説明

靴用インソール

【課題】高い強度を維持しながら衝撃吸収性を大幅に向上させた靴用インソールを提供する。
【解決手段】厚さ10ないし100μmのポリウレタン皮膜3がラミネートされた生地2のポリウレタン皮膜側に、超軟質ポリウレタン層4及び熱可塑性ポリウレタンフィルム5をこの順で積層させて形成される靴用インソール1であって、前記超軟質ポリウレタン層4は、その側面を含めて前記熱可塑性ポリウレタンフィルム5で覆われて、該熱可塑性ポリウレタンフィルム5と前記ポリウレタン皮膜3とで形成される空間内に内包されていることを特徴とする靴用インソール1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い強度を維持しながら衝撃吸収性を大幅に向上させた靴用インソールに関するものであり、具体的には、厚さ10ないし100μmのポリウレタン皮膜がラミネートされた生地のポリウレタン皮膜側に、超軟質ポリウレタン層及び熱可塑性ポリウレタンフィルムをこの順で積層させて形成される靴用インソールであって、
前記超軟質ポリウレタン層は、その側面を含めて前記熱可塑性ポリウレタンフィルムで覆われて、該熱可塑性ポリウレタンフィルムと前記ポリウレタン皮膜とで形成される空間内に内包されていることを特徴とする靴用インソールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、シューズのインソールが、少なからず健康に影響を及ぼすことが明らかにされてきつつあり、そのためその重要性が増してきている。
このインソールには、ジョギング、各種スポーツ、足つぼマッサージ、外反母趾対策、疲労回復など様々な用途があり、これらの用途に応じて材質、形状、構造が異なるため、各用途ごとに最適材料を提供する事が求められている。
また、シューズ用インソールに求められる主な機能としては、快適な足裏の感触、体圧分散、衝撃安定性、衝撃吸収性、軽量、通気性、抗菌性、防臭性などがある。
インソールに関する従来技術において、足裏に接触する生地の部分には織物、編み物、不織布、人工皮革などが用いられ、強度、感触、機能に応じて使い分けられており、そして、これらの生地は通常薄いポリウレタンフィルムで裏打ちされている。
このポリウレタンフィルムに接触する様式で、様々な形状、硬度の樹脂が組み合わされ、体圧分散、衝撃安定性を配慮しつつ、更なる様々な形状、硬度の樹脂が組み合わされることにより、かなり複雑な構造となる。また、より複雑な構造になると更にその下に硬質ボードに類する基盤が必要となる。
【0003】
シューズ用インソールに用いられる衝撃吸収材としては、アクリル、ウレタン、シリコン等のゲルや低反発ウレタンフォーム等が知られている。
一方、エネルギー吸収性に優れ、衝撃吸収用途に好適であると考えられる素材として軟質ポリウレタンがあり、既に複数の製造方法の報告がなされている(例えば、特許文献1ないし4参照)。
特許文献1ないし4は、何れも各種ポリオールをイソシアネートと反応させるものであるが、いずれの場合もNCO/OH当量比が低く、1.0以下で極めて軟質となることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭62−26330号公報
【特許文献2】特開昭61−19618号公報
【特許文献3】特開平6−73150号公報
【特許文献4】特開昭60−67524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
軟質ポリウレタンを、より軟質にすれば衝撃吸収性を向上させることができ、これにより、従来のアクリル、ウレタン、シリコン等のゲルや低反発ウレタンフォーム等とは異なる、優れた衝撃安定性を示すものとなり、これにより瞬間の応力に対して体をしっかり支えられるようになるという利点を有する。
しかし、軟質化を進めると、その強度が低下し、また、べたつき(粘着)も強くなる。
靴用インソールであれば、適度な粘着はすべり防止になるため有効なものではあるが、強すぎる粘着はまともにせん断応力を受けるためインソールの劣化を早め、また、インソールを取り替える際、取り外せなくなるという問題も発生する。
上記の問題から靴用インソールに用いる軟質ポリウレタンの軟質化には限界があった。
従って、本発明は、上記の問題を解消し得る、即ち、超軟質ポリウレタンを用いながらも、高い強度を維持しながら衝撃吸収性を大幅に向上させ得る靴用インソールの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリウレタン皮膜がラミネートされた生地、超軟質ポリウレタン層及び熱可塑性ポリウレタンフィルムを積層して形成される靴用インソールにおいて、超軟質ポリウレタン層を、その側面を含めて前記熱可塑性ポリウレタンフィルムで覆われて、該熱可塑性ポリウレタンフィルムと前記ポリウレタン皮膜とで形成される空間内に内包される構成とすることにより、高い強度を維持しながら衝撃吸収性を大幅に向上させた靴用インソールが提供され得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明は、
(1)厚さ10ないし100μmのポリウレタン皮膜がラミネートされた生地のポリウレタン皮膜側に、超軟質ポリウレタン層及び熱可塑性ポリウレタンフィルムをこの順で積層させて形成される靴用インソールであって、
前記超軟質ポリウレタン層は、その側面を含めて前記熱可塑性ポリウレタンフィルムで覆われて、該熱可塑性ポリウレタンフィルムと前記ポリウレタン皮膜とで形成される空間内に内包されていることを特徴とする靴用インソール、
