説明

非自己凝集性で均一な混成を示す薄いフィルム、およびそれから作製した薬物送達システム

【課題】本発明は、所望の活性成分濃度を含むフィルム生成物およびその調製方法に関する。
【解決手段】フィルムは、水中で崩壊し、制御乾燥工程、またはフィルムの必要な均一性を維持する他の方法によって形成できること望ましい。望ましくは、所望する活性の消失を懸念することなく、活性成分が通常分解する温度よりも高い温度にフィルムを曝露できることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年1月30日出願米国仮出願第60/443,741号の利益を主張するものであり、この仮出願は、2002年10月11日出願のPCT/US02/32575号[この特許は2002年2月14日出願米国出願第10/074,272号(この特許は2001年10月12日出願米国仮出願第60/328,868号、および2002年6月7日出願米国仮出願第60/386,937号の優先権を主張する)の優先権を主張する]、2002年10月11日出願PCT/US02/32594号[この特許は2002年9月27日出願米国仮出願第60/414,276号、2002年2月14日出願米国出願第10/074,272号(この特許は2001年10月12日出願米国仮出願第60/328,868号、および2002年6月7日出願米国仮出願第60/386,937号の優先権を主張する)の優先権を主張する]、ならびに2002年10月11日出願PCT/US02/32542号[この特許は2002年4月11日出願米国仮出願第60/371,940号、2002年2月14日出願米国出願第10/074,272号(この特許は2001年10月12日出願米国仮出願第60/328,868号、および2002年6月7日出願米国仮出願第60/386,937号の優先権を主張する)の優先権を主張する]の一部継続出願であり、それらの内容のすべては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、急速に溶解するフィルムおよびその調製方法に関する。フィルムには、フィルム全体にわたって均等に分布した活性成分が含まれる。均等または均一な分布は、1つまたは複数のパラメータを制御すること、特に、フィルム形成前および形成中のエアポケットの除去、およびフィルムが固体構造に形成されてゆくにつれて、フィルム中で成分が凝集し、または凝塊することを低減する乾燥工程の使用によって実現される。更に、この乾燥工程によって、活性成分が所望の活性レベルを失うことなく通常分解(degrade)するはずの温度よりも高い温度にフィルムを曝露することが可能になる。
【背景技術】
【0003】
薬物や薬剤などの活性成分は、正確で一貫した投薬を可能にするために錠剤形に調製することができる。しかし、取り扱いできる大きさにするために加えなければならないアジュバント(adjuvants)の比率が高いこと、大型の薬物形には追加の保存場所が必要になること、分配には不正確なものになりがちな錠剤の計数が含まれることを含め、この薬物の調製分配形には多くの欠点がある。更に、多くの人々、人口の28%ほどと推定される人々は、錠剤の嚥下が困難である。錠剤は、嚥下困難を克服する手段として破砕して小片に、または更に粉砕してもよいが、これは多くの錠剤形または丸剤形の適当な解決策ではない。例えば、錠剤形または丸剤形を粉砕しまたは破壊して、単独でまたは食物と混合して摂取を容易にすることは、制御放出特性をも破壊する恐れがある。
【0004】
錠剤および丸剤の代替法として、フィルムを利用して薬物、薬剤などの活性成分を輸送することができる。しかし、歴史的に、フィルムおよびそこから薬物送達システムを作製する方法は、これらが実際に使用されることを不可能してきたいくつかの好ましくない特徴に悩まされてきた。
【0005】
薬剤として活性な成分を組み込むフィルムは、期限が切れたFuchsらの特許文献1(以下、「Fuchs」)に開示されている。このフィルムは、シートに成形し、乾燥し、次いで個々の用量に裁断することができる。Fuchsの開示は、均一なフィルムの製造を主張し、このフィルムには水溶性ポリマー、界面活性剤、香味料、甘味料、可塑剤、および薬物の組合せが含まれる。主張されているこうした柔軟性フィルムは、経口、局所、または腸内使用に有用であるとして開示されている。Fuchsが開示した特定の用途の例には、口、直腸、膣、鼻、および耳領域を含む身体粘膜領域へのフィルムの適用が含まれる。
【0006】
しかし、Fuchsの開示した方法にしたがって作製したフィルムの検査から、そのようなフィルムには、粒子の凝集または凝塊、すなわち、自己凝集の欠点があり、そのためフィルムは本質的に不均一なものになるということが明らかである。この結果は、開示されてはいないが、それによってそのような集積を形成するための分子間引力、対流力、空気流などを促進する比較的長い乾燥時間の使用を含むと思われるFuchsの処理パラメータに原因があると考えられる。
【0007】
凝集の形成によってフィルム成分、および存在するどんな活性も無作為に分配される。大きい用量が関与する場合、フィルムの大きさの小さな変化が、フィルム各1枚当たりの活性物質量に大きな差がもたらすはずである。そのようなフィルムに、低用量の活性物質が含まれる場合、フィルム片には、実質的にどんな活性物質も含まれない可能性がある。フィルムシートは、通常単位用量に裁断されるので、したがってある種の用量には、推奨される治療の活性物質が含まれていない、または十分な量で含まれていない恐れがある。フィルム片の活性成分量に関して高い精度を実現できないことは患者に有害であり得る。このような理由で、Fuchsなどの方法によって形成した剤形は、剤形中の活性物質の変動に関して米国連邦医薬品局(「FDA」)などの政府官庁または規制官庁の厳密な基準を満たさない可能性が高い。現在、様々な世界の規制官庁によって要求されているように、剤形は存在する活性物質の量において10%を超えて変化してはならない。フィルムに基づく単位用量を適用する場合、これは事実上フィルムに均一性が存在することを義務付けている。
【0008】
フィルムの不均一性につながる自己凝集の問題には、Schmidtの特許文献2(以下、「Schmidt」)が対処している。Schmidtは、Fuchsが開示した方法では均一なフィルムが得られないことを具体的に指摘し、不均一なフィルムの作製は正確な投薬を必然的に妨げることを認識していた。これは、先に述べたように薬剤領域では特に重要である。Schmidtは、Fuchsが記載したものなど、単層フィルムが正確な剤形を提供し得るという考えを捨て、代わりに多層フィルムを形成することによってこの問題の解決を試みた。なおまた、彼の方法は、多段階法であり、この方法は費用および複雑性が増し商業用途には非実用的である。
【0009】
他の米国特許は、従来のフィルム形成技術に備わる粒子の自己凝集および不均一性の問題に直接対処した。不均一性を克服するための1つの試みでは、Horstmannらの特許文献3、およびZerbeらの特許文献4は、フィルム中の成分の凝集を減少させる目的で、乾燥前に追加成分、すなわち、それぞれ、ゲル形成剤および多価アルコールを組み込みフィルムの粘度を増大させた。こうした方法は、追加成分を必要とする欠点があり、それは追加のコストおよび製造ステップを意味する。更に、両方法は、乾燥オーブン、トンネル乾燥機、真空乾燥機、または他のこのような乾燥装置を使用する高温空気浴など、従来の時間のかかる乾燥方法を使用する。長い乾燥時間は、粘度調節剤の使用にもかかわらず、活性物質および他のアジュバントの凝集の促進を助長する。このような方法は、活性物質、すなわち、薬物、ビタミンC、または他の成分を湿気および高温への長時間曝露に曝す危険をも冒し、それは活性物質を失活させ、または有害なものにする恐れさえある。
【0010】
長時間の湿気への曝露中の活性物質の分解に関連する関心に加えて、従来の乾燥方法それ自体が、均一なフィルムを提供することができない。しばしば「熱履歴(heat history)」と称される従来式加工中の熱への曝露時間、およびそのような熱を加える方式は、フィルム生成物の形成および形態に直接影響を与える。活性物質薬物の組込みに非常に適切な比較的厚めのフィルムが所望される場合、従来の乾燥方法によって、均一性を実現することは特に困難である。厚めの均一なフィルムは、実現がより困難である。というのは、フィルム表面およびフィルム内部が、乾燥中、同時に同じ外部条件を経験しないからである。それによって、そのような従来の加工から作製した比較的厚いフィルムを観察することにより、対流および分子間力によって生じた不均一構造が示され、柔軟性を維持するためには10%を超える水分が必要とされる。その量の遊離水分は、しばしば経時的に薬物を妨害し、作用強度上の問題を招き、したがって最終製品に一貫性のないことがある。
【0011】
一般に、従来の乾燥方法は、乾燥オーブン、トンネル乾燥機などを利用する強制熱風の使用を含む。均一なフィルムの実現が困難なことは、流動学的特性(rheological properties)およびフィルム形成組成物中の水分蒸発の過程に直接関係付けられる。熱風炉にフィルム形成組成物を通過させるなど、水性ポリマー液の表面を高温気流と接触させるとき、表面にポリマーのフィルムまたはスキンを形成して表面水は直ちに蒸発する。これにより、表面下のフィルム形成性水性組成物の残りが密封されてバリアが形成され、乾燥フィルムを得るためには、残存水分が蒸発するときに無理やりそこを通過しなければならない。フィルム外側の温度は引き続き上昇するので、水蒸気圧はフィルム表面下に蓄積し、フィルム表面が延び、最終的にフィルム表面が引き裂かれ、水蒸気が漏れ出すことになる。水蒸気が漏れ出した直後に、ポリマーフィルム表面は再形成され、フィルムが完全に乾燥するまでこの工程が繰り返される。フィルム表面の破壊と再形成の繰り返しの結果は、「リップル効果(ripple effect)」として観察され、この効果によって一様でない、したがって不均一なフィルムが生成される。しばしば、ポリマーによっては、表面が緊密に密封されるので残存水分の除去が困難になり、乾燥時間の非常な長期化、高温、燃料経費の高騰がもたらされる。
【0012】
混合技術などの他の要因も、商品化および規制認可に適当な薬剤フィルムの製造に関与する。混合工程中または後のフィルム作製工程中に、組成物中に空気が閉じ込められることもあり、これにより乾燥段階中に水分が蒸発するのでフィルム生成物中に空隙が残り得る。フィルムは、しばしば、空隙を中心として陥没し、一様でないフィルム表面をもたらし、したがって最終フィルム生成物は不均一なものとなる。更に、気泡によって生じたフィルム中の空隙が陥没しなかった場合でさえ、均一性は影響を受ける。空間がなければ、フィルム組成物が占有することになる領域を、均一に分布していない空間が占有しているので、この状況でもフィルムが不均一になる。上記の特許のどれも、フィルムに導入されている空気によって生じた問題の解決策に対処し、またはそれを提案していない
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4,136,145号明細書
【特許文献2】米国特許第4,849,246号明細書
【特許文献3】米国特許第5,629,003号明細書
【特許文献4】米国特許第5,948,430号明細書
【特許文献5】米国特許第4,631,837号明細書
【特許文献6】米国特許第6,281,337号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】「The American Heritage Dictionary of English Language」(第4版、2000年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、最小数の物質または成分を使用し、フィルム領域全体にわたって実質的に非自己凝集性で均一な混成を示すフィルム生成物に向けた方法および組成物が必要とされている。そのようなフィルムは、所望の粘度を提供するポリマーまたはポリマーの組合せを選択すること、リバースロール塗装などのフィルム形成方法、ならびに制御された、望ましくは迅速な乾燥工程によって生成されるのが望ましく、この乾燥工程は、前述のHorstmannやZerbeの特許など、以前の特許の生成物および方法で必要と思われた、ゲル形成剤または多価アルコールなどの添加を必要とせずに、非自己凝集性成分の均一な分布を維持するために役立つ。望ましくは、フィルムには、組成物、およびフィルム中の空気を実質的に減少させ、または除去し、それによって最終フィルム生成物の均一性を促進する製造方法も組み込む。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様では、ポリマー成分、極性溶媒、および活性成分を組み合わせ、各成分が均一に分布するマトリックスを形成するステップと、マトリックスからフィルムを形成するステップと、上面および下面を有する表面を用意するステップと、その表面の上面にフィルムを供給するステップと、その表面の下面を加熱し、活性成分の分解温度より高い温度にフィルムを曝露することにより、フィルムを乾燥するステップであって、活性成分が所望の濃度に維持されるステップとを含む方法であって、各成分が実質的に均一に分布し、所望の活性成分濃度を有するフィルムを作製する方法を提供する。
【0017】
本発明の別の態様では、ポリマー、極性溶媒、および活性成分を組み合わせて、非自己凝集性で均一な混成を示す物質を形成するステップと、その物質をフィルムに形成するステップと、および活性成分の分解温度より高い温度でフィルムを乾燥するステップであって、活性成分が所望の濃度に維持されるステップとによって形成した、所望の活性成分濃度を含むフィルム生成物を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の単位投与フィルムを含むパッケージを示す側面図である。
【図2】切り取り目によって分離された、本発明の個々の単位投与形を含む2個の隣接連結パッケージを示す上面図である。
【図3】積層構成に配置された、隣接連結の図2のパッケージを示す側面図である。
【図4】パッケージ単位投与形を分配するためのディスペンサを示す斜視図である。ディスペンサには、積層構成でパッケージ単位投与形が含まれる。
【図5】本発明の連結単位投与パッケージのロールの略図である。
【図6】プレミックスの調製、活性物質の添加、続いてフィルムの形成に適当な装置の略図である。
【図7】本発明のフィルムの乾燥に適当な装置の略図である。
【図8】本発明の乾燥工程を示す連続図である。
【図9】従来の乾燥工程によって乾燥したフィルムの写真である。
【図10】従来の乾燥工程によって乾燥したフィルムの写真である。
【図11】従来の乾燥工程によって乾燥したフィルムの写真である。
【図12】従来の乾燥工程によって乾燥したフィルムの写真である。
【図13】従来の乾燥工程によって乾燥したフィルムの写真である。
【図14】従来の乾燥工程によって乾燥したフィルムの写真である。
【図15】従来の乾燥工程によって乾燥したフィルムの写真である。
【図16】従来の乾燥工程によって乾燥したフィルムの写真である。
【図17】本発明の乾燥工程によって乾燥したフィルムの写真である。
【図18】本発明の乾燥工程によって乾燥した脂肪被覆粒子を含むフィルムの写真である。
【図19】本発明の乾燥工程によって乾燥した脂肪被覆粒子を含むフィルムの写真である。
【図20】本発明の乾燥工程によって乾燥した脂肪被覆粒子を含むフィルムの写真である。
【図21】本発明の乾燥工程によって乾燥した脂肪被覆粒子を含むフィルムの写真である。
【図22】本発明の乾燥工程によって乾燥した脂肪被覆粒子を含むフィルムの写真である。
【図23】本発明の乾燥工程によって乾燥した脂肪被覆粒子を含むフィルムの写真である。
【図24】本発明の乾燥工程によって乾燥した脂肪被覆粒子を含むフィルムの写真である。
【図25】本発明の乾燥工程によって乾燥した脂肪被覆粒子を含むフィルムの写真である。
【図26】80℃で9分間加熱した、フィルム中にない脂肪被覆粒子の写真である。
【図27】80℃で9分間加熱した、フィルム中にない脂肪被覆粒子の写真である。
【図28】加工に先立ち室温での脂肪被覆粒子の写真である。
【図29】加工に先立ち室温での脂肪被覆粒子の写真である。
【図30】加工に先立ち室温での脂肪被覆粒子の写真である。
【図31】加工に先立ち室温での脂肪被覆粒子の写真である。
【図32】ウシ由来蛋白質を含む本発明のフィルムをヒトが摂取した後のヒト血液についてのマイクロアレイのグラフである。
【図33−1】図32のグラフに示したデータの表である。
【図33−2】図32のグラフに示したデータの表である。
【図33−3】図32のグラフに示したデータの表である。
【図33−4】図32のグラフに示したデータの表である。
【図33−5】図32のグラフに示したデータの表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明において用語、非自己凝集性で均一な混成は、極性溶媒の他に1種または複数の成分から形成して、フィルム中の成分の凝集または凝塊の出現を実質的に減少させた、すなわち、ほとんどまたはまったく出現しない本発明のフィルムの能力をさし、この凝集または凝塊の出現は、フィルムを乾燥オーブン、トンネル乾燥機、真空乾燥機、または他のそのような乾燥装置を使用する高温空気浴など、従来の乾燥方法によって形成した場合、通常経験するものである。本発明で使用する用語、混成は、ポリマーなどの単一成分を組み込むフィルム、およびポリマーや活性物質などの成分の組合せを組み込むフィルムを含む。均一な混成には、フィルムを形成するために使用される従来の混合および熱乾燥方法によく見られるような凝集または凝塊の実質的な欠如が含まれる。
【0020】
更に、本発明のフィルムは、厚さが実質的に均一であり、この均一性も水性ポリマー系の乾燥に使用される従来の乾燥方法の使用によっては得られない。厚さに均一性が無いことは、所与のフィルム領域全体にわたる成分の分布の均一性に有害な影響を与える。
【0021】
本発明のフィルム生成物は、活性成分および当技術分野で知られている他の充填剤を任意選択で含み、好適に選択したポリマーおよび極性溶媒の組合せによって生成される。これらのフィルムは、選択した流延法または蒸着法、ならびに制御乾燥工程を使用することによって、フィルム内での成分の非自己凝集性で均一な混成を示す。制御乾燥工程の例には、それだけには限らないが、参照により本明細書に組み込まれるMagoonの特許文献5(以下、「Magoon」)に開示されている装置の使用、ならびに下部基板および下部加熱プレート全体への熱風衝突法が含まれる。本発明のフィルムを得るための別の乾燥技術は、赤外放射や高周波放射(すなわちマイクロ波)など、無制御気流の非存在下での制御放射乾燥である。
【0022】
本発明の乾燥方法は、よく言われる「リップル」作用などの複雑な問題を回避するフィルムの乾燥方法を提供することであり、このリップル効果は従来の乾燥方法に付随し、初期にフィルム上面を乾燥させ、水分を内側に閉じ込めるものである。従来のオーブン乾燥法では、内側に閉じ込められた水分は、続いて蒸発するので、その上面は裂開し、次いで再形成されることにより変化する。これらの複雑な問題は、本発明によって回避され、均一なフィルムは最初にフィルム下面を乾燥することにより、ないしフィルム深部を乾燥する前にフィルム上面のポリマーフィルム形成(スキン)の形成を防止する方法で得られる。これは、実質的に上部に空気を流さずにフィルム下面を加熱することにより、または別法として、再度、実質的に上部に空気を流さずに、制御マイクロ波を導入してフィルム中の水または他の極性溶媒を蒸発させることによって実現することができる。あるいは更に、平衡空気流などの平衡流体の流れの使用によって乾燥してよく、その際、均一なフィルムが得られるように下部および上部空気流を制御する。その場合、フィルム上部に向けられた空気流は、気流によって発生した力のために湿潤なフィルム中に存在する粒子の移動を引き起こすであろう状態を作り出すべきではない。加えて、フィルム下部に向けられた気流は、空気からの力のためにフィルムが浮き上がらないように制御することが望ましい。フィルムの上または下への無制御気流は、最終フィルム生成物を不均一なものにする恐れがある。上面を取り巻く領域湿度を適切に調節してポリマー表面の早すぎる閉鎖または皮張りを防止してもよい。
【0023】
このフィルム乾燥方式には、いくつかの利点がある。それらの中には、乾燥時間が早いこと、フィルム表面がより均一なこと、および成分がフィルム中のどんな所定の領域にも均一に分布されることがある。加えて、早い乾燥時間によってフィルム内での粘度の迅速上昇が可能になり、更に均一な成分分布、および最終フィルム生成物内での成分の凝集の低下が促進される。望ましくは、フィルムの乾燥は、約10分以内で生じることが望ましく、約5分間以内がより望ましい。
【0024】
組成成分の凝集の低減に注意を払う場合、本発明によって極めて均一なフィルム生成物が得られる。混合工程で過剰な空気の導入を回避除去し、ポリマーおよび溶媒を選択することによって、粘度制御が可能になり、下から上へ迅速方式でフィルムを乾燥することによって、そのようなフィルムが得られる。
【0025】
フィルム中の成分の自己凝集を実質的に減少させるフィルムを得るために、本発明の生成物および方法は、フィルム生成の様々なステップ間の相互作用に依存する。具体的には、これらのステップには、組成物の混合物に気泡が封入されないようにする、フィルム形成に使用される特定の方法、フィルム形成組成物の粘度の制御、およびフィルムの乾燥法が含まれる。より具体的には、混合物中の成分が高粘度であることは、活性物質が選択した極性溶媒に溶解しない場合、活性物質の沈殿を防止するのに特に有用である。しかし、粘度は、選択した流延法を妨害し、または阻害しないように高すぎてはならず、実質的に一貫した厚みのフィルムを提供する能力があるのでリバースロール塗装がこの流延法に含まれることが望ましい。
【0026】
フィルムの粘度、またはフィルム形成成分もしくはマトリックスの他に、望ましいフィルム均一性を実現するために本発明が考慮した点が他にもある。例えば、非コロイドの適用では、(薬物粒子などの)固形分が沈殿するのを防止する安定した懸濁液が得られる。本発明が提供する一手法は、微粒子密度(ρ)と液相密度(ρ)を平衡させること、および液相の粘度(μ)を増大させることである。孤立した粒子では、以下のようにストークスの法則が、粘性流体中の半径(r)の球形の剛体の終末沈降速度(V)を関係付けている。
=(2gr)(ρ−ρ)/9μ
【0027】
しかし、粒子濃度が高い場合、局所の粒子濃度が局所の粘度および密度に作用する。懸濁液の粘度は、固形分の体積分率と強い相関関係にあり、粒子−粒子間および粒子−液体間相互作用が更に沈降速度を遅らせる。
【0028】
ストークスの分析は、第3相、例えば、分散空気または窒素を組み込むことが、懸濁液の安定性を促進することを示している。更に、粒子数を増加することによって、固形分体積分率に基づく沈降作用が妨害される。希薄な粒子懸濁液では、沈殿速度vは、以下のように表すことができる。
v/V=1/(1+кφ)
式中、к=定数、およびφは分散相の体積分率である。液相に懸濁している粒子が多いと速度は減少する。粒子の大きさは、粒子−粒子間流動相互作用に作用するので、粒子の形状も重要な要素である。
【0029】
同様に、懸濁液の粘度は、分散している固形分の体積分率に依存する。相互に作用しない球形粒子の希薄な懸濁液では、懸濁液の粘度表示は、以下のように表すことができる。
