面実装インダクタの製造方法とその面実装インダクタ
【課題】 より小型で成形性の高い面実装インダクタの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の面実装インダクタの製造方法は、断面が平角形状を有する導線を巻回したコイルと、樹脂と磁性体粉末を含む封止材と、平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に樹脂もしくはセラミックスで成形されたガイド部材と、を用いる。ガイド部材にコイルを載置し、コイルの両端部をガイド部材の柱状凸部の外側側面に沿わせて成型金型に装填する。コイルの両端部がガイド部材の柱状凸部の外側側面と成型金型の内壁面との間に挟まれた状態で、樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いてコイルとガイド部材を封止材で封止しして成形体を得る。成形体の表面にコイルの両端部の少なくとも一部が露出する部分と接続する外部電極を成形体の表面または外周に設けることを特徴とする。
【解決手段】
本発明の面実装インダクタの製造方法は、断面が平角形状を有する導線を巻回したコイルと、樹脂と磁性体粉末を含む封止材と、平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に樹脂もしくはセラミックスで成形されたガイド部材と、を用いる。ガイド部材にコイルを載置し、コイルの両端部をガイド部材の柱状凸部の外側側面に沿わせて成型金型に装填する。コイルの両端部がガイド部材の柱状凸部の外側側面と成型金型の内壁面との間に挟まれた状態で、樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いてコイルとガイド部材を封止材で封止しして成形体を得る。成形体の表面にコイルの両端部の少なくとも一部が露出する部分と接続する外部電極を成形体の表面または外周に設けることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小型の面実装インダクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線材を巻回したコイルをコア内に内包する面実装インダクタが広く利用されている。近年の携帯電話などの電子機器の小型化や薄型化に伴い、面実装インダクタのような電子部品も小型化や低背化が要求されている。そこで出願人は、先に出願した特許文献1において、平角導線をその端部の両方が外周に引き出される様に外外巻きに巻回したコイルと予備成形されたタブレットを用いた小型の面実装インダクタとその製造方法を提案した。
【0003】
特許文献1の面実装インダクタの製造方法では、まず樹脂と充填材とを含む封止材を平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に予備成形してタブレットを作製する。つぎに、断面が平角形状の導線を巻回してコイルを作製し、そのコイルをタブレット上に載置する。このとき、コイルの両端部をタブレットの柱状凸部に沿わせるように配置し、コイルの両端部をタブレットの柱状凸部の外側側面と成型金型の内壁面との間に挟むようにコイルとタブレットを成型金型に配置し、さらに成型金型に予備成形封止材を装填する。つぎに、コイルの両端部がタブレットの柱状凸部の外側側面と成型金型の内壁面との間に挟まれた状態でコイルと封止材を樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いて一体化させて成形体と得る。最後に成形体の表面にコイルの両端部の少なくとも一部が露出する部分と接続する外部電極を成形体の表面または外周に設けて、面実装インダクタを得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−245473
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のとおり、特許文献1の方法では樹脂と充填材とを含む封止材を予め平面形状の周縁部に柱状凸部を有する形状のタブレットへと予備成形する。しかしながら、2mm角以下のサイズになるとタブレットのサイズも小さくなり、特に柱状凸部が薄くなる。そのため、樹脂と充填材とを含むような封止材(特に充填材の含有量が60Vol%以上のもの)からなるタブレットでは、柱状凸部を有するような複雑な形状に予備成形すると、十分な機械的強度を確保することが困難になってくる。タブレットの機械的強度が低下すると、搬送や成型金型へ装填する際にタブレットの一部の欠損もしくは破損が生じやすくなる。タブレットの一部が欠損もしくは破損してしまうと、内部のコイルの位置ズレや成形不良が生じ、インダクタの特性不良やバラツキを生起する可能性がある。
【0006】
そこで本発明では、より小型で成形性の高い面実装インダクタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の面実装インダクタの製造方法は、断面が平角形状を有する導線を巻回したコイルと、樹脂と磁性体粉末を含む封止材と、平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に樹脂もしくはセラミックスで成形されたガイド部材と、を用いる。ガイド部材にコイルを載置し、コイルの両端部をガイド部材の柱状凸部の外側側面に沿わせて成型金型に装填する。コイルの両端部がガイド部材の柱状凸部の外側側面と成型金型の内壁面との間に挟まれた状態で、樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いてコイルとガイド部材を封止材で封止しして成形体を得る。成形体の表面にコイルの両端部の少なくとも一部が露出する部分と接続する外部電極を成形体の表面または外周に設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の面実装インダクタの製造方法によれば、容易に小型の面実装インダクタを得ることができる。そして、成形体の所定の位置にコイルの両端部の少なくとも一部を埋没させて固定することができる。さらに、両端部の平面を成形体の表面に露出させることができるため、外部電極との良好な接合面積を得ることができる。
【0009】
