説明

靴下又は筒状の下肢用サポーター

【課題】ずれを抑制し装着時の快適性も維持でき、かつスポーツ用、生活用等として、装着者のパフォーマンスアップ、疲労軽減等に有効な、さらに長時間装着しても所定の部位に適切な圧迫圧を安定的に与えることが可能な靴下又は筒状の下肢用サポーターを提供する。
【解決手段】足部の一部又は全部、足首部、及びふくらはぎ部を覆い、装着時に足首部4からふくらはぎ部5へと順次圧迫圧が小となる圧迫圧分布を設けた靴下等1において、足部に複数の指袋20を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴下又は筒状の下肢用サポーターに関し、特に、スポーツ用、生活用として、スポーツ中のパフォーマンスアップ、下肢のむくみの予防や軽減等の疲労軽減のために使用する靴下又は筒状の下肢用サポーターに関する。
また、本発明は、医療用として、下肢の静脈還流障害やリンパ浮腫等の疾患の予防又は治療に使用することができる。
本発明の対象となる靴下又は筒状の下肢用サポーターの形態は、足部からふくらはぎまでを覆うもの(所謂ソックス)、足部から膝下までを覆うもの(所謂ハイソックス)、足部から大腿部までを覆うもの(所謂ストッキング)、足部から腰までを覆うもの(所謂パンティーストッキング)等がある。前記各種形態において、踵部、足部等を部分的に覆わないものであっても良い。
なお、「靴下又は筒状の下肢用サポーター」のことを以下「靴下等」ということがある。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野において、下肢における静脈瘤、静脈血栓症といった静脈還流障害やリンパ浮腫等の疾患の予防や治療に、足首部から大腿部へと段階的に圧迫圧が弱くなるように設計されている弾力性の靴下が提案されており(例えば、特許文献1参照)、その効果は良く知られている。
【0003】
また、スポーツ用、生活用としても、下肢の疲れ等を防止するため、又は傷害の予防や治療をするために、弾力性の靴下又は筒状の下肢用サポーターが使用されている。そして、その予防又は治療効果を高めるために、装着時に所定の部分に他の部分より高い着圧(締め付け力)がかかるように設計されたものが提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0004】
【特許文献1】実開平3−85025号公報
【特許文献2】特公平6−51921号公報
【特許文献3】特許第2914614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来から存在する、所定の圧迫圧分布を備える靴下又は筒状の下肢用サポーターにおいて、特に、スポーツ用、生活用として、どのような構造にすればさらに装着者のパフォーマンスアップ、疲労軽減等に有効であるかを追及したものである。
また、スポーツ用、生活用のように、多くの動きを伴ったり、長時間使用したりする場合には、これらの靴下等が装着部位からずれたり、部分的によれや皺が発生したりする場合がある。そのため、これらの靴下等に設定した着圧が、所望の位置で発揮されず、圧迫の効果が有効に発揮されない問題がある。また、このようなよれや皺が発生すると、不快感や皮膚刺激が増大する場合がある。
なお、「ずれを抑制すること」を目的とする発明に関しては、本願と同一出願人により、特願2005−253788号として出願されている。また、上記「不快感を抑制すること」を目的とする発明に関しても同一出願人により、特願2005−253789号として出願されている。
そこで、本発明の課題は、スポーツ用、生活用等として、装着者のパフォーマンスアップ、疲労軽減等に有効な靴下又は筒状の下肢用サポーター(靴下等)を提供することにある。
また、本発明の課題は、スポーツ用、生活用等として、ずれを抑制し装着時の快適性も維持でき、さらに長時間装着しても所定の部位に適切な圧迫圧を安定的に与えることが可能な靴下又は筒状の下肢用サポーター(靴下等)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、少なくとも、足部の一部又は全部、足首部、及びふくらはぎ部を覆い、装着時に足首部からふくらはぎ部へと順次圧迫圧が小となる圧迫圧分布を設けた靴下又は筒状の下肢用サポーターであって、足部に複数の指袋を設けることを特徴とする(請求項1)。
また、本発明は、少なくとも、足部の一部又は全部、足首部、及びふくらはぎ部を覆い、装着時に足首部からふくらはぎ部までの間に局所的に圧迫圧が大となる圧迫圧分布を設けた靴下又は筒状の下肢用サポーターであって、足部に複数の指袋を設けることを特徴とする(請求項2)。
【0007】
更に、前記請求項1又は2に記載の靴下又は筒状の下肢用サポーターにおいて、足首部からふくらはぎ部にかけての幅を漸次広くなるように形成することが好ましい(請求項3)。
また、前記請求項3に記載の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、足首部からふくらはぎ部にかけてのふくらはぎ部側の外縁を曲線形状になるように形成することが好ましい(請求項4)。
また、前記請求項3または4に記載の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、足首部の幅、足首部とふくらはぎ部との中間部の幅、及びふくらはぎ部の幅の比を、1:(1.05〜1.60):(1.30〜2.00)となるように形成することが好ましい(請求項5)。
