説明

非鉄金属用腐食防止組成物

【課題】非鉄金属用腐食防止組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、金属工作液として使用するための添加剤組成物、及び腐食又は酸化分解に対する、金属、特に亜鉛又はアルミニウムの保護方法に関するものである。前記組成物は、機能油中に、アルケニルコハク酸半エステル、置換されたイミダゾリン化合物及びリン酸アミン部分エステルからなる添加剤混合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属工作液又は腐食保護油として使用するための添加剤組成物及び、腐食又は酸化分解に対する、金属、特に亜鉛又はアルミニウム合金の保護方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
腐食に対して金属を保護する目的を有する添加剤は通常、以下の二種類に分類される。
金属奪活剤は、銅又は真鍮のような黄色金属を保護するために使用され、そして機能液例えば鉱油又は燃料中で、その中に含まれる金属イオンを奪活することにより、その保護作用を示す。これらの金属イオンは、鉱油又は燃料の望ましくない酸化分解において、触媒効果を有し得る。前記保護作用は、金属表面におけるフィルム状の層の形成により、又は金属イオンとの錯体形成により、説明される。
腐食防止剤は、鉄金属例えば鉄又は鋼を保護するために主に使用される。金属奪活剤と同様に、腐食防止剤も、金属表面にフィルム状の層を形成している。加えて、ある腐食防止剤は、水を乳化し、従って水と金属表面との直接接触を最小化することにより、腐食を阻止することができる。
現在、金属保護方法は主に、鉄表面及び銅表面に集中している。しかしながら、他の金属例えば亜鉛及びアルミニウム及びそれらの関連合金が、多くの工業用途において非常に重要になっている。亜鉛及びアルミニウムは、例えば、自動車の製造において広く使用される。亜鉛は、鋼の腐食保護コーティング、例えば亜鉛コートされた鋼コイルとして、広く使用される。腐食の問題は、半ば完成された金属製品の移送、取扱及び工作中にしばしば起こる。残念なことに、現在使用される金属奪活剤組成物は、これらの金属表面を保護するためにあまり満足されるものでなく、又は、不満足でさえある。従って、これらの金属の腐食を阻止するための改良された金属工作液の明確な要求が存在する。
英国特許第795,491号明細書は、アルケニルコハク酸半エステルの製造及び、蒸気タービン潤滑添加剤としてのそれらの用途を開示している。
英国特許第1,043,488号明細書は、置換されたイミダゾリン化合物及びリン酸塩部分エステルを含む潤滑油組成物を開示している。
米国特許出願公開第2005/0272614号明細書は、置換されたイミダゾリン化合物及び中性の金属スルホン酸塩腐食防止剤が存在する腐食防止組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許第795,491号明細書
【特許文献2】英国特許第1,043,488号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0272614号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
驚くべきことに、機能液、例えば油中のアルケニルコハク酸半エステル、置換されたイミダゾリン化合物及びリン酸アミン部分エステルの混合物が、亜鉛試料、亜鉛コートされた鋼試料及びアルミニウム金属試料の腐食を阻止することが見出された。この腐食防止効果は、追加の腐食防止剤、例えば置換されたイミダゾリン及びリン酸アミン部分エステルとの更なる混合により増加することができる。
【0005】
本発明は、
A)
a)次式:
【化1】

(式中、R1 は炭素原子数6ないし18のアルケニル基を表わし、R2 は水素原子又はメチル基を表わし、そしてnは数1ないし100を表わす。)で表わされるアルケニルコハク酸半エステル少なくとも1種、
b)次式:
【化2】

(式中、
1 及びR2 の一方は水素原子を表わし、そして他方は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わすか、又は、
式中、R1 及びR2 の両方は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす。)で表わされるイミダゾリン化合物少なくとも1種、及び
c)次式:
【化3】

(式中、
mは1又は2を表わし、
mが1を表わす場合は、nは2を表わし、或いは、mが2を表わす場合は、nは1を表わし、
Rは炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、炭素原子
数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わし、そして
a 、Rb 、Rc 及びRd は互いに独立して水素原子又は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす。)で表わされるリン酸アミン部分エステル少なくとも1種、
から基本的になる添加剤混合物、並びに
B)機能液
を含む組成物に関するものである。
【0006】
本発明の好ましい実施態様は、
A)
a)式中、
1 が炭素原子数10ないし16のアルケニル基を表わし、R2 がメチル基を表わし、そしてnが数1ないし20を表わす、アルケニルコハク酸半エステル(I)少なくとも1種、
b)式中、
1 及びR2 の一方が水素原子を表わし、そして他方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基及び炭素原子数12ないし18のアルケニル基からなる群から選択された置換基を表わすか、又は、
式中、R1 及びR2 の両方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基及び炭素原子数12ないし18のアルケニル基からなる群から選択された置換基を表わす、
イミダゾリン化合物(II)少なくとも1種、及び
c)式中、
mが1又は2を表わし、
mが1を表わす場合は、nは2を表わし、或いは、mが2を表わす場合は、nは1を表わし、
Rが炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基及びアミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わし、そして
a 、Rb 、Rc 及びRd が互いに独立して水素原子又は、炭素原子数1ないし12のアルキル基及びヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす、リン酸アミン部分エステル(III)少なくとも1種、
から基本的になる添加剤混合物、並びに
B)機能液
を含む組成物に関するものである。
【0007】
本発明の特に好ましい実施態様は、
A)
a)式中、
1 が炭素原子数12ないし16のアルケニル基を表わし、R2 がメチル基を表わし、そしてnが数1ないし20を表わす、アルケニルコハク酸半エステル(I)少なくとも1種、
