説明

鞍乗り型車両

【課題】ヘッドパイプの後方かつエンジンユニットの上方に収納ボックスが配置され、該収納ボックスの後方かつエンジンユニットの後方斜め上方に燃料タンクが配置され、その燃料タンクの上方に乗車用シートが配置されるようにした鞍乗り型車両に、収納ボックスの容量に影響を及ぼすことなくアンチロックブレーキ制御ユニットを配設することを可能とする。
【解決手段】左右一対のメインフレーム18の後部から後上がりに延びて燃料タンク19の前部を跨ぐシート支持フレーム77が、その上端部で乗車用シート20の前部を支持するようにして左右一対のメインフレーム18間に設けられ、アンチロックブレーキ制御ユニット37がシート支持フレーム77で上方から覆われる位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前輪を軸支するフロントフォークを操向可能に支承するヘッドパイプならびに該ヘッドパイプから後方に延びる左右一対のメインフレームを有する車体フレームと、該車体フレームに支持されるエンジンユニットと、前記ヘッドパイプの後方かつ前記エンジンユニットの上方に配置されるようにして前記メインフレームに支持される収納ボックスと、該収納ボックスの後方かつ前記エンジンユニットの後方斜め上方に配置されて前記車体フレームに支持される燃料タンクと、該燃料タンクの上方に配置される乗車用シートと、前記前輪および後輪の少なくとも一方に配設されるディスクブレーキに供給される液圧を制御して制動時にロック状態に陥ることを防止するためのアンチロックブレーキ制御ユニットとを備える鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドパイプと、該ヘッドパイプから後ろ下がりに延びる左右一対のメインフレームと、それらのメインフレームの後部寄り中間部から後上がりに延びる左右一対のシートレールとを有する車体フレームにエンジンユニットが支持されるとともに、前記両シートレールの前部の上方に後部が配置されるようにして前記ヘッドパイプの後方かつ前記エンジンユニットの上方に配置される収納ボックスと、前記収納ボックスの後方かつ前記エンジンユニットの後方斜め上方で前記両シートレール間に配置される燃料タンクとが前記車体フレームに支持されるようにした自動二輪車が、特許文献1で知られている。
【0003】
一方、車体フレームに支持されたエンジンユニットと、該エンジンユニットの上方に配置される燃料タンクとの間に、マスタシリンダからディスクブレーキに供給される液圧を制御して制動時にロック状態に陥ることを防止するための液圧モジュレータが配置されるようにした自動二輪車が、特許文献2で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−220072号公報
【特許文献2】特開2007−216814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが上記特許文献1で開示されたものでは、収納ボックスの後部がシートレールの前部の上方に配置されるので、シートレールとの干渉を回避する必要上、収納ボックスの容量を大きくし難い課題がある。而してヘッドパイプの後方かつエンジンユニットの上方に収納ボックスが配置され、該収納ボックスの後方かつエンジンユニットの後方斜め上方に燃料タンクが配置されるようにした鞍乗り型車両に、上記特許文献2で開示されるアンチロックブレーキ制御ユニットの配置構造すなわちアンチロックブレーキ制御ユニットをエンジンユニットの上方に配置した構造を適用するにあたって収納ボックスの容量を極力大きく確保したいと言う要望がある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ヘッドパイプの後方かつエンジンユニットの上方に収納ボックスが配置され、該収納ボックスの後方かつエンジンユニットの後方斜め上方に燃料タンクが配置されるようにした鞍乗り型車両に、収納ボックスの容量を極力大きく確保しつつアンチロックブレーキ制御ユニットを配設することを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、前輪を軸支するフロントフォークを操向可能に支承するヘッドパイプならびに該ヘッドパイプから後方に延びる左右一対のメインフレームを有する車体フレームと、該車体フレームに支持されるエンジンユニットと、前記ヘッドパイプの後方かつ前記エンジンユニットの上方に配置されるようにして前記メインフレームに支持される収納ボックスと、該収納ボックスの後方かつ前記エンジンユニットの後方斜め上方に配置されて前記車体フレームに支持される燃料タンクと、該燃料タンクの上方に配置される乗車用シートと、前記前輪および後輪の少なくとも一方に配設されるディスクブレーキに供給される液圧を制御して制動時にロック状態に陥ることを防止するためのアンチロックブレーキ制御ユニットとを備える鞍乗り型車両において、左右一対の前記メインフレームの後部から後上がりに延びて前記燃料タンクの前部を跨ぐシート支持フレームが、その上端部で前記乗車用シートの前部を支持するようにして左右一対の前記メインフレーム間に設けられ、前記アンチロックブレーキ制御ユニットが前記シート支持フレームで上方から覆われるようにして前記エンジンユニットの上方に配置されることを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、液圧発生手段が発生する液圧を調圧する液圧モジュレータと、該液圧モジュレータからの液圧をさらに制御するようにして前記液圧モジュレータの下部前方に配置される第1液圧制御手段と、前記液圧モジュレータおよび第1液圧制御手段間を結ぶとともに少なくとも第1液圧制御手段側の部分では側面視で前下がりに傾斜する第1液圧管路とを備える前記アンチロックブレーキ制御ユニットが、側面視で前記エンジンユニット、前記収納ボックスおよび前記燃料タンクによって囲まれる領域に配置されて前記車体フレームに支持されることを第2の特徴とする。
