説明

音声データ処理装置

【課題】 デジタルデータにて表現された著作物を適正に保護しつつ、この種のデータを利用するときの利便性を向上させる。
【解決手段】 記録媒体52から読み出されたデジタルの音声データはインタフェース13に入力される。D/A変換器21は、この音声データをアナログの音声信号に変換して出力する。A/D変換器23は、D/A変換器21から出力された音声信号をデジタルの音声データに変換して出力する。制御装置10は、音声データの複製を制限する複製制限機能が記録媒体52に付加されているか否かを判定し、この機能が付加されていないと判定した場合には、インタフェース13から入力された音声データを記憶装置15に格納する一方、複製制限機能が付加されていると判定した場合には、A/D変換器23から出力された音声データを記憶装置15に格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声を示すデータ(以下「音声データ」という)を記憶するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
楽曲などの著作物を保護するための種々の仕組みが従来から提案されている。例えば特許文献1には、著作物たる楽曲の複製を制限するためのプログラムやデータがその楽曲の音声データとともに記録された記録媒体が提案されている。このように著作物の複製を制限する機能(以下「複製制限機能」という)が付加された記録媒体によれば、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置における不正なリッピングが防止される。
【特許文献1】特開2002−251828号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、音声データを公正に複製する行為も複製制限機能によって制限されるとすれば、この音声データに係る著作物を利用しようとする需要者の利便が不当に阻害される結果を招きかねない。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、デジタルデータにて表現された著作物を適正に保護しつつ、この種のデータを利用するときの利便性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために、本発明に係る音声データ処理装置の第1の特徴は、記録媒体から読み出されたデジタルの音声データを取得する取得手段と、取得手段が取得した音声データをアナログの音声信号に変換して出力するD/A変換手段と、D/A変換手段から出力された音声信号をデジタルの音声データに変換して出力するA/D変換手段と、音声データの複製を制限する複製制限機能が記録媒体に付加されているか否かを判定する判定手段と、複製制限機能が記録媒体に付加されていないと判定手段が判定した場合、取得手段が取得した音声データを記憶手段に記憶する一方、複製制限機能が記録媒体に付加されていると判定手段が判定した場合、A/D変換手段から出力された音声データを記憶手段に記憶する制御手段とを具備することにある。
この構成においては、記録媒体に複製制限機能が付加されていない場合には、記録媒体に記録された音声データがデジタルのまま記憶手段に記憶される一方、複製制限機能が付加されている場合には、記録媒体に記録された音声データがいったんアナログの音声信号に変換され、これをさらに変換したデジタルの音声データが記憶手段に記憶される。したがって、著作権を保護しながら、記録媒体に記録された音声データを記憶手段に記憶(転送)することができる。
【0005】
なお、本発明における「音声データ」とは、人間の肉声や楽器の演奏音といった種々の音声(音響)を示すデジタルデータであり、典型的には音声の時間軸上における波形を示す信号である。ただし、本発明における音声信号の態様はこれに限られるものではなく、例えば音声の特性を周波数領域にて示す信号も本発明における音声信号の概念に含まれる。また、複製制限機能が付加された記録媒体の典型的な例はCCCD(Copy Controlled Compact Disc)であるが、記録媒体の形態や複製制限機能を実現するための仕組みの如何は不問である。
【0006】
また、本発明において「取得手段が取得した音声データ」とは、記録媒体から読み出されたデジタルの音声データそれ自体のほか、この音声データをエンコードしてデータ形式を変更した音声データ(ただしA/D変換手段から出力された音声データを除く)をも含む概念である。また、「A/D変換手段から出力された音声データ」とは、音声信号から生成された音声データそれ自体のほか、この音声データをエンコードしてデータ形式を変更した音声データをも含む概念である。
【0007】
本発明の望ましい態様においては、記録媒体に記録された音声データに関する情報を取得する情報取得手段がさらに設けられ、制御手段は、音声データと当該音声データについて情報取得手段が取得した情報とを対応付けて記憶手段に記憶する。この構成によれば、音声データに関する情報が当該音声データに対応付けて記憶手段に記憶されるから、利用者はこの音声データに関する情報を適宜に確認することができる。
【0008】
ところで、複製制限機能は、音声データのセッション(区画)とは別個のセッションに格納されたデータやプログラムによって実現される場合がある。つまり、音声データのみが格納されている記録媒体(すなわち複製制限機能が付加されていない記録媒体)にはひとつのセッションのみが格納されているのに対し、複製制限機能が付加された記録媒体には複数のセッションが格納される。そこで、本発明の具体的な態様における判定手段は、記録媒体に複数のセッションが格納されている場合には複製制限機能が付加されていると判定し、記録媒体にひとつのセッションのみが格納されている場合には複製制限機能が付加されていないと判定する。この態様によれば、複製制限機能の有無を極めて簡易な方法によって判定することができるという利点がある。もっとも、複製制限機能の有無を判定するための方法はこれに限定されない。
【0009】
また、本発明に係る音声データ処理装置の第2の特徴は、音声データを記憶および再生する端末装置が接続される接続端子と、記録媒体から読み出されたデジタルの音声データを取得する取得手段と、取得手段が取得した音声データ(例えば後述する第2実施形態における第1音声データ)を記憶する第1記憶手段と、取得手段が取得した音声データをアナログの音声信号に変換して出力するD/A変換手段と、D/A変換手段から出力された音声信号をデジタルの音声データに変換して出力するA/D変換手段と、A/D変換手段から出力された音声データ(例えば後述する第2実施形態における第2音声データ)を記憶する第2記憶手段と、第1記憶手段に記憶された音声データと第2記憶手段に記憶された音声データとのうちの何れかを選択する選択手段(第2実施形態における制御装置10に相当する)と、選択手段が選択した音声データを端末装置に出力する制御手段とを具備することにある。
