説明

非還元性β−グルカン誘導体

グルコース残基3以上のβ−グルカン残基と該残基に化学結合した非還元糖残基とを有するβ−グルカンの誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はβ−グルカン誘導体、β−グルカン誘導体と1種以上の活性成分を含む組成物、該β−グルカン誘導体の製造方法に関する。より詳細には、医薬、農薬、肥料、飼料、食品、工業、化粧品等の用途において、末端にアミノ基を有する活性成分と化学的相互作用(メイラード反応等)を起こしにくく、安定に組成物に配合できるβ−グルカン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬、農薬、肥料、飼料、食品、工業、化粧品等の固形製剤において、活性成分にβ−グルカン粉末である結晶セルロースやセルロース粉末を添加し製剤とすることで、活性成分に結合性、崩壊性を付与でき、錠剤や顆粒剤等の製剤としての形状が保持できること、消化管で速やかに製剤が崩壊することにより活性成分の薬効を効果的に発現できること等の効果が得られる。
結晶セルロースの中でも、圧縮成形性に優れるものは、低打圧で打錠できるため打圧で失活する活性成分の活性維持が可能である、顆粒含有錠とできる、少量添加で硬度を付与できるため、嵩高い活性成分の錠剤化や多種類の活性成分を含む薬剤の錠剤化が可能で、場合によっては小型化できる、液状成分の担持性に優れ、打錠障害を抑制できる等の利点を有する。
しかしながら、従来の結晶セルロースやセルロース粉末では、還元末端に反応性の高い還元基(カルボニル基)を有していることから、末端にアミノ基を有する活性成分とアミノ−カルボニル反応(メイラード反応)を生じ、アミノカルボニル結合を形成して着色する場合があり、そのような活性成分の製剤中へ結晶セルロースやセルロース粉末を添加できないという課題があった。
【0003】
結晶セルロース、セルロース粉末の還元末端を不活性化する方法としては、(1)水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤により還元末端をアルコールとする方法、(2)亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤により還元末端をカルボン酸にする方法、(3)酵素的処理により還元末端を化学修飾する方法等が挙げられる。しかしながら(1)又は(2)においては最終的に得られる結晶セルロース、セルロース粉末中に還元剤又は酸化剤が残留する、反応中に解重合が進み成形性が低下する等の安全性の問題、機能低下の問題があった。また(3)においては、転移酵素や水解酵素が糖転移反応により糖鎖が付加される場合、そのほとんどが非還元末端側から反応が進行するため、結晶セルロース、セルロース粉末の酵素による還元末端の化学修飾は不可能と考えられていた。
【0004】
一方、近年、健康志向の増大に伴い、グルコシル基あるいはフルクトシル基転移酵素を用いた種々の生理活性を有するオリゴ糖、有用配糖体の合成等の研究が盛んに行われており、カップリングシュガー、フルクトオリゴ糖、パラチノース、α−グルコシルステビオシドなどが低う触性、ビフィズス菌増殖因子等の性質を有するものとして実用化されている。フルクトシル基転移酵素としてはBacillus subtilis産生のレバンシュクラーゼ及びAspergillus niger、Penicillium oxalicum、Penicillium frequentans、Penicillium sp.K25など、かびの産生するβ−フルクトフラノシダーゼが知られている。
【0005】
特許文献1及び非特許文献1にArthrobacter sp.K−1株が産生するβ−フルクトフラノシダーゼの転移反応が記載されているが、β−グルカンの例としてはグルコース残基が2であるセロビオースを基質とした生成物が記載されているのみであり、グルコース残基が3以上のβ−グルカンにフルクトースが結合した生成物や、結晶セルロース、セルロース粉末の還元末端にフルクトースが結合した生成物について、これらが本来有する成形性や崩壊性等の機能を保持しつつ、さらにアミノ基を有する活性成分との反応を不活性化することで、従来使用できなかった活性成分を製剤化できるという有用性については全く考えられていなかった。
【特許文献1】特開平4−91795号公報
【非特許文献1】澱粉科学、第39巻、第2号、p.135〜142(1992)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、医薬、農薬、肥料、飼料、食品、工業、化粧品等の用途において、末端にアミノ基を有する活性成分と化学的相互作用(メイラード反応等)を起こさず、安定的に組成物に配合できるセルロース粉末であって、安全性の問題、機能低下の問題のないセルロース粉末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、セルロースへの糖転移反応について鋭意検討を重ねた結果、Arthrobacter属が産生するβ−fructofrunosidaseが効果的に、還元末端側からの糖転移反応が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、下記の通りである。