(2)前記超軟質ポリウレタン層は、充填材で軽量化されて、密度が0.65ないし0.85であり、ショア00硬度が30ないし60及びtanδが0.65ないし0.90である前記(1)記載の靴用インソール、
(3)前記熱可塑性ポリウレタンフィルムは、厚さが50ないし100μmであり、100%モジュラスが3ないし10MPaである前記(1)又は(2)に記載の靴用インソール、
(4)前記ポリウレタン皮膜がラミネートされた生地の耐水圧が、1kg/cm2以上である前記(1)ないし(3)の何れか1つに記載の靴用インソール、
(5)前記(1)ないし(4)の何れか1つに記載の靴用インソールの製造方法であって、
1)吸引孔が設けられたインソール用金型の型面上に、熱可塑性ポリウレタンフィルムを被せ、前記吸引孔からの脱気により前記熱可塑性ポリウレタンフィルムを前記金型の型面に吸着させる工程、
2)ポリオール成分とイソシアネート成分を含む超軟質ポリウレタン製造用の配合液を、吸着された前記熱可塑性ポリウレタンフィルムの上に注入し、該金型のキャビティに充填する工程、
3)充填された前記配合液の上に、厚さ10ないし100μmのポリウレタン皮膜がラミネートされた生地を、ポリウレタン皮膜側を下にして載せて熱プレスする工程、及び
4)金型内から、前記ポリウレタン皮膜がラミネートされた生地、超軟質ポリウレタン層及び熱可塑性ポリウレタンフィルムの積層体を取り出し、その外周縁を裁断する工程
を含む製造方法、
に関するものである。
尚、本願明細書中、超軟質ポリウレタンとは、加熱硬化後の成型品のショア00硬度が30ないし60の範囲となるポリウレタンを意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、超軟質ポリウレタンを用いながらも、高い強度を維持しながら衝撃吸収性を大幅に向上させ得る靴用インソールが提供される。
本発明の靴用インソールは、従来のインソールより格段に性能が向上したにも拘わらず、従来のインソールのように複雑な構造でなく極めてシンプルな構造で済むため、生産性が高くまた経済性にも優れるものである。
本発明の靴用インソールは、軟質ポリウレタン層が、その側面を含めて前記熱可塑性ポリウレタンフィルムで覆われて、該熱可塑性ポリウレタンフィルムと前記ポリウレタン皮膜とで形成される空間内に内包されることを特徴とするものであり、そして、このような構成を有することにより、高い強度を維持しながら衝撃吸収性を大幅に向上させ得るという優れた効果を奏するものであるが、この点に付き説明を付加する。
【0009】
本発明に使用され得る超軟質ポリウレタンにおける硬度と破断応力との関係を示すグラフを図2に示した。
図2から、硬度が増すに従って破断応力も高くなることが判り、そして、実用上必要とされる0.6MPa以上の破断応力を得ようとすると、65以上の硬度が必要であることが判る。
一方、衝撃吸収性の目安となるtanδ(損失正接)は高い程好ましいが、本発明に使用され得る超軟質ポリウレタンにおける硬度とtanδとの関係を示す図3のグラフから判るように、硬度が増すに従ってtanδは低くなるため、実用上必要とされる0.6MPa以上の破断応力を確保しようとすると、必然的にtanδは0.6より低くせざるを得ないものであることが判る。
そして、本発明は、上述のように、超軟質ポリウレタン層を、その側面を含めて前記熱可塑性ポリウレタンフィルムで覆い、該熱可塑性ポリウレタンフィルムと前記ポリウレタン皮膜とで形成される空間内に内包することにより、前記軟質ポリウレタン自体の硬度を低くしても、インソールとしての破断応力は維持され得ることを見出したものである。
そしてこれにより、実用上必要とされる0.6MPa以上の破断応力を維持したままで硬度を低くすることが可能となり、具体的には、硬度を30まで下げることが可能になり、これにより、tanδを0.9まで向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の靴用インソールの構成を示す断面図である。
【図2】本発明に使用され得る超軟質ポリウレタンにおける硬度と破断応力との関係を示すグラフである。
【図3】本発明に使用され得る超軟質ポリウレタンにおける硬度とtanδとの関係を示すグラフである。
【図4】本発明の靴用インソールの製造方法の1態様を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
更に詳細に本発明を説明する。
本発明の靴用インソールは、
厚さ10ないし100μmのポリウレタン皮膜がラミネートされた生地のポリウレタン皮膜側に、超軟質ポリウレタン層及び熱可塑性ポリウレタンフィルムをこの順で積層させて形成される靴用インソールであって、
前記超軟質ポリウレタン層は、その側面を含めて前記熱可塑性ポリウレタンフィルムで覆われて、該熱可塑性ポリウレタンフィルムと前記ポリウレタン皮膜とで形成される空間内に内包されていることを特徴とする。
本発明の靴用インソールの構成を示す断面図を図1に示した。
即ち、本発明の靴用インソール1は、例えば、ポリウレタン皮膜3が生地2に接着剤6を介してラミネートされた生地層7のポリウレタン皮膜3側に、超軟質ポリウレタン層4
及び熱可塑性ポリウレタンフィルム5がこの順で積層され、超軟質ポリウレタン層4は、その側面を含めて熱可塑性ポリウレタンフィルム5で覆われて、該熱可塑性ポリウレタンフィルム5とポリウレタン皮膜3とで形成される空間内に内包されて構成される。
