説明

非臭素化難燃性エポキシ樹脂における金属化合物

a)エポキシ樹脂、b)硬化剤、及び、c)金属含有化合物を含む安定剤(但し、前記金属含有化合物は、第11族〜第13族の金属及びそれらの組合せから選択される金属を含む)を含む組成物であって、非ハロゲン系難燃剤を含有する組成物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本明細書中に開示される実施形態は、電気用積層物において有用な非ハロゲン系難燃剤を含有するエポキシ組成物に関する。より具体的には、本明細書中に開示される実施形態は、電気用積層物において有用な金属含有化合物を含む安定剤を有するエポキシ組成物に関する。
【0002】
発明の背景
高性能な電気用途、例えば高性能な回路基板などにおいて有用な熱硬化性材料は一連の厳しい特性要求を満たさなければならない。例えば、そのような材料は最適には、良好な高温特性、例えば、高いガラス転移温度(例えば、200℃超)及び高い温度での低い吸湿(例えば、0.5%未満の吸湿)などを有する。熱硬化性配合物材料において使用される成分はまた、安定な溶解性を有機溶媒、例えば、アセトン、2−ブタノン又はシクロヘキサノンなど、において示さなければならない。これは、電気用積層物の調製では従来、繊維(例えば、ガラスなど)ウエブを熱硬化性樹脂の溶液により含浸することが伴うからである。濡らされた繊維ウエブは、溶媒を除き、かつ、熱硬化性樹脂を部分的に硬化させる(「B段階」化する)ために、処理装置と呼ばれる通風炉に通される。処理装置から出て来る含浸ウエブはプレプレグと呼ばれる。典型的には、処理装置の条件は、B段階樹脂のガラス転移温度(Tg)が室温を超え、その結果、プレプレグが粘着性でないように選ばれる。プレプレグから複合物部品への変換では、1つ又はそれ以上のプレプレグシートを積み重ね、その後、硬化プロセスを完了させるために加圧下で加熱すること(「C段階」)が要求される。C段階化の期間中、樹脂は、空隙を排除するために十分に流動しなければならず、しかし、多量の樹脂がウエブの端で失われるほどに多く流動してはならない。C段階プロセスの期間中における樹脂の流動は温度及び圧力の設定点により幾分か制御することができるが、理想的な樹脂は、加工可能な粘度の広い温度範囲(広い「加工域」)を有する。
【0003】
エポキシ樹脂は、非常に広範囲に使用されているエンジニアリング樹脂の1つであり、電気用積層物を含めて、様々な複合物におけるその使用について周知である。様々なエポキシ樹脂がこれまで、耐熱性、化学的抵抗性、断熱性、寸法安定性及び接着性などにおいて優れているために、電気機器/電子機器のための材料として、例えば、電気用積層物のための材料として使用されている。
【0004】
様々な用途のために、特に電気デバイス及び電子デバイスの構成材料のためには、難燃剤が、電気的不良の場合における火災の可能性を減らすために配合物に添加されるにちがいない。臭素化難燃剤が最も一般に使用されているが、非臭素化組成物に対する要求が増大しつつある。いくつかの用途、例えば、相互接続基体(IC基体)などについては、非臭素化難燃剤が、市場で優位を占めるに至っている。
【0005】
無鉛はんだ規制の出現により、電気用積層物が曝される温度が約20℃〜40℃上がって、230℃〜260℃になっている。従って、靭性及び加工性を依然として維持しながら、熱安定性をエポキシ樹脂において達成することが求められている。
【0006】
発明の概要
本発明の1つの実施形態において、a)エポキシ樹脂、b)硬化剤、及び、c)金属含有化合物を含む安定剤(但し、前記金属含有化合物は、第11族〜第13族の金属及びそれらの組合せから選択される金属を含む)を含むか、又は、上記のa)、b)及びc)からなるか、又は、上記のa)、b)及びc)から本質的になる組成物であって、非ハロゲン系難燃剤を含有する組成物が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1はガラス転移温度(T)に対する酸化亜鉛負荷量のプロットである。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明の1つの実施形態において、a)エポキシ樹脂、b)硬化剤、及び、c)金属含有化合物を含む安定剤(但し、前記金属含有化合物は、第11族〜第13族の金属及びそれらの組合せから選択される金属を含む)を含むか、又は、上記のa)、b)及びc)からなるか、又は、上記のa)、b)及びc)から本質的になる組成物であって、非ハロゲン系難燃剤もまた含有する組成物が開示される。
【0009】
本明細書中に開示される実施形態において使用されるエポキシ樹脂は異なっていてもよく、これらには、例えば、とりわけ、ノボラック樹脂及びイソシアナート修飾エポキシ樹脂を含む、単独又は2つ以上の組合せで使用することができる従来の市販されているエポキシ樹脂が含まれる。エポキシ樹脂を本明細書中に開示される組成物のために選ぶ際には、最終製造物の特性に対してだけでなく、樹脂組成物の加工に影響を及ぼすかもしれない粘度及び他の特性に対しても考慮しなければならない。本発明の組成物はまた、他の熱硬化性樹脂及び熱可塑性プラスチックの添加によって改質することができる。他の熱硬化性樹脂の例として、シアナート系化合物、トリアジン系化合物、マレイミド系化合物、ベンゾオキサジン系化合物、アリル化フェノール系化合物及びアセチレン性化合物が挙げられるが、これらに限定されない。熱可塑性プラスチックの例として、ポリ(アリールエーテル)、例えば、ポリフェニレンオキシド、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(エーテルイミド)及び関連物質が挙げられる。
【0010】
エポキシ樹脂成分は、1つ又はそれ以上の反応性オキシラン基(これは本明細書中では「エポキシ基」又は「エポキシ官能性」として示される)を含有するどのような物質も含めて、組成物を成形することにおいて有用であるどのようなタイプのエポキシ樹脂も可能である。本明細書中に開示される実施形態において有用なエポキシ樹脂には、単官能性エポキシ樹脂、多官能性(multi-)又は多官能性(poly-)エポキシ樹脂、及び、それらの組合せが含まれ得る。単量体のエポキシ樹脂及び重合体のエポキシ樹脂は、脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式のエポキシ樹脂が可能である。重合体のエポキシ樹脂には、末端エポキシ基を有する線状重合体(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、重合体骨格のオキシランユニット(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、及び、ペンダントエポキシ基を有する重合体(例えば、グリシジルメタクリラートの重合体又は共重合体など)が含まれる。これらのエポキシ樹脂は純粋な化合物であってよく、しかし、一般には、分子あたり1つ又は2つ以上のエポキシ基を含有する化合物の混合物である。いくつかの実施形態において、エポキシ樹脂はまた、さらなる架橋を生じさせるために、無水物、有機酸、アミノ樹脂、フェノール樹脂又は(触媒されるときには)エポキシ基と高い温度で反応し得る反応性の−OH基を含み得る。1つの実施形態において、エポキシ樹脂は、グリシジルエーテルを、オキサゾリジノン成分を形成させるためのビスフェノール化合物、例えば、ビスフェノールA又はテトラブロモビスフェノールAなど、と接触させることによって製造される。
【0011】
一般に、エポキシ樹脂は、グリシジル化樹脂、脂環式樹脂、エポキシ化オイルなどであり得る。グリシジル化樹脂はしばしば、グリシジルエーテル、例えば、エピクロロヒドリンなどと、ビスフェノール化合物、例えば、ビスフェノールA、との反応生成物;C〜C28アルキルグリシジルエーテル;C〜C28アルキル−及びアルケニル−グリシジルエステル;C〜C28アルキル−モノフェノールグリシジルエーテル及びC〜C28アルキル−ポリフェノールグリシジルエーテル;多価フェノール、例えば、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン(すなわち、ビスフェノールF)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン(すなわち、ビスフェノールA)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン及びトリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、のポリグリシジルエーテル;ノボラックのポリグリシジルエーテル;ジフェノールのエーテルをエステル化することによって得られるジフェノールのポリグリシジルエーテル;及びポリフェノールのポリグリシジルエーテルである。いくつかの実施形態において、エポキシ樹脂には、グリシジルエーテルタイプ、グリシジルエステルタイプ、脂環式タイプ及び複素環式タイプなどが含まれ得る。好適なエポキシ樹脂の限定されない例には、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、ヒドロキノンエポキシ樹脂、スチルベンエポキシ樹脂、並びに、それらの混合物及び組合せが含まれ得る。
