説明

非PVCフィルム及び非PVCフィルムラミネート

本発明は、マーケティング、広告キャンペーン、特に、屋外又は他の環境の影響を受けるプロモーション及び安全用途に使用される非PVCフィルム及びフィルムラミネートに関する。フィルムは、一つの例示的な実施態様において、最上層と底層の2つの層を含む。最上層はウレタン−アクリルハイブリッドポリマーであり、底層は非PVC系ポリマーである。フィルムは、透明、半透明、明澄でありうるか又は他の所望の光学特性を有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2010年3月4日に出願した米国仮出願第61/310,378号(この全ては参照として本明細書に組み込まれる)の優先権を主張するものである。
[技術分野]
【0002】
本発明は、小型フォーマット及び大型フォーマットのグラッフィックフィルム及び展示、広告メディア、プロモーションメディア、静的ビジュアルコミュニケーション、車両及び製品ラップ、並びに他の商業的用途において使用される非PVCフィルム及び非PVCフィルムラミネートの分野である。フィルムは、明澄、透明、半透明でありうるか又は他の所望の光学特性を有することができる。
【背景技術】
【0003】
ポリ塩化ビニル(PVC)フィルムは、過去に屋外グラフィックス用途のような多数のプロモーション及び広告キャンペーンに広く使用されてきた。そのような用途には、サイン、バナー、ラッピング広告グラフィックス(fleet marketing graphics)、建築用被覆及び壁装材、消費者用製品のラベリング及び他の感圧性製品が含まれる。しかし、環境及び健康に対する影響、並びにPVC系製品の使用の影響についての意識が高まっており、近年著しく高まってきた。現在、消費者用のマーケティング、プロモーション及び広告製品の流れからPVC系製品を減らす、さらには排除するという動きがある。
【0004】
屋外マーケティング及びグラフィックス用途のフィルムは、理想的には、少なくとも次の特性、すなわち、印刷適性、耐久性、保色性及び引っ掻き抵抗性の幾つかを有するべきである。なじみ易さ、並びに引っ張り伸び及び引っ張り強さのような適切な機械的特性も、適用過程において好ましい。なじみにくいフィルム、すなわち十分な伸び及び柔軟性を有さないフィルムは、適用される対象物又は表面の輪郭に沿うことができず、表面とフィルムの間に気泡又は隙間が作り出される。不十分な伸び特性は、フィルムを表面に、例えば湾曲、角度、隆起及び他の非平面構造を有する表面に適用するのを困難にすることがあるが、大きすぎる伸びは、フィルムを変形させることがあり、印刷された印に歪みを生じる可能性がある。引っ張り強さの低いフィルムは、フィルムが非平面表面に適用されたときのように引き伸ばされると、フィルムを容易に破断させることがある。
【0005】
新しいPVCとして代替フィルムが開発されており、一部のフィルムは印刷適性のような1つの領域において優れた性能を有するが、フィルムを要求の厳しい広告及びプロモーション市場に受け入れられるようにする屋外耐久性のような他の特性に関して適切な機能性を欠いている。前述の問題を解決する一つの可能な方法は、多層フィルムラミネートを使用することであり、各層が1つ以上の所望の特性を提供し、それによってラミネートが必要とされる所望の特性を全て有する。
【0006】
フィルムラミネートにおいて最外保護層として使用される又は単に所定の表面に保護フィルムとして使用されるとき、良好な屋外耐久性及び多くの場合、下の印刷層の印を見ることができるように光透過性も必要である。
したがって、屋外グラフィックス、並びに他のマーケティング及び消費者使用の用途に使用される非PVC系透明フィルム及び非PVCフィルムラミネートの必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第3,684,758号、Honig
【特許文献2】米国特許第4,198,330号、Kaizerman
【特許文献3】米国特許第4,644,030号、Loewrigkeit
【特許文献4】米国特許第5,594,065号、Tien
【特許文献5】国際特許出願PCT/US08/84812
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ポリマー科学および工学の百科事典、第13巻、ワイリーインターサイエンス出版社(ニューヨーク、1988)Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Vol. 13, Wiley−Interscience Publishers(New York, 1988)
【非特許文献2】ポリマー科学および技術の百科事典、第1巻、インターサイエンス出版社(ニューヨーク、1964)Encyclopedia of Polymer Science and Technology, Vol. 1, Interscience Publishers (New York, 1964)
【発明の概要】
【0009】
下記に記載される本発明の実施態様は、排他的であること又は以下の詳細な記載に開示された明確な形態に本発明を限定することを意図しない。むしろ、実施態様は、当業者が本発明の原則及び実施を認識及び理解しうるように選択及び記載されている。
本発明は、マーケティングプロモーション、グラフィックス、ブランドキャンペーン及び他の印刷又は画像コミュニケーションに基づいた構想に関連した使用に適している従来のPVC製品と類似した特性を有する非PVC系フィルム製品を対象とする。
【0010】
記載される本発明の一つの例示的な実施態様において、明澄、透明、半透明でありうるか又は他の所望の光学特性を有することができる非PVCフィルムは、ポリウレタン、ポリウレタン−アクリルコポリマー、ポリウレタン−アクリルブレンド又はウレタン−アクリルハイブリッドポリマーから作製される。
【0011】
記載される本発明の別の例示的な実施態様において、非PVC透明フィルムは最上層及び底層を含む。最上層は、ポリウレタン、ポリウレタン−アクリルコポリマー、ポリウレタン−アクリルブレンド又はウレタン−アクリルハイブリッドポリマーを含む。底層は、エマルション系、溶媒系又は押出非PVC系ポリマーを含む。
【0012】
記載される本発明の別の例示的な実施態様において、最上層、底層、接着層及び基材を含む非PVCフィルムラミネートが提供される。最上層は、ウレタン−アクリルハイブリッドポリマーを含む。底層は非PVCエマルション系ポリマーを含む。基材層は、印刷又は画像化された印又はグラフィックスを有する。
【0013】