【0009】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記アンチロックブレーキ制御ユニットが、前記液圧モジュレータに一端が接続される第2液圧管路と、前記液圧モジュレータからの液圧をさらに制御するようにして第2液圧管路の他端に接続されるとともに前記液圧モジュレータの左右いずれか一方の側方に配置される第2液圧制御手段とを前記液圧モジュレータ、第1液圧管路および第1液圧制御手段に加えてさらに備え、前記アンチロックブレーキ制御ユニットと、前記液圧モジュレータを支持するようにして前記車体フレームに固定されるモジュレータステーとが左右一対の前記メインフレーム間に配置され、前記モジュレータステーに前記液圧モジュレータとともに第2液圧制御手段が共締めされることを第3の特徴とする。
【0010】
本発明は、第3の特徴の構成に加えて、前記モジュレータステーの左右両側部のうち第2液圧制御手段が配置される側とは反対側の側部に、ハーネスを保持するハーネス保持部材が平面視で前記両メインフレーム間に配置されるようにして取付けられることを第4の特徴とする。
【0011】
本発明は、第1〜第4の特徴の構成のいずれかに加えて、前記収納ボックスの前側下部に、前記アンチロックブレーキ制御ユニットの前方で下方に向けて突出する突部が一体に設けられ、該突部内に小物入れが形成されることを第5の特徴とする。
【0012】
本発明は、第1〜第5の特徴の構成のいずれかに加えて、前記アンチロックブレーキ制御ユニットおよび前記燃料タンク間に、前記アンチロックブレーキ制御ユニットの作動を制御するECUを収納したECUボックスが固定配置されることを第6の特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、第4の特徴の構成に加えて、前記液圧モジュレータが、モジュレータ本体と、カプラを一体に有して前記モジュレータ本体に取付けられるカバーとを備え、前記モジュレータステーに、左右一対の側壁部が前記モジュレータ本体を相互間に挟むようにして設けられ、前記カプラが、左右一対の前記側壁部の一方および前記モジュレータ本体間に配置されることを第7の特徴とする。
【0014】
なお実施の形態の第1および第2マスタシリンダ38,39が本発明の液圧発生手段に対応し、実施の形態の遅延弁41が本発明の第1液圧制御手段に対応し、実施の形態の比例減圧弁43が本発明の第2液圧制御手段に対応する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の特徴によれば、左右一対のメインフレーム間に設けられるシート支持フレームが、燃料タンクの前部を跨ぐとともに乗車用シートの前部を上端部で支持するので、シート支持フレームおよび燃料タンクの相互干渉を避けつつ、乗車用シートの前部荷重をシート支持フレームで受けることができる。しかもシート支持フレームは、前記メインフレームの後部から後上がりに延びるものであり、収納ボックスの後側下部を前記シート支持フレームとの干渉を回避しながら下方に大きく形成することを可能として収納ボックスの容量を極力大きくすることができる。しかもアンチロックブレーキ制御ユニットがシート支持フレームで上方から覆われるようにしてエンジンユニットの上方に配置されるので、収納ボックス、燃料タンクおよびアンチロックブレーキ制御ユニットをコンパクトに配置することができる。
【0016】
また本発明の第2の特徴によれば、液圧モジュレータと、液圧モジュレータの下部前方に配置される第1液圧制御手段と、液圧モジュレータおよび液圧制御手段間を結ぶ第1液圧管路とを備えるアンチロックブレーキ制御ユニットが、第1液圧管路の少なくとも第1液圧制御手段側の部分を側面視で前下がりに傾斜させるようにして、側面視でエンジンユニット、収納ボックスおよび燃料タンクによって囲まれる領域に配置されるので、アンチロックブレーキ制御ユニットの配置によって収納ボックスの容量に影響が及ぶことを回避しつつ、アンチロックブレーキ制御ユニットをコンパクトに配置することができる。
【0017】
本発明の第3の特徴によれば、液圧モジュレータ、第1液圧管路および第1液圧制御手段に加えて第2液圧管路および第2液圧制御手段をさらに備えるアンチロックブレーキ制御ユニットと、液圧モジュレータを支持するモジュレータステーとが、車体フレームが備える左右一対のメインフレーム間に配置されるので、アンチロックブレーキ制御ユニットを車幅方向にコンパクトに配置することができる。また第2液圧制御手段を液圧モジュレータとともにモジュレータステーに共締めするようにしたので、第2液圧制御手段をモジュレータステーで支持するのに専用の部品を不要として部品点数を低減することができる。
【0018】
本発明の第4の特徴によれば、第2液圧制御手段が配置される側とは反対側でモジュレータステーの側部に、平面視で両メインフレーム間に配置されるようにしてハーネス保持部材が取付けられるので、左右のメインフレーム間にアンチロックブレーキ制御ユニットだけでなくハーネスもコンパクトに配置することができる。
【0019】
本発明の第5の特徴によれば、小物入れを内部に形成する突部が、アンチロックブレーキ制御ユニットの前方で下方に向けて突出するようにして収納ボックスの前側下部に一体に設けられるので、アンチロックブレーキ制御ユニットの第1液圧制御手段との干渉を回避して収納ボックス内に小物入れを形成することができる。
【0020】