本発明の面実装インダクタの製造方法では、平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に樹脂もしくはセラミックスで成形されたガイド部材を用いる。樹脂もしくはセラミックスは成形性が高く、小型でも柱状凸部を有するような複雑な形状への加工が容易であり、十分な機械的強度を確保できる。そのため、樹脂と充填材とを含む封止材で複雑な形状のタブレットを作製する必要がなく、封止材は板状や柱状、もしくは粉末状など単純な形状であればよい。
【0010】
コイルの端部を成型金型で挟まないためコイルの端部引出部を設ける必要がなく、成型金型を簡単な構造で安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明で用いる空心コイルの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例で用いるガイド部材の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施例の空心コイルとガイド部材と封止材(タブレット)の配置関係を説明する斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施例の面実装インダクタの製造方法を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−B断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例の面実装インダクタの製造方法を説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施例の面実装インダクタの斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施例で用いるガイド部材の斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施例の空心コイルとガイド部材と封止材(タブレット)の配置関係を説明する斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施例の面実装インダクタの製造方法を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−B断面図である。
【図10】本発明の第2の実施例の面実装インダクタの斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施例で用いる空心コイルの斜視図である。
【図12】本発明の第3の実施例で用いるガイド部材の斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施例の空心コイルとガイド部材の配置関係を説明する斜視図である。
【図14】本発明の第1の実施例の面実装インダクタの製造方法を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−B−C−D組み合わせ断面図である。
【図15】本発明の第3の実施例の面実装インダクタの製造方法を説明する図である。
【図16】本発明の第3の実施例の面実装インダクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら本発明の面実装インダクタの製造方法の実施例を説明する。
【実施例】
【0013】
(第1の実施例)
図1〜図6を参照しながら、本発明の表面実装インダクタの製造方法の第1の実施例について説明する。まず、第1の実施例で用いる空心コイルについて説明する。図1に、第1の実施例で用いる空心コイルの斜視図を示す。図1に示すように、第1の実施例で用いる空心コイル1は、平角線を2段の外外巻きに巻回して巻回部1aを設け、両端部1bを巻回部1aを挟んで対向するように引き出した。
【0014】
次に、第1の実施例で用いるガイド部材について説明する。図2に第1の実施例で用いるガイド部材の斜視図を示す。第1の実施例で用いるガイド部材は、インジェクション成形法を用いて液晶ポリマーで作製する。図2に示すようにガイド部材2は、平面部2aと2つの柱状凸部2bを有し、柱状凸部2bは平面部2aの周縁部に対向するように設ける。
【0015】
次に、第1の実施例で用いる封止材について説明する。本実施例では封止材として、鉄
系金属磁性粉末とエポキシ樹脂とを混合し、粉末状に造粒したものを用いる。このとき、封止材はその中の熱硬化性樹脂が未硬化状態もしくは半硬化状態となるようにする。
【0016】
次に、図3〜図6を参照しながら第1の実施例の面実装インダクタの製造方法について説明する。図3に第1の実施例の空心コイルとガイド部材とタブレットの配置関係を説明する斜視図を示す。まず、図3に示すように、封止材を加圧予備成形して板状のタブレット3a、3bを作製する。このとき、タブレット3a、3bは、その中に含まれる熱硬化性樹脂が未硬化状態もしくは半硬化状態となるように作製される。
【0017】
次に、空心コイル1とガイド部材2とタブレット3a、3bの配置関係に関して説明する。図4に第1の実施例の成型金型中の空心コイルとガイド部材とタブレットの配置を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のA−B断面図である。図3に示すように、空心コイル1の巻回部1aをガイド部材2の平面部2a上に載置する。そして、空心コイル1の両端部1bをそれぞれガイド部材2の柱状凸部2bの外側側面に沿うように配置する。
【0018】
図4に示すように、第1の実施例ではダイ4と上パンチ5aと下パンチ5bを有する成型金型を用いる。ダイ4は割型ダイ4aと割型ダイ4bからなり、ダイ4は上パンチ5a、下パンチ5bと組み合わせることで成型金型のキャビティ(成形部)を形成する。上パンチ5aと下パンチ5bは、割型ダイ4a、4bを組み合わせることで形成される開口部と嵌合し、上下方向に摺動できる。図3、図4(b)に示すように、成型金型内にタブレット3a、空芯コイル1が載置されたガイド部材2、タブレット3bの順に配置されるように装填する。このように配置すれば、空芯コイル1はガイド部材2とタブレット3bの厚みによって成型金型内で適正な高さに配置される。そして、図4(a)と図4(b)に示すように、空芯コイル1の両端部1bのそれぞれは、ガイド部材2の柱状凸部2bと割型ダイ4a、4bの内壁面とで挟まれた状態となり、空芯コイル1の両端部1bが適正な位置で固定される。
【0019】