【0012】
前記生地としては、例えば、羊毛、絹、木綿、麻等の天然繊維、ポリアミド、レーヨン等の半合成繊維、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンもしくはポリアミド等の合成繊維、ポリアセテート等のその他の繊維もしくはこれらの混紡材よりなる織物、編物又は不織布等を使用することができ、これに加えて、従来汎用の合成皮革の他、プロテインレザー(特に靴用のもの)等の合成皮革も使用することができる。
尚、これら生地に使用される織物の織り方、また編物の編み方は、特に限定されるものでなく、例えば、平織り、蜂巣織り等の織物地、ダブルラッシェル編み、トリコット編み、メッシュ編みなどの編物地、さらには起毛加工した生地等も使用することができる。
【0013】
生地にラミネートされる厚さ10ないし100μmのポリウレタン皮膜としては、飽和脂肪族または脂環族ジイソシアネートとポリオールとを反応させて得られる、分子構造中にウレタン基を含有するポリウレタン樹脂からなる、厚さ10ないし100μmのポリウレタン皮膜が挙げられる。
ポリウレタン皮膜の厚さは、30ないし80μmが好ましい。
飽和脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアナトオクタン等とこれらの異性体が挙げられ、脂環族ジイソシアネートとしては、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−シクロブタンジイソシアネート、1,3−および1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロキシリレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等とこれらの異性体が挙げられる。
これらジイソシアネートは、単独で用いても、または2種類以上の併用でもよい。
【0014】
ポリオールとしては、分子量500〜4000の末端活性水素を有するポリオールであれば、いずれでもよく、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、フェノールレジンポリオール、エポキシポリオール、ブタジエンポリオール、ポリエステル−ポリエーテルポリオール、アクリル、スチレン、ビニル付加および/または分散ポリマーポリオール、ウレア分散ポリオール、カーボネートポリオール等が挙げられる。
中でも、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが好ましく、具体的には、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,6−ヘキサンアジペート)、ポリ−ε−カプロラクトン等が挙げられる。
【0015】
ポリウレタン皮膜の生地へのラミネートは、接着剤を介してなされていてもよく、これに使用され得る接着剤としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂系接着剤、レゾール型フェノール樹脂、エポキシ変性フェノール樹脂を含有するフェノール樹脂系接着剤、さらにこれらに未加硫NBR等のゴム組成物成分を含有させたフェノール樹脂系接着剤等のフェノール系接着剤やランダム共重合体又はブロック共重合体のスチレン・ブタジエン共重合体のような有機溶剤系接着剤を挙げることができる。
好ましくは、ポリウレタン皮膜がラミネートされた生地の耐水圧は1kg/cm2以上である。
【0016】
前記熱可塑性ポリウレタンフィルムとしては、飽和脂肪族または脂環族ジイソシアネー
トとポリオールとを反応させて得られる、分子構造中にウレタン基を含有する高分子のうち熱可塑性を有する熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるフィルムが挙げられる。
熱可塑性ポリウレタンフィルムは、厚さが50ないし100μmであり、100%モジュラスが3ないし10MPaであるのが好ましい。
100%モジュラスが、3MPaより小さくなると、インソールと靴底との間ですべりが発生し易くなり、10MPaを超えるとインソールの劣化が起こり易くなるため好ましくない。
飽和脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアナトオクタン等とこれらの異性体が挙げられ、脂環族ジイソシアネートとしては、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−シクロブタンジイソシアネート、1,3−および1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロキシリレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等とこれらの異性体が挙げられる。
これらジイソシアネートは、単独で用いても、または2種類以上の併用でもよい。
【0017】
ポリオールとしては、分子量500〜4000の末端活性水素を有するポリオールであれば、いずれでもよく、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、フェノールレジンポリオール、エポキシポリオール、ブタジエンポリオール、ポリエステル−ポリエーテルポリオール、アクリル、スチレン、ビニル付加および/または分散ポリマーポリオール、ウレア分散ポリオール、カーボネートポリオール等が挙げられる。
