非蒸発型ゲッターポンプ
【課題】加熱用電力を外側から容器内に供給するための電流導入端子を不要とし、容易に加熱することができる非蒸発型ゲッターポンプを提供することを目的とする。
【解決手段】容器51と、容器51の内壁面に設けられた非蒸発型ゲッター担体52と、容器51の外壁面に設けられ、非蒸発型ゲッター担体52を容器壁を介して熱伝導により加熱するヒータ54とを有する。
【解決手段】容器51と、容器51の内壁面に設けられた非蒸発型ゲッター担体52と、容器51の外壁面に設けられ、非蒸発型ゲッター担体52を容器壁を介して熱伝導により加熱するヒータ54とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非蒸発型ゲッターポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
非蒸発型ゲッターポンプ (Non-Evaporated Getter Pump,以下NEGポンプと表記する。)は、非蒸発型ゲッター(以下、NEG、或いは、ゲッターと表記する。)を用い、ゲッターの表面へのガスの吸着及びゲッターの内部へのガス分子の拡散を利用して排気を行う真空ポンプである。
【0003】
ゲッターは、ゲッター作用がある種々の合金の粉末材料を、そのまま用いたり、又は、金属テープの表面に固着させて用いたり、或いは焼結してペレット状に固めて用いたりする。
【0004】
ゲッターとしての機能を発揮させるためには、ゲッターを設置した容器を別の補助真空ポンプで高真空領域まで予備排気し、ヒータなど加熱手段でゲッターの温度を上昇させてゲッターを活性化することが不可欠である。
【0005】
ゲッターの材料及び形態は特許文献1〜3に記載され、ゲッターの活性化方法は特許文献1〜2に記載され、真空ポンプの構成は特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平11−190274号公報
【特許文献2】特表平11−509037号公報
【特許文献3】特開平5−159697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ゲッターを活性化する加熱方法について、特許文献1では、NEGポンプの外界との仕切り壁を形成する円筒状の容器内にゲッターを円周に沿って並べ、その中心にヒータを置いて加熱する方法を採っている。特許文献2では、容器内にゲッターとヒータを置いて加熱する方法や、ゲッターを入れた容器をオーブン内に挿入して加熱する方法を採っている。
【0007】
しかし、NEGポンプの容器内にゲッターとヒータを置いて加熱する方法では、加熱用電力を外側から容器内に供給するため電流導入端子を容器壁に設置する必要がある。この場合、容器内ではゲッター及び容器と電流導入端子との絶縁のため、より広い空間が必要になり、真空ポンプが大型化するとともに、装置の構造が複雑になる。また、ヒータからのガス放出があり、得られる真空度が制限される。
【0008】
また、オーブン内に容器を挿入して加熱する方法では、活性化のたびにオーブン内にNEGポンプを挿入する必要があり、手間がかかる。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、加熱用電力を外側から容器内に供給するための電流導入端子を不要とし、NEGを容易に加熱することができる非蒸発型ゲッターポンプを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、容器と、前記容器の内壁面に設けられた非蒸発型ゲッター担体と、前記容器の外壁面に設けられ、前記非蒸発型ゲッター担体を容器壁を介して熱伝導により加熱するヒータとを有する非蒸発型ゲッターポンプが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の非蒸発型ゲッターポンプによれば、容器の外壁面にヒータを設置して容器内に設置された非蒸発型ゲッター担体を加熱するので、加熱用電力を外側から容器内に供給するための電流導入端子が不要となり、装置をシンプルにすることができる。
【0012】
また、容器の内壁面に非蒸発型ゲッター担体を設置するとともに容器の外壁面にヒータを設置し、容器壁を介して熱伝導により加熱しているため、非蒸発型ゲッター担体、即ち非蒸発型ゲッターを容易に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係るNEGポンプを示す断面図である。
【図2】図1の上面図であり、図2のI-I線に沿う断面図が図1に相当する。
【図3】図1のNEGポンプを分解し、構成部品を示した断面図である。
【図4】(a)はNEG担体を示す上面図であり、(b)はNEG担体の表面を示す図である。
【図5】(a)はNEG担体の押圧部材を示す上面図であり、(b)は、(a)のII-II線に沿う断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の第1変形例に係るNEGポンプを示す断面図である。
【図7】図6の上面図であり、図7のIII-III線に沿う断面図が図6に相当する。
【図8】本発明の第1実施形態の第2変形例に係るNEGポンプを示す断面図である。
【図9】図8の上面図であり、図9のIV-IV線に沿う断面図が図8に相当する。
【図10】本発明の第2実施形態に係るNEGポンプを示す断面図である
【図11】図10の上面図であり、図11のV-V線に沿う断面図が図10である。
【図12】(a)は、図11に示す容器壁の凹部に収納したNEGへの熱伝達を説明する拡大上面図であり、(b)は(a)のVI-VI線に沿う断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係るNEGポンプにおいて、NEGの粉末の飛散を防止する多孔質の蓋部材を用いた例を示す断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係るNEGポンプのNEGを収納した凹部の第1変形例を示す上面図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係るNEGポンプのNEGを収納した凹部の第2変形例を示す上面図である。
【図16】(a)は本発明の第3実施形態に係るNEGポンプに用いるピル型NEGを示す斜視図であり、(b)は本発明の第3実施形態に係るNEGポンプを示す断面図である。
【図17】(a)は、図16(a)のピル型NEGの配置の変形例を示す上面図であり、(b)は(a)のVII-VII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に解説する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るNEGポンプを示す断面図である。図2は、図1の上面図である。図3は、図1のNEGポンプを分解し、構成部品を示した断面図である。図4(a)は、NEG担体を示す上面図であり、図4(b)はNEG担体の表面を示す図である。図5(a)はNEG担体の押圧部材を示す上面図であり、図5(b)は、図5(a)のII-II線に沿う断面図である。
【0016】
第1実施形態のNEGポンプは、図1に示すように、容器51と、NEG担体52と、NEG担体の押圧部材53と、ヒータ54とを有する。
【0017】
容器51は、容器51の内外を仕切る、円板状の底部容器壁1と円筒状の側部容器壁2とを有する。容器51の内径は60mm〜300mmで、深さは約40mmである。容器51の上部は、開放されている。側部容器壁2上部の周囲にはフランジ4が設けられており、フランジ4を介してチャンバ8が接続され、容器51の上部を通してチャンバ8の内部9を減圧できるようになっている。なお、図1に示したチャンバ8は、本発明のNEGポンプを接続して減圧し、成膜処理やエッチング処理を行う真空処理装置のチャンバであるが、補助真空ポンプなどは省略してある。
【0018】
図1に示すように、底部容器壁1の中心部に直径がφ8mm〜30mmの支柱5が立設されている。支柱5には、図4(a)に示す渦巻状のNEG担体52が挿入されている。NEG担体52は、図4(b)に示すようにテープ状の基体11の表面にNEG粉末12を固着し、図4(a)に示すように隣接する基体11の間に0.1mm〜10mmの間隔を空けて渦巻状に加工したものである。支柱5に挿入されたNEG担体52は、図1に示すように、NEG担体52の片側端部が底部容器壁1に接触して置かれている。
【0019】
NEG担体52の上部には、板状の押圧部材53が支柱5に装着されている。押圧部材53は、図5(a)に示すように、中心部のドーナツ状のアーム支持部13から放射状にかつ中心の周りに等間隔で8本の帯状のアーム14が延びた形状を有する。押圧部材53は、アーム支持部13の中心部の穴15を支柱5に挿入して装着される。さらに、支柱5の外周面上部には、図1に示すように、ネジ部5aが形成されており、ワッシャー6を挟んでナット7をねじこみ、押圧部材53を介してNEG担体52を押圧することができるようになっている。この場合、押圧部材53は、図5(b)に示すように、中心部の板厚を先端部より薄くして弾力性を持たせ、非蒸発型ゲッター担体上に置いたときにNEG担体52の中心部の上に隙間ができるようにしているため、押圧部材53の中心部をナット7で締め付けることによりアーム14が撓み、付勢力が得られる。このため、NEG担体52が一様にかつより強い力で底部容器壁1に押し付けられる。図2は、この状態を上面から見た図である。これにより、NEG担体52と底部容器壁1とがより密着してかつ一様に接触するため、それらの間の熱伝導がより向上し、また、熱伝導がより均一になる。
【0020】
容器51の底部容器壁1の外側(大気圧側)には、図1に示すように、円板状のヒータ54が、ヒータ54上面全体が底部容器壁1の外壁面と接触するように、取り付けられている。なお、符号10はヒータ54に発熱用電力を供給する配線を示す。このヒータ54を発熱させると、底部容器壁1が加熱され、さらに熱がNEG担体52に伝導してNEG担体52の温度が上昇する。NEG担体52は底部容器壁1に加圧接触されているので、熱が一様にかつ低損失でNEG担体52に伝達される。これにより、NEG担体52の活性化が効率よくかつ均一に行われる。
【0021】
