説明

靴下

【課題】靴下における踵部を人の踵形状に合わせるように編成し、着用時の踵部のズレ動きの発生を効果的に抑えることができる靴下を提供する。
【解決手段】靴下の踵部16における第1祉側に該当する内側で、この踵部16の内側がゴアライン18を境に足先側16aと足首側16bになる靴下10であって、前記踵部16の内側で足先側16aの足首側16bと編合する部分に、減らし目aと増やし目bの編合部分Aをゴアライン18の長さ方向に複数設け、ゴアライン18の全長にわたって足先側16aの足首側16bと編合する部分の合計編目数を、足首側16bの編目数よりも多くなるように編成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、着用したときに人の踵によくフィットし、しかも歩行や走行時に踵部分がズレ動くのを有効に防ぐことができる左右特定着用の靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な靴下は、図3のように、口ゴム部1、脚部2、足部3からなり、口ゴム部1はゴム編みやゴム糸を挿入して伸縮性を持たせ、靴下のずれ落ちを防止する部分であり、前記足部3は、足甲部4、足底部5、踵部6、爪先部7によって構成され、特に踵部6は、ゴアライン8を中心として足先側6aと足首側6bからなり、この足先側6aと足首側6bは、通常目減らしと目増やしを行なうことによって編成されている。
【0003】
従来のこのような靴下は、踵部6を含めて全体が両側対称に編製されているため、左右の足に対する方向性がなく、従って、一足の靴下は左右の足の何れにも着用できる利便性はある。
【0004】
ところで、人の足は左右対称形状にはなっておらず、特に踵は踝が突出しているため、靴下の着用時に踵部によってどうしても窮屈感を覚えるため、踵部の編地に余裕を持たせ、窮屈感を軽減するようにした靴下が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−164405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、人の足は踝の第1祉側である内側は小さく突出し、第5祉側である外側は大きく突出しているが、上記のように、単に踵部の編地に余裕を持たせだけの構造では、踵部の内側と外側を対称形状に編成しているため、踵の形状を考慮したことにはならず、靴下の着用時において、踵の両側形状の違いが原因で靴下の踵部にズレ動きが発生するという問題がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、靴下における踵部を人の踵形状に合わせるように編成し、着用時の踵部のズレ動きの発生を効果的に抑えることができる靴下を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するため、この発明は、靴下の踵部における第1祉側に該当する内側で、この踵部内側がゴアラインを境に足先側と足首側になる靴下において、前記踵部内側の足先側を、ゴアラインの全長にわたって足首側と編合する部分の合計編目数が、足首側の編目数よりも多くなるように編成した構成を採用したものである。
【0008】
上記踵部内側の足先側におけるゴアラインでの合計編目数は、足首側と編合する部分に、減らし目と増やし目の編合部分をゴアラインの長さ方向に複数設けることによって形成されている構造とすることができる。
【0009】
ここで、靴下は、口ゴム部、脚部、足部からなり、前記足部は、足甲部、足底部、踵部、爪先部によって構成され、特に踵部は、ゴアラインを境として足先側と足首側を目減らし、次に目増やしを行うことにより編成されるが、この踵部の編成時に、前記ゴアラインの全長における足首側編地のゴアラインでの編目数に対して、足先側編地のゴアラインでの編目数を、減らし目と増やし目の編合部分を所定間隔で複数設けることにより、実質的に合計編目数を多くなるようにし、踵部の足首側とゴアラインを挟んで編成される足先側に編地の余裕を持たせ、靴下着用時の踵部における第1祉側に該当する内側を踵にフィットする形状に仕上げたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によると、靴下の踵部で第1祉側に該当する内側を、踵部内側の足先側を、ゴアラインの全長にわたって足首側と編合する部分の合計編目数が、足首側の編目数よりも多くなるように編成したので、踵部のゴアラインを挟んで足先側の編地に余裕ができ、通常の足首側の編地に対して足先側の編地が余裕を持つことで、踵部の内側が人の足における踵内側突部にフィットする形状になり、これにより、靴下着用時に、踵部のズレ動きの発生を抑えることができ、違和感のない着用状態が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に示すように、この発明の靴下10は、通常の靴下編機を用いて編成された口ゴム部11、脚部12、足部13からなり、前記足部13は、足甲部14、足底部15、踵部16、爪先部17によって構成され、特に踵部16は、ゴアライン18を境として足先側16aと足首側16bに形成され、この足先側16aの編地と足首側16bの編地は目減らしと次に目増やしを行なうことにより編成される。
