説明

面会者の監視システム

【課題】立ち入り禁止の領域に侵入した面会者を追跡することができる面会者の監視システムを提供する。
【解決手段】セキュリティレベルが設定された状態で監視区域の各領域に配置された複数のタグリーダと、セキュリティレベルが設定された面会者用タグと、面会者用タグを検出しているタグリーダのセキュリティレベルが面会者用タグのセキュリティレベルよりも高い場合に、面会者用タグが立ち入り禁止の領域へ侵入したと判定し、当該判定後、面会者用タグを検出しているタグリーダの位置に基づいて、面会者用タグの位置を追跡する監視装置と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、面会者の監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
面会者の監視システムとして、面会者が立ち入り禁止の領域に侵入したことを検出するものが提案されている。当該監視システムは、所定時間が経過しても面会者の移動端末と被面会者の移動端末が同一の領域にない場合に警報を発する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、当該監視システムにおいては、所定時間が経過する前に面会者が立ち入り禁止の領域に入っても警報を発しない。
【0004】
これに対し、携帯送信機の信号が受信できなくなった際に警報を発する監視システムが提案されている。当該監視システムを面会者の監視システムに適用すれば、所定時間が経過する前に面会者が立ち入り禁止の領域に侵入した場合であっても警報を発することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−305987号公報
【特許文献2】特開平10−143788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、当該監視システムにおいては、警報を発した後の面会者の行動を追跡することができない。
【0007】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、立ち入り禁止の領域に侵入した面会者を追跡することができる面会者の監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る面会者の監視システムは、セキュリティレベルが設定された状態で監視区域の各領域に配置された複数のタグリーダと、セキュリティレベルが設定された面会者用タグと、前記面会者用タグを検出しているタグリーダのセキュリティレベルが前記面会者用タグのセキュリティレベルよりも高い場合に、前記面会者用タグが立ち入り禁止の領域へ侵入したと判定し、当該判定後、前記面会者用タグを検出しているタグリーダの位置に基づいて、前記面会者用タグの位置を追跡する監視装置と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、立ち入り禁止の領域に侵入した面会者を追跡することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1における面会者の監視システムの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1における面会者の監視システムのセキュリティレベルを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における面会者の監視システムの構成図である。
【0013】
図1において、1は工場等の監視区域の受付である。受付1は、監視区域の入口近傍に設けられる。受付1の前方には、通路2が設けられる。通路2は、水平投影面上において直線状に形成される。通路2は、監視区域の各領域に繋がるように形成される。
【0014】
通路2の一側には、監視領域として、第1居室3が設けられる。例えば、第1居室3は、面会場所等からなる。第1居室3は、水平投影面上において略正方形状に形成される。通路2と第1居室3との間には、扉4が設けられる。
【0015】
通路2の他側には、監視領域として、第2居室5が設けられる。例えば、第2居室5は、設計室等からなる。第2居室5は、水平投影面状において略正方形状に形成される。通路2と第2居室5との間には、扉6が設けられる。
【0016】
通路2、第1居室3、第2居室5には、複数のタグリーダ7が配置される。これらのタグリーダ7は、LEDやブザー等の報知装置(図示せず)を備える。これらのタグリーダ7は、所定の検出領域を有する。これらのタグリーダ7は、水平投影面状において略格子状に配置される。この際、隣接したタグリーダ7は、互いの検出領域が接するように配置される。
【0017】
具体的には、通路2においては、タグリーダ7が直線状に並んで配置される。第1居室3の一側においては、2個のタグリーダ7が第1居室3の奥行方向に並んで配置される。第1居室3の他側においては、2個のタグリーダ7が第1居室3の奥行方向に並んで配置される。第2居室5の一側においては、2個のタグリーダ7が第2居室5の奥行方向に並んで配置される。第2居室5の他側においては、2個のタグリーダ7が第2居室5の奥行方向に並んで配置される。
