。上の概要において述べた、および下で詳細に論ずるようなこれらの安定な色素組成物の様々な実施形態により、生物検体分析用の先行技術のマルチカラー組成物について本発明者が確認した安定性の問題は解決される。本明細書に記載する組成物の様々な実施形態は、次の標識リガンドを含有することがある:(a)フィコビリタンパク質を含有するタンデム色素に結合体化した少なくとも1つのリガンド;(b)場合により、フィコビリタンパク質に直接結合体化した1つ以上のリガンド;および(c)場合により、フィコビリタンパク質ではない蛍光性色素または標識に結合体化した1つ以上のリガンド。前記組成物は、タンデム色素に結合体化したリガンドのフィコビリタンパク質とサブユニットを交換する少なくとも1つの非結合体化フィコビリタンパク質も、別の成分として含有する。
【0020】
本明細書において用いる場合の用語「安定な」は、生物検体との混合前および/または後の本発明の組成物を指す。1つの実施形態において、「安定な」は、生物検体に添加し、その後、蛍光を用いて細胞集団についてそれを分析したとき、蛍光特性に有意な変化を生じさせる結果とならない、本明細書に記載する組成物を指す。望ましくは、「安定な」は、リガンド結合体化タンデム色素の蛍光特性、および任意の他のリガンド結合体化フィコビリタンパク質の蛍光特性が、混合後に変化しない組成物を指す。さらなる実施形態において、前記組成物は、その成分を混合した直後および生物検体と混合する前に「安定」している。もう1つの実施形態において、前記組成物は、混合後少なくとも1週間から約52週間まで約2から約8℃で保管した後、「安定」している。追加の例として、そのような組成物は、混合後少なくとも4、10、15、20、25、30、35、40、45、50、または51週間、安定している。
【0021】
望ましくは、前記組成物は、それらの保管または取扱いに必要な任意の温度で安定している。1つの実施形態において、前記組成物は、低温、すなわち室温より低い温度、で安定している。もう1つの実施形態において、前記組成物は、約2から約10℃で安定している。特定の実施形態において、前記組成物は、約2、3、4、5、6、7、8、9または10℃で安定している。さらにもう1つの実施形態において、前記組成物は、室温で安定している。いっそうさらなる実施形態において、前記組成物は、高温、すなわち室温より高い温度、で安定している。
【0022】
本明細書に記載する新規色素組成物を細胞および非細胞分析のための方法において用いたとき、リガンド結合体化タンデム色素、またはリガンド結合体化フィコビリタンパク質、いずれかで標識した細胞の蛍光特性に関して、低減されたブリードオーバーが観察されたか、または新たに調製した組成物に比べてブリードオーバーは観察されなかった。例えば、本図面、および本明細書の中で提供する実施例を参照のこと。さらに、前記色素組成物は、誤ったデータの減少、より少ない廃棄色素組成物に起因する費用低減、および作りたて色素組成物(作りたて対照組成物を含む)を連続調製するために必要とされる時間の低減をもたらした。
【0023】
(I.定義)
以下の定義を提供する。以下の定義は、当該技術分野において広範に利用できる情報を含む。ある用語の例を提供する場合、それは、網羅的であることを意図したものではなく、当該技術分野において公知のまたは利用できる他の例を含むことがある。従って、そのような例は、本発明の限定を意味するものではない。
【0024】
(A.「検体」)
本明細書において用いる場合の「検体」は、細胞および/または非細胞集団を含有する任意の哺乳動物細胞含有懸濁物、すなわち生物検体、である。特定の実施形態において、検体を提供する哺乳動物はヒトであるが、他の非ヒト哺乳動物からの検体も用いることができる。用語「細胞の」および「非細胞の」は、当業者には容易に理解される。細胞または非細胞集団の少なくとも1つは、上で記載した組成物に用いられる異なるリガンドそれぞれについての受容体を必要とする。典型的「細胞」集団としては、限定ではないが、血液学的細胞および非血液学的細胞が挙げられる。そのような検体としては、限定ではないが、全血、末梢血、骨髄吸引液、リンパ節組織、脾臓組織、脳脊髄液、皮膚組織、粘膜組織、胸腔穿刺液、胸膜液、および脊髄液が挙げられる。血液学的(すなわち血液)細胞集団は、単球、リンパ球、好中球、好酸球、好塩基球、骨髄球、後骨髄球、前骨髄球、未成熟顆粒球、杵状球(band)、芽球、変異(variant)リンパ球および異型(atypical)リンパ球の中から選択される。非白血球血液学的細胞集団としては、赤血球、網状赤血球、有核赤血球、血小板、網状血小板および巨核球が挙げられる。血液中の異型細胞としては、骨髄球、後骨髄球、前骨髄球、未成熟顆粒球、杵状球(band cells)、芽球、異形リンパ球、変異リンパ球、有核赤血球、巨大血小板、血漿細胞などが挙げられる。非血液学的細胞としては、数ある中でも、上皮細胞および内皮細胞が挙げられる。典型的な「非細胞」集団としては、限定ではないが、数ある中でも、ビーズ、タンパク質、微粒子、ミクロソームが挙げられる。
【0025】
1つの実施形態において、検体は、単球、リンパ球、好中球、好酸球および好塩基球である5つの「正常」な白血球集団を含有し、ならびに疾患、有害な環境刺激、例えば発癌性物質、に対する反応、または治療処置の結果に起因する多数の異型細胞集団をことによると含有する、ヒト全血または末梢血検体である。従って、これらの方法による分析に適する検体は、成熟および未成熟両方の白血球および非白血球集団、ならびに異型細胞を含有し得る可能性が高いヒト患者血液検体である。1つの例では、検体は、芽球を含有する。さらなる例では、検体は、有核赤血球を含有する。もう1つの例として、検体は、未成熟顆粒球を含有する。さらにもう1つの例として、検体は、異形リンパ球を含有する。異常検体中の細胞の他の組み合わせも、本明細書に記載する方法および組成物によって分析することができる。
【0026】
(B.「リガンド」)
本明細書に記載する組成物のすべての実施形態において、用語「リガンド」は、細胞または非細胞粒子の表面に存在する受容体に結合する部分(例えば、抗体)を指す。1つの実施形態において、リガンドを、上で記載したタンデム色素のフィコビリタンパク質「に結合体化させる」、「と会合させる」または「に結合させる」。当業者は、当該技術分野における方法により、タンデム色素をモノクローナル抗体などのリガンドに容易に結合体化させることができる。1つの実施形態では、前記タンデム色素を、該色素のイミノチオラン活性化によって、前記リガンドに結合体化させる。
【0027】
本明細書において用いる場合、リガンドは、1つ以上の特定の受容体を検出して該受容体と反応する様々な作用因子を含む。すべての適するリガンドは、粒子集団の特定受容体を結合する望ましい能力を特徴とする。1つの実施形態において、前記リガンドは、細胞表面受容体のすべてまたは一部分に優先的に結合する成分である。典型的に、前記リガンドは、単離することができ、および自然に存在することがあり、または組換え生産することができ、または人工のもしくは合成のものであり得る、アミノ配列または核酸配列を含有する。1つの実施形態において、前記リガンドは、タンパク質、例えば抗体もしくは酵素、またはそれらのフラグメントである。もう1つの実施形態において、前記リガンドは、核酸プローブである。さらに他の実施形態において、前記リガンドは、多分子集合体、例えば組換えタンパク質の四量体、である。そのようなリガンドの構築に有用な方法は、当業者に公知である。
【0028】
慣例的には、細胞分析のために、細胞表面決定基に対する抗体または抗体フラグメントが、一般に好まれるリガンドである。本明細書において用いる場合の用語「抗体」は、クラスIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEのポリクローナル、モノクローナル、合成または組換え抗体を包含することを意図したものである。抗体フラグメントも有用であり、抗体フラグメントとしては、限定ではないが、上のインタクト抗体の1つ以上についてのFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメントまたはFc抗体フラグメントが挙げられる。類似して、一本鎖可変抗体フラグメントまたは抗体の相補性決定領域(CDR)を含む組換え構築物をこれらの方法において有用なリガンドとして用いることができる。さらに、所望の細胞表面抗原を結合する抗体の機能的に等価の結合特性を保持するために十分なCDRを共有する合成抗体またはキメラ抗体またはヒト化抗体構築物も、一般に好まれるリガンドとして利用することができる。
【0029】
1つの実施形態において、本明細書に記載する組成物に使用するための個々のリガンドまたは抗体は、選択された検体中の細胞集団上で差次的に発現される抗原決定基にそれぞれ結合するものであり、ならびに光散乱および/または電気的パラメータとの特定の組み合わせによって所望の差次的情報が得られるように選択される。例えば、1つの実施形態において、本明細書において有用な抗体は、白血球および非白血球の集団上で差次的に発現される抗原決定基に結合する。そのような抗原決定基は、非白血球には完全になく、白血球上でしか発現されない場合がある。あるいは、そのような抗原決定基は、白血球上で豊富に発現され、非白血球上で最小限にしか発現されないことがある。従って、そのような抗体は、白血球と非白血球、例えば赤血球(RBC)、有核赤血球または血小板、を識別および差別化することができる。さらに他の実施形態は、同じ細胞タイプまたは集団上の異なる決定基を結合する1つより多くの抗体を用いる。従って、同じ細胞タイプまたは集団上の異なる決定基を結合する異なる抗体の組み合わせを、細胞集団上の1つの決定基を結合する単一の抗体の代わりに用いることができる。もう1つの実施形態において、そのような抗体(または抗体の組み合わせ)は、白血球が成熟および加齢するにつれての該白血球上の抗原決定基の差次的発現に基づき、成熟白血球と未成熟白血球とを区別することもできる。
【0030】
本明細書に記載する組成物においてリガンドとして有用な、および血液学的分析のために有用な抗体としては、限定ではないが、当該技術分野に公知であるものの中でもとりわけ、抗CD2、抗CD3、抗CD4、抗CD5、抗CD7、抗CD8、抗CD9、抗CD10、抗CD11a、CD11b、抗CD13、抗CD14、抗CD15、抗CD16、抗CD16b、抗CD18、抗CD19、抗CD20、抗CD23、抗CD24、抗CD25、抗CD33、抗CD35、抗CD36、抗CD38、抗CD41、抗CD45、抗CD45RA、抗CD48、抗CD49d、抗CD50、抗CD52、抗CD53、抗CD55、抗CD56、抗CD59、抗Cd61、抗CD62L、抗CD62p、抗CD64、抗CD66b、抗CD66c、抗CD73、抗CD82、抗CD87、抗CD90、抗CD117、抗CD142、抗CD235a、抗CD235b、抗CD235c、抗CD236、抗CD236r、抗CD239、抗CD240、抗CD241、抗CD242、抗gp42、抗LY−6、抗RT 6、抗SCA−2、抗Kappa、抗Lambda、および抗HLA−DRが特に挙げられる。前記組成物中の特定のリガンド(単数または複数)の選択によって本発明が限定されないこと、および当業者が、前記組成物に含めるために、本明細書に具体的に列挙しない他のリガンドまたは抗体を選択し利用できるだろうということは、容易に理解される。
【0031】
前記組成物は、1つ以上のリガンドを含有する。1つの実施形態において、前記組成物は、2つ以上のリガンドを含有する。もう1つの実施形態において、前記組成物は、3つ以上のリガンドを含有する。さらなる実施形態において、前記組成物は、4つ以上のリガンドを含有する。さらにもう1つの実施形態において、前記組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のリガンドを含有する。単一の試薬組成物において用いることができるリガンドの「最大」数がないこと、ならびにその選択が利用する試薬および計器の能力に依存することは、当業者には容易に理解される。
【0032】
単一の組成物中に存在するリガンドは、同じであることもあり、または異なることもある。1つの実施形態において、前記組成物は、2つのリガンドを含有し、それらのリガンドは同じである(L1およびL1)。もう1つの実施形態において、前記組成物は、2つのリガンドを含有し、それらのリガンドは異なる(L1およびL2)。さらなる実施形態において、前記組成物は、3つのリガンドを含有し、それらのリガンドのすべてが同じである(L1、L1、およびL1)。なおまたさらなる実施形態において、前記組成物は、3つのリガンドを含有し、3つすべてのリガンドが異なる(L1、L2、およびL3)。さらにもう1つの実施形態において、前記組成物は、3つのリガンドを含有し、それらのリガンドのうちの2つが同じであり、1つのリガンドが異なる(L1、L1およびL2)。さらなる実施形態において、前記組成物は、4つのリガンドを含有し、それらのリガンドのすべてが同じである(L1、L1、L1、L1)。なおまたさらなる実施形態において、前記組成物は、4つのリガンドを含有し、それらのリガンドの4つすべてが異なる(L1、L2、L3、L4)。さらにもう1つの実施形態において、前記組成物は、4つのリガンドを含有し、それらのリガンドのうちの任意の2つが同じであり、および他の2つは同じであるが、最初の2つのリガンドとは異なる(L1、L1、L2、およびL2)。なおまたさらなる実施形態において、前記組成物は、4つのリガンドを含有し、それらのリガンドのうちの任意の3つは同じであり、第四のリガンドが異なる(L1、L1、L1、およびL2)。同様の数列を、5つ以上のリガンドを含有する組成物に用いることができ、当業者はそれを容易に決定できる。下記方程式を参照のこと(式中、nは、リガンドの総数であり、rは、他のものと異なるリガンドの数であり、および0≦r≦n)。
【0033】
【化1】
本明細書に記載する組成物または方法において使用するために選択されるそれぞれのリガンドを、蛍光色素または蛍光性色素と呼ばれる蛍光検出可能標識と会合させるか、該標識に結合体化させるか、または該標識に結合させる。そのような蛍光色素または蛍光性色素には、フィコビリタンパク質;フィコビリタンパク質である場合もあり、ない場合もあるパートナー色素に結合体化した、フィコビリタンパク質を用いるタンデム色素;ならびにリガンドを標識するために従来用いられている他の色素などがある。本明細書に記載する組成物の実施形態のすべてにおいて、少なくとも1つのリガンドを、フィコビリタンパク質を含有するタンデム色素に結合体化させる。他の実施形態では、加えて、少なくとも1つのフィコビリタンパク質または他の蛍光性色素を、リガンドに直接結合させる。