また、ヒータ54周囲の底部容器壁1(符号3aで示す部分)の厚さと、側部容器壁2の周囲の帯状部分(符号3bで示す部分)の厚さは、他より薄くなっている。このため、ヒータ54により底部容器壁1が加熱されたとき、底部容器壁1及び側部容器壁2の板厚が薄くなった部分3a、3bで、熱伝導が抑制され、底部容器壁1の熱が側部容器壁2を通してフランジ4に伝導するのを抑制できる。これにより、底部容器壁1に熱を集中させ、一層効率良くNEG担体52を加熱できるとともに、NEGポンプに接続される真空装置のチャンバ8の温度上昇を抑制することができる。
【0022】
なお、図1では、容器51の底部容器壁1及び側部容器壁2の厚さが薄くなった部分3a、3bを底部で一箇所、側部で2箇所設けているが、熱効率や容器壁の強度を考慮して任意の数で設けることができる。
【0023】
また、底部容器壁1及び側部容器壁2の厚さを薄くする代わりに、熱伝導率が小さいステンレスやチタン金属などの異種金属を介在させて容器壁を作製してもよい。
【0024】
(実施例)
図1に示すNEGポンプを製作し、性能を調査した。
【0025】
(試料用NEGポンプの作製)
容器51の材料はアルミニウム約9%を含むアルミニウム銅合金であり、これを内径100mm、深さ40mmの円筒状に加工し、容器51とした。また、底部容器壁1の内壁面中央部の支柱5は直径を14mmとし、上部にネジ部5aを設けた。
【0026】
NEG担体52は、市販品(NEGストリップと称されるST707)の、NEG粉末12が固着されているテープ状の基体11を用いた。NEG粉末12は、70%Zr, 24.6%V, 5.4%Fe合金の粉末であり、基体11は、コンスタンタン製であり、厚さ約0.5mm、幅30mm、長さ3.7mに加工されたものである。このNEG担体52を、基体11間の平均間隔を1.5mmとして渦巻状にし、図2のように、容器51の底部容器壁1上に置いた。
【0027】
押圧部材53は、容器51と同じアルミニウム銅合金製で、厚さ10mmの板から切り抜いて作製した。アーム14の幅は8mmとした。板厚を外周部から漸次薄くして、中央部は外周部より0.5mm薄くし、ばね性を持たせた。この押圧部材53を、NEG担体52の中心部の上に隙間ができるように支柱5に挿入し、ナット7で強く締め付けて取り付けた。ナット7は、癒着防止のためにモリブデン製とした。
【0028】
ヒータ54は、高耐熱性マイカで絶縁された円板状の面状発熱ヒータを用い、ヒータ54の上部板面を底部容器壁1の外壁面に密着させて取り付けた。この例では、ヒータには900ワットまで印加できる。
【0029】
(調査方法)
NEGポンプの性能は、底部容器壁1の温度に対するNEG担体52の温度の比較と、活性化後における水素ガスに対する排気速度とで評価した。NEG担体52の温度は、渦巻き状のNEG担体52の基体11間にクロメルアルメルタイプの熱電対を挿入して計測した。水素ガスに対する排気速度は、NEG担体52を活性化後にNEG担体52の温度が室温まで下がった状態で、3.7リットル/秒のオリフィスを用いたオリフィス差圧測定法により測定した。
【0030】
(調査結果)
・NEG担体52の温度を450℃に昇温した時の容器51の底部容器壁1の温度: 460℃
・NEG担体52の温度を450℃に昇温した時のヒータ電力: 900 W
・NEG担体52の温度が450℃に上がるまでの昇温時間: 30 分
・水素圧10-6Paにおける排気速度: 0.6 m3/秒
であった。
【0031】
以上のように、底部容器壁1の温度とNEG担体52の温度差は、略10℃と非常に小さく、大気側からのヒータ加熱と熱伝導だけで、熱損失を低く抑えてかつ均一に、NEG担体52の活性化に必要な450℃に昇温できることが分かった。
【0032】
即ち、電流導入端子を用いずに、NEG担体52を均一にかつ効率よく活性化することができた。その上、排気速度が大きく、この観点からも本実施形態の非蒸発型ゲッターポンプはゲッターポンプとして実用的であることを確認することができた。
【0033】
(第1変形例)
図6は、本発明の第1実施形態のNEGポンプに対する、容器、NEG担体、押圧部材及びヒータの変形例を示す断面図である。図7は、図6の上面図である。
【0034】
容器51aは、図1と同様に、底部容器壁1aの上側に円筒状の上部の側部容器壁2aが設けられている。また、側部容器壁2aには、周囲に厚さが他よりも薄くなっている帯状部分3bが設けられている。
【0035】
一方で、図1と異なり、容器51aの中央部に容器51aの下部から上部に抜ける、粒子ビーム(B)が通過するビーム通路16が設けられている。このため、底部容器壁1aには、底部容器壁1aを貫通する穴が設けられ、この穴を介して底部容器壁1aの下側にビーム通路16を囲むように円筒状の側部容器壁2bが設けられている。下部の側部容器壁2bにフランジ4bを介して粒子ビーム発生装置のチャンバ17が接続される。また、下部の側部容器壁2bにも、ヒータ54aから粒子ビーム発生装置のチャンバ17への熱伝導を抑制するため、側部容器壁2bの周囲に厚さが他よりも薄くなっている帯状部分3cが設けられている。
【0036】
図7に示すように、図4(b)に示す基体11を数100mmの長さに切って少し湾曲させた多数のNEG担体52aをビーム通路16の周りの底部容器壁1aの内壁面に立てて、風車状に並べる。基体11の間隔は、0.1mm〜10mmとする。
【0037】
底部容器壁1aの表面に置かれた多数のNEG担体52aは、図6に示すように、ビーム通路16に対応する箇所にビーム通路16よりも少し大きい穴が開いた押圧部材53aで押圧され、これにより、底部容器壁1aの内壁面に密着して接触する。図7に、押圧部材53aの平面形状を示す。押圧部材53aは、ドーナツ状の中心部から放射状にアーム14aが延び、アーム14aの先端部が側部容器壁2aの上部内壁に、例えばネジなどで固定される。
【0038】
底部容器壁1aの外壁面であって下部の側部容器壁2bの周囲には、NEG担体52aを加熱するドーナツ板状のヒータ54aが、その上板面を底部容器壁1aの外壁面に接触させて設けられている。ドーナツ板状のヒータ54aは、例えば、2つに分割されたものをビーム通路16を挟んでつき合わせ、組み合わせる。なお、符号10aはヒータ54aに電力を供給する配線を示す。
【0039】
下部の側部容器壁2bの下側の周囲にはフランジ4bが設けられており、フランジ4bを介して粒子ビーム発生装置のチャンバ17が接続される。また、上部の側部容器壁2aの上側の周囲にはフランジ4aが設けられており、このフランジ4aを介して、図1に示すものと同様なチャンバ8が接続される。本真空ポンプでチャンバ8、17内が減圧され、ビーム通路16を通して粒子ビームをチャンバ8内に照射して処理が行われる。
【0040】
(第2変形例)
図8は、本発明の第1実施形態のNEGポンプに対する、容器、NEG担体及び押圧部材の変形例を示す断面図である。図9は、図8の上面図である。
【0041】
このNEGポンプでは、底部容器壁1bと円筒状の側部容器壁2cを有する容器51bが用いられる。そして、容器51bの側部容器壁2cの一部を伸縮自在のベローズ3dで製作し、大気圧を利用してNEG担体52bを底部容器壁1bに密着して接触させるようにしている。なお、符号4cは側部容器壁2cの上側周囲に設けられたフランジを示す。
【0042】
NEG担体52bは、図4(b)に示すNEG粉末12を表面に固着した基体11を、図9に示すように、同心円状に加工したものである。直径が異なる円筒状のNEG担体52bが、底部容器壁1bの内壁面に同心円状に置かれる。
【0043】
NEG担体52bの押圧部材53bとして、図9に示すように、中央部の円形状のアーム支持部13bから放射状に等間隔で伸びる4本の帯状のアーム14bが用いられる。4本のアーム14bの先端部は、それぞれ容器51bの側部容器壁2cの上部内壁に、例えばネジなどで固定される。
【0044】
NEG担体52bを加熱するヒータは、図1と同じ円板状のヒータ54bが用いられ、その上板面が、図1と同様に、底部容器壁1bの外壁面に接触するように設けられる。なお、符号10bはヒータに電力を供給する配線を示す。
【0045】
このNEGポンプでは、容器51b内が減圧状態になると、下から大気圧を受けた底部容器壁1bが、側部容器壁2cのベローズ3dのため、押し上げられる。これにより、NEG担体52bが底部容器壁1bの内壁面に密着して接触する。また、ベローズ3dは肉厚が薄く形成されているため、熱伝導量が小さく、そのため、底部容器壁1bから容器51b上側に接続されるチャンバ8へ熱が伝わるのを抑制できる。
【0046】
これにより、底部容器壁1bに熱を集中させ、一層効率良くかつ均一にNEG担体52bを加熱することができるとともに、真空ポンプに接続されるチャンバの温度上昇を抑制することができる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図10〜図12(a)、(b)を参照しながら説明する。第2実施形態では、NEG担体は、NEG粉末62が収納された凹部26が底部容器壁21の内壁面に形成されたものである。
【0048】
図10はNEGポンプの断面図であり、図11はその上面図である。図12(a)は、図11に示す凹部に収納したNEG粉末62への熱伝達を説明する拡大上面図である。なお、図10の破線は、本実施形態のNEGポンプを接続する、エッチングなどの処理を行う真空処理装置のチャンバ27を示すが、補助真空ポンプなどは省略してある。
【0049】
このNEGポンプでは、図10及び11に示すように、円板状の底部容器壁21の内壁面に直径1〜10mmで、深さ5〜20mmの円筒状の凹部26が多数分散して設けられている。凹部26は、底部容器壁21にドリルで切削することにより、或いは、六角柱状の電極を用いた放電加工により形成される。凹部26同士は、加工後に凹部の周りに残った底部容器壁21の材料からなる、肉厚が0.2〜1mmの隔壁25によって区画されている。この凹部26に、粒径0.05mm〜0.5mmのZr−V−Fe3元合金のNEG粉末62が収納されている。
【0050】
NEG粉末62を加熱するヒータ63は、底部容器壁21に合わせて円板状を有し、上面全体を底部容器壁21に密着させて設けられている。
【0051】
