説明

面材分離装置、面材分離システム、及び面材分離方法

【課題】可撓性面材付き樹脂発泡体から樹脂発泡体部分のみを回収するにあたって、高純度の樹脂発泡体を回収することができる面材分離装置、面材分離システム、及び面材分離方法を提供する。
【解決手段】本発明は、可撓性面材付き樹脂発泡体Aを可撓性面材Bと樹脂発泡体Cとに分離する面材分離装置2であって、略平行に配置された第1の回転軸13及び第2の回転軸17と、第1の回転軸13の周方向に複数設けられ、第1の回転軸13の回転に伴って第1の回転軸13及び第2の回転軸17の間に投入された可撓性面材付き樹脂発泡体に押圧力を加える第1の押圧面Q1を有する第1の押圧部P1と、第2の回転軸17の周方向に複数設けられ、第2の回転軸17の回転に伴って第1の回転軸13及び第2の回転軸17の間に投入された可撓性面材付き樹脂発泡体Aに押圧力を加える第2の押圧面Q2を有する第2の押圧部P2と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性面材付き樹脂発泡体を可撓性面材と樹脂発泡体とに分離する面材分離装置、面材分離システム、及び面材分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェノール樹脂発泡体、ウレタン発泡体のような可撓性面材付き樹脂発泡体は、芯材である樹脂発泡体の両面に、表皮材として、面材が直接接着した構成となっているのが一般的であるが、リサイクルのための樹脂発泡体部の回収、もしくは廃材処理に際しては、芯材であるフェノール樹脂発泡体、ウレタン発泡体などの樹脂発泡体のみを効率的に回収できるような、可撓性面材と樹脂発泡体との分離技術が必要となる。
【0003】
樹脂発泡体を回収してマテリアルリサイクルを行う場合においては、樹脂発泡体に面材が混入すると、製造工程の各種機器や配管滞留部に少量混入した面材(特に面材の小片や繊維)に起因した詰まりが発生することが懸念され、設備管理上からも可能な限り面材の混入を少なくすることが望ましい。
【0004】
このような可撓性面材付き樹脂発泡体の分離に利用できる装置として特許文献1,2に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−149806号公報
【特許文献2】特開平11−48246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、特開2001−149806号公報に示された二軸式破砕機を用いて可撓性面材と樹脂発泡体を分離する場合、樹脂発泡体の破砕と同時に可撓性面材も細かく引き裂かれてしまうため、可撓性面材の小片や繊維などが樹脂発泡体と混在し、樹脂発泡体を高純度で回収することが容易ではない。また、特開平11−48246号公報に示された回転ボールミルを用いて分離する場合、回転ボールミルの構造上、装置内の可撓性面材の長時間の滞留を完全に制御することは難しく、滞留時間が長すぎた場合には、可撓性面材に損傷が与えられ、可撓性面材の繊維などが樹脂発泡体へ混入してしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決することを目的としており、不定形の可撓性面材付き樹脂発泡体から、樹脂発泡体部分のみを回収するにあたって、高純度の樹脂発泡体を回収することができる面材分離装置、面材分離システム、及び面材分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、可撓性面材に損傷を与えないように可撓性面材付き樹脂発泡体から樹脂発泡体部分を分離する技術を見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、可撓性面材付き樹脂発泡体を可撓性面材と樹脂発泡体とに分離する面材分離装置であって、略平行に配置された第1の回転軸及び第2の回転軸と、第1の回転軸の周方向に複数設けられ、第1の回転軸の回転に伴って第1の回転軸及び第2の回転軸の間に投入された可撓性面材付き樹脂発泡体に押圧力を加える第1の押圧面を有する第1の押圧部と、第2の回転軸の周方向に複数設けられ、第2の回転軸の回転に伴って第1の回転軸及び第2の回転軸の間に投入された可撓性面材付き樹脂発泡体に押圧力を加える第2の押圧面を有する第2の押圧部と、を備え、第1の回転軸及び第2の回転軸は、第1の押圧部と第2の押圧部とが非接触な状態で可撓性面材付き樹脂発泡体を所定方向に引き込むように回転し、第1の押圧面は、第1の回転軸の軸方向に沿って延在し、第2の押圧面は、第2の回転軸の軸方向に沿って延在し、第1の押圧面及び第2の押圧面は、協働で、主に可撓性面材付き樹脂発泡体を折り曲げ変形して、可撓性面材付き樹脂発泡体内部の樹脂発泡体を破砕することで、可撓性面材と樹脂発泡体とを分離させることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る面材分離装置では、第1の回転軸及び第2の回転軸は、第1の押圧部と第2の押圧部とが非接触な状態で可撓性面材付き樹脂発泡体を所定方向に引き込むように回転する。この際、第1の押圧部に設けられた第1の押圧面と第2の押圧部に設けられた第2の押圧面とは接触しないが、互いに協働して、主に可撓性面材付き樹脂発泡体を折り曲げ変形させる。ここで、第1の押圧面は第1の回転軸の軸方向に沿って延在し、第2の押圧面は第2の回転軸の軸方向に沿って延在するので、第1の押圧面と第2の押圧面とは互いに交差するのではなく、むしろ重なり合うように移動して可撓性面材付き樹脂発泡体を折り曲げる。従って、本発明によれば、面接触による折り曲げのための押圧力を主体的に付与して可撓性面材付き樹脂発泡体内部の樹脂発泡体を破砕するので、従来の2軸式破砕機とは異なり、可撓性面材に過剰なせん断力が加わることを避けることができる。しかも、回転駆動される2つの回転軸の間に可撓性面材付き樹脂発泡体を通すだけで可撓性面材と樹脂発泡体との分離を実現できるので、従来の回転ボールミルなどの装置と比べて、可撓性面材付き樹脂発泡体に加える力を制御しやすい。このため、樹脂発泡体を破砕しつつ可撓性面材に損傷を与えないように力を制御することが容易である。従って、本発明に係る面材分離装置によれば、可撓性面材に損傷を与えないように可撓性面材付き樹脂発泡体から樹脂発泡体を分離することで、可撓性面材の小片や繊維などが樹脂発泡体に混入することを避けることができるので、高純度の樹脂発泡体を回収することができる。
【0011】
本発明に係る面材分離装置においては、可撓性面材付き樹脂発泡体を第1の回転軸及び第2の回転軸の間に投入するための投入口を有するホッパーを更に備え、第1の回転軸の延在方向において、第1の押圧部及び第2の押圧部の幅より投入口の幅が狭いことが好ましい。
本発明に係る面材分離装置によれば、投入口に投入された可撓性面材付き樹脂発泡体が第1及び第2の押圧部から外れた場所に落ちることを防ぐことができるので、可撓性面材付き樹脂発泡体が第1及び第2の押圧部によって第1及び第2の回転軸の間に引き込まれずに装置内に滞留することを避けることができる。このことは、面材分離装置における樹脂の高純度化に寄与する。
【0012】
本発明に係る面材分離装置においては、第1の押圧部は、第1の回転軸から径方向に突出して設けられた第1の板状部材を有し、第2の押圧部は、第2の回転軸から径方向に突出して設けられた第2の板状部材を有することが好ましい。
本発明に係る面材分離装置によれば、板状部材を用いることで回転軸から押圧部の先端までの距離が長くなるので、回転により第1及び第2の押圧部が可撓性面材付き樹脂発泡体を巻き込んで第1及び第2の回転軸の間に引き込むことのできる範囲を拡大することができる。このような構成は、比較的大きめの可撓性面材付き樹脂発泡体の分離を行う場合に有効である。
【0013】
本発明に係る面材分離装置においては、第1の押圧部は、第1の回転軸の軸方向に沿って延在するように配置された第1の棒状部材を有し、第2の押圧部は、第2の回転軸の軸方向に沿って延在するように配置された第2の棒状部材を有することが好ましい。
