音声出力システム
【課題】案内音声を確実に聞くことができる音声出力システムを提供する。
【解決手段】音声出力システムは、音声出力制御部2を備えており、音声出力システムの周辺部として、音声生成部3、音声出力処理部4、音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・を備える。また、音声出力制御部2は、音声種別判定部6、音声出力装置検知部7及び音声出力判定部8を備えており、音声生成部3は、案内音声生成部9を備える。出力対象の音声データの種別がナビゲーション機能の案内音声であると判定されると、音声出力が可能な全ての音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・を検知し、検知した音声出力が可能な全ての音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・で出力対象の音声データの案内音声を出力する。
【解決手段】音声出力システムは、音声出力制御部2を備えており、音声出力システムの周辺部として、音声生成部3、音声出力処理部4、音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・を備える。また、音声出力制御部2は、音声種別判定部6、音声出力装置検知部7及び音声出力判定部8を備えており、音声生成部3は、案内音声生成部9を備える。出力対象の音声データの種別がナビゲーション機能の案内音声であると判定されると、音声出力が可能な全ての音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・を検知し、検知した音声出力が可能な全ての音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・で出力対象の音声データの案内音声を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体に搭載した機器や所持者に携帯されて移動し得る携帯端末等に利用されて、誘導経路の案内音声や交通安全に関わる案内音声を出力する音声出力システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転者が車内で携帯電話を使用する際、安全運転を確保するために、ハンズフリー通話の利用が望ましく、ハンズフリーシステムを搭載した車載機器が実現されている。
従来のカーナビゲーション装置は、車内スピーカを介してハンズフリー通話を行うものが多いが、プライバシーの観点から、車内スピーカのみならず、ヘッドセットやイヤホンマイク等を利用したハンズフリー通話を可能とするシステムも普及している。
例えば、特許文献1には、ハンズフリー通話するハンズフリーキットとして、車内スピーカの他に、モバイル再生機器や音楽再生機器、ヘッドセットを利用することで、車内での通話や音楽再生等に関する音声出力を、ヘッドセット及び車内スピーカの双方から可能としている。
一方、従来のカーナビゲーション装置では、誘導経路の案内音声を車載器に設けた車内スピーカのみから出力しており、車載器に追加接続されたヘッドセットやヘッドフォン、ハンズフリーキットには案内音声が出力されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−529843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーナビゲーション装置の案内音声は、車両走行の安全性にも関わる非常に重要な情報であるにも拘わらず、従来では、車内スピーカでしか出力されず、運転者がヘッドセットを装着していると、案内音声を聞き逃す可能性があるという課題があった。
【0005】
また、近年では、事故が起き易い場所等の路側に設置したセンサやカメラで検知された車両や歩行者等の詳細情報を提供する安全運転支援システムが実用化されつつあり、当該システムを効果的に利用するためには、車両の運転者や歩行者に対して、当該システムが提供する情報を確実に通知する必要がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ナビゲーション機能による誘導経路の案内音声や安全運転支援システムが提供する交通安全に関わる案内音声が出力対象であると、音声出力が可能な音声出力装置を全て検知して当該案内音声を出力することにより、案内音声を確実に聞くことができる音声出力システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る音声出力システムは、ナビゲーション機能を有する第1の移動体用機器から出力対象の音声データを入力して、当該音声データの種別を判定する音声種別判定部と、音声種別判定部によって出力対象の音声データの種別がナビゲーション機能の案内音声であると判定されると、第1の移動体用機器と通信可能な第2の移動体用機器の音声出力装置で出力対象の音声データの案内音声を出力するよう制御する音声出力判定部とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、第1の移動体用機器から入力した出力対象の音声データの種別がナビゲーション機能の案内音声であると判定されると、第1の移動体用機器と通信可能な第2の移動体用機器の音声出力装置で出力対象の音声データの案内音声を出力するので、車両の運転者や歩行者が、案内音声を確実に聞くことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1による音声出力システムの概念を説明する図である。
【図2】実施の形態1による音声出力システム及びその周辺部の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態2による音声出力システムの概念を説明する図である。
【図4】実施の形態2による音声出力システム及びその周辺部の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態3による案内音声出力システムの概念を説明する図である。