なお、符号23aは、NEGポンプの上部に接続されるチャンバ27への熱伝導を抑制するため、ヒータ63周囲の底部容器壁21の周縁部に沿って設けられた他より肉厚の薄い部分を示す。22は、底部容器壁21上に設けられた円筒状の側部容器壁を示し、チャンバ27への熱伝導を抑制するため、側部容器壁22の周囲に沿って設けられた他より肉厚の薄い帯状部分23bを有する。29はヒータ63に電力を供給する配線を示す。
【0052】
ところで、NEG粉末62としてZr−V−Fe3元合金の粉末を用いたのでは、粉末粒子間に空間が存在するため熱伝導率は非常に悪い。その熱伝導率を改善するため、第2実施形態では、凹部26の直径を小さくし、その凹部26にNEG粉末62を収納している。すなわち、底部容器壁21が加熱されると、図12(a)、(b)に示すように、凹部26の周囲の隔壁25の温度は略一様となるため、凹部26の隔壁25から凹部26内への熱30の伝導も略一様になる。この場合、凹部26の直径を小さくしているため、熱30が余り損失せずに凹部26の長さ方向にわたって一様に凹部26の中心に伝わる。このため、凹部26全体にわたってNEG粉末62の集合体内の熱伝導率を改善することが可能になる。
【0053】
一方で、排気の際には、NEG粉末62の粉末粒子間には空間が存在するため、ガス分子はこの空間に容易に入り込み、NEG粉末62に吸着される。この場合、粉末形状は表面積が非常に大きいため、ガス分子の吸着確率は非常に高まる。
【0054】
(実施例)
図10に示すNEGポンプを製作し、排気性能を調査した。
【0055】
内壁面に直径3mm、深さ10mmの凹部を363個形成した底部容器壁を含む、内径約60mmの円筒状容器(フランジ外形直径114mm)を作製し、凹部に約18gのNEG粉末をほぼ一様に入れて、NEGポンプとした。
【0056】
底部容器壁の外壁面に設置したヒータにより、このNEG粉末を450℃まで昇温した後、約1時間放置して室温まで下げ、排気実験をしたところ、窒素ガスに対しては約10L/sの排気速度が得られ、水素ガスに対しては約45L/sの排気速度が得られた。
【0057】
なお、上述の凹部にはNEG粉末を約100gまで入れることが可能であるから、目一杯にNEG粉末を充填すれば窒素に対しては55L/s、水素に対しては250L/sの排気速度をもつNEGポンプを提供することが可能である。
【0058】
以上のように、本NEGポンプでは、簡単な装置構成で、NEG材を効率的に活性化できるとともに、大きな排気量を得ることが可能になる。
【0059】
なお、この実施形態ではNEG粉末を収納する凹部は円筒状であるが、これに限られず、多角形状の筒形であってもよい。
【0060】
また、NEG粉末62を収納した凹部26の上部は開放されているが、図13に示すように、容器61内の排気すべきガス分子がNEG粉末62に移動するのを妨げないようにしつつ、凹部26内のNEG粉末62が飛散しないようにするため、多孔質の蓋部材64、例えば多孔質のSiCなどからなる蓋部材を用いて、NEG粉末62を収納した凹部26の上部を覆うようにしてもよい。
【0061】
(NEG粉末を収納する凹部の変形例)
図14及び図15は、それぞれ、第2実施形態のNEG粉末を収納する凹部の第1及び第2変形例を示す上面図である。
【0062】
図11では、多数の円筒状の凹部26が分散するように配置されているが、図14に示すように、容器の底部容器壁の内壁面に平面形状が細長い凹部26aが互いに並行して配置されていてもよいし、図15に示すように、容器の底部容器壁の内壁面に平面形状が円環状の凹部26bが同心円状に配置されていてもよい。なお、図14において、符号25aは凹部26a同士を仕切る仕切り壁であり、図15において、符号25bは凹部26b同士を仕切る隔壁である。凹部26a、26bは、図11の場合に準じて、幅が1〜10mmで、深さが5〜20mmとし、隔壁25a、25bの肉厚は、図11の場合と同じように、0.2〜1mmとする。
【0063】
この第1及び第2変形例によっても、第2実施形態と同様に、簡単な装置構成で、NEG粉末の集合体の熱伝導の悪さを補いながら、NEGを効率的に活性化できるとともに、大きな排気量を得ることが可能になる。
【0064】
(第3実施形態)
次に、NEG粉末を焼結し、錠剤に似た形状(円柱形状)にしたピル型NEGを用いた、本発明の第3実施形態に係るNEGポンプについて説明する。
【0065】
図16(a)は、ピル型NEG73の斜視図であり、図16(b)は、第3実施形態のNEGポンプ107の構成、及び容器71内における、図16(a)のピル型NEG73の配置を示す断面図である。
【0066】
この実施形態のピル型NEG73は、70%Zr, 24.6%V, 5.4%Fe合金の粉末を焼結したもので、図16(a)に示すように、直径10mm又は5mm、厚さ3mmの円形のピル形状を有する。
【0067】
この実施形態のピル型NEG73は、錠剤に似た焼結体であるため、取り扱いが容易である。また、粉末のようには飛散しないため、第2実施形態のNEG粉末で用いた多孔質の蓋部材64なども省略できる。よって、ガス放出する部材を極力減らすことができる。
【0068】
また、実験によれば、厚みのあるピル形状では、NEG73表面でのガスの吸着のみならず、NEG73内部においても吸着機能を有効に発揮させることができ、このため、NEG粉末よりも長く吸着機能を発揮させ続け得ることが分かった。なお、NEG粉末では、嵩を増しても内部のNEG粉末間の隙間が適度でなければ、表面に出たNEG粉末だけが有効に働くことになるという調整の難しさがある。
【0069】
NEGポンプ107は、図16(b)に示すように、ピル型NEG73を円筒状の容器71内に収納したものである。容器71は、底部容器壁71aと、側部容器壁71bと、フランジ71cとで構成され、上部が開放されている。ピル型NEG73は、容器71の底部容器壁71aの表面に敷き詰めて置かれる。なお、NEG担体は、NEGの粉末を焼結したピル型NEG73が底部容器壁71aに接して置かれたものである。
【0070】
ピル型NEG73を加熱するヒータ72は、第1及び第2実施形態と同様に、底部容器壁71aの形状に合わせて円板状を有し、上面全体を底部容器壁71aに密着させて設けられている。
【0071】
直径10mm、厚さ3mmのピル型NEG73を192個敷き詰めたNEGポンプを用い、温度450℃、10〜30分間の活性化処理の後、スループット法により排気速度を調査したところ、水素に対して400L/sが得られ、窒素に対して100L/sが得られた。
【0072】
ピル型NEG73では、次に説明する変形例のように容器内の配置を工夫することにより、排気速度をより一層向上させ、また、吸着機能をより一層長く持続させることができるようになる。
【0073】
(ピル型NEGの配置の変形例)
次に、図17(a)、(b)を参照して、ピル型NEGの容器内の配置を工夫した変形例について説明する。
【0074】
図17(a)はピル型NEGの容器内の配置を示す上面図で、(b)は(a)のVII-VII線に沿ってとられた断面図である。
【0075】
このピル型NEG73の配置の変形例では、図17(a)、(b)に示すように、底部容器壁71aの全面にわたって複数のボルト(支持部材)74がジグザグに並ぶように複数のボルト74を立設し、三角形をなすように配置された3つのボルト74の間にそれぞれピル型NEG73を保持するようにしている。
【0076】
ピル型NEG73の一つの保持部においては、図17(b)に示すように、3段にわたって3つのピル型NEG73を保持できるようにしている。1つのボルト74には、3段にわたって保持されたピル型NEG73相互間のスペーサとなり、かつピル型NEG73を支える、厚さ2〜3mmの円板状のナット(支持部材)75が挿入されている。すなわち、一つの保持部では、下から、ナット75、第1段目のピル型NEG73、ナット75、第2段目のピル型NEG73、ナット75、第3段目のピル型NEG73、ナット75というように積み上げられている。なお、一つの保持部において保持し得るピル型NEG73の個数は、3つ以外に、実用上問題のない範囲で任意に選択できる。
【0077】
底部容器壁71aの外に設けられたヒータ72の熱をピル型NEG73に効率よく伝えるため、ボルト74及びナット75は、ガスの放出が少なくかつ熱伝導に優れ、さらにNEGの熱処理で変形しないような材料、例えば、アルミニウム銅合金やベリリウム銅合金などが用いられる。
【0078】
なお、NEG担体は、NEG粉末を焼結したピル型NEG73が、底部容器壁71aの表面に立設された複数のボルト(支持部材)74の間に、かつナット(支持部材)75によって複数段(この変形例の場合、3段)にわたって支持されて、並んでいるものである。
【0079】
以上、図17に示すようなピル型NEG73の配置によって、ピル型NEG73を複数段にわたって敷き詰めることができ、しかも、ピル型NEG73の段間に隙間を設けてピル型NEG73の表面及び裏面をともに有効に働かせることができるので、排気速度をより一層向上させ、また、吸着機能をより一層長く持続させることができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態を図1〜図17を用いて説明したが、本発明の範囲は図1〜図17の例示に限られない。
【0081】
例えば、第1実施形態及びその変形例の、NEG粉末を固着した基体は金属に限ったものではなく、表面にNEG粉末を固着させ得るセラミックであってもよい。
【0082】
また、NEGは底部容器壁だけに設けられているが、これに限られない。NEGは側部容器壁だけに設けられてもよいし、底部容器壁及び側部容器壁の両方に設けられてもよい。
【0083】
また、押圧部材は、図5、図7及び図9の構造に限られない。NEG担体を固定し、かつ底部容器壁に密着して接触させ得るとともに、ガスを通過或いは透過させ得ることができれば、いかなる構造であってもよい。例えば、図5では、押圧部材の板厚を周辺部よりも中央部で薄くして、弾力性を持たせ、非蒸発型ゲッター担体上に置いたときに非蒸発型ゲッター担体の中心部の上に隙間ができるようにしているが、同じ厚さの板を湾曲させて、同じになるようにしてもよい。
【0084】
また、NEGポンプの容器の材料としてアルミニウム銅合金を用いているが、これに限られない。熱伝導が良好でガス放出が少なく、容器の強度が保たれる材料であればよい。
