非線形弾性機構及びロボット用関節機構

【課題】可及的に小さなハードウェアサイズで、ロボットの手首関節等の動きと剛性の可変制御を可能とするハードウェアを提供する。
【解決手段】非線形弾性機構において、モータ15と、モータ15によって動力が伝達される入力部14と、入力部14の動きに対応する出力部12と、入力部14と出力部12との間に設けられ弾性特性を有する弾性部材11と、を備える機構であって、モータ15によって入力部14が第一の動きをするとき、弾性部材11の弾性特性が該入力部14の動きに応じて変化する第一駆動モードと、モータ15によって入力部14が第一の動きとは異なる第二の動きをするとき、該入力部14の動きに連動して出力部12が変位する第二駆動モードと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非線形の弾性特性を有する非線形弾性機構および、該非線形弾性機構から構成されるロボット用関節機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,ロボットの研究の動向はこれまでと異なった用途へ向かっている。自動化、人の行くことの困難な極所作業などから人の空間、人との協調作業さらに介護用、ペットロボットへの応用へと変化している。それにともない不確定な位置決め、対象物との接触時の衝撃の緩和、柔軟な挙動がより必要となる。そこでロボットに人間のような「柔らかさ」を持たせる研究が行われている。そして、予め関節剛性を設定可能な拮抗筋構造によるハードウェアでの制御手法が開示されている。そこでは、拮抗筋構造による剛性制御で非線形な弾性特性を持つ要素に関する技術が開示されている(例えば、非特許文献1、2を参照。)。
【0003】
更に、ロボットの手首関節において、関節の剛性を変化させるための非線形のバネ特性を有する機械的機構が開示されている(例えば、非特許文献3を参照。)。この機構は、図12に示すように、バネと三つのプーリで構成され、バネの一端にワイヤが掛けられ該プーリを介してアクチュエータにつなげられている。アクチュエータの駆動によりワイヤが引っ張られると、バネで吊られているプーリが引き寄せられてバネが伸びる。ここで、プーリの位置の変化によりワイヤの牽引方向が変化するため、等価的なバネ定数が増大し、結果として非線形のバネ特性が発揮される。
【非特許文献1】Koganezawa, Watanabe and Shimizu, “Antagonistic muscle-like actuator and its application to multi-d.o.f.forearm prosthesis”, Advanced Robotics, 1999, vol.12, No.7.8 pp.771-789
【非特許文献2】Koganezawa, Yamazaki, “Mechanical Stiffness Control of Tendon-Driven Joints”, IEEE Inte’l Conf. on Intelligent Robots and Systems, 1999, pp818-825
【非特許文献3】兵頭、小林、“非線形バネ要素をもつ腱制御手首機構の研究”、日本ロボット学会誌、1993年、vol.11, No.8, pp.1244-1251
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボットの手首関節等は、多自由度の動きが求められるとともに、より人間らしい動作を行わせるためには該関節の剛性を、ロボットの置かれる状況に応じて任意に制御できることが求められる。更に、手首関節等を構成するハードウェアは、ロボットの汎用性を高めるためにも、より小さな構造であることが望ましいが、従来の技術においては、手首関節の多自由度の動きと剛性の可変制御を可能とするコンパクトなハードウェアが開示されていない。
【0005】
本発明では、上記した問題に鑑み、可及的に小さなハードウェアサイズで、ロボットの手首関節等の動きと剛性の可変制御を可能とするハードウェアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては、上記した課題を解決するために、モータによって動力が伝えられる入力部に対して、モータが異なる二つの動きを行わせることで、入力部に対応する出力部と該入力部との間の弾性特性の変化と、該出力部の変位を得ることとした。このようにす
ることで、小さなハードウェアサイズで、ロボットの手首関節等の動きと剛性の可変制御を可能とするハードウェアを提供することが可能となる。
【0007】
詳細には、本発明は、モータと、前記モータによって動力が伝達される入力部と、前記入力部の動きに対応する出力部と、前記入力部と前記出力部との間に設けられ弾性特性を有する弾性部材と、を備える機構であって、前記モータによって前記入力部が第一の動きをするとき、前記弾性部材の弾性特性が該入力部の動きに応じて変化する第一駆動モードと、前記モータによって前記入力部が前記第一の動きとは異なる第二の動きをするとき、該入力部の動きに連動して前記出力部が変位する第二駆動モードと、を有することを特徴とする非線形弾性機構である。
【0008】
上記の非線形弾性機構では、モータによる入力部の駆動によって出力部にモータの動作が反映される。そして、出力部と入力部との間には弾性特性が可変制御される弾性部材が存在する。この弾性部材は、出力部に何らかの外力が加えられたとき、その外力に対する反力を生み出す。
【0009】