本発明の第6の特徴によれば、アンチロックブレーキ制御ユニットおよび燃料タンク間にECUボックスが固定配置されるので、アンチロックブレーキ制御ユニットに加えてECUボックスもコンパクトに配置することができる。
【0021】
さらに本発明の第7の特徴によれば、モジュレータステーに設けられる左右一対の側壁部間にモジュレータ本体が挟まれ、液圧モジュレータが備えるカプラが左右一対の側壁部の一方およびモジュレータ本体間に配置されるので、サイズが比較的大きくなるアンチロックブレーキ制御ユニット用のハーネスと、アンチロックブレーキ制御ユニットとを車幅方向にコンパクトに配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】自動二輪車の側面図である。
【図2】ブレーキ液圧回路の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の要部拡大図である。
【図4】車体フレームの一部を示す側面図である。
【図5】図4で示される範囲の車体フレームの斜視図である。
【図6】図3の6−6線拡大断面図である。
【図7】アンチロックブレーキ制御ユニットおよびモジュレータステーの側面図である。
【図8】アンチロックブレーキ制御ユニットおよびモジュレータステーの斜視図である。
【図9】図7の9矢視図である。
【図10】モジュレータステーを右斜め後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について添付の図1〜図10を参照しながら説明すると、先ず図1において、鞍乗り型車両である自動二輪車の車体フレームFは、前輪WFを軸支するフロントフォーク11を操向可能に支承するヘッドパイプ12と、該ヘッドパイプ12から後ろ下がりに傾斜するようにして後方に延びる左右一対のメインフレーム13…と、それらのメインフレーム13…よりも急角度で後ろ下がりに傾斜して前記メインフレーム13…の前端部に連設される左右一対のダウンフレーム14…と、前記両メインフレーム13…の後端から下方に延びる左右一対のピボットプレート15…と、両ピボットプレート15…から後上がりに延びる左右一対のシートフレーム16…とを備える。
【0024】
前記メインフレーム13…の下方には、当該メインフレーム13…、前記ダウンフレーム14…および前記ピボットプレート15…で支持されるようにしてエンジンユニットEUが配置され、エンジンユニットEUの上方に配置される収納ボックス18が前記両メインフレーム13…で支持され、前記収納ボックス18の後方かつ前記エンジンユニットEUの後方斜め上方には燃料タンク19が配置され、前記シートフレーム16…で支持される乗車用シート20が前記燃料タンク19を上方から覆うように配置される。
【0025】
前記ピボットプレート15…には、後輪WRを後端部で軸支するスイングアーム21の前端が支軸22を介して上下揺動可能に支承され、スイングアーム21および前記ピボットプレート15…間に設けられるリンク機構23と、前記ピボットプレート15…との間にはリヤクッションユニット24が設けられる。
【0026】
前記エンジンユニットEUが備えるクランクケース25内には変速機(図示せず)が収容されており、その変速機の出力軸26にクランクケース25の左側方で固定される駆動スプロケット27と、前記後輪WRにその左側方に配置されるようにして同軸に設けられる被動スプロケット28とには無端状のチェーン29が巻き掛けられる。
【0027】
また前記前輪WFの回転は、該前輪WFとともに回転するブレーキディスク31と、該ブレーキディスク31の外周を跨ぐようにして前記フロントフォーク11に支持されるキャリパ32とを備える前輪用ディスクブレーキBFで制動可能であり、前輪用ディスクブレーキBFは前輪WFの右側に配置される。前記後輪WRの回転は、該後輪WRとともに回転するブレーキディスク33と、該ブレーキディスク33の外周を跨ぐようにして前記フロントフォーク11に支持されるキャリパ34とを備える後輪用ディスクブレーキBRで制動可能であり、後輪用ディスクブレーキBRは後輪WRの右側に配置される。
【0028】
図2において、前記前輪WFおよび前記後輪WRの少なくとも一方に配設されるディスクブレーキの液圧、この実施の形態では前記前輪用ディスクブレーキBFおよび前記後輪用ディスクブレーキBRに供給される液圧は、制動時にロック状態に陥ることを防止するためにアンチロックブレーキ制御ユニット37で制御されるものであり、このアンチロックブレーキ制御ユニット37は、液圧発生手段である第1および第2マスタシリンダ38,39が発生する液圧を調圧する液圧モジュレータ40と、該液圧モジュレータ40からの液圧をさらに制御する第1液圧制御手段としての遅延弁41と、前記液圧モジュレータ40および遅延弁41間を結ぶ第1液圧管路42と、前記液圧モジュレータ40からの液圧をさらに制御する第2液圧制御手段としての比例減圧弁43と、前記液圧モジュレータ40および前記比例減圧弁43間を結ぶ第2液圧管路44とを備える。
【0029】
第1マスタシリンダ38は、自動二輪車の乗員がブレーキペダル(図示せず)を操作するのに応じた液圧を出力するものであり、第1マスタシリンダ38からの液圧は前記液圧モジュレータ40の第1入力ポート45に第3液圧管路47を介して導かれる。また第2マスタシリンダ39は、自動二輪車の乗員がブレーキレバー(図示せず)を操作するのに応じた液圧を出力するものであり、第2マスタシリンダ39からの液圧は前記液圧モジュレータ40の第2入力ポート46に第4液圧管路48を介して導かれる。
【0030】
前記液圧モジュレータ40は第1、第2および第3出力ポート49,50,51を有しており、第1出力ポート49に一端が接続される第1液圧管路42の他端は前記遅延弁41に接続され、第2出力ポート50に一端が接続される第2液圧管路44の他端は前記比例減圧弁43に接続される。
