靴
【課題】足のインサイドに荷重がかかりやすい靴の提供。
【解決手段】靴のミッドソールは、低弾性部20、高弾性部22及び傾斜面24を備えている。低弾性部20及び高弾性部22は気泡を含んでおり、EVAを基材ポリマーとしている。傾斜面24は、左(インサイド)から右(アウトサイド)に向かって上向きに傾斜している。傾斜面24の上側かつインサイドには、低弾性部20が存在している。傾斜面24の下側かつアウトサイドには、高弾性部22が存在している。低弾性部20のインサイドには、内側高弾性部26が存在している。低弾性部20の厚みは、傾斜面24に沿って、アウトサイドからインサイドに向かって徐々に大きくなっている。高弾性部22の厚みは、傾斜面24に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって徐々に大きくなっている。傾斜面24の左右方向幅Waは、5mm以上100mm以下である。
【解決手段】靴のミッドソールは、低弾性部20、高弾性部22及び傾斜面24を備えている。低弾性部20及び高弾性部22は気泡を含んでおり、EVAを基材ポリマーとしている。傾斜面24は、左(インサイド)から右(アウトサイド)に向かって上向きに傾斜している。傾斜面24の上側かつインサイドには、低弾性部20が存在している。傾斜面24の下側かつアウトサイドには、高弾性部22が存在している。低弾性部20のインサイドには、内側高弾性部26が存在している。低弾性部20の厚みは、傾斜面24に沿って、アウトサイドからインサイドに向かって徐々に大きくなっている。高弾性部22の厚みは、傾斜面24に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって徐々に大きくなっている。傾斜面24の左右方向幅Waは、5mm以上100mm以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ、テニス、スカッシュ、フィールドホッケー、バスケットボール、エアロビクス体操等に適した靴に関する。
【背景技術】
【0002】
靴は、アウトソール、ミッドソール、インソール、アッパー等から構成されている。ミッドソールは、気泡を含むポリマー成形体からなる。通常のミッドソールには、基材ポリマーとして、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が用いられている。ミッドソールは、衝撃吸収性に寄与する。特開平2−134003号公報には、多層構造のミッドソールを備え、衝撃吸収性とトラクション性とに優れた靴が開示されている。
【0003】
ゴルファーがゴルフボールを打撃する際は、左右の足先を結ぶ線が目標方向とほぼ平行となるようにアドレスする。アドレスでは、ゴルフクラブのヘッドはゴルフボールの近くに位置する。この状態からゴルファーはテイクバックを開始し、ヘッドを右へ、次いで上へと振り上げる。最もヘッドが振り上げられた位置は、トップ位置と称される。トップ位置からダウンスイングが開始されてヘッドが振り下ろされ、ヘッドがゴルフボールと衝突する。衝突後、ゴルファーはゴルフクラブを左へ、次いで上へと振り抜き、フィニッシュを迎える。
【0004】
トップ位置からフィニッシュにかけて、ゴルファーは左足を軸としてボディターンを行う。同時にゴルファーは、右足で地面を蹴ってその力をゴルフボールに伝える。つまり、右利きのゴルファーは、左足を軸足として使い、右足を蹴足として使う。左利きゴルファーの場合は、右足を軸足として使い、左足を蹴足として使う。
【特許文献1】特開平2−134003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スイングのときゴルファーは、主として蹴足のインサイドに体重をかけて地面を蹴る。ゴルファーはまた、主として軸足のインサイドで体重を受け止める。このとき、力は靴を介して地面に伝わる。スイングに適した靴が望まれている。
【0006】
他のスポーツにおいても、足のインサイドに体重がかかる動作が見られる。テニス及びスカッシュでは、ラケットをスイングするときに、足のインサイドに体重がかかる。フィールドホッケーでは、スティックをスイングするときに、足のインサイドに体重がかかる。バスケットボール及びエアロビクス体操では、左右反転動作のときに、足のインサイドに体重がかかる。これらのスポーツにおいても、動作に適した靴が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、足のインサイドに荷重がかかりやすい靴の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る靴は、底部を備える。この底部の上面に着用者の体重が加わったときに、この上面のインサイドにおける下方への変位は、この上面のアウトサイドにおける下方への変位よりも大きい。
【0009】
本発明に係る他の靴は、ミッドソールを含む底部を備える。このミッドソールは、低弾性部と、高弾性部と、傾斜面とを備える。この傾斜面のインサイドには低弾性部が存在し、この傾斜面のアウトサイドには高弾性部が存在する。この底部の上面に着用者の体重が加わったとき、この上面のインサイドにおける下方への変位は、この上面のアウトサイドにおける下方への変位よりも大きい。
【0010】
好ましくは、高弾性部は、低弾性部のインサイドにも存在する。好ましくは、低弾性部の厚みは傾斜面に沿ってアウトサイドからインサイドに向かって徐々に大きくなっており、高弾性部の厚みは傾斜面に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって徐々に大きくなっている。好ましくは、ミッドソールの長さ線に沿って爪先側端から踵側端へこの流さ線の距離の25%を移動した地点に、上記傾斜面が存在する。好ましくは、左右方向における傾斜面の幅は、5mm以上100mm以下である。好ましくは、低弾性部の、傾斜面に沿った部分の最大厚みは、ミッドソールの厚みの30%以上である。好ましくは、傾斜面は、インサイドからアウトサイドに向かって上向きに傾斜している。好ましくは、上記低弾性部の硬度HLの高弾性部の硬度HHに対する比(HL/HH)は、0.20以上0.90以下である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る靴では、体重が加わったときに、底部の上面が、インサイドからアウトサイドに向かって上向きに傾斜する。この傾斜により、着用者は、足のインサイドに体重をかけやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフ靴2が示された一部切り欠き側面図である。このゴルフ靴2は、アッパー4及び底部6を備えている。底部6は、インソール8、ミッドソール10及びアウトソール12からなる。インソール8は、ミッドソール10と積層されている。ミッドソール10は、アウトソール12と積層されている。アウトソール12は、その下面に、下方に向けて突出する多数の突起14を備えている。アッパー4の材質及び構造は、既知のアッパーのそれと同等である。インソール8の材質及び構造は、既知のインソールのそれと同等である。アウトソール12の材質及び構造は、既知のアウトソールのそれと同等である。
【0014】
図2は、図1のゴルフ靴2のミッドソール10が示された平面図である。このミッドソール10は、ベース16と、このベース16の外縁に位置する側壁18とを備えている。このミッドソール10は、右足用である。左足用のミッドソールの形状は、図2に示された形状が左右反転した形状である。
【0015】
図3は図2のIII−III線に沿った拡大断面図であり、図4は図2のIV−IV線に沿った拡大断面図であり、図5は図2のV−V線に沿った拡大断面図である。この図3から図5において、左側がインサイドであり、右側がアウトサイドである。
【0016】
このミッドソール10は、気泡を含むポリマー成形体からなる。ミッドソール10の典型的な基材ポリマーは、EVAである。EVAにおける酢酸ビニル含有量は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。EVAにおける酢酸ビニル含有量は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下が特に好ましい。ミッドソールの基材ポリマーとして、EVAとポリオレフィンとが併用されることが好ましい。ポリオレフィンは、衝撃吸収性及び反発性に寄与しうる。この観点から、基材ポリマーの全量に対するポリオレフィンの量は5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。コスト及び接着性の観点から、ポリオレフィンの量は80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、15質量%以下が特に好ましい。好ましいポリオレフィンとしては、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリプロピレン及びポリエチレンが例示される。
【0017】
ミッドソール10が、独立気泡を含んでもよく、連続気泡を含んでもよい。形状復元力及び非吸水性の観点から、独立気泡が好ましい。気泡は、通常は熱分解型発泡剤の発泡によって形成される。用いられる熱分解型発泡剤としては、アゾ化合物(例えばアゾジカルボンアミド)、ニトロソ化合物(例えばジニトロソペンタメチレンテトラミン)及びトリアゾール化合物が例示される。ミッドソール10の発泡倍率(気泡が存在する場合の密度に対する気泡が存在しない場合の密度の比)は、2倍以上が好ましく3倍以上がより好ましい。発泡倍率は、30倍以下が好ましく、15倍以下がより好ましく、10倍以下が特に好ましい。
【0018】
このミッドソール10は、低弾性部20及び高弾性部22を備えている。低弾性部20の弾性率は、高弾性部22の弾性率よりも小さい。ミッドソール10に圧縮荷重が加わったとき、低弾性部20は高弾性部22よりも変形しやすい。低弾性部20が、互いの弾性率が異なる2以上の部位からなってもよい。高弾性部22が、互いの弾性率が異なる2以上の部位からなってもよい。
【0019】
このミッドソール10はさらに、傾斜面24を備えている。傾斜面24は、低弾性部20と高弾性部22との境界の一部を形成している。傾斜面24は、水平方向に対して傾斜している。この実施形態では、傾斜面24は、左(インサイド)から右(アウトサイド)に向かって上向きに傾斜している。傾斜面24の上側かつインサイドには、低弾性部20が存在している。傾斜面24の下側かつアウトサイドには、高弾性部22が存在している。高弾性部22は、低弾性部20のインサイドにも存在している。以下、低弾性部20よりもインサイドにある高弾性部26は、「内側高弾性部」と称される。低弾性部20の厚みは、傾斜面24に沿って、アウトサイドからインサイドに向かって徐々に大きくなっている。高弾性部22の厚みは、傾斜面24に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって徐々に大きくなっている。