中でも、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが好ましく、具体的には、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,6−ヘキサンアジペート)、ポリ−ε−カプロラクトン等が挙げられる。
【0018】
前記超軟質ポリウレタン層を構成する超軟質ポリウレタンとしては、ショア00硬度が30ないし60及びtanδが0.65ないし0.90であるポリウレタンが好ましく、また、充填材で軽量化されて、密度が0.65ないし0.85であるのが好ましい。
密度が0.65未満になると超軟質ポリウレタンの強度を維持し難くなり、0.85を超えると軽量感を得難くなるため好ましくない。
充填材としては、例えば、有機マイクロバルーンを使用することができ、該有機マイクロバルーンとしては、例えば、ポリ塩化ビニリデン主体の共重合体からなる有機マイクロバルーンを使用するのが好ましい。
【0019】
前記超軟質ポリウレタンは、例えば、ポリオール成分とイソシアネート成分とを含む配合液を加熱硬化することにより製造することができる。
前記ポリオール成分は、ポリオールに加えて、充填材、硬化触媒、助触媒及び脱水剤等を含み得る。
前記ポリオール成分に含まれるポリオールとしては、軟質ポリウレタンを製造するために使用し得るポリオールであれば特に限定されるものではなく、例えば、以下の(1)ないし(5)で示されるようなポリオールの配合物を用いることができる。
(1)平均分子量2000を有するポリ(1,2−プロピレングリコール)とN,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンとの配合物。
【0020】
(2)平均分子量1000〜6000のポリオキシプロピレンポリオール90〜65質量%と、平均分子量60〜700の低分子量多価アルコール10〜35質量%と、炭素原子数10以下の1価アルコール0.15〜0.5(ポリオキシプロピレンポリオールに対す
る当量比:一価アルコールは、炭素原子数10個以下の脂肪族第1アルコール、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等を上げることができる。またアルキルエーテルアルコールを用いることもできる。)との配合物。
【0021】
(3)平均分子量1500〜2500のポリ(1,2−プロピレングリコール)90〜65wt%と、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン10〜35wt%と、炭素数3〜10の1価アルコール0.15〜0.5(ポリ(1,2−プロピレングリコール)総量に対する当量比:一価アルコールは、炭素原子数10個以下の脂肪族第1アルコール、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等を挙げることができる。またアルキルエーテルアルコールを用いることもできる。)との配合物。
【0022】
(4)平均分子量400〜6000が適当な2ないし8官能性のポリエーテルポリオール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジヒドロキシジフェニルプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ジプロピレングリコール、ジヒドロキシジフェニルメタン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、アミノフェノール、アミノナフトール、フェノールホルムアルデヒド縮合物、フロログルシン、メチルジエタノールアミン、エチルジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ビス(p−アミノシクロヘキサン)、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ナフタレンジアミンなどにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドなどを1種又は2種以上付加させて得られるポリエーテルポリオール、またはポリエステルポリオール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−または1,4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリットなどのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド付加物などの1種又は2種以上と、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、シュウ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸などの1種または2種以上とからのポリエステルポリオール、または、プロピオラクトン、ブチロラクトン、カプロラクトンなどの環状エステルを開環重合したポリオール;さらに上記ポリオールと環状エステルとより製造したポリエステルポリオール、及び上記ポリオール、2塩基酸、環状エステル3種より製造したポリエステルポリオール、或いは、1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール、ポリクロロプレンポリオール、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ポリオール、ポリジメチルシロキサンジカルビノール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール及びヒマシ油のようなリシノール酸エステル、前記のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールに、アクリロニトリル、スチレン、メチルメタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させて得たポリマーポリオール。