【0031】
後輪用ディスクブレーキBRのキャリパ34は単一のポッド52を有しており、前記比例減圧弁43は後輪用ディスクブレーキBRのキャリパ34が備えるポッド52に第5液圧管路53を介して接続される。また前輪用ディスクブレーキBFのキャリパ32は一対のパッド54,55を有するものであり、一方のパッド54には前記遅延弁41が第6液圧管路56を介して接続され、他方の前記ポッド55には、前記液圧モジュレータ40の第3出力ポート51が第7液圧管路57を介して接続される。
【0032】
前記液圧モジュレータ40は、第1入力ポート45に接続される第1常開型電磁弁59と、第1常開型電磁弁59に並列に接続される第1チェック弁60と、第1リザーバ61と、第1常開型電磁弁59および第1リザーバ61間に設けられる第1常閉型電磁弁62と、第1常開型電磁弁59と並列に第1入力ポート45に接続される第2常開型電磁弁63と、第2常開型電磁弁63に並列に接続される第2チェック弁64と、第2常開型電磁弁63および第1リザーバ61間に設けられる第2常閉型電磁弁65と、第2入力ポート46に接続される第3常開型電磁弁66と、第3常開型電磁弁66に並列に接続される第3チェック弁67と、第2リザーバ68と、第3常開型電磁弁66および第2リザーバ68間に設けられる第3常閉型電磁弁69と、第1リザーバ61のブレーキ液を汲上げて第1入力ポート45側に戻す第1ポンプ70と、第2リザーバ68のブレーキ液を汲上げて第2入力ポート46側に戻す第2ポンプ71と、第1および第2ポンプ70,71を共通に駆動する電動モータ72とを備え、第1常開型電磁弁59および第1常閉型電磁弁62の接続点が第1出力ポート49に接続され、第2常開型電磁弁63および第2常閉型電磁弁65の接続点が第2出力ポート50に接続され、第3常開型電磁弁66および第3常閉型電磁弁69の接続点が第3出力ポート51に接続される。
【0033】
このような液圧モジュレータ40によれば、第1マスタシリンダ38の液圧を後輪用ディスクブレーキBRにおけるキャリパ34のポッド52ならびに前輪用ディスクブレーキBFにおけるキャリパ32のポッド54に作用せしめて後輪WRおよび前輪WFを制動するとともに、第2マスタシリンダ39の液圧を前輪用ディスクブレーキBFにおけるキャリパ32のポッド55に作用せしめて前輪WFを制動することを可能とするとともに、制動時に第1〜第3常開型電磁弁59,63,66および第1〜第3常閉型電磁弁62,65,69の開閉を制御することで、後輪用ディスクブレーキBRおよび前輪用ディスクブレーキBFに作用する液圧を調圧して、後輪WRおよび前輪WFの制動力を調節することができる。
【0034】
図3を併せて参照して、前記アンチロックブレーキ制御ユニット37は、側面視で前記エンジンユニットEU、前記収納ボックス18および前記燃料タンク19によって囲まれる領域Aに配置されるようにして前記車体フレームFに支持される。
【0035】
図4および図5を併せて参照して、前記車体フレームFは、左右一対の前記ピボットプレート15…の上部間にわたるクロスパイプ74を備え、前記リヤクッションユニット24の上端部は該クロスパイプ74に連結される。
【0036】
さらに前記車体フレームFは、左右一対のメインフレーム13…の上部に固着される受け枠75…に左右両端部が支持されるようにして車幅方向に延びるタンク支持フレーム76と、車幅方向両端部が前記タンク支持フレーム76の両端部を前記受け枠75…との間に挟むように配置されるシート支持フレーム77と、シート支持フレーム77に固着されるステー支持フレーム78とを備えており、タンク支持フレーム76の両端部および前記シート支持フレーム77の両端部は左右一対ずつのボルト79,79…およびナット80,80…による共締めで前記受け枠75…に締結される。
【0037】
前記タンク支持フレーム76は、その左右両端部で前記受け枠75…から後方に延出される左右一対のタンク支持板部76a…を一体に有しており、それらのタンク支持板部76a…に、燃料タンク19の前部の左右両側がマウントラバー81…(図3参照)を介して支持される。
【0038】
前記シート支持フレーム77は、左右一対の前記メインフレーム18…の後部から後ろ上がりに延びて前記燃料タンク19の前部を跨ぐとともに前記乗車用シート20の前部を上端部で支持するようにして、前記両メインフレーム18…間に設けられるものであり、前記タンク支持フレーム76の両端部との共締めで前記受け枠75…に締結される左右一対の取付け板部77a…と、それらの取付け板部77a…の内側縁から後上がりに立ち上がる左右一対の支持脚部77b…と、両支持脚部77b…の上端間を結ぶシート支持板部77cとを一体に有しており、図3で明示するように、乗車用シート20の底板20aの前部の左右2箇所がボルト82…およびナット83…によって前記シート支持板部77cに締結される。
【0039】
また前記ステー支持フレーム78は、前記シート支持フレーム77における左右一対の支持脚部77b…の下部に溶接される左右一対の取付け板部78a…と、前記シート支持フレーム77における両支持脚部77b…の前方に配置されて前記両取り付け板部78a…間を結ぶ連結板部78bと、連結板部78bの左右両端部から前下がりに延びる左右一対の前部支持板部78c…と、それらの前部支持板部78c…よりも内側で前記連結板部78bから後方に延びる左右一対の延出板部78d…と、それらの延出板部78d…の後端に直角に連なって両延出板部78d…の後端間を結ぶ後部連結板部78eとを一体に有し、後部連結板部78eの左右両端部の前面にはウエルドナット84…が固着される。而して前記後部連結板部78eの後方には傾斜センサ85(図3および図6参照)が配置されるものであり、その傾斜センサ85は、前記ウエルドナット84…と、それらのウエルドナット84…に螺合されるねじ部材86…(図6参照)とで前記後部連結板部78eに支持される。
