説明

面状発熱体とこれを用いた衣料

【課題】高い保温効果を有し、且つ柔軟性、通気性及び軽量性、日常生活耐性に優れる面状発熱体と、これを利用する衣料を提供する。
【解決手段】面状発熱体1を矩形シート状の発熱部10と、その両端に配設された電極部11R、11Lとで構成される。発熱部10は横糸として金属被覆糸2、縦糸として絶縁糸3を用い、これを平織りの編織物として構成する。金属被膜糸2は、異形断面芯糸2xに対し金属被覆層210をコートした構成とする。異形断面芯糸2xは、2個のC型パターン部201、202が重畳的に配された形状を持つように形成する。これにより中空本体部212を中心とし、その円弧状側面から一対の突起201a、201b(202a、202b)を2対にわたり延出させ、これを当該異形断面芯糸2xの長手方向に沿って連続的に形成させることで、帯状スリット221、222を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は面状発熱体とこれを用いる衣料に関する。
【背景技術】
【0002】
面状発熱体は、例えば使い捨てカイロや白金触媒カイロをさらに平坦なシート状に加工したものの他、一定の電気抵抗を有する金属線をシート体内部に利用し、これに外部より給電して、ジュール熱により発熱させる構成が知られている。
金属線を利用する面状発熱体は、不燃材との組み合わせで電気炉の熱源として使用されたり、溶接手段として超高温環境で使用されるが、一般にはホットカーペットとしての利用の他、特許文献1に示すように合成繊維等に当該金属線を混紡させて、自動車用の着座センサーとして普及している。近年では、この合成繊維との組み合わせによる面状発熱体の利用が拡大しつつあり、例えば衣料への適用が模索されている。
【0003】
衣料への適用例としては、例えば衣料の表面に金属膜を形成し、当該金属膜に通電を行いジュール熱を発生させる構成(特許文献2)が知られている。
ここで、衣料に配設することを前提とする場合、面状発熱体の効果を良好に得るためには、衣料との一体感や日常生活耐性を備える特性、いわゆるウェアラブル性が重要である。当該特性としては、
(a)着衣とともに人間の動作に合わせて柔軟に追随する特性、
(b)洗濯処理等によって劣化するのを防止する特性、
(c)肌着等への適用において通気性を有すること、
(d)軽量性を備えること、
(e)高効率で保温効果を呈すること
等の諸特性を想定することができる。
【特許文献1】特開2002-270338号公報
【特許文献2】特開2005-59580号公報
【特許文献3】特開平09-111515公報
【特許文献4】特開2003-183980号公報
【特許文献5】特開2001-234468号公報
【特許文献6】特開昭63-196710号公報
【特許文献7】特開2000-96347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の面状発熱体では、上記(a)〜(e)の諸特性を総合的に満たすべきウェアラブル性について十分な配慮がなされていない状況にある。
例えば特性(a)については、衣料表面に金属膜を蒸着させる構成の場合、繊維が目詰まりして通気性が大幅に損なわれる。また、金属線を利用すると、一般繊維に比べて極端に密に編織されやすく、通気性が無くなるほか、当該金属線の太さや本数によっては面状発熱体の柔軟性が損なわれ、人体動作に追随することが困難になり易い。
【0005】
また特性(b)については、洗濯時には金属被覆層が大量の水、水圧、界面活性剤等の化学薬品に接触するので、これらに対する強度が必要である。さらに洗濯後には高温、多湿処理によるアイロン掛け、プレス処理等にも耐えうる性能が要求される。ところが、このような環境においても耐性を発揮できる材料は見出されていない。
さらに、仮に特性(a)、(b)を備えているとしても、特性(c)については具体的な対策は講じられていない。さらに(e)の保温効果についてもさらなる向上を図る必要があり、面状発熱体としては、未だ改善すべき余地が残されている。
【0006】
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであって、高い保温効果を有し、且つ柔軟性、通気性及び軽量性、日常生活耐性に優れる面状発熱体と、これを利用する衣料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、全体又はその一部が金属被覆糸で編織されたシート状の発熱部と、外部からの給電を受ける電極部とを備える面状発熱体であって、前記金属被覆糸は、中空部を有する芯糸の少なくとも一部の表面に金属被覆層が配設されてなるものとした。
ここで前記芯糸は異形断面芯糸であって、その横断面形状において、2つのリング体が、各内部空間の一部を重ね合わせた状態で配され、各リング体は、前記重ね合わせ部分以外の領域の一部において切り欠き部を有し、前記重ね合わせ部の内部を除くリング体の内部空間が、前記切り欠き部により外部解放されてなる構成とすることもできる。
【0008】
ここで前記発熱部は、編織物で構成することもできる。
さらに、前記金属被覆層の主材料には銀材料を選択することもできる。