【0020】
ゴルファーがこのゴルフ靴2を着用し、底部6にゴルファーの体重が加わると、このミッドソール10が圧縮される。インサイドでは低弾性部20の厚みが大きいので、インサイドの圧縮変形量は大きい。アウトサイドでは高弾性部22の厚みが大きいので、アウトサイドの圧縮変形量は小さい。このミッドソール10では、体重が加わることで、偏った変形が生じる。ミッドソール10の変形により、インソール8の上面28(図1参照)の位置が変位する。インサイドにおける上面28の下方への変位は、アウトサイドにおける上面28の下方への変位よりも大きい。インソール8は、インサイドからアウトサイドに向かって上向きに傾く。ゴルファーの足も、インサイドからアウトサイドに向かって上向きに傾く。ゴルファーの体重は、主としてインサイドにかかる。前述の通り、ゴルファーはスイングのときに蹴足のインサイドで地面を蹴る。足が傾いているので、ゴルファーは力を地面に伝えやすい。このミッドソール10は、右利きゴルファーの右足に適している。このゴルフ靴2は、大きなヘッドスピードに寄与する。大きなヘッドスピードは、大きな飛距離を生む。
【0021】
底部6にゴルファーの体重が加わっても、内側高弾性部26は大きくは変形しない。この内側高弾性部26は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。この内側高弾性部26により、足から地面に大きな力が伝えられうる。この内側高弾性部26は、大きなヘッドスピードに寄与する。
【0022】
図3の形状が左右反転されたミッドソールは、右利きゴルファーの軸足(すなわち左足)に適している。このミッドソールにより、ゴルファーの軸足は、インサイドからアウトサイドに向かって上向きに傾く。ゴルファーは、軸足で体重を受け止めやすい。このミッドソールも、大きな飛距離に寄与する。
【0023】
本発明において、体重が加わった状態とは、体重が60kgの着用者が左右の足に均等に体重をかけた状態を意味する。
【0024】
左足用及び右足用のミッドソールにおいて、ミッドソールの偏った変形が達成されることが好ましい。ミッドソールの偏った変形が、左足用及び右足用のミッドソールのいずれか一方のみで達成されてもよい。
【0025】
このミッドソール10では、低弾性部20及び高弾性部22の厚みが、傾斜面24に沿って徐々に変化している。従って、ミッドソール10の圧縮変形量は、傾斜面24に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって、連続的に変化する。圧縮変形量は、急激には変化しない。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。安定したスイングは、飛距離のばらつきを抑制する。安定したスイングはさらに、ゴルフボールの飛行方向のばらつきを抑制する。圧縮変形量が連続的に変化するミッドソール10は、歩行時の違和感を生じさせない。
【0026】
高弾性部22の発泡倍率よりも大きな発泡倍率が低弾性部20に適用されることにより、弾性率の相違が達成されうる。高弾性部22の基材ポリマーとは異なる基材ポリマーが低弾性部20に用いられることにより、弾性率の相違が達成されうる。高弾性部22における添加剤の量とは異なる量の添加剤が低弾性部20に添加されることにより、弾性率の相違が達成されうる。高弾性部22の添加剤とは異なる添加剤が低弾性部20に配合されることにより、弾性率の相違が達成されうる。
【0027】
図2から明らかなように、低弾性部20の平面形状は、実質的に楕円である。楕円の低弾性部20を備えたミッドソール10では、前後方向においても、圧縮変形量が急激には変化しない。楕円の低弾性部20は、スイングの安定に寄与する。平面形状が長円である低弾性部も、スイングの安定に寄与する。
【0028】
図2において符号Aで示された二点鎖線は、ミッドソール10の長さ線である。長さ線Aは、ミッドソール10の輪郭内に画かれうる最長の線分である。長さ線Aは、爪先側端30から踵側端32に至っている。図2において、長さ線Aの長さが符号Lによって示されている。図2において符号Bで示された二点鎖線は、幅線Bである。幅線Bは、長さ線Aと直交している。この幅線Bまでの爪先側端30からの距離は、(L/4)である。この幅線Bは、低弾性部20を通過している。換言すれば、長さ線Aに沿って爪先側端30から踵側端32へ、流さ線の距離Lの25%を移動した地点に、傾斜面24が存在している。スイングにおいて最も力がかかるのは、母趾球の近傍である。前述の位置に傾斜面24が存在することにより、ゴルファーは力を地面に伝えやすい。長さLは、通常は150mmから320mmである。
【0029】
ゴルファーが力を地面に伝えやすいとの観点から、長さ線Aに沿った傾斜面24の距離は、5mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましく、50mm以上が特に好ましい。効果の観点からはこの距離の上限に制限は無いが、通常は200mm以下、さらには105mm以下である。
【0030】
図4において両矢印Waで示されているのは、傾斜面24の左右方向幅である。幅Waは、幅線Bに沿った断面において測定される。幅Waは、5mm以上100mm以下が好ましい。幅Waが5mm以上に設定されることにより、圧縮変形量の急激な変化が抑制される。この観点から、幅Waは20mm以上がより好ましく、30mm以上が特に好ましい。幅Waが100mm以下に設定されたゴルフ靴2では、ゴルファーが力を地面に伝えやすい。この観点から、幅Waは80mm以下がより好ましく、70mm以下が特に好ましい。なお、幅線Bに沿ったミッドソール10の幅Wは、通常は80mm以上120mm以下である。
【0031】
図4において両矢印Wbで示されているのは、内側高弾性部26のうち上面が平坦な部位の幅である。幅Wbは、幅線Bに沿って測定される。幅Wbは、3mm以上25mm以下が好ましい。幅Wbが3mm以上に設定されることにより、足から地面へ十分な力が伝わる。この観点から、幅Wbは5mm以上がより好ましく、7mm以上がさらに好ましく、10mm以上が特に好ましい。幅Wbが25mm以下に設定されることにより、足が十分に傾斜する。この観点から、幅Wbは22mm以下がより好ましく、18mm以下が特に好ましい。
【0032】
図4において両矢印Wcで示されているのは、内側高弾性部26の幅である。幅Wcは、幅線Bに沿って測定される。幅Wcは、13mm以上35mm以下が好ましい。幅Wcが13mm以上に設定されることにより、足から地面へ十分な力が伝わる。この観点から、幅Wcは15mm以上がより好ましく、17mm以上がさらに好ましく、20mm以上が特に好ましい。幅Wcが35mm以下に設定されることにより、足が十分に傾斜する。この観点から、幅Wcは32mm以下がより好ましく、28mm以下が特に好ましい。
【0033】
図4において両矢印Wdで示されているのは、低弾性部20のアウトサイド端とミッドソールのアウトサイド端との距離である。距離Wdは、13mm以上、さらには15mm以上、さらには17mm以上、さらには20mm以上が好ましい。距離Wdは、35mm以下、さらには32mm以下、さらには28mm以下が好ましい。
【0034】
図4において両矢印Tで示されているのは、ミッドソール10の厚みである。厚みTは、幅線Bに沿った断面において測定される。厚みTは、側壁18を除く部位の最大厚みである。厚みTは、2mm以上、さらには5mm以上である。厚みTは、25mm以下、さらには20mm以下、さらには15mm以下である。図4において両矢印tで示されているのは、低弾性部20の最大厚みである。厚みtは、幅線Bに沿った断面において測定される。インソール8の上面が十分に傾斜するとの観点から、厚みTに対する厚みtの比率は30%以上、さらには40%以上、さらには50%以上、さらには80%以上が好ましい。図4に示された実施形態では、この比率は100%である。換言すれば、ミッドソール10の底面34に、低弾性部20がわずかに露出している。図3から明らかなように、III−III線に沿った断面では、低弾性部20は底面34に露出していない。図5から明らかなように、V−V線に沿った断面でも、低弾性部20は底面34に露出していない。
【0035】
底面34に低弾性部20と高弾性部22との境界線が存在すると、この境界線が亀裂等の損傷の原因となることがある。ミッドソール10の耐久性の観点から、境界線が底面34に存在しないことが好ましい。換言すれば、低弾性部20が底面34に露出しないことが好ましい。耐久性の観点から、厚みTに対する厚みtの比率は100%未満が好ましく、98%以下がより好ましく、95%以下が特に好ましい。
【0036】
図4において両矢印θで示されているのは、左右方向(水平方向)に対する傾斜面24の角度である。角度θは、幅線Bに沿った断面において測定される。角度θは、3度(degree)以上60度以下が好ましい。角度θが3度以上に設定されたゴルフ靴2では、ゴルファーが力を地面に伝えやすい。この観点から、角度θは5度以上がより好ましく、7度以上が特に好ましい。角度θが60度以下に設定さることにより、圧縮変形量の急激な変化が抑制される。この観点から、角度θは50度以下がより好ましく、40度以下がさらに好ましく、20度以下が特に好ましい。
【0037】
低弾性部20の硬度HLの、高弾性部22の硬度HHに対する比(HL/HH)は、0.20以上0.90以下が好ましい。比(HL/HH)が0.20以上に設定されることにより、縮変形量の急激な変化が抑制される。この観点から、比(HL/HH)は0.30以上がより好ましく、0.40以上が特に好ましい。比(HL/HH)が0.90以下に設定されることにより、ゴルファーが力を地面に伝えやすい。この観点から、比(HL/HH)は0.85以下がより好ましく、0.80以下が特に好ましい。低弾性部20の硬度HLは、20以上70以下が好ましい。高弾性部22の硬度HHは、40以上85以下が好ましい。硬度は、日本ゴム協会標準規格に準拠して、高分子計器株式会社のアスカーC型硬度計にて測定される。
【0038】