【図6】実施の形態3による案内音声出力システム及びその周辺部の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態4による音声出力判定部及びその周辺部の構成を示すブロック図である。
【図8】案内音声種別テーブルの一例を示す図である。
【図9】音声出力装置種別テーブルの一例を示す図である。
【図10】その他音声音量パターンテーブルの一例を示す図である。
【図11】音声出力方法の一例を示す図である。
【図12】音声出力装置検知方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による音声出力システムの概念を説明する図であり、本発明の音声出力システムを、カーナビゲーション装置(車載器)の音声出力装置として適用した場合を示している。上述したように、従来では、カーナビゲーション装置で生成された交差点情報や各種の警告案内等の案内音声は、車内スピーカから出力されており、運転者がヘッドセットやヘッドフォン等を装着している場合、案内音声を聞き逃す可能性があった。
【0011】
そこで、実施の形態1による音声出力システムでは、出力対象の音声の種別が案内音声であると、装置に接続している音声出力可能な音声出力装置を全て検知して当該案内音声を出力する。例えば、図1に示すように、Bluetooth(登録商標;以下、記載を省略する)等の短距離無線通信又は有線ケーブルで装置に追加接続されたヘッドセットやヘッドフォンであっても、出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定した時点で音声出力可能であれば案内音声が出力される。このようにすることで、本来、案内音声出力用でない音声出力装置であっても案内音声が出力され、運転者が案内音声を聞き逃すようなことがない。
【0012】
図2は、実施の形態1による音声出力システム及びその周辺部の構成を示すブロック図であり、カーナビゲーション機能を有する車載器1の音声出力システムとして適用した場合を示している。図2において、実施の形態1による音声出力システムは、音声出力制御部2を備えており、音声出力システムの周辺部として、音声生成部3、音声出力処理部4、音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・を備える。また、音声出力制御部2は、音声種別判定部6、音声出力装置検知部7及び音声出力判定部8を備えており、音声生成部3は、案内音声生成部9を備える。
【0013】
音声生成部3は、カーナビゲーション機能を有する車載器1に設けた各種音声の音源であり、例えば、車載テレビやラジオのテレビチューナやラジオチューナ、CDやDVDの再生装置、案内音声生成部9等を備える。
案内音声生成部9は、音声生成部3を構成する音源のうち、カーナビゲーション機能の案内音声を生成する音源であり、ナビゲーション処理で利用される交差点情報や各種の警告案内等の案内音声データを生成する。なお、案内音声生成部9は、音声出力制御部2と接続しており、音声出力制御部2で出力対象の音声データの種別が案内音声であるか否かが判定される。
この案内音声生成部9にて案内音声を生成し、音声種別判定部6へ送信する際、生成した音声の他に「音声種別」というデータも送信する。音声種別判定部6では、その「音声種別」にて案内音声か否かを判定する。
具体的には、例えば案内音声種別には下記A)からF)までの種類(任意)があり、C),E),F)はナビゲーション機能の案内音声であると判定するように予め定義する。
A)操作音
B)VICS割り込み音
C)追突情報
D)音声認識
E)ハンズフリー通話音声
F)交差点案内
【0014】
音声出力処理部4は、各種の音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・の音声出力処理を行う機能部である。例えば、音声生成部3に音声出力制御部2を介して接続しており、各種の音声データを音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・へ出力する処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)によって実現される。
音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・は、入力した音声データを音声出力する装置であり、車載器1に設けられた車内スピーカの他、短距離無線通信又は有線ケーブルで追加接続されたヘッドセット、ヘッドフォン等がある。
【0015】
音声出力制御部2は、車載器1のマイクロコンピュータにて音声出力制御用プログラムを実行することでその機能が具現化される構成部であって、音声生成部3における各種音声の音源から入力した音声データの種別が案内音声であると、音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・のうち、音声出力可能な音声出力装置を全て検知して、検知した全ての音声出力装置で当該案内音声を出力するように音声出力処理部4を制御する。
【0016】
音声種別判定部6は、音声生成部3における各種音声の音源と接続する構成部であり、入力された音声データの種別が案内音声であるか否かを判別する。なお、案内音声の判定は、例えば、音声データの入力元が案内音声生成部9であるか否かで判定してもよい。
【0017】
音声出力装置検知部7は、有線又は無線を問わず装置に接続している音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・の各インタフェースに接続する構成部であり、音声種別判定部6で出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定されると、各インタフェースを介したネゴシエーション処理により音声出力可能な音声出力装置を全て検知する。