また、前記芯糸はポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアクリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、アセテート、レーヨンのうち少なくとも1種以上からなる構成とすることもできる。
【0009】
また本発明は、前記本発明の面状発熱体における電極部に対し、外部より給電を行うための電源部と、当該給電に係る条件を調節するための制御部とが接続されてなる発熱体セットとした。
ここで、前記電極部及び前記電源部は、互いに脱着自在に接続されているものとすることができる。
【0010】
さらに本発明は、前記本発明の発熱体セットを備える衣料とした。
【発明の効果】
【0011】
以上の構成を有する本発明の面状発熱体では、使用時には外部より電極部を介して金属被覆糸に給電がなされ、当該金属被覆糸における金属被覆層においてジュール熱が発生する。
ここで、前記面状発熱体は金属被覆糸を編織して構成されるため、当該糸同士の間に一定の間隙が確保される。このため、単なるフィルム状のシート体と異なり、通気性が遮断されて失われることはない。
【0012】
また、本発明ではジュール熱による発熱手段として、中空部を有する芯糸に配設した金属被覆層を利用するため、金属線を用いた従来構成や衣料表面の繊維に一体的に金属膜を配設する従来構成に比べ、格段に柔軟に構成することができ、動作追随性に優れる。このため衣料としても最適な構成となっている。
さらに、Ag材料を利用した金属被覆繊維については製造技術が確立しており(特許文献4及び5)、これを本発明の金属被膜糸に利用すれば、洗濯処理による劣化防止等の日常生活耐性を十分備える発熱体が実現されることとなる。
【0013】
なお、当該特許文献4及び5の技術に対し、本発明ではAg材料に一定量の通常繊維を交編又は交織する方法等により、通電可能な面状発熱体とした点で明確に異なる発明である。
また特許文献3には、ニクロム線等をガラスコートした電熱線を利用する構成が開示されているが、この構成では柔軟性が得られにくく、本発明の有するウェアラブル性に及ばないことが明らかである。
【0014】
また本発明では、芯糸として中空部を有する糸を用いているため、当該中空部において空気層が確保される。このため、当該空気層が断熱材として作用し、面状発熱体の保温効果を高めることができる。
従って、一度面状発熱体に給電し、所定温度に達した後に給電を停止しても、所定期間、保温効果の持続を望むことができる。これにより、中空部を有する芯糸を面状発熱体に用いることで、発熱効果と保温効果の優れた両立を実現することができる。
【0015】
さらに本発明では、芯糸として異形断面糸を用いると、中空部と突起対との間に豊富な間隙が形成され、当該間隙が空気の滞留部(いわゆるデッドエアー部)となる。その結果、当該繊維を利用した衣料においては、見かけ上の嵩密度に対する空隙率が高くなり、前記デッドエアー部に滞留する空気層を熱媒体として、良好な保温効果が発揮される。
また当該異形断面芯糸では、突起対が一定の距離をおいて、その空間を囲むように配設されていることから、単純な突起を有する従来の井桁異形断面糸に比べ、空気層の保持力が高くなっている。このため、従来に比べて空気層の滞留効果も高く、長期間にわたる保温効果が期待できる。
【0016】
さら前記異形断面芯糸では、突起対が互いにカーブした構成となっているため、当該突起対の内面に位置する繊維面が、外部における他の繊維等と接触しにくくなっている。このため例えば当該繊維の作成後、所定の薬剤を塗布する等の後処理加工を行っても、突起の内面に塗布した薬剤が他の繊維等と擦れて脱落しやすくなる問題が効果的に防止される。よって、後処理時に付着させた薬剤を長期間維持でき、当該薬剤による効果が長期にわたり持続させることができる。
【0017】
一方、突起対の間は完全に閉じておらず、外界空気との流通は確保されている。従って、当該繊維が吸汗した場合であっても、当該汗が一定時間後には放散されるため、べたつきを抑えた肌触りの良い衣料を構成することができる。
このように、本発明における異形断面芯糸によれば、保温効果と後処理の薬剤保持効果の両立を図ることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施の形態1)
<面状発熱体の構成>
図1は、本発明の実施の形態1における面状発熱体1の構成を示す図である。
図1(a)は面状発熱体1の外観図、図1(b)は面状発熱体1の部分拡大図である。
面状発熱体1は、矩形シート状の発熱部10と、その両端に配設された電極部11R、11Lとで構成される。
【0019】
発熱部10は、図1(b)に示すように、金属被覆繊維である金属被覆糸2を横糸とし、ポリエステル等の合成繊維である絶縁糸3を縦糸として、例えば織物(平織り構造)で形成されている。これにより、一定密度で金属被覆糸2及び絶縁糸3が編織され、且つ、適度な間隙101が確保されるようになっている。なお金属被覆糸2は後述するように、異形断面形状を有する芯糸2xを用いてなり、ここでは不規則に捩れた状態を模式的に示している。
【0020】
発熱部10の発熱抵抗としては、本発明のウェアラブル性を考慮して、例えば端子間抵抗値が5Ω以上100Ω以下の範囲とすることができ、さらに10Ω以上30Ω以下の範囲に調整することが好適であると考えられる。
