説明

音出力装置

【課題】安定して音を出すことが容易であるとともに、通電量の変化で音を変化させることができる音出力装置を提供する。
【解決手段】複数の電極13a,13b間で通電状態を検出したときに通電信号を出力する通電検出手段120と、前記通電検出手段120からの通電信号に基づき出音信号を出力する出音制御手段130と、前記出音制御手段130からの出音信号に基づき音を出力するスピーカ17と、を備えた。前記通電検出手段120は、前回の通電量と今回の通電量とを比較して所定値以上の変化があったときには、通電量の変化があったことを示す変化信号をも出力する。前記出音制御手段130は、前記変化信号に応じて前記スピーカ17が出力する音を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部に露出した複数の電極を備え、この複数の電極のうちの2つの電極間が通電状態となったときに音を出力する音出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部に露出した複数の電極を備え、この複数の電極のうちの2つの電極間が通電状態となったときに音を出力する装置が知られている。このような装置においては、例えば独立した2以上の電極をそれぞれ人体に接触させることで、人体を介して2つの電極間を通電させるようになっている。
【0003】
これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、第1の人体に接する第1の電極と、第2の人体に接する第2の電極と、第1の人体と第2の人体とが接触することにより第1の電極と第2の電極との間が通電状態となったことを検出して所定の信号を出力する通電検出部と、を備え、出力する信号のレベルを通電状態における通電量に応じて調整して出力し、スピーカから出力させる音の大きさを調整するようにした演奏装置が記載されている。この特許文献1記載の演奏装置によれば、第1の人体と第2の人体との皮膚接触の面積等によって通電量が変化するため、音の大きさを調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−58742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した特許文献1記載の演奏装置によれば、音の大きさが変化するため出音の変化の面白さはあるものの、接触度合いによって正比例的に音の大きさが変化するため、最大音量を一定に保ちつつ音を出すことが難しく、手軽に演奏するには不向きであった。
【0006】
そこで、本発明は、安定して音を出すことが容易であるとともに、通電量の変化で音を変化させることができる音出力装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0008】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の音出力装置は、外部に露出した複数の電極と、所定の周期で前記複数の電極間の通電状態を検査するとともに、前記複数の電極間で通電状態を検出したときに通電信号を出力する通電検出手段と、前記通電検出手段からの通電信号に基づき出音信号を出力する出音制御手段と、前記出音制御手段からの出音信号に基づき音を出力するスピーカと、を備え、前記通電検出手段は、通電状態を検査する際に通電量をも検出し、前回の通電量と今回の通電量とを比較して所定値以上の変化があったときには、通電量の変化があったことを示す変化信号をも出力するものであって、前記出音制御手段は、前記通電信号を受信したときに、前記変化信号に応じて前記スピーカが出力する音を変化させることを特徴とする。
【0010】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0011】
すなわち、前記出音制御手段は、前記変化信号にを受信したときに、前記スピーカが出力する音をビブラートさせることを特徴とする。
【0012】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0013】
すなわち、前記通電検出手段は、前記変化信号を出力するときに、通電量の変化の大小に応じて異なる変化信号を出力し、前記出音制御手段は、前記異なる変化信号に応じてビブラートの大小を変化させることを特徴とする。
【0014】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0015】
すなわち、所定のメロディの音階音を出音順に配列した曲データを記憶するための曲データ記憶手段を備え、前記出音制御手段は、前記曲データ記憶手段に記憶された曲データの音階音を順次参照するためのメモリポインタを管理しており、前記通電信号の受信を契機として、前記メモリポインタが指し示す音階音を前記曲データ記憶手段から読み出して前記スピーカに出力させるとともに、前記通電信号が途絶えたことを契機として、前記スピーカによる出力を停止させ、かつ、次の音階音を指し示すように前記メモリポインタを書き換えることを特徴とする。