μ/μ=1+2.5φ
式中、μoは連続相の粘度であり、φは固形分体積分率である。体積分率が高い場合、分散液の粘度は、以下のように表すことができる。
μ/μ=1+2.5φ+Cφ+Cφ+・・・
式中Cは定数である。
【0030】
液相の粘度が決定的に重要であり、低降伏応力値の粘弾性非ニュートン性流体に合わせて液体組成物を調整することによって変更するのが望ましい。これは、静止時高粘度連続相の生成に等しい。粘弾性または高度に構造化された流体相を形成することによって、粒子の沈殿に抵抗力が追加される。更に、羊毛状塊または凝集は、粒子−粒子間相互作用を最小限に抑えて制御することができる。正味の効果は、均質な分散相が保存されることになろう。
【0031】
親水コロイドを懸濁液の水相に加えることによって、親水コロイドの型、その濃度、および粒子組成物、形状、大きさ、および体積分率に依存して、粘度を上昇させ、粘弾性を生み出すことができ、安定性を付与することができる。分散相の粒子の大きさ分布は、高粘度媒体で最小の現実的粒子の大きさ、すなわち、500μm未満を選択することによって制御する必要がある。低剪断速度で軽微な降伏応力または弾性が存在することも、見かけの粘度にかかわらず永久的な安定性を誘発し得る。決定的な粒子の直径は、降伏応力値から計算することができる。単離した球形粒子の場合には、所与の粘度媒体中を通って沈降する際に生じる最大剪断応力は、以下のように示すことができる。
τmax=3Vμ/2γ
【0032】
偽塑性流体(pseudoplastic fluids)では、この剪断応力型の粘度は、ニュートン流動のプラトー(plateau)でゼロ剪断速度粘度であることも十分あり得る。
【0033】
安定懸濁液は、フィルム流延用機械フィルムへ供給されるプレミックス組成物を製造すること、および均一性が維持されるように十分な乾燥が行われて粒子およびマトリックスが十分な固形形態に固定化するまで、湿潤なフィルム段階でこの安定性を維持することにおいて重要な特性である。粘弾流体系については、長時間(例えば24時間)安定した懸濁液をもたらすためには、流動学的に高速フィルム流延操作の要件と調和したものでなければならない。フィルムの望ましい特性は、剪断減粘または擬似可塑性であり、それにより剪断速度が上昇するにつれて粘度は減少する。揺変性などの時間依存的剪断作用も有利である。構造復元性および剪断減粘挙動は、フィルム形成につれて自己水平化する能力なので重要な特性である。
【0034】
本発明の組成物およびフィルムの流動学的要件は極めて厳格である。これは、広範な剪断速度範囲全体にわたって許容される粘度値の粘弾性流体マトリックスで安定した粒子懸濁液、例えば、30〜60wt%を製造するのに必要なためである。混合、ポンプ移送、およびフィルム流延の間、10〜10/秒の範囲の剪断速度を認めることができ、擬似可塑性が好ましい実施形態である。
【0035】
フィルム流延または塗装では、流動学も所望の均一性を備えたフィルムの形成能力に関しての決定要因である。剪断粘度、伸張粘度、粘弾性、構造復元性がフィルムの質に作用する。例示的な例として、剪断減粘偽塑性流体の水平化は以下のように導き出される。
α(n−1/n)(n−1/n)-((n-1)/(2n-1))(τ/K)1/n(2π/λ)(3+n)/nh(2n+1)/nt
式中、αは表面波振幅、αは初期振幅、λは表面粗度の波長、および「n」および「K」は粘度べき乗法則の指標である。この例では、水平化挙動は粘度に関係付けられ、nが減少するにつれて上昇し、Kの上昇につれて減少する。
【0036】
望ましくは、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、極めて迅速な構造復元性を有し、すなわち、加工中フィルムが形成するにつれて、その構造および組成均一性が分解することも、または不連続なものになることもない。そのような極めて迅速な構造復元性は、粒子の沈降および沈殿を遅延する。更に、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、剪断減粘偽塑性流体であることが望ましい。粘度や弾性など、そのような特性の考察を備えた流体は、薄いフィルムの形成および均一性を促進する。
【0037】
したがって、成分混合物の均一性は、多数の変数に依存する。本明細書に記載したように、成分の粘度、混合技術、ならびに得られた混合組成物および湿潤な流延フィルム(wet casted film)の流動学的特性は、本発明の重要な態様である。加えて、粒子の大きさおよび粒子形の制御は、更に考慮されるものである。望ましくは、微粒子の大きさとしては、150μm以下の粒子の大きさ、例えば、100μm以下が好適である。更に、そのような粒子は、球形、実質的に球形、または不規則な形をした粒子や楕円形粒子など非球形であってもよい。楕円形粒子または楕円体は、フィルム形成マトリックス中で均一性を維持できるその能力のために望ましい、というのもそれらの形は、球形粒子と比較して低い程度に沈降する傾向があるからである。
【0038】
混合段階では、最終フィルムにバブルが混入されるのを防止するためにいくつかの技術を使用することができる。最終製品に実質的に気泡が形成されない組成物の混合物を得るためには、抗起泡剤または表面張力低減剤を使用する。加えて、混合速度は、混合物の空洞化を防止するためにミックス中に空気を引き入れる方式で制御するのが望ましい。最後に、更に、フィルムの乾燥の前にバブルが流出するのに十分な時間ミックスを放置する(stand)ことによって気泡を減少させることができる。望ましくは、本発明の方法は、最初に、薬物粒子などの活性成分または香味油などの揮発性物質を含まない、フィルム形成成分のマスターバッチを形成する。活性物質は、流延直前にマスターバッチの少量のミックスに加える。それによって、薬物または他の成分の不安定さを懸念することなく、マスターバッチプレミックスを長時間放置することができる。
【0039】
任意の添加物および活性成分の他に、フィルム形成ポリマーおよび極性溶媒を含むマトリックスを形成する場合、いくつかのステップでこれを行ってよい。例えば、成分はすべて一緒に加えてよく、またはプレミックスを調製することができる。プレミックスの利点は、活性物質を除く成分すべてを予め組み合わせ、フィルム形成の直前に活性物質を加えることができることである。長時間の水、空気、または別の極性溶媒への曝露によって分解しかねない活性物質において、これは特に重要である。
【0040】
図6は、プレミックスの調製、活性物質の添加、続いてフィルムの形成に適当な装置20を示す。マスターバッチの供給槽24に、フィルム形成ポリマー、極性溶媒、および活性物質薬物を除く他の任意の添加物を含む、プレミックスまたはマスターバッチ22を加える。プレミックスまたはマスターバッチ22の成分は、マスターバッチ供給槽24に加える前にミキサー(図示せず)で形成することが望ましい。次いで、第1計量型ポンプ26および制御バルブ28によって、第1および第2ミキサー30、30'の一方または両方に予め定量した量のマスターバッチを制御して供給する。しかし、本発明は、2個のミキサー30、30'の使用に限定されず、任意の数のミキサーを適切に使用することができる。更に、本発明は、図6に示すような並列配列など、ミキサー30、30'のどんな特定の配列にも限定されず、直列、並列と直列の組合せなど、ミキサーの他の配列または配置などを適切に使用することができる。薬物または香味料などの他の成分の必要量は、それぞれ、ミキサー30、30'の開口部32、32'を通して所望のミキサーに加える。望ましくは、プレミックスまたはマスターバッチ22の滞留時間は、ミキサー30、30'中で最小限に抑える。プレミックスまたはマスターバッチ22中へ薬物を完全に分散させることが望ましいが、過剰な滞留時間によって薬物が、特に溶解性薬物の場合には、薬物が浸出しまたは溶解する恐れがある。したがって、プレミックスまたはマスターバッチ22の形成に使用される主要なミキサー(図示せず)と比較して、ミキサー30、30'は、しばしば滞留時間が短く、すなわち、短時間である。均一なマトリックスを得るのに十分な時間、薬物をマスターバッチプレミックスとブレンドした後、均一な該マトリックスの特定量を第2計量型ポンプ34、34'によってパン36に供給する。計量型ローラー38は、フィルム42厚を決定し、塗布用ローラーにそれを塗布する。最後に、フィルム42が基板44上に形成され支持ローラー46によって移送される。
【0041】
均一性を促進するためには、混合物の適切な粘度均一性、安定した粒子懸濁液、および流延法は、組成物およびフィルムの形成の初期ステップで重要であり、湿潤なフィルムの乾燥方法も重要である。これらのパラメータおよび特性は、初期の均一性に役立つが、制御された迅速な乾燥工程は、フィルムが乾燥するまで均一性が維持されるのを確実にする。
【0042】
次いで、制御下部乾燥または制御マイクロ波乾燥を使用し湿潤なフィルムを乾燥し、本明細書に記載したように、フィルム上面(露出面)48に外部気流または熱が存在しないことが望ましい。制御下部乾燥または制御マイクロ波乾燥によって、従来技術の短所もなくフィルムからの蒸気放出が有利に可能になる。従来の上面からの対流式気流乾燥は使用しない、というのも、それはフィルムの最上部で乾燥を開始し、それによって蒸発性蒸気や乾燥用の熱エネルギーなどの熱の流れなど、流体の流れに対してバリアを形成すからである。そのような乾燥した上方部分は、下方部分が乾燥するにつれて更に蒸気が放出されることに対してバリアとして働き、これにより不均一なフィルムがもたらされる。既に述べた通り、上部空気流を本発明のフィルムの乾燥に役立てるために利用することができるが、それがフィルム中で粒子の移動またはリップル効果を引き起こす状態を生み出してはならず、そのどちらも不均一性の原因となるはずである。上部空気を使用する場合は、それは下部空気乾燥と平衡を保ち、不均一性を回避し、担体ベルト上のフィルムの浮き上がりを防止する。平衡した上部および下部空気流が適当であろう。その際、下部空気流は、乾燥の主要な供給源として機能し、上部空気流は乾燥の副次的な供給源である。いくらかの上部空気流の利点は、存在する蒸気をフィルムから追い出し、それによって全般的乾燥工程に役立つことである。しかし、どんな上部空気流または上部乾燥の使用も、それだけには限らないが、組成物の流動学的特性および加工の機械的態様を含むいくつかの要因によって調和が取れていなければならない。空気など、どんな上部流体の流れも、フィルム形成組成物の固有の粘度に打ち勝つものであってはならない。すなわち、上部空気流は、組成物表面を破壊し、変形し、あるいはそうでないにせよ、物理的に混乱させるものであってはならない。更に、空気速度は、フィルムの降伏値未満であること、すなわち、フィルム形成組成物中の液体を移動させることができるどんな力レベルよりも低いことが望ましい。希薄なまたは低粘度組成物には、遅い空気速度を使用しなければならない。濃厚なまたは高粘度組成物には、速い空気速度を使用することができる。更に、組成物から形成されたフィルムのどんな浮き上がりまたは他の移動を回避するように空気速度は遅いことが望ましい。
【0043】
更に、本発明のフィルムは、揮発性であり得る香味料や分解温度が低いこともあり得る薬物など、感温性の粒子を含んでよい。そのような場合には乾燥温度を下げてよく、他方で本発明の均一なフィルムを適切に乾燥するために乾燥時間を延長する。更に、下部乾燥は、上部乾燥と比較して内部フィルムの温度の低下をもたらす傾向もある。下部乾燥では、上部乾燥と比較して、蒸発する蒸気がフィルムから容易に熱を放散させ、それによって内部のフィルム温度が低下する。そのような低い内部フィルム温度は、しばしば、薬物の分解を減少させ、香味料など、特定の揮発性物質の損失を減少させる。
【0044】
フィルム調製中、フィルムを高温で乾燥させるのが望ましいこともあり得る。高熱乾燥によって均一なフィルムが生成され、フィルム生成において高い効率がもたらされる。しかし、感受性活性成分を含むフィルムは、高温での分解問題に直面する恐れがある。分解とは、「化合物の分解・・・詳細に定義された中間生成物を示す。」[The American Heritage Dictionary of English Language」(第4版、2000年)]と記されている。活性成分の分解は、不安定、不活性、および/または活性成分の作用強度の減少を引き起こし得るので通常望ましくない。例えば、活性成分が、薬物または生理活性物質の場合、分解は最終薬剤生成物の安全性または効力に悪影響を与えかねない。加えて、高度に揮発性物質は、従来の乾燥方法に曝露された直後、このフィルムから迅速に放出される傾向がある。
【0045】
活性成分の分解は、特定の活性成分に依存して、加水分解、酸化、光分解など、様々な工程で生じ得る。更に、温度は、そのような反応速度に対して著しく影響する。分解速度は、通常、温度が10℃上昇する毎に2倍になる。したがって、一般に、活性成分を高温に曝露することは、望ましくない分解反応を開始し、かつ/または促進することが理解されている。
【0046】
蛋白質は、長時間高温に曝露されると、分解し、変性し、あるいはそうでないにせよ、不活性となる有用な活性成分の一範疇である。蛋白質は、酵素、構造成分、ホルモン、免疫グロブリンなど、体内で様々な機能の働きをする。蛋白質の例には、パンクレアチン、トリプシン、パンクレリパーゼ、キモトリプシン、ヒアルロニダーゼ、スチレインズ、ストレプトキナウ、ウロキナーゼ、アルチプラーゼ、パパイン、ブロメラインスジアスターゼなどの酵素;コラーゲンやアルブミンなどの構造成分;チロリベリン、ゴナドリベリン、アドレノコルチコットロピン、コルチコトロフィン、コシントロピン、ソメトレム、ソマトロピオン、プロラクチン、チロトロピン、ソマトスタチン、バソプレッシン、フェリプレシン、リプレッシン、インスリン、グルカゴン、ガストリン、ペンタガストリン、セクレチン、コレシストキニンパンクレオチミンなどのホルモン;およびサイトカインを含む糖蛋白の他に多糖類を含み得る免疫調節物質が含まれ、このサイトカインは、腫瘍増殖などの悪性細胞増殖の阻害および防止に有用である。いくつかの有用な糖蛋白の生成に適当な方法は、Cannon−Carlsonらの特許文献6(本明細書にその全体が組み込まれる。)に開示されている。
【0047】
一般に、100℃に近い温度は、蛋白質および核酸の分解を引き起こす。例えば、いくつかの糖蛋白は、70℃の温度に30分間曝露されると分解する。ウシ抽出物由来の蛋白質もそのような低温で分解することが知られている。DNAもこの温度で変性し始める。
【0048】
しかし、本発明のフィルムは、フィルムを調製し形成するための本発明の方法に起因した活性の分解、消失、または過剰な蒸発を懸念せずに、乾燥工程中高温に曝露することができることを本出願人らは発見している。特に、通常、活性成分の分解、変性化、または不活化をもたらすはずの温度にフィルムを曝露することができるが、そのような問題を引き起こすことはない。本発明によれば、この乾燥方式は、有害なレベルの熱が活性成分に到達するのを防止するために制御することができる。
【0049】
本明細書に記載したように、本発明の教示にしたがって流動性混合物は内容が均一なものに調製される。流動性塊は、フィルムに形成され乾燥されるので均一性は維持しなければならない。本発明の乾燥工程中、いくつかの要因が、安全な温度、すなわち、その分解温度より低い温度に活性成分を維持しつつ、フィルム内に均一性を生み出す。当初、本発明のフィルムの熱履歴は極めて短く、通常、数分程度に過ぎず、その結果、総温度曝露は可能な限り最小限に抑えられる。フィルムは、成分の凝集および移動、ならびに内部熱蓄積を防止するために制御して乾燥される。フィルムは、下部から乾燥することが望ましい。本明細書に記載した制御下部乾燥は、フィルム上面のポリマーフィルム、すなわち、スキンの形成を防止する。熱は、フィルム下部から上に向けて伝導し、液体担体、例えば、水分はフィルム表面に上昇する。表面スキンが存在しないことによって液体担体は迅速に蒸発することが可能になる。温度が上昇し、それによってフィルムの蒸発冷却が同時発生するからである。短い熱曝露および蒸発冷却のために、ドラッグや揮発性活性物質などのフィルム成分は高温によって依然として作用されない。対照的に、上面の皮張りは、フィルム中に増加したエネルギーの液体担体分子を閉じ込め、それによってフィルム内温度を上昇させ、活性成分を高温の潜在的に有害な温度に曝露させる。
【0050】
第2に、下部加熱および表面の皮張りが存在しないためにフィルム中で熱混合が生じる。熱混合は、フィルム中の対流によって生じる。熱がフィルム下部に加えられるので、下部付近の液体温度は上昇し、膨張し、および密度が小さくなる。そのようなものとして、この高温の液体は上昇し、低温の液体はその場所を取る。上昇しながら、高温の液体は、低温の液体と混合し、それが持つ熱エネルギーを分かち合い、すなわち、熱を伝達する。このサイクルが繰り返されるので、熱エネルギーがフィルム全体にわたって伝播する。
【0051】
本発明の制御乾燥工程によって実現する確固たる熱混合は、フィルム全体にわたって均一に熱を拡散する。そのような熱混合の非存在下では、「ホットスポット」が生じる場合がある。フィルム中の熱ポケットは、フィルム中に粒子の凝集または危険な領域を形成し、続いて不均一性をもたらす。そのような凝集または集塊の形成は望ましくない。というのは、それによって活性物質が無作為に分布し得る不均一フィルムがもたらされるからである。そのような一様でない分布は、フィルム1枚当たりの活性物質の量で大きな差につながる可能性があり、それは安全性および効力の見地から問題の多いものである。
【0052】
更に、熱混合は、フィルム内の全体温度を低く維持するのに役立つ。フィルム表面は、活性成分が分解する温度より高い温度に曝露することができるが、フィルム内部をこの温度に到達させてはいけない。この温度差のために活性物質は分解しない。
【0053】
図8は、本発明の乾燥工程を示す連続図である。機械的に混合した後、フィルムは乾燥工程中、熱混合を続けるためにコンベヤ上に置いてよい。区域Aに図示した乾燥工程の初めでは、フィルムがコンベヤ(図示せず)によって移動するにつれて、フィルム1を下部10から加熱するのが好ましい。熱は、それだけには限らないが、図7に図示した乾燥機などの加熱装置によってフィルムに加えてよい。フィルムが加熱されるので、液体担体、すなわち、揮発物(「V」)は上向き矢印50によって示されるように蒸発し始める。矢印30によって示す高温の液体は上昇し、矢印40によって示す低温の液体がその場所を取るので熱混合も開始する。というのは、フィルム1の上面20上にスキンは形成されないので、区域Bに示すように、揮発性液体は蒸発50し続け、熱混合30/40はフィルム全体にわたって熱エネルギーを分配し続ける。十分な量の揮発性液体が蒸発すると、熱混合によってフィルム1全体にわたって均一な熱拡散が生じている。得られた乾燥フィルム1は、区域Cに示すように粘弾性固体である。成分は、フィルム全体にわたって均一に分布して固定されていることが望ましい。少量の液体担体、すなわち、水分が続く粘弾性体の形成に残っていてよいが、望むならば、粒子を移動させずにフィルムを更に乾燥することができる。
【0054】
更に、粒子または微粒子をフィルム形成組成物またはマトリックスに加える前に、組成物またはマトリックスをフィルムに成形する。例えば、フィルム42の乾燥前に粒子をフィルム42に加えてよい。粒子は、フィルムに合わせて制御して計量し、ドクターブレード(図示せず)を用いるなど、適当な術式によってフィルム上に配置してよく、このドクターブレードはわずかにまたは軽くフィルム表面に接触し、フィルム表面上に粒子を制御して配置するデバイスである。限定的ではない他の適当な術式には、フィルム表面上に粒子を置くために追加のローラーを使用すること、フィルム表面上に粒子を噴霧することなどが含まれる。粒子は、対立するフィルム表面の一方または両方、すなわち、フィルムの上面および/または下面に置いてよい。粒子は、フィルム中に包埋するなど、フィルム上にしっかりと配置することが望ましい。更に、そのような粒子は、粒子が部分的に包埋し、または部分的に収納されている場合など、フィルム中に完全に収納し、または完全に包埋されておらず、フィルム表面に依然として露出していることが望ましい。
【0055】
粒子は、任意の有用な感覚刺激剤、美容薬、薬剤、またはそれらの組合せであってもよい。薬剤は、味をマスクした薬剤または制御放出薬剤が望ましい。使用可能な感覚刺激剤には、香味料および甘味料が含まれる。使用可能な美容薬には、メントール結晶を含むメントールなど、口臭清涼剤または鬱血除去剤が含まれる。
【0056】
本発明の方法は、上記の望ましい乾燥のためのどんな特定の装置だけには限らないが、特定の一有用な乾燥装置50を図7に記載する。乾燥装置50は、基板44上に配置したフィルム下部42に向けて、それだけには限らないが高温空気など、高温流体を指し向けるためのノズル配置である。高温空気は、乾燥装置の入口端52に進入し、ベクトル54によって示されるように空気デフレクタ56に向けて垂直上方に移動する。空気デフレクタ56は、フィルム42で上方への力を最小限に抑えるために空気の移動を再方向付けする。図7に示すように、空気は、ベクトル60および60'によって示されるように接線方向に指し向けられる。空気が、空気デフレクタ56の横を通過し、進入し、乾燥装置50のチャンバ部分58および58'通って移動するからである。高温空気流は、フィルム42に対して実質接線方向なので、それによってフィルムが乾燥するにつれてフィルムの浮き上がりは最小限に抑えられる。空気デフレクタ56は、ローラーとして示されているが、空気または高温流体を偏向させるための他のデバイスおよび外形を適当に使用することができる。更に、乾燥装置50の出口端62および62'は、下向きに朝顔形に開いている。そのような下向き朝顔形は、進路64および64'によって示されるように、下向き力または下向き速度ベクトルを提供し、このベクトルはフィルム42の引き抜きまたは引きずり作用を提供して、フィルム42の浮き上がりを防止する傾向がある。フィルム42の浮き上がりは、フィルムを不均一なものにするだけでなく、あるいはそうでないにせよ、フィルム42を無制御で加工する恐れもある。フィルム42および/または基板44が、加工装置から浮き上がって移動するからである。
【0057】
フィルム厚のモニタリングおよび制御も、均一な厚みのフィルムを提供することによって均一なフィルムの生成に寄与する。フィルム厚は、ベータ測定器などの計測器でモニタすることができる。測定器は、乾燥装置、すなわち、乾燥オーブンまたはトンネル乾燥機の最後にある別の測定器と対にし、フィードバックループを通して連通させ、塗装装置の開口部を制御調整し、均一なフィルム厚を制御することができる。
【0058】
一般に、フィルム生成物は、好適に選択したポリマーおよび極性溶媒、ならびに任意の活性成分または充填剤を所望したように組み合わせることによって形成される。望ましくは、組合せの溶媒含有量は、全組合せの少なくとも約30重量%である。この組合せによって形成したマトリックスは、望ましくはロール塗装によってフィルムに形成し、次いで迅速な制御乾燥工程によって乾燥して、フィルムの均一性、より詳細には、非自己凝集性で均一な混成を維持することが望ましい。得られたフィルムは、約10重量%未満の溶媒を含むことが望ましく、約8重量%未満の溶媒を含むことがより望ましく、約6重量%未満の溶媒を含むことが更に望ましく、約2%未満が最も望ましい。溶媒は、水;エタノール、イソプロパノール、アセトン、塩化メチレンを含むが、それだけには限らない極性有機溶媒またはそれらのどんな組合せでもよい。