【0018】
通路2、第1居室3、第2居室5には、当該領域の重要度に応じてセキュリティレベルが設定される。各タグリーダ7には、設置位置のセキュリティレベルと同様のセキュリティレベルが設定される。
【0019】
図1においては、通路2のタグリーダ7のセキュリティレベルは、第1レベルに設定される。第1居室3のタグリーダ7のセキュリティレベルは、第1レベルに設定される。第2居室5のタグリーダ7のセキュリティレベルは、第2レベルに設定される。
【0020】
8は被面会者用タグである。被面会者用タグ8は、無線タグからなる。被面会者用タグ8には、被面会者の行動範囲に合致した適切なセキュリティレベルが設定される。9は面会者用タグである。面会者用タグ9は、無線タグからなる。面会者用タグ9には、面会者の移動制限に合致した適切なセキュリティレベルが設定される。
【0021】
10は監視装置である。監視装置10は、例えば、監視区域の監視室(図示せず)等に設けられる。監視装置10は、配線(図示せず)を介して各タグリーダ7に接続される。
【0022】
次に、図2を用いて、セキュリティレベルを説明する。
図2はこの発明の実施の形態1における面会者の監視システムのセキュリティレベルを説明するための図である。
【0023】
図2に示すように、セキュリティレベルは、数字が大きくなるにつれて高くなる。この際、高いセキュリティレベルは、低いセキュリティレベルを包含する。すなわち、第2レベルは、第1レベルを包含する。第3レベルは、第1レベルと第2レベルとを包含する。なお、第4レベルのように、低いセキュリティレベルを含まない独立したセキュリティレベルが設定される場合もある。
【0024】
次に、図1を用いて、面会者を監視する方法を説明する。
【0025】
被面会者には、被面会者用タグ8が予め配布される。図1においては、被面会者用タグ8には、第2レベルが設定されている。面会者は、受付1で被面会者を指定して面会者用タグ9を受け取る。図1においては、面会者用タグ9には、第1レベルが設定されている。面会者用タグ9には、面会者が面会する被面会者の被面会者用タグ8が対応付けられる。
【0026】
被面会者用タグ8と面会者用タグ9とは、タグリーダ7の検出範囲内に配置されると、一定時間毎にID情報を送信する。当該ID情報は、当該タグリーダ7に読み取られる。監視装置10は、ID情報を読み取っているタグリーダ7の設置位置を被面会者用タグ8や面会者用タグ9位置として判定する。
【0027】
監視装置10は、面会者用タグ9からID情報を読み取っているタグリーダ7のセキュリティレベルと面会者用タグ9のセキュリティレベルとを比較する。
【0028】
面会者用タグ9からID情報を読み取っているタグリーダ7のセキュリティレベルが面会者用タグ9のセキュリティレベル以下の場合、監視装置10は、面会者用タグ9が立ち入り禁止の領域に侵入したとは判定しない。すなわち、面会者は通路2や第1居室3へ入ることができる。
【0029】
これに対し、面会者用タグ9がどのタグリーダ7にも検出されない場合、監視装置10は、面会者用タグ9が立ち入り禁止の領域に侵入したと判定する。この場合、監視装置10は、全てのタグリーダ7のLED点灯やブザー鳴動等を用いて警報を発する。すなわち、面会者が通路2を通り抜けた場合や面会者用タグ9を破壊した場合、監視装置10は、警報を発する。
【0030】
面会者用タグ9からID情報を読み取っているタグリーダ7のセキュリティレベルが面会者用タグ9のセキュリティレベルよりも高い場合、監視装置10は、面会者用タグ9が立ち入り禁止の領域に侵入したと判定する。この場合、例えば、監視装置10は、面会者用タグ9が検出された領域内のタグリーダ7のLED点灯やブザー鳴動等を用いて警報を発する。すなわち、例えば、面会者が被面会者以外の者に追従して第2居室5に侵入した場合、監視装置10は、警報を発する。このとき、当該領域内の者全員で面会者を監視する。その結果、面会者の不審な行動が抑止される。
【0031】
この場合、監視装置10は、第2居室5内において面会者用タグ9からID情報を検出しているタグリーダ7の位置に基づいて、面会者用タグ9の位置を追跡する。すなわち、面会者が被面会者以外の者に追従して第2居室5に侵入した後も、面会者の位置は追跡される。
【0032】
ただし、第2居室5において、面会者用タグ9を検出しているタグリーダ7と被面会者用タグ8を検出しているタグリーダ7とが同一の場合、監視装置10は、面会者が立ち入り禁止の領域に侵入したとは判定しない。また、面会者用タグ9を検出しているタグリーダ7と被面会者用タグ8を検出しているタグリーダ7との距離が所定の範囲内の場合、監視装置10は、面会者が立ち入り禁止の領域に侵入したとは判定しない。これらの場合、監視装置10は、警報を発しない。すなわち、技術者等の面会者が設計室等の機密情報のある第2居室5に入る必要がある場合は、被面会者が第1レベルの通路2や第1居室3まで面会者を迎えに行けばよい。その後、被面会者と面会者とが一緒に移動すれば、監視装置10が警報を発することはない。