【0016】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0017】
すなわち、前記通電検出手段は、閾値までの放電にかかった時間を計測することで通電量を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、前回の通電量と今回の通電量とを比較して所定値以上の変化があったか否かを判定し、その判定結果に応じてスピーカが出力する音を変化させる。すなわち、同じ音を出力し続けたい場合には、通電量を一定に保つようにすればよく、音を変化させたい場合にのみ、通電量を変化させればよい。例えば、2人の人間がそれぞれ1つの電極に触れ、この2人の人間が手などを接触させることにより電極間に通電させるようにした場合、2人の人間の接触面積を一定に保てば同じ音が出力し続けられる。一方、2人の人間の接触面積を変化させれば、その変化を契機として音を変化させることができる。すなわち、通電量で音を決定するのではなく、通電量の変化を契機として音を決定するため、安定して音を出すことが容易であるとともに、音の変化を楽しむこともできる。
【0019】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記出音制御手段は、前記変化信号を受信したときに、前記スピーカが出力する音をビブラートさせる。このため、全体の最大音量を一定に保ちながら容易に音をビブラートさせることができるので、安定して音を出しつつ、音をビブラートさせることができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、通電量に前記所定値以上の変化があったときに、通電量の変化の大小に応じてビブラートの大小を変化させる。このため、ビブラートにバリエーションを持たせることができるので、安定して音を出しつつも、バリエーション豊かな音の変化を楽しむことができる。
【0021】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、所定のメロディの音階音を出音順に配列した曲データを記憶するための曲データ記憶手段を備え、前記出音制御手段は、前記曲データ記憶手段に記憶された曲データの音階音を順次参照するためのメモリポインタを管理しており、前記通電信号の受信を契機として、前記メモリポインタが指し示す音階音を前記曲データ記憶手段から読み出して前記スピーカに出力させるとともに、前記通電信号が途絶えたことを契機として、前記スピーカによる出力を停止させ、かつ、次の音階音を指し示すように前記メモリポインタを書き換える。このため、通電状態と非通電状態とを繰り返すことによりメロディを演奏することができ、上記したような音の変化と併せて、曲演奏を楽しむことができる。
【0022】
また、請求項5に記載の発明は上記の通りであり、前記通電検出手段は、閾値までの放電にかかった時間を計測することで通電量を検出する。このため、容易に通電量を判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】音出力装置の(a)平面図、(b)側面図である。
【図2】音出力装置の構成を示すブロック図である。
【図3】音出力装置の通電検出の仕組みを説明するための図である。
【図4】充電・放電処理のフロー図である。
【図5】放電時間計測のフロー図である。
【図6】放電判定・変化検出のフロー図である。
【図7】出音処理のフロー図である。
【図8】曲データとメモリポインタとの関係を説明する図である。
【図9】スピーカから出音される音量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態について、図を参照しつつ説明する。
【0025】
本実施形態に係る音出力装置10は、外部に露出した複数の電極13を備え、この複数の電極13のうちの2つの電極13間が通電状態となったときに音を出力するものであり、図1に示すように、厚みがほぼ一定の盤状に形成されている。
【0026】
音出力装置10の中央には、電源スイッチ14、セレクトスイッチ15、スタートスイッチ16の各スイッチと、スピーカ17と、を備えた中央部11が設けられており、この中央部11の四隅に4つの突出部12が形成されている。
【0027】
4つの突出部12には、それぞれ1つずつの電極13が外部に露出するように設けられている。本実施形態においては、13aに示す電極Aと、13bに示す電極Bと、13cに示す電極Cと、13dに示す電極Dと、の4つの電極13が設けられている。しかしながら、以下の説明においては便宜上、電極Aと電極Bとの2つの電極13のみを備えているとして説明する。