【0059】
流動学特性、粘度、混合方法、流延法乾燥方法などの、ただしそれだけには限らない上記パラメータの考察も本発明の異なる成分の物質選択に影響する。更に、適切な物質選択によるそのような考察によって、単位面積当たりの医薬活性物質および/または化粧用活性物質のばらつきがわずか10%である、薬剤用剤形および/または美容剤用剤形、あるいはフィルム生成物を含む本発明の組成物が提供される。すなわち、本発明の均一性は、マトリックス全体にわたってわずか10重量%の薬剤および/または美容剤の変動の存在によって決定される。変動は5重量%未満であり、2重量%未満、1重量%未満、または0.5重量%未満であることが望ましい。
【0060】
(フィルム形成ポリマー)
ポリマーは、水溶性、水膨張性、水不溶性であってもよく、あるいは1種または複数の水溶性、水膨張性、または水不溶性ポリマーの組合せであってもよい。ポリマーは、セルロースまたはセルロース誘導体を含んでよい。有用な水溶性ポリマーの具体例には、それだけには限らないが、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガンカントガム、グアールガム、アカシアガム、アラビアガム、ポリアクリル酸、メチルメタクリラートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー、澱粉、ゼラチン、およびそれらの組合せが含まれる。有用な水不溶性ポリマーの具体例には、それだけには限らないが、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸セルロースメチルヒドロキシプロピル、およびそれらの組合せが含まれる。
【0061】
本明細書での使用では、用語「水溶性ポリマー(water soluble polymer)」およびその変異体は、少なくとも部分的に水に可溶性であり、望ましくは完全にまたはほとんど水に可溶性であり、または吸水性のポリマーをさす。吸水性ポリマーは、しばしば、水膨張性ポリマーと称される。本発明で有用な物質は、室温および室温を超える温度などの他の温度で水溶性または水膨張性であってよい。更に、物質は、気圧未満の圧力で水溶性または水膨張性でよい。水溶性ポリマーは、水溶性または水分の吸上げが少なくとも20重量%である水膨張性であることが望ましい。水分の吸上げが25重量%以上の水膨張性ポリマーもまた有用である。そのような水溶性ポリマーから形成した本発明のフィルムまたは剤形は、体液に接触すると同時に溶解できるほど十分に水溶性であることが望ましい。
【0062】
本発明のフィルムへの組込み有用な他のポリマーには、生分解性ポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、およびそれらの組合せが含まれる。上の判定基準を満たす既知の有用なポリマーまたはポリマークラスの中には以下がある:ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリジオキサノ、ポリオキサノラート、ポリ(α−エステル)、ポリ無水物、ポリアセタート、ポリカプロラクトン、ポリ(オルトエステル)、ポリアミノ酸、ポリアミノカルボナート、ポリウレタン、ポリカルボナート、ポリアミド、ポリ(アルキルシアノアクリラート)、ならびにその混合物およびコポリマー。追加の有用なポリマーには、L−およびD−乳酸のステレオポリマー、ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパン酸とセバシン酸のコポリマー、セバシン酸コポリマー、カプロラクトンコポリマー、ポリ(乳酸)/ポリ(グリコール酸)/ポリエチレングリコールコポリマー、ポリウレタンとポリ(乳酸)のコポリマー、ポリウレタンとポリ(乳酸)コポリマー、α−アミノ酸コポリマー、α−アミノ酸とカプロン酸のコポリマー、α−ベンジルグルタマートとポリエチレングリコールのコポリマー、スクシナートとポリ(グリコール)のコポリマー、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシ−アルカン酸、およびそれらの混合物が含まれる。2成分系および3成分系が企図される。
【0063】
他の有用な特定のポリマーには、商標Medisorbおよび商標Biodelで市販されているポリマーが含まれる。Medisorb材は、米国デラウェア州ウィルミントンのデュポン社から市販されており、一般的に、「プロパン酸、ヒドロキシ酢酸含有ヒドロキシ−ポリマー含有2−ヒドロキシ−ポリマー」を含む「ラクチド/グリコリドコポリマー」として同定されている。4種のそのようなポリマーには、融点が338〜347°F(170〜175℃)の範囲の100%ラクチドと考えられるラクチド/グリコリド100L;融点が437〜455°F(225〜235℃)の範囲の100%グリコリドと考えられるラクチド/グリコリド100L;融点が338〜347°F(170〜175℃)の範囲の、85%ラクチドと15%グリコリドと考えられるラクチド/グリコリド85/15;および融点が338〜347°F(170〜175℃)の範囲の50%ラクチドと50%グリコリドのコポリマーと考えられるラクチド/グリコリド50/50が含まれる。
【0064】
Biodel材は、化学的に異なる様々なポリ無水物のクラスを表す。
【0065】
様々な異なるポリマーを使用することができるが、乾燥前に所望の混合物粘度を提供するポリマーを選択することが望ましい。例えば、活性物質または他の成分が、選択した溶媒に不溶性である場合、均一性の維持に役立てるためには高い粘度をもたらすポリマーが所望される。他方で、成分が溶媒に可溶性である場合、低い粘度をもたらすポリマーが好ましい。
【0066】
ポリマーは、フィルムの粘度への作用に重要な役割を果たす。粘度は、乳濁液、コロイド、または懸濁液中の活性物質の安定性を制御する液体の一特性である。一般に、マトリックスの粘度は、約400cps〜約100,000cpsで変化し、好ましくは約800cps〜約60,000cpsで、最も好ましくは約1,000cps〜約40,000cpsで変化する。フィルム形成マトリックスの粘度は、乾燥工程の開始と同時に急上昇することが望ましい。
【0067】
粘度は、マトリックス中の他の成分に依存し、選択した活性物質に基づいて調節することができる。例えば、成分が選択した溶媒中で溶解しない場合、成分が沈降するのを防止するために適切な粘度を選択してよく、この沈降は得られたフィルムの均一性に悪影響を与えるはずである。粘度は、異なる方式で調節することができる。フィルムマトリックスの粘度を増大させるためには、高分子量ポリマーから選択してよく、あるいはカルシウム塩、ナトリウム塩、およびカリウム塩などの架橋剤を加えてよい。粘度は、温度を調節し、または粘度上昇成分を加えることによって調整してもよい。粘度を上昇させ、または乳濁液/懸濁液を安定させる成分には、高分子量ポリマー、多糖類、およびガムが含まれ、これらには、それだけには限らないが、アルギナート、カラギナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ローカストビーンガム、グアールガム、キサンタンガム、デキストラン、アラビアガム、ジェランガム、およびそれらの組合せが含まれる。
【0068】
単独で使用した場合、柔軟性フィルムを得るためには、通常、可塑剤を必要とするある種のポリマーを可塑剤なしで混合し、依然として柔軟性フィルムを実現できることも観察されている。例えば、HPMCおよびHPCは、組み合わせて使用した場合、製造および保存に適切な可塑性および弾性を備えた柔軟性強力フィルムを提供する。追加の可塑剤またはポリアルコールは柔軟性に必要ではない。
【0069】
(制御放出フィルム)
用語「制御放出(controlled release)」は、予め選択した速度で、または所望の速度で活性物質を放出することを意味するものとする。この速度は、適用に応じて変化する。望ましい速度には、高速または即時放出プロフィール、ならびに遅延、持続、または逐次放出が含まれる。低濃度持続放出に続く活性物質の初期急激放出など、放出パターンの組合せが企図される。間欠薬物放出も企図される。
【0070】
活性物質の制御崩壊を可能にするために、本発明のフィルム用に選択されたポリマーを選択してもよい。これは、時間とともにフィルムから放出される活性物質を組み込む実質的に水不溶性フィルムを提供することによって実現することができる。これは、様々な異なる溶解性または不溶性ポリマーを組み込むことによって実現することができ、また生分解性ポリマーを組み合わせて含んでもよい。あるいは、被覆した制御放出活性粒子を易溶性フィルムマトリックス中に組み込んで、消費と同時に消化器系内に活性物質の制御放出特性を実現することができる。
【0071】
活性物質の制御放出を提供するフィルムは、頬腔、歯肉、舌下、および膣への適用に特に有用である。本発明のフィルムは、粘膜または粘膜液体が存在する場所で容易に湿潤になり、これらの領域に付着するその能力のために特に有用である。
【0072】
一定間隔でいくつかの単一用量で投与することとは対照的に、長期に渡る制御方式で活性成分を放出する単一用量の薬物投与の簡便性は、薬剤業では久しく以前から認識されてきた。一貫し均一な長期に渡る薬物の血中濃度が得られる患者および臨床医の利点も同様に認識されている。様々な持続放出剤形の利点はよく知られている。しかし、活性物質の制御放出を提供するフィルムの調製は、周知の制御放出錠剤の利点の他にも利点がある。例えば、薄いフィルムは、不注意から吸引することは困難であり、これらは錠剤のように嚥下しなくともよいので患者の承諾を得やすい。更に、本発明のフィルムの特定の実施形態は、それらの溶解を制御することができる頬腔および舌に付着するように設計する。更に、薄いフィルムは、オキシコンチンなどの薬物の乱用を招く問題である制御放出錠剤の方式で粉砕しなくてよい。
【0073】
本発明で使用する活性物質は、制御放出形態で本発明のフィルム組成物に組み込んでよい。例えば、薬物粒子は、それぞれ、Aquacoat ECDやEudragit E-100などの商標名で市販されている、エチルセルロースやポリメタクリラートなどのポリマーで被覆することができる。薬物溶液を、そのような高分子物質に吸収させ、本発明のフィルム組成物に組み込んでよい。脂肪やワックスなどの他の成分、甘味料および/または香味料もそのような制御放出組成物に使用することができる。
【0074】
その案件全体が参照により本明細書に組み込まれる、同時係属PCT出願、名称「Uniform Films for Rapid Dissolve Dosage Form Incorporating Taste-Masking Compositions」(2003年9月27日出願の米国仮出願速達標札、同名称のEU552991605US、代理人整理番号1199−15Pに基づく)に記載されているように、活性物質はフィルム組成物中に組み込む前に味をマスクしても構わない。
【0075】
(活性物質)
活性物質をフィルムに導入する場合、単位面積当たりの活性物質の量は、均一なフィルム分布によって決定される。例えば、フィルムを個々の剤形に切断する場合、剤形中の活性物質の量は、かなり高い精度で知ることができる。これは、所与の領域の活性物質の量は、フィルムの別の部分の同じ大きさの領域の活性物質の量と実質的に同じなので実現する。用量の精度は、活性物質が薬剤、すなわち、薬物である場合、特に有利である。
【0076】
本発明のフィルムに組み込んでよい活性成分には、それだけには限らないが、ブタクサ花粉、胞子、微生物、種子、洗口剤成分、香味料、香料、酵素、保存料、甘味料、着色料、スパイス、ビタミンなど、医薬活性物質および化粧用活性物質、薬物、薬剤、抗原、またはアレルゲン、ならびにそれらの組合せが含まれる。
【0077】
広範な薬剤、生理活性物質、および薬剤組成物を本発明の剤形に含めてよい。有用な薬物の例には以下が含まれる:ace阻害剤、抗狭心症薬、抗不整脈剤、抗喘息薬、抗コレステロール血症剤、鎮痛薬、麻酔薬、抗痙攣薬、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗下痢調剤、解毒薬、抗ヒスタミン剤、抗高血圧薬物、抗炎症剤、抗脂質薬、抗躁病薬、抗悪心薬、抗脳梗塞薬、抗甲状腺調剤、抗腫瘍薬、抗ウイルス剤、にきび薬、アルカロイド剤、アミノ酸調剤、咳止め薬、抗抗尿酸血薬、抗ウイルス薬、タンパク同化調剤、全身性および非全身性抗感染病原体薬、抗新生物薬、抗パーキンソン病薬、抗リウマチ剤、食欲増進剤、生物学的応答調節物質、血液調整剤、骨代謝調剤、心血管作用薬、中枢神経系刺激剤、コリンエステラーゼ阻害剤、避妊薬、鬱血除去剤、栄養補助食品、ドーパミン受容体作用薬、子宮内膜症管理薬、酵素、勃起機能障害治療薬、妊娠薬、胃腸薬、ホメオパシ療法薬、ホルモン、高カルシウム血症および低カルシウム血症管理薬、免疫調節物質、免疫抑制剤、偏頭痛調剤、乗り物酔い治療薬、筋弛緩剤、肥満管理薬、骨粗鬆症調剤、子宮収縮剤、副交感神経遮断薬、副交感神経作用薬、プロスタグランジン、心理療法薬、呼吸剤、鎮静薬、禁煙補助剤、交感神経遮断剤、振戦調剤、尿路薬、血管拡張剤、緩下薬、制酸剤、イオン交換樹脂、抗発熱薬、食欲抑制剤、去痰薬、抗不安薬、抗潰瘍薬、抗炎症物質、冠血管拡張剤、大脳拡張剤、末梢血管拡張剤、向精神薬、興奮剤、抗高血圧薬、血管収縮神経薬、偏頭痛治療薬、抗生物質、精神安定剤、抗精神病薬、抗腫瘍薬、抗凝血剤、抗血栓薬、催眠薬、抗吐薬、抗悪心薬、抗痙攣薬、神経筋薬、高血糖および低血糖薬、甲状腺調剤および抗甲状腺調剤、利尿薬、抗痙攣、テリン弛緩薬、抗肥満薬、赤血球生成薬、抗喘息薬、咳抑制剤、粘液溶解薬、DNAおよび遺伝子改変薬物、ならびにそれらの組合せ。
【0078】
本発明で使用が企図される薬用活性成分の例には、制酸剤、H2拮抗薬、および鎮痛薬が含まれる。例えば、制酸薬は、成分炭酸カルシウムを単独で、あるいは水酸化マグネシウムおよび/または水酸化アルミニウムと組み合わせて使用し調製することができる。更に、制酸剤は、H2拮抗薬と組み合わせて使用してもよい。
【0079】
鎮痛薬には、オキシコドン(Oxycontin(登録商標)として入手できる)、イブプロフェン、アスピリン、アセトアミノフェンなど、アヘン剤およびアヘン剤誘導体、ならびに任意選択でカフェインを含んでよいそれらの組合せが含まれる。
【0080】
本発明での使用に好ましい他の活性成分用に好ましい他の薬物には、イモジウムADなどの抗下痢剤、抗ヒスタミン剤、咳止め剤、鬱血除去剤、ビタミン、口臭清涼剤が含まれる。風邪、疼痛、発熱、咳、鬱血、鼻水およびアレルギー用に単独でまたは組み合わせて使用される、アセトアミノフェン、クロルフェニラミンマレアート、デキストロメトルファン、プソイドエフェドリンHCl、ジフェンヒドラミンなどの一般的薬物を本発明のフィルム組成物に含めてよい。
【0081】
また、本明細書で使用することが企図されたものは、(Xanax(登録商標)として入手できる)アルプラゾラムなどの抗不安薬;(Clozaril(登録商標)として入手できる)clozopinや(Haldol(登録商標)として入手できる)ハロペリドールなどの抗精神病薬;(Voltaren(登録商標)として入手できる)ジシクロフェナクスや(Lodine(登録商標)として入手できる)エトドラクなどの非ステロイド系抗炎症剤(NSAID);(Claritin(登録商標)として入手できる)ロラタジン、(Hismanal(商標)として入手できる)アステミゾール、(Relafen(登録商標)として入手できる)ナブメトン、(Tavist(登録商標)として入手できる)クレマスチンなどの抗ヒスタミン;(Kytril(登録商標)として入手できる)塩酸グラニセトロンや(Cesamet(商標)として入手できる)ナビロンなどの抗吐薬;Bentolin(登録商標)、(Proventil(登録商標)として入手できる)硫酸アルブテロールなどの気管支拡張薬;(Prozac(登録商標)として入手できる)塩酸フルオキセチン、(Zoloft(登録商標)として入手できる)塩酸セルトラリン、(Paxil(登録商標)として入手できる)塩酸パロクスチンなどの抗うつ薬;Imigra(登録商標)などの抗偏頭痛;(Vasotec(登録商標)として入手できる)エナラプリラト、(Capoten(登録商標)として入手できる)カプトプリル、(Zestril(登録商標)として入手できる)リシノプリルなどのACE阻害剤;ニセルゴリンなどの抗アルツハイマー薬;ならびに(Procardia(登録商標)およびAdalat(登録商標)として入手できる)ニフェジピンや(Calan(登録商標)として入手できる)塩酸ベラパミルなどのCaH拮抗薬である。
【0082】
勃起機能障害の治療は、それだけには限らないが、陰茎への血流を促進するために薬物、および副交感活性(コリン作動性)を増大し、交感(アドレナリン作動性)活性を低減するなど、自律神経系活性に作用するための薬物が含まれる。使用可能な非限定的な薬物には、Viagra(登録商標)などのシルデナフィル、Cialis(登録商標)などのタダラフィル、バルデナフィル、Uprima(登録商標)などのアポモルフィン、Aphrodyne(登録商標)などの塩酸ヨヒンビン、およびCaverject(登録商標)などのアルプロスタジルが含まれる。
【0083】
本発明で使用が企図される好評なH2−拮抗薬には、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン、ニザチジエン、エブロチジン、ミフェンチジン、ロキサチジン、ピサチジン、およびアセロキサチジンが含まれる。
【0084】
活性制酸剤成分には、それだけには限らないが、以下が含まれる:水酸化アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセタート、アミノ酢酸、リン酸アルミニウム、ナトリウムジヒドロキシアルミニウムカルボナート、重炭酸塩、ビスマスアルミナート、ビスマスカルボナート、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス、スブシリシル酸ビスマス、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸イオン(酸または塩)、アミノ酢酸、水和物マグネシウムアルミナート硫酸塩、マガルドラート、マグネシウムアルミノシリカート、炭酸マグネシウム、マグネシウムグリシナート、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、乳固形分、アルミニウムモノ−オル二基部酸カルシウムホスファート、リン酸三カルシウム、カリウムビカルボナート、ナトリウムタルトラート、炭酸水素ナトリウム、アルミノケイ酸マグネシウム、酒石酸および塩。
【0085】
本発明で使用する医薬活性剤は、それだけには限らないが、草類、樹木からの植物の花粉、すなわちブタクサ;ネコや他の毛に覆われた動物の皮膚および毛から落ちた微小な鱗屑である動物のフケなどのアレルゲンまたは抗原;イエダニ、ミツバチ、スズメバチなどの昆虫;ならびにペニシリンなどの薬物を含んでよい。
【0086】
活性物質の分解を防止するために、抗酸化剤をフィルムに加えてもよく、特に、活性物質が感光性である場合に加えてよい。
【0087】
化粧用活性剤には、メントールのような口臭清涼化化合物、他の香味料または香料、特に口腔衛生用に使用されるもの、ならびに第4級アンモニウム基部類などの歯科および口腔洗浄で使用される活性物質を含めてよい。香味料の作用は、酒石酸、クエン酸、バニリンなどのような風味強化料を使用し高めることができる。
【0088】
また、着色添加物もフィルムの調製に使用することができる。そのような着色添加物には、食品、医薬品、および化粧品用着色料(FD&C)、医薬品、および化粧品用着色料(D&C)、あるいは外部医薬品および化粧品用着色料(Ext. D&C)が含まれる。これらの着色料は、染料、対応するそのレーキ、ならびにある種の天然着色料および派生着色料である。レーキは、水酸化アルミニウムに吸収させた染料である。
【0089】
他の着色剤の例には、既知のアゾ染料、有機または無機色素、あるいは天然産の着色剤が含まれる。酸化物、鉄、チタンなどの無機色素が好ましく、これらの酸化物は全成分の重量に対して約0.001〜約10%の範囲の濃度で添加され、約0.5〜約3%が好ましい。
【0090】
香味料は、天然および合成香味液体から選択することができる。そのような作用剤の例示的一覧には、揮発油、合成香味油、香味芳香剤、油、液体、含油樹脂、または植物、葉、花、果物、茎由来抽出物、ならびにそれらの組合せが含まれる。非限定的な例の代表的一覧には、ミント油、カカオ;レモン、オレンジ、グレープ、ライム、グレープフルーツなどの柑橘油;リンゴ、セイヨウナシ、モモ、グレープ、イチゴ、ラズベリ、サクランボ、プラム、パイナップル、アンズを含むフルーツエッセンス、または他のフルーツ香味料が含まれる。
【0091】
香味料を含むフィルムは、ホットまたはアイスの香味飲料またはスープを提供するために加えてよい。これらの香味料には、それだけには限らないが、茶およびビーフやチキンなどのスープ香味料が含まれる。
【0092】
他の有用な香味料には、ベンズアルデヒド(サクランボ、アーモンド)などのアルデヒドおよびエステル;シトラール、すなわち、αシトラール(レモン、ライム)、ネラール、すなわち、βシトラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、アルデヒドC−8(柑橘果物)、アルデヒドC−9(柑橘果物)、アルデヒドC−12(柑橘果物)、トリルアルデヒド(サクランボ、アーモンド),2,6−ジメチルオクタノール(グリーンフルーツ)、および2−ドデカナール(柑橘類、マンダリン)、それらの組合せなどが含まれる。
【0093】
甘味料は、以下の非限定的な一覧から選択することができる:ブドウ糖(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、果糖、およびそれらの組合せ;サッカリンおよびナトリウム塩などのその様々な塩;アスパルテームなどのジペプチド甘味料;ジヒドロカルコン化合物、グリチルリチン;ステビア(ステビオサイド);スクラロースなどのショ糖のクロロ誘導体;ソルビトール、マンニトール、キシリトールなどの糖アルコール。企図されるものには、水添澱粉加水分解物および合成甘味料3,6−ジヒドロ−6−メチル−1−1−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−二酸化物であり、特にそのカリウム塩(アセスルファム−K)、そのナトリウム塩およびカルシウム塩、ならびに羅漢果などの天然強力甘味料である。他の甘味料も使用することができる。
【0094】
活性物質が、溶媒のポリマーと組み合わせられる場合、形成されるマトリックスの型は、活性物質の溶解性およびポリマーに依存する。活性物質および/またはポリマーが、選択した溶媒に可溶性である場合、マトリックスは溶液を形成することができる。しかし、成分が可溶性でない場合、マトリックスは、乳濁液、コロイド、または懸濁液として分類することができる。
【0095】
(用量)
本発明のフィルム生成物は、広範な量の活性成分に適応することができる。フィルムは、必要な用量が多い、または極めて少ないかにかかわらず、(フィルムの大きさ、および元のポリマー/水の組合せの活性物質濃度によって定量される)正確な用量を提供することができる。したがって、フィルム中に組み込まれる活性組成物または薬剤組成物の型に依存して、活性物質量は約300mg程度の多さでよく、望ましくは約150mgまで、またはμg範囲程度の少なさでよく、あるいはその間のどんな量でもよい。