【0012】
好適なポリエポキシ化合物には、トリグリシジルp−アミノフェノール(4−(2,3−エポキシプロポキシ)−N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)アニリン)、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル(2,2−ビス(p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)メタン)、meta−及び/又はpara−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル(3−(2,3−エポキシプロポキシ)N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)アニリン)、そして、テトラグリシジルメチレンジアニリン(N,N,N’,N’−テトラ(2,3−エポキシプロピル)4,4’−ジアミノジフェニルメタン)、並びに、2つ以上のポリエポキシ化合物の混合物が含まれ得る。見出される有用なエポキシ樹脂のより網羅的な列挙が、Lee,H.及びNeville,K.、Handbook of Epoxy Resins、McGraw-Hill Book Company(1982年再発行)に見出され得る。
【0013】
他の好適なエポキシ樹脂には、芳香族アミン及びエピクロロヒドリンに基づくポリエポキシ化合物が含まれ、例えば、N,N’−ジグリシジル−アニリン;N,N’−ジメチル−N,N’−ジグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン;N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン;N−ジグリシジル−4−アミノフェニルグリシジルエーテル;及びN,N,N’,N’−テトラグリシジル−1,3−プロピレンビス−4−アミノベンゾアートなどが含まれる。エポキシ樹脂にはまた、芳香族ジアミン、芳香族モノ第一級アミン、アミノフェノール、多価フェノール、多価アルコール、ポリカルボン酸の1つ又はそれ以上のグリシジル誘導体が含まれ得る。
【0014】
有用なエポキシ樹脂には、例えば、多価ポリオール、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセロール及び2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなど、のポリグリシジルエーテル;脂肪族ポリカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び二量化リノール酸など、のポリグリシジルエーテル;ポリフェノール、例えば、ビスフェノールA、ビス−フェノールF、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン及び1,5−ジヒドロキシナフタレンなど、のポリグリシジルエーテル;アクリラート成分又はウレタン成分を有する修飾エポキシ樹脂;グリシジルアミンエポキシ樹脂;並びにノボラック樹脂が含まれる。
【0015】
エポキシ化合物は脂環式(cycloaliphatic)又は脂環式(alicyclic)のエポキシドが可能である。脂環式エポキシドの例として、ジカルボン酸の脂環式エステルのジエポキシド、例えば、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)オキサラート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジパート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジパート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ピメラートなど;ビニルシクロヘキセンジエポキシド;リモネンジエポキシド;及びジシクロペンタジエンジエポキシドなどが挙げられる。ジカルボン酸の脂環式エステルの他の好適なジエポキシドは、例えば、米国特許第2,750,395号に記載される。
【0016】
他の脂環式エポキシドには、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート系化合物、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート;3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−メチル−3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボキシラート;6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート;3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシラート;3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシル−メチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシラート;3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシル−メチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシラートなどが挙げられる。他の好適な3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート系化合物が、例えば、米国特許第2,890,194号に記載される。
【0017】
有用であるさらなるエポキシ含有物質には、グリシジルエーテル単量体に基づくものが含まれる。その例は、多価フェノール、例えば、ビスフェノール化合物を過剰なクロロヒドリン(例えば、エピクロロヒドリンなど)と反応することによって得られる多価フェノールのジグリシジルエーテル又はポリグリシジルエーテルである。そのような多価フェノールには、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(これはビスフェノールFとして公知である)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(これはビスフェノールAとして公知である)、1,1,2,2−テトラキス(4’−ヒドロキシ−フェニル)エタン、又は、酸条件下で得られる、フェノール系化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、例えば、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック、が含まれる。このタイプのエポキシ樹脂の例は、米国特許第3,018,262号に記載される。他の例には、多価アルコール、例えば、1,4−ブタンジオールなど、又はポリアルキレングリコール(例えば、ポリプロピレングリコールなど)のジグリシジルエーテル又はポリグリシジルエーテル、及び、脂環式ポリオール(例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなど、のジグリシジルエーテル又はポリグリシジルエーテルが含まれる。他の例は、単官能性樹脂であり、例えば、クレシルグリシジルエーテル又はブチルグリシジルエーテルなどである。
【0018】
