音の整流方法
【課題】 限定された空間内で発せられたスピーカー音を音波反射体を使用して、音の乱れを未然に防止することを目的とした。
【解決手段】
限定された空間内で発せられたスピーカー音を音波反射体で整流する方法において、
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点に、各音波反射体の重心点を置くことを特徴とする音波反射体でスピーカー音を整流する方法により課題を解決した。
【解決手段】
限定された空間内で発せられたスピーカー音を音波反射体で整流する方法において、
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点に、各音波反射体の重心点を置くことを特徴とする音波反射体でスピーカー音を整流する方法により課題を解決した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、限定された空間内で発せられたスピーカー音を、音波反射体を使用して整流する方法に関する。さらに詳細には、音を反射する天井を有する室内等の限定された空間において、スピーカー音が天井からの反射により生ずる音の乱れを未然に防止するための音の整流方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカーを介して音楽等を楽しむ場合、野外等の特別な環境の場合を除き、通常は限られた空間内である室内で行われる(以下この発明では限定された空間を「環境」又は「音場」という。)。
特に、オーディオ機器等の場合は、限られた空間で聴取される。この場合、スピーカーから発した音波は、室内の壁面等に衝突し、反射される。反射面は、天井、四囲の壁面等、床等があり、それらは平滑な平面ばかりとは限らず、その素材も音を反射しやすいものから、音を吸収するものもあり、その程度も配置場所も様々である、その結果、それらからの反射波は複雑な様相を呈し、それらが混じり合って本来の音とは異なる音質の劣化した音が聴者の耳に届く場合が多い。
【0003】
そこで、聴取者から、混在した不自然な音や雑音を取り除いて、綺麗な目的音のみを聴きたいという要望が強くあり、そのため従来から種々の方法が提案されている。
【0004】
例えば、ピラミッド型陶磁器ケース内に銅心円柱を置き、その周囲をラジウム鉱石粉末、ブラックトルマリン、ブラックカーボン粉末、チタン・セラミック玉等を詰めた装置をスピーカーの上に設置し、音の歪みを緩和する方法及びその装置が提案されている(特許文献1参照)。
また、電気的な手段によって、ノイズをキャンセルしたり音の指向性を利用して音を制御する音制御装置の提案が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2010−246073
【特許文献2】 特開2010−41600
【0006】
特許文献1は、いわゆる物理的な方法で前記目的を達成しようとしたものである。特許文献2の方法は、電気的な手段によって電気的に音を制御するものである。その手段は、大きく分けて、上記の2つの方法に分けられる。
そこで、既存の公開特許公報及び実用新案の調査において、また図書館でのリファレンスとの共同文献調査をしたが、この発明の音波拡散の整流を目的とした装置、若しくは整流する方法に関するものは見当たらなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、老若男女を問わず人は、生活の場において音を楽しむ機会は多い。コンサートでの楽器の生演奏、歌声、LPレコード、CD、インターネットを介した音楽の聴取の手段が広く一般的に普及し、行われている。
【0008】
然しながら、これらの音は、限定された空間の環境条件、及び使用する音響機器等の影響によって、これが伝達又は再現される過程において音質が大きく損なわれることが多く、当該音が本来有している自然な音を聴くことが難しくなっている。
そこで、この発明では、これらのスピーカーを介した音を当該音が本来有している自然な状態に近い音を聴けるようにすることを課題とする。
以下に、その課題の詳細を説明する。
【0009】
また、以下の説明はスピーカーが床面又はその近傍に一対として置かれている場合が通常であるから、この状態の場合を前提に説明する。それ以外の状態でスピーカーが複数個である場合はその都度言及することとする。
【0010】
いわゆるオーディオ装置は、通常、スピーカー2個が一組として構成されている。以下の説明は、スピーカーの場合には、2個が一組の場合として説明する。
【0011】
そこで、まず音質が損なわれる大きな原因の1つである現象を説明する。
楽器、スピーカー、人声等で発せられる音波は、それらの音源を中心として気圧の粗密波として同心円の輪になって、常温・常圧の下では、毎秒340mの速さで伝播され、音として聴者の耳に達し、音として聴取される。
音源の周囲に音波の進行を妨げる障害物や反射物がない場合は、聴者は直接にその音源からの音を自然な状態で聴取することができる。
【0012】
しかし、実際に音が発せられる環境は、家庭内の部屋、試聴室及びコンサート・ホール、ライブ・ハウスなどの限定された空間内であるから、天井、壁面、床面等の音波の反射面が音源の周りに多数存在しているのが常態である。
従って、この場合聴者は、音源から直接音を聴くと同時に、それぞれの環境に応じた音波反射面からの反射音も重畳して聴いていることになり、個々の音場はそれぞれの独特な音の特性を持ったものとなっている。
【0013】
以下は、スピーカー音を例にして説明する。
室内で、スピーカーから発せられた音は、音波となって四方へ伝播・拡散されて行く。
音の大部分はスピーカーから放出され正面前方向へ直進して行く。また、スピーカーは、発振体であるから、これから四方へも伝播される。
【0014】
各々の限定された環境内で発生する反射音は、直接音に対して一種の残響音としても働き、聴者に快い音として感受され、反射音も一つの効果として作用する場合もある。
しかしながら、反射音が直接音を打ち消す現象が発生するような環境では、直接音自体が変化してしまうので、この種の反射音は聴者にとり、極めて有害なものとなる。
このような環境での音声は極めて不自然な状態に変化してしまっている。
【0015】
この場合、スピーカーから発した音は、これが強く反射される場合、通常、音の反射物として一番近い距離にあるのは、スピーカーの真上の天井からの反射音である。
この天井からの反射音が、ある特定の周波数を持つ場合に、さらに下から逐次上昇して来る次の特定の周波数の音と衝突し、同じ周波数同士が互いに打消し合う結果となり、聴者にはその打ち消された部分の音が欠落しているように聴こえる現象が発生する。このことは、音質に関心を持つ者の間では、古くからよく知られていた好ましくない現象である。
【0016】
特にオーディオ愛好者の多くは、音質へのこだわりが強く、室内等でCD等の再生機器を使用すると、必然的に発生する不自然な音及び雑音及び環境の影響を受けた変質音を取り除いて、綺麗な目的音のみを聴きたいという要望が特に強いことが知られている。
【0017】
前記の現象が生じた場合、聴者は、スピーカーから近い距離に位置している関係から、音の減衰が少ないので、聴こえるべき周波数帯の音が部分的に欠落したように聴者には感じられ、音感の鋭い聴者には致命的な欠陥音として受け取られる。
従って、この好ましくない現象の発生を未然に防止又は発生を減少できれば極めて好ましいことであり、これを本願発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以上の状況に鑑み、発明者は、前記課題を解決するため、試行錯誤を重ねつつ、鋭意研究の結果、音の指向性を利用して、所定の位置に音波反射体を配置し、音波の流れを整えれば、欠落音の発生を未然に防止して延いては、全体として音質の劣化を抑止でき、目的音のみの綺麗な音が得られることを見出し、この発明を完成した。
【0019】
そこで、この発明は、種々の条件の環境下においても、この有害な反射音に限ってその発生を未然に防止する方法を提供する。
【0020】
この発明は、音が天井で反射される環境で使用されることを前提としている。
オーディオ等による音楽等の聴取は、特殊な場合を除き、限定された空間の室内等で行われる。この場合、広狭の違いはあっても、室内であれば四囲を壁等で囲まれ、床と天井があり音が反射される。
【0021】
人の歌声、生の楽器の演奏であっても音響機器を介して最終的にスピーカーから発せられる音源であれば、この発明はこれ等のすべての音に適用できる。
【0022】
前記研究の結果、前記有害音の原因は、通常の状態であるスピーカー等が床面又はその近傍にある場合、特に天井からの反射音による影響が一番大きいとの認識を得て、これを解決すれば、問題となる音のかなりの部分の劣化を防止できることが解った。
試行の過程で、特に音の出口と天井の反射面との距離の長さのうち、天井から前記の長さの1/2及び1/3の地点に音波反射体を置くと、高い防止効果が得られることが解かった。この知見に基づき、この発明は、天井からの反射音による悪影響を未然に防止することで課題を解決するものである。
【0023】
しかも、この課題の解決手段は、極めて簡便な方法で且つ、低コストで、即効的に優れた効果が得られるものである。即ち、コストの高い複雑な電気的な制御・整流手段ではなく、音響学的な見地からの解決策である。
【0024】
即ち、この発明は、限定された空間内で発せられたスピーカー音を音波反射体で整流する方法において、
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点に、各音波反射体の重心点を置くことを特徴とする音波反射体で音を整流する方法であり、限定された空間内で発せられたスピーカー音を音波反射体で整流する方法において、
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/3の地点に、各音波反射体の重心点を置くことを特徴とする音波反射体でスピーカー音を整流する方法である。
【0025】
また、限定された空間内で発せられた音を音波反射体で整流する方法において、
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から両側壁面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ両側壁面から、前記線の長さの1/2の地点及び1/3の地点に、それぞれ各音波反射体の重心点を置くことを特徴とする音波反射体でスピーカー音を整流する方法である。
【0026】
また、限定された空間内は、住居の部屋、オーディオ・システムを配置した試聴室、劇場、音楽ホール等における音場内である音波反射体でスピーカー音を整流する方法である。
【0027】
また、音波反射体の形状は、球状、ビー玉を多数個ネットに入れて球状にしたもの、楕円球状、円錐状、角錐状、三角錐状、双円錐状、双角錐状、双三角錐状、円柱状、白熱電球、LED電球である音波反射体でスピーカー音を整流する方法であり、音波反射体の材質は、水晶、大理石、ラピスラズリ等の石材、ガラス、硬質金属、陶器、硬質プラスチック、硬質木材である音波反射体でスピーカー音を整流する方法でもある。
【0028】
また、音波反射体の寸法は、ボイスコイル・ダイアフラムの直径の長さ50〜500%の範囲内である音波反射体でスピーカー音を整流する方法であり、音波反射体を置く位置のずれが許容される範囲は、音波反射体が、音の出口の中心点と整流の対象とする音の反射面に対し、垂直となる線の線上を遮る位置にある音波反射体でスピーカー音を整流する方法である。
【0029】
また、音波反射体の設置手段は、ワイヤー、鎖、紐等による天井から吊下、対向する壁面間に懸装、植立したスタンドから突出した腕に吊下した音波反射体でスピーカー音を整流する方法である。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、音波反射体を使用するという極めて簡便な手段で、スピーカーから発した音と、天井からの反射した同じ周波数の音同士が相互に消し合う現象の発生を未然に防止して、欠落部分のない目的音のみを透明感のあるクリアーな音で聴取できる効果が得られる。