【0085】
また、NEGとして、NEG粉末だけを圧縮加圧して、形状が保持可能な固形体としたものを用いてもよい。
【0086】
また、第3実施形態では、ピル型NEGとして、円柱形状のNEGを用いたが、球形状のNEGを用いてもよい。
【0087】
以下に、実施形態で説明したこの発明を付記としてまとめる。
【0088】
(付記1)
容器と、
前記容器の内壁面に設けられた非蒸発型ゲッター担体と、
前記容器の外壁面に設けられ、前記非蒸発型ゲッター担体を容器壁を介して熱伝導により加熱するヒータと
を有する非蒸発型ゲッターポンプ。
【0089】
(付記2)
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末が基体の表面に固着されたものであることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0090】
(付記3)
前記基体は、前記容器の内壁面上に放射状に、渦巻き状に又は同心円状に置かれている
ことを特徴とする付記2記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0091】
(付記4)
前記非蒸発型ゲッター担体を前記内壁面に押圧する板状の押圧部材を有することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0092】
(付記5)
前記押圧部材は、中心部の周りに放射状にアームが延びている形状を有することを特徴とする付記4記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0093】
(付記6)
前記押圧部材は、前記非蒸発型ゲッター担体上に置いたときに該押圧部材と前記非蒸発型ゲッター担体の中心部との間に隙間ができる形状で、弾力性を有することを特徴とする付記5記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0094】
(付記7)
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末が収納された複数の凹部が前記容器壁の前記内壁面に形成されたものであることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0095】
(付記8)
前記複数の凹部は、平面形状が円形状又は多角形状であり、前記容器の内壁面に分散して配置されていることを特徴とする付記7記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0096】
(付記9)
前記複数の凹部は、平面形状が細長い形状で前記容器の内壁面に互いに並行して配置されていることを特徴とする付記7記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0097】
(付記10)
前記複数の凹部は、平面形状が円環状で前記容器の内壁面の中心に対して同心円状に配置されていることを特徴とする付記7記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0098】
(付記11)
前記複数の凹部を覆う、多孔質の材料で形成された蓋部材を有することを特徴とする付記7乃至10のいずれか1項に記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0099】
(付記12)
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末を焼結したピル型の非蒸発型ゲッターが前記容器壁に接して置かれたものであることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0100】
(付記13)
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末を焼結した球形状の非蒸発型ゲッターが前記容器壁に接して置かれたものであることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0101】
(付記14)
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末を焼結したピル型の非蒸発型ゲッターが、前記容器壁の表面に立設された複数の支持部材の間に、かつ該支持部材によって複数段にわたって支持されて、並んでいるものであることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0102】
(付記15)
前記支持部材は、前記容器壁の表面に立設されたボルトと該ボルトに挿入されたナットで構成され、前記ピル型の非蒸発型ゲッターを該非蒸発型ゲッターの上面及び下面の周辺部で前記ナットによって支持することを特徴とする付記14記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0103】
(付記16)
前記支持部材の材料は、アルミニウム銅合金であることを特徴とする付記14又は15に記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0104】
(付記17)
前記容器壁の材料は、アルミニウム銅合金であることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0105】
(付記18)
前記ヒータの周囲の前記容器壁は、他よりも厚さを薄くしたことを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0106】
(付記19)
前記ヒータの周囲の前記容器壁は、他よりも熱伝導率の小さい材料で形成されていることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0107】
(付記20)
前記ヒータの周囲の前記容器壁は、ベローズで形成されていることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0108】
(付記21)
前記容器の上部にフランジを有し、該フランジを介してチャンバと接続可能であることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【符号の説明】
【0109】
1、1a、1b、21、71a 底部容器壁、
2、2c、22、71b 側部容器壁、
2a 上部の側部容器壁、
2b 下部の側部容器壁、
3a、3b、3c、23a、23b 肉厚の薄い帯状部分、
3d ベローズ、
4、4a、4b、4c、24、71c フランジ、
5 支柱、
5a ネジ部、
7 ナット、
8、17、27 真空処理装置のチャンバ、
11 基体、
12、62 NEG粉末、
30 熱、
25、25a、25b 隔壁、
26、26a、26b 凹部、
51、51a、51b、61、71 NEGポンプの容器、
52、52a、52b NEG担体、
53、53a、53b 押圧部材、
54、54a、54b、63、72 ヒータ、
64 多孔質の蓋部材、
73 ピル型NEG、
74 ボルト(支持部材)、
75 ナット(支持部材)、
101、102、103、104、105、106、107 NEGポンプ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、非蒸発型ゲッターポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
非蒸発型ゲッターポンプ (Non-Evaporated Getter Pump,以下NEGポンプと表記する。)は、非蒸発型ゲッター(以下、NEG、或いは、ゲッターと表記する。)を用い、ゲッターの表面へのガスの吸着及びゲッターの内部へのガス分子の拡散を利用して排気を行う真空ポンプである。
【0003】
ゲッターは、ゲッター作用がある種々の合金の粉末材料を、そのまま用いたり、又は、金属テープの表面に固着させて用いたり、或いは焼結してペレット状に固めて用いたりする。
【0004】
ゲッターとしての機能を発揮させるためには、ゲッターを設置した容器を別の補助真空ポンプで高真空領域まで予備排気し、ヒータなど加熱手段でゲッターの温度を上昇させてゲッターを活性化することが不可欠である。
【0005】
ゲッターの材料及び形態は特許文献1〜3に記載され、ゲッターの活性化方法は特許文献1〜2に記載され、真空ポンプの構成は特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平11−190274号公報
【特許文献2】特表平11−509037号公報
【特許文献3】特開平5−159697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ゲッターを活性化する加熱方法について、特許文献1では、NEGポンプの外界との仕切り壁を形成する円筒状の容器内にゲッターを円周に沿って並べ、その中心にヒータを置いて加熱する方法を採っている。特許文献2では、容器内にゲッターとヒータを置いて加熱する方法や、ゲッターを入れた容器をオーブン内に挿入して加熱する方法を採っている。
【0007】
しかし、NEGポンプの容器内にゲッターとヒータを置いて加熱する方法では、加熱用電力を外側から容器内に供給するため電流導入端子を容器壁に設置する必要がある。この場合、容器内ではゲッター及び容器と電流導入端子との絶縁のため、より広い空間が必要になり、真空ポンプが大型化するとともに、装置の構造が複雑になる。また、ヒータからのガス放出があり、得られる真空度が制限される。
【0008】
また、オーブン内に容器を挿入して加熱する方法では、活性化のたびにオーブン内にNEGポンプを挿入する必要があり、手間がかかる。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、加熱用電力を外側から容器内に供給するための電流導入端子を不要とし、NEGを容易に加熱することができる非蒸発型ゲッターポンプを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、容器と、前記容器の内壁面に設けられた非蒸発型ゲッター担体と、前記容器の外壁面に設けられ、前記非蒸発型ゲッター担体を容器壁を介して熱伝導により加熱するヒータとを有する非蒸発型ゲッターポンプが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の非蒸発型ゲッターポンプによれば、容器の外壁面にヒータを設置して容器内に設置された非蒸発型ゲッター担体を加熱するので、加熱用電力を外側から容器内に供給するための電流導入端子が不要となり、装置をシンプルにすることができる。
