説明

【課題】歩行に伴い靴内の空気を入れ替えて足ムレを低減する。
【解決手段】歩行時の体重移動に伴い弾性気室3の一部が部分的に踵側端部3bから爪先側端部3aへ向けて順次圧縮変形することにより、靴内部空間Bから流出して弾性気室3内に溜まった湿気を含む空気が、踵側端部3bから爪先側端部3aへ向けて押送され、そこから第一通気路4aを通って第一通気口5aより靴外部へ排出され、また、これらの部分圧縮変形に追随して弾性気室3の一部が部分的に踵側端部3bから爪先側端部3aへ向け順次膨張変形することにより、靴外部の乾燥した空気が、第二通気口5b及び第二通気路4bを順次通って踵側端部3bから弾性気室3内に吸入され靴内部空間Bに流出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴の使用時における発汗に伴う足ムレを低減するために靴底部分に外気との換気構造が設けられる靴に関する。
詳しくは、靴の内部に発生する湿気や熱を靴の外部に放出するとともに、靴の外部から靴の内部に乾燥した空気を取り込むことが可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の靴として、胛被と中底とよりなる袋物胛被に外底を当接した靴において、中底の踏み付け部に複数の貫通孔を設けるとともに、その下面には、複数の貫通孔が設けられる靴底用通気部材の収納枠内にメッシュシートと防水性通気シートを順次嵌入し、それを外底の接地面側に狭着して、発泡ポリウレタンの注入で外底と一体成型することにより、靴内部の湿気や熱気が靴底から外部に放出されるとともに、靴底から新鮮な空気が取り入れられ、しかも靴底から水の浸入を防止するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、靴内と連通する幹溝と枝溝により複数に分岐した換気経路を形成し、この換気経路を靴底のかかとの当る部分の内側に形成しかつ体重の掛かり具合によって弾性的に容積変化する気室に合流させ、この気室を靴底の側面から外部に通気路により靴底の外に連絡させることにより、歩行等に伴う体重の掛かり具合によって気室の容積が変化し、靴内の空気を気室の収縮により排気し、気室の膨張により吸気して呼吸式に靴内の空気を換気するものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−166606号公報
【特許文献2】特開2002−10801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし乍ら、このような従来の靴では、特許文献1の場合、靴底の踏み付け部における広範囲に亘って防水性通気シートが配置されるため、長期間の歩行に伴う防水性通気シートの屈曲変形によって剥離や亀裂が生じる可能性があり、長期間に亘って水の浸入防止機能を維持できないおそれがあるという問題があった。
また、特許文献2の場合には、複数に分岐した換気経路が気室に合流して一つの通気路から靴底の外に連絡されるため、歩行により靴内部から押し出される湿気を含む空気と、通気路から流入する外部からの空気とが、換気経路の幹溝や枝溝内でぶつかり、スムーズな空気流動にならず、換気がスムーズに行われないおそれがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、歩行に伴い靴内の空気を入れ替えて足ムレを低減すること、使用者に違和感を与えることなく大量な空気を出し入れすること、弾性気室を簡単に組み込むこと、などを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために本発明は、中底から本底までの間に該中底に沿って設けられ、前記中底の厚さ方向へ弾性的に容積変化する弾性気室と、前記弾性気室の爪先側端部に接続するように設けられる第一通気路及び前記弾性気室の踵側端部に接続するように設けられる第二通気路と、前記第一通気路が靴外部と連通するように設けられる第一通気口及び前記第二通気路が靴外部と連通するように設けられる第二通気口とを備え、前記弾性気室は、靴内部空間と連通し、歩行時の体重移動に伴い該弾性気室の一部が部分的に前記踵側端部から前記爪先側端部へ向けて順次圧縮変形するとともに、これらの部分的な圧縮変形に追随して該弾性気室の一部が部分的に前記踵側端部から前記爪先側端部へ向け順次膨張変形するように配置されたことを特徴とする。
【0007】
前述した特徴に加えて、前記中底と前記本底の間に中間シートを積層し、この中間シートに前記弾性気室の空間部が形成され、この空間部内に前記中底の厚さ方向へ弾性的に圧縮・膨張変形可能なシート状の弾性体を収容したことを特徴とする。
