説明

面構成体及び建築物

【課題】 簡素な製造工程により構成でき、しかも高い強度を有する面構成体を得る。
【解決手段】 多数の長尺材1が並列配置され、隣接する長尺材1の対向する面に形成された溝17に、間隙を埋める接続材19が挿入されている。長尺材1の長手方向両端の裏側には、長尺材1の配列方向に延びる連結材3が締結されている。連結材3には、長尺材1の配列方向に沿った溝11が形成されている。溝11は、長尺材1の長手方向に沿った連結材3の端面に開口するように形成されている。長尺材1に近い方の溝11の側壁面に沿うように、雌ねじ部材13が配置されている。雌ねじ部材13には、各長尺材1に対応して、ねじ孔が形成されている。各長尺材1の表側から挿入されたボルト15が、雌ねじ部材13のねじ孔に螺合することにより、連結材3が各長尺材1に締結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の壁面等への利用に好適な面構成体、及び当該面構成体を用いた建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、山林の保守が適切に行われていないことが、土砂崩れなどの災害の原因の一つであることが改めて認識されるようになっている。そのため、山林の間伐を行う必要性が強く認識されているが、大量の間伐材を経済的に成り立つように利用するシステムがないため、間伐を行う人件費を賄うことができず、その結果間伐が十分に行われていない山林が増え、間伐されてもそのまま放置されていることが多いという現実があり、間伐材の有効利用分野の開拓が要請されている。
【0003】
そこで、間伐材を使用して建築用パネルを構成することが考えられている。すなわち、複数の間伐材の外周面に長手方向に沿って板状の接続材を嵌め込む溝を直径方向に一対設け、間伐材の溝に接続材を嵌め込むとともに接着剤や釘や木ねじにて固定し、次いでその接続材に次の間伐材の溝を嵌め込むとともにこの次の間伐材から接続材を貫通して先の間伐材まで達する釘や木ねじにて固定するという構成を繰り返すことで、複数の間伐材が並列配置されるとともに接続材にて相互に接続してなる建築用パネルが提案されている。さらに、この建築用パネルの間伐材配列方向の強度を確保するため、両端に雄ねじを形成した鉄筋やボルトを各間伐材を貫通させて配設し、両端の雄ねじにナットを螺合して両端間を締結固定したものが提案されている(以上、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、この従来技術は、間伐材と接続材を接着剤や釘や木ねじにて固定し、さらに次の間伐材から接続材を貫通して先の間伐材まで達する釘や木ねじにて固定する接続作業に手間を要するという問題点があった。しかも、そのように接続しても間伐材の配列方向にパネルとしての強度を確保するのは困難であるという問題があった。またパネルを横断する方向に貫通する鉄筋やボルトにて締結する構成では、パネルの製造工数とコストがさらに大きくなってしまうという問題があった。また、木材は年月と共に乾燥が進行することにより、収縮する性質がある。そのために、永年月の間には、間伐材と接続材との間に間隙が生じ、その結果、パネルの気密性が保たれなくなる恐れがある、という問題点があった。すなわち、耐久性上の問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−40068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、簡素な製造工程により構成でき、しかも高い強度を有する面構成体、及び当該面構成体を用いた建築物を提供することを目的とする。本発明はさらに、耐久性に優れる面構成体、及び当該面構成体を用いた建築物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、面構成体であって、複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された第1溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されることにより、面を構成している。当該面構成体は、前記複数の長尺材の配列方向に延びる2本の連結材が、前記複数の長尺材の長手方向両端部の裏側にそれぞれ配置されている。また、前記配列方向に延び、前記複数の長尺材に対応する雌ねじを有する雌ねじ部材が、前記2本の連結材の各々の裏側からある深さの部位に配置されている。さらに、前記複数の長尺材の各々の長手方向両端部の表側から、締結ねじが挿通されており、当該締結ねじが、前記雌ねじ部材の前記雌ねじに螺合することにより、前記2本の連結材が前記複数の長尺材に締結されている。さらに、前記雌ねじ部材は、2以上の長尺材に跨って連続している。
【0008】
この構成によれば、複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された第1溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されているために、建築物の壁面等にも適する間隙のない面構成体が形成される。また、各長尺材と配列方向に延びる連結材とが、締結ねじにより締結されているので、並列配置された長尺材が簡単な作業工程により互いに固定される。各長尺材と連結材とは、締結ねじの頭部と、連結材の裏側からある深さの位置に配置された雌ねじ部材とによって締め付けられることにより、互いに固定されている。すなわち、締め付けられる部分の厚さが、長尺材の表側から連結材の裏側までの厚さに比して削減されている。このため、長尺材及び連結材に木材を使用した場合であっても、乾燥による経年的な収縮の影響が小さく、締め付けの緩みが抑制される。
【0009】
なお、「表側」、「裏側」とは、面構成体の表裏のうち、連結材が取り付けられた側を「裏側」と称し、その反対側を「表側」と称するものである。「表側」とは、建築物等への適用において外側あるいは表側となる側に限定する趣旨ではない。このことは、以下の全ての態様に係る面構成体においても同様である。
【0010】
上記の構成によれば、さらに、締結ねじが螺合するナットとして機能する雌ねじ部材が長尺であり、長尺材の配列方向に伸びるように配置され、複数の長尺材に対応する雌ねじが形成されているので、各長尺材と連結材とを締結ねじにより締結する作業が容易である。すなわち、面構成体の表側と裏側とに作業者を配置して、締結ねじに個別に対応するナットの回転を制止しつつ、締結ねじを締結方向に回すという、二人掛かりの作業を要しない。また、経年的な締め付け力の緩みがあった場合においても、締結ねじを回すだけで締め直しすることが可能である。さらに、締結ねじに個別に対応するナットを連結材に埋め込むことにより、ナットの回転を制止する場合に比べて構造が簡単であり、製造工程が簡素となる。しかも個別のナットを所定位置に精度良く埋め込む作業の困難さに比べ、簡単な工程で長尺の雌ねじ部材の所定位置に精度良く雌ねじを形成することが可能である。
【0011】
上記の構成によれば、さらに、長尺の雌ねじ部材により、連結材が広い範囲にわたって押圧力を受けるので、押圧力が締結ねじの周囲に過度に集中せず分散する。加えて、連結材に雌ねじ部材が沿うことになるので、連結材の補強にも寄与する。このため、連結材が木材である場合においても、連結材と各長尺材とが堅固に締結される。以上の通り、本構成によれば、簡素な製造工程で強度の高い面構成体が得られる。
【0012】
長尺材は間伐材に限定されない。また、当該面構成体を建築物の壁面に適用する場合には、連結材は、例えば建築物の柱あるいは横行材を構成する部材として利用することができる。横行材は、例えば梁、あるいは基礎の上に配置された土台である。これらの事項は、以下の全ての態様に係る面構成体においても同様である。
【0013】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係る面構成体であって、前記複数の長尺材の各々の長手方向両端からある長さに渡り、裏側からある深さを有する第1切欠が形成されている。さらに、前記配列方向に延びる前記2本の連結材が、前記複数の長尺材の長手方向両端部の前記第1切欠に、それぞれ配置されている。
【0014】
この構成によれば、各長尺材に形成された切欠に連結材が配置されているので、各長尺材と連結材と間の角度の変位が効果的に抑制される。すなわち、変形が効果的に抑制され、耐震性にも優れる高強度の面構成体が得られる。
【0015】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1又は第2の態様に係る面構成体であって、前記締結ねじの頭部が、前記複数の長尺材の各々の長手方向両端部の表側からある深さに位置しているものである。
【0016】
この構成によれば、締め付けられる部分の厚さが、長尺材の表面から連結材の表面までの厚さに比して、さらに削減されている。このため、長尺材及び連結材に木材を使用した場合であっても、乾燥による経年的な収縮の影響がさらに小さく、締め付けの緩みがさらに抑制される。
【0017】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1ないし第3の何れかの態様に係る面構成体であって、前記2本の連結材のうち少なくとも1本の連結材には、前記配列方向に沿った第2溝が形成されており、当該第2溝に前記雌ねじ部材が配置されているものである。
【0018】
この構成によれば、少なくとも1本の連結材について、配列方向に沿った溝が形成されており、この溝に雌ねじ部材を挿入することにより、雌ねじ部材を連結材の裏側の表面よりも締結ねじ頭部に近い、ある深さに設置することが可能となっている。すなわち、雌ねじ部材を適切な位置に、容易に設置することが可能である。
【0019】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第4の態様に係る面構成体であって、前記少なくとも1本の連結材の前記第2溝は、前記長尺材長手方向に沿った前記連結材の端面に開口しているものである。
【0020】
この構成によれば、例えば面構成体を建築物の壁面に使用した場合に、長尺材長手方向に沿った連結材の端面に開口する溝が外部の構造材により覆われるので、当該溝への雨風の侵入を防止することができる。
【0021】
本発明のうち第6の態様に係るものは、第5の態様に係る面構成体であって、前記少なくとも1本の連結材の前記第2溝に配置される雌ねじ部材は、当該第2溝の開口部から外方へ延在しており、当該延在する部分にも、雌ねじが形成されているものである。
【0022】
この構成によれば、当該面構成体と、同様に構成される別の面構成体とを、雌ねじ部材を共有することにより互いに締結することができる。それにより、面構成体同士の堅固な接続が、簡単な工程で実現する。例えば、建築物の1階の壁面と2階の壁面との間を、簡単な工程で堅固に接続することが可能となる。
【0023】