記載される本発明の更なる例示的な実施態様において、広告グラフィックが提示され、プロモーションの印を備えた表面と、前面及び背面を有し、背面が表面と接触し、前面が雰囲気(例えば、空気)又は非雰囲気(例えば、氷)に曝露されている透明フィルムとを含む。フィルムは、第1層、実質的に第1層の下にある第2層及び第1層の反対側の第2層の下にある接着層を含む。フィルムの第1層はウレタン−アクリルハイブリッドポリマーを含み、第2層は非PVCエマルション系ポリマーを含む。
【0014】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な記載によって当業者に明白となる。しかし、多様な実施態様及び特定の例の詳細な記載は、本発明の好ましい及び他の実施態様を示しているが、例示として提示されており、限定として提示されていないことが理解されるべきである。本発明の範囲内で多くの変更及び修正を、本発明の精神から逸脱することなく行うことができ、本発明はそのような修正を全て含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明のこれらの、並びに他の目的及び利点は、添付の図面と一緒に以下の本発明の好ましい例示的実施態様のより詳細な記載を参照することによって、より完全に理解及び認識されるであろう。
【0016】
【図1】本発明のフィルムの一つの例示的な実施態様の断面図である。
【0017】
【図2】本発明のフィルムの一つの実施態様を作製する例示的な製造方法を示すブロック図である。
【0018】
【図3】本発明のフィルムの一つの実施態様を作製する別の製造方法を示す流れ図である。
【0019】
【図4】本発明のフィルムの一つの例示的な実施態様の断面図である。
【0020】
【図5】本発明のフィルムラミネートの更なる例示的な実施態様の断面図である。
【0021】
【図6】本発明の表面に適用される広告グラフィックの例示的な実施態様の平面図を示す。
【0022】
【図7】本発明の広告グラフィックのロールの例示的な実施態様を示す。
【0023】
特に示されていない限り、上記の図における図示は尺度どおりに描かれている必要はない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この文書に開示されている装置及び方法は、例として、図を参照することにより詳細に記載される。特に指定のない限り、図における同様の数字は、図の全体にわたって同じ、同様の又は対応する要素に対する参照を示す。開示及び記載されている例、配置、構造、成分、要素、装置、方法、材料などに対する修正を行うことができ、特定の用途にとって望ましい場合があることが理解される。本開示において、特定の形状、材料、技術、配置などにおける任意の同一性は、提示されている特定の例に関連するか又は単にそのような形状、材料、技術、配置などの一般的な記載である。特定の詳細又は例の同一性は、意図されたものではなく、特にそのように特定的に指定されない限り、強制的又は限定的であると考慮されるべきではない。装置及び方法の選択例が本明細書以降において開示され、図を参照しながら詳細に記載される。
【0025】
本発明は、屋外グラフィックス用途、広告、プロモーション及び他のマーケティングキャンペーンに使用されるフィルム及びフィルムラミネートに関する。より詳細には、本発明は、そのような用途に使用される非PVC透明フィルム及び非PVCフィルムラミネートに関する。フィルム及びフィルムラミネートは、適切な屋外耐久性、引っ掻き抵抗性、光沢、なじみ易さ、引っ張り伸び及び引っ張り強さを提供する。
【0026】
本発明の一つの例示的な実施態様において、屋外グラフィックス用途における使用に適した特性を有する単一層透明フィルムは、ポリウレタン、ポリウレタン−アクリルコポリマー、ポリウレタン−アクリルブレンド又はポリウレタン−アクリルハイブリッドポリマーから作製される。
【0027】
本発明の別の例示的な実施態様において、多層透明フィルムは、屋外グラフィックス用途における使用に適した特性を提供する。多層フィルムは少なくとも2つの層を有する。第1層は、ポリウレタン、ポリウレタン−アクリルコポリマー、ポリウレタン−アクリルブレンド又はウレタン−アクリルハイブリッドポリマーから作製される。この第1層の厚さは、約0.3ミル(7.6ミクロン)から約2ミル(50.8ミクロン)でありうる。他の層は、追加の機械的強さ、改善された接着力、改善されたなじみ易さ及び構造物全体における費用の低減を提供する。層の数は、製品に対する最終要件、費用制限及び加工装置の利用可能性に基づいて決定することができる。そのような他の層を、エマルションポリマー、溶媒ポリマー又は押出ポリマーから作製することができる。適切なポリマーには、限定することなく、アクリルポリマー、スチレンアクリルポリマー、酢酸ビニルエチレンコポリマー及びポリオレフィンが含まれる。そのような他の層の厚さは、約0ミルから約2ミルに変わることができる。エマルションポリマーの例には、限定することなく、ドイツ、ルドヴィックシャフェンのビーエーエスエフ社(BASF, Ludwigshafen, Germany)から入手可能なジョンクリル 617A(JONCRYL(登録商標)617A)、ジョンクリル 1987(JONCRYL 1987)、ジョンクリル 98(JONCRYL 98)、ジョンクリル FLX5000(JONCRYL FLX5000)、アクロナール NX4612X(ACRONAL(登録商標)NX4612X)及びアクロナール オプティヴ 410(ACRONAL OPTIVE 410);並びにドイツ、ミュンヘンのワッカーケミカルズ社(Wacker Chemicals, Munich, Germany)からのビナパス EF 811(VINNAPAS(登録商標)EF 811)又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0028】
本発明のなお別の例示的な実施態様において、非PVC透明フィルムは最上層及び底層を含む。最上層は、ポリウレタン、ポリウレタン−アクリルコポリマー、ポリウレタン−アクリルブレンド又はポリウレタン−アクリルハイブリッドポリマーから作製される。底層は非PVCエマルション系ポリマーを含む。一般に、非PVC系ポリマーは、エマルション系ポリマー、溶媒系ポリマー及び/又は押出ポリマーでありうる。特定の実施態様において、非PVC系ポリマーはアクリルポリマーである。
【0029】
本明細書で使用されるとき、用語「グラフィック」又は「グラフィックス」は、ブランド名を付けること、図示すること、楽しませること、情報を発信すること、広告を出すこと、発表すること及び製品、サービス、イベントなどを市場で売ることが意図される、一部の表面上の目視により知覚可能な提示を意味する。
【0030】