図6は、図2のミッドソール10の製造方法の一例が説明されるための断面図である。この製造方法では、まず第一部品36、第二部品38及び第三部品40が準備される。第一部品36、第二部品38及び第三部品40は、気泡を含むポリマー成形体からなる。第一部品36の弾性率は、第二部品38及び第三部品40の弾性率よりも小さい。第一部品36及び第二部品38の断面形状は、実質的に三角形である。第三部品40の輪郭は、ミッドソール10の輪郭に類似している。第三部品40は、打ち抜きよって形成された穴42を備えている。
【0039】
この製造方法では、第一部品36と第二部品38とが貼り合わされる。第一部品36と第二部品38との境界は、傾斜する。次に、第一部品36及び第二部品38が、第三部品40の穴42に挿入される。次に、第一部品36、第二部品38及び第三部品40が金型に投入され、高温下で圧縮される。各部品36、38、40は、互いに接合される。この製造方法では、第一部品36が低弾性部20を形成し、第二部品38及び第三部品40が高弾性部22を形成する。第一部品36及び第二部品38が圧縮され、かつ第三部品40も圧縮された後、この第三部品40に第一部品36及び第二部品38が挿入されてもよい。
【0040】
図7は、図2のミッドソール10の製造方法の他の例が説明されるための断面図である。この製造方法では、まず第一部品44及び第二部品46が準備される。第一部品44及び第二部品46は、気泡を含むポリマー成形体からなる。第一部品44及び第二部品46は、既に圧縮されている。第一部品44の弾性率は、第二部品46の弾性率よりも小さい。第一部品44の断面形状は、実質的に三角形である。第二部品46の輪郭は、ミッドソール10の輪郭に類似している。第二部品46は、窪み48を備えている。窪み48の断面形状は、実質的に三角形である。窪み48の上面50は、傾斜している。
【0041】
この製造方法では、第一部品44が第二部品46の窪み48に挿入され、両者が貼り合わされる。第一部品44と第二部品46との境界は、傾斜する。この製造方法では、第一部品44が低弾性部20を形成し、第二部品46が高弾性部22を形成する。
【0042】
アウトソール12に低弾性部及び高弾性部が設けられることにより、足の傾斜が達成されてもよい。インサイドにおける突起14の密度が、アウトサイドにおける突起14の密度よりも小さくされることで、足の傾斜が達成されてもよい。
【0043】
図8は、本発明の他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソール50が示された断面図である。このミッドソール50の平面形状は、図2に示されたミッドソール10の平面形状と同等である。この図8には、幅線Bに沿った断面が示されている。この図8において、左側がインサイドであり、右側がアウトサイドである。このミッドソール50は、低弾性部54、高弾性部56及び傾斜面58を備えている。低弾性部54の断面形状は、実質的に台形である。傾斜面58のインサイドでかつ上側には、低弾性部54が存在している。傾斜面58のアウトサイドでかつ下側には、高弾性部56が存在している。低弾性部54のインサイドには、内側高弾性部60が存在している。
【0044】
このミッドソール50でも、低弾性部54の圧縮変形量と高弾性部56の圧縮変形量との相違に起因して、足が傾斜する。この傾斜により、ゴルファーは、十分な力を地面に伝えることができる。このミッドソール50でも、圧縮変形量は、傾斜面58に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって連続的に変化する。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。このミッドソール50でも、内側高弾性部60は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。
【0045】
図9は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソール62が示された断面図である。このミッドソール62の平面形状は、図2に示されたミッドソール10の平面形状と同等である。この図9には、幅線Bに沿った断面が示されている。この図9において、左側がインサイドであり、右側がアウトサイドである。このミッドソール62は、低弾性部64、高弾性部66、傾斜面68及び平坦面70を備えている。平坦面70は、傾斜面68と連続しており、傾斜面68のアウトサイドに位置している。傾斜面68のインサイドでかつ上側には、低弾性部64が存在している。傾斜面68のアウトサイドでかつ下側には、高弾性部66が存在している。平坦面70の上側には、低弾性部64が存在している。平坦面70の下側には、高弾性部66が存在している。低弾性部64のインサイドには、内側高弾性部72が存在している。
【0046】
このミッドソール62でも、低弾性部64の圧縮変形量と高弾性部66の圧縮変形量との相違に起因して、足が傾斜する。この傾斜により、ゴルファーは、十分な力を地面に伝えることができる。このミッドソール62でも、圧縮変形量は、傾斜面68に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって連続的に変化する。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。このミッドソール62でも、内側高弾性部72は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。
【0047】
図10は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソール74が示された断面図である。このミッドソール74の平面形状は、図2に示されたミッドソール10の平面形状と同等である。この図10には、幅線Bに沿った断面が示されている。この図10において、左側がインサイドであり、右側がアウトサイドである。このミッドソール74は、低弾性部76、高弾性部78、傾斜面80及び平坦面82を備えている。平坦面82は、傾斜面80と連続しており、傾斜面80のインサイドに位置している。傾斜面80のインサイドでかつ上側には、低弾性部76が存在している。傾斜面80のアウトサイドでかつ下側には、高弾性部78が存在している。平坦面82の上側には、低弾性部76が存在している。平坦面82の下側には、高弾性部78が存在している。低弾性部76のインサイドには、内側高弾性部84が存在している。
【0048】
このミッドソール74でも、低弾性部76の圧縮変形量と高弾性部78の圧縮変形量との相違に起因して、足が傾斜する。この傾斜により、ゴルファーは、十分な力を地面に伝えることができる。このミッドソール74でも、圧縮変形量は、傾斜面80に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって連続的に変化する。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。このミッドソール74でも、内側高弾性部84は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。
【0049】
このミッドソール74では、低弾性部76は、底面に露出していない。換言すれば、低弾性部76と高弾性部78との境界線は、底面に存在しない。このミッドソールは、耐久性に優れる。耐久性の観点から、ミッドソール74の厚みTに対する低弾性部76の厚みtの比率は100%未満が好ましく、98%以下がより好ましく、95%以下が特に好ましい。インソールの上面が十分に傾斜するとの観点から、この比率は30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。
【0050】
図11は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソール86が示された断面図である。このミッドソール86の平面形状は、図2に示されたミッドソール10の平面形状と同等である。この図11には、幅線Bに沿った断面が示されている。この図11において、左側がインサイドであり、右側がアウトサイドである。このミッドソール86は、低弾性部88、高弾性部90、第一平坦面92、傾斜面94及び第二平坦面96を備えている。第一平坦面92は、傾斜面94と連続しており、傾斜面94のインサイドに位置している。第二平坦面96は、傾斜面94と連続しており、傾斜面94のアウトサイドに位置している。傾斜面94のインサイドでかつ上側には、低弾性部88が存在している。傾斜面94のアウトサイドでかつ下側には、高弾性部90が存在している。第一平坦面92の上側には、低弾性部88が存在している。第一平坦面92の下側には、高弾性部90が存在している。第二平坦面96の上側には、低弾性部88が存在している。第二平坦面96の下側には、高弾性部90が存在している。低弾性部88のインサイドには、内側高弾性部98が存在している。
【0051】
このミッドソール86でも、低弾性部88の圧縮変形量と高弾性部90の圧縮変形量との相違に起因して、足が傾斜する。この傾斜により、ゴルファーは、十分な力を地面に伝えることができる。このミッドソール86でも、圧縮変形量は、傾斜面94に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって連続的に変化する。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。このミッドソール86でも、内側高弾性部90は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。
【0052】
このミッドソール86では、低弾性部88は、底面に露出していない。換言すれば、低弾性部88と高弾性部90との境界線は、底面に存在しない。このミッドソールは、耐久性に優れる。耐久性の観点から、ミッドソール86の厚みTに対する低弾性部88の厚みtの比率は100%未満が好ましく、98%以下がより好ましく、95%以下が特に好ましい。インソールの上面が十分に傾斜するとの観点から、この比率は30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。
【0053】
図12は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソール100が示された平面図である。この図12には、長さ線A及び幅線Bが示されている。このミッドソール100は、ベース102と、このベース102の外縁に位置する側壁104とを備えている。このミッドソール100は、右足用である。左足用のミッドソールは、図12に示された形状が左右反転した形状を呈する。
【0054】