この構成によれば、記憶媒体から読み出されたデジタルの音声データと、記録媒体に記録された音声データを変換したアナログの音声信号から生成されたデジタルの音声データとの何れかが選択的に端末装置に出力される。したがって、記録媒体に記録された音声データがデジタルのまま(つまり音質の劣化を伴なうことなく)出力される端末装置を制限することができる。なお、この音声データ処理装置において、第1記憶手段および第2記憶手段は、単一の記憶装置に確保された別個の記憶領域であってもよいし、各々が別個の記憶装置であってもよい。
【0010】
第2の特徴に係る音声データ処理装置において音声データを選択するための方法は任意であるが、例えば以下に示す第1ないし第3の態様が採用される。まず、第1の態様においては、接続端子に接続された端末装置からその識別子を取得する識別子取得手段が設けられ、選択手段は、端末装置が外部に音声データを出力する出力機能を備えているか否かを識別子取得手段が取得した識別子に基づいて判定し、この端末装置が出力機能を備えていないと判定した場合には第1記憶手段に記憶された音声データを選択する一方、当該端末装置が出力機能を備えていると判定した場合には第2記憶手段に記憶された音声データを選択する。この態様によれば、記録媒体から読み出された音声データが、当該音声データ処理装置に接続された端末装置からデジタルのまま(すなわち音質の劣化を伴なうことなく)多数の端末装置に拡散的に複製される事態は防止される。一方、出力機能を有する端末装置に対してはいったんアナログの音声信号に変換された音声データが出力されるから、音声データに係る著作物の保護という見地に反することなく端末装置の利便性を向上させることができる。この態様の具体例は第2実施形態として後述される。なお、本態様においては、例えば、端末装置の識別子とその端末装置が出力機能を備えるか否かを示す機能情報とを対応付けるテーブルを記憶する記憶手段が更に設けられ、選択手段は、識別子取得手段が取得した識別子と記憶手段に記憶されたテーブルとに基づいて、当該端末装置が出力機能を備えているか否かを判定する。
【0011】
第2の態様においては、第1記憶手段に記憶された音声データの出力先となる端末装置の識別子を記憶する記憶手段と、接続端子に接続された端末装置からその識別子を取得する識別子取得手段とが更に設けられ、選択手段は、識別子取得手段によって取得された識別子が記憶手段に記憶されている場合には第1記憶手段に記憶された音声データを選択する一方、当該識別子が記憶手段に記憶されていない場合には第2記憶手段に記憶された音声データを選択する。この態様によれば、記録媒体から読み出された音声データがデジタルのまま出力される端末装置を、記憶手段に識別子が記憶された端末装置に限定することができるから、この音声データがデジタルのまま無制限に複製されて拡散していく事態は防止される。一方、識別子が記憶手段に記憶されていない端末装置に対してはいったんアナログの音声信号に変換された音声データが出力されるから、音声データに係る著作物の保護という見地に反することなく端末装置の利便性を向上させることができる。なお、この態様の具体例は変形例(2)の第1の態様として後述される。
【0012】
第3の態様において、取得手段が取得する音声データは暗号化されたデータであり、D/A変換手段は、取得手段が取得した音声データを復号したデータをアナログの音声信号に変換し、選択手段は、接続端子に接続された端末装置が、暗号化された音声データを復号するための暗号鍵を保持しているか否かを判定し、この端末装置が暗号鍵を保持していると判定した場合には第1記憶手段に記憶された音声データを選択する一方、当該端末装置が暗号鍵を保持していないと判定した場合には第2記憶手段に記憶された音声データを選択する。この態様によれば、記録媒体から読み出された音声データがデジタルのまま出力される端末装置を、暗号鍵を保持した適正な端末装置に限定することができるから、この音声データがデジタルのまま無制限に複製されて拡散していく事態は防止される。一方、暗号鍵を保持していない端末装置に対してはいったんアナログの音声信号に変換された音声データが出力されるから、音声データに著作物の保護という見地に反することなく端末装置の利便性を向上させることができる。なお、本態様の具体例は変形例(2)の第2の態様として後述される。
【0013】
本発明の第1および第2の特徴に係る音声データ処理装置は、音声データの処理に専用されるDSP(Digital Signal Processor)によって実現されるほか、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置を備えたコンピュータとプログラムとの協働によっても実現される。このプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体(例えば光ディスク)に格納された態様にて利用者に提供されるほか、インターネットなどのネットワークを介して提供されてコンピュータにインストールされる。
【0014】
さらに詳述すると、第1の特徴に係るプログラムは、記録媒体から読み出されたデジタルの音声データを取得する取得処理と、取得処理にて取得した音声データをアナログの音声信号に変換して出力するD/A変換処理と、D/A変換処理にて出力された音声信号をデジタルの音声データに変換して出力するA/D変換処理と、音声データの複製を制限する複製制限機能が記録媒体に付加されているか否かを判定する判定処理と、複製制限機能が記録媒体に付加されていないと判定した場合、取得処理にて取得した音声データを記憶手段に記憶し、複製制限機能が記録媒体に付加されていると判定した場合、A/D変換処理にて出力された音声データを記憶手段に記憶する制御処理とをコンピュータに実行させる。
【0015】