ここで図を参照し、図1は、記載された本発明により調製される例示的なフィルムの断面図を提供する。フィルム100は2つの層を有する。フィルムは、透明、半透明、明澄でありうるか又は他の所望の光学特性を有することができる。最上層102は、一つの例示的な実施態様において、ウレタン−アクリルハイブリッドポリマーである。底層104は、記載される本発明の実施態様において、強化ポリマー層である。
【0031】
加えて、フィルム層は、層の一方若しくは両方に添加される少なくとも1つの添加剤又は一方若しくは両方の層に添加される2つの添加剤を有することができる。中間層が含まれる場合(図4を参照すること)、添加剤は、中間層に存在することもできる。添加剤は、UV安定剤、フリーラジカルスカベンジャー、架橋剤、増粘剤、流動及び均展剤、レオロジー調整剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、染料、顔料、共溶媒又はこれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0032】
最上層102のウレタン−アクリルハイブリッドポリマーは、分子レベルで混合したウレタンポリマーとアクリルポリマーの組み合わせである。環境に優しくなるために、最上層102は、水性分散体から作り出すことが好ましいが、ウレタン−アクリルハイブリッドポリマーを生成する他の方法を使用することもできる。典型的には、そのようなハイブリッドポリマー分散体を作製する2つの方法がある。第1の方法では、ポリウレタン分散体が調製される。次にアクリルモノマーがポリウレタン分散体に添加される。アクリルポリマーがポリウレタン分散体の存在下で形成される。第2の方法では、ポリウレタンプレポリマーが形成される。次にアクリルモノマーがプレポリマーに添加される。ウレタンとアクリルの重合は同時に完了する。これらの方法に関する多数の出版物が存在する。例えば、ハーニッグ(Honig)による特許文献1(米国特許第3,684,758号)、カイザーマン(Kaizerman)による特許文献2(米国特許第4,198,330号)、ローリッグカイト(Loewrigkeit)による特許文献3(米国特許第4,644,030号)及びテュエン(Tien)による特許文献4(米国特許第5,594,065号)は、前述の方法を詳細に記載する。出版物、特許及び特許出願は、本開示の全体にわたって参照される。本明細書で引用される全ての参考文献は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0033】
上記に記載された方法により調製されたウレタン−アクリルハイブリッドポリマー分散体は、前述の方法の使用により生じる分子レベルでの混合によって、2つのポリマーの単なるブレンドと比較したとき、より良好な機械的特性を示すことが見出された。他の調製物よりもさらに環境に優しい配合物を作製するために、すなわち環境に対する影響を低減するために、ウレタン−アクリルハイブリッドポリマー分散体を、他の用途では加工溶媒として典型的に使用される成分であるN−メチルピロリドン(NMP)を無含有にすることで更に改善することができる。
【0034】
本発明の組成物における使用に適したウレタン−アクリルハイブリッドポリマー分散体は、脂肪族アクリルモノマーと脂肪族ポリウレタン成分のものである。製造されるフィルム製品が屋外環境で使用されるので、フィルムは、露、雨又は雪のような水分;温度偏差;光及びフィルム性能に影響を与えうる他の条件に曝露される。例えば、水分は、フィルムの成分又はその上の画像を色褪せ又は退色させることがあり、フィルム自体を白化することがある。したがって、親水性モノマーと他の成分との適正な釣り合いを維持することが、このフィルムがそのような条件に曝露されたときに求められる抵抗性を得るために必要である。モノマー及び他の成分は、また、求められる引っ張り特性、遮断抵抗性、引っ掻き抵抗性、透明性及び光沢を得るために釣り合うように選択されるべきである。例えば、ウレタン−アクリルハイブリッドポリマーに存在するアクリルの量は、この最上層の引っ張り特性を制御する。
【0035】
本発明における使用に適したウレタン−アクリルハイブリッド分散体は、ハイブリデュール 870(HYBRIDUR 870);ハイブリデュール 570(HYBRIDUR 570);ハイブリデュール 580(HYBRIDUR 580);ハイブリデュール 878(HYBRIDUR 878)を含むペンシルベニア州、アレンタウンのエアープロダクツ社(Air Products, Allentown, Pennsylvania)による商標名ハイブリデュール(HYBRIDUR)及びオランダ、ワールウェイクのディーエスエム ネオレジン社(Waalwijk, The Netherlands, DSM NeoResins)によるネオパックR9000(NEOPAC R9000)を利用することができる。
【0036】
UV遮断剤及びフリーラジカルスカベンジャーを最上層に加えて、屋外耐久性を改善することができる。この用途に適したUV遮断剤は、典型的にはベンゾトリアゾール系化合物又は求められる領域でUVエネルギーを吸収することができる他の化合物である。市販のUV吸収剤には、限定することなく、ドイツ、ルドヴィックシャフェンのビーエーエスエフ社(BASF, Ludwigshafen, Germany)のチヌビン400DW(TINUVIN(登録商標) 400 DW)、チヌビン292(TINUVIN 292)及びスイス、ムッテンツのクラリアント社(Clariant, Muttenz, Switzerland)のホスタビン3310(HOSTAVIN 3310)が含まれる。UV遮断剤の量は、約0%〜約5%の範囲でありうる。
【0037】
フリーラジカルスカベンジャーをフィルムの最上層に添加して、最上層の耐候性を改善することもできる。適切なフリーラジカルスカベンジャーには、ドイツ、ルドヴィックシャフェンのビーエーエスエフ社(BASF, Ludwigshafen, Germany)のチヌビン1130(Tinuvin 113)、チヌビン123DW(Tinuvin 123 DW)及びスイス、ムッテンツのクラリアント社(Clariant, Muttenz, Switzerland)のホスタビン3065(HOSTAVIN 3065)が含まれるが、これらに限定されない。フリーラジカルスカベンジャーの量は、約0%〜約5%の範囲でありうる。
【0038】
他のUV遮断系を使用して、このフィルムの耐候性を改善することもできる。これらには、ナノサイズ酸化亜鉛及び酸化セリウム又はこれらの組み合わせが含まれ、フィルムに必要とされるUV抵抗性を得るために使用することができる。適切なナノ金属酸化物には、ドイツ、ヴェセル、アルタナのビックアディティブズ社(BYK Additives of Altana, Wesel, Germany)によるナノビック3840(Nanobyk(登録商標)3840)、ナノビック3810(Nanobyk 3810)が含まれるが、これらに限定されない。添加剤の総量は、約0%〜約10%の範囲でありうる。