なお発熱部10の全体形状は、当然ながら矩形に限定せず、これ以外のパターン形状で形成してもよい。また、発熱部10においては絶縁糸3を用いることは必須ではなく、金属被覆糸2のみで発熱部10の全体を構成してもよいが、実際に適度な発熱抵抗を調節する上では、発熱部10の一部として絶縁糸3を含む構成とするのが好適である。
【0021】
一方、電極部11R、11Lは、導電性に優れる導電材料から構成された帯状体であって、発熱部10の両端部において、少なくとも発熱部10の表面に露出して配され、前記金属被覆糸2の金属被覆層210に対して電気的に接続するように、当該端部上に配設されている。
当該電極部11R、11Lは、例えば金属被覆糸2を用いて構成することができるが、発熱体10への給電手段として設ける理由から、電力損失がない(抵抗値が0である)ことが理想的である。実際には、電極部11R、11Lを構成する金属被覆糸2の編織密度、幅、厚み等の各パラメータを設定して、その抵抗値が発熱部10に対して出来る限り非常に小さくなるよう(現実的には0.1Ω程度以下まで)調整を行うことが望ましい。
【0022】
当該電極部11R、11Lには、図1(a)に示すように、ミニプラグ用ソケット12R、12Lが設けられている。当該ミニプラグ用ソケット12R、12Lは、外部電源からの給電配線を接続するためのものである。
図2は、本発明の金属被覆糸2の構成に掛かる斜視図である。図2(a)は金属被覆糸2の斜視図、図2(b)は金属被覆糸2の正面断面図である。
【0023】
図2(a)に示される金属被覆糸2は、異形断面芯糸2xに対し、その全体表面(内表面及び外表面の全て)を金属被覆層210で被覆した構成を有する。
異形断面芯糸2xは、図5に示す紡糸装置6において、図6、7に示す異形断面糸用口金100よりポリマー溶液が押し出された糸材料Lが、その後に延伸処理等の所定の後処理を経て形成されるものである。その形状的特徴として、2個のリング体の一部を切り欠いてなるC型パターン部201、202が、互いの内部空間が重ね合わされるように重畳的に配され、口金100のノズルパターン150とほぼ同様の横断面形状を持つ。中空本体部212を中心とし、その円弧状側面から突起対201a、201b(202a、202b)が2対にわたり延出され、これが各先端部2010a、2010b(2020a、2020b)で一定のギャップをおいて形成されることで、帯状スリット221、222が配設されている。
【0024】
異形断面芯糸2xの材料には、一般的な合成繊維の材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリアクリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールアセテート、レーヨンから選ばれた材料が好適である。
【0025】
金属被覆層210の材料には、Agを用いる。異形断面芯糸2xに対して金属被覆層210をコーティングするためには、公知のメッキ処理を行うことができる。
すなわち、先に前記異形断面芯糸2xを紡糸し、これを一定量ワインディングした巻糸体を作製する。そして、当該巻糸体をメッキ槽に投入し、アルカリ処理、中和処理活性化処理を順次行い、その後にAgを用いた無電解メッキを施す。
【0026】
このように、メッキ槽を用いたバッチ式を採用することにより、図2(a)(b)に示すように、芯糸2xの略全表面にわたり金属被覆層210を形成することができる。なお、通常の丸形断面糸の表面に金属被覆層を形成する方法については、特許文献4及び5に開示されている。本発明でも、当該コーティング方法については同様の方法が適用できる。
なお金属被覆糸2は、複数本を束ねて縒り糸とし、当該縒り糸を絶縁糸3と組み合わせて面状発熱体1を構成してもよい。
【0027】
また、金属被覆層210は、異形断面芯糸2xを複数本を束ねて縒り糸とし、これに一体的に金属被覆層210を配してもよい。
異形断面芯糸2xに対する金属被覆層210の被覆態様は、必要な通電性、発熱性を得るために異形断面芯糸2xに対して略全面的に層状にコーティングさせるのが望ましいが、一部コーティングしても、それなりの効果は望める。またこの他、異形断面芯糸2xに対して金属細線を巻き付けて構成してもよい。
【0028】
<面状発熱体1の効果>
以上の構成を持つ面状発熱体1は、ミニプラグ用ソケット12R、12Lを利用して給電配線に接続され、衣料の所定位置に配設される。そして、ミニプラグ用ソケット12R、12Lから所定の電力供給を受けることで、発熱作用が発揮される。
ここで、本発明の面状発熱体1は、金属被覆糸2及び絶縁糸3の編織物としても構成できる。編織物とすることにより、当該金属被覆糸2、絶縁糸3の間に均一に一定の間隙101が確保される。このため、例えば布地表面に対して一様に金属膜を配設した従来構成(特許文献2)に比べ、良好な通気性を確保することができる。また、発熱部10は繊維径、編織密度の各調節によって、金属被覆糸2及び絶縁糸3の密度を適度に維持しつつ、通気性を確保できる点で特に有効である。また、各種既存の合成繊維との交編又は交織も容易になっている。
【0029】
さらに金属被覆糸2において、金属材料は金属被覆層210のみに使用されており、当該繊維の体積の大部分が合成繊維からなる異形断面芯糸2xで構成されている。このため、中実の金属線や繊維状に一体的に金属膜を配設する従来構成(例えば特許文献2、3)に比べ、本発明は格段に軽量且つ柔軟に構成することができ、動作追随性に優れている。このため、面状発熱体1は、衣料用としても最適なウェアラブル性を備える構成となっている。
