説明

音叉型水晶振動片、音叉型水晶振動子、および音叉型水晶振動片の製造方法

【課題】 ビーム照射による周波数調整時の金属膜の再付着による不具合をなくした音叉型水晶振動片および音叉型水晶振動子を提供する。
【解決手段】 基部25と脚部21,22とからなる音叉型水晶振動片2であって、前記脚部の先端領域の一主面261にはビーム照射によって金属膜の質量削減を行うことで音叉型水晶振動片2の周波数を調整してなる調整用金属膜295が形成され、前記脚部の先端領域の他主面には前記調整用金属膜に対して面積が小さくかつ金属膜が一部対向した状態で形成されるバランス用金属膜296と、前記調整用金属膜に対して面積が小さくかつ金属膜の形成されない領域が一部対向した状態で形成される音叉型水晶振動片の素地露出部297とが形成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる音叉型水晶振動片、それを用いた音叉型水晶振動子、および音叉型水晶振動片の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子に代表される圧電振動デバイスは、携帯電話など移動体通信機等に広く用いられている。前記水晶振動子に用いられる水晶振動片の一つとして音叉型水晶振動片がある。音叉型水晶振動片は、基部と、当該基部から一方向に伸びる一対の振動脚(以下、脚部と称する)とからなる音叉形状の水晶振動片であり、当該音叉型水晶振動片を使用した音叉型水晶振動子は、時計のクロック源として広く使用されている。
【0003】
表面実装型の音叉型水晶振動子は、上部が開口した箱状の筐体(パッケージ)内部に、音叉型水晶振動片の基部の一端側に形成された接合部を、接合材を介して接合し、開口部分を平板状の金属蓋で気密封止した構造である。
【0004】
水晶振動子は所定の周波数を得るために、一般に周波数調整工程を有する。例えば従来の音叉型水晶振動子の周波数調整方法では、1枚の水晶ウェハからエッチングによって多数個の振動片の外形を一括成形し、フォトリソグラフィ技術によって所定パターンの電極(金属膜)を各振動片の表面に転写する。このとき一対の脚部先端領域は、全周に金属膜が成膜されている。次に当該金属膜の上層に、振動片の周波数を調整するための調整用金属膜が、蒸着法等の手段によって成膜される。そして、特許文献1に示すように、前記調整用金属膜の内、脚部主面側(表面側)にある金属膜に対してレーザーなどのビームを照射して、当該金属膜の質量を減少させることによって、水晶振動子の周波数調整が行われる。1枚の水晶ウェハ内の全ての振動片について周波数調整が完了すると、水晶ウェハから多数個の振動片に分割する。そして、接着材等を用いて筐体の内部に振動片を接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−182873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記周波数調整を行う場合、ビーム照射によって金属膜が飛散した金属屑が、振動片へ再付着することの悪影響が生じることがあった。特にこのような金属屑の再付着は、ビーム照射源と対向する側の主面側で生じ、絶縁不良や周波数変動などの特性悪化を生じることがあった。従来、これらの不具合を防止するため洗浄することで金属屑の再付着物を除去する必要があった。また、この付着物は熱を帯びて飛散し、その際の振動片への密着性も強いため、洗浄には例えば超音波を用いる等、洗浄力を増す必要があり、振動片の破損等の不具合が生じることがあった。さらに、洗浄では十分に除去することができない場合もあり、その後に付着物が剥離して周波数変動の要因ともなっていた。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、ビーム照射による周波数調整時の金属膜の再付着による不具合をなくした音叉型水晶振動片、音叉型水晶振動子、および音叉型水晶振動片の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、基部と複数の脚部とからなる音叉型水晶振動片であって、前記脚部の先端領域の一主面にはビーム照射によって金属膜の質量削減を行うことで音叉型水晶振動片の周波数を調整してなる調整用金属膜が形成され、前記脚部の先端領域の他主面には前記調整用金属膜に対して面積が小さくかつ金属膜が一部対向した状態で形成されるバランス用金属膜と、前記調整用金属膜に対して面積が小さくかつ金属膜の形成されない領域が一部対向した状態で形成される音叉型水晶振動片の素地露出部とが形成されてなることを特徴とする。なお、この音叉型水晶振動片は、多数個の音叉型水晶振動片がマトリックス状に一括形成された水晶ウェハであってもよい。この際、当該水晶ウェハの一主面側と前記多数個の音叉型水晶振動片の一主面とは同一面方向として構成されており、水晶ウェハの一主面側には多数個の音叉型水晶振動片の前記調整用金属膜が形成されている。また前記水晶ウェハの他主面側と前記多数個の音叉型水晶振動片の他主面とも同一面方向として構成されており、水晶ウェハの他主面側には多数個の音叉型水晶振動片の前記バランス用金属膜と素地露出部とが形成されている。
【0009】