【0034】
選択された蛍光色素とリガンドを会合、結合体化またはカップリングさせるための方法は、同様に従来的であり、当業者に公知である。公知の蛍光色素取付け法は、記載されている(例えば、数ある中でも、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,第6版,R.P.Haugland,Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR,1996;Pierce Catalog and Handbook,Life Science and Analytical Research Products,Pierce Chemical Company,Rockford,IL,1994/1995;米国特許第6,692,968号および同第5,164,311号を参照のこと(これらは、参照により本明細書に援用されている))。従って、タンデム色素またはフィコビリタンパク質または他の非フィコビリタンパク質色素のカップリング方法の選択により、本明細書に記載する組成物は限定されない。同様に、タンデム色素の成分を結合体化させる方法は、従来的であり、当該技術分野に公知である。
【0035】
前記方法において使用されるリガンドの最適な濃度は、選択されるリガンドに基づいて規定され、当業者はそれを決定できる。
【0036】
(C.「タンデム色素」)
本明細書に記載する組成物の実施形態のすべてにおいて、フィコビリタンパク質を含有するタンデム色素に少なくとも1つのリガンドを結合体化させる。当業者に公知のとおり、および本明細書において用いる場合の用語「タンデム色素」は、本明細書において「パートナー」色素と呼ぶ別の蛍光性色素に結合体化した、そのサブユニット間にある程度の架橋を有するフィコビリタンパク質で構成された自然に存在しない分子を指す。様々な公知のおよび市販されているタンデム色素を本記載組成物に用いることができる。
【0037】
本明細書における組成物に有用なタンデム色素の例は、米国特許第4,542,104号;同第5,272,257号;および同第5,171,846号;A.S.Waggonerら、1993 Ann.N.Y.Acad.Sci.,677:185−193;M.Roedererら、1996 Cytometry,24:191−197に記載されており、これらは参照により本明細書に援用されている。1つの望ましい実施形態において、前記タンデム色素は、アロフィコシアニンとAlexaFluor(登録商標)700色素のタンデム色素、アロフィコシアニンとAlexaFluor(登録商標)750色素のタンデム色素、アロフィコシアニンとCy(登録商標)7色素のタンデム色素、フィコエリトリンとTexas RedTM色素のタンデム色素、フィコエリトリンとCy(登録商標)5色素のタンデム色素、フィコエリトリンとCy(登録商標)5.5色素のタンデム色素、フィコエリトリンとCy(登録商標)7色素のタンデム色素、およびアロフィコシアニンとH7TM色素のタンデム色素である。
【0038】
1つの特定の実施形態において、前記タンデム色素は、APC.AlexaFluor(登録商標)700色素である。もう1つの特定の実施形態において、前記タンデム色素は、APC.AlexaFluor(登録商標)750色素である。さらにもう1つの特定の実施形態において、前記タンデム色素は、APC.Cy(登録商標)7色素である。
【0039】
(D.「フィコビリタンパク質」)
当業者に公知のとおり、および本明細書において用いる場合のフィコビリタンパク質は、細菌または真核藻から単離される2つ以上の連結されたサブユニットで構成された蛍光タンパク質であり、血液学的分析に広範に用いられている。参照により本明細書に援用されている「Phycobiliproteins」,Robert MacColl and Deborah Guard−Friar,CRS Press(1987)を参照のこと。フィコビリタンパク質は、当該技術分野において、限定ではないが、数ある中でも、Invitrogen/Molecular Probes、Pierce(Thermo Fisher Scientific)、Sigma、およびProzymeをはじめとする販売元から、幅広く入手できる。
【0040】
1つの実施形態では、前記フィコビリタンパク質を細菌種から単離することができる。一定のフィコビリタンパク質は、シアノバクテリウムから単離される。フィコビリタンパク質を発現することができるシアノバクテリア種の例としては、限定ではないが、Spirulina platensis、Anabaena variabilis、Gloeobacter violaceus、Tolypothrix tenuis、またはLyngbya lagerheimiiが挙げられる。さらなる実施形態では、前記フィコビリタンパク質を真核藻種から単離することができる。
【0041】
1つの実施形態において、前記フィコビリタンパク質は、限定ではないが、アロフィコシアニン(APC)、フィコエリトリン(PE)、フィコシアニン(PC)、およびフィコエリスロシアニン(PEC)である。さらなる実施形態において、前記フィコビリタンパク質は、R−フィコエリトリン(RPE)、B−フィコエリトリン(BPE)、C−フィコエリトリン(CPE)、Y−フィコエリトリン(YPE)、C−フィコシアニン(CPC)、フィコエリトリン566(PE566)、フィコエリスロシアニン(PEC)、R−フィコシアニン(RPC)、およびアロフィコシアニン(APC)である。もう1つの実施形態において、前記フィコビリタンパク質は、アロフィコシアニンである。
【0042】
(E.蛍光性色素または蛍光色素)
本明細書において用いる場合、タンデム色素を形成するために、今記載したばかりのフィコビリタンパク質に結合体化させる、「パートナー」と記述するいずれの色素も、非フィコビリタンパク質色素に直接結合体化した1つ以上のリガンドを含有する組成物の実施形態において用いることができる。従って、フィコビリタンパク質以外の蛍光色素、蛍光標識、または蛍光性色素についての以下の記載は、タンデムパートナー色素(これは、一般に、フィコビリタンパク質以外のものである)にも、これらの組成物の自由選択のリガンド成分に直接結合体化した個々の色素にも、あてはまる。これらの組成物および方法の一定の実施形態では、少なくとも1つのフィコビリタンパク質または他の蛍光性色素をリガンドに直接結合させる。タンデム色素についてのドナー−アクセプターペアの望ましい特性は、参照により本明細書に援用されている米国特許第4,542,104号に記載されている。
【0043】
それぞれの蛍光性色素は、特性「発光スペクトル」を有し、その一部分が特性「ピーク発光スペクトル」である。本明細書において用いる場合、用語「発光スペクトル」は、蛍光色素が励起されたときに放射する、それぞれの周波数の電磁放射線の量を一般に意味する。一般に、発光スペクトルは、ナノメートルで通常は測定される一定の周波数帯(すなわち波長)によって構成される範囲またはプロフィールである。本明細書において用いる場合、用語「ピーク発光スペクトル」は、発光スペクトルの最大強度部分を意味する。多種多様な色素についての発光スペクトルが当該技術分野において公知であり、ならびに限定ではないが、参照により本明細書に援用されているShapiro,Howard M.(2003)Practical Flow Cytometry 第4版,Wiley−Liss,Hoboken,NJ pp.296−297を含む様々な周知テキストにおいて公表されている。任意の所与の蛍光色素についてのピーク発光スペクトルは、公知であり、ならびにそのような蛍光色素を記載している出版物、例えば、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,第6版,R.P.Haugland,Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR,1996;Pierce Catalog and Handbook,Life Science and Analytical Research Products,Pierce Chemical Company,Rockford,IL,1994/1995,Molecular Probes、および当業者に公知の他の類似のテキストから容易に得ることができ、ならびに参照により本明細書に援用されている。蛍光分光光度計を使用してスペクトルスキャンを行うことにより、任意の所与の蛍光色素についての発光スペクトル特性を得ることもできる。
【0044】
当業者は、任意の数の追加の、および従来用いられている、蛍光性色素を、タンデム色素の「パートナー」色素として、またはリガンドに直接結合体化させられる色素として、容易に選択することができる。前記パートナーおよび他の色素は、供給源、例えば、Sigma−Aldrich、GE Healthcare、Molecular Probes、Inc.、Eugene、ORおよびProzyme、Inc.、San Leandro、CAから商業的に容易に入手することができる。前記パートナー色素は、市販されており、それらの使用は、当該技術分野において公知である。
【0045】
さらに他の蛍光性色素が他の供給源から入手可能であり得、または将来開発されることがあり得る。そのような蛍光性色素または蛍光色素は、下の実施例の例示的蛍光性色素と同様にこれらの様々な方法において有用であると予想される。下で提供する蛍光色素のこれらのリストは、前記組成物および方法の実施形態のうちの1つにおいて「パートナー」色素としてのまたはリガンドに直接結合体化した色素としての使用に適する色素の代表的なものにすぎず、網羅的リストを含むことを企図したものではない。当業者は、本明細書の追加の教示にかんがみて本明細書に記載する組成物および方法における使用に適する蛍光色素組み合わせを容易に選択できるはずである。
【0046】
前記パートナーまたは他の色素が、細胞透過性であることもあり、非細胞透過性である場合もある、蛍光性色素。用語「細胞透過性の」とは、組成物または反応混合物中に透過性化剤(permeabilizing agent)の追加の存在を必要とすることなく、細胞膜を容易に透過して細胞の成分を染色する色素を記述するためのものである。もう1つの実施形態において、前記パートナーまたは他の色素が選択され得る蛍光色素は、細胞不透過性色素、例えば、赤色、緑色または青色励起波長領域内の細胞不透過性色素である。
【0047】
本明細書におけるタンデム色素において用いることができる蛍光性「パートナー」色素、または一定の実施形態においてリガンドに直接結合体化させることができる色素の例としては、限定ではないが、シアニン色素、例えば、Cy(登録商標)5色素、Cy(登録商標)5.5色素、およびCy(登録商標)7色素;AlexaFluor(登録商標)色素、例えば、AlexaFluor(登録商標)405色素、AlexaFluor(登録商標)610色素、AlexaFluor(登録商標)595色素、AlexaFluor(登録商標)647色素、AlexaFluor(登録商標)700色素、およびAlexaFluor(登録商標)750色素、およびAlexaFluor(登録商標)488色素;Rhodamine 123;Texas RedTM色素;ならびにAttoTM色素が挙げられる。これらの色素の多く、ならびに本明細書に記載する方法においてタンデム「パートナー」色素としてまたはリガンド(単数もしくは複数)への直接結合体化のための色素として用いることができる他のものが、Molecular Probes Inc.(オレゴン州ユージーン)から市販されている。参照により本明細書に援用されている米国特許第5,563,070号を参照のこと。
【0048】
1つの特定の実施形態において、前記蛍光性パートナー色素は、Texas RedTM色素、AlexaFluor(登録商標)色素、シアニン色素、およびAttoTM色素から選択される。もう1つの特定の実施形態において、前記AlexaFluor(登録商標)色素は、AlexaFluor(登録商標)610色素、AlexaFluor(登録商標)595色素、AlexaFluor(登録商標)647色素、AlexaFluor(登録商標)700色素、およびAlexaFluor(登録商標)750色素の中から選択される。さらに特定の実施形態において、前記シアニン色素は、Cy(登録商標)5色素、Cy(登録商標)5.5色素、およびCy(登録商標)7色素から選択される。
【0049】
(II.フィコビリタンパク質含有組成物)
上で論じたように、本明細書において提供する組成物は、一番単純な実施形態では、フィコビリタンパク質含有タンデム色素に結合体化したリガンドと、非結合体化フィコビリタンパク質とを含有する。
【0050】
(A.パートナー色素に結合体化したフィコビリタンパク質を含有するタンデム色素)
前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分を、上で述べた任意のフィコビリタンパク質、市販されている任意のフィコビリタンパク質および従来の方法によって調製または精製することができる任意のフィコビリタンパク質から選択することができる。幾つかの架橋サブユニット(および場合により非架橋サブユニットも)を含有するか、または架橋を含有するように修飾される任意のフィコビリタンパク質を、本明細書に記載する組成物および方法においてタンデム色素として用いることができる。
【0051】
当該技術分野において販売元から入手できるAPCにおける架橋度を決定しようとして、本発明者らは、限定ではないが高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む、当該技術分野において公知の技術を用いた。さらに、当業者は、商業的供給源から入手できるものと一致するかまたはそれより高度な架橋を有するフィコビリタンパク質を得るために、販売元から入手できるAPCにおいて公知の精製および架橋技術を実行することが容易にできる。より高度に架橋したフィコビリタンパク質を精製または獲得するそのような方法は、当業者に公知である。そのような従来の方法としては、Trinquet E.,Maurin F.,Preaudat M.,Mathis G.(2001)「Allophycocyanin 1 as a Near Infrared Fluorescent:Isolation,Characterization,Chemical Modification,and Use in a Homogeneous Fluorescence Resonance Energy Transfer System」,Analyt.Biochem.296,232−244が挙げられる。