b)式中、
1 及びR2 の一方が水素原子を表わし、そして他方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基及び炭素原子数12ないし18のアルケニル基からなる群から選択された置換基を表わすか、又は、
式中、R1 及びR2 の両方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基及び炭素原子数12ないし18のアルケニル基からなる群から選択された置換基を表わす、
イミダゾリン化合物(II)少なくとも1種、及び
c)式中、
mが1又は2を表わし、
mが1を表わす場合は、nは2を表わし、或いは、mが2を表わす場合は、nは1を表わし、そして
Rが炭素原子数1ないし12のアルキル基及びヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わし、そして
a 、Rb 、Rc 及びRd が互いに独立して水素原子又は、炭素原子数1ないし12のアルキル基及びヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす、リン酸アミン部分エステル(III)少なくとも1種、
から基本的になる添加剤混合物、並びに
B)機能液
を含む組成物に関するものである。
【0008】
本発明の非常に好ましい実施態様は、
a)式中、
1 が炭素原子数6ないし18のアルケニル基を表わし、R2 がメチル基を表わし、そしてnが数1ないし100を表わす、アルケニルコハク酸半エステル(I)少なくとも1種、
b)式中、
1 及びR2 の一方が水素原子を表わし、そして他方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わすか、又は、
式中、R1 及びR2 の両方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす、イミダゾリン化合物(II)少なくとも1種、及び
c)式中、
mが1又は2を表わし、
mが1を表わす場合は、nは2を表わし、或いは、mが2を表わす場合は、nは1を表わし、そして
Rが炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数4な
いし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わし、そして
a 、Rb 、Rc 及びRd が互いに独立して水素原子又は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす、リン酸アミン部分エステル(III)少なくとも1種、並びに
d)更なる慣用の添加剤
を含む組成物に関するものである。
【0009】
上記の組成物は、非水性、部分的に水性又は水性の機能流体又は機能液における腐食防止剤として適する。
上で使用された及び下で使用される表現及び用語は、本発明の記載において下記のように定義される。
化合物(I)において、炭素原子数6ないし18のアルケニル基と定義されたR1 は好ましくは、直鎖状又は可能であれば分岐された基、例えばn−2−オクテニル基、n−2−ドデセニル基、イソドデセニル基を表わし、又は好ましくは、部分式:
【化4】

(式中、R’及びR”は互いに独立して水素原子又は実質的に直鎖状炭化水素基を表わすが、但し、R1 における炭素原子の総数は示された範囲内にある。)で表わされる基を表わす。好ましくは、R’及びR”は炭素原子数3ないし15のアルキル基又は炭素原子数3ないし15のアルケニル基を表わす。特に都合が良い実施態様において、R1 は約16個ないし約18個の炭素原子を有し、R’は水素原子又は炭素原子数1ないし7のアルキル基又は炭素原子数1ないし7のアルケニル基を表わし、そしてR”は炭素原子数5ないし15のアルキル基又は炭素原子数5ないし15のアルケニル基を表わす。
2 は水素原子又は好ましくはメチル基を表わす。
化合物(I)において、指数nは数1ないし約100を表わす。好ましい実施態様において、nは数1ないし約20を表わす。化合物(I)は、R2 が水素原子を表わす場合には、R置換されたコハク酸を、望ましい鎖長のエチレンオキシド又はエチレングリコールと、或いは、R2 がメチル基を表わす場合には、望ましい鎖長のプロピレンオキシド又はポリプロピレングリコールと反応させることにより、得ることが可能である。
化合物(I)は公知であり、そしてそれらの少なくとも幾つかは商業的に入手可能である。化合物(I)の製造は、英国特許第795,491号明細書に記載されている。
化合物(I)は、鉱油中の溶液として商業的に入手可能な公知の溶解性腐食防止剤、例えばチバ(Ciba)(登録商標)社の製品イルガコア(Irgacor)(登録商標)L12である。他の製品は、米国、バージニア州、リッチモンドのエチル コーポレーション(Ethyl Corp.)から商業的に入手可能なハイ−テック(Hi−tec)(登録商標)536である。
化合物(II)において、R1 及びR2 の一方は水素原子を表わし、そして他方は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わすか、又は、
1 及びR2 の両方は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす。
【0010】
炭素原子数1ないし12のアルキル基として定義されたR1 及びR2 は、例えば、炭素原子数1ないし6のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基或いはn−ブチル基、第二ブチル基又は第三ブチル基或いは直鎖状又は分岐されたペンチル基又はヘキシル基、及び炭素原子数7ないし12のアルキル基、例えば直鎖状又は分岐されたヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、第三ノニル基、デシル基、ウンデシル基又はドデシル基を表わす。
ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基として定義されたR1 及びR2 は、例えば2−ヒドロキシエチル基、ジヒドロキシエチル基、2−又は3−ヒドロキシプロピル基、2−,3−ジヒドロキシプロピル基、グリセリル基或いは、1個ないし3個のヒドロキシル基により置換された上述の如何なる炭素原子数4ないし12のアルキル基をも表わす。
アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基として定義されたR1 及びR2 は、例えば2−アミノエチル基、ジアミノエチル基或いは2−又は3−アミノプロピル基或いは、1個ないし3個のアミノ基により置換された上述の如何なる炭素原子数4ないし12のアルキル基をも表わす。
炭素原子数2ないし20のアルケニル基として定義されたR1 及びR2 は、直鎖状又は可能であれば分岐された基、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、n−2,4−ペンタジエニル基、3−メチル−2−ブテニル基、n−2−オクテニル基、n−2−ドデセニル基又はイソドデセニル基を表わす。
フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基として定義されたR1 及びR2 は、例えば、ベンジル基、1−又は2−フェネチル基、4−メチル−又は4−エチルフェニル基、クミル基或いは4−メチルベンジル基を表わす。
【0011】
好ましい実施態様によれば、R1 及びR2 の一方が水素原子を表わし、そして他方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基及び炭素原子数12ないし18のアルケニル基からなる群から選択された置換基を表わすか、又は、
1 及びR2 の両方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基及び炭素原子数12ないし18のアルケニル基からなる群から選択された置換基を表わす。
他の好ましい実施態様によれば、R1 及びR2 の一方が水素原子を表わし、そして他方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基及び炭素原子数12ないし18のアルケニル基からなる群から選択された置換基を表わすか、又は、
1 及びR2 の両方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基及び炭素原子数12ないし18のアルケニル基からなる群から選択された置換基を表わす。
【0012】
化合物(II)は公知化合物であり、そして鉱油中の溶液として商業的に入手可能な、利用可能な油溶性腐食防止剤、例えばチバ(Ciba)(登録商標)社の製品アミン0である。
化合物(III)において、mは1又は2を表わす。mが1を表わす場合は、nは2を表わす。
このような化合物は、次式:
【化5】

により表わされる。
mが2を表わす場合は、nは1を表わす。このような化合物は、次式:
【化6】

により表わされる。
化合物(III)において、Rは炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わし、そして
a 、Rb 、Rc 及びRd は互いに独立して水素原子又は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす。
【0013】
炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキ
ル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基の定義は、化合物(I)及び化合物(II)に対して上で与えられた定義に対応する。
炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基として定義されたR並びにRa 、Rb 、Rc 及びRd は、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基又はシクロヘキシルメチル基、シクロペンチル−1,1−エチル基、シクロヘキシル−1,1−エチル基、シクロペンチル−1,2−エチル基、シクロヘキシル−1,2−エチル基、シクロペンチル−1,2−プロピル基又はシクロヘキシル−1,2−プロピル基を表わし、これらは、炭素原子数1ないし4のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基により、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基が置換されていてよい。
好ましい実施態様において、Rは炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基及びアミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わし、そして
a 、Rb 、Rc 及びRd は互いに独立して水素原子又は、炭素原子数1ないし12のアルキル基及びヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす。
【0014】
式IIIにより表わされるアミンリン酸塩部分エステルは、公知方法により製造することができる公知化合物である。化合物(III)は油溶性腐食防止剤として使用可能であり、そして例えばチバ(Ciba)(登録商標)社の製品イルガラブ(Irgalube)(登録商標)349として、商業的に入手可能である。
式IIIにより表わされる他のアミンリン酸塩部分エステルは、例えば製品アディチン(Additin)(登録商標)RC 3740、RC 3741又はRC 3760(脂肪族アルコールのアミンで中和されたリン酸酸エステル)として、ドイツ国、マンハイムのラインヒェミー ライナウ ゲーエムベーハー(Rheinchemie Rheinau GmbH)から商業的に入手可能である。
用語“機能液”は、保護する金属、特にアルミニウム及び亜鉛に接触する非水性液、部分的に水性液及び水性液を含む。
非水性機能液の例は燃料、例えば、室温で液体の鉱油留分を含み、そして内燃エンジン、例えば外部点火(石油エンジン)又は内部点火(ディーゼルエンジン)を伴う内燃エンジンにおいて使用する炭化水素混合物、例えば異なるオクタン価を有するガソリン(レギュラー級又はプレミアム級ガソリン)又はディーゼル燃料、及び潤滑液、圧媒液、金属工作液、例えば延伸油、切削油、形成油、穿孔油等、エンジン冷却液、変圧器油、開閉器ギヤ油である。
適する部分的に水性の機能液の例は、水性ポリグリコール/ポリグリコールエーテル混合物又はグリコールシステムをベースとする油中水又は水中油金属工作液、圧媒液、並びに水性グリコールをベースとするエンジン冷却システムである。
水性機能液の例は工業用冷却水、水質調節プラント、蒸気発生システム、海水揮発システム、蔗糖揮発システム、潅がいシステム、静圧ボイラー及び閉鎖循環を有する加熱システム又は冷却システムの注入組成物である。
本発明の組成物は好ましくは、機能油の質量に基づいて、上で定義された添加剤組成物0.01質量%ないし10質量%、特に0.02質量%ないし3.0質量%を含む。
非水性機能液が好ましく、特に、グリース、金属工作液、ギヤ液及び圧媒液の製造のために使用することができる、潤滑粘度のベース油である。
【0015】