別のクラスのエポキシ化合物は、多価カルボン酸、例えば、フタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸又はヘキサヒドロフタル酸、のポリグリシジルエステル及びポリ(β−メチルグリシジル)エステルである。さらなるクラスのエポキシ化合物は、アミン、アミド及び複素環式窒素塩基のN−グリシジル誘導体であり、例えば、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルビス(4−アミノフェニル)メタン、トリグリシジルイソシアヌラート、N,N’−ジグリシジルエチルウレア、N,N’−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン及びN,N’−ジグリシジル−5−イソプロピルヒダントインである。
【0019】
さらに別のエポキシ含有物質は、グリシドールのアクリル酸エステル、例えば、グリシジルアクリラート及びグリシジルメタクリラートと、1つ又はそれ以上の共重合可能なビニル化合物との共重合体である。そのような共重合体の例は、1:1のスチレン−グリシジルメタクリラート、1:1のメチル−メタクリラートグリシジルアクリラート、及び、62.5:24:13.5のメチルメタクリラート−エチルアクリラート−グリシジルメタクリラートである。
【0020】
容易に入手することができるエポキシ化合物には、オクタデシレンオキシド;グリシジルメタクリラート;ビスフェノールAのジグリシジルエーテル;D.E.R.(商標)331(ビスフェノールAの液状エポキシ樹脂)及びD.E.R.(商標)332(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)(これらは、The Dow Chemical Company(Midland、Michigan)から入手可能である);ビニルシクロヘキセンジオキシド;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−メチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシラート;ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジパート;ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル;ポリプロピレングリコールで修飾された脂肪族エポキシ;ジペンテンジオキシド;エポキシ化ポリブタジエン;エポキシ官能性を含有するシリコーン樹脂;フェノールホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテル(例えば、The Dow Chemical Company(Midland、Michigan)から入手可能なD.E.N.(商標)431及びD.E.N.(商標)438の商品名で入手可能なものなど);及びレゾルシノールジグリシジルエーテルが含まれる。具体的には言及されないが、The Dow Chemical Companyから入手可能なD.E.R.(商標)及びD.E.N.(商標)の商品名名称での他のエポキシ樹脂もまた使用することができる。
【0021】
1つの実施形態において、エポキシ樹脂は、グリシジルエーテルをビスフェノール化合物及びポリイソシアナート(例えば、トルエンジイソシアナート又は「メチレンジイソシアナート」(メチレンジアニリンのジイソシアナート)など)と接触させることによって製造することができる。
【0022】
エポキシ樹脂はまた、エポキシ反応性難燃剤をポリエポキシドと接触させることによって製造することができる。例えば、エポキシノボラックは、様々なH−PRR’化合物、例えば、ホスホナート、ホスフィナート及びジアリールホスフィンなど、と反応する。エポキシ化フェノールノボラック又はエポキシ化クレゾールノボラックを「DOPO」(3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサホスファン−2−オキシド)と反応することに由来するエポキシ樹脂がとりわけ有用である。
【0023】
他の好適なエポキシ樹脂は、例えば、米国特許第7,163,973号、同第6,632,893号、同第6,242,083号、同第7,037,958号、同第6,572,971号、同第6,153,719号及び同第5,405,688号、並びに、米国特許出願公開第20060293172号及び同第20050171237号に開示され、これらのそれぞれが本明細書によって参照により本明細書中に組み込まれる。
【0024】
上記で列挙されたエポキシ樹脂のいずれかの混合物もまた、当然のことではあるが、使用することができる。硬化剤(又はキュアリング剤)を、熱硬化組成物を形成するための硬化性組成物の架橋を促進させるために備えることができる。硬化剤は個別に使用してもよく、又は、2つ以上の混合物として使用してもよい。いくつかの実施形態において、硬化剤には、ジシアンジアミド(dicy)又はフェノール系キュアリング剤、例えば、ノボラック、レゾール、ビスフェノールなど、が含まれ得る。他の硬化剤には、その一部が上記で開示されるが、改良された(オリゴマの)エポキシ樹脂が含まれ得る。改良されたエポキシ樹脂硬化剤の例として、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(又はテトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル)及び過剰なビスフェノール又は(テトラブロモビスフェノール)から調製されるエポキシ樹脂を挙げてもよい。無水物、例えばポリ(スチレン−コ−無水マレイン酸)などもまた使用し得る。
【0025】
硬化剤にはまた、第一級ポリアミン及び第二級ポリアミン並びにそれらの付加物、無水物、そして、ポリアミドが含まれ得る。例えば、多官能性アミンには、脂肪族アミン化合物、例えば、ジエチレントリアミン(D.E.H.(商標)20、これは、The Dow Chemical Company(Midland、Michigan)から入手可能である)、トリエチレンテトラミン(D.E.H.(商標)24、これは、The Dow Chemical Company(Midland、Michigan)から入手可能である)、テトラエチレンペンタミン(D.E.H.(商標)26、これは、The Dow Chemical Company(Midland、Michigan)から入手可能である)などと、同様にまた、上記アミンと、エポキシ樹脂、希釈剤又は他のアミン反応性化合物との付加物が含まれ得る。芳香族アミン、例えば、メタフェニレンジアミン及びジアミンジフェニルスルホンなど、脂肪族ポリアミン、例えば、アミノエチルピペラジン及びポリエチレンポリアミンなど、及び芳香族ポリアミン、例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミンジフェニルスルホン及びジエチルトルエンジアミン、もまた使用することができる。
【0026】
硬化剤にはまた、共有結合した難燃剤が含まれ得る。例えば、共有結合したリン化合物を有するポリフェノールが有用である。
【0027】
無水物硬化剤には、例えば、とりわけ、ナド酸メチル無水物(nadic methyl anhydride)、ヘキサヒドロフタル酸無水物、トリメリト酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物及びメチルテトラヒドロフタル酸無水物が含まれ得る。
【0028】
硬化剤には、フェノール由来ノボラック若しくは置換フェノール由来ノボラック、又は、無水物が含まれ得る。好適な硬化剤の限定されない例として、フェノールノボラック硬化剤、クレゾールノボラック硬化剤、ジシクロペンタジエンビスフェノール硬化剤、リモネン型硬化剤、無水物及びそれらの混合物が含まれる。
【0029】
いくつかの実施形態において、フェノールノボラック硬化剤はビフェニル成分又はナフチル成分を含有することができる。フェノール性ヒドロキシ基は、化合物のビフェニル成分又はナフチル成分に結合し得る。このタイプの硬化剤は、例えば、欧州特許EP915118A1に記載される方法に従って調製し得る。例えば、ビフェニル成分を含有する硬化剤を、フェノールをビスメトキシ−メチレンビフェニルと反応することによって調製することができる。
【0030】
他の実施形態において、硬化剤には、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素モノエチルアミン及びジアミノシクロヘキサンが含まれ得る。硬化剤にはまた、イミダゾール系化合物、それらの塩及び付加物が含まれ得る。これらのエポキシ硬化剤は典型的には室温で固体である。好適なイミダゾール系硬化剤の例は、欧州特許第EP906927A1号に開示される。他の硬化剤には、フェノール系、ベンゾオキサジン、芳香族アミン、アミドアミン、脂肪族アミン、無水物及びフェノール系化合物が含まれる。