本発明の請求項1の構成によると、音叉型水晶振動片の脚部の先端領域のうちビーム照射することで周波数調整する部分について、ビーム照射源に対向させる他主面とビーム照射源に背向させてビームが通り抜けてゆく一主面を選定することで、前記音叉型水晶振動片の他主面に形成された音叉型水晶振動片の素地露出部から音叉型水晶振動片を透過させて反対側の一主面に形成された調整用金属膜に対してビーム照射することで周波数調整することができる。このため、音叉型水晶振動片の他主面では金属膜が除去されることがなく、かつ音叉型水晶振動片の一主面でも音叉型水晶振動片の内部から外部へビームが通り抜ける状態で調整用金属膜に対してビーム照射されるので音叉型水晶振動片の一主面から遠ざかるように金属屑が飛散し音叉型水晶振動片への再付着することがなくなる。
【0010】
また、音叉型水晶振動片の他主面には周波数調整により一部が除去された調整用金属膜に対して一部対向した状態で形成されるバランス用金属膜を具備しているので、周波数調整後の音叉型水晶振動片の一主面側と他主面側の重量バランスがより近接した状態で保たれるので、音叉型水晶振動片の振動偏位状態にも偏りが生じにくくなり、Z軸方向への振動を抑制し、振動もれなど悪影響が生じることが格段に抑えられる。結果として、金属屑の付着量が大きく減少するために洗浄工程など簡略化させることができ、振動片の破損等をなくすことでより安価に特性も安定した信頼性の高い音叉型水晶振動片を提供することができる。
【0011】
また、前記バランス用金属膜は前記調整用金属膜に対して基部よりの領域のみで一部が対向した状態で形成され、かつ前記調整用金属膜に対して脚部の突出方向に20%〜75%の寸法で形成してもよい。
【0012】
この構成では上述の作用効果に加え、周波数調整により調整用金属膜をビーム照射して除去する際に、周波数調整後の音叉型水晶振動片の一主面側と他主面側の重量バランスをより一層近接した状態で保つことができる。上述の寸法が75%を超えると、周波数の調整領域が狭くなり、上述の寸法が20%を下回ると周波数調整後の重量バランスが悪化する。
【0013】
また、上述の音叉型水晶振動片を筐体内部に具備してなる音叉型水晶振動子であって、前記音叉型水晶振動片の一主面側の調整用金属膜を筐体の内底面側に向けて配置するとともに当該調整用金属膜の一部が除去された状態で前記音叉型水晶振動片の基部が筐体内部に接合されてなることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項3の構成によると、上述の作用効果に加え、音叉型水晶振動片の一主面から遠ざかり筐体の内底面に向かって金属屑の飛散物を逃して音叉型水晶振動片への再付着をなくすことができる。また、筐体に対して取り付けられた周波数調整後の音叉型水晶振動片の一主面側と他主面側の重量バランスがより近接した状態で保たれるので、取り付けられた筐体の影響により振動もれなどが生じることもない。結果として洗浄工程など簡略化させてより安価に特性も安定した信頼性の高い音叉型水晶振動子を提供することができる。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項4の発明は、基部と複数の脚部とからなる音叉型水晶振動片の製造方法であって、前記脚部の先端領域の一主面に調整用金属膜を有し、前記脚部の先端領域の他主面に前記調整用金属膜に対して面積が小さくかつ金属膜が一部対向した状態で形成されるバランス用金属膜と、前記調整用金属膜に対して面積が小さくかつ金属膜の形成されない領域が一部対向した状態で形成される音叉型水晶振動片の素地露出部とを有してなる音叉型水晶振動片があり、この音叉型水晶振動片が多数個形成された水晶ウェハの他主面側をビーム照射源に対して対向させ、水晶ウェハの一主面側をレーザービーム照射源に背向させて配置し、ビーム照射源から照射されたビームを、水晶ウェハの音叉型水晶振動片の他主面に形成された素地露出部から音叉型水晶振動片の内部を透過して、反対側の一主面に形成された調整用金属膜に対してビーム照射することで、各々の音叉型水晶振動片の周波数調整を実施してなることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項4の製造方法によると、水晶ウェハの他主面側をビーム照射源に対して対向させ、水晶ウェハの一主面側をレーザービーム照射源に背向させて配置し、この水晶ウェハの状態で一括して、各音叉型水晶振動片の脚部の先端領域のうち周波数調整部分にビーム照射することができる。特に水晶ウェハの他主面側と各音叉型水晶振動片の他主面、および水晶ウェハの一主面側と各音叉型水晶振動片の一主面とはそれぞれ同一面方向となり、水晶ウェハの他主面側をビーム照射源に対向させることで、各音叉型水晶振動片の他主面に形成された音叉型水晶振動片の素地露出部から音叉型水晶振動片を透過させて反対側の一主面に形成された調整用金属膜に対して一括して周波数調整することができる。
【0017】