【0052】
1つの実施形態において、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分は、少なくとも約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、76、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%、またはそれらの間の分数百分率、の架橋を含有する。もう1つの実施形態において、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分は、約50%から約100%架橋を含有する。さらなる実施形態において、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分は、約60%から約100%架橋を含有する。さらにもう1つの実施形態において、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分は、約70%から約100%架橋を含有する。なおまたさらなる実施形態において、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分は、約80%から約100%架橋を含有する。さらにもう1つの実施形態において、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分は、約90%から約100%架橋を含有する。いっそうさらなる実施形態において、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分は、約95%から約100%架橋を含有する。しかし、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質成分が20%未満の架橋を有したとしても、それは本発明の制限ではない。
【0053】
タンデム色素を形成するためにフィコビリタンパク質に結合体化させる蛍光性「パートナー」色素は、上に記載した色素から選択することができる。本明細書に記載する方法および組成物の様々な実施形態によると、リガンド(単数または複数)に結合体化させる、タンデム色素におけるパートナー色素として使用する色素は、別のフィコビリタンパク質を有するタンデム色素においても使用することができ、またはその組成物中のリガンドを独立して標識するために使用することもできる。
【0054】
(B.非結合体化フィコビリタンパク質)
上で論じた標識リガンドに加えて、本明細書に記載する組成物の実施形態は、非結合体化フィコビリタンパク質の存在も必要とする。本明細書において用いる場合の「非結合体化」または「遊離」フィコビリタンパク質は、上で記載したフィコビリタンパク質であるが、リガンドに結合体化していないものである。非結合体化フィコビリタンパク質は、サブユニットを含有し、これらのサブユニットのうちのいくつかは、架橋していてはいけない。1つの実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質は、そのサブユニット間の架橋を含有しない。もう1つの実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質は、サブユニット間の架橋を含有する。前記非結合体化フィコビリタンパク質に架橋が存在する場合、前記非結合体化フィコビリタンパク質中の架橋の量は、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質における架橋の量より少ないことが望ましい。
【0055】
1つの実施形態では、前記非結合体化フィコビリタンパク質を、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と同じ細菌または真核藻種から得なければならない。最良の結果のために、それぞれのリガンド結合体化タンデム色素について、(前記タンデム色素中のフィコビリタンパク質と同じ種から得た)対応する非結合体化フィコビリタンパク質をその組成物に添加しなければならない。1つの実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質は、前記結合体化フィコビリタンパク質と同じである。用語「同じ」は、結合体化および非結合体化フィコビリタンパク質を記述するために用いるとき、それぞれの分子の同一の構造的特徴を指す。
【0056】
もう1つの実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質は、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質とは異なるが、前記タンデム色素のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0057】
前記非結合体化フィコビリタンパク質は、上で述べた販売元から購入することもでき、または上に記載したように、単離されたタンパク質、天然タンパク質、合成タンパク質、または修飾タンパク質である場合がある。しかし、フィコビリタンパク質の供給源またはここでの使用のためにそれに施される修飾の量は、本発明の制限ではない。前記非結合体化フィコビリタンパク質を、その蛍光を除去するかまたは減少させるように改変または修飾することもできる。1つの実施形態では、前記非結合体化フィコビリタンパク質を、例えばUV光の照射によって、フォトブリーチ(photobleach)する。もう1つの実施形態では、前記フィコビリタンパク質を、化学的に、すなわち1〜3%Clorox(登録商標)試薬を使用することにより、ブリーチ(bleach)することができる。当業者は、当該技術分野において標準的な方法論を用いてここで使用するために非結合体化フィコビリタンパク質を修飾することが容易にできる。
【0058】
前記組成物において必要とされる非結合体化フィコビリタンパク質の量は、その組成物を安定させるために十分である量である。望ましくは、前記非結合体化フィコビリタンパク質は、定常状態で非架橋サブユニットの交換を可能にする量で存在する。1つの実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質対、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質の比は、少なくとも0.125:1、0.25:1、0.50:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、もしくは20:1、およびそれらの間の分数比率である。もう1つの実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質対前記結合体化フィコビリタンパク質の比は、約0.125:1から約20:1である。さらにもう1つの実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質対前記結合体化フィコビリタンパク質の比は、約0.25:1から約10:1である。さらなる実施形態において、前記非結合体化フィコビリタンパク質対前記結合体化フィコビリタンパク質の比は、4:1から0.25:1である。
【0059】
1つの実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、同じであり、アロフィコシアニン、フィコエリトリン、フィコシアニンまたはフィコエリスロシアニンである。もう1つの実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、異なる。しかし、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質が異なる場合、それらは、互いに交換する非架橋サブユニットを含有しなければならない。例えば、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、異なり、独立してアロフィコシアニン、フィコエリトリン、フィコシアニンまたはフィコエリスロシアニンであり、および互いに交換する非架橋サブユニットを含有する。さらなる実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、同じであり、APC、R−PE、B−PE、C−PE、Y−PE、またはPECである。いっそうさらなる実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、異なり、独立してAPC、R−PE、B−PE、C−PE、Y−PE、またはPECであり、および互いに交換する非架橋サブユニットを含有する。さらにもう1つの実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、同じであり、R−PE、B−PE、Y−PE、PE566、PEC、R−PCまたはAPCである。さらなる実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、異なり、R−PE、B−PE、Y−PE、PE566、PEC、R−PCまたはAPCから独立して選択され、および互いに交換する非架橋サブユニットを含有する。さらにもう1つの実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、同じであり、アロフィコシアニンである。さらにもう1つの実施形態において、前記タンデム色素の結合体化フィコビリタンパク質と、非結合体化フィコビリタンパク質は、同じであり、フィコエリトリンである。
【0060】
(C.前記組成物中の追加のリガンド結合体化色素成分)
単一のフィコビリタンパク質含有タンデム色素および単一の非結合体化フィコビリタンパク質に加えて、色素およびリガンド含有組成物の他の実施形態は、複数のリガンド、複数のタンデム色素、複数の非結合体化色素および他の自由選択成分を含有することがある。列挙している様々な細胞集団に最も有用であるために、前記色素組成物が、複数のリガンド結合体化蛍光性色素を含有することは有利である。当業者は、これに関連して用いる場合の「追加の」という用語を容易に判断することができる。例えば、用語「追加の」は、リガンド結合体化色素成分および非結合体化フィコビリタンパク質を含む、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10以上の成分を含むことがある。
【0061】
前記色素組成物に含まれるそれぞれの追加の色素または追加のフィコビリタンパク質を該組成物の1つ以上のリガンドに直接結合体化させなければならない。本明細書に記載する組成物の大部分において、前記色素組成物中には非標識または非結合体化リガンドは存在しない。
【0062】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、フィコビリタンパク質でない蛍光性色素または蛍光色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンドを含む。例えば、前記色素組成物は、y個の色素に結合体化したx個のリガンドを含むことがある(この場合、x=y、および整数である)。1つの実施形態において、xおよびyは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。さらなる実施形態において、xおよびyは、1、2、3、または4である。前記色素は、上に記載した色素のいずれであってもよい。当業者は、前記色素組成物への追加に適する色素を容易に選択することができる。
【0063】
もう1つの実施形態において、本発明の色素組成物は、追加のフィコビリタンパク質に直接結合体化した1つ以上の追加のリガンドを含む。1つの実施形態において、前記追加のフィコビリタンパク質は、前記色素組成物中のリガンド結合体化タンデム色素のフィコビリタンパク質と同じ細菌または真核藻種からのものである。もう1つの実施形態において、前記追加のフィコビリタンパク質は、前記色素組成物中の前記リガンド結合体化タンデム色素のフィコビリタンパク質とは別の細菌または真核藻種からのものである。例えば、前記色素組成物は、y’個のフィコビリタンパク質に結合体化したx’個のリガンドを含むことがある(この場合、x’=y’、および整数である)。1つの実施形態において、x’およびy’は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。さらなる実施形態において、x’およびy’は、1、2、3、または4である。別のリガンドを直接標識するために用いるフィコビリタンパク質は、上に記載したフィコビリタンパク質のいずれであってもよい。1つの実施形態において、前記追加のフィコビリタンパク質は、前記組成物中のフィコビリタンパク質のいずれか(前記リガンド結合体化タンデム色素、または前記非結合体化フィコビリタンパク質のいずれか)の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有しない。さらなる実施形態において、前記追加のフィコビリタンパク質は、前記組成物の前記リガンド結合体化タンデム色素のフィコビリタンパク質または前記非結合体化フィコビリタンパク質の1つ以上の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。当業者は、リガンドへの直接結合体化および試薬混合物へのその後の添加に適するフィコビリタンパク質を容易に選択することができる。
【0064】
もう1つの実施形態において、本発明の色素組成物は、追加のフィコビリタンパク質を含有する追加のタンデム色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンドを含む。例えば、前記色素組成物は、y’’個のタンデム色素にそれぞれが別個に結合体化したx’’個のリガンドを含むことがある(この場合、x’’=y’’、および整数である)。1つの実施形態において、x’’およびy’’は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。さらなる実施形態において、x’’およびy’’は、1、2、3、または4である。1つの実施形態において、前記追加のタンデム色素中の前記フィコビリタンパク質は、第一のリガンド結合体化タンデム色素組成物中のフィコビリタンパク質と同じ細菌または真核藻種からのものである。もう1つの実施形態において、前記追加のフィコビリタンパク質は、第一の色素組成物中のフィコビリタンパク質のものとは異なる細菌種または真核藻種からのものである。しかし、前記追加のタンデム色素中の追加のフィコビリタンパク質が、別の細菌または真核藻種からのものである場合、非結合体化形態の同じフィコビリタンパク質をその色素組成物に添加しなければならない。しかし、フィコビリタンパク質の供給源に係らず、当業者は、上に記載したフィコビリタンパク質のいずれかからそれを選択することができる。