ここで、音声出力装置検知部7で行う音声出力装置検知方法の一例を図12に基づいて説明する。音声出力装置5−1側の通信部アと音声出力装置検知部7の移動体側通信部イ間ではBluetoothなどの短距離無線通信又は優先ケーブルにて通信接続を行い、音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・側の通信部アから送られてきた情報を用いて外部装置判定手段ウにて接続された機器が音声出力可能か否かの判断を行う。判断するのに用いる情報として、「装置種別」と「距離」を使用し、接続された機器は音声出力が可能な装置なのか、その装置は車内座席のどの位置に存在しているのかを判定する。また、接続された機器が音声出力可能であると外部装置判定手段ウにて判定された場合、データ記憶部エにて情報の保持を行う。
【0018】
音声出力判定部8は、音声出力処理部4の音声出力処理を制御する構成部であり、音声種別判定部6によって出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定されると、その時点で音声出力装置検知部7に音声出力可能と検知された音声出力装置において、当該案内音声を出力するように音声出力処理部4を制御する。
【0019】
次に動作について説明する。
(1)通常音声(案内音声以外)の出力
音声種別判定部6は、音声生成部3から入力される音声データの種別を判定する。ここで、入力した音声データの種別が案内音声ではないと判定すると、音声種別判定部6は、音声出力判定部8に対して案内音声ではない旨を通知するとともに、当該入力音声データの情報(当該音声の種別も含む)を出力する。
音声出力判定部8は、音声種別判定部6から入力した情報に基づいて、音声種別ごとに予め設定された出力対象の音声出力装置を特定して、特定した音声出力装置で当該音声データを音声出力するように音声出力処理部4を制御する。
このようにして、音声出力処理部4は、音声出力判定部8から指示された音声出力装置に当該音声データを音声出力させる。例えば、車載テレビやラジオの音声であれば、車内スピーカで出力し、CDやDVD等の再生装置であれば、ヘッドセットやヘッドフォンで出力する。
【0020】
(2)案内音声の出力
音声種別判定部6は、音声生成部3から入力した音声データの種別が、案内音声生成部9にて生成された案内音声であると判定すると、音声出力判定部8に対して案内音声である旨を通知するとともに、当該入力音声データの情報を出力する。
音声出力判定部8は、音声種別判定部6から出力対象の音声データの種別が案内音声である旨の通知を受けると、音声出力可能な音声出力装置を検知するよう、音声出力装置検知部7に指示する。なお、ここで、あらかじめ音声出力装置検知部7で検知しておいた情報をデータとして格納し、音声出力判定部8は音声出力装置検知部7に格納してあるデータを参照する方法もある。
【0021】
音声出力装置検知部7は、音声出力判定部8からの指示に従って、車載器1に接続している全ての音声出力装置との間でネゴシエーション処理を実行して、音声出力可能な音声出力装置を全て検知する。この検知の結果は、音声出力装置検知部7から音声出力判定部8へ出力される。
【0022】
音声出力判定部8では、音声出力装置検知部7で検知された音声出力可能な全ての音声出力装置で、音声種別判定部6を介して入力した案内音声データを音声出力するように音声出力処理部4を制御する。これにより、車載器1に追加接続されたヘッドセットやヘッドフォンであっても案内音声が出力され、これらを装着した運転者が当該案内音声を聞き逃す不具合を回避することができる。なお、音声出力可能であると検知された音声出力装置が、別の音声を既に出力中である場合は、実施の形態4で後述するように当該音声に案内音声を一時的に割り込んで出力させる。
【0023】
以上のように、この実施の形態1によれば、ナビゲーション機能で生成された誘導経路や交差点情報、各種の警告案内等の案内音声が出力対象であると判定されると、音声出力が可能な音声出力装置を全て検知して当該案内音声を出力するので、車両の運転者が案内音声を確実に聞くことができるという効果が得られる。
【0024】
実施の形態2.
近年、交通渋滞情報や事故情報の提供だけでなく、交差点やカーブ等の事故が起き易い場所の路側に設置したセンサやカメラで検知された車両や歩行者の詳細情報を、道路渋滞情報や交差点情報(信号情報等)とともに、安全運転支援システム情報(以下、DSSS(Driving Safety Support System)情報と呼ぶ)として車両へ提供し、運転者に注意を促す安全運転支援システムが実用化されつつある。
当該安全運転支援システムでは、DSSS情報が、路側無線通信装置や光ビーコン送信機等の路上機の通信エリアに存在する車両に搭載した車載通信装置に対して送信される。
これに対して、歩行者の検知情報等の歩行者に関するDSSS情報については、車両側に限らず、歩行者側で認識することができれば、車両と歩行者の双方向から事故を未然に防ぐことが可能である。
この実施の形態2は、上述のような歩行者に関するDSSS情報の案内音声を、歩行者に通知するものである。
【0025】
図3は、この発明の実施の形態2による音声出力システムの概念を説明する図であり、本発明の音声出力システムを、歩行者に持ち運ばれる携帯電話端末の音声出力装置として適用した場合を示している。この実施の形態2では、DSSS情報を受信するDSSS受信機を携帯電話端末に内蔵しており、出力対象の音声データの種別がDSSS情報の案内音声であると、携帯電話端末に搭載又は追加接続されている音声出力可能な音声出力装置を全て検知して当該案内音声を出力する。
例えば、図3に示すように、携帯電話端末の通話用スピーカの他、Bluetooth等の短距離無線通信又は有線ケーブルで追加接続したヘッドセットであっても、出力対象音声データの種別が案内音声であると判定された時点で音声出力可能であれば、案内音声が出力される。このようにすることで、携帯電話端末を所持する歩行者がDSSS情報の案内音声を聞くことができる。
【0026】
図4は、実施の形態2による音声出力システム及びその周辺部の構成を示すブロック図であり、携帯電話端末1Aの音声出力システムとして適用した場合を示している。図4において、実施の形態2の音声出力システムは、音声出力制御部2、案内音声生成部10及びDSSS受信部11を備えており、音声出力システムの周辺部として、音声出力処理部4、音声出力装置5a−1,5a−2,5a−3,・・・を備える。また、音声出力制御部2は、音声種別判定部6、音声出力装置検知部7及び音声出力判定部8を備える。