ここで、モータによって入力部には、上記の第一駆動モードと第二駆動モードの二種類の態様の動きが付与される。第一駆動モードでは、モータによって入力部に第一の動きを行わせることで、入力部と出力部との間に存在する弾性部材の弾性特性が、入力部の第一の動きによって変化する。これにより、出力部に何らかの外力が加えられたとき弾性部材によって生じる反力の挙動は、第一駆動モードによって、任意の挙動に可変制御することが可能となる。換言すると、弾性部材の弾性特性を、第一駆動モードによる入力部の動作を行うことで非線形特性とすることが可能となる。
【0010】
また、第二駆動モードでは、モータによって入力部に第一の動きとは異なる第二の動きを行わせることで、出力部の位置を変更させる。即ち、第二駆動モードにおいては、弾性部材の存在にかかわらず出力部の変位が得られる。
【0011】
従って、上記の非線形弾性機構では、出力部と入力部の一組において二種類の駆動モードがモータによって行われることで、出力部に働く外力に対する剛性の調節と出力部の変位とを両立することが可能となる。即ち、可及的に小さなハードウェアサイズで出力部における剛性変化と変位との両立が図られる。尚、上記の第一駆動モードと第二駆動モードの動作は、モータによって同時に行われてもよい。
【0012】
上記の非線形弾性機構において、前記第一駆動モードでは、前記モータによって前記入力部が回転駆動されることで、前記弾性部材の弾性特性が変化し、前記第二駆動モードでは、前記モータによって前記入力部が直動されることで、前記出力部が該入力部の動きに連動して直動するようにしてもよい。即ち、上記の第一の動きがモータによる入力部の回転運動に相当し、上記の第二の動きがモータによる入力部の直線運動に相当する。このように、モータによって入力部に対して異なる動きを行わせることで、出力部における剛性変化と変位との両立が図られる。
【0013】
また、上記の非線形弾性機構において、前記モータに接続されたボールネジと、該ボールネジに取り付けられるボールネジナットを備え、前記入力部は前記ボールネジナットであって、前記ボールネジナットと前記出力部との間には、両者を連結する連結部材と該連結部材と並列にねじりコイルバネが設けられ、前記弾性部材は前記ねじりコイルバネであって、前記第一駆動モードでは、前記モータによって前記ボールネジナットが回転駆動されることで前記ねじりコイルバネが捻られてその弾性特性が変化し、前記第二駆動モードでは、前記モータによって前記ボールネジナットが直動されることで前記連結部材を介して前記出力部が直動するようにしてもよい。
【0014】
ねじりコイルバネは、捻られることでバネの有効展開長さ等のバネの弾性特性に関連するパラメータが変化し、その弾性特性が調整される。一般には、ねじりコイルバネのバネ定数は、有効展開長さに反比例する。このねじりコイルバネの特性を利用して、第一駆動モードでは、モータによって入力部を回転させることでねじりコイルバネの弾性特性を必要な特性に変化させる。これによって、出力部における剛性変化が得られる。また、第二駆動モードでは、モータによって入力部であるボールネジナットを直動することで、出力部も直動させる。これによって、出力部の変位が得られる。
【0015】
更には、上記の非線形弾性機構においては、前記連結部材は、外表面が前記ボールネジの軸方向に傾斜するテーパ形状を有し、前記ねじりコイルバネは、該ねじりコイルバネの少なくとも一部が前記連結部材の外表面に接触した状態で該連結部材を内包し、前記第一駆動モードでは、前記モータによって前記ボールネジナットを介して前記ねじりコイルバネが捻られて、該ねじりコイルバネが前記連結部材の外表面に接触していない有効展開長さが変化することで、該ねじりコイルバネの弾性特性が変化するようにしてもよい。
【0016】
ねじりコイルバネの内部に、テーパ形状を有する連結部材が設けられており、ねじりコイルバネの一部はこの連結部材に接触している。ねじりコイルバネのうち連結部材に接触している部分は、弾性部材として機能せず、弾性部材と機能するのはねじりコイルバネが前記連結部材の外表面に接触していない有効展開長さに相当する部分である。そこで、第一駆動モードでは、モータによってねじりコイルバネを捻ることで、ねじりコイルバネが次第に連結部材のテーパ面に接触していく。その結果、ねじりコイルバネの有効展開長さが調整されて、以てねじりコイルバネの弾性特性を変化させることが可能となる。
【0017】
また、上記のねじりコイルバネを有する非線形弾性機構において、前記ボールネジナットまたは前記出力部に固定され、前記ねじりコイルバネの表面の少なくとも一部の範囲を覆う筒状のコイルカバーを、更に備えるようにしてもよい。ねじりコイルバネが第一駆動モードにおいてモータによって捻られると、その弾性特性が変化するのは上述の通りである。ここで、このモータによる捻りによって、ねじりコイルバネに曲げトルクが発生し、ねじりコイルバネが曲がってしまう場合がある。そしてねじりコイルバネが曲げトルクによって曲がると、その展開有効長さが予期せぬ状態になり、その弾性特性が本来発揮すべき弾性特性から外れる可能性がある。そこで、ねじりコイルバネの表面を覆うコイルカバーを設けることで、ねじりコイルバネが予期せぬ方向に曲がるのを抑制する。これにより、第一駆動モードによってねじりコイルバネの弾性特性を、より確実に本来の弾性特性とすることが可能となる。
【0018】
ここで、上述までの非線形弾性機構を用いて、ロボット用の関節を組み立てることが可能である。即ち、上述までの非線形弾性機構を少なくとも三台、且つ並列に備え、前記非線形弾性機構のそれぞれの出力部が接続された関節装置を有することで、ロボット用関節機構が組み立てられる。