【0031】
いくつかの実施形態において、硬化剤は、アミノ基あたり500までの分子量を有するポリアミド又はアミノ化合物、例えば、芳香族アミン又はグアニジン誘導体であり得る。アミノ系キュアリング剤の例には、4−クロロフェニル−N,N−ジメチル−ウレア及び3,4−ジクロロフェニル−N,N−ジメチル−ウレアが含まれる。
【0032】
本明細書中に開示される実施形態において有用な硬化剤の他の例には、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン及び4,4’−ジアミノジフェニルスルホン;メチレンジアニリン;ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(これは、Hexion Chemical Co.からEPON1062として入手可能である);及びビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(これは、Hexion Chemical Co.からEPON1061として入手可能である)が挙げられる。
【0033】
エポキシ化合物のためのチオール系硬化剤もまた使用することができ、これらは、例えば、米国特許第5,374,668号に記載される。本明細書中で使用されるように、「チオール」にはまた、ポリチオール系又はポリメルカプタン系のキュアリング剤が含まれる。例示的なチオールには、脂肪族チオール、例えば、メタンジチオール、プロパンジチオール、シクロヘキサンジチオール、2−メルカプトエチル−2,3−ジメルカプト−スクシナート、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセタート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセタート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(チオグリコラート)、ペンタエリトリトールテトラ(メルカプトプロピオナート)、ペンタエリトリトールテトラ(チオグリコラート)、エチレングリコールジチオグリコラート、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオナート)、プロポキシル化アルカンのトリ−グリシジルエーテルのトリス−メルカプタン誘導体、及び、ジペンタエリトリトールポリ(β−チオプロピオナート)など;芳香族チオール、例えば、ジメルカプトベンゼン、トリメルカプトベンゼン又はテトラメルカプトベンゼン、ビス(メルカプトアルキル)ベンゼン、トリス(メルカプトアルキル)ベンゼン又はテトラキス(メルカプトアルキル)ベンゼン、ジメルカプトビフェニル、トルエンジチオール及びナフタレンジチオールなど;複素環含有チオール、例えば、アミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、アルコキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、アリールオキシ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン及び1,3,5−トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌラートなど;少なくとも2つのメルカプト基を有し、かつ、メルカプト基に加えてイオウ原子を含有するチオール化合物、例えば、ビス(メルカプトアルキルチオ)ベンゼン、トリス(メルカプトアルキルチオ)ベンゼン又はテトラ(メルカプトアルキルチオ)ベンゼン、ビス(メルカプトアルキルチオ)アルカン、トリス(メルカプトアルキルチオ)アルカン又はテトラ(メルカプトアルキルチオ)アルカン、ビス(メルカプトアルキル)ジスルフィド、ヒドロキシアルキルスルフィドビス(メルカプトプロピオナート)、ヒドロキシアルキルスルフィドビス(メルカプトアセタート)、メルカプトエチルエーテルビス(メルカプトプロピオナート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(メルカプトアセタート)、チオジグリコール酸ビス(メルカプトアルキルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトアルキルエステル)、4,4−チオ酪酸ビス(2−メルカプトアルキルエステル)、3,4−チオフェンジチオール、ビスムチオール(bismuththiol)及び2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなどが含まれる。
【0034】
硬化剤はまた、求核性物質、例えば、アミン、エポキシ反応性リン化合物(H−PRR’)、求核性アニオンを伴う第四級アンモニウム塩、求核性アニオンを伴う第四級ホスホニウム塩、イミダゾール、求核性アニオンを伴う第三級アルセニウム塩、及び、求核性アニオンを伴う第三級スルホニウム塩などであってもよい。
【0035】
エポキシ樹脂、アクリロニトリル又はメタクリラートとの付加物形成によって修飾される脂肪族ポリアミンもまた、キュアリング剤として利用し得る。加えて、様々なマンニッヒ塩基を使用し得る。アミン基が芳香族環に直接に結合する芳香族アミンもまた、使用してもよい。
【0036】
本明細書中に開示される実施形態において硬化剤として有用である、求核性アニオンを伴う第四級アンモニウム塩として、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムアセタート、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムシアニド、セチルトリエチルアンモニウムアジド、N,N−ジメチルピロリジニウムイソシアナート、N−メチルピリジニウムフェノラート、N−メチル−o−クロロピリジニウムクロリド及びメチルビオロゲンジクロリドなどを挙げることができる。
【0037】
本明細書中における使用のための硬化剤の好適性を、製造者の仕様書を参照することによって、又は、日常的な実験によって求めることができる。製造者の仕様書を、キュアリング剤が、液状又は固体のエポキシと混合するための所望される温度で非晶質固体又は結晶性固体であるかを明らかにするために使用することができる。あるいは、固体のキュアリング剤を、固体キュアリング剤の非晶質性又は結晶性、及び、液体形態又は固体形態のどちらかで樹脂組成物と混合するためのキュアリング剤の好適性を求めるために、示差走査熱量測定法(DSC)を使用して試験することができる。
【0038】
上記で記載されるエポキシ硬化剤(又はキュアリング剤)の1つ又はそれ以上の混合物もまた使用し得る。
【0039】
好適な金属含有化合物はどれも、本明細書中に開示される実施形態において安定剤として使用し得る。一般に、金属含有化合物における金属は、元素周期表の第11族〜第13族の金属及びそれらの組合せからなる群より選択される。これらの金属には、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム及びタリウムが挙げられる。第11族〜第13族の金属に加えて、鉛及びスズもまた使用することができる。1つの実施形態において、金属は亜鉛である。
【0040】
本明細書中に開示される実施形態において、金属含有化合物は一般に、金属塩、金属水酸化物、金属酸化物、金属アセチルアセトナート、有機金属化合物及びそれらのいずれか2つ以上の組合せであり得る。金属が亜鉛である1つの実施形態において、金属含有化合物が、亜鉛塩、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、亜鉛アセチルアセトナート、有機亜鉛化合物及びそれらのいずれか2つ以上の組合せからなる群より選択される。1つの実施形態において、金属含有化合物は酸化亜鉛であり得る。1つの実施形態において、金属含有化合物はジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(これはまた、「ジラム」として公知である)である。
【0041】
