面光源装置及び表示装置
【課題】 導光板の光出射面に反射防止用の微細な凹凸を備えたフロントライトにおいて、当該凹凸による回折光の発生を抑制する手段を提供する。
【解決手段】 光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えたフロントライトにおいて、前記光出射面に反射防止用の微細凹凸30からなる反射防止用パターンを形成する。光源24から出射される光のうち最も波長の短い可視光の波長をλmin、導光板の屈折率をn1、空気の屈折率をn0とすれば、微細凹凸30の周期pが次式、
p<λmin/(n0+n1)
を満たすことにより、導光板の反射防止用パターン(光出射面)から回折光が出射されるのを防止できる。
【解決手段】 光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えたフロントライトにおいて、前記光出射面に反射防止用の微細凹凸30からなる反射防止用パターンを形成する。光源24から出射される光のうち最も波長の短い可視光の波長をλmin、導光板の屈折率をn1、空気の屈折率をn0とすれば、微細凹凸30の周期pが次式、
p<λmin/(n0+n1)
を満たすことにより、導光板の反射防止用パターン(光出射面)から回折光が出射されるのを防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源装置及び表示装置に関する。特に、導光板の観察側の面又は光出射面に反射防止用の微細な凹凸を備えた面光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等のディスプレイを備えた携帯機器においては、バッテリーの長寿命化が要求されている。反射型液晶表示装置は、画面照明用に自然光と光源を併用することができ、電力消費が少ないので、注目されている。
【0003】
(従来技術)
ここでは、面光源装置をフロントライトとして用いた従来例について説明する。図1はフロントライト2と反射型の液晶表示パネル3とからなる反射型液晶表示装置1の概略断面図である。このフロントライト2においては、光源4から出射した光は、導光板5内で全反射を繰り返して導光し、ついで、表面の偏向パターン6で反射されて光出射面7(裏面)にほぼ垂直に入射した光は、光出射面7から出射される。フロントライト2の光出射面7から出射した光は、図1に実線の矢印で示すように、液晶表示パネル3のガラス基板や液晶層を通過し、反射面8で反射されて再び液晶層等を通過して元の方向へ戻る。このように液晶表示パネル3内部で反射された光は、液晶表示パネル3によって変調された後、フロントライト2を通過して画像光9として観察者側へ出射される。
【0004】
一方、導光板5内において偏向パターン6で反射されて光出射面7に向かう光の一部は、図1に破線の矢印で示すように、光出射面7でフレネル反射し、ノイズ光10として観察者側へ直接出射される。
【0005】
一般的には、光出射面7に入射する光の約4%がフレネル反射してノイズ光10となっており、このようなノイズ光10が発生すると、図1に示すように、画像光9とノイズ光10が同じ方向へ出射されるので、液晶表示パネル3により生成された画像に白色光が重なり、画面のコントラストが低下し、視認性が悪くなる。
【0006】
図2に示すものは、上記のような視認性の低下を防止するようにした反射型液晶表示装置11の概略断面図である。この反射型液晶表示装置11においては、導光板5の光出射面7に、光の波長以下の周期pで配列された微細凹凸12からなる反射防止用パターン13が設けられている。図3は導光板5の光出射面7に設けられた反射防止用パターン13の一部の輪郭を示す拡大斜視図であって、角錐状をした微細凹凸12が一定周期(ピッチ)pで配列されている。このような反射防止用パターン又は微細凹凸を有するフロントライトは、特許文献1、特許文献2に記載されている。
【0007】
図4は反射防止用パターン13の作用説明図である。図4(a)は屈折率がn1(>空気の屈折率n0)の導光板5の断面を表しており、反射防止用パターン13の各微細凹凸12は下端部へ向かうほど次第に幅が狭くなっている。反射防止用パターン13の形成されている領域においては、屈折率がn1の媒質(導光板材料)と屈折率がn0の媒質(空気)との体積比率が、導光板5の厚み方向で次第に変化しているので、図4(b)に示すように、上方から下方へ向かうにつれて媒質の有効屈折率は、導光板5の屈折率n1から空気の屈折率n0へと次第に変化している。
ここで、微細凹凸12の周期をp、光源4から出射される光のうち最も波長の短い可視光の波長をλminとするとき、反射光(ノイズ光)の低減には、
p<λmin
の条件を満たすことが望ましい。λminを真空中における波長とすれば、導光板中では波長がλmin/n1に短くなることを考慮して、微細凹凸12の周期pの条件を、
p<λmin/n1
とすればより望ましい。
【0008】
しかして、このような反射型液晶表示装置11によれば、微細凹凸12は光の波長以下の周期pで形成されており、厚み方向で媒質の(有効)屈折率が連続的に変化しているので、図3に実線矢印で示すように反射防止用パターン13に上方から垂直に光が入射する場合や、全反射の臨界角よりも小さな入射角で反射防止用パターン13に光が入射する場合には、広い波長領域にわたって光出射面7におけるフレネル反射が減少し、画像のコントラストが向上する。このときの反射型液晶表示装置11における光の挙動を図2に表している。
【0009】
(問題の所在)
こうして光出射面7に反射防止用パターン13を設けてフレネル反射を抑制することにより、画像のコントラストを向上させる方法は周知のものとなった。
【0010】
しかし、本発明者らは液晶表示装置のより良好な画像を求めて研究を行ったところ、反射防止用パターン13で発生する回折光が、画面のコントラストを低下させている主な原因の一つであることを発見した。すなわち、導光板5の光出射面7に反射防止用パターン13を設けた場合には、フレネル反射を抑制することができるものの、微細凹凸12を一定周期で配列した反射防止用パターン13は回折格子(grating)として働くので、導光板5内の光が光出射面7から出射される際に回折光が発生する。こうして導光板5の光出射面7から出射された回折光は、直接に、あるいは乱反射して観察者側に向けて出射され、この回折光が画面の画像光9と重なって画像のコントラストを低下させ、また、導光板が色味を帯びることになり、液晶表示装置11の視認性を悪化させているのである。
【0011】
さらに、本発明者らの研究によれば、反射防止用パターン13で回折光が発生するのは、次に示すように、面光源装置特有の機能により発生していることが分かった。すなわち、一般的な用途の反射防止用パターン(微細凹凸)では、図3に実線矢印で示したように、ほぼ垂直な方向からの入射光を考慮すれば十分である。これに対し、導光板5裏面に設けた反射防止用パターン13では、図3に破線矢印で示したように、光出射面7に大きな入射角で入射する光も考慮する必要がある。図5に示すように、面光源装置2は、光源24から出射された光を導光板5の表面と裏面で全反射して伝搬させ全面から均一に出射させる機能を持つ。そのため、大きな強度の光が反射防止用パターン13に対して全反射の臨界角以上の大きな入射角度で入射する。一方、反射防止用パターン13を光出射面7に垂直な方向から見ると、各微細凹凸12は厚みの大きな部分で有効屈折率が大きくなるので、各微細凹凸12の中心で有効屈折率が最大となり、微細凹凸12の周辺部では有効屈折率が小さくなり、図6(a)に示すような、有効屈折率の分布を示す。よって、反射防止用パターン13を垂直な方向から見ると、反射防止用パターン13は図6(b)に示すような2次元回折格子とみなすことができる。従って、ここに反射防止用パターン13とほぼ平行な光が入射すると、周期的に2次元配列した微細凹凸12によって回折し、図5に示すように、光出射面7から回折光14が出射されることになる。この回折光14は、直接に、あるいは乱反射して観察者側に向けて出射されるため、この回折光が画面の画像光と重なり、また、導光板が色味を帯びることになり、画像のコントラストを低下させて液晶表示装置11の視認性を悪化させる。
【0012】
なお、導光板の光出射面における光のフレネル反射を防止する方法としては、光出射面に誘電体多層膜を成膜する方法も考えられるが、この方法では、成膜工程が煩雑になってコストが高くつく、耐環境性が悪いといった問題がある。
【0013】
【特許文献1】特開2002−250917号公報
【特許文献2】WO02/29454
【特許文献3】特開2002−357825
【特許文献4】特開2004−133392
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような知見に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、導光板の光出射面に反射防止用の微細な凹凸を備えた面光源装置において、当該凹凸による回折光の発生を抑制する手段もしくは設計手法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の面光源装置は、光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、前記凹部又は凸部について隣接する凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布をとったとき、その頻度が最大となる距離Kが、
を満たしている。
【0016】
本発明の第1の面光源装置によれば、導光板の微細凹部又は凸部が配置された面から回折光が出射しなくなる。よって、回折光の発生を防ぐことにより画像光と回折光の両方が観察者の目に入射し、視認性を悪化させるのを防止することができる。
【0017】
本発明の第2の面光源装置は、光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、前記光出射面から出射される光の光度が最大となる方向は前記光出射面に立てた法線に対して傾いており、前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、前記凹部又は凸部について隣接する凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布をとったとき、その頻度が最大となる距離Kが、
を満たしている。
【0018】
本発明の第2の面光源装置によれば、光が導光板の光出射面から斜め方向に出射されるので、表示装置のガラス基板等で正反射したノイズ光が観察者側へ反射されるのを防ぐことができ、画面のコントラスト低下を避けることができる。さらに、凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布の頻度が最大となる距離Kが上式を満たすことで、導光板の光出射面から回折光が出射したとしても、その回折光が観察者側に達しにくくすることができる。
【0019】
本発明の第3の面光源装置は、光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、前記凹部又は凸部について隣接する凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布をとったとき、その頻度が最大となる距離Kが、
を満たしている。
【0020】
本発明の第3の面光源装置によれば、導光板の観察側の面又は光出射面で導光板内部へ向けて回折光が発生しなくなる。導光板内部への回折光は、観察者方向へ出射する場合があるため、導光板内部への回折光を防ぐことにより、回折光により画面の視認性を悪化させることが無くなる。
【0021】
本発明の第4の面光源装置は、光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、前記凹部又は凸部の幅をWとするとき、当該幅Wが、
を満たしている。
【0022】
本発明の第4の面光源装置によれば、導光板の微細凹部又は凸部が配置された面から回折光が出射しなくなる。よって、回折光の発生を防ぐことにより画像光と回折光の両方が観察者の目に入射し、視認性を悪化させるのを防止することができる。
【0023】
本発明の第5の面光源装置は、光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、前記光出射面から出射される光の光度が最大となる方向は前記光出射面に立てた法線に対して傾いており、前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、前記凹部又は凸部の幅をWとするとき、当該幅Wが、
を満たしている。
【0024】
本発明の第5の面光源装置によれば、光が導光板の光出射面から斜め方向に出射されるので、表示装置のガラス基板等で正反射したノイズ光が観察者側へ反射されるのを防ぐことができ、画面のコントラスト低下を避けることができる。さらに、凹部又は凸部の幅Wが上式を満たすことで、導光板の光出射面から回折光が出射したとしても、その回折光が観察者側に達しにくくすることができる。
【0025】
本発明の第6の面光源装置は、光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、前記凹部又は凸部の幅をWとするとき、当該Wが、
を満たしている。
【0026】
本発明の第6の面光源装置によれば、導光板の観察側の面又は光出射面で導光板内部へ向けて回折光が発生しなくなる。導光板内部への回折光は、観察者方向へ出射する場合があるため、導光板内部への回折光を防ぐことにより、回折光により画面の視認性を悪化させることが無くなる。
【0027】
本発明の第1〜6の面光源装置は、ある実施態様においては、前記凹部の深さ又は前記凸部の高さをHとするとき、当該凹部又は凸部の幅Wに対する比H/Wが、
H/W>1.2
を満たしている。凹部又は凸部のアスペクト比をH/W>1.2とすることにより、第1〜6の面光源装置において凹部又は凸部における反射率を十分に低減することができる。
【0028】
本発明の第1〜6の面光源装置は、別な実施態様において、前記光源から出射される最も波長の短い可視光の真空中における波長λminを380nmとしている。
【0029】
最も波長の短い可視光の真空中における波長は380nmであるから、凹部又は凸部の周期を求めるのに、λminの値として380nmを用いることにより、可視光の回折が抑えられ画面の視認性を劣化させることが無くなる。但し、LEDなどでは、最も波長の短い可視光の真空中における波長は420nmであるから、光源としてLEDを用いる場合には、λminの値として420nmを用いてもよい。
【0030】
本発明の第1〜6の面光源装置は、さらに別な実施態様において、前記凹部又は凸部が、前記導光板の観察側の面又は光出射面に転写されている。一般に導光板は射出成形等で製作されるので、微細な凹部又は凸部を同時に成形することは困難である。また、微細な凹部又は凸部を有するフィルムを導光板に貼り付けることも可能であるが、導光板に微細な凹部又は凸部を転写する方法によれば、フィルムを導光板に貼り付ける方法に比べて剥がれる恐れが無いため耐久性が高くなる。また、転写する方法の方が、工程も少ないため作製が容易である。
【0031】
なお、本発明の面光源装置は、反射型の表示装置との組み合わせに限らず、両面型の表示装置などとも組み合わせることができるが、いずれの場合においても、本発明の面光源装置における観察側の面とは、表示装置で反射した画像光を観察する方向の面をいうものとする。
【0032】
本発明の第1の表示装置は、第1〜6の面光源装置と、前記面光源装置から出射された光を反射させて画像を生成する表示パネルとからなる。この表示装置によれば、フレネル反射と共に回折光の発生を抑えることができるので、画面のコントラストを向上させて視認性を良好にすることができる。
【0033】
本発明の第2の表示装置は、第1〜6の面光源装置と、前記面光源装置から出射された光を透過させて画像を生成すると共に前記光源装置から出射された光を反射させて画像を生成する表示パネルとからなる。この表示装置にあっても、フレネル反射と共に回折光の発生を抑えることができるので、反射側の画面のコントラストを向上させて視認性を良好にすることができる。
【0034】
なお、この発明の以上説明した構成要素は、可能な限り任意に組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の面光源装置によれば、フレネル反射を防止するだけでなく、さらに回折光の発生を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
[反射型液晶表示装置]
図7は本発明の面光源装置をフロントライトとして用いた反射型液晶表示装置21の概略斜視図、図8はその概略断面図である。この反射型液晶表示装置21は、フロントライト22と反射型液晶表示パネル23とからなり、反射型液晶表示パネル23の前面側(観察側)にフロントライト22が配置されている。
【0037】
フロントライト22は、線状光源などの光源24と、光源24の後方を覆うリフレクタ25と、ポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂、メタクリル樹脂等の透明な樹脂によって射出成形等の方法で成形された導光板26とから構成されている。線状光源には、冷陰極管のような一方向に長い光源のほか、複数個のLEDを一列に配列させて擬似的に線状光源化したものも含まれる。光源24は、導光板26の外部において、あるいは、導光板26内部の有効出射領域外において、導光板26の光入射面27と対向させるように配置されている。
【0038】
導光板26の表面には、光源24から出射されて導光板26内部を伝搬する光を導光板裏面にほぼ垂直な方向へ向けて全反射させるための偏向パターン28が複数形成されている。偏向パターン28は光源24の長さ方向に直交する方向に沿って配列されていて断面鋸刃状となっており、各偏向パターン28は、光源24の長さ方向と平行に延びている。また、導光板26の光出射面29(導光板裏面)から出射される光の強度分布を有効出射領域全体で均一化するため、偏向パターン28は、光源24の近傍ではパターン面密度が小さくなっており、光源24から離れるに従ってパターン面密度が次第に大きくなっている。
【0039】
なお、導光板26の表面にこのような偏向パターン28を形成する代わりに、光源24から遠くなるに従って厚みが薄くなるように導光板26をくさび状に形成していてもよい。
【0040】
導光板26の光出射面29には反射防止用パターン31が設けられている。反射防止用パターン31は、導光板26の裏面全面に成形された複数の微細な凹部又は凸部(以下、微細凹凸という。)30によって構成されており、微細凹凸30は、光源24から出射される光のうち最も波長の短い可視光の波長λminよりも小さな周期pで2次元状に配列されている。
【0041】
図7に示す反射型の液晶表示パネル23は、TFT電極を形成された裏面基板32と透明電極を形成されたガラス基板33との間に液晶材料34を封止したものであり、裏面基板32の上には反射面35が形成されている。図9に示すように、裏面基板32の上には絶縁材料層36が形成され、絶縁材料層36には同一形状をした複数の傾斜パターン36aが配列されており、絶縁材料層36の表面にアルミ等の金属蒸着膜を成膜することによって反射面35が形成されている。また、図示しないが、ガラス基板33の上には、偏光板などが設けられる。
【0042】
しかして、図8に示すように、このフロントライト22の光源24を点灯させると、光源24から出射され導光板26内に入射した光(矢印で示す。以下、同様)は、導光板26内に閉じ込められて導光板26の偏向パターン28(表面)と光出射面29(裏面)との間で全反射を繰り返しながら光源24から遠ざかる方向へ伝搬すると共に導光板26の全体に広がっていく。この光Lが偏向パターン28で全反射されると、導光板26の光出射面29へ向けて進み、光出射面29から液晶表示パネル23へ向けて斜めに出射され、液晶表示パネル23を照明する。
【0043】
また、光源24が点灯されておらず、太陽光などの外光によって液晶表示パネル23が照明される場合には、導光板26の表面から斜めに入射した外光が導光板26を透過して光出射面29から斜めに出射され、液晶表示パネル23を照明する。
【0044】
光源24からの光や外光が、導光板26の光出射面29から斜めに出射されると、出射された光Lは液晶表示パネル23のガラス基板33及び液晶材料34を透過して反射面35で反射される。反射面35は、光出射面29から出射された光Lの入射する方向で下りとなるように傾斜しているので、フロントライト22から斜めに入射した光Lは、反射面35によってほぼ垂直方向に向けて反射される。反射面35で反射された画像光は液晶材料34、ガラス基板33、導光板26等をほぼ垂直に透過して反射型液晶表示装置21の画面正面側へ出射され、画面正面方向での輝度を上げることができる。