【0023】
(5)(a)一級ヒドロキシル基を末端に有し、2500〜8000の範囲の分子量、好ましくは2500〜4000の範囲の分子量を有する、2ないし6、好ましくは、2〜3の範囲の官能性を有するポリオールと、(b)多価アルコール、例えば、グリセリン、1,4−ブタンジオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、1,2−プロ
ピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ヒドロキノンのビス(ヒドロキシエチルエーテル)、1,1',1'',1'''−エチレンジニトリロテトラ−(2−プロパノール)と、(c)10以下の炭素原子をもつ脂肪族1価一級アルコール、好ましくは炭素原子数1ないし6の範囲内の、メチルアルコールからn−ヘキサノールまでのものからなるアルコールとの配合物。
【0024】
好ましいポリオール成分としては、(2)平均分子量1000〜6000のポリオキシプロピレンポリオール90〜65質量%と、平均分子量60〜700の低分子量多価アルコール10〜35質量%と、炭素原子数10以下の1価アルコール0.15〜0.5(ポリオキシプロピレンポリオールに対する当量比:一価アルコールは、炭素原子数10個以下の脂肪族第1アルコール、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等を挙げることができる。またアルキルエーテルアルコールを用いることもできる。)との配合物が挙げられる。
【0025】
より好ましい、ポリオール成分としては、(3)平均分子量1500〜2500のポリ(1,2−プロピレングリコール)90〜65wt%と、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン10〜35wt%と、炭素原子数3〜10の1価アルコール0.15〜0.5(ポリ(1,2−プロピレングリコール)総量に対する当量比:一価アルコールは、炭素原子数10個以下の脂肪族第1アルコール、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等を上げることができる。またアルキルエーテルアルコールを用いることもできる。)との配合物が挙げられる。
【0026】
充填剤としては、例えば、有機マイクロバルーンを使用することができ、該有機マイクロバルーンとしては、例えば、ポリ塩化ビニリデン主体の共重合体からなる有機マイクロバルーンを使用するのが好ましい。
上記充填剤は、密度0.035ないし0.050であるのが好ましく、使用する際は、ポリオール及び充填剤の総質量に基いて1.0質量%以上の量を使用するのが好ましい。
密度が、0.035より小さくなると、均一混和中、例えば、パイプライン循環中にバルーンの破壊率が増加し、結果として成型品の密度を向上させるため、好ましくない。
また、充填剤の量が、1.0質量%未満の場合、成形品の密度が大きくなると共に、ブロッキング(べたつき)が発生するため好ましくない。
尚、充填剤の粒径は、40ないし60μmの範囲が好ましい。
【0027】
硬化触媒としては、通常のポリウレタン製造のために使用される鉛、錫、コバルト、ビスマス系の種々の金属触媒等が考慮される。
しかし、鉛系触媒のような環境汚染の点で問題となる触媒の使用は好ましくなく、そのため、例えば、環境汚染の点で問題とならない、ビスマス系触媒等の使用が好ましい。
ビスマス系触媒としては、例えば、オクチル酸ビスマスが好ましい。
触媒を使用する際の使用量としては、ポリオール及び充填剤の総質量100質量部に対して、0.01ないし0.5質量部、好ましくは、0.01ないし0.20質量部の範囲とするのが好ましい。
0.01質量部未満であると、後硬化の触媒効果が不足し、0.5質量部を超えると超軟質ポリウレタンの物性を低下させるため好ましくない。
【0028】
助触媒としては、例えば、カルボン酸が挙げられ、好ましくは、オクチル酸が挙げられる。
助触媒を使用する際の使用量としては、ポリオール及び充填剤の総質量100質量部に対して、0.1ないし3.0質量部、好ましくは、0.1ないし2.0質量部の範囲とす
るのが好ましい。
ポリオール成分には、上記成分に加えて、更に、充填材(通常使用される無機系の充填剤、例えば、炭酸カルシウム、ガラス繊維、等)、可塑剤(DOPのような通常使用されるもの)、安定剤等の当技術分野において周知の他の添加剤を加えることもできる。
【0029】
ポリオール成分の水分率は、脱水剤の添加により、550ppm以下に調整するのが好ましい。
