説明

音場制御システム

【課題】受聴位置の移動に追従した出力オーディオ信号の制御を可能にするとともに、受聴位置における収音を容易にする。
【解決手段】出音部101は、オーディオ信号S14に基づいて出力音を出力する。眼鏡102は、出音部101に出力された出力音を電気信号に変換して収音信号S11として出力する収音部102aを備えている。音響特性導出部104は、収音部102aにより出力された収音信号S11と、オーディオ信号S12とに基づいて、収音部102aの位置における音響特性S13を導出する。オーディオ信号補正部105は、オーディオ信号S12を、音響特性導出部104により導出された音響特性S13に基づいて補正することにより、オーディオ信号S14を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収音部の位置における音響特性を導出し、導出した音響特性に基づいて出力の対象となるオーディオ信号を補正する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、2個の再生用スピーカーを用いて受聴位置におけるオーディオ信号の方向感及び距離感を制御する手法が開示されている。
【0003】
非特許文献2には、スピーカに入力される入力信号と収音部(マイクロホン)の観測信号とに基づいて、スピーカから受音点への音の伝わり方を示す空間伝達関数を算出する手法が開示されている。
【0004】
特許文献1には、スピーカの再生音に対する遅延時間、大きさ及び方向の補正を、特定した受聴位置に応じて行う音場制御装置が開示されている。この音場制御装置は、受聴位置に配設したマイクロホンによりスピーカの再生音を収音することにより得た電気信号に基づいて受聴位置を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−97400号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】城戸健一,「基礎音響工学」,コロナ社,1990年10月30日,p.248-p.250
【非特許文献2】下上泰治、“多入力信号補正システムにおける制御点近傍での音場再現”、[online]、高知工科大学、p.11-p.21[平成22年5月26日検索]、インターネット<URL:http://www.kochi-tech.ac.jp/library/ron/2005/2005info/2005info.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記非特許文献1では、受聴位置の特定を行わないので、受聴位置の移動に追従してオーディオ信号を自動的に制御することができない。
【0008】
また、上記非特許文献2及び特許文献1では、収音に用いられる収音部の形状等によっては、収音時に受聴位置、すなわち受聴者の耳近傍に収音部を設置しにくく、収音に手間がかかる場合がある。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑み、受聴位置の移動に追従してオーディオ信号を制御できるようにするとともに、音場制御システムによる受聴位置における収音を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様に係る音場制御システムは、出力オーディオ信号に基づいて出力音を出力する出音部と、前記出音部に出力された出力音を電気信号に変換して収音信号として出力する収音部を備えた眼鏡と、前記収音部により出力された収音信号と、所定の入力オーディオ信号とに基づいて、前記収音部の位置における音響特性を導出する音響特性導出部と、前記入力オーディオ信号を、前記音響特性導出部により導出された音響特性に基づいて補正することにより、前記出力オーディオ信号を取得するオーディオ信号補正部とを備えている。
【0011】
この態様によると、収音部が眼鏡に設けられており、この収音部により出力された収音信号に基づいてオーディオ信号を補正するので、出力オーディオ信号を受聴位置(収音部の位置)の移動に追従して自動的に制御できる。また、眼鏡に設けられた収音部によって収音を行うため、受聴者が単に眼鏡を装着するだけで他の特別な機器を保持することなく、受聴者の耳近傍に収音部を配置できるので、収音が容易になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、受聴位置の移動に追従した出力オーディオ信号の制御を可能にするとともに、音場制御システムによる収音を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態1に係る音場制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る収音信号を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施形態1に係る受聴者の移動を例示する説明図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る音場制御システムの動作の例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る収音信号により示される音量を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施形態1に係る収音信号の振幅の周波数特性を示すグラフである。