【0045】
ここで、導光板26の光出射面29には反射防止用パターン31が形成されているので、導光板26の裏面におけるフレネル反射が抑制され、導光板26の裏面でフレネル反射したノイズ光によって画像のコントラストが低下するのを防止される。
【0046】
また、従来の反射型液晶表示装置では、導光板裏面に反射防止用パターンを設けることで回折光が発生し、画像のコントラストを低下させていたが、本発明の反射型液晶表示装置21では、反射防止用パターン31(微細凹凸30)の周期や配置を最適化することで回折光が発生しないようにし、あるいは回折光が発生したとしても観察者側へ出射されないように設計されている。
【0047】
なお、上記実施の形態においては、光源24として冷陰極管等の線状光源を用いた場合について説明したが、光源24としては、LED等の1個の発光素子又は局在化された複数個の発光素子からなる点状光源を用いてもよい。図10は点光源状の光源24を用いたフロントライト22の一例を示す概略平面図である。このフロントライト22では、点光源状の光源24は導光板26のある一辺の中央部又は隅部に配置されており、導光板26表面の偏向パターン28も、光源24を中心とする同心円状に離散的に設けられている。
【0048】
また、上記反射防止用パターン31を構成する微細凹凸30は、光出射面29でなく、偏向パターン28の設けられている導光板26の表面に設けてもよい。あるいは、導光板26の表裏両面に微細凹凸30を設けてもよい。導光板26の表面(観察側の面)に可視光の最短波長以下の周期で微細凹凸30を設ければ、外光が導光板26の観察側の面で反射するのを抑え、周囲の景色の映り込みや反射によるコントラストの低下を抑えることができる。
【0049】
以下、上記のような反射型液晶表示装置21を例にとって、本発明における回折光の抑制方法を各実施の形態毎に説明する。第1〜3の実施の形態は反射防止用パターン31の配列方向とは関係なく、回折光の発生を抑制する方法を説明し、第4〜7の実施の形態は、反射防止用パターン31の配列方向を最適化することにより回折を抑制する方法を説明している。なお、以下においては、反射防止用パターン31に平行な面をxy平面と呼び、光源に垂直な方向をx軸方向、光源の長さ方向と平行な方向をy軸方向と呼び、光出射面29に垂直な方向をz軸方向と呼ぶことがある。
【0050】
[実施の形態1]
第1の実施の形態は、反射防止用パターン31の配列方向とは関係なく、回折光が発生しないようにしたものである。つまり、2次元的に配列された微細凹凸30は、一列に配列された微細凹凸列が周期的に繰り返して並べられているとみなす事ができる。この微細凹凸列及び光出射面29に垂直な平面に平行な光が反射防止用パターン31に入射した時、回折しないようにしたものである。図11は第1の実施の形態を説明する図であって、反射防止用パターン31を、微細凹凸列及び光出射面29に垂直な平面で切った時の断面を拡大して表している。図11を用いて第1の実施の形態を説明する。
【0051】
図11に表すように、微細凹凸30に入射する光Lの入射角(導光板26に垂直な方向から測った角度)をθ1、回折光14の回折角(導光板26に垂直な方向から測った回折光の出射角度)をθ2、導光板材料の屈折率をn1、空気の屈折率をn0、微細凹凸30の周期をpとする。ただし、入射光の入射角θ1は光源側から入射するときに正の値をとり、回折光14の回折角θ2は光源側へ出射するときに正の値をとるものとする。
【0052】
いま、図11に示すように、隣り合った微細凹凸30において、光源側から微細凹凸30に入射して光源側へ出射する回折光14の光路長差を求めると、
光路長差=n1・psinθ1+n0・psinθ2
となるから、真空中における波長がλの光が回折して強めあうための条件は、次の(1)式のようになる。
p・(n1・sinθ1+n0・sinθ2)=mλ …(1)
(但し、m=±1、±2、…)
【0053】
導光板26内を導光するあらゆる入射角θ1の光が回折しないようにするためには、上記(1)式の左辺の絶対値の最大値が右辺の絶対値の最小値を超えないようにすればよい。光源24から出射される光のうち最も波長の短い可視光の波長をλminとすれば、(1)式の右辺の絶対値の最小値は、λminである。一方、左辺の絶対値の最大値は、θ1=θ2=90°として、p・(n1+n0)である。よって、導光板26内を導光するあらゆる方向の光が回折しないようにするためには、次の(2)式を満たせばよいことが分かる。
p<λmin/(n0+n1) …(2)
【0054】
人間の視覚では、380nm以下の波長の光は視認されないので、λmin=380nmとし、導光板26の屈折率n1=1.5、空気の屈折率n0=1とすると、上記(2)式は、
p<152nm
となる。
【0055】
従って、第1の実施の形態においては、反射防止用パターン31を構成する微細凹凸30の周期(ピッチ)pが上記(2)式の右辺で決まる値よりも小さくなるように形成してあり、その結果、導光板26の光出射面29から回折光が出射しなくなるので、回折光が観察者側へ出射されることが無く、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0056】
なお、第1の実施の形態では微細凹凸列および光出射面29に垂直な平面に平行な光が反射防止用パターン31に入射した時について計算を行ったが、光の入射方向に関係なく微細凹凸30の周期pが上記関係式を満たせば回折光が出射されることは無い。また、微細凹凸列の選び方によりピッチが異なる場合があるが、いずれの選び方においてもピッチが上記(2)式を満たすようにしてあれば良い。ただし、光出射面29に垂直な方向から見て光の入射方向がほぼ一定である場合には、その入射方向にほぼ垂直な微細凹凸列について、微細凹凸30の周期pが上記(2)式を満たしていれば回折光はほとんど出射しない。
【0057】
また、この第1の実施の形態もしくは上記(2)式は、図12に示すように、フロントライト22の光出射面29から垂直に照明光37が出射される場合にも適用できる。
【0058】
[実施の形態2]
第2の実施の形態は、所定方向では回折光が発生しないようにし、それ以外の方向では反射防止用パターン31で回折光が発生したとしても、画像光と同じ方向へ出射されないようにしたものである。図13は第2の実施の形態を説明する図であって、反射型液晶表示装置21の側面図である。図13を用いて第2の実施の形態を説明する。
【0059】
画面のコントラストを低下させるノイズ光は、フロントライト22の光出射面29におけるフレネル反射だけでなく、反射型液晶表示パネル23のガラス基板33表面や偏光板におけるフレネル反射によっても発生する。そのため、上記反射型液晶表示装置21では、フロントライト22の光出射面29から斜めに光Lを出射させ、この光Lを反射型液晶表示パネル23の傾斜した反射面35で垂直に反射させて画像光9を観察者側へ出射させるようにしている。図14に示すように、フロントライト22の光出射面29から反射型液晶表示パネル23に向けて斜めに光Lを出射させれば、この光Lが反射型液晶表示パネル23のガラス基板33表面や偏光板で反射されても、反射したノイズ光10は斜め方向へ反射されるので、ノイズ光10が画像光9と同じ方向へ出射されず、画面のコントラストを低下させることがなくなる。
【0060】
このとき、反射防止用パターン31から回折光14が出射されるとしても、図13に破線で示すように回折光14の出射方向が照明光37に対して90°以上の角度をなしていれば、回折光14が反射型液晶表示パネル23内に入射したとしても反射面35で反射することによって大きな入射角で反射型液晶表示パネル23のガラス基板33表面に入射して全反射することになり、回折光14が反射型液晶表示パネル23から出射されにくくなる。
【0061】
よって、フロントライト22の光出射面29から出射される照明光37の光度が最大の方向が光出射面29の法線に対してなす角度をθoutとしたとき、照明光37に対して90°以下の角度をなす方向に回折光14が発生しなければよい。すなわち、回折光14の回折角をθ2とするとき、
θ2+θout<90°
の条件化で、前記(1)式を満たせばよい。この場合には、
sinθ2<sin(90°−θout)=cosθout
としてよいから、第1の実施の形態と同様に考えると、照明光37に対して90°以下の角度をなす方向に回折光14が発生しない条件は、次の(3)式で表される。
p<λmin/(n1+n0・cosθout) …(3)
ここで、pは微細凹凸30の周期、n1は導光板材料の屈折率、n0は空気の屈折率、λminは光源24から出射される可視光のうち最も波長の短い可視光の波長である。
【0062】
例えば、λmin=380nm、θout=30°、導光板の屈折率n1=1.5、空気の屈折率n0=1とすると、上記(3)式は、
p<160nm
となる。
【0063】
従って、第2の実施の形態においては、反射防止用パターン31を構成する微細凹凸30の周期(ピッチ)pが上記(3)式の右辺で決まる値よりも小さくなるように形成してあり、その結果、照明光37と90°以下の角度をなす方向には回折光14が発生せず、また、照明光37と90°よりも大きな角度をなす方向では回折光14が出射されたとしてもその回折光14は観察者側へ出射されないので、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0064】
なお、上記(3)式においてθout=0°とすれば(光出射面29から垂直出射する場合)、上記(3)式は上記(2)式と一致する。
【0065】
なお、光の入射方向は微細凹凸列および光出射面29に垂直である必要は無く、光の入射方向に関係なく微細凹凸30の周期pが上記関係式を満たせば所定方向に回折光14は出射しない。また、微細凹凸列の選び方によりピッチが異なる場合があるが、いずれの選び方においてもピッチが上記(3)式を満たすようにしてあれば良い。ただし、光出射面29に垂直な方向から見て光の入射方向がほぼ一定である場合には、その入射方向にほぼ垂直な微細凹凸列について、微細凹凸30の周期pが上記(3)式を満たしていれば所定方向に回折光はほとんど発生しない。
【0066】
[実施の形態3]
第3の実施の形態は、導光板26の内部でも反射防止用パターン31による回折光が発生しないようにしたものである。図15は第3の実施の形態を説明する図であって、反射防止用パターン31の一部の断面(隣接する2つの微細凹凸30のxz断面)を拡大して表している。図15を用いて第1の実施の形態を説明する。
【0067】
図15に示すように、隣り合った微細凹凸30において、導光板26内で光源側から微細凹凸30に入射して導光板26内で光源側へ出射する回折光14の光路長差を求めると、
光路長差=n1・psinθ1+n1・psin(180°−θ2)
=n1・psinθ1+n1・psinθ2
となる。ただし、θ1は導光板26内で光出射面29に立てた法線から測った入射角、θ2は導光板26外で光出射面29に立てた法線から測った回折角である(第1の実施の形態に同じ)。従って、真空中における波長がλの光が回折して強めあうための条件は、次の(4)式のようになる。
p・n1(sinθ1+sinθ2)=mλ …(4)
(但し、m=±1、±2、…)
【0068】
導光板26内で回折光14が発生しないようにするためには、上記(4)式の左辺の絶対値の最大値が右辺の絶対値の最小値を超えないようにすればよい。光源24から出射される光のうち最も波長の短い可視光の波長をλminとすれば、(4)式の右辺の絶対値の最小値は、λminである。一方、左辺の絶対値の最大値は、θ1=θ2=90°として、2p・n1である。よって、導光板26内で回折光14が発生しないようにするためには、次の(5)式を満たせばよいことが分かる。
p<λmin/(2・n1) …(5)
ここで、pは微細凹凸30の周期、n1は導光板材料の屈折率である。
【0069】
例えば、λmin=380nm、導光板26の屈折率n1=1.5とすると、(5)式は、
p<127nm
となる。
【0070】
従って、第3の実施の形態においては、反射防止用パターン31を構成する微細凹凸30の周期(ピッチ)pが上記(5)式の右辺で決まる値よりも小さくなるように形成してあり、その結果、導光板26内でも回折光14が出射しなくなるので、回折光14が観察者側へ出射されることが無く、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0071】
さらに、n1>n0であるから、
p<λmin/(2・n1)<λmin/(n0+n1)
となり、上記(5)式を満たしていれば、第1の実施の形態の(2)式も満たすので、導光板26の外側でも回折光が発生しないことが分かる。
【0072】
なお、この第3の実施の形態もしくは上記(5)式は、第1の実施の形態と同様、フロントライト22の光出射面29から垂直に照明光37が出射される場合にも適用出来る。
【0073】
なお、光の入射方向は微細凹凸列および光出射面29に垂直である必要は無く、光の入射方向に関係なく微細凹凸30の周期pが上記関係式を満たせば回折光は発生しない。また、微細凹凸列の選び方によりピッチが異なる場合があるが、いずれの選び方においてもピッチが上記(3)式を満たすようにしてあれば良い。ただし、光出射面29に垂直な方向から見て光の入射方向がほぼ一定である場合には、その入射方向にほぼ垂直な微細凹凸列について、微細凹凸30の周期pが上記(3)式を満たしていれば回折光はほとんど発生しない。
【0074】
[実施の形態4]
第4の実施の形態は、反射防止用パターン31の配列方向を最適化することにより大きな周期の微細凹凸30でも回折が生じないようにしたものである。ここで、光出射面にほぼ平行に導光する光が反射防止用パターン31で回折し、導光板26内部へ光出射面29にほぼ平行に出射する条件で計算を行った。このとき、回折光の光路長差が最も大きくなるため、この条件において回折が生じないような微細凹凸の配列方向及び、微細凹凸の周期を求めればよい。光出射面29に垂直なxz平面においては、格子の厚み(微細凹凸30の高さ)が小さいので、上記のように1次元の回折格子として取り扱うことができたが、光出射面29に平行なxy平面においては、格子の厚み(光出射面29の長さと幅)が大きいので、ブラッグ回折として取り扱わなければならない。
【0075】
ブラッグ回折では、一般に、回折格子に入射した光Lの入射角と反射光の出射角とが等しいと仮定される。このとき、図16に示すように、格子面間の間隔がdの回折格子に入射して隣接する格子面で反射される光の光路長差は、2dsinφとなる。ただし、この場合の入射角φは、格子面から測るものとする。よって、ブラッグ回折では、光の波長をλとするとき、
2・n1・dsinφ=qλ (q=±1、±2、…) …(6)
の条件を満たす場合に、反射光が強め合う(ブラッグの回折条件)。ここで、光Lは導光板26内で回折されるので、導光板26の屈折率n1を考慮した。
【0076】
xy平面における回折光を抑制するためには、任意の入射角φに対して上記(6)式が成立しないようにすればよい。(6)式の右辺の最小値はλmin(導光板26を伝搬する光のうち最も波長の短い可視光の波長)であり、(6)式の左辺の最大値は2・n1・p(pは微細凹凸30の周期で、p≧d)であるから、(6)式が成り立たないようにするための条件は、
p<λmin/(2・n1) …(7)
となる。
【0077】
従って、第4の実施の形態においては、反射防止用パターン31を構成する微細凹凸30の周期(ピッチ)pが上記(7)式の右辺で決まる値よりも小さくなるように形成してあり、その結果、導光板26の光出射面29でブラッグ回折が起こらなくなるので、回折光が観察者側へ出射されることが無く、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0078】
[実施の形態5]
導光板26の光出射面29と平行な面内においては、上記(7)式を満たすように微細凹凸30の周期を小さくすれば、ブラッグ回折による回折光が発生しないようにすることができる。しかし、微細凹凸30の周期が小さくなるほど反射防止用パターン31を形成することが困難となるので、第5の実施の形態では、反射防止用パターン31の方向を最適化することにより、できるだけ大きな周期の微細凹凸30で回折光の発生を抑制している。
【0079】
図17は、反射防止用パターン31の各微細凹凸30を格子点に見立てた図である(以下、反射防止用パターン31の代わりに、このような図を用いる。)。また、微細凹凸30は正方格子状に並んでいる必要はなく、斜方格子状や六方格子状などでもよいので、より一般的に説明するために格子点を斜方格子状に描いている。このような回折格子を考えると、図17に示すように、無数の方向の格子面が考えられる。ブラッグ回折による回折光を発生させないためには、全ての格子面でブラッグの回折条件を満たさなければよい。しかし、実際には、格子面間の間隔の最も大きな図18に示すような4つの主な格子面S1、S2、S3、S4でブラッグ回折の条件を満たさないようにすれば、ブラッグ回折による回折光は発生しない。そこで、以下においては、4つの主な格子面でブラッグ回折が発生しない条件を求める。
【0080】
まず、ここで用いる記号の定義を図19により説明する。反射防止用パターン31と平行な平面内において光の入射する方向は、格子面S1と平行な方向を基準とする角度φで表すものとする。また、格子面S1、S2と平行な方向を向いていて、かつ、互いに成す角度α1が90°以上である基本格子ベクトルを<d1>、<d2>とする。さらに、格子面S3と平行な方向の格子ベクトルを<d3>=<d1>+<d2>とし、格子ベクトル<d1>と<d3>のなす角度をα2、格子ベクトル<d2>と<d3>のなす角度をα3=α1−α2、格子ベクトル<d1>と(<d2>−<d1>)のなす角度をα4とする。また、ベクトル<d1>、<d2>、<d3>の大きさ(格子定数)をそれぞれd1、d2、d3とする。
【0081】
図20に示すように、格子面S1におけるブラッグ回折の条件を考えると、格子間間隔はd2・sinα1であるから、
2・n1・(d2・sinα1)・sinφ=qλ (q=±1、±2、…)
となる。よって、格子面S1において回折が起こらないためには、
2・n1・(d2・sinα1)・|sinφ|<λmin …(8)
であればよい。
同様にして、図21に示すような格子面S2におけるブラッグ回折を考えると、格子間間隔はd1・sinα1であるから、
2・n1・(d1・sinα1)・sin(α1−φ)=qλ (q=±1、±2、…)
となる。よって、格子面S2において回折が起こらないための条件は、
2・n1・(d1・sinα1)・|sin(α1−φ)|<λmin …(9)
となる。
また、図22に示すような格子面S3におけるブラッグ回折を考えると、格子間間隔はd2sinα3であるから、
2・n1・(d2・sinα3)・sin(α2−φ)=qλ
(q=±1、±2、…)
となる。よって、格子面S3において回折が起こらないための条件は、
2・n1・(d2・sinα3)・|sin(α2−φ)|<λmin …(10)
となる。
また、図23に示すような格子面S4におけるブラッグ回折を考えると、格子間間隔はd1・sinα4であるから、
2・n1・(d1・sinα4)・sin(α4−φ)=qλ (q=±1、±2、…)
となる。よって、格子面S4において回折が起こらないための条件は、
2・n1・(d1・sinα4)・|sin(α4−φ)|<λmin …(11)
となる。
【0082】
以上より、反射防止用パターン31によってブラッグ回折が起きないようにするためには、次の(8)〜(11)式を同時に満足するような入射角φを求めればよい。
2・n1・(d2・sinα1)・|sinφ|<λmin …(8)
2・n1・(d1・sinα1)・|sin(α1−φ)|<λmin …(9)
2・n1・(d2・sinα3)・|sin(α2−φ)|<λmin …(10)
2・n1・(d1・sinα4)・|sin(α4−φ)|<λmin …(11)
任意の入射角φに対して上記(8)〜(11)式を満たせば、ブラッグ回折は任意の入射角の光に対して発生しなくなる。しかし、反射型液晶表示装置21の場合には、光源24の位置が定まっていて光は一定の入射角φで反射防止用パターン31に入射すると考えてよい。従って、(8)〜(11)式の左辺のうち最大のもの値が極小値をとるような入射角φを決めることができれば、所定の可視光最短波長λminに対して、大きな格子定数d1、d2を決めることができる。すなわち、入射光の方向に対して反射防止用パターン31の最適な配置を決めたうえで、所定の可視光最短波長λminに対してできるだけ大きな格子定数(周期)d1、d2を決定することができる。あるいは、所定の格子定数d1、d2に対して最小の可視光最短波長λminの光に対してブラッグ回折が生じないようにすることができる。