適するグリース、金属工作液、ギヤ液及び圧媒液は、例えば、鉱油又は合成油或いはそれらの混合物をベースとする。潤滑剤は当業者に周知であり、そして例えば、「潤滑剤の化学及び技術(Chemistry and Technology of Lubricants)」、モーチアー,アール.エム.(Mortier,R.M.)及びオルスズリク,エス.ティー.(Orszulik,S.T.)(編集者)、1992年、イギリス国、ブラッキー アンド サン リミテッド(Blackie and Son Ltd.);米国、ニューヨーク、VCH−出版、ISBN 0−216−92921−0、第208頁以降及び第269頁以降を参照;「化学技術のキルク−オスマー大辞典((Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Yechnology)」、第4版、1969年、ジェイ.ウィレイ アンド サンズ(J.Wiley and Sons)、ニューヨーク、第13巻、第533頁以降(圧媒液);「機能液の性能試験(Performance Testing of Hydraulic Fluids)、アール.ツーレット.(R.Tourret)及びイー.ピー.ライト(E.P.Wright)、イギリス国、ロンドン石油協会のために、ハイデン アンド サン リミテッド(Hyden and Son Ltd.)、ISBN 0 85501 317 6;「ウルマン工業化学大辞典(Ullmann’s Encyclopedia of Ind. Chem.)、第5完全復刻版、フェルラーク ヒェミー(Verlag Chemie)、デーイー−ヴァインハイム(DE−Weinheim)、米国ではVCH−出版、第A15巻、第423頁以降(潤滑剤)、第A13巻、第165頁以降(圧媒液)、のような関連文献に記載されている。
潤滑剤は特に、例えば、鉱油、合成油又は、植物油及び動物油、脂肪、獣脂及びワックス又はそれらの混合物をベースとする油及びグリースである。植物油及び動物油、脂肪、獣脂及びワックスは、例えば、パーム核油、パーム油、オリーブ油、コルザ油、菜種油、亜麻仁油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、ココナッツ油、トウモロコシ油、ひまし油、くるみ油及びこれらの混合物、魚油、並びに、化学的に変性された、例えば、エポキシ化又はスルホキシド化又はアルキル化又は水素化形態のもの或いは遺伝子工学により製造された形態のもの、例えば、遺伝子工学により製造された大豆油である。
【0016】
合成潤滑剤の例は、脂肪族又は芳香族カルボン酸エステル、ポリマー状エステル、ポリアルキレンオキシド、リン酸エステル、ポリ−α−オレフィン又はシリコーン、二塩基酸と一価アルコールとのジエステル、例えば、ジオクチルセバケート又はジノニルアジペート、一塩基酸との又はこのような酸の混合物とのトリメチロールプロパンのトリエステル、例えば、トリメチロールプロパントリペラルゴネート、トリメチロールプロパントリカプリレート又はそれらの混合物、一塩基酸との又はこのような酸の混合物とのペンタエリトリトールのテトラエステル、例えば、ペンタエリトリトールテトラカプリレート、或いは、多価アルコールとの一塩基酸及び二塩基酸の複合エステル、例えば、カプリル酸及びセバシン酸とのトリメチロールプロパンの複合エステル又はそれらの混合物、をベースとする潤滑剤を含む。鉱油に加えて、特に適するものは、例えば、ポリ−α−オレフィン、エステル−ベースの潤滑剤、ホスフェート、グリコール、ポリグリコール及びポリアルキレングリコール並びに水とのそれらの混合物である。
前記潤滑剤又はそれらの混合物は、有機又は無機増粘剤と混合することもできる(ベース脂肪)。金属工作液及び圧媒液は、潤滑剤に対して上記したものと同一の物質をベースとして製造することができる。これらはしばしば、このような物質の水又は他の液体中の乳化液でもある。
前記潤滑剤組成物、例えば、グリース、ギヤ液、金属工作液及び圧媒液は、これらの特性を更に改良するために添加される、更に別の添加剤を含んでもよい。これらは、他の酸化防止剤、金属奪活剤、防錆剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、分散剤、洗浄剤、粘着付与剤、チキソトロープビルダー、脱水剤、消泡剤、乳化破壊剤、極圧添加剤及び耐摩耗剤を含む。このような添加剤は、それぞれ0.01質量%ないし10.0質量%の範囲内の何れの場合もその目的で慣用な量で添加される。別の添加剤の例を以下に列挙する。
【0017】
1.フェノール系酸化防止剤
1.1.アルキル化モノフェノール
2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェノール、2−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ第三ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ第三ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ第三ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ第三ブチル−4−メトキシメチルフェノール、直鎖状ノニルフェノール又は側鎖が分岐しているノニルフェノール、例えば2,6−ジノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデシ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデシ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデシ−1’−イル)フェノール及びそれらの混合物。
1.2.アルキルチオメチルフェノール
2,4−ジオクチルチオメチル−6−第三ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール。
1.3.ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン
2,6−ジ第三ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ第三ブチルヒドロキノン、2,5−ジ第三アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ第三ブチルヒドロキノン、2,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート。
1.4.トコフェロール
α−,β−,γ−又はδ−トコフェロール及びこれらの混合物(ビタミンE)。
1.5.ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル
2,2’−チオビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ第二アミルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド。
【0018】
1.6.アルキリデンビスフェノール
2,2’−メチレンビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−第三ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−第三ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ第三ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−第三ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−第三ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−第