このため、各音叉型水晶振動片の他主面では除去される金属膜がなく、かつ各音叉型水晶振動片の一主面でも音叉型水晶振動片の内部から外部へビームが通り抜ける状態で調整用金属膜に対してビーム照射されるので、多数個の音叉型水晶振動片が形成された水晶ウェハの一主面側から遠ざかるように金属屑が飛散し、水晶ウェハの各音叉型水晶振動片への再付着することなくより効率的に周波数調整することができる。結果として、金属屑の付着量が大きく減少するために洗浄工程など簡略化させることができ、振動片の破損等をなくすことでより安価に特性も安定した信頼性の高い音叉型水晶振動片を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、安価に特性も安定したより信頼性の高い音叉型水晶振動片、音叉型水晶振動子、および音叉型水晶振動片の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態を示す音叉型水晶振動子の断面図。
【図2】本発明の実施形態を示す音叉型水晶振動片の一主面側の平面図。
【図3】本発明の実施形態を示す音叉型水晶振動片の他主面側の平面図。
【図4】図2、図3のA−A線における断面図。
【図5】図2、図3のB−B線における断面図。
【図6】図2、図3のC−C線における断面図。
【図7】本発明の実施形態の変形例における音叉型水晶振動片の断面図。
【図8】本発明の実施形態の変形例における音叉型水晶振動子の断面図。
【図9】本発明の他の実施形態における音叉型水晶振動片の一主面側と他主面側の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、音叉型水晶振動子を例に挙げて図面とともに説明する。本実施形態で使用される音叉型水晶振動子1は、ベース3と図示しない蓋とが封止部材Hを介して接合されて筐体が構成される。具体的には、上部が開口したベースの電極パッド32上に音叉型水晶振動片2が導電性接合材Dを介して接合され、前記ベースの開口部に対して封止部材Hを介して板状の蓋で接合した構成となっている。ここで、本実施形態では音叉型水晶振動子の公称周波数は32.768kHzとなっている。なお、前記公称周波数は一例であり、他の周波数にも適用可能である。
【0021】
ベース3はセラミック材料からなる容器体であり、焼成によって形成されている。ベース3は周囲に堤部30を有しかつ上部が開口した断面視凹形状で、当該ベース3の内部(収納部)には音叉型水晶振動片を搭載するための段差部31が形成されている。そして前記段差部の上面には、一対の電極パッド32,32(一方のみ図示)が形成されている。一対の電極パッド32,32はベース内部に形成された図示しない配線パターンを介してベース底面(裏面)に形成されている2つ以上の端子電極33,33と電気的に接続されている。ベース3の堤部30の周囲にはメタライズ層(封止部材Hの一部を構成)34が周状に形成されている。前記電極パッド32,32や端子電極33,33、メタライズ層34は例えば3層から構成されており、下からタングステン、ニッケル、金の順で積層されている。タングステンはメタライズ技術により、セラミック焼成時に一体的に形成され、ニッケル、金の各層はメッキ技術により形成される。なお、前記タングステンの層にモリブデンを使用してもよい。
【0022】
図示しない蓋は、例えば金属材料やセラミック材料、ガラス材料などからなり、平面視矩形状の一枚板に成形されている。この蓋の下面には封止材(封止部材Hの一部を構成)が形成されている。この蓋はシーム溶接やビーム溶接、加熱溶融接合等の手法により封止材を介してベース3に接合されて、蓋とベース3とによる水晶振動子1の筐体が構成される。
【0023】
音叉型水晶振動片2は、図示していないが、異方性材料の水晶Z板からなる1枚の水晶ウェハに、多数個の音叉型水晶振動片がマトリックス状に一括形成されている。前記音叉型水晶振動片2の外形は、フォトリソグラフィ技術を用いて、レジストや金属膜をマスクとして例えばウェットエッチングによって一括的に成形されている。
【0024】
音叉型水晶振動片2は、図2、3に示すように、振動部である2本の第1脚部21(本発明でいう脚部)および第2脚部22(本発明でいう脚部)と、外部(本実施例ではベース3の電極パッド32,32)と接合する接合部23と、これら第1脚部21および第2脚部22と接合部23を突出して設けた基部25とから構成された外形からなる。
【0025】
基部25は、平面視左右対称形状とされ、図2、3に示すように、振動部(第1脚部21,第2脚部22)より幅広に形成されている。また、基部25の他端面252付近が、一端面251から他端面252にかけて幅狭になるように漸次段差形成されている。このため振動部である第1脚部21および第2脚部22の振動により発生した漏れ振動を他端面252により減衰させることができ、接合部23へ漏れ振動が伝わるのを抑制することができ、音響リーク(振動漏れ)を更に低減するのに好ましい。
【0026】
2本の第1脚部21および第2脚部22は、図2、3に示すように、基部25の一端面251から突出して隙間部253を介して並設されている。なお、ここでいう隙間部253は、一端面251の幅方向の中央位置(中央領域)に設けられている。これら第1脚部21および第2脚部22の先端部211,221は、第1脚部21および第2脚部22の他の部位と比べて突出方向に対して直交する方向に幅広に成形され(以下、脚部の幅広領域と称する)、さらにそれぞれ隅部は曲面形成されている。このように先端部211,221を幅広に成形することで、先端部211,221(先端領域)を有効に利用することができ、音叉型水晶振動片2の小型化に有用であり、低周波数化にも有用である。また、それぞれ先端部211,221の隅部を曲面形成することで、外力を受けた時などに堤部などに接触するのを防止することができる。