【0083】
図24は上記(8)〜(11)式をグラフ表示したものである。図24では横軸に入射角φ[°]をとり、縦軸に各式の光路長差をとったものである。また、各光路長差は、導光板媒質の屈折率n1=1.5、格子定数d1=150nm、d2=120nm、角度α1=110°として計算したものである。
α1>90°の場合には、図24から分かるように、上記(8)式と(9)式を同時に満足していれば、(11)式も成立する。これは数式によって証明することができる。(8)式と(9)式が両方成り立つ条件で光路長差が最も小さくなるのは、(8)式の左辺と(9)式の左辺が等しくなるときである。このとき、
φ=arctan[d1sinα1/(d2+d1cosα1)]
が成り立ち、(8)式及び(9)式の左辺は、つぎの(12)式のようになる。
【数1】
この(12)式の光路差長と、(11)式の左辺の最大値(2・n1・d1・sinα4)とを比較すると、次の(13)式となり、α1>90°の場合には、(12)式の光路差長>(11)式の左辺の最大値となる。
【数2】
(8)式及び(9)式の左辺は、交点間では上方に凸の曲線となっているから、(8)式及び(9)式を満たせば、任意の入射角φで(11)式が成立することになる。
従って、ブラッグ回折が起きないようにする条件については、(8)〜(10)式のみ考えればよい。
【0084】
もっとも大きな格子定数(周期)d1、d2でブラッグ回折をなくすための条件は、前に説明したように(8)〜(10)式の左辺の最大のものが極小値(または、最小値)をとる点であるから、図24からも分かるように(8)〜(10)式の左辺の交点に相当する。
(8)式と(9)式の交点は次式から得られる。
d2/d1=|sin(α1−φ)/sinφ| …(14)
また、(9)式と(10)式の交点は次式から得られる。
d3/d2=|sin(α3−φ’)/sinφ’| …(15)
但し、φ’=α1−φ
また、(8)式と(10)式の交点は次式から得られる。
d1/d3=|sin(α2−φ”)/sinφ”| …(16)
但し、φ”=α2−φ
ここでは、d1/sinα3=d2/sinα2=d3/sinα1を用いた。
【0085】
格子ベクトル<d1>と<d2>のなす角度はα1、格子ベクトル<d2>と<d3>のなす角度はα3、格子ベクトル<d3>と<d1>のなす角度はα2であり、<d1>と平行な格子面に対する入射角をφとすれば、<d2>と平行な格子面に対する入射角はφ'=α1−φ、<d3>と平行な格子面に対する入射角はφ”=α2−φであるから、上記(14)〜(16)式を検討すると、(14)〜(16)式は、
dj/di=|sin(α−φ)|/sinφ …(17)
と一般化して表すことができる。ここでdi、djは任意の方向の格子ベクトル<di>と<dj>の大きさ(格子定数)であり、αは格子ベクトル<di>と<dj>のなす角度であり、φは格子ベクトル<di>と平行な格子面に対する光の入射角、α−φは格子ベクトル<dj>と平行な格子面に対する光の入射角である。
よって、任意の2つの(基本)格子ベクトルを選択し、格子ベクトル<di>の方向に対して(17)式から求めた角度φで光が入射するように反射防止用パターン31を配置すれば、できるだけ大きな格子定数di、djの反射防止用パターン31によってブラッグ回折を防止することができ、反射防止用パターン31の成形が容易になる。
【0086】
例えば、互いに成す角度がα(但し、α≧90°)であり、長さがdi、djの格子ベクトル<di>、<dj>を有する微細構造において、(17)式の解をφ0とすれば、図24に示すように、光源24の方向に対して格子ベクトル<di>の方向がφ0の角度を成すように導光板26の下面に反射防止用パターン31を配置し、しかも、可視光線最短波長λminに対して(8)〜(10)式を満たす範囲でdi、djの値をできるだけ大きな値となるように設計すれば、周期の大きなパターンの反射防止用パターン31でブラッグ回折を防止することができる。
【0087】
[実施の形態6]
図25は矩形の格子を表している。この場合には、α=90°であるから、前記(17)式は、
dj/di=1/tanφ …(18)
となる。これは、α=90°の矩形の格子の場合には、光の入射方向がベクトル<dj>−<di>の方向と垂直であれば、格子定数di、djとして大きな値を選択することができることを表している。
また、α=90°のとき、上記(8)式は、
2・n1・di・cosφ<λmin
となり、上記(9)式は、
2・n1・dj・sinφ<λmin
となるので、両式より、次の(19)式が得られる。
【数3】
特に、di=dj=pとすれば、光Lの導光する方向は格子ベクトル<di>、<dj>に対して45度の方向となり、(19)式は、
p<λmin/〔(√2)・n1〕 …(20)
となる。このとき、例えば、λmin=380nm、n1=1.5とすると、(20)式は、
p<179nm
となる。
【0088】
よって、矩形の格子(α=90°)の場合には、光の入射方向が格子の対角方向に垂直となるように反射防止用パターン31を配置した上で、(19)式を満たすように格子定数di、djを定めれば、ブラッグ回折がほとんど生じないようになり、画面の視認性を良好にすることができる。さらに、(19)式を満たす範囲内で、できるだけ大きなdi、djの値を定めることで、反射防止用パターン31の成形も容易にすることができる。また、矩形格子又は正方形格子状となるので、微細凹凸30の配列も非常に簡素化される。
【0089】
[実施の形態7]
図26はdi=dj=p、α=120°の六方格子を表している。この場合には、上記(14)式は、
sinφ=sin(120°−φ)
となり、φ=60°となる。六方格子の対称性を考えると光の入射方向が、φ=0°、60°、120°、180°の方向であれば回折が生じにくいことを示しており、六方格子の3つの基本格子ベクトルのいずれかに平行に光が入射すれば、格子面間の間隔di、djとして大きな値を選択することができることを表している。
また、di=dj=p、α=120°のとき、上記(8)式と(9)式は、
p<(2・λmin)/(3・n1) …(21)
となる。
【0090】
例えば、λmin=380nm、n1=1.5とすると、上記(21)式は、
p<169nm
となる。
【0091】
よって、この場合には、光の入射方向が六方格子の3つの基本格子ベクトルのいずれかに平行となるように反射防止用パターン31を配置した上で、(21)式を満たすように格子長さpを定めれば、ブラッグ回折がほとんど生じないようになり、画面の視認性を良好にすることができる。さらに、(21)式を満たす範囲内で、できるだけ大きなpの値を定めることで、反射防止用パターン31の成形も容易にすることができる。このような六方格子は、底面が円形をした微細凹凸30を密に配列させることができる。
【0092】
[実施の形態8]
第8の実施の形態は、図10に示したフロントライトのように点光源を用いた場合を説明する。光源24として点光源を用いた場合には、導光板26内を導光する光の進行方向は面内で一定ではない。そのため、回折が生じにくい方向に微細凹凸30を配列しようとすると、微細凹凸30は同心円状に配列されることになる。このように導光板26に微細凹凸30を同心円状に配列するためには、導光板26の作製が困難になる。
【0093】
そこで、点光源を用いた場合には、六方格子状のように回転対称性の高い格子構造を用いることが好ましい。また、第5の実施の形態で用いた(8)〜(11)式を用いて回折の生じにくい出射角φを次のように求めることもできる。
【0094】
例として格子ベクトル<di>、<dj>が互いに成す角度αが110°で、それぞれの格子定数がdi=150nm、dj=120nmの回折格子を考えると、これは六方格子に近い構造を有している。ここで、図10のように、光源24(点光源)をフロントライト22のコーナー部に設けると、導光板26内で導光される光の進行方向の広がりは90°の角度を持つから、光の入射角φが90°の範囲にわたって(8)〜(11)式の左辺で表わされる光路長差の最大値が最小となるように配列方向を決めればよい。図27に示すように(8)〜(11)式を表したグラフに対して、光の入射角φの広がり(90°)をφ=57°〜163°の範囲に定めれば、光路長差の最大値が最小となる。よって、長さが150nmの格子ベクトルdiと導光板26の1つの辺との成す角度が57°〜73°(163°−90°=73°)の間の角度となるようにすればよい。
【0095】
[実施の形態9]
これまでの実施の形態では、微細凹凸が周期的に配置されている場合について説明したが、以下の実施の形態においては、光の波長以下のサイズの微細凹凸がランダムに配置されている場合について説明する。微細凹凸をランダムに形成する意義から説明する。
【0096】
導光板の内部では、光が光出射面とその反対側の面で全反射を繰り返しながら光源から遠ざかる方向に向けて伝搬している。そのため、背景技術の欄でも述べたように、導光板の光出射面又はその反対側の面に設けられている微細凹凸に対して大きな角度で光が入射し、回折光が発生する。特に、微細凹凸が周期的に配列されている場合には、各領域における微細凹凸で、同じ波長の光は同じ方向へ回折されるので、同じ波長の回折光が互いに干渉して強め合い、特定の方向に強い回折光が出射される。この結果、導光板が色味を帯びてしまい、フロントライトから出射される光が色づいて見えるので、反射型液晶表示装置の画面の視認性を悪化させることになる。
【0097】
これに対し、微細凹凸の配列をランダムにすれば、各領域における微細凹凸から同じ方向へ回折される光の波長がばらつくので、様々な波長の光が混ざり合って白色光化される。よって、微細凹凸のランダムにすることにより、導光板が色味を帯びてフロントライトから出射される光が色づいて見える現象を抑制することができ、反射型液晶表示装置の画面の視認性を改善することができる。そのため、以下の実施の形態においては、微細凹凸の配列をランダムにしている。
【0098】
微細凹凸のランダムな配置は、2つに分けることができる。図28(a)(b)は、いずれも微細凹凸30をランダムに配置した反射防止用パターン31を模式的に表わした断面図である。図28(a)に示す反射防止用パターン31は、ランダムな形状及びサイズの微細凹凸30をランダムな間隔で配置したものである。図28(b)に示す反射防止用パターン31は、同じ形状の微細凹凸30をランダムな間隔で配置したものである。なお、図28(a)(b)では、一方向についてのみランダムな配置を表わしているが、微細凹凸30は2方向でランダムに配置されている。
【0099】
こうして微細配列をランダムに配列させた場合においても、第1〜3の実施の形態と同様に微細配列の間隔を光の波長よりも小さくすることにより回折光の発生を抑制したり、特定方向にしか回折光が発生しないようにすることができる。しかし、微細配列をランダムにした場合には、第1〜3の実施の形態において説明したような条件をそのまま適用することはできないので、以下において具体的に説明する。
【0100】
まず、図28(a)のように微細凹凸30の形状、サイズと配置のいずれもがランダムな場合を第9、10、11の実施の形態で説明する。第9の実施の形態においては、微細凹凸30に入射する光Lの入射角をθ1、回折光14の回折角をθ2、導光板材料の屈折率をn1、空気の屈折率をn0、光源24から出射される可視光のうち最も波長の短い可視光の波長をλminとし(図11参照)、また、微細凹凸30の隣接する凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布をとったとき、その出現頻度が最大となる距離をKとすれば、次の(22)式を満たすようにすればよい。
K<λmin/(n0+n1) …(22)
これは第1の実施の形態で導いた(2)式に対応するものである。
【0101】
図29(a)(b)は上記(22)式の適用の仕方を説明する図であって、同図(a)はランダムな微細凹凸の一例を示し、同図(b)はその微細凹凸について凸部(凹部)どうしの距離kの分布を表わした図である。微細凹凸30の形状が図29(a)で表わされるようなパターンであるとすると、このパターンから隣り合う凸部どうし(凹部どうしでもよい)の距離kを計測し、これを集計して各距離kの頻度を得る。図29(b)は各距離kの頻度の分布を表わしてものであって、横軸が隣り合う凸部どうしの距離kを表わし、縦軸が各距離の出現頻度を表わしてる。図29では頻度が最大のときの距離kはKとなっている。よって、図29(a)のようなパターンを設計した場合には、頻度が最大のときの距離Kが、上記(22)式を満たすような縮尺で導光板26に反射防止用パターン31を作製すればよい。
【0102】
光源24がLEDであって、光源24から出射される光のうち最も波長の短い可視光が420nmとすればλmin=420nmであり、導光板26の屈折率n1=1.5、空気の屈折率n0=1とすると、上記(22)式は、
K<168nm
となる。好ましくは、100nm以下とすればよい。
【0103】
この実施の形態によれば、微細凹凸30がランダムになっているので、フロントライト22が色づきにくく、また、導光板26の光出射面29から回折光が出射しにくくなるので、回折光が観察者側へ出射されることが無く、その結果、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0104】
また、この実施の形態においては、距離kが回折光を発生させる最小値λmin/(n0+n1)に等しいときの頻度Pminが、最大の頻度Pmaxの1/5以下となっていることがより望ましい。微細凹凸の距離kがλmin/(n0+n1)よりも大きな部分では回折光を発生させ易くなるが、このような条件を満たせば、回折光の発生をより小さくすることができる。
【0105】
第9の実施の形態の原理を説明する。ランダムに微細凹凸30を配置された反射防止用パターン31は、周期の異なる複数の正弦波形状の足し合わせで表現することができる。これを図30(a)(b)(c)により説明する。図30(a)はランダムな形状と配置を有する微細凹凸のパターンを示す概略図、同図(b)は微細凹凸30のパターンをフーリエ分解したときの各周期成分を表わした図、同図(c)は各成分の周期と強度との関係を表わした図である。説明を簡単にするため、2次元の反射防止用パターン31を考える。反射防止用パターン31の高さをz、反射防止用パターン31が形成されている領域の長さをa、反射防止用パターン31が形成されている領域の端からの距離をxとするとき、図30(a)の微細凹凸30のパターンは、
z=f(x) (0≦x≦a)
と表わすことができる。これは周期aの周期関数に拡張することができるので、フーリエ展開すれば、周期(時間的な周期ではなく、波長に相当する空間的な周期)がTn=a/n(n=1、2、3、…)の正弦波成分に分けることができる。このようにして各成分に分けた正弦波の一部を示したものが図30(b)である。そして、横軸に各成分の周期Tnをとり、縦軸に各成分の強度を表わしたものが図30(c)である。
【0106】
これまでの説明からも分かるように、可視光域で回折光が発生するのは、パターン周期が可視光の波長と同程度の場合であって、パターン周期が可視光の波長域のうち最も短い波長λminよりも十分に短ければ回折光は発生しない。これを微細凹凸30のパターンを分解した成分に当てはめれば、周期の長い成分では回折光が発生するが、周期が短い成分では回折光が発生しないことが分かる。よって、回折光が発生する周期の範囲が図30(c)に示した範囲であるとすれば、微細凹凸30のパターンを分解したときの周期成分の大部分が、この回折光が発生する周期の範囲よりも小さな領域にあるようにすれば、回折光の発生を抑制することができ、良好な視認性を得ることができる。これを表現したものが上記(22)式である。なお、第10、11の実施の形態についても同様な理由による。
【0107】
[実施の形態10]
第10の実施の形態でも、第9の実施の形態と同様にして微細凹凸30の凹部又は凸部どうしの距離の出現頻度が最大となる距離Kを考える。すなわち、図29(a)のような微細凹凸30のパターンから隣接する凸部どうしの距離kを求め、それを集計して図29(b)のように出現頻度が最大となるときの距離Kを求める。そして、第10の実施の形態では、光源24から出射される可視光のうち最も波長の短い可視光の波長をλminとしたとき、出現頻度最大のときの距離Kが、次の(23)式を満たすようにする。ただし、n1は導光板材料の屈折率、n0は空気の屈折率、θoutはフロントライト22の光出射面29から出射される照明光37の光度が最大の方向が光出射面29の法線に対してなす角度(図13参照)である。
K<λmin/(n1+n0・cosθout) …(23)
この(23)式は、第2の実施の形態の(3)式に対応するものである。
【0108】
例えば、λmin=420nm(光源がLEDの場合)、θout=30°、導光板の屈折率n1=1.5、空気の屈折率n0=1とすると、上記(23)式は、
K<178nm
となる。好ましくは、100nm以下とすればよい。
【0109】
従って、第10の実施の形態においては、反射防止用パターン31を構成する微細凹凸30が上記(23)式を満たすような微細さでもってランダムに配置されている。その結果、フロントライト22から出射される光の色づきを抑制することができると共に、照明光37と90°よりも大きな角度をなす方向では回折光14が出射されたとしてもその回折光14は観察者側へ出射されず、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0110】
[実施の形態11]
第11の実施の形態でも、第9の実施の形態と同様にして微細凹凸30の凹部又は凸部どうしの距離の出現頻度が最大となる距離Kを考える。すなわち、図29(a)のような微細凹凸30のパターンから隣接する凸部どうしの距離kを求め、それを集計して図29(b)のように出現頻度が最大となるときの距離Kを求める。そして、第11の実施の形態では、光源24から出射される可視光のうち最も波長の短い可視光の波長をλmin、導光板材料の屈折率をn1としたとき、出現頻度最大のときの距離Kが、次の(24)式を満たすようにする。
K<λmin/(2・n1) …(24)
この(24)式は、第3の実施の形態の(5)式に対応するものである。
【0111】
例えば、λmin=420nm、導光板26の屈折率n1=1.5とすると、(24)式は、
K<140nm
となる。好ましくは、100nm以下とすればよい。
【0112】
従って、第11の実施の形態においては、最大出現頻度に対応する微細凹凸どうしの距離Kが上記(24)式の右辺で決まる値よりも小さくなるようにしてランダムな配置で形成されている。その結果、フロントライト22から出射される光の色づきを抑えることができ、また、導光板26内でも回折光14が出射しなくなり、回折光14が観察者側へ出射されにくくなるので、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0113】
また、この実施の形態においても、距離kが回折光を発生させる最小値λmin/(2・n1)に等しいときの頻度Pminが、最大の頻度Pmaxの1/5以下となっていることがより望ましい。
【0114】
[実施の形態12]
次に、図28(b)のように同じ形状の微細凹凸30が導光板26の下面(光出射面29)にランダムに配置されている場合を第12、13、14の実施の形態で説明する。ここでは、図32(a)に示すようにほぼ同一形状、同一寸法をした凸状の微細凹凸30である凸部が、導光板26の光出射面29又はその反対側の面にランダムに配列されている。あるいは、図32(b)に示すようにほぼ同一形状、同一寸法をした凹状の微細凹凸30である凹部がランダムに配列されていてもよい。これらのほぼ同一形状、同一寸法の微細凹凸30の凸部又は凹部の基端部の幅(直径)をWとする。
【0115】
このように、幅がWの微細凹凸30(凸部又は凹部)がランダムに配置された場合には、その微細凹凸30のパターンには、周期がWの成分が多く含まれることになる。従って、このような実施の形態では、微細凹凸30の幅Wが回折を生じないようなサイズにすればよい。また、不要な周期の成分を無くすためには微細凹凸30の高さ若しくは深さがほぼ一定に揃っていることが好ましい。
【0116】
第12の実施の形態においては、微細凹凸30に入射する光Lの入射角をθ1、回折光14の回折角をθ2、導光板材料の屈折率をn1、空気の屈折率をn0、光源24から出射される可視光のうち最も波長の短い可視光の波長をλmin(図11参照)とすれば、微細凹凸30の幅Wを、次の(25)式を満たすようなサイズにすればよい。
W<λmin/(n0+n1) …(25)
これは第1の実施の形態で導いた(2)式に対応するものである。