【0027】
案内音声生成部10は、携帯電話端末に搭載された音源のうち、DSSS情報の案内音声を生成する音源であり、DSSS受信部11で受信されたDSSS情報が、案内音声を必要とする情報であると当該DSSS情報の内容から案内音声データを生成する。なお、案内音声生成部10は音声出力制御部2と接続しており、音声出力制御部2によって出力対象の音声データの種別がDSSS情報の案内音声であるか否かが判定される。
【0028】
DSSS受信部11は、光ビーコン送信機12等の路上機から送信されるDSSS情報を受信する受信機であり、例えば、光送受信素子を介して光ビーコン送信機12と光波による無線通信を行う。光ビーコン送信機12は、光ビーコンヘッダ及びこれを用いた通信処理を実行する通信部から構成され、自身の通信エリアを通過した通信機にDSSS情報を光通信で送信する。
【0029】
音声出力制御部2は、携帯電話端末1A内のマイクロコンピュータによって音声出力制御用プログラムを実行することでその機能が具現化される構成部である。音声出力制御部2では、携帯電話端末1Aに搭載した各種音声の音源で生成された音声データを入力し、入力音声データの種別がDSSS情報の案内音声であると、携帯電話端末1Aに搭載又は追加接続している音声出力装置5a−1,5a−2,5a−3,・・・のうち、音声出力可能な音声出力装置を全て検知し、検知した全ての音声出力装置で、当該案内音声を出力するよう音声出力処理部4を制御する。
【0030】
音声種別判定部6は、携帯電話端末1Aに搭載された各種音声の音源と接続する構成部であり、入力音声データの種別がDSSS情報の案内音声であるか否かを判別する。なお、案内音声の判定は、例えば、上記実施の形態1と同様に、音声データの入力元が案内音声生成部10であるか否かで判定するようにしてもよい。
音声出力装置検知部7は、音声出力装置5a−1,5a−2,5a−3,・・・の各インタフェースに接続する構成部であり、音声種別判定部6で出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定されると、各インタフェースを介したネゴシエーション処理によって音声出力可能な音声出力装置を全て検知する。
音声出力判定部8は、音声出力処理部4の音声出力処理を制御する構成部であり、音声種別判定部6で出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定されると、音声出力装置検知部7が検知した音声出力可能な音声出力装置で、当該案内音声を出力するように音声出力処理部4を制御する。
【0031】
次に動作について説明する。
(1)通常音声(案内音声以外)の出力
音声種別判定部6が、入力した音声データの種別を判定する。ここで、入力音声データの種別がDSSS情報の案内音声ではないと判定された場合、音声種別判定部6は、音声出力判定部8に対して、案内音声ではない旨を通知するとともに、当該入力音声の情報(当該音声の種別も含む)を出力する。
音声出力判定部8は、音声種別判定部6から入力した情報に基づいて、音声種別ごとに予め設定された出力対象の音声出力装置を特定し、特定した音声出力装置で当該音声データを音声出力するように音声出力処理部4を制御する。
このようにして、音声出力処理部4は、音声出力判定部8から指示された音声出力装置に当該音声データを音声出力させる。例えば、通常通話の音声であれば、内蔵スピーカで出力し、ハンズフリー通話の音声であれば、ヘッドセット等で出力する。
【0032】
(2)案内音声の出力
音声種別判定部6は、入力された音声データの種別がDSSS情報の案内音声であると判定すると、音声出力判定部8に対して、DSSS情報の案内音声である旨を通知するとともに、当該入力音声データの情報を出力する。
音声出力判定部8は、音声種別判定部6から出力対象の音声データの種別が案内音声である旨の通知を受けると、音声出力可能な音声出力装置を検知するよう、音声出力装置検知部7に指示する。
【0033】
音声出力装置検知部7は、音声出力判定部8からの指示に従って、携帯電話端末に搭載又は追加接続されている全ての音声出力装置との間でネゴシエーション処理を実行して、音声出力可能な音声出力装置を全て検知する。この検知の結果は、音声出力装置検知部7から音声出力判定部8へ出力される。
【0034】
音声出力判定部8では、音声出力装置検知部7で検知された音声出力可能な全ての音声出力装置で、音声種別判定部6を介して入力した案内音声データを音声出力するよう音声出力処理部4を制御する。これにより、携帯電話端末1Aの内蔵スピーカや当該携帯電話端末1Aに追加接続されたヘッドセットにおいても、DSSS情報の案内音声が出力される。なお、音声出力可能として検知された音声出力装置が、既に別の音声を出力中である場合は、実施の形態4で後述するように、当該音声に案内音声を一時的に割り込んで出力させる。
【0035】
以上のように、この実施の形態2によれば、安全運転支援システムから送信される、路側に設置したセンサやカメラなどの検知手段で検知された道路状況に基づくDSSS情報を受信するDSSS受信部11と、出力対象の音声データの種別がDSSS情報の案内音声であると判定されると、音声出力が可能な全ての音声出力装置を検知し、検知された音声出力が可能な全ての音声出力装置で出力対象の音声データの案内音声を出力する。これにより、車両の運転者のみならず、歩行者等に対しても、DSSS情報の案内音声を出力することが可能となり、運転者と歩行者の双方向から事故を未然に防ぐことができる。
【0036】
なお、上記実施の形態2において、携帯電話端末1Aの代わりにカーナビゲーション装置でDSSS情報を受信し、案内音声の出力制御を行うシステム構成も考えられるが、携帯電話端末でDSSS情報の案内音声を出力することで、歩行者にも交通上の注意を喚起することが可能となる。
【0037】
また、上記実施の形態2による音声出力システムを携帯電話端末1Aに適用した場合を示したが、歩行者となり得る者が携帯可能なPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯情報端末に適用しても同様の効果が得られる。