このミッドソール100の幅線Bに沿った断面形状は、図4に示されたミッドソール10の断面形状と同等である。このミッドソール100は、低弾性部106及び高弾性部108を備えている。低弾性部106と高弾性部108との境界は、傾斜面を含んでいる。このミッドソール100でも、低弾性部106の圧縮変形量と高弾性部108の圧縮変形量との相違に起因して、足が傾斜する。この傾斜により、ゴルファーは、十分な力を地面に伝えることができる。このミッドソール100でも、圧縮変形量は、傾斜面に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって連続的に変化する。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。このミッドソール100でも、内側高弾性部110は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。
【0055】
図12から明らかなように、低弾性部106の平面形状は八角形である。八角形の低弾性部106を備えたミッドソール100では、前後方向においても、圧縮変形量が急激には変化しない。八角形の低弾性部106は、スイングの安定に寄与する。平面形状が六角形、七角形、九角形、十角形である低弾性部も、スイングの安定に寄与しうる。
【0056】
図13は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソール112が示された平面図である。この図13には、長さ線A及び幅線Bが示されている。このミッドソール112は、ベース114と、このベース114の外縁に位置する側壁116とを備えている。このミッドソール112は、右足用である。左足用のミッドソールは、図13に示された形状が左右反転した形状を呈する。
【0057】
このミッドソール112の幅線Bに沿った断面形状は、図4に示されたミッドソール10の断面形状と同等である。このミッドソール112は、低弾性部118及び高弾性部120を備えている。低弾性部118と高弾性部120との境界は、傾斜面を含んでいる。低弾性部118の平面形状は、略半楕円である。このミッドソール112でも、低弾性部118の圧縮変形量と高弾性部120の圧縮変形量との相違に起因して、足が傾斜する。この傾斜により、ゴルファーは、十分な力を地面に伝えることができる。このミッドソール112でも、圧縮変形量は、傾斜面に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって連続的に変化する。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。このミッドソール112でも、内側高弾性部122は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。
【0058】
図14は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソール124が示された平面図である。この図14には、長さ線A及び幅線Bが示されている。このミッドソール124は、ベース126と、このベース126の外縁に位置する側壁128とを備えている。このミッドソール124は、右足用である。左足用のミッドソールは、図14に示された形状が左右反転した形状を呈する。
【0059】
このミッドソール124の幅線Bに沿った断面形状は、図4に示されたミッドソール10の断面形状と同等である。このミッドソール124は、低弾性部130及び高弾性部132を備えている。低弾性部130と高弾性部132との境界は、傾斜面を含んでいる。低弾性部130の平面形状は、矩形である。このミッドソール124でも、低弾性部130の圧縮変形量と高弾性部132の圧縮変形量との相違に起因して、足が傾斜する。この傾斜により、ゴルファーは、十分な力を地面に伝えることができる。このミッドソール124でも、圧縮変形量は、傾斜面に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって連続的に変化する。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。このミッドソール124でも、内側高弾性部134は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。
【実施例】
【0060】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0061】
[実施例1]
図8に示された断面形状を有するミッドソールを作成した。このミッドソールでは、長さLは290mmであり、幅Wは100mmであり、厚みTは6mmである。このミッドソールは、低弾性部及び高弾性部を備えている。低弾性部と高弾性部との境界は、傾斜面を含む。傾斜面の幅Waは、50mmである。高弾性部は、内側高弾性部を含む。内側高弾性部の幅Wbは、15mmである。このミッドソールでは、厚みtの厚みTに対する比率は、100%である。このミッドソールにアウトソール、インソール及びアッパーを取り付け、実施例1のゴルフ靴を得た。
【0062】
[実施例5及び6]
厚みtの厚みTに対する比率を下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例5及び6のゴルフ靴を得た。
【0063】
[実施例4及び7]
内側高弾性部の幅Wbを下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例4及び7のゴルフ靴を得た。実施例7のミッドソールの断面図は、図4に相当する。
【0064】
[実施例2、3及び8]
傾斜面の幅Waを下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2、3及び8のゴルフ靴を得た。実施例8のミッドソールの断面図は、図4に相当する。
【0065】
[実施例9及び10]
低弾性部及び高弾性部の材質を変更した他は実施例1と同様にして、実施例9及び10のゴルフ靴を得た。低弾性部及び高弾性部の硬度が、下記の表1に示されている。
【0066】
[実施例11]
ミッドソールの断面形状を図15に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例11のゴルフ靴を得た。このミッドソールは、低弾性部136と高弾性部138とを備えている。低弾性部136と高弾性部138との境界は、鉛直方向に延びている。高弾性部138は、内側高弾性部140を含む。
【0067】
[比較例]
ミッドソールの断面形状を図16に示される通りとした他は実施例1と同様にして、比較例のゴルフ靴を得た。このミッドソールは、高弾性部のみからなる。
【0068】
[打撃テスト]
ゴルフ靴をゴルファーに着用させ、ドライバーでゴルフボールを10回打撃させた。そして、ヘッドスピード、飛距離、飛距離ばらつき、フェース角ばらつき及び打球方向ばらつきを測定した。この結果が、下記の表1に示されている。この表1において、ヘッドスピード及び飛距離は、平均値である。
【0069】
【表1】
【0070】
表1から明らかなように、実施例のゴルフ靴により、大きなヘッドスピードが得られ、かつ大きな飛距離が得られる。特に、傾斜面を備えた実施例1から10のゴルフ靴は、飛距離及び打球方向の安定に寄与する。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
足を傾斜させうる靴は、ゴルフ以外の種々のスポーツにも適している。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフ靴が示された一部切り欠き側面図である。
【図2】図2は、図1のゴルフ靴のミッドソールが示された平面図である。
【図3】図3は、図2のIII−III線に沿った拡大断面図である。
【図4】図4は、図2のIV−IV線に沿った拡大断面図である。
【図5】図5は、図2のV−V線に沿った拡大断面図である。
【図6】図6は、図2のミッドソールの製造方法の一例が説明されるための断面図である。
【図7】図7は、図2のミッドソールの製造方法の他の例が説明されるための断面図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図9】図9は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図10】図10は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図11】図11は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図12】図12は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図13】図13は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図14】図14は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図15】図15は、本発明の実施例9に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図16】図16は、比較例のゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【符号の説明】
【0073】
2・・・ゴルフ靴
4・・・アッパー
6・・・底部
8・・・インソール
10・・・ミッドソール
12・・・アウトソール
14・・・突起
16・・・ベース
18・・・側壁
20・・・低弾性部
22・・・高弾性部
24・・・傾斜面
26・・・内側高弾性部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ、テニス、スカッシュ、フィールドホッケー、バスケットボール、エアロビクス体操等に適した靴に関する。
【背景技術】
【0002】
靴は、アウトソール、ミッドソール、インソール、アッパー等から構成されている。ミッドソールは、気泡を含むポリマー成形体からなる。通常のミッドソールには、基材ポリマーとして、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が用いられている。ミッドソールは、衝撃吸収性に寄与する。特開平2−134003号公報には、多層構造のミッドソールを備え、衝撃吸収性とトラクション性とに優れた靴が開示されている。
【0003】
ゴルファーがゴルフボールを打撃する際は、左右の足先を結ぶ線が目標方向とほぼ平行となるようにアドレスする。アドレスでは、ゴルフクラブのヘッドはゴルフボールの近くに位置する。この状態からゴルファーはテイクバックを開始し、ヘッドを右へ、次いで上へと振り上げる。最もヘッドが振り上げられた位置は、トップ位置と称される。トップ位置からダウンスイングが開始されてヘッドが振り下ろされ、ヘッドがゴルフボールと衝突する。衝突後、ゴルファーはゴルフクラブを左へ、次いで上へと振り抜き、フィニッシュを迎える。