【0117】
光源24がLEDであって、光源24から出射される光のうち最も波長の短い可視光が420nmとすればλmin=420nmであり、導光板26の屈折率n1=1.5、空気の屈折率n0=1とすると、上記(25)式は、
W<168nm
となる。好ましくは、100nm以下とすればよい。
【0118】
この実施の形態によれば、微細凹凸30がランダムに配置されているので、フロントライト22が色づきにくく、また、導光板26の光出射面29から回折光が出射しにくくなるので、回折光が観察者側へ出射されることが無く、その結果、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0119】
[実施の形態13]
第13の実施の形態においては、光源24から出射される可視光のうち最も波長の短い可視光の波長をλminとしたとき、微細凹凸30の幅Wが、次の(26)式を満たすようにする。ただし、n1は導光板材料の屈折率、n0は空気の屈折率、θoutはフロントライト22の光出射面29から出射される照明光37の光度が最大の方向が光出射面29の法線に対してなす角度(図13参照)である。
W<λmin/(n1+n0・cosθout) …(26)
この(26)式は、第2の実施の形態の(3)式に対応するものである。
【0120】
例えば、λmin=420nm(光源がLEDの場合)、θout=30°、導光板の屈折率n1=1.5、空気の屈折率n0=1とすると、上記(26)式は、
W<178nm
となる。好ましくは、100nm以下とすればよい。
【0121】
従って、第13の実施の形態においては、反射防止用パターン31を構成する微細凹凸30が上記(26)式を満たすような微細な幅Wでもってランダムに配置されている。その結果、フロントライト22から出射される光の色づきを抑制することができると共に、照明光37と90°よりも大きな角度をなす方向では回折光14が出射されたとしてもその回折光14は観察者側へ出射されず、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0122】
[実施の形態14]
第14の実施の形態においては、光源24から出射される可視光のうち最も波長の短い可視光の波長をλmin、導光板材料の屈折率をn1としたとき、微細凹凸30の幅Wが、次の(27)式を満たすようにする。
W<λmin/(2・n1) …(27)
この(27)式は、第3の実施の形態の(5)式に対応するものである。
【0123】
例えば、λmin=420nm、導光板26の屈折率n1=1.5とすると、(24)式は、
W<140nm
となる。好ましくは、100nm以下とすればよい。
【0124】
従って、第11の実施の形態においては、微細凹凸30の幅Wが上記(27)式の右辺で決まる値よりも小さくなるようにしてランダムな配置で形成されている。その結果、フロントライト22から出射される光の色づきを抑えることができ、また、導光板26内でも回折光14が出射しなくなり、回折光14が観察者側へ出射されにくくなるので、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0125】
[実施の形態15]
図33(a)(b)は第15の実施の形態における1つの微細凹凸を拡大して示す斜視図であって、同図(a)は導光板26の下面(光出射面29)に設けられた凸部を表わし、同図(b)は導光板26の下面に設けられた凹部を表わしている。第15の実施の形態における微細凹凸30では、凸部の高さ又は凹部の深さをHとし、その幅をWとするとき、そのアスペクト比H/Wが、
H/W>1.2
となるようにしている。このように微細凹凸30のアスペクト比H/Wを1.2以上にすれば、反射防止用パターン31における反射率を十分に小さくでき、導光板26の下面におけるフレネル反射を小さくすることができる。また、反射率を小さくするためには、微細凹凸30は、成形が可能な限度でできるだけ高さ又は深さHができるだけ大きいことが望ましく、特に150nm以上の高さ又は深さを有することが好ましい。
【0126】
(反射防止用パターンの形成方法)
つぎに、上記のような反射防止用パターン31を導光板26に形成する方法を説明する。まず始めに、図34(a)に示すような反射防止用パターン31の原盤41を作製する。光の波長以下の微細凹凸を有する原盤41を作製する方法には、2光束干渉露光法や電子ビーム露光法などがある。このような方法により原盤41が得られたら、図34(b)に示すように、電鋳法によりNi等のスタンパ材料を原盤41の上に堆積させてスタンパ42を作製する。このスタンパ42を図34(c)のように原盤41から剥離させて原盤41から分離すると、スタンパ42の下面には、原盤41の微細凹凸のパターンを反転させたパターンが得られる。ついで、図34(d)に示すように、このスタンパ42を加熱しながら導光板26の裏面又は表面に押圧させ、図34(e)に示すように、導光板26に微細凹凸30を転写させる。この後、スタンパ42を導光板26から剥離すると、導光板26の裏面又は表面には微細凹凸30が成形される。
【0127】
また、微細凹凸30を導光板26に直接転写する以外にも、フィルム(図示せず)に微細凹凸30を転写した後、そのフィルムを導光板26に貼り付けてもよい。しかし、微細凹凸30を直接導光板26に転写する方が、剥れなどの問題がないため、耐久性が高く、工程も少なくて済む。ここで、フロントライト22に設けられる微細凹凸30はピラミッド形状の様な凸状のパターンが多数設けられた形状であってもよいし、それを反転させた凹状のパターンが多数設けられた形状であってもよい。しかし、回折光を生じにくくするためには凸状のパターンの方が好ましい。
【0128】
このようにして成形される微細凹凸30としては、ピラミッド形状や円錐形状のほか、微細凹凸30の側面の傾きが徐々に変化するもの(特に、先端に向けて次第に傾きが大きくなる凸形状)であってもよい。例えば、図35(a)、(b)、(c)及び(d)に示すような種々の形状の微細凹凸30が可能である。なお、微細凹凸30の周期とは、隣接する微細凹凸30の凸部先端と凸部先端の間の距離をいう。また、微細凹凸30の形状が光の波長以下であれば、微細凹凸30の周期や配列にばらつきがあっても反射率には、ほとんど影響を与えない。この場合、微細凹凸30の周期とは、隣接する微細凹凸30の凸部と凸部の間の平均の距離をいう。
【0129】
良好な反射防止効果を得るためには、微細凹凸30のアスペクト比は1以上であることが望ましい。また、微細凹凸30の高さ(深さ)は、高ければ高いほど広い入射角度と広い波長領域で反射を低減することができるが、成形性を考慮すれば、150nm程度が望ましい。
【0130】
[実施の形態16]
次に、上記各実施の形態で説明したような微細凹凸を備えた面光源装置を両面表示可能な両面型液晶表示装置に用いた場合を説明する。ここでいう両面型液晶表示装置とは、一組の液晶表示パネルと面光源装置によって、両面から画像を視認できるようにした液晶表示装置である。
【0131】
図36は両面型液晶表示装置の構成を示す概略断面図である。この両面型液晶表示装置43は、本発明にかかる面光源装置44と、半透過型の液晶表示パネル45とを対向させたものである。この面光源装置44は、前記のいずれかの実施の形態で説明したフロントライト22と同様な構造を有する面光源装置、あるいは、前記いずれかの実施の形態で説明した微細凹凸30を導光板の観察側の面若しくは観察側と反対側の面(すなわち、光出射面29)に備えた面光源装置である。ここで、両面型液晶表示装置43の場合には、観察側の面とは、液晶表示パネル45で反射した画像光を観察する方向の面をいう。図36に示す面光源装置44は、図7及び図8に示したフロントライト22とは導光板26に設けた偏向パターン28の形状が異なり、偏向パターン28どうしが不連続に設けられている以外は、フロントライト22と同様な構造を有している。微細凹凸30は図示例では、光出射面29にのみ設けているが、光出射面29と反対側の面に設けてあってもよい。
【0132】
図37は半透過型の液晶表示パネル45を1画素分だけ取り出し、その構造を示した拡大断面図である。この液晶表示パネル45は、第1の基板46と第2の基板47の間に液晶材料48を封止したものである。第2の基板47の液晶材料48と対向する内面には、所定間隔をあけて複数の透明電極50がマトリクス状に配列されており、各透明電極50にそれぞれ電気的に接続された状態で、各透明電極50に隣接して配置された金属膜からなる反射電極51が設けられている。各透明電極50は、1画素分の領域の約1/2の面積を占めており、反射電極51も1画素分の領域の約1/2の面積を占めており、反射電極51は透明電極50よりも突出した状態で設けられている。すなわち、1つの透明電極50と1つの反射電極51によって1画素が構成されている。
【0133】
また、第1の基板46の液晶材料48に対向する内面には、表示領域の全面にわたって透明電極49が設けられている。面光源装置44は、この第1の基板46の外面側に対向させて配置されている。なお、図37においては、ドットマトリクス表示の液晶表示パネルにおける1つの画素要素のみを示しており、配向膜、光学フィルム、TFT等の回路などは省略してある。
【0134】
しかして、この両面型液晶表示装置43にあっては、導光板26の光出射面29から光Lが出射されると、導光板26から出射された光Lは液晶表示パネル45を照明する。導光板26から出射された光Lのうち、オン状態となっている画素の透明電極50の設けられている領域に入射した光Lは、透明電極49及び50を透過し、観察側の面と反対側で画像が認識される。また、オン状態となっている画素の反射電極51の設けられている領域に入射した光Lは、透明電極49を透過して反射電極51で反射された後、再び透明電極49を透過し、さらに導光板26を透過して観察側で画像が認識される。これによって、1枚の液晶表示パネル45と1枚の面光源装置44からなる両面型液晶表示装置43によって、両面から画像を認識できるようになっており、構成部品の部品点数を削減でき、また、電力消費を少なくすることができる。
【0135】
このような構造を有する両面型液晶表示装置43にあっても、面光源装置44の導光板26に微細凹凸30が設けられていない場合には、図38に示すように、導光板26内を伝搬する光が光出射面29でフレネル反射すると、観察側の面から出射される。この観察側の面から出射された光は、ノイズ光10となって画像光と同じ方向へ出射されるので、反射型液晶表示装置の場合と同様、画像に白色光が重なり、画面のコントラストが低下し、観察側における視認性が悪くなる。
【0136】
また、上記のようなフレネル反射を防止するために導光板26に微細凹凸30を設けている場合であっても、微細凹凸30で回折が起きると、回折光14は、直接に、あるいは乱反射して出射される。この回折光14は、観察者側(液晶表示パネル45から反射されて光が観察される側)と、観察側と反対側(液晶表示パネル45を透過した光が観察される側)とに出射されるため、この回折光が画面の画像光と重なり、いずれの面においても導光板が色味を帯びることになり、画像のコントラストを低下させて視認性を悪化させる。
【0137】
これに対し、第16の実施の形態による両面型液晶表示装置43では、導光板26に本発明にかかる微細凹凸30からなる反射防止用パターン31を設けているので、上記のようなノイズ光10や回折光14による画像の品質低下を抑えることができ、両面型液晶表示装置43の画像の視認性を改善することができる。
【0138】
[電子機器(応用例)]
図39は本発明にかかる反射型液晶表示装置21を組み込まれた携帯電話61を示している。この携帯電話61は、テンキー等を備えたダイアル部62の上に反射型液晶表示装置21が組み込まれており、上面にアンテナ63が設けられている。
【0139】
図40は本発明にかかる反射型液晶表示装置21を組み込まれたPDA等の携帯情報端末64を示している。この携帯情報端末64は、反射型液晶表示装置の横にペン入力などの入力部65が設けられており、上端部には蓋66が枢着されている。
【0140】
このように携帯電話や携帯情報端末等に本発明の反射型液晶表示装置を用いることにより、コントラストが良好で視認性の良好な表示部を持たせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明にかかるフロントライトは、反射型液晶装置その他の反射型表示装置に用いることができる。また、この反射型表示装置は、各種機器の表示部として用いることができるが、特に、携帯電話や携帯用モバイル等の携帯機器に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】フロントライトと反射型液晶表示パネルからなる従来の反射型液晶表示装置を示す概略断面図である。
【図2】反射防止用パターンを備えた別な従来の反射型液晶表示装置を示す概略断面図である。
【図3】導光板の光出射面に設けられた反射防止用パターンの輪郭を示す拡大斜視図である。
【図4】上記反射防止用パターンの作用説明図である。
【図5】フロントライトにおける光の挙動を示す図である。
【図6】(a)は反射防止用パターンにおける有効屈折率の分布を示す平面図、(b)は反射防止用パターンの有効屈折率の分布を格子配置に置き換えた様子を示す図である。
【図7】本発明にかかる反射型液晶表示装置の概略斜視図である。
【図8】同上の反射型液晶表示装置の概略断面図である。
【図9】反射型液晶表示パネルの反射面の構造を示す拡大断面図である。
【図10】点光源状の光源を用いたフロントライトの一例を示す概略平面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態を説明する微細凹凸の拡大断面図である。
【図12】導光板の光出射面から垂直に照明光を出射するようにした反射型液晶表示装置を示す断面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態を説明するための、反射型液晶表示装置の側面図である。
【図14】同上の第2の実施の形態の作用説明図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態を説明する微細凹凸の拡大断面図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態において、ブラッグ回折を説明する図である。
【図17】本発明の第5の実施の形態において、回折格子における多数の格子面を示す図である。
【図18】ブラッグ回折を考える際に、問題となる主な格子面S1、S2、S3、S4を示す図である。
【図19】基本ベクトル<d1>、<d2>、<d3>や入射角φ等を説明する図である。
【図20】格子面S1におけるブラッグ回折を示す図である。
【図21】格子面S2におけるブラッグ回折を示す図である。
【図22】格子面S3におけるブラッグ回折を示す図である。
【図23】格子面S4におけるブラッグ回折を示す図である。
【図24】(8)〜(11)式を表したグラフである。
【図25】本発明の第6の実施の形態において、直交格子における最適な入射光の方向を示す図である。
【図26】本発明の第7の実施の形態において、六方格子における最適な入射光の方向を示す図である。
【図27】光源が点光源である場合の、反射防止用パターンの方向の定め方を説明する図である。
【図28】(a)はランダムな形状及びサイズの微細凹凸をランダムな間隔で配置した反射防止用パターンを示す概略図であり、(b)は同じ形状の微細凹凸をランダムな間隔で配置した反射防止用パターンを示す概略図である。
【図29】(a)はランダムな微細凹凸の一例を示すず、(b)はその微細凹凸について凸部(凹部)どうしの距離kの分布を表わした図である。
【図30】(a)はランダムな形状と配置を有する微細凹凸のパターンを示す概略図、(b)は微細凹凸のパターンをフーリエ分解したときの各周期成分を表わした図、(c)は各成分の周期と強度との関係を表わした図である。
【図31】第9の実施の形態におけるより好ましい例を説明する図である。
【図32】(a)はほぼ同一形状、同一寸法をした凸状の微細凹凸がランダムに配列した様子を示す概略図、(b)はほぼ同一形状、同一寸法をした凹状の微細凹凸がランダムに配列した様子を示す概略図である。
【図33】(a)は、本発明の第15の実施の形態において、導光板の下面に設けられた凸状の微細凹凸を表わした図、(b)は導光板の下面に設けられた凹状の微細凹凸を表わした図である。
【図34】(a)〜(f)は反射防止用パターンの成形方法を説明する概略図である。
【図35】(a)〜(d)は種々の微細凹凸の形状を示す図である。
【図36】本発明の第16の実施の形態にかかる両面型液晶表示装置の概略断面図である。
【図37】同上の両面型画像表示装置の1画素分の構造を示す拡大断面図である。
【図38】第16の実施の形態による両面型液晶表示装置の作用効果を説明するための図である。
【図39】携帯電話の斜視図である。
【図40】携帯情報端末の斜視図である。
【符号の説明】
【0143】
21 反射型液晶表示装置
22 フロントライト
23 反射型液晶表示パネル
24 光源
26 導光板
28 偏向パターン
29 光出射面
30 微細凹凸
31 反射防止用パターン
35 反射面
【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源装置及び表示装置に関する。特に、導光板の観察側の面又は光出射面に反射防止用の微細な凹凸を備えた面光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等のディスプレイを備えた携帯機器においては、バッテリーの長寿命化が要求されている。反射型液晶表示装置は、画面照明用に自然光と光源を併用することができ、電力消費が少ないので、注目されている。
【0003】
(従来技術)
ここでは、面光源装置をフロントライトとして用いた従来例について説明する。図1はフロントライト2と反射型の液晶表示パネル3とからなる反射型液晶表示装置1の概略断面図である。このフロントライト2においては、光源4から出射した光は、導光板5内で全反射を繰り返して導光し、ついで、表面の偏向パターン6で反射されて光出射面7(裏面)にほぼ垂直に入射した光は、光出射面7から出射される。フロントライト2の光出射面7から出射した光は、図1に実線の矢印で示すように、液晶表示パネル3のガラス基板や液晶層を通過し、反射面8で反射されて再び液晶層等を通過して元の方向へ戻る。このように液晶表示パネル3内部で反射された光は、液晶表示パネル3によって変調された後、フロントライト2を通過して画像光9として観察者側へ出射される。
【0004】
一方、導光板5内において偏向パターン6で反射されて光出射面7に向かう光の一部は、図1に破線の矢印で示すように、光出射面7でフレネル反射し、ノイズ光10として観察者側へ直接出射される。
【0005】
一般的には、光出射面7に入射する光の約4%がフレネル反射してノイズ光10となっており、このようなノイズ光10が発生すると、図1に示すように、画像光9とノイズ光10が同じ方向へ出射されるので、液晶表示パネル3により生成された画像に白色光が重なり、画面のコントラストが低下し、視認性が悪くなる。
【0006】
図2に示すものは、上記のような視認性の低下を防止するようにした反射型液晶表示装置11の概略断面図である。この反射型液晶表示装置11においては、導光板5の光出射面7に、光の波長以下の周期pで配列された微細凹凸12からなる反射防止用パターン13が設けられている。図3は導光板5の光出射面7に設けられた反射防止用パターン13の一部の輪郭を示す拡大斜視図であって、角錐状をした微細凹凸12が一定周期(ピッチ)pで配列されている。このような反射防止用パターン又は微細凹凸を有するフロントライトは、特許文献1、特許文献2に記載されている。
【0007】
図4は反射防止用パターン13の作用説明図である。図4(a)は屈折率がn1(>空気の屈折率n0)の導光板5の断面を表しており、反射防止用パターン13の各微細凹凸12は下端部へ向かうほど次第に幅が狭くなっている。反射防止用パターン13の形成されている領域においては、屈折率がn1の媒質(導光板材料)と屈折率がn0の媒質(空気)との体積比率が、導光板5の厚み方向で次第に変化しているので、図4(b)に示すように、上方から下方へ向かうにつれて媒質の有効屈折率は、導光板5の屈折率n1から空気の屈折率n0へと次第に変化している。
ここで、微細凹凸12の周期をp、光源4から出射される光のうち最も波長の短い可視光の波長をλminとするとき、反射光(ノイズ光)の低減には、
p<λmin
の条件を満たすことが望ましい。λminを真空中における波長とすれば、導光板中では波長がλmin/n1に短くなることを考慮して、微細凹凸12の周期pの条件を、
p<λmin/n1
とすればより望ましい。
【0008】