更に、前記請求項1〜5のいずれかに記載の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、足首部及びふくらはぎ部の50%伸長時応力が5〜20Nの範囲であることが好ましい(請求項6)。
【0008】
また、本発明は、少なくとも、足部の一部又は全部、足首部、及びふくらはぎ部を覆い、装着時に足首部からふくらはぎ部へと順次圧迫圧が小となる圧迫圧分布を設けた靴下又は筒状の下肢用サポーターであって、足部に複数の指袋を設け、足首部からふくらはぎ部にかけての幅を漸次広くなるように形成し、足首部からふくらはぎ部にかけてのふくらはぎ部側の外縁を曲線形状になるように形成し、足首部の幅、足首部とふくらはぎ部との中間部の幅、及びふくらはぎ部の幅の比を、1:(1.05〜1.60):(1.30〜2.00)となるように形成し、足首部及びふくらはぎ部の50%伸長時応力が5〜20Nの範囲であることを特徴とする(請求項7)。
更に、本発明は、少なくとも、足部の一部又は全部、足首部、及びふくらはぎ部を覆い、装着時に足首部からふくらはぎ部までの間に局所的に圧迫圧が大となる圧迫圧分布を設けた靴下又は筒状の下肢用サポーターであって、足部に複数の指袋を設け、足首部からふくらはぎ部にかけての幅を漸次広くなるように形成し、足首部からふくらはぎ部にかけてのふくらはぎ部側の外縁を曲線形状になるように形成し、足首部の幅、足首部とふくらはぎ部との中間部の幅、及びふくらはぎ部の幅の比を、1:(1.05〜1.60):(1.30〜2.00)となるように形成し、足首部及びふくらはぎ部の50%伸長時応力が5〜20Nの範囲であることを特徴とする(請求項8)。
【0009】
また、前記請求項1〜8のいずれかに記載の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、足首部及び/又はふくらはぎ部を覆う部分の圧縮エネルギーが0.35〜3.5gf・cm/cm2であることが好ましい(請求項9)。
また、前記請求項1〜9のいずれかに記載の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、足首部及び/又はふくらはぎ部を覆う部分を編物で構成し、その編物を構成する糸の50重量%以上の糸が、太さ200〜700μmの編目を構成する糸とすることが好ましい(請求項10)。
更に、前記請求項1〜10のいずれかに記載の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、足首部及び/又はふくらはぎ部を覆う部分を構成する糸にセルロース繊維とポリエステル繊維とを併用し、セルロース繊維を20〜80重量%、ポリエステル繊維を20〜70重量%使用することが好ましい(請求項11)。
【0010】
また、前記請求項1〜11のいずれかに記載上記本発明の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、少なくとも拇指球部に、摩擦係数が0.3〜0.7となる部分を設けることが好ましい(請求項12)。
また、前記請求項1〜12のいずれかに記載の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、少なくとも拇指球部に、パイルとなる部分を形成することが好ましい(請求項13)。
【0011】
更に、前記請求項1〜13のいずれかに記載の靴下又は筒状の下肢用サポーターに設ける複数の指袋は、2つの指袋を設け、一方を親指用の指袋、他方を親指以外の指用の指袋とすることが好ましい(請求項14)。また、複数の指袋は、各指用の5つの指袋とすることもできる(請求項15)。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装着者のパフォーマンスアップ、疲労軽減などに有効な靴下又は筒状の下肢用サポーターが提供できる。
また、本発明によれば、靴下又は筒状の下肢用サポーターが装着時にずれ難くなるため、適切な圧迫の効果を持続的に発揮させることができる。さらに、装着時の使用感も良好であるため、長時間使用しても不快感を生じない靴下又は筒状の下肢用サポーターを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図に基づき、本発明の実施形態について述べる。図1は、本発明の実施形態の一例に係るソックスタイプの靴下である。図1において、1はソックスタイプの靴下を示し、この実施形態は、足先部2から、踵部3、足首部4、ふくらはぎ部5を通り、膝部6のやや下の足口部7まで覆うタイプの靴下を示す。図1のa)の靴下は、2つの指袋20を有しており、一方は親指用の指袋、他方が親指以外の指用の指袋である。図1のb)の靴下は、各指に対応する指袋20を5つ有したものである。
【0014】
図2は、図1のa)に示した靴下を、アキレス腱の対向部分を通るラインを中心に折り目をつけて、扁平状態にした図である。つまり、身体の側面から扁平状態にした靴下をみた時の状態である。
図2に示す靴下のように、本発明の靴下は、足首部からふくらはぎ部にかけてその外形の幅が漸次広くなるように形成することが好ましい。特に、足首部からふくらはぎ部にかけてのふくらはぎ部側の外縁bを曲線形状になるように形成することが好ましい。靴下等が未装着状態(無負荷状態)で、足首からふくらはぎにかけての外形に相応するこのような形状を有することにより、靴下等が下肢の形状に沿うので装着時に下肢の美観が優れ、ずれも起こり難くなる。
