説明

面発光装置及び液晶表示装置

【課題】 フィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置に適用可能で、消費電力が少なく薄型の面発光源を提供する。
【解決手段】 フィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置10に用いる面発光源20の光源として、三原色を独立して発光することが可能な、LED光源50と有機EL54とを組み合わせた構成とした。これにより、消費電力が少ない色の発光ダイオードと消費電力が少ない色の有機ELとを組み合わせたフィールドシーケンシャル用の面発光源20を提供することができるので、開口率が高く高精細で、且つ、消費電力が少なく携帯型の電気機器に適した液晶表示装置10を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に用いる面発光装置に係り、特に三原色を独立して発光することが可能な面発光装置及びその面発光装置を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置用バックライトの光源として、LED、有機EL、又は蛍光管を用いた面発光型バックライトが知られている。更に、液晶表示装置の消費電力を減少させて小型化し、携行容易な携帯機器を提供するために、これらの光源を単体で用いた面発光型バックライトや、これらの光源を組み合わせて用いた面発光型バックライトが知られている。
【0003】
前記光源を組み合わせた光源装置として、青色LEDからなる光源と、該光源が対向して配置された棒状の導光体と、該棒状導光体が一端面側に配置された楔形導光板を備えた上部光源部と、前記上部光源部のさらに背面側に配置され、上部光源部方向の一面側にのみ黄色光を発光する有機ELとからなる発光部を備えた下部光源部とを有する光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の光源装置では、発光ダイオードを備えた光源部から発光される発色光と、有機ELを備えた光源部から発光される発色光の混色によって、白色光が生成される。これにより、白色光を生成するために2次励起を利用することがなく、また、有機ELにより補色である発光色を直接発光することができるので、エネルギー効率に優れた白色光源を得ることを目的としている。
【0005】
また、フィールドシーケンシャル方式を採用する液晶表示装置用の面発光型バックライトとして、小型化と低消費電力を実現するために、赤、緑、青色光を発光するバックライトと、各スイッチング素子を各画素の赤、緑、青のデータに対応してスイッチングするためのデータドライバ及びスキャンドライバとを備えると共に、バックライトの赤、緑、青の時分割した光の発光時間を調節することにより、カラーバランスを調節して、表示色の特性を改善する発明が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−100229号公報(第3図)
【特許文献2】特開2000−28984号公報(第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の有機ELを用いた光源装置は、エネルギー効率が割合良好であるために、携帯型の電子機器に応用することができる。ところが、特許文献1に記載の光源装置では、青色発光ダイオードと黄色を発光する有機ELとを組み合わせることによって白色のバックライト光源を形成している。したがって、三原色毎に時分割した光を発光することによりカラー表示を行うフィールドシーケンシャル方式のバックライトに応用することができないという不具合を生じていた。
【0007】
なお、フィールドシーケンシャル方式を採用するカラー液晶ディスプレイは、三原色のカラーフィルタを使ってカラー表示を行うカラー液晶ディスプレイと比較すると、一つの画素で全ての色を表現することができるので3倍の解像度を得ることができ、開口率を高くすることができる。
【0008】
更に、フィールドシーケンシャル方式を採用するカラー液晶ディスプレイは、カラーフィルタが不要であることにより透過率を2倍程度高くすることができる。また、フィールドシーケンシャル方式を採用するカラー液晶ディスプレイは高速動画表示可能であり、インパルス型駆動を行うことにより鮮明な動画表示を行うことができるという種々の利点を有しているので、今後用途の拡大が期待される液晶表示方式である。
【0009】
また、特許文献1の図3に示されている光源装置では、独立した有機ELと独立した導光板とを設けているために、有機ELを追加したぶんバックライトの厚さが厚くなってしまい、薄型の液晶ディスプレイが要求される携帯機器に適用すると、携帯機器の薄型化や小型化が困難であるという不具合を生じていた。
【0010】