【0096】
本発明のフィルム生成物および方法は、高強度低用量薬物に大変適している。これは、フィルムの高度の均一性によって実現する。したがって、低用量薬物、特に、活性物質のより強力なラセミ混合物が望ましい。
【0097】
(抗起泡性および消泡性組成物)
抗起泡性および/または消泡性成分を本発明のフィルムと共に使用してもよい。これらの成分は、捕捉されている空気など、空気をフィルム形成組成物から除去するのに役立つ。上記したように、そのような捕捉されている空気は、不均一なフィルムをもたらし得る。シメチコンは、一種の特に有用な抗起泡剤および/または消泡剤である。しかし、本発明は、そのように限定されてはおらず、他の抗起泡剤および/または消泡剤を適当に使用することができる。
【0098】
シメチコンは、一般に、乳児のガスまたは疝痛の治療として医療分野で使用される。シメチコンは、トリメチルシロキシ末端ブロッキング単位で安定化させたポリジメチルシロキサンの繰り返し配列を含む完全にメチル化された直鎖シロキサンポリマーと二酸化ケイ素の混合物である。通常、シメチコンは、90.5〜99%のポリメチルシロキサンおよび4〜7%の二酸化ケイ素を含む。混合物は、水に不溶性な灰色半透明粘稠性液体である。
【0099】
水に分散させたとき、シメチコンは、表面を渡って伝播し、低表面張力の薄いフィルムを形成する。このように、シメチコンは、溶液中に存在するフォーム状バブルなど、バブル状空気の表面張力を低減し、それをしぼませる。シメチコンの機能は、水中の油とアルコールの二重作用を模倣する。例えば、油性液体は水性溶液と比較して密度が小さいので、油性溶液中ではどんな捕捉された気泡も表面に上昇し、より迅速に容易に消散する。他方、アルコール/水混合物は、水の密度を低下させ、水の表面張力を低下させることが知られている。それで、この混合溶液の内側に閉じ込められたどんな気泡も、また容易に消散する。シメチコン溶液は、これらの利点の両方を提供する。シメチコンは、水溶液の内側に閉じ込められたどんな気泡の表面エネルギーも低下させ、水溶液の表面張力を低下させる。この特有の機能性の結果として、シメチコンは、生理過程(胃内抗ガス)に使用することができる優れた抗起泡特性、および生成物から気泡を除去する必要がある外部過程のために使用することができるどんな抗起泡特性も有している。
【0100】
本発明のフィルム中の気泡の形成を防止するために、混合ステップは、減圧下で実施することができる。しかし、混合ステップが終了し、フィルム溶液が通常の雰囲気状態に戻ったら直ちに、空気を混合物に再導入し、または接触させる。多くの場合、微小な気泡が、再度、このポリマー粘稠性溶液の内側に閉じ込められる。フィルム形成組成物にシメチコンを組み込むことによって、気泡の形成を実質的に低減または消失させる。
【0101】
シメチコンを消泡剤としてフィルム形成混合物に約0.01重量%〜約5.0重量%の量で加えてよく、より望ましくは約0.05重量%〜約2.5重量%、最も望ましくは約0.1重量%〜約1.0重量%加えてよい。
【0102】
(任意選択の成分)
様々な他の成分および充填剤を本発明のフィルムに加えてもよい。これらには、それだけには限らないが、界面活性剤;混合物内に成分を混和させるのに役立つ可塑剤;ポリアルコール;フィルムから酸素を放出することによってフィルム表面をより滑らかにするシリコーン含有化合物などの消泡剤;および成分の分散の維持に役立つペクチン、カラギナン、ゼラチンなどの熱硬化性ゲルを含めてもよい。
【0103】
本発明の組成物に組み込むことができる多様な添加物は、様々な異なる機能を提供し得る。添加物のクラスの例には、賦形剤、滑沢剤、緩衝剤、安定剤、膨張剤、色素、着色剤、充填剤、増量剤、甘味料、香味料、香料、放出調節物質、アジュバント、可塑剤、流動促進剤、離型剤、ポリオール、造粒剤、希釈液、結合剤、緩衝液、吸収剤、滑剤、付着剤、抗付着剤、酸味料、軟化剤、樹脂、緩和剤、溶媒、界面活性剤、乳化剤、エラストマー、およびそれらの混合物が含まれる。これらの添加物を活性成分共に加えてよい。
【0104】
有用な添加物には、例えば、ゼラチン;ヒマワリ蛋白質、大豆蛋白質、綿実蛋白質、ピーナッツ蛋白質、ブドウ種子蛋白質などの植物性蛋白質;乳清蛋白質、乳清蛋白質単離物、血液蛋白質、卵蛋白質、アクリル酸化蛋白質;アルギナート、カラギナン、グアールガム、寒天−寒天、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガムおよび関連ガム(ガティガム、カラヤガム、トラガンカントガム)などの水溶性多糖類;ペクチン、セルロースの水溶性誘導体:メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロースなどのアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、およびヒドロキシアルキルアルキルセルロース;酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロースエステルおよびヒドロキシアルキルセルロースエステル;カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロースおよびそのアルカリ金属塩などのカルボキシアルキルセルロースエステル;ポリアクリル酸およびポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸およびポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアセタート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタートフタラート(PVAP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVY/酢酸ビニルコポリマーなどの水溶性合成ポリマー;ポリクロトン酸が含まれ、また適当なものはフタル酸化ゼラチン、ゼラチンスクシナート、架橋ゼラチン、セラック、澱粉の水溶性化学誘導体;カチオン的に改変した、例えば、ジエチルアミノエチル基などの3級または4級アミノ基を保有し、望ましくは四級化でよいアクリラートおよびメタクリラート;ならびに他の同様のポリマーである。
【0105】
そのような増量剤を任意選択で任意の所望の量で加えてよく、望ましくは全成分の重量に対して約80%までの範囲内で、望ましくは約3%〜50%、より望ましくは3%〜20%の範囲内で加えてよい。
【0106】
別の添加物は、マグネシウムアルミニウム酸化物、ケイ素、チタンなどの無機充填剤であってよく、全成分の重量に対して望ましくは約0.02%〜約3重量%の濃度範囲で、望ましくは約0.02%〜約1%であってよい。
【0107】
添加物の別の例は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコールなど、ポリアルキレン酸化物を含む可塑剤;グリセロール、グリセロールモノアセタート、ジアセタートまたはトリアセタート、トリアセチン、ポリソルバート、セチルアルコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ナトリウムジエチルスルホスクシナート、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチルなどの低分子量の有機可塑剤であり、ポリマーの重量に対して約0.5%〜約30%の範囲の濃度で添加され、望ましくは約0.5%〜約20%の範囲で添加される。
【0108】
動物脂肪や植物脂肪などの澱粉物質の流動特性を改善するために、更に化合物を添加してよく、望ましくはその水添形で、特に、室温で固体のものがよい。これらの脂肪の融点は、50℃以上が望ましい。好ましいものは、C12−、C14−、C16−、C18−、C20−およびC22−脂肪酸とのトリグリセリドである。これらの脂肪は、増量剤または可塑剤を加えないで単独で加えることができ、単独で、またはモノ−および/またはジ−グリセリドあるいはリン脂質、特にレシチンと共に有利に加えることができる。モノ−およびジ−グリセリドは、上記の脂肪型に由来することが望ましく、すなわち、C12−、C14−、C16−、C18−、C20−およびC22−脂肪酸を含む。
【0109】
脂肪、モノ−、ジ−グリセリド、および/またはレシチンの使用合計量は、約5%までであり、総組成物の約0.5%〜約2重量%の範囲内が好ましい。
【0110】
二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、または二酸化チタンを総組成物の約0.02%〜約1重量%の濃度で添加することも有用である。これらの化合物は、質感付与剤の役割をする。
【0111】
これらの添加物は、その所期の目的を実現するのに十分な量で使用する。一般に、いくつかのこれらの添加物の組合せは、活性成分の全般的放出プロフィールを改め、放出を改変し、すなわち、妨害し、または促進するために使用することができる。
【0112】
レシチンは、本発明で使用するための一表面活性剤である。レシチンを約0.25%〜約2.00重量%の量で供給原料に含めてよい。他の表面活性剤、すなわち、界面活性剤には、それだけには限らないが、セチルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ICI Americas,Inc.から市販されているSpan(商標)およびTween(商標);Cremophor(登録商標)などのエトキシル化ひまし油を含むエトキシル化油が含まれ、BASFから市販されているELも有用である。Carbowax(商標)も本発明で非常に有用な更に別の調節物質である。Tween(商標)類または表面活性剤の組合せを所望の親水性−親油性平衡(「HLB」)を実現するために使用することができる。しかし、本発明は、界面活性剤の使用を必要とせず、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は本質的に界面活性剤を含まなくてもよいが、依然として本発明の望ましい均一な特徴を提供する。
【0113】
本発明の手順および生成物を高める追加の調節物質が同定されているので、本出願人らは、そのような追加の調節物質すべてを本明細書で特許請求する本発明の範囲内に含めるものとする。
【0114】
他の成分には、フィルムの形成を容易にし、フィルムの全般的な質に貢献する結合剤が含まれる。結合剤の非限定的な例には、澱粉、アルファ化澱粉、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキソアゾリドン、およびポリビニルアルコールが含まれる。
【0115】
(フィルム形成)
本発明のフィルムは、乾燥前にシートに成形しなければならない。ポリマー、水、および活性物質または所望した他の成分を含む多成分マトリックスを形成するために、所望の成分を組み合わせた後、多成分マトリックスの押出し、塗装、スプレッド、流延、または引き延ばしなど、当技術分野で知られている任意の方法によって組合せ物をシートまたはフィルムに成形する。多層フィルムを所望する場合には、これは、同じまたは異なる組成物であってよい成分の1種を超える組合せを共押出しすることによって実現することができる。多層フィルムは、既に形成したフィルム層上に組合せ物を塗装し、スプレッドし、または流延することによって実現してもよい。
【0116】
様々な異なるフィルム形成技術を使用することができるが、リバースロール塗装など、柔軟性フィルムを提供する方法を選択することが望ましい。フィルムの柔軟性によってフィルムシートをロールにし、保存またはフィルム個々の剤形に切断する前にするために移送することが可能になる。望ましくは、フィルムは、自己支持性でもあり、すなわち、分離した支持体が存在しなくてもその統合性および構造を維持することができる。更に、本発明のフィルムは、食用または経口可能な材料から選択することができる。
【0117】
塗装法または流延法は、本発明のフィルムを形成する目的に特に有用である。具体例には、特に多層フィルムが所望される場合には、リバースロール塗装、グラビア塗装、浸漬またはディップ塗装、計量型ロッドまたはマイヤーバー塗装、スロット成形法、または押出し塗装、ギャップまたはナイフオーバーロール塗装、エアナイフ塗装、カーテン塗装、あるいはそれらの組合せが含まれる。
【0118】
ロール塗装、より詳細にはリバースロール塗装は、特に、本発明によるフィルムを形成する場合望ましい。本発明で所望される、得られたフィルムの優れた制御および均一性はこの手順によって提供される。この手順では、コーティング物質は、アプリケータローラー上に、上部計量型ローラーとその下の塗布用ローラーの間のギャップを正確に設定することによって測定される。コーティングは、塗布用ローラーに隣接する支持ローラーの周囲を通るにつれて塗布用ローラーから基板に移送される。3本ロール法および4本ロール法が一般的である。
【0119】
グラビア塗装法は、塗装槽中で稼動する彫込みローラーに依存し、この槽によってローラーの彫込みドットまたはラインがコーティング物質で充填される。ローラー上の過剰なコーティングは、ドクターブレードで拭い取られ、次いでコーティングは彫込みローラーと圧力ローラーの間を通過するにつれて基板上に置かれる。
【0120】
基板に移送する前にコーティングを中間ローラー上に堆積させるオフセットグラビアが一般的である。
【0121】
浸漬またはディップ塗装の単純な方法では、塗装槽に基板を浸漬し、通常、この槽は基板が浮上するとコーティングが槽に戻ることを可能にするために低粘度である。
【0122】
計量型ロッド塗装法では、過剰なコーティングはコーティングが槽ローラー上を通過するにつれ基板上に堆積する。時にはマイヤーバーとして知られているワイヤー巻付け型ロッドは、所望の量のコーティングを基板上に残すことが可能になる。ロッドに使用されたワイヤーの直径の大きさによって量を決定する。
【0123】
スロット成形法では、コーティングは、重力により、またはスロットによる圧力下、基板上に絞り出される。コーティングが、100%固形分である場合、この方法は「押出し」と呼ばれ、この場合は、ライン速度は、しばしば、押出し速度よりもはるかに速い。これによりスロット幅より相当に薄く塗装することが可能になる。
【0124】
ギャップまたはナイフオーバーロール法は、基板に塗布されているコーティングに依存し、次いで、この基板は「ナイフ」と支持ローラーの間の「ギャップ」を通過する。コーティングおよび基板が通過するにつれ、過剰分がかき取られる。
【0125】
エアナイフ塗装は、コーティングを基板に塗布し、過剰分をエアナイフからの強力なジェットによって「吹き飛ばす」ものである。この手順は、水性コーティングに有用である。
【0126】
カーテン塗装法では、基部にスロットを備えた槽によってコーティングの連続カーテンが2つのコンベヤ間のギャップに落下することが可能になる。塗装する物体は、制御速度でコンベヤに沿って通過し、それでその上面にコーティングが施される。
【0127】
(フィルムの乾燥)
乾燥ステップもフィルム組成物の均一性の維持に関して一因である。粘度上昇組成物または粘度が制御されている組成物の非存在下で、例えば、フィルム中のポリマー、成分を選択することによって、凝集し、または団塊状になる傾向が増大したかもしれない場合、制御乾燥工程は特に重要である。制御乾燥工程を必要としないはずである、正確な用量を含むフィルムを形成する代替法は、所定のウェル上にフィルムを流延することであるはずである。この方法を用いて、成分は凝集するかもしれないが、これが隣接剤形に活性物質を移動させることはない。各ウェルが、それ自体単位用量を決定することができるからである。
【0128】
制御された、または迅速な乾燥工程が所望される場合、これは、様々な方法によるものであってよい。熱を加えることを必要とする方法を含め、様々な方法を使用することができる。液体担体は、均一性、より詳細には、湿潤なフィルムで得られる非自己凝集性で均一な混成が維持されるような方式でフィルムから除去する。
【0129】
フィルムは、フィルム下部からフィルム上部に乾燥することが望ましい。固体粘弾性構造が形成されるその初期固定期間中は、フィルム上部を横切る空気流が実質的に存在しないことが望ましい。これは、乾燥工程の最初の数分内、例えば、最初の約0.5〜約4.0分間に行うことができる。この方式で乾燥を制御することによって、従来の乾燥方法から生じる、フィルム上面の破壊および再形成を防止する。これは、フィルムを形成し、上面および下面を有する表面の上面にこれを置くことによって実現する。次いで、最初にフィルム下面に熱を加えて、液体担体を蒸発させ、あるいはそうでないにせよ、除去するために必要なエネルギーを提供する。この方式で乾燥したフィルムは、空気乾燥フィルム、または従来の乾燥手段によって乾燥したフィルムと比較してより迅速におよび均等に乾燥する。最初に上部および端部を乾燥する空気乾燥フィルムと対照的に、下部に加熱することにより乾燥したフィルムは、同時に中央部および端部も乾燥する。これは、従来の手段によって乾燥したフィルムで生じる成分の沈降も防止する。
【0130】
フィルムが乾燥する温度は、約100℃以下であり、望ましくは約90℃以下、最も望ましくは約80℃以下である。
【0131】
単独で、または上に開示した他の制御方法と組み合わせて使用することができる、乾燥工程を制御する別の方法は、フィルムを乾燥している乾燥装置内の湿度を制御し変化させることを含む。この方式で、フィルム上面の早すぎる乾燥を回避する。
【0132】
加えて、乾燥時間の長さは、好適に制御でき、すなわち、成分、特に、香味油および薬物の熱感受性および揮発性と平衡させることができることも発見されている。エネルギー量、温度、ならびにコンベヤの長さおよび速度の平衡を保って、そのような活性物質を収容し、最終フィルムの損失、分解、または無効性を最小限に抑えることができる。
【0133】
適切な乾燥方法の具体的な例はMagoonによって開示されている。Magoonは、特に、果肉の乾燥方法を対象としている。しかし、本発明者らは、この方法を薄いフィルムの調製に向けて適合させている。
【0134】
Magoonの方法および装置は、水の興味深い特性に基づく。水は、伝導および対流によってエネルギーをその環境内および環境へ伝達するが、水は水中および水にしかエネルギーを放射しない。したがって、Magoonの装置は、その上に果肉を配置する、赤外放射を通す表面を含む。表面の下側は、温度制御したウォーターバスと接触している。ウォーターバスの温度は、温度わずかに水の沸騰温度以下の温度に制御するのが望ましい。湿潤な果肉を装置表面に配置すると、これにより「屈折窓(refractance window)」が作り出される。赤外エネルギーが、表面を通り抜け果肉が占める表面領域にだけ、かつ果肉が乾燥するまでだけ放射することが可能になることをこれは意味している。Magoonの装置は、フィルムの成分の凝集例を減少させて本発明のフィルムに効率的な乾燥時間を提供する。
【0135】
フィルムの厚みは、当初、約500μm〜約1,500μm、または約20ミル〜約60ミルであり、乾燥すると、厚みは約3μm〜約250μm、または約0.1ミル〜約10ミルである。乾燥フィルムの厚みは、約2ミル〜約8ミルが望ましく、より望ましくは約3ミル〜約6ミルである。
【0136】
(薄いフィルムの使用)
本発明の薄いフィルムは、多くの用途に大変適している。フィルム成分の高度な均一性によってフィルムは、特に、薬剤の組込みに大変適したものになる。更に、フィルムの構築に使用するポリマーを選択して、フィルムの崩壊時間の範囲を考慮することができる。フィルムが崩壊するのにかかる時間を変化または延長することによって、活性物質が放出される速度を制御することができ、それによって持続放出送達システムも可能になるであろう。更に、フィルムは、いくつかの身体表面、特に、口、肛門、膣、眼、(皮膚表面のまたは手術中などの身体内の)創傷表面、同様の表面などの粘膜を含む身体表面のどれに活性物質を投与するために使用してもよい。
【0137】
フィルムは、活性物質を経口投与するために利用することができる。これは、上記したフィルムを調製し、それらを哺乳動物の口腔へ導入することによって実現する。このフィルムを調製し、第2層または支持層に付着させることができ、この層から使用前にフィルムを取り外し、すなわち、口腔へ導入する。接着剤を利用して支持体、すなわち、裏当て材にフィルムを装着することができ、この裏当て材は当技術分野で知られている裏当て材のどれでもよく、水溶性ではないことが好ましい。接着剤を使用する場合、経口可能で活性物質の特性を変えない食品等級接着剤であることが望ましい。粘膜付着性組成物が特に有用である。多くの場合、フィルム組成物は、それ自体粘膜付着剤として働く。
【0138】
フィルムは、哺乳動物の舌下または舌に適用することができる。それが望まれる場合、舌の形に対応する特定のフィルム形が好ましいであろう。したがって、フィルムは、舌の奥に対応するフィルム側が舌先に対応する側よりも長い形に切断することができる。
【0139】
具体的には、望ましい形は三角形または台形であろう。フィルムは、口腔に付着させて、口腔からフィルムが吐き出されるのを防止し、フィルムが溶解するにつれてより多くの活性物質が口腔に導入されるのを可能にすることが望ましい。
【0140】
本発明のフィルムの別の用途は、液体に導入した場合迅速に溶解するフィルムの傾向を利用する。本発明にしたがってフィルムを調製するステップ、それを液体に導入するステップ、およびそれを放置して溶解させるステップによって活性物質を液体に導入することができる。これは、活性物質の液体剤形を調製するために、または飲料に香味を付けるために使用することができる。
【0141】
本発明のフィルムは、曝露酸化、加水分解、気化、および環境との相互作用から活性物質を保護するために密封耐気耐湿パッケージに包装するのが望ましい。図1を参照して、包装された薬剤単位用量10には、各フィルム12が、別個にポウチに、あるいはホイルおよび/またはプラスチックのラミネートシート間14に包まれて含まれている。図2に示すように、切り取り式または刻み目結合部16によって、ポウチ10、10'は結合されていてよい。ポウチ10、10'は、図5に示すようにロールで、または図3に示すように積層して包装し、図4に示すようにディスペンサ18で販売することができる。ディスペンサには、所期の療法に向けて通常処方される薬物を十分量入れてよいが、フィルムの薄さおよびパッケージのために、ディスペンサは錠剤、カプセル剤、および液体に使用される従来のボトルよりも小さく好都合である。更に、本発明のフィルムは、唾液または粘膜領域に接触すると同時に即座に溶解し、水で薬剤を洗い流す必要を無くさせる。
【0142】
望ましくは、一連のこのような単位用量は、特定の療法に依存し、処方される治療計画または治療にしたがって、例えば、10〜90日供給分を一緒に包装する。個々のフィルムは、支持体上に包装してよく使用にあたって剥がすことができる。
【0143】
本発明の特徴および利点を以下の実施例によってより完全に示す。実施例は、説明を目的として提供され、決して発明を限定することはないと解釈される。
【実施例】
【0144】
(実施例A〜I)
本発明の水溶性薄いフィルム組成物を表1に記載した量を使用し調製する。
【0145】
【表1】