空心コイル1とガイド部材2とタブレット3a、3bを成型金型のキャビティにセットした後、封止材中の樹脂の軟化温度以上の温度、例えば150℃で圧縮成形し、硬化して図5に示すようなコア6を得る。空心コイル1の両端部1bはガイド部材2の柱状凸部2bと成型金型の内壁面に挟まれ状態で、タブレット3a、3b中の熱硬化性樹脂の軟化温度以上で圧縮成形で封止される。このため、成形中にタブレット3a、3bは軟化状態となり、空心コイル1の両端部1bを位置ズレさせることなく、コア6の側面に端部1bの少なくとも一部が露出するように封止する。
【0020】
次に、コア6を成型金型から取り出してサンドブラスト処理を行いバリ取りと露出する両端部1bの表面の皮膜を除去した後、端部1bと接続するようにコア6の表面に導電性樹脂を塗布する。続いて、めっき処理を行い外部電極7を形成して図6に示す面実装インダクタを得る。なお、めっき処理によって形成される電極は、Ni、Sn、Cu、Au、Pdなどから1つもしくは複数を適宜選択して形成すれば良い。
【0021】
(第2の実施例)
図7〜図10を参照しながら、本発明の面実装インダクタの第2実施例を説明する。第2の実施例では、第1の実施例で用いた空心コイルと封止材と成型金型を用いる。なお、第1実施例と重複する部分の説明は割愛する。
【0022】
まず、第2の実施例で用いるガイド部材について説明する。図7に本発明の第2実施例の面実装インダクタで用いるガイド部材の斜視図を示す。第2の実施例で用いるガイド部材は、アルミナ粉末を加圧成形して作製する。図7に示すようにガイド部材12は、平面部12aと2つの柱状凸部12bを有し、柱状凸部12bは平面部12aの周縁部に対向するように設ける。さらに平面部12aの中央に貫通孔12cを有する形状にガイド部材12を作製する。
【0023】
次に、図8、図9を参照しながら第2の実施例の面実装インダクタの製造方法を説明する。図8は第2の実施例の空心コイルとガイド部材とタブレットの配置を示し、図9は本発明の第2実施例の面実装インダクタの製造工程を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のA−B断面図である。
【0024】
まず、空心コイル1とガイド部材12とタブレット13a、13b、13cの配置関係に関して説明する。図8に示すように、空心コイル1の巻回部1aをガイド部材12の平面部12a上に載置する。そして、空心コイル1の両端部1bをそれぞれガイド部材12の柱状凸部12bの外側側面に沿うように配置する。次に、粉末状の封止材を圧粉成形を用いて、2つの板状のタブレット13a、13bと1つの楕円柱状形状のタブレット13cに予備成形する。図8、図9(b)に示すように、空心コイル1を載置したガイド部材12が板状のタブレット13a、13bに挟まれ、空心コイル1の中空部とガイド部材12の貫通孔12cに楕円柱状形状のタブレット13cが配置されるように成型金型に装填する。このように配置すれば、空芯コイル1はガイド部材12とタブレット13bの厚みによって成型金型内で適正な高さに配置される。そして、図9(a)と図9(b)に示すように、空芯コイル1の両端部1bのそれぞれは、ガイド部材12の柱状凸部12bと割型ダイ4a、4bの内壁面とで挟まれた状態となり、空芯コイル1の両端部1bが適正な位置で固定される。
【0025】
空心コイル1、ガイド部材12、タブレット13a、13b、13cを成型金型のキャビティにセットした後、150℃で圧縮成形する。第1の実施例と同様に、空心コイル1の両端部1bはガイド部材12の柱状凸部12bと成型金型の内壁面に挟まれ状態で、タブレット13a、13b、13c中の熱硬化性樹脂の軟化温度以上で圧縮成形で封止される。このため、成形中にタブレット13a、13b、13cは軟化状態となり、空心コイル1の両端部1bを位置ズレさせることなく、コア16の側面に端部1bの少なくとも一部が露出するように封止する。コア16を成型金型から取り出してサンドブラスト処理を行いバリ取りと露出する両端部1bの表面の皮膜を除去した後、端部1bと接続するようにコア16の表面に半田を用いて金属端子などの外部電極7を取り付けて図10に示す面実装インダクタを得る。なお、金属端子はリン青銅板や銅板などを用いて作製すれば良く、錫めっき処理なども必要に応じて行っても良い。
【0026】
(第3の実施例)
図11〜図17を参照しながら、本発明の面実装インダクタの第3実施例を説明する。第3の実施例では、第1の実施例と第2の実施例で用いた封止材用いる。なお、第1実施例と第2の実施例とで重複する部分の説明は割愛する。
【0027】
まず、第3の実施例で用いる空心コイルについて説明する。図11に第3の実施例で用いる空心コイルの斜視図を示す。図11に示すように、断面形状が長円状の巻き芯を用いて、自己融着性の皮膜を有する平角導線を2段の外外巻きに巻回して巻回部21aを設け、両端部21bを同じ側面側に引き出されるように空心コイル21を作製した。
【0028】
次に、第3の実施例で用いるガイド部材について説明する。図12に第3の実施例で用いるガイド部材の斜視図を示す。第3の実施例で用いるガイド部材は、第2の実施例と同様にアルミナ粉末を加圧成形して作製する。図12に示すようにガイド部材22は、平面部22aと2つの柱状凸部22bを有し、柱状凸部22bは平面部22aの周縁部に対向するように設ける。さらに平面部22aの中央に楕円柱状形状の凸部22cを有する形状にガイド部材22を作製する。
【0029】
次に、図13〜図16を参照しながら第3の実施例の面実装インダクタの製造方法を説明する。図13に第3の実施例の空心コイルとガイド部材の配置関係を示す。図14は第3の実施例の面実装インダクタの製造工程を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のA−B−C−D組み合わせ断面図である。まず、第3の実施例で用いる成型金型について説明する。図14(a)、図14(b)に示すように、第3の実施例ではダイ24と下型25とパンチ26とを有する成型金型を用いる。ダイ24は割型ダイ24aと割型ダイ24bからなり、ダイ24は下型25と組み合わせることで成型金型のキャビティ(成形部)を形成する。パンチ26は割型ダイ24a、24bを組み合わせることで形成される開口部と嵌合し、上下方向に摺動できる。
【0030】
次に、空心コイル21とガイド部材22の配置関係に関して説明する。図13に示すように、空心コイル21の巻回部21aをガイド部材22の平面部22a上に載置する。このとき、空心コイル21の中空部分にガイド部材22の凸部22cが侵入するように載置する。これにより、空心コイル21はガイド部材22上の適正な位置へ容易に位置だしされる。そして、空心コイル21の両端部21bをそれぞれガイド部材22の柱状凸部22bの外側側面に沿うように配置する。