【0027】
また、2つの第1脚部21および第2脚部22の一主面261と他主面262には、音叉型水晶振動片2の小型化により劣化する直列共振抵抗値(本実施例ではCI値、以下同様)を改善させるために、溝部27がそれぞれ形成されている。また、音叉型水晶振動片2の外形のうち側面28は一主面261と他主面262に対して傾斜して成形されている。これは、音叉型水晶振動片2を湿式でエッチング成形する際に基板材料の結晶方向(X,Y方向)へのエッチングスピードが異なることに起因している。
【0028】
接合部23は、図2に示すように、下記する引出電極293,294を外部電極(本発明でいう外部であり、本実施例ではベース3の電極パッド32,32)と電気機械的に接合するためのものである。具体的に、接合部23は、2本の第1脚部21および第2脚部22が突出した基部25の一端面251と対向する他端面252の幅方向の中央位置(中央領域)から突出形成されている。すなわち、2本の第1脚部21と第2脚部22との間に配された隙間部253と正対向する位置に、接合部23が突出形成されている。
【0029】
接合部23は、基部25の他端面252に対して平面視垂直方向に突出した他端面252よりも幅狭な短辺部231と、短辺部231の先端部と連なり短辺部231の先端部において平面視直角に折曲されて基部25の幅方向に延出する長辺部232とから構成され、接合部23の先端部233は基部25の幅方向に向いている。すなわち、接合部23は、平面視L字状に成形され、平面視L字状に成形された折曲箇所である折曲部234が短辺部231の先端部に対応する。このように基部25の他端面252よりも短辺部231が幅狭な状態で形成されているので、振動漏れのさらなる抑制の効果が高まる。
【0030】
また、本実施例では、接合部23の基端部にあたる短辺部231の折曲部234が、外部と接合する接合領域とされ、接合部23の先端部233にあたる長辺部232の先端部が、外部と接合する接合領域とされる。そして、接合部23の基端部である短辺部231には下記する第1励振電極291から引き出された引出電極293が形成され、接合部の先端部である長辺部232に、下記する第2励振電極292から引き出された引出電極294が形成されている。
【0031】
具体的に、接合部の一主面261には、ベース3との接合部位となる2つのメッキバンプD(D1,D2)が形成される。具体的に、1つ目のメッキバンプD1は、接合部23の折曲部234に形成され、2つ目のメッキバンプD2は、接合部23の先端部233に形成されている。メッキバンプDの平面視形状は、引出電極などの平面視形状に応じて、円形や楕円形などの円形状のものや、長方形や正方形を含む多角形状のものなど自由に構成することができる。
【0032】
なお、接合部23へのメッキバンプD(D1,D2)の形成に関して、接合部23に図示しないメッキバンプ形成部をフォトリソグラフィ法により所望の形状に形成して、当該メッキバンプ形成部にメッキバンプD(D1,D2)を電解メッキ法などの手法によりメッキ形成する。その後、アニール処理を行っても良い。具体的に、接合部23の折曲部234と先端部233に対してそれぞれ1点のメッキバンプD(D1,D2)を形成する。
【0033】
このように、バンプにメッキバンプD(D1,D2)を用いることで、安定してベース3上に音叉型水晶振動片2をメッキバンプD(D1,D2)により電気機械的に接合することができる。具体的に、バンプにメッキバンプD(D1,D2)を用いることで、音叉型水晶振動片2を外部(ベース3)に搭載する前に、音叉型水晶振動片2にメッキバンプD(D1,D2)を形成することができる。その結果、常に音叉型水晶振動片2の所望の形成位置にメッキバンプD(D1,D2)を形成しているので、例えば、音叉型水晶振動片2の外部(ベース3)への搭載位置が所望位置からずれた場合であっても、音叉型水晶振動片2が外部(ベース3)にバンプがずれた状態で搭載されることを防止することができ、安定したベース3への音叉型水晶振動片2の搭載を行うことができる。また、接合領域とされた接合部23の基端部である短辺部231に、フォトリソグラフィ法によりメッキバンプ24が形成されるので、メッキバンプ24を音叉型水晶振動片2に形成する際の位置決め精度を高めて、音叉型水晶振動片2の接合部23が小さくなった場合であっても、音叉型水晶振動片2の適切な位置へ接合部材としてメッキバンプ24を形成することができる。また、メッキバンプ24の形成を、音叉型水晶振動片2の他の金属材料(例えば第1励振電極291、第2励振電極292、引出電極293,294など)の形成と一括して行ったり、調整用金属膜やバランス用金属膜の形成と一括して行うことができる。
【0034】
また、本実施例にかかる音叉型水晶振動片2には、異電位で構成された2つの第1励振電極291および第2励振電極292と、これら第1励振電極291および第2励振電極292を電極パッド32,32に電気的に接続させるためにこれら第1励振電極291および第2励振電極292から引き出された引出電極293,294とが設けられている。なお、本実施例でいう引出電極293,294は、2つのこれら第1励振電極291および第2励振電極292から引き出された電極パターンのことをいう。