本発明に係る面材分離装置によれば、棒状部材により押圧面を形成することで、回転軸の外周に比較的短い間隔で押圧部を形成できるので、可撓性面材付き樹脂発泡体や樹脂発泡体に対して第1及び第2の押圧部を短い間隔で押しつけて複数の折り曲げ変形を加えることが可能となり、効率的に樹脂発泡体を破砕することができる。このような構成は、樹脂発泡体を細かく破砕する場合に有効である。
【0014】
本発明に係る面材分離装置においては、第1の押圧面及び第2の押圧面は、曲面を有することが好ましい。
本発明に係る面材分離装置によれば、第1の押圧面及び第2の押圧面と可撓性面材との間に生じる摩擦を低減させることができるので、可撓性面材に損傷が生じる可能性を少なくすることができる。このことは分離回収される樹脂発泡体の高純度化に寄与する。
【0015】
本発明に係る面材分離装置においては、第1の回転軸及び第2の回転軸の間に投入された可撓性面材付き樹脂発泡体を所定方向に吸引する吸引手段を更に備えることが好ましい。
本発明に係る面材分離装置によれば、第1の回転軸及び第2の回転軸の回転により可撓性面材付き樹脂発泡体を引き込む所定方向へと可撓性面材付き樹脂発泡体を吸引することができるので、可撓性面材付き樹脂発泡体が装置内で滞留することを避けることができる。更に、分離した可撓性面材及び樹脂発泡体が所定方向に吸引されて第1及び第2の回転軸の間から取り除かれるので、樹脂の高純度化が図られる。
【0016】
本発明に係る面材分離システムは、上述の面材分離装置と、当該面材分離装置で分離された可撓性面材及び樹脂発泡体を分別する分別装置と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る面材分離システムによれば、上述の面材分離装置により、可撓性面材に損傷を与えることなく可撓性面材と樹脂発泡体とを分離できるので、分離時に可撓性面材の小片や繊維などがほとんど生じることなく、高純度の樹脂発泡体を容易に分別して回収することができる。
【0017】
本発明は、上述の面材分離装置を用いて、可撓性面材付き樹脂発泡体を可撓性面材と樹脂発泡体とに分離する面材分離方法であって、第1の回転軸及び第2の回転軸の回転による第1の押圧面及び第2の押圧面の協働で、可撓性面材付き樹脂発泡体を所定方向に引き込む引き込み工程と、引き込み工程の後に、可撓性面材付き樹脂発泡体を折り曲げ変形し、可撓性面材付き樹脂発泡体内部の樹脂発泡体を破砕することで可撓性面材と樹脂発泡体とを分離させる分離工程と、分離工程で分離した可撓性面材及び樹脂発泡体を所定方向に送り出す送り出し工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る面材分離方法によれば、第1の押圧面及び第2の押圧面の協働で可撓性面材付き樹脂発泡体が折り曲げ変形されるので、従来の2軸式破砕機を用いる場合と異なり、点接触や線接触ではなく面接触の状態で可撓性面材付き樹脂発泡体が押圧され、可撓性面材に過剰な剪断力が加わることを避けることができる。また、第1の押圧部及び第2の押圧部が各々の回転軸の軸方向に沿って延在しており、各回転軸は同じ周速となるように回転しているので、従来の2軸式破砕機のように刃の回転方向で可撓性面材付き樹脂発泡体が挟み込まれることによる剪断力の発生を避けることができる。しかも、回転駆動される2つの回転軸の間に可撓性面材付き樹脂発泡体を一度通すだけで可撓性面材と樹脂発泡体との分離を実現できるので、従来の回転ボールミルなどを用いる場合と比べて、可撓性面材付き樹脂発泡体に加える力を制御しやすい。このため、樹脂発泡体を破砕しつつ可撓性面材に損傷を与えないように力を制御することが容易である。従って、本発明に係る面材分離方法によれば、可撓性面材及び樹脂発泡体を分離する際に可撓性面材に損傷が生じて、可撓性面材の小片や繊維などが樹脂発泡体に混入することを避けることができるので、高純度の樹脂発泡体を回収することができる。
【0019】
本発明に係る面材分離方法では、分離工程において回転する第1の押圧面又は第2の押圧面が可撓性面材付き樹脂発泡体に加える衝撃力によって、可撓性面材付き樹脂発泡体内部の樹脂発泡体を破砕することが好ましい。
本発明に係る面材分離方法によれば、回転する第1の押圧面又は第2の押圧面が可撓性面材付き樹脂発泡体に衝突して加える衝撃力により樹脂発泡体の破砕(樹脂発泡体の衝撃粉砕及び可撓性面材と樹脂発泡体との界面破壊)を生じさせることができるので、折り曲げ変形による破砕と合わせて効率良く可撓性面材を分離することができる。しかも、可撓性面材に過剰な剪断力を加えることなく内部の樹脂発泡体を破砕できるので、高純度の樹脂発泡体を回収することができ、樹脂の高純度化に有利である。
【0020】
本発明に係る面材分離方法では、分離工程において、第1の押圧面及び第2の回転軸の間又は第2の押圧面及び第1の回転軸の間で可撓性面材付き樹脂発泡体に圧縮力を加えることで、可撓性面材付き樹脂発泡体内部の樹脂発泡体を破砕することが好ましい。
本発明に係る面材分離方法によれば、可撓性面材付き樹脂発泡体に圧縮力を加えることで、樹脂発泡体を破砕するので、折り曲げ変形による破砕と合わせて更に効率良く可撓性面材を分離することができる。しかも、可撓性面材に過剰な剪断力を加えることなく内部の樹脂発泡体を破砕できるので、高純度の樹脂発泡体を回収することができ、樹脂の高純度化に有利である。
【0021】
本発明に係る面材分離方法においては、引き込み工程で引き込まれた可撓性面材付き樹脂発泡体を所定方向に吸引することが好ましい。
本発明に係る面材分離方法によれば、第1の回転軸及び第2の回転軸の回転により可撓性面材付き樹脂発泡体を引き込む所定方向へと可撓性面材付き樹脂発泡体を吸引するので、可撓性面材付き樹脂発泡体が装置内で滞留することを避けることができる。更に、分離した可撓性面材及び樹脂発泡体が所定方向に吸引されて第1及び第2の回転軸の間から取り除かれるので、樹脂の高純度化が図られる。
【0022】
本発明に係る面材分離方法においては、引き込み工程の前に、可撓性面材付き樹脂発泡体を減容する減容工程を更に含むことが好ましい。
本発明に係る面材分離方法によれば、予め可撓性面材付き樹脂発泡体を減容することで、樹脂発泡体の構造が破壊され破砕しやすい状態になり効率良く可撓性面材を分離することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、可撓性面材に損傷を与えないように可撓性面材付き樹脂発泡体から樹脂発泡体を分離することで、高純度の樹脂発泡体を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態に係る面材分離システムを示す概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る面材分離装置を示す概略断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】羽根型面材分離ユニットによる面材の分離を説明するための図である。
【図5】第2の実施形態に係る面材分離装置を示す概略断面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】突起型面材分離ユニットによる面材の分離を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面における寸法、形状、構成要素間の大小関係は実際のものとは必ずしも同一ではない。
【0026】
[第1の実施形態]
図1に示されるように、第1の実施形態に係る面材分離システム1は、可撓性面材付き樹脂発泡体Aを可撓性面材Bと樹脂発泡体Cとに分離するものであり、面材分離装置2、分離材集積部3、吸引装置4、及び篩装置5を備えている。
【0027】