【0039】
図1に提示されたラミネートについての考察を続けると、底層104はフィルム100全体の引っ張り特性を改善するポリマー層を有し、このことはフィルム全体の費用を低減することもできる。そのような強化ポリマー層の例には、限定することなく、エマルション系ポリマー、溶媒系ポリマー及び押出ポリマーが含まれる。適切なポリマーには、限定することなく、アクリルポリマー、スチレンアクリルポリマー、酢酸ビニルエチレンコポリマー及びポリオレフィンが含まれる。UV安定剤及びフリーラジカルスカベンジャーを低層に添加することもできる。添加剤は、一緒になって、全配合物の約0%〜約5%の範囲でありうる。
【0040】
アクリルポリマーが低層104に使用される場合、アクリルポリマーは最上層102に使用されるものと同一又は異なることができる。脂肪族と芳香族の両方のアクリルが底層に含めるのに適切でありうる。適切なアクリルポリマーには、ドイツ、ルドヴィックシャフェンのビーエーエスエフ社(BASF, Ludwigshafen, Germany)から入手可能なジョンクリル617A(JONCRYL 617A)のような、優れた遮断抵抗性、引っ張り特性及び明澄性を有するアクリルエマルションが含まれる。
【0041】
最上層102の厚さは、約0.5ミルから約5ミルに及ぶことが可能である。底層104の厚さは、約0.5ミル(12.7ミクロン)から約5ミル(127ミクロンン)の範囲に及びうる。最上層102の厚さが薄すぎる場合、フィルムの耐薬品性、引っ掻き抵抗性及び屋外耐久性が損なわれることがある。底層104の厚さが薄すぎる場合、フィルム全体の引っ張り特性が十分ではないことがある。上記と反対に、上及び底層102、104それぞれが厚すぎる場合、構造物の厚さがフィルムのなじみ易さに影響を与えることもある。
【0042】
フィルム100は、そのような目的に適した任意の方法を使用して生成することができる。一つの実施態様において、フィルム組成物を当業者に周知の技術により最初に取り外し可能支持体又は担体層に付着した。そのような技術の例には、ダイ塗布、ナイフ塗布、流し塗り及び反転ロール塗布が含まれる。取り外し可能支持体を組成物が乾燥した後に引き離すことができる。例示的な取り外し可能支持体は、シリコーン処理ベルト、剥離紙及びPET又は他の適切な材料のような剥離フィルムを含む群から選択することができる。
【0043】
本発明のフィルムを作製する例示的な方法が図2のブロック図200に図示されている。工程205で方法を開始した後、次の工程210は、最上層成分及び取り外し可能支持体を準備することである。次に、工程215では、最上層成分をブレンドして上層組成物を形成する。最上層組成物は、ポリウレタン、ポリウレタン−アクリルコポリマー、ポリウレタン−アクリルブレンド又はウレタン−アクリルハイブリッド分散体、並びに少なくとも1つのフリーラジカルスカベンジャー及びUV遮断剤を含む。次に、工程220では、取り外し可能支持体を、スロットダイ塗布、流し塗り又は他の許容される方法などにより最上層組成物で塗布する。工程225では、最上層組成物を乾燥する。乾燥は、加熱又は周囲空気環境、硬化又は他の適切な方法により生じることができる。工程230では、底層成分を準備する。工程235では、底層成分をブレンドして底層組成物を形成する。底層組成物は、エマルションポリマー又は溶媒ポリマー、並びに少なくとも1つのフリーラジカルスカベンジャー及びUV遮断剤を含む。底層組成物を、工程240でスロットダイ塗布などにより最上層に塗布する。工程245では、底層組成物を乾燥する。あるいは、フィルムを、次の工程に進める前に、感圧接着剤(PSA)塗布剥離ライナーで更に積層する。工程250では、取り外し可能支持体を、乾燥した2層フィルムから取り外す又は引き離す。引き離し又は取り外しは、担体又は支持層からフィルムを引き離すのに役立つ剥離ブレード又はナイフを使用して達成することができる。あるいは、フィルムを担体又は支持体から容易に取り出すことができるように、フィルムを担体により鋭角で引き離すことができる。フィルムを巻いて、使用の準備ができる。あるいは、フィルムを等しい大きさ又は多様な長さのシート又は切片に切断及び分離することができる。方法は工程255で終了する。
【0044】
最上層及び底層は、実質的に互いに同じ広がりを持ち、すなわち端部及び/又は側部が一線上にあり、並列している。最上層を底層にパターンで適用することができ、それによって層が互いに完全には並列しないことも、当然のことながら可能である。
【0045】
本発明の別の実施態様において、最上層及び底層の組成物を取り外し支持体に同時に塗布することができる。図3の流れ図300は、そのような例示的な方法を図示する。工程305で開始した後、次の工程310は、最上層成分、底層成分及び取り外し可能支持体を準備することである。次に、工程315では、最上層成分をブレンドして上層組成物を形成する。続いて、同時に、底層成分をブレンドして底層組成物を形成する。次に、工程320では、最上層組成物及び底層組成物を、最上層組成物が取り外し支持体に接触し、底層組成物が最上層組成物に接触する二重ダイを使用して同時に塗布する。加えて、最上層及び底層を別々に形成し、慣用の装置を介して支持体又は担体上に押し出す又は塗布することができる。工程325では、塗布された組成物を乾燥する。あるいは、フィルムを、次の工程に進める前に、PSA塗布剥離ライナーで更に積層する。組成物を乾燥した後、取り外し可能支持体又は担体層を、工程330において乾燥2層フィルムから取り外すことができる。特定の用途における要件に応じて、フィルムを巻いて、使用の準備を整えることができるか又はシート状にすることができる。次にフィルムを、インクジェット及び静電印刷技術のような従来の方法により印刷又は画像化することができるか、あるいはフィルムを、予め印刷又は画像化することができた別の基材に適用することができる方法は工程335で終了する。
【0046】
前述に加えて、フィルムをワニス又は他の材料で更に上塗りして、光沢外観をもたらすことができる。この工程は、フィルム形成過程の際、印刷する前又は製造工程が完了した後に材料を収集した後で行うことができる。
【0047】
本発明のフィルムを、グラフィック又は他のメッセージと効果的に関連して使用することができる。本明細書で使用されるとき、効果的に関連するとは、印刷層若しくは予め印刷された層のような追加の層として又はグラフィック若しくはメッセージをフィルムに適用する、フィルムの一部としてのグラフィック又はメッセージが含まれるグラフィック又はメッセージにフィルムを適用することを含む。