本発明のうち第7の態様に係るものは、第6の態様に係る面構成体であって、当該面構成体を第1の面構成体として第2の面構成体をさらに備えている。当該第2の面構成体は、第5の態様に係る面構成体である。前記第1及び第2の面構成体は、各々の前記第2溝の前記開口部が向き合うように、互いに接し合って配置され、かつ前記第1の面構成体の前記雌ねじ部材のうちの前記延在する部分を、前記第2の面構成体の前記雌ねじ部材とすることにより、互いに締結されている。
【0024】
この構成によれば、第6の態様に係る面構成体である第1の面構成体と、第5の態様に係る面構成体である第2の面構成体とが、第1の面構成体の雌ねじ部材の延在する部分を、第2の面構成体の雌ねじ部材とすることにより、互いに締結されている。すなわち、第1及び第2の面構成体が、雌ねじ部材を共有することにより互いに締結されている。面構成体同士の堅固な接続が、簡単な工程で実現され、それにより複合面構成体が形成されている。当該複合面構成体は、例えば、建築物の1階の壁面と2階の壁面として、利用することができる。
【0025】
本発明のうち第8の態様に係るものは、第4の態様に係る面構成体であって、前記少なくとも1本の連結材の前記第2溝は、前記長尺材の長手方向中央部を向く前記連結材の端面に開口している。前記少なくとも1本の連結材には、前記配列方向に沿い、裏側に開口する第3溝が、前記第2溝と連通しないように形成されており、前記長尺材の前記長手方向に沿った前記少なくとも1本の連結材の端面から前記第3溝に達する締結ねじ挿通用の複数の穴が、前記配列方向に間隔をおいて形成されている。
【0026】
この構成によれば、当該面構成体は、第3溝を有する連結材を別の面構成体との間で共有し、第3溝に別の雌ねじ部材を配置し、第3溝を別の面構成体の第2溝として使用し、別の面構成体を別の雌ねじ部材に締結ねじにより締結することにより、別の面構成体と接続することができる。しかも、面構成体同士の堅固な接続が、簡単な工程で実現する。例えば、建築物の同一階の交差する壁面同士を、簡単な工程で堅固に接続することが可能となる。
【0027】
本発明のうち第9の態様に係るものは、第8の態様に係る面構成体であって、当該面構成体を第1の面構成体として、第2の面構成体をさらに備えている。当該第2の面構成体は、第8の態様に係る面構成体である。前記第1及び第2の面構成体は、前記第1の面構成体の前記第3溝を有する連結材を、同時に前記第2の面構成体の連結材とするように、互いに共有し、かつ前記第1の面構成体の前記第3溝を前記第2の面構成体の前記第2溝とすることにより、互いに締結されている。
【0028】
この構成によれば、第8の態様に係る面構成体である第1の面構成体と、同じく第8の態様に係る面構成体である第2の面構成体とが、一方の第3溝が他方の第2溝となるように連結材を共有することにより、互いに締結されている。すなわち、面構成体同士の堅固な接続が、簡単な工程で実現され、それにより複合面構成体が形成されている。当該複合面構成体は、例えば、建築物の同一階の交差する壁面として、利用することができる。
【0029】
本発明のうち第10の態様に係るものは、第1ないし第9の何れかの態様に係る面構成体であって、前記2本の連結材のうち少なくとも1本の連結材に配置された前記雌ねじ部材は、前記複数の長尺材の全てに跨って連続しているものである。
【0030】
この構成によれば、雌ねじ部材が複数の長尺材の全てに跨って連続しているので、雌ねじ部材の連結材への配置、及び配置された雌ねじ部材への雌ねじの形成がより容易となる。また、連結材の強度がさらに高められる。
【0031】
本発明のうち第11の態様に係るものは、第1ないし第10の何れかの態様に係る面構成体であって、前記複数の長尺材の各々の両端部の表側には、第2切欠又は第4溝が形成されており、それにより前記締結ねじの頭部が前記表側からある深さに位置しているものである。
【0032】
この構成によれば、長尺材の表側に切欠又は溝が形成され、それにより、締結ねじの頭部を表側から連結材に近い、ある深さに位置させることが可能となっている。すなわち、締結ねじを適切な位置に、容易に設置することが可能である。また、締結ねじの頭部を、カバー等を用いて覆うことにより、当該締結ねじの頭部を保護することも容易となる。
【0033】
本発明のうち第12の態様に係るものは、第1ないし第11の何れかの態様に係る面構成体であって、前記配列方向に沿った前記2本の連結材の両端面の少なくとも一方に配置され、前記2本の連結材の一方から他方まで延びる長尺の構造材を、さらに備えている。また、前記雌ねじ部材は、前記連結材から前記構造材へ延びた延長部分であって、前記構造材の裏側からある深さの部位に配置される延長部分を有しており、当該延長部分にも雌ねじが形成されている。前記構造材は、当該構造材の表側から挿通された別の締結ねじが前記雌ねじ部材の前記延長部分の前記雌ねじに螺合することにより、前記延長部分に締結されている。
【0034】
この構成によれば、締結ねじを用いて、雌ねじ部材の延長部分に構造材を締結することにより、構造材と2本の連結材とが固定される。すなわち簡単な構造及び工程により、構造材と2本の連結材とを固定することができる。面構成体を建築物の壁面に適用した場合には、構造材は、例えば建築物の土台、柱、あるいは梁を構成する部材として利用することができる。
【0035】
本発明のうち第13の態様に係るものは、第1ないし第12の何れかの態様に係る面構成体であって、前記締結ねじの頭部から前記雌ねじ部材に至る部材の境界面のうち、少なくとも1つの境界面に、第1弾性緩衝材が介挿されているものである。
【0036】
この構成によれば、締結ねじの締結力により第1緩衝材に圧縮力が加えられるので、締結ねじの締め付けの緩みが、第1緩衝材により抑制される。さらに、長尺材の長手方向及び配列方向に沿った面構成体の断面上の剪断応力及び圧縮応力が、第1弾性緩衝材により緩和される。そのため、本構成による面構成体を建築物の壁面などに使用することにより、建築物の免震性を向上させることができる。第1緩衝材が介挿される境界面として、例えば、長尺材の長手方向に沿った連結材と長尺材との間の境界面、及び雌ねじ部材と連結材との境界面が有り得る。
【0037】
本発明のうち第14の態様に係るものは、第2の態様に係る面構成体であって、前記2本の連結材のうち少なくとも1本の連結材と、前記複数の長尺材との間の境界面であって、前記長手方向に交差する境界面に、第2弾性緩衝材が介挿されているものである。
【0038】
この構成によれば、長尺材の長手方向に交差する面構成体の断面上の剪断応力及び圧縮応力が、第2弾性緩衝材により緩和される。そのため、本構成による面構成体を建築物の壁面などに使用することにより、建築物の免震性を向上させることができる。
【0039】
本発明のうち第15の態様に係るものは、第2又は第14の態様に係る面構成体であって、前記複数の長尺材の各々の両端部に形成された前記第1切欠は、前記第1溝の前記裏側に近い側壁面に達しているものである。
【0040】
この構成によれば、接続材の長手方向の両端部が長尺材と連結材によって挟圧固定されるので、各長尺材と連結材と間の角度の変位が、より効果的に抑制される。すなわち、変形がより効果的に抑制され、耐震性にも一層優れる高強度の面構成体が得られる。
【0041】
本発明のうち第16の態様に係るものは、第1ないし第14の何れかの態様に係る面構成体であって、前記各接続材は、両側端に接続される長尺材の第1溝の開口縁部に当接しつつ沿うように、表裏のうちの双方に突出する突出部を有するものである。
【0042】
この構成によれば、突出部が第1溝の開口部を覆うので、第1溝の中へ雨滴が侵入するのを抑制することができる。
【0043】
本発明のうち第17の態様に係るものは、第1ないし第14の何れかの態様に係る面構成体であって、前記各接続材は、両側端に接続される長尺材の第1溝の開口縁部に当接しつつ沿うように、表裏のうち少なくとも前記裏側に突出する突出部を有している。そして、当該裏側に突出した突出部は、両側端に接続される長尺材との間の間隙を埋めつつ、前記長手方向の両端部において、前記2本の連結材に達する位置まで延びている。
【0044】
この構成によれば、各長尺材とそれらの間の接続材と2本の連結材との間に隙間が形成されないので、当該隙間から風雨が侵入するのを抑制した面構成体が実現する。
【0045】
本発明のうち第18の態様に係るものは、第1ないし第16の何れかの態様に係る面構成体であって、各接続材が、両側端に接続される長尺材の第1溝の外部に露出する部分において、前記長手方向から見て屈曲ないし湾曲した伸縮部を有するものである。
【0046】
この構成によれば、各接続材が伸縮部により、長尺材の配列方向に伸縮可能となる。このため、長尺材に木材を使用した場合等において、長尺材が経年的に収縮することがあっても、接続材と長尺材との間に隙間が生じ、当該隙間を通じて風雨が漏れることを防ぐことができる。すなわち、耐久性を向上させた面構成体が実現する。
【0047】
本発明のうち第19の態様に係るものは、第1ないし第18の何れかの態様に係る面構成体であって、前記各接続材は、両側端に接続される長尺材の第1溝への挿入を可能にすると共に逆戻りを制止する戻り止めを有するものである。
【0048】
この構成によれば、接続材の両側端が長尺材の溝の中に挿入可能であり、挿入された後には溝から抜け難くなる。このため、長尺材に木材を使用した場合等において、長尺材が経年的に収縮することがあっても、接続材と長尺材との間に隙間が生じ、当該隙間を通じて風雨が漏れることを防ぐことができる。すなわち、耐久性を向上させた面構成体が実現する。
【0049】
本発明のうち第20の態様に係るものは、第1ないし第18の何れかの態様に係る面構成体であって、前記各接続材は、両側端に接続される長尺材の第1溝の側壁面に対向する当該接続材の表面に後退部を有し、前記第1溝の側壁面に接着剤又はシール剤が固着しており、当該接着剤又はシール剤が前記後退部に侵入しているものである。
【0050】
この構成によれば、第1溝の側壁面に固着された接着剤又はシール剤が後退部に侵入しているので、各接続材が長尺材の第1溝から抜け出るのを防ぐことができる。この構成は、例えば、後退部に接着剤又はシール剤を塗布した状態で、各接続材を長尺材の第1溝へ挿入し、接着剤又はシール剤を硬化させることにより、形成可能である。後退部は、接続部材を貫通する孔であっても良く、接続部材に形成された有底の穴であっても良く、接続部材に形成された溝であっても良い。
【0051】
本発明のうち第21の態様に係るものは、面構成体であって、複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されることにより、面を構成している。そして、前記各接続材は、両側端に接続される長尺材の溝の開口縁部に当接しつつ沿うように、表裏のうちの双方に突出する突出部を有している。
【0052】
この構成によれば、本発明の第16の態様に係る面構成体と同様の作用効果が得られる。
【0053】