また、第2の特徴に係るプログラムは、記録媒体から読み出されたデジタルの音声データを取得する取得処理と、取得処理にて取得した音声データを第1記憶手段に記憶させる処理と、取得処理にて取得した音声データをアナログの音声信号に変換して出力するD/A変換処理と、D/A変換処理にて出力された音声信号をデジタルの音声データに変換して出力するA/D変換処理と、A/D変換処理にて出力された音声データを第2記憶手段に記憶させる処理と、接続端子に接続された端末装置からその識別子を取得する識別子取得処理と、識別子取得処理にて取得した識別子に基づいて、第1記憶手段に記憶された音声データと第2記憶手段に記憶された音声データとのうちの何れかを選択する選択処理と、選択処理にて選択した音声データを端末装置に出力する制御処理とをコンピュータに実行させる。なお、第1および第2の特徴に係るプログラムにおいて各処理が実行される順序は任意である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、デジタルデータにて表現された著作物を保護しつつ、この種のデータを取り扱うときの利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<A:第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る音声データ処理装置の構成を説明する。この音声データ処理装置は、外部の記録媒体に記録された音声データを取得して記憶する機能と、この記憶された音声データを再生して音声を出力する機能とを備えている。音声データは、楽曲の音声(楽器の演奏音や歌唱音声)をマイクロホンによって収音した音声信号を所定の周期にてサンプリングしたデジタルデータである。なお、本実施形態における音声データ処理装置は、利用者によって携帯される程度に小型の装置(可搬型の装置)であってもよいし、例えば室内に固定的に設置される装置であってもよい。
【0018】
図1は、音声データ処理装置D1の構成を示すブロック図である。同図に示される制御装置10は、音声データ処理装置D1の全体を制御するための手段であり、プログラムを実行することによって種々の機能を実現するCPUと、CPUによって実行されるプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)と、CPUによって作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)とを含んで構成される。一方、図1に示される入力装置11は、利用者によって操作される複数の操作子を備え、各操作子に与えられた操作に応じた信号を制御装置10に出力する。表示装置12は、例えば液晶表示パネルであり、制御装置10による制御のもとに各種の情報を表示する。
【0019】
インタフェース(I/F)13は、制御装置10と外部とのデータの授受を仲介する手段である。このインタフェース13には再生装置51が接続される。再生装置51は、記録媒体52に記録されたデータを読み出して出力する装置である。なお、再生装置51は音声データ処理装置D1と一体に構成されていてもよい。
【0020】
記録媒体52は、例えばCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスクや半導体メモリといった可搬型の記憶メディアである。再生装置51にセットされる記録媒体52には、その記録媒体52に格納されたデータの複製を制限するための機能(以下「複製制限機能」という)が付加されたもの(以下「複製制限媒体」という)と、この複製制限機能が付加されていないもの(以下「複製非制限媒体」という)とがある。複製制限媒体の典型的な例はCCCDである。
【0021】
図2(a)は、複製非制限媒体(ここでは光ディスク)の記憶領域を示す図であり、図2(b)は、複製制限媒体の記憶領域を示す図である。これらの図に示されるように、記録媒体52の記憶領域にはセッションS(S1およびS2)が画定される。ひとつのセッションSは、記録媒体52の内周側に配置されたリードインと外周側に配置されたリードアウトとに挟まれた領域である。各セッションSのリードインにはTOC(Table Of Contents)が含められる。TOCは、そのセッションを構成する各データに関する情報を含む。
【0022】
図2(a)に示されるように、複製非制限媒体の記憶領域には、音声データが楽曲ごとに格納されたひとつのセッションS1が画定される。このセッションS1のTOCは、記録媒体52に記憶された各楽曲を再生したときの時間長など当該記録媒体52に固有の情報を含んでいる。複製非制限媒体のうちリードアウトの外側に存在する領域Aには何らのデータも書き込まれていない。一方、図2(b)に示されるように、複製制限媒体の記憶領域には、音声データを含むセッションS1が複製非制限媒体と同様に画定されるほか、このセッションS1の外側(図2(a)に示した領域A)に、複製制限機能を実現するためのデータやプログラム(以下ではこれらを総称して「複製制限データ」という)を含むセッションS2が画定される。このように、複製非制限媒体には、音声データを含むひとつのセッションS1のみが格納されるのに対し、複製制限媒体には、音声データを含むセッションS1および複製制限データを含むセッションS2という複数のセッション(いわゆるマルチセッション)が格納される。これらの記録媒体52に格納された音声データやTOCは再生装置51によって読み出されてインタフェース13から制御装置10に入力される。すなわち、インタフェース13は、音声データやTOCを取得するための手段として機能する。
【0023】
図1に示される通信装置14は、インターネットや公衆交換電話網などのネットワーク65を介して他の装置と通信する手段である。このネットワーク65には情報提供装置60が接続される。情報提供装置60は、記録媒体52に格納された楽曲に関する付加的な情報(以下「付属情報」という)を記憶する記憶装置61を備え、この付属情報を音声データ処理装置D1に提供する。付属情報は、記録媒体52に格納された各楽曲の曲名や歌手名、各楽曲の再生に要する時間、およびその記録媒体52の発売日や販売者の名称といった各種の情報を含む。通信装置14は、ネットワーク65を介して情報提供装置60と通信することによって付属情報を取得して制御装置10に出力する。
【0024】
記憶装置15は、データの書き込みおよび読み出しが可能な記憶デバイスであり、例えばハードディスク装置や半導体メモリである。この記憶装置15には、制御装置10が実行するプログラムや多数の楽曲ファイルFが格納される。図1に示されるように、ひとつの楽曲に対応する楽曲ファイルFは、その楽曲に関する付属情報とその楽曲の音声データとを含む。もっとも、付属情報と音声データとがひとつのファイルとして認識される必要は必ずしもない。要するに、各楽曲の付属情報とその楽曲の音声データとが対応付けられて記憶装置15に格納される構成であれば足りる。
【0025】
制御装置10は、再生装置51からインタフェース13を介して入力される音声データや記憶装置15に格納された音声データを順次にD/A変換器21に出力する。このD/A変換器21は、デジタルの音声データをアナログの音声信号に変換して出力する手段である。D/A変換器21から出力された音声信号は、放音装置22とA/D変換器23とに供給される。放音装置22は、D/A変換器21から供給される音声データに基づいて音波を出力する手段(例えばスピーカやイヤホン)である。一方、A/D変換器23は、D/A変換器21から供給された音声信号をデジタルの音声データに変換して制御装置10に出力する手段である。