【0038】
さらに、上記実施の形態2では、携帯電話端末1AでDSSS情報の案内音声を出力する場合について説明したが、当該携帯電話端末1Aがナビゲーション機能を有する場合には、DSSS情報の案内音声の他に、当該ナビゲーション機能で生成された案内音声についても、同様に、音声出力可能な全ての音声出力装置で出力するように構成してもよい。
ここで、通常のナビゲーションにおける案内音声とDSSS情報の案内音声の出力タイミングが重複する場合は、実施の形態4で後述するように、これら案内音声の種別に出力の優先レベルを設定しておく。これにより、優先レベルに基づいて使用者にいち早く伝えるべき音声の出力が優先される。
【0039】
さらに、上記実施の形態2は、DSSS受信部11を携帯電話端末1Aに設けることで歩行者にDSSS情報の案内音声を通知する場合を示したが、上記実施の形態1で示した車載器1にDSSS受信部11を設けて、DSSS受信部11で受信されたDSSS情報に基づき生成した案内音声データを、出力対象の音声データの種別が当該案内音声であると判定された時点で音声出力可能な音声出力装置において音声出力するように構成してもよい。このようにすることで、運転者がDSSS情報の案内音声を確実に聞くことができる。
【0040】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3による音声出力システムの概念を説明する図であり、本発明の音声出力システムを、カーナビゲーション装置(車載器)の音声出力装置として適用した場合を示している。実施の形態3では、カーナビゲーション装置を含む車載器の音声出力システムが、車載器に搭載又は追加接続している音声出力装置に加え、当該車載器に直接接続していない携帯電話端末の音声出力装置のうちから音声出力可能な音声出力装置を検知して、検知された全ての音声出力装置で当該案内音声を出力する。
【0041】
例えば、図5に示すように、車載器に搭載された車内スピーカ、Bluetooth等の短距離無線通信又は有線ケーブルで追加接続されたヘッドセット、さらに車載器と通信接続する携帯電話端末に内蔵されたスピーカ、当該携帯電話端末に追加接続されたヘッドフォンであっても、出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定した時点で音声出力可能に接続されていれば、案内音声が出力される。このようにすることでも、本来、案内音声の出力用でない音声出力装置においても案内音声が出力され、運転者や携帯電話端末を所持する歩行者等が案内音声を確実に聞くことができる。
【0042】
図6は、実施の形態3による音声出力システム及びその周辺部の構成を示すブロック図であり、カーナビゲーション機能を有する車載器1Bの音声出力システムとして適用した場合を示している。図6において、実施の形態3の音声出力システムは、音声出力制御部2及び車載器側通信部13を備えており、音声出力システムの周辺部として、案内音声生成部9、音声出力処理部4、音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・を備える。また、携帯電話端末1Cは、音声出力制御部2a、音声出力処理部4a、当該携帯電話端末1Cにそれぞれ接続する音声出力装置5a−1,5a−2,5a−3,・・・、携帯側通信部14を備える。
【0043】
案内音声生成部9は、車載器に搭載された音源のうち、カーナビゲーション機能の案内音声を生成する音源であり、ナビゲーション処理で利用される交差点情報や各種の警告案内等の案内音声を生成する。なお、案内音声生成部9は、上記実施の形態1と同様に音声出力制御部2と接続しており、音声出力制御部2で出力対象音声が案内音声であるか否かが判定される。
【0044】
音声出力処理部4は、各種の音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・の音声出力処理を行う機能部である。例えば、車載器1B側に搭載した音源に音声出力制御部2を介して接続し、各種音声データを音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・へ出力する処理を実行するDSPにより実現される。音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・には、車載器1Bに設けられた車内スピーカの他、短距離無線通信又は有線ケーブルで追加接続されたヘッドセットやヘッドフォン等も含まれる。
【0045】
音声出力制御部2は、車載器1B内のマイクロコンピュータで音声出力制御用プログラムを実行することでその機能が具現化される構成部である。音声出力制御部2では、車載器1Bに搭載した音源で生成された音声データを入力し、入力した音声データの種別がカーナビゲーション機能で生成された案内音声であると、車載器1Bに搭載又は追加接続されている音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・のうち、音声出力可能な音声出力装置を全て検知し、検知した全ての音声出力装置で案内音声を出力するよう音声出力処理部4及び携帯電話端末1Cの音声出力処理部4aを制御する。
【0046】
音声種別判定部6は、音声生成部3における各種音声の音源と接続する構成部であり、入力音声データの種別が案内音声であるか否かを判別する。なお、案内音声の判定は、例えば、音声データの入力元が案内音声生成部9であるか否かで判定してもよい。
音声出力装置検知部7は、音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・の各インタフェースに接続する構成部であり、音声種別判定部6で出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定されると、各インタフェースを介したネゴシエーション処理により音声出力可能な音声出力装置を全て検知する。