【0146】
本発明の組成物A〜Iの成分を均一な混合物が得られるまで混合することによって組み合わせた。次いで、組成物をリバースロールコーティングによってフィルムに形成した。次いで、これらのフィルムは、その下面を約99℃に加熱したウォーターバスと接触させ、赤外透過表面の上面で乾燥した。フィルム上に外部熱気流は存在しなかった。フィルムを水分約6重量%未満まで約4〜6分間乾燥した。フィルムは、柔軟で自己支持性であり、フィルム中に成分が均一に分布されていた。
【0147】
フィルム中に成分が均一に分布していることは、裸眼による、または軽微な倍率下での検査によって明らかであった。フィルムを眺めることによって、フィルムには実質的に凝集が含まれず、すなわち、担体および活性物質が実質的に適所に依然として残り、フィルムの一部分から別の部分へ実質的に移動しなかったことが明らかであった。したがって、フィルムのどの部分に見出される活性物質の量にも実質的に差異はなかった。
【0148】
均一性は、最初に、個々の剤形にフィルムを切断することによっても測定した。実質的に同一大きさの25個の剤形を上の本発明のフィルムの組成物(E)から、フィルム全体にわたって無作為の位置から切断した。次いで、これらの剤形から8個を無作為に選択し付加して秤量した。8個の無作為に選択した剤形の添加物重量は、下表2に示す通りである。
【0149】
【表2】

