説明

靴のヒール

【課題】着地の衝撃を十分に吸収できると共に、交換可能なリフトを備えた靴のヒールを提供する。
【解決手段】本底に固定されたヒール本体と、交換可能な接地面を有するリフト3とを備えた靴のヒールに関する。リフト3は接地面33を含む底板部34と、底板部34から背面において立ち上がる背面部35と、底板部34から一対の側面において立ち上がる側面部37とが一体に形成されて、底板部34、背面部35および一対の両面部37の外表面が軟質部材で形成された外殻3aと、底板部34、背面部35および一対の両側部37の内表面が軟質部材よりも硬度の大きい硬質部材で形成された内殻とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴のヒールに関する。
【背景技術】
【0002】
靴のヒール部分は接地による摩擦等で摩耗や傷が生じ易い。そのため、ヒールの接地面を構成するリフトを交換可能に設け、摩耗や傷が生じたリフト部分のみを交換するように形成した靴が提案されている(特許文献1〜5参照)。
【特許文献1】特開平2−243102号(第9図)
【特許文献2】実公平4−50805号(第2図)
【特許文献3】特開2003−289905(図1)
【特許文献4】特開2006−095051(図5)
【特許文献5】実用新案登録第3007068号(要約)
【0003】
前記特許文献1のヒールは、ヒール本体の下部にトップリフトが交換可能に設けられている。前記トップリフトは、ヒール本体の下端部に取り付けられて地面に接する基部と、該ヒール下端部の後面を覆う立上り部とが一体に形成されている。
【0004】
前記従来のトップリフトは、摩耗したトップリフトを新たなトップリフトに交換することができる。前記トップリフトの基部と下端部とが立体的に形成されているが、これはヒール本体に取り返しのつかない傷や摩耗が生じないように保護するためであり、曲げ変形を伴う弾性変形により着地時の衝撃を吸収することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の発明では、ヒール本体の硬質材を軟質材で被覆して保護しているが、変形による衝撃吸収は期待できない。
【0006】
特許文献3,4の発明では、トップリフトではなくヒール本体が立体的で、かつ、硬質部材を軟質部材で被覆している。
一方、特許文献5の発明では、トップリフトではなく、ヒール本体が碗状に形成されている。
しかし、ヒール本体はトップリフトと異なり交換ができないので、立体的であっても大きく弾性変形させると経時的に劣化し靴の寿命が短くなる。そのため、十分な衝撃吸収を図り得ない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、着地の衝撃を十分に吸収できると共に、交換可能なリフトを備えた靴のヒールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の靴のヒールは、本底に固定されたヒール本体と、接地面を有するリフトとを備え、前記リフトは上方に突出する軸部を有し、前記ヒール本体は下方に開口する嵌合孔を有し、前記軸部が前記嵌合孔に嵌まり込んでいることにより、前記ヒール本体に前記リフトが固定されている靴のヒールにおいて、前記リフトは前記接地面を含む底板部と、前記底板部から背面において立ち上がる背面部と、前記底板部から一対の側面において立ち上がる側面部とが一体に形成されて、前記底板部の少なくとも一部、背面部の少なくとも一部および一対の両側面部の少なくとも一部の外表面が軟質部材で形成された外殻と、前記底板部の少なくとも一部、背面部の少なくとも一部および一対の両側面部の少なくとも一部の内表面が前記軟質部材よりも硬度の大きい硬質部材で形成された内殻とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
ここで、トップリフトを柔らかい単一の素材で形成した場合には、トップリフトの曲げを伴う弾性変形による衝撃エネルギーの吸収が小さくなり、あるいは、曲げを伴う弾性変形が大きくなりすぎて、歩行の安定感が損なわれたり、トップリフトが経時的に劣化し易くなる。一方、トップリフトを硬い単一の素材で形成した場合には、トップリフトの圧縮変形による衝撃吸収が期待できず、かつ、トップリフトの曲げを伴う弾性変形が小さいので、衝撃エネルギーの吸収が小さい。