特許文献2に記載の液晶表示装置の液晶表示制御方法では、フィールドシーケンシャル方式を採用した液晶表示装置において、バックライトに用いている赤色発光ダイオードの発光輝度が、他の青色発光ダイオード、及び緑色発光ダイオードの発光輝度と比較して低いことに鑑みて、他の緑色発光ダイオード及び青色発光ダイオードよりも赤色発光ダイオードの発光時間を長く設定することにより、赤色発光ダイオードの数量を増加させることなく表示色の色渡を調整している。
【0011】
また、フィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置に用いるバックライトでは、光量の比率が、赤:緑:青=3:6:1の比率に設定することにより、人が見た場合のホワイトバランスを保つことができる。したがって、発光光量のバランスを取ろうとすると、輝度の低い緑色発光ダイオードに対して多くの電流を流す必要があるために、液晶表示装置の消費電力が増大してしまい、携帯機器に対する応用が不利になるという不具合を生じていた。
【0012】
その一方、有機ELの場合には、発光ダイオードと比較して青色及び赤色の発光効率が悪い傾向があるために、青色及び赤色の消費電力が多いという状況が見られる。
【0013】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、フィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置に適用可能であると共に、消費電力が少なく薄型の面発光源及びその面発光源を用いた液晶表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、本発明は、三原色を独立して発光することが可能な面発光源の光源として、発光ダイオードと有機ELとを組み合わせて用いる構成とした。
【発明の効果】
【0015】
上記の面発光源によれば、三原色を独立して発光することが可能な面発光源の光源として、発光ダイオードと有機ELとを組み合わせて用いるようにしたので、発光効率の良い光源同士を組み合わせて使用することが可能となり、消費電力の少ない面発光源を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明に係る面発光装置は、例えば赤、緑、青の三原色を時間順次で切り替えて発光する。そして、面発光装置が三原色の各色を発光している間に、その発光している色の画像を液晶表示素子が形成するフィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置に適用することを可能としている。フィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置では、赤フィールド、緑フィールド、青フィールドの各色毎の画像形成を時間順次で繰り返すことにより、時間混色を生じさせてカラーの画面表示を行っている。
【0018】
カラー液晶表示装置を備える携帯型の電子機器では、バックライトを含む液晶表示装置全体を小型にする要求があることに加え、電子機器の動作時間を確保するために、消費電力が少ないことが特に求められる。
【0019】
そこで本発明では、フィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置用に三原色を独立して発光することが可能な面発光源の光源として、発光ダイオードと有機ELとを組み合わせて用いる構成とした。
【0020】
これにより、消費電力が少ない色の発光ダイオードと消費電力が少ない色の有機ELとを組み合わせたフィールドシーケンシャル用の面発光源を提供することができるので、開口率が高く高精細で、且つ、消費電力が少なく携帯型の電気機器に適した液晶表示装置を提供することができる。
【0021】
また、本発明は、光源の発光スペクトラムを狭めて三原色の色特性に補償する補償板を備える構成とした。
【0022】
これにより、有機EL等の光源が発する広い発光スペクトラムを狭めて、フィールドシーケンシャル方式の三原色のバックライト特性に適した光を発光する面発光源を提供することが可能となる。
【0023】
また、本発明は、発光ダイオードとして青色発光ダイオード及び赤色発光ダイオードを用い、前記有機ELとして緑色有機ELを用いる構成とした。
【0024】
青色及び赤色の有機ELよりも発光効率が良くて消費電力の少ない青色及び赤色の発光ダイオードを光源として用いると共に、緑色の発光ダイオードよりも発光効率が良くて消費電力の少ない緑色の有機ELを光源として用いる。これにより、消費電力が少なく携帯型の電気機器に適した、フィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置用面発光源を提供することができる。
【0025】
また、本発明は、発光ダイオードが発光する光を発光面に導く導光板を備え、前記導光板の下部に前記有機ELを配置する構成とした。
【0026】