【0004】
トップ位置からフィニッシュにかけて、ゴルファーは左足を軸としてボディターンを行う。同時にゴルファーは、右足で地面を蹴ってその力をゴルフボールに伝える。つまり、右利きのゴルファーは、左足を軸足として使い、右足を蹴足として使う。左利きゴルファーの場合は、右足を軸足として使い、左足を蹴足として使う。
【特許文献1】特開平2−134003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スイングのときゴルファーは、主として蹴足のインサイドに体重をかけて地面を蹴る。ゴルファーはまた、主として軸足のインサイドで体重を受け止める。このとき、力は靴を介して地面に伝わる。スイングに適した靴が望まれている。
【0006】
他のスポーツにおいても、足のインサイドに体重がかかる動作が見られる。テニス及びスカッシュでは、ラケットをスイングするときに、足のインサイドに体重がかかる。フィールドホッケーでは、スティックをスイングするときに、足のインサイドに体重がかかる。バスケットボール及びエアロビクス体操では、左右反転動作のときに、足のインサイドに体重がかかる。これらのスポーツにおいても、動作に適した靴が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、足のインサイドに荷重がかかりやすい靴の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る靴は、底部を備える。この底部の上面に着用者の体重が加わったときに、この上面のインサイドにおける下方への変位は、この上面のアウトサイドにおける下方への変位よりも大きい。
【0009】
本発明に係る他の靴は、ミッドソールを含む底部を備える。このミッドソールは、低弾性部と、高弾性部と、傾斜面とを備える。この傾斜面のインサイドには低弾性部が存在し、この傾斜面のアウトサイドには高弾性部が存在する。この底部の上面に着用者の体重が加わったとき、この上面のインサイドにおける下方への変位は、この上面のアウトサイドにおける下方への変位よりも大きい。
【0010】
好ましくは、高弾性部は、低弾性部のインサイドにも存在する。好ましくは、低弾性部の厚みは傾斜面に沿ってアウトサイドからインサイドに向かって徐々に大きくなっており、高弾性部の厚みは傾斜面に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって徐々に大きくなっている。好ましくは、ミッドソールの長さ線に沿って爪先側端から踵側端へこの流さ線の距離の25%を移動した地点に、上記傾斜面が存在する。好ましくは、左右方向における傾斜面の幅は、5mm以上100mm以下である。好ましくは、低弾性部の、傾斜面に沿った部分の最大厚みは、ミッドソールの厚みの30%以上である。好ましくは、傾斜面は、インサイドからアウトサイドに向かって上向きに傾斜している。好ましくは、上記低弾性部の硬度HLの高弾性部の硬度HHに対する比(HL/HH)は、0.20以上0.90以下である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る靴では、体重が加わったときに、底部の上面が、インサイドからアウトサイドに向かって上向きに傾斜する。この傾斜により、着用者は、足のインサイドに体重をかけやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフ靴2が示された一部切り欠き側面図である。このゴルフ靴2は、アッパー4及び底部6を備えている。底部6は、インソール8、ミッドソール10及びアウトソール12からなる。インソール8は、ミッドソール10と積層されている。ミッドソール10は、アウトソール12と積層されている。アウトソール12は、その下面に、下方に向けて突出する多数の突起14を備えている。アッパー4の材質及び構造は、既知のアッパーのそれと同等である。インソール8の材質及び構造は、既知のインソールのそれと同等である。アウトソール12の材質及び構造は、既知のアウトソールのそれと同等である。
【0014】
図2は、図1のゴルフ靴2のミッドソール10が示された平面図である。このミッドソール10は、ベース16と、このベース16の外縁に位置する側壁18とを備えている。このミッドソール10は、右足用である。左足用のミッドソールの形状は、図2に示された形状が左右反転した形状である。
【0015】
図3は図2のIII−III線に沿った拡大断面図であり、図4は図2のIV−IV線に沿った拡大断面図であり、図5は図2のV−V線に沿った拡大断面図である。この図3から図5において、左側がインサイドであり、右側がアウトサイドである。
【0016】
このミッドソール10は、気泡を含むポリマー成形体からなる。ミッドソール10の典型的な基材ポリマーは、EVAである。EVAにおける酢酸ビニル含有量は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。EVAにおける酢酸ビニル含有量は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下が特に好ましい。ミッドソールの基材ポリマーとして、EVAとポリオレフィンとが併用されることが好ましい。ポリオレフィンは、衝撃吸収性及び反発性に寄与しうる。この観点から、基材ポリマーの全量に対するポリオレフィンの量は5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。コスト及び接着性の観点から、ポリオレフィンの量は80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、15質量%以下が特に好ましい。好ましいポリオレフィンとしては、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリプロピレン及びポリエチレンが例示される。
【0017】
ミッドソール10が、独立気泡を含んでもよく、連続気泡を含んでもよい。形状復元力及び非吸水性の観点から、独立気泡が好ましい。気泡は、通常は熱分解型発泡剤の発泡によって形成される。用いられる熱分解型発泡剤としては、アゾ化合物(例えばアゾジカルボンアミド)、ニトロソ化合物(例えばジニトロソペンタメチレンテトラミン)及びトリアゾール化合物が例示される。ミッドソール10の発泡倍率(気泡が存在する場合の密度に対する気泡が存在しない場合の密度の比)は、2倍以上が好ましく3倍以上がより好ましい。発泡倍率は、30倍以下が好ましく、15倍以下がより好ましく、10倍以下が特に好ましい。
【0018】
このミッドソール10は、低弾性部20及び高弾性部22を備えている。低弾性部20の弾性率は、高弾性部22の弾性率よりも小さい。ミッドソール10に圧縮荷重が加わったとき、低弾性部20は高弾性部22よりも変形しやすい。低弾性部20が、互いの弾性率が異なる2以上の部位からなってもよい。高弾性部22が、互いの弾性率が異なる2以上の部位からなってもよい。
【0019】
このミッドソール10はさらに、傾斜面24を備えている。傾斜面24は、低弾性部20と高弾性部22との境界の一部を形成している。傾斜面24は、水平方向に対して傾斜している。この実施形態では、傾斜面24は、左(インサイド)から右(アウトサイド)に向かって上向きに傾斜している。傾斜面24の上側かつインサイドには、低弾性部20が存在している。傾斜面24の下側かつアウトサイドには、高弾性部22が存在している。高弾性部22は、低弾性部20のインサイドにも存在している。以下、低弾性部20よりもインサイドにある高弾性部26は、「内側高弾性部」と称される。低弾性部20の厚みは、傾斜面24に沿って、アウトサイドからインサイドに向かって徐々に大きくなっている。高弾性部22の厚みは、傾斜面24に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって徐々に大きくなっている。
【0020】
ゴルファーがこのゴルフ靴2を着用し、底部6にゴルファーの体重が加わると、このミッドソール10が圧縮される。インサイドでは低弾性部20の厚みが大きいので、インサイドの圧縮変形量は大きい。アウトサイドでは高弾性部22の厚みが大きいので、アウトサイドの圧縮変形量は小さい。このミッドソール10では、体重が加わることで、偏った変形が生じる。ミッドソール10の変形により、インソール8の上面28(図1参照)の位置が変位する。インサイドにおける上面28の下方への変位は、アウトサイドにおける上面28の下方への変位よりも大きい。インソール8は、インサイドからアウトサイドに向かって上向きに傾く。ゴルファーの足も、インサイドからアウトサイドに向かって上向きに傾く。ゴルファーの体重は、主としてインサイドにかかる。前述の通り、ゴルファーはスイングのときに蹴足のインサイドで地面を蹴る。足が傾いているので、ゴルファーは力を地面に伝えやすい。このミッドソール10は、右利きゴルファーの右足に適している。このゴルフ靴2は、大きなヘッドスピードに寄与する。大きなヘッドスピードは、大きな飛距離を生む。
【0021】
底部6にゴルファーの体重が加わっても、内側高弾性部26は大きくは変形しない。この内側高弾性部26は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。この内側高弾性部26により、足から地面に大きな力が伝えられうる。この内側高弾性部26は、大きなヘッドスピードに寄与する。
【0022】
図3の形状が左右反転されたミッドソールは、右利きゴルファーの軸足(すなわち左足)に適している。このミッドソールにより、ゴルファーの軸足は、インサイドからアウトサイドに向かって上向きに傾く。ゴルファーは、軸足で体重を受け止めやすい。このミッドソールも、大きな飛距離に寄与する。
【0023】
本発明において、体重が加わった状態とは、体重が60kgの着用者が左右の足に均等に体重をかけた状態を意味する。
【0024】
左足用及び右足用のミッドソールにおいて、ミッドソールの偏った変形が達成されることが好ましい。ミッドソールの偏った変形が、左足用及び右足用のミッドソールのいずれか一方のみで達成されてもよい。
【0025】