また、靴下等を足首部からふくらはぎ部にかけてその外形の幅が漸次広くなるように形成する場合、足首部の幅w1、足首部とふくらはぎ部との中間部の幅w2、及びふくらはぎ部の幅w3は、足首部の幅w1を1とした時に、中間部の幅w2を1.05〜1.60、ふくらはぎ部の幅w3を1.30〜2.00の比となるように形成することが好ましく、中間部の幅w2を1.10〜1.45、ふくらはぎ部の幅w3を1.35〜1.80の比となるように形成することがさらに好ましい。w1、w2、w3の幅を、このような比にすることで、装着時に下肢の美観が優れ、ずれも起こり難くなり、設定した圧迫圧が所望の位置で有効に発揮され易くなる。
【0015】
指袋を設けることで、指袋がない場合に比べ、指の力を利用して地面を蹴ることができるので、強い力で地面を蹴り出すことが可能となる。その結果、歩幅が伸びて速く歩くことができたり、力強く走れたりするため、スポーツ時のパフォーマンスが向上し、また足の力を効率的に使用するので疲労も蓄積され難い。
指袋の数は、2つの指袋を設け、一方は親指用の指袋、他方を親指以外の指用の指袋とするか、各指用の5つの指袋を設けることが好ましく、装着のし易さから前者の2つの指袋を設ける方がより好ましい。
【0016】
本発明の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、例えば編構造により形成することができ、平編み、ゴム編、パール編等で形成した編組織に、横方向から弾性糸等を挿入する態様が利用できる。編構造に使用する糸としては、例えば、編構造の編目を構成する糸にナイロン糸、ポリエステル糸、綿糸、レーヨン糸等が使用できる。そして、その編目に横方向から挿入する糸としてポリウレタン又は天然ゴム弾性糸を芯糸としその周囲に他の糸をコイル状に巻きつけた弾性糸、所謂カバードヤーンが使用できる。
特に、足首部又はふくらはぎ部(好ましくは足首部及びふくらはぎ部)を、2.54cm当たり18〜60列のウェールと、18〜50列のコースからなる編構造で形成することが好ましく、この範囲であれば、所望の圧迫圧を安定させて発揮させることができる。さらに好ましくは、2.54cm当たり18〜45列のウェールと、18〜45列のコースからなる編構造で足首部又はふくらはぎ部(好ましくは足首部及びふくらはぎ部)を形成する。なお、本発明では、編布の製造方向に平行な方向を縦方向とし、縦方向に直交する方向を横方向としており、縦方向は編布のウェール方向が該当し、横方向は編布のコース方向が該当するものとしている。
また、本発明の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、複数の種類の編組織を組み合わせて使用しても良いし、織布、不織布等の編構造以外の布を単独又は組み合わせて使用しても良い。
【0017】
本発明の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、足首部又はふくらはぎ部(好ましくは足首部及びふくらはぎ部)を覆う部分を編物で構成し、その編物を構成する糸の50重量%以上の糸が、太さ200〜700μmの編目を構成する糸とすることが好ましく、55重量%以上の糸を太さ200〜400μmの範囲とすることがさらに好ましい。
この編物を構成する糸の50重量%以上の糸の太さが200μm未満であると、摩擦等によりナイロン糸にカバーされているポリウレタン弾性糸が皮膚接触面に露出したり、生地表面にピリング(毛玉)が発生したりして、装着時の肌触りが悪化する可能性があるが、太さが200μm以上の場合には、耐久性が大きく、快適性が損なわれることがない。また、編物を構成する糸の50重量%以上の糸の太さが700μmを超える場合には、生地がごわごわし、布組織も安定化せず縮れや歪みを生じて、全体に硬い感じの風合いになり好ましくない。
【0018】
また、足首部又はふくらはぎ部(好ましくは足首部及びふくらはぎ部)を覆う部分を構成する糸にセルロース繊維を20〜80重量%使用することが好ましい。足首部又はふくらはぎ部(好ましくは足首部及びふくらはぎ部)を覆う部分を構成する糸にセルロース繊維を30〜75重量%使用することが更に好ましい。このような範囲でセルロース繊維を使用することにより、靴下又は筒状の下肢用サポーターが汗を良好に吸収するようになり、長時間使用しても蒸れ難く、また肌触りや装着感が非常に良く、さらに、真菌症(水虫)の感染予防ともなる。本発明で使用するセルロース繊維は、特に限定されず、綿等の天然セルロース繊維;ビスコースレーヨン繊維、ポリノジック繊維、銅アンモニアレーヨン繊維、リヨセル繊維、モダル繊維等の再生セルロース繊維;のいずれであってもよい。
また、足首部又はふくらはぎ部(好ましくは足首部及びふくらはぎ部)を覆う部分を構成する糸にポリエステル繊維を20〜70重量%使用することが好ましい。足首部又はふくらはぎ部(好ましくは足首部及びふくらはぎ部)を覆う部分を構成する糸にポリエステル繊維を20〜50重量%使用することが更に好ましい。ポリエステル繊維の割合が20重量%未満であると靴下等の耐久性が低下し、ポリエステル繊維の割合が70重量%より多いと生地表面が硬い感触になり装着感が悪化する恐れがある。
