説明

韓国型イシダイイリドウイルスの遺伝子及びそれを利用したワクチン

本発明は、韓国型イシダイイリドウイルスの免疫原性を有する蛋白質をコードする遺伝子、該遺伝子によりコードされる蛋白質、該蛋白質から由来した合成ペプチド、該遺伝子を含む組み換え発現ベクター、該組み換えベクターを含む形質転換体、該形質転換体を不活性化させて製造した不活性化ワクチン及び該ワクチンを利用して魚類を免疫させる方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイ類に感染して集団斃死を誘発するイシダイイリドウイルス(Rock Bream IridoVirus;以下、RBIV)であって、韓国型分離株であるRBIV−KOR−TY1から分離された遺伝子、前記遺伝子を含む組み換え発現ベクター、前記発現ベクターを含む形質転換体、前記形質転換体で製造された不活性化ワクチン等に関する。
【背景技術】
【0002】
タイ類は、高級魚種の1つであって、その需要が多くて、日本、韓国、中国などを含むアジア諸国で養殖されている。日本及び韓国の場合、刺身に対する嗜好度が高くて、養殖魚類の消費が増加しつつあり、養殖業は、国家の経済にも大きく寄与し、特に、排他的な保護水域が増えて行くにつれ、その重要性はますます大きくなっている。特に、韓国は、三面が海で囲まれており、東海岸、南海岸、西海岸、済州島一帯は、魚類の養殖に適した水質及び水温を保っており、疾病などの管理が徹底的に行われれば、タイ類の養殖業が発展する可能性は非常に高い。しかし、タイ類の養殖において、ウイルス性の疾病による集団斃死が大きな問題となってきた。
毎年、イリドウイルスの感染によるウイルス性疾病が発生することによって、数千万尾のタイ類が斃死し、また、前記のようなウイルス性疾病が一度発生すれば、治療が非常に難しいだけでなく、経済的な損失が大きく、漁村地域の養殖漁家に莫大な経済的な打撃を与えて、魚族資源の確保にも悪影響を及ぼしている。
イリドウイルスには、イリドウイルス属(genus Iridovirus)、クロルイリドウイルス属(genus Chloriridovirus)、ラナウイルス属(genus Ranavirus)及びリムフォキスティウイルス属(genus Lymphocystivirus)などの4種類の属が存在し、魚類に感染するイリドウイルスは、ラナウイルス属及びリムフォキスティウイルス属がある。このうち、魚類の大量斃死を誘発するイリドウイルスは、ラナウイルス属のイリドウイルスである。
タイ類、スズキ、ヒラメ及びブリなどの腎臓、脾臓、神経細胞または魚類免疫関連の細胞を感染させて、それらの感染魚類の大量斃死を誘発するイリドウイルスは、1997年までは韓国で発生しなかった疾病であるが、1998年の夏期に、南海岸の閉じ込め養殖場のイシダイの大量斃死が発生し始めて(Sohn et al.J.Fish Path,13(2):121〜127,2000)、現在まで養殖漁民に相当の経済的な被害を与えている。
魚類イリドウイルスワクチンの開発は、イリドウイルスに感染された魚類の組織を磨砕及び濾過して、GF(Grant Fin)細胞に接種した後、培養されたウイルスをホルマリンで不活性化させて使用する場合(Nakajima et,al.,DAO,36(1):73〜75,1999)以外には、遺伝子を利用したイリドウイルスワクチンの開発についての報告がいまだにないと確認された。
これにより、本発明者らは、イリドウイルスに対する予防ワクチンの製造のために有効に利用され得る遺伝子及び蛋白質を発見し、前記遺伝子を含む組み換えベクター、及び前記組み換えベクターで形質転換された形質転換体を製造し、これを不活性化させて組み換え不活性化ワクチンを製造することによって本発明を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、既存の魚類イリドウイルスの不活性化ワクチンの短所である高いウイルス不活性化ワクチンの製造コスト及び、ウイルス継代によるウイルス濃度の減少によるワクチン製造用のイリドウイルス感染魚類組織の確保という問題を解決し、韓国型RBIV分離株であるRBIV−KOR−TY1をはじめとする、RBIVに対する免疫反応の誘発能力に優れたRBIVに対する予防ワクチンを提供することを目的とする。
また、本発明は、前記のようなRBIVに対する予防ワクチンの製造のために利用されうるイリドウイルスの遺伝子及び蛋白質、前記蛋白質から由来したペプチド、前記遺伝子を含む組み換えベクター、前記組み換えベクターで形質転換された形質転換体及びそれから製造されたワクチンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、イリドウイルスの免疫原性蛋白質をコードして、イリドウイルスに対する予防ワクチンの製造のために利用され得る韓国型イシダイイリドウイルスであるRBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子を提供する。
また、本発明は、本発明のRBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子のそれぞれによりコードされる免疫原性蛋白質ORF A、B、C、D、E、F及びG蛋白質を提供する。
また、本発明は、本発明のRBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子をクローニングするために利用されるプライマ対を提供する。
また、本発明は、本発明のRBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子を増幅させて得る方法を提供する。
また、本発明は、RBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子のそれぞれを含む組み換え発現ベクターを提供する。
また、本発明は、前記RBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子のそれぞれを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。
また、本発明は、前記形質転換された宿主細胞から、RBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子によりそれぞれコードされる組み換え蛋白質A、B、C、D、E、F及びGを生産する方法を提供する。さらに具体的に、本発明は、前記形質転換された宿主細胞から前記組み換え蛋白質A、B、C、D、E、F、及びGを生産するに当たって、発現誘導剤の濃度及び処理時間などを最適化することによって前記組み換え蛋白質を量産する方法を提供する。
また、本発明は、前記形質転換された宿主細胞から生産された組み換え蛋白質ORF A、B、C、D、E、F、及びGを提供する。
また、本発明は、前述した本発明の形質転換された宿主細胞を不活性化させて、不活性化ワクチンを製造する方法、及びこれにより製造された不活性化ワクチンを提供する。
また、本発明は、前記の形質転換された宿主細胞を不活性化させて製造した、不活性化ワクチンを利用して魚類を免疫させる方法を提供する。
また、本発明は、前記の本発明の不活性化ワクチンを含むキットを提供する。
また、本発明は、イリドウイルスに対する予防ワクチンの製造のために利用され得るポリペプチドの断片を提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、は、RBIVに対するワクチンの製造に利用され得るRBIV−KOR−TY1の免疫原性蛋白質をコードする遺伝子、これによってコードされる免疫原性蛋白質、これから由来したペプチド、前記遺伝子を含む組み換えベクター、前記組み換えベクターを含む形質転換体、前記形質転換体を利用して製造された不活性化ワクチンを提供することによって、イリドウイルスに対するワクチンの効果が優秀であり、かつ安価なイリドウイルスワクチンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、添付した図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
本発明の第1態様によって、本発明は、イリドウイルスの免疫原性蛋白質をコードして、イリドウイルスに対する予防ワクチンの製造のために利用され得る韓国型RBIVであるRBIV−KOR−TY1から分離したRBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子、及びそれらの配列相同体を提供する。
本発明者らは、韓国型RBIVであるRBIV−KOR−TY1の場合、ウイルスを構成する蛋白質数が118個以上であり、ゲノムDNAのサイズが112,080bpであって、現在まで報告された魚類イリドウイルスとは異なるということが確認され、前記ゲノムDNAの配列を決定し、これを、コンピュータプログラムを利用して分析して、118個の可能なORFを確認した。そして、これらのORFから推論されたアミノ酸配列を、BLASTプログラムを利用してGenBankのデータベースと比較・分析した結果、機能が公知の蛋白質と高い相同性を有する29個のORF及び、公知の配列と相同性を有していない31個のORFを確認した(Do et,al.Virology,325:351〜363,2004:参考として全体が本願に統合される)。これらのの塩基配列の情報は、アクセッション番号第AY532606号としてNCBIのGenBankに登録された。