【0031】
図14に示すように、ダイ24の開口部からキャビティへ秤量した粉末状の封止材27を投入し、パンチ26を用いてその表面を平らにする。次に、平らにした封止材27上に前述した配置関係にある空心コイル21とガイド部材22を載置する。このとき、空心コイル21の両端部21bのそれぞれは、ガイド部材22の柱状凸部22bと割型ダイ24aとに挟まれるようにキャビティに装填する。次に、空心コイル21とガイド部材22上に秤量した粉末の封止材27をキャビティ内に投入し、ダイ24の開口部にパンチ26をセットする。
【0032】
空心コイル21とガイド部材22と封止材27を成型金型のキャビティに投入した後、パンチ26を用いて圧粉成形して図15に示すようなコア28を得る。空心コイル21の両端部21bはガイド部材22の柱状凸部22bと成型金型の内壁面に挟まれ状態で封止材により封止される。そのため、空心コイル21の両端部21bは位置ズレすることなく、コア28の1つの側面に少なくともその一部が露出するように封止された状態となる。
【0033】
次に、第1の実施例と同様に、コア28にサンドブラスト処理を行いバリ取りと露出する両端部21bの表面の皮膜を除去した後、コア28の空心コイル21の端部21が露出する側面に導電ペーストを転写塗布し硬化させる。これにより導電ペーストと内部の空心コイル1は導通する。最後に、めっき処理を行い導体ペーストの表面上に外部電極29を形成し、図16に示す面実装インダクタを得る。第3の実施例のようにコアの1つの側面にのみ外部電極を形成すれば、第1の実施例のように5面にわたって外部電極を形成したものと比較して電極面積が小さいので、漏れ磁束による渦電流が発生し難く回路効率上有利となる。
【0034】
上記実施例では、封止材として充填物に鉄系金属磁性粉末、樹脂にエポキシ樹脂を用いた。鉄系金属磁性粉末を用いることで直流重畳特性の優れた表面実装インダクタを作製することができる。しかしながら、これに限らず例えば、充填物としてフェライト系磁性粉末やガラス粉末などを用いても良い。そして、樹脂としてポリイミド樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂やポリエチレン樹脂やポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂を用いても良い。
【0035】
上記実施例ではコイルとして2段の外外巻きに巻回した空芯コイルを用いたが、これに限らず、例えばエッジワイズ巻きなどの巻回方法や円形や矩形などの形状のコイルを用いても良い。また、平角導線を用いずに、丸線を用いる場合にはその端部を潰して扁平な面を作成すればよい。
【0036】
上記実施例では、ガイド部材として液晶ポリマーとアルミナを用いたが、これに限らず成形性の高い材料を用いればよく、例えばポリアミド樹脂や飽和ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂やフェライトやマグネシアなどのセラミックス材料を用いてもよい。その際、フェライトなどの磁性材料でガイド部材を作製すれば、樹脂で作製したものと比べて磁気的性質の損失を緩和することができる。また、樹脂で作製する場合には、エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックのような耐熱性に優れた樹脂を選択することがより好ましい。そして第1の実施例において、ガイド部材をインジェクション成形で作製したが、これに限らず、例えばトランスファ成形や圧縮成形などの樹脂成形法を用いてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1、21:空心コイル
1a、21a:巻回部
1b、21b:端部
2、12、22:ガイド部材
2a、12a、22a:平面部
2b、12b、22b:柱状凸部
12c:貫通孔
22c:凸部
3a、3b、13a、13b、13c:タブレット
4、24:ダイ
4a、4b、24a、24b:割型ダイ
5a:上パンチ
5b:下パンチ
6、16、28:コア
7、17、29:外部電極
25:下型
26:パンチ
27:封止材
【技術分野】
【0001】
本発明は小型の面実装インダクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線材を巻回したコイルをコア内に内包する面実装インダクタが広く利用されている。近年の携帯電話などの電子機器の小型化や薄型化に伴い、面実装インダクタのような電子部品も小型化や低背化が要求されている。そこで出願人は、先に出願した特許文献1において、平角導線をその端部の両方が外周に引き出される様に外外巻きに巻回したコイルと予備成形されたタブレットを用いた小型の面実装インダクタとその製造方法を提案した。
【0003】
特許文献1の面実装インダクタの製造方法では、まず樹脂と充填材とを含む封止材を平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に予備成形してタブレットを作製する。つぎに、断面が平角形状の導線を巻回してコイルを作製し、そのコイルをタブレット上に載置する。このとき、コイルの両端部をタブレットの柱状凸部に沿わせるように配置し、コイルの両端部をタブレットの柱状凸部の外側側面と成型金型の内壁面との間に挟むようにコイルとタブレットを成型金型に配置し、さらに成型金型に予備成形封止材を装填する。つぎに、コイルの両端部がタブレットの柱状凸部の外側側面と成型金型の内壁面との間に挟まれた状態でコイルと封止材を樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いて一体化させて成形体と得る。最後に成形体の表面にコイルの両端部の少なくとも一部が露出する部分と接続する外部電極を成形体の表面または外周に設けて、面実装インダクタを得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−245473