脱水剤としては、通常使用される脱水剤を用いることができるが、例えば、合成ゼオライト粉末、好ましくは、粉末のモレキュラーシーブ(例えば、3A)を使用することができる。
脱水剤を添加した際、ポリオール成分の水分率が550ppmを超えると、脱型可能時間が10分を超えるため好ましくない。
また、該水分率は、好ましくは300ppm以下である。
上述の通り、脱水剤を使用する際の使用量は、ポリオール成分の水分率を550ppm以下とし得る量であるが、通常、ポリオール及び充填剤の総質量100質量部に対して、0.3ないし5質量部の範囲、好ましくは、0.5ないし3質量部の範囲である。
0.3質量部未満では、水分率を550ppm以下とすることが困難であり、5質量部を越えると機械強度が低下するため好ましくない。
また、脱水剤の添加は、ポリオールと充填剤からなる混合物に、硬化触媒及び助触媒を添加する際に生じる充填剤の沈降、浮遊を解消するための攪拌時に行うこともできるが、ポリオールと充填剤からなる混合物に脱水剤を添加しておき、その後、硬化触媒及び助触媒を添加し、充填剤の沈降、浮遊の解消のために攪拌、脱泡することもできる。
【0030】
上記で調製されたポリオール成分を、充填剤が沈降、浮遊しないよう、均一混和しながら、イソシアネート成分と混合するのが好ましい。
上記均一混和は、充填剤を沈降、浮遊させない条件であれば特に限定されないが、無端のパイプライン中で循環させるパイプライン循環が好ましい。
また、上記パイプライン循環は、ダイアフラムポンプ、例えば、0.3MPaダイアフラムポンプ等を用いて行うこともできる。
【0031】
上記イソシアネート成分としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、及びその混合物(TDI)、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネート(水素化MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水素化キシリレンジイソシアネート(HXDI)、粗製TDI、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)、及びこれらのイソシアネート類のイソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体、ビュレット変性体等が挙げられる。
【0032】
上記イソシアネート成分は単独又は2種以上の混合物として使用することができる。
イソシアネート成分の使用量は、該イソシアネート成分中に含有されるNCO基の量の、ポリオール中に含有されるOH基の総量に対する当量比(NCO/OH当量比)が0.4ないし1.4の範囲であり、好ましくは、0.5ないし1.2の範囲であり、より好ましくは、0.6ないし1.0の範囲である。
【0033】
上記で得られた配合液を、例えば、モールドに注型し、加熱硬化することにより、例えば、加熱硬化後の注型硬化品のショア00硬度が30ないし60、密度が0.65ないし0.85及びtanδが0.65ないし0.90である超軟質ポリウレタンが製造され得る。
ショア00硬度が30未満であると、成形速度が著しく遅くなる場合があり、身体を支える機能が不足する場合があり、また、耐久性が低下する場合があるため好ましくなく、60を超えると、求める衝撃吸収性を得難くなるため好ましくない。
モールドへの注型は通常の方法を用いることができるが、ディスペンサーにて計量吐出してモールドに注型するのが好ましい。
また、加熱硬化は、通常の硬化条件を用いることができるが、60ないし80℃に加熱硬化するのが好ましい。
上記の加熱硬化により、得られる注型硬化品は、例えば、2分以上のポットライフを有し、10分以内に脱型可能となり且つ60分以内に最終硬度に達し得るものとなる。
【0034】
本発明はまた、
1)吸引孔が設けられたインソール用金型の型面上に、熱可塑性ポリウレタンフィルムを被せ、前記吸引孔からの脱気により前記熱可塑性ポリウレタンフィルムを前記金型の型面に吸着させる工程、
2)ポリオール成分とイソシアネート成分を含む超軟質ポリウレタン製造用の配合液を、吸着された前記熱可塑性ポリウレタンフィルムの上に注入し、該金型のキャビティに充填する工程、
3)充填された前記配合液の上に、厚さ10ないし100μmのポリウレタン皮膜がラミネートされた生地を、ポリウレタン皮膜側を下にして載せて熱プレスする工程、及び
4)金型内から、前記ポリウレタン皮膜がラミネートされた生地、超軟質ポリウレタン層及び熱可塑性ポリウレタンフィルムの積層体を取り出し、その外周縁を裁断する工程
を含む、上述の靴用インソールの製造方法にも関する。
【0035】
前記靴用インソール1の製造方法の1態様を図4を用いて説明する。
先ず、図4の(a)で示されるように、インソール用金型8に吸引孔9が設けてあり、この金型8の型面上に熱可塑性ポリウレタンフィルム5を被せ、吸引孔9から吸引する。金型8に熱可塑性ポリウレタンフィルム5が隙間なく金型8に吸い付いた状態で、熱可塑性ポリウレタンフィルム5上に、ポリオール成分とイソシアネート成分を含む超軟質ポリウレタン製造用の配合液4´を充填する。充填された配合液4´上に、厚さ10ないし100μmのポリウレタン皮膜3を接着剤6を介して生地2とラミネートした生地層7を、ポリウレタン皮膜3側を下にして載せることにより図4の(b)で示される状態となる。