本発明によれば、トップリフトは軟質部材からなる外殻の底板部が圧縮変形することにより着地の衝撃を吸収する。また、立体的に形成された外殻および内殻が曲げ変形を伴う弾性変形により着地の衝撃を吸収することができる。本トップリフトは硬い内殻を有しているので、トップリフトの変形量を小さくしても衝撃吸収が可能となり、歩行の安定性が損なわれない。
【0010】
特に、ヒール本体を立体的に形成して弾性変形させるものではヒール本体が変形により傷み易く靴の寿命が短くなるのに対し、本発明では交換部品であるリフトが弾性変形するので、リフトが傷んだ場合には交換できるから、前記弾性変形を大きな値に設定することができる。したがって、衝撃吸収性の高いヒールを提供することができる。
【0011】
なお、前記リフトは、軟質部材と硬質部材が部分的に1層になるように形成されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において、前記内殻は前記ヒール本体の下面に当接する上面を有し、前記内殻は少なくとも一部において前記上面から前記底板部に向かうに従い肉厚が薄くなるように形成されているのが好ましい。
本態様によれば、リフトの内殻の薄い下部が変形し易いので、弾性変形が大きくなり、一方、上面は厚肉なので、ヒール本体を安定して支えることができる。
【0013】
本発明において、前記上面には上方に向かって前記軸部よりも直径の小さいピンが突設され、前記ヒール本体には前記ピンが嵌まり込む小孔が形成されているのが好ましい。
本態様によれば、リフトの背面部や側面部が変形して型崩れするのを防止することができる。
【0014】
本発明において、前記底板部の後端から前記背面部の下端に至る部位において前記内殻を形成する硬質部材に貫通孔が形成され前記貫通孔に前記軟質部材が充填されていることで前記軟質部材で形成された緩衝主部が設けられているのが好ましい。
本態様によれば、ヒールの後端下部が軟質部材のみで形成され、かつ、この軟質部材が立体的であるから変形が大きくなるので、ファーストストライクの衝撃緩衝性能が著しく向上する。
【0015】
本発明において、前記緩衝主部には着地状態において前記ヒール本体の下面に当接することが可能な中空の第1柱部が突設されているのが好ましい。
本態様によれば、着地時に緩衝主部が変形すると、前記柱部の上面が前記本体の下面に当接することで緩衝主部の過大な変形が防止され、一方、前記柱部が変形することにより更に緩衝性能が高まる。
【0016】
本発明において、前記緩衝主部には中空の第2柱部が突設され、前記第2柱部の上面は非着地状態において前記本体の下面に当接せず、かつ、着地時に前記第1柱部が圧縮変形した後に前記本体の下面に当接するのが好ましい。
本態様によれば、着地時に第1柱部が圧縮変形した後に、第2柱部が圧縮変形するので、着地の瞬間に衝撃が徐々に大きくなるのに従い衝撃吸収力も増大する。
【0017】
本発明において、前記リフトは前記底板部から前面において立ち上がる前面部を更に備え、上方に開口する碗状に形成されているのが好ましい。
この態様によれば、碗状に形成されたリフトが弾性変形し易い。
【0018】
本発明において、前記内殻は前記底板部、背面部および両側面部により上方に開口する窪みを有しており、ヒール本体の下面と前記リフトとの間には前記窪みによる空隙が形成されているのが好ましい。
この態様によれば、ヒール本体の下面とリフトとの間に空隙があるので、リフトが弾性変形し易い。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
なお、以下の説明では、婦人靴(婦人用のビジネスシューズ)を例示して説明する。
図1〜図10は実施例1を示す。本実施例1では、前記婦人靴の左足部分を例示して説明する。
【0020】
全体構成:
図1に示すように、本婦人靴のヒール1は、靴の本底4に固定されたヒール本体2と、該ヒール本体2の下部に固定されたリフト3からなる。リフト3は、地面に接地する接地面33を有している。
なお、靴の「本底」とは、足裏を支持する部分をいい、外底(アウターソール)であってもよい。
【0021】
図4に示すように、リフト3は、軟質部材で形成された外殻3aと、硬質部材で形成された内殻3bとが一体に形成されてなる。
図5および図7に示す前記リフト3の底板部34、背面部35および両側面部37の外表面は、軟質部材で形成された外殻3aで形成されている。
図4に示す前記リフト3の底板部34、背面部35および側面部37の内表面は、前記軟質部材よりも硬度の大きい硬質部材で形成された内殻3bで形成されている。
【0022】
各部の材質:
前記硬質部材としては、たとえば、ABS樹脂を用いることができる。
前記軟質部材としては、摩耗強度、低温脆性およびグリップ性などを考慮して、たとえば、ポリウレタンを用いることができる。なお、前記ポリウレタンの他に、インジェクション成型が可能で硬度の選択範囲の広い樹脂であればよく、たとえば、オレフィン系、ナイロン系、ポリエチレン系のエラストマーなどを用いることができる。
【0023】
各部の硬度:
図2および図3に示す前記ヒール本体2には極めて硬い樹脂が用いられる。これにより、靴の本底4(図1)における踵の底面にヒール本体2をクギやネジなどの固定具で固定することができるようになっている。
図4に示す前記内殻3bを構成する硬質部材の硬度は、JISD硬度で60°〜95°程度に設定され、好ましくは、60°〜80°程度に設定され、最も好ましくは61°〜67°程度に設定される。
図5に示す前記外殻3aを構成する軟質部材の硬度は、JISA硬度で50°〜90°程度に設定され、好ましくは、60°〜80°程度に設定され、最も好ましくは65°〜75°に設定される。
【0024】
ヒール本体2:
図2に示すヒール本体2の上面2uは、図1に示す前記本底4に固定される。前記上面2u(図2)は概ね平坦に形成されており前記本底4に接着されると共に、ヒール本体2がクギやネジなどの図示しない固定具で前記本底4に固定される。
【0025】
図3および図6Bに示すように、ヒール本体2の下面2dには4個の嵌合孔21が設けられている。図4および図7Dに示すように、リフト3の内殻3bには前記嵌合孔21(図3および図6B)に嵌合する4本の軸部31が設けられている。図4の軸部31が図3の前記嵌合孔21に嵌まり込むことにより、図1に示すように、ヒール本体2にリフト3が固定される。
【0026】
一方、図3に示す前記ヒール本体2の下面2dは、図4のリフト3の上面3uに合致する形状に形成されており、図3および図6A〜図6Cに示すように、ヒール本体2には、複数個の小孔22が形成されている。前記各小孔22には、図4および図7Dに示すリフト3の上面3uに形成された複数本のピン32が嵌まり込む。
【0027】
リフト3:
図4に示すように、リフト3は上方に開口3cが設けられた碗状に形成されており、上方に開口する窪み302を有している。
すなわち、前記リフト3は、図7Bに示す前記接地面33を含む底板部34と、図7Aおよび図7Cに示す前記底板部34の後端から背面において立ち上がる背面部35と、図7Eに示すように、前記底板部34から一対の側面において立ち上がる側面部37と、図7Aおよび図7Cに示す底板部34の前端から斜め前方に立ち上がる前面部301とが一体に形成されている。
【0028】
図7Dに示すように、硬質部材で形成された前記内殻3bの底板部34には、前記4本の軸部31が突設されている。
前記開口3cの周囲には、図7Bに示すヒール本体2の下面2dに当接する上面3uが形成されている。図4に示すように、前記上面3uは前記開口3cの周囲に連続した面で形成されている。図10に示すように、前記ヒール本体2の下面2dと前記リフト3との間には前記窪み302による空隙303が形成されている。
【0029】
図4および図7Dに示すように、前記上面3uには、前記軸部31よりも直径の小さい前記ピン32が上方(ヒール本体2の方向)に向って複数本突設されている。
【0030】
前述したように、ヒール本体2にリフト3を装着すると、図3に示すヒール本体2の嵌合孔21に、図4に示すリフト3の軸部31が嵌まり込み、リフト3がヒール本体2に固定される。同時に、図6に示すヒール本体2の下面2dに、図7に示すリフト3の上面3uが当接し、ヒール本体2の小孔22にリフト3のピン32が嵌まり込んで、ヒール本体2の下面2dとリフト3の上面3uとが互いに固定される。
【0031】
したがって、摩耗または損傷したリフト3をヒール本体2から取り外して、新たなリフト3をヒール本体2に固定することで、リフト3の交換を容易に行うことができる。
【0032】
ここで、図4に示すように、リフト3の上面3uおよびピン32は、該リフト3の硬質部材で形成された内殻3bに形成されているので、リフト3の背面部35や側面部37が変形しすぎて型崩れするのを防止することができる。
【0033】
図7Eに示すように、前記内殻3bは前記上面3uから底板部34に向かうに従い肉厚が薄くなるように形成されている。
図8A〜図8Cに示すように、ヒール本体2にリフト3が取り付けられると、図7Eに示す前記内殻3bの薄い下部側が変形し易いので曲げを伴う弾性変形が大きくなり、一方、上面3u側は厚肉なのでヒール本体2を安定して支えることができる。