【0065】
組成物の様々な実施形態は、タンデム色素に結合体化した複数のリガンドを含有する。例えば、1つの望ましい実施形態において、前記組成物は、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドおよび(b)第一の非結合体化フィコビリタンパク質に加えて、次の成分を含有することがある:(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二のタンデム色素は、(i)架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質(前記第三のフィコビリタンパク質は、第二の細菌または真核藻種から得られる)と、(ii)前記第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のパートナー色素と含む);および(d)サブユニットを含有する非結合体化第四のフィコビリタンパク質。前記第二のフィコビリタンパク質は、第二の細菌または真核藻種から得られる。前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は、同じである。あるいは、前記第三および第四のフィコビリタンパク質は異なり、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0066】
もう1つの望ましい実施形態において、前記組成物は、すぐ上で記載した成分に加えて、(e)第四のフィコビリタンパク質に結合体化した第三のリガンドをさらに含有することがあり、前記第四のフィコビリタンパク質は、第一の細菌種、第一の真核藻種、第二の細菌種、または第二の真核藻種から得られる。前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二または第三のフィコビリタンパク質と同じであるか;あるいは、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二または第三のフィコビリタンパク質と異なり、および前記第一、第二または第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0067】
さらなる望ましい実施形態において、前記組成物は、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドおよび(b)第一の非結合体化フィコビリタンパク質に加えて、次の成分を含有することがある:(c)第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のリガンド(前記第三のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られる)。前記第三のフィコビリタンパク質は、第一もしくは第二のフィコビリタンパク質と同じであるか;あるいは、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一もしくは第二のフィコビリタンパク質と異なり、ならびに前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。1つの態様において、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一または第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有しない。もう1つの態様において、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一または第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。
【0068】
もう1つの望ましい実施形態において、前記組成物は、フィコビリタンパク質でない色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンドをさらに含有する。
【0069】
(D.前記組成物中の他の自由選択の非色素成分)
追加のリガンド、フィコビリタンパク質、タンデム色素、および蛍光性色素以外の成分を、本明細書に記載する組成物に含めることができる。当業者は、それらの追加の成分の選択を容易に選択することができ、ならびにそれらの追加の成分は、数ある中でも、分析する検体、その組成物の成分、分析するパラメータに依存する。例えば、参照により本明細書に援用されている米国特許第6,551,831号において列挙されている界面活性剤を参照のこと。
【0070】
組成物の実施形態は、その組成物のpHを約6から約9の範囲内の任意の所望のpHに維持する緩衝液などの、他の成分をさらに含有することがある。緩衝液の例としては、限定ではないが、リン酸緩衝生理食塩水または等張食塩水、例えば、ISOTON IIバッファー(フロリダ州マイアミのCoulter Corporation)および参照により本明細書に援用されている米国特許第3,962,125号において特定されているものが挙げられる。
【0071】
保存薬も前記組成物に添加することができ、それらは、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンから選択することができるが、これらに限定されない(そのような保存薬を、例えばProClin(登録商標)300またはProClin(登録商標)150として、商業的に購入することができる)。
【0072】
当業者は、本明細書に記載する様々な方法において使用するための組成物に用いることができる適切な界面活性剤、緩衝液、保存薬または他の従来の試薬の選択を行うことができる。そのような選択は、本明細書において教示する方法および組成物の制限ではない。
【0073】
(E.複数の標識リガンドを含有する組成物)
1つの望ましい実施形態において、前記組成物は、タンデム色素に結合体化した1つのリガンドを含有する(L1−タンデム色素1)。もう1つの実施形態において、前記組成物は、2つのリガンドを含有し、この場合、1つの抗体は、タンデム色素に結合体化しており(L1−タンデム色素1)、および他のリガンドは、フィコビリタンパク質に直接結合体化している(L2−pbp)。さらなる実施形態において、前記組成物は、2つのリガンドを含有し、この場合、1つのリガンドは、1つのタンデム色素に結合体化しており(L1−タンデム色素1)、および1つのリガンドは、第二のタンデム色素に結合体化している(L2−タンデム色素2)。もう1つの実施形態において、前記組成物は、3つのリガンドを含有し、この場合、1つのリガンドは、1つのタンデム色素に結合体化しており(L1−タンデム色素1)、第二のリガンドは、第二のタンデム色素に結合体化しており(L2−タンデム色素2)、および第三のリガンドは、フィコビリタンパク質に結合体化している(L3−pbp)。さらにもう1つの実施形態において、前記組成物は、1つのタンデム色素に結合体化した1つのリガンド(L1−タンデム色素1)、フィコビリタンパク質に結合体化した第二のリガンド(L2−pbp)、およびx数のタンデム色素に独立して結合体化したx数のリガンド(Lx−タンデム色素x)を含有する。さらなる実施形態において、前記組成物は、1つのタンデム色素に結合体化した1つのリガンド(L1−タンデム色素1)、フィコビリタンパク質に結合体化した第二のリガンド(L2−pbp)、およびx数の非フィコビリタンパク質蛍光性色素に独立して結合体化したx数のリガンド(Lx−色素x)を含有する。
【0074】
(III.本発明の組成物の特定の実施形態)
上で一般に説明した組成物の第一の例として、組成物は、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドを含有する。前記第一のタンデム色素は、第一のフィコビリタンパク質を含有し、前記第一のフィコビリタンパク質は、該第一のフィコビリタンパク質に結合体化した第一のパートナー色素に結合体化した架橋および非架橋サブユニットを含有する。前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られる。前記組成物は、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質も含有し、この第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られる。この組成物の1つの実施形態において、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は、同じである。この組成物のもう1つの実施形態において、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。表1参照。
【0075】
【表1】
本明細書に記載する組成物の第二の例または実施形態として、組成物は、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドを含有する。前記第一のタンデム色素は、第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、該第一のフィコビリタンパク質に結合体化した第一のパートナー色素に結合体化した架橋および非架橋サブユニットを含有する。前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られる。前記組成物は、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質も含有し、この第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られる。この組成物の1つの実施形態において、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じである。この組成物のもう1つの実施形態において、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。組成物のこの第二の実施形態は、(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンドをさらに含有し、前記第二のタンデム色素は、(i)架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質と、(ii)前記第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のパートナー色素とを含む。前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られる。この組成物の1つの実施形態において、前記第一、第二および第三のフィコビリタンパク質は、同じである。この組成物のもう1つの実施形態において、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質とは異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する。表2参照。
【0076】
【表2】
さらなる実施形態において、組成物は、
(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、(i)架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質(前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られる)、および(ii)前記第一のフィコビリタンパク質に結合体化した第一のパートナー色素を含む)と;
(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、および第三のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質とは異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(d)第三のタンデム色素に結合体化した第三のリガンド(前記第三のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第四のフィコビリタンパク質を含み、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第三のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、第三および第四のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質とは異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)
を含有する。表3参照。
【0077】
【表3】
いっそうさらなる実施形態において、組成物は、
(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、(i)架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質(前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られる)、および(ii)前記第一のフィコビリタンパク質に結合体化した第一のパートナー色素を含む)と;