(1)グルコース残基3以上のβ−グルカン残基と該残基に化学結合した非還元糖残基とを有するβ−グルカンの誘導体。
(2)グルコース残基3−1000を有する(1)に記載のβ−グルカンの誘導体。
(3)グルコース残基3−450を有する(1)又は(2)に記載のβ−グルカンの誘導体。
(4)グルコース残基40−450を有する(1)−(3)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(5)グルコース残基3−39を有する(1)−(3)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(6)グルコース残基40−450を有し、医薬食品用添加剤として用いることを特徴とする(1)−(4)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(7)グルコース残基3−39を有し、医薬食品用添加剤として用いることを特徴とする(1)−(3)及び(5)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(8)非還元糖がフルクトシル基である(1)−(7)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(9)β−グルカン残基と非還元糖残基の化学結合がエーテル結合又はエステル結合である(1)−(8)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(10)β−グルカン残基と非還元糖残基の化学結合がエーテル結合である(1)−(9)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(11)β−グルカンの誘導体が常温、常圧において粉末である(1)−(10)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(12)還元末端に非還元糖が化学結合してなるグルコース残基3以上のβ−グルカンの誘導体。
(13)還元末端に非還元糖が化学結合してなるグルコース残基3−1000を有する(12)に記載のβ−グルカンの誘導体。
(14)還元末端に非還元糖が化学結合してなるグルコース残基3−450を有する(12)又は(13)に記載のβ−グルカンの誘導体。
(15)還元末端に非還元糖が化学結合してなるグルコース残基40−450を有する(12)−(14)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(16)還元末端に非還元糖が化学結合してなるグルコース残基3−39を有する(12)−(15)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(17)還元末端に非還元糖が化学結合してなるグルコース残基40−450を有し、医薬食品用添加剤として用いることを特徴とする(12)−(15)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(18)還元末端に非還元糖が化学結合してなるグルコース残基3−39を有し、医薬食品用添加剤として用いることを特徴とする(12)−(14)及び(16)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(19)非還元糖がフルクトシル基である(12)−(18)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(20)β−グルカン残基と非還元糖残基の化学結合がエーテル結合又はエステル結合である(12)−(19)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(21)β−グルカン残基と非還元糖残基の化学結合がエーテル結合である(12)−(20)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(22)β−グルカンの誘導体が常温、常圧において粉末である(12)−(21)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
(23)(1)−(22)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体と少なくとも1つの活性成分とを含んでなる医薬又は食品組成物。
(24)(1)−(23)のいずれか一項に記載のβ−グルカンと、スクロースを基質として用い、酵素によりスクロース中のフルクトシル基を該β−グルカンに糖転移させることを含む(1)−(23)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体の製造方法。