理論によってとらわれることを望まないが、金属含有化合物は組成物における求核性窒素の供給源との供与結合を形成することが考えられる。供与結合(これはまた、配位共有結合として公知である)は、結合において共有される両方の電子が同じ原子に由来する、2つの原子(すなわち、金属及び配位子)の間における結合形成を表すものである。
【0042】
必要な場合には、触媒を、上記で記載される組成物に加えることができる。触媒には、分子あたり1つのイミダゾール環を有する化合物(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1)’]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1)’]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1)’]−エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾリウム−イソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾリウム−イソシアヌル酸付加物、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなど;及び、上記で名前が挙げられたヒドロキシメチル含有イミダゾール化合物、例えば、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなど、を脱水することによって;また、それらをホルムアルデヒドと縮合することによって得られる、分子あたり2つ以上のイミダゾール環を有する化合物、例えば、4,4’−メチレン−ビス−(2−エチル−5−メチルイミダゾールなど)を含めて、様々なイミダゾール化合物が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0043】
他の実施形態において、好適な触媒には、アミン系触媒、例えば、N−アルキルモルホリン、N−アルキルアルカノールアミン、N,N−ジアルキルシクロヘキシルアミン及びアルキルアミン(但し、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル及びそれらの異性形態である)、及び、複素環式アミンなどが挙げられる。
【0044】
非アミン系触媒もまた使用し得る。ビスマス、鉛、スズ、チタン、鉄、アンチモン、ウラン、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン及びジルコニウムの有機金属化合物を使用することができる。例示的な例には、硝酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、塩化第二鉄、三塩化アンチモン、酢酸第一スズ、オクタン酸第一スズ及び2−エチルヘキサン酸第一スズが含まれる。使用することができる他の触媒が、例えば、PCT公開番号WO00/15690号に開示され、これはその全体が参照により組み込まれる。
【0045】
いくつかの実施形態において、好適な触媒には、求核性のアミン及びホスフィン、とりわけ、窒素複素環化合物、例えば、アルキル化イミダゾール、すなわち2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチル−4−エチルイミダゾール;他の複素環化合物、例えば、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロオクテン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、ピペリジンなど;トリアルキルアミン、例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミンなど;ホスフィン類、例えば、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリエチルホスフィンなど;第四級塩、例えば、トリエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムアセタート、トリフェニルホスホニウムアセタート及びトリフェニルホスホニウムヨージドなど、が挙げられ得る。
【0046】
上記で記載された触媒の1つ又はそれ以上の混合物もまた使用することができる。組成物に添加し得る別の成分は、溶媒又は溶媒のブレンド混合物である。エポキシ樹脂組成物において使用される溶媒は、樹脂組成物における他の成分との混和性を有し得る。使用される溶媒を、電気用積層物を作製することにおいて典型的に使用される溶媒から選択することができる。本発明において用いられる好適な溶媒の例には、例えば、ケトン、エーテル、アセタート、芳香族炭化水素、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、グリコールエーテル及びそれらの組合せが挙げられる。
【0047】
触媒及び阻害剤のための溶媒には、極性溶媒が含まれ得る。1個〜20個の炭素原子を有する低級アルコール、例えば、メタノールなどは、プレプレグが形成されるとき、良好な溶解性、及び、樹脂マトリックスから除くための良好な揮発性をもたらす。他の有用な溶媒には、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、DOWANOL(商標)PMA、DOWANOL(商標)PM、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルスルホキシド(dimethylsul sulfoxide)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール及びグリセリンが含まれ得る。
【0048】
組成物において使用される溶媒の総量は一般に、いくつかの実施形態では約0.5重量パーセントから約95重量パーセントにまで及ぶ。他の実施形態において、溶媒の総量は2重量パーセントから60重量パーセントにまで及ぶことができ、他の実施形態では3重量パーセントから50重量パーセントにまで及ぶことができ、さらに他の実施形態では5重量パーセントから40重量パーセントにまで及ぶことができる。上記で記載される溶媒の1つ又はそれ以上の混合物もまた使用し得る。
【0049】
組成物はまた、非ハロゲン系難燃剤を含有する。1つの実施形態において、非ハロゲン系難燃剤はリン含有化合物であり得る。リン含有化合物は、組成物のエポキシ樹脂又は硬化剤と反応することができるいくつかの反応性基、例えば、フェノール性基、酸基、アミノ基、酸無水物基、ホスファート基又はホスフィナート基など、を含有し得る。
【0050】
リン含有化合物は、エポキシ基と反応することができる平均して1以上の官能性を含有することができる。そのようなリン含有化合物は一般に、平均して0.8〜5の官能性を含有する。1つの実施形態において、リン含有化合物は、エポキシ樹脂と反応することができる官能性を0.9〜4の範囲において含有し、また、別の実施形態では、リン含有化合物は、エポキシ樹脂と反応することができる官能性を1〜3の範囲において含有する。
【0051】
本発明において有用なリン含有化合物には、例えば、下記化合物の1つ又はそれ以上が含まれる:P−H官能性化合物、例えば、HCA、ジメチルホスフィト、ジフェニルホスフィト、エチルホスホン酸、ジエチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、ビニルホスホン酸、フェノール系(HCA−HQ)など;トリス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィナート、トリス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ホスフィンオキシド、酸無水物化合物(例えば、M酸−AHなど)、及び、アミノ官能性化合物(例えば、ビス(4−アミノフェニル)フェニルホスホナートなど)、並びに、それらの混合物。他の好適な化合物がEP1268665号に記載され、これは参照により本明細書中に組み込まれる。
【0052】
1つの実施形態において、ホスホナート化合物を使用し得る。エポキシ樹脂又は硬化剤と反応することができる基もまた含有するホスホナート、例えば、共有結合した三環ホスホナートを有するポリグリシジルエーテル又はポリフェノールなどが有用である。例には、DOP(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン10−オキシド)に由来する様々な物質、例えば、DOP−ヒドロキノン(10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン10−オキシド)など、DOPと、ノボラックのグリシジルエーテル誘導体との縮合生成物、及び、無機難燃剤、例えば、アルミニウム三水和物、水酸化アルミニウム(ベーマイト)及びアルミニウムホスフィニトなど、が含まれるが、これらに限定されない。無機難燃性フィラーが使用されるならば、シラン処理された銘柄が好ましい。