【0028】
上記した電極13間の通電は、音出力装置10に内蔵された制御装置100(図2参照)によって検知される。この制御装置100は、電極13間の通電を検知するとスピーカ17を制御して音を出力する。
【0029】
制御装置100は、特に図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、各種装置を制御するように構成されている。
【0030】
本実施形態に係る制御装置100には、図2に示すように、電極13と、電源スイッチ14、セレクトスイッチ15、スタートスイッチ16、スピーカ17が接続されている。まず、これらの装置について説明する。なお、接続される装置としては、上記した各装置に限定されず、他の装置を備えていてもよい。
【0031】
(電極13)
電極13は、図2に示すように、互いに独立して設けられており、例えば、2人の人間がそれぞれ異なる電極13に触れ、この2人の人間が手などを接触させることによって通電が起きるように構成されている。
【0032】
(電源スイッチ14、セレクトスイッチ15、スタートスイッチ16)
電源スイッチ14は、音出力装置10の電源のON・OFFを行うためのものである。
【0033】
また、セレクトスイッチ15は、音出力装置10での各種選択動作に使用されるものであり、例えば、後述する曲データ記憶手段140が記憶している複数の曲データのうちから、どの曲データに係る曲を演奏するのかを選択するために使用される。
【0034】
また、スタートスイッチ16は、上記したセレクトスイッチ15で選択した曲の演奏を開始するために使用される。
【0035】
具体的には、電源スイッチ14をONにした後に、セレクトスイッチ15を押すたびに、曲データ記憶手段140から曲データが読み出されて、その曲データに係るメロディがスピーカ17から流れる。ユーザは、自分が好きなメロディが流れるまでセレクトスイッチ15を押し、自分が好きなメロディが流れたら、スタートスイッチ16を押して演奏を開始できるようになっている。
【0036】
(スピーカ17)
スピーカ17は、音出力装置10の開始音、終了音、演出音などを出力するためのものであり、後述する出音制御手段130からの出音信号に基づき音を出力するものである。
【0037】
(制御装置100)
次に、制御装置100について詳述する。
【0038】
制御装置100は、音出力装置10の各種装置を制御するものであり、例えば、電極13に電圧を印加して充放電を行わせるための充放電手段110、電極13間の通電状態を検出する通電検出手段120、出音信号を出力してスピーカ17を制御する出音制御手段130、曲データを記憶するための曲データ記憶手段140、などの各手段として機能する。
【0039】
なお、制御装置100としては、上記した各手段に限定されるものではなく、他の手段を含んでいても良い。
【0040】
(充放電手段110)
充放電手段110は、電源装置(図示せず)からの電圧を各電極13に対して印加し、充放電を行わせるためのものである。
【0041】
具体的には、図2に示すように、電極A及び電極BにはそれぞれコンデンサCが接続されているため、この充放電手段110は電極A及び電極Bに同時に電圧を印加し、コンデンサCを充電する(充電動作)。そして、充電が完了した後に電極A及び電極Bのいずれかを−(マイナス)電位にすることで放電を促す(放電動作)。
【0042】
本実施形態においては、充放電手段110は、この充電動作と放電動作とを2msごとに繰り返すように設定されている。
【0043】
(通電検出手段120)
通電検出手段120は、前記した充放電手段110による放電にかかる時間を計測するものであり、図2に示すように、各電極13に接続されて電圧をチェックする回路を備えている。
【0044】
具体的には、充放電手段110が一定周期ごとに放電を行ったときに各電極13が通電していれば、電圧が閾値(本実施形態では電源電圧の1/2付近に設定)まで降下する。このため、通電検出手段120は、電圧が閾値まで降下するか否かをチェックすることで電極13間の通電状態を検査する。そして、電極13間が通電状態にあることを検出したときには、通電信号を出音制御手段130に出力する。
【0045】
また、この通電検出手段120は、電圧が閾値まで降下する所要時間を計測することで、電極13間の通電量をも検出する。すなわち、図3に示すように、異なる電極13に触れた2人の人間の接触(もしくは電極13への人体の接触)が強ければ、閾値までの放電時間が短くなるため、通電量が多いと判断できる。逆に、異なる電極13に触れた2人の人間の接触(もしくは電極13への人体の接触)が弱ければ、閾値までの放電時間が長くなるため、通電量が少ないと判断できる。通電検出手段120は、このように検出した放電時間(通電量)を「今回の放電時間」としてRAMに記憶し、次回の通電検出に係る放電時間(通電量)と比較する。そして、前回の放電時間(通電量)と今回の放電時間(通電量)とを比較して所定値以上の変化があったときには、放電時間(通電量)の変化があったことを示す変化信号を出音制御手段130に出力する。