【0030】
また、Ag材料を利用した金属被覆繊維についてはすでに製造技術が確立しており(特許文献4及び5)、これを金属被覆糸2として利用すれば、日常生活耐性を十分備える発熱体を比較的容易に製造することができる。
なお本発明では、面状発熱体1を構成する上の留意点として、例えば金属被覆糸2及び絶縁糸3を所定の方法で編織してこれらの糸の混率を調整し、電極11R及び11L間の端子間抵抗値を調整することで、発熱体10における所定の発熱抵抗を確保するようにする。
【0031】
ここで、前記端子間抵抗値の調整は、金属被覆糸2の電極部11R、11Lへの接点の度合い(例えば接点数の増減)を調整することによって行える。
これにより同一の給電条件において、前記端子間抵抗値を増加(すなわち、前記接点数を低減)させれば、これに比例して発熱量を増加させることができる。また、反対に同一の給電条件において、前記抵抗値を低減(すなわち、前記接点数を増加)させれば、発熱量を低く調節することができる。
【0032】
このように発熱体1の抵抗制御は、導電糸(本実施の形態1では金属被覆糸2)と絶縁糸(3)の混率、又は前記接点数の調整のほか、発熱体1自身の形状(例えば縦・横比率)、糸2、3の編織方法等によっても調整が可能である。実際に作製する場合には、これらのパラメータに基づき、総合的に調整することが好適である。
また、発熱体10を一旦構成した上で、当該発熱体10に絶縁材料をスプレーで吹き付ける等 の被膜形成を行えば、絶縁性を向上させることもできる。
【0033】
<異形断面芯糸2xの採用による効果>
上記面状発熱体1としての効果の他、本発明では、さらに異形断面芯糸2xを用いたことによる特有の効果が得られる。
すなわち本発明の金属被覆糸2によれば、これを編織して衣料材料に用いた場合、第一の効果として、中空本体部212の内部に断熱状態で滞留される空気層が確保される。このため、これを熱媒体として円形断面を持つ中実の繊維等に比べて良好な保温効果が確保される。また、各突起対201a、201b(202a、202b)に囲まれたデッドエアー部211、213においても保温効果が確保される。また中空本体部212により空隙率(嵩密度)が高い構成であるから、比較的軽量に仕上げることができ、衣料用繊維として最適な構成となっている。
【0034】
このように、面状発熱体1では給電による発熱効果の他、当該金属被覆糸2において、良好な保温効果が発揮されるようになっている。
また、第二の効果として、突起対201a、201b(202a、202b)がデッドエアー部211、213を囲繞するように配設され、デッドエアー部211、213と対向する繊維表面については外部接触がほぼ遮断されていることから、後処理加工時に前記繊維表面に塗布された薬剤(例えば帯電防止加工剤や制菌・抗菌加工剤、防臭・消臭加工剤、遠赤外線加工剤など一般的に生地の後加工用として知られている薬剤)が、外部接触により脱落しにくい。このため異形断面芯糸2xによれば、従来技術における井桁異形断面糸に比べて後処理で付着させた薬剤を長期間維持でき、当該薬剤による効果を長期にわたり持続させることができる。
【0035】
これにより、金属被覆層210を被着させた場合であっても、当該金属被覆層210の脱落を効果的に抑制することができる。
さらに第三の効果として、突起対201a、201b(202a、202b)の間に帯状スリット221、222が存在することにより、当該金属被覆糸22に付着した汗が帯状スリット221、222を通して、その内部に吸収される。そして、その後吸収された汗は、そのまま篭もり続けることなく、外部解放された前記帯状スリット221、222を通じて外気中に放散される。この作用のため、本発明によれば、吸汗・放散効果のいずれの効果も良好に発揮され、繊維のべたつきを防止し、ドライタッチに優れる肌触りの良い衣料を構成することができる。
【0036】
なお、中空本体部212は2つのC型パターン201、202の2つの交点を通る方向に沿って、より楕円形になるように形成してもよい。しかしながら、周囲からの押圧力に対する糸の潰れにくさを考慮すれば、C型パターン201、202はいずれも真円に合わせた形状とするのが望ましいことが分かっている。
(突起対の角度について)
金属被覆糸2における突起対201a、201b(202a、202b)は、デッドエアー部211、213を確保させるために空気層を保持できる角度に調整することが必要である。この点について、具体的な検討事項を説明する。
【0037】
図2(b)に示すように、各突起対201a、201b(202a、202b)において、帯状スリット221、222に臨む先端部2010a、2010b(2020a、2020b)同士の間の角度θ(θ’)は、C型パターン部201(202)を仮想のリング体とした場合、その中心O(O’)から40°以上140°以下とする。これは、40°以下であれば、内部の空気層はほぼ外気と遮断されて流通せず、吸汗後にこれを発散しにくくなるためである。一方、角度が140°以上であれば、内部の空気層が外気に対して解放されすぎ、必要な保温効果が維持できないと考えられる。この効果をさらに良好に得るためには、前記角度を60°以上120°以下とするのが一層好適である。