本発明においては、上記装着感、耐久性等の観点から、足首部又はふくらはぎ部(好ましくは足首部及びふくらはぎ部)を覆う部分を構成する糸にセルロース繊維とポリエステル繊維を併用することが好ましく、セルロース繊維を20〜80重量%、ポリエステル繊維を20〜70重量%使用することが好ましく、セルロース繊維を30〜75重量%、ポリエステル繊維を20〜50重量%使用することが更に好ましい。
【0019】
さらに、上記セルロース繊維は、カルボキシアルキル基の少なくとも一部が抗菌性金属カルボキシアルキル基で置換されているカルボキシアルキル化セルロース繊維を含んでなることが好ましい。抗菌性金属としては、亜鉛、銀、銅が挙げられるが、長期間使用しても酸化などによる変色がない亜鉛が好ましい。また、カルボキシアルキル基の抗菌性金属カルボキシアルキル基による平均置換度(セルロース繊維を構成するセルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシアルキル基のモル数)は、0.01〜0.3であることが好ましい。このような処理をすることにより、肌触りの良い風合いを維持しつつ、持続的な抗菌性、消臭性を付与することが可能となる。セルロース繊維の抗菌性金属カルボキシアルキル化は、従来からの方法を利用でき、例えば、セルロース繊維をアルカリ金属カルボキシアルキル化した後、金属イオン交換反応によって、アルカリ金属を抗菌性金属に変換することによって得ることができる。
また、抗菌性、消臭性を付与する方法としては、靴下等の布の肌触り、設定した圧迫圧が損なわれないものであれば、上記のセルロース繊維を抗菌性金属カルボキシアルキル化する方法以外の方法として、その他の抗菌剤、消臭剤を靴下等の布や糸に塗布又は含浸する方法を使用しても良い。さらに、皮膚の保湿、老化防止、美白等の目的で皮膚の生理機能を調整する物質や、香料などの物質を、靴下等の布や糸に塗布又は含浸することもできる。
また、本発明の指袋を備える靴下等は、特に真菌症(水虫)の感染予防に有用となる。特に、セルロース繊維を抗菌性金属カルボキシアルキル化する方法のように抗菌性付与することが好ましい。これは、セルロース繊維が、ウールなどに比べて白癬菌が繁殖し難く、指袋により足指間の蒸れも抑制できるからである。
【0020】
上記のような方法によって得られる本発明の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、足首部及びふくらはぎ部の幅方向における50%伸長時応力が5〜20Nの範囲であり、足首部とふくらはぎ部の幅方向における50%伸長時応力が、足首部の50%伸長時応力を1としたときに、ふくらはぎ部の50%伸長時応力を0.8〜1.8の比となるように形成することが好ましい。足首部及びふくらはぎ部の幅方向における50%伸長時応力が5.5〜15Nの範囲であり、足首部とふくらはぎ部の幅方向における50%伸長時応力の比が1:(0.8〜1.5)の比となるように形成することがさらに好ましい。50%伸長時応力及び50%伸長時応力の比をこのような範囲にすることで、スポーツ用等として激しい動きを伴う状況で使用した場合でも、靴下等の装着時のずれを防止し、圧迫圧の効果を安定的に発揮させることができる。
また、上記のような方法によって得られる本発明の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、その足首部又はふくらはぎ部(好ましくは足首部及びふくらはぎ部)を覆う部分の圧縮エネルギーが0.35〜3.5gf・cm/cm2であることが好ましい。圧縮エネルギーをこのような範囲にすることで、柔らかな皮膚接触面を形成し、また、外部からの接触に対して好適な緩衝作用を奏し、装着時の快適性が向上する。更に、足首部又はふくらはぎ部(好ましくは足首部及びふくらはぎ部)を覆う部分の表面粗さが25.0以下であることが好ましい。表面粗さが25.0を超える場合には、装着時に肌ざわりが悪化する場合がある。
【0021】
図3は、図1のa)に係る靴下を裏返した状態の側面図である。図3を用いて、靴下の足底部及びその近傍における好ましい実施態様について述べる。
本発明の靴下又は筒状の下肢用サポーター1は、少なくとも拇指球部8に、摩擦係数が0.3〜0.7の部分を設けることが好ましい。これにより、靴下等と人体の拇指球部との摩擦が増大し、ずれが起り難くなるため、強い力で地面を蹴り出すことが可能となる。この摩擦係数を0.3〜0.7とする部分は、少なくとも靴下等の拇指球部であれば良いが、踵部3から足首部4の高さまでの背面部9に設けることが好ましい。体の全体重がかかる足底部や、動きの多い踵部から足首部の高さまでの背面部は、特にずれの発生し易い部位であり、この部位がずれると他の部分へも影響が及ぶ。従って、この部位に摩擦係数を0.3〜0.7とする部分を設けることで、効果的にずれを防止することが可能となる。
【0022】