【0026】
次に、本実施形態の動作を説明する。以下では、記録媒体52に記録された音声データを記憶装置15に転送するための動作(図3)と、記憶装置15に記憶された音声データを再生するための動作とに分けて説明する。
【0027】
(1)記録媒体52に記録された音声データを記憶装置15に転送する動作
利用者によって入力装置11に所定の操作がなされ、記録媒体52から記憶装置15への音声データの転送が指示されると、制御装置10は、プログラムを順次に実行することによって図3に示される処理を順次に実行する。このプログラムを起動すると、制御装置10はまず、再生装置51によって記録媒体52から読み出されたTOCを再生装置51からインタフェース13を介して受信する(ステップSa1)。次いで、制御装置10は、このTOCに対応する付属情報(すなわちその時点において再生装置51にセットされている記録媒体52の付属情報)を情報提供装置60から取得する(ステップSa2)。より具体的には、制御装置10はまず、付属情報を情報提供装置60に要求するための情報要求信号を通信装置14に出力する。この情報要求信号には、ステップSa1にて取得したTOCが含められる。通信装置14は、この情報要求信号をネットワーク65から情報提供装置60に送信する。一方、情報提供装置60は、音声データ処理装置D1から受信したTOCに対応する付属情報を記憶装置61から検索し、この検索した付属情報を音声データ処理装置D1に宛てて送信する。通信装置14は、ネットワーク65を介して情報提供装置60から受信した付属情報を制御装置10に出力する。
【0028】
以上の手順にて付属情報を取得すると、制御装置10は、その時点において再生装置51にセットされている記録媒体52に複製制限機能が付加されているか否かを判定する(ステップSa3)。より具体的には、制御装置10は、記録媒体52に複数のセッションが含まれている場合にはその記録媒体52に複製制限機能が付加されていると判定する一方、記録媒体52にひとつのセッションのみが含まれている場合にはその記録媒体52に複製制限機能が付加されていないと判定する。記録媒体52に含まれるセッションがひとつであるのか複数であるのかを判定するための方法は任意であるが、例えば記録媒体52のTOCにセッションの総数を格納しておき、ステップSa1にて取得したTOCからこの総数を抽出することによって、制御装置10が記録媒体52のセッションが複数であるか否かを判定するといった構成が採用される。あるいは、再生装置51が記録媒体52の記憶領域の全体をサーチすることによってセッションの総数(すなわちリードインとリードアウトとの組の個数)を検知して制御装置10に通知する構成としてもよい。
【0029】
ステップSa3において複製制限機能が付加されていないと判定した場合、制御装置10は、再生装置51から楽曲ごとに読み出される音声データをデジタルのまま記憶装置15に記憶させる(ステップSa4ないしステップSa6)。すなわち、制御装置10はまず、各楽曲の音声データを順次にエンコードしてデータの形式を変更する(ステップSa4)。この変更後のデータ形式は、例えばMP3(MPEG-1 Audio Layer-3)に準拠した形式である。次いで、制御装置10は、ステップSa1にて取得したTOCとステップSa4のエンコードを経たひとつの楽曲の音声データとを含む楽曲ファイルFを生成して記憶装置15に格納する(ステップSa5)。そして、制御装置10は、再生装置51から供給される各楽曲の音声データについてステップSa4およびステップSa5の処理を繰り返し(ステップSa6:No)、記録媒体52に記録された総ての楽曲についてこれらの処理を完了すると処理を終了する(ステップSa6:Yes)。
【0030】
一方、ステップSa3において複製制限機能が付加されていると判定した場合、制御装置10は、再生装置51から楽曲ごとに読み出される音声データをいったんアナログの音声信号に変換してから再びデジタルに変換した音声データを記憶装置15に記憶させる(ステップSa7ないしステップSa11)。すなわち、制御装置10はまず、各楽曲の音声データを順次にD/A変換器21に出力する(ステップSa7)。D/A変換器21は、この音声データをアナログの音声信号(すなわち音声の時間軸上における波形に相似する信号)に変換して放音装置22およびA/D変換器23に出力する。これにより放音装置22は、この音声信号に応じた音声を出力する。一方、A/D変換器23は、音声信号をデジタルの音声データに変換して制御装置10に出力する。制御装置10は、この音声データを受信し(ステップSa8)、これをエンコードすることによってデータ形式をMP3に準拠したものに変換する(ステップSa9)。
【0031】
次いで、制御装置10は、ステップSa1にて取得したTOCとステップSa9におけるエンコードを経たひとつの楽曲の音声データとを含む楽曲ファイルFを生成して記憶装置15に記憶させる(ステップSa10)。さらに、制御装置10は、再生装置51から供給される各楽曲の音声データについてステップSa7からステップSa10の処理を繰り返し(ステップSa11:No)、記録媒体52に記録された総ての楽曲についてこれらの処理を完了すると(ステップSa11:Yes)処理を終了する。
【0032】
(2)記憶装置15に記憶された音声データを再生するための動作
一方、利用者によって入力装置11に所定の操作がなされ、再生の対象となる楽曲の指定とその再生の指示とが入力されると、制御装置10はまず、利用者によって指定された楽曲の楽曲ファイルFを記憶装置15から読み出し、この楽曲ファイルFに含まれる音声データをD/A変換器21に出力するとともに付属情報を表示装置12に表示させる。利用者は、この表示を視認することにより、先に再生を指示した楽曲に関する情報を確認することができる。一方、D/A変換器21は、制御装置10から供給される音声データを音声信号に変換して放音装置22に出力する。これにより放音装置22からは利用者が指定した楽曲の音声が出力される。この場合にD/A変換器21からA/D変換器23を経由して制御装置10に供給される音声データは破棄される。なお、この構成に代えて、音声データが再生されるときには、A/D変換器23の動作を制御装置10が停止させてもよいし、D/A変換器21からA/D変換器23への音声信号の入力を制御装置10が停止させてもよい。
【0033】