【0046】
なお、本実施形態においては、通電検出手段120が出力する変化信号は、通電量の変化の大小に応じて異なる2種類のものを設けている。すなわち、通電量の変化が大きい場合に出力する第1変化信号と、通電量の変化が小さい場合に出力する第2変化信号と、である。
【0047】
(出音制御手段130)
出音制御手段130は、通電検出手段120からの通電信号に基づき出音信号を出力することで、スピーカ17を制御するものである。
【0048】
この出音制御手段130は、後述するように、通電検出手段120から通電信号を受信したときに所定の音を出力するようにスピーカ17を制御し、通電検出手段120から通電信号が一定期間途絶えたときに音の出力を停止するようにスピーカ17を制御する。
【0049】
また、この出音制御手段130は、通電検出手段120から変化信号を受信したときに、スピーカ17が出力する音を変化させる。具体的には、スピーカ17の出力音量を一定周期かつ一定幅で増減させることにより、出力音をビブラートさせるように制御する。
【0050】
なお、通電検出手段120から受信した変化信号が第1変化信号である場合には、ビブラートの大小変化の幅を大きくしてダイナミックなビブラートとし、通電検出手段120から受信した変化信号が第2変化信号である場合には、ビブラートの大小変化の幅を小さくしてデリケートなビブラートとなるように制御する。
【0051】
なお、この出音制御手段130は、電極13間が断続的に通電されることにより、後述する曲データ記憶手段140に記憶された曲データの音階音を順に読み出してスピーカ17に出音させ、これによって曲データに係るメロディを演奏できるようにしている。詳しくは、下記の「曲データ記憶手段140」の説明において述べる。
【0052】
(曲データ記憶手段140)
曲データ記憶手段140は、所定のメロディの音階音を出音順に配列した曲データを記憶するためのものであり、具体的には、ROMに記憶された曲データのデータベースである。
【0053】
この曲データ記憶手段140に記憶された曲データは、図8に示すように、音階音の羅列である。例えば、この図8に示す曲データは、31の音階音からなり(1〜31の数字は単なるインデクスであり、それぞれ「ド」「レ」「ミ」などの音階音に対応している)、この31の音階音が順に出音されることにより、メロディが構成される。なお、31の音階音は、それぞれ、単音であってもよいし、複音であってもよい。
【0054】
この曲データ記憶手段140に記憶された曲データは、前述した出音制御手段130によって読み出されて演奏される。
【0055】
すなわち、出音制御手段130は、曲データの音階音を順次参照するためのメモリポインタPを管理しており、通電信号の受信を契機として、このメモリポインタPが指し示す音階音を曲データ記憶手段140から読み出して前記スピーカ17に出力させる。具体的には、図8(a)に示すように、初期状態においてメモリポインタPは曲データの最初の音階音「1」を指しているため、最初の通電信号を受信すると、この最初の音階音「1」が曲データ記憶手段140から読み出されて、スピーカ17の出音に使用される。
【0056】
その後、通電信号が所定の期間途絶えると、出音制御手段130は、スピーカ17による出力を停止させ、かつ、次の音階音を指し示すようにメモリポインタPを書き換える(図8(b)参照)。このため、次に通電信号を受信したときには、出音制御手段130は、このメモリポインタPが指し示す次の音階音「2」を曲データ記憶手段140から読み出して前記スピーカ17に出力させることとなる。
【0057】
このように、通電信号の受信を契機として、出音制御手段130によって順次曲データの音階音が読み出されていき、最終的にメモリポインタPが「END」に到達すると、メロディ演奏が終了したと判断される。なお、出音制御手段130は、メロディ演奏が終了したと判断すると、演奏が終了したことを示す音(例えば拍手音)をスピーカ17から出力する。
【0058】
(処理フローについて)
次に、本実施形態に係る音出力装置10の処理フローについて説明する。
【0059】
なお、本実施形態に係る音出力装置10の処理フローは、大きく分けて、(1)充電・放電処理、(2)放電時間計測処理、(3)放電判定・変化検出処理、(4)出音処理の4つの処理に分けられるため、以下それぞれについて説明する。
【0060】
(充電・放電処理)
充電・放電処理は、充放電手段110によって各電極13に接続されたコンデンサCに充放電を繰り返す処理である。この充電・放電処理について、図4のフローを参照しながら説明する。
【0061】