続いて、熱プレスにより固化させ、超軟質ポリウレタン層4を形成した後に金型8から積層体(ポリウレタン皮膜がラミネートされた生地、超軟質ポリウレタン層及び熱可塑性ポリウレタンフィルムの積層体)を取り出すことにより図4の(c)で示される状態となる。その後、該積層体の外周縁をインソールの形状に合わせて裁断する(裁断位置10)ことにより靴用インソール1が製造される。
吸引孔9からの吸引による熱可塑性ポリウレタンフィルム5の金型8への吸着は、靴用インソールを取り出すまで継続される。
ポリオール成分とイソシアネート成分を含む超軟質ポリウレタン製造用の配合液4´は、上述したポリオール成分とイソシアネート成分とを含む配合液を用いることができる。また配合液4´は、例えば、ディスペンサーにて計量吐出して金型8に充填される。熱プレスとしては、通常の加熱硬化条件を用いることができ、例えば、60ないし80℃の加熱条件を採用することができる。
形成された積層体を取り出す前又は後に冷却を行うこともできるが、該冷却としては、強制的に水冷や空冷により行うこともできるが、放置により行うこともできる。
形成された積層体は、その外周縁が裁断されて最終的なインソールの形状となるが、その際の裁断位置は、通常、熱可塑性ポリウレタンフィルム5とポリウレタン皮膜3との接合部分から1〜2mm程度外縁方向の位置となるように設定するのが好ましい。
また、上記製造法は、前記1)ないし4)の工程を連続して行うこともできる。
【実施例】
【0036】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1
土踏まず部分に若干厚みを持たせたインソール用金型に100%モジュラス5MPaで厚みが50μmの熱可塑性ポリウレタンフィルムを被せ、減圧吸引して金型に密着させた。次いでポリオール(ソルボ A−023(平均水酸基価86.8、比重0.7):三井化学(株)製:ポリエーテルポリオール 72質量%+ヘキサモールDINCH 26質量%+ポリ塩化ビニリデンを主体とした共重合体からなるマイクロバルーン(粒径40〜60μm、密度0.043)2質量%)100質量部に対して硬化剤(コロネートLK(カルボジイミド変性MDI、NCO% 28.3):三井化学(株)製)が20.4PHRになるように調整したディスペンサーにて金型の凹部に注入した。ポリウレタン皮膜をラミネートした鹿の子ニット生地を、ポリウレタン皮膜側が接触するように金型上に重ねてプレスした。70℃で5分間放置した後に取り出し、脱型することにより靴用インソールを製造した。
得られた靴用インソールにおける、軽量の超軟質ポリウレタン層のNCO/OH当量比は0.89であり、ショア00硬度は60であり、tanδは0.65であり、表面への染み出しも無かった。
また、得られたインソールは、足当りも滑らかで、衝撃吸収性に優れ、長時間の歩行にも疲れにくいものであった。
【0037】
実施例2
円形の凸部を設けたインソール用金型に、100%モジュラス5MPaで厚みが70μmの熱可塑性ポリウレタンフィルムを被せ、減圧吸引して金型に密着させた。次いでポリオール(ソルボ A−023(平均水酸基価86.8、比重0.7):三井化学(株)製:ポリエーテルポリオール 72質量%+ヘキサモールDINCH 26質量%+ポリ塩化ビニリデンを主体とした共重合体からなるマイクロバルーン(粒径40〜60μm、密度0.043)2質量%)100質量部に対して硬化剤(コロネートLK(カルボジイミド変性MDI、NCO% 28.3):三井化学(株)製)が20.4PHRになるように調整したディスペンサーにて金型の凹部に注入した。ポリウレタン皮膜をラミネートしたワッフルニット生地を、ポリウレタン皮膜側が接触するように金型上に重ねてプレスした。70℃で5分間放置した後に取り出し、脱型することにより靴用インソールを製造した。
得られた靴用インソールにおける、軽量の超軟質ポリウレタン層のNCO/OH当量比は0.89であり、ショア00硬度は60であり、tanδは0.65であり、表面への染み出しも無かった。
また、得られたインソールは、足当りは超軟質ポリウレタン層の凸凹部の足つぼ刺激と生地の粗さによる足裏刺激が相まって、疲労対策用インソールとして最適であった。
【0038】
実施例3
インソール裏に縦横の溝が設けられるように作ったインソール用金型に、100%モジュラス3MPaで厚みが50μmの熱可塑性ポリウレタンフィルムを被せ、減圧吸引して金型に密着させた。次いでポリオール(ソルボ A−023(平均水酸基価86.8、比重0.7):三井化学(株)製:ポリエーテルポリオール 72質量%+ヘキサモールDINCH 26質量%+ポリ塩化ビニリデンを主体とした共重合体からなるマイクロバルーン(粒径40〜60μm、密度0.043)2質量%)100質量部に対して硬化剤(コロネートLK(カルボジイミド変性MDI、NCO% 28.3):三井化学(株)製)が18.2PHRになるように調整したディスペンサーにて金型の凹部に注入した。ポリウレタン皮膜をラミネートしたダブルラッセル生地を、ポリウレタン皮膜側が接触するように金型上に重ねてプレスした。70℃で5分間放置した後に取り出し、脱型すること
により靴用インソールを製造した。
得られた靴用インソールにおける、軽量の超軟質ポリウレタン層のNCO/OH当量比は0.79であり、ショア00硬度は30であり、tanδは0.90であり、表面への染み出しも無かった。
また、得られたインソールは、極めて衝撃吸収性に優れ、また、表面生地はクッション性に富み、吸放湿性に優れていた。また、底部に溝の空隙があり、これが更に吸放湿を助け、また、全体的にソフトな感触の蒸れにくいインソールであった。