【0040】
図6〜図9において、前記液圧モジュレータ40は、第1〜第3常開型電磁弁59,63,66、第1〜第3常閉型電磁弁62,65,69、第1〜第3チェック弁60,64,67、第1および第2リザーバ61,68ならびに第1および第2ポンプ70,71が内蔵されるとともに前面には電動モータ72が取付けられる金属製のモジュレータ本体88と、第1〜第3常開型電磁弁59,63,66、第1〜第3常閉型電磁弁62,65,69および前記電動モータ72への電気接続回路を纏めて収納せしめるようにして前記モジュレータ本体88の後面に取付けられる合成樹脂製のカバー89とを備えるものであり、液圧モジュレータ40の車体フレームFへの取付け状態で前記モジュレータ本体88の右側に位置するカプラ89aが前方に開放するようにして前記カバー89に一体に形成される。
【0041】
前記液圧モジュレータ40のモジュレータ本体88は車体フレームFに固定されるモジュレータステー90で支持されるものであり、前記シート支持フレーム77で上方から覆われる前記アンチロックブレーキ制御ユニット40と、前記液圧モジュレータ40を支持する前記モジュレータステー90とは、車体フレームFにおける左右一対のメインフレーム13…の後部間に配置される。
【0042】
図10を併せて参照して、前記モジュレータステー90は、屈曲成形された3つの板材を溶接して構成されるものであり、前記液圧モジュレータ40におけるモジュレータ本体88の下方で車幅方向に延びる下部支持板部90aと、前記モジュレータ本体88の左側方で上下に延びるようにして下部支持板部90aの車幅方向左端部に連設される左側壁部90bと、前記モジュレータ本体88の右側方で上下に延びるようにして下部支持板部90aの車幅方向右端部に連設される右側壁部90cと、前下がりに傾斜して前記左側壁部90bの上端に直角に連設される左側上部支持板部90dと、前下がりに傾斜して前記右側壁部90cの上端に直角に連設される右側上部支持板部90eと、前記液圧モジュレータ40におけるカバー89の下部後方に配置されるとともに両端部が前記左側壁部90bおよび前記右側壁部90cの後側下部に連設される後方枠部90fと、前記左側壁部90b寄りの部分で前記後方枠部90fから上方に立ち上がる後方立ち上がり部90gと、該後方立ち上がり部90gの上端に連設される後方上部支持板部90hと、前記左側壁部90bおよび前記右側壁部90cよりも内側で前記下部支持板部90aから前方に延出される左右一対の前方延出部90i,90iと、前記液圧モジュレータ40におけるモジュレータ本体88の下部前方に配置されるようにして前記前方延出部90i…の前端部に連設される前部支持板部90jとを備える。
【0043】
前記下部支持板部90aには、左右一対の挿通孔91,91が設けられており、前記下部支持板部90a上に載せられた前記モジュレータ本体88は、前記挿通孔91…に挿通されるボルト92…で前記下部支持板部90a上に固定される。而して前記モジュレータ本体88が前記下部支持板部90a上に固定された状態でモジュレータ本体88は、前記モジュレータステー90が有する左側壁部90bおよび右側壁部90c間に挟まれるものであり、前記液圧モジュレータ40のカプラ89aは、左側壁部90bおよび右側壁部90cの一方である右側壁部90cと前記モジュレータ本体88との間に配置される。
【0044】
遅延弁41は、前記モジュレータステー90の前部支持板部90jよりも前方すなわち前記液圧モジュレータ40の下部前方に配置されるものであり、前部支持板部90jの後面に固着された左右一対のウエルドナット93,93に、前記遅延弁41に挿通されるボルト94,94を螺合することで遅延弁41が前部支持板部90jに固定される。
【0045】
また液圧モジュレータ37から出力される液圧を前記遅延弁41に導く第1液圧管路42は、屈曲した金属管から成るものであり、この第1液圧管路42の一端部は、前記モジュレータ本体88の上面に開口する第1出力ポート49(図2参照)に接続され、少なくとも遅延弁41側の部分では側面視で前下がりに傾斜して配置される第1液圧管路42の他端部が遅延弁41に接続される。
【0046】
比例制御弁43は、前記液圧モジュレータ40の左右いずれか一方の側方、この実施の形態では前記液圧モジュレータ40の左側方でモジュレータステー90の左側壁部90bをモジュレータ本体88との間に挟むように配置されており、左側壁部90bの前部内面に固着されたウエルドナット95に比例制御弁43に挿通されるボルト96が螺合されるとともに、比例制御弁43および左側壁部90bに挿通されるボルト97が前記モジュレータ本体88に螺合される。すなわち比例制御弁43は、ボルト96およびナット95でモジュレータステー90の左側壁部90bに締結されるとともに、ボルト97によるモジュレータ本体88との共締めで前記左側壁部90bに締結される。
【0047】
また液圧モジュレータ37から出力される液圧を前記比例制御弁43に導く第2液圧管路44は、屈曲した金属管から成るものであり、第2液圧管路44の一端部は、前記モジュレータ本体88の上面に開口する第2出力ポート50(図2参照)に接続されており、前記モジュレータ本体88の上面から一旦上昇して前記比例制御弁43の後方に下降した第2液圧管路44の他端部は前記比例制御弁43に後方から接続される。
【0048】
液圧モジュレータ40が固定されたモジュレータステー90は車体フレームFに支持されるものであり、前記車体フレームFにおけるステー支持フレーム78が備える左右一対の前部支持板部78c…に前記モジュレータステー90の左側および右側上部支持板部90d,90eがマウントラバー98,99を介して支持され、前記ステー支持フレーム78が備える連結板部78bに前記モジュレータステー90の後方上部支持板部90hがマウントラバー100を介して支持される。