【0035】
また、2つの第1励振電極291および第2励振電極292の一部は、溝部27の内部に形成されている。このため、音叉型水晶振動片2を小型化しても第1脚部21および第2脚部22の振動損失が抑制され、CI値を低く抑えることができる。
【0036】
第1励振電極291は、第1脚部21の両主面(一主面261と他主面262)と第2脚部22の両側面28に形成されている。同様に、第2励振電極292は、第2脚部22の両主面(一主面261と他主面262)と第1脚部21の両側面28に形成されている。
【0037】
上記した音叉型水晶振動片2の第1励振電極291および第2励振電極292や引出電極293,294は、金属蒸着によって各第1脚部21および第2脚部22上にクロム層が形成され、このクロム層上に金属が形成されて構成される薄膜である。この薄膜は、真空蒸着法やスパッタリング法等の手法により基板全面に形成された後、フォトリソグラフィ法によりメタルエッチングして所望の形状に形成される。なお、第1励振電極291,第2励振電極292および引出電極293,294がクロム,金の順に形成されているが、例えば、クロム,銀の順や,クロム,金,クロムの順や,クロム,銀,クロムの順等であってもよい。
【0038】
また、各第1脚部21および第2脚部22の先端部211,221の一主面261には、上記した脚部の幅広領域に対してほぼ全面に引出電極293,294がそれぞれ形成されている。これら一主面261の脚部の幅広領域に形成された引出電極293,294の上面には、レーザービームなどのビーム照射によって金属膜の質量削減を行うことで音叉型水晶振動片2の周波数を調整してなる調整用金属膜(周波数調整用錘)295,295が前記引出電極に対して若干小さな面積(75〜95%程度)で一体形成されている。水晶振動片2をウェットエッチングにより形成した場合、形成後の各脚部の幅にはばらつきが生じる。この水晶振動片の脚部の幅そのものである引出電極に対して、調整用金属膜295,295や後述するバランス用金属膜296,296を75〜95%程度の面積とすることで、調整用金属膜295,295や後述するバランス用金属膜296,296を各脚部の先端部211,221の両主面上に同一面積で配することができ、周波数の制御量を安定化させることができる。
【0039】
各第1脚部21および第2脚部22の先端部211,221の他主面262には、上記した脚部の幅広領域に対して基部25側の一部の領域のみで引出電極293,294とその上面にバランス用金属膜296,296が一体形成され、上記した脚部の幅広領域に対して脚部先端側の一部の領域のみで音叉型水晶振動片の素地露出部297,297がそれぞれ形成されている。より具体的には、他主面262の脚部の幅広領域に形成された引出電極293,294は、上記一主面261の脚部の幅広領域のほぼ全面に形成された引出電極293,294に対して基部25側の領域のみで一部が対向した状態で、かつ上記一主面261の脚部の幅広領域のほぼ全面に形成された引出電極293,294に対して脚部の突出方向に20〜75%程度の寸法で形成している。このように上述の寸法を20〜75%程度にすることで、周波数調整時に一主面側の調整用金属膜295,295をビーム照射によって金属膜の質量削減する際に、周波数調整後の音叉型水晶振動片2の一主面側と他主面側の重量バランスをより一層近接した状態で保つことができる。上述の寸法が75%を超えると、周波数の調整領域が狭くなり、上述の寸法が20%を下回ると周波数調整後の重量バランスが悪化する。この他主面262の引出電極293,294の上面には、当該引出電極に対して若干小さな面積(75〜95%程度)でバランス用金属膜296,296が一体形成されている。
【0040】
このバランス用金属膜296,296の厚み寸法は、前記調整用金属膜(周波数調整用錘)295,295の厚み寸法に対してほぼ同一の厚み寸法か、図7の変形例に示すようにバランス用金属膜296,296の方を調整用金属膜(周波数調整用錘)295,295より厚く形成している。図7の変形例では、調整用金属膜(周波数調整用錘)295,295の厚み寸法に対してバランス用金属膜296,296の厚み寸法をより厚く設定しているので、周波数調整により除去された後の調整用金属膜(周波数調整用錘)295,295とバランス用金属膜296,296とが同面積でなくとも重量バランスを保ちやすくできる。また音叉型水晶振動片の素地露出部297,297は、上記一主面261の脚部の幅広領域のほぼ全面に形成された引出電極293,294に対して脚部先端側の領域のみで一部が対向した状態で、かつ上記他主面262の脚部の幅広領域の一部に形成された引出電極293,294に対して残部の領域で形成されている。
【0041】
上記調整用金属膜(周波数調整用錘)295,295、バランス用金属膜296,296は、例えば、各領域の引出電極293,294に調整用金属膜形成部をフォトリソグラフィ法により所望の形状に形成して、当該形成部に調整用金属膜を電解メッキ法などの手法によりメッキ形成する。その後、アニール処理を行っても良い。これらの金属膜をメッキ形成する際には、上記したメッキバンプD(D1,D2)と同じ工程で同時に構成するとより実用上望ましい。