本発明における可撓性面材付き樹脂発泡体Aは、芯材である樹脂発泡体Cの両面に、表皮材として、可撓性面材Bが直接接着した構成となっている。樹脂発泡体Cとしては、フェノール樹脂発泡体、硬質ウレタン発泡体、ポリスチレン発泡体などが挙げられる。特に、フェノール樹脂発泡体であることが好ましい。可撓性面材Bとしては、繊維系の可撓性面材が用いられる。
【0028】
具体的には、可撓性面材Bは、主成分がポリエステル、ポリプロピレン、ナイロンなどからなる樹脂製の不織布及び織布、または、ガラス繊維不織布、あるいは水酸化カルシウム紙、水酸化アルミニウム紙、珪酸マグネシウム紙などの無機物質からなる紙、クラフト紙のような紙質から構成される。このような可撓性面材Bは、通常、ロール状の形態で提供されている。特にポリエステル面材、ポリプロピレン面材、ナイロン面材、ガラス繊維面材、及び紙質面材が、経済性の観点、樹脂発泡体C及び可撓性面材Bの二つの材質の破壊特性の差異を利用して樹脂発泡体Cと可撓性面材Bとを分離するにあたって好ましい。更に、これらの主成分の他に難燃剤などの添加剤を混練したものを用いても構わない。なお、可撓性面材付き樹脂発泡体Aの可撓性面材Bと芯材である樹脂発泡体Cとの接着方法は特に限定されるものではなく、芯材である樹脂発泡体Cが面材表面で熱硬化する際の自己固着力によるものやエポキシ樹脂などの接着剤を使用したものであっても構わない。
【0029】
なお、本実施形態で分離する可撓性面材付き樹脂発泡体Aの大きさは、面材分離装置2に投入できる大きさであれば、特に制限されない。また、その形状も特に限定されるものではなく、大きなものは予め破断すればよい。更に、一般に可撓性面材付き樹脂発泡体Aは、工場で発生する不良品や端材、使用済み回収品などの廃材であるが、この可撓性面材付き樹脂発泡体Aの廃材は、低密度であることが多く、それ故に、広大な保管場所を必要とするので、予め厚さ方向に減容処理してから面材分離の処理をしても構わない。減容処理を行うことで、樹脂発泡体の気泡構造が破壊され破砕されやすい状態になることから、より効率的な分離を行うためにも、予め減容処理してから分離を行う方が好ましい。
【0030】
面材分離装置2は、可撓性面材付き樹脂発泡体Aを可撓性面材Bと樹脂発泡体Cとに分離する装置である。面材分離装置2は、投入された可撓性面材付き樹脂発泡体Aを折り曲げ変形することで、可撓性面材Bを損傷させずに内部の樹脂発泡体Cのみを破砕し、可撓性面材Bと樹脂発泡体Cとの分離を行う。
【0031】
分離材集積部3は、集積室3aとかご状の受け容器3bとを有している。集積室3aは、面材分離装置2及び吸引装置4と配管を介して連通している。面材分離装置2から排出された可撓性面材B及び樹脂発泡体Cは、配管を通じて集積室3aに入り、集積室3a内の受け容器3bに集積される。受け容器3bの底部には、空気穴が複数設けられており、これらの空気穴は配管を介して吸引装置4と連通している。
【0032】
吸引装置4は、集積室3a内の空気を吸引する装置である。吸引装置4は、受け容器3bの底部に設けられた空気穴を通して集積室3a内の空気を吸引する。これにより、面材分離装置2から排出された可撓性面材B及び樹脂発泡体Cは、拡散することなく受け容器3bの底部に吸い付けられる。また、吸引装置4は、集積室3aを介して面材分離装置2内の空気も吸引する。吸引装置4の吸引力により、面材分離装置2内には所定の処理方向Fに可撓性面材付き樹脂発泡体Aを吸引する気流が発生する。吸引装置4は、特許請求の範囲に記載の吸引手段に対応する。
【0033】
篩装置5は、可撓性面材B及び樹脂発泡体Cをふるい分けする装置である。篩装置5としては、振動式や気流式等の種々の方式のものが用いられる。受け容器3bに集積された可撓性面材B及び樹脂発泡体Cを篩装置5に投入することで、可撓性面材Bと樹脂発泡体Cとに精度良く分別される。篩装置5に使用する篩の目開き等の仕様は、その目的に応じて選択すれば良いが、高純度の樹脂発泡体Cや可撓性面材Bを回収するためには、目開きの小さなものを利用することが好ましい。篩装置5は、特許請求の範囲に記載の分別装置に対応する。
【0034】
以下、面材分離装置2について図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図2及び図3に示されるように、面材分離装置2は、可撓性面材付き樹脂発泡体Aが投入されるホッパー6と、ホッパー6内で可撓性面材付き樹脂発泡体Aの分離を行う羽根型面材分離ユニット7と、羽根型面材分離ユニット7を回転駆動させるためのモーター8と、を備えている。面材分離装置2は、2つの羽根型面材分離ユニット7を備えている。
【0036】
ホッパー6は、上下が開放された略じょうご形状をなしている。ホッパー6は、可撓性面材付き樹脂発泡体Aを投入するための投入口6aと、分離された可撓性面材B及び樹脂発泡体Cを排出するための排出口6bと、を有している。投入口6a及び排出口6bは、矩形状に形成されている。また、ホッパー6は、羽根型面材分離ユニット7をホッパー6に取り付けるためのフランジ部6cを有している。ホッパー6には、上下に積み重ねられた2つの羽根型面材分離ユニット7が取り付けられている。また、2つの羽根型面材分離ユニット7の間には、内向きフランジ部6dが設けられている。内向きフランジ部6dは、上段の羽根型面材分離ユニット7で分離された可撓性面材B及び樹脂発泡体Cが下段の羽根型面材分離ユニット7とホッパー6の内壁との隙間に入り込むことを防止する。
【0037】
羽根型面材分離ユニット7は、可撓性面材付き樹脂発泡体Aの分離を行うユニットであり、ホッパー6に対して脱着自在に取り付けられる。羽根型面材分離ユニット7は、壁部10、第1の羽根回転体11、及び第2の羽根回転体12を有している。壁部10は、並列に配置された第1の羽根回転体11及び第2の羽根回転体12の側方を囲うように設けられている。壁部10は、ホッパー6のフランジ部6cに対応するフランジ部10aを上下に複数有している。壁部10は、フランジ部10a及びフランジ部6cがボルト等で連結されることで、ホッパー6に固定されている。また、上下に積み重ねられた2つの羽根型面材分離ユニット7は、互いのフランジ部10aがボルト等で連結されることで固定されている。また、壁部10は、軸受け部10bを介して第1の羽根回転体11及び第2の羽根回転体12を支えている。
【0038】
第1の羽根回転体11は、第1の回転軸13、第1のロッド支持板14、第1のロッド部15、第1の羽根板16を有している。第1の回転軸13は、モーター8の駆動によって矢印Mの方向に回転する。第1の回転軸13とモーター8とは、連結部9を介して接続されている。連結部9は、第1の回転軸13及びモーター8を連結状態と切り離し状態とに切り替える。第1の回転軸13は、特許請求の範囲に記載の第1の回転軸に対応する。
【0039】
第1のロッド支持板14は、第1の回転軸13を中心とする略十字形状の部材である。第1のロッド支持板14は、第1の回転軸13の径方向に突出するように4本の腕部を備えている。第1のロッド支持板14は、2枚設けられており、第1の回転軸13の軸方向で対向している。2枚の第1のロッド支持板14は、第1の回転軸13の軸方向で挟み込んで4本の第1のロッド部15を支持している。4本の第1のロッド部15は、第1のロッド支持板14の4本の腕の先端部にそれぞれ固定されている。4本の第1のロッド部15は、表面が曲面の丸棒形状の部材である。4本の第1のロッド部15は、第1の回転軸13の軸方向に沿って延在するように配置されている。
【0040】
4本の第1のロッド部15と第1の回転軸13との間には、それぞれ4枚の第1の羽根板16が設けられている。第1の羽根板16は、第1の回転軸13の軸方向に沿って延在する平板形状の部材である。第1の羽根板16は、第1の回転軸13に固定されている。第1の羽根板16は、第1の回転軸13の径方向に突出して設けられている。第1の羽根板16は、第1のロッド部15、第1の回転軸13、及び第1のロッド支持板14に囲まれた空間を埋めるように設けられている。第1の羽根板16は、特許請求の範囲に記載の第1の板状部材に対応する。