これにより、発光ダイオード及び有機ELの組み合わせのうち、発光効率の良い組み合わせを選択して面発光源を構成することができる。また、局部的に発光輝度の高い発光ダイオードについてエッジライト方式を採用した小型の面発光源を提供することができる。
【0027】
また、本発明は、発光ダイオードが発光する光を発光面に導く導光板を備え、前記導光板の下面に前記有機ELを形成した。
【0028】
これにより、発光ダイオード及び有機ELのうち、発光効率の良い組み合わせを選択して面発光源を構成することができる。また、局部的に発光輝度の高い発光ダイオードについてエッジライト方式を採用し、小型で薄型の面発光源を提供することができる。
【0029】
また、本発明は、発光ダイオードが発光する光を発光面に導く導光板を備え、前記導光板に前記有機ELを組み込んだ構成とした。
【0030】
これにより、発光ダイオード及び有機ELのうち、発光効率の良い組み合わせを選択して面発光源を構成することができる。また、局部的に発光輝度の高い発光ダイオードについてエッジライト方式を採用し、小型で薄型の面発光源を提供することができる。
【0031】
また、本発明は、液晶表示装置に上記の各面発光源を用いる構成とした。
【0032】
これにより、消費電力が少なく携帯型の電気機器に適した、フィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置を提供することができる。
【0033】
以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。
【0034】
図1は、エッジライト方式の導光板52に有機EL54を組み込んだ構成の面発光装置20、及び光学シート60を、液晶表示素子70の背面に設けた液晶表示装置10を模式的に示す断面図である。また、図2は、エッジライト方式の導光板152の下部に有機EL154を有する面発光装置120、及び光学シート60を設けた液晶表示装置110を模式的に示す断面図である。
【0035】
図1に示すように、液晶表示装置10は、透過する光の光量を画素毎に調節して表示画面を形成する液晶表示素子70と、液晶表示素子70に対して下面から三原色を独立して時分割で照射することが可能な面発光装置20と、面発光装置から出射された光の照射方向や色調を整える光学シート60とから構成されている。
【0036】
面発光装置20は、例えば赤、緑、青の三原色を独立して発光することが可能である。発光する三原色は、以下に示す赤、緑、青の三色を発光する代わりに、黄色、マゼンタ、シアンの三色を発光するものであってもよい。また、以下の記載では便宜上三原色と表記するが、発光する光は三原色に限定するものではなく、他の色を加えてもよい。
【0037】
面発光源20は、三原色を独立して発光することが可能な発光ユニットで、例えばフィールドシーケンシャル方式のカラー液晶表示装置に用いることができる。フィールドシーケンシャル方式を採用するカラー液晶ディスプレイは、三原色のカラーフィルタを使ってカラー表示を行うカラー液晶ディスプレイよりも高い解像度と高い開口率を得ることができる。したがって液晶の透過率が高くなり、低消費電力を実現することができる。
【0038】
面発光装置20は、例えば赤色を発光する赤色発光ダイオード及び青色を発光する青色発光ダイオードから構成されるLED光源50と、LED光源50が発光した光を側面から入射して、その入射した光を液晶側の一面全面に、極力均一な光量となるように導いて出力する導光板52と、導光板52の下面に到達した光を反射する反射層58とを備えている。
【0039】
また、面発光装置20は、その背面に有機EL54に大気中の水分が接触することにより有機EL54の寿命が短くなることを防止するキャップ59を設けてある。キャップ59の内部には、例えばN2 を充填するとともに乾燥剤を封入し、有機EL54に対する防湿効果を高めることができる。
【0040】
本発明の第1実施例では、有機EL54を導光板52に組み込んだ構成としている。有機EL54を導光板52に組み込むことによって、液晶表示装置10を薄型にすることができ、携帯型の電子機器に応用した場合に電子機器を小型化することができる。
【0041】
LED光源50及び有機EL54の発光色は、赤、緑、青の各色のいずれの組み合わせであってもよいし、黄、マゼンタ、シアンの各色のいずれの組み合わせであってもよい。ただし、LED光源と有機EL54との間に以下のような関係がある場合には、使用する色の組み合わせを選択するとよい。
【0042】
例えば、LED光源50として赤色発光ダイオード及び青色発光ダイオードを用いた場合には、有機EL54として緑色を発光する素子を用いる。
【0043】