【図7】本発明の実施形態2に係る音場制御システムの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態3に係る音場制御システムの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施形態3に係る眼鏡の斜視図である。
【図10】本発明の実施形態3の変形例に係る眼鏡の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
《実施形態1》
本発明の実施形態1に係る音場制御システム100は、図1に示すように、左チャネルスピーカ101aと右チャネルスピーカ101bとからなる出音部101、眼鏡102、オーディオ信号記憶部103、音響特性導出部104、オーディオ信号補正部105、及び画像表示装置110を備えている。
【0016】
出音部101の左チャネルスピーカ101aと右チャネルスピーカ101bとは、受聴室106に設置され、オーディオ信号S14を物理振動に変換することにより出力音を出力する。
【0017】
画像表示装置110も受聴室106に設置され、3D画像を表示するとともに、3D画像と左右の目のシャッターとを同期させるための同期信号S10を赤外線通信により出力する。
【0018】
眼鏡102は、アクティブシャッター方式の3D眼鏡であり、眼鏡102のブリッジには収音部102aが設けられている。この収音部102aは、出音部101により出力された出力音を電気信号に変換して収音信号S11として赤外線通信によって出力するとともに、画像表示装置110により出力された同期信号S10を赤外線通信によって受信する。収音信号S11の出力及び同期信号S10の受信の機能は、共通の赤外線送受信機により実現される。眼鏡102は、受信した同期信号S10に基づいて左右の視界の遮断を行う。
【0019】
オーディオ信号記憶部103は、オーディオ信号S12を記憶する。このオーディオ信号S12は、音響特性導出用に準備したものであってもよいし、TV配信されたものであってもよい。また、オーディオ信号記憶部103は、オーディオ信号S12を記憶するブルーレイ(Blu−ray)ディスク等のメディアであってもよい。
【0020】
音響特性導出部104は、収音部102aにより出力された収音信号S11と、オーディオ信号記憶部103に記憶されたオーディオ信号S12とに基づいて、収音部102aの位置における音響特性S13を導出する。
【0021】
オーディオ信号補正部105は、オーディオ信号記憶部103に記憶されたオーディオ信号S12を、音響特性導出部104により導出された音響特性S13に基づいて補正することにより、出音部101に出力させるオーディオ信号S14を生成する。
【0022】
ここで、音響特性導出部104及びオーディオ信号補正部105による処理の詳細について説明する。音響特性導出部104及びオーディオ信号補正部105による処理は、非特許文献1、及び非特許文献2に記載されている。
【0023】
オーディオ信号記憶部103により記憶されたオーディオ信号S12をx(t)、収音部102aにより出力された収音信号S11をy(t)と表し、x(t)、y(t)のz変換をそれぞれX(z)、Y(z)と表すとする。音響特性導出部104は、収音部102aの位置における音響特性S13、すなわち出音部101から収音部102aへの音の伝わり方を表す空間伝達関数H(z)を以下の(式1)により求める。
【0024】
【数1】

【0025】
オーディオ信号補正部105の伝達関数は、音響特性導出部104により求められた空間伝達関数H(z)と、理想の音響特性を表す空間伝達関数D(z)とに基づいて、以下の(式2)のF(z)により表される。
【0026】
【数2】

【0027】
図2は、収音部102aにより出力された収音信号S11を示すタイミングチャートである。
【0028】
音響特性導出部104による音響特性S13の導出、及びオーディオ信号補正部105による補正は、一定期間T毎に行われる。
【0029】
図2では、まず、期間T1において音響特性導出部104が収音部102aの位置の音響特性S13を導出する。次に、期間T2において、オーディオ信号補正部105が音響特性導出部104により期間T1において導出された音響特性S13に基づいてオーディオ信号S12の補正を行うとともに、音響特性導出部104が収音部102aの位置の音響特性S13を新たに導出する。さらに、期間T3において、オーディオ信号補正部105が音響特性導出部104により期間T2において導出された音響特性S13に基づいてオーディオ信号S12の補正を行うとともに、音響特性導出部104が収音部102aの位置の音響特性S13を新たに導出する。以降もこのような動作が繰り返される。
【0030】
ここで、図3に示すように、受聴者301が期間x1(図2参照)においてスイートスポット302に含まれる位置303に位置し、その後移動し、期間x2(図2参照)において位置304に位置した場合の例について説明する。
【0031】