まず、図4に示すステップ100において、2msごとに更新されるカウンタを参照し、2msが経過したかがチェックされる。2msが経過していない場合は、経過するまで待機する。一方、2msが経過した場合は、ステップ101に進む。
【0062】
ステップ101では、充放電手段110によって充電のタイミングであるかがチェックされる。すなわち、この充放電手段110は、コンデンサCの充電と放電とを2msごとに交互に繰り返して行うため、次が充電のタイミングであるか、放電のタイミングであるかをチェックする。具体的には、RAMに内部データとして保持される充電フラグをチェックすることで、充電のタイミングであるかをチェックする。この充電フラグは、ON/OFFを充放電手段110によって切り替えられるものであり(後述)、初期状態においてONに設定されている。そして、この充電フラグがONの場合には、充電のタイミングであると判断され、ステップ102に進む。一方、この充電フラグがOFFの場合には、充電のタイミングでない(放電のタイミングである)と判断され、ステップ104に進む。
【0063】
充電のタイミングであると判断されてステップ102に進んだ場合、充放電手段110によって電極A及び電極Bへと5Vの充電信号が同時に出力される。これにより、電極A及び電極Bに接続されているコンデンサCに充電が行われる。なお、電極13がHi−zに設定されていたり、’L’(0V)が出力されていたりする場合(これらの処理については後述する)には、充電する前にこれらの処理が停止される。そして、ステップ103に進む。
【0064】
ステップ103では、充電中ステータスがONに設定され、前記した充電フラグがOFFに設定される。そして、ステップ100に戻り、再び2msが経過するまで待機する。
【0065】
一方、放電のタイミングであると判断されてステップ104に進んだ場合、いずれの電極13の放電を行うかがチェックされる。なお、放電はすべての電極13について順に実行される。本実施形態においては、「充電」→「電極Bへの0V出力(後述)」→「充電」→「電極Aへの0V出力」を1サイクルとして、各処理が2msごとに実行されるように形成されている。
【0066】
ここで、電極Bへの放電を行うと判断された場合には、ステップ105に進み、電極AがHi−zに設定される。このとき、通電検出手段120に測定指示信号を出力し、通電検出手段120に対して放電の開始を通知する。そして、ステップ106に進む。
【0067】
ステップ106においては、電極Bに’L’(0V)が出力される。これにより、電極Aと電極Bとが通電している場合、放電が行われる。そして、ステップ109に進む。
【0068】
ステップ109では、放電中ステータスがONに設定され、前記した充電フラグがONに設定される。そして、ステップ100に戻り、再び2msが経過するまで待機する。
【0069】
一方、電極Aへの放電を行うと判断された場合には、ステップ107に進み、電極BがHi−zに設定される。このとき、通電検出手段120に測定指示信号を出力し、通電検出手段120に対して放電の開始を通知する。そして、ステップ108に進む。
【0070】
ステップ108においては、電極Aに’L’(0V)が出力される。これにより、電極Aと電極Bとが通電している場合、放電が行われる。そして、ステップ109に進む。
【0071】
ステップ109では、放電中ステータスがONに設定され、前記した充電フラグがONに設定される。そして、ステップ100に戻り、再び2msが経過するまで待機する。
【0072】
なお、上記のフローは電極13が2つの場合についての説明であるが、電極13が3つ以上ある場合でもほぼ同様のフローで実現することができる。すなわち、電極13がA〜Dの4つである場合について説明すると、「充電」→「電極Aへの0V出力」→「充電」→「電極Bへの0V出力」→「充電」→「電極Cへの0V出力」→「充電」→「電極Dへの0V出力」を1サイクルとして、各処理が2msごとに実行されるように形成すればよい。なお、この場合、ある電極13への0V出力を行っているときには、他のすべての電極13について通電の有無を調べる。例えば、電極Aへの0V出力を行った場合、電極B、電極C、及び電極Dについて、通電の有無を調べる。このため、1サイクルにおいて、同じ電極13について複数回の通電検出が行われることがあるが、その場合には2回目以降の通電検出は破棄すればよい。
【0073】
(放電時間計測処理)
放電時間計測処理は、通電検出手段120によって、各電極13の閾値までの放電にかかった時間を計測する処理である。この放電時間計測処理について、図5のフローを参照しながら説明する。
【0074】
まず、図5に示すステップ200において、充放電手段110から測定指示信号を受信したかがチェックされる。測定指示信号を受信していない場合は、受信するまで待機する。一方、測定指示信号を受信した場合は、ステップ201に進む。