【0048】
フィルムを、屋外用途、建築及び輸送型広告キャンペーンなどのための印刷メディアとして使用することができる。フィルムを、電子装置、建築的、芸術的又は美的要素の保護ラミネート、逆反射ナンバープレート、逆反射信号フィルム、ネームプレート、ラベル、自動車外装及び内装部品などのような、対象物に積層する保護フィルムとして使用することもできる。追加の例示的な使用には、安全信号、グラフィックディスプレイ、行政により義務化された表示、軍事用途又は屋外環境において保護が必要な表面が含まれうる。
【0049】
フィルムは接着層を含むこともできる。接着剤は、感圧接着剤、糊及び光学的に透明であり、印刷された印と接触したときに印刷された印に影響を与えない任意のその他の種類の接着剤でありうる。接着剤はパターンで塗布することができ、また、永久的、取り外し可能又は再貼付可能などのような特定の特性を選択することができる。接着剤は、ランダムコポリマー接着剤又はブロックコポリマー接着剤でありうる。ランダムコポリマー接着剤には、アクリル及び/又はメタクリルコポリマー、α−オレフィンコポリマー、シリコーンコポリマー、クロロプレン/アクリロニトリルコポリマーなどに基づいたものが含まれる。ブロックコポリマー接着剤には、直鎖状ブロックコポリマー(すなわち、A−B及びA−B−A型)、分岐鎖状ブロックコポリマー、星形ブロックコポリマー、グラフト又はラジアルブロックコポリマーなどに基づいたもの、並びに天然及び合成ゴム接着剤が含まれる。有用な感圧接着剤についての考察は、非特許文献1(ポリマー科学および工学の百科事典、第13巻、ワイリーインターサイエンス出版社(ニューヨーク、1988))において見出すことができる。有用な感圧接着剤についての追加的な考察は、非特許文献2(ポリマー科学および技術の百科事典、第1巻、インターサイエンス出版社(ニューヨーク、1964))において見出すことができる。
【0050】
感圧接着剤が使用される場合、剥離ライナーを使用して、接着剤が意図されない表面と不注意に接触することを防ぐことができる。選択された接着剤に適した任意の剥離ライナーを使用することができる。感圧接着剤において、剥離ライナーは、例えばコート紙又はフィルム及びスーパーカレンダー紙でありうる。剥離ライナーに適した塗布材料には、例えば、シリコーン系及びフッ素系材料又は所望の剥離特性を有する任意の他の材料、例えばロウ及びカルバメートが含まれる。
【0051】
図4は、本発明の一つの実施態様を図示する。フィルム400は、最上層402、底層404、中間層406及び剥離ライナー408を有する。適用の際に、剥離ライナーをはがして接着層を露出させることができる。フィルムを、保護される表面に接着層により付けることができる。中間層は、接着層、タイコート層又は接着促進層を含むことができる。
【0052】
フィルムは、大型のフィルムラミネートの一部として使用することもできる。図5は、フィルムラミネートの一つの実施態様の断面図を図示する。フィルムラミネート500は、最上層502、底層504、接着層506、インク層510及び下側基材層512から構成される。インク層として参照されているが、インクが連続層を形成する必要はない。多様な印刷可能材料を下側基材層として使用することができる。非PVC系印刷可能材料が、フィルムラミネート全体を非PVC系にするために好ましい。特許文献5(国際特許出願PCT/US08/84812)は、非PVC組成物を使用して作り出した多様なフィルムを記載し、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。ポリビニルアルコールのようなインク又はトナー下塗りを加えて、ラミネートへの印刷の固着を増加することができる。
【0053】
図6は、本発明の表面に適用される広告グラフィックフィルムの例示的な実施態様の平面図を図示する。広告グラフィック614を有するフィルムラミネートは、接着剤の使用により表面616に貼り付けられている。
【0054】
図7は、本発明のフィルムラミネート700のロールの例示的な実施態様を図示する。
【0055】
増粘剤、流動及び均展剤、並びにレオロジー調整剤などの追加の成分を、最上及び底配合物にそれぞれ添加して、所望の塗布品質を得ることができる。適切な増粘剤の例には、限定することなく、ミシガン州、ミッドランドのダウ・ケミカル社(Dow Chemicals, Midland, Michigan)のアクリソルRM−2020NPR、TM8W(ACRYSOL(登録商標)RM-2020 NPR, TM8W)及びユーカーポリフォーブ115TR(UCAR(登録商標) POLYPHOBE(登録商標) 115 TR)が含まれる。適切な流動及び均展剤の例には、限定することなく、デュポン社(Dupont)のゾニールFS300(ZONYL(登録商標)FS300);オムノバ・ソリューションズ社(Omnova Solutions)のポリフォックスPF−156A(Polyfox(登録商標)PF-156A);及びメイソンケミカル社(Mason Chemical Company)のマサーフ(Masurf(登録商標))、並びに他の同様の化学性を有するものが含まれる。組み込まれる率は、両方の層において0%〜10%に変動しうる。追加の粘度調整剤を配合物に含めて、粘度を所望のレベルに調整すること及び/又は所望の流動特性を付与することができる。これらは、ウレタン系アルカリ膨潤性会合性増粘剤でありうる。アルケマエマルジョンシステムズ社(Arkema Emulsion Systems)のユーカーポリフォーブ102(UCAR polyphobe 102)及びエレメンティス社(Elementis)のレオレート350(Rheolate(登録商標)350)のような製品は、配合物に使用可能な典型的な例である。組み込まれる率は、両方の層において0%〜10%に変動しうる。水又はイソプロピルアルコール(IPA)のような他の成分を、配合物に約0%〜約10%で加えることもできる。
【0056】
架橋剤を最上層配合物に加えて、そのフィルム層の機械的特性を改善することができる。適切な架橋剤の例には、限定することなく、オランダ、ワールウェイク(Waalwijk, The Netherlands)のディーエスエム ネオレジン社(DSM NeoResins)のポリアジリジン系CX−100;ミシガン州、ミッドランド(Midland, Michigan)のダウ・ケミカル社(Dow Chemicals)のユーカリンクXL−25SE(UCARLINK(登録商標)XL-25SE)、ERL−4221、ERL−4234;及びニューヨーク州ウォーターフォード(Waterford, New York)のモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社(Momentive Performance Materials Inc.)のコートシル1770(COATOSIL 1770)、シルクエストA−187(SILQUEST(登録商標)A-187)が含まれる。
