説明

面状発光モジュール

【課題】面状発光モジュールにおいて、非発光時における無味乾燥な見栄えを改善し、ユーザにとって興趣性の高いものとする。
【解決手段】
面状発光モジュール1は、透明な基板2上に設けられる透明電極3と、この透明電極3上に設けられる発光層41と、この発光層41上に設けられる非透明電極5とを備える。非透明電極5の発光層41に臨む面は、相互に反射率が異なる面により構成されている。モジュール1内に入射する外光の、非透明電極5における反射量を非透明電極5の部位に応じて変わるようにしたので、非発光時に、発光時と比べて明るさが低いだけの無味乾燥なイメージを与えることがなく、興趣性に優れたものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光層を電極で挟持して成る面状発光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の発光モジュールとして、透明な基板上に、透明電極、発光層及び非透明電極が順に積層され、透明電極と非透明電極と間に電圧を印加することにより発光層が発光するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような発光モジュールは、主に液晶ディスプレイ用のバックライトや屋内用照明に用いられることから、均一な面発光を得るために、基板、発光層及び各電極の平坦性を保持して形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−129771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記発光モジュールにおいて、発光層から出射される光は透明電極、基板を通して取り出される。一方で、発光モジュール内に入射する外光は、基板、透明電極、発光層を透過し、非透明電極にて一様に反射される。そのため、非発光時では、発光時と比べて明るさが低いだけの無味乾燥なイメージをユーザに与えることになり、例えば、発光モジュールを部屋の壁面や天井部分に設置する場合、興趣性のある室内空間を作ることが難しかった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、非発光時における無味乾燥な見栄えを改善し、ユーザにとって興趣性の高いものとすることができる面状発光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、透明な基板上に設けられる透明電極と、この透明電極上に設けられる発光層と、この発光層上に設けられる非透明電極とを備えた面状発光モジュールにおいて、前記非透明電極の前記発光層に臨む面は、相互に反射率が異なる面により構成されているものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記反射率が異なる面は、反射率が異なる複数種の材料を用いて構成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、発光モジュール内に入射する外光の、非透明電極における反射量を非透明電極の部位に応じて変わるようにしたので、非発光時に、発光時と比べて明るさが低いだけの無味乾燥なイメージを与えることがなく、興趣性に優れたものとなる。従って、例えば、発光モジュールを部屋の壁面に設置した場合、非発光時においても単調な壁面として視認されることがなくなり、雰囲気の良い屋内空間が得られる。
【0009】
請求項2の発明によれば、非透明電極の発光層に臨む面の反射率を容易に設定することができるようになり、興趣性の高い発光モジュールを低コストにて製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る面状発光モジュールの構成を示す斜視図。
【図2】上記発光モジュールの非発光時における配光特性を示す図。
【図3】上記発光モジュールの発光時における配光特性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る面状発光モジュールについて図面を参照して説明する。図1は本実施形態に係る面状発光モジュール1の構成を示す。面状発光モジュール1は、発光層を含む有機層を電極で挟持して成る有機EL型の発光モジュールであり、透明な基板2と、この基板2上に設けられる透明電極3と、この透明電極3上に設けられる有機層4と、この有機層4上に設けられる非透明電極5とを備える。また、面状発光モジュール1は、モジュール1に電力を供給する給電部6を備え、給電部6のプラス側が透明電極3と電気接続され、マイナス側が非透明電極5と電気接続される。
【0012】
基板2は、光透過性に優れ、絶縁性を有した板状部材、例えば、ガラスや透明樹脂等により構成され、有機層4のある側とは反対側(裏面側)が光放出面となる。透明電極3は、ITO(酸化インジウム錫)により形成された透明な金属薄膜である。
【0013】
有機層4は、発光層41と、発光層41と透明電極3との間に介在する正孔輸送層42と、発光層41と非透明電極5との間に介在する電子輸送層43とで構成され、これら各層41〜43は透光性を有している。発光層41は、蛍光材料やりん光材料等の有機材料を用いて形成され、給電部6により透明電極3と非透明電極5との間に電圧印加されることによって発光する。正孔輸送層42は、発光層41へのホール注入性を向上させるためものであり、電子輸送層43は、発光層41への電子注入性を向上させるためのものである。なお、有機層4は、正孔輸送層42と透明電極3との間に正孔注入層や、電子輸送層43と非透明電極5との間に電子注入層を有していてもよい。