期間x1に含まれる期間T1においては、音響特性導出部104が位置303の音響特性S13を導出し、期間T2において、オーディオ信号補正部105が位置303の音響特性S13に基づいてオーディオ信号S12の補正を行う。また、期間x2に含まれる期間T4,T5においては、音響特性導出部104が位置304の音響特性S13を導出し、期間T5,T6においては、オーディオ信号補正部105が位置304の音響特性S13に基づいてオーディオ信号S12の補正を行う。
【0032】
このように、音響特性導出部104による音響特性S13の導出、及びオーディオ信号補正部105による補正を一定期間T毎に行うことにより、受聴者301の移動に自動的に追随した音場制御を適切に行うことができる。
【0033】
ここで、音場制御システム100の動作の例について、図4の(a)及び(b)を参照して説明する。
【0034】
ここでは、左チャネルスピーカ101aと右チャネルスピーカ101bとの中間が、音像の理想の定位位置であるとする。つまり、図4の(a)に示すように、スイートスポット302に受聴者301が位置している場合、左チャネルスピーカ101aと右チャネルスピーカ101bとから出力音が出力されると、受聴者301は、左チャネルスピーカ101aと右チャネルスピーカ101bとの中間位置401から音が出力されているように感じるものとする。
【0035】
このとき、図4の(b)に示すように、スイートスポット302の左外側に受聴者301が位置すると、左チャネルスピーカ101aと右チャネルスピーカ101bとから出力音が出力されたとき、音像の定位位置は、左チャネルスピーカ101aと右チャネルスピーカ101bとの中間位置401よりも左側の位置402となる。
【0036】
図4の(b)の例では、オーディオ信号補正部105が、左チャネルスピーカ101aから出力される出力音を遅延させ、音量を小さくする補正を行うとする。これにより、左チャネルスピーカ101aの出力音と右チャネルスピーカ101bの出力音とが、同時に同音量で受聴者301に到達し、音像の定位位置が、左チャネルスピーカ101aと右チャネルスピーカ101bとの中間になる。
【0037】
本実施形態によると、眼鏡102に設けられた収音部102aによって収音を行うため、受聴者301が単に眼鏡102を装着するだけで他の特別な機器を保持することなく、受聴者301の耳近傍に収音部102aを配置できるので、収音が容易になる。
【0038】
《実施形態1の変形例》
なお、上記実施形態1において、音響特性導出部104が、収音信号S11により示される音量と所定の基準音量との大小関係を音響特性S13として導出するようにしてもよい。そして、オーディオ信号補正部105が、収音信号S11により示される音量が基準音量以上である場合には出力音が小さくなるようにオーディオ信号S12を補正する一方、収音信号S11により示される音量が基準音量未満である場合には出力音が大きくなるようにオーディオ信号S12を補正するようにしてもよい。
【0039】
また、音響特性導出部104が、収音信号S11により示される音量と所定の基準音量範囲との大小関係を音響特性S13として導出するようにしてもよい。そして、図5に示すように、オーディオ信号補正部105が、収音信号S11により示される音量が基準音量範囲を超えている場合には出力音量が小さくなるようにオーディオ信号S12を補正し、収音信号S11により示される音量が基準音量範囲より小さい場合には出力音量が大きくなるようにオーディオ信号S12を補正し、収音信号S11により示される音量が基準音量範囲に収まっている場合には出力音量を変化させないようにしてもよい。
【0040】
このように、収音信号S11により示される音量に応じて出力音量を調整することにより、受聴者301の移動によって出音部101と受聴者301との距離が変動しても、所望の音量での受聴が可能な音場を受聴者301に提供できる。
【0041】
また、上記実施形態1において、音響特性導出部104が収音信号S11の振幅の周波数特性を導出し、所定の基準周波数特性との差異を示す情報を音響特性S13として導出するようにしてもよい。そして、オーディオ信号補正部105が、収音信号S11の振幅の周波数特性が基準周波数特性と異なる場合にはオーディオ信号S12を補正するようにしてもよい。
【0042】
例えば、図6に示すように、オーディオ信号補正部105が、収音信号S11の振幅の周波数特性を表す第1のグラフと所定の基準周波数特性を表す第2のグラフとで周波数成分の差異が所定値V以上になる周波数において、第1のグラフと第2のグラフとで周波数成分が同じになるように、オーディオ信号S12を補正するようにしてもよい。
【0043】
このように、収音信号S11の周波数特性に応じて出力音の周波数特性を補正することにより、受聴環境に関わらず、理想的な周波数特性を有する音の受聴が可能な音場を受聴者301に提供できる。
【0044】
《実施形態2》
本発明の実施形態2に係る音場制御システム700は、図7に示すように、実施形態1のオーディオ信号補正部105に変えて、オーディオ信号補正部705を備えている。このオーディオ信号補正部705は、第1の補正部705aと、第2の補正部705bとを備えている。
【0045】