(25)糖転移反応に用いる酵素がβ−フルクトフラノシダーゼである(1)−(24)のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のβ−グルカン誘導体は、主として医薬、食品用途において、末端にアミノ基を有する活性成分と化学的相互作用(メイラード反応等)を起こしにくく、医薬品食品用添加剤として安定性の問題や機能低下の問題のない組成物を提供する効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明においてβ−グルカンはグルコース残基数が3以上である必要がある。なお、本発明においてグルコース残基の数とは基質としてのβ−グルカンのグルコース残基の数を言う。3未満だと水溶解性が強くなるため、本発明のβ−グルカン誘導体を含む成型体に十分な崩壊作用を与えることができず、また、粒子強度が弱くなるため、成型体に十分な圧縮成形作用を与えることができない。ここでいう崩壊作用とは、該β−グルカン誘導体を賦形剤として使用した際に、得られた錠剤、顆粒様の成型体を、水中で崩壊させる作用のことであり、医薬品等の活性成分の水中拡散性、速効性に関わるものである。また、ここでいう圧縮成型作用とは、該β−グルカン誘導体を賦形剤として使用した組成物、顆粒を圧縮成型し、錠剤様の成型体を得る際に、成型体に十分な強度を与える作用のことである。グルコース残基数の上限は特に規定しないが、β−グルカン誘導体中のセルロース残基数が多すぎると、β−グルカン誘導体粒子が繊維状になり、成形性、崩壊性が低下するので1000が一応の目安である。成形性、崩壊性のバランスに優れているものとして、グルコース残基は6〜800が好ましく、40〜450が更に好ましい。
【0010】
また、本発明のβ−グルカン誘導体を生理活性剤として使用する場合は、グルコース残基数は3以上が好ましく、特に好ましくは3−1000であり、更に好ましくは3−450であり、最も好ましくは3−39である。ここでいう生理活性とは、本発明の非還元性β−グルカン誘導体の化学構造に由来し、人体に有益に作用する効果のことであり、より詳しくは、β−グルカン及び/又は非還元糖の化学構造に由来する生理活性のことを指す。上記の生理活性を発現させるためには、β−グルカン誘導体がある程度の親水性を有することが好ましく、それを達成するには上記のグルコース残基数の範囲にあることが好ましい。β−グルカン構造由来の生理活性としては、例えば、ビフィズス菌、乳酸菌等の腸内有用細菌叢賦活性、短鎖・中鎖脂肪酸発酵能、脂質・糖質代謝性、便通改善性が挙げられる。また、非還元糖として、フルクトシル基を有する場合の、非還元糖部位由来の生理活性としては、例えば、アレルギー改善性、肝機能強化性、免疫強化性、ミネラルの腸管吸収改善性が挙げられる。
【0011】
本発明のβ−グルカン誘導体において、非還元糖の受容体としてのβ−グルカン部のガラス転移点は55℃以上であることが好ましい。ここでいうガラス転移点は、示差走査熱分析(DSC)により測定する。ガラス転移点は、β−グルカンの結晶性を表す指標であり、上述の成型体の崩壊性と密接に関係するものである。ガラス転移点が高いほど、β−グルカン誘導体粉末の水溶性が小さくなるため、成型体の崩壊性は向上し、ガラス転移点が55℃未満であると、β−グルカン誘導体の水溶性が大きくなるため、成型体の崩壊性は低下する。ガラス転移点は60℃以上であることが特に好ましく、70℃以上であることが更に好ましい。
【0012】
本発明のβ−グルカン誘導体は全ての還元末端に非還元末端が結合している必要はなく、アミノ基を有する医薬品等の有効成分が安定的に存在し得る程度に非還元末端が結合していればよい。β−グルカン還元末端の非還元糖への転換率としては、0.1モル%以上であることが好ましい。この活性成分が安定的に存在し得るか否かは、活性成分とβ−グルカン誘導体の等量混合物を40℃、75%下での保存安定性試験による着色状態で簡便に見ることができる。β−グルカンは還元末端を有しているため、末端にアミノ基を有する活性成分とアミノカルボニル結合を形成し着色するメイラード反応を起こすことが知られているが、本発明のβ−グルカン誘導体は、還元末端を非還元糖で不活性化しているため着色反応を起こさないという優れた効果を有する。本発明の効果は特に1級アミンを有する活性成分に有効である。
【0013】
本発明のβ−グルカンは、β−グルカンの化学構造中の還元性末端を非還元性にできるものであれば、方法は特に制限はないが、例えば、β−グルカンの還元性末端に非還元糖を化学結合させる方法が好ましい。ここでいう非還元糖とは、β−グルカンの還元末端のC−1位に結合させる糖残基のことであり、β−グルカンのC−1位に化学結合させβ−グルカン誘導体とした際に、該β−グルカン誘導体が非還元性となるものであれば、非還元糖の種類、構造、β−グルカンとの結合部位、α型、β型等の結合様式には制限はない。例えば、β−グルカンに結合させる非還元糖としての単糖類としては、フルクトース、グルコース、ガラクトース、マンノース等の公知のヘキソース又はその異性体、誘導体、キシロース、アラビノース等のペントース又はその異性体、誘導体、エリトロース、トレオース等のテトロース又はその異性体、誘導体が挙げられる。この中で、フルクトースを非還元糖とする場合は、スクロースからフルクトース残基をβ−グルカンの還元性末端に転移させ、β−グルカンの還元性末端C−1位にフルクトースのC−2位を結合させ、β−グルカン誘導体の末端をスクロース構造とすることにより、得られたβ−グルカン誘導体が非還元性となる。それに対し、グルコース、ガラクトース、マンノース糖は、それ自身のC−1位が還元性を示すため、β−グルカンの還元性末端C−1位とこれらの糖残基中のC−1位を結合させる必要がある。