音声出力判定部8は、音声出力処理部4,4aの音声出力処理を制御する構成部であって、特に音声種別判定部6で出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定されると、音声出力装置検知部7,7aで検知された音声出力可能な音声出力装置において、当該案内音声を出力するように音声出力処理部4,4aを制御する。
【0047】
車載器側通信部13は、携帯電話端末1Cに設けた携帯側通信部14と通信する構成部であり、携帯側通信部14とBluetooth等の短距離無線通信又は有線ケーブルで通信接続される。
【0048】
音声出力制御部2aは、携帯電話端末1C内のマイクロコンピュータで音声出力制御用プログラムを実行することによりその機能が具現化される構成部であって、音声出力装置検知部7aを備える。音声出力制御部2aでは、携帯側通信部14を介して車載器側から出力対象の音声データの種別が案内音声である旨が通知されると、音声出力装置検知部7aで音声出力可能な音声出力装置を全て検知し、検知された音声出力装置を特定する検知情報を、携帯側通信部14を介して車載器側へ送信する。
【0049】
音声出力処理部4aは、携帯電話端末1Cに接続する各種の音声出力装置5a−1,5a−2,5a−3,・・・の音声出力処理を行う機能部であり、例えば、当該処理を実行するDSPによって実現される。音声出力装置5a−1,5a−2,5a−3,・・・には、携帯電話端末1Cに内蔵されたスピーカの他、短距離無線通信や有線ケーブルで追加接続されたヘッドセットやヘッドフォン等も含まれる。
【0050】
次に動作について説明する。
(1)通常音声(案内音声以外)の出力
先ず、音声種別判定部6は、車載器1Bが搭載する音源から入力した音声データの種別を判定する。ここで、入力した音声データが案内音声ではないと判定すると、音声種別判定部6は、音声出力判定部8に対して案内音声ではない旨を通知するとともに、当該入力音声データの情報(当該音声の種別も含む)を出力する。
音声出力判定部8は、音声種別判定部6から入力した情報に基づいて、音声種別ごとに予め設定された出力対象の音声出力装置を特定し、特定した音声出力装置で当該音声を出力するように音声出力処理部4を制御する。
【0051】
このようにして、音声出力処理部4は、音声出力判定部8から指示された音声出力装置に当該音声データを音声出力させる。例えば、車載テレビやラジオの音声であれば、車内スピーカで出力し、CDやDVD等の再生装置であれば、ヘッドセットやヘッドフォンで出力する。また、携帯電話端末1Cは、通常通話の音声であれば内蔵スピーカで出力し、ハンズフリー通話の音声であればヘッドセット等で出力する。
【0052】
(2)案内音声の出力
音声種別判定部6は、車載器1Bが搭載する音源から入力した音声データの種別が案内音声であると判定すると、音声出力判定部8に対して案内音声である旨を通知するとともに、当該入力音声データの情報を出力する。
音声出力判定部8は、音声種別判定部6から出力対象の音声データの種別が案内音声である旨の通知を受けると、音声出力可能な音声出力装置を検知するよう、音声出力装置検知部7に指示するとともに、車載器側通信部13を介して携帯電話端末1Cに対し出力対象の音声データの種別が案内音声である旨を通知する。
【0053】
音声出力装置検知部7は、音声出力判定部8からの指示に従い、車載器1Bに搭載又は追加接続している全ての音声出力装置との間でネゴシエーション処理を実行し、音声出力可能な音声出力装置を全て検知する。この検知の結果は、音声出力装置検知部7から音声出力判定部8へ出力される。
【0054】
携帯電話端末1Cでは、携帯側通信部14が出力対象の音声データの種別が案内音声である旨の通知を受けると、音声出力可能な音声出力装置を検知するよう音声出力装置検知部7aに指示する。音声出力装置検知部7aでは、携帯電話端末1Cに搭載又は追加接続している全ての音声出力装置とネゴシエーション処理を実行し、音声出力可能な音声出力装置を全て検知する。この検知の結果は、携帯側通信部14を介して音声出力装置検知部7aから車載器側へ送信される。
【0055】
音声出力判定部8は、音声出力装置検知部7で検知された音声出力可能な音声出力装置において、案内音声を出力するよう音声出力処理部4を制御する。これにより、音声出力処理部4は、音声出力装置検知部7で検知された音声出力可能な音声出力装置において、当該案内音声を出力させる。
また同時に、音声出力判定部8が、車載器側通信部13を介して携帯電話端末1Cへ出力対象の案内音声データを送信する。携帯側通信部14が、車載器側から出力対象の案内音声データを受信すると、音声出力処理部4aへ出力される。これにより、音声出力処理部4aは、案内音声データの受信時点で音声出力可能な音声出力装置に当該案内音声データを音声出力させる。
【0056】
このようにすることで、車載器1Bに追加接続したヘッドセットやヘッドフォンに加え、車載器1Bに直接接続していない携帯電話端末1Cの音声出力装置においても案内音声が出力される。なお、音声出力可能として検知された音声出力装置が、既に別の音声を出力中である場合は、実施の形態4で後述するように、当該音声に案内音声を一時的に割り込んで出力させる。
【0057】
以上のように、この実施の形態3によれば、出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定されると、車載器1Bと通信可能な携帯電話端末1Cにおいてそれぞれ音声出力が可能な全ての音声出力装置を検知し、検知された音声出力が可能な全ての音声出力装置で案内音声を出力するので、車載器1Bを搭載する車両の運転者や携帯電話端末1Cを携帯して移動する歩行者が、案内音声を確実に聞くことができるという効果が得られる。
【0058】
なお、上記実施の形態3において、上記実施の形態2で示したDSSS受信部を車載器1B側に設けて、DSSS受信部11で受信されたDSSS情報に基づいて生成した案内音声を、車載器側通信部13及び携帯側通信部14を介して携帯電話端末1Cへ送信することで、携帯電話端末1Cの音声出力装置で当該案内音声を出力するように構成してもよい。これにより、運転者と歩行者の双方向から事故を未然に防ぐことができる。
【0059】
実施の形態4.