一般に、フィールドシーケンシャル方式のカラー液晶表示装置に用いるバックライトでは、各発光色の光量の比率を、赤:緑:青=3:6:1とした場合にホワイトバランスを保つことができる。したがって、緑色の発光量を多くする必要があるが、このままでは緑色の発光ダイオードを発光させるための消費電力が増大してしまい、携帯型の電子機器に応用した場合に電子機器の動作時間が制限されるという不具合を生ずる。
【0044】
一方、有機ELは、赤、青の色を発光する素子の消費電力が多いという傾向がある。したがって、緑色の光源として有機ELを用い、赤色、及び青色の光源としてLED光源を用いて面発光装置20を構成することによって、全ての色についてLED光源を用いた場合や全ての色について有機ELを用いた場合と比較して、面発光源20の消費電力を減少させることができる。
【0045】
そして、この面発光装置20を携帯型の電子機器に組み込むことによって、動作時間の長い電子機器を提供することができる。また、赤、青の光源にLED光源を用い、緑の光源に有機ELを用いることによって、高NTSC比(National・Television・System・Committee・Ratio:NTSC規格色渡座標の三角形の面積と比較した面積比(%)であり、色の鮮やかさを示す指標)で高コントラストを維持しつつ、消費電力を低減させることができる。
【0046】
次に導光板52の機能について説明する。導光板52の側面に、LED光源50から赤色及び青色の光を入射すると、その入射した光は導光板52の内部を反射しながら進む。エッジライト方式の導光板52の内部に放射された光は導光板52の内部を進むうちに導光板52の上面又は下面に到達する。導光板52の上面に到達した光のうち、導光板52の上面に対して臨界角以上の角度で入射した光は導光板52の液晶表示素子70側の面から出射される。このときに出射される光は、屈折により浅い角度で出射される。臨界角とは、導光板52とその外部の物質の屈折率の割合に応じて定まる定数である。導光板52の上面に対して臨界角以下の角度で入射した光は、導光板52の上面内側で全反射して、再度導光板52の内部を透過してゆく。
【0047】
一方、導光板52の下面に到達した光は、導光板52の下面に設けた反射層58により全反射して、再度導光板52の内部を透過してゆく。このように内部反射を繰り返して、導光板52の側面から入射した光の殆どが液晶表示素子70側に出射される。
【0048】
なお、導光板52の下面に照射した光を液晶表示素子70側に反射させるプリズム56を適宜配置して、導光板52の液晶表示素子70から出力する光の光量をより均一にするように構成してもよい。また、プリズム56は、LED光源50からの距離に応じて同心円状に配置してもよいし、LED光源50から距離が離れるほど密に配置してもよい。
【0049】
また、導光板52の液晶表示素子70側の面から出射される光の光量をより均一にするために、導光板52の下面を、LED光源50側の側面から反対側の側面にかけて先細りの楔形形状にしてもよい。
【0050】
次に、光学シート60の構成について説明する。光学シート60は、導光板52の液晶側の一面から出力される角度の浅い光の向きを屈折により変更させるドット印刷62と、導光板52から出力された光を更に全方向に拡散させて光量斑を減少させる拡散部材64と、拡散部材64が全方向に拡散した光をX方向及びY方向に立たせて入射した光を垂直方向に集光させて利用者が垂直方向から液晶表示装置10を見た際の明るさを増大させる働きをするプリズムシート66X、66Yと、有機EL54等の光源が発する広い発光スペクトラムを狭めてフィールドシーケンシャル方式に適した三原色のバックライト特性に補償する補償板68とを備えている。なお、補償板68は、三原色の色補償を行うために複数枚設けてもよいし、液晶を透過する色の補償を併せて行うように選択してもよい。
【0051】
次に、液晶表示素子70の構成について説明する。液晶表示素子70は、面発光装置20が発光した光のうち、一方向の振動成分の光を透過させる偏光板72、92と、液晶層84を保持するガラス基板74、90と、画素を構成する液晶に電圧を印加する画素電極76及び共通電極88とを有している。ガラス基板74の表面にはTFTや画素電極、配向膜(図示せず)が形成されている。また、対向ガラス基板90の表面には、共通電極88や配向膜(図示せず)が形成されている。
【0052】
液晶表示素子70が、ノーマリーホワイトモードの表示素子である場合には、偏光板72の偏光特性と液晶層84の下面に整列している液晶の偏光特性を一致させておく。ノーマリーホワイトモードの液晶表示素子とは、無電圧印加時に光の透過率が高く電圧印加時に光の透過率が低い液晶表示装置をいう。液晶分子は、それぞれの配向方向に従って、90度ねじれた配列で並んでいるので、偏光板92の偏光特性と液晶層84の上面に整列している液晶の偏光特性を一致させておくことによって、液晶の分子に沿う形で90度回転した光が偏光板92を透過して、液晶表示素子70から出力される。
【0053】
