説明

音声入力装置及び音声入力方法

【課題】ノイズ音の除去に伴って発生する音質の変化を極力抑制することが可能な音声入力装置及び音声入力方法を提供する。
【解決手段】音声を入力する音声入力手段と、それぞれが所定の駆動周波数で駆動され、前記駆動周波数に基づいたノイズ音を発生させる複数のデバイスA、B、Cを備えた音声入力装置であって、前記音声入力手段は、ノイズ音を除去するノイズ音除去手段を備え、前記各デバイスA、B、Cの何れかは、その駆動周波数を他のデバイスの駆動周波数またはその整数倍の駆動周波数と一致させて駆動され、前記ノイズ音除去手段は、前記各デバイスA、B、Cの駆動周波数に基づいて発生するノイズ音を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声を入力する音声入力手段と、それぞれが所定の駆動周波数で駆動され、前記駆動周波数に基づいたノイズ音を発生させる複数のデバイスを備えた音声入力装置及び音声入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器は、種々の主要デバイスを有機的に結合させることにより、より機能的な電子機器となるように構成されている。例えば、デジタルビデオカメラは、被写体画像を画像データとして取得するための撮像手段や、前記撮像手段が前記デジタル画像データを取得する際に前記被写体を照らす発光手段、前記取得した画像データを撮影画像として再生表示する表示手段、更には、周囲の音声を音声データとして入力する音声入力手段や、前記取得した音声データを再び音声として出力する音声出力手段などといった、主要デバイスが有機的に結合された構成となっている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、前記各主要デバイスの駆動回路や、前記電子機器の電源回路には、集積化の容易なMLCC(マルチレイヤーセラミックコンデンサ)が汎用されている。例えば、前記撮像手段としてのCCDには、図8(a)に示すように、電源バイパスコンデンサC1、C2、C3として、前記表示手段としての液晶表示素子には、図8(b)に示すように、コモン電極カップリングコンデンサC4として、前記発光手段としてのLEDには、図8(c)に示すように、入力コンデンサC5や出力平滑コンデンサC6として、更に、電源回路には、図8(d)に示すように、入力コンデンサC7や出力平滑コンデンサC8(i)として、それぞれ使用されている(i=0、1、・・・、n)。
【0004】
しかし、前記MLCCは、印加される電圧に応じて伸縮する特性を持っている。このため、前記MLCCは、当該MLCCが適用されることとなる主要デバイスの駆動周波数に応じて伸縮を繰り返し、その伸縮により、図9に示すように、当該MLCCが設置されている基板を振動させてしまう。そして、前記基板の振動は、その振動周波数、つまりは、前記駆動周波数に応じたノイズ音として顕在化されることが知られている。
【0005】
例えば、前記CCDの場合、画像データの水平転送期間と非水平転送期間との間における負荷電流の差が特に大きく、特に前記電源バイパスコンデンサC1の振動によって、その駆動周波数に応じたノイズ音が発生する。具体的には、例えば、図10(a)に示すように、前記駆動周波数が4.4kHzのときには、前記駆動周波数と等しいノイズ音はもとより、前記駆動周波数の整数倍のノイズ音、つまりは、8.8kHzや13.2kHz、更には、17.6kHzなどの複数のノイズ音が可聴帯域内に発生する。
【0006】
上述したようなノイズ音は、微弱であり、直接的に人がそのノイズ音を聞く場合には、それほど気になることは少ないが、前記音声入力手段が前記ノイズ音を発生させる主要デバイスと同一の筐体に組み込まれることで音声入力装置ともなる電子機器では、前記ノイズ音の発生源となるMLCCと前記音声入力手段とが非常に近接する位置に設置されるため、前記音声入力手段は、たとえ前記ノイズ音が微弱であっても、大きなノイズ音として検出してしまうこととなる。
【0007】
このため、前記音声入力手段は、集音部から取得されるアナログ音声データを増幅器で増幅し、A/D変換器で変換されたデジタル音声データに対して、ハイパスフィルタにより所定の低周波成分を除去するとともに、ノッチフィルターにより前記ノイズ音を除去するように構成されている。
【特許文献1】特開2005−341114