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のとおり、特許文献1の方法では樹脂と充填材とを含む封止材を予め平面形状の周縁部に柱状凸部を有する形状のタブレットへと予備成形する。しかしながら、2mm角以下のサイズになるとタブレットのサイズも小さくなり、特に柱状凸部が薄くなる。そのため、樹脂と充填材とを含むような封止材(特に充填材の含有量が60Vol%以上のもの)からなるタブレットでは、柱状凸部を有するような複雑な形状に予備成形すると、十分な機械的強度を確保することが困難になってくる。タブレットの機械的強度が低下すると、搬送や成型金型へ装填する際にタブレットの一部の欠損もしくは破損が生じやすくなる。タブレットの一部が欠損もしくは破損してしまうと、内部のコイルの位置ズレや成形不良が生じ、インダクタの特性不良やバラツキを生起する可能性がある。
【0006】
そこで本発明では、より小型で成形性の高い面実装インダクタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の面実装インダクタの製造方法は、断面が平角形状を有する導線を巻回したコイルと、樹脂と磁性体粉末を含む封止材と、平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に樹脂もしくはセラミックスで成形されたガイド部材と、を用いる。ガイド部材にコイルを載置し、コイルの両端部をガイド部材の柱状凸部の外側側面に沿わせて成型金型に装填する。コイルの両端部がガイド部材の柱状凸部の外側側面と成型金型の内壁面との間に挟まれた状態で、樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いてコイルとガイド部材を封止材で封止しして成形体を得る。成形体の表面にコイルの両端部の少なくとも一部が露出する部分と接続する外部電極を成形体の表面または外周に設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の面実装インダクタの製造方法によれば、容易に小型の面実装インダクタを得ることができる。そして、成形体の所定の位置にコイルの両端部の少なくとも一部を埋没させて固定することができる。さらに、両端部の平面を成形体の表面に露出させることができるため、外部電極との良好な接合面積を得ることができる。
【0009】
本発明の面実装インダクタの製造方法では、平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に樹脂もしくはセラミックスで成形されたガイド部材を用いる。樹脂もしくはセラミックスは成形性が高く、小型でも柱状凸部を有するような複雑な形状への加工が容易であり、十分な機械的強度を確保できる。そのため、樹脂と充填材とを含む封止材で複雑な形状のタブレットを作製する必要がなく、封止材は板状や柱状、もしくは粉末状など単純な形状であればよい。
【0010】
コイルの端部を成型金型で挟まないためコイルの端部引出部を設ける必要がなく、成型金型を簡単な構造で安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明で用いる空心コイルの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例で用いるガイド部材の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施例の空心コイルとガイド部材と封止材(タブレット)の配置関係を説明する斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施例の面実装インダクタの製造方法を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−B断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例の面実装インダクタの製造方法を説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施例の面実装インダクタの斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施例で用いるガイド部材の斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施例の空心コイルとガイド部材と封止材(タブレット)の配置関係を説明する斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施例の面実装インダクタの製造方法を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−B断面図である。
【図10】本発明の第2の実施例の面実装インダクタの斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施例で用いる空心コイルの斜視図である。
【図12】本発明の第3の実施例で用いるガイド部材の斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施例の空心コイルとガイド部材の配置関係を説明する斜視図である。
【図14】本発明の第1の実施例の面実装インダクタの製造方法を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−B−C−D組み合わせ断面図である。
【図15】本発明の第3の実施例の面実装インダクタの製造方法を説明する図である。
【図16】本発明の第3の実施例の面実装インダクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら本発明の面実装インダクタの製造方法の実施例を説明する。
【実施例】
【0013】
(第1の実施例)
図1〜図6を参照しながら、本発明の表面実装インダクタの製造方法の第1の実施例について説明する。まず、第1の実施例で用いる空心コイルについて説明する。図1に、第1の実施例で用いる空心コイルの斜視図を示す。図1に示すように、第1の実施例で用いる空心コイル1は、平角線を2段の外外巻きに巻回して巻回部1aを設け、両端部1bを巻回部1aを挟んで対向するように引き出した。
【0014】
次に、第1の実施例で用いるガイド部材について説明する。図2に第1の実施例で用いるガイド部材の斜視図を示す。第1の実施例で用いるガイド部材は、インジェクション成形法を用いて液晶ポリマーで作製する。図2に示すようにガイド部材2は、平面部2aと2つの柱状凸部2bを有し、柱状凸部2bは平面部2aの周縁部に対向するように設ける。
【0015】