前記のようなRBIV−KOR−TY1のゲノムDNAの配列及びORF情報に基づいて、本発明者らは、イリドウイルスの免疫原性蛋白質をコードして、イリドウイルスに対するワクチンの製造に有効なイリドウイルスの遺伝子を発見するために、RBIV−KOR−TY1の118個のORFのうち、第一に、ウイルスの外側に存在して、魚類の免疫反応を誘導する可能性の高い構造蛋白質、第二に、細胞の表面に発現される蛋白質であって、ウイルスが増殖して生きている細胞と隣接する正常細胞とを堅く結合させる役割を行う蛋白質、第三に、ウイルスが感染された細胞でイリドウイルス蛋白質が合成されるとき、宿主細胞の外膜に存在する可能性の高いイリドウイルス蛋白質の遺伝子を発見することにした。
このために、前記118個のORFの塩基配列をアミノ酸配列に転写して、現在まで米国生物学情報センター(NCBI)のGenBankに登録されたアミノ酸配列と比較・分析して、前記の3つの条件を満足する7個の遺伝子を選別して、ORF A、B、C、D、E、F及びGと命名し、これらを本発明のイリドウイルスに対するワクチンの製造のために利用した。
前記のような分析を通じて選別された本発明のRBIV−KOR−TY1のORF A遺伝子は、配列目録の配列番号1の塩基配列を有し、ORF B遺伝子は、配列番号2の塩基配列を有し、ORF C遺伝子は、配列番号3の塩基配列を有し、ORF D遺伝子は、配列番号4の塩基配列を有し、ORF E遺伝子は、配列番号5の塩基配列を有し、ORF F遺伝子は、配列番号6の塩基配列を有し、ORF G遺伝子は、配列番号7の塩基配列を有する。
一方、前記配列番号1、2、3、4、5、6または7の塩基配列で1以上の塩基置換、欠失、挿入及び/または付加されるか、または前記配列番号1、2、3、4、5、6または7の塩基配列と厳しいハイブリッド化の条件下でハイブリッド化する、前記配列番号1、2、3、4、5、6、または7の塩基配列と70%以上の配列相同性を有する配列相同体も本発明に含まれる。
ハイブリッド化のための条件は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology Vol.1(John Wiley and Sons,Inc.)やMolecular Cloning 2nd.Ed.(Sambrookら(1989))に開示されており、例えば、5×SSC,5×Denhardt’s溶液、1%のSDS,25℃〜68℃で数時間ないし一夜などの条件を利用できる。このとき、混成化温度は、さらに好ましくは、45℃〜68℃(ホルムアミドなし)、または30℃〜42℃(50%のホルムアミド)が利用され、洗浄条件は、0.2×SSC、46℃〜68℃を利用できる。
当業者であれば塩の濃度及び温度などの混成化条件を調節して、本発明のORF AないしG遺伝子の塩基配列に対して、一定%以上の配列相同性を有するDNAの 塩基配列を得ることができ、このようにして得られた配列相同体は、本発明の範囲に含まれる。
すなわち、本発明は、前記配列番号1、2、3、4、5、6、または7の塩基配列に対して70%以上、好ましくは、80%以上、さらに好ましくは、90%以上、さらに好ましくは、95%以上の配列相同性を有するRBIV−KOR−TY1のORF AないしG遺伝子の配列相同体を含む。
本発明の第2態様によって、本発明は、本発明のRBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子によってそれぞれコードされるイリドウイルスの免疫原性蛋白質であるORF A、B、C、D、E、F及びG蛋白質及びこれらの配列相同体を提供する。
本発明のORF A遺伝子によりコードされるORF A蛋白質は、378個のアミノ酸からなり、推定分子量は、40,731.48Daであり、配列番号8のアミノ酸配列を有する。GenBankの公知の配列データベースとの配列相同性を比較した結果、マンダリンフィッシュから由来したイリドウイルスであるISKNVのアミノ酸輸送子蛋白質と95%以上のアミノ酸配列の相同性を有して、アミノ酸輸送子の機能を行うと推定される。
ORF B遺伝子によりコードされるORF B蛋白質は、453個のアミノ酸からなり、推定分子量は、49,476.79Daであり、配列番号9のアミノ酸配列を有する。GenBankの公知の配列データベースとの配列相同性を比較した結果、RSIV(Red Sea Bream Iridovirus)の主要カプシド蛋白質と99%のアミノ酸配列の相同性を有して、主要カプシド蛋白質と推定される。
ORF C遺伝子によりコードされるORF C蛋白質は、515個のアミノ酸からなり、推定分子量は、57,026.96Daであり、配列番号10のアミノ酸配列を有する。GenBankの公知の配列データベースとの配列相同性を比較した結果、ISKNVの配列と85%以上の配列相同性を有して、IgM重鎖蛋白質と推定される。
ORF D遺伝子によりコードされるORF D蛋白質は、805個のアミノ酸からなり、推定分子量は、87,332Daであり、配列番号11のアミノ酸配列を有する。GenBankの公知の配列データベースとの配列相同性を比較した結果、RSIVのラミニン結合蛋白質の配列と90%以上の配列相同性を有して、ラミニン結合蛋白質と推定される。
ORF E遺伝子によりコードされるORF E蛋白質は、275個のアミノ酸からなり、推定分子量は、30,338.74Daであり、配列番号12のアミノ酸配列を有する。GenBankの公知の配列データベースとの配列相同性を比較した結果、70%以上の高い配列相同性を有する配列が発見されず、蛋白質の機能性モチーフの検索結果、ミリスチル化された膜蛋白質と推定される。
ORF F遺伝子によりコードされるORF F蛋白質は、258個のアミノ酸からなり、推定分子量は、29,272.70Daであり、配列番号13のアミノ酸配列を有する。GenBankの公知の配列データベースとの配列相同性を比較した結果、相同性を有する配列が発見されなかった。
ORF G遺伝子によりコードされるORF G蛋白質は、454個のアミノ酸からなり、推定分子量は、49,973.56Daであり、配列番号14のアミノ酸配列を有する。GenBankの公知の配列データベースとの配列相同性を比較した結果、ISKNVの配列と90%以上の配列相同性を有して、アンキリン反復配列(ANKYRIN REPEATS)と推定される。
また、本発明は、前記配列番号8ないし配列番号14のアミノ酸配列で、1以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入及び/または付加されるが、前記配列に70%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を有し、イリドウイルスの免疫原性を有する蛋白質を含む。
好ましくは、本発明は、前記配列番号8ないし配列番号14のアミノ酸配列に70%以上、より好ましくは、80%以上、さらに好ましくは、90%以上、さらに好ましくは、95%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を有し、イリドウイルスの免疫原性を有する蛋白質を含む。
本発明の第3態様によって、本発明は、本発明のRBIV−KOR−TY1のORF AないしGDNAを得るために、これらの遺伝子をRBIV−KOR−TY1のゲノムDNAから、PCR(重合酵素の連鎖反応)により増幅させるために利用されるプライマ対を提供する。
前述したように、本発明者らは、イリドウイルスに対するワクチンの製造に利用され得るものとして選択されたRBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子をゲノムDNAから増幅させるために、各遺伝子のためのプライマ対を考案した。
前記プライマ対は、増幅されたORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子をクローニングさせる発現ベクター内の制限酵素の部位を考慮して、両末端で適切な制限酵素の部位を有するように考案される。
本発明の好ましいプライマ対は、本発明で利用される好ましい発現ベクターpET28a(Novagen、米国)内の制限酵素の部位を考慮して、順方向プライマは、Nhe Iの切断部位を有するように、そして、逆方向プライマは、Hind IIIの切断部位を有するように考案される。
しかし、本発明のプライマ対は、前記の切断部位以外に、ベクターpET28a内に存在する他の制限酵素の部位に相応する切断部位を有するように考案され、このようなプライマ対も本発明に含まれる。
また、本発明の前記ORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子は、pET28a以外の後述するような多様な発現ベクター内へクローニングされ得るので、このような多様なベクター内の制限酵素の切断部位に相応する多様な切断部位を有するように考案され、このようなプライマ対も本発明に含まれる。
ORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子のそれぞれのための好ましいプライマ対の塩基配列は、次の通りである:
ORF A:順方向プライマ−5’ GCT AGC ATG GCA CCG TGT GTA CTA CAG TGT 3’(配列番号15)
逆方向プライマ−5’ AAG CTT TTA ATA CCC CTG TAA TTG TAT TTT 3’(配列番号16)
ORF B:順方向プライマ−5’ GCT AGC ATG TCT GCA ATC TCA GGT G 3’(配列番号17)
逆方向プライマ−5’ AAG CTT TTA CAG GAT AGG GAA GCC TGC 3’(配列番号18)
ORF C:順方向プライマ−5’ GCT AGC TAC CGT GGG TAA GGC AGG TAA 3’(配列番号19)
逆方向プライマ−5’ AAG CTT AGC TCA TCT ACG GCT ACT ATG 3’(配列番号20)
ORF D:順方向プライマ−5’ GCT AGC TCA CCC ACG GTG TCA CCA CCA CCA 3’(配列番号21)
逆方向プライマ−5’ AAG CTT TAC TCG TTA CCG TTG GGA CGA 3’(配列番号22)
ORF E:順方向プライマ−5’ GCT AGC ATG AGT GCA ATA AAG GCA TGA TA 3’(配列番号23)
逆方向プライマ−5’ AAG CTT GCC TTT GCA GAA TAC CTA TGT GAA 3’(配列番号24)
ORF F:順方向プライマ−5’ GCT AGC TAC TAC CGG GAA GTC AAC ATA 3’(配列番号25)
逆方向プライマ−5’ AAG CTT CTG TAG GAT CCG TTT TAT CTG 3’(配列番号26)
ORF G:順方向プライマ−5’ GCT AGC ATG CAT GTA CAT GTG TCT GTT 3’(配列番号27)
逆方向プライマ−5’ AAG CTT CTA CGT CTT ATC AGC TCA TCG 3’(配列番号28)
また、前記の各遺伝子のためのプライマ対の配列またはその一部を含み、ORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子のPCR増幅に利用され得るプライマ対も本発明に含まれる。
本発明のプライマは、オリゴヌクレオチド合成器により合成して利用でき、このようなオリゴヌクレオチドの合成方法などは、当業界に公知されて利用されており、例えば、Current Protocols in Molecular Biology Vol.1(John Wiley and Sons,Inc.)やSambrook,Jら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual(2nd ed.)、Cold Spring Harbor Laboratory、1.53(1989)のような文献に開示されている。
本発明の第4態様によって、本発明は、前記本発明のオリゴヌクレオチドプライマ対を利用して、RBIV−KOR−TY1のORF AないしG遺伝子を得る方法を提供する。
本発明の方法は、RBIV−KOR−TY1の全体ゲノムDNAを鋳型として、前記本発明のオリゴヌクレオチドプライマ対を利用してPCRを行い、RBIV−KOR−TY1のORF AないしG遺伝子のそれぞれを増幅させる工程、及び増幅された各遺伝子を分離する工程を含む。
本発明の方法に利用されるウイルスゲノムDNAの分離、PCR及び増幅された遺伝子の分離方法などは、当業界に公知されて利用されており、例えば、Sambrook,Jら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual(2nd ed.)、Cold Spring Harbor Laboratory、1.53(1989)のような文献に開示されている。
簡単に要約すると、PCRによる遺伝子の増幅は、鋳型としてウイルスの全体ゲノムDNAと適切な重合酵素及びプライマ対でPCR反応物を形成し、これをPCR反応器で変性、アニール化及び延長反応させることによって行われる。
本発明の方法で有効な重合酵素は、EX Taq重合酵素であるが、必ずしもこれに制限されるものではなく、変性、アニール化及び延長反応のための適した反応温度及び反応時間は、当業者ならば容易に決定して利用できる。好ましくは、本発明の方法の変性反応は、94℃で45秒間行われ、アニール化反応は、60℃で45秒間行われ、延長反応は、72℃で45秒間行われる。
このように増幅されたDNAを適切な制限酵素、好ましくは、Nhe I及びHind IIIで処理し、アガロースゲルで電気泳動して増幅されたDNAバンドを確認し、これからDNAを精製することによって、発現ベクターにクローニングされる各遺伝子が得られる。
このような本発明の方法により得られたRBIV−KOR−TY1のORF AないしG遺伝子は、組み換えORF AないしG蛋白質の生成に利用される組み換え発現ベクターの製造に利用され得る。
本発明の第5態様によって、本発明は、RBIV−KOR−TY1のORF AないしG遺伝子のそれぞれを含む組み換え発現ベクターを提供する。
本発明のRBIV−KOR−TY1のORF AないしG遺伝子を挿入して組み換え発現ベクターを製造するためのベクターは、遺伝子の配列がベクター内に挿入された後、このベクターが宿主内に感染して、宿主細胞内で所望の遺伝子を発現し、所望の蛋白質を生産できる発現用ベクターであれば、何れも利用できる。このような発現ベクターは、1以上の選択性マーカー、プロモータ配列などを含み、発現ベクターの例としては、pET28c、pGEX−4T−1、pET28aなどがあるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、このうち、原核細胞用の発現ベクターが本発明に好ましく、pET28a(Novagen、 米国)が特に好ましい。
プラスミドなどのベクターに本発明のRBIV−KOR−TY1のORF AないしG遺伝子のそれぞれを挿入する方法は、例えば、Sambrook,Jら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual(2nd ed.)、Cold Spring Harbor Laboratory,1.53(1989)に記載されている。
本発明で利用された組み換え発現ベクターの製造を簡単に要約すると、RBIV−KOR−TY1のORF AないしG遺伝子のそれぞれを、前記の本発明のオリゴヌクレオチドプライマ対を利用してPCRにより増幅させた後、それらの遺伝子及び発現ベクターを同じ制限酵素で分解処理し、前記遺伝子のそれぞれを適切なリガーゼ、例えば、T4 DNAリガーゼを利用して発現ベクターにライゲーション(ligation)させることによって、ORF AないしG遺伝子のそれぞれのための組み換え発現ベクターAないしGを製造する。
本発明の組み換え発現ベクターの一例として、ORF B遺伝子を含むベクターpET28a/RBIV−KOR−TY1−Bが図1に示されている。
このように製造された組み換え発現ベクターAないしGを、宿主細胞の形質転換に利用できる。
本発明の第6態様によって、本発明は、RBIV−KOR−TY1のORF AないしG遺伝子のそれぞれを含む組み換え発現ベクターAないしGで形質転換された宿主細胞AないしGを提供する。
本発明に利用され得る宿主細胞としては、本発明の組み換え発現ベクターに適しており、形質転換され得る細胞であれば可能であり、当業界で一般的に使用されるE.coli菌株などが利用され得るが、必ずしもこれに限定されるものではない。好ましくは、E.coli(M15、JM109、BL 21等)が宿主細胞として本発明に利用される。
本発明の組み換えベクターAないしGを宿主細胞に導入する方法は、例えば、燐酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、PEGなどの化学的処理による方法のような当業界に公知された方法を利用でき、これらの方法は、例えば、Sambrook,Jら、Molecular Cloning、A Laboratory、 Manual(2nd ed.)、Cold Spring Harbor Laboratory、1.53(1989)などの文献に開示されている。
好ましくは、燐酸カルシウム法が本発明で利用され、簡単に要約すると、宿主細胞と組み換え発現ベクターとを混合して、氷で30分間反応させた後、42℃で90秒間処理して熱衝撃を加え、次いで、氷で90秒間放置する。次いで、形質転換体を37℃で約1時間培養した後、抗生剤の入っているプレートに塗抹して培養した後、組み換え発現ベクターを含む形質転換体を選別する。
本発明の第7態様によって、本発明は、前記形質転換された宿主細胞Aないし宿主細胞Gを適切な栄養培地で培養する工程を含んで、前記形質転換された宿主細胞Aないし宿主細胞Gから本発明のRBIV−KOR−TY1の組み換え蛋白質A、B、C、D、E、F及びGを量産する方法を提供する。
形質転換された宿主細胞から組み換え蛋白質の生産は、一般的に、宿主細胞の成長に必要な炭素源などの栄養供給源を含有した栄養培地で、組み換え蛋白質の生産に適した培養条件下で形質転換された宿主細胞を培養することによって行われる。
本発明の方法において、形質転換体の培養のための栄養培地は、E.coliのような、本発明に利用された宿主細胞によって選択される。E.coliの場合、LB培地などが一般的に利用される。