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記各主要デバイスは、それぞれが異なる駆動周波数により駆動されている。代表的な例として、上述したように、CCDの駆動周波数は、4.4kHzであるのに対し、前記液晶表示素子は、図10(b)に示すように、コモン電極の極性反転に伴う6.7kHzであったり、前記LEDの駆動周波数は、図10(c)に示すように、PWM駆動に伴う1kHzであったりする。このため、前記電子機器においては、これらに応じて可聴帯域内に夥しい数の周波数帯域のノイズ音が発生する。
【0009】
これら全てのノイズ音を前記ノッチフィルターで除去するためには、前記ノイズ音の周波数帯域毎にノイズ音の除去処理を行う必要があり、ハード的に除去する場合には、ハードウェアの規模が大きくなり、また、ソフト的に除去する場合には、その処理時間に非常に多大な時間を必要とするといった問題がある。また、多くの周波数帯域に対してノイズ音の除去処理を行うと、音質そのものが大きく変わってしまう恐れもあった。
【0010】
本発明の目的は、上述の従来欠点に鑑み、ノイズ音の除去に伴って発生する音質の変化を極力抑制することが可能な音声入力装置及び音声入力方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明による音声入力装置の第一の特徴構成は、音声を入力する音声入力手段と、それぞれが所定の駆動周波数で駆動され、前記駆動周波数に基づいたノイズ音を発生させる複数のデバイスを備えた音声入力装置であって、前記音声入力手段は、ノイズ音を除去するノイズ音除去手段を備え、前記各デバイスの何れかは、その駆動周波数を他のデバイスの駆動周波数またはその整数倍の駆動周波数と一致させて駆動され、前記ノイズ音除去手段は、前記各デバイスの駆動周波数に基づいて発生するノイズ音を除去することを特徴とする点にある。
【0012】
同音声入力装置の第二の特徴構成は、前記第一の特徴構成に加え、前記ノイズ音除去手段がノッチフィルターであることを特徴とする点にある。
【0013】
同音声入力装置の第三の特徴構成は、前記第一または第二の特徴構成に加え、前記各デバイスの駆動タイミングを制御する駆動タイミング制御手段を備え、前記駆動タイミング制御手段は、前記駆動周波数またはその整数倍の駆動周波数が一致する互いのデバイスの駆動タイミングが所定の条件となるように制御することを特徴とする点にある。
【0014】
同音声入力装置の第四の特徴構成は、前記第一から第三の何れかの特徴構成に加え、前記デバイスの少なくとも一つがPWM駆動されるデバイスであり、前記PWM駆動されるデバイスは、前記PWM駆動における駆動周波数を他のデバイスの駆動周波数またはその整数倍の駆動周波数と一致させて駆動されることを特徴とする点にある。
【0015】
同音声入力装置の第五の特徴構成は、前記第四の特徴構成に加え、前記PWM駆動されるデバイスが発光手段であることを特徴とする点にある。
【0016】
同音声入力装置の第六の特徴構成は、前記第五の特徴構成に加え、前記デバイスの少なくとも一つが被写体画像を取得する撮像手段であり、前記発光手段は、前記撮像手段の駆動周波数またはその整数倍の駆動周波数と一致させて駆動されることを特徴とする点にある。
【0017】
同音声入力装置の第七の特徴構成は、前記第六の特徴構成に加え、前記撮像手段の駆動周波数が、画像データの転送周波数であることを特徴とする点にある。
【0018】
同音声入力装置の第八の特徴構成は、前記第七の特徴構成に加え、前記駆動タイミング制御手段は、前記撮像手段による画像データの水平転送タイミングと、前記発光手段による発光タイミングとが異なるタイミングに実行されるように、互いの駆動タイミングを制御することを特徴とする点にある。
【0019】
同音声入力装置の第九の特徴構成は、音声を入力する音声入力手段と、それぞれが所定の駆動周波数で駆動され、前記駆動周波数に基づいたノイズ音を発生させる複数のデバイスを備えた音声入力装置であって、前記音声入力手段は、ノイズ音を除去するノイズ音除去手段を備え、前記各デバイスの何れかは、当該デバイスが発生させるノイズ音の周波数が他のデバイスによって発生するノイズ音の何れかの周波数と一致するように、その駆動周波数を制御され、前記ノイズ音除去手段は、前記各デバイスの駆動周波数に基づいて発生するノイズ音を除去することを特徴とする点にある。
【0020】