【0049】
而して前記ステー支持フレーム78の前部支持板部78c…は、前記モジュレータステー90における左側および右側上部支持板部90d,90eの下方に配置されるものであり、左側および右側上部支持板部90d,90eにそれぞれ装着されるマウントラバー98,99に挿通されるボルト101,102が、前記前部支持板部78c…の下面に固着されたウエルドナット103…に螺合される。また前記ステー支持フレーム78の前記連結板部78bは前記モジュレータステー90の後方上部支持板部90hよりも上方に配置されるものであり、前記連結板部78bに装着されたマウントラバー100に挿通されるボルト104が前記後方上部支持板部90hの下面に固着されたウエルドナット105に螺合される。
【0050】
第1マスタシリンダ38からの液圧を液圧モジュレータ37に導く第3液圧管路47は、前記モジュレータ本体88の前面の左側上部に設けられる第1入力ポート45(図2参照)に一端部が接続される接続管108と、この接続管108の他端部に一端部が接続されるブレーキホース109とを備え、前記液圧モジュレータ40の前方を左側に延びる前記ブレーキホース109は液圧モジュレータ40の右側を通って後方に延出される。第2マスタシリンダ39からの液圧を液圧モジュレータ37に導く第4液圧管路48は、前記モジュレータ本体88の前面の右側上部に設けられる第2入力ポート46(図2参照)に一端部が接続される接続管110と、この接続管110の他端部に一端部が接続されるブレーキホース111とを備え、このブレーキホース111は液圧モジュレータ40の右側から前方に延出される。
【0051】
前記比例制御弁43からの液圧を後輪用ディスクブレーキBRに導く第5液圧管路53は、比例減圧弁43の後側上部に一端部が接続される接続管112と、該接続管112の他端部に一端部が接続されるブレーキホース113とを備え、液圧モジュレータ37の後部上方を通って右側に延出され、さらに液圧モジュレータ37の右側から後方に延出される。前記遅延弁41からの液圧を前輪用ディスクブレーキBFに導く第6液圧管路56は、比例減圧弁43に一端部が接続される接続管114と、該接続管114の他端部に一端部が接続されるブレーキホース115とを備え、液圧モジュレータ37の前方を通って右側に延出され、さらに液圧モジュレータ37の右側から前方に延出される。
【0052】
液圧モジュレータ37から出力される液圧を前輪用ディスクブレーキBFに導く第7液圧管路57は、前記モジュレータ本体88の上面に開口する第3出力ポート51(図2参照)に通じるようにしてモジュレータ本体88の上面に一端部が接続される接続管116と、該接続管116の他端部に一端部が接続されるブレーキホース117とを備え、前記モジュレータ本体88の上面から一旦上昇して右側に延出され、さらに液圧モジュレータ37の右側を前方に延出される。
【0053】
前記モジュレータステー90の左右両側部のうち比例減圧弁43が配置される側とは反対側の側部、すなわち右側壁部90cには、図9で明示するように、ハーネス120,121の中間部を保持するハーネス保持部材118,119と、平面視で車体フレームFにおける両メインフレーム13…間に配置されるようにして取付けられる。
【0054】
また前記液圧モジュレータ40のカプラ89aは、前記モジュレータステー90の右側壁部90cとモジュレータ本体88との間に配置されるのであるが、このカプラ89aには、図6で示すように、外部コネクタ122が前方から着脱可能に接続される。而して前記外部コネクタ122には、タンク支持フレーム76の左端部および前記シート支持フレーム77の左側の取付け板部77aを受け枠75に共締めするための一対のボルト79,79の一方で車体フレームFに電気的に接続されるハーネス123および他のハーネス124,125がアンチロックブレーキ制御ユニット37用として共通に接続され、モジュレータステー90の左側上部支持板部90dおよび右側上部支持板部90eには、前記ハーネス123,124の中間部を保持するハーネス保持部材126,127が取付けられる。
【0055】
ところで前記収納ボックス18の後部の左右両側下部は、図3で示すように、前記ステー支持フレーム78における連結板部78bの左右両側に固定的に支持されるものであり、この収納ボックス18の前側下部には、前記アンチロックブレーキ制御ユニット37の前方で下方に向けて突出する突部18aが一体に設けられ、該突部18a内には小物入れ128が形成される。
【0056】
さらに前記アンチロックブレーキ制御ユニット37および前記燃料タンク19間に、前記アンチロックブレーキ制御ユニット37の作動を制御するECUを収納したECUボックス130が固定配置されるものであり、この実施の形態では、前記シート支持フレーム77における左右一対の支持脚部77b…の中間部外側面に外方から当接する左右一対の取付け板部130a…がECUボックス130に一体に設けられており、前記両支持脚部77b…の中間部内側面に固着されたウエルドナット131…に、前記取付け板部130a…および前記支持脚部77b…に挿通せしめたボルト132…を螺合して締めつけることで、前記ECUボックス130が前記シート支持フレーム77における左右一対の支持脚部77b…の中間部に固定される。