以上に説明したように、本実施形態においては、記録媒体52から記録装置に転送された音声データに基づいて楽曲が再生されるから、利用者は、所望の楽曲を鑑賞するたびに記録媒体52を再生装置51にセットし直すといった煩雑な作業を行なう必要がない。さらに、記録媒体52に複製制限機能が付加されていない場合には、再生装置51から出力された音声データがデジタルのまま記憶装置15に記憶されるから、記録媒体52に格納された楽曲の音質を損なうことなく音声データを記憶装置15に記憶させることができる。一方、記録媒体52に複製制限機能が付加されている場合には、いったんアナログの音声信号に変換された音声データを再びデジタルデータに変換したものが記憶装置15に記憶されるから、若干の音質の劣化は伴なうものの、著作物としての楽曲の保護が損なわれることはない。このように、本実施形態によれば、音声データによって表現される楽曲の著作権を保護しながら、この音声データを取り扱うときの利便性を向上させることができる。
【0034】
<B:第2実施形態>
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態に係る音声データ処理装置D1の構成を説明する。
第1実施形態においては、記録媒体52に記録された音声データを音声データ処理装置D1の記憶装置15に転送する構成を例示した。この構成のもとでは、記憶装置15に格納された音声データを携帯型の端末装置など他の装置に転送することも可能である。しかしながら、記憶装置15に格納された音声データが無制限に他の装置に転送され得るとすれば、著作物を保護するという見地に反する結果を招きかねない。このような観点から、本実施形態に係る音声データ処理装置D1は、他の端末装置に対する音声データの転送が制限される構成となっている。なお、本実施形態に係る要素のうち第1実施形態と同様の作用を営む部分については共通の符号を付してその説明を適宜に省略する。
【0035】
第1実施形態においては、記録媒体52に格納されたひとつの楽曲について、再生装置51から出力された音声データとこれを音声信号に変換したうえでデジタルに変換し直した音声データとの何れか一方のみが記憶装置15に記憶される構成を例示した。これに対し、本実施形態における制御装置10は、ひとつの楽曲について、再生装置51から出力された音声データ(以下「第1音声データ」という)とこれをアナログの音声信号に変換したうえでデジタルに変換し直した音声データ(以下「第2音声データ」という)との双方を記憶装置15に記憶させる。より具体的には、記録媒体52から読み出された音声データを再生装置51からインタフェース13を介して受信すると、制御装置10は、図3のステップSa4およびステップSa5と同様の手順によってこの音声データをエンコードし、このエンコードによって生成された第1音声データを付属情報とともに楽曲ファイルF1として記憶装置15に格納する。この処理と並行して(あるいはこの処理の前後に)、制御装置10は、図3のステップSa7からステップSa10と同様の手順により、再生装置51から受信した音声データをD/A変換器21に出力し、これに応じてA/D変換器23から受信した音声データをエンコードし、このエンコードによって生成された第2音声データを付属情報とともに楽曲ファイルF2として記憶装置15に格納する。このように、本実施形態においては、図4に示されるように、ひとつの楽曲について第1音声データと第2音声データとが並存することになる。
【0036】
また、図4に示されるように、音声データ処理装置D1は接続端子16を有する。この接続端子16は、例えばUSB(Universal Serial Bus)に準拠した形状のコネクタであり、ケーブル55(例えばUSBケーブル)の一端が接続される。ケーブル55の他端には端末装置D2が接続される。この端末装置D2は、音声データ処理装置D1から転送された音声データを記憶および再生する携帯型の機器である。さらに詳述すると、端末装置D2は、制御装置10と同様にCPUやROMおよびRAMを含む制御装置30と、ハードディスク装置や半導体メモリからなる記憶装置31と、音声信号に応じた音声を出力する放音装置32(例えばスピーカやイヤホン)とを有する。制御装置30は、プログラムを実行することにより、音声データ処理装置D1から音声データを受信するための手段やこの音声データをアナログの音声信号に変換して放音装置32に出力する手段として機能する。記憶装置31は、音声データ処理装置D1から転送された音声データのほか、当該端末装置D2の機種ごとに割り当てられた識別子(例えば機種番号)を記憶する。なお、端末装置D2がケーブル55を介することなく直接的に接続端子16に接続される構成としてもよい。
【0037】
接続端子16に接続される端末装置D2には、その端末装置D2から他の機器(例えば他の端末装置D2)に音声データを転送する機能(以下「出力機能」という)を備えたものと、この出力機能を備えないものとがある。出力機能を備えた端末装置D2の制御装置30は、記憶装置31に記憶された音声データを、利用者からの指示に応じて、図4に破線で示すように外部の機器に出力する。音声データ処理装置D1の制御装置10は、出力機能を備えない端末装置D2が接続端子16に接続された場合には第1音声データを転送する一方、出力機能を備えた端末装置D2が接続された場合には第2音声データを転送する。記憶装置15には、端末装置D2における出力機能の有無を制御装置10が判定するためのテーブル(以下「機能判定テーブル」という)Tが記憶されている。図5に示されるように、この機能判定テーブルTは、各端末装置D2に割り当てられた識別子と、その端末装置D2に出力機能が付加されているか否かを示すフラグとが対応付けられたテーブルである。識別子は、例えば端末装置D2の機種や型式に固有の番号である。
【0038】
次に、本実施形態に係る音声データ処理装置D1の動作を説明する。なお、記録媒体52に記録された音声データに基づいて第1音声データおよび第2音声データの双方を記憶装置15に記憶するための動作は上述した通りであるため、ここでは音声データを端末装置D2に転送するときの動作を説明する。
【0039】
接続端子16に端末装置D2が接続されたことを検知すると、制御装置10は、プログラムを順次に実行することによって図6の処理を順次に実行する。このプログラムを起動すると、制御装置10はまず、記憶装置31に記憶された識別子を端末装置D2から取得する(ステップSb1)。さらに詳述すると、制御装置10は、識別子を要求するための信号を接続端子16からケーブル55を介して端末装置D2に送信する。端末装置D2の制御装置30は、この要求に応じて記憶装置31から識別子を読み出し、これを音声データ処理装置D1に宛てて送出する。この識別子を接続端子16から受信すると、制御装置10は、現に接続されている端末装置D2が出力機能を備えているか否かを識別子に基づいて判定する(ステップSb2)。さらに詳述すると、制御装置10は、ステップSb1にて取得した識別子を記憶装置15の機能判定テーブルTから検索し、この識別子に対応付けられたフラグを参酌することによって出力機能の有無を判定する。
【0040】