上述の目的を達成するため、本発明による音声入力方法の第一の特徴構成は、それぞれが所定の駆動周波数で駆動され、前記駆動周波数に基づいたノイズ音を発生させる複数のデバイスが備えられているときの音声を入力するための音声入力方法であって、前記各デバイスの何れかの駆動周波数を、他のデバイスの駆動周波数またはその整数倍の駆動周波数と一致させて駆動し、前記各デバイスの駆動周波数に基づいて発生するノイズ音を除去することを特徴とする点にある。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ノイズ音の除去に伴って発生する音質の変化を極力抑制することが可能な音声入力装置及び音声入力方法を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明による音声入力装置をデジタルビデオカメラに適用した場合の実施形態について説明する。前記デジタルビデオカメラ1は、音声付きの動画を撮影して記録するとともに、記録された音声付きの動画を再生することが可能なもので、図1に示すように、被写体画像を画像データとして取得する撮像手段10や、前記撮像手段10が前記デジタル画像データを取得する際に前記被写体を照らす発光手段11、前記取得した画像データを撮影画像として再生表示する表示手段12、周囲の音声を音声データとして入力する音声入力手段13、前記取得した音声データを再び音声として出力する音声出力手段14などの主要デバイスと、前記各主要デバイスに電源を供給する電源回路15と、前記各主要デバイスや前記電源回路15を統括制御するとともに各種データ処理を実行する制御部16と、各種データが格納されるメモリ17等を備えて構成されている。
【0023】
前記撮像手段10は、その表面に結像される入射光を光電変換する撮像素子として例えばCCD18と、前記光電変換により前記CCD18に蓄積された電荷を第一の駆動周波数に基づいて画像データとして取得し、前記制御部16に出力する撮像駆動回路19を備えて構成されている。
【0024】
前記第一の駆動周波数は、前記CCD18において、蓄光部に蓄積された電荷を取り込むための周波数であり、露光タイミングや光電変換されて蓄積された電荷の垂直転送路への転送タイミング、前記垂直転送路に転送された電荷の水平転送路への転送タイミング、水平転送路に転送された電荷を水平転送するためのタイミングなどから決定されている。
【0025】
本実施形態においては、前記第一の駆動周波数を以下具体的に4.4kHzとして説明するが、これに限定されるものではなく、前記CCD18の画素数や、単位時間当たりにおける画像データの取得回数などに応じて適宜設定することが可能である。
【0026】
前記発光手段11は、所定の条件により発光する発光素子として、例えば、電子と正孔の再結合時の放出エネルギーにより発光するLED20と、第二の駆動周波数に基づいて前記LED20の発光タイミングを制御する発光駆動回路21を備えて構成されている。
【0027】
前記発光駆動回路21は、図2に示すように、前記電源回路15から供給される電流を、詳細は後述する前記第二の駆動周波数Dtに基づいてスイッチング制御して、前記LED20に出力するPWM駆動を実施するように構成されている。
【0028】
前記表示手段12は、前記撮像手段10により取得された画像データや、前記メモリ17に格納されている画像データを撮影画像として顕在化させて表示する例えば液晶表示素子22と、前記制御部16を介して入力されてくる画像データを第三の駆動周波数に基づいて前記液晶表示素子22に表示させる表示駆動回路23を備えて構成されている。
【0029】
前記表示駆動回路23は、例えば、液晶表示素子22の対向電極に印加される電圧を、第三の駆動周波数として、例えば、6.7kHzで極性反転させるように構成されている。
【0030】
尚、前記第三の駆動周波数は6.7kHzに限定されるものではなく、前記液晶表示素子22の画素数や、単位時間当たりにおける画像データの入力切替回数などに応じて適宜設定することが可能である。
【0031】
前記音声入力手段13は、音声を収集する集音部24と、前記集音部24で収集した音声を音声データとして取得し、前記制御部16へ出力する入力オーディオ回路25を備えて構成されている。
【0032】