【0041】
このような第1の羽根板16を設けることで、可撓性面材付き樹脂発泡体Aの可撓性面材Bと樹脂発泡体Cの分離を行う際に、第1の回転軸13と第1のロッド部15の間で可撓性面材Bや樹脂発泡体Cが詰まる、もしくは、第1のロッド部15と第1の回転軸13に可撓性面材Bが絡みつくことを防止することができる。なお、本発明においては、必ずしも第1の羽根板16を設ける必要はなく、第1の回転軸13と第1のロッド部15との間に空間が設けられていても良い。また、第1の羽根板16は、第1のロッド部15、第1の回転軸13、及び第1のロッド支持板14の間の空間を完全に埋める必要はなく、可撓性面材Bや樹脂発泡体Cが入り込まない程度の間隙や穴などを有していても良い。また、第1の羽根板16は、板状であれば平板形状のものに限定されない。また、第1の羽根板16は、その厚さを第1のロッド部15に合わせる必要はない。
【0042】
第1のロッド部15及び第1の羽根板16は、第1の押圧部P1を構成している。第1の押圧部P1は、第1の回転軸13の周方向で羽根状に構成されている。第1の押圧部P1は、第1の回転軸13の軸方向に沿って延在している。第1の押圧部P1は、第1の回転軸13の周方向において等間隔で4つ設けられている。また、第1の押圧部P1は、第1の回転軸13の軸方向における幅Vがホッパー6の投入口6aの幅Tより広く構成されている。換言すると、ホッパー6の投入口6aの幅Tは、第1の押圧部P1の幅Vより狭くなるように形成されている。
【0043】
第1の押圧部P1は、第1の回転軸13の回転と共に矢印M方向に回転する。第1の押圧部P1は、第1の回転軸13の回転に伴い、第1の羽根回転体11及び第2の羽根回転体12の間に投入された可撓性面材付き樹脂発泡体Aに衝突して押圧力(衝撃力)を加える第1の押圧面Q1を有している(図4参照)。第1の押圧面Q1は、第1のロッド部15及び第1の羽根板16の外側表面に相当し、第1の回転軸13の軸方向に沿って延在する。第1の押圧面Q1は、摩擦係数の低い滑らかな面である。第1の押圧面Q1は、丸棒形状の第1のロッド部15が形成する曲面を含んでいる。第1の押圧部P1及び第1の押圧面Q1は、特許請求の範囲に記載の第1の押圧部及び第1の押圧面にそれぞれ対応する。
【0044】
第1の羽根回転体11と第2の羽根回転体12とは、同じ構造を有している。第2の羽根回転体12は、第2の回転軸17、第2のロッド支持板18、第2のロッド部19、第2の羽根板20を有している。第2の回転軸17は、第1の回転軸13と略平行に配置されている。第2の回転軸17は、モーター8の駆動によって矢印Nの方向に回転する。第2の回転軸17及び第1の回転軸13は、これらの間に投入された可撓性面材付き樹脂発泡体Aを所定の処理方向F(排出口6bに向かう方向)に引き込むように回転する。第2の回転軸17及びモーター8も連結部9を介して接続されている。第2の回転軸17は、特許請求の範囲に記載の第2の回転軸に対応する。
【0045】
第2のロッド支持板18は、第2の回転軸17を中心とする略十字形状の部材である。第2のロッド支持板18は、2枚設けられており、第2の回転軸17の軸方向で対向している。2枚の第2のロッド支持板18は、第2の回転軸17の軸方向で挟み込んで4本の第2のロッド部19を支持している。また、4本の第2のロッド部19と第2の回転軸17との間には、それぞれ4枚の第2の羽根板20が設けられている。第2の羽根板20は、特許請求の範囲に記載の第2の板状部材に対応する。
【0046】
第2のロッド部19及び第2の羽根板20は、第2の押圧部P2を構成している。第2の押圧部P2は、第2の回転軸17の周方向で羽根状に構成されている。第2の押圧部P2は、第2の回転軸17の軸方向に沿って延在している。第2の押圧部P2は、第2の回転軸17の周方向において等間隔で4つ設けられている。
【0047】
第2の押圧部P2は、第2の回転軸17の回転と共に矢印N方向に回転する。第2の押圧部P2と第1の押圧部P1とは、処理方向Fで重なり合うように回転する。第2の押圧部P1は、第2の回転軸17の回転に伴い、第1の羽根回転体11及び第2の羽根回転体12の間に投入された可撓性面材付き樹脂発泡体Aに衝突して押圧力(衝撃力)を加える第2の押圧面Q2を有している(図4参照)。第2の押圧面Q2は、第2のロッド部19及び第2の羽根板20の外側表面に相当し、第2の回転軸17の軸方向に沿って延在する。第2の押圧面Q2は、摩擦係数の低い滑らかな面である。第2の押圧面Q2は、丸棒形状の第2のロッド部19の表面の曲面を含んでいる。第2の押圧部P2及び第2の押圧面Q2は、特許請求の範囲に記載の第2の押圧部及び第2の押圧面にそれぞれ対応する。
【0048】
また、羽根型面材分離ユニット7は、第1の羽根回転体11の第1の回転軸13と第2の羽根回転体12の第2の回転軸17との中心距離Lを調節可能に構成されている。この中心距離Lは、第1の羽根回転体11の回転半径L1、第2の羽根回転体12の回転半径L2、及び可撓性面材付き樹脂発泡体Aの厚さtを考慮して設定される。具体的には、下記の式(1)の関係を満たすように設定される。なお、L1は、第1の回転軸13の中心から羽根状の第1の押圧部P1の先端までの長さに相当する。同様に、L2は、第2の回転軸17の中心から羽根状の第2の押圧部P2の先端までの長さに相当する。
【数1】

【0049】
次に、以上説明した第1の実施形態に係る面材分離システム1の分離分別方法について図1〜図4を参照して説明する。
【0050】
本実施形態の分離分別方法においては、まず、可撓性面材付き樹脂発泡体Aの容量を減少させる減容処理を行う。減容処理は、例えば2段ロール式圧縮機により圧縮することで行われる。
【0051】
その後、面材分離システム1の面材分離装置2では、可撓性面材付き樹脂発泡体Aをホッパー6の投入口6aに投入する投入工程が行われる。投入工程では、投入口6aを通じて可撓性面材付き樹脂発泡体Aが上段の羽根型面材分離ユニット7の第1の羽根回転体11と第2の羽根回転体12との間に投入される。
【0052】
次に、第1の回転軸13及び第2の回転軸17の回転による第1の押圧面Q1及び第2の押圧面Q2の協働で投入された可撓性面材付き樹脂発泡体Aを処理方向Fへと引き込む引き込み工程が行われる。また、可撓性面材付き樹脂発泡体Aは吸引装置4により処理方向Fへと吸引される。具体的には、吸引装置4は、ホッパー6内のものを処理方向Fへと吸引する気流を作り出している。
【0053】
引き込み工程の後、第1の押圧面Q1及び第2の押圧面Q2の加える押圧力によって可撓性面材付き樹脂発泡体Aを折り曲げ変形し、内部の樹脂発泡体Cを破砕することで可撓性面材Bと樹脂発泡体Cとに分離する分離工程が行われる。この分離工程において、第1の押圧面Q1及び第2の押圧面Q2は、面接触の状態で押圧力を付与しており、表皮材である可撓性面材Bに対して過剰なせん断力は加えられない。更に、可撓性により可撓性面材Bは折り曲げ変形による影響を受けないため、可撓性面材Bに損傷が生じることなく分離が行われる。
【0054】
その後、第1の回転軸13及び第2の回転軸17の回転による第1の押圧面Q1及び第2の押圧面Q2の協働で、分離された可撓性面材B及び樹脂発泡体Cを処理方向Fへと送り出す送り出し工程が行われる。
【0055】
上段の羽根型面材分離ユニット7から送り出された可撓性面材B及び樹脂発泡体Cは、下段の羽根型面材分離ユニット7の第1の羽根回転体11と第2の羽根回転体12との間に入り込む。下段の羽根型面材分離ユニット7では、可撓性面材B及び樹脂発泡体Cを処理方向Fへと引き込む引き込み工程が行われる。その後、折り曲げ変形により樹脂発泡体Cを再び破砕する再破砕工程が行われる。この再破砕工程により、樹脂発泡体Cが所望の大きさまで破砕される。再破砕工程の後、可撓性面材B及び樹脂発泡体Cを処理方向Fへと送り出す送り出し工程が行われる。
【0056】