【0150】
個々の用量は、一貫して0.04gmであった。これは、フィルム中の成分の分布は一貫し均一であったことを示す。これは、各成分は固有の密度を有するという単純な原理に基づく。したがって、異なる密度の成分を均一な方式でフィルム中に組み合わせた場合、本発明では、実質的に同じ大きさの同じフィルムから個々の剤形には同じ塊が含まれる。
【0151】
活性物質の均一性を決定する代替法は、フィルムを個々の用量に切断するものである。次いで、個々の用量を溶解し、特定の大きさのフィルム活性物質の量を試験することができる。同じフィルムの異なる位置から切断した実質的に同じ大きさのフィルムは、実質上同じ量の活性物質を含むことをこれは実証する。
【0152】
本発明の組成物A〜Hから形成したフィルムを舌上に置くと、活性成分を放出してそれらは急速に溶解する。同様に、フィルムを水中に入れると、フィルムは急速に溶解し、このフィルムは活性物質が香味料であるように選択すると香味飲料を提供する。
【0153】
(実施例J〜L)
制御分解時間を有し、水溶性および非水溶性ポリマーの組合せを含む薄いフィルムと、活性物質の制御放出を可能にする水溶性フィルムとを、表3に記載した量を近似的に使用し、調製する。
【0154】
【表3】