【0031】
この発明によれば、大掛かりな叉は複雑な装置を必要とせず、音波の性質に添った極めて簡単な装置で、且つ少ないコストで有効な効果が得られる。
【0032】
さらに、この発明は、通常の住居内のみならず、教室、音楽ホール等の広い場所であっても、この方法を適用して欠落部分のない透明感のあるクリアーな音にして聴者に提供できる効果がある。
【0033】
広く普及している家庭内の手持ちのオーディオの音がこの発明により、格段に改善され、心地よく音楽等を楽しむことができる。
【0034】
更に、簡単な原理に基づいているので、誰でも理解でき、簡単に取り付けられ、天井下部の使用されていない空間に球体等のアクセサリーが空中に浮かんでいるという遊び心を持ったオーディオ・システムが安価に入手できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】は、室内に設置したスピーカーから発した音波の伝播する状態を示す概念図。
【図2】は、天井との距離の所定の長さの1/2の位置に音波反射体を置いた例で、直接音と反射音の音波の進行・反射の状態を示す概念図。
【図3】は、天井との距離の所定の長さの1/3の位置に音波反射体を置いた例で、直接音と反射音の音波の進行・反射の状態を示す概念図。
【図4】は、本願発明の音波反射体を設置した場合の音波の進行・反射の状態を示す概念図。
【図5】は、本願発明の音波反射体を設置した場合の音波の進行・反射の状態を示す概念図。
【図6】は、本願発明の音波反射体を1/2と1/3の位置に縦に2個連設した場合の音波の進行・反射の状態を示す概念図。
【図7】(a)は、本願発明の音波反射体を2個連設した場合を示す概念図。(b)は、本願発明の音波反射体を2個連設した場合を示す概念図。(c)は、本願発明の音波反射体を2個連設を併設した場合を示す概念図。
【図8】(a)天井が傾斜している場合の設置例。(b)天井が傾斜している場合の設置例。(c)天井が波型である場合の設置例。
【図9】(a)〜(e)は、音波反射体の吊下又は懸装手段を示す図。
【図10】(a)〜(h)は、音波反射体の他の形態例を示す図。
【図11】は、スピーカーのボイスコイル・ダイヤフラムの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明は、スピーカーを介して発せられた音が、天井からの反射して来る音と、音源から逐次発せられて上昇して来る音とが衝突し、互いに消し合って一部の音が欠けてしまう現象、即ち欠落音の発生を未然に防止する手段を講じ、目的音のみを乱れのない状態の綺麗な音で聴くことができる方法に関する。
【0037】
以下の本願発明の作用・効果の説明の前提として、音の基本的な性質について参考まで概略を述べる。
音は空気の振動であり、この振動が、周りの空気に伝わって行くと、音が聞こえることになる。全ての音は波であり、全て波の法則に従っている。
従って、空気のない真空状態では音は伝わらない。
【0038】
ある物体が刺激により振動すると、これが空気に伝わり空気が振動する。空気の振動は、空気の密度の下がった「疎」の部分と、空気の密度が濃い「密」の部分ができ周囲に伝わって行く。このとき、空気自体は移動せずに、その場で前後に振動を繰り返している。
このように、「疎」と「密」のような変化が、波動エネルギーとして次々に伝わる現象を「波」という。このことから、音は「疎密波」、「音波」と呼ばれている。人の耳は、空気の何回もの「疎密波の振動」を感じ取っていることになる。
【0039】
音は、物の振動が空気に伝えられたものであり、発音体の近くでは、空気が集まった「密」な部分や、空気がまばらな「疎」な部分が交互に出来る。この「密」と「疎」な状態が周りに広がって行く「疎密波」である。
【0040】
講学上、音の三要素として、音の高さ、強さ、音色をいうことは周知のことである。
ピアノの高い音と低い音は、全く違って聞こえるが、どちらも疎密波である。このような音の高さの違いはどのように決まるのか。高い音は、小刻みに沢山振動しており、低い音は、緩やかに振動している。これが「音の高さ」の正体である。1秒間に振動する回数が多いと「高い音」に、少ないと「低い音」になる。この「1秒間に振動する回数」又は「1秒間に向きを変える度数」を「振動数・周波数」といい「ヘルツ・Hz又はサイクル」という単位で表す。この振動数が多いほど、音波が1秒間に移動する距離が決まっているので、その音波の波長は短くなる。
【0041】
音の大きさは、「密」な部分と「疎」な部分の密度の差(振幅)が大きいほど「大きい音」になり、逆に、密度の差が小さいと「小さい音」になる。
【0042】
音の疎密波は、横波のような曲線に置き換えて描くと、音の高さや大きさなどの特徴が解かりやすくなる。山と山の間隔が「波長」を表している。また、山が高いほど「密」であることを、谷が深いほど「疎」であることを表している。この山と谷の高低差が「振幅」である。また、音波は伝達して行く過程で減衰する。
【0043】
この発明は、音波反射体を使用したスピーカー音の整流方法である。
即ち、この発明は、先ず、音質に一番悪影響を与える反射音を対象にして、音を整流する。
通常、音が床面に置いたスピーカー(音源)から発して、天井に向かう音と、天井から反射して来た音が衝突して、その結果音圧を失うと思われる地点をA点として、この位置に音波反射体を置き、大きな音の乱れの発生を未然に防止する。この設置点の算定は床面からの高さではない。
【0044】
音源からの直接音が、天井及び壁面等からの反射音と衝突して打ち消されるという現象が発生する状態において、この発明の音波反射体を使用した場合の作用及びその効果について、その事例を一般の家庭のオーディオ・システムの場合を例に図面に基づき、詳細に説明する。
【0045】
図2、スピーカーは、ボイスコイル・ダイアフラム(図11中の13)とダイアフラム(図11中の13b)の前後の振動によって音を発する。ダイアフラム(13、13b)が前に押し出される時は、スピーカー前面の空気層(図11中のB)の気圧が上昇し、逆にダイアフラムが後方へ移動する時は、空気層Bの気圧は降下する。
空気層Bの気圧の変動が、波動エネルギーとなり、聴者の鼓膜に伝わり、音として聴取される。
当該技術分野では、ダイアフラムが前へ押し出す動きをしたときが正相の位相、引き込まれる時を逆相の位相の音波として定義されている。
【0046】
このダイアフラムの運動の周期が、1秒間に100回行われると100Hzの周波数の音として聴取される。
ダイアフラム前面の空気層Bの気圧の変化が伝播する速さ、即ち音速は1気圧・常温で340m/秒であるから、音の周波数により、1周期の音の移動する距離、即ち波長の長さが異なってくる。100Hzの音波を例にすると、その波長は340m÷100=3.4mとなる。
【0047】
図2は、天井10のある限定された空間の床に設置されたスピーカー・システムのボイスコイル・ダイアフラムの中心13と天井10との距離Hの長さを丁度1波長とする放射音波11−1と、その2倍の周波数を持つ放射音波11−2という特定の周波数の音波の場合を表している。
この2種の音波は、天井面10に垂直に入射した場合、反射音波12−1及び12−2となって、再びボイスコイル・ダイアフラム13に回帰することとなる。
【0048】
放射音波11−1がスピーカーより正相で放射されたとすると、天井10にて正相の位相で反射し、ボイスコイル・ダイアフラム13に、発射時点と同じ正相で戻って来ることとなる。この時、ボイスコイル・ダイアフラム13は放射音波11−1の2波長後の音波が正相で放射されようとしているが、反射音波12−1が正相の押し出す方向の圧力で逆方向より回帰するので、強い外圧を受けることとなる。
【0049】
ボイスコイル・ダイアフラム13が外圧によりその運動を掣肘又は抑制されたり、放射した音波が方向により、打ち消されたり、方向を曲げられたりする種々の弊害が発生する。
放射音波11−2は、放射音波11−1の2倍の周波数を持つ音波であるが、反射して戻る音波12−2も同様に正相で、ボイスコイル・ダイアフラム13へ回帰する。このように、放射音波11−1の周波数の整数倍の多くの音波は同様な弊害を受けることとなる。
【0050】
例えば、ボイスコイル・ダイアフラム13と天井10との間の距離が1.5mである場合は、放射音波11−1は230Hzとなり、その整数倍の周波数460Hz、690Hz、920Hz‥‥‥と多くの周波数がこの弊害を受ける。
【0051】
反射音波が自らの放射音波を減衰させたり、放射方向を曲げられたりする、一種の共鳴現象とは逆の結果を招く現象により、聴者には特定の多くの周波数を直接そのまま聴取できず、一種の減衰若しくは欠落した如き音を聴くこととなる。
【0052】
図3は、スピーカーより正相で放射した音波が、天井で反射し正相でスピーカーへ回帰する現象を起こす別の特定の周波数の現象を表している。
波長a´を持つ放射音波11−3の3波長の長さが、ボイスコイル・ダイアフラムと天井との距離Hの往復の行程2Hに等しい場合、この現象が発生する。
この場合の波長a´を求めると
3a´=2Hより、a´=2/3H となる。
この放射音波11−3は、天井に垂直に入射する時、波長a´の半波長で入射するので、逆相で反射することになる。
【0053】
反射音波12−3が一波長後に到来する放射音波と正相で対向する点A´は天井からの距離をbとすると、
b=H−a´
=H−2/3H
=1/3H
図2の現象と同様に、放射音波11−3の場合も、波長a´の周波数の整数倍の多くの周波数が同様な弊害が発生する。
H:1.5mの場合、放射音波11−3の周波数は
340m÷(1.5m×2/3)=340Hz
従って、340Hz、680Hz、1020Hz‥‥‥という特定の多くの周波数で、聴者には、発生音圧エネルギーを十分伝えられないこととなる。
【0054】
図2は、スピーカーが正相で放射した音波が天井で正相で反射し、スピーカーへ再び正相で回帰すると言う弊害を表しているが、図3は正相で放射した音波が天井で逆相時に反射し、スピーカーへ回帰した時点で、正相になって弊害を起こす場合を表しているが、この弊害を皆無にする唯一の方法は、天井に向かう放射音波と天井に垂直に入射して同じ経路を通って反射する音波の経路において、放射音波と同じ位相で放射点であるボイスコイル・ダイアフラム13に回帰する特定の周波数の周期の完結を防止し、同位相の信号が対向する条件を除去することにある。
【0055】
図4、図5、図6
図2においては、Hの中央点であるAは、放射音波11−1、11−2が反射音波12−1及び12−2が互いに同位相で対向する点、図4の如く、この特定点Aに音波反射体14を設置すると放射波17、18は、反射体14にて進路を曲げられ、周波数としての波長を完結することが不可能となる。
放射音波19、20のように反射体14の外周を回折して天井に到達しても,反射波19´、20´は反射体14の裏側の面で反射放散し、天井からの反射波がスピーカーへ同相で回帰することは皆無となる。
【0056】
図5、図3は、放射された音波が逆相で反射し、同位相で音源に回帰する場合で、音波反射体14´は、放射波と反射波が同相で対向する点A´点に配置される。
図4と同様に、反射波は再びスピーカーへ同位相で回帰することはない。
【0057】
図6は、音波反射体14及び14´を所定の位置A及びA´にそれぞれ配置した場合を表している。
天井10で放射音波の発生と同じ位相で反射する場合の弊害波は〔図4〕の如く、音波反射体14により、弊害は解消されると共に、天井10で放射音波の発生時と逆の位相で反射する他の弊害波の場合は、放射音波21及び22の如く、波動エネルギーを持つ音波は音波反射体14を通り越してA´点で、その周期を完結しようと到来するが、図5の如く、音波反射体14´により、放散されるので、スピーカーに音波発生時と同位相で回帰する多くの周波数の音波が、音波反射体14及び14´により、A及びA´点での同相で対向して音圧を減少する現象及び同相でスピーカーに回帰して、ボイスコイル・ダイアフラムの振動に外圧を掛ける等の現象を完全に解消することができた。