また、本発明の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、少なくとも拇指球部8に、編込まれた又は縫い込まれた糸により、足底部以外の部分と異なる表面形体としたずれ抑制部10を形成することが好ましい。こうすることで、靴下等と人体の拇指球部との摩擦が増大し、ずれが起り難くなる。ずれ抑制部10の形成は、パイル編、パール編、ゴム編などの編みにより靴下等の作成と同時に形成しても良いし、靴下等を作成した後に、布構造に糸を縫いこんで形成しても良い。特に、布の表面にリング状にループを出したパイルとなる部分を形成することが好ましい。このパイルによる多くのループにより、表面の摩擦をあげ、さらに皮膚と靴下等との接触面積が増加し、皮膚と靴下等の密着性が向上するため、ずれがより起り難くなる。また、ずれ抑制部内に形成されるパイルによる多くの空隙が、通気性、柔軟性、衝撃緩衝性を向上させ、蒸れや圧迫等による不快感を軽減する。このずれ抑制部10の形成は、少なくとも拇指球部8に設ければ良いが、踵部3から足首部4の高さまでの背面部9に設けることが好ましい。
また、足底部と接する部分は、それ以外の部分より厚さが大となるように形成することが好ましく、0.5g/cm2加えたときの厚さが1.3〜6.0mmの範囲であることが好ましく、1.7mm以上であることがさらに好ましい。
【0023】
本発明の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、指袋及び/又は足底部の皮膚と接する側と反対側の表面(靴下等の外側の表面)に滑り止めを設けることが好ましい。指袋及び/又は足底部に滑り止めを設けることで、靴内でのずれが抑制され、足指の力がしっかりと伝わるので、地面の蹴りだし等がいっそう強くなる。指袋及び足底部の双方に滑り止めを設けることが特に好ましい。滑り止めを形成する材料としては、特に限定されないが、合成高分子材料が好ましく、指袋及び/又は足底部の外側表面に塗工、噴霧、接着、熱溶着等の手段により取り付ければ良い。滑り止めの形状は、点状、線状、面状、又はこれらの形状の組み合わせが利用でき、突起や窪みのような凹凸や起伏を設けてもよい。
滑り止めに使用する合成高分子材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリスチレン系、オレフィン系(例 ポリ1−ブテン、ポリエチレン、ポリプロピレン)、オレフィン系共重合体、有機ケイ素化合物(例 シリコーン樹脂)、等があり、これらを単独又は適宜混合して使用できる。
【0024】
本発明の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、装着時に足首部からふくらはぎ部までの間に局所的に圧迫圧が大となる圧迫圧分布を設ける。この圧迫圧分布は、装着者のパフォーマンスアップ、疲労軽減、又は疾患の予防若しくは治療のために有効な所定部位に設けることができる。圧迫圧分布は、糸の密度、編目の大きさ、弾性糸の伸張度をコントロールすることで、所定の値を付与することができる。また、圧迫圧をかける位置に、弾力性の布帛を縫合したり、弾性のある樹脂を塗工又含浸させたりすることによっても、圧迫圧を付与することが可能である。局所的に圧迫圧が大となる圧迫圧分布としては、足首部の圧迫圧を他の部分の圧迫圧より大とする分布が好ましく、そのときの足首部の圧迫圧は18〜67hPaとすることが疲労軽減の観点から好ましい。
【0025】
また、本発明の靴下又は筒状の下肢用サポーターは、装着時に足首部からふくらはぎ部へと順次圧迫圧が小となる圧迫圧分布を設ける。このような圧迫圧分布にすることで、下肢のむくみの予防や軽減といった疲労軽減の効果が発揮される。圧迫圧は、足首部の圧迫圧がふくらはぎ部の圧迫圧より高くし、それぞれ、18〜67hPa、9〜54hPaとすることが好ましい。なお、前記各部の圧迫圧は、以下のような測定部位と測定方法に基づく測定圧力として定義される。
【0026】
足首部は、下腿最小囲部分であり、ふくらはぎ部は、下腿最大囲部分である。圧力測定は、圧力測定器MST(Salzmann AG社製)を使用し、次の手順で測定する。先ず、硬質の木製又はプラスチック製の足型の前記部位に測定器のプローブを設置する。足型は、平均的な日本人体型と同等な周囲長の円筒断面を有しており、次に示す靴下サイズに応じて、そこで指定する足型を測定に用いる。なお、靴下の適用周囲長が、複数のサイズに跨る場合は、その靴下の足首適用周囲長範囲の中央値に最も近い足首部周囲長を有する足型を測定に用いる。
【0027】
サイズ1:足首部15〜19cm、ふくらはぎ部24〜30cmの範囲が適用周囲長である靴下。足首部17cm、ふくらはぎ部27cm、大腿中央部41.2cmの周囲長の足型を用いる。
サイズ2:足首部17〜21cm、ふくらはぎ部28〜34cmの範囲が適用周囲長である靴下。足首部19cm、ふくらはぎ部31cm、大腿中央部44.7cmの周囲長の足型を用いる。
サイズ3:足首部19〜23cm、ふくらはぎ部32〜38cmの範囲が適用周囲長である靴下。足首部21cm、ふくらはぎ部35cm、大腿中央部46.5cmの周囲長の足型を用いる。
サイズ4:足首部21〜25cm、ふくらはぎ部36〜42cmの範囲が適用周囲長である靴下。足首部23cm、ふくらはぎ部39cm、大腿中央部48.4cmの周囲長の足型を用いる。
サイズ5:足首部23〜27cm、ふくらはぎ部40〜46cmの範囲が適用周囲長である靴下。足首部25cm、ふくらはぎ部43cm、大腿中央部51.1cmの周囲長の足型を用いる。
次に、弾力性靴下をその足型に装着し、前記各部位の圧力を測定し、この値を圧迫圧とする。
【実施例】
【0028】
次に、本発明の実施例について、比較例と共に評価した結果について、図4、5に基づいて
以下に述べる。
【0029】
(実施例1)