送り出し工程で処理方向Fへ送り出された可撓性面材B及び樹脂発泡体Cは、ホッパー6の排出口6bから排出され、分離材集積部3の集積室3aに設けられた受け容器3bに集積される。吸引装置4は、可撓性面材B及び樹脂発泡体Cを受け容器3bの底部に向けて吸引する気流を作り出している。
【0057】
その後、受け容器3bに集積された可撓性面材B及び樹脂発泡体Cを篩装置5に投入する。篩装置5では、可撓性面材B及び樹脂発泡体Cを分別する分別工程が行われる。以上の工程を経ることで、可撓性面材付き樹脂発泡体Aが可撓性面材B及び樹脂発泡体Cに分離分別される。
【0058】
以上説明した第1の実施形態に係る面材分離システム1の面材分離装置2によれば、第1の回転軸13及び第2の回転軸17は、第1の押圧部P1と第2の押圧部P2とが非接触な状態で可撓性面材付き樹脂発泡体Aを所定の処理方向Fに引き込むように回転する。この際、第1の押圧部P1の第1の押圧面Q1と第2の押圧部P2の第2の押圧面Q2とは接触しないが、互いに協働して可撓性面材付き樹脂発泡体Aを折り曲げ変形させる。ここで、第1の押圧面Q1は第1の回転軸13の軸方向に沿って延在し、第2の押圧面Q2は第2の回転軸17の軸方向に沿って延在するので、第1の押圧面と第2の押圧面とは互いに交差するのではなく、むしろ重なり合うように移動して可撓性面材付き樹脂発泡体Aを折り曲げる。従って、この面材分離装置2によれば、面接触による折り曲げのための押圧力を主体的に付与して可撓性面材付き樹脂発泡体A内部の樹脂発泡体Cを破砕するので、従来の2軸式破砕機とは異なり、可撓性面材Bに過剰なせん断力が加わることを避けることができる。
【0059】
しかも、回転駆動される2つの回転軸13,17の間に可撓性面材付き樹脂発泡体Aを通すだけで可撓性面材Bと樹脂発泡体Cとの分離を実現できるので、従来の回転ボールミルなどの装置と比べて、可撓性面材付き樹脂発泡体Aに加える力を制御しやすい。このため、樹脂発泡体Cを破砕しつつ可撓性面材Bに損傷を与えないように力を制御することが容易である。従って、この面材分離装置2によれば、可撓性面材Bに損傷を与えないように可撓性面材付き樹脂発泡体Aから樹脂発泡体Cを分離することで、可撓性面材Bの小片や繊維などが樹脂発泡体Cに混入することを避けることができるので、高純度の樹脂発泡体Cを回収することができる。
【0060】
更に詳細には、以下の様に説明することができる。すなわち、可撓性面材付き樹脂発泡体Aが面材分離装置2に投入されると、第1の押圧面Q1もしくは第2の押圧面Q2によって、可撓性面材付き樹脂発泡体Aが上流側に跳ね上げられるか、もしくは回転駆動される2つの回転軸13,17の間に可撓性面材付き樹脂発泡体Aが通過することとなる。第1の押圧面Q1もしくは第2の押圧面Q2を含む、第1の押圧面Q1及び第2の押圧面Q2の上流側の空間に、(長時間の滞留はしないものの、)可撓性面材付き樹脂発泡体Aが存在する時には、回転する第1の押圧面Q1及び第2の押圧面Q1による、可撓性面材付き樹脂発泡体Aへの衝撃力によって、樹脂発泡体Cの一部を粉砕(樹脂発泡体Cの衝撃粉砕、及び可撓性面材Bと樹脂発泡体Cとの界面破壊)し、その一部を可撓性面材Bから剥離させる。次に、可撓性面材付き樹脂発泡体A内部の樹脂発泡体Cを破砕することで可撓性面材Bと樹脂発泡体Cとを分離させる主な工程として、回転駆動される2つの回転軸13,17の間に可撓性面材付き樹脂発泡体A(もしくは既に押圧面Q1,Q2の衝撃力によって面材剥離された樹脂発泡体C)が通過する際に、第1の押圧面Q1及び第2の押圧面Q2が協動で可撓性面材付き樹脂発泡体Aを折り曲げ変形し、この折り曲げ力によって可撓性面材付き樹脂発泡体A内部の樹脂発泡体Cを破砕(樹脂発泡体Cの衝撃粉砕、及び可撓性面材と樹脂発泡体Cとの界面破壊)されるが、可撓性面材付き樹脂発泡体Aの場合には、同時に可撓性面材Bと樹脂発泡体Cとを分離させることができる。更に、第1の押圧面Q1と第2の回転軸17との隙間、もしくは、第2の押圧面Q2と第1の回転軸13との隙間が、可撓性面材付き樹脂発泡体Aの寸法(厚み)以下となるところで、樹脂発泡体Cに圧縮力が加わり、可撓性面材付き樹脂発泡体A内部の樹脂発泡体Cのみを圧壊することで、粉砕し、面材を殆ど傷つけることなく、可撓性面材Bと樹脂発泡体Cの粉砕・分離効率を高めることもできる。
【0061】
また、この面材分離装置2では、回転軸13,17の回転速度をコントロールすることで、第1の押圧部P1及び第1の押圧部P2が可撓性面材付き樹脂発泡体Aに衝突する際の衝撃力を調整することができる。この衝撃力により可撓性面材付き樹脂発泡体A内部の樹脂発泡体Cの構造を破壊することで、可撓性面材付き樹脂発泡体Aを折り曲げ変形で分離しやすい状態にできる。また、この面材分離装置2では、第1の押圧部P1と第1の押圧部P2との最小隙間を可撓性面材付き樹脂発泡体Aの厚さtより小さくすることで、折り曲げ変形と同時に圧縮変形を加えることができる。このような構成は、樹脂発泡体Cの破砕効率すなわち分離効率の向上に有利である。
【0062】
また、この面材分離装置2では、第1の回転軸の延在方向において、第1の押圧部P1及び第2の押圧部P2の幅Vよりホッパー6の投入口6aの幅Tが狭いので、投入口6aに投入された可撓性面材付き樹脂発泡体Aが第1の押圧部P1及び第2の押圧部P2から外れた場所に落ちることを防ぐことができる。従って、この面材分離装置2によれば、可撓性面材付き樹脂発泡体Aが第1の押圧部P1及び第2の押圧部P2によって2つの回転軸13,17の間に引き込まれずにホッパー6内に滞留することを避けることができる。このことは、面材分離装置2の樹脂の高純度化に寄与する。
【0063】
更に、この面材分離装置2では、第1の回転軸13の径方向に突出して設けられた第1の羽根板16を用いて第1の押圧部P1が構成され、第2の回転軸17の径方向に突出して設けられた第2の羽根板20を用いて第2の押圧部P2が構成されている。このため、この面材分離装置2においては、各回転軸13,17から第1及び第2の押圧部P1,P2の先端までの距離が長くなるので、回転により第1及び第2の押圧部P1,P2が可撓性面材付き樹脂発泡体Aを巻き込んで回転軸13,17の間に引き込むことのできる範囲を拡大することができる。このような構成は、比較的大きめの可撓性面材付き樹脂発泡体Aの分離を行う場合に有効である。
【0064】
また、この面材分離装置2では、丸棒形状の第1のロッド部15,19の表面の曲面を含めて第1の押圧面Q1及び第2の押圧面Q2が構成されている。これにより、第1の押圧面Q1及び第2の押圧面Q2と可撓性面材Bとの間に生じる摩擦を低減させることができるので、可撓性面材Bに損傷が生じる可能性を少なくすることができる。このことは分離回収される樹脂発泡体Cの高純度化に寄与する。
【0065】
また、この面材分離装置2では、吸引装置4によってホッパー6内の可撓性面材付き樹脂発泡体Aを処理方向Fへと吸引することができるので、可撓性面材付き樹脂発泡体Aがホッパー6内で滞留することを避けることができる。更に、分離した可撓性面材B及び樹脂発泡体Cが処理方向Fに吸引されて第1の回転軸13及び第2の回転軸17の間から取り除かれるので、分離効率の向上を図ることができる。このように、空気流を利用して、排出口6bより吸引することで、効率的に集塵や輸送を兼ねることができる。
【0066】
また、面材分離装置2に投入する前に予め可撓性面材付き樹脂発泡体Aの容量を減少させる減容処理を行うことで、樹脂発泡体Cの構造が破壊され破砕しやすい状態になり効率良く可撓性面材Bを分離することができる。また、減容処理により可撓性面材付き樹脂発泡体Aの容量が減少するので、分離前の可撓性面材付き樹脂発泡体Aの集積に関して省スペース化を図ることができる。
【0067】
また、この面材分離装置2では、羽根型面材分離ユニット7をホッパー6に対して脱着自在なユニットとして構成することで、第2の実施形態で述べるように、状況に応じて種々の機能を有する他のユニットと交換することが可能になる。このことは、面材分離装置2の汎用性の向上に寄与する。また、羽根型面材分離ユニット7がホッパー6と一体に構成されている場合と比べてメンテナンスが容易である。