本発明のうち第22の態様に係るものは、面構成体であって、複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されることにより、面を構成している。そして、前記複数の長尺材の配列方向に延びる2本の連結材が、前記複数の長尺材の長手方向両端部の裏側にそれぞれ締結されている。さらに、前記各接続材は、両側端に接続される長尺材の前記溝の開口縁部に当接しつつ沿うように、表裏のうち少なくとも裏側に突出する突出部を有している。当該裏側に突出した突出部は、両側端に接続される長尺材との間の間隙を埋めつつ、前記長手方向の両端部において、前記2本の連結材に達する位置まで延びている。
【0054】
この構成によれば、本発明の第17の態様に係る面構成体と同様の作用効果が得られる。
【0055】
本発明のうち第23の態様に係るものは、面構成体であって、複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されることにより、面を構成している。そして、各接続材が、両側端に接続される長尺材の溝の外部に露出する部分において、前記長手方向から見て屈曲ないし湾曲した伸縮部を有している。
【0056】
この構成によれば、本発明の18の態様に係る面構成体と同様の作用効果が得られる。
【0057】
本発明のうち第24の態様に係るものは、面構成体であって、複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されることにより、面を構成している。そして、各接続材は、両側端に接続される長尺材の溝への挿入を可能にすると共に逆戻りを制止する戻り止めを有している。
【0058】
この構成によれば、本発明の第19の態様に係る面構成体と同様の作用効果が得られる。
【0059】
本発明のうち第25の態様に係るものは、面構成体であって、複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されることにより、面を構成している。そして、前記各接続材は、両側端に接続される長尺材の第1溝の側壁面に対向する当該接続材の表面に後退部を有している。前記第1溝の側壁面には、接着剤又はシール剤が固着しており、当該接着剤又はシール剤が前記後退部に侵入している。
【0060】
この構成によれば、本発明の第20の態様に係る面構成体と同様の作用効果が得られる。
【0061】
本発明のうち第26の態様に係るものは、面構成体であって、複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されることにより、面を構成している。当該面構成体は、前記配列方向に延びる2本の金属製の連結材が、前記複数の長尺材の各々の長手方向両端部にそれぞれ配置されている。また、前記複数の長尺材の長手方向両端部の表側から、締結ねじが挿通されている。さらに、前記締結ねじが、前記2本の連結材に形成された雌ねじに螺合することにより、前記2本の連結材が前記複数の長尺材に締結されている。
【0062】
この構成によれば、複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されているために、建築物の壁面等にも適する間隙のない面構成体が形成される。また、各長尺材と配列方向に延びる連結材とが、締結ねじにより締結されているので、並列配置された長尺材が簡単な作業工程により互いに固定される。連結材は金属製であるので、長尺材同士が高い強度をもって連結される。さらに連結材自身が、締結ねじが螺合するナットとして機能するので、各長尺材と連結材とを締結ねじにより締結する作業が容易である。すなわち、面構成体の表側と裏側とに作業者を配置して、締結ねじに個別に対応するナットの回転を制止しつつ、締結ねじを締結方向に回すという、二人掛かりの作業を要しない。また、経年的な締め付け力の緩みがあった場合においても、締結ねじを回すだけで締め直しすることが可能である。さらに、締結ねじに個別に対応するナットを連結材に埋め込むことにより、ナットの回転を制止する場合に比べて構造が簡単であり、製造工程が簡素となる。しかも個別のナットを所定位置に精度良く埋め込む作業の困難さに比べ、簡単な工程で連結材の所定位置に精度良く雌ねじを形成することが可能である。以上の通り、本構成によれば、簡素な製造工程で強度の高い面構成体が得られる。
【0063】
本発明のうち第27の態様に係るものは、建築物であって、本発明の第1ないし第26の何れかの態様に係る面構成体が、壁、床及び屋根の少なくとも一つの少なくとも一部に使用されているものである。
【0064】
この構成によれば、本発明の各態様に係る面構成体の作用効果が建築物において発揮される。
【発明の効果】
【0065】
以上のように本発明によれば、簡素な製造工程により構成でき、しかも高い強度を有する面構成体、及び当該面構成体を用いた建築物が得られる。さらに、本発明によれば、耐久性に優れる面構成体、及び当該面構成体を用いた建築物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態1による面構成体の主要部の構成を例示する平面図である。
【図2】図1の面構成体について、その全体を代表して右端部付近の構成を例示する正面斜視図である。
【図3】図1の面構成体について、その部材を部分的に切除しつつ、全体を代表して右端部付近の構成を例示する背面斜視図である。
【図4】図1の面構成体について、上部を除去して一部構成を例示する正面斜視図である。
【図5】図1の面構成体の右下端部付近の構成を例示する右側面図である。
【図6】図1の面構成体と同様の構成を有する2枚の面構成体を互いに連結して成る複合面構成体の主要部について、その連結部付近の構成を例示する平面図である。
【図7】本発明の実施の形態2による面構成体について、その一部の構成を例示する側面断面図である。
【図8】図7の面構成体について、その全体を代表して右端部付近の構成を例示する正面斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態3による面構成体について、その一部構成を例示する右側面断面図である。
【図10】本発明の実施の形態4による面構成体について、その右端部付近の構成を例示する平面断面図である。
【図11】本発明の実施の形態5による面構成体について、その右下端部付近の構成を例示する右側面図である。
【図12】本発明の実施の形態6による面構成体の構成を例示する図であり、(a)は当該面構成体に適用される接続材の一例を示す斜視図であり、(b)は当該面構成体の一部構成を例示する側面断面図であり、(c)は当該面構成体に適用される接続材の別の一例を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態7による面構成体の構成を例示する図であり、(a)は当該面構成体に適用される接続材の一例を示す斜視図であり、(b)は当該面構成体の一部構成を例示する側面断面図であり、(c)は当該面構成体に適用される接続材の別の一例を示す断面図である。
【図14】図13の面構成体に適用される接続材のさらに別の一例を示す斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態8による面構成体の構成を例示する図であり、(a)は当該面構成体に適用される接続材の一例を示す斜視図であり、(b)は当該面構成体の一部構成を例示する側面断面図である。
【図16】本発明の実施の形態9による面構成体の構成を例示する図であり、(a)は当該面構成体に適用される接続材の一例を示す斜視図であり、(b)は当該面構成体の一部構成を例示する側面断面図である。
【図17】本発明の実施の形態10〜12による面構成体の各々の一部構成を例示する断面図である。
【図18】本発明の実施の形態13よる面構成体の構成を例示する図であり、(a)は当該面構成体に適用される接続材の一例を示す斜視図であり、(b)は当該面構成体の一部構成を例示する側面断面図である。
【図19】本発明の実施の形態14による面構成体について、その部材を部分的に切除しつつ、全体を代表して右端部付近の構成を例示する背面斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態15による面構成体と、当該面構成体と同様の構成を有する別の面構成体とを互いに連結して成る複合面構成体の主要部について、その連結部付近の構成を例示する上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下に実施の形態として例示する面構成体はいずれも、並列配置された多数の長尺材を有しており、建築物の壁、床、及び屋根への適用が可能である。以下の実施の形態においては、建築物の壁としての利用を想定し、かつ、面構成体が直立しており、水平方向に延在する長尺材が鉛直方向に並列配置された例を、主として取り上げる。しかし、例示される直立した面構成体はいずれも、水平方向と鉛直方向とを逆にして利用することも、床に適用した場合のように水平に配置して使用することも、屋根に適用した場合のように、斜面に沿って配置して使用することも可能であることは、当業者に容易に理解されるところである。
【0068】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による面構成体の主要部の構成を例示する平面図である。また図2は、同面構成体について、その全体を代表して右端部付近の構成を例示する正面斜視図である。さらに図3は、同面構成体について、その部材を部分的に切除しつつ、全体を代表して右端部付近の構成を例示する背面斜視図である。また図4は、同面構成体について、上部を除去して一部構成を例示する正面斜視図である。さらに図5は、同面構成体の右下端部付近の構成を例示する右側面図である。これらの図1〜図5を参照しつつ、当該実施の形態1による面構成体101について説明する。便宜上、図2に現れる面構成体101の手前側を「表側」と称し、図3に現れる面構成体101の手前側を「裏側」と称する。さらに、「上」、「下」、「左」及び「右」の語は、面構成体101を表側から見たときの方向又は位置を表すものとする。上記の「表側」は、面構成体101を建築物の外壁面に適用した場合には、表側すなわち外側とするのに適した側であるが、面構成体101の使用は、かかる形態に限定されるものではない。
【0069】
面構成体101は、主要な部材として、多数の長尺材1、多数の接続材19、2本の連結材3、多数のボルト15、及び雌ねじ部材13を有している。多数の長尺材1は、それらの長手方向が水平となるように配置され、かつ鉛直方向に並ぶように配置されている。これらの長尺材1は、一例として木製の角材である。長尺材1は、平坦面が互いに向き合うように、かつ間隔をもって並列配置されている。互いに隣接する長尺材1の互いに向き合う平坦面には、長手方向に沿って溝17が形成されている。溝17は、本発明の第1溝の一具体例に該当する。互いに向き合う溝17には、隣接する長尺材1の間の間隙を埋めるように、接続材19が挿入されている。
【0070】