【0058】
径8cmの音波反射体を使用した場合、この音波反射体の径と同じ波長の周波数は、34000cm÷8cm=4250Hzとなる。
このことは、4250Hz以上の高音を持つ音波は音波反射体の径の中で一波長形成ができず、結果として完全に、直接波、反射波共に音波反射体で反射放散し、音源に回帰しない。
【0059】
従って、径8cmの音波反射体が作用するのは、4250Hz以下の特定の周波数と、4250Hz以上の全ての周波数帯となる。
径8cmの音波反射体がA部を通る所定の垂直線からずれて配置されると、4250Hzはそのずれの程度により上昇する。
径8cmの音波反射体がA部を通る所定の垂直線上にあれば、その位置はA部に限定されず、何処の位置でも4250Hz以上の高音に有効に働く。
【0060】
次に、この発明で使用する音波反射体の詳細について説明する。
【0061】
音波反射体の使用環境
この発明を適用できる環境を説明する。
限定された空間は、室内の場合、床、天井、四囲を面等で囲まれた空間で、家庭内の部屋、試聴室をいう。
この場合、天井が傾斜したものであっても、この発明を適用できる。
【0062】
本願発明による音波を整流する対象は、オーディオ・システム等のスピーカーを介した音である。
また、部屋の天井が傾斜している場合は、天井で音波を垂直に受ける面を特定し、その面に対して垂直な線と、音の出口又はスピーカーの中心点を結ぶライン上に合致点A及びA´を前記述と同様な方法で求め、その位置に音波反射体が配されるようにすることで、同様の整流効果を得ることができる。
【0063】
図8(a)は、両スピーカー配列と同じ横方向に傾斜した天井の場合、図8(b)は奧行き方向に傾斜している場合、そして図8(c)の波形天井の場合を表している。何れの場合でもこの理論は適用できる。
壁面が正方形、長方形でない変形の部屋であっても、同様にこの発明を適用できる。
【0064】
音源の種類
この発明が対象とする音源は、スピーカーを介した音である。
【0065】
音源の場所と音波反射体の設置個所との関係
音波反射体は、その場の環境によって、一番反射音が強く、環境内の音に悪影響を与えていると思われる箇所を選んで優先的に対処する。
【0066】
そして、種々環境条件が異なる場合においては、通常の対応では十分な音の整流効果が得られない場合や、又は、さらに効果を求める場合は、音波反射体の大きさを変えたり、設置する数を増やしたりすることで対応することもできるので、調整を試みる。
【0067】
この発明では、部屋の中でのスピーカー音の反射は、天井を対象とし、聴者の対面する正面壁面及び背面の壁面の反射音は、格別に考慮しなくとも良い。
【0068】
音波反射体の設置数
音波反射体は、原則的に、音源1つに対して、A点及びA´点について各々1つの音波反射体を対応させて、設置すればよい(図4、図5参照)。
また、A点及びA´点それぞれに複数個配置することも可能であるが、音波反射体を多数設置したからと言って、必ずしもその数に応じてその分、効果が上がると言う関係にはない。
【0069】
音波反射体の設置の数は、原則としてスピーカーの上方の所定の位置に各々1つ配置する。音源が複数ある場合は、複数個、複数組み配置することも可能であるが、ただ、単に個数を多く増やしたからといって、その分効果が高くなるという試験結果は見られなかった。
【0070】
音波反射体の形状
また、音波の整流に使用する音波反射体の形状は、以下のようなものが使用できる。
球状、ビー玉を多数個ネットに入れて球状にしたもの、楕円球状、円錐状、角錐状、三角錐状、双円錐状、双角錐状、双三角錐状、円柱状、白熱電球、LED電球でも良い(図10参照)。
【0071】
最も好ましいのは、水晶又はガラスの単一材質の球体である。
音波反射体は音波を反射する機能を果たすから、表面の状態は平滑なものであれば良い。
【0072】
球体以外の形状の音波反射体を用いて、その効果を確認した。
これらのものは、図10参照。図示の位置に吊下用リングを設けることが望ましい。
他方、球状以外の形態のものは、音波反射体の形状、部屋の状況、家具の配置等により微妙な変化が起こりうるので、具体的には理論的に割り出した設置場所を中心に、最適箇所を試行して検出する事前の調整が必要な場合がある。
【0073】
また、形状が非対称なもの又は不定型のものは、重心点の割り出しが難しく、且つその音の整流効果も非対称に生じ、効果の予測が難しく、且つ効果が小さい。
結論的には、不定形のもの及び非対称形のものは、調整が難しく、あまり好ましくない。
【0074】
音波反射体の材質
音波反射体の材質は、音波反射能力の高い硬質な材料が良く、全周波数帯域で効果が発揮されることを確認している。他方、軟質な材質は低音域のみ効果があるが、高音域では、効果が減少する傾向がある。
【0075】
最適な素材としては、水晶、大理石、ラピスラズリ、その他の石材、ガラス、各種硬質金属、陶器、硬質プラスチック、硬質木材等である。白熱電球、LED球などの電球が使用できる。球状のものは中空のものより、空洞がないものの方が効果が高い。
音の整流効果が少ない素材としては、軟質木材、軟質プラスチック、紙材等、他の材料で硬度の低い素材。但し、何れの材質のものであっても、表面が平滑なものが好ましく、平滑でないものは好ましくない。
【0076】
音波反射体は、装飾上の見地から、好みの色彩・模様を施したものであってもよい。音波反射体は音を吸収しない表面が平滑なものであれば良い。
【0077】
音波反射体の寸法
反射体の大きさ(寸法)は、実験によれば、球状の場合は、スピーカー音では、球体の直径50mm以上のものから明瞭に効果が確認され、それ以下の直径のものは、小径に成る程判然とした効果の違いの判定が難しい。
【0078】
配置する音波反射体の寸法は、その径は使用するスピーカーの縦断面を表す図11に示されるボイスコイル・ダイアフラムの直径dの長さの80%から200%の範囲が良い。最も好ましい径は、約120%の大きさである。
例えば、ボイスコイル・ダイアフラムが6cmの場合、球体反射体では直径8cmがベストとなる。80%に満たないものは、その効果が急速に低下して、判然とした効果が確認できない。
【0079】
また、寸法が200%を超えるものは、その効果が低下して、音の明瞭度に関して判然とした効果が確認できない。
要するに、小さい方への移行は、段階的に効果が減少し、大きい方向への移行は、その効果がなだらかな変化となる。
球体以外のその他の形状の場合は、寸法は上記と略同様に考えればよい。
【0080】
音波反射体の設置箇所
この発明は、球体を用いる場合、スピーカーの中心点と天井面に対し、垂直となる線上で、前記線の長さを測り、天井面からその長さの1/2又は、1/3の位置に、音波反射体の中心点を置くようにする。
更には、前記の位置にそれぞれ2つ連ねて配置することも可能である。
但し、球状物以外の場合には、その具体的な設置に当たっては、部屋の状況、家具の配置等により微妙な変化が起こりうるので、具体的には理論的に割り出した設置場所を中心にして、最適箇所を試行して見出す調整が必要な場合もある。
【0081】
音波反射体の配置の位置のずれの許容範囲
音波反射体の最大の効果を得るには、音波反射体を所定の位置に正しく配置する必要があるが、然しながら、多少の位置ずれは、許容される。
【0082】
音波反射体を置く位置のずれが許容される範囲は、音波反射体が、音の出口の中心点と整流の対象とする音の反射面に対し、垂直となる線の線上を遮る位置に音波反射体の一部があればよいこととなる。
【0083】
音波反射体の設置手段
天井に設けたフック15から、細いワイヤー、鎖又は丈夫な紐等で所定の位置に吊下するのが好ましい。図4、図5参照。
長期間の配置中に位置ずれ等の発生を防止するため、伸縮性の少ないものが望ましい。
天井から音波反射体を吊下することができない場合は、図9の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)のような方法で、壁面間に懸装することも可能である。
図9(a)は、左右の壁から細い棒若しくは紐等を張って、そこより音波反射体を懸装する方法である。
【0084】
さらに、具体的には、音波反射体の設置は、予め音波反射体にリング状の止め具を固定し、天井に吊下用のフックを設け、前記のワイヤー、鎖、紐等の丈夫な素材のもので吊下すのが良く、好ましい。
【0085】
また、特に音波反射体が重い材質の場合は、安全上の見地から、落下を防ぐのに十分頑丈なフック・吊下紐を使用する配慮が必要である。その他、種々の懸装手段が考えられるが、要は、上記以外の手段であっても所定の位置に音波反射体が正しく固定して配置されていれば良い。
【0086】
図9(b)は、壁面間に一本の紐若しくは棒と紐等を張ってそれぞれ音波反射体を懸装する方法である。
図9(c)は、天井と壁の間の梁を使い2本の紐等でそれぞれ音波反射体を吊下する方法である。左右の音波反射体の位置の微調整が簡単にできる。
図9(d)は、左右の壁若しくは背面の壁からアンカーを伸ばして、そこに音波反射体を吊下する方法である。
図9(e)は、床よりスタンドを使い吊下する方法である。
【0087】
比較試験例1
音の波形測定機器による比較
実施例1記載の環境条件下による。本願発明の音波反射体を設置した場合と、これを設置しなかった場合との効果を比較試験した。
【0088】
測定に使用した機器は下記の通り。
使用したスピーカー:JBL−S2500であり、スピーカーのダイヤフラム直径は、6cmである。
マイクロフォン:ソニー社ダイナミック型 F−V420
使用した解析ソフト名: 音響分析スステムDSSF3 バージョン5.2.0.10 Realtime Analyzerの周波数特性機能にて計測した。 会社名 吉正電子株式会社
パーソナルコンピューター: Gateway GT5686j
【0089】
この発明の効果確認のため、この部屋の音圧周波数特性を試聴位置にマイクロホンを固定して測定したところ、対策前の特性は[表1]、整流作用のある音波反射体(水晶球・直径8cm)を設置した場合の特性は[表2]、[表3]、[表4]となった。
【0090】
音は、その波形により、ある程度の音の特性を判定することが可能である。
以下に本願発明の音波反射体の設置条件を変えた場合について、それぞれについて、得られた音の波形測定結果を、[表2]、[表3]、[表4]について示し、その評価も併せて示す。
【0091】
[表1]は、比較対照のため実施例1記載の環境下で、本願発明の音波反射体を設置していない場合。
[表2]は、実施例1記載の環境下で、各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点に、各音波反射体の重心点を置いた。
[表3]は、実施例1記載の環境下で、各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/3の地点に、各音波反射体の重心点を置いた。
[表4]は、実施例1記載の環境下で、各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点、及び1/3の地点に縦に連ねて各音波反射体の重心点を置いた。
【0092】
比較試験例2
官能試験による評価
前記の[表1]、[表2]、[表3]、[表4]の各場合について、官能試験による音質の評価を行った。
クラシック音楽の愛好家3名(俗に、音にうるさい人)に、同じ曲(クラシック)を異なる日に合計2回に亘り、比較聴取を依頼し、その音質に関する官能評価を得た。
【0093】
試聴の結果、劇的変化を感じることができた、と全員から高い評価を得た。
さらに、効果の確認のために、異なる日にそれぞれ上記3名以外の複数の聴者に比較試聴を行って頂いたが、全ての試聴において同じ評価の結果が得られた。
また、現在の処、この評価の違いの表現は音に敏感な人の感性による官能評価による他なく、これ以上表による表示又は数値化したデータとしては示せない。
【0094】