【0012】
また、容器の内壁面に非蒸発型ゲッター担体を設置するとともに容器の外壁面にヒータを設置し、容器壁を介して熱伝導により加熱しているため、非蒸発型ゲッター担体、即ち非蒸発型ゲッターを容易に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係るNEGポンプを示す断面図である。
【図2】図1の上面図であり、図2のI-I線に沿う断面図が図1に相当する。
【図3】図1のNEGポンプを分解し、構成部品を示した断面図である。
【図4】(a)はNEG担体を示す上面図であり、(b)はNEG担体の表面を示す図である。
【図5】(a)はNEG担体の押圧部材を示す上面図であり、(b)は、(a)のII-II線に沿う断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の第1変形例に係るNEGポンプを示す断面図である。
【図7】図6の上面図であり、図7のIII-III線に沿う断面図が図6に相当する。
【図8】本発明の第1実施形態の第2変形例に係るNEGポンプを示す断面図である。
【図9】図8の上面図であり、図9のIV-IV線に沿う断面図が図8に相当する。
【図10】本発明の第2実施形態に係るNEGポンプを示す断面図である
【図11】図10の上面図であり、図11のV-V線に沿う断面図が図10である。
【図12】(a)は、図11に示す容器壁の凹部に収納したNEGへの熱伝達を説明する拡大上面図であり、(b)は(a)のVI-VI線に沿う断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係るNEGポンプにおいて、NEGの粉末の飛散を防止する多孔質の蓋部材を用いた例を示す断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係るNEGポンプのNEGを収納した凹部の第1変形例を示す上面図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係るNEGポンプのNEGを収納した凹部の第2変形例を示す上面図である。
【図16】(a)は本発明の第3実施形態に係るNEGポンプに用いるピル型NEGを示す斜視図であり、(b)は本発明の第3実施形態に係るNEGポンプを示す断面図である。
【図17】(a)は、図16(a)のピル型NEGの配置の変形例を示す上面図であり、(b)は(a)のVII-VII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に解説する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るNEGポンプを示す断面図である。図2は、図1の上面図である。図3は、図1のNEGポンプを分解し、構成部品を示した断面図である。図4(a)は、NEG担体を示す上面図であり、図4(b)はNEG担体の表面を示す図である。図5(a)はNEG担体の押圧部材を示す上面図であり、図5(b)は、図5(a)のII-II線に沿う断面図である。
【0016】
第1実施形態のNEGポンプは、図1に示すように、容器51と、NEG担体52と、NEG担体の押圧部材53と、ヒータ54とを有する。
【0017】
容器51は、容器51の内外を仕切る、円板状の底部容器壁1と円筒状の側部容器壁2とを有する。容器51の内径は60mm〜300mmで、深さは約40mmである。容器51の上部は、開放されている。側部容器壁2上部の周囲にはフランジ4が設けられており、フランジ4を介してチャンバ8が接続され、容器51の上部を通してチャンバ8の内部9を減圧できるようになっている。なお、図1に示したチャンバ8は、本発明のNEGポンプを接続して減圧し、成膜処理やエッチング処理を行う真空処理装置のチャンバであるが、補助真空ポンプなどは省略してある。
【0018】
図1に示すように、底部容器壁1の中心部に直径がφ8mm〜30mmの支柱5が立設されている。支柱5には、図4(a)に示す渦巻状のNEG担体52が挿入されている。NEG担体52は、図4(b)に示すようにテープ状の基体11の表面にNEG粉末12を固着し、図4(a)に示すように隣接する基体11の間に0.1mm〜10mmの間隔を空けて渦巻状に加工したものである。支柱5に挿入されたNEG担体52は、図1に示すように、NEG担体52の片側端部が底部容器壁1に接触して置かれている。
【0019】
NEG担体52の上部には、板状の押圧部材53が支柱5に装着されている。押圧部材53は、図5(a)に示すように、中心部のドーナツ状のアーム支持部13から放射状にかつ中心の周りに等間隔で8本の帯状のアーム14が延びた形状を有する。押圧部材53は、アーム支持部13の中心部の穴15を支柱5に挿入して装着される。さらに、支柱5の外周面上部には、図1に示すように、ネジ部5aが形成されており、ワッシャー6を挟んでナット7をねじこみ、押圧部材53を介してNEG担体52を押圧することができるようになっている。この場合、押圧部材53は、図5(b)に示すように、中心部の板厚を先端部より薄くして弾力性を持たせ、非蒸発型ゲッター担体上に置いたときにNEG担体52の中心部の上に隙間ができるようにしているため、押圧部材53の中心部をナット7で締め付けることによりアーム14が撓み、付勢力が得られる。このため、NEG担体52が一様にかつより強い力で底部容器壁1に押し付けられる。図2は、この状態を上面から見た図である。これにより、NEG担体52と底部容器壁1とがより密着してかつ一様に接触するため、それらの間の熱伝導がより向上し、また、熱伝導がより均一になる。
【0020】
容器51の底部容器壁1の外側(大気圧側)には、図1に示すように、円板状のヒータ54が、ヒータ54上面全体が底部容器壁1の外壁面と接触するように、取り付けられている。なお、符号10はヒータ54に発熱用電力を供給する配線を示す。このヒータ54を発熱させると、底部容器壁1が加熱され、さらに熱がNEG担体52に伝導してNEG担体52の温度が上昇する。NEG担体52は底部容器壁1に加圧接触されているので、熱が一様にかつ低損失でNEG担体52に伝達される。これにより、NEG担体52の活性化が効率よくかつ均一に行われる。
【0021】
また、ヒータ54周囲の底部容器壁1(符号3aで示す部分)の厚さと、側部容器壁2の周囲の帯状部分(符号3bで示す部分)の厚さは、他より薄くなっている。このため、ヒータ54により底部容器壁1が加熱されたとき、底部容器壁1及び側部容器壁2の板厚が薄くなった部分3a、3bで、熱伝導が抑制され、底部容器壁1の熱が側部容器壁2を通してフランジ4に伝導するのを抑制できる。これにより、底部容器壁1に熱を集中させ、一層効率良くNEG担体52を加熱できるとともに、NEGポンプに接続される真空装置のチャンバ8の温度上昇を抑制することができる。
【0022】
なお、図1では、容器51の底部容器壁1及び側部容器壁2の厚さが薄くなった部分3a、3bを底部で一箇所、側部で2箇所設けているが、熱効率や容器壁の強度を考慮して任意の数で設けることができる。
【0023】
また、底部容器壁1及び側部容器壁2の厚さを薄くする代わりに、熱伝導率が小さいステンレスやチタン金属などの異種金属を介在させて容器壁を作製してもよい。
【0024】
(実施例)
図1に示すNEGポンプを製作し、性能を調査した。
【0025】
(試料用NEGポンプの作製)
容器51の材料はアルミニウム約9%を含むアルミニウム銅合金であり、これを内径100mm、深さ40mmの円筒状に加工し、容器51とした。また、底部容器壁1の内壁面中央部の支柱5は直径を14mmとし、上部にネジ部5aを設けた。
【0026】
NEG担体52は、市販品(NEGストリップと称されるST707)の、NEG粉末12が固着されているテープ状の基体11を用いた。NEG粉末12は、70%Zr, 24.6%V, 5.4%Fe合金の粉末であり、基体11は、コンスタンタン製であり、厚さ約0.5mm、幅30mm、長さ3.7mに加工されたものである。このNEG担体52を、基体11間の平均間隔を1.5mmとして渦巻状にし、図2のように、容器51の底部容器壁1上に置いた。
【0027】
押圧部材53は、容器51と同じアルミニウム銅合金製で、厚さ10mmの板から切り抜いて作製した。アーム14の幅は8mmとした。板厚を外周部から漸次薄くして、中央部は外周部より0.5mm薄くし、ばね性を持たせた。この押圧部材53を、NEG担体52の中心部の上に隙間ができるように支柱5に挿入し、ナット7で強く締め付けて取り付けた。ナット7は、癒着防止のためにモリブデン製とした。
【0028】
ヒータ54は、高耐熱性マイカで絶縁された円板状の面状発熱ヒータを用い、ヒータ54の上部板面を底部容器壁1の外壁面に密着させて取り付けた。この例では、ヒータには900ワットまで印加できる。
【0029】
(調査方法)
NEGポンプの性能は、底部容器壁1の温度に対するNEG担体52の温度の比較と、活性化後における水素ガスに対する排気速度とで評価した。NEG担体52の温度は、渦巻き状のNEG担体52の基体11間にクロメルアルメルタイプの熱電対を挿入して計測した。水素ガスに対する排気速度は、NEG担体52を活性化後にNEG担体52の温度が室温まで下がった状態で、3.7リットル/秒のオリフィスを用いたオリフィス差圧測定法により測定した。
【0030】
(調査結果)
・NEG担体52の温度を450℃に昇温した時の容器51の底部容器壁1の温度: 460℃
・NEG担体52の温度を450℃に昇温した時のヒータ電力: 900 W
・NEG担体52の温度が450℃に上がるまでの昇温時間: 30 分
・水素圧10-6Paにおける排気速度: 0.6 m3/秒
であった。
【0031】
以上のように、底部容器壁1の温度とNEG担体52の温度差は、略10℃と非常に小さく、大気側からのヒータ加熱と熱伝導だけで、熱損失を低く抑えてかつ均一に、NEG担体52の活性化に必要な450℃に昇温できることが分かった。