次に、第1の実施例で用いる封止材について説明する。本実施例では封止材として、鉄
系金属磁性粉末とエポキシ樹脂とを混合し、粉末状に造粒したものを用いる。このとき、封止材はその中の熱硬化性樹脂が未硬化状態もしくは半硬化状態となるようにする。
【0016】
次に、図3〜図6を参照しながら第1の実施例の面実装インダクタの製造方法について説明する。図3に第1の実施例の空心コイルとガイド部材とタブレットの配置関係を説明する斜視図を示す。まず、図3に示すように、封止材を加圧予備成形して板状のタブレット3a、3bを作製する。このとき、タブレット3a、3bは、その中に含まれる熱硬化性樹脂が未硬化状態もしくは半硬化状態となるように作製される。
【0017】
次に、空心コイル1とガイド部材2とタブレット3a、3bの配置関係に関して説明する。図4に第1の実施例の成型金型中の空心コイルとガイド部材とタブレットの配置を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のA−B断面図である。図3に示すように、空心コイル1の巻回部1aをガイド部材2の平面部2a上に載置する。そして、空心コイル1の両端部1bをそれぞれガイド部材2の柱状凸部2bの外側側面に沿うように配置する。
【0018】
図4に示すように、第1の実施例ではダイ4と上パンチ5aと下パンチ5bを有する成型金型を用いる。ダイ4は割型ダイ4aと割型ダイ4bからなり、ダイ4は上パンチ5a、下パンチ5bと組み合わせることで成型金型のキャビティ(成形部)を形成する。上パンチ5aと下パンチ5bは、割型ダイ4a、4bを組み合わせることで形成される開口部と嵌合し、上下方向に摺動できる。図3、図4(b)に示すように、成型金型内にタブレット3a、空芯コイル1が載置されたガイド部材2、タブレット3bの順に配置されるように装填する。このように配置すれば、空芯コイル1はガイド部材2とタブレット3bの厚みによって成型金型内で適正な高さに配置される。そして、図4(a)と図4(b)に示すように、空芯コイル1の両端部1bのそれぞれは、ガイド部材2の柱状凸部2bと割型ダイ4a、4bの内壁面とで挟まれた状態となり、空芯コイル1の両端部1bが適正な位置で固定される。
【0019】
空心コイル1とガイド部材2とタブレット3a、3bを成型金型のキャビティにセットした後、封止材中の樹脂の軟化温度以上の温度、例えば150℃で圧縮成形し、硬化して図5に示すようなコア6を得る。空心コイル1の両端部1bはガイド部材2の柱状凸部2bと成型金型の内壁面に挟まれ状態で、タブレット3a、3b中の熱硬化性樹脂の軟化温度以上で圧縮成形で封止される。このため、成形中にタブレット3a、3bは軟化状態となり、空心コイル1の両端部1bを位置ズレさせることなく、コア6の側面に端部1bの少なくとも一部が露出するように封止する。
【0020】
次に、コア6を成型金型から取り出してサンドブラスト処理を行いバリ取りと露出する両端部1bの表面の皮膜を除去した後、端部1bと接続するようにコア6の表面に導電性樹脂を塗布する。続いて、めっき処理を行い外部電極7を形成して図6に示す面実装インダクタを得る。なお、めっき処理によって形成される電極は、Ni、Sn、Cu、Au、Pdなどから1つもしくは複数を適宜選択して形成すれば良い。
【0021】
(第2の実施例)
図7〜図10を参照しながら、本発明の面実装インダクタの第2実施例を説明する。第2の実施例では、第1の実施例で用いた空心コイルと封止材と成型金型を用いる。なお、第1実施例と重複する部分の説明は割愛する。
【0022】
まず、第2の実施例で用いるガイド部材について説明する。図7に本発明の第2実施例の面実装インダクタで用いるガイド部材の斜視図を示す。第2の実施例で用いるガイド部材は、アルミナ粉末を加圧成形して作製する。図7に示すようにガイド部材12は、平面部12aと2つの柱状凸部12bを有し、柱状凸部12bは平面部12aの周縁部に対向するように設ける。さらに平面部12aの中央に貫通孔12cを有する形状にガイド部材12を作製する。
【0023】
次に、図8、図9を参照しながら第2の実施例の面実装インダクタの製造方法を説明する。図8は第2の実施例の空心コイルとガイド部材とタブレットの配置を示し、図9は本発明の第2実施例の面実装インダクタの製造工程を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のA−B断面図である。
【0024】
まず、空心コイル1とガイド部材12とタブレット13a、13b、13cの配置関係に関して説明する。図8に示すように、空心コイル1の巻回部1aをガイド部材12の平面部12a上に載置する。そして、空心コイル1の両端部1bをそれぞれガイド部材12の柱状凸部12bの外側側面に沿うように配置する。次に、粉末状の封止材を圧粉成形を用いて、2つの板状のタブレット13a、13bと1つの楕円柱状形状のタブレット13cに予備成形する。図8、図9(b)に示すように、空心コイル1を載置したガイド部材12が板状のタブレット13a、13bに挟まれ、空心コイル1の中空部とガイド部材12の貫通孔12cに楕円柱状形状のタブレット13cが配置されるように成型金型に装填する。このように配置すれば、空芯コイル1はガイド部材12とタブレット13bの厚みによって成型金型内で適正な高さに配置される。そして、図9(a)と図9(b)に示すように、空芯コイル1の両端部1bのそれぞれは、ガイド部材12の柱状凸部12bと割型ダイ4a、4bの内壁面とで挟まれた状態となり、空芯コイル1の両端部1bが適正な位置で固定される。
【0025】
空心コイル1、ガイド部材12、タブレット13a、13b、13cを成型金型のキャビティにセットした後、150℃で圧縮成形する。第1の実施例と同様に、空心コイル1の両端部1bはガイド部材12の柱状凸部12bと成型金型の内壁面に挟まれ状態で、タブレット13a、13b、13c中の熱硬化性樹脂の軟化温度以上で圧縮成形で封止される。このため、成形中にタブレット13a、13b、13cは軟化状態となり、空心コイル1の両端部1bを位置ズレさせることなく、コア16の側面に端部1bの少なくとも一部が露出するように封止する。コア16を成型金型から取り出してサンドブラスト処理を行いバリ取りと露出する両端部1bの表面の皮膜を除去した後、端部1bと接続するようにコア16の表面に半田を用いて金属端子などの外部電極7を取り付けて図10に示す面実装インダクタを得る。なお、金属端子はリン青銅板や銅板などを用いて作製すれば良く、錫めっき処理なども必要に応じて行っても良い。