(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、および第三のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質とは異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(d)第三のタンデム色素に結合体化した第三のリガンド(前記第三のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第四のフィコビリタンパク質を含み、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第三のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、第三および第四のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質とは異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(e)第四のタンデム色素に結合体化した第四のリガンド(前記第四のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含む第五のフィコビリタンパク質を含み、前記第五のフィコビリタンパク質は、前記細菌または真核藻種から得られ、および第四のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、第三、第四および第五のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第五のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三もしくは第四のフィコビリタンパク質とは異なり、および前記第五のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三もしくは第四のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)
を含有する。表4参照。
【0078】
【表4】
さらにもう1つの実施形態において、組成物は、
(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含有し、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)と;
(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または第一の真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(c)フィコビリタンパク質でない色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンド
を含有する。表5参照。
【0079】
【表5】
さらなる実施形態において、組成物を提供し、この組成物は、
(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含有し、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)と;
(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、第二の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化している)と;
(d)サブユニットを含有する非結合体化第四のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第二の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)
を含有する。表6参照。
【0080】
【表6】
もう1つの実施形態において、組成物を提供し、この組成物は、
(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含有し、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)と;
(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、第二の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化している)と;
(d)サブユニットを含有する非結合体化第四のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第二の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は、同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と;
(e)第四のフィコビリタンパク質に結合体化した第三のリガンド(前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌種、前記第一の真核藻種、前記第二の細菌種、または前記第二の真核藻種から得られ;この場合、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質、前記第二のフィコビリタンパク質、もしくは前記第三のフィコビリタンパク質と同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質とは異なり、および前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)
を含有する。表7参照。
【0081】
【表7】
当業者は、本明細書の教示を用いて、選択された追加の成分を含有する他の組成物を調製することができる。
【0082】
(IV.本発明の組成物を調製および使用するための方法)
本明細書において論じる組成物を調製するための方法は、選択されたマルチカラー組成物の標識リガンド成分と遊離フィコビリタンパク質成分とを併せるかまたは事前混合する工程、および場合により、前記事前混合組成物を保管する工程を一般に含む。その後、前記組成物を、当業者が判定して必要な場合には希釈し、分析を意図して選択された生物検体と併せる。
【0083】
具体的には、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋を含有する第一のフィコビリタンパク質と第一の色素とを含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および前記第一の色素に結合体化している)と、(b)前記第一の細菌または真核藻種から得られる非結合体化第一のフィコビリタンパク質とを混合することによって、前記組成物を調製する。分析する集団に依存して、上で説明したように、追加の成分を添加してもよい。1つの実施形態において、第二のフィコビリタンパク質、前記第二のフィコビリタンパク質を含む第二のタンデム色素、およびフィコビリタンパク質ではない色素からなる群より選択される、第二の色素に結合体化した第二のリガンドを、前記反応混合物に添加する。
【0084】
当業者は、下で記載する方法において使用するために必要な組成物の量を決定することができる。1つの実施形態では、少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200μLの前記組成物を用いる。もう1つの実施形態では、約5から約200μLの前記組成物を用いる。さらなる実施形態では、約100μLの組成物を使用する。
【0085】
これらの成分を、一般に、室温、周囲温度または2℃ほどもの低さの低温を含む任意の選択された温度でインキュベートすることによって混合するかまたは反応させる。もう1つの実施形態では、約40℃という高温を用いることがある。しかし、分析時の前記組成物の温度は、検体中の細胞の生存可能性にとって十分なものでなければならない。1つの実施形態では、約2から約8℃の温度を、詳細には前記混合物の混合と保管の両方に、用いることができる。
【0086】
前記反応の時間範囲は、一般に、約15秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、または15分より長期であるか、それらの間の秒数である。もう1つの実施形態において、前記インキュベーションの時間は、約15秒から約30分である。さらなる実施形態では、前記組成物の成分の濃度を調整すれば、より速い反応時間を得ることができる。
【0087】
上で説明した成分を含有する、上で調製したような組成物は、下の実施例によって実証するように、検体中の細胞および非細胞集団を分析するための従来の方法において有用である。そのような従来のフローサイトメトリー法は、当業者に公知であり、ならびに検体と本明細書に記載する組成物とを併せる工程、および蛍光を分析することにより検体中の集団を同定する工程を含む。望ましくは、前記細胞および非細胞集団の少なくとも1つは、前記第一のリガンドの受容体を含む。参照により本明細書に援用されている米国特許第6,551,831号を参照のこと。
【0088】
(V.本発明のキット)
さらにもう1つの態様において、これらの組成物の混合または従来のフローサイトメトリー分析での使用を可能にするキットを提供する。望ましくは、本発明のフローサイトメトリー診断方法を行うためにそのようなキットを用いる。しかし、他の安定化試薬の開発および評価における研究のためにそのようなキットを組み立てることができる。
【0089】
好都合な使用のために、前記組成物、それらの成分、ならびに上で記載した方法の任意の数の変形形態を実施するために必要な成分を組み合わせてキットを作ることができる。そのようなキットは、別々の成分として組成物を形成するために必要な成分を含有し得る。1つの実施形態において、別個の容器の中に存在する1つの別個の成分は、第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドであり、前記第一のタンデム色素は、第一の色素に結合体化し、架橋を含有し、および第一の細菌または真核藻種から得られる、第一のフィコビリタンパク質を含有する。第二の容器の中に存在する第二の別個の成分は、前記第一の細菌または真核藻種から得られる非結合体化第一のフィコビリタンパク質である。これら2つの成分を、使用のために購入者の裁量で併せることができる。もう1つの実施形態において、前記キットは、1つの「事前混合」容器を含有することがあり、この容器は、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、(i)架橋を含有する第一のフィコビリタンパク質(前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られる)と(ii)第一のパートナー色素とを含む);および(b)前記第一の細菌または真核藻種から得られる非結合体化第一のフィコビリタンパク質を含む。上で論じたように、本明細書において論じる組成物の利点は、それらが分解しない点、血液学的分析に干渉する別個の成分間でのサブユニット交換を有しない点である。
【0090】
追加の容器を前記キットにさらに含めることができる。これらの追加の容器は、上で特定した自由選択の成分のいずれかを独立して含むことができる。しかし、もしあれば、その(それらの)追加の成分は、前記試薬組成物の安定性に悪影響を及ぼさない生理的pHを有さなければならない。
【0091】
そのようなキットは、前記組成物の別個の成分を混合するための説明書;前記組成物の成分を含む適切な器;前記組成物と生物検体を混合するための適切な器;細胞の正常または疾患特性値についての適切な対照または表;抗凝固剤または凝固経路インヒビター、フローサイトメトリー分析の実施に適する他の試薬およびそれらの組み合わせ;検体に適する希釈剤および緩衝液;使い捨て手袋;除染についての説明書;アプリケータースティックまたは容器;ならびに調製用カップのうちの1つ以上をさらに含有し得る。
【0092】
当業者は、分析用の検体に対して前記方法を行うために必要な情報および成分を有する任意の数のキットを組み立てることができる。
【0093】
1つの実施形態において、キットを提供し、このキットは、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)を含む第一の容器と、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第二の容器とを含有する。1つ以上の追加の容器を前記キットに含めることができ、およびそれらの容器は、上に書き留めた試薬のいずれか1つを含むことができる。表8参照。あるいは、前記組成物の成分が1つの容器に存在することがある。
【0094】
【表8】
もう1つの実施形態において、キットを提供し、このキットは、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)を含む第一の容器と、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第二の容器と、(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二タンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二および第三のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質とは異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第三の容器を含有する。表9参照。あるいは、前記組成物の成分が1つの容器に存在することがある。
【0095】
【表9】
さらなる実施形態において、キットを提供し、このキットは、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)を含む第一の容器と、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第二の容器と、(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二タンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二および第三のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質とは異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第三の容器と、(d)第三のタンデム色素に結合体化した第三のリガンド(前記第三のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第四のフィコビリタンパク質を含み、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第三のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、第三および第四のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質とは異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第四の容器を含有する。表10参照。あるいは、前記組成物の成分が1つの容器に存在することがある。