さらに、本発明のβ−グルカンの還元性末端C−1位に結合させる非還元糖としての二糖類としては、スクロース、トレハロース等のそれ自身が還元性を示さない二糖類又はその異性体、誘導体が挙げられる。上記スクロース、トレハロース以外でも、公知のヘキソース、ペントース、テトロースの組み合わせで得られる二糖類であり、その構成単糖のC−1位同士を結合させ、還元性を示さないものであればこれに含まれる。これらの非還元性の二糖類は、それ自身が還元性を示さないため、β−グルカンのC−1位に結合していれば、それが二糖類のどの構成単糖と結合していてもよい。上記の中で、β−グルカンの還元性末端に結合させる非還元糖としては、フルクトース中のC−2位を、酵素転移によりβ−グルカンの還元性末端C−1位に結合させたものが、収率的な面において好ましい。
【0014】
本発明のβ−グルカン誘導体は、公知の化学合成反応、公知の酵素反応によりグルコース残基3以上のβ−グルカンに非還元糖を結合させたものであればよいが、安全性、機能の点でβ−フルクトフラノシダーゼによるフルクトース転移反応を用いるのが最も有効な方法である。フルクトースを結合させるためには、公知の化学合成反応、公知の酵素反応を用いることができ、そのための出発物質も公知のものを用いることができる。
本発明で用いられるβ−フルクトフラノシダーゼは微生物を用いて生産される。その生成菌としては、Arthrobacter属に属し、フルクトース転移反応を行う酵素を生産する能力を有しているものであればよく、Arthrobacter globiformis NBRC 3062、Arthrobacter aurescens等とその変異種、変異株等が挙げられる。上記Arthrobacter globiformis NBRC 3062は、従前は、(財)発酵研究所によりIFO 3062なる菌株番号にて分譲可能であったが、2002年7月1日以降は、(独)製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門(NBRC)によりNBRC 3062なる菌株番号にて分譲可能となっている。なお、本株はまた、Arthrobacter globiformis(Conn 1928)Conn and Dimmick 1947なる名称で本願出願人により、2004年11月5日に独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566))にも、特許手続上の微生物の寄託等の国際的承認に関するブタペスト条約の下、受託番号FERM BP−10159として寄託されている。変異手段としては公知のものでよく、例えばラジオアイソトープ、紫外線、ニトロソグアニジン、遺伝子組換え等を用いることができる。
【0015】
上記微生物を培養するための培地としては、炭素源、窒素源を含有し、微生物が最も効率よくβ−フルクトフラノシダーゼを産生できる組成の培地であれば特に制限されない。炭素源としてはショ糖、マルトース、ラクトース、可溶性澱粉等が挙げられる。窒素源としては硝酸塩、アンモニウム塩、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー等が挙げられる。この他、マグネシウム塩、カルシウム塩、リン酸塩などの無機塩類等、微生物の生育に必要な栄養物質を培地に適宜加えることができる。好ましい培地組成としては、例えば、1%ポリペプトン、0.2%酵母エキス、0.1%MgSOを含むものである。
本発明で用いるβ−フルクトフラノシダーゼを生産するためには、選定した培地に上記微生物を植菌し、pHを中性乃至微酸性、温度を20℃〜45℃、好ましくは30℃〜40℃に保ちつつ、10時間程度〜数日振とう又は通気攪拌培養すればよい。以上のようにして得られた培養物から酵素は公知の方法で採取、精製できる。例えば、培養物から遠心分離し、菌体を除いた上清液を粗酵素液として使用できる。さらに必要に応じて公知の方法、例えば塩析法、疎水クロマトグラフィー法、ゲルろ過法、イオン交換クロマトグラフィー法等を単独又は組合わせて精製することができる。
本発明で用いるβ−フラクトフラノシダーゼはショ糖による酵素誘導型であり、ショ糖の最適濃度である2.5%付近で最適活性を示す。
【0016】
本発明のβ−グルカン誘導体は、下記方法に限定されるものではないが、例えばグルコース残基3以上のβ−グルカンの存在下、ショ糖に、上記のようにして得られるβ−フルクトフラノシダーゼを作用させて、末端に非還元性糖であるフルクトースが結合したβ−グルカン誘導体を含有する分散液とした後、乾燥することにより得られる。反応を行うに際し、本酵素の性質を考慮して、目的とする末端に非還元性糖であるフルクトースが結合したβ−グルカン誘導体の精製が最大となるような条件を選定すべきである。また乾燥方法は特に制限はないが、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、棚段乾燥、気流乾燥、真空乾燥及び有機溶媒乾燥等、一般的に行われる乾燥方法が挙げられる。
【0017】
本発明で用いるβ−フルクトフラノシダーゼとしては、分子量が60000、比活性が102U/mg、反応速度パラメータがKm=2.6mM、Vmax=127μmol/min/mgである単一精製酵素が好ましい。