実施の形態4では、音声出力判定部8が決定する音声出力装置への音声出力パターンの詳細を述べる。この実施の形態4の内容は、上記実施の形態1から上記実施の形態3までのいずれの構成にも適用可能であり、その構成は本発明に含まれる。
図7は、この発明の実施の形態4による音声出力判定部及びその周辺部の構成を示すブロック図である。図7において、実施の形態4による音声出力判定部8は、データ読出部15、出力方法決定部16及び出力方法設定部17を備える。また、記憶部18は、データ読出部15から記憶内容の読み出しが可能な記憶装置であって、案内音声種別テーブル19、音声出力装置種別テーブル20、及びその他音声音量パターンテーブル21が記憶されている。
【0060】
データ読出部15は、音声種別判定部6から入力した出力対象の音声データの種別と、音声出力装置検知部7から入力した音声出力可能な音声出力装置の種別とに基づいて、記憶部18から、音声出力方法の決定に用いるデータを読み出す構成部である。出力方法決定部16は、データ読出部15で読み出されたデータを用いて出力対象音声の音声出力方法データを生成する構成部である。出力方法設定部17は、音声出力処理部4に接続している構成部であって、出力方法決定部16で生成された音声出力方法データを音声出力処理部4に設定する。
【0061】
案内音声種別テーブル19は、各種別の案内音声とその出力に関する優先レベルを対応付けて設定したテーブルデータである。案内音声種別テーブル19の一例を図8に示す。図8の例では、案内音声の種別として、DSSS情報から得られる追突情報、通常のナビゲーション機能で得られる交差点案内及び県境案内があり、また案内音声以外のその他音声の種別としてハンズフリー通話音声が設定されている。各種別の音声には、優先レベルA〜Dがそれぞれ割り当てられており、出力を優先する度合は、A>B>C>Dである。なお、音声種別及びこれに対応する優先レベルは、入力装置(不図示)を用いて案内音声種別テーブル19に任意に設定できるよう構成する。また、音声種別の種類として図8の例以外に、踏切案内やカーブ警告、あるいは車体から流れて来た情報による警告灯案内などを含めてもよい。
【0062】
音声出力装置種別テーブル20は、各種別の音声出力装置とその音声出力に関する優先レベルを対応付けて設定したテーブルデータである。音声出力装置種別テーブル20の一例を図9に示す。図9の例では、音声出力装置の種別として、車内スピーカ、ヘッドフォン(運転座席)、ヘッドフォン(後部座席)が設定されている。各種別の音声出力装置には、優先レベル1〜3がそれぞれ割り当てられており、出力を優先する度合は、1>2>3である。なお、音声出力装置の種別及びこれに対応する優先レベルは、入力装置(不図示)を用いて、音声出力装置種別テーブル20に任意に設定できるよう構成する。
【0063】
その他音声音量パターンテーブル21は、案内音声を出力する際、案内音声以外の音声(その他音声)に設定される音声出力装置の種別毎の音量パターンをまとめたテーブルデータである。図10は、その他音声音量パターンテーブル21の一例を示す図である。図10の例では、音声出力装置の種別として、スピーカ(車内スピーカ)及びヘッドフォン・イヤホンが設定されている。各種別の音声出力装置に対応する音量パターンは、それぞれパターン識別子V1〜V4で識別される。
【0064】
パターン識別子V1で識別される音量パターンでは、案内音声を出力する際、スピーカ、ヘッドフォン・イヤホンのその他音声がいずれも消音される。パターン識別子V2で識別される音量パターンでは、案内音声を出力する際に、運転席側のスピーカで出力されていたその他音声が消音され、ヘッドフォン・イヤホンでは右耳側のみ消音される。パターン識別子V3で識別される音量パターンでは、案内音声を出力する際に、運転席側のスピーカのみ、その他音声の音量を下げ、ヘッドフォン・イヤホンでは右耳側のみ音量を下げる。パターン識別子V4の音量パターンでは、スピーカ及びヘッドフォン・イヤホンの双方で現在出力されているその他音声の音量が維持される。
なお、その他音声音量パターンテーブル21においても、各種別の音声出力装置、及びこれに対応する音量パターンは、入力装置(不図示)を用いて任意に設定できるよう構成する。
【0065】
次に動作について説明する。
先ず、データ読出部15は、音声種別判定部6から入力された案内音声データの種別に基づいて記憶部18の案内音声種別テーブル19を検索して、当該案内音声データの優先レベルを読み出し、出力方法決定部16に出力する。さらに、データ読出部15は、音声出力装置検知部7から入力された音声出力可能な各音声出力装置の種別に基づいて記憶部18の音声出力装置種別テーブル20を検索して、当該音声出力装置の優先レベルを読み出し、出力方法決定部16に出力する。
【0066】