【0038】
なお、この角度調整は、後述する異形断面糸用口金100において、ギャップ171、172を臨む先端部1510a、1510b(1520a、1520b)同士の間の角度を調整する上でも同様に行う必要がある(図7(b))。
さらに、本発明の金属被覆糸2を構成するC型パターン部201(202)の重畳程度は適宜変更が可能であるが、横断面における全面積のうち、全突起対201a、201b(202a、202b)の面積が占める割合は1/2以上1/3以下とするのが望ましい。これは、主として中空本体部212に対する突起対201a、201b(202a、202b)のサイズを調整し、保温効果と後処理持続効果、並びに吸汗・放散効果の両立を図るためである。
【0039】
<紡績装置6の構成>
ここでは、前記異形断面芯糸2xを紡糸するための紡績装置6の構成について説明する。図5は、紡績装置6の構成を示す図である。
紡績装置6は、いわゆる溶融紡糸法方式を採用する溶融紡糸装置であって、上流側からチップタンク17、装置本体部20、異形断面糸用口金100、冷却空気吹付セル30、冷却筒40、及びオイリングローラR1、R2、ゴデットローラR3、R4、未延伸スプールSP等で構成される。
【0040】
チップタンク17は、糸材料となる樹脂チップを投入し、これを一定量収納して、適宜下流側に材料を供給するものである。
チップタンク17に投入される樹脂チップとしては、例えば各種合成繊維材料をペレット状にしたものを用いる。合成繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリアクリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールが好適である。これらの材料のいずれかを単独、または2種類以上を混合して用いることができる。
【0041】
装置本体部20は、押出機21、ポリマー溶液流路24、計量ポンプ22、スペース部23がこの順に接続された構成を持つ。
押出機21は、チップタンク17から供給される樹脂チップを内部通路とスクリューとの間に充填させて搬送するものであり、スクリューを回転させて搬送しつつ、樹脂チップを加熱溶融させてポリマー溶液とし、これをポリマー溶液流路24を通じて計量ポンプ22へ導入する。なお流路P1は予備通路である。図5において、押出機21は外装を断面図で示している。
【0042】
計量ポンプ22は、精密なギアポンプで構成されており、前記ポリマー溶液を予め定められた分量ずつスペース部23に吐出し、これを異形断面糸用口金100へ搬送する。そして、所定の圧力で異形断面糸用口金100よりポリマー溶液を吐出させる。
冷却空気吹付セル30は、異形断面糸用口金100より吐出される糸材料Lに対し、流路V1を通じてその側面より送風する役目をなす。尚、当図では糸材料Lは一本で示しているが、実際には後述のノズルスリット150の個数に応じた本数の糸材料が存在する。
【0043】
冷却筒40は、一定の長さを持つ筒体であって、前記冷却空気吹付セル30から搬送される糸材料に対し、流路V2、V3を通じてさらに送風することで、これを冷却するものである。
オイリングローラ(油剤塗布ローラ)R1、R2、ゴデットローラ(巻き取り速度調整ローラ)R3、R4、未延伸スプールSPは、所定の引き取り速度に基づいて、摩擦の発生を抑制して高速で糸を巻き取るための構成である。
【0044】
以上の構成を持つ紡績装置6の全体的な動作としては以下の通りである。
駆動開始時にオペレータはまず、所定の樹脂チップをチップタンク17に投入する。
そして、前記樹脂チップを押出機21において、これに内蔵されるスクリューの回転によって搬送されつつ加熱・溶融させる。
溶融された材料は、押出機21に内蔵されたギアポンプにより精密に流量を計測しつつ、口金より吐出される。当該吐出された糸材料Lは、下流側に配された各ローラR1〜R4を経て、未延伸スプールSPにて巻き取られる。当該巻き取られた未延伸の糸材料Lは、その後、所定の延伸工程において処理される。これにより異形断面芯糸2xが完成する。
【0045】
<異形断面糸用口金100の構成>
図6は、上記紡糸装置6に装着される異形断面糸用口金100の構成を示す上面図である。図7(a)は図7(b)のx-x”線に沿った口金断面図、図7(b)は、ノズル板140の正面図をそれぞれ示す。
異形断面糸用口金100は、前記スペース部23の下流側に装着されるものであって、スペース部23から供給されるポリマー溶液を穿孔部130に導入し、これをノズルスリット150より吐出させて、所定の異形断面芯糸2xを紡糸するものである。
【0046】
異形断面糸用口金100の構成としては、強靭性、耐食性、高硬度に優れる合金材料(例えば析出硬化系ステンレスであるSUS630材料)からなり、これを削り出し又は放電加工等を施すことで形成されている。
異形断面糸用口金100は、図5、図6(a)に示すように一定の厚みを持つ円盤状の口金本体部101を有し、その主面中央には、当該異形断面糸用口金100を厚み方向へ貫通するように、装置本体部20への装着機能をなす小径部1031及び大径部1032を備える開口部103が形成されている。一方、異形断面糸用口金100の前記主面には、その外縁付近に沿って、円周状に一定の幅の溝部102が形成されている。