三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−第三ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラキス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン。
1.7.O−,N−及びS−ベンジル化合物
3,5,3’,5’−テトラ第三ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル4−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−第三ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオールテレフタレート、ビス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート。
1.8.ヒドロキシベンジル化マロネート
ジオクタデシル2,2−ビス(3,5−ジ第三ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル2,2−ビス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジ[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート。1.9.ヒドロキシベンジル芳香族化合物
1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール。
1.10.トリアジン化合物
2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−第三ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート。
【0019】
1.11.アシルアミノフェノール
4−ヒドロキシラウラニリド、4−ヒドロキシステアラニリド、オクチルN−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバメート。
1.12.β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸の(一価又は多価アルコール、例えば下記アルコールとの)エステル
例えばメタノール、エタノール、n−オクタノール、イソオクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエ
チル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
1.13.β−(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸の下記の一価又は多価アルコールとのエステル
例えばメタノール、エタノール、n−オクタノール、イソオクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
1.14.β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸の下記の一価又は多価アルコールとのエステル
例えば上記1.13に記載されたアルコールとのエステル。
【0020】
1.15.3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸の下記の一価又は多価アルコールとのエステル
例えば上記1.13に記載されたアルコールとのエステル。
1.16.β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド
例えばN,N’−ビス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン。
1.17.アスコルビン酸(ビタミンC)
1.18.アミン酸化防止剤
N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ第二ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ(ナフチル−2−イル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルホンアミド)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ第二ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−第三オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン;オクチル化ジフェニルアミン、例えばp,p’−ジ第三−オクチルジフェニルアミン;4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ジ(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ第三ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ジ[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2−ジ(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ジ[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、第三オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ−及びジアルキル
化第三ブチル/第三オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化第三ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ−及びジアルキル化第三ブチル/第三オクチルフェノチアジンの混合物、モノ−及びジアルキル化第三オクチル又はノニルフェノチアジンの混合物、N−アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブテ−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル−ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール。
【0021】
2.他の酸化防止剤
脂肪族又は芳香族ホスフィット、チオジプロピオン酸又はチオジ酢酸のエステル或いはジチオカルバミン酸又はジチオリン酸の塩、2,2,12,12−テトラメチル−5,9−ジヒドロキシ−3,7,11−トリチアトリデカン及び2,2,15,15−テトラメチル−5,12−ジヒドロキシ−3,7,10,14−テトラチアヘキサデカン。