【0008】
さらに前述した特徴に加えて、前記中底と前記本底の間に積層される中間シートに、前記弾性気室の空間部と前記第一通気路及び前記第二通気路をそれぞれ形成し、この空間部の一端に形成される前記爪先側端部に前記第一通気路を接続するとともに、前記空間部の他端に形成される前記踵側端部に前記第二通気路を接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
前述した特徴を有する本発明は、歩行時の体重移動に伴い弾性気室の一部が部分的に踵側端部から爪先側端部へ向けて順次圧縮変形することにより、靴内部空間から流出して弾性気室内に溜まった湿気を含む空気が、踵側端部から爪先側端部へ向けて押送され、そこから第一通気路を通って第一通気口より靴外部へ排出され、また、これらの部分圧縮変形に追随して弾性気室の一部が部分的に踵側端部から爪先側端部へ向け順次膨張変形することにより、靴外部の乾燥した空気が、第二通気口及び第二通気路を順次通って踵側端部から弾性気室内に吸入され靴内部空間に流出するので、歩行に伴い靴内の空気を入れ替えて足ムレを低減することができる。
その結果、防水性通気シートによって靴底の貫通孔から水の浸入を防止する従来のもののように、靴底の広範囲に亘って防水性通気シートを配置する必要がないから、長期間に亘って水の浸入など心配なく使用できる。
また、複数に分岐した換気経路が気室に合流して一つの通気路から靴底の外に連絡される従来のものに比べ、靴内から放出される湿気を含む空気と、外部から流入する空気とが別々の通気路及び通気口を通るため、途中でぶつかり合うことなく、スムーズに換気できる。
【0010】
さらに、前記中底と前記本底の間に中間シートを積層し、この中間シートに前記弾性気室の空間部が形成され、この空間部内に前記中底の厚さ方向へ弾性的に圧縮・膨張変形可能なシート状の弾性体を収容した場合には、例えばゴムなどの弾性膜からなる中空体のように弾性気室の一部が圧縮変形した分だけ他部が膨張変形するような不安定な変形とならず、長期に亘り安定して弾性変形可能になるとともに、靴底の広範囲に亘って弾性気室が形成可能になるので、使用者に違和感を与えることなく大量な空気を出し入れすることができる。
その結果、足ムレを著しく低減できて長期に亘り衛生的に保つことができる。
【0011】
また、前記中底と前記本底の間に積層される中間シートに、前記弾性気室の空間部と前記第一通気路及び前記第二通気路をそれぞれ形成し、この空間部の一端に形成される前記爪先側端部に前記第一通気路を接続するとともに、前記空間部の他端に形成される前記踵側端部に前記第二通気路を接続した場合には、中底と本底の間に中間シートを挟み込むだけで、弾性気室と第一通気路及び第二通気路が一体的に配置されるので、弾性気室を簡単に組み込むことができる。
その結果、製造時間の短縮化と製造コストの低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る靴の全体構成を示す斜視図である。
【図2】靴底の分解斜視図である。
【図3】歩行時における重心移動の軌跡を示す説明図である。
【図4】歩行時の体重移動に伴う弾性気室の変形状態を示す説明図であり、(a)が圧縮順序を示し、(b)が膨張順序を示している。
【図5】本発明の他の実施形態に係る靴の全体構成を示す斜視図である。
【図6】靴底の分解斜視図である。
【図7】歩行時の体重移動に伴う弾性気室の変形状態を示す説明図であり、(a)が圧縮順序を示し、(b)が膨張順序を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る靴Aは、図1〜図7に示すように、中底1や本底2などが積層された靴底Sと甲皮Uとを固着する周知形態のものであり、靴底Sの内部には換気構造が組み込まれている。
この換気構造は、図1及び図5に示すように、中底1から本底2までの間に中底1に沿って設けられる弾性気室3と、この弾性気室3の爪先側端部3aに接続するように設けられる第一通気路4a及び弾性気室3の踵側端部3bに接続するように設けられる第二通気路4bと、第一通気路4aが靴外部と連通するように設けられる第一通気口5a及び第二通気路4bが靴外部と連通するように設けられる第二通気口5bとを備えている。
【0014】