【0047】
当該溝部102には、当該口金本体部101を貫通して合計50個の円形穿孔部130一定間隔毎にが形成され、各穿孔部130の内部にはそれぞれ所定のノズルスリット(孔)150が施されたノズル板140が配設されている。
ノズル板140に設けられたノズルスリット150は、図7(b)に示すように全体的には2つのリング状スリットの一部を切り欠いてなるC型スリット部151、152が互いに対称的に重なり合ったパターニング形状を持つ。具体的には、2つのC型スリット部151、152の各中央付近において、前記C型スリット部151、152の各円弧部分を一連の閉じた周縁とする環状のスリット本体部153が形成されている。また、当該スリット本体部153以外のC型スリット部151、152の各円弧の部分では、前記スリット本体部153を挟んだ左右両端側に、当該本体部153を点中心とする対称位置に、突起状スリット対151a、151b(152a、152b)が形成されている。
【0048】
各突起状スリット対151a、151b(152a、152b)は、各対をなす突起状スリット151a及び151b(152a及び152b)がその先端部1510a、1510b(1520a、1520b)の間隙に、切り欠き部であるギャップ171(172)をおいて対向された状態で、当該ギャップ171(172)において収束するように互いに対称的にカーブして配されている。これにより、当該両突起状スリット151a及び151b(152a及び152b)の間には、空間領域161(163)が確保されている。
【0049】
なお、ノズルスリット150のパターニング制約上(ノズル板140を一体的に保持するため)、当該ノズル板140にはスリット本体部153をなすスリット領域151c、152cの一部を分断するギャップ153、154が存在するが、当該異形断面糸用口金100で形成される異形断面芯糸2xは当該ギャップ153、154で分断されることはなく、一連の中空本体部212が形成される。
【0050】
また、異形断面糸用口金100の材料としては、当然ながら上記ステンレス以外でも使用可能である。
さらに、異形断面糸用口金100に設ける円形穿孔部130の数も、紡糸する規模等に合わせて適宜変更が可能であることは言うまでもない。
<ベストジャケット5の構成>
次に、上記本発明の面状発熱体1の具体的適用例について説明する。
【0051】
図3(a)、(b)は、本発明の面状発熱体を内蔵するベストジャケット(発熱ベスト)の模式的な構成を示す図である。
当図に示されるベストジャケット5は、ベストジャケット5と、発熱体セット16とで構成される。
ベストジャケット5は、ベスト本体50と、ポケット51R、51Lを有し、中綿・外ナイロンの構成からなる。主な用途としてはスウェットパーカーやネルシャツのアンダーウェアとして用いられる構成を想定している。ここで、その素材に遠赤素材を用いることで、保温効果を高めるようにしてもよい。
【0052】
前記面状発熱体1は、一例として、ユーザの首筋付近に対応するエリアAに対し、不図示の面ファスナーで脱着自在に固定されている。当該エリアAへの配設は、ユーザに対し最も適した温感領域を考慮したものであるが、本発明の面状発熱体1は、当然ながらこれ以外のエリア(例えば腰痛対策等の所定患部に対応するエリア)に設けてもよいし、ベストジャケット5の内面全体にわたり配設するようにしてもよい。
【0053】
なお、面状発熱体1は面ファスナーにより脱着自在にされているが、これはメンテナンス性を考慮したものであって、当該面状発熱体1自体は洗濯処理等に対して耐性を有するように構成されているので、この脱着自在構成は必須ではない。従って、直接縫製によりベスト本体50に固定してもよい。
発熱体セット16は、面状発熱体1、コントローラCL、バッテリーケースBTを給電方向上流側とし、下流側にコントローラCL、面状発熱体1を同順に配線4で電気接続することで構成される。
【0054】
面状発熱体1のソケット12R、12Lは、配線4におけるライン40R、40Lの各端部に設けられたプラグ41R、41Lに対して接続されている。ライン40R、40LはそれぞれコントローラCLから面状発熱体1付近まで延出される。コントローラCLは、ユーザが操作しやすい位置(ポケット内)に設けられている。
なお、プラグ41R、41L及びソケット12R、12Lは、互いに脱着が容易になるように設けているものであって、結線として配線を行う場合にはこれを省略することもできる。
【0055】
バッテリーケースBTは、駆動源の一例として単四型(AAA)アルカリ電池2本を直列接続で内蔵し、配線42R、42Lに対して3V出力を呈する構成である。当該配線はコントローラCLにおいて。配線40R、40Lと接続され、面状発熱体1へ電力供給される。内蔵電池としては当然ながらこれ以外の種類、規格品、或いは専用品であってもよい。ボタン型電池を使用すれば、軽量化が望める。また、二次電池を利用すれば、ランニングコストの低減が望める。二次電池のうち、リチウムイオン電池を用いれば、軽量且つ高出力を期待することができる。
【0056】