本発明で用いるβ−フルクトフラノシダーゼと全く同様のフルクトース転移活性を有するものとしては、例えば上述のArthrobacter globiformis NBRC 3062(FERM受託番号FERM BP−10159)から単離されるβ−フルクトフラノシダーゼをコードする遺伝子からクローニングした蛋白質が挙げられる。この蛋白質についての全ての情報を記述することは困難であるものの、N−末端構造解析により10個の特異的な配列を有していることが明らかとなり、ATDAAPGFPQ(配列番号1)で示される(A:アラニン、T:スレオニン、D:アスパラギン酸、P:プロリン、G:グリシン、F:フェニルアラニン、Q:グルタミン)。従って本発明のフルクトース転移活性を有する酵素を使用しているか否かは、反応系に含まれる蛋白質のN?末端の配列10個を調べることによって確認することができる。
【0018】
本発明のβ−グルカン誘導体は、本発明のβ−グルカン誘導体と1種以上の活性成分を含む組成物とすることができる。活性成分とは、医薬品薬効成分、農薬成分、肥料成分、飼料成分、食品成分、化粧品成分、色素、香料、金属、セラミックス、触媒、界面活性剤等を言い、粉体状、結晶状、油状、液状、半固形状などいずれの形態でもよく、細粒、顆粒等の形態を有していてもよい。また溶出制御、苦味低減等の目的でコーティングを施したものであってもよい。活性成分は、それ単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
例えば医薬品薬効成分としては、解熱鎮痛消炎薬、催眠鎮静薬、眠気防止薬、鎮暈薬、小児鎮痛薬、健胃薬、制酸薬、消化薬、強心薬、不整脈用薬、降圧薬、血管拡張薬、利尿薬、抗潰瘍薬、整腸薬、骨粗鬆症治療薬、鎮咳去痰薬、抗喘息薬、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤など、経口で投与されるものが対象となる。薬効成分は、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0019】
本発明でいう組成物は、活性成分、本発明のβ−グルカン誘導体粉末の他に、必要に応じて賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤等の他の成分を含有することも自由である。また他の成分は希釈剤として使用することも自由である。
結合剤としては、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖、トレハロース等の糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、グルコナンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類、結晶セルロース(例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製、「セオラス」PH−101、PH−101D、PH−101L、PH−102、PH−301、PH−301Z、PH−302、PH−F20、PH−M06、M15、M25、「セオラス」KG−801、KG−802等)、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機化合物類等を挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
結晶セルロースの中でも、圧縮成形性に優れるものは、低打圧で打錠できるため打圧で失活する活性成分の活性維持が可能である、顆粒含有錠とできる、少量添加で硬度を付与できるため、嵩高い活性成分の錠剤化や多種類の活性成分を含む薬剤の錠剤化が可能で、場合によっては小型化できる、液状成分の担持性に優れ、打錠障害を抑制できる等の利点を有する。
【0020】
崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、コメデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、結晶セルロース、粉末セルロース等のセルロース類、クロスポビドン、クロスポビドンコポリマー等の合成高分子等を挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等のケイ素化合物類を挙げることができ、それ単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等が挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0021】
矯味剤としては、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、1−メントール等を挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
香料としては、オレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール、ウイキョウ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油等の油類、緑茶末等を挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