液晶表示素子70の各画素毎の明るさを設定して画像を表示する場合には、液晶表示素子70の外部に設けられている走査電極駆動回路が液晶表示素子70の走査電極(図示せず)を順次一本ずつ選択し、その選択した走査電極に画素の明るさに対応した電圧を印加する。電圧が印加されると、TFTを介して画素電極76と共通電極88との間に電圧が印加されて、液晶分子は電圧に応じた位置まで回転する。電圧を印加しない状態では偏光板72を透過した光の全てが液晶の分子に沿って90度回転していたが、液晶分子が回転したことにより偏光板72を透過した光の一部は直接偏光板92に到達する。偏光板92の偏光方向は、偏光板72の偏光方向と90度異なるので、液晶層84を直接透過した光は液晶表示素子70の外部には出力されず、その画素電極76の部分だけ光の透過率が低下して暗くなる。全ての画素電極76について同様な状況を作り出すことによって、液晶表示装置10に画像を表示することができる。
【0054】
フィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置では、面発光装置20が三原色(例えば赤、緑、青)を順次切り替えて発光し、その三原色の各色を発光している間に液晶表示素子70がその発光している色の画像を形成する。これを赤フィールド、緑フィールド、青フィールドの色毎に順次繰り返すことによって、時間混色によりカラーの画面表示を行うことができる。
【0055】
次に、エッジライト方式の導光板52の下部に有機EL154を設けた液晶表示装置110について、図2を用いて説明する。なお、図1において説明した構成部品と同一の部品については同一の符番を付して説明を省略する。図2に示すように、液晶表示装置110は、透過する光の光量を画素毎に調節して表示画面を形成する液晶表示素子70と、液晶表示素子70に対して下面から三原色を独立して時分割で照射することが可能な面発光源120と、面発光源120から出射された光の照射方向や色調を整える光学シート60とから構成されている。
【0056】
面発光装置120は、三原色を独立して発光することが可能な発光ユニットで、例えばフィールドシーケンシャル方式のカラー液晶表示装置に用いることができる。面発光装置120は、例えば赤色発光ダイオード及び青色発光ダイオードから構成されるLED光源50と、LED光源50が発光した光を側面から入射して、その入射した光を液晶側の一面全面に、極力均一な光量となるように導いて出力する導光板152と、有機EL154を形成するガラス基板153と、導光板152の下面から透過した光及び有機ELが発光した光を反射する反射層58とを備えている。また、面発光装置120は、その背面に有機EL154に大気中の水分が接触することにより有機EL154の寿命が短くなることを防止するキャップ59を備えている。
【0057】
次に、光学シート60の構成について説明する。光学シート60は、導光板152の液晶側の一面から出力される角度の浅い光を屈折させるドット印刷62と、導光板152から出力された光を更に全方向に拡散させて光量斑を減少させる拡散部材64と、拡散部材64が全方向に拡散した光をX方向及びY方向に立たせて入射した光を垂直方向に集光させ、利用者が垂直方向から液晶表示装置110を見た際の明るさを増大させる働きをするプリズムシート66X、66Yと、有機EL54等の光源発する広い発光スペクトラムを狭めてフィールドシーケンシャル方式に適した三原色のバックライト特性に補償する補償板68とを有している。なお、補償板68は、三原色の色補償を行うために複数枚設けてもよいし、液晶を透過する色の補償を併せて行うように選択してもよい。
【0058】
次に導光板152の機能について説明する。導光板152の側面に、LED光源50から赤色及び青色の光を入射すると、その入射した光は導光板152の内部を反射しながら進む。エッジライト方式の導光板152の内部に放射された光は導光板152の内部を進むうちに導光板152の上面又は下面に到達する。導光板152の上面に到達した光のうち、導光板152の上面に対して臨界角以上の角度で入射した光は導光板152の液晶表示素子70側の面から出射される。このときに出射される光は、屈折により浅い角度で出射される。導光板152の上面に対して臨界角以下の角度で入射した光は、導光板152の上面内側で全反射して、再度導光板152の内部を透過してゆく。
【0059】
一方、導光板152の下面に到達した光のうち、導光板152の下面に対して臨界角以上の角度で入射した光は導光板152から有機EL154側の面から出射される。導光板152の下面に対して臨界角以下の角度で入射した光は、導光板152の下面内側で全反射して、再度導光板152の内部を透過してゆく。
【0060】
導光板152の下面から出射した光は、有機EL154の下面に設けた反射層58で全反射し、再度導光板152に入射して導光板152の内部を透過してゆく。このように反射を繰り返して、導光板152の側面から入射した光の殆どが液晶表示素子70側に出射される。