前記入力オーディオ回路25は、図3に示すように、集音部24から取得されるアナログ音声データを増幅器28で増幅し、A/D変換器30で変換されたデジタル音声データに対して、ハイパスフィルタ29により所定の低周波成分を除去するとともに、ノイズ音除去手段としてのフィルター31により所定の周波数帯域のノイズ音を除去して、前記制御部16へ出力するように構成されている。
【0033】
尚、前記フィルター31は、例えば、ノッチフィルターであり、詳細は後述する所定の周波数帯域に対応したノイズ音が除去されるように、デジタル演算処理を実行するものである。
【0034】
前記音声出力手段14は、前記音声入力手段13により取得された音声データや、前記メモリ17に格納されている音声データに基づいて発音部26を振動させる出力オーディオ回路27と、振動することで前記音声データを音声として顕在化させる発音部26を備えて構成されている。
【0035】
前記制御部16は、動作プログラムを実行するCPUと、前記CPUで実行される動作プログラムを固定的に記憶したROM、及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成され、撮影画像の記録モード時には、前記撮像手段10により取得される画像データと前記音声入力手段13により入力される音声データとを時間的に関連付けながら前記メモリ17に記録する。また、撮影画像の再生モード時には、前記表示手段12に対して、前記メモリ17に記録されている画像データに基づいた画像再生表示を実施させるとともに、前記音声出力手段14に対して、前記表示手段12に表示された再生画像に対応するように、前記メモリ17に記録されている音声データに基づいた音声再生出力を実施させる。
【0036】
尚、前記記録モード時において、前記制御部16は、必要に応じて、前記発光手段11に対して前記LED20を発光させたり、前記表示手段12に対して、前記撮像手段10により取得される画像データに基づいた画像のリアルタイム表示を実施させるように構成されている。
【0037】
以下、前記ノッチフィルター31によるノイズ音除去処理について説明する。尚、前記ノッチフィルター31は、前記制御部16に組み込まれ、前記制御部16によって前記ノイズ音除去処理が実施される構成であってもよい。
【0038】
前記ノイズ音除去処理は、少なくとも、前記第一の駆動周波数、前記第二の駆動周波数及び前記第三の駆動周波数に基づいて、前記背景技術で説明した原理により発生するノイズ音を除去する処理で、前記ノイズ音の除去対象周波数帯域毎に複数回に分割して、例えば、図4に示すような、公知のデジタル演算処理に基づいて実施されるように構成されている。
【0039】
そして、本発明者らは、前記第一の駆動周波数、前記第二の駆動周波数または前記第三の駆動周波数の何れかの駆動周波数を、他の駆動周波数と一致させることにより、前記ノイズ音の除去対象周波数帯域を減らす検討を行った。
【0040】
前記第一の駆動周波数は、上述したように、前記CCD18の画素数や、単位時間当たりにおける画像データの取得回数などに応じて適宜設定することが好ましく、CCDのハード的設計事項により制限される要素はあるが、これらの条件を満足すれば、前記第一の駆動周波数を変更することは可能である。
【0041】
前記第三の駆動周波数は、上述したように、前記液晶表示素子22の画素数や、単位時間当たりにおける画像データの入力切替回数などに応じて適宜設定することが好ましく、液晶表示素子のハード的設計事項により制限される要素があるが、これらの条件を満足すれば、前記第三の駆動周波数を変更することは可能である。
【0042】
しかし、前記第一の駆動周波数と前記第三の駆動周波数を、種々異なる他の主要デバイスの駆動周波数に一致させるためには、前記他の主要デバイスの駆動周波数と一致するように、それぞれ画素数の設計変更を行うか、また或いは、使用する画素を間引いて使用する必要があり、本来の目的の解像度の画像データの取得、また或いは、本来の目的の解像度の画像データの表示が難しくなる可能性がある。
【0043】
そこで、以下、前記第二の駆動周波数Dtについて考察する。前記第二の駆動周波数Dtは、前記図2に示したように、前記LED20を時分割点灯させるPWM駆動に基づいた駆動周波数であり、前記LED20を発光させるオン期間Tonと、前記LEDを消灯させるオフ期間Toffとの繰り返し周波数である。そして、前記LED20は、前記オン期間Tonの間のみに前記LED20に供給されることとなる電流値に応じた輝度で発光する。
【0044】