接続材19は、本実施の形態では、互いに向き合う溝17に挿入される第1の板状部14と、第1の板状部14に直交するようにその中心から延びる第2の板状部16と、を有することにより、断面「T」字状を成す長尺の部材として形成されている(図4参照)。第2の板状部16は、互いに隣接する長尺材1に挟まれ、かつ長尺材1の裏側にまで延びている。第2の板状部16は、本発明の接続材が有する「突出部」の一具体例に該当する。長尺材1は、接続材19の第2の板状部16の厚さに相当する間隙18をもって、並列配置されている。接続材19は、一例として木製、プラスチック製或いは金属製である。
【0071】
配列する長尺材1の長手方向の両端部の裏側には、2本の連結材3が固定されている。図2及び図3には、代表として1本の連結材3のみが示されている。連結材3は、長尺材1の全てにわたるように長尺材1の配列方向に延びており、一例として木製の角材である。各連結材3には、長尺材1の配列方向に沿った溝11が形成されている。溝11は、本発明の第2溝の一具体例に該当する。溝11は、一例として、長尺材1の長手方向に沿った連結材3の端面に開口し、断面「コ」字状ないし「U」字状である。それにより、溝11の長尺材1に近い側の側壁面は、長尺材1の長手方向及び配列方向の双方に平行な面となっている。この側壁面に沿って、長尺の雌ねじ部材13が配置されている。雌ねじ部材13は、一例として金属製の帯板状であり、さらに一例として、配列する長尺材1の全てに跨るように連続している。雌ねじ部材13には、各長尺材1に対応する部位に雌ねじが形成されている。雌ねじ部材13は、長尺材1の表側から挿通されたボルト15と螺合することにより、配列する長尺材1に連結材3を締結する働きをなす。それにより、配列する長尺材1が、連結材3を通じて互いに固定される。
【0072】
配列する長尺材1の長手方向両端部には、表側に開口する溝5が、長尺材1の配列方向に沿うように形成されている。溝5は、一例として、全ての長尺材を横断するように形成されている。溝5は、一例として「コ」字状ないし逆台形状の断面形状を有し、それにより、長尺材1の長手方向及び配列方向の双方に平行な底面を有する。この底面は、溝5が溝17と干渉しないように、溝17よりも浅い位置に形成されている。この底面に、座金部材7が配置されている。座金部材7は、一例として金属製であり、かつ全ての長尺材1に跨るように長尺の帯板状である。座金部材7には、各長尺材1に対応して、ボルト15を挿通するための孔(図示略)が形成されている。ボルト15は、その頭部9が座金部材7の主面に当接し、座金部材7に設けられた孔を通り、さらに長尺材11及び連結材3に形成された挿通孔を通り、雌ねじ部材13に螺合する。
【0073】
面構成体101は、一例として、建築物の横行材である土台23及び梁30を含んでいる。土台23は、基礎(図示略)の上に横たわるように固定されたもので、一例として木製の長尺の角材である。梁30は一例として、土台23と同一の構造及び形状を有しており、面構成体101は全体として上下対称に形成されている。それゆえ、土台23及び梁30についての説明は、それらの一方についての説明により代表し、他方についての説明は略する。
【0074】
土台23には、長手方向両端面に開口する溝25が形成されている。図2、図3及び図5には、代表して右端面に開口する溝25のみを示している。溝25は溝11と同一形状に形成されており、あたかも溝11が延長されたかのように溝11と連続している。しかも、雌ねじ部材13は、溝25の側壁面にも沿うように、溝25にまで延長されている。雌ねじ部材13の延長された部分には、雌ねじが形成されており、雌ねじ部材13の当該延長部分は、土台23の表側から挿通されたボルト31と螺合することにより、雌ねじ部材13と土台23とを締結する働きをなす。それにより、連結材3が土台に固定される。土台23に関する以上の記述は、上下を逆にした梁30にも当てはまる。
【0075】
梁30の表側の面には、座金部材27が配置されている。座金部材27は、一例として金属製であり、かつ最上段の長尺材1の上面に開口するように形成された切欠21に、下端部分を挿入可能な板状である。座金部材27は、一例として、梁30の左端から右端まで連続する長尺材である。座金部材27は、梁30と最上段の長尺材1との間の隙間を無くし、それにより、面構成体101が建築物に適用された場合には、風雨の漏れを防ぐ働きをもなす。座金部材27の左右の端部には、ボルト31を挿通するための孔(図示略)が形成されている。ボルト31の頭部29は、座金部材27の主面に当接し、座金部材27に設けられた孔を通り、さらに梁30に形成された挿通孔を通り、雌ねじ部材13に螺合する。
【0076】
梁30には、さらに、長尺材1の配列方向に沿った梁30の端面、すなわち上端面に開口し、長手方向に沿った溝26が形成されている。溝26は、一例として溝11と同様に、断面「コ」字状ないし「U」字状である。それにより、表側に近い溝26の側壁面は、梁30の表側の面に平行な面となっている。この側壁面に沿って、長尺の雌ねじ部材24(図3参照)が配置されている。雌ねじ部材24は、一例として金属製の帯板状であり、さらに一例として、梁30の左右の端部を除いたほぼ全幅に跨るように連続している。雌ねじ部材24には、長手方向に沿って間隔をおいて雌ねじが形成されている。雌ねじ部材24は、梁30の表側に配置された座金部材27の表側から挿通されたボルト22と螺合することにより、座金部材27を梁30に締結する働きをなす。
【0077】
最上段の長尺材1の上面に形成された切欠21は、最上段の長尺材1の裏側の上端部付近において、座金部材27の厚みに略相当する深さをもって表側に後退するように形成された後退部に相当する。最上段の長尺材1がボルト15により連結材3に締結されることにより、座金部材27は長尺材1と連結材3とによって、堅固に挟持される。その結果、連結材3は座金部材27をも介して梁30に固定される。梁30に関する以上の記述は、上下を逆にした土台23にも当てはまる。
【0078】
このように、長尺材1及び連結材3は、簡単な構造で、かつ簡単な作業を通じて、土台23及び梁30にしっかりと固定することが可能となっている。連結材3は、一例として建築物の柱として機能する。面構成体101を、縦横を逆にして建築物の壁面として使用する場合には、連結材3は土台あるいは梁などの横行材として使用することができ、土台23及び梁30は、柱として使用することができる。
【0079】
面構成体101は以上のように構成されるので、以下のような利点を有する。各長尺材1と、その配列方向に延びる連結材3とが、ボルト15により締結されているので、並列配置された長尺材1が、簡単な作業工程により互いに固定される。雌ねじ部材13は、連結材3に形成された溝11の中に配置され、座金部材7は長尺材1に形成された溝5の中に配置されている。このため、ボルト15によって締め付けられる部分の厚さが、長尺材1と連結材3との双方の厚さに比して削減されている。その結果、長尺材1及び連結材3が木製である例においても、乾燥による経年的な収縮の影響が小さく、締め付けの緩みが抑制される。
【0080】
また、ボルト15の頭部9が、溝5の中に配置されているので、カバー部材等(図示略)により溝5を覆うことにより、ボルト頭部9を容易に隠すことができる。このことは、面構成体101の表側が建築物の外部側となるように、面構成体101を設置する場合に、特に有意義である。さらに、連結材3に形成された溝11は、長尺材1の長手方向に沿った連結材3の端面に開口しているので、当該面構成体101を建築物の壁面に使用した場合に、溝11が外部の構造材によって覆われる。このため溝11への雨風の侵入が回避される。このことは、土台23及び梁30に形成された溝26にも当てはまる。
【0081】
さらに、雌ねじ部材13が長尺であり、長尺材1の配列方向に伸びるように配置され、配列する長尺材1に対応するねじ孔が形成されているので、各長尺材1と連結材3とをボルト15により締結する作業が容易である。すなわち、面構成体101の表側と裏側とに作業者を配置して、ボルト15に個別に対応するナットの回転を制止しつつ、ボルト15を締結方向に回すという、二人掛かりの作業を要しない。また、経年的な締め付け力の緩みがあった場合においても、ボルト15を回すだけで締め直しすることが可能である。さらに、ボルト15に個別に対応するナットを、例えば連結材3に形成されたほぞ孔に埋め込むことにより、ナットの回転を制止する場合に比べて構造が簡単であり、製造工程が簡素となる。しかも個別のナットを所定位置に精度良く埋め込む作業の困難さに比べ、長尺材1及び連結材3に形成されるボルト15の挿通孔の位置に一致するように、長尺の雌ねじ部材13の所定位置に精度良くねじ孔を形成することは、容易になし得る。例えば、既に形成されているボルト15の挿通孔を通して、雌ねじ部材13にタップを立てることにより、雌ねじ部材13の所定位置に精度良くねじ孔を形成することができる。
【0082】
さらに、雌ねじ部材13が長尺であることから、連結材3が広い範囲にわたって押圧力を受けるので、押圧力がボルト15の周囲に過度に集中せず分散するという利点が得られる。加えて、連結材3に雌ねじ部材13が密着して沿うことになるので、連結材3の補強にも寄与する。このため、連結材3が木材である例においても、連結材3と各長尺材1とが堅固に締結され、強度の高い面構成体101が得られる。
【0083】
なお、雌ねじ部材13は、ボルト15と螺合させる前に、連結材3の溝11の所定の位置に、あらかじめ固定しておくのが望ましい。雌ねじ部材13を固定するには、例えば、雌ねじ部材13の所々に孔を空けておき、木ねじをこれらの孔に通し、木ねじにより雌ねじ部材13を連結材3に固定すると良い。ねじ回しを用いて木ねじを回すことを可能にするためには、例えば、連結材3のうち溝11の側壁部分に、木ねじとねじ回しとを挿入可能な貫通孔を形成すると良い。また、雌ねじ部材13が連結材3の全体にわたって連続している例を示したが、雌ねじ部材13は、各々が複数の長尺材1に跨るように、2本以上の雌ねじ部材に分割されていても良い。以上に述べた、長尺の雌ねじ部材13に関する利点や変形例は、雌ねじ部材24にも当てはまる。
【0084】
また、ボルト頭部9が配置される溝5は、配列する長尺材1に跨って連続するように形成されたが、長尺材1毎に個別に形成しても良い。この場合には、座金部材7は、配列する長尺材1に跨って配置される長尺の部材に代えて、長尺材1毎に形成された溝に個別に配置される板材となる。また溝5に代えて、溝5の底面が長尺材1の長手方向端部まで連続して成る切欠を形成しても良い。
【0085】
既に述べたように接続材19は、隣り合う長尺材1に挟まれ、かつこれら長尺材1の裏側の面まで延びる第2の板状部16を有している(図4参照)。このように構成された第2の板状部16は、長尺材1の両端部において連結材3に達する。このため、隣り合う長尺材1とそれらの間の接続材19と連結材3との間に隙間が形成されないので、この隙間から風雨が侵入するという不都合が回避される。また、第2の板状部16が、隣り合う長尺材1に挟まれているので、例えば長尺材1の表側から裏側への風雨の侵入が、より効果的に抑制される。
【0086】