各測定事例は、特性を比較するとスピーカー自体の持つ周波数特性を除外してその変化を比較すると、整流用の水晶球を設置した方が凹凸の少ないスピーカー本来の周波数特性に近い状態に改善され変化していることが明瞭に解かる。
【0095】
[表2]、[表3]、[表4]に関する総合的な評価内容‥‥各表の場合、低音域の量感、中音域から高音域に至るまで、今までにない自然で滑らかな音声は初めて体感できるもので、本願発明の適用前の音声[表1]と比較すると、その差は歴然としている。
【0096】
[表1]は、実施例1記載の環境下で、本願発明の音波反射体を設置していない場合。
【0097】
【表1】
【0098】
(評価の詳細)低音域から中音域にかけての音の繋がりが悪く、量感が不足していて、パワー感のある音が出ていない。中域から高域にかけては、ザラついて滑らかな音がない。
【0099】
[表2]は、実施例1記載の環境下で、本願発明の音波反射体を設置した場合。
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点に、各音波反射体の重心点を置いた。
【0100】
【表2】
【0101】
(評価の詳細)低音域から中音域がスムーズで力強く、中音域から高音域は、滑らかで、機械的な音ではなく、豊かな自然な音の佇まいが感じ取れる。
【0102】
[表3]は、実施例1記載の環境下で、本願発明の音波反射体を設置した場合。
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/3の地点に、各音波反射体の重心点を置いた。
【0103】
【表3】
【0104】
(評価の詳細)低音域もさることながら、特に中低音が充実したものとなり、そこより高音域への繋がりも自然で、パワー感と自然感とが両立している。
【0105】
[表4]は、実施例1記載の環境下で、本願発明の音波反射体を設置した場合。
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点、及び1/3の地点に、縦に連ねて各音波反射体の重心点を置いた。
【0106】
【表4】
【0107】
(評価の詳細)低音域から高音域の全音域で、自然な滑らかさと、パワー感があり、更に生々しい音、ボーカルのレコードでは、スピーカーの位置で、あたかも歌手がそこで歌っているような感じがし、生々しさと臨場感があり、今まで経験したことのない実在感のある音が再生された。
【0108】
以下に実施例を示す。この発明は、実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0109】
図2、図4に基づき説明する。
音は一対のスピーカーを介した音である。
各音の出口が床面9又は床面9の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点に、各音波反射体の重心点を置いた。
【0110】
オーディオ・システムを配置した試聴室で行うこともできるが、この実施例ではスピーカーを設置した部屋は、一般家庭の木造家屋の部屋である。
部屋の大きさは、横幅422cm、奥行きは510cmの略四角な部屋であり、部屋の広さは21.5平方メートル(約13畳)である。
横の両側面は壁7、7aであり、正面はガラス戸、背面はふすまである。
天井10は水平であり、天井の高さは、床から226cmである。
【0111】
スピーカー1個の大きさは、幅は33cm、高さは95cm、奥行きが36cmである。スピーカーの中心点は床面9から64cmの高さに、中心点がある。
スピーカーのダイアフラム直径は、6cmである。スピーカー1、2は、合計2個配置した。
スピーカー1、2の設置場所は、スピーカー1、2の中心点3を右は右壁面8より133cm、左は左壁面7から121cmに置き、両スピーカーの中心点の間隔は168cmである。
【0112】
両スピーカー1、2は、ガラス窓からスピーカーの中心点3が75cmの位置である。試聴者5は、ガラス戸に向かって、両スピーカーと等距離のスピーカー前面より280cmの位置のソファーに座った状態である。
【0113】
一般家庭でのステレオ・システムの例である。音波反射体は、直径8cmの水晶球を2個使用した。
使用したスピーカーは、JBL−S2500(米国・JBL社製)の1組み(2つ)である。
【0114】
天井10の高さは床9より226cmであるので、スピーカーの中心点3と天井10の距離Hは162cmとなる。
【0115】
この部屋で試聴すると、前述の現象による消滅周波数は、H:162cmが一波長なので、210Hzとなる。そして整数倍の420Hz、630Hz、840Hz‥‥‥‥と多くの周波数で弊害が起きていることになる。
【0116】
この実施例では、音波反射体は、直径8cmの水晶球14を2個使用し、左右のスピーカーの上方の所定の位置に天井よりワイヤーで吊下した。
この所定の位置とは、天井面がスピーカーからの音波を垂直に受ける面、即ち、スピーカー前面のスピーカーの中心点と天井との反射面に対して垂直となる線の線上で、天井から前記線の長さの2分の1の長さ、天井から81cm、即ち、H:162cmの2分の1の距離である。
水晶球14の中心点が、前記直接音と反射音とが出会って打ち消される点であるA点に設置した(図4参照)。
【実施例2】
【0117】
図3、図5に基づき説明する。
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/3の地点に、各音波反射体の重心点を置いた。音波反射体は、直径8cmの水晶球14´を各々2個使用し、左右のスピーカーの上方の所定の位置に天井よりワイヤーで吊下した。
【0118】
この部屋でのスピーカー配置は、音波を垂直に受ける壁面は天井10が殆どであるので、天井とスピーカー1、2との間で発生する有害反射音に対する対策でその効果が判断できることとなる。
この部屋で試聴すると、前述の現象による消滅周波数は、H:162cmの3分の2から波長は108cmなので、315Hzとなる。そして整数倍の630Hz、945Hz、1260Hz‥‥‥‥と多くの周波数で弊害が起きていることになる。
【実施例3】
【0119】
図6に基づき説明する。
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点、及び1/3の地点に、縦に連ねて各音波反射体の重心点を置いた。音波反射体は、直径8cmの水晶球14、14´を各々2個使用し、左右のスピーカーの上方の所定の位置に天井よりワイヤーで吊下した。
【実施例4】
【0120】
図7に基づき説明する。
現在、スピーカー・システムには、複数のスピーカー・ユニットを使用した機種も多い、再生周波数帯域を分けて、より音のクオリティーを上げる目的で組み合わせたものである。
音波反射体は、直径8cm、及び6cmの水晶球を2個使用し、左右のスピーカーの上方の所定の位置に天井よりワイヤーで吊下した。
図7(a)は高音用と中低音用を備えた縦型の2ウェイ型である。
図7(b)は、高音、中音、低音と分けた縦型の3ウェイ型である。
一般的には2ウェイ型では(a)、中低音用スピーカーから天井までの距離をHとして、3ウェイ型では(b)では、中音用のスピーカーから天井までの距離をHとして、両者の場合1組の音波反射体で対応できる。
【0121】
しかし、図7(c)のように横型のタイプの場合は、個々のスピーカーに対応して音波反射体を配置することも可能で、より効果を上げることができる。
スピーカーによっては、スピーカー・ユニットを横配列で配置したタイプもある(横型)。この場合は、個々のユニットに対して音波反射体を図7(c)のように配置すると最良の効果が得られる。
【実施例5】
【0122】
図8に基づき説明する。
部屋の天井が傾斜している場合(a)、(b)、波型をしている場合(c)、その設置状態を示したものである。
即ち、スピーカーの中心点と、音波を反射する天井面とが垂直になる線の線上の位置を考えて、音波反射体の設置位置であるA点及びA´点を割り出すことになる。
音波反射体は、直径8cm、及び6cmの水晶球を各々2個使用し、小さい方を下方にして、左右のスピーカーの上方の1/2、及び1/3の位置にそれぞれ縦に連ねて天井よりワイヤーで吊下した。
【産業の利用可能性】
【0123】
この発明に拠れば、音響機器の付帯品として、製造・販売ができる。
【符号の説明】
【0124】
A、A´ 合致点(音波反射体の設置個所)
B 空気層
H スピーカーの中心点から天井までの距離
a、a´ 一波長の長さ
b A´点と天井との距離
d ボイスコイル・ダイアフラムの直径
1 左スピーカー
2 右スピーカー
3 スピーカーの中心点
4 波紋状の音波
5 音の聴者
7 左壁面
7a、8a、9a 家具
8 右壁面
9 床
10 天井
11−1、11−2、11−3、17、18、19、20、21、22 放射波
6、12−1、12−2、12−3、19´、20´、22´ 天井からの反射音
13 ボイスコイル・ダイアフラム
13b ダイアフラム
14、14´、14−2〜14−5 音波反射体
15 懸架用フック
16 懸架用ワイヤー
23 スタンド
【技術分野】
【0001】
この発明は、限定された空間内で発せられたスピーカー音を、音波反射体を使用して整流する方法に関する。さらに詳細には、音を反射する天井を有する室内等の限定された空間において、スピーカー音が天井からの反射により生ずる音の乱れを未然に防止するための音の整流方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカーを介して音楽等を楽しむ場合、野外等の特別な環境の場合を除き、通常は限られた空間内である室内で行われる(以下この発明では限定された空間を「環境」又は「音場」という。)。
特に、オーディオ機器等の場合は、限られた空間で聴取される。この場合、スピーカーから発した音波は、室内の壁面等に衝突し、反射される。反射面は、天井、四囲の壁面等、床等があり、それらは平滑な平面ばかりとは限らず、その素材も音を反射しやすいものから、音を吸収するものもあり、その程度も配置場所も様々である、その結果、それらからの反射波は複雑な様相を呈し、それらが混じり合って本来の音とは異なる音質の劣化した音が聴者の耳に届く場合が多い。
【0003】
そこで、聴取者から、混在した不自然な音や雑音を取り除いて、綺麗な目的音のみを聴きたいという要望が強くあり、そのため従来から種々の方法が提案されている。
【0004】
例えば、ピラミッド型陶磁器ケース内に銅心円柱を置き、その周囲をラジウム鉱石粉末、ブラックトルマリン、ブラックカーボン粉末、チタン・セラミック玉等を詰めた装置をスピーカーの上に設置し、音の歪みを緩和する方法及びその装置が提案されている(特許文献1参照)。
また、電気的な手段によって、ノイズをキャンセルしたり音の指向性を利用して音を制御する音制御装置の提案が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2010−246073
【特許文献2】 特開2010−41600
【0006】
特許文献1は、いわゆる物理的な方法で前記目的を達成しようとしたものである。特許文献2の方法は、電気的な手段によって電気的に音を制御するものである。その手段は、大きく分けて、上記の2つの方法に分けられる。
そこで、既存の公開特許公報及び実用新案の調査において、また図書館でのリファレンスとの共同文献調査をしたが、この発明の音波拡散の整流を目的とした装置、若しくは整流する方法に関するものは見当たらなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、老若男女を問わず人は、生活の場において音を楽しむ機会は多い。コンサートでの楽器の生演奏、歌声、LPレコード、CD、インターネットを介した音楽の聴取の手段が広く一般的に普及し、行われている。
【0008】
然しながら、これらの音は、限定された空間の環境条件、及び使用する音響機器等の影響によって、これが伝達又は再現される過程において音質が大きく損なわれることが多く、当該音が本来有している自然な音を聴くことが難しくなっている。
そこで、この発明では、これらのスピーカーを介した音を当該音が本来有している自然な状態に近い音を聴けるようにすることを課題とする。