【0155】
本発明の組成物J〜Lの成分を組み合わせ、上の本発明の組成物A〜Iを調製するための方法を使用しフィルムに形成した。これらのフィルムも柔軟で自己支持性であり、正確な投薬を可能にする活性物質の均一な分布をもたらす。
【0156】
本発明の組成物J〜Lから調製したフィルムの均一性も、上記した、個々の用量フィルムの重量を測定する視覚的手段によって、またはフィルムを溶解し活性物質量を試験することによって試験することができる。
【0157】
(実施例M〜O)
正確な投薬を提供するフィルムを調製することの代替法は、本発明の組成物A〜Iのどれに使用してもよい。方法は、最初に、混合によって成分を組み合わせることから始まる。次いで、成分の組合せを個々のウェルまたはモールドに分割する。そのような方法では、乾燥中の成分の凝集は個々のウェルによって防止される。
【0158】
【表4】

【0159】
上の表4の成分を組み合わせ、成分の組合せをガラス表面上に流延し、ガラスの下面を加熱することによってフィルムに形成した。これにより本発明の組成物M〜Oが提供された。
【0160】
組成物Mのフィルムを乾燥の前後にRed Dyeによってもたらされる明暗の変化に関して検査した。フィルムを日光下で、および白熱球光によって検査した。色彩の明暗または強度に変化は観察されなかった。
【0161】
組成物Mのフィルムの別の試験では、濃度に直接関係付けられる吸収試験を含めた。それぞれ、1.0インチ×0.75インチの大きさの切片にフィルムを切断し、この切片に連続した番号を振った。それから切片を切り取った廃材約40mgを約10mlの蒸留水に溶解し、次いで定量的に25mlメスフラスコに移してその容量にした。溶液を遠心分離し、3nm間隔で203〜1200nmスキャンした。最大吸収周波数は、530nmであることが判明した。次いで、溶液を高RPMで(同じ時間)再度遠心分離し、再度スキャンした。これにより、%透過または周波数に変化がなかったことが実証された。
【0162】
切片それぞれは、0.1mgまで秤量し、次いで10mlの蒸留水に溶解し、定量的に25mlメスフラスコに移し、蒸留水でその容量にした。次いで、上記のように、各切片溶液を遠心分離機にかけ、次いでInmスキャン速度で最初は203〜1200nm、後にはわずか500nm〜550nmをスキャンした。記録された値は、大抵の場合には530nmである最低波長での%透過であった。
【0163】
吸収値を下表5に示す。
【0164】
【表5】

【0165】
全体の平均吸収は、1.724であった。試験した15個の切片のうち、最高値と最低値間の差は0.073単位であり、すなわち、平均値を基にすると4%であった。これは、組成物中の染料の均一性において優れた制御を示している。というのは、吸収は、各切片内の染料の濃度に直接比例するからである。
【0166】
本発明の組成物Nのフィルムは、非常に柔軟なフィルムを提供した。このフィルムは、延伸することができ、非常に高い引張強度を示した。
【0167】
本発明の組成物Oのフィルムを形成した後、剃刀によってガラスの長さ分を非常に迅速に剥離することによってフィルムをガラスから取り外した。それによって非常に緊密に巻かれた「爪楊枝状」の剤形が得られた。各剤形は、一貫して0.02gの重量であった。これは、剤形の均一性およびフィルムの優れた自己支持特性を実証している。
【0168】
(実施例P〜W)
組成物P〜Wは、フィルム生成における様々な条件内での相互作用を実証するために調製した。それらは、本発明に関係付けられるからである。下表6の成分を組み合わせ、下表7に示す工程パラメータを使用してフィルムに形成し、フィルムの下部乾燥を組み込むように設計した6mのトンネル乾燥機で調製した。実施例それぞれは、異なる成分製剤の作用、および得られたフィルム生成物についての加工技術を示す。
【0169】
【表6】

【0170】
【表7−1】

【表7−2】

【0171】
表7では、工程パラメータそれぞれは、フィルムの異なる特性の一因となる。フィルム厚は、リバースロール塗装装置のブレードとローラー間の距離をさす。下部速度および上部速度は、それぞれ、フィルムの下面および上面の気流速度をさす。フィルム重量は、基板およびフィルムの100cm2の円形断片の重量測定である。
【0172】
組成物P〜Rは、基板上にフィルム組成物の混合物を塗装するフィルム形成の能力に及ぼす粘弾特性の作用を示す。組成物Pは、糸を引く弾力特性を示した。湿潤なフィルムは、水平を持続しないはずであり、コーティングは一様でなく、フィルムは乾燥しなかった。組成物Qでは、Pと実質上同じ製剤を使用したが、キサンタンを含めなかった。この生成物で基板を塗装したが、湿潤なフォームの粘弾特性の変化のために水平を持続しないはずである。組成物Rを実質上同じ製剤を使用し調製したが、組成物Pのキサンタンの量の2分の1を組み込んだ。この製剤は、均等に塗装することができた組成物をもたらした。組成物P〜Qは、特定の塗装技術に適合するフィルムマトリックスの能力に対する適切な製剤の重要性を実証している。
【0173】
組成物Sから生成されたフィルムは、フィルム中に多量の空気を含んでいた。これは、表7での塗装厚の変化にもかかわらず、同じであった乾燥フィルム厚によって示される。フィルムの顕微鏡検査によってフィルム中の多数の気泡が明らかになった。フィルム中の空気の添加を修正するために、混合工程中に注意を払い空気の封入を回避しなければならない。
【0174】
組成物Tは、溶媒に変化を加えて60/40の水エタノールにした。混合物を脱気するために、組成物Tを静かに45分間攪拌した。乾燥重量フィルム生成物T1およびT2は、T1からT2への固形分の増加と一致した。フィルムは、水分5%未満でははるかに早く乾燥した。組成物Tの成分の特定の組合せを用いて、部分水を部分エタノールに代えるとより迅速にフィルムを乾燥させることが可能になった。静かに攪拌した結果としてフィルムから空気を除去することも、最終フィルム生成物の均一性および乾燥時間の迅速化に貢献した。
【0175】
組成物Uでは溶媒として水しか使用しなかった。U1〜U3の乾燥重量は、塗装厚の変化にしたがって一貫して変化し、気泡が存在しないことを示した。しかし、これらのフィルムは、部分エタノールを含み完全に乾燥した組成物Tのフィルムとは異なり、オーブンから取り出した直後、水分を20%含んでいた。
【0176】
組成物V1およびV2では、固形分量が増加し水分量は減少した。乾燥重量は、固形分の増加のためにU1〜U3より多かったが、組成物Uと同様に、オーブンから取り出した直後、フィルムには依然として20%の水分が含まれていた。
【0177】
組成物V3では、露出した上部フィルム表面の早すぎる乾燥を防止するために、塗装ライン速度を減速させた。このフィルム生成物を水分6%に乾燥させた。
【0178】
固形分量を増加することによってフィルム重量を改良したが、長い乾燥時間が必要であった。これは、水が容易に除去されるのを防ぐフィルム表面の封止によるものであった。したがって、組成物W1〜W3では、乾燥機の最初の3m区域の温度を低下させた。これによりフィルム上面の早すぎる乾燥を防止された。フィルム厚が厚いときでも、フィルムはコーターライン速度が速くても水分5%に乾燥された。
【0179】
(実施例X〜AA)
【0180】
【表8】