そして、前記第二の駆動周波数Dtが大凡60Hz以上になると、前記LED20の発光状態と消灯状態との繰り返しからなる前記LED20の点滅状態は、大抵の人にとって視認できなくなることが知られている。このことから、前記点滅状態を意識することなく、前記LED20からの発光を被写体に照射するためには、少なくとも前記60Hz以上の駆動周波数でPWM駆動することが好ましい。
【0045】
次に、電子と正孔の再結合時の放出エネルギーにより発光させる前記LED20の応答速度は、十分に速く、数MHzの駆動周波数でも前記LED20を問題なく発光させることができる。しかし、高周波駆動を実現するためには、高性能な駆動回路が要求され、前記発光駆動回路21の製造コストが高くなるという問題があり、前記第二の駆動周波数は、大凡20kHz以下に抑えることが好ましい。
【0046】
上述したように、前記第二の駆動周波数は、大凡60Hzから20kHzの広い駆動周波数に設定することが可能であり、前記第一の駆動周波数や前記第三の駆動周波数と比べ、その自由度は高くなっている。
【0047】
ここで、前記LED20から発光される光は、前記撮像手段10が被写体画像を画像データとして取得する際に、前記被写体を照らして、前記CCD18のS/N比を向上させるためのものでもあり、前記CCDの駆動周波数、つまり、前記第一の駆動周波数に基づいた露光期間中に、前記発光手段11が十分なオン期間Tonを確保する必要がある。
【0048】
尚、前記CCD18への露光時間は、当該撮像手段10の取得した画像データに基づいて検出される撮影環境の明るさに基づいて前記制御部16によって制御されている。
【0049】
前記露光時間と前記発光手段11による発光期間との関係は、例えば、図5(a)に示すように、露光時間Ptの等しい各露光期間に対して、前記PWM駆動周波数Dtが十分に高ければ、前記各露光期間において、前記CCD18へ照射される露光量は大凡等しくなる。
【0050】
また、例えば、図5(b)に示すように、露光時間Ptの等しい各露光期間に対して、前記PWM駆動周波数Dtが一致しているときにも、前記各露光期間において、前記CCD18へ照射される露光量は等しくなる。
【0051】
しかし、例えば、図5(c)に示すように、露光時間Ptの等しい各露光期間に対して、前記PWM駆動周波数Dtが低いと、各露光期間において、前記CCD18へ照射される露光量は大きく異なってしまう。
【0052】
ここで、前記露光時間Ptは、前記第一の駆動周波数に基づいて調整されるもので、前記露光時間Ptは、最短で前記水平同期信号のパルス間隔、つまり、1/4.4kHz=227.3nsにまで短い時間に調整することが可能となっている。
【0053】
このため、撮影環境により調整されることとなる種々の露光時間において、それぞれの各露光期間で前記発光手段11から発光される光を有効に活用するためには、前記PWM駆動周波数Dtとしての前記第二の駆動周波数は、少なくとも、前記第一の駆動周波数と等しいか、それ以上の駆動周波数に設定することが好ましい。
【0054】
そして、前記第二の駆動周波数を前記第一の駆動周波数と一致させることは、十分に可能であり、むしろ、前記発光手段11から発光される光を有効に活用するためにも好ましい。
【0055】
本実施形態では、上述の理由により、前記第二の駆動周波数を前記第一の駆動周波数と等しい4.4kHzに設定した。
【0056】
また、前記ノッチフィルター31による前記ノイズ音除去処理の対象となる周波数帯域を、前記4.4kHzに基づいた可聴帯域内における周波数帯域、具体的には、4.4kHz、8.8kHz、13.2khz及び17.6kHzと、前記6.7kHzに基づいた可聴帯域内における周波数帯域、具体的には、6.7kHz、13.4kHzに設定した。
【0057】
そして、上述の構成とすることにより、前記音声入力手段13は短時間で音質の変化を極力抑制したノイズ音の除去を実現することができ、当該デジタルビデオカメラ1は、例えば、前記記録モード時に、スムーズに音質のよい音声データを前記メモリ17に記録することができ、また、前記再生モード時に、前記音声データに基づいた音質のよい音声を出力することができる。
【0058】
さらに、前記撮像手段10は、前記発光手段11から発光される光を有効に利用することで、品質の高い画像データを取得することができ、当該デジタルビデオカメラ1は、例えば、前記記録モード時に、品質の高い画像データを前記メモリ17に記録することができ、また、前記再生モード時に、前記画像データに基づいた品質のよい撮影画像を表示することができる。