【0026】
(第3の実施例)
図11〜図17を参照しながら、本発明の面実装インダクタの第3実施例を説明する。第3の実施例では、第1の実施例と第2の実施例で用いた封止材用いる。なお、第1実施例と第2の実施例とで重複する部分の説明は割愛する。
【0027】
まず、第3の実施例で用いる空心コイルについて説明する。図11に第3の実施例で用いる空心コイルの斜視図を示す。図11に示すように、断面形状が長円状の巻き芯を用いて、自己融着性の皮膜を有する平角導線を2段の外外巻きに巻回して巻回部21aを設け、両端部21bを同じ側面側に引き出されるように空心コイル21を作製した。
【0028】
次に、第3の実施例で用いるガイド部材について説明する。図12に第3の実施例で用いるガイド部材の斜視図を示す。第3の実施例で用いるガイド部材は、第2の実施例と同様にアルミナ粉末を加圧成形して作製する。図12に示すようにガイド部材22は、平面部22aと2つの柱状凸部22bを有し、柱状凸部22bは平面部22aの周縁部に対向するように設ける。さらに平面部22aの中央に楕円柱状形状の凸部22cを有する形状にガイド部材22を作製する。
【0029】
次に、図13〜図16を参照しながら第3の実施例の面実装インダクタの製造方法を説明する。図13に第3の実施例の空心コイルとガイド部材の配置関係を示す。図14は第3の実施例の面実装インダクタの製造工程を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のA−B−C−D組み合わせ断面図である。まず、第3の実施例で用いる成型金型について説明する。図14(a)、図14(b)に示すように、第3の実施例ではダイ24と下型25とパンチ26とを有する成型金型を用いる。ダイ24は割型ダイ24aと割型ダイ24bからなり、ダイ24は下型25と組み合わせることで成型金型のキャビティ(成形部)を形成する。パンチ26は割型ダイ24a、24bを組み合わせることで形成される開口部と嵌合し、上下方向に摺動できる。
【0030】
次に、空心コイル21とガイド部材22の配置関係に関して説明する。図13に示すように、空心コイル21の巻回部21aをガイド部材22の平面部22a上に載置する。このとき、空心コイル21の中空部分にガイド部材22の凸部22cが侵入するように載置する。これにより、空心コイル21はガイド部材22上の適正な位置へ容易に位置だしされる。そして、空心コイル21の両端部21bをそれぞれガイド部材22の柱状凸部22bの外側側面に沿うように配置する。
【0031】
図14に示すように、ダイ24の開口部からキャビティへ秤量した粉末状の封止材27を投入し、パンチ26を用いてその表面を平らにする。次に、平らにした封止材27上に前述した配置関係にある空心コイル21とガイド部材22を載置する。このとき、空心コイル21の両端部21bのそれぞれは、ガイド部材22の柱状凸部22bと割型ダイ24aとに挟まれるようにキャビティに装填する。次に、空心コイル21とガイド部材22上に秤量した粉末の封止材27をキャビティ内に投入し、ダイ24の開口部にパンチ26をセットする。
【0032】
空心コイル21とガイド部材22と封止材27を成型金型のキャビティに投入した後、パンチ26を用いて圧粉成形して図15に示すようなコア28を得る。空心コイル21の両端部21bはガイド部材22の柱状凸部22bと成型金型の内壁面に挟まれ状態で封止材により封止される。そのため、空心コイル21の両端部21bは位置ズレすることなく、コア28の1つの側面に少なくともその一部が露出するように封止された状態となる。
【0033】
次に、第1の実施例と同様に、コア28にサンドブラスト処理を行いバリ取りと露出する両端部21bの表面の皮膜を除去した後、コア28の空心コイル21の端部21が露出する側面に導電ペーストを転写塗布し硬化させる。これにより導電ペーストと内部の空心コイル1は導通する。最後に、めっき処理を行い導体ペーストの表面上に外部電極29を形成し、図16に示す面実装インダクタを得る。第3の実施例のようにコアの1つの側面にのみ外部電極を形成すれば、第1の実施例のように5面にわたって外部電極を形成したものと比較して電極面積が小さいので、漏れ磁束による渦電流が発生し難く回路効率上有利となる。
【0034】
上記実施例では、封止材として充填物に鉄系金属磁性粉末、樹脂にエポキシ樹脂を用いた。鉄系金属磁性粉末を用いることで直流重畳特性の優れた表面実装インダクタを作製することができる。しかしながら、これに限らず例えば、充填物としてフェライト系磁性粉末やガラス粉末などを用いても良い。そして、樹脂としてポリイミド樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂やポリエチレン樹脂やポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂を用いても良い。
【0035】
上記実施例ではコイルとして2段の外外巻きに巻回した空芯コイルを用いたが、これに限らず、例えばエッジワイズ巻きなどの巻回方法や円形や矩形などの形状のコイルを用いても良い。また、平角導線を用いずに、丸線を用いる場合にはその端部を潰して扁平な面を作成すればよい。
【0036】
上記実施例では、ガイド部材として液晶ポリマーとアルミナを用いたが、これに限らず成形性の高い材料を用いればよく、例えばポリアミド樹脂や飽和ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂やフェライトやマグネシアなどのセラミックス材料を用いてもよい。その際、フェライトなどの磁性材料でガイド部材を作製すれば、樹脂で作製したものと比べて磁気的性質の損失を緩和することができる。また、樹脂で作製する場合には、エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックのような耐熱性に優れた樹脂を選択することがより好ましい。そして第1の実施例において、ガイド部材をインジェクション成形で作製したが、これに限らず、例えばトランスファ成形や圧縮成形などの樹脂成形法を用いてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1、21:空心コイル
1a、21a:巻回部
1b、21b:端部
2、12、22:ガイド部材
2a、12a、22a:平面部
2b、12b、22b:柱状凸部
12c:貫通孔
22c:凸部
3a、3b、13a、13b、13c:タブレット
4、24:ダイ