【0181】
表8の組成物X、Y、およびZは、GlattコーターおよびコーティングとしてEudragit E-100ポリメタクリラートポリマーを使用し味をマスクして被覆した。コーティングは、20%濃度でスプレー被覆した。したがって10mgの薬物、12.5mgの最終乾燥生成物を秤量しなければならない。
【0182】
添加薬物を除外したベース配合物は、空気を組み込まないように気をつけて混合した。初期混合の後、配合物を脱気するために30分かけて静かに混合した。この間、薬物を秤量し、ベースミックスに加えるために準備した。
【0183】
組成物Xでは、ロラタジン、(80%薬物)を攪拌しながら静かにミックスに加えた。5分攪拌後、全ミックスを30μm塗装厚の3式のロールコーター(リバースロールコーター)のパンに加えた。
【0184】
工程下部温度を上部熱または空気なしに90℃に設定し、下部空気速度を40m/秒に設定し、ライン速度を1.3m/分に設定した。フィルムの全乾燥時間は4.6分であった。
【0185】
液体を30μmで塗装し、オーブンで5分未満乾燥した。フィルムは柔軟であり、1インチ×0.75インチ破片重量は70mgであり、10mgのロラタジンを含んでいた。
【0186】
組成物YおよびZについて、それぞれ、ゾーミグおよびパクシルで実験を繰り返した。目標重量が、それぞれ、5mgのゾーミグを含む70mg、および10mgのパクシルを含む70mgの柔軟性フィルムが生成された。
【0187】
どんな顕著な薬物後味もなく生成物は甘かった。
【0188】
組成物AAの成分を流体マトリックス中に捕獲された空気を低減するために混合した。80%活性濃度で塗装される45gのロラタジンおよびEudragit E-100を使用する20%コーティングを混合した後、薬物が均等に分散するまで約5分間、この混合物を攪拌しながら静かに加えた。次いで、液体を3つのロールコーター(リバースロールコーター)に入れ、ライン速度1.3m/分にて30μmを塗装した。オーブン温度を90℃に設定し、空気速度を40m/秒に設定して、下部にだけ空気および熱を供給した。乾燥フィルムは、0.005インチ厚(5ミル)であり、1インチ×0.75インチ破片に切断し、重量は70mg±0.7mgであり、フィルム組成物の均一性を証明した。フィルムは、水分5%を含んで柔軟であり、気泡を含まず、光学顕微鏡下で見たとき、かつフィルム破片の実質的に同一の重量測定によって示されるように薬物は均一に分布されていた。
【0189】
(実施例BA〜BI)
抗起泡性/消泡剤(すなわちシメチコン)の組込みによって、フィルム生成物中の気泡が実質的に低減し、または除去された均一なフィルムを提供するのみならず、他の利益ももたらすフィルムが得られた。このフィルムは、より望ましい感覚受容特性を示した。「紙様」が減少し改善された肌目を有するフィルムによって消費者に口当たりの良いものにした。
【0190】
下表9の組成物を調製した(本発明の組成物BA〜BGへのシメチコンの添加を含む)および減圧下で混合して気泡を除去した。
【0191】
本発明の組成物BA〜BGの得られた未切断フィルムは、内容、特に、不溶性活性物質に関して、およびその単位用量の3/4インチ×1インチ×5ミルカットに関して均一性が示された。本発明の組成物は、気泡のない平滑な表面を有することも観察された。本発明の組成物BF〜BG中に存在する極めて多量のシメチコンも非常に均一なフィルムをもたらすが、本発明の組成物BA〜BEのフィルムからは顕著には改善されない。
【0192】
それとは対照的に、比較例BH〜BIは粗い表面を有することが観察され、肌目および成分分布の均一性を減少させる気泡が得られたフィルム中に封入されていることを示していた。
【0193】
【表9】

【0194】
(実施例CA〜CC)
本発明の以下の実施例は、界面活性剤としてエトキシル化キャスタ油を使用し、あるいは別法として界面活性剤、可塑剤および/またはポリアルコールを含まない、フィルムおよびフィルム形成組成物を説明する。望ましくは、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、界面活性剤を本質的に含まない。更に、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、界面活性剤を本質的に含まないように製剤されるのが望ましい。更に、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、可塑剤を本質的に含まないように製剤されるのが望ましい。更に、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、ポリアルコールを本質的に含まないように製剤されるのが望ましい。更に、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、界面活性剤および可塑剤を本質的に含まないように製剤されるのが望ましい。更に、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、界面活性剤、可塑剤、およびポリアルコールを本質的に含まないように製剤されるのが望ましい。
【0195】
【表10】

【0196】
上記成分を30%で水70%に加え、ポリマーが完全に水和するまで攪拌し、それには45分かかった。次いで、ミックスを減圧下に置いて捕捉されている空気を除去した。500mm開始して45分かけて760mmまで進行させる定常方式で減圧した。
【0197】
減圧を解いた後、200μmのらせん巻きロッドおよびK Control Coater Model 101(RK Print Coat Inst. Ltd.)を使用し、6gの液体をコーティング紙に加えた。コーティングを加える紙基板は、シリコーンコート化紙である。次いで、コート化紙を約5%の水分が残るまで90℃で乾燥した。配合物は、塗装し、乾燥してフィルム厚約60μmにし、口内で迅速に溶解した。
【0198】
【表11】

【0199】
上記成分を40%で均質な懸濁液が作製されるまで水に加えた。すべての空気が懸濁液から除去されるまで、20分かけて減圧を500mmHgで開始し660mmHgで終了させた。先の実験に記載れているフィルムを作製した。液体が、シリコーン放出基板に塗装され、均一な柔軟性フィルムに乾燥された。フィルムは、亀裂なく180°曲げ試験を通過し口内で溶解した。
【0200】
【表12】

【0201】
上記成分を30%で水70%に加え、ポリマーが完全に水和するまで攪拌し、それには20分かかった。次いで、ミックスを減圧下に置いて捕捉されている空気を除去した。35分かけて760mmまで定常方式で減圧した。
【0202】
減圧を解いた後、350μm平滑バーおよびK Control Coater Model 101(RK Print Coat Inst. Ltd.)を使用し、液体をコーティング紙に加えた。その上にコーティングを加えた紙基板は、シリコーンコート化紙であった。次いで、コート化紙を約4%の水分が残るまで90℃で乾燥した。配合物を塗装し、乾燥してフィルムにした。フィルムは、許容される味を有し、口内で迅速に溶解した。味マスキング香味料は、味覚受容体に作用して受容体が異なる一般的な望ましくない味を記録するのをマスクする成分である。フィルムは、亀裂なく180°曲げ試験を通過し口内で溶解した。
【0203】
(実施例CD)
本発明の以下の実施例は、味をマスクした、香味料および味マスキング助剤も含む医薬活性剤を使用する、フィルムおよびフィルム形成組成物を説明する。味マスキング香味料は、味覚受容体に作用して受容体が異なる一般的な望ましくない味を記録するのをマスクする成分である。
【0204】
【表13】

【0205】
医薬活性剤および香味料を除く上記成分を35g水で加え、ポリマーが完全に水和するまで攪拌し、それには約20分かかった。食品着色料(赤色食品着色料7滴および黄色食品着色料1滴)も加えた。次いで、ミックスを減圧下に置いて捕捉されている空気を除去した。500mmで始めて約10〜20分かけて760mmまで進行させる定常方式で減圧した。味をマスクしたアセトアミノフェンを、約4分間減圧下で攪拌しながらミックスに加えた。次いで、香味料を約4分間減圧下で攪拌しながらミックスに加えた。
【0206】
減圧を解いた後、350μm平滑バーを使用し液体溶液をコーティング紙に加えた。その上にコーティングを加えた紙基板は、シリコーンコート化紙であった。次いで、コート化紙を約3%の水分が残るまで90℃で約11分間乾燥した。
【0207】
配合物は、塗装し乾燥してフィルムにした。フィルムは、許容される味を有しており、口内でやや迅速に溶解した。フィルムは、巻き上がることはなかった。フィルムは、亀裂なく180°曲げ試験を通過し口内で溶解した。
【0208】
現在、本発明の好ましい実施形態であると考えられるものを説明してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなしに、これらに変更および修正を行ってよいことを当業者は理解し、当に本発明の範囲の中に含まれるような変更および修正はすべて含まれるものとする。
【0209】
(実施例CE〜CF)
表14に記載した量を使用し、本発明の薄いフィルム組成物を調製した。
【0210】
【表14】

【0211】
上記成分を均一な混合物が得られるまで混合することによって組み合わせた。乾燥前に、十分な量の水、すなわち、約200g〜約1000gの範囲でよい適量の水がフィルム組成物中に存在した。次いで、250μm平滑バーを備えたK−Control Coaterを使用し、組成物を剥離紙上のフィルムに流延した。
【0212】
実施例CEでは、続いてフィルムを約80℃のオーブンで約6分間乾燥した。フィルムを乾燥して水分約4.3%にした。実施例CFでは、フィルムを約60℃のオーブンで約10分間乾燥した。フィルムを乾燥して水分約5.06%にした。乾燥後、フィルムに含まれていたウシ抽出物に由来する蛋白質を試験して、それが依然として活性かどうか判定した。蛋白質は、実施例CEおよびCFの最終乾燥フィルム生成物で約100%活性であることが判明した。したがって、乾燥工程中、熱感受性活性物質は、実質的に分解または変性しなかった。
【0213】
(実施例CG〜CI)
(実施例CG)
本発明の薄いフィルム組成物を表15に記載した量を使用し調製した。
【0214】
【表15】

【0215】
上記成分を混合によって組み合わせ、次いで350μm平滑バーを備えたK-Control Coaterを使用し、剥離紙上の2枚のフィルムに流延した。続いて、本発明の均一な乾燥工程によるのではなく、従来の乾燥技術によってフィルムを乾燥した。ワイヤーラック上で1枚のフィルムを80℃のオーブンで9分間乾燥した。ワイヤースクリーン上で第2フィルムを80℃のオーブンで9分間乾燥した。フィルムを乾燥して水分約2.4%にした。
【0216】
得られた乾燥フィルムには、乾燥後、ワイヤーラックおよびスクリーンの跡が見られた。特に、図9〜16に示すように、フィルムには、線形およびダイヤ形の粒子の凝集が見られた。これらの形は、通常、乾燥工程で使用されるワイヤー支持体の印影より成る。均一に熱を拡散しないで、ワイヤー支持体は、基板と接触する点で熱をより強烈に伝導し、これらの点で蒸発を増大させた。これがより活発な混合を引き起こし、それによって接触点により多くの粒子を引きつけた。接触点で生じた上昇した粒子密度を図9〜16に記載する。
【0217】
(実施例CH)
実施例CGの成分を含む組成物を組み合わせ、実施例CGのようにフィルムに形成した。実施例CGと同じ時間および温度条件下で、本発明の方法によってフィルムを乾燥した。特に、炉フィルタが裏当てされたトレイ上で、80℃のエアオーブンで9分間フィルムを乾燥した。フィルムを乾燥して水分約1.89%にした。得られたフィルムに線条はなく、均一であった。フィルム全体にわたる均一な熱拡散のために、図17に示すように粒子の凝集は発生しなかった。
【符号の説明】
【0218】
1,12,42 フィルム
10 包装された薬剤単位用量(ポウチ)、下部
14 ラミネートシート
16 結合部
18 ディスペンサ
20 装置、フィルムの上面
22 プレミックスまたはマスターバッチ
24 マスターバッチの供給槽
26 第1定量ポンプ
30 第1ミキサー、高温の液体の流れ
30' 第2ミキサー
32,32' 開口部
34,34' 第2計量型ポンプ
36 パン
38 計量型ローラー
40 低温の液体の流れ
44 基板
46 支持ローラー
48 フィルム上面(露出面)
50 乾燥装置、蒸発する揮発物の流れ
52 入口端
54,60,60',64,64' ベクトル
56 空気デフレクタ
58,58' チャンバ部分
62,62' 出口端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリマー、極性溶媒、および活性成分を組み合わせて、実質的に非自己凝集性で均一な混成を示す物質を形成するステップと、
(b)前記物質を上面および下面を含むフィルムに形成するステップと、
(c)前記フィルムの前記下面を加熱し、前記活性成分の分解温度より高い温度に前記フィルムの下面を曝露することによって、前記活性成分の分解温度より高い温度で前記フィルムを乾燥するステップであって、前記活性成分の分解温度より低い温度に前記フィルムの内部が暴露されるステップと、
によって形成される所望の濃度の活性成分を含むフィルム生成物であって、
前記活性成分が前記所望の濃度で維持され、かつ
前記フィルムを乾燥する前記ステップが、制御乾燥工程を使用することによって前記自己凝集しない均一な異種性を乱すことなく、前記湿潤フィルムから十分な極性溶媒を除去することを含む、フィルム生成物。
【請求項2】
前記乾燥が最初に前記下面を乾燥することを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。
【請求項3】
前記極性溶媒が水と極性有機溶媒との組合せであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。
【請求項4】
前記極性溶媒が水であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。
【請求項5】
ステップ(a)で加える前記極性溶媒が、重量%で少なくとも30%であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。
【請求項6】
前記フィルムの前記乾燥が、前記極性溶媒の重量%を10%以下に減少させることを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。
【請求項7】
前記フィルムの前記乾燥が、前記極性溶媒の重量%を8%以下に減少させることを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。
【請求項8】
前記フィルムの前記乾燥が、前記極性溶媒の重量%を6%以下に減少させることを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。
【請求項9】
前記活性成分が、薬剤、香味料、香料、酵素、保存料、甘味料、着色料、スパイス、ビタミン、およびそれらの組合せからなる群から選択した成分であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。
【請求項10】
前記ポリマーがセルロース誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。
【請求項11】
前記ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガンカントガム、グアールガム、アカシアガム、アラビアガム、ポリアクリル酸、メチルメタクリラートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー、澱粉、およびそれらの組合せからなる群から選択した成分であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。
【請求項12】
前記フィルム生成物の厚さが2.5μmを超えることを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。
【請求項13】
前記フィルム生成物の厚さが25μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。
【請求項14】
前記フィルム生成物が実質的に均一な厚さであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。
【請求項15】
前記フィルム生成物が実質的に同じ寸法の剤形に分割されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。
【請求項16】
前記剤形のそれぞれには、前記活性物質が実質的に同量含まれることを特徴とする請求項15に記載のフィルム生成物。
【請求項17】
前記剤形が、前記剤形間で、10%以下で変動する量の前記活性物質を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム生成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33−1】
image rotate

【図33−2】
image rotate

【図33−3】
image rotate

【図33−4】
image rotate

【図33−5】
image rotate


【公開番号】特開2013−28635(P2013−28635A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−219164(P2012−219164)
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【分割の表示】特願2006−503172(P2006−503172)の分割
【原出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【出願人】(504322976)モノソル・アールエックス・エルエルシー (12)
【Fターム(参考)】