【0019】
このように組み立てられたロボット用関節機構は、各非線形弾性機構の第一駆動モードによって、各出力部が接続されている関節装置における剛性を任意の剛性に調整することが可能となる。その結果、関節装置に外力が加えられるとき、外力に対抗する反力の挙動を変化させることが可能となる。例えば、比較的弱い外力が加えられるときは、関節装置における剛性を低くして、発生する反力を弱める。即ち、人間の手首の挙動にたとえると、外力に対して柔らかい支持を行うことが可能となる。また、比較的強い外力が加えられるときは、関節装置における剛性を高くして、発生する反力を強める。即ち、人間の手首の挙動にたとえると、外力に対して硬い支持を行うことが可能となる。
【0020】
また、上記のロボット用関節機構は、各非線形弾性機構の第二駆動モードによって、各出力部が接続されている関節装置の位置が変更される。これによって、関節装置全体の位置の変更に加えて、非線形弾性機構の出力部が接続されている箇所を基準として関節装置の姿勢を変更することが可能となる。例えば、関節装置の中心を挟んで対角の位置に非線形弾性機構が接続されている場合、一の非線形弾性機構の出力部の位置と他の非線形弾性機構の出力部の位置との間にずれを設けることで、そのずれに応じて関節装置の姿勢が傾く。少なくとも三台の非線形弾性機構が関節装置に接続されることで、関節装置の姿勢を三次元的に制御することが可能となるが、より多くの非線形弾性機構が関節装置に接続されると、より細かく関節装置の姿勢を制御することが可能となる。
【0021】
上記のロボット用関節機構において、前記非線形弾性機構は偶数個備えられていてもよい。非線形弾性機構を複数備えることで、それらを関節装置の中心に対して回転対称に配置することが可能となる。その結果、関節装置における剛性とその変位をより正確に制御することが可能となる。
【0022】
また、上述までのロボット用関節機構において、前記関節装置は、太陽歯車、遊星歯車、内歯車および遊星歯車用のキャリアから構成される遊星歯車機構を有し、該遊星歯車機構に前記非線形弾性機構のそれぞれの出力部が接続され、前記太陽歯車、前記内歯車、前記キャリアの何れかにロボット用エンドエフェクタが接続されるとともに、該ロボット用エンドエフェクタを回転駆動させる回転駆動装置が設けられるようにしてもよい。
【0023】
上記のように構成されるロボット用関節機構においては、遊星歯車機構に接続されたロボット用エンドエフェクタの姿勢や、該エンドエフェクタにおける剛性を、非線形弾性機構での駆動モードを介して調整することが可能となる。また、回転駆動装置によって、該エンドエフェクタを自転させることが可能となる。
【0024】
より詳細には、第一に、前記非線形弾性機構のそれぞれの出力部は前記遊星歯車機構の前記内歯車に接続され、前記遊星歯車機構の前記太陽歯車にはロボット用エンドエフェクタが接続され、前記回転駆動装置は、前記遊星歯車機構の前記キャリアを回転駆動するようにしてもよい。
【0025】
このようにすることで、内歯車に接続される各非線形弾性機構での駆動モードを制御して、エンドエフェクタの姿勢やエンドエフェクタにおける剛性を調整することが可能となる。また、回転駆動装置によって、キャリアから遊星歯車、太陽歯車と駆動力を伝達させることで、エンドエフェクタを自転させることが可能となる。
【0026】
また、回転駆動装置が駆動しない状態でエンドエフェクタに外部から回転トルクがかかると、太陽歯車、遊星歯車がそれぞれ自転して、内歯車に回転が伝達される。その結果、内歯車に接続されている出力部を介して、非線形弾性機構の弾性部材に捻りが加えられる。そこで、該弾性部材の弾性特性を上述の第一駆動モードにより予め調整しておくことで、弾性部材に捻りが加わるときの、即ちエンドエフェクタに外部から回転トルクが加わるときの回転における剛性も制御することが可能となる。
【0027】
第二に、上述のロボット用関節機構において、前記非線形弾性機構のそれぞれの出力部は前記遊星歯車機構の前記内歯車に接続され、前記遊星歯車機構の前記キャリアにはロボット用エンドエフェクタが接続され、前記回転駆動装置は、前記遊星歯車機構の前記太陽歯車を回転駆動するようにしてもよい。
【0028】
上記のように構成されるロボット用関節機構においては、内歯車に接続される各非線形弾性機構での駆動モードを制御することで、エンドエフェクタの姿勢やエンドエフェクタ
における剛性を調整することが可能となる。また、回転駆動装置によって、太陽歯車から遊星歯車、キャリアと駆動力を伝達させることで、エンドエフェクタを自転させることが可能となる。この場合、太陽歯車とキャリアとの関係から大きな減速比を得ることが可能となり、回転駆動装置によって比較的大きなトルクをエンドエフェクタに発生させることが可能となる。
【0029】
第三に、上述のロボット用関節機構において、前記非線形弾性機構のそれぞれの出力部は前記遊星歯車機構の前記キャリアに接続され、前記遊星歯車機構の前記内歯車にはロボット用エンドエフェクタが接続され、前記回転駆動装置は、前記遊星歯車機構の前記太陽歯車を回転駆動するようにしてもよい。
【0030】