【0042】
以上のように構成された音叉型水晶振動片2は、上記水晶ウェハの状態の際に各々の音叉型水晶振動片2の周波数を計測した後、各々の音叉型水晶振動片2の調整用金属膜(周波数調整用錘)295,295をビーム照射などで減少させたり、パーシャル蒸着により増加させたりすることで、周波数の粗調整している。本発明では調整用金属膜295,295を減じるビーム照射による周波数調整が周波数の粗調整の一工程として必然的に行われ、単独あるいは他の調整方法と組み合わせて実施しており、例えばレーザービーム照射を用いている。周波数の粗調整では、水晶ウェハ状態の各々の音叉型水晶振動片2であり、図6に示すように、レーザービーム照射源に対して各第1脚部21および第2脚部22の先端部211,221の他主面262側を対向させ、一主面261側をレーザービーム照射源に背向させて配置している。そして、レーザービーム照射源から照射されたレーザービームは、水晶ウェハの各々の音叉型水晶振動片の他主面262に形成された音叉型水晶振動片の素地露出部297,297から音叉型水晶振動片の内部を透過して、反対側の一主面に形成された調整用金属膜295,295に対してレーザービーム照射することで、各々の音叉型水晶振動片2の周波数粗調整を行っている。
【0043】
水晶ウェハの他主面側と各音叉型水晶振動片の他主面、および水晶ウェハの一主面側と各音叉型水晶振動片の一主面とはそれぞれ同一面方向となるため、水晶ウェハの他主面側をレーザービーム照射源に対して対向させ、水晶ウェハの一主面側をレーザービーム照射源に背向させて配置することで、各音叉型水晶振動片の面方向を調整に必要な面方向へ合わせることができる。この水晶ウェハ状態の各音叉型水晶振動片2の脚部の先端領域のうち周波数調整部分である調整用金属膜295,295に対して、一括してレーザービーム照射することができ、一括して周波数調整することができる。
【0044】
また、水晶ウェハの他主面側をレーザービーム照射源に対向させることで、各音叉型水晶振動片2の他主面に形成された音叉型水晶振動片の素地露出部297,297から音叉型水晶振動片を透過させ、各音叉型水晶振動片の反対側の一主面に形成された調整用金属膜295,295に対して一括して周波数調整することができるので、調整された各音叉型水晶振動片2の他主面では除去される金属膜がなく、かつ各音叉型水晶振動片2の一主面でも音叉型水晶振動片の内部から外部へビームが通り抜ける状態で調整用金属膜295,295に対してレーザービーム照射されるので、多数個の音叉型水晶振動片2が形成された水晶ウェハの一主面側から遠ざかるように金属屑が飛散し、水晶ウェハの各音叉型水晶振動片2への再付着することなくより効率的に周波数調整することができる。
【0045】
周波数粗調整が施され水晶ウェハから取り出された個片の音叉型水晶振動片2は、その一主面261側の引出電極293,294でベース3の電極パッド32,32に対して例えば導電性接合材としてのメッキバンプD(D1,D2)を介してFCB法により超音波接合され、ベース3に搭載される。このため、音叉型水晶振動片2は、その他主面262側のバランス用金属膜296,296と素地露出部297,297とがベース3の開口部側となり、その一主面261側の調整用金属膜(周波数調整用錘)295,295がベース3の内底面側となった状態で搭載されている。なお上述の導電性接合材として、メッキバンプに限らず、金属スタッドバンプや導電性樹脂接着剤、ろう材などを用いてもよい。
【0046】
ベース3に搭載された音叉型水晶振動片2は、周波数を再計測した後、音叉型水晶振動片2の調整用金属膜(周波数調整用錘)295,295をビーム照射で減少させることで、周波数の微調整する最終の周波数調整を行っている。本実施形態の調整用金属膜295,295を減じる周波数の微調整では、例えばレーザービーム照射を用いており、図1に示すように、レーザービーム照射源に対してベース3の開口部を対向させ、ベース2の底面側(端子電極33,33の形成面側)をレーザービーム照射源に背向させて配置している。そして、上記粗調整の際と比較して出力を弱めた状態でレーザービーム照射源から照射されたレーザービームは、音叉型水晶振動片の他主面262に形成された音叉型水晶振動片の素地露出部297,297から音叉型水晶振動片の内部を透過して、反対側の一主面261に形成された調整用金属膜295,295に対してレーザービーム照射することで周波数微調整している。なお周波数の粗調整と微調整でレーザービーム照射に使用するレーザーの種類としては、グリーンレーザーやYAGレーザーなどがあげることができるが、他の波長を有するレーザーを使用してもよい。加えてビーム照射としてレーザービーム以外にイオンビームなど他のビーム照射を使用してもよい。
【0047】