コントローラCLは、発熱体の温度調節手段であって、筐体200にボタンスイッチCL1、調節ダイヤルCL2が備えられ、内部に所定の可変抵抗素子とプッシュ型(ボタン)スイッチが直列接続された基板が配設されている。当該コントローラCLは、バッテリーケースBTから供給される電力に基づき、ボタンスイッチCL1にて供給電力のON/OFF制御を行い、ダイヤルCL2にて抵抗値調整(発熱体の温度調整)を行う。
【0057】
なお、コントローラCLは必須の構成ではなく、これを省いて、直接バッテリーケースBTと面状発熱体1とを配線4で接続してもよいが、細やかな温度設定を行うために、コントローラCLを用いることが望ましい。
また、面状発熱体1に外部より公知のサーモスタット素子を配設し、当該素子による温度をコントローラCLの基板にて管理し、面状発熱体1における一定の発熱温度値を上限として、当該温度値に達したときは配線42R、42Lへの給電をオートカットする省電力化・安全化対策を講じることもできる。
【0058】
以上の構成によれば、ユーザの動作に併せて面状発熱体1の形状変形が追随し、良好な動作が可能である。また、前述のように金属被覆糸2、絶縁糸3の間隙101により通気性も確保されている。
なお、ここでは面状発熱体をベストジャケットに適用する例について説明したが、本発明の衣料は当然ながらこれ以外の衣料に適用してもよい。上着、肌着の他、ズボン、手袋、靴下等に利用することも可能である。
【0059】
<その他の事項>
(芯糸の形状について)
上記実施の形態では、芯糸として異形断面芯糸2xを用いる構成を例示したが、本発明の金属被覆糸に用いる芯糸は、中空部を有する構成であればよく、前記異形断面芯糸2xの構成に限定しない。
【0060】
例えば、内部が中空の丸形断面形状を持つ芯糸、或いは、図8(a)、8(b)に示す井桁断面形状或いはその変形形状を持つ芯糸を用いることができる。このような構成であっても、中空部の存在により一定の保温効果を望むことができる。しかしながら、前記デッドエアー部211、213の存在による保温効果と汗の放散効果の両立を望むのであれば、前記異形断面芯糸2xを使用することが望ましい。
【0061】
(セラミックス材料を含む異形断面芯糸について)
上記実施の形態1では、異形断面芯糸2xの材料に一般的な合成繊維材料を用いる構成について説明したが、本発明では、セラミックスを添加した材料からなるセラミックス入の異形断面芯糸とすることもできる。
セラミックス材料としては、ZrC、TiC等炭化物系、CaO、Al2O3、SiO2、MgO、Ni2O3、TiO2、Fe2O3等の各種材料からなるセラミックスが利用できる。
【0062】
このような構成のセラミックス入異形断面芯糸によれば、上記実施の形態1で述べた形状による効果に加え、セラミックス成分が有する遠赤外線によって、良好な保温効果が奏されるので好適である。このとき、セラミックス成分自体の赤外放射と、繊維自体の放射による複合的な放射が期待でき、従来に比べて大幅な保温効果が期待される。
また、セラミックス成分は、合成繊維材料と練り合わせて混合させることにより、洗濯を行ってもセラミックス成分が脱落しにくく、良好な耐洗濯性を付与することができる。このような性能は、製造した繊維を二次加工する上でも大きなメリットととなる。
【0063】
具体的な製造方法としては、市販されているセラミックス粉体材料を利用するか、昴輝石等の天然鉱石を粉砕加工し、平均粒径約1.0μm程度のセラミックス粒子を得る。粒径としては、なるべく小さいものを使用すると、同一の重量比において粒子表面積を増大させ、遠赤外効果を高めることができるため望ましい。
前記用意したセラミックス粒子を、例えば予め前記樹脂チップと攪拌しながら予備混合をする。そしてこれを2軸押出機に供給して、溶融混練してペレット化する。セラミックス粒子と樹脂とが複合化された該ペレットを前記樹脂チップとしてチップタンクに投入し、押出機21にて溶融押出することで、後は実施の形態1と同様の方法に基づいてセラミックス入異形断面芯糸を作製できる。
【0064】
ここで、セラミックス粒子と樹脂の複合化に用いるミキシング装置としては公知のミキシング装置が限定なく使用できるが、好ましくは複数のスクリューやロールを使用するミキサーおよび押出成形機、単軸の押出成形機や射出成形機等が例示できる。セラミックス含有率は樹脂チップとセラミックス粒子との比率により適宜変更可能であるが、セラミックス粒子の量が少なすぎると遠赤外効果が得られにくくなり、セラミックス粒子の量が過剰であると、セラミックス入異形断面芯糸の強度が低下するため注意を要する。糸強度を保つためのセラミックス粒子添加量は糸強度を確認しつつ適宜決定すればよいが、例えば20%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下の範囲であることが例示できる。
【0065】
なお、セラミックスを含む繊維の遠赤外効果に関しては、例えば ”遠赤外線セラミックスの常温利用” 材料技術 Vol.11、No.4,1993 に詳しい。
(発熱部10の構成について)
本発明の発熱部10に係る編織物としては、実施例のフライス編みに限定されるものではなく、例えば図4に示すように平編み(天竺編み、シングルジャージー)としてもよく、さらに、ゴム編み(フライス編み、リブ編み)、パール編み等の丸編地やその他の横編地、デンビー編み、アトラス編み、コード編み、クサリ編み等の縦編地、または織物の構成とすることが挙げられる。
【0066】