面構成体101として、雌ねじ部材13が連結材3と土台23及び梁30とを接続する部材としても使用される例を示したが、面構成体101と同様に構成され、互いに隣り合う2枚の面構成体同士を接続する部材としても、雌ねじ部材13を使用することが可能である。図6は、その一例を示す平面図である。図6は、図1と同様に梁30については、図示を略している。図6に示すように、面構成体101と同様の構成を有する2枚の面構成体101A及び101Bの間で、雌ねじ部材33を共有することにより、これらの面構成体101A及び101Bを、容易にかつ堅固に連結することができる。雌ねじ部材33は、1枚の面構成体101に属する雌ねじ部材13が、溝11の外方にまで延長され、延長された部分にねじ孔が形成されたものと同等である。面構成体101A及び101Bが連結されて成る複合面構成体101Cは、例えば、建築物の1階の壁面と2階の壁面とを形成したり、同一階の隣り合う2枚の壁面を形成するのに適している。雌ねじ部材33を共有することにより、面構成体101と同様の面構成体を、一般に2枚以上連結することも当然に可能である。
【0087】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2による面構成体について、その一部の構成を例示する側面断面図である。図7は、垂直方向を水平方向に変えて、当該面構成体を表している。また図8は、同面構成体について、その全体を代表して右端部付近の構成を例示する正面斜視図である。図8において、同面構成体の最上部は、その下方の構造を明示するために、二点鎖線で表している。これらの図を参照しつつ、実施の形態2による面構成体102について説明する。
【0088】
面構成体102は、長尺材41として間伐材等の丸太が用いられている点、及び各長尺材41の長手方向両端に形成された切欠47に、連結材49が配置されている点において、実施の形態1による面構成体101とは異なっている。接続材43は、一例として木製の板状であり、隣り合う長尺材41の互いに向き合う側面に開口するように、長手方向に沿って形成された溝45に挿入されている。溝45は、本発明の第1溝の一具体例に該当する。
【0089】
切欠47は、各長尺材41の長手方向両端から、ある長さに渡り、裏側からある深さを有するように形成されている。切欠47は、長尺材41の長手方向と配列方向とに平行な平面と、長尺材41の長手方向に直交する平面とを有している。このため、一例として角材である連結材49は、切欠47に面接触する。連結材49は一例として木製である。連結材49には、実施の形態1における連結材3の溝11と同様の形態を有する溝51が形成されている。溝51には、雌ねじ部材13と同様の雌ねじ部材(図示略)が配置されている。各長尺材41の長手方向両端部には、表側に開口する溝53が形成されている。溝53は、一例として、全ての長尺材41を横断するように形成されている。溝53は、長尺材1の溝5と同様に、一例として「コ」字状ないし逆台形状の断面形状を有する。各溝53の底面には、座金部材55が配置されている。座金部材55は、一例として金属製の板状であり、かつ各溝53に個別に配置されている。ボルト57は、座金部材55に設けられた孔(図示略)を通り、さらに長尺材41及び連結材49に形成された挿通孔(図示略)を通り、雌ねじ部材(図示略)に螺合する。それにより、配列する長尺材41が、連結材49を通じて互いに固定される。
【0090】
切欠47は、溝45の裏側に近い方の側壁面に切欠47が達する深さに形成されている。その結果、接続材43の長手方向の両端部が、長尺材41と連結材49とによって挟圧固定されるので、各長尺材41と連結材49と間の角度の変位が、より効果的に抑制される。さらに、連結材49は切欠47に配置されているので、各長尺材41と連結材49と間の角度の変位が、さらに効果的に抑制される。なお、ボルト頭部57が配置される溝53は、配列する長尺材41に跨って連続するように形成されたが、長尺材41毎に個別に形成しても良い。また溝53に代えて、溝53の底面が長尺材41の長手方向端部まで連続して成る切欠を形成しても良い。
【0091】
図8に示すように、面構成体102は、一例として、建築物の横行材である土台59及び梁60を含んでいる。土台59と梁60梁とは、一例として同一の構造及び形状を有しており、面構成体102は全体として上下対称に形成されている。それゆえ、土台59及び梁60についての説明は、主として梁60についての説明により代表し、土台59についての説明は略する。
【0092】
梁60に形成された溝61は、図2等に示した溝25と同様に、溝51と連続している。また、図示を略するが溝51に配置された雌ねじ部材は、溝61の側壁面にも沿うように、溝61にまで延長されている。図3等に示した雌ねじ部材13の延長部分と同様に、溝51に配置された雌ねじ部材(図示略)の延長された部分には、雌ねじが形成されており、当該延長部分は、梁60の表側から挿通されたボルト65と螺合することにより、雌ねじ部材(図示略)と梁60とを締結する働きをなす。それにより、連結材49が梁60に固定される。梁60に関する以上の記述は、上下を逆にした土台59にも当てはまる。
【0093】
梁60の表側の面には、座金部材63が配置されている。座金部材63は、一例として金属製であり、かつ最上段の長尺材1の上面に開口するように形成された溝62に、下端部分を挿入可能な板状である。座金部材63は、一例として、梁60の左端から右端まで連続する長尺材である。座金部材63の左右の端部には、ボルト65を挿通するための孔(図示略)が形成されている。ボルト65の頭部は、座金部材63の主面に当接し、座金部材63に設けられた孔を通り、さらに梁60に形成された挿通孔を通り、雌ねじ部材(図示略)に螺合する。
【0094】
最上段の長尺材41の上面に形成された溝62の左端部及び右端部では、切欠47が溝62の裏側に近い方の側壁面に達している。その結果、最上段の長尺材41がボルト57により連結材49に締結されることにより、接続部材43と同様に、座金部材63の長手方向の両端部が、長尺材41と連結材49とによって堅固に挟持される。その結果、連結材49は座金部材63をも介して梁60に固定される。
【0095】
梁60には、図3等に示した梁30と同様に、長尺材41の配列方向に沿った梁60の端面、すなわち上端面に開口し、長手方向に沿った溝64が形成されている。溝64は、一例として溝51と同様に、断面「コ」字状ないし「U」字状である。それにより、表側に近い溝64の側壁面は、梁60の表側の面に平行な面となっている。この側壁面に沿って、図3に示した雌ねじ部材24と同様に、長尺の雌ねじ部材(図示略)が配置されている。この雌ねじ部材は、雌ねじ部材24(図3)と同様に、一例として金属製の帯板状であり、さらに一例として、梁60の左右の端部を除いたほぼ全幅に跨るように連続している。当該雌ねじ部材には、雌ねじ部材24(図3)と同様に、長手方向に沿って間隔をおいて雌ねじ(図示略)が形成されている。当該雌ねじ部材は、梁60の表側に配置された座金部材63の表側から挿通されたボルト66と螺合することにより、座金部材63を梁60に締結する働きをなす。
【0096】
座金部材63は、その下端部が溝62に差し込まれるので、最上段の長尺材41を梁60に固定する役割をも果たす。座金部材63は、さらに、座金部材27(図2)と同様に、梁60と最上段の長尺材41との間の隙間を無くし、それにより、面構成体102が建築物に適用された場合には、風雨の漏れを防ぐ働きをもなす。梁60に関する以上の記述は、上下を逆にした土台59にも当てはまる。
【0097】
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3による面構成体について、その一部構成を例示する右側面断面図である。この面構成体103は、実施の形態1による面構成体101において、ボルト15の頭部9からボルト15が螺合する雌ねじ部材13に至る部材の間の境界面に、弾性緩衝材75、69及び71が介挿された構造を有している。弾性緩衝材75、69及び71は、例えば防振ゴム製のシートである。弾性緩衝材75は、座金部材7と長尺材1との間に介挿されている。弾性緩衝材69は、長尺材1と連結材3との間に介挿されている。また、弾性緩衝材71は、連結材3と雌ねじ部材13との間に介挿されている。
【0098】
弾性緩衝材75、69及び71には、ボルト15の締結力により圧縮力が加えられるので、ボルト15の締め付けの緩みが、これらの弾性緩衝材75、69及び71によって抑制される。さらに、長尺材1の長手方向及び配列方向に沿った面構成体103の断面上の剪断応力及び圧縮応力が、これらの弾性緩衝材75、69及び71により緩和される。そのため、面構成体103を建築物の壁面などに使用することにより、建築物の免震性を向上させることができる。弾性緩衝材75、69及び71のうちの一部のみを適用した場合であっても、相応の効果が得られる。
【0099】
(実施の形態4)
図10は、本発明の実施の形態4による面構成体について、その右端部付近の構成を例示する平面断面図である。この面構成体104は、実施の形態2による面構成体102において、ボルト57の頭部からボルト57が螺合する雌ねじ部材93に至る部材の間の境界面に、弾性緩衝材153、99及び155が介挿された構造を有している。更に、長尺材41と連結材49との間の境界面のうち、長尺材41の長手方向に直交する面にも、弾性緩衝材151が介挿されている。これらの弾性緩衝材153、99、155及び151は、例えば防振ゴム製のシートである。
【0100】
弾性緩衝材153、99及び155は、面構成体103の弾性緩衝材75、69及び71について述べたところと同様の効果を奏する。弾性緩衝材151により、長尺材41の長手方向に交差する面構成体104の断面上の剪断応力及び圧縮応力も緩和される。そのため、本構成による面構成体104を建築物の壁面などに使用することにより、建築物の免震性を更に向上させることができる。
【0101】
(実施の形態5)
図11は、本発明の実施の形態5による面構成体について、その右下端部付近の構成を例示する右側面図である。この面構成体105は、実施の形態1による面構成体101において、雌ねじ部材13と連結材3との間、及び雌ねじ部材13と土台23との間の境界面に弾性緩衝材161が介挿され、さらに、連結材3と土台23との間の境界面に弾性緩衝材159が介挿された構造を有している。これらの弾性緩衝材161及び159は、例えば防振ゴム製のシートである。
【0102】
弾性緩衝材161は、面構成体103の弾性緩衝材75、69及び71について述べたところと同様の効果を奏する。弾性緩衝材159により、長尺材1の配列方向に交差する面構成体105の断面上の剪断応力及び圧縮応力も緩和される。そのため、本構成による面構成体105を建築物の壁面などに使用することにより、建築物の免震性を更に向上させることができる。
【0103】
(実施の形態6)
図12は、本発明の実施の形態6による面構成体の構成を例示する図であり、(a)は当該面構成体に適用される接続材の一例を示す斜視図であり、(b)は当該面構成体の一部構成を例示する側面断面図であり、(c)は当該面構成体に適用される接続材の別の一例を示す断面図である。図12(b)は、垂直方向を水平方向に変えて、当該面構成体を表している。この面構成体106は、実施の形態2による面構成体102において、接続材43に代えて、接続材171又は181が適用された構造を有している。