3.他の金属奪活剤
3.1.ベンゾトリアゾール及びその誘導体
2−メルカプトベンゾトリアゾール、2,5−ジメルカプトベンゾトリアゾール、4−又は5−アルキルベンゾトリアゾール(例えば、トルトリアゾール)及びその誘導体、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾトリアゾール、5,5’−メチレンビスベンゾトリアゾール;ベンゾトリアゾール又はトルトリアゾールのマンニッヒ塩基、例えば、1−[ジ(2−エチルヘキシルアミノメチル)]トルトリアゾール及び1−[ジ(2−エチルヘキシルアミノメチル)]ベンゾトリアゾール:アルコキシアルキルベンゾトリアゾール、例えば、1−(ノニルオキシメチル)ベンゾトリアゾール、1−(1−ブトキシエチル)ベンゾトリアゾール及び1−(1−シクロヘキシルオキシブチル)トルトリアゾール。
3.2.1,2,4−トリアゾール及びその誘導体
3−アルキル(又はアリール)−1,2,4−トリアゾール、1,2,4−トリアゾールのマンニッヒ塩基、例えば、1−[ジ(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−1,2,4−トリアゾール;アルコキシアルキル−1,2,4−トリアゾール、例えば、1−(1−ブトキシエチル)−1,2,4−トリアゾール;アシル化3−アミノ−1,2,4−トリアゾール。
3.3.イミダゾール誘導体
4,4’−メチレンビス(2−ウンデシル−5−メチルイミダゾール)、ビス[(N−メチル)イミダゾール−2−イル]カルビノールオクチルエーテル。
3.4.硫黄含有ヘテロ環式化合物
2−メルカプトベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チオジアゾール、2,5−ジメルカプトベンゾチアジアゾール及びその誘導体;3,5−ビス[ジ(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−1,3,4−チオジアゾリン−2−オン。
3.5.アミノ化合物
サリチリデンプロピレンジアミン、サリチルアミノグアニジン及びその塩。
【0022】
4.腐食防止剤
4.1.有機酸、そのエステル、金属塩、アミン塩及び無水物
例えば、アルキル−及びアルケニルコハク酸及び、アルコール、ジオール又はヒドロキシカルボン酸とのその部分エステル、アルキル−及びアルケニルコハク酸の部分アミド、4−ノニルフェノキシ酢酸、アルコキシ−及びアルコキシエトキシカルボン酸、例えば、ドデシルオキシ酢酸、ドデシルオキシ(エトキシ)酢酸及びそのアミン塩、そして更に、
N−オレオイルザルコシン、ソルビタンモノオレエート、ナフテン酸鉛、アルケニルコハク酸無水物、例えば、ドデセニルコハク酸無水物、2−(2−カルボキシエチル)−1−ドデシル−3−メチルグリセロール及びその塩、特に、ナトリウム塩及びトリエタノールアミン塩。
4.2.窒素含有化合物
4.2.1.第三脂肪族及び脂環式アミン並びに有機酸及び無機酸のアミン塩
例えば、油溶性アルキルアンモニウムカルボキシレート、そして更に、1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−(4−ノニルフェノキシ)プロパン−2−オール。
4.2.2.ヘテロ環式化合物
例えば、置換されたイミダゾリン及びオキサゾリン、例えば、2−ヘプタデセニル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリン。
【0023】
5.硫黄含有化合物
バリウムジノニルナフタレンスルホネート、カルシウム石油スルホネート、アルキルチオ置換された脂肪族カルボン酸、脂肪族2−スルホカルボン酸のエステル及びその塩。
6.粘度指数向上剤
ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ビニルピロリドン/メタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリブテン、オレフィンコポリマー、スチレン/アクリレートコポリマー、ポリエーテル。
7.流動点降下剤
ポリ(メタ)アクリレート、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、アルキルポリスチレン、フマレートコポリマー、アルキル化ナフタレン誘導体。
8.分散剤/界面活性剤
ポリブテニルコハク酸アミド又はポリブテニルコハク酸イミド、ポリブテニルホスホン酸誘導体;塩基性マグネシウム、カルシウム及びバリウムスルホネート及びフェノレート。
9.極圧及び耐摩耗添加剤
硫黄−及びハロゲン−含有化合物、例えば、塩素化パラフィン、スルホン化オレフィン又は植物油(大豆油、菜種油)、アルキル又はアリールジ−又はトリスルフィド、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、例えば、ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチルトルトリアゾール、ジチオカルバメート、例えば、メチレンビスジブチルジチオカルバメート、2−メルカプトベンゾチアゾールの誘導体、例えば、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−2−メルカプト−1H−1,3−ベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールの誘導体、例えば、2,5−ビス(第三ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール。
10.摩擦係数を低減するための物質
ラード油、オレイン酸、獣脂、菜種油及び硫化脂肪、アミン。別の例は、欧州特許出願公開第A−0565487号明細書に記載されている。
11.特別な添加剤
水/油金属加工及び圧媒液において使用するためのもの。
11.1.乳化剤
石油スルホネート、アミン、例えば、ポリオキシエチル化脂肪アミン、非イオン性界面活性物質。
11.2.緩衝剤
アルカノールアミン。
11.3.殺菌剤
トリアジン、チアゾリノン、トリスニトロメタン、モルホリン、ナトリウムピリジンチオール。
11.4.加工速度向上剤
カルシウムスルホネート及びバリウムスルホネート。
11.5.粘着付与剤
アクリルアミドコポリマー、ポリイソブテン樹脂。
11.6.チキソトロープビルダー
微結晶性ワックス、酸化されたワックス及び酸化されたエステル。
11.7.脱水剤
ポリグリコールエーテル、ブチルジグリコール。
【0024】
前記成分は、公知方法で、潤滑剤と混合することができる。意図された使用目的に応じて対応する潤滑剤のために使用する濃度に稀釈することができる濃厚物又はいわゆる添加パッケージを製造することも可能である。
添加剤混合物A)中に存在する成分a)対成分b)対成分c)の比率は、約10質量%:10質量%:80質量%及び80質量%:10質量%:10質量%ないし10質量%:80質量%:10質量%の範囲内で変更し得る。
