説明

靴底及び靴床に結合可能な支持底を形成する交換可能な靴上部を有する靴が記載される。有利な構造条件を得るため、靴底(1)が、足先範囲に設けられて靴底(1)より短く形成される支持底(4)の係止突起(5)にかぶさる少なくとも1つの係止受入れ部(6)、及び閉鎖位置で支持底(4)の後縁区域(7)にかぶさる閉鎖折り蓋(8)を持ち、靴底(1)及び支持底(4)が、前にある係止凹所(6)と後にある閉鎖折り蓋(8)との間に、一方では係止切欠き(13)を備え、また他方では係止切欠き(13)にはまる結合突起(12)を備えており、靴上部(2)の支持底(4)が、交換可能な足台(3)により覆われていることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴底及び靴床に結合可能な支持底を形成する交換可能な靴上部を有する靴に関する。
【背景技術】
【0002】
靴底を持つ種々の靴上部を挿入できるようにするため、靴上部を靴底に交換可能に取付けることが公知であり(ドイツ連邦共和国実用新案第20111405号)、この目的のため靴底が靴上部用係止受入れ部を形成している。その欠点は、個々の係止受入れ部を介して靴上部を靴底に結合せねばならず、それが費用のかかる取扱いを伴うのみならず、靴上部の構成に関しても制限を生じることである。なぜならば、靴底の係止受入れ部は局部的に設けられているからである。これらの欠点は他の公知の靴構成では回避され(ドイツ連邦共和国特許出願公開第2263269号明細書)、靴上部が靴底に結合可能な支持底を形成し、従ってこの支持底が靴上部と共に交換可能な構造単位を構成する。支持底の取付けは、支持底に設けられて靴底の方へ向く押しボタンにより行われるので、支持底により受入れられる靴上部の形状が、それを靴底と結合するために何の役割も果たさず、従って十分自由に形成できる。しかし押しボタンにより支持底と靴底との不充分な結合が欠点とみなされ、大きい負荷を受けると、押しボタンは靴底に対する支持底の移動を防止できない。更に支持底が足台を形成するので、このような靴では、上部が交換可能でない靴において通常であるように、履き易さは得られない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って本発明の基礎になっている課題は、靴上部の簡単な交換可能性にもかかわらず、従来の靴と比較可能な履き易さを補償できる、最初にあげた種類の靴を構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、靴底が、足先範囲に設けられて靴底より短く形成される支持底の係止突起にかぶさる少なくとも1つの係止受入れ部、及び閉鎖位置で支持底の後縁区域にかぶさる閉鎖折り蓋を持ち、靴底及び支持底が、前にある係止凹所と後にある閉鎖折り蓋との間に、一方では係止切欠きを備え、また他方では係止切欠きにはまる結合突起を備えており、靴上部の支持底が、交換可能な足台により覆われていることによって、与えられた課題を解決する。
【0005】
この手段のため、支持底は、靴底の前にある係止受入れ部と後にある閉鎖折り蓋との間に保持されるのみならず、係止受入れ部と閉鎖折り蓋との間で、係止切欠きにはまる結合突起によっても、靴底にはまり合いで結合されるので、靴底に対する支持底の移動は縦方向にも横方向にも防止され、これは、良好な負荷可能性及びそれに関係して適当な履き易さに対する重要な前提条件である。更に靴上部が交換可能な足台により覆われるので、履き易さが、中間底として役立つ支持底により共同決定されるのではなく、従来の靴におけるように適当な足台によっても共同決定される。それにもかかわらず靴上部を交換するための取扱いは簡単なままである。なぜならば、足台の取除き後に、支持底を持つ靴上部を、前にある係止受入れ部の周りに、靴底とのはまり合いから外し、次に係止受入れ部から引抜くために、閉鎖折り蓋を開きさえすればよいからである。新しい靴上部をはめるために、その支持底が、逆の順序で、まず前にある係止突起を靴底の対応する係止受入れ部へ導入され、それから支持底が結合突起を係止切欠きへはめられながら、靴底へ押付けられ、閉鎖折り蓋の閉鎖によりこのはまり位置に固定的に保持される。足台の挿入が靴の改造を完全にする。
【0006】
結合突起をはまり合いで受入れる係止切欠きが靴底に設けられているか又は支持底に設けられているかは、靴底と靴上部の支持底とのはまり合い結合にとって問題ではないけれども、靴上部の支持底が貫通開口の形の係止切欠きを形成し、支持底の厚さに合わされる高さを持つ靴底の結合突起が貫通開口へはまっていると、特に有利な構造条件が生じる。
【0007】
支持底の後縁にかぶさる閉鎖折り蓋は、靴を使用する際、押圧力をかけられるので、支持底を靴底上に保持するために、閉鎖折り蓋に対して特別な閉鎖力は必要でない。それにもかかわらず閉鎖折り蓋の閉鎖位置を有利に確実にするために、閉鎖折り蓋は、閉鎖位置で、支持底の後縁区域にある凹所を通って、例えば押しボタンにより靴底と結合可能である。支持底の後縁区域にかぶさる閉鎖折り蓋が足台の適合を必要としないようにするため、支持底の後縁区域は、閉鎖折り蓋の厚さだけ引込んだ凹所を、閉鎖位置で同一面をなして受入れるために持つことができる。