【0032】
即ち、電流導入端子を用いずに、NEG担体52を均一にかつ効率よく活性化することができた。その上、排気速度が大きく、この観点からも本実施形態の非蒸発型ゲッターポンプはゲッターポンプとして実用的であることを確認することができた。
【0033】
(第1変形例)
図6は、本発明の第1実施形態のNEGポンプに対する、容器、NEG担体、押圧部材及びヒータの変形例を示す断面図である。図7は、図6の上面図である。
【0034】
容器51aは、図1と同様に、底部容器壁1aの上側に円筒状の上部の側部容器壁2aが設けられている。また、側部容器壁2aには、周囲に厚さが他よりも薄くなっている帯状部分3bが設けられている。
【0035】
一方で、図1と異なり、容器51aの中央部に容器51aの下部から上部に抜ける、粒子ビーム(B)が通過するビーム通路16が設けられている。このため、底部容器壁1aには、底部容器壁1aを貫通する穴が設けられ、この穴を介して底部容器壁1aの下側にビーム通路16を囲むように円筒状の側部容器壁2bが設けられている。下部の側部容器壁2bにフランジ4bを介して粒子ビーム発生装置のチャンバ17が接続される。また、下部の側部容器壁2bにも、ヒータ54aから粒子ビーム発生装置のチャンバ17への熱伝導を抑制するため、側部容器壁2bの周囲に厚さが他よりも薄くなっている帯状部分3cが設けられている。
【0036】
図7に示すように、図4(b)に示す基体11を数100mmの長さに切って少し湾曲させた多数のNEG担体52aをビーム通路16の周りの底部容器壁1aの内壁面に立てて、風車状に並べる。基体11の間隔は、0.1mm〜10mmとする。
【0037】
底部容器壁1aの表面に置かれた多数のNEG担体52aは、図6に示すように、ビーム通路16に対応する箇所にビーム通路16よりも少し大きい穴が開いた押圧部材53aで押圧され、これにより、底部容器壁1aの内壁面に密着して接触する。図7に、押圧部材53aの平面形状を示す。押圧部材53aは、ドーナツ状の中心部から放射状にアーム14aが延び、アーム14aの先端部が側部容器壁2aの上部内壁に、例えばネジなどで固定される。
【0038】
底部容器壁1aの外壁面であって下部の側部容器壁2bの周囲には、NEG担体52aを加熱するドーナツ板状のヒータ54aが、その上板面を底部容器壁1aの外壁面に接触させて設けられている。ドーナツ板状のヒータ54aは、例えば、2つに分割されたものをビーム通路16を挟んでつき合わせ、組み合わせる。なお、符号10aはヒータ54aに電力を供給する配線を示す。
【0039】
下部の側部容器壁2bの下側の周囲にはフランジ4bが設けられており、フランジ4bを介して粒子ビーム発生装置のチャンバ17が接続される。また、上部の側部容器壁2aの上側の周囲にはフランジ4aが設けられており、このフランジ4aを介して、図1に示すものと同様なチャンバ8が接続される。本真空ポンプでチャンバ8、17内が減圧され、ビーム通路16を通して粒子ビームをチャンバ8内に照射して処理が行われる。
【0040】
(第2変形例)
図8は、本発明の第1実施形態のNEGポンプに対する、容器、NEG担体及び押圧部材の変形例を示す断面図である。図9は、図8の上面図である。
【0041】
このNEGポンプでは、底部容器壁1bと円筒状の側部容器壁2cを有する容器51bが用いられる。そして、容器51bの側部容器壁2cの一部を伸縮自在のベローズ3dで製作し、大気圧を利用してNEG担体52bを底部容器壁1bに密着して接触させるようにしている。なお、符号4cは側部容器壁2cの上側周囲に設けられたフランジを示す。
【0042】
NEG担体52bは、図4(b)に示すNEG粉末12を表面に固着した基体11を、図9に示すように、同心円状に加工したものである。直径が異なる円筒状のNEG担体52bが、底部容器壁1bの内壁面に同心円状に置かれる。
【0043】
NEG担体52bの押圧部材53bとして、図9に示すように、中央部の円形状のアーム支持部13bから放射状に等間隔で伸びる4本の帯状のアーム14bが用いられる。4本のアーム14bの先端部は、それぞれ容器51bの側部容器壁2cの上部内壁に、例えばネジなどで固定される。
【0044】
NEG担体52bを加熱するヒータは、図1と同じ円板状のヒータ54bが用いられ、その上板面が、図1と同様に、底部容器壁1bの外壁面に接触するように設けられる。なお、符号10bはヒータに電力を供給する配線を示す。
【0045】
このNEGポンプでは、容器51b内が減圧状態になると、下から大気圧を受けた底部容器壁1bが、側部容器壁2cのベローズ3dのため、押し上げられる。これにより、NEG担体52bが底部容器壁1bの内壁面に密着して接触する。また、ベローズ3dは肉厚が薄く形成されているため、熱伝導量が小さく、そのため、底部容器壁1bから容器51b上側に接続されるチャンバ8へ熱が伝わるのを抑制できる。
【0046】
これにより、底部容器壁1bに熱を集中させ、一層効率良くかつ均一にNEG担体52bを加熱することができるとともに、真空ポンプに接続されるチャンバの温度上昇を抑制することができる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図10〜図12(a)、(b)を参照しながら説明する。第2実施形態では、NEG担体は、NEG粉末62が収納された凹部26が底部容器壁21の内壁面に形成されたものである。
【0048】
図10はNEGポンプの断面図であり、図11はその上面図である。図12(a)は、図11に示す凹部に収納したNEG粉末62への熱伝達を説明する拡大上面図である。なお、図10の破線は、本実施形態のNEGポンプを接続する、エッチングなどの処理を行う真空処理装置のチャンバ27を示すが、補助真空ポンプなどは省略してある。
【0049】
このNEGポンプでは、図10及び11に示すように、円板状の底部容器壁21の内壁面に直径1〜10mmで、深さ5〜20mmの円筒状の凹部26が多数分散して設けられている。凹部26は、底部容器壁21にドリルで切削することにより、或いは、六角柱状の電極を用いた放電加工により形成される。凹部26同士は、加工後に凹部の周りに残った底部容器壁21の材料からなる、肉厚が0.2〜1mmの隔壁25によって区画されている。この凹部26に、粒径0.05mm〜0.5mmのZr−V−Fe3元合金のNEG粉末62が収納されている。
【0050】
NEG粉末62を加熱するヒータ63は、底部容器壁21に合わせて円板状を有し、上面全体を底部容器壁21に密着させて設けられている。
【0051】
なお、符号23aは、NEGポンプの上部に接続されるチャンバ27への熱伝導を抑制するため、ヒータ63周囲の底部容器壁21の周縁部に沿って設けられた他より肉厚の薄い部分を示す。22は、底部容器壁21上に設けられた円筒状の側部容器壁を示し、チャンバ27への熱伝導を抑制するため、側部容器壁22の周囲に沿って設けられた他より肉厚の薄い帯状部分23bを有する。29はヒータ63に電力を供給する配線を示す。
【0052】
ところで、NEG粉末62としてZr−V−Fe3元合金の粉末を用いたのでは、粉末粒子間に空間が存在するため熱伝導率は非常に悪い。その熱伝導率を改善するため、第2実施形態では、凹部26の直径を小さくし、その凹部26にNEG粉末62を収納している。すなわち、底部容器壁21が加熱されると、図12(a)、(b)に示すように、凹部26の周囲の隔壁25の温度は略一様となるため、凹部26の隔壁25から凹部26内への熱30の伝導も略一様になる。この場合、凹部26の直径を小さくしているため、熱30が余り損失せずに凹部26の長さ方向にわたって一様に凹部26の中心に伝わる。このため、凹部26全体にわたってNEG粉末62の集合体内の熱伝導率を改善することが可能になる。
【0053】
一方で、排気の際には、NEG粉末62の粉末粒子間には空間が存在するため、ガス分子はこの空間に容易に入り込み、NEG粉末62に吸着される。この場合、粉末形状は表面積が非常に大きいため、ガス分子の吸着確率は非常に高まる。
【0054】
(実施例)
図10に示すNEGポンプを製作し、排気性能を調査した。
【0055】
内壁面に直径3mm、深さ10mmの凹部を363個形成した底部容器壁を含む、内径約60mmの円筒状容器(フランジ外形直径114mm)を作製し、凹部に約18gのNEG粉末をほぼ一様に入れて、NEGポンプとした。
【0056】
底部容器壁の外壁面に設置したヒータにより、このNEG粉末を450℃まで昇温した後、約1時間放置して室温まで下げ、排気実験をしたところ、窒素ガスに対しては約10L/sの排気速度が得られ、水素ガスに対しては約45L/sの排気速度が得られた。
【0057】
なお、上述の凹部にはNEG粉末を約100gまで入れることが可能であるから、目一杯にNEG粉末を充填すれば窒素に対しては55L/s、水素に対しては250L/sの排気速度をもつNEGポンプを提供することが可能である。
【0058】
以上のように、本NEGポンプでは、簡単な装置構成で、NEG材を効率的に活性化できるとともに、大きな排気量を得ることが可能になる。
【0059】
なお、この実施形態ではNEG粉末を収納する凹部は円筒状であるが、これに限られず、多角形状の筒形であってもよい。
【0060】
また、NEG粉末62を収納した凹部26の上部は開放されているが、図13に示すように、容器61内の排気すべきガス分子がNEG粉末62に移動するのを妨げないようにしつつ、凹部26内のNEG粉末62が飛散しないようにするため、多孔質の蓋部材64、例えば多孔質のSiCなどからなる蓋部材を用いて、NEG粉末62を収納した凹部26の上部を覆うようにしてもよい。
【0061】
(NEG粉末を収納する凹部の変形例)
図14及び図15は、それぞれ、第2実施形態のNEG粉末を収納する凹部の第1及び第2変形例を示す上面図である。
【0062】
図11では、多数の円筒状の凹部26が分散するように配置されているが、図14に示すように、容器の底部容器壁の内壁面に平面形状が細長い凹部26aが互いに並行して配置されていてもよいし、図15に示すように、容器の底部容器壁の内壁面に平面形状が円環状の凹部26bが同心円状に配置されていてもよい。なお、図14において、符号25aは凹部26a同士を仕切る仕切り壁であり、図15において、符号25bは凹部26b同士を仕切る隔壁である。凹部26a、26bは、図11の場合に準じて、幅が1〜10mmで、深さが5〜20mmとし、隔壁25a、25bの肉厚は、図11の場合と同じように、0.2〜1mmとする。