【0034】
緩衝主部36:
図7A〜図7Cの破線で示すように、リフト3の底板部34の後端から背面部35の下端に至る部位には、内殻3bを形成する硬質部材に貫通孔100が形成されていることで、前記内殻3bに軟質部材で形成された緩衝主部36が設けられている。すなわち、図7Dに示すように、前記緩衝主部36は、内殻3bの底板部34から背面部35に対応される部分が窓状に形成されていることで、外殻3aを形成する軟質部材のみによってリフト3の底板部34の後部から、該底板部34に連続する背面部35の下部が構成されている。
【0035】
したがって、ヒール1の後端下部が軟質部材のみで形成され、かつ、この軟質部材が底板部34の後部から背面部35の下部にかけて立体的に構成されているので、変形が大きくなるから、ファーストストライクの衝撃緩衝性能が著しく向上する。
【0036】
第1柱部38:
図4に示すように、前記緩衝主部36には、上方に向って突設された中空の第1柱部38が形成されている。前記第1柱部38は、軟質部材で構成された内殻3bに一体に形成されている。
一方、図9に示すように、ヒール本体2の下面2dには、前記リフト3の開口3c内に挿入される凸部2cが形成されている。
図10に示すように、ヒール本体2にリフト3が装着されると、前記ヒール本体2の凸部2cがリフト3の開口3c内に入り込む。前記装着状態(非着地状態)において、前記凸部2cの下面2dと第1柱部38の上端面38u(図4)とは互いに接していてもよいし、若干の隙間Δが生じるように構成されていてもよい。前記隙間を設ける場合には、たとえば、0.5mm〜1mm程度に設定するのが好ましい。
【0037】
着地の衝撃により緩衝主部36が変形すると、第1柱部38の上端面がヒール本体2の下面2dに当接して緩衝主部36の過大な変形が防止されると共に、前記第1柱部38が変形することにより更に緩衝性能が高まる。
【実施例2】
【0038】
図11〜図14は実施例2を示す。
以下の説明では、前述した実施例1とは異なる部分を中心に説明する。
図11A〜図11Cに示すように、本実施例2のヒール1は、左右いずれの靴にも取り付け可能に形成されている。前記ヒール1は、ヒール本体2およびリフト3からなる。
【0039】
ヒール本体2およびリフト3は、図12Aおよび図13Aに示す前後方向の中心線Cを中心に左右対称に形成されている。
【0040】
図14Aに示すように、緩衝主部36には、中空の第1柱部38と、該第1柱部38の左右の両脇に中空の第2柱部39とが突設されている。図14Cに示すように、第2柱部39は第1柱部38よりも若干低く形成されている。
【0041】
前記リフト3が図12に示すヒール本体2に装着されると、前記ヒール本体2の凸部2c(図12Aおよび図12C)が、図14Aおよび図14Bに示すリフト3の開口3c内に入り込む。前記装着状態(非着地状態)において、前記凸部2cと第2柱部39との間には、若干の隙間が生じる。
【0042】
一方、着地状態では、つまり、着地の衝撃により緩衝主部36が変形すると、前記第1柱部38の上端面がヒール本体2の下面2dに当接し該緩衝主部36が支持され、ついで、第1柱部38が圧縮変形することより第2柱部39の上端面39uが前記下面2dに当接して該第2柱部39が変形する。
したがって、着地の瞬間に第1柱部38の変形の後に第2柱部39が変形することにより、衝撃吸収力が増大するので、緩衝主部36が急激に過大に変形するのを防止できると共に、脚に対する負担を軽減することができる。
【0043】
なお、前述の両実施例において、軸部31および嵌合孔21は、1以上であればよい。また、ピン32および小孔22は1以上であればよい。
さらに外殻のうち底板部、背面部または両側面部のうちの一部を局所的に硬質部材で形成してもよいし、内殻のうち底板部、背面部または両側面部のうちの一部を軟質部材で形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は男女の靴のヒールに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施例1にかかる靴を示す概略斜視図である。
【図2】ヒール本体を示す上方からの概略斜視図である。
【図3】ヒール本体を示す下方からの概略斜視図である。
【図4】リフトを示す上方からの概略斜視図である。
【図5】リフトを示す下方からの概略斜視図である。