第1の補正部705aは、前記画像表示装置110に表示される画像を示す3D画像情報S51を受け、この3D画像情報S51に基づいて、オーディオ信号記憶部103に記憶されたオーディオ信号S12を補正することにより、補正信号S52を取得する。3D画像情報S51は、例えば、飛び出すように見える画像の画面中の位置を示す情報であり、このような情報は、ブルーレイ(Blu−ray)ディスク等に記録された3D画像コンテンツに基づいて取得できる。また、第1の補正部705aによる補正は、例えば、3D画像情報S51が画面右側の画像が前方に飛び出していることを示している場合に、右チャネルスピーカ101bの音量を上げる等、左チャネルスピーカ101aと右チャネルスピーカ101bとのうち前方に飛び出して見える画像に近い側の一方の音量を上げる処理である。
【0046】
第2の補正部705bは、音響特性導出部104により導出された音響特性S13に基づいて、第1の補正部705aにより取得された補正信号S52を補正することにより、出音部101に出力されるオーディオ信号S14を取得する。第2の補正部705bの伝達関数は、音響特性導出部104により求められた空間伝達関数H(z)と、理想の音響特性を表す空間伝達関数D(z)とに基づいて、上記(式2)のF(z)により表される。
【0047】
そのほかの構成は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
【0048】
本実施形態によると、実施形態1と同じ効果が得られるとともに、3D画像情報S51に応じた所望の音を、受聴者301に聴かせることが可能になる。
【0049】
《実施形態3》
本発明の実施形態3に係る音場制御システム800は、図8に示すように、実施形態1の眼鏡102に代えて眼鏡802を備えているとともに、実施形態1の音響特性導出部104及びオーディオ信号補正部105に代えて音響特性導出部804及びオーディオ信号補正部805を備えている。
【0050】
眼鏡802は、アクティブシャッター方式の3D眼鏡である。図7にも示すように、眼鏡802の右側テンプルには、収音部802a及び収音部802bが長手方向に5cmの間隔をあけてリム側(前方側)から順に配設されている。同様に、眼鏡802の左側テンプルには、収音部802c及び収音部802dが長手方向に5cmの間隔をあけてリム側から順に配設されている。収音部802aは、出音部101により出力された出力音を電気信号に変換して収音信号S81aとして赤外線通信によって出力する。収音部802bは、出音部101により出力された出力音を電気信号に変換して収音信号S81bとして赤外線通信によって出力する。収音部802cは、出音部101により出力された出力音を電気信号に変換して収音信号S81cとして赤外線通信によって出力する。収音部802dは、出音部101により出力された出力音を電気信号に変換して収音信号S81dとして赤外線通信によって出力する。
【0051】
また、収音部802aは、画像表示装置110により出力された同期信号S10を赤外線通信によって受信する。なお、収音部802aに代えて他の収音部802b〜802dのいずれか1つが同期信号S10の受信を行うようにしてもよい。
【0052】
音響特性導出部804は、収音部802a〜802dによって出力された収音信号S81a〜S81dに基づいて、各収音部802a〜802dの位置における音響特性S83を導出する。音響特性S83の導出方法として、例えば非特許文献2に開示された手法を用いることができる。
【0053】
オーディオ信号補正部805は、オーディオ信号記憶部103に記憶されたオーディオ信号S12を、音響特性導出部804により導出された音響特性S83に基づいて補正することにより、出音部101に出力させるオーディオ信号S14を取得する。オーディオ信号補正部805により行われる補正の方法として、例えば非特許文献1に開示された手法を用いることができる。
【0054】
そのほかの構成は実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
【0055】
左チャネルスピーカ101aと右チャネルスピーカ101bとに向かい合うように受聴者301が眼鏡802を装着した状態で位置している場合、収音部802bにより取得される収音信号S81bは、収音部802aにより取得された収音信号S81aよりも約0.15ミリ秒(距離5cm÷音速34000cm/秒)遅延した信号となる。この場合、収音信号S81aを0.15ミリ秒遅延させた信号と収音信号S81bとを足し合わせることにより得られる加算信号は、収音信号S81bを増幅させた信号となる。一方、左チャネルスピーカ101aと右チャネルスピーカ101bとに背中を向けて受聴者301が眼鏡802を装着した状態で位置している場合、収音部802aにより取得される収音信号S81aが、収音部802bにより取得された収音信号S81bよりも約0.15ミリ秒遅延した信号となる。この場合、収音信号S81aを0.15ミリ秒遅延させた信号と収音信号S81bとの位相がずれるため、上記加算信号は、収音信号S81bを増幅させた信号とはならない。
【0056】
したがって、上記加算信号に基づいて音響特性S83を音響特性導出部804に導出させることにより、前方の指向性を高めることができ、その結果、後方等、前方以外の雑音による影響を低下させ、音響特性の導出精度を高めることができる。
【0057】