【0059】
上述したように、本実施形態では、前記撮像手段10や前記発光手段11、前記表示手段12などの各主要デバイスA、B、Cの何れかが、図6に示すように、その駆動周波数を他の主要デバイスの駆動周波数と一致させて駆動し、前記ノイズ音除去手段が、前記各主要デバイスの駆動周波数に基づいて発生するノイズ音を除去するように構成されている。尚、各主要デバイスA、B、Cは、それぞれが一致した駆動周波数で駆動する構成としてもよい。
【0060】
以下、別の実施形態について説明する。上述の実施形態では、前記第二の駆動周波数を前記第一の駆動周波数と等しい4.4kHzに設定した場合について説明したが、前記第二の駆動周波数を前記第一の駆動周波数の整数倍に設定する構成としてもよい。何れにしても、前記ノッチフィルター31による前記ノイズ音除去処理の対象となる周波数帯域を、例えば、前記第一の駆動周波数に応じた周波数帯域と、前記第三の駆動周波数に応じた周波数帯域とにすることが可能な構成となっていればよい。
【0061】
尚、前記駆動周波数またはその整数倍の駆動周波数との一致とは、完全な一致のみを示すものではなく、単位周波数帯域のノイズ音を除去するノッチフィルターにより、同時に除去することが可能な周波数帯域の範囲にあることを示すものである。
【0062】
上述の実施形態では、前記ノッチフィルターによるノイズ音の除去処理がデジタル演算処理としてのソフト処理になっている構成について説明したが、前記ノイズ音の除去処理は、物理的なフィルターを使用したハード処理であってもよい。
【0063】
上述の実施形態に加え、前記制御部16は、前記撮像手段10の駆動タイミングと、前記発光手段11の駆動タイミングとが関連するように制御してもよい。
【0064】
具体的には、前記制御部16は、前記撮像手段10による画像データの水平転送タイミングと、前記発光手段11による発光タイミングとが異なるタイミングに実行されるように、互いの駆動タイミングを制御する構成としてもよい。
【0065】
詳述すると、前記撮像手段10は、画像データの水平転送期間中における負荷電流値が、画像データの非転送期間中の負荷電流値よりも高くなる。また、前記発光手段11は、前記LED20の発光タイミングでの負荷電流値が、前記LED20の非発光タイミングでの負荷電流値よりも高くなる。換言すると、前記発光手段11は、前記PWM駆動によるオン期間Ton中の負荷電流値が、前記PWM駆動によるオフ期間Toff中の負荷電流値よりも高くなる。
【0066】
そして、図7(a)に示すように、前記水平転送期間と前記PWM駆動によるオン期間Tonとが一致する期間があると前記負荷電流値はさらに増大する。そして、前記第一の駆動周波数と前記第二の駆動周波数とが一致しているときに、前記水平転送期間と前記PWM駆動によるオン期間Tonとが一致すると、前記負荷電流値が増大する回数が激増する。
【0067】
上述のような環境では、前記電源回路15における電圧ドロップが大きくなり、その電池寿命が短くなる恐れがある。
【0068】
つまり、前記制御部16は、上述した問題を回避するべく、図7(b)に示すように、前記水平転送期間と前記PWM駆動によるオン期間Tonとが異なるタイミングになるように、前記撮像手段10と前記発光手段11との駆動タイミングを制御する。
【0069】
上述の実施形態では、本発明の音声入力装置をデジタルビデオカメラに適用した場合について説明したが、これに限定するものではなく、デジタルスチルカメラや携帯電話など、音声の入力可能な電子機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】デジタルビデオカメラの説明図。
【図2】PWM駆動の説明図。
【図3】入力オーディオ回路の説明図。
【図4】ノッチフィルターの説明図。
【図5】露光量の説明図であり、(a)は露光時間の等しい各露光期間に対して、PWM駆動周波数が十分に高い場合、(b)は露光時間の等しい各露光期間に対して、PWM駆動周波数が一致している場合、(c)は露光時間の等しい各露光期間に対して、PWM駆動周波数が低い場合。
【図6】ノイズ音の除去の説明図
【図7】負荷電流値の説明図であり、(a)は水平転送期間とPWM駆動によるオン期間とが一致する期間がある場合、(b)は水平転送期間とPWM駆動によるオン期間とが異なるタイミングになっている場合。