以下に、その課題の詳細を説明する。
【0009】
また、以下の説明はスピーカーが床面又はその近傍に一対として置かれている場合が通常であるから、この状態の場合を前提に説明する。それ以外の状態でスピーカーが複数個である場合はその都度言及することとする。
【0010】
いわゆるオーディオ装置は、通常、スピーカー2個が一組として構成されている。以下の説明は、スピーカーの場合には、2個が一組の場合として説明する。
【0011】
そこで、まず音質が損なわれる大きな原因の1つである現象を説明する。
楽器、スピーカー、人声等で発せられる音波は、それらの音源を中心として気圧の粗密波として同心円の輪になって、常温・常圧の下では、毎秒340mの速さで伝播され、音として聴者の耳に達し、音として聴取される。
音源の周囲に音波の進行を妨げる障害物や反射物がない場合は、聴者は直接にその音源からの音を自然な状態で聴取することができる。
【0012】
しかし、実際に音が発せられる環境は、家庭内の部屋、試聴室及びコンサート・ホール、ライブ・ハウスなどの限定された空間内であるから、天井、壁面、床面等の音波の反射面が音源の周りに多数存在しているのが常態である。
従って、この場合聴者は、音源から直接音を聴くと同時に、それぞれの環境に応じた音波反射面からの反射音も重畳して聴いていることになり、個々の音場はそれぞれの独特な音の特性を持ったものとなっている。
【0013】
以下は、スピーカー音を例にして説明する。
室内で、スピーカーから発せられた音は、音波となって四方へ伝播・拡散されて行く。
音の大部分はスピーカーから放出され正面前方向へ直進して行く。また、スピーカーは、発振体であるから、これから四方へも伝播される。
【0014】
各々の限定された環境内で発生する反射音は、直接音に対して一種の残響音としても働き、聴者に快い音として感受され、反射音も一つの効果として作用する場合もある。
しかしながら、反射音が直接音を打ち消す現象が発生するような環境では、直接音自体が変化してしまうので、この種の反射音は聴者にとり、極めて有害なものとなる。
このような環境での音声は極めて不自然な状態に変化してしまっている。
【0015】
この場合、スピーカーから発した音は、これが強く反射される場合、通常、音の反射物として一番近い距離にあるのは、スピーカーの真上の天井からの反射音である。
この天井からの反射音が、ある特定の周波数を持つ場合に、さらに下から逐次上昇して来る次の特定の周波数の音と衝突し、同じ周波数同士が互いに打消し合う結果となり、聴者にはその打ち消された部分の音が欠落しているように聴こえる現象が発生する。このことは、音質に関心を持つ者の間では、古くからよく知られていた好ましくない現象である。
【0016】
特にオーディオ愛好者の多くは、音質へのこだわりが強く、室内等でCD等の再生機器を使用すると、必然的に発生する不自然な音及び雑音及び環境の影響を受けた変質音を取り除いて、綺麗な目的音のみを聴きたいという要望が特に強いことが知られている。
【0017】
前記の現象が生じた場合、聴者は、スピーカーから近い距離に位置している関係から、音の減衰が少ないので、聴こえるべき周波数帯の音が部分的に欠落したように聴者には感じられ、音感の鋭い聴者には致命的な欠陥音として受け取られる。
従って、この好ましくない現象の発生を未然に防止又は発生を減少できれば極めて好ましいことであり、これを本願発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以上の状況に鑑み、発明者は、前記課題を解決するため、試行錯誤を重ねつつ、鋭意研究の結果、音の指向性を利用して、所定の位置に音波反射体を配置し、音波の流れを整えれば、欠落音の発生を未然に防止して延いては、全体として音質の劣化を抑止でき、目的音のみの綺麗な音が得られることを見出し、この発明を完成した。
【0019】
そこで、この発明は、種々の条件の環境下においても、この有害な反射音に限ってその発生を未然に防止する方法を提供する。
【0020】
この発明は、音が天井で反射される環境で使用されることを前提としている。
オーディオ等による音楽等の聴取は、特殊な場合を除き、限定された空間の室内等で行われる。この場合、広狭の違いはあっても、室内であれば四囲を壁等で囲まれ、床と天井があり音が反射される。
【0021】
人の歌声、生の楽器の演奏であっても音響機器を介して最終的にスピーカーから発せられる音源であれば、この発明はこれ等のすべての音に適用できる。
【0022】
前記研究の結果、前記有害音の原因は、通常の状態であるスピーカー等が床面又はその近傍にある場合、特に天井からの反射音による影響が一番大きいとの認識を得て、これを解決すれば、問題となる音のかなりの部分の劣化を防止できることが解った。
試行の過程で、特に音の出口と天井の反射面との距離の長さのうち、天井から前記の長さの1/2及び1/3の地点に音波反射体を置くと、高い防止効果が得られることが解かった。この知見に基づき、この発明は、天井からの反射音による悪影響を未然に防止することで課題を解決するものである。
【0023】
しかも、この課題の解決手段は、極めて簡便な方法で且つ、低コストで、即効的に優れた効果が得られるものである。即ち、コストの高い複雑な電気的な制御・整流手段ではなく、音響学的な見地からの解決策である。
【0024】
即ち、この発明は、限定された空間内で発せられたスピーカー音を音波反射体で整流する方法において、
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点に、各音波反射体の重心点を置くことを特徴とする音波反射体で音を整流する方法であり、限定された空間内で発せられたスピーカー音を音波反射体で整流する方法において、
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/3の地点に、各音波反射体の重心点を置くことを特徴とする音波反射体でスピーカー音を整流する方法である。
【0025】
また、限定された空間内で発せられた音を音波反射体で整流する方法において、
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から両側壁面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ両側壁面から、前記線の長さの1/2の地点及び1/3の地点に、それぞれ各音波反射体の重心点を置くことを特徴とする音波反射体でスピーカー音を整流する方法である。
【0026】
また、限定された空間内は、住居の部屋、オーディオ・システムを配置した試聴室、劇場、音楽ホール等における音場内である音波反射体でスピーカー音を整流する方法である。
【0027】
また、音波反射体の形状は、球状、ビー玉を多数個ネットに入れて球状にしたもの、楕円球状、円錐状、角錐状、三角錐状、双円錐状、双角錐状、双三角錐状、円柱状、白熱電球、LED電球である音波反射体でスピーカー音を整流する方法であり、音波反射体の材質は、水晶、大理石、ラピスラズリ等の石材、ガラス、硬質金属、陶器、硬質プラスチック、硬質木材である音波反射体でスピーカー音を整流する方法でもある。
【0028】
また、音波反射体の寸法は、ボイスコイル・ダイアフラムの直径の長さ50〜500%の範囲内である音波反射体でスピーカー音を整流する方法であり、音波反射体を置く位置のずれが許容される範囲は、音波反射体が、音の出口の中心点と整流の対象とする音の反射面に対し、垂直となる線の線上を遮る位置にある音波反射体でスピーカー音を整流する方法である。
【0029】
また、音波反射体の設置手段は、ワイヤー、鎖、紐等による天井から吊下、対向する壁面間に懸装、植立したスタンドから突出した腕に吊下した音波反射体でスピーカー音を整流する方法である。
【発明の効果】
【0030】
この発明によれば、音波反射体を使用するという極めて簡便な手段で、スピーカーから発した音と、天井からの反射した同じ周波数の音同士が相互に消し合う現象の発生を未然に防止して、欠落部分のない目的音のみを透明感のあるクリアーな音で聴取できる効果が得られる。
【0031】
この発明によれば、大掛かりな叉は複雑な装置を必要とせず、音波の性質に添った極めて簡単な装置で、且つ少ないコストで有効な効果が得られる。
【0032】
さらに、この発明は、通常の住居内のみならず、教室、音楽ホール等の広い場所であっても、この方法を適用して欠落部分のない透明感のあるクリアーな音にして聴者に提供できる効果がある。
【0033】
広く普及している家庭内の手持ちのオーディオの音がこの発明により、格段に改善され、心地よく音楽等を楽しむことができる。
【0034】
更に、簡単な原理に基づいているので、誰でも理解でき、簡単に取り付けられ、天井下部の使用されていない空間に球体等のアクセサリーが空中に浮かんでいるという遊び心を持ったオーディオ・システムが安価に入手できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】は、室内に設置したスピーカーから発した音波の伝播する状態を示す概念図。
【図2】は、天井との距離の所定の長さの1/2の位置に音波反射体を置いた例で、直接音と反射音の音波の進行・反射の状態を示す概念図。
【図3】は、天井との距離の所定の長さの1/3の位置に音波反射体を置いた例で、直接音と反射音の音波の進行・反射の状態を示す概念図。
【図4】は、本願発明の音波反射体を設置した場合の音波の進行・反射の状態を示す概念図。
【図5】は、本願発明の音波反射体を設置した場合の音波の進行・反射の状態を示す概念図。
【図6】は、本願発明の音波反射体を1/2と1/3の位置に縦に2個連設した場合の音波の進行・反射の状態を示す概念図。
【図7】(a)は、本願発明の音波反射体を2個連設した場合を示す概念図。(b)は、本願発明の音波反射体を2個連設した場合を示す概念図。(c)は、本願発明の音波反射体を2個連設を併設した場合を示す概念図。
【図8】(a)天井が傾斜している場合の設置例。(b)天井が傾斜している場合の設置例。(c)天井が波型である場合の設置例。
【図9】(a)〜(e)は、音波反射体の吊下又は懸装手段を示す図。
【図10】(a)〜(h)は、音波反射体の他の形態例を示す図。
【図11】は、スピーカーのボイスコイル・ダイヤフラムの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明は、スピーカーを介して発せられた音が、天井からの反射して来る音と、音源から逐次発せられて上昇して来る音とが衝突し、互いに消し合って一部の音が欠けてしまう現象、即ち欠落音の発生を未然に防止する手段を講じ、目的音のみを乱れのない状態の綺麗な音で聴くことができる方法に関する。
【0037】
以下の本願発明の作用・効果の説明の前提として、音の基本的な性質について参考まで概略を述べる。
音は空気の振動であり、この振動が、周りの空気に伝わって行くと、音が聞こえることになる。全ての音は波であり、全て波の法則に従っている。
従って、空気のない真空状態では音は伝わらない。
【0038】
ある物体が刺激により振動すると、これが空気に伝わり空気が振動する。空気の振動は、空気の密度の下がった「疎」の部分と、空気の密度が濃い「密」の部分ができ周囲に伝わって行く。このとき、空気自体は移動せずに、その場で前後に振動を繰り返している。
このように、「疎」と「密」のような変化が、波動エネルギーとして次々に伝わる現象を「波」という。このことから、音は「疎密波」、「音波」と呼ばれている。人の耳は、空気の何回もの「疎密波の振動」を感じ取っていることになる。
【0039】
音は、物の振動が空気に伝えられたものであり、発音体の近くでは、空気が集まった「密」な部分や、空気がまばらな「疎」な部分が交互に出来る。この「密」と「疎」な状態が周りに広がって行く「疎密波」である。
【0040】
講学上、音の三要素として、音の高さ、強さ、音色をいうことは周知のことである。