なお、上記実施形態では、収音部をテンプルの長手方向に2つ設けたが、3つ以上設けてもよい。この場合でも、収音部の間隔に応じて遅延させた信号を加算した加算信号に基づいて音響特性S83を導出することにより、前方又は後方の指向性を高めるようにしてもよい。
【0058】
《実施形態3の変形例》
なお、上記実施形態3において、眼鏡802に代えて、図10に示す眼鏡1002を用いてもよい。眼鏡1002は、右側テンプルに収音部1002aを備えているとともに、左側テンプルに収音部1002bを備えている。収音部1002aは、出音部101により出力された出力音を電気信号に変換して収音信号S101aとして赤外線通信によって出力し、収音部1002bは、出音部101により出力された出力音を電気信号に変換して収音信号S101bとして赤外線通信によって出力する。
【0059】
また、収音部1002aは、画像表示装置110により出力された同期信号S10を赤外線通信によって受信する。なお、収音部1002aに代えて収音部1002bが同期信号S10の受信を行うようにしてもよい。
【0060】
例えば、左チャネルスピーカ101aと右チャネルスピーカ101bとに向かい合うように受聴者301が眼鏡1002を装着した状態で位置している場合、受聴者301が顔を左に向ければ右の収音信号S101aが大きくなる。一方、受聴者301が眼鏡1002を装着した状態で位置している場合、受聴者301が顔を左に向ければ左の収音信号S101bが大きくなる。したがって、音響特性導出部804は、右の収音信号S101aと左の収音信号S101bとの差分に基づいて、受聴者301の顔の向きに応じた情報を音響特性S13として出力するようにしてもよい。そして、この音響特性S13に基づいて、受聴者301が顔を左に向けている場合には右の収音信号S101aが小さくなり、受聴者301が顔を右に向けている場合には左の収音信号S101bが小さくなるよう、オーディオ信号補正部105による補正が行われるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る音場制御システムは、収音部の位置における音響特性を導出し、導出した音響特性に基づいて出力の対象となるオーディオ信号を補正する技術として有用であり、例えばAV(Audio Visual)機器に適用できる。
【符号の説明】
【0062】
100,700,800 音場制御システム
101 出音部
102,802,1002 眼鏡
102a,802a〜802d,1002a,1002b 収音部
103 オーディオ信号記憶部
104,804 音響特性導出部
105,705,805 オーディオ信号補正部
110 画像表示装置
301 受聴者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力オーディオ信号に基づいて出力音を出力する出音部と、
前記出音部により出力された出力音を電気信号に変換して収音信号として出力する収音部を備えた眼鏡と、
前記収音部により出力された収音信号と、所定の入力オーディオ信号とに基づいて、前記収音部の位置における音響特性を導出する音響特性導出部と、
前記入力オーディオ信号を、前記音響特性導出部により導出された音響特性に基づいて補正することにより、前記出力オーディオ信号を生成するオーディオ信号補正部と、
を備えた音場制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の音場制御システムにおいて、
前記入力オーディオ信号を記憶するオーディオ信号記憶部をさらに備えていることを特徴とする音場制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の音場制御システムにおいて、
3D画像を表示する画像表示装置をさらに備え、
前記眼鏡は、3D眼鏡であることを特徴とする音場制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の音場制御システムにおいて、
前記オーディオ信号補正部により行われる補正は、前記画像表示装置に表示される3D画像を示す3D画像情報にさらに基づくことを特徴とする音場制御システム。
【請求項5】
請求項3に記載の音場制御システムにおいて、
前記画像表示装置は、同期信号を赤外線通信により出力し、
前記収音部は、共通の赤外線送受信機による赤外線通信により前記同期信号の受信と前記収音信号の出力とを行い、
前記眼鏡は、アクティブシャッター方式であり、前記収音部により受信された同期信号に基づいて左右の視界の遮断を行うことを特徴とする音場制御システム。
【請求項6】
請求項1に記載の音場制御システムにおいて、
前記眼鏡は、前記収音部を複数備え、
前記音響特性導出部は、前記複数の収音部により出力された収音信号と、前記入力オーディオ信号とに基づいて音響特性を導出することを特徴とする音場制御システム。
【請求項7】
請求項1に記載の音場制御システムにおいて、
前記音響特性導出部による音響特性の導出、及びオーディオ信号補正部による補正は、一定期間毎に行われることを特徴とする音場制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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