本発明の方法において、形質転換体のための培養条件は、本発明の組み換え蛋白質A、B、C、D、E、F及びGが量産されるように選択されねばならないところ、本発明者らは、発現誘導剤であるIPTG(isopropylthio−β−D−galactoside)の濃度、処理時間及び抗生剤の濃度を異ならせて発現程度を調べ、本発明の組み換え蛋白質の量産のための適した培養条件を確認した。
その結果、本発明の組み換え蛋白質AないしGを量産するための形質転換された宿主細胞AないしGの適した培養条件は、形質転換体の培養物のOD600値が0.6になったとき、IPTG 0.5mMないし20mMを処理した後に4時間以上培養すると確認された。好ましくは、最適の培養条件は、IPTGの1mM〜10mMを処理した後、4〜6時間培養すると確認された。しかし、このような範囲を多少逸脱した培養条件も、本発明の組み換え蛋白質の量産を誘導すれば、本発明に利用可能であり、本発明に含まれる。
本発明の第8態様によって、本発明は、前述したような本発明の形質転換宿主細胞AないしGの培養により生産された組み換え蛋白質AないしGを提供する。
前述したように、形質転換宿主細胞を適した培養条件下で培養した後、その培養物から所望の組み換え蛋白質を分離及び精製することによって、所望の組み換え蛋白質が得られる。
形質転換細胞の培養物から組み換え蛋白質を分離及び精製する方法は、当業界では公知のものであり、簡略に説明すると、細胞培養物の遠心分離により形質転換細胞を集め、これを滅菌PBSのような適当な緩衝液に懸濁した後、超音波処理のような方法で細胞を破壊し、遠心分離して宿主細胞の内容物を得た後、親和性クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、ゲル濾過、等電点クロマトグラフィのような公知の方法により所望の蛋白質を分離及び精製できる。
前記のような分離及び精製により得られた本発明の組み換え蛋白質AないしGは、魚類を兔役させるためのワクチンの製造に利用され得る。
本発明の第9態様によって、本発明は、本発明の組み換え発現ベクターAないしGでそれぞれ形質転換されて、本発明の組み換え蛋白質AないしGをそれぞれ量産する形質転換宿主細胞AないしGを不活性化させて、不活性化ワクチンAないしGを製造する方法、及び前記方法により製造された不活性化ワクチンAないしGを提供する。また、本発明は、不活性化ワクチンAないしGのうち、少なくとも2つを含むワクチンの組み合わせを提供する。
本発明の不活性化ワクチンの製造方法は、本発明の形質転換宿主細胞AないしGを不活性化剤で処理して、宿主細胞の感染可能性を除去する工程を含む。
不活性化ワクチンの製造方法は、当業界では公知のものであり、好ましくは、本発明方法は、本発明の形質転換宿主細胞を培養して組み換え蛋白質を発現させる工程、及び前記形質転換宿主細胞の培養物を不活性化剤で処理する工程を含む。さらに好ましくは、本発明の方法は、本発明の形質転換宿主細胞を培養して組み換え蛋白質を発現させる工程、宿主細胞培養物の遠心分離により細胞ペレットを得る工程、及び前記ペレットの懸濁液に不活性化剤を処理する工程を含む。
一般的な不活性化剤としては、例えば、ホルマリン、グルタルジアルデヒド、β−プロピオンラクトンなどがあり、ワクチン原液の製造以前または製造以後に添加・混合して使用する。ホルマリンを使用する場合、その添加量は、約0.0004〜0.7%(v/v)であり、不活性化温度は、約2℃〜37℃であり、不活性化時間は、約2日〜180日である。
本発明の不活性化ワクチンの製造方法のために、前述したような任意の公知の不活性化剤を利用して、本発明の形質転換宿主細胞AないしGを処理でき、好ましくは、ホルマリンを利用する。本発明の方法において好ましいホルマリンの添加量は、0.1%〜0.7%(v/v)であり、さらに好ましくは、0.5%である。本発明の方法において好ましい不活性化剤の処理時間は、3日以上であり、さらに好ましくは、3日である。本発明の方法において好ましい不活性化処理の温度は、4℃である。
前記のような本発明の方法によって、不活性化剤で本発明の形質転換宿主細胞AないしGを処理することによって、本発明の組み換え不活性化ワクチンAないしGが得られる。
このようにして得られた本発明の組み換え不活性化ワクチンAないしGは、イシダイをはじめとする魚類を兔役させるために、単独で、または多様な組み合わせで利用され得る。
本発明で使用できる不活性化ワクチンの組み合わせは、不活性化ワクチンAないしGのうち少なくとも2つを含み、好ましくは、不活性化ワクチンBとCとの組み合わせ、不活性化ワクチンBとDとの組み合わせ、不活性化ワクチンA、B及びEの組み合わせ、及び不活性化ワクチンB、F及びGの組み合わせが挙げられ、このような組み合わせは、形質転換体により生産される組み換え蛋白質の機能を考慮して、組み換え蛋白質Bを基本とし、これに類似した機能を行う蛋白質を添加する方式で組み合わせたものであって、前記例示された4つの組み合わせ以外に、他の多様な組み合わせも本発明のワクチンの組み合わせに含まれる。さらに好ましくは、本発明の不活性化ワクチンの組み合わせは、不活性化ワクチンB、F及びGの組み合わせである。
前記のような本発明の不活性化ワクチンAないしGは、魚類を兔役させるための投与量の2倍の濃度でイシダイ稚魚に投与してその斃死率を観察した結果、イシダイ稚魚の斃死が全く発生せず、その安全性が確認された。
本発明の第10態様によって、本発明は、本発明の不活性化ワクチンAないしG、またはそれらの組み合わせを魚類に投与することを含む、魚類を免疫させる方法を提供する。
本発明の不活性化ワクチンにより兔役させ得る魚類は、タイ類、スズキ、ヒラメ及びブリなどを含み、このうちタイ類が好ましく、特に、イシダイが好ましい。
本発明の不活性化ワクチンを利用して魚類を免疫させる方法は、本発明のワクチンを、腹腔内、筋肉内、または皮下接種または浸透法、敬具投与などを利用して魚類に投与する工程を含む。好ましくは、本発明の不活性化ワクチンは、筋肉内注射により投与される。
本発明の免疫方法に利用され得る本発明の不活性化ワクチンの組み合わせは、不活性化ワクチンAないしGのうち少なくとも何れか1つを含み、好ましくは、不活性化ワクチンAないしGのうち少なくとも2つを含み、さらに好ましくは、不活性化ワクチンBとC、不活性化ワクチンBとD、不活性化ワクチンA、B及びE、または不活性化ワクチンB、F及びGを含み、最も好ましくは、不活性化ワクチンB、F及びGを含む。
本発明の不活性化ワクチンAないしGのうち少なくとも2以上を利用して魚類を免疫させる場合、前記2以上の不活性化ワクチンは、混合された後に魚類に投与されることが好ましい。
魚類を兔役させるとき、本発明の不活性化ワクチンの投与量は、組み換え蛋白質量が魚類の重量1kg当り200μgの(200μgの組み換え蛋白質/kg体重)濃度となるように、一回投与当り0.01mlないし0.5mlを投与することが好ましい。
一方、本発明の第11態様によって、本発明は、本発明の前記不活性化ワクチンを含むキットを提供する。
本発明のキットは、本発明の不活性化ワクチンAないしGのうち少なくとも何れか1つを含み、好ましくは、2以上の不活性化ワクチンを含む。好ましくは、本発明のキットは、不活性化ワクチンBとC、不活性化ワクチンBとD、不活性化ワクチンA、B、及びE、または不活性化ワクチンB、F及びGを含み、最も好ましくは、本発明のキットは、不活性化ワクチンB、F及びGを含む。
本発明のキットには、キットに含まれた不活性化ワクチンの投与についての説明書が含まれ得る。
本発明のキット内に含まれる不活性化ワクチンが2以上である場合、本発明の不活性化ワクチンAないしGは、あらかじめ混合された形態でキットに含まれてもよく、または、キット内のそれぞれの容器に個別的に含まれてもよい。不活性化ワクチンがそれぞれ別途の容器に含まれた場合、ユーザは、キット内の使用説明書によってそれぞれの不活性化ワクチンを混合して使用できる。
本発明の第12態様によって、本発明は、本発明のORF AないしG蛋白質のアミノ酸配列の一部を有し、イリドウイルスの免疫原性を有するペプチドを提供する。
本発明のペプチドは、本発明のRBIV−KOR−TY1のORF AないしD、F及びG遺伝子によりコードされる6個のアミノ酸配列を分析して、第一に、抗原性が高く、第二に、表面に露出されており、第三に、親水性などの3つを満足させる部分を選別することによって得られた。
本発明のペプチドは、天然または合成であってもよく、合成ペプチドは、ペプチド合成器などを利用して合成できる。
本発明によって、本発明の各ORF蛋白質のために選択されたペプチド配列は、次の通りである:
ORF A:AWPLFDDRMRVDQCRBI(配列番号29)
ORF B:TLQSHKQLYSDYRTEC(配列番号30)
APPDRDDDRWTVPTGCRBIV(配列番号31)
ORF C:PTEPEPEEPEEEEDEC(配列番号32)
TEPEPEEPEEEEDEYC(配列番号33)
ORF D:QVDRSGAKVPSEAPC(配列番号34)
CAMRSRDPLYDKVK(配列番号35)
ORF F:YARARGSTHIRRQKVCRBIV(配列番号36)
ORF G:CSPETRNSNFKHSVTY(配列番号37)