【0057】
限定することなく、当業者に既知の他の添加剤、例えば界面活性剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、染料、顔料及び共溶媒を組成物の最上層及び底層それぞれに添加することができる。
【0058】
試験方法
【0059】
厚さ
【0060】
フィルムの厚さは、ニューヨーク州ロンコンコマ(Ronkonkoma, NY)のテスティング・マシンズ社(Testing Machines Inc.)から入手可能なTMI Model 49−70 プレシジョンマイクロメータ(Precision Micrometer)を使用して測定する。試験片を上側及び下側アンビルの間に設置する。上側アンビルを試験片の上に置き、厚さを測定し、デジタル読み出しで示す。
【0061】
CIE L色空間
【0062】
この試験を使用して試料の色を記載する。この三次元色空間系は、国際照明委員会(CIE)により開発され、Lが0(黒色)から100(白色)の範囲で色の明度を表すと定義する。この系において、aは、赤色(マゼンタ)/緑色軸に沿った色の位置を表し、負の値は緑色を表し、正の値は赤色又はマゼンタを表し、bは、青色/黄色軸に沿った色の位置を表し、負の値は青色を表し、正の値は黄色を表す。試験は、ミシガン州、グランドラピッズ(Grand Rapids, Michigan)のエックスライト社(X-Rite, Inc.)から入手可能なCOLOR I 5 Benchtop Spectrophotometerを使用して実施する。試験方法は、TAPPI T524 om−94である。
【0063】
促進曝露
【0064】
促進曝露試験は、試験試料を光、水分及び温度限界に曝露することにより材料の長期屋外曝露の損傷効果をシミュレートする。試料を、耐光堅牢性(退色)及び耐候性(割れ、白亜化、カール、縮みなど)について試験及び観察する。イリノイ州シカゴ(Chicago, IL)のアトラスマテリアルテスティングテクノロジー社(Atlas Material Testing Technology LLC)によるアトラスCI65A キセノンアークウェザオメーター(ATLAS CI65A Xenon Arc Weather-Ometer)をこの試験に使用する。
【0065】
最初に、白色、黄色、マゼンタ、シアン及び黒色のストライプの印刷パターンを、印刷可能基材に印刷する。次に、透明、半透明、明澄でありうるか又は他の所望の光学特性を有することができる本発明のフィルムを、感圧接着剤の使用により印刷層に積層して、フィルムラミネートを作製する。試料を、ウェザオメーターに設置する前に、最初にCIE L色空間について試験する。試料を指定された時間にわたってウェザオメーターで老化させる。試料をCIE L色空間を読み取るため及び縮み、白亜化、割れなどにおけるあらゆる変化を観察するためにウェザオメーターから取り出す。2000時間後に可視変化がなく、ΔEで表されるL、a及びbの合計における変化が10未満である場合、試料は合格である。ΔE値は、以下の式:
【数1】

を使用して計算される。
【0066】
光沢
【0067】
光沢は、メリーランド州コロンビア(Columbia, MD)のビック・ガードナーUSA社(BYK Gardner USA)によるビックガードナーマイクロトリグロスグロスメーター(BYK Gardner Micro-TRI-Gloss Gloss Meter)を使用して測定する。普遍的な測定角度の60°を測定に使用する。典型的には、許容される光沢の読み取り値は80以上である。
【0068】
引っ張り強さ及び引っ張り伸び
【0069】
フィルムの引っ張り伸び及び引っ張り強さは、マサチューセッツ州カントン(Canton, MA)のインストロン社(Instron Co.)によるインストロンモデル5542(Instron Model 5542)を使用して試験する。修正ASTM D882を使用して、本発明のフィルムの引っ張り強さ及び伸び率を決定した。手順は以下である:
1.1インチ×4インチ(25.4mm×101.6mm)試験片を縦方向に切断した。
2.グリップの間の間隔が2インチ(5.8mm)となるように、両端部の端から1インチ(25.4mm)でフィルムを掴む。
3.1分間あたり12インチ(1分間あたり304.8mm)のクロスヘッド速度(「ipm」)に設定する。
4.引っ張り応力時間とフィルムの厚さの積である引っ張り強さを得る。切断点引っ張り強さは、フィルムの厚さの切断時点で生じる最大応力である。
5.伸び率は機械により報告される。
【0070】
標準は、180%の最小極限伸び及び1立方インチあたり0.5ポンド(「psi」)(6,895N/m)の最小引っ張り強さを必要とする。フィルムにおける感圧接着剤(PSA)の存在又は不在は、フィルムの強さ及び/又は伸びを感知できるほど変更はしない。このように、下記の実施例においてフィルムがPSAを含むとしても、引っ張り伸び試験を、同じフィルムであるがPSAの層を有さないものを使用して実施した。
【0071】
リベット試験
【0072】
およそ2.5インチ(63.5mm)×2.5インチ(63.5mm)の試験試料を、オハイオ州リッチフィールド(Richfield, Ohio)のフロンティアタンクセンター(Frontier Tank Center)による印刷済4インチ(101.6mm)×12インチ(304.8mm)のアルミニウムパネルに適用する。11.4mm(直径)×3.3mm(高さ)×7.62mm(軸径)(0.45"(直径)×0.13"(高さ)×0.3"(軸径))の真鍮リベットヘッドを、アルミニウムパネルに均一に分布する。特にリベットヘッドの周りに皺の形成が最小限になるように適用を実施する。閉じ込められた空気を針で刺すことにより放出し、同時に堅い剛毛のブラシ及びプラスチックスクィージーを使用して、リベットの周りにフィルムの最適な形態を得る。試料を周囲条件下で24時間留める。リベットの周りのフィルムの持ち上がった部分の直径を測定し、記録する。次に試料を、UVB 313バルブを1000時間使用する、イリノイ州シカゴ(Chicago, Illinois)のアトラス・エレクトリック・デバイス社(ATLAS Electric Devices Co.)によるアトラスCi5000キセノンアークウェザオメーター(ATLAS Ci5000 Xenon Arc Weather-Ometer)に設置する。次に試料を取り出し、リベットの周りの持ち上がったフィルムの直径を再び測定する。直径の変化が0.0625インチ(1.58mm)未満である場合、試料は合格である。