上記のように構成されるロボット用関節機構においては、キャリアに接続される各非線形弾性機構での駆動モードを制御することで、エンドエフェクタの姿勢やエンドエフェクタにおける剛性を調整することが可能となる。また、回転駆動装置によって、太陽歯車から遊星歯車、内歯車と駆動力を伝達させることで、エンドエフェクタを自転させることが可能となる。この場合、太陽歯車と内歯車との関係から大きな減速比を得ることが可能となり、回転駆動装置によって比較的大きなトルクをエンドエフェクタに発生させることが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
可及的に小さなハードウェアサイズで、ロボットの手首関節等の動きと剛性の可変制御を可能とするハードウェアを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
ここで、本発明に係る非線形弾性機構及びロボット用関節機構の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0033】
図1に本発明に係る非線形弾性機構を有するロボットのアーム1のモデル図を示す。アーム1は、エンドエフェクタ2、手首関節3、アーム本体4で構成されている。更に、手首関節3を挟んで、並列に非線形弾性機構5、6が設けられている。非線形弾性機構5は、弾性特性を有する弾性部材5a、弾性部材5aを伸縮するモータ5b、弾性部材5aとエンドエフェクタ2とを結ぶ腱5cとから構成されている。非線形弾性機構6についても、同様に弾性部材6a、モータ6b、腱6cとから構成されている。
【0034】
ここで、アーム1においては、腱5cにかかる張力ξ1と腱6cにかかる張力ξ2が釣り合うことで、手首関節3回りのエンドエフェクタ2の姿勢が保持される。このとき、弾性部材5aおよび弾性部材6aは、線形バネではない非線形バネである。従って、張力ξ1およびξ2は、以下の式のように表される。
ξ1=k(δ)
ξ2=k(δ)
これらの式において、kはバネ定数、δは初期変位であり、nは1以外の数字である。
【0035】
図1(a)は、張力ξ1とξ2が釣り合っている状態であるが、その状態からエンドエフェクタ2に外力Fが働いて、エンドエフェクタ2の姿勢が手首関節3回りに角度θ変化した状態を図1(b)に示す。このとき手首関節3の回りにモーメントτが発生しているとすると、手首関節3回りのモーメントの釣り合いは、以下の式のように表される。
τ+r{k(δ−rθ)−k(δ+rθ)}=0
上記の式において、rは張力ξ1、ξ2が作用する位置と手首関節3の回転中心との距離である。
【0036】
弾性部材5aおよび弾性部材6aは非線形バネでありnは1以外の数値であるから、手首関節3回りの剛性S(S=τ/θで表される。)は、初期変位δの関数で表すことが可能となる。例えば、弾性部材5aおよび弾性部材6aがn=2で表される非線形バネであるとき、剛性Sは、S=4krδとなる。即ち、モータ5b、6bによって、弾性部材5a、6aを伸張等させて非線形バネとしての機能を発揮させることで、手首関節3回りの剛性Sを可変制御することが可能となる。
【0037】
より具体的に本発明に係る非線形弾性機構の構造について、図2および図3に基づいて説明する。図2は非線形弾性機構5のより詳細な構成を示す図であり、図3は図2に示す非線形弾性機構5の内部を示す図である。尚、非線形弾性機構6は、非線形弾性機構5と同様の構造を有しているので、以降、非線形弾性機構を参照する際の参照番号は5に統一する。
【0038】
非線形弾性機構5は、ボールネジ10と、それに取り付けられたボールネジナット14から構成される。尚、ボールネジ10はモータ15(図1におけるモータ5bに相当)によって回転駆動される。ボールネジナット14には、それと一体にガイドシャフト13が取り付けられている。ガイドシャフト13はボールネジ10の軸線に従って、そのシャフト径が細くなっている。即ち、ガイドシャフト13のボールネジ10の軸線方向の断面において、ガイドシャフト13の外表面はテーパ形状を有している。更に、ガイドシャフト13の外表面を覆うようにねじりコイルバネ11(図1における弾性部材5aに相当)が取り付けられている。ねじりコイルバネ11の一端はガイドシャフト13に接続され、もう一端はガイドシャフト13の先端に取り付けられた伝達板12に接続されている。ねじりコイルバネ11の一部は、ガイドシャフト13の表面に接触した状態となっている。
【0039】
ここで、モータ15によってボールネジ10が回転駆動されると、ボールネジナット14の動きは、それに働く外力と、ボールネジナット14とボールネジ10との間の摩擦力との関係によって、ボールネジ10とともに回転する回転モードかまたはボールネジ10の軸線方向に直動する直動モードのいずれか、もしくは両モードを同時にとる。ボールネジナット14が回転モードの動作を行うと、ガイドシャフト13も回転し、ガイドシャフト13と伝達板12との間に設けられたねじりコイルバネ11が捻られる。ねじりコイルバネ11が捻られると、その一部がガイドシャフト13の外表面に接触した状態となっていき、ねじりコイルバネ11の有効展開長さが変化していく。ねじりコイルバネ11の有効展開長さが変化すると、ねじりコイルバネ11の弾性係数が変化するため、結果として弾性部材であるねじりコイルバネ11が非線形バネとして機能することになる。
【0040】
ねじりコイルバネ11の非線形バネとしての機能を、図4に基づいて詳細に説明する。図4(a)は、ガイドシャフト13とねじりコイルバネ11との関係を示す図であって、モータ15によってねじりコイルバネ11にねじりトルクが与えられていない状態を表している。図4(a)に示す状態では、ねじりコイルバネ11の一端のみがガイドシャフト13のテーパ面に接触しており、その他は非接触状態となっている。そして、このときの、ねじりコイルバネ11の有効展開長さは図示のようにLである。この有効展開長さとは、ねじりコイルバネ11においてガイドシャフト13と接触しておらず弾性部材としての弾性特性を発揮し得る部分の長さである。ねじりコイルバネ11の弾性係数は、この有効展開長さLの長さに反比例する。