このミッドソール10では、低弾性部20及び高弾性部22の厚みが、傾斜面24に沿って徐々に変化している。従って、ミッドソール10の圧縮変形量は、傾斜面24に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって、連続的に変化する。圧縮変形量は、急激には変化しない。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。安定したスイングは、飛距離のばらつきを抑制する。安定したスイングはさらに、ゴルフボールの飛行方向のばらつきを抑制する。圧縮変形量が連続的に変化するミッドソール10は、歩行時の違和感を生じさせない。
【0026】
高弾性部22の発泡倍率よりも大きな発泡倍率が低弾性部20に適用されることにより、弾性率の相違が達成されうる。高弾性部22の基材ポリマーとは異なる基材ポリマーが低弾性部20に用いられることにより、弾性率の相違が達成されうる。高弾性部22における添加剤の量とは異なる量の添加剤が低弾性部20に添加されることにより、弾性率の相違が達成されうる。高弾性部22の添加剤とは異なる添加剤が低弾性部20に配合されることにより、弾性率の相違が達成されうる。
【0027】
図2から明らかなように、低弾性部20の平面形状は、実質的に楕円である。楕円の低弾性部20を備えたミッドソール10では、前後方向においても、圧縮変形量が急激には変化しない。楕円の低弾性部20は、スイングの安定に寄与する。平面形状が長円である低弾性部も、スイングの安定に寄与する。
【0028】
図2において符号Aで示された二点鎖線は、ミッドソール10の長さ線である。長さ線Aは、ミッドソール10の輪郭内に画かれうる最長の線分である。長さ線Aは、爪先側端30から踵側端32に至っている。図2において、長さ線Aの長さが符号Lによって示されている。図2において符号Bで示された二点鎖線は、幅線Bである。幅線Bは、長さ線Aと直交している。この幅線Bまでの爪先側端30からの距離は、(L/4)である。この幅線Bは、低弾性部20を通過している。換言すれば、長さ線Aに沿って爪先側端30から踵側端32へ、流さ線の距離Lの25%を移動した地点に、傾斜面24が存在している。スイングにおいて最も力がかかるのは、母趾球の近傍である。前述の位置に傾斜面24が存在することにより、ゴルファーは力を地面に伝えやすい。長さLは、通常は150mmから320mmである。
【0029】
ゴルファーが力を地面に伝えやすいとの観点から、長さ線Aに沿った傾斜面24の距離は、5mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましく、50mm以上が特に好ましい。効果の観点からはこの距離の上限に制限は無いが、通常は200mm以下、さらには105mm以下である。
【0030】
図4において両矢印Waで示されているのは、傾斜面24の左右方向幅である。幅Waは、幅線Bに沿った断面において測定される。幅Waは、5mm以上100mm以下が好ましい。幅Waが5mm以上に設定されることにより、圧縮変形量の急激な変化が抑制される。この観点から、幅Waは20mm以上がより好ましく、30mm以上が特に好ましい。幅Waが100mm以下に設定されたゴルフ靴2では、ゴルファーが力を地面に伝えやすい。この観点から、幅Waは80mm以下がより好ましく、70mm以下が特に好ましい。なお、幅線Bに沿ったミッドソール10の幅Wは、通常は80mm以上120mm以下である。
【0031】
図4において両矢印Wbで示されているのは、内側高弾性部26のうち上面が平坦な部位の幅である。幅Wbは、幅線Bに沿って測定される。幅Wbは、3mm以上25mm以下が好ましい。幅Wbが3mm以上に設定されることにより、足から地面へ十分な力が伝わる。この観点から、幅Wbは5mm以上がより好ましく、7mm以上がさらに好ましく、10mm以上が特に好ましい。幅Wbが25mm以下に設定されることにより、足が十分に傾斜する。この観点から、幅Wbは22mm以下がより好ましく、18mm以下が特に好ましい。
【0032】
図4において両矢印Wcで示されているのは、内側高弾性部26の幅である。幅Wcは、幅線Bに沿って測定される。幅Wcは、13mm以上35mm以下が好ましい。幅Wcが13mm以上に設定されることにより、足から地面へ十分な力が伝わる。この観点から、幅Wcは15mm以上がより好ましく、17mm以上がさらに好ましく、20mm以上が特に好ましい。幅Wcが35mm以下に設定されることにより、足が十分に傾斜する。この観点から、幅Wcは32mm以下がより好ましく、28mm以下が特に好ましい。
【0033】
図4において両矢印Wdで示されているのは、低弾性部20のアウトサイド端とミッドソールのアウトサイド端との距離である。距離Wdは、13mm以上、さらには15mm以上、さらには17mm以上、さらには20mm以上が好ましい。距離Wdは、35mm以下、さらには32mm以下、さらには28mm以下が好ましい。
【0034】
図4において両矢印Tで示されているのは、ミッドソール10の厚みである。厚みTは、幅線Bに沿った断面において測定される。厚みTは、側壁18を除く部位の最大厚みである。厚みTは、2mm以上、さらには5mm以上である。厚みTは、25mm以下、さらには20mm以下、さらには15mm以下である。図4において両矢印tで示されているのは、低弾性部20の最大厚みである。厚みtは、幅線Bに沿った断面において測定される。インソール8の上面が十分に傾斜するとの観点から、厚みTに対する厚みtの比率は30%以上、さらには40%以上、さらには50%以上、さらには80%以上が好ましい。図4に示された実施形態では、この比率は100%である。換言すれば、ミッドソール10の底面34に、低弾性部20がわずかに露出している。図3から明らかなように、III−III線に沿った断面では、低弾性部20は底面34に露出していない。図5から明らかなように、V−V線に沿った断面でも、低弾性部20は底面34に露出していない。
【0035】
底面34に低弾性部20と高弾性部22との境界線が存在すると、この境界線が亀裂等の損傷の原因となることがある。ミッドソール10の耐久性の観点から、境界線が底面34に存在しないことが好ましい。換言すれば、低弾性部20が底面34に露出しないことが好ましい。耐久性の観点から、厚みTに対する厚みtの比率は100%未満が好ましく、98%以下がより好ましく、95%以下が特に好ましい。
【0036】
図4において両矢印θで示されているのは、左右方向(水平方向)に対する傾斜面24の角度である。角度θは、幅線Bに沿った断面において測定される。角度θは、3度(degree)以上60度以下が好ましい。角度θが3度以上に設定されたゴルフ靴2では、ゴルファーが力を地面に伝えやすい。この観点から、角度θは5度以上がより好ましく、7度以上が特に好ましい。角度θが60度以下に設定さることにより、圧縮変形量の急激な変化が抑制される。この観点から、角度θは50度以下がより好ましく、40度以下がさらに好ましく、20度以下が特に好ましい。
【0037】
低弾性部20の硬度HLの、高弾性部22の硬度HHに対する比(HL/HH)は、0.20以上0.90以下が好ましい。比(HL/HH)が0.20以上に設定されることにより、縮変形量の急激な変化が抑制される。この観点から、比(HL/HH)は0.30以上がより好ましく、0.40以上が特に好ましい。比(HL/HH)が0.90以下に設定されることにより、ゴルファーが力を地面に伝えやすい。この観点から、比(HL/HH)は0.85以下がより好ましく、0.80以下が特に好ましい。低弾性部20の硬度HLは、20以上70以下が好ましい。高弾性部22の硬度HHは、40以上85以下が好ましい。硬度は、日本ゴム協会標準規格に準拠して、高分子計器株式会社のアスカーC型硬度計にて測定される。
【0038】
図6は、図2のミッドソール10の製造方法の一例が説明されるための断面図である。この製造方法では、まず第一部品36、第二部品38及び第三部品40が準備される。第一部品36、第二部品38及び第三部品40は、気泡を含むポリマー成形体からなる。第一部品36の弾性率は、第二部品38及び第三部品40の弾性率よりも小さい。第一部品36及び第二部品38の断面形状は、実質的に三角形である。第三部品40の輪郭は、ミッドソール10の輪郭に類似している。第三部品40は、打ち抜きよって形成された穴42を備えている。
【0039】
この製造方法では、第一部品36と第二部品38とが貼り合わされる。第一部品36と第二部品38との境界は、傾斜する。次に、第一部品36及び第二部品38が、第三部品40の穴42に挿入される。次に、第一部品36、第二部品38及び第三部品40が金型に投入され、高温下で圧縮される。各部品36、38、40は、互いに接合される。この製造方法では、第一部品36が低弾性部20を形成し、第二部品38及び第三部品40が高弾性部22を形成する。第一部品36及び第二部品38が圧縮され、かつ第三部品40も圧縮された後、この第三部品40に第一部品36及び第二部品38が挿入されてもよい。
【0040】
図7は、図2のミッドソール10の製造方法の他の例が説明されるための断面図である。この製造方法では、まず第一部品44及び第二部品46が準備される。第一部品44及び第二部品46は、気泡を含むポリマー成形体からなる。第一部品44及び第二部品46は、既に圧縮されている。第一部品44の弾性率は、第二部品46の弾性率よりも小さい。第一部品44の断面形状は、実質的に三角形である。第二部品46の輪郭は、ミッドソール10の輪郭に類似している。第二部品46は、窪み48を備えている。窪み48の断面形状は、実質的に三角形である。窪み48の上面50は、傾斜している。
【0041】
この製造方法では、第一部品44が第二部品46の窪み48に挿入され、両者が貼り合わされる。第一部品44と第二部品46との境界は、傾斜する。この製造方法では、第一部品44が低弾性部20を形成し、第二部品46が高弾性部22を形成する。
【0042】
アウトソール12に低弾性部及び高弾性部が設けられることにより、足の傾斜が達成されてもよい。インサイドにおける突起14の密度が、アウトサイドにおける突起14の密度よりも小さくされることで、足の傾斜が達成されてもよい。
【0043】
図8は、本発明の他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソール50が示された断面図である。このミッドソール50の平面形状は、図2に示されたミッドソール10の平面形状と同等である。この図8には、幅線Bに沿った断面が示されている。この図8において、左側がインサイドであり、右側がアウトサイドである。このミッドソール50は、低弾性部54、高弾性部56及び傾斜面58を備えている。低弾性部54の断面形状は、実質的に台形である。傾斜面58のインサイドでかつ上側には、低弾性部54が存在している。傾斜面58のアウトサイドでかつ下側には、高弾性部56が存在している。低弾性部54のインサイドには、内側高弾性部60が存在している。