このような構成により、音叉型水晶振動片2の他主面262では金属膜が除去されることがなく、かつ音叉型水晶振動片2の一主面261でも音叉型水晶振動片2の内部から外部へレーザービームが通り抜ける状態で調整用金属膜295,295に対してレーザービームが照射されるので、周波数粗調整の際に音叉型水晶振動片2の一主面261から遠ざかるように調整用金属膜295,295の金属屑が飛散して音叉型水晶振動片2への再付着することがなくなる。さらに周波数微調整の際にも音叉型水晶振動片2の一主面261から遠ざかり筐体の内底面に向かって調整用金属膜295,295の金属屑の飛散物を逃して音叉型水晶振動片2への再付着をなくすことができる。
【0048】
なお、ベース3に搭載された音叉型水晶振動片2の調整用金属膜(周波数調整用錘)295,295をイオンミーリング(イオンエッチング)により、周波数の微調整する最終の周波数調整を行う場合には、図8の変形例に示すような搭載構成および周波数調整手法としてもよい。すなわち、図8の変型例では、上記実施形態と反対の主面である音叉型水晶振動片2の接合部の他主面262に、ベース3との接合部位となる2つのメッキバンプD(D1,D2)が形成されている。そして上述の水晶ウェハの状態で周波数粗調整が施され水晶ウェハから取り出された個片の音叉型水晶振動片2は、その他主面262側の引出電極293,294でベース3の電極パッド32,32に対して例えば導電性接合材としてのメッキバンプD(D1,D2)を介してFCB法により超音波接合され、ベース3に搭載される。このため、音叉型水晶振動片2は、その他主面262側のバランス用金属膜296,296と素地露出部297,297とがベース3の内底面側となり、その一主面261側の調整用金属膜(周波数調整用錘)295,295がベース3の開口部側となった状態で搭載されている。またベース3に搭載された音叉型水晶振動片2は、周波数を再計測した後、調整用金属膜(周波数調整用錘)295,295の領域が開口したマスク部材をベース3の開口部側の上部に配置し、音叉型水晶振動片2の調整用金属膜(周波数調整用錘)295,295をイオンミーリング(イオンエッチング)で減少させることで、周波数の微調整する最終の周波数調整を行っている。
【0049】
以上のようにビーム照射やイオンミーリング(イオンエッチング)などによって最終の周波数調整が行われた音叉型水晶振動片2が搭載されたベース3に対して、図示しない蓋を加熱溶融接合等の手法により封止部材Hを介して接合し、音叉型水晶振動片2をベース3と図示しない蓋とで構成された筐体の内部に気密封止する。なお上述の気密封止の手法として、シーム溶接、ビーム溶接、雰囲気加熱などの手法をあげることができる。
【0050】
このように構成された音叉型水晶振動子では、音叉型水晶振動片2の他主面261に周波数調整により一部が除去された調整用金属膜295,295に対して一部対向した状態で形成されるバランス用金属膜296,296を具備しているので、周波数調整後の音叉型水晶振動片2の一主面261側と他主面262側の重量バランスがより近接した状態で保たれるため、音叉型水晶振動片2の振動偏位状態にも偏りが生じにくくなり、Z軸方向への振動を抑制し、振動もれなど悪影響が生じることが格段に抑えられる。特に筐体に対して取り付けられた最終周波数調整後の音叉型水晶振動片の一主面側と他主面側の重量バランスがより近接した状態で保たれるため、取り付けられた筐体の影響により振動もれなどが生じることもない。さらに第1脚部21および第2脚部22の先端部211,221には、脚部の幅広領域を有しておりこの幅広領域に対してバランス用金属膜296,296を形成しているので、幅広領域が存在しない脚部に比べて、脚部の幅方向に対するバランス用金属膜の厚み比を低く抑えることができる。このため第1脚部21と第2脚部22との間に生じる重量バランスの悪化を生じにくくし、かつ各脚部に対して生じる振動の悪影響もなくすのにより好ましい。結果として金属屑の付着量が大きく減少するために洗浄工程など簡略化させることができ、振動片の破損等をなくすことでより安価に特性も安定した信頼性の高い音叉型水晶振動片2、および音叉型水晶振動子1を提供することができる。
【0051】
また上記した本実施例にかかる音叉型水晶振動子1に設けた音叉型水晶振動片2によれば、接合部23の短辺部231および長辺部232において接合領域を設定することで、音響リークを防ぐとともに、応力や外力に強い構成とすることができる。また、接合部23は平面視L字状に形成されるので、音叉型水晶振動片2の全長や平面視幅の寸法を小さくして、音叉型水晶振動片2の筐体の小型化に寄与する。さらに、音叉型水晶振動片2を1枚の水晶ウェハから多数個形成する場合、1枚の水晶ウェハからの音叉型水晶振動片2の取れ数を増やすことができる。また、外部からの衝撃などの外力が加わった際に、厚み方向への撓みを抑えて、音叉型水晶振動片2を外部部材(ベース3と蓋とから構成される音叉型水晶振動子1)に搭載した際に、外部部材へ接触するのを防止することができる。その結果、第1脚部21および第2脚部22が外部部材に接触して削れたりするのを防止し、発振周波数が変化するのを防止することができる。また、第1脚部21および第2脚部22の振動により発生した漏れ振動が、平面視L字状に形成された折曲部位(本実施例では折曲部234)において接合部23の先端部233に伝わりにくくしており、基部25の他端面252よりも短辺部231が幅狭な状態で形成されているので、接合部23の折曲部234への音響リークをさらに低減されることができる。特に、接合部23における外部と接合する接合領域は、折曲部234と先端部233とに形成されるので、第1脚部21および第2脚部22の振動により発生した漏れ振動を、他端面252、短辺部231にて抑制し、屈曲部234や先端部233へ伝わるのを抑制することができ、音響リークをより一層低減させることができる。