【0008】
図面に本発明の実施例が示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施例による靴は、靴底1、革帯の形でのみ示される靴上部2、及び足台3を持っている。非常に異なるように形成可能な靴上部2は、例えばサンダル、スリッパ又は短靴を形成するため、靴底1と交換可能に結合されている。この目的のため靴上部2は、靴底1より長さを短く構成されかつ前縁に係止突起5を持つ支持底4を備えており、係止突起5は、靴底1の足先範囲にある係止受入れ部6にはまっている。係止突起5には係止受入れ部6がかぶさっているので、支持底4は足先範囲で靴底1から外れることがない。支持底4には、後縁区域7において、靴底1に設けられる閉鎖折り蓋8がかぶさり、後縁区域7にある切欠き9を通って、閉鎖位置で押しボタン10により靴底1と結合可能である。後縁区域7は、閉鎮折り蓋8の厚さだけ引込んだ凹所11を、図1からわかるように、閉鎖折り蓋8を同一面をなして受入れるために形成している。
【0010】
前にある係止受入れ部6と後にある閉鎖折り蓋8との間で靴底1は、支持底4へ向かって突出する結合突起12を形成し、これらの結合突起12が支持底4の係止切欠き13へはまり合いではまっている。その際係止切欠き13が貫通開口の形に形成され、結合突起12が支持底4の厚さに合わされた高さを持つようになっている。それにより足台3が支持底4を越えて平面で載せられるという利点を伴って、係止切欠き13への結合突起12の同一面をなすはまり合いが保証される。
【0011】
靴上部2を挿入するため、図3によれば、挿入すべき靴上部2の支持底4が、前にある係止突起5を靴底1の係止受入れ部6へ導入され、靴底1へ向かって揺動されるので、結合突起12が係止切欠き13へはまる。閉鎖折り蓋8を閉じるため、この閉鎖折り蓋8が支持底4の後縁区域7を介して靴底1の方へ揺動され、それにより押しボタン10が支持底4の切欠き9を通って靴底1の対応する穴へはまった後、足台3が挿入され、それにより靴の改造が終了される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明による靴を概略縦断面図で示す。
【図2】 靴上部の支持底の平面図を示す。
【図3】 靴上部を挿入する際における足台なしの靴の図1に相当する図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴底及び靴床に結合可能な支持底を形成する交換可能な靴上部を有する靴において、靴底(1)が、足先範囲に設けられて靴底(1)より短く形成される支持底(4)の係止突起(5)にかぶさる少なくとも1つの係止受入れ部(6)、及び閉鎖位置で支持底(4)の後縁区域(7)にかぶさる閉鎖折り蓋(8)を持ち、靴底(1)及び支持底(4)が、前にある係止凹所(6)と後にある閉鎖折り蓋(8)との間に、一方では係止切欠き(13)を備え、また他方では係止切欠き(13)にはまる結合突起(12)を備えており、靴上部(2)の支持底(4)が、交換可能な足台(3)により覆われていることを特徴とする、靴。
【請求項2】
靴上部(2)の支持底(4)が、貫通開口の形の係止切欠き(13)を形成し、支持底(4)の厚さに合わされた高さを持つ靴底(1)の結合突起(12)が係止切欠き(13)にはまっていることを特徴とする、請求項1に記載の靴。
【請求項3】
閉鎖折り蓋(8)が、閉鎖位置で、支持底(4)の後縁区域(7)にある切欠き(9)を通って靴底(1)に結合可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の靴。
【請求項4】
支持底(4)の後縁区域(7)が、その閉鎖位置で閉鎖折り蓋(8)を同一面となるように受入れるため、閉鎖折り蓋(8)の厚さだけ引込んだ凹所(11)を持っていることを特徴とする、請求項1〜3の1つに記載の靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−533189(P2009−533189A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505676(P2009−505676)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際出願番号】PCT/AT2007/000162
【国際公開番号】WO2007/118262
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(508314560)
【出願人】(508314571)
【Fターム(参考)】