【0073】
縮み試験
【0074】
試験試料を、カリフォルニア州パサデナ(Pasadena, CA)のエイブリィデニソン社(Avery Dennison Corporation)による商標名S8072の感圧接着剤により1立方メートルあたり約30グラム(gsm)の塗布量で塗布する。次に試料を、オハイオ州クリーブランド(Cleveland, OH)のキューラブコーポレイション(Q-Lab Corporation)による清浄アルミニウムパネルに付ける。試料を周囲条件下で24時間留める。縦方向(MD)と横方向(CD)の両方に5インチ(127mm)のクロスハッチをフィルムにつける。次に試料を160°F(71℃)で48時間老化させる。MD及びCDの直径変化を測定する。両方の方向において縮みが0.33%未満の場合、試料は合格である。
【0075】
実施例
【0076】
以下の実施例に使用される薬品を、機能、製造者及びそれぞれの場所の情報と共に表1に提示する。
【0077】
【表1】

【0078】
表2は、最上層を作り出すのに使用された配合物の5つの実施例を提示する。
【0079】
【表2】

【0080】
実施例1〜5:最上層組成物
【0081】
表3は、底層を作り出すのに使用された配合物の2つの実施例を提示する。
【0082】
実施例6〜7:底層組成物
【0083】
【表3】

【0084】
表4は、最上層として実施例5、底層として実施例7をそれぞれの層で異なる厚さで使用して作り出したフィルムの5つの実施例を提示する。
【0085】
実施例8〜12:フィルム
【0086】
【表4】

【0087】
実施例13 対照
【0088】
ハイブリデュール870(HYBRIDUR 870)それ自体はフィルムから作製された。フィルム厚が約1.7ミル(43ミクロン)である場合、引っ張り伸びは80%である。フィルム厚が約2.4ミル(61ミクロン)である場合、引っ張り伸びはおよそ150%である。ウェザオメーター(weather-o-meter)試験に付されると、フィルムは激しい縮みを示す。
【0089】
実施例8〜12を多様な特性について試験した。フィルムを、フィルム厚、60度での光沢及び引っ張り伸びについて試験した。引っ掻き抵抗性及び縮み試験では、それぞれの試料を、カリフォルニア州パサデナ(Pasadena, CA)のエイブリィデニソン社(Avery Dennison Corporation)による商標名S8072の感圧接着剤の約30gsmで塗布する。促進曝露及びリベット試験では、接着剤塗布試料を更に印刷可能フィルムに積層する。印刷可能フィルムは、特許文献5(PCT出願PCT/US08/84812(その全体が参照として本明細書に組み込まれる))の実施例番号29Bである。
【0090】
表5は、それぞれの試料の測定された特性を提示する。促進曝露試験に合格した全ての実施例は、90を越える60度での光沢及び200を越える引っ張り伸びを有する。全ての試料は、引っ掻き抵抗性試験、リベット試験及び縮み試験に合格した。
【0091】
【表5】

【0092】
実施例13 3層フィルム
【0093】
3層フィルムは、最上層としてハイブリデュール870(HYBRIDUR 870)、中間の層としてジョンクリル617 A(JONCRYL 617 A)及び第3層としてビナパスEF 811(VINNAPAAS EF 811)を使用して作り出した。それぞれの層は、約0.5ミル(12.7ミクロン)から約2ミル(50.8ミクロン)の厚さでありうる。
【0094】
実施例14〜17
【0095】
表6は、最上層を作り出すのに使用された配合物の4つの追加的な実施例を提示する。
【0096】
【表6】

【0097】
実施例18〜22
【0098】
表7は、底層を作り出すのに使用された配合物の5つの追加的な実施例を提示する。
【0099】
【表7】

【0100】
本明細書で示された全ての特許、公開出願及び記事は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0101】
開示された特許請求の範囲、要約書及び図面、並びに任意の方法又はプロセスにおける全ての工程を含む明細書に開示されている全ての特徴は、そのような特徴及び/又は工程の少なくとも幾つかが相互排他的となる組み合わせを除いて、任意の組み合わせて組み合わせることが可能である。特許請求の範囲、要約書及び図面を含む明細書において開示されているそれぞれの特徴は、特に明確に記載されない限り、同じ、同等又は同様の目的にかなう代替的な特徴に代えることができる。このように、特に明確に記載されない限り、開示されているそれぞれの特徴は、一連の一般的な同等又は同様の特徴の一例にすぎない。
【0102】
本発明の前述の詳細な記載は、例示の目的において提示されており、網羅的であること又は開示されている特定の実施態様に本発明を限定することを意図しない。実施態様は、本発明の主要な特徴を実施するのに使用される形状に応じて、異なる能力及び利点を提供することができる。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に透明な保護フィルムであって、
最上層と、
前記最上層と実質的に同じ広がりを持つ底層と、を含み、
前記最上層が、ポリウレタン、ポリウレタン−アクリルコポリマー、ポリウレタン−アクリルブレンド及びウレタン−アクリルハイブリッドポリマーからなる群より選択され、
前記底層が、非PVC系ポリマーから構成される、光学的に透明な保護フィルム。
【請求項2】
前記非PVC系ポリマーが、エマルション系ポリマー、溶媒系ポリマー及び押出ポリマーからなる群より選択される、請求項1記載のフィルム。
【請求項3】
前記非PVC系ポリマーがアクリルポリマーである、請求項1記載のフィルム。
【請求項4】
前記フィルムが接着層を更に含み、
前記接着層が前記底層と接触する、請求項1記載のフィルム。
【請求項5】
前記フィルムが、前記フィルムの最上層及び底層の少なくとも一方に少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項1記載のフィルム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの添加剤が、UV安定剤、フリーラジカルスカベンジャー、架橋剤、増粘剤、流動及び均展剤、レオロジー調整剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、染料、顔料、共溶媒、水、イソプロピルアルコール及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項5記載のフィルム。
【請求項7】
フィルムラミネートであって、