【0053】
上記で記載される難燃性強化化合物の1つ又はそれ以上の混合物もまた使用してもよい。
【0054】
本明細書中に開示される組成物は、必要な場合には、相乗剤、並びに、従来の添加物及び不活性なフィラーを含み得る。相乗剤には、例えば、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛及びメタロセン、溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びDOWANOL(商標)PMA)が挙げられ得る。添加物及び不活性なフィラーには、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、タルク、金属粉、二酸化チタン、浸潤化剤、顔料、着色剤、離型剤、カップリング剤、イオン捕捉剤、UV安定剤、軟化剤及び粘着性付与剤が挙げられ得る。添加物及びフィラーにはまた、とりわけ、フュームドシリカ、骨材、例えば、ガラスビーズなど、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオール樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、グラファイト、二硫化モリブデン、研磨顔料、粘度降下剤、窒化ホウ素、雲母、核剤及び安定剤などが挙げられ得る。フィラーには、0.5nmから100ミクロンにまで及ぶ粒子サイズを有し得る機能性又は非機能性のフィラーが挙げられ得、又、例えば、アルミナ三水和物、酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、金属酸化物及びナノチューブが挙げられる。フィラー及び改質剤は、エポキシ樹脂組成物への添加に先立って、水分を追い出すために予熱することができる。加えて、必要に応じて使用されるこれらの添加物は、硬化前及び/又は硬化後において組成物の特性に対する影響を有する可能性があり、従って、組成物及び所望される反応生成物を配合するときには考慮に入れなければならない。シラン処理されたフィラーを使用し得る。
【0055】
他の実施形態において、本明細書中に開示される組成物は強化剤を含み得る。強化剤は、二次的な相を重合体マトリックスの内部に形成することによって機能する。この二次的な相はゴム様であり、従って、亀裂成長を止めることができ、これにより、改善された衝撃靭性を提供することができる。強化剤には、例えば、当分野では公知であるポリスルホン、ケイ素含有エラストマー重合体、ポリシロキサン及び他のゴム強化剤が挙げられ得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、より高分子量の比較的不揮発性のモノアルコール、ポリオール、及び、他のエポキシ反応性又はイソシアナート反応性の希釈剤の少量を、本明細書中に開示される硬化性組成物及び熱硬化性組成物において可塑剤として役立たせるために、所望するならば、使用し得る。例えば、イソシアナート、イソシアヌラート、シアナートエステル、アリル含有分子又は他のエチレン性不飽和化合物、及び、アクリラートをいくつかの実施形態において使用し得る。例示的な非反応性の熱可塑性樹脂には、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニリデンフルオリド、ポリエーテルイミド、ポリフタルイミド、ポリベンゾイミダゾール、アクリル、フェノキシ及びウレタンが挙げられる。他の実施形態において、本明細書中に開示される組成物はまた、定着剤を含むことができ、例えば、修飾オルガノシラン(エポキシ化、メタクリル、アミノ)、アセチルアセトナート及びイオウ含有分子などを含み得る。
【0057】
さらに他の実施形態において、本明細書中に開示される組成物は、湿潤化助剤及び分散化助剤を含み得、例えば、修飾オルガノシラン、BYK W900シリーズ及びBYK W9010、並びに、修飾フルオロカーボンを含み得る。なおさらに他の実施形態において、本明細書中に開示される組成物は脱泡添加物を場合により含み、例えば、BYK A530、BYK A525、BYK A555及びBYK A560を場合により含む。本明細書中に開示される組成物はまた、場合により、重合体の特性を改善するために、表面改質剤(例えば、スリップ添加物及び光沢添加物)及び離型剤(例えば、ワックス)、並びに、他の機能的な添加物又は予備反応製造物を含む。
【0058】
いくつかの実施形態は、場合により、本明細書中に開示される硬化性組成物及び電気用積層体組成物の特定の性質を得るために配合され得る他の共反応物を含む。共反応物、及び/或いは、上記で記載される添加物の1つ又はそれ以上の混合物もまた使用し得る。
【0059】
他の実施形態において、本明細書中に開示される熱硬化性組成物として、繊維状強化材、例えば、長繊維及び/又は単繊維などが挙げられ得る。繊維状強化材には、ガラス繊維、炭素繊維又は有機繊維、例えば、ポリアミド、ポリイミド及びポリエステルなど、が含まれ得る。熱硬化性組成物の実施形態において使用される繊維状強化剤の濃度は、組成物の総重量に基づいて約1重量パーセント〜約95重量パーセントの間であり得る;他の実施形態では約5重量パーセント〜90重量パーセントの間であり得る;他の実施形態では約10パーセント〜80パーセントの間であり得る;他の実施形態では約20パーセント〜70パーセントの間であり得る;さらに他の実施形態では30パーセント〜60パーセントの間であり得る。
【0060】
他の実施形態において、本明細書中に開示される組成物はナノフィラーを含み得る。ナノフィラーには、無機又は有機又は金属のものが含まれてもよく、ナノフィラーは、粉末、ウィスカー、繊維、プレート又はフィルムの形態であってもよい。ナノフィラーは一般に、少なくとも1つの大きさ(長さ、幅又は厚さ)が約0.1ナノメートル〜約100ナノメートルである任意のフィラーであってもよく、又は、そのようなフィラーのどのような組合せであってもよい。例えば、粉末については、少なくとも1つの大きさが粒度として特徴付けられ得る;ウィスカー及び繊維については、少なくとも1つの大きさが直径であり;また、プレート及びフィルムについては、少なくとも1つの大きさが厚さである。例えば、粘土を、エポキシ樹脂に基づくマトリックスに分散させてもよく、また、粘土は、剪断下でエポキシ樹脂に分散されるときには、非常に薄い成分層に砕くことができる。ナノフィラーには、粘土、有機粘土、カーボンナノチューブ、ナノウィスカー(例えば、SiCなど)、SiO、周期表のs群、p群、d群及びf群から選択される元素、そのように選択される1つ又はそれ以上の元素のアニオン又は塩、金属、金属酸化物及びセラミックスが挙げられ得る。
【0061】
上記で記載される添加物のいずれかの濃度は、本明細書中に開示される熱硬化性組成物において使用されるとき、組成物の総重量に基づいて約1パーセント〜約95パーセントの間であり得る;他の実施形態では2パーセント〜90パーセントの間であり得る;他の実施形態では5パーセント〜80パーセントの間であり得る;他の実施形態では10パーセント〜60パーセントの間であり得る;さらに他の実施形態では15パーセント〜50パーセントの間であり得る。
【0062】
組成物における成分の割合は、部分的には、製造されるべき電気用積層体組成物又は被覆剤又は他の最終使用製造物において所望される特性、組成物の所望される硬化応答、及び、組成物の所望される貯蔵安定性(所望される貯蔵寿命)に依存し得る。上記で記載される実施形態における組成物は、ワニスを製造するために使用することができる。エポキシ樹脂に加えて、ワニスはまた、キュアリング剤、硬化剤及び触媒を含有し得る。したがってワニスは、これらに限定されないが、プレプレグ、電気用積層物、被覆剤、複合物、注入成形物及び接着剤を含めて、様々な製造物を製造するために使用し得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、エポキシ樹脂は、組成物の総重量に基づいて0.1重量パーセント〜99重量パーセントの範囲における量で存在してよい。他の実施形態において、エポキシ樹脂は、組成物の総重量に基づいて5重量パーセント〜90重量パーセントの範囲における量で存在してもよく;他の実施形態では10重量パーセント〜80重量パーセントの範囲における量で存在してもよく;さらに他の実施形態では10重量パーセント〜50重量パーセントの範囲における量で存在してもよい。他の実施形態において、エポキシ樹脂は組成物の10重量パーセント〜40重量パーセントの範囲における量で使用することができる;さらに他の実施形態では20重量パーセント〜30重量パーセントの範囲における量で使用することができる。