しかして、このような反射型液晶表示装置11によれば、微細凹凸12は光の波長以下の周期pで形成されており、厚み方向で媒質の(有効)屈折率が連続的に変化しているので、図3に実線矢印で示すように反射防止用パターン13に上方から垂直に光が入射する場合や、全反射の臨界角よりも小さな入射角で反射防止用パターン13に光が入射する場合には、広い波長領域にわたって光出射面7におけるフレネル反射が減少し、画像のコントラストが向上する。このときの反射型液晶表示装置11における光の挙動を図2に表している。
【0009】
(問題の所在)
こうして光出射面7に反射防止用パターン13を設けてフレネル反射を抑制することにより、画像のコントラストを向上させる方法は周知のものとなった。
【0010】
しかし、本発明者らは液晶表示装置のより良好な画像を求めて研究を行ったところ、反射防止用パターン13で発生する回折光が、画面のコントラストを低下させている主な原因の一つであることを発見した。すなわち、導光板5の光出射面7に反射防止用パターン13を設けた場合には、フレネル反射を抑制することができるものの、微細凹凸12を一定周期で配列した反射防止用パターン13は回折格子(grating)として働くので、導光板5内の光が光出射面7から出射される際に回折光が発生する。こうして導光板5の光出射面7から出射された回折光は、直接に、あるいは乱反射して観察者側に向けて出射され、この回折光が画面の画像光9と重なって画像のコントラストを低下させ、また、導光板が色味を帯びることになり、液晶表示装置11の視認性を悪化させているのである。
【0011】
さらに、本発明者らの研究によれば、反射防止用パターン13で回折光が発生するのは、次に示すように、面光源装置特有の機能により発生していることが分かった。すなわち、一般的な用途の反射防止用パターン(微細凹凸)では、図3に実線矢印で示したように、ほぼ垂直な方向からの入射光を考慮すれば十分である。これに対し、導光板5裏面に設けた反射防止用パターン13では、図3に破線矢印で示したように、光出射面7に大きな入射角で入射する光も考慮する必要がある。図5に示すように、面光源装置2は、光源24から出射された光を導光板5の表面と裏面で全反射して伝搬させ全面から均一に出射させる機能を持つ。そのため、大きな強度の光が反射防止用パターン13に対して全反射の臨界角以上の大きな入射角度で入射する。一方、反射防止用パターン13を光出射面7に垂直な方向から見ると、各微細凹凸12は厚みの大きな部分で有効屈折率が大きくなるので、各微細凹凸12の中心で有効屈折率が最大となり、微細凹凸12の周辺部では有効屈折率が小さくなり、図6(a)に示すような、有効屈折率の分布を示す。よって、反射防止用パターン13を垂直な方向から見ると、反射防止用パターン13は図6(b)に示すような2次元回折格子とみなすことができる。従って、ここに反射防止用パターン13とほぼ平行な光が入射すると、周期的に2次元配列した微細凹凸12によって回折し、図5に示すように、光出射面7から回折光14が出射されることになる。この回折光14は、直接に、あるいは乱反射して観察者側に向けて出射されるため、この回折光が画面の画像光と重なり、また、導光板が色味を帯びることになり、画像のコントラストを低下させて液晶表示装置11の視認性を悪化させる。
【0012】
なお、導光板の光出射面における光のフレネル反射を防止する方法としては、光出射面に誘電体多層膜を成膜する方法も考えられるが、この方法では、成膜工程が煩雑になってコストが高くつく、耐環境性が悪いといった問題がある。
【0013】
【特許文献1】特開2002−250917号公報
【特許文献2】WO02/29454
【特許文献3】特開2002−357825
【特許文献4】特開2004−133392
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような知見に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、導光板の光出射面に反射防止用の微細な凹凸を備えた面光源装置において、当該凹凸による回折光の発生を抑制する手段もしくは設計手法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の面光源装置は、光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、前記凹部又は凸部について隣接する凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布をとったとき、その頻度が最大となる距離Kが、
を満たしている。
【0016】
本発明の第1の面光源装置によれば、導光板の微細凹部又は凸部が配置された面から回折光が出射しなくなる。よって、回折光の発生を防ぐことにより画像光と回折光の両方が観察者の目に入射し、視認性を悪化させるのを防止することができる。
【0017】
本発明の第2の面光源装置は、光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、前記光出射面から出射される光の光度が最大となる方向は前記光出射面に立てた法線に対して傾いており、前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、前記凹部又は凸部について隣接する凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布をとったとき、その頻度が最大となる距離Kが、
を満たしている。
【0018】
本発明の第2の面光源装置によれば、光が導光板の光出射面から斜め方向に出射されるので、表示装置のガラス基板等で正反射したノイズ光が観察者側へ反射されるのを防ぐことができ、画面のコントラスト低下を避けることができる。さらに、凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布の頻度が最大となる距離Kが上式を満たすことで、導光板の光出射面から回折光が出射したとしても、その回折光が観察者側に達しにくくすることができる。
【0019】
本発明の第3の面光源装置は、光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、前記凹部又は凸部について隣接する凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布をとったとき、その頻度が最大となる距離Kが、
を満たしている。
【0020】
本発明の第3の面光源装置によれば、導光板の観察側の面又は光出射面で導光板内部へ向けて回折光が発生しなくなる。導光板内部への回折光は、観察者方向へ出射する場合があるため、導光板内部への回折光を防ぐことにより、回折光により画面の視認性を悪化させることが無くなる。
【0021】
本発明の第4の面光源装置は、光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、前記凹部又は凸部の幅をWとするとき、当該幅Wが、
を満たしている。
【0022】
本発明の第4の面光源装置によれば、導光板の微細凹部又は凸部が配置された面から回折光が出射しなくなる。よって、回折光の発生を防ぐことにより画像光と回折光の両方が観察者の目に入射し、視認性を悪化させるのを防止することができる。
【0023】
本発明の第5の面光源装置は、光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、前記光出射面から出射される光の光度が最大となる方向は前記光出射面に立てた法線に対して傾いており、前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、前記凹部又は凸部の幅をWとするとき、当該幅Wが、
を満たしている。
【0024】
本発明の第5の面光源装置によれば、光が導光板の光出射面から斜め方向に出射されるので、表示装置のガラス基板等で正反射したノイズ光が観察者側へ反射されるのを防ぐことができ、画面のコントラスト低下を避けることができる。さらに、凹部又は凸部の幅Wが上式を満たすことで、導光板の光出射面から回折光が出射したとしても、その回折光が観察者側に達しにくくすることができる。
【0025】
本発明の第6の面光源装置は、光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、前記凹部又は凸部の幅をWとするとき、当該Wが、
を満たしている。
【0026】
本発明の第6の面光源装置によれば、導光板の観察側の面又は光出射面で導光板内部へ向けて回折光が発生しなくなる。導光板内部への回折光は、観察者方向へ出射する場合があるため、導光板内部への回折光を防ぐことにより、回折光により画面の視認性を悪化させることが無くなる。
【0027】
本発明の第1〜6の面光源装置は、ある実施態様においては、前記凹部の深さ又は前記凸部の高さをHとするとき、当該凹部又は凸部の幅Wに対する比H/Wが、
H/W>1.2
を満たしている。凹部又は凸部のアスペクト比をH/W>1.2とすることにより、第1〜6の面光源装置において凹部又は凸部における反射率を十分に低減することができる。
【0028】
本発明の第1〜6の面光源装置は、別な実施態様において、前記光源から出射される最も波長の短い可視光の真空中における波長λminを380nmとしている。
【0029】
最も波長の短い可視光の真空中における波長は380nmであるから、凹部又は凸部の周期を求めるのに、λminの値として380nmを用いることにより、可視光の回折が抑えられ画面の視認性を劣化させることが無くなる。但し、LEDなどでは、最も波長の短い可視光の真空中における波長は420nmであるから、光源としてLEDを用いる場合には、λminの値として420nmを用いてもよい。
【0030】
本発明の第1〜6の面光源装置は、さらに別な実施態様において、前記凹部又は凸部が、前記導光板の観察側の面又は光出射面に転写されている。一般に導光板は射出成形等で製作されるので、微細な凹部又は凸部を同時に成形することは困難である。また、微細な凹部又は凸部を有するフィルムを導光板に貼り付けることも可能であるが、導光板に微細な凹部又は凸部を転写する方法によれば、フィルムを導光板に貼り付ける方法に比べて剥がれる恐れが無いため耐久性が高くなる。また、転写する方法の方が、工程も少ないため作製が容易である。
【0031】
なお、本発明の面光源装置は、反射型の表示装置との組み合わせに限らず、両面型の表示装置などとも組み合わせることができるが、いずれの場合においても、本発明の面光源装置における観察側の面とは、表示装置で反射した画像光を観察する方向の面をいうものとする。
【0032】
本発明の第1の表示装置は、第1〜6の面光源装置と、前記面光源装置から出射された光を反射させて画像を生成する表示パネルとからなる。この表示装置によれば、フレネル反射と共に回折光の発生を抑えることができるので、画面のコントラストを向上させて視認性を良好にすることができる。
【0033】
本発明の第2の表示装置は、第1〜6の面光源装置と、前記面光源装置から出射された光を透過させて画像を生成すると共に前記光源装置から出射された光を反射させて画像を生成する表示パネルとからなる。この表示装置にあっても、フレネル反射と共に回折光の発生を抑えることができるので、反射側の画面のコントラストを向上させて視認性を良好にすることができる。
【0034】
なお、この発明の以上説明した構成要素は、可能な限り任意に組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の面光源装置によれば、フレネル反射を防止するだけでなく、さらに回折光の発生を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
[反射型液晶表示装置]
図7は本発明の面光源装置をフロントライトとして用いた反射型液晶表示装置21の概略斜視図、図8はその概略断面図である。この反射型液晶表示装置21は、フロントライト22と反射型液晶表示パネル23とからなり、反射型液晶表示パネル23の前面側(観察側)にフロントライト22が配置されている。
【0037】
フロントライト22は、線状光源などの光源24と、光源24の後方を覆うリフレクタ25と、ポリカーボネイト樹脂やアクリル樹脂、メタクリル樹脂等の透明な樹脂によって射出成形等の方法で成形された導光板26とから構成されている。線状光源には、冷陰極管のような一方向に長い光源のほか、複数個のLEDを一列に配列させて擬似的に線状光源化したものも含まれる。光源24は、導光板26の外部において、あるいは、導光板26内部の有効出射領域外において、導光板26の光入射面27と対向させるように配置されている。
【0038】
導光板26の表面には、光源24から出射されて導光板26内部を伝搬する光を導光板裏面にほぼ垂直な方向へ向けて全反射させるための偏向パターン28が複数形成されている。偏向パターン28は光源24の長さ方向に直交する方向に沿って配列されていて断面鋸刃状となっており、各偏向パターン28は、光源24の長さ方向と平行に延びている。また、導光板26の光出射面29(導光板裏面)から出射される光の強度分布を有効出射領域全体で均一化するため、偏向パターン28は、光源24の近傍ではパターン面密度が小さくなっており、光源24から離れるに従ってパターン面密度が次第に大きくなっている。
【0039】
なお、導光板26の表面にこのような偏向パターン28を形成する代わりに、光源24から遠くなるに従って厚みが薄くなるように導光板26をくさび状に形成していてもよい。
【0040】
導光板26の光出射面29には反射防止用パターン31が設けられている。反射防止用パターン31は、導光板26の裏面全面に成形された複数の微細な凹部又は凸部(以下、微細凹凸という。)30によって構成されており、微細凹凸30は、光源24から出射される光のうち最も波長の短い可視光の波長λminよりも小さな周期pで2次元状に配列されている。
【0041】
図7に示す反射型の液晶表示パネル23は、TFT電極を形成された裏面基板32と透明電極を形成されたガラス基板33との間に液晶材料34を封止したものであり、裏面基板32の上には反射面35が形成されている。図9に示すように、裏面基板32の上には絶縁材料層36が形成され、絶縁材料層36には同一形状をした複数の傾斜パターン36aが配列されており、絶縁材料層36の表面にアルミ等の金属蒸着膜を成膜することによって反射面35が形成されている。また、図示しないが、ガラス基板33の上には、偏光板などが設けられる。
【0042】
しかして、図8に示すように、このフロントライト22の光源24を点灯させると、光源24から出射され導光板26内に入射した光(矢印で示す。以下、同様)は、導光板26内に閉じ込められて導光板26の偏向パターン28(表面)と光出射面29(裏面)との間で全反射を繰り返しながら光源24から遠ざかる方向へ伝搬すると共に導光板26の全体に広がっていく。この光Lが偏向パターン28で全反射されると、導光板26の光出射面29へ向けて進み、光出射面29から液晶表示パネル23へ向けて斜めに出射され、液晶表示パネル23を照明する。
【0043】
また、光源24が点灯されておらず、太陽光などの外光によって液晶表示パネル23が照明される場合には、導光板26の表面から斜めに入射した外光が導光板26を透過して光出射面29から斜めに出射され、液晶表示パネル23を照明する。
【0044】
光源24からの光や外光が、導光板26の光出射面29から斜めに出射されると、出射された光Lは液晶表示パネル23のガラス基板33及び液晶材料34を透過して反射面35で反射される。反射面35は、光出射面29から出射された光Lの入射する方向で下りとなるように傾斜しているので、フロントライト22から斜めに入射した光Lは、反射面35によってほぼ垂直方向に向けて反射される。反射面35で反射された画像光は液晶材料34、ガラス基板33、導光板26等をほぼ垂直に透過して反射型液晶表示装置21の画面正面側へ出射され、画面正面方向での輝度を上げることができる。
【0045】
ここで、導光板26の光出射面29には反射防止用パターン31が形成されているので、導光板26の裏面におけるフレネル反射が抑制され、導光板26の裏面でフレネル反射したノイズ光によって画像のコントラストが低下するのを防止される。
【0046】
また、従来の反射型液晶表示装置では、導光板裏面に反射防止用パターンを設けることで回折光が発生し、画像のコントラストを低下させていたが、本発明の反射型液晶表示装置21では、反射防止用パターン31(微細凹凸30)の周期や配置を最適化することで回折光が発生しないようにし、あるいは回折光が発生したとしても観察者側へ出射されないように設計されている。
【0047】
なお、上記実施の形態においては、光源24として冷陰極管等の線状光源を用いた場合について説明したが、光源24としては、LED等の1個の発光素子又は局在化された複数個の発光素子からなる点状光源を用いてもよい。図10は点光源状の光源24を用いたフロントライト22の一例を示す概略平面図である。このフロントライト22では、点光源状の光源24は導光板26のある一辺の中央部又は隅部に配置されており、導光板26表面の偏向パターン28も、光源24を中心とする同心円状に離散的に設けられている。
【0048】
また、上記反射防止用パターン31を構成する微細凹凸30は、光出射面29でなく、偏向パターン28の設けられている導光板26の表面に設けてもよい。あるいは、導光板26の表裏両面に微細凹凸30を設けてもよい。導光板26の表面(観察側の面)に可視光の最短波長以下の周期で微細凹凸30を設ければ、外光が導光板26の観察側の面で反射するのを抑え、周囲の景色の映り込みや反射によるコントラストの低下を抑えることができる。
【0049】
以下、上記のような反射型液晶表示装置21を例にとって、本発明における回折光の抑制方法を各実施の形態毎に説明する。第1〜3の実施の形態は反射防止用パターン31の配列方向とは関係なく、回折光の発生を抑制する方法を説明し、第4〜7の実施の形態は、反射防止用パターン31の配列方向を最適化することにより回折を抑制する方法を説明している。なお、以下においては、反射防止用パターン31に平行な面をxy平面と呼び、光源に垂直な方向をx軸方向、光源の長さ方向と平行な方向をy軸方向と呼び、光出射面29に垂直な方向をz軸方向と呼ぶことがある。
【0050】
[実施の形態1]
第1の実施の形態は、反射防止用パターン31の配列方向とは関係なく、回折光が発生しないようにしたものである。つまり、2次元的に配列された微細凹凸30は、一列に配列された微細凹凸列が周期的に繰り返して並べられているとみなす事ができる。この微細凹凸列及び光出射面29に垂直な平面に平行な光が反射防止用パターン31に入射した時、回折しないようにしたものである。図11は第1の実施の形態を説明する図であって、反射防止用パターン31を、微細凹凸列及び光出射面29に垂直な平面で切った時の断面を拡大して表している。図11を用いて第1の実施の形態を説明する。
【0051】
図11に表すように、微細凹凸30に入射する光Lの入射角(導光板26に垂直な方向から測った角度)をθ1、回折光14の回折角(導光板26に垂直な方向から測った回折光の出射角度)をθ2、導光板材料の屈折率をn1、空気の屈折率をn0、微細凹凸30の周期をpとする。ただし、入射光の入射角θ1は光源側から入射するときに正の値をとり、回折光14の回折角θ2は光源側へ出射するときに正の値をとるものとする。
【0052】
いま、図11に示すように、隣り合った微細凹凸30において、光源側から微細凹凸30に入射して光源側へ出射する回折光14の光路長差を求めると、
光路長差=n1・psinθ1+n0・psinθ2
となるから、真空中における波長がλの光が回折して強めあうための条件は、次の(1)式のようになる。
p・(n1・sinθ1+n0・sinθ2)=mλ …(1)
(但し、m=±1、±2、…)
【0053】
導光板26内を導光するあらゆる入射角θ1の光が回折しないようにするためには、上記(1)式の左辺の絶対値の最大値が右辺の絶対値の最小値を超えないようにすればよい。光源24から出射される光のうち最も波長の短い可視光の波長をλminとすれば、(1)式の右辺の絶対値の最小値は、λminである。一方、左辺の絶対値の最大値は、θ1=θ2=90°として、p・(n1+n0)である。よって、導光板26内を導光するあらゆる方向の光が回折しないようにするためには、次の(2)式を満たせばよいことが分かる。
p<λmin/(n0+n1) …(2)
【0054】
人間の視覚では、380nm以下の波長の光は視認されないので、λmin=380nmとし、導光板26の屈折率n1=1.5、空気の屈折率n0=1とすると、上記(2)式は、
p<152nm
となる。
【0055】