端末装置D2が出力機能を備えていないとステップSb2にて判定した場合、制御装置10は、第1音声データを含む楽曲ファイルF1を記憶装置15から読み出し、これを接続端子16から端末装置D2に宛てて送信する(ステップSb3)。これに対し、端末装置D2が出力機能を備えていると判定した場合、制御装置10は、第2音声データ(すなわちアナログ信号への変換を経て生成されたデジタルデータ)を含む楽曲ファイルF2を記憶装置15から読み出し、これを接続端子16から端末装置D2に宛てて送信する(ステップSb4)。一方、端末装置D2の制御装置30は、楽曲ファイルF1または楽曲ファイルF2を音声データ処理装置D1から受信して記憶装置31に書き込む。
【0041】
以上に説明したように、本実施形態においては、音声データ処理装置D1に格納された音声データが可搬型の端末装置D2に転送されるから、利用者は、この端末装置D2を持ち運ぶことによって所望の楽曲を任意の場所にて鑑賞することができる。さらに、端末装置D2が出力機能を備えていない場合には、再生装置51から読み出されてからデジタルのまま記憶装置15に格納された第1音声データが端末装置D2に転送されるから、記録媒体52に記録されたままの音質にて楽曲の再生することができる。一方、端末装置D2が出力機能を備えている場合には、いったんアナログの音声信号に変換された音声データを再びデジタルデータに変換したものが端末装置D2に転送されるから、記録媒体52に記録された音声データが音質の劣化を伴なうことなく端末装置D2から他の端末装置D2にわたって拡散的に複製されることは防止される。したがって、本実施形態によれば、音声データによって表現される楽曲の著作権を保護しながら、この音声データを取り扱うときの利便性を向上させることができる。
【0042】
<C:変形例>
各実施形態には各種の変形が加えられる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
【0043】
(1)第1実施形態においては、記録媒体52に格納されたセッションの総数に応じて複製制限機能の有無が判定される構成を例示したが、この判定のための指標はセッションの総数に限られない。例えば、第1実施形態の構成に代えて、またはこの構成とともに、複製制限データに特有のビット列(すなわち音声データのセッションには含まれ得ないようなビット列)が記録媒体52に記録されているか否かを制御装置10が判定する構成も採用される。この構成における制御装置10は、複製制限データに固有のビット列が記録媒体52に記録されていれば複製制限機能が付加されていると判定する一方、この種のビット列が記録媒体52に記録されていなければ複製制限機能が付加されていないと判定する。また、記録媒体52が流通するときの包装には、その記録媒体52に複製制限機能が付加されている旨のメッセージが明示されている場合がある。この場合には、利用者は、自分が購入した記録媒体52に複製制限機能が付加されているか否かを認識することができる。そこで、第1実施形態の構成に代えて、またはこの構成とともに、利用者が入力装置11を操作することによって記録媒体52における複製制限機能の有無を入力する構成も採用される。この構成における制御装置10は、入力装置11からの入力に基づいて記録媒体52における複製制限機能の有無を判定する。
【0044】
また、第2実施形態においては、端末装置D2の識別子と機能判定テーブルTとに基づいて端末装置D2における出力機能の有無が判定される構成を例示したが、この判定のための指標は識別子や機能判定テーブルTに限られない。例えば、第2実施形態の構成に代えて、またはこの構成とともに、出力機能の有無を示すデータが端末装置D2の記憶装置31に記憶された構成も採用される。この構成における制御装置10は、出力機能の有無を示すデータを図6のステップSb1にて端末装置D2から受信し、このデータに基づいてステップSb2における判定を実行する。また、端末装置D2に出力機能が設けられているか否かはそのマニュアル等を参酌することによって利用者が判別できるから、端末装置D2における出力機能の有無を入力装置11から利用者に入力させ、この入力に基づいて制御装置10が出力機能の有無を判定する構成としてもよい。したがって、図5に示した機能判定テーブルTは本発明において必ずしも必要ではない。
【0045】
(2)第2実施形態においては、端末装置D2における出力機能の有無に応じて第1音声データおよび第2音声データの何れかを選択する構成を例示したが、この選択の指標は出力機能の有無に限られない。例えば、以下に示す第1および第2の態様を採用してもよい。
【0046】
(2a)第1の態様
本態様においては、機能判定テーブルTの替わりに、第1音声データの出力先として許容されるべき端末装置D2の識別子が記憶装置15に記憶される。一方、制御装置10は、図6のステップSb1において端末装置D2の識別子を取得すると、この識別子が記憶装置15に記憶されているか否かを判定する(ステップSb2)。そして、識別子が記憶されていると判定した場合にはステップSb3にて第1音声データを選択して端末装置D2に出力する一方、識別子が記憶されていないと判定した場合にはステップSb4にて第2音声データを選択して端末装置D2に出力する。
【0047】
この態様によれば、記憶装置15に識別子が記憶された端末装置D2に限定して第1音声データを出力することができるから、記録媒体52に記録された音声データが音質の劣化を伴なうことなく多数の端末装置D2に複製される事態は抑制される。その一方、識別子が記憶装置15に記憶されていない端末装置D2であっても第2音声データは出力されるから、この種の端末装置D2の利便性を確保しつつ、音声データに係る著作物を適正に保護することができる。なお、ここでは第1音声データの出力先となり得る端末装置D2の識別子が記憶装置15に記憶される構成を例示したが、これとは逆に、第1音声データの出力を禁止すべき端末装置D2の識別子が記憶装置15に記憶された構成も採用される。この構成において、制御装置10は、ステップSb2にて識別子が記憶されていると判定した場合にはステップSb4にて第2音声データを選択する一方、識別子が記憶されていないと判定した場合にはステップSb3にて第1音声データを選択することになる。
【0048】
(2b)第2の態様
本態様においては、記録媒体52に格納された音声データに対してDRM(Digital Rights Management)技術を利用した暗号化が施されている。一方、音声データ処理装置D1の記憶装置15には、この暗号化された音声データ(以下「暗号化音声データ」という)を復号するための暗号鍵が格納されている。記録媒体52から読み出された暗号化音声データをインタフェース13から受信すると、制御装置10は、この暗号化音声データを第1音声データとして記憶装置15に格納する。さらに、制御装置10は、ここで取得した暗号化音声データを記憶装置15に記憶された暗号鍵によって復号し、この復号により生成された音声データをD/A変換器21に出力する。そして、制御装置10は、これに応じてA/D変換器23から受信した音声データをエンコードしたものを第2音声データとして記憶装置15に格納する。一方、接続端子16には、記憶装置31に暗号鍵が記憶された端末装置D2と暗号鍵が記憶されていない端末装置D2とが接続され得る。暗号鍵を保持する端末装置D2の制御装置30は、記憶装置31に記憶された暗号鍵によって暗号化音声データを復号して放音装置32に出力する。