【0064】
他の成分の割合もまた、部分的には、製造されるべき熱硬化樹脂、電気用積層物又は被覆剤において所望される特性に依存し得る。例えば、硬化剤及び硬化剤の量を選択する際に考慮すべき変数には、エポキシ組成(ブレンド混合物ならば)、電気用積層体組成物の所望される特性(T、T、柔軟性、電気的特性など)、所望される硬化速度、及び、触媒分子あたりの反応性基の数、例えば、アミンにおける活性水素の数など、が含まれ得る。いくつかの実施形態において、使用される硬化剤の量は、重量比で100部のエポキシ樹脂あたり0.1部から150部にまで変化し得る。他の実施形態において、硬化剤を、重量比で100部のエポキシ樹脂あたり5部から95部にまで及ぶ量で使用することができる;硬化剤を、さらに他の実施形態では重量比で100部のエポキシ樹脂あたり10部から90部にまで及ぶ量で使用し得る。さらに他の実施形態において、硬化剤の量はエポキシ樹脂以外の成分に依存し得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、上記で記載される組成物から形成される熱硬化樹脂は、示差走査熱量測定法を使用して測定されるとき、少なくとも190℃のガラス転移温度を有し得る。他の実施形態において、上記で記載される硬化性組成物から形成される熱硬化樹脂は、示差走査熱量測定法を使用して測定されるとき、少なくとも200℃のガラス転移温度を有し得;他の実施形態では少なくとも210℃のガラス転移温度を有し得;他の実施形態では少なくとも220℃のガラス転移温度を有し得;さらに他の実施形態では少なくとも230℃のガラス転移温度を有し得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、上記で記載される組成物から形成される熱硬化樹脂は、5%分解温度、Tが、熱重量分析(TGA)を使用して測定されるとき、少なくとも300℃であり得る。他の実施形態において、上記で記載される硬化性組成物から形成される熱硬化樹脂は、Tが、TGAを使用して測定されるとき、少なくとも320℃であり得;他の実施形態では、Tが、少なくとも330℃であり得;他の実施形態では、Tが、少なくとも340℃であり得;さらに他の実施形態では、Tが、少なくとも350℃であり得る。
【0067】
他の実施形態において、硬化性組成物は、改善された均一性安定性を伴って、実質的に粒状物非含有であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、硬化性組成物は、下記でさらに詳述されるように、ガードナー気泡粘度管を使用する実験分析によって測定されるとき、いくつかの実施形態では少なくとも28日間にわたって、また、他の実施形態では少なくとも35日間にわたって透明かつ均一のままであり得る。
【0068】
いくつかの実施形態において、複合物を、本明細書中に開示される組成物を硬化させることによって形成し得る。他の実施形態において、複合物を、硬化性エポキシ樹脂組成物を基体又は強化材に適用することによって形成してもよく、例えば、基体又は強化材に含浸して、或いは、基体又は強化材を被覆して、プレプレグを形成し、そのプレプレグを圧力下で硬化させて、電気用積層体組成物を形成することなどによって形成し得る。
【0069】
組成物が、上記で記載されるように製造された後、組成物を、電気用積層体組成物の硬化前、硬化中又は硬化後において上記基体の表面、内部又は間に配置することができる。例えば、複合物を、基体を硬化性組成物により被覆することによって形成し得る。被覆は、スプレーコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーター又はグラビアコーターによるコーティング、はけ塗り、及び、ディッピングコーティング又は浸漬コーティンを含めて、様々な手順によって行うことができる。
【0070】
様々な実施形態において、基体は単層又は多層が可能である。例えば、基体は、とりわけ、例えば、2つの合金の複合物、多層重合体品及び金属被覆重合体などであり得る。他の様々な実施形態において、硬化性組成物の1つ又はそれ以上の層を基体に配置してもよい。基体層及び電気用積層体組成物層の様々な組合せによって形成される他の多層複合物もまた、本明細書中では想定される。
【0071】
いくつかの実施形態において、組成物の加熱を、例えば、温度感受性基体の過熱を避けるように限局的に行うことができる。他の実施形態において、加熱には、基体及び組成物を加熱することが含まれ得る。
【0072】
本明細書中に開示される組成物の硬化は、エポキシ樹脂、硬化剤、及び、(使用されるならば)触媒に依存して、数分から数時間に至るまでの期間、少なくとも約30℃から約250℃に至るまでの温度を必要とし得る。他の実施形態において、硬化を、数分から数時間に至るまでの期間、少なくとも100℃の温度で行うことができる。後処理も同様に使用することができ、そのような後処理は通常、約100℃〜250℃の間の温度においてである。
【0073】
いくつかの実施形態において、硬化を、発熱を防止するために段階的に行うことができる。段階化では、例えば、ある温度で所定の期間硬化させ、その後、より高い温度で所定の期間硬化させることが含まれる。段階化された硬化は2つ以上の硬化段階を含んでもよく、いくつかの実施形態では約180℃よりも低い温度で、他の実施形態では約150℃よりも低い温度で開始することができる。
【0074】
いくつかの実施形態において、硬化温度は、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃又は180℃の下限から、250℃、240℃、230℃、220℃、210℃、200℃、190℃、180℃、170℃、160℃の上限にまで及ぶことができ、但し、その範囲は任意の下限から任意の上限までであってよい。
【0075】
本明細書中に開示される硬化性組成物は、高強度のフィラーメント又は繊維、例えば、炭素(グラファイト)、ガラス及びホウ素など、を含有する複合物において有用であり得る。複合物は、複合物の総体積に基づいて、いくつかの実施形態では約30%〜約70%の、他の実施形態では40%〜70%のこれらの繊維を含有し得る。
【0076】
例えば、繊維強化複合物をホット・メルト・プレプレギングによって形成することができる。プレプレギング法は、繊維及びエポキシ樹脂の複合物を提供するために積み上げられ、硬化させられるプレプレグを得るために、長繊維の帯又はファブリックに溶融形態での本明細書中に記載されるような熱硬化性組成物を含浸することによって特徴づけられる。
【0077】
他の加工技術を、本明細書中に開示される組成物を含有する電気用積層体複合物を形成するために使用し得る。例えば、フィラーメント巻き、溶媒プレプレギング及び引抜きが、硬化性組成物が使用され得る典型的な加工技術である。その上、束の形態での繊維を硬化性組成物により被覆し、例えば、フィラーメント巻きなどによって積み上げ、硬化させて、複合物を形成することができる。
【0078】
本明細書中に記載される硬化性組成物及び複合物は、接着剤、構造用及び電気用の積層物、被覆剤、海洋用の被覆剤、複合物、粉末被覆剤、接着剤、注入成形物、航空宇宙産業用の構造物として、また、エレクトロニクス産業用の回路基板などとして有用であり得る。
【0079】
いくつかの実施形態において、硬化性組成物及び生じた熱硬化樹脂は、様々な基体の表面、内部又は間に配置され得る複合物、被覆剤、注入成形物、接着剤又はシーラントにおいて使用してもよい。他の実施形態において、硬化性組成物は、エポキシ系プレプレグを得るために基体に適用してもよい。本明細書中で使用されるように、基体には、例えば、ガラス布、ガラス繊維、ガラス紙、紙、並びに、ポリエチレン及びポリプロピレンの類似する基体が挙げられる。得られたプレプレグは所望のサイズに切断し得る。電気伝導層を電気伝導性材料により積層物/プレプレグの表面に形成することができる。本明細書中で使用されるように、好適な電気伝導性材料には、電気伝導性金属、例えば、銅、金、銀、白金及びアルミニウムなどが含まれる。そのような電気用積層物は、例えば、電気機器又はエレクトロニクス機器のための多層印刷回路基板として使用することができる。エポキシ重合体のブレンド混合物から作製される積層物は、HDI(高密度相互接続)基板の製造のためにとりわけ有用である。HDI基板の例には、携帯電話において使用される基板、又は、相互接続(IC)基体のために使用される基板が含まれる。