従って、第1の実施の形態においては、反射防止用パターン31を構成する微細凹凸30の周期(ピッチ)pが上記(2)式の右辺で決まる値よりも小さくなるように形成してあり、その結果、導光板26の光出射面29から回折光が出射しなくなるので、回折光が観察者側へ出射されることが無く、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0056】
なお、第1の実施の形態では微細凹凸列および光出射面29に垂直な平面に平行な光が反射防止用パターン31に入射した時について計算を行ったが、光の入射方向に関係なく微細凹凸30の周期pが上記関係式を満たせば回折光が出射されることは無い。また、微細凹凸列の選び方によりピッチが異なる場合があるが、いずれの選び方においてもピッチが上記(2)式を満たすようにしてあれば良い。ただし、光出射面29に垂直な方向から見て光の入射方向がほぼ一定である場合には、その入射方向にほぼ垂直な微細凹凸列について、微細凹凸30の周期pが上記(2)式を満たしていれば回折光はほとんど出射しない。
【0057】
また、この第1の実施の形態もしくは上記(2)式は、図12に示すように、フロントライト22の光出射面29から垂直に照明光37が出射される場合にも適用できる。
【0058】
[実施の形態2]
第2の実施の形態は、所定方向では回折光が発生しないようにし、それ以外の方向では反射防止用パターン31で回折光が発生したとしても、画像光と同じ方向へ出射されないようにしたものである。図13は第2の実施の形態を説明する図であって、反射型液晶表示装置21の側面図である。図13を用いて第2の実施の形態を説明する。
【0059】
画面のコントラストを低下させるノイズ光は、フロントライト22の光出射面29におけるフレネル反射だけでなく、反射型液晶表示パネル23のガラス基板33表面や偏光板におけるフレネル反射によっても発生する。そのため、上記反射型液晶表示装置21では、フロントライト22の光出射面29から斜めに光Lを出射させ、この光Lを反射型液晶表示パネル23の傾斜した反射面35で垂直に反射させて画像光9を観察者側へ出射させるようにしている。図14に示すように、フロントライト22の光出射面29から反射型液晶表示パネル23に向けて斜めに光Lを出射させれば、この光Lが反射型液晶表示パネル23のガラス基板33表面や偏光板で反射されても、反射したノイズ光10は斜め方向へ反射されるので、ノイズ光10が画像光9と同じ方向へ出射されず、画面のコントラストを低下させることがなくなる。
【0060】
このとき、反射防止用パターン31から回折光14が出射されるとしても、図13に破線で示すように回折光14の出射方向が照明光37に対して90°以上の角度をなしていれば、回折光14が反射型液晶表示パネル23内に入射したとしても反射面35で反射することによって大きな入射角で反射型液晶表示パネル23のガラス基板33表面に入射して全反射することになり、回折光14が反射型液晶表示パネル23から出射されにくくなる。
【0061】
よって、フロントライト22の光出射面29から出射される照明光37の光度が最大の方向が光出射面29の法線に対してなす角度をθoutとしたとき、照明光37に対して90°以下の角度をなす方向に回折光14が発生しなければよい。すなわち、回折光14の回折角をθ2とするとき、
θ2+θout<90°
の条件化で、前記(1)式を満たせばよい。この場合には、
sinθ2<sin(90°−θout)=cosθout
としてよいから、第1の実施の形態と同様に考えると、照明光37に対して90°以下の角度をなす方向に回折光14が発生しない条件は、次の(3)式で表される。
p<λmin/(n1+n0・cosθout) …(3)
ここで、pは微細凹凸30の周期、n1は導光板材料の屈折率、n0は空気の屈折率、λminは光源24から出射される可視光のうち最も波長の短い可視光の波長である。
【0062】
例えば、λmin=380nm、θout=30°、導光板の屈折率n1=1.5、空気の屈折率n0=1とすると、上記(3)式は、
p<160nm
となる。
【0063】
従って、第2の実施の形態においては、反射防止用パターン31を構成する微細凹凸30の周期(ピッチ)pが上記(3)式の右辺で決まる値よりも小さくなるように形成してあり、その結果、照明光37と90°以下の角度をなす方向には回折光14が発生せず、また、照明光37と90°よりも大きな角度をなす方向では回折光14が出射されたとしてもその回折光14は観察者側へ出射されないので、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0064】
なお、上記(3)式においてθout=0°とすれば(光出射面29から垂直出射する場合)、上記(3)式は上記(2)式と一致する。
【0065】
なお、光の入射方向は微細凹凸列および光出射面29に垂直である必要は無く、光の入射方向に関係なく微細凹凸30の周期pが上記関係式を満たせば所定方向に回折光14は出射しない。また、微細凹凸列の選び方によりピッチが異なる場合があるが、いずれの選び方においてもピッチが上記(3)式を満たすようにしてあれば良い。ただし、光出射面29に垂直な方向から見て光の入射方向がほぼ一定である場合には、その入射方向にほぼ垂直な微細凹凸列について、微細凹凸30の周期pが上記(3)式を満たしていれば所定方向に回折光はほとんど発生しない。
【0066】
[実施の形態3]
第3の実施の形態は、導光板26の内部でも反射防止用パターン31による回折光が発生しないようにしたものである。図15は第3の実施の形態を説明する図であって、反射防止用パターン31の一部の断面(隣接する2つの微細凹凸30のxz断面)を拡大して表している。図15を用いて第1の実施の形態を説明する。
【0067】
図15に示すように、隣り合った微細凹凸30において、導光板26内で光源側から微細凹凸30に入射して導光板26内で光源側へ出射する回折光14の光路長差を求めると、
光路長差=n1・psinθ1+n1・psin(180°−θ2)
=n1・psinθ1+n1・psinθ2
となる。ただし、θ1は導光板26内で光出射面29に立てた法線から測った入射角、θ2は導光板26外で光出射面29に立てた法線から測った回折角である(第1の実施の形態に同じ)。従って、真空中における波長がλの光が回折して強めあうための条件は、次の(4)式のようになる。
p・n1(sinθ1+sinθ2)=mλ …(4)
(但し、m=±1、±2、…)
【0068】
導光板26内で回折光14が発生しないようにするためには、上記(4)式の左辺の絶対値の最大値が右辺の絶対値の最小値を超えないようにすればよい。光源24から出射される光のうち最も波長の短い可視光の波長をλminとすれば、(4)式の右辺の絶対値の最小値は、λminである。一方、左辺の絶対値の最大値は、θ1=θ2=90°として、2p・n1である。よって、導光板26内で回折光14が発生しないようにするためには、次の(5)式を満たせばよいことが分かる。
p<λmin/(2・n1) …(5)
ここで、pは微細凹凸30の周期、n1は導光板材料の屈折率である。
【0069】
例えば、λmin=380nm、導光板26の屈折率n1=1.5とすると、(5)式は、
p<127nm
となる。
【0070】
従って、第3の実施の形態においては、反射防止用パターン31を構成する微細凹凸30の周期(ピッチ)pが上記(5)式の右辺で決まる値よりも小さくなるように形成してあり、その結果、導光板26内でも回折光14が出射しなくなるので、回折光14が観察者側へ出射されることが無く、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0071】
さらに、n1>n0であるから、
p<λmin/(2・n1)<λmin/(n0+n1)
となり、上記(5)式を満たしていれば、第1の実施の形態の(2)式も満たすので、導光板26の外側でも回折光が発生しないことが分かる。
【0072】
なお、この第3の実施の形態もしくは上記(5)式は、第1の実施の形態と同様、フロントライト22の光出射面29から垂直に照明光37が出射される場合にも適用出来る。
【0073】
なお、光の入射方向は微細凹凸列および光出射面29に垂直である必要は無く、光の入射方向に関係なく微細凹凸30の周期pが上記関係式を満たせば回折光は発生しない。また、微細凹凸列の選び方によりピッチが異なる場合があるが、いずれの選び方においてもピッチが上記(3)式を満たすようにしてあれば良い。ただし、光出射面29に垂直な方向から見て光の入射方向がほぼ一定である場合には、その入射方向にほぼ垂直な微細凹凸列について、微細凹凸30の周期pが上記(3)式を満たしていれば回折光はほとんど発生しない。
【0074】
[実施の形態4]
第4の実施の形態は、反射防止用パターン31の配列方向を最適化することにより大きな周期の微細凹凸30でも回折が生じないようにしたものである。ここで、光出射面にほぼ平行に導光する光が反射防止用パターン31で回折し、導光板26内部へ光出射面29にほぼ平行に出射する条件で計算を行った。このとき、回折光の光路長差が最も大きくなるため、この条件において回折が生じないような微細凹凸の配列方向及び、微細凹凸の周期を求めればよい。光出射面29に垂直なxz平面においては、格子の厚み(微細凹凸30の高さ)が小さいので、上記のように1次元の回折格子として取り扱うことができたが、光出射面29に平行なxy平面においては、格子の厚み(光出射面29の長さと幅)が大きいので、ブラッグ回折として取り扱わなければならない。
【0075】
ブラッグ回折では、一般に、回折格子に入射した光Lの入射角と反射光の出射角とが等しいと仮定される。このとき、図16に示すように、格子面間の間隔がdの回折格子に入射して隣接する格子面で反射される光の光路長差は、2dsinφとなる。ただし、この場合の入射角φは、格子面から測るものとする。よって、ブラッグ回折では、光の波長をλとするとき、
2・n1・dsinφ=qλ (q=±1、±2、…) …(6)
の条件を満たす場合に、反射光が強め合う(ブラッグの回折条件)。ここで、光Lは導光板26内で回折されるので、導光板26の屈折率n1を考慮した。
【0076】
xy平面における回折光を抑制するためには、任意の入射角φに対して上記(6)式が成立しないようにすればよい。(6)式の右辺の最小値はλmin(導光板26を伝搬する光のうち最も波長の短い可視光の波長)であり、(6)式の左辺の最大値は2・n1・p(pは微細凹凸30の周期で、p≧d)であるから、(6)式が成り立たないようにするための条件は、
p<λmin/(2・n1) …(7)
となる。
【0077】
従って、第4の実施の形態においては、反射防止用パターン31を構成する微細凹凸30の周期(ピッチ)pが上記(7)式の右辺で決まる値よりも小さくなるように形成してあり、その結果、導光板26の光出射面29でブラッグ回折が起こらなくなるので、回折光が観察者側へ出射されることが無く、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0078】
[実施の形態5]
導光板26の光出射面29と平行な面内においては、上記(7)式を満たすように微細凹凸30の周期を小さくすれば、ブラッグ回折による回折光が発生しないようにすることができる。しかし、微細凹凸30の周期が小さくなるほど反射防止用パターン31を形成することが困難となるので、第5の実施の形態では、反射防止用パターン31の方向を最適化することにより、できるだけ大きな周期の微細凹凸30で回折光の発生を抑制している。
【0079】
図17は、反射防止用パターン31の各微細凹凸30を格子点に見立てた図である(以下、反射防止用パターン31の代わりに、このような図を用いる。)。また、微細凹凸30は正方格子状に並んでいる必要はなく、斜方格子状や六方格子状などでもよいので、より一般的に説明するために格子点を斜方格子状に描いている。このような回折格子を考えると、図17に示すように、無数の方向の格子面が考えられる。ブラッグ回折による回折光を発生させないためには、全ての格子面でブラッグの回折条件を満たさなければよい。しかし、実際には、格子面間の間隔の最も大きな図18に示すような4つの主な格子面S1、S2、S3、S4でブラッグ回折の条件を満たさないようにすれば、ブラッグ回折による回折光は発生しない。そこで、以下においては、4つの主な格子面でブラッグ回折が発生しない条件を求める。
【0080】
まず、ここで用いる記号の定義を図19により説明する。反射防止用パターン31と平行な平面内において光の入射する方向は、格子面S1と平行な方向を基準とする角度φで表すものとする。また、格子面S1、S2と平行な方向を向いていて、かつ、互いに成す角度α1が90°以上である基本格子ベクトルを<d1>、<d2>とする。さらに、格子面S3と平行な方向の格子ベクトルを<d3>=<d1>+<d2>とし、格子ベクトル<d1>と<d3>のなす角度をα2、格子ベクトル<d2>と<d3>のなす角度をα3=α1−α2、格子ベクトル<d1>と(<d2>−<d1>)のなす角度をα4とする。また、ベクトル<d1>、<d2>、<d3>の大きさ(格子定数)をそれぞれd1、d2、d3とする。
【0081】
図20に示すように、格子面S1におけるブラッグ回折の条件を考えると、格子間間隔はd2・sinα1であるから、
2・n1・(d2・sinα1)・sinφ=qλ (q=±1、±2、…)
となる。よって、格子面S1において回折が起こらないためには、
2・n1・(d2・sinα1)・|sinφ|<λmin …(8)
であればよい。
同様にして、図21に示すような格子面S2におけるブラッグ回折を考えると、格子間間隔はd1・sinα1であるから、
2・n1・(d1・sinα1)・sin(α1−φ)=qλ (q=±1、±2、…)
となる。よって、格子面S2において回折が起こらないための条件は、
2・n1・(d1・sinα1)・|sin(α1−φ)|<λmin …(9)
となる。
また、図22に示すような格子面S3におけるブラッグ回折を考えると、格子間間隔はd2sinα3であるから、
2・n1・(d2・sinα3)・sin(α2−φ)=qλ
(q=±1、±2、…)
となる。よって、格子面S3において回折が起こらないための条件は、
2・n1・(d2・sinα3)・|sin(α2−φ)|<λmin …(10)
となる。
また、図23に示すような格子面S4におけるブラッグ回折を考えると、格子間間隔はd1・sinα4であるから、
2・n1・(d1・sinα4)・sin(α4−φ)=qλ (q=±1、±2、…)
となる。よって、格子面S4において回折が起こらないための条件は、
2・n1・(d1・sinα4)・|sin(α4−φ)|<λmin …(11)
となる。
【0082】
以上より、反射防止用パターン31によってブラッグ回折が起きないようにするためには、次の(8)〜(11)式を同時に満足するような入射角φを求めればよい。
2・n1・(d2・sinα1)・|sinφ|<λmin …(8)
2・n1・(d1・sinα1)・|sin(α1−φ)|<λmin …(9)
2・n1・(d2・sinα3)・|sin(α2−φ)|<λmin …(10)
2・n1・(d1・sinα4)・|sin(α4−φ)|<λmin …(11)
任意の入射角φに対して上記(8)〜(11)式を満たせば、ブラッグ回折は任意の入射角の光に対して発生しなくなる。しかし、反射型液晶表示装置21の場合には、光源24の位置が定まっていて光は一定の入射角φで反射防止用パターン31に入射すると考えてよい。従って、(8)〜(11)式の左辺のうち最大のもの値が極小値をとるような入射角φを決めることができれば、所定の可視光最短波長λminに対して、大きな格子定数d1、d2を決めることができる。すなわち、入射光の方向に対して反射防止用パターン31の最適な配置を決めたうえで、所定の可視光最短波長λminに対してできるだけ大きな格子定数(周期)d1、d2を決定することができる。あるいは、所定の格子定数d1、d2に対して最小の可視光最短波長λminの光に対してブラッグ回折が生じないようにすることができる。
【0083】
図24は上記(8)〜(11)式をグラフ表示したものである。図24では横軸に入射角φ[°]をとり、縦軸に各式の光路長差をとったものである。また、各光路長差は、導光板媒質の屈折率n1=1.5、格子定数d1=150nm、d2=120nm、角度α1=110°として計算したものである。
α1>90°の場合には、図24から分かるように、上記(8)式と(9)式を同時に満足していれば、(11)式も成立する。これは数式によって証明することができる。(8)式と(9)式が両方成り立つ条件で光路長差が最も小さくなるのは、(8)式の左辺と(9)式の左辺が等しくなるときである。このとき、
φ=arctan[d1sinα1/(d2+d1cosα1)]
が成り立ち、(8)式及び(9)式の左辺は、つぎの(12)式のようになる。
【数1】
この(12)式の光路差長と、(11)式の左辺の最大値(2・n1・d1・sinα4)とを比較すると、次の(13)式となり、α1>90°の場合には、(12)式の光路差長>(11)式の左辺の最大値となる。
【数2】
(8)式及び(9)式の左辺は、交点間では上方に凸の曲線となっているから、(8)式及び(9)式を満たせば、任意の入射角φで(11)式が成立することになる。
従って、ブラッグ回折が起きないようにする条件については、(8)〜(10)式のみ考えればよい。
【0084】
もっとも大きな格子定数(周期)d1、d2でブラッグ回折をなくすための条件は、前に説明したように(8)〜(10)式の左辺の最大のものが極小値(または、最小値)をとる点であるから、図24からも分かるように(8)〜(10)式の左辺の交点に相当する。
(8)式と(9)式の交点は次式から得られる。
d2/d1=|sin(α1−φ)/sinφ| …(14)
また、(9)式と(10)式の交点は次式から得られる。
d3/d2=|sin(α3−φ’)/sinφ’| …(15)
但し、φ’=α1−φ
また、(8)式と(10)式の交点は次式から得られる。
d1/d3=|sin(α2−φ”)/sinφ”| …(16)
但し、φ”=α2−φ
ここでは、d1/sinα3=d2/sinα2=d3/sinα1を用いた。
【0085】
格子ベクトル<d1>と<d2>のなす角度はα1、格子ベクトル<d2>と<d3>のなす角度はα3、格子ベクトル<d3>と<d1>のなす角度はα2であり、<d1>と平行な格子面に対する入射角をφとすれば、<d2>と平行な格子面に対する入射角はφ'=α1−φ、<d3>と平行な格子面に対する入射角はφ”=α2−φであるから、上記(14)〜(16)式を検討すると、(14)〜(16)式は、
dj/di=|sin(α−φ)|/sinφ …(17)
と一般化して表すことができる。ここでdi、djは任意の方向の格子ベクトル<di>と<dj>の大きさ(格子定数)であり、αは格子ベクトル<di>と<dj>のなす角度であり、φは格子ベクトル<di>と平行な格子面に対する光の入射角、α−φは格子ベクトル<dj>と平行な格子面に対する光の入射角である。
よって、任意の2つの(基本)格子ベクトルを選択し、格子ベクトル<di>の方向に対して(17)式から求めた角度φで光が入射するように反射防止用パターン31を配置すれば、できるだけ大きな格子定数di、djの反射防止用パターン31によってブラッグ回折を防止することができ、反射防止用パターン31の成形が容易になる。
【0086】
例えば、互いに成す角度がα(但し、α≧90°)であり、長さがdi、djの格子ベクトル<di>、<dj>を有する微細構造において、(17)式の解をφ0とすれば、図24に示すように、光源24の方向に対して格子ベクトル<di>の方向がφ0の角度を成すように導光板26の下面に反射防止用パターン31を配置し、しかも、可視光線最短波長λminに対して(8)〜(10)式を満たす範囲でdi、djの値をできるだけ大きな値となるように設計すれば、周期の大きなパターンの反射防止用パターン31でブラッグ回折を防止することができる。
【0087】
[実施の形態6]
図25は矩形の格子を表している。この場合には、α=90°であるから、前記(17)式は、
dj/di=1/tanφ …(18)
となる。これは、α=90°の矩形の格子の場合には、光の入射方向がベクトル<dj>−<di>の方向と垂直であれば、格子定数di、djとして大きな値を選択することができることを表している。
また、α=90°のとき、上記(8)式は、
2・n1・di・cosφ<λmin
となり、上記(9)式は、
2・n1・dj・sinφ<λmin
となるので、両式より、次の(19)式が得られる。
【数3】
特に、di=dj=pとすれば、光Lの導光する方向は格子ベクトル<di>、<dj>に対して45度の方向となり、(19)式は、
p<λmin/〔(√2)・n1〕 …(20)
となる。このとき、例えば、λmin=380nm、n1=1.5とすると、(20)式は、