【0096】
【表10】
いっそうさらなる実施形態において、キットを提供し、このキットは、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)を含む第一の容器と、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第二の容器と、(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二タンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二および第三のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質とは異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質は、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第三の容器と、(d)第三のタンデム色素に結合体化した第三のリガンド(前記第三のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第四のフィコビリタンパク質を含み、前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ、および第三のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、第三および第四のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質とは異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第四の容器と、(e)第四のタンデム色素に結合体化した第四のリガンド(前記第四のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含む第五のフィコビリタンパク質を含み、前記第五のフィコビリタンパク質は、前記細菌または真核藻種から得られ、および第四のパートナー色素に結合体化しており;この場合、前記第一、第二、第三、第四および第五のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第五のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三もしくは第四のフィコビリタンパク質とは異なり、ならびに前記第五のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二、第三もしくは第四のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第五の容器を含有する。表11参照。あるいは、前記組成物の成分が1つの容器に存在することがある。
【0097】
【表11】
さらにもう1つの実施形態において、キットを提供し、このキットは、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)を含む第一の容器と、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第二の容器と、(c)フィコビリタンパク質ではない色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンドを含む第三の容器を含有する。表12参照。あるいは、前記組成物の成分が1つの容器に存在することがある。
【0098】
【表12】
さらなる実施形態において、キットを提供し、このキットは、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および第一のパートナー色素に結合体化している)を含む第一の容器と、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第二の容器と、(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、第二の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化している)を含む第三の容器と、(d)サブユニットを含有する非結合体化第四のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第二の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含む第四の容器を含有する。表13参照。あるいは、前記組成物の成分が1つの容器に存在することがある。
【0099】
【表13】
もう1つの実施形態において、キットを提供し、このキットは、(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンド(前記第一のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第一のフィコビリタンパク質を含み、前記第一のフィコビリタンパク質は、第一の細菌または真核藻種から得られ、および結合体化した第一のパートナー色素に結合体化している)と、(b)サブユニットを含有する非結合体化第二のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第二のフィコビリタンパク質と第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と、(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド(前記第二のタンデム色素は、架橋および非架橋サブユニットを含有する第三のフィコビリタンパク質を含み、前記第三のフィコビリタンパク質は、第二の細菌または真核藻種から得られ、および第二のパートナー色素に結合体化している)と、(d)サブユニットを含有する非結合体化第四のフィコビリタンパク質(前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第二の細菌または真核藻種から得られ;この場合、前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)と、(e)第四のフィコビリタンパク質に結合体化した第三のリガンド(前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一の細菌種、前記第一の真核藻種、前記第二の細菌種または前記第二の真核藻種から得られ;この場合、前記第四のフィコビリタンパク質は前記第一のフィコビリタンパク質、前記第二のフィコビリタンパク質もしくは前記第三のフィコビリタンパク質と同じであるか;または前記第四のフィコビリタンパク質は、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質とは異なり、および前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含有する)を含有する。表14参照。あるいは、前記組成物の成分が1つの容器に存在することがある。
【0100】
【表14】
以下の実施例は、本発明の様々な態様を例証するものである。これらの実施例は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0101】
(実施例)
(実施例1)
Spirulina platensisから単離したAPCにおける架橋率を判定するためにこの実施例を行った。
【0102】
Sephadex(登録商標)G−50カラムを用いてPBS緩衝液(10mM K3PO4+150mM NaCl+2mM EDTA pH7.2)で様々な架橋および非架橋APCサンプルを脱塩した。Micron(登録商標)YM−30膜(Millipore Corporation,Part♯ UFC903024)を用いて、それらの脱塩溶液を約15±2mg/mLに濃縮した。次に、当該技術分野における技術および下記の条件/計器を用いてHPLCによりこれらのAPCサンプルを分析した:
カラム: Superdex(登録商標)200 HRサイズ排除カラム(GE Health Care,Part♯17−1088−01)
溶離剤: 10mM K3PO4+150mM NaCl+2mM EDTA+1M NaClO4 pH7.2
流速: 0.8mL/分。
【0103】
濃縮したAPCサンプルのそれぞれを緩衝液中0.5mg/mLに希釈し、30分間、約22±2℃でインキュベートした。その後、それぞれのサンプルを前記サイズ排除カラムに注入し、溶出中、波長A280、A652およびA616をモニターした。代表サンプルおよびn−APCについてのA280のプロットを図4に示す。インタクトAPCは、12mLの保持容積で溶出し、および解離APCは、14.5mLの保持容積で溶出した。溶出ピーク下面積を計算することによって、APCにおける架橋率を決定した。クロマトグラムの総面積に対するインタクトピークの積分面積の比によって、サンプルについての架橋率を得た。図4は、これらの架橋および非架橋APCのクロマトグラムである。
【0104】
プロットの右側の最高ピークは、一(1)つの非架橋APCサンプルに対応する。プロットの残りのピークは、架橋APCサンプルに対応する。具体的には、プロットの左側のピークは、インタクトAPC分子に対応し、プロットの右側の(非架橋APCピークの下の)小ピークは、APCサブユニットに対応する。これらのクロマトグラムに基づき、架橋APCサンプルについての架橋率は、約76から約96%であった。
【0105】
(実施例2)
この実施例は、非結合体化フィコビリタンパク質を含有する2色リガンド結合体化タンデム色素組成物を含む、本明細書に記載する組成物および方法の利点を例証するものである。
【0106】
四(4)つの組成物を調製し、それぞれが、Spirulina platensisから単離したフィコビリタンパク質およびタンデム色素に独立して結合している二(2)つのモノクローナル抗体を含有した。具体的には、それぞれの組成物(10μL)は、アロフィコシアニンに結合体化したCD3(CD3−APC)0.5μg、およびアロフィコシアニン−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素に結合体化したCD19(CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750)0.5μgを含有した。
【0107】
組成物1、すなわち対照組成物は、新たに調製したものであり、追加の成分を含有しなかった。組成物2は、追加の成分を含有しなかったが、2から8℃で21日間保持したものであった。組成物3および4は、Spirulina platensisから単離した0.5μgの非結合体APCも含有し、組成物3は、すべての成分を新たに混合したものであったが、組成物4は、生物検体への添加および分析前に21日間、2から8℃で保持したものであった。
【0108】
その後、これらの組成物を、全血(0.1mL)を含有する生物検体と独立して併せ、10〜12分間インキュベートし、標準的なVersaLyse(登録商標)法を用いて処理し、フローサイトメーターを用いて分析した。当業者は、処理した生物検体とVersalyse(登録商標)試薬/0.2%ホルムアルデヒド(1mL)とを10分間、併せる工程、処理した検体をスピンダウン(spinning down)させる工程、上清を吸引する工程、PBS(3mL)にそのペレットを再懸濁させる工程、そのPBS溶液をスピンダウンさせる工程、および分析のためにそのペレットをPBS/0.1%ホルムアルデヒド(0.5ml)に再懸濁させる工程を含む当該技術分野において公知であるようなVersaLyse(登録商標)法を容易に行うことができる。図1A〜1D参照。
【0109】
これらの結果は、フローサイトメトリー分析に関して、先行技術(図1B)と比較して、本発明の組成物(図1D)の有用性を明確に示す。
【0110】
(実施例3)
この実施例は、2色リガンド結合体化タンデム色素組成物に非結合体化フィコビリタンパク質を添加することを含む、本明細書に記載する組成物および方法の利点を例証するものである。
【0111】
九(9)つの組成物を調製し、それぞれが、フィコビリタンパク質およびタンデム色素に独立して結合している二(2)つのモノクローナル抗体を含有した。具体的には、それぞれの組成物(10μL)は、Spirulina platensisから単離したアロフィコシアニンに結合体化したCD3(0.5μg;CD3−APC)と、アロフィコシアニン(Spirulina platensisから単離したもの)−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素に結合体化したCD19(CD19−APC−AlexaFluor(登録商標)750)0.5μgとを含有した。組成物1、すなわち「先行技術の作りたて混合物」は、新たに調製したものであり、追加の成分を含有しなかった。組成物2、すなわち「先行技術の保管混合物」は、追加の成分を含有しなかったが、2から8℃で21日間保持したものであった。組成物3〜9は、Spirulina platensisから単離した様々な量の非結合体化APCも含有し、生物検体への添加および分析前に21日間、2から8℃で保持したものであった。表15参照。
【0112】
【表15】
その後、上の実施例2におけるように血液検体のフローサイトメトリー分析のためにこれらの組成物を用いた。図2A〜2I参照。
【0113】
これらの結果は、サブユニット交換の影響を最小にする点での、二色リガンド結合体化APCタンデム色素およびリガンド結合体化APC試薬組成物への(広範にわたる)天然非結合体化APC添加の有用性の例証となる。より高い濃度(具体的には500μg/mL以上)は、細胞の非特異的標識の増加につながる。しかし、0.0625μg(図2C)から2μg(図2G)の量での非結合体化APCは、細胞の非特異的標識のそのような増加を示さず、およびまた、先行技術の組成物に所望の安定性をもたらした(図2B)。これらの結果はまた、0.0625μgから10.0μgにわたる遊離、非結合体化フィコビリタンパク質の添加が、事前処方製品の経時的な分解を制限することの例証になる。
【0114】
(実施例4)