【実施例】
【0080】
下記の実施例は、本発明を例示するために、また、本発明がいかにしてなされ、使用されるかを当業者に教示するために意図される。本実施例は、本発明を限定することがいかなる点においても意図されない。
【0081】
試験方法
ガラス転移温度(T)は、非晶質の固体が硬いガラス様状態からゴム様状態に移行する温度である。Tが示差走査熱量測定法(DSC)によって求められる(IPC方法IPC−TM−650 2.4.25)。
【0082】
熱分解温度(T)を、TA Instruments熱分析−TGA1000を使用して、40℃から400℃まで10°/分の加熱速度を用いて、窒素下での熱重量分析(TGA)によって測定した。Tを、溶媒を177℃のゲルプレートで除いた後の完全に硬化させた樹脂フィルムについての5%重量減少において求めた。T(5%重量減少)の測定は、サンプルの5重量パーセントが分解生成物に失われる温度である。
【0083】
組成物についての安定性データを、ガードナー気泡粘度計を使用して測定する。安定性データには、粘度及び外観が含まれる;それぞれが、組成物のサンプルをガードナー気泡管に封じ込むことによって測定され得る。安定性データを、AOC方法Ka6−63、ASTM D1131、D1545、D1725、及び、FTMS141a方法4272に従って測定する。粘度データを、気泡がガードナー気泡管においてサンプルの中を通って上昇するのに要する時間を使用して測定する。粘度は、<A、A、B、C及びDの尺度で分類され、<Aは、粘性がDよりも低い。
【0084】
実施例1
ワニスを、下記の表Iに列挙される成分を混合することによって調製した。溶液を示される量での重量比で加え、溶液を振とう機に置いて混合した。アリコートを、増大するレベルの酸化亜鉛を加えた後で取り出した。
【表1】


RTC70は、300g/molのエポキシ当量重量(EEW)及び1.66重量パーセントの窒素を有する、過剰な液状エポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)とメチレンジイソシアナートとの縮合生成物である。これは0.5重量パーセントのホウ酸を含有し、2−ブタノン(MEK)及びDowanol(商標)PMの混合物における75wt%溶液である。
D.E.R.(商標)383は、The Dow Chemical Companyから得られるビスフェノールAジグリシジルエーテルである。
XZ−92741は、共有結合したリン系難燃剤を含有するノボラック系硬化剤である(固形物基準で8.9wt%のリン)。これは、Dowanol(商標)PM及びブタノールに55wt%の固形分を含有する溶液である。
DICYはジシアンジアミドであり、アミン系硬化剤である。
2−MIは2−メチルイミダゾールであり、触媒として使用される。
【0085】
結果は下記の表IIに示され、同様にまた、図1にプロットされる。
【表2】

【0086】
本発明が例示目的のために詳細に記載されているが、本発明は、それによって限定されるように解釈してはならず、その精神及び範囲に含まれるすべての変化及び改変を包含することが意図されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)エポキシ樹脂、
b)硬化剤、及び
c)金属含有化合物を含む安定剤(但し、前記金属含有化合物は、第11族〜第13族の金属及びそれらの組合せから選択される金属を含む)
を含む組成物であって、非ハロゲン系難燃剤を含有する組成物。
【請求項2】
前記安定剤が、前記組成物の総重量に基づいて約0.1重量パーセント〜約20重量パーセントの範囲における量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
溶媒を0.5wt%〜95wt%の範囲における量でさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
タルク、シリカ、アルミナ及びそれらの組合せからなる群より選択される不活性なフィラーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記非ハロゲン系難燃性強化化合物がリン含有化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂が、グリシジルエーテルを、オキサゾリジノン成分を形成させるためのビスフェノール化合物と接触させることによって製造される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂が、グリシジルエーテルをビスフェノール化合物及びポリイソシアナートと接触させることによって製造される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ビスフェノール化合物がビスフェノールAである、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記金属が亜鉛である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記金属含有化合物が、亜鉛塩、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、亜鉛アセチルアセトナート、有機亜鉛化合物及びそれらのいずれか2つ以上の組合せからなる群より選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記金属含有化合物が酸化亜鉛である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記金属含有化合物がジチオカルバミド酸亜鉛である、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記金属含有化合物がジメチルジチオカルバミン酸亜鉛である、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記エポキシ樹脂が、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、アリールシアナート樹脂、アリールトリアジン樹脂、マレイミド樹脂及びそれらのいずれか2つ以上の組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1つの求核性窒素源を有し、かつ、供与結合が、前記金属と、前記求核性窒素源との間に形成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つの求核性窒素源が、イミダゾール、オキサゾリジノン、ジシアンジアミド及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1に記載される組成物から製造されるワニス。
【請求項18】
請求項17に記載されるワニスから調製されるプレプレグ。
【請求項19】
請求項17に記載されるワニスから調製される電気用積層物。
【請求項20】
請求項17に記載されるワニスから調製される被覆。
【請求項21】
請求項17に記載されるワニスから調製される複合物。
【請求項22】
請求項17に記載されるワニスから調製される注入成形物。
【請求項23】
請求項17に記載されるワニスから調製される接着剤。

【図1】
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【公表番号】特表2012−514668(P2012−514668A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544761(P2011−544761)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【国際出願番号】PCT/CN2009/000015
【国際公開番号】WO2010/078689
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】