DMSHITKEMALNTKQHTCRBIV(配列番号38)
このような本発明のペプチドは、優れた免疫原性を有して、イリドウイルスに対するワクチンの製造に有効に利用され得る。
以下で、実施例を参考にして、本発明をさらに詳細に説明し、下記の実施例は、単に例示の目的として開示されるものであり、本発明の範囲を制限しようとするものではない。
【実施例】
【0007】
実施例1: RBIV−TYのゲノムDNA配列の決定及び配列の分析
1)ウイルスDNAの分離
本発明に利用されたウイルスサンプルは、韓国の慶尚南道の統營で養殖されたイシダイから得られた。GF細胞を10%のウシ胎仔血清、100IU/mlのペニシリン、及び100μg/mlのストレプトマイシンで補充されたBME(Basal Medium Eagle)培地で成長させた。GF細胞の感染によりウイルスストックを増幅させた。細胞変性効果を表す感染された細胞を収集して、−20℃で凍結させた。凍結された細胞を解凍させ、4℃で10分間3500xgで遠心分離して細胞カスを除去し、無細胞上澄液を4℃で30分間30000xgで遠心分離した。ウイルス沈殿物をTNE緩衝液(0.01M Tris−HCl、pH8.0,0.1MのNaCl、0.001MのEDTA)で懸濁させ、DNase I及びRNase Aで37℃で15分間恒温処理した。前記ウイルスをSW40 Tiローター(Beckman)で4℃で2時間、60000xgで20〜50%(w/w)のスクロース勾配で遠心分離して精製した。ウイルスバンドを除去してPBS緩衝液で希釈し、ビリオンペレットを4℃で60000xgで1時間遠心分離した後に収集した。ビリオンを0.5mg/mlのプロテイナーゼK及び0.5%のSDSで、55℃で3時間恒温処理してウイルスDNAを抽出した。前記DNAをフェノールクロロホルムで抽出し、エタノール沈殿させた(Molecular Cloning 2nd.Ed.(Sambrookら(1989))。
2)ウイルスDNAのPCR増幅及びDNA配列の決定
RBIV−KOR−TY1の全体ゲノムDNAを増幅させるために、PCRを実施した。PCRのためのプライマは、ISKNVのGenBank/EMBLデータベースのヌクレオヌクレオチド配列から考案した。重複される120個以上のPCRプライマ対を考案して、平均PCR生成物を1000ないし1200bpの長さにした。鋳型は、RBIV−KOR−TY1のゲノムDNAであった。遺伝子増幅反応の条件は、次の通りであった:94℃で5分間1サイクル;92℃で30秒、60℃で1分、及び72℃で1分間35サイクル;及び72℃で5分間1サイクル。PCRプライマ対によって、アニール化の温度には少しずつの変化があった。増幅されたPCR生成物をpGEM−Tベクター(Promega)にクローニングし、自動配列分析器(Applied Biosystems,Inc.,米国)で配列を決定した。
3)DNAの配列分析
前記で得られたゲノムDNA配列及びこれから推論されたアミノ酸配列を、BLASTプログラムを利用してGenBank/EMBLデータベースと比較した。CLUSTALW(Thompson et al.,Nucleic Aicds Res.22,4673〜4680,1994)を利用して配列し、次いで、TreeView(Page,R.D.,Comput.Appl.Biosci.12,357〜358,1996)で系統図を構成した。ORFは、メチオニンコドンから始まって、50個以上のコドンから構成され、さらに大きなORF内に位置しないことを基準として同定した。その結果、118個のORFが同定され、そのうち29個は、公知の配列と高い相同性を有し、31個は、相同性を有する配列を確認することができなかった(Doet,al.Virology,325:351〜363,2004;参考として全体が本願に統合される)。これから得られたヌクレオヌクレオチド配列データは、アクセッション番号AY532606としてGenBankに登録された。
【0008】
実施例2:RBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F、及びG遺伝子の選別
実施例1でRBIV−KOR−TY1のゲノム配列の分析結果から得たORFデータに基づいて、ORF分析プログラム(DNAsisMAX、Hitachi、日本)を利用して、118個のORFのうち、ワクチン製造に利用可能な7個の遺伝子を選別して、ORF A、B、C、D、E、F及びGと命名した。
前記のような分析により選別された本発明の前記ORF A遺伝子は、配列番号1の塩基配列(1,137個の塩基対)を有し、ORF B遺伝子は、配列番号2の塩基配列(1,362個の塩基対)を有し、ORF C遺伝子は、配列番号3の塩基配列(1,548個の塩基対)を有し、ORF D遺伝子は、配列番号4の塩基配列(2,418個の塩基対)を有し、ORF E遺伝子は、配列番号5の塩基配列(828個の塩基対)を有し、ORF F遺伝子は、配列番号6の塩基配列(777個の塩基対)を有し、ORF G遺伝子は、配列番号7の塩基配列(1,365個の塩基対)を有する。
【0009】
実施例3:RBIV−KOR−TY1のゲノムDNAの分離
実施例2で選択されたORF AないしG遺伝子を増幅させるために、RBIV−KOR−TY1のゲノムDNAを次の通りに分離した。
RBIV−KOR−TY1に感染したイシダイを収集して解剖した後、脾臓、腎臓及び脳を摘出して、ウシ胎仔血清が添加されていないEMEM(Eagle’s minimum essential medium)培地を摘出組織総重量の10倍にして添加して、組織磨砕器で磨砕した後、Antibiotic−Antimycotic(Invitrogen corporation)を1Xにして添加して、4℃で10時間放置した後、穴のサイズが0.22μmである滅菌された濾過フィルタを利用して、組織磨砕液を無菌的に濾過した。
濾過液をGF細胞に1/500に希釈して添加し、25℃で5日間培養して、RBIV−KOR−TY1培養液及びウイルスに感染されたGF細胞で、RBIV−KOR−TY1ゲノムDNAを、High Pure Genome DNA PCR Preparation Kit(Roche、ドイツ)を利用して分離した。また、RBIV−KOR−TY1に感染したイシダイの脾臓、腎臓、脳組織で、前記のゲノムDNA分離キットを利用してRBIV−KOR−TY1のゲノムDNAを分離した。
【0010】
実施例4:RBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子の増幅
選別されたRBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子を増幅させるために、ORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子に対するPCRプライマを製作した。
まず、ORF A遺伝子を増幅するために、Nhe Iの切断部位を有する順方向プライマ−5’ GCT AGC ATG GCA CCG TGT GTA CTA CAG TGT 3’(配列番号15)とHind IIIの切断部位を有する逆方向プライマ−5’ AAG CTT TTA ATA CCC CTG TAA TTG TAT TTT 3’(配列番号16)とを合成して、PCR反応のために使用した。
次いで、実施例3で分離したRBIV−KOR−TY1のゲノムDNAに0.5UのEX Taq−重合酵素(Takara、日本)、及び10pmoleの前記プライマ(配列番号15+配列番号16)対を添加し、高速熱純化器(Fast Thermal Cycler;MJreacher、米国)を使用して94℃で45秒、60℃で45秒、72℃で45秒の順にDNA増幅を30回行った。
前記のように増幅されたDNA生成物を制限酵素Nhe I及びHind IIIで処理して、ゲル電気泳動させた後にDNAを分離することによって、次の工程でベクターへのクローニングに利用されるRBIV−KOR−TY1のORF A遺伝子を得た。
RBIV−KOR−TY1のORF B、C、D、E、F及びG遺伝子も、下記のようなPCRプライマ対をそれぞれ利用して、前記と同じ実験過程によって増幅させて各遺伝子を得た。各遺伝子のために利用されたプライマ対の塩基配列は、次の通りである:
ORF B:順方向プライマ−5’ GCT AGC ATG TCT GCA ATC TCA GGT G 3’(配列番号17)
逆方向プライマ−5’ AAG CTT TTA CAG GATAGG GAA GCC TGC 3’(配列番号18)
ORF C:順方向プライマ−5’ GCT AGC TAC CGT GGGTAA GGC AGG TAA 3’(配列番号19)
逆方向プライマ−5’ AAG CTT AGC TCA TCTACG GCT ACT ATG 3’(配列番号20)
ORF D:順方向プライマ−5’ GCT AGC TCA CCC ACGGTG TCA CCA CCA CCA 3’(配列番号21)
逆方向プライマ−5’ AAG CTT TAC TCG TTACCG TTG GGA CGA 3’(配列番号22)
ORF E:順方向プライマ−5’ GCT AGC ATG AGT GCAATA AAG GCA TGA TA 3’(配列番号23)
逆方向プライマ−5’ AAG CTT GCC TTT GCAGAA TAC CTA TGT GAA 3’(配列番号24)