p<179nm
となる。
【0088】
よって、矩形の格子(α=90°)の場合には、光の入射方向が格子の対角方向に垂直となるように反射防止用パターン31を配置した上で、(19)式を満たすように格子定数di、djを定めれば、ブラッグ回折がほとんど生じないようになり、画面の視認性を良好にすることができる。さらに、(19)式を満たす範囲内で、できるだけ大きなdi、djの値を定めることで、反射防止用パターン31の成形も容易にすることができる。また、矩形格子又は正方形格子状となるので、微細凹凸30の配列も非常に簡素化される。
【0089】
[実施の形態7]
図26はdi=dj=p、α=120°の六方格子を表している。この場合には、上記(14)式は、
sinφ=sin(120°−φ)
となり、φ=60°となる。六方格子の対称性を考えると光の入射方向が、φ=0°、60°、120°、180°の方向であれば回折が生じにくいことを示しており、六方格子の3つの基本格子ベクトルのいずれかに平行に光が入射すれば、格子面間の間隔di、djとして大きな値を選択することができることを表している。
また、di=dj=p、α=120°のとき、上記(8)式と(9)式は、
p<(2・λmin)/(3・n1) …(21)
となる。
【0090】
例えば、λmin=380nm、n1=1.5とすると、上記(21)式は、
p<169nm
となる。
【0091】
よって、この場合には、光の入射方向が六方格子の3つの基本格子ベクトルのいずれかに平行となるように反射防止用パターン31を配置した上で、(21)式を満たすように格子長さpを定めれば、ブラッグ回折がほとんど生じないようになり、画面の視認性を良好にすることができる。さらに、(21)式を満たす範囲内で、できるだけ大きなpの値を定めることで、反射防止用パターン31の成形も容易にすることができる。このような六方格子は、底面が円形をした微細凹凸30を密に配列させることができる。
【0092】
[実施の形態8]
第8の実施の形態は、図10に示したフロントライトのように点光源を用いた場合を説明する。光源24として点光源を用いた場合には、導光板26内を導光する光の進行方向は面内で一定ではない。そのため、回折が生じにくい方向に微細凹凸30を配列しようとすると、微細凹凸30は同心円状に配列されることになる。このように導光板26に微細凹凸30を同心円状に配列するためには、導光板26の作製が困難になる。
【0093】
そこで、点光源を用いた場合には、六方格子状のように回転対称性の高い格子構造を用いることが好ましい。また、第5の実施の形態で用いた(8)〜(11)式を用いて回折の生じにくい出射角φを次のように求めることもできる。
【0094】
例として格子ベクトル<di>、<dj>が互いに成す角度αが110°で、それぞれの格子定数がdi=150nm、dj=120nmの回折格子を考えると、これは六方格子に近い構造を有している。ここで、図10のように、光源24(点光源)をフロントライト22のコーナー部に設けると、導光板26内で導光される光の進行方向の広がりは90°の角度を持つから、光の入射角φが90°の範囲にわたって(8)〜(11)式の左辺で表わされる光路長差の最大値が最小となるように配列方向を決めればよい。図27に示すように(8)〜(11)式を表したグラフに対して、光の入射角φの広がり(90°)をφ=57°〜163°の範囲に定めれば、光路長差の最大値が最小となる。よって、長さが150nmの格子ベクトルdiと導光板26の1つの辺との成す角度が57°〜73°(163°−90°=73°)の間の角度となるようにすればよい。
【0095】
[実施の形態9]
これまでの実施の形態では、微細凹凸が周期的に配置されている場合について説明したが、以下の実施の形態においては、光の波長以下のサイズの微細凹凸がランダムに配置されている場合について説明する。微細凹凸をランダムに形成する意義から説明する。
【0096】
導光板の内部では、光が光出射面とその反対側の面で全反射を繰り返しながら光源から遠ざかる方向に向けて伝搬している。そのため、背景技術の欄でも述べたように、導光板の光出射面又はその反対側の面に設けられている微細凹凸に対して大きな角度で光が入射し、回折光が発生する。特に、微細凹凸が周期的に配列されている場合には、各領域における微細凹凸で、同じ波長の光は同じ方向へ回折されるので、同じ波長の回折光が互いに干渉して強め合い、特定の方向に強い回折光が出射される。この結果、導光板が色味を帯びてしまい、フロントライトから出射される光が色づいて見えるので、反射型液晶表示装置の画面の視認性を悪化させることになる。
【0097】
これに対し、微細凹凸の配列をランダムにすれば、各領域における微細凹凸から同じ方向へ回折される光の波長がばらつくので、様々な波長の光が混ざり合って白色光化される。よって、微細凹凸のランダムにすることにより、導光板が色味を帯びてフロントライトから出射される光が色づいて見える現象を抑制することができ、反射型液晶表示装置の画面の視認性を改善することができる。そのため、以下の実施の形態においては、微細凹凸の配列をランダムにしている。
【0098】
微細凹凸のランダムな配置は、2つに分けることができる。図28(a)(b)は、いずれも微細凹凸30をランダムに配置した反射防止用パターン31を模式的に表わした断面図である。図28(a)に示す反射防止用パターン31は、ランダムな形状及びサイズの微細凹凸30をランダムな間隔で配置したものである。図28(b)に示す反射防止用パターン31は、同じ形状の微細凹凸30をランダムな間隔で配置したものである。なお、図28(a)(b)では、一方向についてのみランダムな配置を表わしているが、微細凹凸30は2方向でランダムに配置されている。
【0099】
こうして微細配列をランダムに配列させた場合においても、第1〜3の実施の形態と同様に微細配列の間隔を光の波長よりも小さくすることにより回折光の発生を抑制したり、特定方向にしか回折光が発生しないようにすることができる。しかし、微細配列をランダムにした場合には、第1〜3の実施の形態において説明したような条件をそのまま適用することはできないので、以下において具体的に説明する。
【0100】
まず、図28(a)のように微細凹凸30の形状、サイズと配置のいずれもがランダムな場合を第9、10、11の実施の形態で説明する。第9の実施の形態においては、微細凹凸30に入射する光Lの入射角をθ1、回折光14の回折角をθ2、導光板材料の屈折率をn1、空気の屈折率をn0、光源24から出射される可視光のうち最も波長の短い可視光の波長をλminとし(図11参照)、また、微細凹凸30の隣接する凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布をとったとき、その出現頻度が最大となる距離をKとすれば、次の(22)式を満たすようにすればよい。
K<λmin/(n0+n1) …(22)
これは第1の実施の形態で導いた(2)式に対応するものである。
【0101】
図29(a)(b)は上記(22)式の適用の仕方を説明する図であって、同図(a)はランダムな微細凹凸の一例を示し、同図(b)はその微細凹凸について凸部(凹部)どうしの距離kの分布を表わした図である。微細凹凸30の形状が図29(a)で表わされるようなパターンであるとすると、このパターンから隣り合う凸部どうし(凹部どうしでもよい)の距離kを計測し、これを集計して各距離kの頻度を得る。図29(b)は各距離kの頻度の分布を表わしてものであって、横軸が隣り合う凸部どうしの距離kを表わし、縦軸が各距離の出現頻度を表わしてる。図29では頻度が最大のときの距離kはKとなっている。よって、図29(a)のようなパターンを設計した場合には、頻度が最大のときの距離Kが、上記(22)式を満たすような縮尺で導光板26に反射防止用パターン31を作製すればよい。
【0102】
光源24がLEDであって、光源24から出射される光のうち最も波長の短い可視光が420nmとすればλmin=420nmであり、導光板26の屈折率n1=1.5、空気の屈折率n0=1とすると、上記(22)式は、
K<168nm
となる。好ましくは、100nm以下とすればよい。
【0103】
この実施の形態によれば、微細凹凸30がランダムになっているので、フロントライト22が色づきにくく、また、導光板26の光出射面29から回折光が出射しにくくなるので、回折光が観察者側へ出射されることが無く、その結果、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0104】
また、この実施の形態においては、距離kが回折光を発生させる最小値λmin/(n0+n1)に等しいときの頻度Pminが、最大の頻度Pmaxの1/5以下となっていることがより望ましい。微細凹凸の距離kがλmin/(n0+n1)よりも大きな部分では回折光を発生させ易くなるが、このような条件を満たせば、回折光の発生をより小さくすることができる。
【0105】
第9の実施の形態の原理を説明する。ランダムに微細凹凸30を配置された反射防止用パターン31は、周期の異なる複数の正弦波形状の足し合わせで表現することができる。これを図30(a)(b)(c)により説明する。図30(a)はランダムな形状と配置を有する微細凹凸のパターンを示す概略図、同図(b)は微細凹凸30のパターンをフーリエ分解したときの各周期成分を表わした図、同図(c)は各成分の周期と強度との関係を表わした図である。説明を簡単にするため、2次元の反射防止用パターン31を考える。反射防止用パターン31の高さをz、反射防止用パターン31が形成されている領域の長さをa、反射防止用パターン31が形成されている領域の端からの距離をxとするとき、図30(a)の微細凹凸30のパターンは、
z=f(x) (0≦x≦a)
と表わすことができる。これは周期aの周期関数に拡張することができるので、フーリエ展開すれば、周期(時間的な周期ではなく、波長に相当する空間的な周期)がTn=a/n(n=1、2、3、…)の正弦波成分に分けることができる。このようにして各成分に分けた正弦波の一部を示したものが図30(b)である。そして、横軸に各成分の周期Tnをとり、縦軸に各成分の強度を表わしたものが図30(c)である。
【0106】
これまでの説明からも分かるように、可視光域で回折光が発生するのは、パターン周期が可視光の波長と同程度の場合であって、パターン周期が可視光の波長域のうち最も短い波長λminよりも十分に短ければ回折光は発生しない。これを微細凹凸30のパターンを分解した成分に当てはめれば、周期の長い成分では回折光が発生するが、周期が短い成分では回折光が発生しないことが分かる。よって、回折光が発生する周期の範囲が図30(c)に示した範囲であるとすれば、微細凹凸30のパターンを分解したときの周期成分の大部分が、この回折光が発生する周期の範囲よりも小さな領域にあるようにすれば、回折光の発生を抑制することができ、良好な視認性を得ることができる。これを表現したものが上記(22)式である。なお、第10、11の実施の形態についても同様な理由による。
【0107】
[実施の形態10]
第10の実施の形態でも、第9の実施の形態と同様にして微細凹凸30の凹部又は凸部どうしの距離の出現頻度が最大となる距離Kを考える。すなわち、図29(a)のような微細凹凸30のパターンから隣接する凸部どうしの距離kを求め、それを集計して図29(b)のように出現頻度が最大となるときの距離Kを求める。そして、第10の実施の形態では、光源24から出射される可視光のうち最も波長の短い可視光の波長をλminとしたとき、出現頻度最大のときの距離Kが、次の(23)式を満たすようにする。ただし、n1は導光板材料の屈折率、n0は空気の屈折率、θoutはフロントライト22の光出射面29から出射される照明光37の光度が最大の方向が光出射面29の法線に対してなす角度(図13参照)である。
K<λmin/(n1+n0・cosθout) …(23)
この(23)式は、第2の実施の形態の(3)式に対応するものである。
【0108】
例えば、λmin=420nm(光源がLEDの場合)、θout=30°、導光板の屈折率n1=1.5、空気の屈折率n0=1とすると、上記(23)式は、
K<178nm
となる。好ましくは、100nm以下とすればよい。
【0109】
従って、第10の実施の形態においては、反射防止用パターン31を構成する微細凹凸30が上記(23)式を満たすような微細さでもってランダムに配置されている。その結果、フロントライト22から出射される光の色づきを抑制することができると共に、照明光37と90°よりも大きな角度をなす方向では回折光14が出射されたとしてもその回折光14は観察者側へ出射されず、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0110】
[実施の形態11]
第11の実施の形態でも、第9の実施の形態と同様にして微細凹凸30の凹部又は凸部どうしの距離の出現頻度が最大となる距離Kを考える。すなわち、図29(a)のような微細凹凸30のパターンから隣接する凸部どうしの距離kを求め、それを集計して図29(b)のように出現頻度が最大となるときの距離Kを求める。そして、第11の実施の形態では、光源24から出射される可視光のうち最も波長の短い可視光の波長をλmin、導光板材料の屈折率をn1としたとき、出現頻度最大のときの距離Kが、次の(24)式を満たすようにする。
K<λmin/(2・n1) …(24)
この(24)式は、第3の実施の形態の(5)式に対応するものである。
【0111】
例えば、λmin=420nm、導光板26の屈折率n1=1.5とすると、(24)式は、
K<140nm
となる。好ましくは、100nm以下とすればよい。
【0112】
従って、第11の実施の形態においては、最大出現頻度に対応する微細凹凸どうしの距離Kが上記(24)式の右辺で決まる値よりも小さくなるようにしてランダムな配置で形成されている。その結果、フロントライト22から出射される光の色づきを抑えることができ、また、導光板26内でも回折光14が出射しなくなり、回折光14が観察者側へ出射されにくくなるので、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0113】
また、この実施の形態においても、距離kが回折光を発生させる最小値λmin/(2・n1)に等しいときの頻度Pminが、最大の頻度Pmaxの1/5以下となっていることがより望ましい。
【0114】
[実施の形態12]
次に、図28(b)のように同じ形状の微細凹凸30が導光板26の下面(光出射面29)にランダムに配置されている場合を第12、13、14の実施の形態で説明する。ここでは、図32(a)に示すようにほぼ同一形状、同一寸法をした凸状の微細凹凸30である凸部が、導光板26の光出射面29又はその反対側の面にランダムに配列されている。あるいは、図32(b)に示すようにほぼ同一形状、同一寸法をした凹状の微細凹凸30である凹部がランダムに配列されていてもよい。これらのほぼ同一形状、同一寸法の微細凹凸30の凸部又は凹部の基端部の幅(直径)をWとする。
【0115】
このように、幅がWの微細凹凸30(凸部又は凹部)がランダムに配置された場合には、その微細凹凸30のパターンには、周期がWの成分が多く含まれることになる。従って、このような実施の形態では、微細凹凸30の幅Wが回折を生じないようなサイズにすればよい。また、不要な周期の成分を無くすためには微細凹凸30の高さ若しくは深さがほぼ一定に揃っていることが好ましい。
【0116】
第12の実施の形態においては、微細凹凸30に入射する光Lの入射角をθ1、回折光14の回折角をθ2、導光板材料の屈折率をn1、空気の屈折率をn0、光源24から出射される可視光のうち最も波長の短い可視光の波長をλmin(図11参照)とすれば、微細凹凸30の幅Wを、次の(25)式を満たすようなサイズにすればよい。
W<λmin/(n0+n1) …(25)
これは第1の実施の形態で導いた(2)式に対応するものである。
【0117】
光源24がLEDであって、光源24から出射される光のうち最も波長の短い可視光が420nmとすればλmin=420nmであり、導光板26の屈折率n1=1.5、空気の屈折率n0=1とすると、上記(25)式は、
W<168nm
となる。好ましくは、100nm以下とすればよい。
【0118】
この実施の形態によれば、微細凹凸30がランダムに配置されているので、フロントライト22が色づきにくく、また、導光板26の光出射面29から回折光が出射しにくくなるので、回折光が観察者側へ出射されることが無く、その結果、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0119】
[実施の形態13]
第13の実施の形態においては、光源24から出射される可視光のうち最も波長の短い可視光の波長をλminとしたとき、微細凹凸30の幅Wが、次の(26)式を満たすようにする。ただし、n1は導光板材料の屈折率、n0は空気の屈折率、θoutはフロントライト22の光出射面29から出射される照明光37の光度が最大の方向が光出射面29の法線に対してなす角度(図13参照)である。
W<λmin/(n1+n0・cosθout) …(26)
この(26)式は、第2の実施の形態の(3)式に対応するものである。
【0120】
例えば、λmin=420nm(光源がLEDの場合)、θout=30°、導光板の屈折率n1=1.5、空気の屈折率n0=1とすると、上記(26)式は、
W<178nm
となる。好ましくは、100nm以下とすればよい。
【0121】
従って、第13の実施の形態においては、反射防止用パターン31を構成する微細凹凸30が上記(26)式を満たすような微細な幅Wでもってランダムに配置されている。その結果、フロントライト22から出射される光の色づきを抑制することができると共に、照明光37と90°よりも大きな角度をなす方向では回折光14が出射されたとしてもその回折光14は観察者側へ出射されず、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0122】
[実施の形態14]
第14の実施の形態においては、光源24から出射される可視光のうち最も波長の短い可視光の波長をλmin、導光板材料の屈折率をn1としたとき、微細凹凸30の幅Wが、次の(27)式を満たすようにする。
W<λmin/(2・n1) …(27)
この(27)式は、第3の実施の形態の(5)式に対応するものである。
【0123】
例えば、λmin=420nm、導光板26の屈折率n1=1.5とすると、(24)式は、
W<140nm
となる。好ましくは、100nm以下とすればよい。
【0124】
従って、第11の実施の形態においては、微細凹凸30の幅Wが上記(27)式の右辺で決まる値よりも小さくなるようにしてランダムな配置で形成されている。その結果、フロントライト22から出射される光の色づきを抑えることができ、また、導光板26内でも回折光14が出射しなくなり、回折光14が観察者側へ出射されにくくなるので、画面のコントラストを高めて反射型液晶表示装置21の視認性を向上させることができる。
【0125】
[実施の形態15]
図33(a)(b)は第15の実施の形態における1つの微細凹凸を拡大して示す斜視図であって、同図(a)は導光板26の下面(光出射面29)に設けられた凸部を表わし、同図(b)は導光板26の下面に設けられた凹部を表わしている。第15の実施の形態における微細凹凸30では、凸部の高さ又は凹部の深さをHとし、その幅をWとするとき、そのアスペクト比H/Wが、
H/W>1.2
となるようにしている。このように微細凹凸30のアスペクト比H/Wを1.2以上にすれば、反射防止用パターン31における反射率を十分に小さくでき、導光板26の下面におけるフレネル反射を小さくすることができる。また、反射率を小さくするためには、微細凹凸30は、成形が可能な限度でできるだけ高さ又は深さHができるだけ大きいことが望ましく、特に150nm以上の高さ又は深さを有することが好ましい。
【0126】
(反射防止用パターンの形成方法)
つぎに、上記のような反射防止用パターン31を導光板26に形成する方法を説明する。まず始めに、図34(a)に示すような反射防止用パターン31の原盤41を作製する。光の波長以下の微細凹凸を有する原盤41を作製する方法には、2光束干渉露光法や電子ビーム露光法などがある。このような方法により原盤41が得られたら、図34(b)に示すように、電鋳法によりNi等のスタンパ材料を原盤41の上に堆積させてスタンパ42を作製する。このスタンパ42を図34(c)のように原盤41から剥離させて原盤41から分離すると、スタンパ42の下面には、原盤41の微細凹凸のパターンを反転させたパターンが得られる。ついで、図34(d)に示すように、このスタンパ42を加熱しながら導光板26の裏面又は表面に押圧させ、図34(e)に示すように、導光板26に微細凹凸30を転写させる。この後、スタンパ42を導光板26から剥離すると、導光板26の裏面又は表面には微細凹凸30が成形される。