【0044】
このミッドソール50でも、低弾性部54の圧縮変形量と高弾性部56の圧縮変形量との相違に起因して、足が傾斜する。この傾斜により、ゴルファーは、十分な力を地面に伝えることができる。このミッドソール50でも、圧縮変形量は、傾斜面58に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって連続的に変化する。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。このミッドソール50でも、内側高弾性部60は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。
【0045】
図9は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソール62が示された断面図である。このミッドソール62の平面形状は、図2に示されたミッドソール10の平面形状と同等である。この図9には、幅線Bに沿った断面が示されている。この図9において、左側がインサイドであり、右側がアウトサイドである。このミッドソール62は、低弾性部64、高弾性部66、傾斜面68及び平坦面70を備えている。平坦面70は、傾斜面68と連続しており、傾斜面68のアウトサイドに位置している。傾斜面68のインサイドでかつ上側には、低弾性部64が存在している。傾斜面68のアウトサイドでかつ下側には、高弾性部66が存在している。平坦面70の上側には、低弾性部64が存在している。平坦面70の下側には、高弾性部66が存在している。低弾性部64のインサイドには、内側高弾性部72が存在している。
【0046】
このミッドソール62でも、低弾性部64の圧縮変形量と高弾性部66の圧縮変形量との相違に起因して、足が傾斜する。この傾斜により、ゴルファーは、十分な力を地面に伝えることができる。このミッドソール62でも、圧縮変形量は、傾斜面68に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって連続的に変化する。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。このミッドソール62でも、内側高弾性部72は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。
【0047】
図10は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソール74が示された断面図である。このミッドソール74の平面形状は、図2に示されたミッドソール10の平面形状と同等である。この図10には、幅線Bに沿った断面が示されている。この図10において、左側がインサイドであり、右側がアウトサイドである。このミッドソール74は、低弾性部76、高弾性部78、傾斜面80及び平坦面82を備えている。平坦面82は、傾斜面80と連続しており、傾斜面80のインサイドに位置している。傾斜面80のインサイドでかつ上側には、低弾性部76が存在している。傾斜面80のアウトサイドでかつ下側には、高弾性部78が存在している。平坦面82の上側には、低弾性部76が存在している。平坦面82の下側には、高弾性部78が存在している。低弾性部76のインサイドには、内側高弾性部84が存在している。
【0048】
このミッドソール74でも、低弾性部76の圧縮変形量と高弾性部78の圧縮変形量との相違に起因して、足が傾斜する。この傾斜により、ゴルファーは、十分な力を地面に伝えることができる。このミッドソール74でも、圧縮変形量は、傾斜面80に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって連続的に変化する。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。このミッドソール74でも、内側高弾性部84は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。
【0049】
このミッドソール74では、低弾性部76は、底面に露出していない。換言すれば、低弾性部76と高弾性部78との境界線は、底面に存在しない。このミッドソールは、耐久性に優れる。耐久性の観点から、ミッドソール74の厚みTに対する低弾性部76の厚みtの比率は100%未満が好ましく、98%以下がより好ましく、95%以下が特に好ましい。インソールの上面が十分に傾斜するとの観点から、この比率は30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。
【0050】
図11は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソール86が示された断面図である。このミッドソール86の平面形状は、図2に示されたミッドソール10の平面形状と同等である。この図11には、幅線Bに沿った断面が示されている。この図11において、左側がインサイドであり、右側がアウトサイドである。このミッドソール86は、低弾性部88、高弾性部90、第一平坦面92、傾斜面94及び第二平坦面96を備えている。第一平坦面92は、傾斜面94と連続しており、傾斜面94のインサイドに位置している。第二平坦面96は、傾斜面94と連続しており、傾斜面94のアウトサイドに位置している。傾斜面94のインサイドでかつ上側には、低弾性部88が存在している。傾斜面94のアウトサイドでかつ下側には、高弾性部90が存在している。第一平坦面92の上側には、低弾性部88が存在している。第一平坦面92の下側には、高弾性部90が存在している。第二平坦面96の上側には、低弾性部88が存在している。第二平坦面96の下側には、高弾性部90が存在している。低弾性部88のインサイドには、内側高弾性部98が存在している。
【0051】
このミッドソール86でも、低弾性部88の圧縮変形量と高弾性部90の圧縮変形量との相違に起因して、足が傾斜する。この傾斜により、ゴルファーは、十分な力を地面に伝えることができる。このミッドソール86でも、圧縮変形量は、傾斜面94に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって連続的に変化する。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。このミッドソール86でも、内側高弾性部90は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。
【0052】
このミッドソール86では、低弾性部88は、底面に露出していない。換言すれば、低弾性部88と高弾性部90との境界線は、底面に存在しない。このミッドソールは、耐久性に優れる。耐久性の観点から、ミッドソール86の厚みTに対する低弾性部88の厚みtの比率は100%未満が好ましく、98%以下がより好ましく、95%以下が特に好ましい。インソールの上面が十分に傾斜するとの観点から、この比率は30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。
【0053】
図12は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソール100が示された平面図である。この図12には、長さ線A及び幅線Bが示されている。このミッドソール100は、ベース102と、このベース102の外縁に位置する側壁104とを備えている。このミッドソール100は、右足用である。左足用のミッドソールは、図12に示された形状が左右反転した形状を呈する。
【0054】
このミッドソール100の幅線Bに沿った断面形状は、図4に示されたミッドソール10の断面形状と同等である。このミッドソール100は、低弾性部106及び高弾性部108を備えている。低弾性部106と高弾性部108との境界は、傾斜面を含んでいる。このミッドソール100でも、低弾性部106の圧縮変形量と高弾性部108の圧縮変形量との相違に起因して、足が傾斜する。この傾斜により、ゴルファーは、十分な力を地面に伝えることができる。このミッドソール100でも、圧縮変形量は、傾斜面に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって連続的に変化する。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。このミッドソール100でも、内側高弾性部110は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。
【0055】
図12から明らかなように、低弾性部106の平面形状は八角形である。八角形の低弾性部106を備えたミッドソール100では、前後方向においても、圧縮変形量が急激には変化しない。八角形の低弾性部106は、スイングの安定に寄与する。平面形状が六角形、七角形、九角形、十角形である低弾性部も、スイングの安定に寄与しうる。
【0056】
図13は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソール112が示された平面図である。この図13には、長さ線A及び幅線Bが示されている。このミッドソール112は、ベース114と、このベース114の外縁に位置する側壁116とを備えている。このミッドソール112は、右足用である。左足用のミッドソールは、図13に示された形状が左右反転した形状を呈する。
【0057】
このミッドソール112の幅線Bに沿った断面形状は、図4に示されたミッドソール10の断面形状と同等である。このミッドソール112は、低弾性部118及び高弾性部120を備えている。低弾性部118と高弾性部120との境界は、傾斜面を含んでいる。低弾性部118の平面形状は、略半楕円である。このミッドソール112でも、低弾性部118の圧縮変形量と高弾性部120の圧縮変形量との相違に起因して、足が傾斜する。この傾斜により、ゴルファーは、十分な力を地面に伝えることができる。このミッドソール112でも、圧縮変形量は、傾斜面に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって連続的に変化する。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。このミッドソール112でも、内側高弾性部122は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。
【0058】