最上層と、
底層と、
中間層と、
基材層と、を含み、
前記最上層が、ポリウレタン、ポリウレタン−アクリルコポリマー、ポリウレタン−アクリルブレンド及びウレタン−アクリルハイブリッドポリマーからなる群より選択され、
前記底層が、非PVC系ポリマーを含み、
前記基材層が、印刷された印又は画像印を有する、フィルムラミネート。
【請求項8】
前記中間層が、接着層、タイコート層及び接着促進層を含む群から選択される、請求項7記載のフィルムラミネート。
【請求項9】
前記フィルムが、前記フィルムの最上層、中間層及び底層の少なくとも1つに少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項7記載のフィルム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの添加剤が、UV安定剤、フリーラジカルスカベンジャー、架橋剤、増粘剤、流動及び均展剤、レオロジー調整剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、染料、顔料、共溶媒、水、イソプロピルアルコール及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項9記載のフィルムラミネート。
【請求項11】
広告又は情報グラフィックであって、
プロモーションの印を備えた表面と、
前面及び背面を有し、前記背面が前記表面と接触しているフィルムとを含み、
前記フィルムが、第1層と、実質的に前記第1層の下にある第2層と、前記第1層の反対側の前記第2層の下にある接着層とを含み、
前記第1層がウレタン−アクリルハイブリッドポリマーを含み、前記第2層が非PVC系ポリマーを含む、広告又は情報グラフィック。
【請求項12】
広告又は情報グラフィックであって、
表面と、
接着層と、
前面と背面を有し、前記背面が前記表面に面して、前記接着層と接触し、前記前面がプロモーションの印を備えた印刷可能基材と、
最上層及び底層を有し、前記底層が前記印刷可能基材の前記前面に面している透明フィルムと、を含み、
前記最上層が、ポリウレタン、ポリウレタン−アクリルコポリマー、ポリウレタン−アクリルブレンド及びウレタン−アクリルハイブリッドポリマーからなる群より選択され、
前記底層が、非PVC系ポリマーを含む、広告又は情報グラフィック。
【請求項13】
前記表面が、建築、輸送、芸術、美観、安全装置、道路標識、自動車の外装及び内装、軍事、安全装置道路標識、自動車用外部装備品及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12記載の広告グラフィック。
【請求項14】
前記接着層が、永久接着剤、取り外し可能接着剤、再貼付可能接着剤及びこれらの組み合わせからなる群より選択される接着剤を含む、請求項12記載の広告グラフィック。
【請求項15】
前記プロモーションの印が、アルファベット文字及び/又は数字、画像、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12記載の広告グラフィック。
【請求項16】
基材層が、第1層及び第2層の一方に提供される、請求項12記載の広告グラフィック。
【請求項17】
前記基材層がインク層を含む、請求項16記載の広告グラフィック。
【請求項18】
前記フィルムの前記最上層及び底層の少なくとも一方に少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項12記載の広告グラフィック。
【請求項19】
前記少なくとも1つの添加剤が、UV安定剤、フリーラジカルスカベンジャー、架橋剤、増粘剤、流動及び均展剤、レオロジー調整剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、染料、顔料、共溶媒、水、イソプロピルアルコール及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項18記載の広告グラフィック。
【請求項20】
グラフィック広告フィルムのロール又はシートであって、少なくとも第1層及び第2層を有するフィルムを含み、前記第1層がウレタン−アクリルハイブリッドポリマーを含み、前記第2層が非PVCエマルション系ポリマーを含み、
前記第1層及び第2層の一方が、広告の印と効果的に関連して提示される、グラフィック広告フィルムのロール又はシート。
【請求項21】
前記フィルムが、前記第1層及び第2層の一方に備わる接着層を更に含む、請求項20記載のグラフィック広告フィルムのロール又はシート。
【請求項22】
剥離層が前記接着層の上に設けられる、請求項21記載のグラフィック広告フィルムのロール又はシート。
【請求項23】
前記フィルムが、前記第1層及び第2層の一方に備わる基材層を更に含む、請求項20記載のグラフィック広告フィルムのロール又はシート。
【請求項24】
前記基材層が印刷層を含む、請求項23記載のグラフィック広告フィルムのロール又はシート。
【請求項25】
前記フィルムの前記第1層及び第2層の少なくとも一方に少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項20記載のグラフィック広告フィルムのロール又はシート。
【請求項26】
前記少なくとも1つの添加剤が、UV安定剤、フリーラジカルスカベンジャー、架橋剤、増粘剤、流動及び均展剤、レオロジー調整剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、染料、顔料、共溶媒及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項25記載のグラフィック広告フィルムのロール又はシート。
【請求項27】
ポリウレタン、ポリウレタン−アクリルコポリマー、ポリウレタン−アクリルブレンド及びウレタン−アクリルハイブリッドポリマーからなる群より選択されるポリマーを含む、屋外環境に使用される透明フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−521162(P2013−521162A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556258(P2012−556258)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/027154
【国際公開番号】WO2011/109692
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(511205046)エイブリィ デニソン コーポレーション (15)
【Fターム(参考)】