【0057】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、車体フレームFにおいてヘッドパイプ12から後ろ下がりに延びる左右一対のメインフレーム18…間に設けられるシート支持フレーム77が、燃料タンク19の前部を跨ぐとともにその上端部で乗車用シート20の前部を支持するので、シート支持フレーム77および燃料タンク19の相互干渉を避けつつ、乗車用シート20の前部荷重をシート支持フレーム77で受けることができる。しかもシート支持フレーム77は、前記メインフレーム18…の後部から後上がりに延びるものであり、収納ボックス18の後側下部を前記シート支持フレーム77との干渉を回避しながら下方に大きく形成することを可能として収納ボックス18の容量を極力大きくすることができる。しかも前輪用ディスクブレーキBFおよび後輪用ディスクブレーキBRに供給される液圧制御して制動時にロック状態に陥ることを防止するためのアンチロックブレーキ制御ユニット37がシート支持フレーム77で上方から覆われるようにしてエンジンユニットEUの上方に配置されるので、収納ボックス18、燃料タンク19およびアンチロックブレーキ制御ユニット37をコンパクトに配置することができる。
【0058】
また前記アンチロックブレーキ制御ユニット37は、第1および第2マスタシリンダ38,39が発生する液圧を調圧する液圧モジュレータ40と、該液圧モジュレータ40からの液圧をさらに制御するようにして液圧モジュレータ40の下部前方に配置される遅延弁41と、液圧モジュレータ40および第1液圧制御手段41間を結ぶ第1液圧管路42とを備えるものであり、このアンチロックブレーキ制御ユニット37が、第1液圧管路41を少なくとも遅延弁41側の部分では側面視で前下がりに傾斜させつつ、側面視でエンジンユニットEU、収納ボックス18および燃料タンク19によって囲まれる領域Aに配置されて車体フレームFに支持されるので、アンチロックブレーキ制御ユニット37の配置によって収納ボックス18の容量に影響が及ぶことを回避しつつ、アンチロックブレーキ制御ユニット37をコンパクトに配置することができる。
【0059】
また前記アンチロックブレーキ制御ユニット37は、前記液圧モジュレータ40、前記遅延弁41および第1液圧管路42に加えて、液圧モジュレータ40に一端が接続される第2液圧管路44と、前記液圧モジュレータ40からの液圧をさらに制御するようにして第2液圧管路44の他端に接続される比例減圧弁43とを備え、比例減圧弁43が前記液圧モジュレータ40の左右いずれか一方の側方、この実施の形態では前記液圧モジュレータ40の左側方に配置されており、アンチロックブレーキ制御ユニット37と、前記液圧モジュレータ40を支持するようにして車体フレームFに固定されるモジュレータステー90とが車体フレームFにおける左右一対のメインフレーム13…間に配置されるので、アンチロックブレーキ制御ユニット37を車幅方向にコンパクトに配置することができる。またモジュレータステー90に液圧モジュレータ40とともに比例減圧弁43が共締めされるので、比例減圧弁43をモジュレータステー90で支持するのに専用の部品を不要として部品点数を低減することができる。
【0060】
またモジュレータステー90の左右両側部のうち前記比例減圧弁43が配置される側とは反対側の側部に、ハーネス120,121を保持するハーネス保持部材118,119が平面視で前記両メインフレーム13…間に配置されるようにして取付けられるので、左右のメインフレーム13…間にアンチロックブレーキ制御ユニット37だけでなくハーネス120,121もコンパクトに配置することができる。
【0061】
また収納ボックス18の前側下部には、アンチロックブレーキ制御ユニット37の前方で下方に向けて突出する突部18aが一体に設けられ、該突部18a内に小物入れ128が形成されるので、アンチロックブレーキ制御ユニット37の遅延弁41との干渉を回避して収納ボックス18内に小物入れ128を形成することができる。
【0062】
またアンチロックブレーキ制御ユニット37および燃料タンク19間に、前記アンチロックブレーキ制御ユニット37の作動を制御するECUを収納したECUボックス130が固定配置されるので、アンチロックブレーキ制御ユニット37に加えてECUボックス130もコンパクトに配置することができる。
【0063】
さらに液圧モジュレータ40が、モジュレータ本体88と、カプラ89aを一体に有してモジュレータ本体88に取付けられるカバー89とを備え、モジュレータステー90に、左右一対の側壁部90b,90cがモジュレータ本体88を相互間に挟むようにして設けられ、前記カプラ89aが、左右一対の側壁部90b,90cの一方である右側壁部90cおよびモジュレータ本体88間に配置されるので、サイズが比較的大きくなるアンチロックブレーキ制御ユニット37用のハーネス123,124,125と、アンチロックブレーキ制御ユニット37とを車幅方向にコンパクトに配置することが可能となる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0065】
たとえば上記実施の形態では、液圧発生手段を第1および第2マスタシリンダ38,39としたが、電動モータで駆動される液圧ポンプで液圧を発生するようにしたものであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
11・・・フロントフォーク
12・・・ヘッドパイプ
13・・・メインフレーム
18・・・収納ボックス
18a・・・突部
19・・・燃料タンク
20・・・乗車用シート
37・・・アンチロックブレーキ制御ユニット
38・・・液圧発生手段である第1マスタシリンダ
39・・・液圧発生手段である第2マスタシリンダ
40・・・液圧モジュレータ
41・・・第1液圧制御手段である遅延弁
42・・・第1液圧管路
43・・・第2液圧制御手段である比例減圧弁
44・・・第2液圧管路
77・・・シート支持フレーム
88・・・モジュレータ本体
89・・・カバー
89a・・・カプラ
90・・・モジュレータステー
90b,90c・・・側壁部
118,119・・・ハーネス保持部材