2つの指袋を設け、一方は親指用の指袋、他方が親指以外の指用の指袋となるソックスタイプの靴下を編成した。足首部からふくらはぎ部にかけては、平編みを採用した。平編みの編目を構成する糸には、ポリウレタン弾性糸をウーリーナイロン糸でシングルカバーした弾性糸、及び綿とポリエステルからなる混紡糸(三山社製、商品名リッチハウス。綿50重量%、ポリエステル50重量%の混紡糸。)を使用し、その編目に横方向から挿入する糸としてポリウレタン弾性糸をナイロン糸でダブルカバーした弾性糸を使用した。また、拇指球部を含む足底部の全面と、踵部から足首部の高さまでの背面部とに、図3に示すような形状のずれ抑制部をパイルにより形成した。
この靴下を、モノクロロ酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウム両試薬を溶解させた水溶液に浸漬した後、適当な脱水率にて靴下を脱水し、その後絶乾状態になるまで乾燥させ、綿紡績糸中のセルロース繊維をナトリウムカルボキシメチル化した。その後、この靴下を、硫酸亜鉛七水和物、酢酸及び酢酸ナトリウムを溶解させた水溶液に浸漬し、中和すると同時に、ナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を亜鉛カルボキシメチル化セルロース繊維へ変換させた。その後、水洗により残存する硫酸亜鉛、酢酸及び酢酸ナトリウムを除去した後、乾燥させ、綿紡績糸を亜鉛カルボキシメチル化した(平均置換度0.03)靴下を得た。
使用した糸の太さ、割合等は、図4、図5に示す。このようにして得られた靴下は、前述のサイズ3に相当するものであり、この靴下の圧迫圧分布は、足首部からふくらはぎ部へと順次圧迫圧が小となる圧迫圧分布で、足首部で20.6hPa、ふくらはぎ部で17.0hPaであった。また、作成された靴下は、足首部からふくらはぎ部にかけての外形の幅が漸次広くなるように形成され、足首部からふくらはぎ部にかけてのふくらはぎ部側の外縁を曲線形状としたものである。
【0030】
(実施例2)
使用する糸の種類及び割合と、指袋の数5つにする以外は、実施例1と同様の方法でソックスタイプの靴下を作製した。使用した糸の太さ、割合等は、図4、図5に示す。このようにして得られた靴下は、前述のサイズ3に相当するものであり、この靴下の圧迫圧分布は、足首部からふくらはぎ部へと順次圧迫圧が小となる圧迫圧分布で、足首部で25.3hPa、ふくらはぎ部で20.9hPaであった。また、作成された靴下は、足首部からふくらはぎ部にかけての外形の幅が漸次広くなるように形成され、足首部からふくらはぎ部にかけてのふくらはぎ部側の外縁を曲線形状としたものである。
【0031】
(実施例3)
ゴム編みの編目を構成する糸に、ゴム弾性糸をウーリーナイロン糸でシングルカバーした弾性糸及び綿紡績糸を使用しソックスタイプの靴下を編成した。指袋は、一方は親指用の指袋、他方が親指以外の指用の指袋となるよう2つ設けた。また、拇指球部を含む足底部の全面と、踵部から足首部の高さまでの背面部とに、図3に示すような形状のずれ抑制部をパイルにより形成した。
使用した糸の太さ、割合等は、図4、図5に示す。このようにして得られた靴下は、前述のサイズ3に相当するものであり、この靴下の圧迫圧分布は、足首部からふくらはぎ部へと順次圧迫圧が小となる圧迫圧分布で、足首部で20.0hPa、ふくらはぎ部で18.2hPaであった。また、作成された靴下は、足首部からふくらはぎ部にかけての外形の幅が漸次広くなるように形成され、足首部からふくらはぎ部にかけてのふくらはぎ部側の外縁を曲線形状としたものである。
【0032】
本発明の実施例について、以下の評価を行った。なお、本発明の実施例の比較として、以下のソックスタイプの靴下を用いた。
(比較例1)
指袋は設けないで、足首部からふくらはぎ部へと順次圧迫圧が小となる圧迫圧分布を備える靴下を編成した。足首部からふくらはぎ部にかけては、平編みを採用した。平編みの編目を構成する糸には、ウーリーナイロン糸を使用し、その編目に横方向から挿入する糸としてポリウレタン弾性糸をウーリーナイロン糸でシングルカバーした弾性糸を使用した。
使用した糸の太さ、割合等は、図4、図5に示す。このようにして得られた靴下は、前述のサイズ3に相当するものであり、この靴下の圧迫圧分布は、足首部で27.0hPa、ふくらはぎ部で20.3hPaであった。また、作成された靴下は、足首部からふくらはぎ部にかけての外形の幅が同一幅となるように形成され、足首部からふくらはぎ部にかけてのふくらはぎ部側の外縁は直線形状とした。
【0033】
(比較例2)
2つの指袋を設け、一方は親指用の指袋、他方が親指以外の指用の指袋となるソックスタイプの靴下を編成した。この靴下には、足首部からふくらはぎ部へと順次圧迫圧が小となる圧迫圧分布、又は足首部からふくらはぎ部までの間に局所的に圧迫圧が大となる圧迫圧分布を設けない。この靴下は、足首部からふくらはぎ部にかけては、平編みを採用した。平編みの編目を構成する糸には、ポリウレタン弾性糸をウーリーナイロン糸でシングルカバーした弾性糸及び綿紡績糸を使用し、その編目に横方向から挿入する糸としてポリウレタン弾性糸をナイロン糸でダブルカバーした弾性糸を使用した。
使用した糸の太さ、割合等は、図4、図5に示す。このようにして得られた靴下は、前述のサイズ3に相当するものであり、この靴下の圧迫圧分布は、足首部で5.9hPa、ふくらはぎ部で6.8hPaであった。また、作成された靴下は、足首部からふくらはぎ部にかけての外形の幅が同一幅となるように形成され、足首部からふくらはぎ部にかけてのふくらはぎ部側の外縁は直線形状とした。