中底1は、歩行に伴い弾性的に屈曲変形可能な材料で足裏と同じ形状のシート状に形成されるインソールであり、その厚さ方向へ全面的に通気性を有するシートが用いられるか、又は少なくとも歩行時に体重がかかる踏み付け部分に、多数の小穴1aを開穿したシートが用いられ、使用者の足が挿入される靴内部空間Bと後述する弾性気室3とを常時連通させるように形成する。
さらに、中底1の一例としては、甲皮Uに釣り込みなどで固着することが好ましい。
また、その他の例として、中底1を甲皮Uや靴底Sに対し着脱自在な中敷として配置することも可能である。
【0015】
本底2は、例えば革やゴム又は合成樹脂などの歩行に伴い弾性的に屈曲変形可能な材料で、中底1とほぼ同じ大きさ若しくはそれよりも若干大きな足裏形状のシート状に形成されるアウトソールであり、その踵側には、ヒール部6が例えば接着剤などにより固着されるか、或いは一体的に形成される。
【0016】
弾性気室3は、中底1から本底2までの間で中底1とほぼ平行な平面上において、歩行時に体重がかかる踏み付け部分に配置され、歩行時の踵側から爪先側への体重移動に伴い中底1の厚さ方向へ弾性的に圧縮・膨張変形して容積変化するように形成している。
弾性気室3の具体例としては、図2及び図6に示すように、中底1と本底2の間に層を形成し、この層の足裏と対向する踏み付け部分において少なくとも拇趾球及び小趾球などを覆うように配置されている。
このような弾性気室3を形成する方法の一例としては、図2及び図6に示すように、中底1と本底2の間に、歩行に伴い弾性的に屈曲変形可能な材料で形成された中間シート3cを積層し、この中間シート3cに空間部3dが開口され、この空間部3d内には、中底1の厚さ方向へ弾性的に圧縮・膨張変形可能なシート状の弾性体3eを収容することにより、歩行時に体重で加圧されることと該体重による圧力が開放されることでポンプ作用を得られるようにすることが好ましい。
この弾性体3eとしては、例えば弾力性を有する合成樹脂繊維を編織したネットや連続気泡タイプの発泡体などが用いられる。
また、その他の例として図示しないが、このような空間部3dや弾性体3eに代え、例えばゴムなどの弾性膜からなる中空体を配置することで、ポンプ作用が得られるようにすることも可能である。
またさらに、弾性気室3を中底1と一体的に形成して、弾性気室3が靴内部空間Bと直接対向させて常時連通状態にすることも可能である。
【0017】
第一通気路4a及び第二通気路4bは、中底1から本底2までの間に中底1に沿って曲線状又は直線状に形成される排気用と吸気用の通路であり、靴底Sにおいて土踏まずと対向する上側と反対側にそれぞれ2系統配置される。
第一通気路4a及び第二通気路4bを形成する方法の一例としては、図2及び図6に示すように、中底1と本底2の間に積層される中間シート3cにおいて、それに開口した空間部3dの爪先側端部3aと踵側端部3bに向け2本の貫通孔を開設するか、又は凹溝を凹設することにより、これら爪先側端部3a及び踵側端部3bと気密状に連通するように形成することが好ましい。
また、その他の例として図示しないが、このような貫通孔や凹溝に代えて、チューブなどの管体を配管することも可能である。
【0018】
第一通気口5a及び第二通気口5bは、例えば本底2の土踏まずと対向する部位やヒール部6の側面又は本底2の底面とヒール部6の間などにそれぞれ開設されて、第一通気路4a及び第二通気路4bに空気を通過させるが、水や塵などの浸入を防止する構造に形成されている。
第一通気口5a及び第二通気口5bの具体例としては、図2及び図6に示すように、第一通気路4a及び第二通気路4bと第一通気口5a及び第二通気口5bとの間や第一通気路4a及び第二通気路4bの途中に、例えばシート状や膜状の防水通気性部材7を貼着したり、必要に応じて第一通気口5a及び第二通気口5bの内部に、例えばメッシュ板や多孔板などの防塵部材8を配置することが好ましい。
また、その他の例として図示しないが、このような防水通気性部材7や防塵部材8に代えて、防水性と通湿性を両立させた防水透湿性素材などを第一通気口5a及び第二通気口5bに配置することも可能である。
【0019】
ところで、人が歩行する場合、図3に示すように、先ず靴底Sの踵側から着地し、踵に掛かった重心は土踏まずの外側に沿って移動するとともに、小趾球側から拇趾球側へ移動して親指の方向へ抜けていき、このような歩行時における靴底への足圧部位の変化により重心移動の軌跡は、図3の波線に示されるようになることが判っている。
【0020】
そこで、弾性気室3は、歩行に伴って使用者の体重が、踵の着地から順番に爪先まで設置するまでの移動により、例えば図4(a)に符号31→32→33→34で示すように、弾性気室3の一部が部分的に踵側端部3bから爪先側端部3aへ向けて順次圧縮変形しながら移動するように配置されている。