【0104】
接続材171は、隣り合う長尺材41の互いに向き合う溝45に、両端部が挿入される第1の板状部173と、溝45の開口縁部に当接する位置において第1の板状部173に直交するように面構成体106の裏側に延びる第2の板状部175と、同じく溝45の開口縁部に当接する位置において第1の板状部173に直交するように面構成体106の表側に延びる第3の板状部177とを有している。それにより接続材171は、長尺材41の長手方向から見た断面において、おおよそ「サ」字状を成す長尺の部材として形成されている。更に、第1の板状部173は、一対の第2の板状部175及び一対の第3の板状部177に挟まれた中央部分に伸縮部178を有している。伸縮部178は、長手方向から見た断面形状が弧状を成すように湾曲している。第2の板状部175及び第3の板状部177は、本発明の接続材が有する「突出部」の一具体例に該当する。接続材171は、一例としてプラスチック製或いは金属製である。
【0105】
第2の板状部175及び第3の板状部177は、長尺材41の溝45の開口縁部に当接することにより、溝45の開口部を覆うので、溝45の中に雨滴が侵入することを防止することができる。さらに、接続材171は伸縮部179により、長尺材41の配列方向に弾性的に伸縮可能である。このため、長尺材41に木材を使用した一例において、長尺材41が経年的に収縮することがあっても、接続材171と長尺材41との間に隙間が生じることにより当該隙間を通じて風雨が漏れる、という不都合が回避される。特に、長尺材41の経年的な収縮があっても、第2の板状部175及び第3の板状部177が、溝45の開口縁部へ当接し続けるので、雨滴が溝45の中に侵入することを、継続的に防ぐことができる。
【0106】
接続材171に代えて接続材181を面構成体106に適用しても良い。接続材181は接続材171において、伸縮部178に代えて伸縮部179が採用された構造を有している。伸縮部179は、長手方向から見た断面形状が「く」字状を成すように屈曲している。伸縮部179は伸縮部178と同様に、接続材181が長尺材41の配列方向に弾性的に伸縮することを可能にする。このため接続材181は、接続材171について述べた効果と同等の効果を奏する。
【0107】
なお、接続材171及び接続材181は、弾性的に伸縮することは、必ずしも要せず、塑性的に伸縮するものであっても良い。長尺材41の溝45の中に挿入された第1の板状部173が、溝45の壁面に接着剤等により固定されておれば、長尺材41に収縮等の変形があっても、接続材171及び181は、当該変形に追随して、長尺材41の配列方向に伸縮する。このため、接続材171及び181について上に述べた効果と同等の効果が得られる。
【0108】
(実施の形態7)
図13は、本発明の実施の形態7による面構成体の構成を例示する図であり、(a)は当該面構成体に適用される接続材の一例を示す斜視図であり、(b)は当該面構成体の一部構成を例示する側面断面図であり、(c)は当該面構成体に適用される接続材の別の一例を示す断面図である。図13(b)は、垂直方向を水平方向に変えて、当該面構成体を表している。この面構成体107は、実施の形態2による面構成体102において、接続材43に代えて、接続材183又は191が適用された構造を有している。
【0109】
接続材183は、板状部185と、当該板状部185のうち長尺材41の溝45に挿入される両端部に形成された戻り止め187とを有することにより、長尺材41の長手方向から見た断面において双方向矢印状を成す長尺の部材として形成されている。接続材183は、一例としてプラスチック製或いは金属製である。
【0110】
戻り止め187は、接続材183の両端部が長尺材41の溝45へ挿入されるのを可能にすると共に、逆戻りを制止する働きをなす。このため、長尺材41が木製である一例において、長尺材41が経年的に収縮することがあっても、接続材と長尺材との間に隙間が生じ、当該隙間を通じて風雨が漏れることを防ぐことができる。接続材183に、実施の形態6における伸縮部178又は179を付加すると、長尺材41の変形に伴う溝45の動きに、戻り止め187が追随し易いという利点が得られる。また、接続材183に実施の形態6における第2の板状部175及び第3の板状部177を付加することにより、雨滴が溝45の中に侵入することを防止することができる。
【0111】
接続材183に代えて接続材191を面構成体107に適用しても良い。接続材191は、板状部193と、当該板状部193のうち長尺材41の溝45に挿入される両端部に形成された戻り止め195と、を有する長尺の部材として形成されている。接続材191は、一例としてプラスチック製或いは金属製である。戻り止め195は、板状部193の表面に爪状の突起の列として形成されており、それにより接続材191の両端部が長尺材41の溝45へ挿入されるのを可能にすると共に、逆戻りを制止する働きをなす。従って、接続材191は、接続材183について述べたところと同等の効果を奏する。戻り止め195は、一例として、板状の部材をプレス加工機に架け、戻り止め195を形成すべき部位において、一方主面から他方主面に打ち抜くことにより形成される。
【0112】
さらに、接続材183に代えて、図14の斜視図に示す接続材201を面構成体107に適用しても良い。接続材201は、板状部203と、当該板状部203のうち長尺材41の溝45に挿入される両端部に形成された戻り止め205とを有する長尺の部材として形成されている。戻り止め205は、長尺材41の長手方向に沿って、一定間隔毎に戻り止め187(図13(a))を残した形状を有している。接続材201は、一例としてプラスチック製或いは金属製である。接続材201は戻り止め205を有するので、接続材183について述べたところと同等の効果を奏する。
【0113】
(実施の形態8)
図15は、本発明の実施の形態8による面構成体の構成を例示する図であり、(a)は当該面構成体に適用される接続材の一例を示す斜視図であり、(b)は当該面構成体の一部構成を例示する側面断面図である。図15(b)は、垂直方向を水平方向に変えて、当該面構成体を表している。この面構成体108は、実施の形態7による面構成体107において、接続材183に代えて、接続材211が適用された構造を有している。接続材211は、板状部213と、当該板状部213のうち長尺材41の溝45に挿入される両端部に形成された戻り止め215と、を有する長尺の部材として形成されている。接続材211は、一例としてプラスチック製或いは金属製である。
【0114】
戻り止め215は、板状部213の両端を折り返して成る返り部として形成されており、それにより接続材211の両端部が長尺材41の溝45へ挿入されるのを可能にすると共に、逆戻りを制止する働きをなす。従って、接続材211は、実施の形態7における接続材183について述べたところと同等の効果を奏する。また、板状部213の両端を折り返すことによって、戻り止め215が形成されるので、接続材211は製造が容易であるという利点を有している。
【0115】
(実施の形態9)
図16は、本発明の実施の形態9による面構成体の構成を例示する図であり、(a)は当該面構成体に適用される接続材の一例を示す斜視図であり、(b)は当該面構成体の一部構成を例示する側面断面図である。図16(b)は、垂直方向を水平方向に変えて、当該面構成体を表している。この面構成体109は、実施の形態7による面構成体107において、接続材183に代えて、接続材221が適用された構造を有している。接続材221は、長尺の板状部223を有しており、当該板状部223のうち長尺材41の溝45に挿入される両端部には、長尺材41の長手方向に沿って並ぶ貫通孔224の列が形成されている。接続材221は、一例としてプラスチック製或いは金属製である。
【0116】
貫通孔224に接着剤225を充填した上で、接続材221の幅方向両端部が長尺材41の溝45の中に挿入される。接着剤225は、貫通孔224の中に残留しつつ固化するとともに、溝45の側壁面に固着する。その結果、固化した接着剤225が接続材221の抜け止めとして機能する。このため、長尺材41に木材を使用した一例において、長尺材41が経年的に収縮することがあっても、接続材221と長尺材41との間に隙間が生じることにより当該隙間を通じて風雨が漏れる、という不都合が回避される。このように貫通孔224は、接着剤225を適用することにより、実施の形態7等に例示した戻り止め187等と同様の機能を果たす。板状部223の両端部に貫通孔224の列を形成することによって、接続材221が出来上がるので、接続材211は製造が容易であるという利点を有している。接着剤225に代えて、接着剤225と同様に、硬化することにより接着性を発揮するシール剤を用いても良い。
【0117】
貫通孔224の径は、充填する接着剤225の粘性及び板状部223の厚さを考慮して、接着剤225が貫通孔224に都合良く充填される大きさに設定すると良い。また、貫通孔224は、板状部223の両端部の各々において、図16に例示したように1列に配置しても良く、複数列に配置しても良い。また、貫通孔224に代えて、有底の穴を採用しても良い。さらに、貫通孔224に代えて、長手方向に沿った溝を採用しても良い。
【0118】
(実施の形態10〜12)
図17は、本発明の実施の形態10〜12による面構成体の各々の一部構成を例示する断面図である。これらの面構成体110〜112は何れも、長尺材231、241、247が長尺の板状であり、しかも隣り合う長尺材231同士、又は隣り合う長尺材241と長尺材247の間に、間隙が設けられないという点で、面構成体101〜111とは異なっている。かかる面構成体110〜112は、例えば建築物の床への利用に適している。長尺材231、241、247は、一例として木製である。
【0119】
面構成体110(図17(a))では、一例として、隣り合う長尺材231の対向する面に開口する溝233に、図13に例示した接続材183が挿入されている。面構成体111(図17(b))では、一例として、隣り合う長尺材241及び247の対向する面の一方には凸部245が形成され、他方には凸部245に密着する凹部246が形成されている。隣り合う一方の長尺材241には、凸部245の中央部に開口するように溝243が形成されている。同様に、隣り合う他方の長尺材247には、凹部246の中央部に開口するように溝249が形成されている。これらの溝243及び249には、一例として、図7に例示した接続材43が挿入されている。面構成体112(図17(c))では、面構成体111の長尺材241及び247の溝243及び249に、一例として、図15に例示した接続材211が挿入されている。
【0120】