本発明では、発熱部10をいずれの構成の編織物としてもよい。
金属被覆層210は、芯糸の少なくとも一部の表面(例えば外評面のみ)に配設してもよい。このような構成でも、金属被覆層の配設規模に応じた発熱効果が得られることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、例えば衣料に対して脱着可能に配設可能な携帯用カイロとして利用することができる。
本発明は、例えば防寒具等の保温性が要求される衣料として利用できる。また、後処理性に優れるため、例えばプリントシャツの生地、或いは交通安全標識用の反射マーク付きコート等の生地として利用することができる。衣料の形態としては、上着、肌着の他、ズボン、手袋、靴下等のいずれにも利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態1における面状発熱体の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1における金属被覆糸の構成例を示す図である。
【図3】面状発熱体の適用例を示す図である。
【図4】面状発熱体のその他のバリエーションを示す図である。
【図5】異形断面芯糸の紡績装置の構成例を示す図である。
【図6】異形断面芯糸を作製するための口金の構成例を示す図である。
【図7】異形断面芯糸を作製するための口金の構成例を示す図である。
【図8】異形断面芯糸のバリエーションを示す図である。
【符号の説明】
【0069】
CL コントローラ
BT バッテリーケース
R1、R2 オイリングローラ
R3、R4 ゴデットローラ
SP 未延伸スプール
1 面状発熱体
2 金属被覆糸
2x 異形断面芯糸
3 絶縁糸
4 配線
5 ベストジャケット(発熱ベスト)
6 紡績装置
10 発熱エリア
11R、11L 電極部
12R、12L ミニプラグ
16 発熱体セット
17 チップタンク
20 装置本体部
21 押出機(エクストルーダ)
22 計量ポンプ
23 スペース部
24 流路
30 冷却空気吹付セル
40 冷却筒
40R、40L、42R、42L ライン
41R、41L ソケット
100 異形断面糸用口金
101 間隙
130 穿孔
140 ノズル板
150 ノズルスリット
151、152 C型スリット部
151a、151b、152a、152b 突起状スリット
171、172 ギャップ
201、202 C型パターン部
201a、201b、202a、202b 突起対
210 金属被覆層
211 デッドエアー部
212 中空本体部
211、222 帯状スリット
1510a、1510b、1520a、1520b、2010a、2010b、2020a、2020b 先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体又はその一部が金属被覆糸で編織されたシート状の発熱部と、外部からの給電を受ける電極部とを備える面状発熱体であって、
前記金属被覆糸は、中空部を有する芯糸の少なくとも一部の表面に金属被覆層が配設されてなる
ことを特徴とする面状発熱体。
【請求項2】
前記芯糸は異形断面芯糸であって、
その横断面形状において、2つのリング体が、各内部空間の一部を重ね合わせた状態で配され、
各リング体は、前記重ね合わせ部分以外の領域の一部において切り欠き部を有し、
前記重ね合わせ部の内部を除くリング体の内部空間が、前記切り欠き部により外部解放されてなる
ことを特徴とする請求項1に記載の面状発熱体。
【請求項3】
前記発熱部が、編織物で構成されてなる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の面状発熱体。
【請求項4】
前記金属被覆層の主材料は銀材料である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の面状発熱体。
【請求項5】
前記芯糸は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアクリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、アセテート、レーヨンのうち少なくとも1種以上からなる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の面状発熱体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の面状発熱体における電極部に対し、外部より給電を行うための電源部と、当該給電に係る条件を調節するための制御部とが接続されてなる
ことを特徴とする発熱体セット。
【請求項7】
前記電極部及び前記電源部は、互いに脱着自在に接続されている
ことを特徴とする請求項6に記載の発熱体セット。
【請求項8】
請求項7に記載の発熱体セットを備える
ことを特徴とする衣料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−91246(P2008−91246A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271853(P2006−271853)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】