【0013】
上記靴下Aの踵部16で第1祉側(親指)に該当する内側は、この踵部16のゴアライン18を境にして足先側16aと足首側16bに編成され、前記踵部16の内側における足先側16aが、ゴアライン18の全長にわたって足首側16bと編合する部分の合計編目数が、足首側16bの編目数よりも多くなるように編成されている。なお、上記踵部16で第5祉側(小指)に該当する外側の足先側と足首側は、通常の靴下と同様に編成されている。
【0014】
上記踵部16の内側の編成は、足首側16bの編地を通常のように目減らししながら編み上げ、続いて足先側16aを編成するとき、この足先側16aのゴアライン18の全長での足首側16bの編地との編合部分において、基本的にゴアライン18全長での合計編目数を、足首側16bよりも多くなるように編成する。
【0015】
具体的には、図2のように、足先側16aの編地を編み上げて行く場合に、ゴアライン18を形成しながら足首側16bと編み合わせする部分に、短い長さの減らし目aと増やし目bの編合部分Aを編成し、この編合部分Aをゴアライン18の長さ方向に所定の間隔で複数回繰り返し、ゴアライン18の全長における足首側16bの編目数に対して、足先側16aのゴアライン18での実質的な編目の合計数を多くなるようにする。
【0016】
上記ように、足先側16aの編地を編み上げて行く場合に、ゴアライン18を形成しながら足首側16bと編み合わせする部分に、短い長さの減らし目aと増やし目bの編合部分Aを編成すれば、編合部分Aでの網目数に編合部分Aの数をかけた分だけ編目数が多くなり、これを直線状に延ばすと、減らし目aと増やし目bの部分の数の分だけ、足首側16bの編地のゴアライン18全長での網目数よりも多くなるが、実際には、編合部分Aがゴアライン18の長さ方向に対して編合されて縮む部分となるため、編目数を増やしたにもかかわらず、足首側16bによって設定された正規の編目数のゴアライン18全長に対して、足先側16aの編地を編み合わせることができる。
【0017】
このようにして足首側16bと足先側16aを編み合わせることにより、足首側16bの編地が正規の編み上がりであるのに対して、足先側16aの編地には、各編合部分Aで編地がつままれたように編み上がり、足先側16aの編地のゴアライン18側の部分に余裕が生じることになる。
【0018】
上記のようにして編み上がった靴下10は、左右特定着用の靴下が組み合わされて一足になり、踵部16の内側でゴアライン18を境とする足首側16bと足先側16aにおいて、足先側16aの編地のゴアライン18側の部分に各編合部分Aで余裕を生じさせると、靴下10の着用時に踵部16の内側は、足の形状に近いものとなり、踵部16の内側が踝にフィットするだけでなく過分に引き伸ばされることがなく、踵部16の過分な引き伸ばしによる収縮力が起因となって発生する踵部16のズレ動きを効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係る靴下の正面図
【図2】この発明に係る靴下の踵部における足首側と足先側の編目による編合部分を拡大した正面図
【図3】従来の一般的な靴下を示す正面図
【符号の説明】
【0020】
10 靴下
11 口ゴム部
12 脚部
13 足部
14 足甲部
15 足底部
16 踵部
16a 足先側
16b 足首側
17 爪先部
18 ゴアライン
a 減らし目
b 増やし目
A 編合部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴下の踵部における第1祉側に該当する内側で、この踵部内側がゴアラインを境に足先側と足首側になる靴下において、前記踵部内側の足先側を、ゴアラインの全長にわたって足首側と編合する部分の合計編目数が、足首側の編目数よりも多くなるように編成したことを特徴とする靴下。
【請求項2】
上記踵部内側の足先側におけるゴアラインでの合計編目数は、足先側の足首側と編合する部分に、減らし目と増やし目の編合部分をゴアラインの長さ方向に複数設けることによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の靴下。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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