【0041】
ガイドシャフト13のシャフト径R’(x)は、その端部からの距離xの関数で表される。具体的には、図4に示すように、ガイドシャフト13のテーパ面形状は、曲率rk1とrk2で描かれる二つの円弧が結合された形状となっており、xの値が大きくなるに従いシャフト径R’(x)は小さくなる。更に、二つの曲率rk1とrk2で描かれる曲線
の結合部では、それぞれの微分値が連続となるようにテーパ面形状が決定される。これにより、テーパ面形状の変化が滑らかとなる。
【0042】
図4(a)に示す状態からボールネジナット14が回転モードの動作を行うと、図4(b)に示すように、ねじりコイルバネ11の一部がガイドシャフト13のテーパ面に巻きつく。そのねじりコイルバネ11の巻きつき位置を図4(b)に示すように、ガイドシャフト13の端部から距離xの位置とし、該巻きつき位置でのコイル径をr(x)とすると、ガイドシャフト13に接触していない部分のねじりコイルバネ11のコイル径もr(x)(<r(0))となる。その結果、ねじりコイルバネ11の全長はΔL長くなり、有効展開長さはL+ΔL−xとなる。以て、ねじりコイルバネ11の弾性係数は、図4(a)の状態と比べて大きくなり、即ちねじりコイルバネ11が硬いバネとなる。
【0043】
図5(a)に、ボールネジナット14が回転モードの動作を行うことで生じるねじりコイルバネ11のねじり角(上記の距離xと比例関係を有する)と、ねじりコイルバネ11によって発生するねじりトルクとの相関を示す。図中の点線は、ねじりコイルバネ11が線形の弾性特性を有すると仮定した場合の両者の関係である。図5(a)を見て分かるように、図4(b)に示すようにねじりコイルバネ11が捻られてその有効展開長さが変化していくことで、ねじりコイルバネ11が非線形の弾性特性を有する。更に、図5(b)には、図5(a)のようにねじりトルクを発生させるときの、ねじり角と非線形弾性機構5における剛性との相関を示す。図5(b)を見て分かるように、ねじり角を調整することで非線形弾性機構5の剛性を制御することが可能となる。
【0044】
次に、非線形弾性機構5を構成するボールネジナット14の直動モードの動作を、図6に基づいて説明する。図6(a)は非線形弾性機構5を主な構成要素に分解した図であり、図6(b)はその組み立てた全体図である。詳細には、モータ15の出力軸は、カップリング16を介してボールネジ10と接続される。そして、ボールネジ10にはボールネジナット14が取り付けられ、更にボールネジナット14にはガイドシャフト13、ねじりコイルバネ11および伝達板12が取り付けられている。
【0045】
このように構成される非線形弾性機構5において、モータ15の駆動によってボールネジナット14が直動モードの動作を行うと、ボールネジナット14に取り付けられた伝達板12等も直動する。即ち、ボールネジナット14の直動モードにおいては、伝達板12の位置を、ボールネジ10の軸線方向に変化させることが可能となる。
【0046】
更に、図7に非線形弾性機構5の、より詳細な構造を示す。ガイドシャフト13の先端側(ボールネジナット14とは反対側)には、ボールネジ10を覆うように筒状の内側部材21が固定されている。その内側部材21を、その内輪側にて把持するベアリング22が設置されている。更に、ベアリング22の外輪側は、図7には図示されない伝達板12と固定された筒状の外側部材23に固定されている。そして、ガイドシャフト13にねじりコイルバネ11の一端が接続され、外側部材23にねじりコイルバネ11のもう一端が接続されている。また、ねじりコイルバネ11の外側の一部を覆うように筒状のコイルカバー20が、外側部材23側に設けられている。
【0047】
このように非線形弾性機構5が構成されることで、モータ15によってボールネジが回転駆動されてボールネジナット14が回転モードの動作を行うとき、内側部材21と外側部材23とが相対的に回転するため、ねじりコイルバネが捻られ、上述したようにねじりコイルバネ11の弾性係数が変化し、以て非線形弾性機構5における剛性が変化する。また、モータ15によってボールネジ10が回転駆動されてボールネジナット14が直動モードの動作を行うとき、ボールネジナット14に連動して内側部材21、外側部材23、外側部材23とつながる伝達板12が、ボールネジ10の軸線方向に直動する。即ち、モ
ータ15によって、ボールネジナット14に異なる二つの動きを行わせることで、非線形弾性機構5における剛性の変化と、その先端の位置の変化を得ることが可能となる。尚、ボールネジナット14において回転モードと直動モードの何れかが行われるかは、ボールネジナット14とボールネジ10との間の摩擦力や、ガイドシャフト13を通してボールネジナット14に外部から伝えられる外力との関係によって決まる。
【0048】
また、コイルカバー20が設けられることで、ねじりコイルバネ11の外表面の動きが拘束される。これは、ボールネジナット14が回転モードの動作を行うときにねじりコイルバネ11に働く曲げトルクによってねじりコイルバネ11が曲げられ、その弾性係数の調整が良好に行われなくなるのを防ぐのに有用である。
【0049】