【0049】
以上の構成において、接続端子16に端末装置D2が接続されたことを検知すると、制御装置10は、この端末装置D2が暗号鍵を保持しているか否かをステップSb2にて判定する。例えば、暗号鍵を保持する端末装置D2の識別子が予め記憶装置15に記憶された構成において、制御装置10は、端末装置D2から取得した識別子が記憶装置15に記憶されているか否かに応じて、当該端末装置D2が暗号鍵を保持しているか否かを判定する。あるいは、制御装置10が、暗号鍵を保持しているか否かを端末装置D2に問い合わせ、この問い合わせに対する制御装置30からの応答に応じて暗号鍵の有無を判定する構成としてもよい。この構成においては端末装置D2から識別子を取得する処理は不要となる。
【0050】
そして、端末装置D2が暗号鍵を保持していると判定した場合、制御装置10は、ステップSb3にて第1音声データ(すなわち暗号化音声データ)を選択して端末装置D2に出力する。端末装置D2の制御装置30は、この第1音声データを受信して記憶装置31に格納し、例えば利用者によって再生の指示が与えられると、第1音声データを順次に記憶装置31から読み出して暗号鍵によって復号したうえで放音装置32に出力する。一方、端末装置D2が暗号鍵を保持していないと判定した場合、制御装置10は、ステップSb4にて第2音声データを選択して端末装置D2に出力する。端末装置D2の制御装置30は、この第2音声データを受信して記憶装置31に格納し、再生の指示を契機として当該第2音声データを読み出して放音装置32に出力する。
【0051】
この態様によれば、暗号鍵を保持する適正な端末装置D2に限定して第1音声データを出力することができるから、記録媒体52に記録された音声データが音質の劣化を伴なうことなく多数の端末装置D2に複製される事態は抑制される。その一方、暗号鍵が記憶装置15に記憶されていない端末装置D2であっても第2音声データは出力されるから、この種の端末装置D2の利便性を確保しつつ、音声データに係る著作物を適正に保護することができる。
【0052】
(3)第2実施形態においては、記憶装置15に記憶された音声データが維持されたままこの音声データが端末装置D2に複製される構成を例示したが、音声データが音声データ処理装置D1から端末装置D2に転送された場合に、その転送の対象となった音声データを制御装置10が記憶装置15から消去する構成としてもよい。この構成によれば、記録媒体52から読み出された音声データをひとつの装置(音声データ処理装置D1および端末装置D2の何れか)に限って保持させることができるから、楽曲の著作物をより強固に保護することができる。また、音声データを消去するか否かが端末装置D2における出力機能の有無に応じて決定される構成としてもよい。例えば、制御装置10は、端末装置D2が出力機能を備えていない場合には、所定の楽曲の第1音声データを端末装置D2に出力するステップSb3の後に、その楽曲の音声データを記憶装置15から消去し、端末装置D2が出力機能を備えている場合には、ステップSb4にて第2音声データを端末装置D2に出力して記憶装置15の音声データはそのまま維持する(すなわち消去しない)といった具合である。
【0053】
また、音声データが端末装置D2から他の端末装置D2へ拡散的に複製されることを防止するために、音声データ処理装置D1が音声データを暗号化したうえで端末装置D2に転送する構成としてもよい。例えば、音声データ処理装置D1の制御装置10は、ステップSb1にて取得した端末装置D2の識別子(あるいは端末装置D2に割り当てられた他の情報)を暗号鍵として音声データに暗号化を施し、これにより得られた音声データを端末装置D2に出力する。端末装置D2の制御装置30は、この音声データを記憶装置15に格納する一方、利用者から再生の指示が入力されると、自身の識別子に基づいて音声データを復号したうえで放音装置32に順次に出力する。この構成によれば、たとえひとつの端末装置D2から他の端末装置D2に音声データが転送されたとしても、転送先の端末装置D2においては音声データを適正に再生することができない(すなわち音声データを復号することができない)から、端末装置D2から多数の端末装置D2に拡散的に音声データが複製されることは防止される。また、音声データに対して暗号化が施されるべきか否かが端末装置D2における出力機能の有無に応じて決定される構成としてもよい。例えば、音声データ処理装置D1の制御装置10は、端末装置D2が出力機能を備えている場合には、第2音声データを含む楽曲ファイルF2をそのまま(すなわち暗号化を施すことなく)端末装置D2に出力する一方、端末装置D2が出力機能を備えていない場合には、楽曲ファイルF1の第1音声データに暗号化を施したうえで端末装置D2に出力するといった具合である。この構成によれば、仮に何らかの方法(例えば不正な方法)によって端末装置D2から他の端末装置D2に音質の劣化を伴なわない音声データ(すなわち記録媒体52からデジタルのまま記憶装置32に格納された音声データ)が転送されるとしても、この転送先の端末装置D2においては音声データを復号することができないから、楽曲を適正に再生することは阻止される。したがって、音質の劣化を伴なわない音声データが端末装置D2から端末装置D2にわたって拡散的に複製される事態は未然に防止される。
【0054】
(4)各実施形態においては、記録媒体52から読み出された音声データがMP3の形式にエンコードされる構成を例示したが、このエンコードの方法やエンコード後の音声データの形式は任意である。また、各実施形態においては音声データ処理装置D1にてエンコードが実行される構成を例示したが、音声データの転送先である端末装置D2にてそのエンコードが実施されたうえで記憶装置32に格納される構成としてもよい。もっとも、本発明において音声データのエンコードは必ずしも必要なものではない。例えば、記憶装置15に記憶するために音声データに要求される形式(例えばMP3に準拠した形式)と同様の形式にて音声データが記録媒体52に記録されていれば、音声データ処理装置D1における音声データのエンコードは不要である。
【0055】