【0063】
この第1及び第2変形例によっても、第2実施形態と同様に、簡単な装置構成で、NEG粉末の集合体の熱伝導の悪さを補いながら、NEGを効率的に活性化できるとともに、大きな排気量を得ることが可能になる。
【0064】
(第3実施形態)
次に、NEG粉末を焼結し、錠剤に似た形状(円柱形状)にしたピル型NEGを用いた、本発明の第3実施形態に係るNEGポンプについて説明する。
【0065】
図16(a)は、ピル型NEG73の斜視図であり、図16(b)は、第3実施形態のNEGポンプ107の構成、及び容器71内における、図16(a)のピル型NEG73の配置を示す断面図である。
【0066】
この実施形態のピル型NEG73は、70%Zr, 24.6%V, 5.4%Fe合金の粉末を焼結したもので、図16(a)に示すように、直径10mm又は5mm、厚さ3mmの円形のピル形状を有する。
【0067】
この実施形態のピル型NEG73は、錠剤に似た焼結体であるため、取り扱いが容易である。また、粉末のようには飛散しないため、第2実施形態のNEG粉末で用いた多孔質の蓋部材64なども省略できる。よって、ガス放出する部材を極力減らすことができる。
【0068】
また、実験によれば、厚みのあるピル形状では、NEG73表面でのガスの吸着のみならず、NEG73内部においても吸着機能を有効に発揮させることができ、このため、NEG粉末よりも長く吸着機能を発揮させ続け得ることが分かった。なお、NEG粉末では、嵩を増しても内部のNEG粉末間の隙間が適度でなければ、表面に出たNEG粉末だけが有効に働くことになるという調整の難しさがある。
【0069】
NEGポンプ107は、図16(b)に示すように、ピル型NEG73を円筒状の容器71内に収納したものである。容器71は、底部容器壁71aと、側部容器壁71bと、フランジ71cとで構成され、上部が開放されている。ピル型NEG73は、容器71の底部容器壁71aの表面に敷き詰めて置かれる。なお、NEG担体は、NEGの粉末を焼結したピル型NEG73が底部容器壁71aに接して置かれたものである。
【0070】
ピル型NEG73を加熱するヒータ72は、第1及び第2実施形態と同様に、底部容器壁71aの形状に合わせて円板状を有し、上面全体を底部容器壁71aに密着させて設けられている。
【0071】
直径10mm、厚さ3mmのピル型NEG73を192個敷き詰めたNEGポンプを用い、温度450℃、10〜30分間の活性化処理の後、スループット法により排気速度を調査したところ、水素に対して400L/sが得られ、窒素に対して100L/sが得られた。
【0072】
ピル型NEG73では、次に説明する変形例のように容器内の配置を工夫することにより、排気速度をより一層向上させ、また、吸着機能をより一層長く持続させることができるようになる。
【0073】
(ピル型NEGの配置の変形例)
次に、図17(a)、(b)を参照して、ピル型NEGの容器内の配置を工夫した変形例について説明する。
【0074】
図17(a)はピル型NEGの容器内の配置を示す上面図で、(b)は(a)のVII-VII線に沿ってとられた断面図である。
【0075】
このピル型NEG73の配置の変形例では、図17(a)、(b)に示すように、底部容器壁71aの全面にわたって複数のボルト(支持部材)74がジグザグに並ぶように複数のボルト74を立設し、三角形をなすように配置された3つのボルト74の間にそれぞれピル型NEG73を保持するようにしている。
【0076】
ピル型NEG73の一つの保持部においては、図17(b)に示すように、3段にわたって3つのピル型NEG73を保持できるようにしている。1つのボルト74には、3段にわたって保持されたピル型NEG73相互間のスペーサとなり、かつピル型NEG73を支える、厚さ2〜3mmの円板状のナット(支持部材)75が挿入されている。すなわち、一つの保持部では、下から、ナット75、第1段目のピル型NEG73、ナット75、第2段目のピル型NEG73、ナット75、第3段目のピル型NEG73、ナット75というように積み上げられている。なお、一つの保持部において保持し得るピル型NEG73の個数は、3つ以外に、実用上問題のない範囲で任意に選択できる。
【0077】
底部容器壁71aの外に設けられたヒータ72の熱をピル型NEG73に効率よく伝えるため、ボルト74及びナット75は、ガスの放出が少なくかつ熱伝導に優れ、さらにNEGの熱処理で変形しないような材料、例えば、アルミニウム銅合金やベリリウム銅合金などが用いられる。
【0078】
なお、NEG担体は、NEG粉末を焼結したピル型NEG73が、底部容器壁71aの表面に立設された複数のボルト(支持部材)74の間に、かつナット(支持部材)75によって複数段(この変形例の場合、3段)にわたって支持されて、並んでいるものである。
【0079】
以上、図17に示すようなピル型NEG73の配置によって、ピル型NEG73を複数段にわたって敷き詰めることができ、しかも、ピル型NEG73の段間に隙間を設けてピル型NEG73の表面及び裏面をともに有効に働かせることができるので、排気速度をより一層向上させ、また、吸着機能をより一層長く持続させることができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態を図1〜図17を用いて説明したが、本発明の範囲は図1〜図17の例示に限られない。
【0081】
例えば、第1実施形態及びその変形例の、NEG粉末を固着した基体は金属に限ったものではなく、表面にNEG粉末を固着させ得るセラミックであってもよい。
【0082】
また、NEGは底部容器壁だけに設けられているが、これに限られない。NEGは側部容器壁だけに設けられてもよいし、底部容器壁及び側部容器壁の両方に設けられてもよい。
【0083】
また、押圧部材は、図5、図7及び図9の構造に限られない。NEG担体を固定し、かつ底部容器壁に密着して接触させ得るとともに、ガスを通過或いは透過させ得ることができれば、いかなる構造であってもよい。例えば、図5では、押圧部材の板厚を周辺部よりも中央部で薄くして、弾力性を持たせ、非蒸発型ゲッター担体上に置いたときに非蒸発型ゲッター担体の中心部の上に隙間ができるようにしているが、同じ厚さの板を湾曲させて、同じになるようにしてもよい。
【0084】
また、NEGポンプの容器の材料としてアルミニウム銅合金を用いているが、これに限られない。熱伝導が良好でガス放出が少なく、容器の強度が保たれる材料であればよい。
【0085】
また、NEGとして、NEG粉末だけを圧縮加圧して、形状が保持可能な固形体としたものを用いてもよい。
【0086】
また、第3実施形態では、ピル型NEGとして、円柱形状のNEGを用いたが、球形状のNEGを用いてもよい。
【0087】
以下に、実施形態で説明したこの発明を付記としてまとめる。
【0088】
(付記1)
容器と、
前記容器の内壁面に設けられた非蒸発型ゲッター担体と、
前記容器の外壁面に設けられ、前記非蒸発型ゲッター担体を容器壁を介して熱伝導により加熱するヒータと
を有する非蒸発型ゲッターポンプ。
【0089】
(付記2)
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末が基体の表面に固着されたものであることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0090】
(付記3)
前記基体は、前記容器の内壁面上に放射状に、渦巻き状に又は同心円状に置かれている
ことを特徴とする付記2記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0091】
(付記4)
前記非蒸発型ゲッター担体を前記内壁面に押圧する板状の押圧部材を有することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0092】
(付記5)
前記押圧部材は、中心部の周りに放射状にアームが延びている形状を有することを特徴とする付記4記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0093】
(付記6)
前記押圧部材は、前記非蒸発型ゲッター担体上に置いたときに該押圧部材と前記非蒸発型ゲッター担体の中心部との間に隙間ができる形状で、弾力性を有することを特徴とする付記5記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0094】
(付記7)
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末が収納された複数の凹部が前記容器壁の前記内壁面に形成されたものであることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0095】
(付記8)
前記複数の凹部は、平面形状が円形状又は多角形状であり、前記容器の内壁面に分散して配置されていることを特徴とする付記7記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0096】
(付記9)
前記複数の凹部は、平面形状が細長い形状で前記容器の内壁面に互いに並行して配置されていることを特徴とする付記7記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0097】
(付記10)
前記複数の凹部は、平面形状が円環状で前記容器の内壁面の中心に対して同心円状に配置されていることを特徴とする付記7記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0098】
(付記11)
前記複数の凹部を覆う、多孔質の材料で形成された蓋部材を有することを特徴とする付記7乃至10のいずれか1項に記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0099】
(付記12)