ピアノの高い音と低い音は、全く違って聞こえるが、どちらも疎密波である。このような音の高さの違いはどのように決まるのか。高い音は、小刻みに沢山振動しており、低い音は、緩やかに振動している。これが「音の高さ」の正体である。1秒間に振動する回数が多いと「高い音」に、少ないと「低い音」になる。この「1秒間に振動する回数」又は「1秒間に向きを変える度数」を「振動数・周波数」といい「ヘルツ・Hz又はサイクル」という単位で表す。この振動数が多いほど、音波が1秒間に移動する距離が決まっているので、その音波の波長は短くなる。
【0041】
音の大きさは、「密」な部分と「疎」な部分の密度の差(振幅)が大きいほど「大きい音」になり、逆に、密度の差が小さいと「小さい音」になる。
【0042】
音の疎密波は、横波のような曲線に置き換えて描くと、音の高さや大きさなどの特徴が解かりやすくなる。山と山の間隔が「波長」を表している。また、山が高いほど「密」であることを、谷が深いほど「疎」であることを表している。この山と谷の高低差が「振幅」である。また、音波は伝達して行く過程で減衰する。
【0043】
この発明は、音波反射体を使用したスピーカー音の整流方法である。
即ち、この発明は、先ず、音質に一番悪影響を与える反射音を対象にして、音を整流する。
通常、音が床面に置いたスピーカー(音源)から発して、天井に向かう音と、天井から反射して来た音が衝突して、その結果音圧を失うと思われる地点をA点として、この位置に音波反射体を置き、大きな音の乱れの発生を未然に防止する。この設置点の算定は床面からの高さではない。
【0044】
音源からの直接音が、天井及び壁面等からの反射音と衝突して打ち消されるという現象が発生する状態において、この発明の音波反射体を使用した場合の作用及びその効果について、その事例を一般の家庭のオーディオ・システムの場合を例に図面に基づき、詳細に説明する。
【0045】
図2、スピーカーは、ボイスコイル・ダイアフラム(図11中の13)とダイアフラム(図11中の13b)の前後の振動によって音を発する。ダイアフラム(13、13b)が前に押し出される時は、スピーカー前面の空気層(図11中のB)の気圧が上昇し、逆にダイアフラムが後方へ移動する時は、空気層Bの気圧は降下する。
空気層Bの気圧の変動が、波動エネルギーとなり、聴者の鼓膜に伝わり、音として聴取される。
当該技術分野では、ダイアフラムが前へ押し出す動きをしたときが正相の位相、引き込まれる時を逆相の位相の音波として定義されている。
【0046】
このダイアフラムの運動の周期が、1秒間に100回行われると100Hzの周波数の音として聴取される。
ダイアフラム前面の空気層Bの気圧の変化が伝播する速さ、即ち音速は1気圧・常温で340m/秒であるから、音の周波数により、1周期の音の移動する距離、即ち波長の長さが異なってくる。100Hzの音波を例にすると、その波長は340m÷100=3.4mとなる。
【0047】
図2は、天井10のある限定された空間の床に設置されたスピーカー・システムのボイスコイル・ダイアフラムの中心13と天井10との距離Hの長さを丁度1波長とする放射音波11−1と、その2倍の周波数を持つ放射音波11−2という特定の周波数の音波の場合を表している。
この2種の音波は、天井面10に垂直に入射した場合、反射音波12−1及び12−2となって、再びボイスコイル・ダイアフラム13に回帰することとなる。
【0048】
放射音波11−1がスピーカーより正相で放射されたとすると、天井10にて正相の位相で反射し、ボイスコイル・ダイアフラム13に、発射時点と同じ正相で戻って来ることとなる。この時、ボイスコイル・ダイアフラム13は放射音波11−1の2波長後の音波が正相で放射されようとしているが、反射音波12−1が正相の押し出す方向の圧力で逆方向より回帰するので、強い外圧を受けることとなる。
【0049】
ボイスコイル・ダイアフラム13が外圧によりその運動を掣肘又は抑制されたり、放射した音波が方向により、打ち消されたり、方向を曲げられたりする種々の弊害が発生する。
放射音波11−2は、放射音波11−1の2倍の周波数を持つ音波であるが、反射して戻る音波12−2も同様に正相で、ボイスコイル・ダイアフラム13へ回帰する。このように、放射音波11−1の周波数の整数倍の多くの音波は同様な弊害を受けることとなる。
【0050】
例えば、ボイスコイル・ダイアフラム13と天井10との間の距離が1.5mである場合は、放射音波11−1は230Hzとなり、その整数倍の周波数460Hz、690Hz、920Hz‥‥‥と多くの周波数がこの弊害を受ける。
【0051】
反射音波が自らの放射音波を減衰させたり、放射方向を曲げられたりする、一種の共鳴現象とは逆の結果を招く現象により、聴者には特定の多くの周波数を直接そのまま聴取できず、一種の減衰若しくは欠落した如き音を聴くこととなる。
【0052】
図3は、スピーカーより正相で放射した音波が、天井で反射し正相でスピーカーへ回帰する現象を起こす別の特定の周波数の現象を表している。
波長a´を持つ放射音波11−3の3波長の長さが、ボイスコイル・ダイアフラムと天井との距離Hの往復の行程2Hに等しい場合、この現象が発生する。
この場合の波長a´を求めると
3a´=2Hより、a´=2/3H となる。
この放射音波11−3は、天井に垂直に入射する時、波長a´の半波長で入射するので、逆相で反射することになる。
【0053】
反射音波12−3が一波長後に到来する放射音波と正相で対向する点A´は天井からの距離をbとすると、
b=H−a´
=H−2/3H
=1/3H
図2の現象と同様に、放射音波11−3の場合も、波長a´の周波数の整数倍の多くの周波数が同様な弊害が発生する。
H:1.5mの場合、放射音波11−3の周波数は
340m÷(1.5m×2/3)=340Hz
従って、340Hz、680Hz、1020Hz‥‥‥という特定の多くの周波数で、聴者には、発生音圧エネルギーを十分伝えられないこととなる。
【0054】
図2は、スピーカーが正相で放射した音波が天井で正相で反射し、スピーカーへ再び正相で回帰すると言う弊害を表しているが、図3は正相で放射した音波が天井で逆相時に反射し、スピーカーへ回帰した時点で、正相になって弊害を起こす場合を表しているが、この弊害を皆無にする唯一の方法は、天井に向かう放射音波と天井に垂直に入射して同じ経路を通って反射する音波の経路において、放射音波と同じ位相で放射点であるボイスコイル・ダイアフラム13に回帰する特定の周波数の周期の完結を防止し、同位相の信号が対向する条件を除去することにある。
【0055】
図4、図5、図6
図2においては、Hの中央点であるAは、放射音波11−1、11−2が反射音波12−1及び12−2が互いに同位相で対向する点、図4の如く、この特定点Aに音波反射体14を設置すると放射波17、18は、反射体14にて進路を曲げられ、周波数としての波長を完結することが不可能となる。
放射音波19、20のように反射体14の外周を回折して天井に到達しても,反射波19´、20´は反射体14の裏側の面で反射放散し、天井からの反射波がスピーカーへ同相で回帰することは皆無となる。
【0056】
図5、図3は、放射された音波が逆相で反射し、同位相で音源に回帰する場合で、音波反射体14´は、放射波と反射波が同相で対向する点A´点に配置される。
図4と同様に、反射波は再びスピーカーへ同位相で回帰することはない。
【0057】
図6は、音波反射体14及び14´を所定の位置A及びA´にそれぞれ配置した場合を表している。
天井10で放射音波の発生と同じ位相で反射する場合の弊害波は〔図4〕の如く、音波反射体14により、弊害は解消されると共に、天井10で放射音波の発生時と逆の位相で反射する他の弊害波の場合は、放射音波21及び22の如く、波動エネルギーを持つ音波は音波反射体14を通り越してA´点で、その周期を完結しようと到来するが、図5の如く、音波反射体14´により、放散されるので、スピーカーに音波発生時と同位相で回帰する多くの周波数の音波が、音波反射体14及び14´により、A及びA´点での同相で対向して音圧を減少する現象及び同相でスピーカーに回帰して、ボイスコイル・ダイアフラムの振動に外圧を掛ける等の現象を完全に解消することができた。
【0058】
径8cmの音波反射体を使用した場合、この音波反射体の径と同じ波長の周波数は、34000cm÷8cm=4250Hzとなる。
このことは、4250Hz以上の高音を持つ音波は音波反射体の径の中で一波長形成ができず、結果として完全に、直接波、反射波共に音波反射体で反射放散し、音源に回帰しない。
【0059】
従って、径8cmの音波反射体が作用するのは、4250Hz以下の特定の周波数と、4250Hz以上の全ての周波数帯となる。
径8cmの音波反射体がA部を通る所定の垂直線からずれて配置されると、4250Hzはそのずれの程度により上昇する。
径8cmの音波反射体がA部を通る所定の垂直線上にあれば、その位置はA部に限定されず、何処の位置でも4250Hz以上の高音に有効に働く。
【0060】
次に、この発明で使用する音波反射体の詳細について説明する。
【0061】
音波反射体の使用環境
この発明を適用できる環境を説明する。
限定された空間は、室内の場合、床、天井、四囲を面等で囲まれた空間で、家庭内の部屋、試聴室をいう。
この場合、天井が傾斜したものであっても、この発明を適用できる。
【0062】
本願発明による音波を整流する対象は、オーディオ・システム等のスピーカーを介した音である。
また、部屋の天井が傾斜している場合は、天井で音波を垂直に受ける面を特定し、その面に対して垂直な線と、音の出口又はスピーカーの中心点を結ぶライン上に合致点A及びA´を前記述と同様な方法で求め、その位置に音波反射体が配されるようにすることで、同様の整流効果を得ることができる。
【0063】
図8(a)は、両スピーカー配列と同じ横方向に傾斜した天井の場合、図8(b)は奧行き方向に傾斜している場合、そして図8(c)の波形天井の場合を表している。何れの場合でもこの理論は適用できる。
壁面が正方形、長方形でない変形の部屋であっても、同様にこの発明を適用できる。
【0064】
音源の種類
この発明が対象とする音源は、スピーカーを介した音である。
【0065】
音源の場所と音波反射体の設置個所との関係
音波反射体は、その場の環境によって、一番反射音が強く、環境内の音に悪影響を与えていると思われる箇所を選んで優先的に対処する。
【0066】
そして、種々環境条件が異なる場合においては、通常の対応では十分な音の整流効果が得られない場合や、又は、さらに効果を求める場合は、音波反射体の大きさを変えたり、設置する数を増やしたりすることで対応することもできるので、調整を試みる。
【0067】
この発明では、部屋の中でのスピーカー音の反射は、天井を対象とし、聴者の対面する正面壁面及び背面の壁面の反射音は、格別に考慮しなくとも良い。
【0068】
音波反射体の設置数
音波反射体は、原則的に、音源1つに対して、A点及びA´点について各々1つの音波反射体を対応させて、設置すればよい(図4、図5参照)。
また、A点及びA´点それぞれに複数個配置することも可能であるが、音波反射体を多数設置したからと言って、必ずしもその数に応じてその分、効果が上がると言う関係にはない。
【0069】
音波反射体の設置の数は、原則としてスピーカーの上方の所定の位置に各々1つ配置する。音源が複数ある場合は、複数個、複数組み配置することも可能であるが、ただ、単に個数を多く増やしたからといって、その分効果が高くなるという試験結果は見られなかった。
【0070】
音波反射体の形状
また、音波の整流に使用する音波反射体の形状は、以下のようなものが使用できる。
球状、ビー玉を多数個ネットに入れて球状にしたもの、楕円球状、円錐状、角錐状、三角錐状、双円錐状、双角錐状、双三角錐状、円柱状、白熱電球、LED電球でも良い(図10参照)。
【0071】
最も好ましいのは、水晶又はガラスの単一材質の球体である。
音波反射体は音波を反射する機能を果たすから、表面の状態は平滑なものであれば良い。
【0072】
球体以外の形状の音波反射体を用いて、その効果を確認した。
これらのものは、図10参照。図示の位置に吊下用リングを設けることが望ましい。