着色剤としては、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、銅クロロフィンナトリウム、酸化チタン、リボフラビンなどを挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
甘味剤としては、アスパルテーム、サッカリン、ギリチルリチン酸二カリウム、ステビア、マルトース、マルチトール、水飴、アマチャ末等を挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
【0022】
本発明でいう組成物の例としては、医薬品に用いる場合、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、エキス剤、丸剤、ドライシロップ剤等の固形製剤が挙げられ、例えば押出造粒、破砕造粒、流動層造粒、高速攪拌造粒、転動流動造粒等の公知の方法により製造できる。またドリンク等の液剤を公知の方法で製造することができる。医薬品に限らず、菓子、健康食品、食感改良剤、食物繊維強化剤等の食品、固形ファンデーション、浴用剤、動物薬、診断薬、農薬、肥料、セラミックス触媒等に利用されるものであってもよい。
本発明でいう組成物の例としては、生産性、服用性、取扱いのよさから、錠剤とするのが好ましい。錠剤は直接打錠法、乾式顆粒圧縮法、湿式顆粒圧縮法、後末法等で得られ、予め圧縮成形した錠剤を内核とする多核錠であってもよいが、コスト、簡便性の観点から直接打錠により得られた錠剤が特に好ましい。
【0023】
また本発明でいう組成物は、味のマスキング、防湿等の目的でコーティングが施されていてもよい。コーティング剤としては、例えばセルロース系コーティング剤(エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテート等)、アクリルポリマー系コーティング剤(オイドラギットRS、オイドラギットL、オイドラギットNE等)、シェラック、シリコン樹脂等が挙げられ、これらを単独又は2つ以上組み合わせて用いてもよい。これらのコーティング剤の使用方法としては公知の方法を用いることができる。コーティング剤は有機溶媒に溶解しても、水に懸濁させてもよい。水に懸濁させた状態で医薬品活性成分や他の成分とともに造粒することも自由である。
また、本発明のβ−グルカン誘導体粉末は、医薬、食品用途等において、ビフィズス菌を始めとする腸内有用細菌の増殖因子、食物繊維等として整腸効果が期待され、これらの目的で組成物に添加することも自由である。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0024】
製造例1
普通寒天斜面培地にArthrobacter globiformis NBRC3062(FERM受託番号BP−10159)を接種し、37℃で2日間培養後、その1白金耳を取り、1%ポリペプトン、0.2%酵母エキス、0.1%MgSOの組成からなる培地に植菌し、30℃で2日間通気振とう培養した。培養液を遠心分離して上清をDEAE−toyopearl650Mクロマトグラフィー、さらにその溶出液のToyopearl HW−55ゲルろ過、さらにFPLCクロマトグラフィーにより精製酵素を得た。
【実施例1】
【0025】
5%ショ糖、5%セロトリオース(Aldrich製)、製造例1で得られた精製酵素を加えてリン酸緩衝液(pH7.0)中、37℃で20時間反応させ、セロトリオースの還元末端にフルクトースが結合した転移生成物を得た。転移生成物の構造はプロトンNMR、カーボンNMRにより確認した(図1及び表1)。
フルクトースが結合したか否かは、マススペクトルによる[180−18]のピークの増加とL−アルギニンとの等量混合物の保存安定性試験(40℃、75%RH、密栓保存、2週間)により確認した。白色度の低下率は2%(開始時99%、試験後97%)であった。見た目にも白色を維持していた。
得られた転移生成物粉末200mgを、φ8mmの円柱状臼に導入し、φ8mmの平面杵を用いて、25kNで10秒間保持し、圧縮し、円柱状成型体を得た。
得られた円柱状成型体の硬度は、シュロインゲル硬度計(商品名)(フロイント産業(株)製、6D型)を用いて、円柱状成型体又は錠剤の直径方向に荷重を加え、破壊し、そのときの荷重を測定した。試料10個の平均値で表した。また、得られた円柱状成型体の崩壊時間を、第14改正日本薬局方、一般試験法、錠剤の崩壊試験法に準じ、崩壊試験器(富山産業(株)製、商品名NT−40HS型、ディスクあり)で、37℃、純水中における崩壊時間として求めた。試料6個の平均値で表した。
円柱状成型体の硬度は70Nであり、崩壊時間は58秒であった。
【実施例2】
【0026】
1.25%ショ糖、1.25%グルコース残基40のβ−グルカン、製造例1で得られた精製酵素を加えてリン酸緩衝液(pH7.0)中、37℃で9時間反応させ、グルコース残基40のβ−グルカンの還元末端にフルクトースが結合した転移生成物を得た。