【図6】ヒール本体を示す概略側面図および概略底面図である。
【図7】図7A〜図7Dはリフトを示す概略側面図、概略底面図および概略平面図、図7Eは図7BにおけるVIIE-VIIE 線面図である。
【図8】ヒールを示す概略側面図および概略底面図である。
【図9】ヒール本体およびリフトの概略断面図である。
【図10】ヒールを示す概略断面図である。
【図11】本発明の実施例2にかかるヒールを示す概略側面図および概略底面図である。
【図12】ヒール本体を示す概略側面図および概略底面図である。
【図13】図13A〜図13Cはリフトを示す概略側面図および概略底面図、図13Dは図13BにおけるXIIID-XIIID 線断面図である。
【図14】図14Aはリフトの概略平面図、図14Bは図14AにおけるXIVB-XIVB 断面図、図14Cは図14AにおけるXIVC-XIVC 線断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1:ヒール
2:ヒール本体
3:リフト
3a:外殻
3b:内殻
4:本底
21:嵌合孔
22:小孔
31:軸部
32:ピン
33:接地面
34:底板部
35:背面部
36:緩衝主部
37:側面部
38:第1柱部
39:第2柱部
301:前面部
302:窪み
303:空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本底に固定されたヒール本体と、接地面を有するリフトとを備え、
前記リフトは上方に突出する軸部を有し、前記ヒール本体は下方に開口する嵌合孔を有し、前記軸部が前記嵌合孔に嵌まり込んでいることにより、前記ヒール本体に前記リフトが固定されている靴のヒールにおいて、
前記リフトは前記接地面を含む底板部と、前記底板部から背面において立ち上がる背面部と、前記底板部から一対の側面において立ち上がる側面部とが一体に形成されて、
前記底板部の少なくとも一部、背面部の少なくとも一部および一対の両側面部の少なくとも一部の外表面が軟質部材で形成された外殻と、
前記底板部の少なくとも一部、背面部の少なくとも一部および一対の両側面部の少なくとも一部の内表面が前記軟質部材よりも硬度の大きい硬質部材で形成された内殻とを備えた靴のヒール。
【請求項2】
請求項1において、前記内殻は前記ヒール本体の下面に当接する上面を有し、前記内殻は少なくとも一部において前記上面から前記底板部に向かうに従い肉厚が薄くなるように形成されている靴のヒール。
【請求項3】
請求項2において、前記上面には上方に向かって前記軸部よりも直径の小さいピンが突設され、前記ヒール本体には前記ピンが嵌まり込む小孔が形成されている靴のヒール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、前記底板部の後端から前記背面部の下端に至る部位において前記内殻を形成する硬質部材に貫通孔が形成され前記貫通孔に前記軟質部材が充填されていることで前記軟質部材で形成された緩衝主部が設けられている靴のヒール。
【請求項5】
請求項4において、前記緩衝主部には着地状態において前記ヒール本体の下面に当接することが可能な中空の第1柱部が突設されている靴のヒール。
【請求項6】
請求項5において、前記緩衝主部には中空の第2柱部が突設され、前記第2柱部の上面は非着地状態において前記本体の下面に当接せず、かつ、着地時に前記第1柱部が圧縮変形した後に前記本体の下面に当接する靴のヒール。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、前記リフトは前記底板部から前面において立ち上がる前面部を更に備え、上方に開口する碗状に形成されている靴のヒール。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、前記内殻は前記底板部、背面部および両側面部により上方に開口する窪みを有しており、ヒール本体の下面と前記リフトとの間には前記窪みによる空隙が形成されている靴のヒール。

【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−75332(P2010−75332A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245572(P2008−245572)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000000310)株式会社アシックス (57)
【Fターム(参考)】