【0127】
また、微細凹凸30を導光板26に直接転写する以外にも、フィルム(図示せず)に微細凹凸30を転写した後、そのフィルムを導光板26に貼り付けてもよい。しかし、微細凹凸30を直接導光板26に転写する方が、剥れなどの問題がないため、耐久性が高く、工程も少なくて済む。ここで、フロントライト22に設けられる微細凹凸30はピラミッド形状の様な凸状のパターンが多数設けられた形状であってもよいし、それを反転させた凹状のパターンが多数設けられた形状であってもよい。しかし、回折光を生じにくくするためには凸状のパターンの方が好ましい。
【0128】
このようにして成形される微細凹凸30としては、ピラミッド形状や円錐形状のほか、微細凹凸30の側面の傾きが徐々に変化するもの(特に、先端に向けて次第に傾きが大きくなる凸形状)であってもよい。例えば、図35(a)、(b)、(c)及び(d)に示すような種々の形状の微細凹凸30が可能である。なお、微細凹凸30の周期とは、隣接する微細凹凸30の凸部先端と凸部先端の間の距離をいう。また、微細凹凸30の形状が光の波長以下であれば、微細凹凸30の周期や配列にばらつきがあっても反射率には、ほとんど影響を与えない。この場合、微細凹凸30の周期とは、隣接する微細凹凸30の凸部と凸部の間の平均の距離をいう。
【0129】
良好な反射防止効果を得るためには、微細凹凸30のアスペクト比は1以上であることが望ましい。また、微細凹凸30の高さ(深さ)は、高ければ高いほど広い入射角度と広い波長領域で反射を低減することができるが、成形性を考慮すれば、150nm程度が望ましい。
【0130】
[実施の形態16]
次に、上記各実施の形態で説明したような微細凹凸を備えた面光源装置を両面表示可能な両面型液晶表示装置に用いた場合を説明する。ここでいう両面型液晶表示装置とは、一組の液晶表示パネルと面光源装置によって、両面から画像を視認できるようにした液晶表示装置である。
【0131】
図36は両面型液晶表示装置の構成を示す概略断面図である。この両面型液晶表示装置43は、本発明にかかる面光源装置44と、半透過型の液晶表示パネル45とを対向させたものである。この面光源装置44は、前記のいずれかの実施の形態で説明したフロントライト22と同様な構造を有する面光源装置、あるいは、前記いずれかの実施の形態で説明した微細凹凸30を導光板の観察側の面若しくは観察側と反対側の面(すなわち、光出射面29)に備えた面光源装置である。ここで、両面型液晶表示装置43の場合には、観察側の面とは、液晶表示パネル45で反射した画像光を観察する方向の面をいう。図36に示す面光源装置44は、図7及び図8に示したフロントライト22とは導光板26に設けた偏向パターン28の形状が異なり、偏向パターン28どうしが不連続に設けられている以外は、フロントライト22と同様な構造を有している。微細凹凸30は図示例では、光出射面29にのみ設けているが、光出射面29と反対側の面に設けてあってもよい。
【0132】
図37は半透過型の液晶表示パネル45を1画素分だけ取り出し、その構造を示した拡大断面図である。この液晶表示パネル45は、第1の基板46と第2の基板47の間に液晶材料48を封止したものである。第2の基板47の液晶材料48と対向する内面には、所定間隔をあけて複数の透明電極50がマトリクス状に配列されており、各透明電極50にそれぞれ電気的に接続された状態で、各透明電極50に隣接して配置された金属膜からなる反射電極51が設けられている。各透明電極50は、1画素分の領域の約1/2の面積を占めており、反射電極51も1画素分の領域の約1/2の面積を占めており、反射電極51は透明電極50よりも突出した状態で設けられている。すなわち、1つの透明電極50と1つの反射電極51によって1画素が構成されている。
【0133】
また、第1の基板46の液晶材料48に対向する内面には、表示領域の全面にわたって透明電極49が設けられている。面光源装置44は、この第1の基板46の外面側に対向させて配置されている。なお、図37においては、ドットマトリクス表示の液晶表示パネルにおける1つの画素要素のみを示しており、配向膜、光学フィルム、TFT等の回路などは省略してある。
【0134】
しかして、この両面型液晶表示装置43にあっては、導光板26の光出射面29から光Lが出射されると、導光板26から出射された光Lは液晶表示パネル45を照明する。導光板26から出射された光Lのうち、オン状態となっている画素の透明電極50の設けられている領域に入射した光Lは、透明電極49及び50を透過し、観察側の面と反対側で画像が認識される。また、オン状態となっている画素の反射電極51の設けられている領域に入射した光Lは、透明電極49を透過して反射電極51で反射された後、再び透明電極49を透過し、さらに導光板26を透過して観察側で画像が認識される。これによって、1枚の液晶表示パネル45と1枚の面光源装置44からなる両面型液晶表示装置43によって、両面から画像を認識できるようになっており、構成部品の部品点数を削減でき、また、電力消費を少なくすることができる。
【0135】
このような構造を有する両面型液晶表示装置43にあっても、面光源装置44の導光板26に微細凹凸30が設けられていない場合には、図38に示すように、導光板26内を伝搬する光が光出射面29でフレネル反射すると、観察側の面から出射される。この観察側の面から出射された光は、ノイズ光10となって画像光と同じ方向へ出射されるので、反射型液晶表示装置の場合と同様、画像に白色光が重なり、画面のコントラストが低下し、観察側における視認性が悪くなる。
【0136】
また、上記のようなフレネル反射を防止するために導光板26に微細凹凸30を設けている場合であっても、微細凹凸30で回折が起きると、回折光14は、直接に、あるいは乱反射して出射される。この回折光14は、観察者側(液晶表示パネル45から反射されて光が観察される側)と、観察側と反対側(液晶表示パネル45を透過した光が観察される側)とに出射されるため、この回折光が画面の画像光と重なり、いずれの面においても導光板が色味を帯びることになり、画像のコントラストを低下させて視認性を悪化させる。
【0137】
これに対し、第16の実施の形態による両面型液晶表示装置43では、導光板26に本発明にかかる微細凹凸30からなる反射防止用パターン31を設けているので、上記のようなノイズ光10や回折光14による画像の品質低下を抑えることができ、両面型液晶表示装置43の画像の視認性を改善することができる。
【0138】
[電子機器(応用例)]
図39は本発明にかかる反射型液晶表示装置21を組み込まれた携帯電話61を示している。この携帯電話61は、テンキー等を備えたダイアル部62の上に反射型液晶表示装置21が組み込まれており、上面にアンテナ63が設けられている。
【0139】
図40は本発明にかかる反射型液晶表示装置21を組み込まれたPDA等の携帯情報端末64を示している。この携帯情報端末64は、反射型液晶表示装置の横にペン入力などの入力部65が設けられており、上端部には蓋66が枢着されている。
【0140】
このように携帯電話や携帯情報端末等に本発明の反射型液晶表示装置を用いることにより、コントラストが良好で視認性の良好な表示部を持たせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明にかかるフロントライトは、反射型液晶装置その他の反射型表示装置に用いることができる。また、この反射型表示装置は、各種機器の表示部として用いることができるが、特に、携帯電話や携帯用モバイル等の携帯機器に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】フロントライトと反射型液晶表示パネルからなる従来の反射型液晶表示装置を示す概略断面図である。
【図2】反射防止用パターンを備えた別な従来の反射型液晶表示装置を示す概略断面図である。
【図3】導光板の光出射面に設けられた反射防止用パターンの輪郭を示す拡大斜視図である。
【図4】上記反射防止用パターンの作用説明図である。
【図5】フロントライトにおける光の挙動を示す図である。
【図6】(a)は反射防止用パターンにおける有効屈折率の分布を示す平面図、(b)は反射防止用パターンの有効屈折率の分布を格子配置に置き換えた様子を示す図である。
【図7】本発明にかかる反射型液晶表示装置の概略斜視図である。
【図8】同上の反射型液晶表示装置の概略断面図である。
【図9】反射型液晶表示パネルの反射面の構造を示す拡大断面図である。
【図10】点光源状の光源を用いたフロントライトの一例を示す概略平面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態を説明する微細凹凸の拡大断面図である。
【図12】導光板の光出射面から垂直に照明光を出射するようにした反射型液晶表示装置を示す断面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態を説明するための、反射型液晶表示装置の側面図である。
【図14】同上の第2の実施の形態の作用説明図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態を説明する微細凹凸の拡大断面図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態において、ブラッグ回折を説明する図である。
【図17】本発明の第5の実施の形態において、回折格子における多数の格子面を示す図である。
【図18】ブラッグ回折を考える際に、問題となる主な格子面S1、S2、S3、S4を示す図である。
【図19】基本ベクトル<d1>、<d2>、<d3>や入射角φ等を説明する図である。
【図20】格子面S1におけるブラッグ回折を示す図である。
【図21】格子面S2におけるブラッグ回折を示す図である。
【図22】格子面S3におけるブラッグ回折を示す図である。
【図23】格子面S4におけるブラッグ回折を示す図である。
【図24】(8)〜(11)式を表したグラフである。
【図25】本発明の第6の実施の形態において、直交格子における最適な入射光の方向を示す図である。
【図26】本発明の第7の実施の形態において、六方格子における最適な入射光の方向を示す図である。
【図27】光源が点光源である場合の、反射防止用パターンの方向の定め方を説明する図である。
【図28】(a)はランダムな形状及びサイズの微細凹凸をランダムな間隔で配置した反射防止用パターンを示す概略図であり、(b)は同じ形状の微細凹凸をランダムな間隔で配置した反射防止用パターンを示す概略図である。
【図29】(a)はランダムな微細凹凸の一例を示すず、(b)はその微細凹凸について凸部(凹部)どうしの距離kの分布を表わした図である。
【図30】(a)はランダムな形状と配置を有する微細凹凸のパターンを示す概略図、(b)は微細凹凸のパターンをフーリエ分解したときの各周期成分を表わした図、(c)は各成分の周期と強度との関係を表わした図である。
【図31】第9の実施の形態におけるより好ましい例を説明する図である。
【図32】(a)はほぼ同一形状、同一寸法をした凸状の微細凹凸がランダムに配列した様子を示す概略図、(b)はほぼ同一形状、同一寸法をした凹状の微細凹凸がランダムに配列した様子を示す概略図である。
【図33】(a)は、本発明の第15の実施の形態において、導光板の下面に設けられた凸状の微細凹凸を表わした図、(b)は導光板の下面に設けられた凹状の微細凹凸を表わした図である。
【図34】(a)〜(f)は反射防止用パターンの成形方法を説明する概略図である。
【図35】(a)〜(d)は種々の微細凹凸の形状を示す図である。
【図36】本発明の第16の実施の形態にかかる両面型液晶表示装置の概略断面図である。
【図37】同上の両面型画像表示装置の1画素分の構造を示す拡大断面図である。
【図38】第16の実施の形態による両面型液晶表示装置の作用効果を説明するための図である。
【図39】携帯電話の斜視図である。
【図40】携帯情報端末の斜視図である。
【符号の説明】
【0143】
21 反射型液晶表示装置
22 フロントライト
23 反射型液晶表示パネル
24 光源
26 導光板
28 偏向パターン
29 光出射面
30 微細凹凸
31 反射防止用パターン
35 反射面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、
前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、
前記凹部又は凸部について隣接する凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布をとったとき、その頻度が最大となる距離Kが、
を満たす面光源装置。
【請求項2】
光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、
前記光出射面から出射される光の光度が最大となる方向は前記光出射面に立てた法線に対して傾いており、
前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、
前記凹部又は凸部について隣接する凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布をとったとき、その頻度が最大となる距離Kが、
を満たす面光源装置。
【請求項3】
光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、
前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、
前記凹部又は凸部について隣接する凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布をとったとき、その頻度が最大となる距離Kが、
を満たす面光源装置。
【請求項4】
光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、
前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、
前記凹部又は凸部の幅をWとするとき、当該幅Wが、
を満たす面光源装置。
【請求項5】
光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、
前記光出射面から出射される光の光度が最大となる方向は前記光出射面に立てた法線に対して傾いており、
前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、
前記凹部又は凸部の幅をWとするとき、当該幅Wが、
を満たす面光源装置。
【請求項6】
光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、
前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、
前記凹部又は凸部の幅をWとするとき、当該Wが、
を満たす面光源装置。
【請求項7】
前記凹部の深さ又は前記凸部の高さをHとするとき、当該凹部又は凸部の幅Wに対する比H/Wが、
H/W>1.2
を満たす、請求項1〜6に記載の面光源装置。
【請求項8】
前記光源から出射される最も波長の短い可視光の真空中における波長λminを380nmとした、請求項1〜6に記載の面光源装置。
【請求項9】
前記凹部又は凸部は、前記導光板の観察側の面又は光出射面の少なくとも一方に転写されていることを特徴とする、請求項1〜6に記載の面光源装置。
【請求項10】
請求項1〜6に記載の面光源装置と、前記面光源装置から出射された光を反射させて画像を生成する表示パネルとからなる表示装置。
【請求項11】
請求項1〜6に記載の面光源装置と、前記面光源装置から出射された光を透過させて画像を生成すると共に前記面光源装置から出射された光を反射させて画像を生成する表示パネルとからなる表示装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の表示装置をディスプレイとして備えた電子機器。
【請求項1】
光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、
前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、
前記凹部又は凸部について隣接する凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布をとったとき、その頻度が最大となる距離Kが、
を満たす面光源装置。
【請求項2】
光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、
前記光出射面から出射される光の光度が最大となる方向は前記光出射面に立てた法線に対して傾いており、
前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、
前記凹部又は凸部について隣接する凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布をとったとき、その頻度が最大となる距離Kが、
を満たす面光源装置。
【請求項3】
光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、
前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、
前記凹部又は凸部について隣接する凹部どうし又は凸部どうしの距離の分布をとったとき、その頻度が最大となる距離Kが、
を満たす面光源装置。
【請求項4】
光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、
前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、
前記凹部又は凸部の幅をWとするとき、当該幅Wが、
を満たす面光源装置。
【請求項5】
光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、
前記光出射面から出射される光の光度が最大となる方向は前記光出射面に立てた法線に対して傾いており、
前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、
前記凹部又は凸部の幅をWとするとき、当該幅Wが、
を満たす面光源装置。
【請求項6】
光源と、前記光源からの光を導いて観察側の面と反対側に位置する光出射面から光を出射する導光板とを備えた面光源装置において、
前記観察側の面又は前記光出射面の少なくとも一方に複数の微細な凹部又は凸部がランダムに配置され、
前記凹部又は凸部の幅をWとするとき、当該Wが、
を満たす面光源装置。
【請求項7】
前記凹部の深さ又は前記凸部の高さをHとするとき、当該凹部又は凸部の幅Wに対する比H/Wが、
H/W>1.2
を満たす、請求項1〜6に記載の面光源装置。
【請求項8】
前記光源から出射される最も波長の短い可視光の真空中における波長λminを380nmとした、請求項1〜6に記載の面光源装置。
【請求項9】
前記凹部又は凸部は、前記導光板の観察側の面又は光出射面の少なくとも一方に転写されていることを特徴とする、請求項1〜6に記載の面光源装置。
【請求項10】
請求項1〜6に記載の面光源装置と、前記面光源装置から出射された光を反射させて画像を生成する表示パネルとからなる表示装置。
【請求項11】
請求項1〜6に記載の面光源装置と、前記面光源装置から出射された光を透過させて画像を生成すると共に前記面光源装置から出射された光を反射させて画像を生成する表示パネルとからなる表示装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の表示装置をディスプレイとして備えた電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【公開番号】特開2006−12854(P2006−12854A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212171(P2005−212171)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【分割の表示】特願2004−264750(P2004−264750)の分割
【原出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【分割の表示】特願2004−264750(P2004−264750)の分割
【原出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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