これらの例のように、本発明の面構成体として、隣り合う長尺材の間に間隙のない形態を実施することも可能である。面構成体111及び112に例示するように、凸部245と凹部246との嵌め合い構造を採ることにより、一例として床板である長尺材241及び247の間に位置ずれ又は間隙が生じるのを、より効果的に抑えることができる。
【0121】
(実施の形態13)
図18は、本発明の実施の形態13よる面構成体の構成を例示する図であり、(a)は当該面構成体に適用される接続材の一例を示す斜視図であり、(b)は当該面構成体の一部構成を例示する側面断面図である。図18(b)は、垂直方向を水平方向に変えて、当該面構成体を表している。この面構成体113では、長尺材261が、断面矩形の板材又は角材として形成されており、一例として木製である。さらに、互いに隣接する長尺材261の互いに向き合う平坦面に開口する溝262には、接続材251が挿入されている。
【0122】
接続材251は、隣り合う長尺材261の互いに向き合う溝262に挿入される第1の板状部253と、第1の板状部253に直交するようにその中心から面構成体113の裏側に延びる第2の板状部255と、同じく第1の板状部253に直交するようにその中心から面構成体113の表側に延びる第3の板状部257と、を有している。それにより接続材251は、長尺材261の長手方向から見た断面において、おおよそ「十」字状を成す長尺の部材として形成されている。第2の板状部255は、互いに隣接する長尺材261に挟まれ、かつ長尺材261の裏側にまで延びている。同様に、第3の板状部257は、互いに隣接する長尺材261に挟まれ、かつ長尺材261の表側には至らない長さに止まっている。第2の板状部255及び第3の板状部257は、本発明の接続材が有する「突出部」の一具体例に該当する。長尺材261は、接続材251の第2の板状部255及び第3の板状部257の厚さに相当する間隙263をもって、並列配置されている。接続材251は、一例として木製、プラスチック製或いは金属製である。なお、実施の形態1の接続材19は、接続材251から板状部257を除去したものに相当する。
【0123】
接続材251は、実施の形態1の接続材19(図4)と同様に、第1の板状部253及び第2の板状部255を有しているので、接続材19について述べたところと同等の効果を奏する。さらに、接続材251の第2の板状部255及び第3の板状部257は、互いに隣接する長尺材261の双方の溝262の開口縁部に当接することにより、双方の溝262を覆う。このため、実施の形態6の接続材171(図12)と同様に、接続材251は溝262の中に雨滴が侵入することを防止する。なお、第3の板状部257は、長尺材261の表側にまで延びた形状であっても良い。
【0124】
(実施の形態14)
図19は、本発明の実施の形態14による面構成体について、その部材を部分的に切除しつつ、全体を代表して右端部付近の構成を例示する背面斜視図である。この面構成体114は、実施の形態1の面構成体101(図3)において、連結材3に代えて連結材173を採用し、土台23に代えて土台271を採用し、梁30に代えて梁273を採用した構造を有している。連結材173、土台271及び梁273は金属製であり、一例として溶接によって互いに連結されている。連結材173には、連結材3と同様に溝11が形成されており、土台271には、土台23と同様に、溝25及び溝26が形成されている。梁273にも、梁30と同様に、溝25及び溝26が形成されている。
【0125】
連結材173には、溝11の側壁のうち長尺材1に近い側の側壁に、ボルト15と螺合するねじ孔が形成されている。すなわち、面構成体101とは異なり、雌ねじ部材13を採用することなく、連結材173はボルト15により、配列する長尺材1に直接に締結されている。土台271及び梁273の各々においても、溝25の側壁のうち表側に近い方の側壁に、ボルト31と螺合するねじ孔が形成されている。すなわち、面構成体101とは異なり、雌ねじ部材13の延長部分を利用することなく、座金部材27の左右端部は、ボルト31により、土台271及び梁273に直接に締結されている。
【0126】
さらに、土台271及び梁273の各々において、溝26の側壁のうち表側に近い方の側壁に、ボルト22と螺合するねじ孔が形成されている。すなわち、面構成体101とは異なり、雌ねじ部材24を採用することなく、座金部材27の左右端部を除いた部分は、ボルト22により、土台271及び梁273に直接に締結されている。 この面構成体114は、別体の雌ねじ部材13及び24(図3参照)を要しないので、部品点数を節減することができ、さらに、面構成体114を組み立てる工程も、簡素なものとなる。
【0127】
(実施の形態15)
図20は、本発明の実施の形態15による面構成体と、当該面構成体と同様の構成を有する別の面構成体とを互いに連結して成る複合面構成体の主要部について、その連結部付近の構成を例示する上面斜視図である。図20に例示する面構成体115A及び面構成体115Bは、何れも実施の形態2による面構成体102と類似した構成を有している。
【0128】
面構成体115Aは、水平方向に延在し垂直方向に配列する多数の長尺材301を有している。同様に、面構成体115Bは、水平方向に延在し垂直方向に配列する多数の長尺材331を有している。図20には、配列する多数の長尺材301及び331のうち、互いに連結された最上段の一組のみを代表して示している。長尺材301及び331は、一例として木製であり、かつ一例として、長尺材41(図8)とは異なり角材である。
【0129】
配列する長尺材301の長手方向端部の裏側には、切欠309が形成されており、この切欠309に連結材303が配置されている。配列する長尺材331の長手方向端部の裏側にも、切欠339が形成されており、連結材303は、この切欠309にも配置されている。すなわち、面構成体115A及び115Bは、連結材303を共有している。連結材303は、一例として木製の長尺の角材である。
【0130】
長尺材301及び331の上面には、長尺材41(図8)と同様に、座金部材63の下端部が挿入される溝321及び351が、それぞれ形成されている。長尺材331の下面には、長尺材41(図8)と同様に、接続部材43の上端部が挿入される溝347が形成されている。長尺材301の下面にも、同様の溝(図示略)が形成されている。長尺材331に形成された切欠339は、長尺材41(図8)の切欠47と同様に、溝351及び347の表側(それぞれ面構成体115A及び115Bの表側)の側壁面に達している。長尺材301に形成された切欠309も同様である。
【0131】
連結材303には、長尺材301の長手方向に沿った連結材303の端面とは反対側の端面、すなわち長尺材301の長手方向中央部を向く連結材303の端面に開口するように、溝311が形成されている。連結材303にはさらに、長尺材331の長手方向に沿った連結材303の端面とは反対側の端面、すなわち長尺材331の長手方向中央部を向く連結材303の端面に開口するように、溝341が形成されている。溝311及び溝341は、何れも一例として長手方向から見た断面の形状が「コ」字状ないし「U」字状を成している。それにより、溝311の表側(面構成体115Aの表側)の側壁面は、長尺材301の長手方向及び配列方向に平行となっている。この側壁面に、雌ねじ部材313が配置されている。同様に、溝341の表側(面構成体115Bの表側)の側壁面は、長尺材331の長手方向及び配列方向に平行となっている。この側壁面に、雌ねじ部材343が配置されている。雌ねじ部材313及び343は、一例として、金属製かつ帯板状の部材である。雌ねじ部材313は、一例として、配列する長尺材301の全てに跨るように連続している。同じく、雌ねじ部材343は、一例として、配列する長尺材331の全てに跨るように連続している。
【0132】
雌ねじ部材313には、各長尺材301に対応する部位に雌ねじ(図示略)が形成されている。雌ねじ部材313は、長尺材301の表側から挿通されたボルト315と螺合することにより、配列する長尺材301を連結材303に締結する働きをなす。それにより、配列する長尺材301が、連結材303を通じて互いに固定される。同様に、雌ねじ部材343には、各長尺材331に対応する部位に雌ねじ(図示略)が形成されている。雌ねじ部材343は、長尺材331の表側から挿通されたボルト345と螺合することにより、配列する長尺材331を連結材303に締結する働きをなす。それにより、配列する長尺材331が、連結材303を通じて互いに固定される。
【0133】
長尺材301の長手方向端部の表側には溝305が形成されており、ボルト315の頭部は、溝305の底面に配置された座金部材307に当接している。ボルト315は、座金部材307及び長尺部材301に形成されたボルト挿通孔(図示略)を貫通し、さらに連結材303に形成されたボルト挿通孔319を貫通することにより、雌ねじ部材313に螺合する。同様に長尺材331の長手方向端部の表側には溝335が形成されており、ボルト345の頭部は、溝335の底面に配置された座金部材337に当接している。ボルト345は、座金部材337及び長尺部材331に形成されたボルト挿通孔(図示略)を貫通し、さらに連結材303に形成されたボルト挿通孔349を貫通することにより、雌ねじ部材343に螺合する。溝305及び335は、ボルト315及び345の頭部を覆うカバー部材等(図示略)を設置するのに便宜である。
【0134】
以上のように、面構成体115Aと面構成体115Bは、連結材303を共有することにより互いに連結され、それにより複合面構成体115Cを形成している。2枚の面構成体115A及び115Bは、それらが構成する面同士が互いに直交するように連結される。しかも、ボルト315を雌ねじ部材313に締結し、ボルト345を雌ねじ部材343に締結するという、簡単な作業工程を通じて、面構成体115A及び115Bの堅固な接続が実現する。複合面構成体115Cは、例えば、建築物の同一階の交差する壁面を構成するのに適している。
【0135】
(その他の実施の形態)
実施の形態1の面構成体101では、互いに隣接する長尺部材1の互いに向き合う面に形成された一対の溝17は、互いに向き合う位置に形成された。これに対して、互いに向き合う位置からずれた位置に、溝17を形成することも可能である。このことは、他の実施の形態においても同様である。
【0136】
上記実施の形態では、雌ねじ部材13、24、33、93、313、343に、表裏を貫通するねじ孔が形成された例を示した。しかしながら、これらの雌ねじ部材は、貫通しないねじ穴を含めて、一般に雌ねじが形成されておれば、対応するボルトと螺合し、所要の締結機能を果たすことが可能である。同様のことは、連結材173、土台271及び梁273(図19)にも当てはまる。また、雌ねじ部材13、33、93、313、343には、長尺材1、41、231、241、247、261、301、331に対応して、ねじ孔が1個ずつ形成された例を示した。これに対して、これらの雌ねじ部材は、長尺材ごとに複数の雌ねじを有し、複数のボルトと螺合するものであっても良い。同様のことは、連結材173(図19)にも当てはまる。
【0137】