【図8】MLCCの使用例の説明図であり、(a)はCCDの例、(b)は液晶表示素子の例、(c)はLEDの例、(d)は電源回路の例。
【図9】ノイズ音の発生原理の説明図
【図10】ノイズ音の発生周波数帯域の説明図であり、(a)はCCDの例、(b)は液晶表示素子の例、(c)はLEDの例。
【符号の説明】
【0071】
A、B、C:主要デバイス
1:デジタルビデオカメラ
10:撮像手段
11:発光手段
12:表示手段
13:音声入力手段
14:音声出力手段
15:電源回路
16:制御部
17:メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を入力する音声入力手段と、それぞれが所定の駆動周波数で駆動され、前記駆動周波数に基づいたノイズ音を発生させる複数のデバイスを備えた音声入力装置であって、
前記音声入力手段は、ノイズ音を除去するノイズ音除去手段を備え、
前記各デバイスの何れかは、その駆動周波数を他のデバイスの駆動周波数またはその整数倍の駆動周波数と一致させて駆動され、
前記ノイズ音除去手段は、前記各デバイスの駆動周波数に基づいて発生するノイズ音を除去することを特徴とする音声入力装置。
【請求項2】
前記ノイズ音除去手段がノッチフィルターであることを特徴とする請求項1に記載の音声入力装置。
【請求項3】
前記各デバイスの駆動タイミングを制御する駆動タイミング制御手段を備え、
前記駆動タイミング制御手段は、前記駆動周波数またはその整数倍の駆動周波数が一致する互いのデバイスの駆動タイミングが所定の条件となるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の音声入力装置。
【請求項4】
前記デバイスの少なくとも一つがPWM駆動されるデバイスであり、
前記PWM駆動されるデバイスは、前記PWM駆動における駆動周波数を他のデバイスの駆動周波数またはその整数倍の駆動周波数と一致させて駆動されることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の音声入力装置。
【請求項5】
前記PWM駆動されるデバイスが発光手段であることを特徴とする請求項4に記載の音声入力装置。
【請求項6】
前記デバイスの少なくとも一つが被写体画像を取得する撮像手段であり、
前記発光手段は、前記撮像手段の駆動周波数またはその整数倍の駆動周波数と一致させて駆動されることを特徴とする請求項5に記載の音声入力装置。
【請求項7】
前記撮像手段の駆動周波数が、画像データの転送周波数であることを特徴とする請求項6に記載の音声入力装置。
【請求項8】
前記駆動タイミング制御手段は、前記撮像手段による画像データの水平転送タイミングと、前記発光手段による発光タイミングとが異なるタイミングに実行されるように、互いの駆動タイミングを制御することを特徴とする請求項7に記載の音声入力装置。
【請求項9】
音声を入力する音声入力手段と、それぞれが所定の駆動周波数で駆動され、前記駆動周波数に基づいたノイズ音を発生させる複数のデバイスを備えた音声入力装置であって、
前記音声入力手段は、ノイズ音を除去するノイズ音除去手段を備え、
前記各デバイスの何れかは、当該デバイスが発生させるノイズ音の周波数が他のデバイスによって発生するノイズ音の何れかの周波数と一致するように、その駆動周波数を制御され、
前記ノイズ音除去手段は、前記各デバイスの駆動周波数に基づいて発生するノイズ音を除去することを特徴とする音声入力装置。
【請求項10】
それぞれが所定の駆動周波数で駆動され、前記駆動周波数に基づいたノイズ音を発生させる複数のデバイスが備えられているときの音声を入力するための音声入力方法であって、
前記各デバイスの何れかの駆動周波数を、他のデバイスの駆動周波数またはその整数倍の駆動周波数と一致させて駆動し、
前記各デバイスの駆動周波数に基づいて発生するノイズ音を除去することを特徴とする音声入力方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−248792(P2007−248792A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71902(P2006−71902)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】