(5)第1実施形態においては、再生装置51による音声データの再生に並行してこの音声データを記憶装置15に順次に格納していく構成を例示したが、記録媒体52に格納された音声データのうち音声データ処理装置D1への転送の対象となる音声データ(例えば1曲分の音声データ)を予め音声データ処理装置D1に転送および保持(バッファリング)しておき、この転送された音声データについて図3の処理を順次に実行することによって記憶装置15に格納していく構成としてもよい。
【0056】
(6)各実施形態においては、記録媒体52から読み出された音声データに付属情報が付加されて楽曲ファイルFが作成される構成を例示したが、本発明において音声データに付属情報を付加する構成は任意に省略される。したがって、この付属情報を取得するための手段(例えば通信装置14)も本発明の音声データ処理装置D1においては任意の要素である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態に係る音声データ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2(a)】複製非制限媒体の記憶領域の構成を示す平面図である。
【図2(b)】複製制限媒体の記憶領域の構成を示す平面図である。
【図3】制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係る音声データ処理装置の構成を示すブロック図である。
【図5】機能判定テーブルの内容を示す図である。
【図6】制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
D1……音声データ処理装置、D2……端末装置、10,30……制御装置、11……入力装置、12……表示装置、13……インタフェース、14……通信装置、15,31……記憶装置、21……D/A変換器、22,32……放音装置、23……A/D変換器、51……再生装置、52……記録媒体、60……情報提供装置、61……記憶装置、65……ネットワーク、T……機能判定テーブル、F,F1,F2……楽曲ファイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体から読み出されたデジタルの音声データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した音声データをアナログの音声信号に変換して出力するD/A変換手段と、
前記D/A変換手段から出力された音声信号をデジタルの音声データに変換して出力するA/D変換手段と、
音声データの複製を制限する複製制限機能が前記記録媒体に付加されているか否かを判定する判定手段と、
複製制限機能が前記記録媒体に付加されていないと前記判定手段が判定した場合、前記取得手段が取得した音声データを記憶手段に記憶し、複製制限機能が前記記録媒体に付加されていると前記判定手段が判定した場合、前記A/D変換手段から出力された音声データを前記記憶手段に記憶する制御手段と
を具備する音声データ処理装置。
【請求項2】
前記記録媒体に記録された音声データに関する情報を取得する情報取得手段を具備し、
前記制御手段は、前記音声データと当該音声データについて前記情報取得手段が取得した情報とを対応付けて前記記憶手段に記憶する
請求項1に記載の音声データ処理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記記録媒体に複数のセッションが格納されている場合には複製制限機能が付加されていると判定し、前記記録媒体にひとつのセッションのみが格納されている場合には複製制限機能が付加されていないと判定する
請求項1に記載の音声データ処理装置。
【請求項4】
音声データを記憶および再生する端末装置が接続される接続端子と、
記録媒体から読み出されたデジタルの音声データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した音声データを記憶する第1記憶手段と、
前記取得手段が取得した音声データをアナログの音声信号に変換して出力するD/A変換手段と、
前記D/A変換手段から出力された音声信号をデジタルの音声データに変換して出力するA/D変換手段と、
前記A/D変換手段から出力された音声データを記憶する第2記憶手段と、
前記第1記憶手段に記憶された音声データと前記第2記憶手段に記憶された音声データとのうちの何れかを選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した音声データを前記端末装置に出力する制御手段と
を具備する音声データ処理装置。
【請求項5】
前記接続端子に接続された端末装置からその識別子を取得する識別子取得手段を具備し、
前記選択手段は、前記端末装置が外部に音声データを出力する出力機能を備えているか否かを前記識別子取得手段が取得した識別子に基づいて判定し、この端末装置が出力機能を備えていないと判定した場合には前記第1記憶手段に記憶された音声データを選択する一方、当該端末装置が出力機能を備えていると判定した場合には前記第2記憶手段に記憶された音声データを選択する
請求項4に記載の音声データ処理装置。
【請求項6】
前記第1記憶手段に記憶された音声データの出力先となる端末装置の識別子を記憶する記憶手段と、
前記接続端子に接続された端末装置からその識別子を取得する識別子取得手段とを具備し、
前記選択手段は、前記識別子取得手段によって取得された識別子が前記記憶手段に記憶されている場合には前記第1記憶手段に記憶された音声データを選択する一方、当該識別子が前記記憶手段に記憶されていない場合には前記第2記憶手段に記憶された音声データを選択する
請求項4に記載の音声データ処理装置。
【請求項7】
前記取得手段が取得する音声データは暗号化されたデータであり、
前記D/A変換手段は、前記取得手段が取得した音声データを復号したデータをアナログの音声信号に変換し、
前記選択手段は、前記接続端子に接続された端末装置が、暗号化された音声データを復号するための暗号鍵を保持しているか否かを判定し、この端末装置が暗号鍵を保持していると判定した場合には前記第1記憶手段に記憶された音声データを選択する一方、当該端末装置が暗号鍵を保持していないと判定した場合には前記第2記憶手段に記憶された音声データを選択する
請求項4に記載の音声データ処理装置。

【図1】
image rotate

【図2(a)】
image rotate

【図2(b)】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−145866(P2006−145866A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336199(P2004−336199)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)