ORF F:順方向プライマ−5’ GCT AGC TAC TAC CGGGAA GTC AAC ATA 3’(配列番号25)
逆方向プライマ−5’ AAG CTT CTG TAG GATCCG TTT TAT CTG 3’(配列番号26)
ORF G:順方向プライマ−5’ GCT AGC ATG CAT GTACAT GTG TCT GTT 3’(配列番号27)
逆方向プライマ−5’ AAG CTT CTA CGT CTTATC AGC TCA TCG 3’(配列番号28)
【0011】
実施例5:RBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子を含む組み換え発現ベクターの製作
前記実施例4でPCR結果から得られたRBIV−KOR−TY1のORF AないしG遺伝子を、それぞれ原核細胞発現用ベクターであるpET28a(Novagen、米国)にクローニングして組み換え発現ベクターを製造した。製造過程は、次の通りである。
まず、前記実施例4で増幅されたPCR産物を制限酵素Nhe I−Hind IIIで切断して、各遺伝子生成物を得た。また、本発明の各遺伝子をクローニングする発現ベクターを準備するために、pET28aベクターをE.coli JM109コンピテント(competent)細胞で形質転換した後、カナマイシン50μg/mlが添加されたLBブロスに接種して37℃で培養した後、プラスミドを大量で抽出した。抽出したプラスミド1mgにNhe I制限酵素(invitrogen、米国)及び反応緩衝溶液(50mMのTris−HCl(pH7.4)、5mMのMgCl2、50mMのKCl)を添加して、37℃で1時間反応させてプラスミドを切断した。次いで、Nhe Iで切断したpET28aベクターにHind III制限酵素及び反応緩衝溶液(50mMのTris−HCl(pH8.0)、10mMのMgCl2、50mMのNaCl)を添加して、37℃で1時間反応させてプラスミドを切断した。次いで、制限酵素Nhe I及びHind IIIで切断されたpET28aベクターと各遺伝子とを1:1の割合で混合した後、T4 DNAリガーゼ(Invitrogen、米国)1unit及び反応緩衝溶液(66mMのTris−HCl(pH7.6)、6.6mMのMgCl2、10mMのDTT、66μMのATP)を添加して、37℃で30分間反応させて、遺伝子をベクターのNhe I−Hind IIIの位置に挿入することによって、組み換え発現ベクターを製造した。
このようにして得られたRBIV−KOR−TY1のORF AないしG遺伝子のそれぞれが挿入された組み換え発現ベクターAないしGを、T7プロモータープライマを利用して自動塩基配列読取器(Appllied Biosystemics、米国)により、挿入されたRBIV−KOR−TY1のORF AないしG遺伝子が良好にクローニングされたことが確認することができた。
本実施例により得られた組み換え発現ベクターの一例として、RBIV−KOR−TY1のORF B遺伝子を含有した組み換え発現ベクターpET28a/RBIV−KOR−TY1−Bが図1に示されている。
組み換え発現ベクターpET28a/RBIV−KOR−TY1−A、pET28a/RBIV−KOR−TY1−C、pET28a/RBIV−KOR−TY1−D、pET28a/RBIV−KOR−TY1−E、pET28a/RBIV−KOR−TY1−F及びpET28a/RBIV−KOR−TY1−Gは、図1のpET28a/RBIV−KOR−TY1−BでORF B遺伝子の部分がそれぞれORF A、C、D、E、F、及びG遺伝子に置換される。
【0012】
実施例6:組み換え発現ベクターによる宿主細胞の形質転換
実施例5で製作された組み換え発現ベクターを、E.coli JM109(TAKARA、日本)と混ぜて氷(4℃)で30分間反応させた後、42℃で1分30秒間反応させて再び氷(4℃)で1分30秒間放置した。
その結果から得られた組み換え発現ベクターで形質転換されたE.coliを安定化させるために、800μlのSOC培地(2%のトリプトン、0.5%の酵母抽出物、0.05%のNaCl)を入れて37℃で1時間反応させた。
安定化された形質転換体を50μg/mlのカナマイシンが添加されたLBプレートに100μlを分注して広げた後、37℃で15時間培養して、各遺伝子に対する形質転換体を30個ずつ選別した。
【0013】
実施例7:RBIV−KOR−TY1の組み換え蛋白質A、B、C、D、E、F及びG蛋白質の発現
実施例6で得た形質転換された宿主細胞でクローニングされたORF AないしG遺伝子から、ORF AないしG蛋白質を大量で発現させるための形質転換体の培養条件を最適化するために、発現誘導剤であるIPTGの濃度、処理時間及び抗生剤の濃度を異ならせて発現程度を調べた。
1)IPTG濃度及び処理経時による発現誘導
実施例6の方法で得られた大腸菌BL 21(DE3)/RBIV−KOR−TY1−A形質転換体を、50mg/mLのカナマイシンが入っている3mLのLB培地で10時間培養した後に1/100に希釈して、50mg/mLのカナマイシンが入っているLB培地100mLに接種して37℃で培養した。
OD600値が0.6になったとき、IPTGを多様な濃度で添加して蛋白質の発現を誘導した。添加したIPTGの濃度は、1mM、5mM、10mM、20mMであり、IPTG処理をしてから4時間後に、SDS−PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)分析によって組み換え蛋白質Aの発現程度を測定した。
一方、IPTG処理経時による組み換え蛋白質の発現様相を調べるために、1mMのIPTGを添加した培養物及び添加していない培養物で、添加する直前(0時間)、添加後2時間、4時間、6時間、8時間での組み換え蛋白質の発現様相を、SDS−PAGE分析によって調べた。
誘導された組み換え蛋白質の発現量を調べるために利用されたSDS−PAGE分析方法は、次の通りである。各試料から1mLずつ採取した後、14,000rpmで30秒間遠心分離した後に上澄液を捨て、500μlの滅菌PBSでペレットを再懸濁させた。懸濁試料が入っている1.5mLのチューブを氷に保管しつつ、超音波処理して細胞を破砕し、このとき、15秒間超音波処理し、10秒間冷却する過程を3回繰り返した。破砕した試料を14,000rpmで5分間遠心分離した後、上澄液100μlを採取して2X SDS−試料緩衝液(2X SDSサンプルバッファー)100 μlと混合して、100℃で10分間沸かした。これを再び14,000rpmで5分間遠心分離した後、20μlを10%のSDS−PAGEゲルにローディングした。50〜150Vで約2時間分離した後、クマシー染色液(0.1%のクマシーブルーR250、42%の酢酸、42%のメチルアルコール)で30分間染色し、脱色液I(5%の酢酸、7.5%のメチルアルコール)で1時間脱色した。その結果から得たポリアクリルアミドゲルの写真が図2及び図3に示されている。
図2に示すように、1mMのIPTGを処理したレーン2ないし5では、組み換え蛋白質が大量で発現され、処理時間が長くなるほど発現量が多くなることが確認できる。一方、IPTGを処理していないレーン6ないし10では、組み換え蛋白質が大量で発現されていないことが確認できる。
また、図3に示すように、1mMないし20mMのIPTG処理時、組み換え蛋白質が多量で発現され、特に、10mMのIPTG処理時(レーン5)、または1mMのIPTG及び100μgのカナマイシン処理時(レーン7)にさらに多量で発現されることが確認できる。
【0014】
実施例8:組み換え不活性化ワクチンの製造
前記実施例6で得た形質転換体を利用してワクチンを製造するために、前記形質転換体を不活性化させた。その不活性化過程は、次の通りである。
RBIV−KOR−TY1のORF A、B、C、D、E、F及びG遺伝子をそれぞれ含有した形質転換菌株AないしGを、50mg/mLのカナマイシンが入っているLB培地で37℃で10時間培養した後に1/100に希釈して、50mg/mLのカナマイシンが入っているLB培地1,000mLに接種して37℃で培養した。OD600値が0.6になったとき、IPTGを1mMの濃度で添加して37℃で5時間培養した後、5,000rpmで30分間遠心分離した後に上澄液を捨て、100mLの滅菌PBSでペレットを再懸濁した。懸濁試料にホルマリン(37%のホルムアルデヒド溶液)を総体積の0.5%にして添加して、形質転換体A、B、C、D、E、F及びGを4℃で3日間不活性化させた。
不活性化された懸濁試料を5,000rpmで30分間遠心分離した後に上澄液を捨て、ペレットを100mLの滅菌PBSで再懸濁し、遠心分離する過程を3回繰り返した。蛋白質の濃度を20μg/mLにして滅菌PBSを添加し、これに100unit/mLのペニシリンG、100μg /mLのストレプトマイシンを添加して4℃で保管した。
【0015】
実施例9:組み換え不活性化ワクチンの安全性の試験
前記実施例8で製造した組み換え不活性化ワクチンの安全性実験のために、イシダイ稚魚(体重;9±1g)を300Lの水槽に20尾ずつ収容した後、各組み換えワクチンを40μg /mLの濃度に調製して、実際のワクチン処理濃度の2倍の濃度でイシダイ稚魚の背筋肉の付近に注射して自然水温で飼育しつつ、ワクチンによるイシダイ稚魚の斃死如何を15日間観察した。その結果、本発明の組み換えワクチンの処理による斃死は全く発生せず、組み換えワクチンの安全性を確保した。