4a、4b、24a、24b:割型ダイ
5a:上パンチ
5b:下パンチ
6、16、28:コア
7、17、29:外部電極
25:下型
26:パンチ
27:封止材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成型金型を用いて封止材でコイルを封止した面実装インダクタの製造方法において、
断面が平角形状を有する導線を巻回した該コイルと、
樹脂と磁性体粉末を含む該封止材と、
平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に成形されたガイド部材と、を用い、
該ガイド部材に該コイルを載置し、該コイルの両端部を該ガイド部材の柱状凸部の外側側面に沿わせて該成型金型に装填し、
該コイルの両端部が該ガイド部材の柱状凸部の外側側面と該成形金型の内壁面との間に挟まれた状態で、樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いて該コイルと該ガイド部材を該封止材で封止しして成形体とし、
該成形体の表面に該コイルの両端部の少なくとも一部が露出する部分と接続する外部電極を該成形体の表面または外周に設けることを特徴とする面実装インダクタの製造方法。
【請求項2】
成型金型を用いて封止材でコイルを封止した面実装インダクタの製造方法において、
断面が円状を有する導線を巻回し、その両端部を潰して平坦な面を設けた該コイルと、
樹脂と磁性体粉末を含む該封止材と、
平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に成形されたガイド部材と、を用い、
該ガイド部材に該コイルを載置し、該コイルの両端部の平坦な面を該ガイド部材の柱状凸部の外側側面に沿わせて該成型金型に装填し、
該コイルの両端部が該ガイド部材の柱状凸部の外側側面と該成形金型の内壁面との間に挟まれた状態で、樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いて該コイルと該ガイド部材を該封止材で封止しして成形体とし、
該成形体の表面に該コイルの両端部の少なくとも一部が露出する部分と接続する外部電極を該成形体の表面または外周に設けることを特徴とする面実装インダクタの製造方法。
【請求項3】
前記封止材を予備成形して板状タブレットを少なくとも1つ以上成形し、
該板状タブレットによって前記コイルと前記ガイド部材の前記成型金型内における高さ方向の位置合わせを行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の面実装インダクタの製造方法。
【請求項4】
前記ガイド部材が樹脂もしくはセラミックスからなる請求項1乃至請求項3に記載の面実装インダクタの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載の表面実装インダクタの製造方法を用いて作製されたことを特徴とする表面実装インダクタ。
【請求項1】
成型金型を用いて封止材でコイルを封止した面実装インダクタの製造方法において、
断面が平角形状を有する導線を巻回した該コイルと、
樹脂と磁性体粉末を含む該封止材と、
平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に成形されたガイド部材と、を用い、
該ガイド部材に該コイルを載置し、該コイルの両端部を該ガイド部材の柱状凸部の外側側面に沿わせて該成型金型に装填し、
該コイルの両端部が該ガイド部材の柱状凸部の外側側面と該成形金型の内壁面との間に挟まれた状態で、樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いて該コイルと該ガイド部材を該封止材で封止しして成形体とし、
該成形体の表面に該コイルの両端部の少なくとも一部が露出する部分と接続する外部電極を該成形体の表面または外周に設けることを特徴とする面実装インダクタの製造方法。
【請求項2】
成型金型を用いて封止材でコイルを封止した面実装インダクタの製造方法において、
断面が円状を有する導線を巻回し、その両端部を潰して平坦な面を設けた該コイルと、
樹脂と磁性体粉末を含む該封止材と、
平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に成形されたガイド部材と、を用い、
該ガイド部材に該コイルを載置し、該コイルの両端部の平坦な面を該ガイド部材の柱状凸部の外側側面に沿わせて該成型金型に装填し、
該コイルの両端部が該ガイド部材の柱状凸部の外側側面と該成形金型の内壁面との間に挟まれた状態で、樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いて該コイルと該ガイド部材を該封止材で封止しして成形体とし、
該成形体の表面に該コイルの両端部の少なくとも一部が露出する部分と接続する外部電極を該成形体の表面または外周に設けることを特徴とする面実装インダクタの製造方法。
【請求項3】
前記封止材を予備成形して板状タブレットを少なくとも1つ以上成形し、
該板状タブレットによって前記コイルと前記ガイド部材の前記成型金型内における高さ方向の位置合わせを行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の面実装インダクタの製造方法。
【請求項4】
前記ガイド部材が樹脂もしくはセラミックスからなる請求項1乃至請求項3に記載の面実装インダクタの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載の表面実装インダクタの製造方法を用いて作製されたことを特徴とする表面実装インダクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−110184(P2013−110184A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252366(P2011−252366)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003089)東光株式会社 (243)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003089)東光株式会社 (243)
【Fターム(参考)】
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