【0068】
第1の実施形態に係る面材分離システム1によれば、上述の面材分離装置2により、可撓性面材Bに穴が開く等の損傷を与えることなく可撓性面材Bと樹脂発泡体Cとを分離できるので、分離時に可撓性面材Bの小片や繊維などがほとんど生じることなく、高純度の樹脂発泡体Cを容易に分別して回収することができる。
【0069】
[第2の実施形態]
図5及び図6に示されるように、第2の実施形態に係る面材分離システムの面材分離装置30は、第1の実施形態と比べて、上下2段の羽根型面材分離ユニット7のうち下段の羽根型面材分離ユニット7に代えて突起型面材分離ユニット31を備えている点のみが相違している。
【0070】
突起型面材分離ユニット31は、可撓性面材付き樹脂発泡体Aの分離を行うユニットである。突起型面材分離ユニット31は、ホッパー6に対して脱着自在に取り付けられる。突起型面材分離ユニット31は、壁部32、第1の突起型回転体33、及び第2の突起型回転体34を有している。壁部32は、並列に配置された第1の突起型回転体33及び第2の突起型回転体34の側方を囲うように設けられている。壁部32は、ホッパー6のフランジ部6cに対応するフランジ部32aを上下に有している。壁部32は、フランジ部32a及びフランジ部6cがボルト等で連結されることで、ホッパー6に固定されている。また、上段の羽根型面材分離ユニット7と下段の突起型面材分離ユニット31とは、フランジ部10a及びフランジ部32aがボルト等で連結されることで固定されている。
【0071】
壁部32は、軸受け部32bを介して第1の突起型回転体33及び第2の突起型回転体34を支えている。具体的には、壁部32は、第1の突起型回転体33における第1の回転軸35と第2の突起型回転体34における第2の回転軸37とを回転自在に支持している。
【0072】
第1の突起型回転体33は、第1の回転軸35、第1のロール体36、及び第1の押圧部P3を有している。第1の回転軸35は、モーター8の駆動によって矢印Mの方向に回転する。第1の回転軸35とモーター8とは、連結部9を介して接続されている。連結部9は、突起型面材分離ユニット31を取り外す際に、第1の回転軸35及びモーター8を連結状態から切り離し状態に切り替える。この第1の回転軸35は、特許請求の範囲に記載の第1の回転軸に対応する。第1のロール体36は、第1の回転軸35を中心軸として設けられた円柱形状の部材である。第1のロール体36は、第1の回転軸35と一体的に回転する。
【0073】
第1の押圧部P3は、第1の回転軸35の軸方向に沿って延在する丸棒形状の部材である。具体的には、第1の押圧部P3は、第1のロール体36の外周に固定された丸棒と、丸棒と第1のロール体36の外周面との隙間に破砕した樹脂発泡体C等が入り込むことを防ぐために丸棒の両脇に設けられた板材と、から構成されている。第1の押圧部P3の表面である第1の押圧面Q3は、丸棒及び板材の表面に相当する。第1の押圧面Q3は、滑らかな山状の曲面を形成している。なお、第1の押圧部P3は、上記構成に限定されるものではなく、第1の回転軸35の軸方向に沿って延在する丸棒形状の部材であれば良い。この丸棒形状は、断面が円形のものに限られず、例えば断面が山形状のものも含まれる。第1の押圧部P3は、第1の回転軸35の軸方向における幅Vがホッパー6の投入口6aの幅Tより広く構成されている。
【0074】
第1の押圧部P3は、第1のロール体36の周方向において等間隔で12個設けられている。第1の押圧部P3は、第1の回転軸35の回転と共に矢印M方向に回転する。第1の押圧部P3の第1の押圧面Q3は、第1の回転軸35の回転に伴い、第1の突起型回転体33及び第2の突起型回転体34の間に投入された可撓性面材付き樹脂発泡体Aに衝突して押圧力(衝撃力)を加える (図7参照)。第1の押圧面Q3は、第1の回転軸35の軸方向に沿って延在する。第1の押圧面Q3は、摩擦係数の低い滑らかな面である。第1の押圧部P3及び第1の押圧面Q3は、特許請求の範囲に記載の第1の押圧部及び第1の押圧面にそれぞれ対応する。また、第1の押圧部P3は、特許請求の範囲に記載の第1の棒状部材に対応する。
【0075】
第1の突起型回転体33と第2の突起型回転体34とは、同じ構造を有している。第1の突起型回転体33と第2の突起型回転体34とは噛み合っておらず、非接触の状態を維持しながら連動する。第2の突起型回転体34は、第2の回転軸37、第2のロール体38、及び第2の押圧部P4を有している。第2の回転軸37は、モーター8の駆動によって矢印Nの方向に回転する。第2の回転軸37及び第1の回転軸35は、間に投入された可撓性面材付き樹脂発泡体Aを所定の処理方向Fに引き込むように回転する。第2の回転軸37及びモーター8も連結部9を介して接続されている。第2の回転軸37は、特許請求の範囲に記載の第2の回転軸に対応する。第2のロール体38は、第2の回転軸37を中心軸として設けられた円柱形状の部材である。第2のロール体38は、第2の回転軸37と一体的に回転する。
【0076】
第2の押圧部P4は、第2の回転軸37の軸方向に沿って延在する丸棒形状の部材である。第2の押圧部P4は、第1の押圧部P3と同じ構造を有している。第2の押圧部P4は、第2のロール体38の周方向において等間隔で12個設けられている。第2の押圧部P4は、第2の回転軸37の回転と共に矢印N方向に回転する。第2の押圧部P4の表面である第2の押圧面Q4は、第2の回転軸35の回転に伴い、第1の突起型回転体33及び第2の突起型回転体34の間に投入された可撓性面材付き樹脂発泡体Aに衝突して押圧力(衝撃力)を加える (図7参照)。第2の押圧面Q4は、第2の回転軸37の軸方向に沿って延在する。第2の押圧面Q4は、摩擦係数の低い滑らかな面である。第2の押圧部P4及び第2の押圧面Q4は、特許請求の範囲に記載の第2の押圧部及び第2の押圧面にそれぞれ対応する。また、第2の押圧部P4は、特許請求の範囲に記載の第2の棒状部材に対応する。
【0077】
また、突起型面材分離ユニット31は、第1の突起型回転体33における第1の回転軸35と第2の突起型回転体34における第2の回転軸37との中心距離Gを調節可能に構成されている。この中心距離Gは、第1の突起型回転体33の回転半径G1、第2の突起型回転体34の回転半径G2、及び可撓性面材付き樹脂発泡体Aの厚さtを考慮して設定される。具体的には、下記の式(2)の関係を満たすように設定される。
【数2】

【0078】
次に、突起型面材分離ユニット31を用いた分離方法について説明する。図7に示されるように、突起型面材分離ユニット31では、まず第1の回転軸35及び第2の回転軸37の回転による第1の押圧面Q3及び第2の押圧面Q4の協働で可撓性面材付き樹脂発泡体Aを処理方向Fへと引き込む引き込み工程が行われる。その後、第1の押圧面Q3及び第2の押圧面Q4の加える押圧力によって可撓性面材付き樹脂発泡体Aを折り曲げ変形し、内部の樹脂発泡体Cを破砕することで可撓性面材Bと樹脂発泡体Cとに分離する分離工程が行われる。この分離工程において、第1の押圧面Q3及び第2の押圧面Q4は、面接触の状態で押圧力を付与しており、表皮材である可撓性面材Bに対して過剰なせん断力は加えられない。更に、可撓性により可撓性面材Bは折り曲げ変形による影響を受けないため、可撓性面材Bに損傷が生じることなく分離が行われる。その後、第1の回転軸35及び第2の回転軸37の回転による第1の押圧面Q3及び第2の押圧面Q4の協働で、分離された可撓性面材B及び樹脂発泡体Cを処理方向Fへと送り出す送り出し工程が行われる。
【0079】