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末を焼結したピル型の非蒸発型ゲッターが前記容器壁に接して置かれたものであることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0100】
(付記13)
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末を焼結した球形状の非蒸発型ゲッターが前記容器壁に接して置かれたものであることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0101】
(付記14)
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末を焼結したピル型の非蒸発型ゲッターが、前記容器壁の表面に立設された複数の支持部材の間に、かつ該支持部材によって複数段にわたって支持されて、並んでいるものであることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0102】
(付記15)
前記支持部材は、前記容器壁の表面に立設されたボルトと該ボルトに挿入されたナットで構成され、前記ピル型の非蒸発型ゲッターを該非蒸発型ゲッターの上面及び下面の周辺部で前記ナットによって支持することを特徴とする付記14記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0103】
(付記16)
前記支持部材の材料は、アルミニウム銅合金であることを特徴とする付記14又は15に記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0104】
(付記17)
前記容器壁の材料は、アルミニウム銅合金であることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0105】
(付記18)
前記ヒータの周囲の前記容器壁は、他よりも厚さを薄くしたことを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0106】
(付記19)
前記ヒータの周囲の前記容器壁は、他よりも熱伝導率の小さい材料で形成されていることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0107】
(付記20)
前記ヒータの周囲の前記容器壁は、ベローズで形成されていることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0108】
(付記21)
前記容器の上部にフランジを有し、該フランジを介してチャンバと接続可能であることを特徴とする付記1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【符号の説明】
【0109】
1、1a、1b、21、71a 底部容器壁、
2、2c、22、71b 側部容器壁、
2a 上部の側部容器壁、
2b 下部の側部容器壁、
3a、3b、3c、23a、23b 肉厚の薄い帯状部分、
3d ベローズ、
4、4a、4b、4c、24、71c フランジ、
5 支柱、
5a ネジ部、
7 ナット、
8、17、27 真空処理装置のチャンバ、
11 基体、
12、62 NEG粉末、
30 熱、
25、25a、25b 隔壁、
26、26a、26b 凹部、
51、51a、51b、61、71 NEGポンプの容器、
52、52a、52b NEG担体、
53、53a、53b 押圧部材、
54、54a、54b、63、72 ヒータ、
64 多孔質の蓋部材、
73 ピル型NEG、
74 ボルト(支持部材)、
75 ナット(支持部材)、
101、102、103、104、105、106、107 NEGポンプ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、
前記容器の内壁面に設けられた非蒸発型ゲッター担体と、
前記容器の外壁面に設けられ、前記非蒸発型ゲッター担体を容器壁を介して熱伝導により加熱するヒータと
を有する非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項2】
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末が基体の表面に固着されたものであることを特徴とする請求項1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項3】
前記基体は、前記容器の内壁面上に放射状に、渦巻き状に又は同心円状に置かれていることを特徴とする請求項2記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項4】
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末が収納された複数の凹部が前記容器壁の前記内壁面に形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項5】
前記複数の凹部を覆う、多孔質の材料で形成された蓋部材を有することを特徴とする請求項4に記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項6】
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末を焼結したピル型の非蒸発型ゲッターが前記容器壁に接して置かれたものであることを特徴とする請求項1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項7】
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末を焼結したピル型の非蒸発型ゲッターが、前記容器壁の表面に立設された複数の支持部材の間に、かつ該支持部材によって複数段にわたって支持されて、並んでいるものであることを特徴とする請求項1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項8】
前記容器壁の材料は、アルミニウム銅合金であることを特徴とする請求項1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項9】
前記ヒータの周囲の前記容器壁は、他よりも厚さを薄くしたことを特徴とする請求項1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項10】
前記容器の上部にフランジを有し、該フランジを介してチャンバと接続可能であることを特徴とする請求項1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項1】
容器と、
前記容器の内壁面に設けられた非蒸発型ゲッター担体と、
前記容器の外壁面に設けられ、前記非蒸発型ゲッター担体を容器壁を介して熱伝導により加熱するヒータと
を有する非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項2】
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末が基体の表面に固着されたものであることを特徴とする請求項1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項3】
前記基体は、前記容器の内壁面上に放射状に、渦巻き状に又は同心円状に置かれていることを特徴とする請求項2記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項4】
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末が収納された複数の凹部が前記容器壁の前記内壁面に形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項5】
前記複数の凹部を覆う、多孔質の材料で形成された蓋部材を有することを特徴とする請求項4に記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項6】
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末を焼結したピル型の非蒸発型ゲッターが前記容器壁に接して置かれたものであることを特徴とする請求項1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項7】
前記非蒸発型ゲッター担体は、非蒸発型ゲッターの粉末を焼結したピル型の非蒸発型ゲッターが、前記容器壁の表面に立設された複数の支持部材の間に、かつ該支持部材によって複数段にわたって支持されて、並んでいるものであることを特徴とする請求項1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項8】
前記容器壁の材料は、アルミニウム銅合金であることを特徴とする請求項1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項9】
前記ヒータの周囲の前記容器壁は、他よりも厚さを薄くしたことを特徴とする請求項1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【請求項10】
前記容器の上部にフランジを有し、該フランジを介してチャンバと接続可能であることを特徴とする請求項1記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−225337(P2012−225337A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195658(P2011−195658)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(503008974)有限会社真空実験室 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(503008974)有限会社真空実験室 (7)
【Fターム(参考)】
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