【0075】
ステップ201では、放電時間計測用カウンタを初期化して、時間計測を開始する。そして、ステップ202に進む。
【0076】
ステップ202では、測定指示信号によって指定された電極13(例えば電極A)の電圧を監視し、所定の時間内に所定の閾値(電源電圧の1/2程度)に到達するかをチェックする。このチェックの結果、所定の時間内に所定の閾値に到達したときに放電したと判定する。放電したと判定された場合には、ステップ204に進む。一方、放電しなかったと判定された場合には、ステップ206に進む。
【0077】
放電したと判定されてステップ204に進んだ場合、放電時間計測用カウンタによる時間計測を停止して、放電時間計測用カウンタの値を取得する。そして、ステップ205に進む。
【0078】
ステップ205では、放電時間計測用カウンタから取得したカウンタ値が、当該電極13(例えば電極A)の今回の放電時間としてRAMに格納される。そして、ステップ206に進む。
【0079】
ステップ206では、測定指示信号をOFFにする。そして、ステップ200に戻り、次の測定指示信号を受信するまで待機する。
【0080】
(放電判定・変化検出処理)
放電判定・変化検出処理は、通電の有無を判定し、通電量の変化を検出するための処理であり、すべての電極13について放電時間計測処理が実行されたことを契機として、通電検出手段120によって実行される。この放電判定・変化検出処理について、図6のフローを参照しながら説明する。
【0081】
まず、図6に示すステップ300において、平均放電時間を算出するための平均放電時間メモリが初期化される。そして、ステップ301に進む。
【0082】
ステップ301では、前述した放電時間計測処理において、電極Aにおいて放電したと判定されたかがチェックされる。そして、電極Aにおいて放電している場合、ステップ302に進む。一方、電極Aにおいて放電していない場合、ステップ302を実行せずにステップ303に進む。
【0083】
ステップ302では、電極Aの放電時間を平均放電時間メモリへ加算する。そして、ステップ303に進む。
【0084】
ステップ303では、前述した放電時間計測処理において、電極Bにおいて放電したと判定されたかがチェックされる。そして、電極Bにおいて放電している場合、ステップ304に進む。一方、電極Bにおいて放電していない場合、ステップ304を実行せずにステップ305に進む。
【0085】
ステップ304では、電極Bの放電時間を平均放電時間メモリへ加算する。そして、ステップ305に進む。
【0086】
ステップ305では、前述した放電時間計測処理において、複数の電極13のうちの少なくともいずれかにおいて放電したと判定されたかがチェックされる。そして、いずれかの電極13において放電している場合、ステップ306に進む。一方、いずれの電極13においても放電していない場合、処理が終了する。
【0087】
ステップ306では、平均放電時間メモリに加算された放電時間を基に、平均放電時間を計算する。そして、ステップ307に進む。
【0088】
ステップ307では、前回の平均放電時間との差分を計算する。なお、前回の平均放電時間がない場合は、差分なしとして判定される。そして、ステップ308に進む。
【0089】
ステップ308では、前回の平均放電時間との差分が予め定められた規定値以上であるかがチェックされる。予め定められた規定値以上である場合には、ステップ309に進む。一方、予め定められた規定値以上でない場合には、ステップ309を実行せずに、ステップ310に進む。
【0090】
ステップ309では、前回の平均放電時間からの放電時間の変化量に応じた変化信号が、出音制御手段130に出力される。本実施形態においては、通電量の変化が大きい場合には第1変化信号を出力し、通電量の変化が小さい場合には第2変化信号を出力する。なお、出音制御手段130は、変化信号を受信すると、RAM上で管理するビブラート実行回数を1ずつカウントアップする。そして、ステップ310に進む。
【0091】
ステップ310では、電極13間での通電状態を検出したことを通知するために、出音制御手段130に通電信号が出力される。そして、ステップ311に進む。
【0092】
ステップ311では、今回の平均放電時間がRAMに保存される。この「今回の平均放電時間」は、次回の放電判定・変化検出処理において「前回の平均放電時間」として使用される。そして、処理が終了する。
【0093】
なお、本実施形態においては、2つの電極13を備える場合について説明しているが、3つ以上の電極13を備える場合にも、同様の処理で通電の有無を判定し、通電量の変化を検出することができる。
【0094】
すなわち、ステップ301〜304における平均放電時間メモリへ加算を複数の電極13すべてについて実行し、こうして平均放電時間メモリに加算された放電時間を基に平均放電時間を計算して使用すればよい。