以上説明した第2の実施形態に係る面材分離装置30によれば、第1の実施形態に係る面材分離装置2と同様の効果を奏することができる。更に、突起型面材分離ユニット31では、第1及び第2の押圧部P3,P4が棒状部材から形成されることで、ロール体36,38の外周に比較的短い間隔で押圧部P3,P4を形成できるので、可撓性面材付き樹脂発泡体Aや分離後の樹脂発泡体Cに対して第1及び第2の押圧部P3,P4を短い間隔で押しつけて複数の折り曲げ変形を加えることが可能となり、効率的に樹脂発泡体Cを破砕することができる。このような構成は、樹脂発泡体Cを細かく破砕する場合に有効である。
【0080】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0081】
例えば、面材分離装置2,30は、羽根型面材分離ユニット7や突起型面材分離ユニット31を1段のみ備える構成であっても良く、3段以上備えていても良い。また、各押圧部P1〜P4は、角部を十分にとってあれば、かまぼこ型、四角柱、三角柱等の異形のものであっても構わない。円筒形の場合、面材を切断しない寸法であり、局所的に折り曲げ力を与えるために直径5〜50mmであるのが好ましく、20〜30mmであるのがより好ましい。押圧部P1〜P4の数は効果的に折り曲げ力を与えるため、2〜24であるのが好ましく、4〜8であるのがより好ましい。回転数は高い方が好ましいが、面材を傷つけない衝撃力にするため、500〜2500rpmであるのが好ましく、800〜1500rpmであるのがより好ましい。各押圧部P1〜P4の材質は、回収した樹脂発泡体の目的や用途に応じて任意に選択できる。各押圧部P1〜P4の押圧面Q1〜Q4は、面材分離時に面材を極力損傷させないために、鋭利な部位がなく、角部が存在しないものであることが望ましい。
【0082】
また、第1の実施形態における第1のロッド支持板14,18の腕部の長さは、回転軸13,17毎に任意に設定できる。また、同一の回転軸であっても、複数の押圧部が存在する場合には、押圧部毎に、腕部の長さを任意に設定でき、構造上の問題がない範囲で必ずしも全て同じ長さである必要もない。
【0083】
また、ホッパー6の投入口6a側の構造も限定されないが、押圧部P1,P2により投入口6a側へ跳ね返される可撓性面材付き樹脂発泡体Aの存在を考慮して、可撓性面材付き樹脂発泡体Aが投入口6a側にある程度滞留できるような構造(例えば室のような構造)とすることが好ましい。また、必ずしもホッパーを装置の外枠として用いる必要はない。
【実施例】
【0084】
以下、本発明に係る面材分離装置及び面材分離方法について、実施例と比較例とを挙げて説明する。
【0085】
本発明において、分離とは、可撓性面材付き樹脂発泡体Aから、可撓性面材Bと樹脂発泡体Cに分けることを意味するが、可撓性面材付き樹脂発泡体Aは面材種にもよるが、一般的に、樹脂発泡体Cの樹脂が可撓性面材Bを構成する繊維間に入り込む、すなわち可撓性面材B中に部分的にしみ込んだ状態で樹脂が存在するので、樹脂発泡体Cの完全な回収は容易ではない。
【0086】
樹脂発泡体Cの回収率の定義は、可撓性面材Bにしみ込んだ樹脂分を考慮して行う。すなわち、樹脂発泡体Cの回収率は以下のように算出する。樹脂発泡体Cの回収率を測定する際には、四辺形状のものに限定して評価を行うこととし、樹脂発泡体Cの回収率は、以下のように定義した。可撓性面材付き樹脂発泡体Aの大きさは、樹脂発泡体Cと可撓性面材Bとが付着した状態で、可撓性面材Bの片側表面積が900mm2以上(表裏両方の表面積で1800mm以上)かつ短辺が30mm以上である四辺形状のものに限定し、予め、所定量の樹脂発泡体Cの小片について、面材比率を求めておく。すなわち、可撓性面材付き樹脂発泡体Aの面材分離装置処理品とは別に、可撓性面材付き樹脂発泡体Aの試料を準備して、所定量の可撓性面材付き樹脂発泡体Aの小片の重量をW1(g)、その樹脂発泡体Aからヘラ等で丁寧に分離した全ての可撓性面材Bの重量をW2(g)とすると、面材比率rは、下記の式(3)で表される。樹脂発泡体Cから分離した可撓性面材Bは、可撓性面材Bの内部に樹脂が浸透付着していても構わないものとする。
【数3】

【0087】
次に、可撓性面材付き樹脂発泡体Aの試料を面材分離装置にて所定条件で処理し、その排出品を目開き10mmの振動篩で篩分けを行った際の篩上量をW3(g)、篩下量をW4(g)とすると、その回収率R(重量%)は、下記の式(4)で表される。なお、W1はW3及びW4の和に等しい。
【数4】


と定義する。
【0088】
続いて、処理品の評価について説明する。可撓性面材Bの繊維混入状態については、その指標として処理後の可撓性面材Bに着目し、以下のような3段階の評価を行った。
◎;面材の毛羽立ちが目視では認められない。
○;若干の面材毛羽立ちは確認できるが、面材損傷は少ない。
×;面材の毛羽立ちが確認でき、面材損傷が大きい。
【0089】
可撓性面材付き樹脂発泡体Aの密度は、20cm角の可撓性面材付き樹脂発泡体Aから可撓性面材Bを取り除いて重量と見かけ容積を測定して求めた値であり、JIS K 7222に従い測定した。なお、可撓性面材付き樹脂発泡体Aの密度は、減容処理を行う場合でも減容前の値の小数点以下を四捨五入して整数値として示す。
【0090】
面材分離装置は、上述の羽根型面材分離ユニット7及び突起型面材分離ユニット31を複数段組み合わせたものを用いた。羽根型面材分離ユニット7としては、第1の回転軸13及び第2の回転軸の軸径が70mm、第1のロッド部15,19の径が30mmのものを用い、押圧部P1,P2と対抗する他方の回転軸13,16との最小隙間を20mmとした。突起型面材分離ユニット31としては、第1のロール体36及び第2のロール体38の軸径が140mm、第1の押圧部P3及び第2の押圧部P4を構成する丸棒の径が30mmのものを用い、押圧部P3,P4と対抗する他方の回転軸35,37との最小隙間を5mmとした。
【0091】
(実施例1)
ポリエステル不織布面材を使用している厚み40mm(910×1820mm)のフェノール樹脂発泡体(旭化成建材株式会社製、ネオマフォーム[登録商標]、密度27kg/m)を、ロール式圧縮機(上下ロール2段圧縮式)で厚さが10〜20mmになるように減容し、短辺が50〜100mm、長辺が90〜110mmとなるように矩形状に切出し、そのうち150gを装置内に投入した。実施例1では、羽根型面材分離ユニット7を4つ直列に配置した面材分離機を用いた。羽根型面材分離ユニット7の回転数は1000rpmとした。面材分離機により分離した後、目開き10mmの振動篩装置によってふるい分けした。
【0092】
(実施例2)
上流側から1、2段目にのみ羽根型面材分離ユニット7を2つ直列に配した以外は、実施例1と同様に行った。
【0093】
(実施例3)
上流側から1〜3段目に羽根型面材分離ユニット7(回転数はともに1000rpm)を3つ直列に配し、4段目に突起型面材分離ユニット31(回転数は1500rpm)を1つ配した以外は、実施例1と同様に行った。
【0094】
(実施例4)
上流側から1、3段目に羽根型面材分離ユニット7(回転数はともに1000rpm)を配し、上流側から2、4段目に突起型面材分離ユニット31(回転数はともに1500rpm)を配する以外は、実施例3と同様に行った。
【0095】
(実施例5)
上流側から1、3、5段目に羽根型面材分離ユニット7を配し(回転数はともに1000rpm)、上流側から2、4、6段目に突起型面材分離ユニット31を配した(回転数はともに1500rpm)以外は、実施例1と同様に行った。
【0096】
(比較例1)
上流側から1〜4段全ての羽根型面材分離ユニット7の第1の押圧部P1及び第2の押圧部P2の先端に直角の角部を設けた以外は実施例1と同様に行った。
【0097】
(比較例2)
上流側から1〜4段目に羽根型面材分離ユニット7を4つ直列に配し(回転数は全て1000rpm)、羽根型面材分離ユニット7の排出口側に分離後の可撓性面材B及び樹脂発泡体Cが一定寸法以下に破砕されなければ排出されないスクリーン(φ10mm穴)を設置する以外は実施例1と同様に行った。
【0098】
上記実施例1〜5及び比較例1,2で用いた装置の特徴及び回転条件を表1に示す。