【0061】
また、図1に示した導光板52と同様に、導光板152の下面に照射した光を液晶表示素子70側の上面に反射させるプリズム56を適宜配置して、導光板152の液晶表示素子70側から出力する光の光量をより均一にするように構成してもよい。
【0062】
また、導光板152の液晶表示素子70側から出力する光の光量をより均一にするために、導光板152の下面をLED光源50側の側面から反対側の側面にかけて先細りの楔形形状にするようにしてもよい。
【0063】
図2に示す例では、有機EL154を導光板152の下部の離れた位置に配置した例を示しているが、有機EL154を導光板152の下面に直接形成するように構成してもよい。有機EL154を導光板152の下面に形成することによって、液晶表示装置110を薄型にすることができ、携帯型の電子機器に応用した場合に電子機器を小型化することができる。
【0064】
また、LED光源50及び有機EL154の発光色は、赤、緑、青の各色のいずれの組み合わせであってもよいし、黄、マゼンタ、シアンの各色のいずれの組み合わせであってもよいが、緑色の光源として有機ELを用い、赤色、及び青色の光源としてLED光源を用いて面発光源120を構成することによって、全ての色についてLED光源を用いた場合や全ての色について有機ELを用いた場合と比較して、面発光源120の消費電力を減少させることができる。したがって、この面発光源120を携帯型の電子機器に組み込むことによって、動作時間の長い電子機器を提供することができる。また、赤、青の光源にLED光源を用い、緑の光源に有機ELを用いることによって、高NTSC比、高コントラストを維持しつつ、消費電力を低減させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る面発光源は、三原色を独立して発光することが可能なので、開口率が高くて高精細なフィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置に適用可能である。また、本発明によれば、消費電力が少なく薄型のフィールドシーケンシャル方式の液晶表示装置用バックライトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】導光板に有機ELを組み込んだ構成の面発光装置を用いた液晶表示装置を模式的に示す断面図。
【図2】導光板の下部に有機ELを設けた液晶表示装置を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
【0067】
10、110 液晶表示装置
20、120 面発光源
50 LED光源
52、152 導光板
54 154 有機EL
56 プリズム
58 反射層
59 キャップ
60 光学シート
62 ドット印刷
64 拡散部材
66X、66Y プリズムシート
68 補償板
70 液晶表示素子
72、92 偏光板
74、90、153 ガラス基板
76 画素電極
84 液晶層
88 共通電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三原色を独立して発光することが可能な面発光源の光源として、発光ダイオードと有機ELとを組み合わせて用いたことを特徴とする面発光装置。
【請求項2】
前記光源の発光スペクトラムを狭めて三原色の色特性に補償する補償板を備えたことを特徴とする請求項1に記載の面発光装置。
【請求項3】
前記発光ダイオードとして青色発光ダイオードと赤色発光ダイオードを用い、前記有機ELとして緑色有機ELを用いたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の面発光装置。
【請求項4】
前記発光ダイオードが発光する光を発光面に導く導光板を備え、前記導光板の下部に前記有機ELが設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の面発光装置。
【請求項5】
前記発光ダイオードが発光する光を発光面に導く導光板を備え、前記導光板に前記有機ELを組み込んだことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の面発光装置。
【請求項6】
前記請求項1〜5のいずれか1項に記載された構成の面発光装置と、前記面発光装置の発光面に設けられた液晶表示素子を備えることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−226973(P2007−226973A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43258(P2006−43258)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】