【0095】
(出音処理)
出音処理は、通電検出手段120からの通電信号に基づき出音制御手段130によって実行され、スピーカ17からの出音を制御する処理である。この出音処理について、図7のフローを参照しながら説明する。
【0096】
まず、図7に示すステップ400において、通電検出手段120からの通電信号を受信する。そして、ステップ401に進む。
【0097】
ステップ401では、メモリポインタPが指し示す音階音が曲データ記憶手段140から読み出される。そして、ステップ402に進む。
【0098】
ステップ402では、ビブラート設定の有無がチェックされる。具体的には、前記したビブラート実行回数が1以上に設定されている場合には、ビブラート設定があると判定される。ビブラート設定がある場合には、ビブラート実行回数を1減算し、ステップ403に進む。ビブラート設定がない場合には、ステップ404に進む。
【0099】
ステップ403では、ステップ401で読み出した音階音をビブラート音として2周期分出音するように指示する出音信号をスピーカ17に出力する。これにより、出音信号を受信したスピーカ17が出音を開始する。なお、本実施形態においては、図9に示すように、0.4秒を1周期として出音するように形成されているため、1回のビブラート処理で0.8秒の出音を行う。また、ビブラートは、設定音量値よりも所定の増減目標値分の音量を増減させることにより実行され、図9に示すように、1周期で最大音量の山と最小音量の谷とがあらわれるようになっている。そして、ステップ405に進む。
【0100】
一方、ステップ404では、ステップ401で読み出した音階音を通常音(一定音量で出音される音)として2周期分(0.8秒)出音するように指示する出音信号をスピーカ17に出力する。これにより、出音信号を受信したスピーカ17が出音を開始する。そして、ステップ405に進む。
【0101】
ステップ405では、出音終了前の1周期(2周期分の出音期間のうち、後半の1周期)の期間内に通電信号を受信したかがチェックされる。通電信号を受信した場合には、現在出音中の音階音を継続して出音すると判断し、ステップ406に進む。一方、通電信号を受信していない場合には、通電信号が途絶えたと判断し、ステップ407に進む。
【0102】
ステップ406に進んだ場合には、ビブラート設定があるか(すなわち、ビブラート実行回数が1以上か)がチェックされる。なお、ビブラート実行回数をカウントするカウンタは、出音が1周期するごとに初期化(0に設定)されるため、実質的には出音終了前の1周期(2周期分の出音期間のうち、後半の1周期)の期間内に変化信号を受信したかによって、ビブラート設定の有無が判断される。
【0103】
ビブラート設定がある場合には、ステップ408に進み、現在出音中の音階音(ステップ401で読み出した音階音)をビブラート音として1周期分出音するように指示する出音信号をスピーカ17に出力する。一方、ビブラート設定がない場合には、ステップ409に進み、現在出音中の音階音(ステップ401で読み出した音階音)を通常音として1周期分出音するように指示する出音信号をスピーカ17に出力する。そして、ステップ405に戻る。
【0104】
なお、ステップ407に進んだ場合は、メモリポインタPを1つ進めて次の音階音を指し示すように書き換え、次の通信信号を受信するまで待機する。そして、ステップ400に戻る。
【0105】
(まとめ)
以上説明したように、本実施形態に係る音出力装置10によれば、前回の通電量と今回の通電量とを比較して所定値以上の変化があったか否かを判定し、その判定結果に応じてスピーカ17が出力する音をビブラートさせる。すなわち、同じ音を出力し続けたい場合には、通電量を一定に保つようにすればよく、音をビブラートさせたい場合にのみ、通電量を変化させればよい。例えば、2人の人間がそれぞれ1つの電極13に触れ、この2人の人間が手などを接触させることにより電極13間に通電させるようにした場合、2人の人間の接触面積を一定に保てば同じ音が出力し続けられる。一方、2人の人間の接触面積を変化させれば、その変化を契機として音をビブラートさせることができる。すなわち、通電量で音量を決定するのではなく、通電量の変化を契機として音をビブラートさせるため、全体の最大音量を一定に保ちながら容易に音をビブラートさせることができる。すなわち、安定して音を出すことが容易であるとともに、音の変化を楽しむこともできる。
【0106】
また、通電量に前記所定値以上の変化があったときに、通電量の変化の大小に応じてビブラートの大小を変化させる。このため、ビブラートにバリエーションを持たせることができるので、安定して音を出しつつも、バリエーション豊かな音の変化を楽しむことができる。
【0107】