【表1】

【0099】
上記実施例及び比較例で得られた、処理品の評価結果(樹脂発泡体Cの回収率、及び可撓性面材Bの繊維混入状態)を表2にまとめた。
【表2】

【0100】
表2に示したように、比較例1,2においては、可撓性面材Bが損傷し、樹脂発泡体Cに対する可撓性面材Bの混入が生じた。一方、本発明に係る実施例1〜5によれば、可撓性面材Bにほとんど損傷を与えることなく、可撓性面材Bと樹脂発泡体Cとの分離分別を行うことができる。実施例1〜5においては可撓性面材Bに穴開きも見られない。よって、本発明に係る実施例1〜5によれば、可撓性面材Bをほとんど混入させることなく、分離分別して高純度の樹脂発泡体Cを回収することができる。
【符号の説明】
【0101】
1…面材分離システム 2,30…面材分離装置 3…分離材集積部 4…吸引装置(吸引手段) 5…篩装置(分離装置) 6…ホッパー 6a…投入口 6b…排出口 7…羽根型面材分離ユニット 8…モーター 9…連結部 10…壁部 11…第1の羽根回転体 12…第2の羽根回転体 13…第1の回転軸 14…第1のロッド支持板 15…第1のロッド部 16…第1の羽根板(第1の板状部材) 17…第2の回転軸 18…第2のロッド支持板 19…第2のロッド部 20…第2の羽根板(第2の板状部材) 31…突起型面材分離ユニット 32…壁部 33…第1の突起型回転体 34…第2の突起型回転体 35…第1の回転軸 36…第1のロール体 37…第1の回転軸 38…第2のロール体 38…第2の回転軸 A…可撓性面材付き樹脂発泡体 B…可撓性面材 C…樹脂発泡体 F…処理方向(所定方向) P1…第1の押圧部 P2…第1の押圧部 P3…第1の押圧部(第1の棒状部材) P4…第2の押圧部(第2の棒状部材) Q1…第1の押圧面 Q2…第2の押圧面 Q3…第1の押圧面 Q4…第2の押圧面














【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性面材付き樹脂発泡体を可撓性面材と樹脂発泡体とに分離する面材分離装置であって、
略平行に配置された第1の回転軸及び第2の回転軸と、
前記第1の回転軸の周方向に複数設けられ、前記第1の回転軸の回転に伴って前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸の間に投入された前記可撓性面材付き樹脂発泡体に押圧力を加える第1の押圧面を有する第1の押圧部と、
前記第2の回転軸の周方向に複数設けられ、前記第2の回転軸の回転に伴って前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸の間に投入された前記可撓性面材付き樹脂発泡体に押圧力を加える第2の押圧面を有する第2の押圧部と、を備え、
前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸は、前記第1の押圧部と第2の押圧部とが非接触な状態で前記可撓性面材付き樹脂発泡体を所定方向に引き込むように回転し、
前記第1の押圧面は、前記第1の回転軸の軸方向に沿って延在し、
前記第2の押圧面は、前記第2の回転軸の軸方向に沿って延在し、
前記第1の押圧面及び前記第2の押圧面は、協働で前記可撓性面材付き樹脂発泡体を折り曲げ変形して、前記可撓性面材付き樹脂発泡体内部の前記樹脂発泡体を破砕することで、前記可撓性面材と前記樹脂発泡体とを分離させることを特徴とする面材分離装置。
【請求項2】
前記可撓性面材付き樹脂発泡体を前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸の間に投入するための投入口を有するホッパーを更に備え、
前記第1の回転軸の延在方向において、前記第1の押圧部及び前記第2の押圧部の幅より前記投入口の幅が狭いことを特徴とする請求項1に記載の面材分離装置。
【請求項3】
前記第1の押圧部は、前記第1の回転軸から径方向に突出して設けられた第1の板状部材を有し、
前記第2の押圧部は、前記第2の回転軸から径方向に突出して設けられた第2の板状部材を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の面材分離装置。
【請求項4】
前記第1の押圧部は、前記第1の回転軸の軸方向に沿って延在するように配置された第1の棒状部材を有し、
前記第2の押圧部は、前記第2の回転軸の軸方向に沿って延在するように配置された第2の棒状部材を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の面材分離装置。
【請求項5】
前記第1の押圧面及び前記第2の押圧面は、曲面を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の面材分離装置。
【請求項6】
前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸の間に投入された前記可撓性面材付き樹脂発泡体を前記所定方向に吸引する吸引手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の面材分離装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の面材分離装置と、
前記面材分離装置で分離された前記可撓性面材及び前記樹脂発泡体を分別する分別装置と、を備えることを特徴とする面材分離システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の面材分離装置を用いて、可撓性面材付き樹脂発泡体を可撓性面材と樹脂発泡体とに分離する面材分離方法であって、
前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸の回転による前記第1の押圧面及び前記第2の押圧面の協働で、前記可撓性面材付き樹脂発泡体を前記所定方向に引き込む引き込み工程と、
前記引き込み工程の後に、前記可撓性面材付き樹脂発泡体を折り曲げ変形し、前記可撓性面材付き樹脂発泡体内部の前記樹脂発泡体を破砕することで前記可撓性面材と前記樹脂発泡体とを分離させる分離工程と、
前記分離工程で分離した前記可撓性面材及び前記樹脂発泡体を前記所定方向に送り出す送り出し工程と、を含むことを特徴とする面材分離方法。
【請求項9】
前記分離工程において、回転する前記第1の押圧面又は前記第2の押圧面が前記可撓性面材付き樹脂発泡体に加える衝撃力によって、前記可撓性面材付き樹脂発泡体内部の前記樹脂発泡体を破砕することを特徴とする請求項8に記載の面材分離方法。
【請求項10】
前記分離工程において、前記第1の押圧面及び前記第2の回転軸の間又は前記第2の押圧面及び前記第1の回転軸の間で前記可撓性面材付き樹脂発泡体に圧縮力を加えることで、前記可撓性面材付き樹脂発泡体内部の前記樹脂発泡体を破砕することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の面材分離方法。
【請求項11】
前記引き込み工程で引き込まれた前記可撓性面材付き樹脂発泡体を前記所定方向に吸引することを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれか一項に記載の面材分離方法。
【請求項12】
前記引き込み工程の前に、前記可撓性面材付き樹脂発泡体を減容する減容工程を更に含むことを特徴とする請求項8〜請求項11のいずれか一項に記載の面材分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−35423(P2012−35423A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174779(P2010−174779)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【Fターム(参考)】