組成物中の添加剤混合物A)の全含有率は決定的に重大な意味を持つものではないけれども、組成物中の添加剤混合物A)の好ましい全含有率は、組成物の全質量に基づいて、10.0質量%ないし0.01質量%、好ましくは10.0質量%ないし0.1質量%及び3.0質量%ないし0.1質量%の範囲内にある。
【0025】
本発明の別の実施態様は、
a)式中、
1 が炭素原子数6ないし18のアルケニル基を表わし、R2 が水素原子又はメチル基を表わし、そしてnが数1ないし100を表わす、アルケニルコハク酸半エステル(I)少なくとも1種、
b)式中、
1 及びR2 の一方が水素原子を表わし、そして他方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わすか、又は、
式中、R1 及びR2 の両方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす、イミダゾリン化合物(II)少なくとも1種、及び
c)式中、
mが1又は2を表わし、
mが1を表わす場合は、nは2を表わし、或いは、mが2を表わす場合は、nは1を表わし、そして
Rが炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わし、そして
a 、Rb 、Rc 及びRd が互いに独立して水素原子又は、炭素原子数1ないし12の
アルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす、リン酸アミン部分エステル(III)少なくとも1種
から基本的になる添加剤混合物に関するものである。
【0026】
前記添加剤混合物中に存在する組成物中の成分a)、b)及びc)の定義は、上記において定義された組成物中に存在する成分a)、b)及びc)の定義に対応する。
好ましい実施態様によれば、本発明は、金属工作液中の添加剤として使用するための、上記において定義された添加剤混合物に関するものである。
本発明はまた、金属を上記において定義された添加剤混合物を含む機能液にさらすところの、金属の腐食又は酸化分解に対する保護方法に関するものである。
好ましい実施態様において、本発明は、亜鉛、アルミニウム又はそれらの合金を上記において定義された添加剤混合物を含む機能液にさらすところの、亜鉛、アルミニウム又はそれらの合金の腐食又は酸化分解に対する保護方法に関するものである。
本発明の別の好ましい実施態様において、本発明は、亜鉛、アルミニウム又はそれらの合金を、式中、R1 は炭素原子数6ないし18のアルケニル基を表わし、R2 は水素原子又はメチル基を表わし、そしてnは数1ないし100を表わす、上記において定義された式(I)で表わされるアルケニルコハク酸半エステル少なくとも1種を含む機能液にさらすところの、亜鉛、アルミニウム又はそれらの合金の腐食又は酸化分解に対する保護方法に関するものである。
【実施例】
【0027】
下記の実施例により、本発明を説明する。
使用例
腐食防止を試験するための典型的な試験方法は、DIN EN ISO 6270−2による、人工気象室試験である。この試験は、幾つかの異なる金属試料及びより厳しい条件を使用することにより、僅かに変更された。各試料を、下記の試験サイクルにより処理した。
50±3℃、湿度約100%の密閉された人工気象室内で8時間暴露した後、21±3℃に冷却され且つほぼ周囲に等しい湿度の開放人工気象室内に16時間放置した。100%腐食が目視で検出されるまで、前記試験サイクルを繰り返した。試験試料が腐食されなかった場合には、試験手順を24サイクル後に停止した。
【表1】

対照油:2003年5月の“VDA−試験概要(VDA−Pruefblatt)”に記載されたVDA 230−201
混合物A=パラフィン系ベース油中のイルガコア(Irgacor)(登録商標)L12
3%
混合物B=パラフィン系ベース油中のイルガラブ(Irgalube)(登録商標)349 5%
混合物C=ナフテン系ベース油中のイルガコアL12 0.9%;アミンO 1.5%;イルガラブ349 0.6%
混合物D=パラフィン系ベース油中のイルガコアL12 0.6%;アミンO 0.9%;イルガラブ349 1.5%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)
a)次式:
【化1】

(式中、R1 は炭素原子数6ないし18のアルケニル基を表わし、R2 は水素原子又はメチル基を表わし、そしてnは数1ないし100を表わす。)で表わされるアルケニルコハク酸半エステル少なくとも1種、
b)次式:
【化2】

(式中、
1 及びR2 の一方は水素原子を表わし、そして他方は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わすか、又は、
式中、R1 及びR2 の両方は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす。)で表わされるイミダゾリン化合物少なくとも1種、及び
c)次式:
【化3】

(式中、
mは1又は2を表わし、
mが1を表わす場合は、nは2を表わし、或いは、mが2を表わす場合は、nは1を表わし、
Rは炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わし、そして
a 、Rb 、Rc 及びRd は互いに独立して水素原子又は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす。)で表わされるリン酸アミン部分エステル少なくとも1種、
から基本的になる添加剤混合物、並びに
B)機能液
を含む組成物。
【請求項2】
A)
a)式中、
1 が炭素原子数10ないし16のアルケニル基を表わし、R2 がメチル基を表わし、そしてnが数1ないし20を表わす、アルケニルコハク酸半エステル(I)少なくとも1種、
b)式中、
1 及びR2 の一方が水素原子を表わし、そして他方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基及び炭素原子数12ないし18のアルケニル基からなる群から選択された置換基を表わすか、又は、
式中、R1 及びR2 の両方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基及び炭素原子数12ないし18のアルケニル基からなる群から選択された置換基を表わす、
イミダゾリン化合物(II)少なくとも1種、及び
c)式中、
mが1又は2を表わし、
mが1を表わす場合は、nは2を表わし、或いは、mが2を表わす場合は、nは1を表わし、
Rが炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基及びアミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わし、そして
a 、Rb 、Rc 及びRd が互いに独立して水素原子又は、炭素原子数1ないし12のアルキル基及びヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす、リン酸アミン部分エステル(III)少なくとも1種、