【表1】

【0016】
実施例10:組み換え不活性化ワクチンの効能確認
本発明の組み換え不活性化ワクチンの効能を確認するために、実施例8で製造された組み換え不活性化ワクチンA、B、C、D、E、F及びGを4つの組み合わせで混ぜて実験した。
試験区1は、組み換え不活性化ワクチンA、B及びEを混合し、試験区2は、BとCとを混合し、試験区3は、BとDとを混合し、試験区4は、B、F及びGを混合し、滅菌PBSと抗生剤とを混合して処理した試験区を対照区として調製した。前記のような4つの組み合わせは、B蛋白質を基本とし、これに類似した機能を行う蛋白質を添加する方式で組み合わせた。
ワクチンの効能確認の実験は、以下のように実施した。
RBIVが感染していないと確認されたイシダイ稚魚を300LのFRP水槽に収容して、前記で調製した試験用ワクチン4つを0.1mlずつ背筋肉の部位に注射して、15日間ワクチンの効果が表れるように自然水温で飼育した。ワクチン処理されたイシダイに、GF細胞で培養したRBIV−KOR−TY1菌株を10 TCID50/mLの濃度で感染させた。RBIV−KOR−TY1に感染されたイシダイを飼育しつつ、RBIV−KOR−TY1による斃死率を調査及び分析した、
その結果は、図4に示すように、対照区に比べてワクチン試験区1ないし4は、RBIV−KOR−TY1に対する防御効果を有して、イシダイ斃死を遅延させ、特に、試験区4の場合、蓄積された致死率が、一ケ月後にも30%に至らず、優れたワクチンの効果を提供することが確認できた。
【0017】
実施例11:RBIV−KOR−TY1のA、B、C、D、F及びGペプチドの分析及び合成
本発明の6個のORF AないしD及びFとG遺伝子によりコードされるアミノ酸の配列を分析して、第一に、抗原性が高く、第二に、表面に露出されており、第三に、親水性の特性などの3つを満足させる部分を選択して、ワクチン用ペプチドとして合成した。
各ORF蛋白質のために合成されたペプチドの配列は次の通りであり、ペプチドの合成は、(株)ペプトロン(韓国)に依頼して行われた。
ORF A:AWPLFDDRMRVDQCRBI(配列番号:29)
ORF B:TLQSHKQLYSTEC(配列番号:30)
APPDRDDDRWTVPTGCRBIV(配列番号:31)
ORF C:PTEPEPEEPEEEEDEC(配列番号:32)
TEPEPEEPEEEEDEYC(配列番号:33)
ORF D:QVDRSGAKVPSEAPC(配列番号:34)
CAMRSRDPLYDKVK(配列番号:35)
ORF F:YARARGSTHIRRQKVCRBIV(配列番号:36)
ORF G:CSPETRNSNFKHSVTY(配列番号:37)
DMSHITKEMALNTKQHTCRBIV(配列番号:38)
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】RBIV−KOR−TY1のORF B遺伝子を含む組み換え発現ベクターpET28a/RBIV−KOR−TY1−Bの制限酵素を示す図面である。
【図2】発現誘導剤IPTGを1mM処理時及び未処理時の、経時による組み換え蛋白質の発現程度を示すSDS−PAGE写真である。LMは、低分子量サイズのマーカーであり、HMは、高分子量サイズのマーカーであり、レーン1ないし5は、IPTG処理後、0時間、2時間、4時間、6時間、及び18時間で組み換え蛋白質の発現を示し、レーン6ないし10は、IPTG未処理後、0時間、2時間、4時間、6時間、及び18時間で組み換え蛋白質の発現を示す。
【図3】発現誘導剤IPTGの処理による組み換え蛋白質の発現様相を示す SDS−PAGE写真である。レーン1は、高分子量の蛋白質マーカーであり、レーン2は、正常BL 21 E.coliの蛋白質の発現を示し、レーン3は、IPTGを1mM処理した場合の組み換え蛋白質の発現を示し、レーン4は、IPTGを5mM処理した場合の組み換え蛋白質の発現を示し、レーン5は、IPTGを10mM処理した場合の組み換え蛋白質の発現を示し、レーン6は、IPTGを20mM処理した場合の組み換え蛋白質の発現を示し、レーン7は、IPTGを1mM、カナマイシンを100μg処理した場合の組み換え蛋白質の発現を示し、レーン8は、IPTGを1mM、カナマイシンを100μg処理した場合の組み換え蛋白質の発現を示す。
【図4】本発明に係る組み換え不活性化ワクチンの効果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1ないし配列番号7のうち何れか1つの塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する塩基配列を有し、韓国型イシダイイリドウイルスの免疫原性蛋白質をコードすることを特徴とする遺伝子。
【請求項2】
配列番号1の塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する塩基配列を有するORF A遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子。
【請求項3】
配列番号2の塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する塩基配列を有するORF B遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子。
【請求項4】
配列番号3の塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する塩基配列を有するORF C遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子。
【請求項5】
配列番号4の塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する塩基配列を有するORF D遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子。
【請求項6】
配列番号5の塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する塩基配列を有するORF E遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子。
【請求項7】
配列番号6の塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する塩基配列を有するORF F遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子。
【請求項8】
配列番号7の塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する塩基配列を有するORF G遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子。
【請求項9】
配列番号8ないし配列番号14のうち何れか1つのアミノ酸配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する、アミノ酸配列を有する韓国型イシダイイリドウイルスRBIV−KOR−TY1の免疫原性蛋白質であることを特徴とする免疫原性蛋白質。
【請求項10】
配列番号8のアミノ酸配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を有し、アミノ酸輸送子の機能を有するORF A蛋白質であることを特徴とする請求項9に記載の免疫原性蛋白質。
【請求項11】
配列番号9のアミノ酸配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を有し、主要カプシド蛋白質の機能を有するORF B蛋白質であることを特徴とする請求項9に記載の免疫原性蛋白質。
【請求項12】
配列番号10のアミノ酸配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を有し、IgM重鎖の機能を有するORF C蛋白質であることを特徴とする請求項9に記載の免疫原性蛋白質。
【請求項13】
配列番号11のアミノ酸配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を有し、ラミニン結合蛋白質であるORF D蛋白質であることを特徴とする請求項9に記載の免疫原性蛋白質。
【請求項14】
配列番号12のアミノ酸配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を有し、ミリスチル化された膜蛋白質であるORF E蛋白質であることを特徴とする請求項9に記載の免疫原性蛋白質。
【請求項15】
配列番号13のアミノ酸配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する、アミノ酸配列を有するORF F蛋白質であることを特徴とする請求項9に記載の免疫原性蛋白質。
【請求項16】