【0014】
非透明電極5は、非透明な金属薄膜であって、有機層4に臨む面が相互に反射率の異なる面の分散配置により構成されている。具体的に、非透明電極5は、反射率が異なる複数種の材料を用いて形成されており、反射率の高い材料から成る高反射部5aと、反射率の低い材料から成る低反射部5bとを有し、この高反射部5aと低反射部5bとが交互に複数配列されている。高反射部5aと低反射部5bとの組み合わせの例としては、高反射部5aに銀を、低反射部5bにアルミニウムを用いるものや、高反射部5aに銀を含有したアルミ合金を、低反射部5bにマグネシウムを含有したアルミ合金を用いるものが挙げられる。
【0015】
次に、面状発光モジュール1の製造方法について説明する。まず、基板2上に透明電極3を形成し、この透明電極3上に、正孔輸送層42、発光層41及び電子輸送層43を順に積層して有機層4を形成する。有機層4を低分子有機化合物により構成する場合には、真空蒸着法を用い、有機層4を高分子有機化合物により構成する場合には、印刷技術法を用いることが望ましい。次に、有機層4の電子輸送層43上において非透明電極5の高反射部5aを形成しない部分をマスキングし、マスクした電子輸送層43上に高反射部5aを形成し、その後、マスク除去して低反射部5bを形成する。非透明電極5の形成は、低反射部5bを形成した後に、高反射部5aを形成するものであってもよい。最後に、透明電極3及び非透明電極5に給電部6を電気接続し、本モジュール1が完成する。
【0016】
上記のように構成された面状発光モジュール1の作用について説明する。図2は発光層41が発光していないときの、モジュール1内に入射する外光の配光特性を示し、図3は発光層41が発光しているときの、モジュール1からの出射光の配光特性を示す。図2に示されるように、非発光時において、モジュール1への外光L1は、基板2、透明電極3、正孔輸送層42、発光層41及び電子輸送層43を透過し、非透明電極5の高反射部5a又は低反射部5bで反射され、この反射光L2が基板2の光放出面側から出力される。ここに、高反射部5aからの反射光量と低反射部5bからの反射光量とが相違するために、基板2の光放出面側からモジュール1を視たとき、不均一に発光した面として視認される。
【0017】
それに対し、図3に示される発光時において、発光層41からの出射光L3は、正孔輸送層42、透明電極3、基板2を透過してモジュール1外に出力される。このとき、発光層41は拡散的な発光を行うため、基板2の光放出面側からモジュール1を視たとき、均一に発光した面として視認される。なお、この発光時においても、上記外光L1がモジュール1内に入射することにより、非透明電極5からの反射光L2がモジュール1から出射されるが、この光L2の量は、発光層41からの出射光L3よりもかなり少ないため、不均一に発光した面として視認されることはない。
【0018】
このように本実施形態に係る面状発光モジュール1によれば、モジュール1内に入射する外光L1の、非透明電極5における反射量を非透明電極の部位に応じて変わるようにしたので、非発光時に、発光時と比べて明るさが低いだけの無味乾燥なイメージを与えることがなく、興趣性に優れたものとなる。従って、例えば、発光モジュール1を部屋の壁面に設置した場合、非発光時においても単調な壁面として視認されることがなくなり、雰囲気の良い屋内空間が得られる。また、非透明電極5を反射率が異なる複数種の材料を用いて形成することにより、非透明電極5の発光層41に臨む面の反射率を容易に設定することができるようになり、興趣性の高い発光モジュールを低コストにて製作できる。
【0019】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記において発光モジュール1は有機EL型のものを示したが、無機化合物から成る発光層を有した無機EL型モジュールであってもよい。また、非透明電極5が互いに反射率の異なる3種類以上の反射面を有するように構成されていてもよい。また、非透明電極5の発光層41に臨む面に粗面処理を施すことにより、所望の反射率を持つ反射面を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 面状発光モジュール
2 基板
3 透明電極
5 非透明電極
41 発光層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な基板上に設けられる透明電極と、この透明電極上に設けられる発光層と、この発光層上に設けられる非透明電極とを備えた面状発光モジュールにおいて、
前記非透明電極の前記発光層に臨む面は、相互に反射率が異なる面により構成されていることを特徴とする面状発光モジュール。
【請求項2】
前記反射率が異なる面は、反射率が異なる複数種の材料を用いて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の面状発光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−113742(P2011−113742A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267888(P2009−267888)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】