【0052】
次に本発明の他の実施形態について図9とともに説明する。図9(a)は本発明の他の実施形態を示す音叉型水晶振動片の一主面側の平面図であり、図9(b)は本発明の他の実施形態を示す音叉型水晶振動片の他主面側の平面図である。上記実施形態と同様の部分については同番号を付しており説明の一部について割愛している。図9に示す実施形態では、2つの第1脚部21および第2脚部22の一主面261と他主面262には溝部が形成されておらず、2つの第1脚部21および第2脚部22の先端部211,221には脚部の幅広領域が形成されておらずストレート形状の音叉型水晶振動片2を使用している。また音叉型水晶振動片2の接合部23をなくした構成とするとともに、各脚部21,22と基部25の間には音叉型水晶振動片の側面28から延出する切り欠き部K,Kが形成されている。また音叉型水晶振動片2の基部25の領域内部で図示しないベースと接合される。このように構成された音叉型水晶振動片2はよりサイズの大きな音叉型水晶振動片などで用いられることが多く、上述の音叉型水晶振動片2に対してより簡易で安価な構成とすることができる。本発明ではこのように簡易な構成の音叉型水晶振動片2に対しても適用することができる。すなわち、各第1脚部21および第2脚部22の先端部211,221の一主面261には、ほぼ全面に形成された引出電極293,294とその上面に若干小さな面積で形成された調整用金属膜(周波数調整用錘)295,295を具備している。各第1脚部21および第2脚部22の先端部211,221の他主面262には、基部25側の一部の領域のみで形成された引出電極293,294とその上面に若干小さな面積で形成されたバランス用金属膜296,296と、脚部先端側の一部の領域のみで形成された音叉型水晶振動片の素地露出部297,297とを具備している。
【0053】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、音叉型水晶振動子等の圧電振動デバイスに適用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 音叉型水晶振動子
2 音叉型水晶振動片
3 ベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と複数の脚部とからなる音叉型水晶振動片であって、
前記脚部の先端領域の一主面にはビーム照射によって金属膜の質量削減を行うことで音叉型水晶振動片の周波数を調整してなる調整用金属膜が形成され、
前記脚部の先端領域の他主面には前記調整用金属膜に対して面積が小さくかつ金属膜が一部対向した状態で形成されるバランス用金属膜と、
前記調整用金属膜に対して面積が小さくかつ金属膜の形成されない領域が一部対向した状態で形成される音叉型水晶振動片の素地露出部とが形成されてなることを特徴とする音叉型水晶振動片。
【請求項2】
前記バランス用金属膜は前記調整用金属膜に対して基部よりの領域のみで一部が対向した状態で形成され、かつ前記調整用金属膜に対して脚部の突出方向に20%〜75%の寸法で形成されてなることを特徴とする特許請求項1記載の音叉型水晶振動片。
【請求項3】
特許請求項1記載の音叉型水晶振動片を筐体内部に具備してなる音叉型水晶振動子であって、
前記音叉型水晶振動片の一主面側の調整用金属膜を筐体の内底面側に向けて配置するとともに当該調整用金属膜の一部が除去された状態で前記音叉型水晶振動片の基部が筐体内部に接合されてなることを特徴とする音叉型水晶振動子。
【請求項4】
基部と複数の脚部とからなる音叉型水晶振動片の製造方法であって、
前記脚部の先端領域の一主面に調整用金属膜を有し、前記脚部の先端領域の他主面に前記調整用金属膜に対して面積が小さくかつ金属膜が一部対向した状態で形成されるバランス用金属膜と、前記調整用金属膜に対して面積が小さくかつ金属膜の形成されない領域が一部対向した状態で形成される音叉型水晶振動片の素地露出部とを有してなる音叉型水晶振動片があり、
この音叉型水晶振動片が多数個形成された水晶ウェハの他主面側をビーム照射源に対して対向させ、水晶ウェハの一主面側をレーザービーム照射源に背向させて配置し、
ビーム照射源から照射されたビームを、水晶ウェハの音叉型水晶振動片の他主面に形成された素地露出部から音叉型水晶振動片の内部を透過して、反対側の一主面に形成された調整用金属膜に対してビーム照射することで、各々の音叉型水晶振動片の周波数調整を実施してなることを特徴とする音叉型水晶振動片の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−193436(P2011−193436A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255306(P2010−255306)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】