さらに、これらの部分的な圧縮変形に追随して、踵が地面より離れてから順番に爪先まで離れるまでの体重移動により、例えば図4(b)に符号31→32→33→34で示すように、弾性気室3の一部が部分的に踵側端部3bから爪先側端部3aへ向け順次膨張変形しながら移動して、弾性気室3の空間容積が復元するように配置されている。
【0021】
このような本発明の実施形態に係る靴Aによると、歩行時の踵側から爪先側への体重移動に伴って、弾性気室3の一部が部分的に踵側端部3bから爪先側端部3aへ向け順次圧縮変形することにより、靴内部空間Bから流出して弾性気室3内に溜まっていた湿気を含む空気が、主として弾性気室3の踵側端部3bから爪先側端部3aへ向けて押送され、この爪先側端部3aから第一通気路4aを通って第一通気口5aより靴外部へ排出される。
その後に若干遅れて、弾性気室3の一部が部分的に踵側端部3bから爪先側端部3aへ向け順次膨張変形することにより、主として靴外部の乾燥した空気が、第二通気口5bから第二通気路4bを通って踵側端部3bより弾性気室3内に吸入され、靴内部空間Bへ流入する。
このような歩行に伴うポンプ動作の繰り返しによって、足の挿入に伴い閉鎖状態となった靴内部空間Bへ空気が途中でぶつかり合うことなくスムーズに出し入れされる。
それにより、歩行に伴い靴内部空間Bの空気を入れ替えて足ムレを低減することができる。
次に、本発明の各実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
この実施例1は、図1、図2及び図4に示すように、中底1と本底2の間に2枚の中間シート3c,3fを積層し、中底1と隣接する上側の中間シート3cに、弾性気室3の空間部3dを開口してシート状の弾性体3eが収容されるとともに、第一通気路4a及び第二通気路4bが形成され、空間部3dの一端に形成される爪先側端部3aに第一通気路4aの一端を接続し、空間部3aの他端に形成される踵側端部3bに第二通気路4bの一端を接続し、これら第一通気路4a及び第二通気路4bの他端4c,4dに接続される第一通気口5a及び第二通気口5bを、本底2においてヒール部6の近傍位置に並んで開設したものである。
【0023】
弾性体3eとしては、大きな弾力性を有する例えばナイロン(登録商標)などの合成樹脂繊維をパイル構造又はコイル構造に編織した比較的肉厚なものを用い、図1、図2及び図4に示される例では、この弾性体3eが上側の中間シート3cの土踏まずと対向する部位よりも爪先側の大部分を覆うように配置されている。
また、その他の例として図示しないが、弾性体3eを土踏まずの外側と対向する部位を覆うように拡大したり、歩行時に体重がかかる踏み付け部分の全体に拡大することも可能である。
【0024】
さらに、弾性体3eの周端を空間部3dの内周に例えば接着剤などにより固着して、上側の中間シート3cと一体化されている。
また、本底2と隣接する下側の中間シート3fには、第一通気路4a及び第二通気路4bの他端4c,4dと、第一通気口5a及び第二通気口5bとを連絡する貫通孔3g,3hが開穿され、これら貫通孔3g,3hを覆うように例えばシート状や膜状の防水通気性部材7が、下側の中間シート3fのいずれか一方の表面又は両面に貼着されている。
【0025】
そして、このような実施例1に係る靴Aの製造方法の一例としては、中底1に甲皮Uの端部を釣り込むなどして固着し、その後工程で中底1の外側に2枚の中間シート3c,3fと本底2を順番に積み重ねるとともに、これらを例えば接着剤などにより固着し、最後にヒール部6を固着することで完成する。
また、図1、図2及び図4に示される例では、歩行時に体重がかかる踏み付け部分に多数の小穴1aが開穿された中底1を用いたが、全面的に通気性がある中底1を用いることも可能である。
【0026】
このような本発明の実施例1に係る靴Aによると、中底1と本底2の間に積層される中間シート3cに弾性気室3の空間部3dを形成してシート状の弾性体3eが収容されるため、例えばゴムなどの弾性膜からなる中空体のように弾性気室3の一部が圧縮変形した分だけ他部が膨張変形するような不安定な変形とならず、長期に亘り安定して弾性変形可能になるとともに、靴底Sの広範囲に亘って弾性気室3が形成可能になる。
それにより、使用者に違和感を与えることなく大量な空気を出し入れすることができるという利点がある。
【0027】
さらに、中間シート3cに弾性気室3の空間部3dと第一通気路4a及び第二通気路4bがそれぞれ接続形成されるため、この中間シート3cを中底1と本底2の間に挟み込むだけで、弾性気室3と第一通気路4a及び第二通気路4bが一体的に配置される。