【0034】
(足首部及びふくらはぎ部の50%伸長時応力)
図6に示すように、靴下1の足首部4又はふくらはぎ部5を、引張試験機30(島津製作所社製、商品名「オートグラフAG−I」ロードセル100kg使用)のチャック31に、靴下の生地に撓みがないようにチャック間に取り付ける(図ではふくらはぎ部を取り付けた状態を示す)。チャックへの取り付けは、チャック間距離32が、足首部を測定する場合は60mm、ふくらはぎ部を測定する場合は80mmにし、足首部4又はふくらはぎ部5の幅方向w1又はw3と引張り方向が平行となるように取り付ける。チェック幅33は、35mmのものを使用する。引張速度100mm/minで引張り、50%伸長時の応力(N)を測定し、2サンプルの測定結果の平均値を、足首部又はふくらはぎ部の50%伸長時応力とする。
【0035】
(糸の太さ)
靴下の足首部及びふくらはぎ部を覆う布より糸をほぐし、無作為に5本を採取する。複数の種類の糸を使用している場合には、それぞれの種類の糸について5本採取する。その糸の一端を固定し、他端に50gの錘を吊るし、歪を解消させた状態で、50倍の電子顕微鏡(キーエンス社製 VH-8000)を使用して糸の太さを計測する。糸の太さは、糸の長手方向に対し直交する方向の糸の幅を糸の直径と仮定し、電子顕微鏡視野における2点間距離測定を用いて、5本の糸の平均値として表示する。
【0036】
(布の圧縮エネルギー)
自動化圧縮試験機(カトーテック社製、KESFB3−AUTO−A)を使用し、次の方法により圧縮エネルギーを測定する。靴下の足首部及びふくらはぎ部の生地から5×5cmのサイズの試験片を採取する。試験片を試験機の中央に設置し、2cm2の円形平面で布を0.2mm/秒の速度で圧縮力を加え、その荷重を測定する。圧縮エネルギー(gf・cm/cm2)は、2サンプルの測定結果の平均値として表示する。圧縮エネルギーは、値が大きいほど圧縮しやすいことを意味する。
【0037】
(布の表面粗さ)
自動化表面試験機(カトーテック社製、KESFB4−AUTO−A)を使用し、次の方法により表面粗さを測定する。靴下の足首部及びふくらはぎ部の生地から20×5cmのサイズの試験片を採取する。試験機に400gの張力をかけた試験片を設置し、試験片に50gの金属摩擦子を置き、試験片を前後に20mm移動し、試験片の摩擦力の変動を計測する。表面粗さは、摩擦力より算出する2サンプルの測定結果の平均値として表示する。表面粗さは、生地表面の凹凸の変動を示し、値が大きいほど凹凸が大きいことを意味する。
【0038】
(摩擦係数)
自動化表面試験機(カトーテック社製、KESFB4−AUTO−A)を使用し、次の方法により摩擦係数を測定する。実施例の靴下から拇指球部を含む20×5cmのサイズの試験片を採取する。試験機に400gの張力をかけた試験片を設置し、試験片の拇指球部に50gの金属摩擦子を置き、試験片を前後に20mm移動し、拇指球部の摩擦力の変動を計測する。摩擦係数は、摩擦力より算出する2サンプルの測定結果の平均値として表示する。摩擦係数は、大きいほど滑らかでないことを意味する。
【0039】
(装着時のずれ難さ)
3名の被検者に20分間トレッドミル歩行を行なわせ、その時の靴下のずれ難さの度合いを、次の5段階で評価し、その合計点数を評点とする。評点の高いほうが、ずれ難いことを示す。
5段階評価:ずれ難い5点、ややずれ難い4点、ふつう3点、ややずれ易い2点、ずれ易い1点。
【0040】
(装着時の快適性)
上記の「装着時のずれ難さ」の評価後に、靴下の装着後の快適性の度合いを、次の5段階で評価し、その合計点数を評点とする。評点の高いほうが、快適性が高いことを示す。
5段階評価:快適である5点、やや快適である4点、ふつう3点、やや不快である2点、不快である1点。
【0041】
(歩行中の蹴り出し力易さの評価)
5名の被検者にトレッドミル歩行を行なわせ、歩行中の蹴り出しやすさの度合いを、次の5段階で評価し、その合計点数を評点とする。評点の高いほうが、蹴り出し易いことを示す。測定は、歩行速度5km/hで、トレッドミルの傾斜角度を0%と15%の2つのパターンで行う。
5段階評価:蹴り出し易い5点、やや蹴り出し易い4点、ふつう3点、やや蹴り出し難い2点、蹴り出し難い1点。
【0042】
これらの結果を図4、図5に示す。実施例に係る靴下は、比較例に比べ、歩行時の蹴り出し易さが優れ、長時間装着してもずれが起こり難く、また快適性も高いことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態の一例に係る靴下の正面斜視図。
【図2】図1のa)に係る靴下の側面図。
【図3】図1のa)に係る靴下を裏返した状態の側面図。
【図4】本発明の実施例及び比較例の評価結果を示す図。
【図5】本発明の実施例及び比較例の評価結果を示す図。
【図6】50%伸長時応力の試験方法を示す図。
【符号の説明】
【0044】
1 靴下又は筒状の下肢用サポーター
2 足先部
3 踵部
4 足首部
5 ふくらはぎ部
6 膝部
7 足口部
8 拇指球部
9 背面部
10 ずれ抑制部
20 指袋
30 引張試験機
31 チャック
32 チャック間距離
33 チェック幅
b ふくらはぎ部側の外縁
w1 足首部の幅