から基本的になる添加剤組成物、並びに
B)機能液
を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
A)
a)式中、
1 が炭素原子数12ないし16のアルケニル基を表わし、R2 がメチル基を表わし、そしてnが数1ないし20を表わす、アルケニルコハク酸半エステル(I)少なくとも1種、
b)式中、
1 及びR2 の一方が水素原子を表わし、そして他方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基及び炭素原子数12ないし18のアルケニル基からなる群から選択された置換基を表わすか、又は、
式中、R1 及びR2 の両方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基及び炭素原子数12ないし18のアルケニル基からなる群から選択された置換基を表わす、
イミダゾリン化合物(II)少なくとも1種、及び
c)式中、
mが1又は2を表わし、
mが1を表わす場合は、nは2を表わし、或いは、mが2を表わす場合は、nは1を表わし、そして
Rが炭素原子数1ないし12のアルキル基及びヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わし、そして
a 、Rb 、Rc 及びRd が互いに独立して水素原子又は、炭素原子数1ないし12のアルキル基及びヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす、リン酸アミン部分エステル(III)少なくとも1種、
から基本的になる添加剤組成物、並びに
B)機能液
を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
a)式中、
1 が炭素原子数6ないし18のアルケニル基を表わし、R2 がメチル基を表わし、そしてnが数1ないし100を表わす、アルケニルコハク酸半エステル(I)少なくとも1種、
b)式中、
1 及びR2 の一方が水素原子を表わし、そして他方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わすか、又は、
式中、R1 及びR2 の両方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす、イミダゾリン化合物(II)少なくとも1種、及び
c)式中、
mが1又は2を表わし、
mが1を表わす場合は、nは2を表わし、或いは、mが2を表わす場合は、nは1を表わし、そして
Rが炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数4な
いし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わし、そして
a 、Rb 、Rc 及びRd が互いに独立して水素原子又は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす、リン酸アミン部分エステル(III)少なくとも1種、並びに
d)更なる慣用の添加剤
を含む組成物。
【請求項5】
a)式中、
1 が炭素原子数6ないし18のアルケニル基を表わし、R2 が水素原子又はメチル基を表わし、そしてnが数1ないし100を表わす、アルケニルコハク酸半エステル(I)少なくとも1種、
b)式中、
1 及びR2 の一方が水素原子を表わし、そして他方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わすか、又は、
式中、R1 及びR2 の両方が、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基及び炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす、イミダゾリン化合物(II)少なくとも1種、及び
c)式中、
mが1又は2を表わし、
mが1を表わす場合は、nは2を表わし、或いは、mが2を表わす場合は、nは1を表わし、そして
Rが炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わし、そして
a 、Rb 、Rc 及びRd が互いに独立して水素原子又は、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ヒドロキシ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、アミノ−炭素原子数2ないし12のアルキル基、炭素原子数2ないし20のアルケニル基、フェニル基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル基、
炭素原子数1ないし4のアルキルフェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基、炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル基及び炭素原子数1ないし4のアルキル−炭素原子数4ないし8のシクロアルキル−炭素原子数1ないし4のアルキル基からなる群から選択された置換基を表わす、リン酸アミン部分エステル(III)少なくとも1種、
から基本的になる添加剤混合物。
【請求項6】
金属工作液として使用するための、請求項5記載の添加剤混合物。
【請求項7】
機能液B)が潤滑液、圧媒液、金属工作液、エンジン冷却液、変圧器油及び開閉器ギヤ油からなる群から選択された非水性機能液である、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
金属を請求項5記載の添加剤混合物を含む機能液にさらすところの、金属の腐食又は酸化分解に対する保護方法。
【請求項9】
亜鉛、アルミニウム又はそれらの合金を請求項5記載の添加剤混合物を含む機能液にさらすところの、亜鉛、アルミニウム又はそれらの合金、或いは亜鉛被覆された鋼の腐食又は酸化分解に対する保護方法。
【請求項10】
亜鉛、アルミニウム又はそれらの合金を、次式:
【化4】

(式中、R1 は炭素原子数6ないし18のアルケニル基を表わし、R2 は水素原子又はメチル基を表わし、そしてnは数1ないし100を表わす。)で表わされるアルケニルコハク酸半エステル少なくとも1種を含む機能液にさらすところの、亜鉛、アルミニウム又はそれらの合金、或いは亜鉛被覆された鋼の腐食又は酸化分解に対する保護方法。

【公表番号】特表2009−537681(P2009−537681A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511461(P2009−511461)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054674
【国際公開番号】WO2007/135017
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】