それにより、弾性気室3を簡単に組み込むことができるという利点がある。
【実施例2】
【0028】
この実施例2は、図5及び図6に示すように、第一通気路4a及び第二通気路4bの他端4c,4dに接続される第一通気口5a及び第二通気口5bをヒール部6の側面に開設した構成が、図1、図2及び図4に示した実施例1とは異なり、それ以外の構成は図1、図2及び図4に示した実施例1と同じものである。
【0029】
本底2には、下側の中間シート3fに開穿された貫通孔3g,3hと連絡する通孔2a,2bが開穿され、これら通孔2a,2bと第一通気口5a及び第二通気口5bを連絡する連絡孔6a,6bがヒール部6に開設されている。
【0030】
図5及び図6に示される例では、ヒール部6の連絡孔6a,6bを略L字形に形成して、第一通気口5a及び第二通気口5bがヒール部6の互いに反対向きとなる両側面6cに開設され、必要に応じて連絡孔6a,6bの途中に、例えばメッシュ板や多孔板などの防塵部材8を配置している。
その他の例として図示しないが、第一通気口5a及び第二通気口5bをヒール部6の土踏まず側に向いた面や同じ側面に並べて配置したり、ヒール部6と本底2との境界部分に開設することも可能である。
【0031】
このような本発明の実施例2に係る靴Aでも上述した実施例1と同様な作用効果が得られ、更に加えてヒール部6の配設位置近くまで弾性気室3の空間部3d及びシート状の弾性体3eを簡単に拡張してその分だけ換気する空気量を増加させることができるという利点がある。
【0032】
なお、前示実施例では、弾性気室3が、中底1と本底2の間に2枚の中間シート3c,3fを積層して、中底1と隣接する上側の中間シート3cに弾性体3eが収容される空間部3dを開口したが、これに限定されず、中底1と本底2の間に1枚の中間シート3cのみを積層して、この中間シート3cに弾性体3eが収容される空間部3dを開口するようにしたり、空間部3dや弾性体3eに代えて、例えばゴムなどの弾性膜からなる中空体を配置しても良い。
さらに、図示例では、本底2とヒール部6を別個に形成して固着しているが、これに限定されず、本底2とヒール部6を一体形成しても良い。
【符号の説明】
【0033】
1 中底 2 本底
3 弾性気室 3a 爪先側端部
3b 踵側端部 3c 中間シート
3d 空間部 4a 第一通気路
4b 第二通気路 5a 第一通気口
5b 第二通気口 B 靴内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中底から本底までの間に該中底に沿って設けられ、前記中底の厚さ方向へ弾性的に容積変化する弾性気室と、
前記弾性気室の爪先側端部に接続するように設けられる第一通気路及び前記弾性気室の踵側端部に接続するように設けられる第二通気路と、
前記第一通気路が靴外部と連通するように設けられる第一通気口及び前記第二通気路が靴外部と連通するように設けられる第二通気口とを備え、
前記弾性気室は、靴内部空間と連通し、歩行時の体重移動に伴い該弾性気室の一部が部分的に前記踵側端部から前記爪先側端部へ向けて順次圧縮変形するとともに、これらの部分的な圧縮変形に追随して該弾性気室の一部が部分的に前記踵側端部から前記爪先側端部へ向け順次膨張変形するように配置されたことを特徴とする靴。
【請求項2】
前記中底と前記本底の間に中間シートを積層し、この中間シートに前記弾性気室の空間部が形成され、この空間部内に前記中底の厚さ方向へ弾性的に圧縮・膨張変形可能なシート状の弾性体を収容したことを特徴とする請求項1記載の靴。
【請求項3】
前記中底と前記本底の間に積層される中間シートに、前記弾性気室の空間部と前記第一通気路及び前記第二通気路をそれぞれ形成し、この空間部の一端に形成される前記爪先側端部に前記第一通気路を接続するとともに、前記空間部の他端に形成される前記踵側端部に前記第二通気路を接続したことを特徴とする請求項1又は2記載の靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−177446(P2011−177446A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46959(P2010−46959)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(507394628)株式会社ユニオン・ロイヤル (2)
【Fターム(参考)】