フルクトースが結合したか否かは、マススペクトルによる[180−18]のピークの増加とL−アルギニンとの等量混合物の保存安定性試験(40℃、75%RH、密栓保存、2週間)により確認した。白色度の低下率は3%(開始時99%、試験後96%)であった。見た目にも白色を維持していた。
圧縮圧を1kNとして、実施例1と同様に、円柱状成型体を作成し、硬度と崩壊時間を測定した結果、円柱状成型体の硬度は60Nであり、崩壊時間は40秒であった。
【実施例3】
【0027】
1.25%ショ糖、1.25%グルコース残基220のβ−グルカン、製造例1で得られた精製酵素を加えてリン酸緩衝液(pH7.0)中、37℃で9時間反応させ、グルコース残基220のβ−グルカンの還元末端にフルクトースが結合した転移生成物を得た。
フルクトースが結合したか否かは、マススペクトルによる[180−18]のピークの増加とL−アルギニンとの等量混合物の保存安定性試験(40℃、75%RH、密栓保存、2週間)により確認した。白色度の低下率は2%(開始時99%、試験後97%)であった。見た目にも白色を維持していた。
圧縮圧を0.75kNとして、実施例1と同様に、円柱状成型体を作成し、硬度と崩壊時間を測定した結果、円柱状成型体の硬度は60Nであり、崩壊時間は26秒であった。
【実施例4】
【0028】
1.25%ショ糖、1.25%グルコース残基500のβ−グルカン、製造例1で得られた精製酵素を加えてリン酸緩衝液(pH7.0)中、37℃で9時間反応させ、グルコース残基500のβ−グルカンの還元末端にフルクトースが結合した転移生成物を得た。
フルクトースが結合したか否かは、重合度の測定とL−アルギニンとの等量混合物の保存安定性試験(40℃、75%RH、密栓保存、2週間)により確認した。白色度の低下率は1%(開始時99%、試験後98%)であった。見た目にも白色を維持していた。
圧縮圧を0.5kNとして、実施例1と同様に、円柱状成型体を作成し、硬度と崩壊時間を測定した結果、円柱状成型体の硬度は80Nであり、崩壊時間は280秒であった。
【0029】
比較例1
グルコース残基220のβ−グルカンである「セオラス」PH−101(旭化成ケミカルズ株式会社製)とL−アルギニンとの等量混合物を保存安定性試験(40℃、75%RH、密栓保存、2週間)したところ、白色度の低下率は10%(開始時99%、試験後89%)であった。見た目に明らかに黄変していた。
【0030】
比較例2
5%ショ糖、5%セロビオース(Aldrich製)、製造例1で得られた精製酵素を加えてリン酸緩衝液(pH7.0)中、37℃で20時間反応させ、セロビオースの還元末端にフルクトースが結合した転移生成物を得た。
フルクトースが結合したか否かは、重合度の測定とL−アルギニンとの等量混合物の保存安定性試験(40℃、75%RH、密栓保存、2週間)により確認した。白色度の低下率は3%(開始時99%、試験後96%)であった。見た目にも白色を維持していた。
圧縮圧を35kNとして、実施例1と同様に、円柱状成型体を作成し、硬度と崩壊時間を測定した結果、円柱状成型体の硬度は80Nであり、崩壊時間は300秒であった。
【0031】
参考例1
1.25%ショ糖、1.25%グルコース残基1064のβ−グルカン、製造例1で得られた精製酵素を加えてリン酸緩衝液(pH7.0)中、37℃で12時間反応させ、グルコース残基1064のβ−グルカンの還元末端にフルクトースが結合した転移生成物を得た。
フルクトースが結合したか否かは、重合度の測定とL−アルギニンとの等量混合物の保存安定性試験(40℃、75%RH、密栓保存、2週間)により確認した。白色度の低下率は2%(開始時99%、試験後97%)であった。見た目にも白色を維持していた。
圧縮圧を0.5kNとして、実施例1と同様に、円柱状成型体を作成し、硬度と崩壊時間を測定した結果、円柱状成型体の硬度は40Nであり、崩壊時間は3600秒であった。
【0032】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、医薬、農薬、肥料、飼料、食品、工業、化粧品等の用途において、末端にアミノ基を有する活性成分と化学的相互作用(メイラード反応等)を起こしにくいため、安定的な組成物を提供でき、主として医薬、食品用途等の分野において好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】転移反応及び転移生成物の模式図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコース残基3以上のβ−グルカン残基と該残基に化学結合した非還元糖残基とを有するβ−グルカンの誘導体。
【請求項2】
グルコース残基3−1000を有する請求項1に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項3】
グルコース残基3−450を有する請求項1又は2に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項4】
グルコース残基40−450を有する請求項1−3のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項5】
グルコース残基3−39を有する請求項1−3のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項6】