配列番号14のアミノ酸配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を有し、アンキリン反復配列を有するORF G蛋白質であることを特徴とする請求項9に記載の免疫原性蛋白質。
【請求項17】
配列番号15及び配列番号16で表示されることを特徴とするオリゴヌクレオチドプライマ対。
【請求項18】
配列番号17及び配列番号18で表示されることを特徴とするオリゴヌクレオチドプライマ対。
【請求項19】
配列番号19及び配列番号20で表示されることを特徴とするオリゴヌクレオチドプライマ対。
【請求項20】
配列番号21及び配列番号22で表示されることを特徴とするオリゴヌクレオチドプライマ対。
【請求項21】
配列番号23及び配列番号24で表示されることを特徴とするオリゴヌクレオチドプライマ対。
【請求項22】
配列番号25及び配列番号26で表示されることを特徴とするオリゴヌクレオチドプライマ対。
【請求項23】
配列番号27及び配列番号28で表示されることを特徴とするオリゴヌクレオチドプライマ対。
【請求項24】
韓国型イシダイイリドウイルスRBIV−KOR−TY1の全体ゲノムDNAを鋳型として、請求項17ないし請求項23のうち何れか1項に記載のオリゴヌクレオチドプライマ対を利用して、PCRを行って請求項1に記載の遺伝子を増幅させる工程、及び増幅された遺伝子を分離する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の遺伝子を増幅させて得る方法。
【請求項25】
原核細胞用の発現ベクター内に挿入された請求項1に記載の遺伝子を含むことを特徴とする組み換え発現ベクター。
【請求項26】
原核細胞用の発現ベクターは、pET28aであることを特徴とする請求項25に記載の組み換え発現ベクター。
【請求項27】
請求項25または請求項26に記載の組み換え発現ベクターで形質転換されたことを特徴とする原核宿主細胞。
【請求項28】
宿主細胞は、 E.coliであることを特徴とする請求項27に記載の原核宿主細胞。
【請求項29】
請求項27または請求項28のうち何れか1項に記載の形質転換された宿主細胞を、適切な栄養培地でIPTGの存在下で培養する工程を含んで、前記形質転換された宿主細胞から組み換え蛋白質を量産することを特徴とする方法。
【請求項30】
IPTGの濃度は、1mM〜10mM範囲であることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
IPTGの処理時間は、2時間以上であることを特徴とする請求項29または請求項30に記載の方法。
【請求項32】
IPTGの処理時間は、4〜6時間であることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
請求項27または請求項28のうち何れか1項の形質転換宿主細胞の培養により生産されたことを特徴とする組み換え蛋白質。
【請求項34】
請求項27または請求項28のうち何れか1項の形質転換宿主細胞を不活性化剤で処理する工程を含むことを特徴とする組み換え不活性化ワクチンの製造方法。
【請求項35】
不活性化剤は、ホルマリンであることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ホルマリンの濃度は、0.1%ないし0.7%(v/v)であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ホルマリンの濃度は、0.5%(v/v)であることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
請求項27または請求項28のうち何れか1項の形質転換宿主細胞を不活性化させて製造したことを特徴とする組み換え不活性化ワクチン。
【請求項39】
前記ワクチンは、配列番号1の塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する塩基配列を有するORF A遺伝子を含む組み換えベクターにより形質転換された宿主細胞の不活性化により製造された不活性化ワクチンAであることを特徴とする請求項38に記載の組み換え不活性化ワクチン。
【請求項40】
前記ワクチンは、配列番号2の塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する、塩基配列を有するORF B遺伝子を含む組み換えベクターにより形質転換された、宿主細胞の不活性化により製造された不活性化ワクチンBであることを特徴とする請求項38に記載の組み換え不活性化ワクチン。
【請求項41】
前記ワクチンは、配列番号3の塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する、塩基配列を有するORF C遺伝子を含む組み換えベクターにより形質転換された、宿主細胞の不活性化により製造された不活性化ワクチンCであることを特徴とする請求項38に記載の組み換え不活性化ワクチン。
【請求項42】
前記ワクチンは、配列番号4の塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する、塩基配列を有するORF D遺伝子を含む組み換えベクターにより形質転換された、宿主細胞の不活性化により製造された不活性化ワクチンDであることを特徴とする請求項38に記載の組み換え不活性化ワクチン。
【請求項43】
前記ワクチンは、配列番号5の塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する、塩基配列を有するORF E遺伝子を含む組み換えベクターにより形質転換された、宿主細胞の不活性化により製造された不活性化ワクチンEであることを特徴とする請求項38に記載の組み換え不活性化ワクチン。
【請求項44】
前記ワクチンは、配列番号6の塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する、塩基配列を有するORF F遺伝子を含む組み換えベクターにより形質転換された、宿主細胞の不活性化により製造された不活性化ワクチンFであることを特徴とする請求項38に記載の組み換え不活性化ワクチン。
【請求項45】
前記ワクチンは、配列番号7の塩基配列、またはこれと80%以上の配列相同性を有する、塩基配列を有するORF G遺伝子を含む組み換えベクターにより形質転換された、宿主細胞の不活性化により製造された不活性化ワクチンGであることを特徴とする請求項38に記載の組み換え不活性化ワクチン。
【請求項46】
請求項39ないし請求項45のうち何れか1項に記載の組み換え不活性化ワクチンのうち、2以上を含むことを特徴とする組み合わせられた組み換え不活性化ワクチン。
【請求項47】
不活性化ワクチンBとC、不活性化ワクチンBとD、不活性化ワクチンA、B及びE、または不活性化ワクチンB、F及びGを含むことを特徴とする請求項46に記載の組み合わせられた組み換え不活性化ワクチン。
【請求項48】
不活性化ワクチンB、F及びGを含むことを特徴とする請求項47に記載の組み合わせられた組み換え不活性化ワクチン。
【請求項49】
請求項38ないし請求項45のうち何れか1項に記載の組み換え不活性化ワクチン、または請求項46ないし請求項48のうち何れか1項に記載の組み合わせられた組み換え不活性化ワクチンを魚類に投与することを含むことを特徴とする魚類の免疫方法。
【請求項50】
前記不活性化ワクチンを魚類の背筋肉に投与することを特徴とする請求項49に記載の魚類の免疫方法。
【請求項51】
ワクチンの投与量は、200μg組み換え蛋白質/kg体重であることを特徴とする請求項49または請求項50に記載の方法。
【請求項52】
請求項39ないし請求項45のうち何れか1項に記載の組み換え不活性化ワクチンのうち、少なくとも1つを含むことを特徴とするキット。
【請求項53】
不活性化ワクチンBとC、不活性化ワクチンBとD、不活性化ワクチンA、B及びE、または不活性化ワクチンB、F及びGを含むことを特徴とする請求項52に記載のキット。
【請求項54】
不活性化ワクチンB、F及びGを含むことを特徴とする請求項53に記載のキット。
【請求項55】
配列番号29ないし配列番号38から構成される群から選択されたアミノ酸配列を有し、イリドウイルスの免疫原性を有することを特徴とするペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−522584(P2008−522584A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543310(P2006−543310)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/KR2004/003293
【国際公開番号】WO2006/062266
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(506130067)リパブリック・オブ・コリア・リプレゼンティッド・バイ・ナショナル・フィッシェリーズ・リサーチ・アンド・デベロップメント・インスティチュート (1)
【氏名又は名称原語表記】Republic of Korea Represented by National Fisheries Research and Development Instit
【Fターム(参考)】