この実施例は、3色リガンド結合体化フィコビリタンパク質およびリガンド結合体化タンデム色素組成物への非結合体化フィコビリタンパク質の添加を含む、本明細書に記載する組成物および方法の利点を例証するものである。五(5)つの組成物を調製し、これらの組成物は、Spirulina platensisから単離したフィコビリタンパク質および2つのタンデム色素に独立して結合している三(3)つのモノクローナル抗体を含有した。具体的には、それぞれの組成物(10μL)は、Spirulina platensisから単離したアロフィコシアニンに結合体化したCD19(CD19−APC)0.5μgと、アロフィコシアニン(Spirulina platensisから単離したもの)−AlexaFluor(登録商標)700タンデム色素に結合体化したCD4(CD19−APC−A700)0.5μgと、アロフィコシアニン(Spirulina platensisから単離したもの)−AlexaFluor(登録商標)750タンデム色素に結合体化したCD8(CD8−APC−A750)0.5μgを含有した。組成物1、すなわち対照組成物は、新たに調製したものであり、追加の成分を含有しなかった。組成物2は、追加の成分を含有しなかったが、2から8℃で120日間保持したものであった。組成物3〜5は、加えて、Spirulina platensisから単離した様々な量の非結合体化APCを含有し、分析前に120日間、2から8℃で保持した。表16参照。
【0115】
【表16】
その後、これらの組成物を、実施例2におけるように血液検体を分析するために独立して使用した。図3A〜3J参照。これらの図は、異なる量の遊離フィコビリタンパク質の使用による保管中のリガンド−色素組成物の安定性を明示している。それにより、これらの結果は、遊離、非結合体化フィコビリタンパク質が、3色試薬のさらに複雑な混合物において事前処方組成物の経時的な分解を制限することの例証となる。
【0116】
上に列挙したすべての出版物、特許および特許出願、ならびに優先権書類の開示は、参照により本明細書に援用されている。本明細書に記載する方法および組成物についての非常に多数の従来の変更形態および変形形態が上記明細書に含まれており、それらは当業者には明らかであると予想される。本発明の様々な実施形態の組成物およびプロセスに対するそのような変更形態および変形形態は、本明細書に添付する特許請求の範囲に包含されると考えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドであって、前記第一のタンデム色素は、
(i)架橋および非架橋サブユニットを含み、第一の細菌種または第一の真核藻種から得られる第一のフィコビリタンパク質;および
(ii)前記第一のフィコビリタンパク質に結合体化した第一のパートナー色素
を含む、第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドと、
(b)サブユニットを含み、前記第一の細菌種または前記第一の真核藻種から得られる非結合体化第二のフィコビリタンパク質
を含む組成物であって、
前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または
前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の前記非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、組成物。
【請求項2】
前記第二のフィコビリタンパク質が、前記サブユニット間の架橋を含有しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第二のフィコビリタンパク質が、前記サブユニット間の架橋を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記第二のフィコビリタンパク質が、天然タンパク質である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記第二のフィコビリタンパク質が、修飾タンパク質である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第一のフィコビリタンパク質における架橋の量が、前記第二のフィコビリタンパク質における架橋の量より多い、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記第二のフィコビリタンパク質が、蛍光を除去するかまたは減少させるように修飾される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記修飾が、前記第二のフィコビリタンパク質の架橋に影響を及ぼさない、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記第二のフィコビリタンパク質が、ブリーチされる、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記第二のフィコビリタンパク質対前記第一のフィコビリタンパク質の比が、約0.25:1から約10:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記第一のフィコビリタンパク質および前記第二のフィコビリタンパク質が、アロフィコシアニン、フィコエリトリン、フィコシアニン、およびフィコエリスロシアニンからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記第一のフィコビリタンパク質および前記第二のフィコビリタンパク質が、R−フィコエリトリン、B−フィコエリトリン、Y−フィコエリトリン、フィコエリトリン566、フィコエリスロシアニン、R−フィコシアニン、およびアロフィコシアニンからなる群より選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記第一のフィコビリタンパク質および前記第二のフィコビリタンパク質が、アロフィコシアニンである、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記第一の細菌種が、シアノバクテリウムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記シアノバクテリウムが、Spirulina platensis、Anabaena variabilis、Gloeobacter violaceus、Tolypothrix tenuis、およびLyngbya lagerheimiiからなる群より選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド
をさらに含む組成物であって、
前記第二のタンデム色素が、
(i)架橋および非架橋サブユニットを含み、前記第一の細菌種または前記第一の真核藻種から得られる第三のフィコビリタンパク質と、
(ii)前記第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のパートナー色素
を含み;
前記第一、第二および第三のフィコビリタンパク質が同じであるか;または
前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一および第二のフィコビリタンパク質と異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の前記非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
(d)第三のタンデム色素に結合体化した第三のリガンド
をさらに含む組成物であって、
前記第三のタンデム色素が、
(i)架橋および非架橋サブユニットを含み、前記第一の細菌種または前記第一の真核藻種から得られる第四のフィコビリタンパク質と、
(ii)前記第四のフィコビリタンパク質に結合体化した第三のパートナー色素
を含み;
前記第一、第二、第三および第四のフィコビリタンパク質が同じであるか;または
前記第四のフィコビリタンパク質が、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質と異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質が、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質の前記非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、
請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
(e)第四のタンデム色素に結合体化した第四のリガンド
をさらに含む組成物であって、
前記第四のタンデム色素が、
(i)架橋および非架橋サブユニットを含み、前記第一の細菌種または前記第一の真核藻種から得られる第五のフィコビリタンパク質と、
(ii)前記第五のフィコビリタンパク質に結合体化した第四のパートナー色素
を含み;
前記第一、第二、第三、第四および第五のフィコビリタンパク質が同じであるか;または
前記第五のフィコビリタンパク質が、前記第一、第二、第三もしくは第四のフィコビリタンパク質と異なり、および前記第五のフィコビリタンパク質が、前記第一、第二、第三もしくは第四のフィコビリタンパク質の前記非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、
請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
フィコビリタンパク質でない色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンドをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
(c)第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のリガンド
をさらに含む組成物であって、
前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一の細菌種または前記第一の真核藻種から得られ;
前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一のフィコビリタンパク質もしくは前記第二のフィコビリタンパク質と同じであるか;または
前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一のフィコビリタンパク質もしく前記第二のフィコビリタンパク質と異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の前記非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一のフィコビリタンパク質または前記第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含まない、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一のフィコビリタンパク質または前記第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記第一のリガンドと前記第二のリガンドが同じである、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
前記第一のリガンドと前記第二のリガンドが異なる、請求項20に記載の組成物。
【請求項25】
フィコビリタンパク質でない色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンドをさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンドであって、前記第二のタンデム色素は、
(i)架橋および非架橋サブユニットを含み、第二の細菌種または第二の真核藻種から得られる第三のフィコビリタンパク質;および
(ii)前記第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のパートナー色素
を含む、第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンドと、
(d)サブユニットを含み、前記第二の細菌種または前記第二の真核藻種から得られる非結合体化第四のフィコビリタンパク質
をさらに含む組成物であって;
前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質が同じであるか;または
前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質が異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質が、前記第三のフィコビリタンパク質の前記非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
(e)第四のフィコビリタンパク質に結合体化した第三のリガンド
をさらに含む組成物であって、
前記第四のフィコビリタンパク質が、前記第一の細菌種、前記第一の真核藻種、前記第二の細菌種、または前記第二の真核藻種から得られ;
前記第四のフィコビリタンパク質が、前記第一のフィコビリタンパク質、前記第二のフィコビリタンパク質、もしくは前記第三のフィコビリタンパク質と同じであるか;または
前記第四のフィコビリタンパク質が、前記第一、第二、もしくは第三のフィコビリタンパク質と異なり、および前記第一、第二、もしくは第三のフィコビリタンパク質の前記非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、
請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記第一のリガンドが、アミノ酸配列または核酸配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
前記アミノ酸配列が、抗体、酵素、組換えタンパク質、多分子集合体、またはそれらのフラグメントを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記多分子集合体が、組換えタンパク質の四量体である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
検体中の細胞および非細胞集団を分析するための方法であって、