図14は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソール124が示された平面図である。この図14には、長さ線A及び幅線Bが示されている。このミッドソール124は、ベース126と、このベース126の外縁に位置する側壁128とを備えている。このミッドソール124は、右足用である。左足用のミッドソールは、図14に示された形状が左右反転した形状を呈する。
【0059】
このミッドソール124の幅線Bに沿った断面形状は、図4に示されたミッドソール10の断面形状と同等である。このミッドソール124は、低弾性部130及び高弾性部132を備えている。低弾性部130と高弾性部132との境界は、傾斜面を含んでいる。低弾性部130の平面形状は、矩形である。このミッドソール124でも、低弾性部130の圧縮変形量と高弾性部132の圧縮変形量との相違に起因して、足が傾斜する。この傾斜により、ゴルファーは、十分な力を地面に伝えることができる。このミッドソール124でも、圧縮変形量は、傾斜面に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって連続的に変化する。連続的な変化は、スイングの安定に寄与する。このミッドソール124でも、内側高弾性部134は、足から地面に伝わる力をあまり吸収しない。
【実施例】
【0060】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0061】
[実施例1]
図8に示された断面形状を有するミッドソールを作成した。このミッドソールでは、長さLは290mmであり、幅Wは100mmであり、厚みTは6mmである。このミッドソールは、低弾性部及び高弾性部を備えている。低弾性部と高弾性部との境界は、傾斜面を含む。傾斜面の幅Waは、50mmである。高弾性部は、内側高弾性部を含む。内側高弾性部の幅Wbは、15mmである。このミッドソールでは、厚みtの厚みTに対する比率は、100%である。このミッドソールにアウトソール、インソール及びアッパーを取り付け、実施例1のゴルフ靴を得た。
【0062】
[実施例5及び6]
厚みtの厚みTに対する比率を下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例5及び6のゴルフ靴を得た。
【0063】
[実施例4及び7]
内側高弾性部の幅Wbを下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例4及び7のゴルフ靴を得た。実施例7のミッドソールの断面図は、図4に相当する。
【0064】
[実施例2、3及び8]
傾斜面の幅Waを下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2、3及び8のゴルフ靴を得た。実施例8のミッドソールの断面図は、図4に相当する。
【0065】
[実施例9及び10]
低弾性部及び高弾性部の材質を変更した他は実施例1と同様にして、実施例9及び10のゴルフ靴を得た。低弾性部及び高弾性部の硬度が、下記の表1に示されている。
【0066】
[実施例11]
ミッドソールの断面形状を図15に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例11のゴルフ靴を得た。このミッドソールは、低弾性部136と高弾性部138とを備えている。低弾性部136と高弾性部138との境界は、鉛直方向に延びている。高弾性部138は、内側高弾性部140を含む。
【0067】
[比較例]
ミッドソールの断面形状を図16に示される通りとした他は実施例1と同様にして、比較例のゴルフ靴を得た。このミッドソールは、高弾性部のみからなる。
【0068】
[打撃テスト]
ゴルフ靴をゴルファーに着用させ、ドライバーでゴルフボールを10回打撃させた。そして、ヘッドスピード、飛距離、飛距離ばらつき、フェース角ばらつき及び打球方向ばらつきを測定した。この結果が、下記の表1に示されている。この表1において、ヘッドスピード及び飛距離は、平均値である。
【0069】
【表1】
【0070】
表1から明らかなように、実施例のゴルフ靴により、大きなヘッドスピードが得られ、かつ大きな飛距離が得られる。特に、傾斜面を備えた実施例1から10のゴルフ靴は、飛距離及び打球方向の安定に寄与する。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
足を傾斜させうる靴は、ゴルフ以外の種々のスポーツにも適している。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフ靴が示された一部切り欠き側面図である。
【図2】図2は、図1のゴルフ靴のミッドソールが示された平面図である。
【図3】図3は、図2のIII−III線に沿った拡大断面図である。
【図4】図4は、図2のIV−IV線に沿った拡大断面図である。
【図5】図5は、図2のV−V線に沿った拡大断面図である。
【図6】図6は、図2のミッドソールの製造方法の一例が説明されるための断面図である。
【図7】図7は、図2のミッドソールの製造方法の他の例が説明されるための断面図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図9】図9は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図10】図10は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図11】図11は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図12】図12は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図13】図13は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図14】図14は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図15】図15は、本発明の実施例9に係るゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【図16】図16は、比較例のゴルフ靴のミッドソールが示された断面図である。
【符号の説明】
【0073】
2・・・ゴルフ靴
4・・・アッパー
6・・・底部
8・・・インソール
10・・・ミッドソール
12・・・アウトソール
14・・・突起
16・・・ベース
18・・・側壁
20・・・低弾性部
22・・・高弾性部
24・・・傾斜面
26・・・内側高弾性部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部を備えており、
この底部の上面に着用者の体重が加わったときに、この上面のインサイドにおける下方への変位が、この上面のアウトサイドにおける下方への変位よりも大きい靴。
【請求項2】
ミッドソールを含む底部を備えており、
このミッドソールが、低弾性部と、高弾性部と、傾斜面とを備えており、
この傾斜面のインサイドに低弾性部が存在し、この傾斜面のアウトサイドに高弾性部が存在している靴。
【請求項3】
上記高弾性部が、低弾性部のインサイドにも存在している請求項2に記載の靴。
【請求項4】
上記低弾性部の厚みが傾斜面に沿ってアウトサイドからインサイドに向かって徐々に大きくなっており、上記高弾性部の厚みが傾斜面に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって徐々に大きくなっている請求項2又は3に記載の靴。
【請求項5】
上記ミッドソールの長さ線に沿って爪先側端から踵側端へこの流さ線の距離の25%を移動した地点に、上記傾斜面が存在する請求項2から4のいずれかに記載の靴。
【請求項6】
左右方向における上記傾斜面の幅が5mm以上100mm以下である請求項2から5のいずれかに記載の靴。
【請求項7】
上記低弾性部の、傾斜面に沿った部分の最大厚みが、ミッドソールの厚みの30%以上である請求項2から6のいずれかに記載の靴。
【請求項8】
上記傾斜面が、インサイドからアウトサイドに向かって上向きに傾斜している請求項2から7のいずれかに記載の靴。
【請求項9】
上記低弾性部の硬度HLの高弾性部の硬度HHに対する比(HL/HH)が、0.20以上0.90以下である請求項2から8のいずれかに記載の靴。
【請求項1】
底部を備えており、
この底部の上面に着用者の体重が加わったときに、この上面のインサイドにおける下方への変位が、この上面のアウトサイドにおける下方への変位よりも大きい靴。
【請求項2】
ミッドソールを含む底部を備えており、
このミッドソールが、低弾性部と、高弾性部と、傾斜面とを備えており、
この傾斜面のインサイドに低弾性部が存在し、この傾斜面のアウトサイドに高弾性部が存在している靴。
【請求項3】
上記高弾性部が、低弾性部のインサイドにも存在している請求項2に記載の靴。
【請求項4】
上記低弾性部の厚みが傾斜面に沿ってアウトサイドからインサイドに向かって徐々に大きくなっており、上記高弾性部の厚みが傾斜面に沿ってインサイドからアウトサイドに向かって徐々に大きくなっている請求項2又は3に記載の靴。
【請求項5】
上記ミッドソールの長さ線に沿って爪先側端から踵側端へこの流さ線の距離の25%を移動した地点に、上記傾斜面が存在する請求項2から4のいずれかに記載の靴。
【請求項6】
左右方向における上記傾斜面の幅が5mm以上100mm以下である請求項2から5のいずれかに記載の靴。
【請求項7】
上記低弾性部の、傾斜面に沿った部分の最大厚みが、ミッドソールの厚みの30%以上である請求項2から6のいずれかに記載の靴。
【請求項8】
上記傾斜面が、インサイドからアウトサイドに向かって上向きに傾斜している請求項2から7のいずれかに記載の靴。
【請求項9】
上記低弾性部の硬度HLの高弾性部の硬度HHに対する比(HL/HH)が、0.20以上0.90以下である請求項2から8のいずれかに記載の靴。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−135827(P2007−135827A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332893(P2005−332893)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(504017809)SRIスポーツ株式会社 (701)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(504017809)SRIスポーツ株式会社 (701)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]