w2 足首部とふくらはぎ部との中間部の幅
w3 ふくらはぎ部の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、足部の一部又は全部、足首部、及びふくらはぎ部を覆い、装着時に足首部からふくらはぎ部へと順次圧迫圧が小となる圧迫圧分布を設けた靴下又は筒状の下肢用サポーターであって、足部に複数の指袋を設けることを特徴とする靴下又は筒状の下肢用サポーター。
【請求項2】
少なくとも、足部の一部又は全部、足首部、及びふくらはぎ部を覆い、装着時に足首部からふくらはぎ部までの間に局所的に圧迫圧が大となる圧迫圧分布を設けた靴下又は筒状の下肢用サポーターであって、足部に複数の指袋を設けることを特徴とする靴下又は筒状の下肢用サポーター。
【請求項3】
足首部からふくらはぎ部にかけての幅を漸次広くなるように形成した請求項1又は2に記載の靴下又は筒状の下肢用サポーター。
【請求項4】
足首部からふくらはぎ部にかけてのふくらはぎ部側の外縁を曲線形状になるように形成した請求項3に記載の靴下又は筒状の下肢用サポーター。
【請求項5】
足首部の幅、足首部とふくらはぎ部との中間部の幅、及びふくらはぎ部の幅の比を、1:(1.05〜1.60):(1.30〜2.00)となるように形成した請求項3又は4に記載の靴下又は筒状の下肢用サポーター。
【請求項6】
足首部及びふくらはぎ部の50%伸長時応力が5〜20Nの範囲である請求項1〜5のいずれかに記載の靴下又は筒状の下肢用サポーター。
【請求項7】
少なくとも、足部の一部又は全部、足首部、及びふくらはぎ部を覆い、装着時に足首部からふくらはぎ部へと順次圧迫圧が小となる圧迫圧分布を設けた靴下又は筒状の下肢用サポーターであって、足部に複数の指袋を設け、足首部からふくらはぎ部にかけての幅を漸次広くなるように形成し、足首部からふくらはぎ部にかけてのふくらはぎ部側の外縁を曲線形状になるように形成し、足首部の幅、足首部とふくらはぎ部との中間部の幅、及びふくらはぎ部の幅の比を、1:(1.05〜1.60):(1.30〜2.00)となるように形成し、足首部及びふくらはぎ部の50%伸長時応力が5〜20Nの範囲であることを特徴とする靴下又は筒状の下肢用サポーター。
【請求項8】
少なくとも、足部の一部又は全部、足首部、及びふくらはぎ部を覆い、装着時に足首部からふくらはぎ部までの間に局所的に圧迫圧が大となる圧迫圧分布を設けた靴下又は筒状の下肢用サポーターであって、足部に複数の指袋を設け、足首部からふくらはぎ部にかけての幅を漸次広くなるように形成し、足首部からふくらはぎ部にかけてのふくらはぎ部側の外縁を曲線形状になるように形成し、足首部の幅、足首部とふくらはぎ部との中間部の幅、及びふくらはぎ部の幅の比を、1:(1.05〜1.60):(1.30〜2.00)となるように形成し、足首部及びふくらはぎ部の50%伸長時応力が5〜20Nの範囲であることを特徴とする靴下又は筒状の下肢用サポーター。
【請求項9】
足首部及び/又はふくらはぎ部を覆う部分の圧縮エネルギーが0.35〜3.5gf・cm/cm2としたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の靴下又は筒状の下肢用サポーター。
【請求項10】
足首部及び/又はふくらはぎ部を覆う部分を編物で構成し、その編物を構成する糸の50重量%以上の糸が、太さ200〜700μmの編目を構成する糸としたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の靴下又は筒状の下肢用サポーター。
【請求項11】
足首部及び/又はふくらはぎ部を覆う部分を構成する糸にセルロース繊維とポリエステル繊維とを併用し、セルロース繊維を20〜80重量%、ポリエステル繊維を20〜70重量%使用したことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の靴下又は筒状の下肢用サポーター。
【請求項12】
少なくとも拇指球部に、摩擦係数が0.3〜0.7となる部分を設けたことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の靴下又は筒状の下肢用サポーター。
【請求項13】
少なくとも拇指球部に、パイルとなる部分を形成したことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の靴下又は筒状の下肢用サポーター。
【請求項14】
2つの指袋を設け、一方は親指用の指袋、他方が親指以外の指用の指袋であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の靴下又は筒状の下肢用サポーター。
【請求項15】
各指用の5つの指袋を設けることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の靴下又は筒状の下肢用サポーター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−239151(P2007−239151A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65209(P2006−65209)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【Fターム(参考)】