(a)前記検体と請求項1に記載の組成物を併せる工程であって、ここで、前記細胞および非細胞集団の少なくとも1つは、前記第一のリガンドの受容体を含む、工程;および
(b)蛍光を分析することにより前記検体中の前記集団を同定する工程
を含む、方法。
【請求項32】
前記集団のそれぞれについて少なくとも1つの追加のパラメータを同定する工程をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記追加のパラメータが、1つ以上の蛍光チャネル、1つ以上の光学パラメータ、1つ以上の電気的パラメータ、時間、散乱、およびそれらの組み合わせからなる群より独立して選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項1】
(a)第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドであって、前記第一のタンデム色素は、
(i)架橋および非架橋サブユニットを含み、第一の細菌種または第一の真核藻種から得られる第一のフィコビリタンパク質;および
(ii)前記第一のフィコビリタンパク質に結合体化した第一のパートナー色素
を含む、第一のタンデム色素に結合体化した第一のリガンドと、
(b)サブユニットを含み、前記第一の細菌種または前記第一の真核藻種から得られる非結合体化第二のフィコビリタンパク質
を含む組成物であって、
前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は同じであるか;または
前記第二のフィコビリタンパク質と前記第一のフィコビリタンパク質は異なり、および前記第二のフィコビリタンパク質は、前記第一のフィコビリタンパク質の前記非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、組成物。
【請求項2】
前記第二のフィコビリタンパク質が、前記サブユニット間の架橋を含有しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第二のフィコビリタンパク質が、前記サブユニット間の架橋を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記第二のフィコビリタンパク質が、天然タンパク質である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記第二のフィコビリタンパク質が、修飾タンパク質である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第一のフィコビリタンパク質における架橋の量が、前記第二のフィコビリタンパク質における架橋の量より多い、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記第二のフィコビリタンパク質が、蛍光を除去するかまたは減少させるように修飾される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記修飾が、前記第二のフィコビリタンパク質の架橋に影響を及ぼさない、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記第二のフィコビリタンパク質が、ブリーチされる、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記第二のフィコビリタンパク質対前記第一のフィコビリタンパク質の比が、約0.25:1から約10:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記第一のフィコビリタンパク質および前記第二のフィコビリタンパク質が、アロフィコシアニン、フィコエリトリン、フィコシアニン、およびフィコエリスロシアニンからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記第一のフィコビリタンパク質および前記第二のフィコビリタンパク質が、R−フィコエリトリン、B−フィコエリトリン、Y−フィコエリトリン、フィコエリトリン566、フィコエリスロシアニン、R−フィコシアニン、およびアロフィコシアニンからなる群より選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記第一のフィコビリタンパク質および前記第二のフィコビリタンパク質が、アロフィコシアニンである、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記第一の細菌種が、シアノバクテリウムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記シアノバクテリウムが、Spirulina platensis、Anabaena variabilis、Gloeobacter violaceus、Tolypothrix tenuis、およびLyngbya lagerheimiiからなる群より選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンド
をさらに含む組成物であって、
前記第二のタンデム色素が、
(i)架橋および非架橋サブユニットを含み、前記第一の細菌種または前記第一の真核藻種から得られる第三のフィコビリタンパク質と、
(ii)前記第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のパートナー色素
を含み;
前記第一、第二および第三のフィコビリタンパク質が同じであるか;または
前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一および第二のフィコビリタンパク質と異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の前記非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
(d)第三のタンデム色素に結合体化した第三のリガンド
をさらに含む組成物であって、
前記第三のタンデム色素が、
(i)架橋および非架橋サブユニットを含み、前記第一の細菌種または前記第一の真核藻種から得られる第四のフィコビリタンパク質と、
(ii)前記第四のフィコビリタンパク質に結合体化した第三のパートナー色素
を含み;
前記第一、第二、第三および第四のフィコビリタンパク質が同じであるか;または
前記第四のフィコビリタンパク質が、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質と異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質が、前記第一、第二もしくは第三のフィコビリタンパク質の前記非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、
請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
(e)第四のタンデム色素に結合体化した第四のリガンド
をさらに含む組成物であって、
前記第四のタンデム色素が、
(i)架橋および非架橋サブユニットを含み、前記第一の細菌種または前記第一の真核藻種から得られる第五のフィコビリタンパク質と、
(ii)前記第五のフィコビリタンパク質に結合体化した第四のパートナー色素
を含み;
前記第一、第二、第三、第四および第五のフィコビリタンパク質が同じであるか;または
前記第五のフィコビリタンパク質が、前記第一、第二、第三もしくは第四のフィコビリタンパク質と異なり、および前記第五のフィコビリタンパク質が、前記第一、第二、第三もしくは第四のフィコビリタンパク質の前記非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、
請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
フィコビリタンパク質でない色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンドをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
(c)第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のリガンド
をさらに含む組成物であって、
前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一の細菌種または前記第一の真核藻種から得られ;
前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一のフィコビリタンパク質もしくは前記第二のフィコビリタンパク質と同じであるか;または
前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一のフィコビリタンパク質もしく前記第二のフィコビリタンパク質と異なり、ならびに前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一および第二のフィコビリタンパク質の前記非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一のフィコビリタンパク質または前記第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含まない、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記第三のフィコビリタンパク質が、前記第一のフィコビリタンパク質または前記第二のフィコビリタンパク質の非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記第一のリガンドと前記第二のリガンドが同じである、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
前記第一のリガンドと前記第二のリガンドが異なる、請求項20に記載の組成物。
【請求項25】
フィコビリタンパク質でない色素に結合体化した1つ以上の追加のリガンドをさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
(c)第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンドであって、前記第二のタンデム色素は、
(i)架橋および非架橋サブユニットを含み、第二の細菌種または第二の真核藻種から得られる第三のフィコビリタンパク質;および
(ii)前記第三のフィコビリタンパク質に結合体化した第二のパートナー色素
を含む、第二のタンデム色素に結合体化した第二のリガンドと、
(d)サブユニットを含み、前記第二の細菌種または前記第二の真核藻種から得られる非結合体化第四のフィコビリタンパク質
をさらに含む組成物であって;
前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質が同じであるか;または
前記第四のフィコビリタンパク質と前記第三のフィコビリタンパク質が異なり、および前記第四のフィコビリタンパク質が、前記第三のフィコビリタンパク質の前記非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
(e)第四のフィコビリタンパク質に結合体化した第三のリガンド
をさらに含む組成物であって、
前記第四のフィコビリタンパク質が、前記第一の細菌種、前記第一の真核藻種、前記第二の細菌種、または前記第二の真核藻種から得られ;
前記第四のフィコビリタンパク質が、前記第一のフィコビリタンパク質、前記第二のフィコビリタンパク質、もしくは前記第三のフィコビリタンパク質と同じであるか;または
前記第四のフィコビリタンパク質が、前記第一、第二、もしくは第三のフィコビリタンパク質と異なり、および前記第一、第二、もしくは第三のフィコビリタンパク質の前記非架橋サブユニットと交換する非架橋サブユニットを含む、
請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記第一のリガンドが、アミノ酸配列または核酸配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
前記アミノ酸配列が、抗体、酵素、組換えタンパク質、多分子集合体、またはそれらのフラグメントを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記多分子集合体が、組換えタンパク質の四量体である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
検体中の細胞および非細胞集団を分析するための方法であって、
(a)前記検体と請求項1に記載の組成物を併せる工程であって、ここで、前記細胞および非細胞集団の少なくとも1つは、前記第一のリガンドの受容体を含む、工程;および
(b)蛍光を分析することにより前記検体中の前記集団を同定する工程
を含む、方法。
【請求項32】
前記集団のそれぞれについて少なくとも1つの追加のパラメータを同定する工程をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記追加のパラメータが、1つ以上の蛍光チャネル、1つ以上の光学パラメータ、1つ以上の電気的パラメータ、時間、散乱、およびそれらの組み合わせからなる群より独立して選択される、請求項31に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図4】
【図5】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図4】
【図5】
【公表番号】特表2012−512161(P2012−512161A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540887(P2011−540887)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/067481
【国際公開番号】WO2010/068742
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/067481
【国際公開番号】WO2010/068742
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)
【Fターム(参考)】
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