また、所定のメロディの音階音を出音順に配列した曲データを記憶するための曲データ記憶手段140を備え、出音制御手段130は、前記曲データ記憶手段140に記憶された曲データの音階音を順次参照するためのメモリポインタPを管理しており、通電信号の受信を契機として、前記メモリポインタPが指し示す音階音を前記曲データ記憶手段140から読み出してスピーカ17に出力させるとともに、通電信号が途絶えたことを契機として、前記スピーカ17による出力を停止させ、かつ、次の音階音を指し示すように前記メモリポインタPを書き換える。このため、通電状態と非通電状態とを繰り返すことによりメロディを演奏することができ、上記したような音の変化と併せて、曲演奏を楽しむことができる。
【0108】
また、通電検出手段120は、閾値までの放電にかかった時間を計測することで通電量を検出する。このため、容易に通電量を判別できる。
【0109】
なお、本実施形態においては、ビブラートとして音量を増減させるパターンのものを採用したが、これに限らず、音程を上下させるパターンのビブラートを採用してもよい。
【0110】
また、前回の通電量と今回の通電量とを比較して所定値以上の変化があったときの音の変化は、本実施形態のようなビブラートに限るものではない。例えば、音色を変えてもよいし、音階そのものを変えてもよい。
【0111】
また、本実施形態に係る音出力装置10は電極13間での通電状態を検出したときにメロディを演奏するように形成したが、これに限らない。例えば、電極13間での通電状態を検出したときに、効果音を出力したり、人声を出力したりするようにしてもよい。
【0112】
また、上記した実施形態においては、充放電手段110が2msごとに充電と放電とを繰り返すように設定したが、これに限らない。すなわち、充電時間や放電時間は、通電検出回路の抵抗値、コンデンサCの抵抗値、印加電圧などを考慮して適宜設定すればよい。
【符号の説明】
【0113】
10 音出力装置
11 中央部
12 突出部
13 電極
13a 電極A
13b 電極B
13c 電極C
13d 電極D
14 電源スイッチ
15 セレクトスイッチ
16 スタートスイッチ
17 スピーカ
100 制御装置
110 充放電手段
120 通電検出手段
130 出音制御手段
140 曲データ記憶手段
C コンデンサ
P メモリポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に露出した複数の電極と、
所定の周期で前記複数の電極間の通電状態を検査するとともに、前記複数の電極間で通電状態を検出したときに通電信号を出力する通電検出手段と、
前記通電検出手段からの通電信号に基づき出音信号を出力する出音制御手段と、
前記出音制御手段からの出音信号に基づき音を出力するスピーカと、
を備え、
前記通電検出手段は、通電状態を検査する際に通電量をも検出し、前回の通電量と今回の通電量とを比較して所定値以上の変化があったときには、通電量の変化があったことを示す変化信号をも出力するものであって、
前記出音制御手段は、前記変化信号に応じて前記スピーカが出力する音を変化させることを特徴とする、音出力装置。
【請求項2】
前記出音制御手段は、前記変化信号にを受信したときに、前記スピーカが出力する音をビブラートさせることを特徴とする、請求項1記載の音出力装置。
【請求項3】
前記通電検出手段は、前記変化信号を出力するときに、通電量の変化の大小に応じて異なる変化信号を出力し、
前記出音制御手段は、前記異なる変化信号に応じてビブラートの大小を変化させることを特徴とする、請求項2記載の音出力装置。
【請求項4】
所定のメロディの音階音を出音順に配列した曲データを記憶するための曲データ記憶手段を備え、
前記出音制御手段は、前記曲データ記憶手段に記憶された曲データの音階音を順次参照するためのメモリポインタを管理しており、前記通電信号の受信を契機として、前記メモリポインタが指し示す音階音を前記曲データ記憶手段から読み出して前記スピーカに出力させるとともに、前記通電信号が途絶えたことを契機として、前記スピーカによる出力を停止させ、かつ、次の音階音を指し示すように前記メモリポインタを書き換えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の音出力装置。
【請求項5】
前記通電検出手段は、閾値までの放電にかかった時間を計測することで通電量を検出することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の音出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−155006(P2012−155006A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11936(P2011−11936)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】