上述までの非線形弾性機構5を用いて構成されたロボット用の関節機構について、図8に基づいて説明する。図8は、ロボット用の手首関節機構30の構成を示す図である。手首関節機構30には、並列に上述までの非線形弾性機構5が四台取り付けられている。各非線形弾性機構5は、上述した各伝達板12がカップリングを介して遊星歯車機構31を構成する内歯車31aに接続されている。また、各非線形弾性機構5の各モータ15は、ベース35に固定されている。尚、各非線形弾性機構5は、遊星歯車機構31を構成する太陽歯車31dを中心として、回転対称に均等に配置されている。
【0050】
また、遊星歯車機構31では、内歯車31に噛み合う三個の遊星歯車31bが設けられ、更に各遊星歯車31bが太陽歯車31dと噛み合っている。太陽歯車31dには、ロボットの手首用エンドエフェクタ32が取り付けられている。ここで、遊星歯車31bのキャリア31cには、キャリア用シャフト33が接続され、該キャリア用シャフト33はキャリア用モータ34によって回転駆動される。同様の手首関節機構30の構成を図9にも示す。図9では、図面における手前側の非線形弾性機構5の記載を省略してある。尚、太陽歯車31dを挟んで対角の位置にある非線形弾性機構5のそれぞれのボールネジ10のネジ方向は互いに逆向きとなっている。
【0051】
このように構成されるロボット用手首関節機構30では、非線形弾性機構5およびキャリア用モータ34によって、エンドエフェクタ32の姿勢が制御される。先ず、四台の非線形弾性機構5において、右ネジのボールネジを有する場合はモータ右回転、左ネジのボールネジを有する場合はモータを左回転させると、各非線形弾性機構5を構成するボールネジとボールネジナットが共に回転し、ボールネジナットが上述の回転モードの動作を行う。その結果、各非線形弾性機構5のねじりコイルバネが捻られて、四台の非線形弾性機構5で構成される手首関節用機構30の剛性が可変制御される。例えば、エンドエフェクタ32を外力に対して柔軟に対応させるためには、四台のモータをねじりコイルバネの捻りを解く方向に回転させることで、手首関節用機構30の剛性を弱める。逆に、エンドエフェクタ32を外力に対して強固に対応させるためには、四台のモータをねじりコイルバネを捻る方向に回転させることで、手首関節用機構30の剛性を高める。
【0052】
このように四台の非線形弾性機構5のモータを回転させるとき、ねじりコイルバネによって発生する捻りトルクは各ボールネジによってボールネジナットを引っ張る力に変換される。その結果、非線形弾性機構5が接続される遊星歯車機構31の内歯車31aが四方向から引っ張られるが、非線形弾性機構5の配置によりその引張り力による手首関節回りのトルクは打ち消され、エンドエフェクタ32の姿勢には影響を及ぼさない。
【0053】
また、太陽歯車31dを中心として対角に位置する一組の非線形弾性機構5において、モータを同一方向に回転させる。これによって、一方の非線形弾性機構5におけるボールネジナットは図面9において下方向に進み、もう一方の非線形弾性機構5におけるボールネジナットは図面9において上方向に進む。即ち、一対の非線形弾性機構5において、ボ
ールネジナットが上述の直動モードの動作を行う。その結果、非線形弾性機構5が接続されている内歯車31aが傾き、以てエンドエフェクタ32の姿勢が変動する。また、残りの一組の非線形弾性機構5においても、ボールネジナットが直動モードの動きをすべくそれぞれのモータを駆動させることで、エンドエフェクタ32の姿勢をより細かく制御することが可能となる。更に、キャリア用モータ34によって、エンドエフェクタ32を、太陽歯車31dを中心として回転させることも可能である。
【0054】
ここで、キャリア用モータ34を停止した状態で、即ちキャリア31cが回転しない状態で、エンドエフェクタ32に外部から回転トルクが加えられたとき、太陽歯車31dが回転する。このときキャリア31cは回転しないため遊星歯車31bは自転し、内歯車31aに回転力を伝える。その結果、各非線形弾性機構5のボールネジが傾き、ボールネジが伸張されて、各ねじりコイルバネが捻られることになる。従って、予め各モータによって各ねじりコイルバネが捻られてその弾性係数が調整されておくことで、エンドエフェクタ32に外力が働いたときのエンドエフェクタ32の回転における該回転のしやすさ、即ち回転における剛性も調整することが可能となる。
【0055】
上述したように本発明に係る非線形弾性機構および、該非線形弾性機構によって構成されたロボット用の関節機構においては、ボールネジナットという一つの入力部に対して、回転モードと直動モードの異なる動作を行わせることで、非線形弾性機構または関節機構における剛性を調整するとともに、伝達板もしくは伝達板に接続される内歯車等の出力部を変位させることが可能となる。従って、出力部の剛性と変位を、可及的に小さなハードウェアサイズで調整することが可能となる。
【実施例2】
【0056】
上述までの非線形弾性機構5を用いて構成されたロボット用の関節機構の第二の実施例について、図10に基づいて説明する。本実施例に係る関節機構40は、図8と同様にロボット用の手首関節機構である。該手首関節機構40には、並列に上述までの非線形弾性機構5が取り付けられる。
【0057】