120,121・・・ハーネス
128・・・小物入れ
130・・・ECUボックス
A・・・領域
BF・・・前輪用ディスクブレーキ
BR・・・後輪用ディスクブレーキ
EU・・・エンジンユニット
F・・・車体フレーム
WF・・・前輪
WR・・・後輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(WF)を軸支するフロントフォーク(11)を操向可能に支承するヘッドパイプ(12)ならびに該ヘッドパイプ(12)から後方に延びる左右一対のメインフレーム(13)を有する車体フレーム(F)と、該車体フレーム(F)に支持されるエンジンユニット(EU)と、前記ヘッドパイプ(12)の後方かつ前記エンジンユニット(EU)の上方に配置されるようにして前記メインフレーム(18)に支持される収納ボックス(18)と、該収納ボックス(18)の後方かつ前記エンジンユニット(EU)の後方斜め上方に配置されて前記車体フレーム(F)に支持される燃料タンク(19)と、該燃料タンク(19)の上方に配置される乗車用シート(20)と、前記前輪(WF)および後輪(WR)の少なくとも一方に配設されるディスクブレーキ(BF,BR)に供給される液圧を制御して制動時にロック状態に陥ることを防止するためのアンチロックブレーキ制御ユニット(37)とを備える鞍乗り型車両において、左右一対の前記メインフレーム(18)の後部から後上がりに延びて前記燃料タンク(19)の前部を跨ぐシート支持フレーム(77)が、その上端部で前記乗車用シート(20)の前部を支持するようにして左右一対の前記メインフレーム(18)間に設けられ、前記アンチロックブレーキ制御ユニット(37)が前記シート支持フレーム(77)で上方から覆われるようにして前記エンジンユニット(EU)の上方に配置されることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
液圧発生手段(38,39)が発生する液圧を調圧する液圧モジュレータ(40)と、該液圧モジュレータ(40)からの液圧をさらに制御するようにして前記液圧モジュレータ(40)の下部前方に配置される第1液圧制御手段(41)と、前記液圧モジュレータ(40)および第1液圧制御手段(41)間を結ぶとともに少なくとも第1液圧制御手段(41)側の部分では側面視で前下がりに傾斜する第1液圧管路(42)とを備える前記アンチロックブレーキ制御ユニット(37)が、側面視で前記エンジンユニット(EU)、前記収納ボックス(18)および前記燃料タンク(19)によって囲まれる領域(A)に配置されて前記車体フレーム(F)に支持されることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記アンチロックブレーキ制御ユニット(37)が、前記液圧モジュレータ(40)に一端が接続される第2液圧管路(44)と、前記液圧モジュレータ(40)からの液圧をさらに制御するようにして第2液圧管路(44)の他端に接続されるとともに前記液圧モジュレータ(40)の左右いずれか一方の側方に配置される第2液圧制御手段(43)とを前記液圧モジュレータ(40)、第1液圧管路(42)および第1液圧制御手段(41)に加えてさらに備え、前記アンチロックブレーキ制御ユニット(37)と、前記液圧モジュレータ(40)を支持するようにして前記車体フレーム(F)に固定されるモジュレータステー(90)とが左右一対の前記メインフレーム(13)間に配置され、前記モジュレータステー(90)に前記液圧モジュレータ(40)とともに第2液圧制御手段(43)が共締めされることを特徴とする請求項2記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記モジュレータステー(90)の左右両側部のうち第2液圧制御手段(43)が配置される側とは反対側の側部に、ハーネス(120,121)を保持するハーネス保持部材(118,119)が平面視で前記両メインフレーム(13)間に配置されるようにして取付けられることを特徴とする請求項3記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記収納ボックス(18)の前側下部に、前記アンチロックブレーキ制御ユニット(37)の前方で下方に向けて突出する突部(18a)が一体に設けられ、該突部(18a)内に小物入れ(128)が形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記アンチロックブレーキ制御ユニット(37)および前記燃料タンク(19)間に、前記アンチロックブレーキ制御ユニット(37)の作動を制御するECUを収納したECUボックス(130)が固定配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記液圧モジュレータ(40)が、モジュレータ本体(88)と、カプラ(89a)を一体に有して前記モジュレータ本体(88)に取付けられるカバー(89)とを備え、前記モジュレータステー(90)に、左右一対の側壁部(90b,90c)が前記モジュレータ本体(88)を相互間に挟むようにして設けられ、前記カプラ(89a)が、左右一対の前記側壁部(90b,90c)の一方(90c)および前記モジュレータ本体(88)間に配置されることを特徴とする請求項4記載の鞍乗り型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−171549(P2012−171549A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37437(P2011−37437)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】