【0039】
実施例4
70℃に加熱した指先部に1cmφの円形凹部が点在するように作ったインソール金型をセットした。連続的に100%モジュラス5MPaで厚みが50μmの熱可塑性ポリウレタンフィルムを巻き出して金型に吸引密着させた。次いでポリオール(ソルボ A−023(平均水酸基価86.8、比重0.7):三井化学(株)製:ポリエーテルポリオール 72質量%+ヘキサモールDINCH 26質量%+ポリ塩化ビニリデンを主体とした共重合体からなるマイクロバルーン(粒径40〜60μm、密度0.043)2質量%)100質量部に対して硬化剤(コロネートLK(カルボジイミド変性MDI、NCO%
28.3):三井化学(株)製)が18.2PHRになるように調整したディスペンサーにて金型の凹部に連続的に注入した。ポリウレタン皮膜をラミネートしたヌバック調人工皮革(コードレエアリー)を、ポリウレタン皮膜側が接触するように連続的に金型上に重ねながらエンドレスベルトで押さえた。自動的に脱型させることにより靴用インソールを製造した。
得られた靴用インソールにおける、軽量の超軟質ポリウレタン層のNCO/OH当量比は0.79であり、ショア00硬度は30であり、tanδは0.90であり、表面への染み出しも無かった。
また、得られたインソールは、極めて衝撃吸収性に優れ、また、ヌバック表面の足当りはスムースで柔らかく、スリップストップ性も程よく、吸汗性は良好であった。超軟質ポリウレタンが極限的な軟質領域にある上に、指部の円形凹部が更にクッション性を増した。足当りが良く、全体的にソフトでしかも耐久性のあるインソールであった。
【0040】
比較例1
熱可塑性ポリウレタンフィルムを用いなかった以外は実施例1と同様の操作を行って、靴用インソールを製造した。
得られた靴用インソールは、べたつきが強く、靴に挿入し難いためタルクで表明胃をコーティングして挿入した。使用中に超軟質ポリウレタンの、特に、踵部の厚い部分がサイドから劣化していった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の靴用インソールは、極めて衝撃吸収性に優れる、より軟質で且つ軽量の超軟質ポリウレタンを使用しながらも、靴用インソールとしての十分な耐久性を有し、不溶なべたつきも無く、靴底とのスリップも防止し得るものである。
また、本発明の製造方法によれば、個々人、夫々に対応が求められる複雑なインソール形状にも対応が可能であるため非常に有用である。
【符号の説明】
【0042】
1:靴用インソール
2:生地
3:ポリウレタン皮膜
4:超軟質ポリウレタン層
4´:超軟質ポリウレタン製造用の配合液
5:熱可塑性ポリウレタンフィルム
6:接着剤
7:生地層
8:金型
9:吸引孔
10:裁断位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ10ないし100μmのポリウレタン皮膜がラミネートされた生地のポリウレタン皮膜側に、超軟質ポリウレタン層及び熱可塑性ポリウレタンフィルムをこの順で積層させて形成される靴用インソールであって、
前記超軟質ポリウレタン層は、その側面を含めて前記熱可塑性ポリウレタンフィルムで覆われて、該熱可塑性ポリウレタンフィルムと前記ポリウレタン皮膜とで形成される空間内に内包されていることを特徴とする靴用インソール。
【請求項2】
前記超軟質ポリウレタン層は、充填材で軽量化されて、密度が0.65ないし0.85であり、ショア00硬度が30ないし60及びtanδが0.65ないし0.90である請求項1記載の靴用インソール。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリウレタンフィルムは、厚さが50ないし100μmであり、100%モジュラスが3ないし10MPaである請求項1又は2に記載の靴用インソール。
【請求項4】
前記ポリウレタン皮膜がラミネートされた生地の耐水圧が、1kg/cm2以上である請求項1ないし3の何れか1項に記載の靴用インソール。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか1項に記載の靴用インソールの製造方法であって、
1)吸引孔が設けられたインソール用金型の型面上に、熱可塑性ポリウレタンフィルムを被せ、前記吸引孔からの脱気により前記熱可塑性ポリウレタンフィルムを前記金型の型面に吸着させる工程、
2)ポリオール成分とイソシアネート成分を含む超軟質ポリウレタン製造用の配合液を、吸着された前記熱可塑性ポリウレタンフィルムの上に注入し、該金型のキャビティに充填する工程、
3)充填された前記配合液の上に、厚さ10ないし100μmのポリウレタン皮膜がラミネートされた生地を、ポリウレタン皮膜側を下にして載せて熱プレスする工程、及び
4)金型内から、前記ポリウレタン皮膜がラミネートされた生地、超軟質ポリウレタン層及び熱可塑性ポリウレタンフィルムの積層体を取り出し、その外周縁を裁断する工程
を含む製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−205665(P2012−205665A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72219(P2011−72219)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(592178163)三進興産株式会社 (4)
【Fターム(参考)】