グルコース残基40−450を有し、医薬食品用添加剤として用いることを特徴とする請求項1−4のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項7】
グルコース残基3−39を有し、医薬食品用添加剤として用いることを特徴とする請求項1−3及び5のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項8】
非還元糖がフルクトシル基である請求項1−7のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項9】
β−グルカン残基と非還元糖残基の化学結合がエーテル結合又はエステル結合である請求項1−8のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項10】
β−グルカン残基と非還元糖残基の化学結合がエーテル結合である請求項1−9のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項11】
β−グルカンの誘導体が常温、常圧において粉末である請求項1−10のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項12】
還元末端に非還元糖が化学結合してなるグルコース残基3以上のβ−グルカンの誘導体。
【請求項13】
還元末端に非還元糖が化学結合してなるグルコース残基3−1000を有する請求項12に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項14】
還元末端に非還元糖が化学結合してなるグルコース残基3−450を有する請求項12又は13に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項15】
還元末端に非還元糖が化学結合してなるグルコース残基40−450を有する請求項12−14のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項16】
還元末端に非還元糖が化学結合してなるグルコース残基3−39を有する請求項12−15のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項17】
還元末端に非還元糖が化学結合してなるグルコース残基40−450を有し、医薬食品用添加剤として用いることを特徴とする請求項12−15のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項18】
還元末端に非還元糖が化学結合してなるグルコース残基3−39を有し、医薬食品用添加剤として用いることを特徴とする請求項12−14及び16のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項19】
非還元糖がフルクトシル基である請求項12−18のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項20】
β−グルカン残基と非還元糖残基の化学結合がエーテル結合又はエステル結合である請求項12−19のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項21】
β−グルカン残基と非還元糖残基の化学結合がエーテル結合である請求項12−20のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項22】
β−グルカンの誘導体が常温、常圧において粉末である請求項12−21のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体。
【請求項23】
請求項1−22のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体と少なくとも1つの活性成分とを含んでなる医薬又は食品組成物。
【請求項24】
請求項1−23のいずれか一項に記載のβ−グルカンと、スクロースを基質として用い、酵素によりスクロース中のフルクトシル基を該β−グルカンに糖転移させることを含む請求項1−23のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体の製造方法。
【請求項25】
糖転移反応に用いる酵素がβ−フルクトフラノシダーゼである請求項1−24のいずれか一項に記載のβ−グルカンの誘導体の製造方法。

【図1】
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【国際公開番号】WO2005/052008
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【発行日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515809(P2005−515809)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017562
【国際出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】