【0033】
このとき、面会者用タグ9を検出しているタグリーダ7と被面会者用タグ8を検出しているタグリーダ7との距離が所定の範囲外になると、監視装置10は、面会者が立ち入り禁止の領域に侵入したと判定する。この場合、監視装置10は、一定時間経過後に警報を発する。ただし、一定時間が経過する前に、面会者用タグ9を検出しているタグリーダ7と被面会者用タグ8を検出しているタグリーダ7との距離が所定の範囲内に戻れば、監視装置10は、警報を発しない。
【0034】
なお、被面会者と面会者とが一緒に移動する場合であっても、被面会者用タグ8を検出しているタグリーダ7のセキュリティレベルが被面会者用タグ8のセキュリティレベルよりも高い場合は、監視装置10は、被面会者用タグ8と面会者用タグ9とが立ち入り禁止の領域に侵入したと判定する。この場合、監視装置10は、警報を発する。すなわち、例えば、被面会者と面会者とが第3レベル(図1においては図示せず)の領域に入った場合は、監視装置10は、警報を発する。
【0035】
以上で説明した実施の形態1によれば、面会者用タグ9を検出しているタグリーダ7のセキュリティレベルが面会者用タグ9のセキュリティレベルよりも高い場合に、面会者用タグ9が立ち入り禁止の領域へ侵入したと判定される。その後、面会者用タグ9を検出しているタグリーダ7の位置に基づいて、面会者用タグ9の位置が追跡される。このため、一定時間が経過しなくても、面会者が立ち入り禁止の領域に侵入したことを検出できる。その後、立ち入り禁止の領域に侵入した面会者を追跡することができる。
【0036】
また、面会者用タグ9を検出しているタグリーダ7のセキュリティレベルが被面会者用タグ8のセキュリティレベル以下のときに、面会者用タグ9を検出しているタグリーダ7と被面会者用タグ8を検出しているタグリーダ7との距離が所定の範囲内の場合は、面会者用タグ9が立ち入り禁止の領域へ侵入したとは判定されない。このため、面会者用タグ9のセキュリティレベル以上のセキュリティレベルの領域においては、面会者は被面会者と一緒にいる場合のみ許される。この場合、面会者の行動は、被面会者に監視される。従って、セキュリティレベルの高い領域のセキュリティを維持しつつ、面会者が当該領域に入ることを許可する利便性を上げることができる。
【0037】
また、面会者用タグ9を検出しているタグリーダ7と被面会者用タグ8を検出しているタグリーダ7との距離が所定の範囲内のときでも、被面会者用タグ8を検出しているタグリーダ7のセキュリティレベルが被面会者用タグ8のセキュリティレベルよりも高い場合は、被面会者用タグ8と面会者用タグ9とが立ち入り禁止の領域へ侵入したと判定される。このため、被面会者さえアクセスできない機密情報の漏洩を防止することができる。
【0038】
なお、警報を発するタイミングは適宜設定される。例えば、立ち入り禁止の領域への侵入の検出直後に警報を発してもよい。また、立ち入り禁止の領域への侵入を検出してから所定時間経過後に警報を発してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 受付
2 通路
3 第1居室
4 扉
5 第2居室
6 扉
7 タグリーダ
8 被面会者用タグ
9 面会者用タグ
10 監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティレベルが設定された状態で監視区域の各領域に配置された複数のタグリーダと、
セキュリティレベルが設定された面会者用タグと、
前記面会者用タグを検出しているタグリーダのセキュリティレベルが前記面会者用タグのセキュリティレベルよりも高い場合に、前記面会者用タグが立ち入り禁止の領域へ侵入したと判定し、当該判定後、前記面会者用タグを検出しているタグリーダの位置に基づいて、前記面会者用タグの位置を追跡する監視装置と、
を備えたことを特徴とする面会者の監視システム。
【請求項2】
セキュリティレベルが設定された被面会者用タグ、
を備え、
前記監視装置は、前記面会者用タグを検出しているタグリーダのセキュリティレベルが前記被面会者用タグのセキュリティレベル以下のときに、前記面会者用タグを検出しているタグリーダと前記被面会者用タグを検出しているタグリーダとの距離が所定の範囲内の場合は、前記面会者用タグが立ち入り禁止の領域へ侵入したとは判定しないことを特徴とする請求項1記載の面会者の監視システム。
【請求項3】
前記監視装置は、前記被面会者用タグを検出しているタグリーダのセキュリティレベルが前記被面会者用タグのセキュリティレベルよりも高い場合に、と前記被面会者用タグと前記面会者用タグとが立ち入り禁止の領域へ侵入したと判定することを特徴とする請求項2記載の面会者の監視システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−97488(P2013−97488A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238327(P2011−238327)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】