他方、球状以外の形態のものは、音波反射体の形状、部屋の状況、家具の配置等により微妙な変化が起こりうるので、具体的には理論的に割り出した設置場所を中心に、最適箇所を試行して検出する事前の調整が必要な場合がある。
【0073】
また、形状が非対称なもの又は不定型のものは、重心点の割り出しが難しく、且つその音の整流効果も非対称に生じ、効果の予測が難しく、且つ効果が小さい。
結論的には、不定形のもの及び非対称形のものは、調整が難しく、あまり好ましくない。
【0074】
音波反射体の材質
音波反射体の材質は、音波反射能力の高い硬質な材料が良く、全周波数帯域で効果が発揮されることを確認している。他方、軟質な材質は低音域のみ効果があるが、高音域では、効果が減少する傾向がある。
【0075】
最適な素材としては、水晶、大理石、ラピスラズリ、その他の石材、ガラス、各種硬質金属、陶器、硬質プラスチック、硬質木材等である。白熱電球、LED球などの電球が使用できる。球状のものは中空のものより、空洞がないものの方が効果が高い。
音の整流効果が少ない素材としては、軟質木材、軟質プラスチック、紙材等、他の材料で硬度の低い素材。但し、何れの材質のものであっても、表面が平滑なものが好ましく、平滑でないものは好ましくない。
【0076】
音波反射体は、装飾上の見地から、好みの色彩・模様を施したものであってもよい。音波反射体は音を吸収しない表面が平滑なものであれば良い。
【0077】
音波反射体の寸法
反射体の大きさ(寸法)は、実験によれば、球状の場合は、スピーカー音では、球体の直径50mm以上のものから明瞭に効果が確認され、それ以下の直径のものは、小径に成る程判然とした効果の違いの判定が難しい。
【0078】
配置する音波反射体の寸法は、その径は使用するスピーカーの縦断面を表す図11に示されるボイスコイル・ダイアフラムの直径dの長さの80%から200%の範囲が良い。最も好ましい径は、約120%の大きさである。
例えば、ボイスコイル・ダイアフラムが6cmの場合、球体反射体では直径8cmがベストとなる。80%に満たないものは、その効果が急速に低下して、判然とした効果が確認できない。
【0079】
また、寸法が200%を超えるものは、その効果が低下して、音の明瞭度に関して判然とした効果が確認できない。
要するに、小さい方への移行は、段階的に効果が減少し、大きい方向への移行は、その効果がなだらかな変化となる。
球体以外のその他の形状の場合は、寸法は上記と略同様に考えればよい。
【0080】
音波反射体の設置箇所
この発明は、球体を用いる場合、スピーカーの中心点と天井面に対し、垂直となる線上で、前記線の長さを測り、天井面からその長さの1/2又は、1/3の位置に、音波反射体の中心点を置くようにする。
更には、前記の位置にそれぞれ2つ連ねて配置することも可能である。
但し、球状物以外の場合には、その具体的な設置に当たっては、部屋の状況、家具の配置等により微妙な変化が起こりうるので、具体的には理論的に割り出した設置場所を中心にして、最適箇所を試行して見出す調整が必要な場合もある。
【0081】
音波反射体の配置の位置のずれの許容範囲
音波反射体の最大の効果を得るには、音波反射体を所定の位置に正しく配置する必要があるが、然しながら、多少の位置ずれは、許容される。
【0082】
音波反射体を置く位置のずれが許容される範囲は、音波反射体が、音の出口の中心点と整流の対象とする音の反射面に対し、垂直となる線の線上を遮る位置に音波反射体の一部があればよいこととなる。
【0083】
音波反射体の設置手段
天井に設けたフック15から、細いワイヤー、鎖又は丈夫な紐等で所定の位置に吊下するのが好ましい。図4、図5参照。
長期間の配置中に位置ずれ等の発生を防止するため、伸縮性の少ないものが望ましい。
天井から音波反射体を吊下することができない場合は、図9の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)のような方法で、壁面間に懸装することも可能である。
図9(a)は、左右の壁から細い棒若しくは紐等を張って、そこより音波反射体を懸装する方法である。
【0084】
さらに、具体的には、音波反射体の設置は、予め音波反射体にリング状の止め具を固定し、天井に吊下用のフックを設け、前記のワイヤー、鎖、紐等の丈夫な素材のもので吊下すのが良く、好ましい。
【0085】
また、特に音波反射体が重い材質の場合は、安全上の見地から、落下を防ぐのに十分頑丈なフック・吊下紐を使用する配慮が必要である。その他、種々の懸装手段が考えられるが、要は、上記以外の手段であっても所定の位置に音波反射体が正しく固定して配置されていれば良い。
【0086】
図9(b)は、壁面間に一本の紐若しくは棒と紐等を張ってそれぞれ音波反射体を懸装する方法である。
図9(c)は、天井と壁の間の梁を使い2本の紐等でそれぞれ音波反射体を吊下する方法である。左右の音波反射体の位置の微調整が簡単にできる。
図9(d)は、左右の壁若しくは背面の壁からアンカーを伸ばして、そこに音波反射体を吊下する方法である。
図9(e)は、床よりスタンドを使い吊下する方法である。
【0087】
比較試験例1
音の波形測定機器による比較
実施例1記載の環境条件下による。本願発明の音波反射体を設置した場合と、これを設置しなかった場合との効果を比較試験した。
【0088】
測定に使用した機器は下記の通り。
使用したスピーカー:JBL−S2500であり、スピーカーのダイヤフラム直径は、6cmである。
マイクロフォン:ソニー社ダイナミック型 F−V420
使用した解析ソフト名: 音響分析スステムDSSF3 バージョン5.2.0.10 Realtime Analyzerの周波数特性機能にて計測した。 会社名 吉正電子株式会社
パーソナルコンピューター: Gateway GT5686j
【0089】
この発明の効果確認のため、この部屋の音圧周波数特性を試聴位置にマイクロホンを固定して測定したところ、対策前の特性は[表1]、整流作用のある音波反射体(水晶球・直径8cm)を設置した場合の特性は[表2]、[表3]、[表4]となった。
【0090】
音は、その波形により、ある程度の音の特性を判定することが可能である。
以下に本願発明の音波反射体の設置条件を変えた場合について、それぞれについて、得られた音の波形測定結果を、[表2]、[表3]、[表4]について示し、その評価も併せて示す。
【0091】
[表1]は、比較対照のため実施例1記載の環境下で、本願発明の音波反射体を設置していない場合。
[表2]は、実施例1記載の環境下で、各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点に、各音波反射体の重心点を置いた。
[表3]は、実施例1記載の環境下で、各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/3の地点に、各音波反射体の重心点を置いた。
[表4]は、実施例1記載の環境下で、各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点、及び1/3の地点に縦に連ねて各音波反射体の重心点を置いた。
【0092】
比較試験例2
官能試験による評価
前記の[表1]、[表2]、[表3]、[表4]の各場合について、官能試験による音質の評価を行った。
クラシック音楽の愛好家3名(俗に、音にうるさい人)に、同じ曲(クラシック)を異なる日に合計2回に亘り、比較聴取を依頼し、その音質に関する官能評価を得た。
【0093】
試聴の結果、劇的変化を感じることができた、と全員から高い評価を得た。
さらに、効果の確認のために、異なる日にそれぞれ上記3名以外の複数の聴者に比較試聴を行って頂いたが、全ての試聴において同じ評価の結果が得られた。
また、現在の処、この評価の違いの表現は音に敏感な人の感性による官能評価による他なく、これ以上表による表示又は数値化したデータとしては示せない。
【0094】
各測定事例は、特性を比較するとスピーカー自体の持つ周波数特性を除外してその変化を比較すると、整流用の水晶球を設置した方が凹凸の少ないスピーカー本来の周波数特性に近い状態に改善され変化していることが明瞭に解かる。
【0095】
[表2]、[表3]、[表4]に関する総合的な評価内容‥‥各表の場合、低音域の量感、中音域から高音域に至るまで、今までにない自然で滑らかな音声は初めて体感できるもので、本願発明の適用前の音声[表1]と比較すると、その差は歴然としている。
【0096】
[表1]は、実施例1記載の環境下で、本願発明の音波反射体を設置していない場合。
【0097】
【表1】
【0098】
(評価の詳細)低音域から中音域にかけての音の繋がりが悪く、量感が不足していて、パワー感のある音が出ていない。中域から高域にかけては、ザラついて滑らかな音がない。
【0099】
[表2]は、実施例1記載の環境下で、本願発明の音波反射体を設置した場合。
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点に、各音波反射体の重心点を置いた。
【0100】
【表2】
【0101】
(評価の詳細)低音域から中音域がスムーズで力強く、中音域から高音域は、滑らかで、機械的な音ではなく、豊かな自然な音の佇まいが感じ取れる。
【0102】
[表3]は、実施例1記載の環境下で、本願発明の音波反射体を設置した場合。
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/3の地点に、各音波反射体の重心点を置いた。
【0103】
【表3】
【0104】
(評価の詳細)低音域もさることながら、特に中低音が充実したものとなり、そこより高音域への繋がりも自然で、パワー感と自然感とが両立している。
【0105】
[表4]は、実施例1記載の環境下で、本願発明の音波反射体を設置した場合。
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点、及び1/3の地点に、縦に連ねて各音波反射体の重心点を置いた。
【0106】
【表4】
【0107】
(評価の詳細)低音域から高音域の全音域で、自然な滑らかさと、パワー感があり、更に生々しい音、ボーカルのレコードでは、スピーカーの位置で、あたかも歌手がそこで歌っているような感じがし、生々しさと臨場感があり、今まで経験したことのない実在感のある音が再生された。
【0108】
以下に実施例を示す。この発明は、実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0109】
図2、図4に基づき説明する。
音は一対のスピーカーを介した音である。
各音の出口が床面9又は床面9の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点に、各音波反射体の重心点を置いた。
【0110】
オーディオ・システムを配置した試聴室で行うこともできるが、この実施例ではスピーカーを設置した部屋は、一般家庭の木造家屋の部屋である。
部屋の大きさは、横幅422cm、奥行きは510cmの略四角な部屋であり、部屋の広さは21.5平方メートル(約13畳)である。
横の両側面は壁7、7aであり、正面はガラス戸、背面はふすまである。
天井10は水平であり、天井の高さは、床から226cmである。
【0111】
スピーカー1個の大きさは、幅は33cm、高さは95cm、奥行きが36cmである。スピーカーの中心点は床面9から64cmの高さに、中心点がある。
スピーカーのダイアフラム直径は、6cmである。スピーカー1、2は、合計2個配置した。
スピーカー1、2の設置場所は、スピーカー1、2の中心点3を右は右壁面8より133cm、左は左壁面7から121cmに置き、両スピーカーの中心点の間隔は168cmである。
【0112】
両スピーカー1、2は、ガラス窓からスピーカーの中心点3が75cmの位置である。試聴者5は、ガラス戸に向かって、両スピーカーと等距離のスピーカー前面より280cmの位置のソファーに座った状態である。
【0113】
一般家庭でのステレオ・システムの例である。音波反射体は、直径8cmの水晶球を2個使用した。