本実施例においては、各非線形弾性機構5は、上述した各伝達板12がカップリングを介して遊星歯車機構41を構成する内歯車41aに接続されている。この遊星歯車機構40は、内歯車41aに噛み合う三個の遊星歯車41bと、更に各遊星歯車41bと噛み合う太陽歯車41dとを有している。尚、非線形弾性機構5の取り付けについては、図8に示すように遊星歯車機構41の太陽ギア41dを中心に回転対称で均等に各々の非線形弾性機構5が取り付けられているが、図10においては表示の簡略のため、二台の非線形弾性機構5を示している。ここで、遊星歯車41b用のキャリア41cには、ロボットの手首用エンドエフェクタ42が取り付けられている。そして、太陽歯車41dには、太陽歯車用シャフト43が接続され、該太陽歯車用シャフト43は太陽歯車用モータ44によって回転駆動される。
【0058】
このように構成されるロボット用手首関節機構40でも、上述したように、四台の非線形弾性機構5によって、エンドエフェクタ42の姿勢が制御される。即ち、非線形弾性機構5における関節機構40の剛性の可変制御と、非線形弾性機構5が接続される遊星歯車機構41の傾きの制御が可能となる。また、太陽歯車用モータ44による太陽歯車41dの回転によって、キャリア41cに接続されたエンドエフェクタ42を自転させることが可能となる。また、このように太陽歯車41dの回転によりエンドエフェクタ42が回転駆動させられることで、太陽歯車用モータ44とエンドエフェクタ42との間に大きな減速比を発生させることが可能となり、エンドエフェクタ42に比較的大きなトルクを発生させることが可能となる。
【実施例3】
【0059】
上述までの非線形弾性機構5を用いて構成されたロボット用の関節機構の第三の実施例について、図11に基づいて説明する。本実施例に係る関節機構50は、図8と同様にロボット用の手首関節機構である。該手首関節機構50には、並列に上述までの非線形弾性機構5が取り付けられる。
【0060】
本実施例においては、各非線形弾性機構5は、上述した各伝達板12がカップリングを介して遊星歯車機構51を構成する遊星歯車51bのキャリア51cに接続されている。この遊星歯車機構50は、内歯車51aに噛み合う三個の遊星歯車51bと、更に各遊星歯車51bと噛み合う太陽歯車51dとを有している。尚、非線形弾性機構5の取り付けについては、図8に示すように遊星歯車機構51の太陽ギア51dを中心に回転対称で均等に各々の非線形弾性機構5が取り付けられているが、図11においては表示の簡略のため、二台の非線形弾性機構5を示している。ここで、内歯車51aには、ベース部材55を介して、ロボットの手首用エンドエフェクタ52が取り付けられている。そして、太陽歯車51dには、太陽歯車用シャフト53が接続され、該太陽歯車用シャフト53は太陽歯車用モータ54によって回転駆動される。
【0061】
このように構成されるロボット用手首関節機構50でも、上述したように、四台の非線形弾性機構5によって、エンドエフェクタ52の姿勢が制御される。即ち、非線形弾性機構5における関節機構50の剛性の可変制御と、非線形弾性機構5が接続される遊星歯車機構51の傾きの制御が可能となる。また、太陽歯車用モータ54による太陽歯車51dの回転によって、内歯車51aに接続されたエンドエフェクタ52を自転させることが可能となる。また、このように太陽歯車51dの回転によりエンドエフェクタ52が回転駆動させられることで、太陽歯車用モータ54とエンドエフェクタ52との間に大きな減速比を発生させることが可能となり、エンドエフェクタ52に比較的大きなトルクを発生させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例に係る非線形弾性機構を有するロボットのアームの概略を示である。
【図2】本発明の実施例に係る非線形弾性機構のより詳細な構成を示す第一の図である。
【図3】図2に示す非線形弾性機構の内部を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係る非線形弾性機構において、ねじりコイルバネが非線形バネとして機能を発揮することを示す図である。
【図5】本発明の実施例に係る非線形弾性機構において、ボールネジナットが回転モードの動作を行うことで生じるねじりコイルバネのねじり角とねじりコイルバネによって発生するねじりトルクとの相関、および該ねじり角と非線形弾性機構における剛性との相関を示す図である。
【図6】本発明の実施例に係る非線形弾性機構において、該非線形弾性機構を主な構成要素に分解した図、およびその組み立てた全体図である。
【図7】本発明の実施例に係る非線形弾性機構のより詳細な構成を示す第二の図である。
【図8】本発明の第一実施例に係るロボット用の手首関節機構の構成を示す第一の図である。
【図9】本発明の第一実施例に係るロボット用の手首関節機構の構成を示す第二の図である。
【図10】本発明の第二実施例に係るロボット用の手首関節機構の構成を示す図である。
【図11】本発明の第三実施例に係るロボット用の手首関節機構の構成を示す図である。
【図12】従来の技術において、ロボットの関節の剛性を変化させるための非線形のバネ特性を有する機械的機構を示す図である。
【0063】
1・・・・アーム
2・・・・エンドエフェクタ
3・・・・手首関節
4・・・・アーム本体
5・・・・非線形弾性機構
5a・・・・弾性部材
5b・・・・モータ
5c・・・・腱
6・・・・非線形弾性機構
6a・・・・弾性部材
6b・・・・モータ
6c・・・・腱
10・・・・ボールネジ
11・・・・ねじりコイルバネ
12・・・・伝達板
13・・・・ガイドシャフト
14・・・・ボールネジナット
15・・・・モータ
20・・・・コイルカバー
30、40、50・・・・手首関節機構
31、41、51・・・・遊星歯車機構
31a、41a、51a・・・・内歯車
31b、41b、51b・・・・遊星歯車