切欠21に端部が挿入される座金部材27(図2、図19)、及び溝62に端部が挿入される座金部材(図8)についても、接続部材171、181、183、191、201、211、221に例示した、伸縮部178、179、戻り止め187、195、205、215、貫通孔224、及び表側へ延びる突出部177、257を、形成しても良い。
【符号の説明】
【0138】
101、101A、101B、102〜114、115A、115B 面構成体
1、41、231、241、247、261、301、331 長尺材
3、49、173、303、333 連結材
13、33、93、313、343 雌ねじ部材
17、45、233、243、249、262、347 溝(第1溝)
11、51、175、311、341 溝(第2溝)
341 溝(第3溝)
5、53、305、335 溝(第4溝)
47、309、339 切欠(第1切欠)
15、57、315、349 ボルト(締結ねじ)
31、65 ボルト(別の締結ねじ)
18、43、171、181、183、191、201、211、221、251 接続材
23、59、271 土台(構造材)
25、60、273 梁(構造材)
69、71、75、99、153、155、161 弾性緩衝材(第1弾性緩衝材)
151 弾性緩衝材(第2弾性緩衝材)
16、175、255 第2の板状部(突出部)
177、257 第3の板状部(突出部)
178、179 伸縮部
187、195、205、215 戻り止め
224 貫通孔(後退部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された第1溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されることにより、面を構成する面構成体であって、
前記複数の長尺材の配列方向に延びる2本の連結材が、前記複数の長尺材の長手方向両端部の裏側にそれぞれ配置されており、
前記配列方向に延び、前記複数の長尺材に対応する雌ねじを有する雌ねじ部材が、前記2本の連結材の各々の裏側からある深さの部位に配置されており、
前記複数の長尺材の各々の長手方向両端部の表側から、締結ねじが挿通され、前記雌ねじ部材の前記雌ねじに螺合することにより、前記2本の連結材が前記複数の長尺材に締結されており、
前記雌ねじ部材は、2以上の長尺材に跨って連続している、面構成体。
【請求項2】
前記複数の長尺材の各々の長手方向両端からある長さに渡り、裏側からある深さを有する第1切欠が形成されており、
前記配列方向に延びる前記2本の連結材が、前記複数の長尺材の長手方向両端部の前記第1切欠に、それぞれ配置されている、請求項1に記載の面構成体。
【請求項3】
前記締結ねじの頭部は、前記複数の長尺材の各々の長手方向両端部の表側からある深さに位置している、請求項1又は2に記載の面構成体。
【請求項4】
前記2本の連結材のうち少なくとも1本の連結材には、前記配列方向に沿った第2溝が形成されており、当該第2溝に前記雌ねじ部材が配置されている、請求項1ないし3の何れかに記載の面構成体。
【請求項5】
前記少なくとも1本の連結材の前記第2溝は、前記長尺材長手方向に沿った前記連結材の端面に開口している、請求項4に記載の面構成体。
【請求項6】
前記少なくとも1本の連結材の前記第2溝に配置される雌ねじ部材は、当該第2溝の開口部から外方へ延在しており、当該延在する部分にも、雌ねじが形成されている、請求項5に記載の面構成体。
【請求項7】
請求項6に記載の面構成体であって、
当該面構成体を第1の面構成体として第2の面構成体をさらに備え、
当該第2の面構成体は、請求項5に記載の面構成体であり、
前記第1及び第2の面構成体は、各々の前記第2溝の前記開口部が向き合うように、互いに接し合って配置され、かつ前記第1の面構成体の前記雌ねじ部材のうちの前記延在する部分を、前記第2の面構成体の前記雌ねじ部材とすることにより、互いに締結されている面構成体。
【請求項8】
前記少なくとも1本の連結材の前記第2溝は、前記長尺材の長手方向中央部を向く前記連結材の端面に開口しており、
前記少なくとも1本の連結材には、前記配列方向に沿い、裏側に開口する第3溝が、前記第2溝と連通しないように形成されており、前記長尺材の前記長手方向に沿った前記少なくとも1本の連結材の端面から前記第3溝に達する締結ねじ挿通用の複数の穴が、前記配列方向に間隔をおいて形成されている、請求項4に記載の面構成体。
【請求項9】
請求項8に記載の面構成体であって、
当該面構成体を第1の面構成体として、第2の面構成体をさらに備え、
当該第2の面構成体は、請求項8に記載の面構成体であり、
前記第1及び第2の面構成体は、前記第1の面構成体の前記第3溝を有する連結材を、同時に前記第2の面構成体の連結材とするように、互いに共有し、かつ前記第1の面構成体の前記第3溝を前記第2の面構成体の前記第2溝とすることにより、互いに締結されている面構成体。
【請求項10】
前記2本の連結材のうち少なくとも1本の連結材に配置された前記雌ねじ部材は、前記複数の長尺材の全てに跨って連続している、請求項1ないし9の何れかに記載の面構成体。
【請求項11】
前記複数の長尺材の各々の両端部の表側には、第2切欠又は第4溝が形成されており、それにより前記締結ねじの頭部が前記表側からある深さに位置している、請求項1ないし10の何れかに記載の面構成体。
【請求項12】
前記配列方向に沿った前記2本の連結材の両端面の少なくとも一方に配置され、前記2本の連結材の一方から他方まで延びる長尺の構造材を、さらに備え、
前記雌ねじ部材は、前記連結材から前記構造材へ延びた延長部分であって、前記構造材の裏側からある深さの部位に配置される延長部分を有し、当該延長部分にも雌ねじが形成されており、
前記構造材は、当該構造材の表側から挿通された別の締結ねじが前記雌ねじ部材の前記延長部分の前記雌ねじに螺合することにより、前記延長部分に締結されている、請求項1ないし11の何れかに記載の面構成体。
【請求項13】
前記締結ねじの頭部から前記雌ねじ部材に至る部材の境界面のうち、少なくとも1つの境界面に、第1弾性緩衝材が介挿されている、請求項1ないし12の何れかに記載の面構成体。
【請求項14】
前記2本の連結材のうち少なくとも1本の連結材と、前記複数の長尺材との間の境界面であって、前記長手方向に交差する境界面に、第2弾性緩衝材が介挿されている、請求項2に記載の面構成体。
【請求項15】
前記複数の長尺材の各々の両端部に形成された前記第1切欠は、前記第1溝の前記裏側に近い側壁面に達している、請求項2又は14に記載の面構成体。
【請求項16】
前記各接続材は、両側端に接続される長尺材の第1溝の開口縁部に当接しつつ沿うように、表裏のうちの双方に突出する突出部を有する、請求項1ないし14の何れかに記載の面構成体。
【請求項17】
前記各接続材は、両側端に接続される長尺材の第1溝の開口縁部に当接しつつ沿うように、表裏のうち少なくとも裏側に突出する突出部を有しており、当該裏側に突出した突出部は、両側端に接続される長尺材との間の間隙を埋めつつ、前記長手方向の両端部において、前記2本の連結材に達する位置まで延びている、請求項1ないし14の何れかに記載の面構成体。
【請求項18】
各接続材が、両側端に接続される長尺材の第1溝の外部に露出する部分において、前記長手方向から見て屈曲ないし湾曲した伸縮部を有する、請求項1ないし16の何れかに記載の面構成体。
【請求項19】
前記各接続材は、両側端に接続される長尺材の第1溝への挿入を可能にすると共に逆戻りを制止する戻り止めを有する、請求項1ないし18の何れかに記載の面構成体。
【請求項20】
前記各接続材は、両側端に接続される長尺材の第1溝の側壁面に対向する当該接続材の表面に後退部を有し、前記第1溝の側壁面に接着剤又はシール剤が固着しており、当該接着剤又はシール剤が前記後退部に侵入している、請求項1ないし18の何れかに記載の面構成体。
【請求項21】
複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されることにより、面を構成する面構成体であって、
前記各接続材は、両側端に接続される長尺材の溝の開口縁部に当接しつつ沿うように、表裏のうちの双方に突出する突出部を有する面構成体。
【請求項22】
複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されることにより、面を構成する面構成体であって、
前記複数の長尺材の配列方向に延びる2本の連結材が、前記複数の長尺材の長手方向両端部の裏側にそれぞれ締結されており、
前記各接続材は、両側端に接続される長尺材の前記溝の開口縁部に当接しつつ沿うように、表裏のうち少なくとも裏側に突出する突出部を有しており、当該裏側に突出した突出部は、両側端に接続される長尺材との間の間隙を埋めつつ、前記長手方向の両端部において、前記2本の連結材に達する位置まで延びている面構成体。
【請求項23】
複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されることにより、面を構成する面構成体であって、
各接続材が、両側端に接続される長尺材の溝の外部に露出する部分において、前記長手方向から見て屈曲ないし湾曲した伸縮部を有する面構成体。
【請求項24】
複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されることにより、面を構成する面構成体であって、
各接続材は、両側端に接続される長尺材の溝への挿入を可能にすると共に逆戻りを制止する戻り止めを有する面構成体。
【請求項25】
複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されることにより、面を構成する面構成体であって、
前記各接続材は、両側端に接続される長尺材の第1溝の側壁面に対向する当該接続材の表面に後退部を有し、前記第1溝の側壁面に接着剤又はシール剤が固着しており、当該接着剤又はシール剤が前記後退部に侵入している面構成体。
【請求項26】
複数の長尺材が並列配置され、隣接する長尺材同士の互いに向き合う両側面に長手方向に沿って形成された溝に、前記長尺材同士の間隙を埋める接続材が挿入されることにより、面を構成する面構成体であって、
前記配列方向に延びる2本の金属製の連結材が、前記複数の長尺材の長手方向両端部にそれぞれ配置されており、
前記複数の長尺材の各々の長手方向両端部の表側から、締結ねじが挿通されており、
前記締結ねじが、前記2本の連結材に形成された雌ねじに螺合することにより、前記2本の連結材が前記複数の長尺材に締結されている、面構成体。
【請求項27】
請求項1ないし26の何れかに記載の面構成体が、壁、床及び屋根の少なくとも一つの少なくとも一部に使用されている建築物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−47411(P2013−47411A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185376(P2011−185376)
【出願日】平成23年8月27日(2011.8.27)
【出願人】(592019822)