使用したスピーカーは、JBL−S2500(米国・JBL社製)の1組み(2つ)である。
【0114】
天井10の高さは床9より226cmであるので、スピーカーの中心点3と天井10の距離Hは162cmとなる。
【0115】
この部屋で試聴すると、前述の現象による消滅周波数は、H:162cmが一波長なので、210Hzとなる。そして整数倍の420Hz、630Hz、840Hz‥‥‥‥と多くの周波数で弊害が起きていることになる。
【0116】
この実施例では、音波反射体は、直径8cmの水晶球14を2個使用し、左右のスピーカーの上方の所定の位置に天井よりワイヤーで吊下した。
この所定の位置とは、天井面がスピーカーからの音波を垂直に受ける面、即ち、スピーカー前面のスピーカーの中心点と天井との反射面に対して垂直となる線の線上で、天井から前記線の長さの2分の1の長さ、天井から81cm、即ち、H:162cmの2分の1の距離である。
水晶球14の中心点が、前記直接音と反射音とが出会って打ち消される点であるA点に設置した(図4参照)。
【実施例2】
【0117】
図3、図5に基づき説明する。
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/3の地点に、各音波反射体の重心点を置いた。音波反射体は、直径8cmの水晶球14´を各々2個使用し、左右のスピーカーの上方の所定の位置に天井よりワイヤーで吊下した。
【0118】
この部屋でのスピーカー配置は、音波を垂直に受ける壁面は天井10が殆どであるので、天井とスピーカー1、2との間で発生する有害反射音に対する対策でその効果が判断できることとなる。
この部屋で試聴すると、前述の現象による消滅周波数は、H:162cmの3分の2から波長は108cmなので、315Hzとなる。そして整数倍の630Hz、945Hz、1260Hz‥‥‥‥と多くの周波数で弊害が起きていることになる。
【実施例3】
【0119】
図6に基づき説明する。
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点、及び1/3の地点に、縦に連ねて各音波反射体の重心点を置いた。音波反射体は、直径8cmの水晶球14、14´を各々2個使用し、左右のスピーカーの上方の所定の位置に天井よりワイヤーで吊下した。
【実施例4】
【0120】
図7に基づき説明する。
現在、スピーカー・システムには、複数のスピーカー・ユニットを使用した機種も多い、再生周波数帯域を分けて、より音のクオリティーを上げる目的で組み合わせたものである。
音波反射体は、直径8cm、及び6cmの水晶球を2個使用し、左右のスピーカーの上方の所定の位置に天井よりワイヤーで吊下した。
図7(a)は高音用と中低音用を備えた縦型の2ウェイ型である。
図7(b)は、高音、中音、低音と分けた縦型の3ウェイ型である。
一般的には2ウェイ型では(a)、中低音用スピーカーから天井までの距離をHとして、3ウェイ型では(b)では、中音用のスピーカーから天井までの距離をHとして、両者の場合1組の音波反射体で対応できる。
【0121】
しかし、図7(c)のように横型のタイプの場合は、個々のスピーカーに対応して音波反射体を配置することも可能で、より効果を上げることができる。
スピーカーによっては、スピーカー・ユニットを横配列で配置したタイプもある(横型)。この場合は、個々のユニットに対して音波反射体を図7(c)のように配置すると最良の効果が得られる。
【実施例5】
【0122】
図8に基づき説明する。
部屋の天井が傾斜している場合(a)、(b)、波型をしている場合(c)、その設置状態を示したものである。
即ち、スピーカーの中心点と、音波を反射する天井面とが垂直になる線の線上の位置を考えて、音波反射体の設置位置であるA点及びA´点を割り出すことになる。
音波反射体は、直径8cm、及び6cmの水晶球を各々2個使用し、小さい方を下方にして、左右のスピーカーの上方の1/2、及び1/3の位置にそれぞれ縦に連ねて天井よりワイヤーで吊下した。
【産業の利用可能性】
【0123】
この発明に拠れば、音響機器の付帯品として、製造・販売ができる。
【符号の説明】
【0124】
A、A´ 合致点(音波反射体の設置個所)
B 空気層
H スピーカーの中心点から天井までの距離
a、a´ 一波長の長さ
b A´点と天井との距離
d ボイスコイル・ダイアフラムの直径
1 左スピーカー
2 右スピーカー
3 スピーカーの中心点
4 波紋状の音波
5 音の聴者
7 左壁面
7a、8a、9a 家具
8 右壁面
9 床
10 天井
11−1、11−2、11−3、17、18、19、20、21、22 放射波
6、12−1、12−2、12−3、19´、20´、22´ 天井からの反射音
13 ボイスコイル・ダイアフラム
13b ダイアフラム
14、14´、14−2〜14−5 音波反射体
15 懸架用フック
16 懸架用ワイヤー
23 スタンド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
限定された空間内で発せられたスピーカー音を音波反射体で整流する方法において、
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点に、各音波反射体の重心点を置くことを特徴とする音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項2】
限定された空間内で発せられたスピーカー音を音波反射体で整流する方法において、
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/3の地点に、各音波反射体の重心点を置くことを特徴とする音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項3】
限定された空間内で発せられたスピーカー音を音波反射体で整流する方法において、
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点及び1/3の地点に、それぞれ各音波反射体の重心点を置くことを特徴とする音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項4】
限定された空間内は、住居の部屋、オーディオ・システムを配置した試聴室、劇場、音楽ホール等の音場内であることを特徴とする請求項1〜3記載の音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項5】
音波反射体の形状は、球状、ビー玉を多数個ネットに入れて球状にしたもの、楕円球状、円錐状、角錐状、三角錐状、双円錐状、双角錐状、双三角錐状、円柱状、白熱電球、LED電球であることを特徴とする請求項1〜4記載の音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項6】
音波反射体の材質は、水晶、大理石、ラピスラズリ等の石材、ガラス、硬質金属、陶器、硬質プラスチック、硬質木材であることを特徴とする請求項1〜5記載の音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項7】
音波反射体の寸法は、ボイスコイル・ダイアフラムの直径の長さの50〜500%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜6記載の音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項8】
音波反射体を置く位置のずれが許容される範囲は、音波反射体が、音の出口の中心点と整流の対象とする音の反射面に対し、垂直となる線の線上を遮る位置にあることを特徴とする請求項1〜7記載の音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項9】
音波反射体の設置手段は、ワイヤー、鎖、紐等による天井から吊下、対向する壁面間に懸装、植立したスタンドから突出した腕に吊下したことを特徴とする請求項1〜8記載の音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項1】
限定された空間内で発せられたスピーカー音を音波反射体で整流する方法において、
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点に、各音波反射体の重心点を置くことを特徴とする音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項2】
限定された空間内で発せられたスピーカー音を音波反射体で整流する方法において、
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/3の地点に、各音波反射体の重心点を置くことを特徴とする音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項3】
限定された空間内で発せられたスピーカー音を音波反射体で整流する方法において、
各音の出口が床面又は床面の近傍である場合、各音の出口の中心点から天井面に対してそれぞれ垂直となる線上で、且つ前記天井から、前記線の長さの1/2の地点及び1/3の地点に、それぞれ各音波反射体の重心点を置くことを特徴とする音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項4】
限定された空間内は、住居の部屋、オーディオ・システムを配置した試聴室、劇場、音楽ホール等の音場内であることを特徴とする請求項1〜3記載の音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項5】
音波反射体の形状は、球状、ビー玉を多数個ネットに入れて球状にしたもの、楕円球状、円錐状、角錐状、三角錐状、双円錐状、双角錐状、双三角錐状、円柱状、白熱電球、LED電球であることを特徴とする請求項1〜4記載の音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項6】
音波反射体の材質は、水晶、大理石、ラピスラズリ等の石材、ガラス、硬質金属、陶器、硬質プラスチック、硬質木材であることを特徴とする請求項1〜5記載の音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項7】
音波反射体の寸法は、ボイスコイル・ダイアフラムの直径の長さの50〜500%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜6記載の音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項8】
音波反射体を置く位置のずれが許容される範囲は、音波反射体が、音の出口の中心点と整流の対象とする音の反射面に対し、垂直となる線の線上を遮る位置にあることを特徴とする請求項1〜7記載の音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【請求項9】
音波反射体の設置手段は、ワイヤー、鎖、紐等による天井から吊下、対向する壁面間に懸装、植立したスタンドから突出した腕に吊下したことを特徴とする請求項1〜8記載の音波反射体でスピーカー音を整流する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−29793(P2013−29793A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177274(P2011−177274)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(511062380)ジックス株式会社 (1)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(511062380)ジックス株式会社 (1)
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