31c、41c、51c・・・・キャリア
31d、41d、51d・・・・太陽歯車
32、42、52・・・・エンドエフェクタ
33・・・・キャリア用シャフト
34・・・・キャリア用モータ
43、53・・・・太陽歯車用シャフト
44、54・・・・太陽歯車用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータによって動力が伝達される入力部と、
前記入力部の動きに対応する出力部と、
前記入力部と前記出力部との間に設けられ弾性特性を有する弾性部材と、を備える機構であって、
前記モータによって前記入力部が第一の動きをするとき、前記弾性部材の弾性特性が該入力部の動きに応じて変化する第一駆動モードと、
前記モータによって前記入力部が前記第一の動きとは異なる第二の動きをするとき、該入力部の動きに連動して前記出力部が変位する第二駆動モードと、
を有することを特徴とする非線形弾性機構。
【請求項2】
前記第一駆動モードでは、前記モータによって前記入力部が回転駆動されることで、前記弾性部材の弾性特性が変化し、
前記第二駆動モードでは、前記モータによって前記入力部が直動されることで、前記出力部が該入力部の動きに連動して直動することを特徴とする請求項1に記載の非線形弾性機構。
【請求項3】
前記モータに接続されたボールネジと、該ボールネジに取り付けられるボールネジナットを備え、
前記入力部は前記ボールネジナットであって、
前記ボールネジナットと前記出力部との間には、両者を連結する連結部材と該連結部材と並列にねじりコイルバネが設けられ、
前記弾性部材は前記ねじりコイルバネであって、
前記第一駆動モードでは、前記モータによって前記ボールネジナットが回転駆動されることで前記ねじりコイルバネが捻られてその弾性特性が変化し、
前記第二駆動モードでは、前記モータによって前記ボールネジナットが直動されることで前記連結部材を介して前記出力部が直動することを特徴とする請求項2に記載の非線形弾性機構。
【請求項4】
前記連結部材は、外表面が前記ボールネジの軸方向に傾斜するテーパ形状を有し、
前記ねじりコイルバネは、該ねじりコイルバネの少なくとも一部が前記連結部材の外表面に接触した状態で該連結部材を内包し、
前記第一駆動モードでは、前記モータによって前記ボールネジナットを介して前記ねじりコイルバネが捻られて、該ねじりコイルバネが前記連結部材の外表面に接触していない有効展開長さが変化することで、該ねじりコイルバネの弾性特性が変化することを特徴とする請求項3に記載の非線形弾性機構。
【請求項5】
前記ボールネジナットまたは前記出力部に固定され、前記ねじりコイルバネの表面の少なくとも一部の範囲を覆う筒状のコイルカバーを、更に備えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の非線形弾性機構。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の非線形弾性機構を少なくとも三台、且つ並列に備え、
前記非線形弾性機構のそれぞれの出力部が接続された関節装置を有することを特徴とするロボット用関節機構。
【請求項7】
前記関節装置は、太陽歯車、遊星歯車、内歯車および遊星歯車用のキャリアから構成される遊星歯車機構を有し、該遊星歯車機構に前記非線形弾性機構のそれぞれの出力部が接
続され、
前記太陽歯車、前記内歯車、前記キャリアの何れかにロボット用エンドエフェクタが接続されるとともに、該ロボット用エンドエフェクタを回転駆動させる回転駆動装置が設けられることを特徴とする請求項6に記載のロボット用関節機構。
【請求項8】
前記非線形弾性機構のそれぞれの出力部は前記遊星歯車機構の前記内歯車に接続され、
前記遊星歯車機構の前記太陽歯車にはロボット用エンドエフェクタが接続され、
前記回転駆動装置は、前記遊星歯車機構の前記キャリアを回転駆動することを特徴とする請求項7に記載のロボット用関節機構。
【請求項9】
前記非線形弾性機構のそれぞれの出力部は前記遊星歯車機構の前記内歯車に接続され、
前記遊星歯車機構の前記キャリアにはロボット用エンドエフェクタが接続され、
前記回転駆動装置は、前記遊星歯車機構の前記太陽歯車を回転駆動することを特徴とする請求項7に記載のロボット用関節機構。
【請求項10】
前記非線形弾性機構のそれぞれの出力部は前記遊星歯車機構の前記キャリアに接続され、
前記遊星歯車機構の前記内歯車にはロボット用エンドエフェクタが接続され、
前記回転駆動装置は、前記遊星歯車機構の前記太陽歯車を回転駆動することを特徴とする請求項7に記載のロボット用関節機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−250296(P2006−250296A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70084(P2005−70084)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人 日本ロボット学会 第22回 日本ロボット学会学術講演会 講演概要集 245頁 3L27 平成16年9月15日発行 「非線形弾性要素を有するアクチュエータ(ANLES)を用いた拮抗駆動型手首関節とその剛性制御」 第22回 日本ロボット学会学術講演会 社団法人 日本ロボット学会 開催日 平成16年9月17日
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (350)
【Fターム(参考)】