出力方法決定部16は、上述のように、データ読出部15から、案内音声出力に関するデータを入力すると、この時点までに案内音声以外の音声(その他音声)を出力している音声出力装置を示す情報をデータ読出部15へ出力して、これら音声出力装置に対応するその他音声の音量パターンデータを取得するよう指示する。データ読出部15は、出力方法決定部16からの指示に従い、その他音声音量パターンテーブル21を検索して、その他音声を出力している音声出力装置に対応する音量パターンデータを読み出し、出力方法決定部16に出力する。
【0067】
出力方法決定部16は、データ読出部15から案内音声及びその他音声に関するデータを入力すると、音声出力可能な音声出力装置において、案内音声及び音声出力装置の優先レベルに応じた音量で案内音声を出力するとともに、これまで出力されていたその他音声については、その他音声音量パターンテーブル21から読み出された音量パターンデータに従う音声出力に変更する音声出力方法データを生成する。この後、出力方法設定部17は、出力方法決定部16で生成した音声出力方法データを音声出力処理部4に設定する。これにより、音声出力装置で定常的に出力され得る音声(音楽等)の出力中に案内音声を一時的に割り込ませて出力することができる。
【0068】
図11は、出力方法決定部16で決定された音声出力方法の一例を示す図であり、図8〜10のテーブルデータの内容に基づいて生成された音声出力方法データを示している。図11において、例えば、「追突情報」は、DSSS情報から得た優先レベルが高い案内音声である。このため、追突情報の案内音声を運転者が聞き取り易いように、優先レベルが高い運転座席のヘッドフォンで現在出力されていた音声(その他音声)が無音とされ、当該案内音声が音量を“大”にして出力される。
また、同じ「追突情報」の案内音声であっても、優先レベルの低い後部座席のヘッドフォンでは、ヘッドフォンから出力されていたその他音声が右耳のみ消音され、当該案内音声が音量を“中”にして出力される。なお、その他音声であるハンズフリー通話音声については、プライベートに配慮し、運転席のみ音声を出力する。
【0069】
以上のように、この実施の形態4によれば、案内音声の種別と優先レベルとを対応付けて記憶する記憶部18を備え、音声出力判定部8が、出力対象の音声データの案内音声の種別に基づいて記憶部18から優先レベルを読み出して、音声出力が可能な音声出力装置で、出力対象の音声データの案内音声を、当該優先レベルに応じた音量で出力する。このようにすることで、音声出力装置で定常的に出力され得る音声(音楽等)の出力中に案内音声を一時的に割り込ませて出力することができる。また、優先レベルにより出力音量を変えることで、同乗者の負担を軽減させることが可能となる。
【0070】
また、この実施の形態4によれば、音声出力判定部8が、出力対象の音声データの案内音声の種別に基づいて、記憶部18から当該案内音声の優先レベルを読み出すとともに、音声出力装置検知部7に検知された音声出力装置の種別に基づいて記憶部18から当該音声出力装置の優先レベルを読み出し、音声出力が可能な音声出力装置で、出力対象の音声データの案内音声を出力するにあたり、当該案内音声及び音声出力装置の各優先レベルに応じた音量で出力する。これにより、例えば運転者と同乗者への音声出力方法を区別することができ、優先レベルに応じて音声出力先や出力音量を変えることができる。
【0071】
さらに、この実施の形態4によれば、案内音声を出力する際に、案内音声以外の音声(その他音声)に設定される音声出力装置の種別毎の音量パターンデータを記憶し、音声出力判定部8が、音声出力装置検知部7に検知された音声出力装置の種別に基づいて記憶部18から当該音声出力装置の音量パターンデータを読み出し、音声出力が可能な音声出力装置で、出力対象の音声データの案内音声を出力するにあたり、当該音声出力装置で出力されていた案内音声以外の音声については、音量パターンデータで規定される音量で出力する。このようにすることで、案内音声の他に、優先レベルに応じて音声出力先や出力音量を変えることができる。このようにすることで、音声出力装置で定常的に出力され得る案内音声以外の音声(音楽等のその他音声)の出力中に案内音声を一時的に割り込ませて出力することができる。
【符号の説明】
【0072】
1,1B 車載器、1A,1C 携帯電話端末、2,2a 音声出力制御部、3 音声生成部、4,4a 音声出力処理部、5−1,5−2,5−3,5a−1,5a−2,5a−3 音声出力装置、6 音声種別判定部、7,7a 音声出力装置検知部、8 音声出力判定部、9,10 案内音声生成部、11 DSSS受信部、12 光ビーコン送信機、13 車載器側通信部、14 携帯側通信部、15 データ読出部、16 出力方法決定部、17 出力方法設定部、18 記憶部、19 案内音声種別テーブル、20 音声出力装置種別テーブル、21 その他音声音量パターンテーブル。
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体に搭載した機器や所持者に携帯されて移動し得る携帯端末等に利用されて、誘導経路の案内音声や交通安全に関わる案内音声を出力する音声出力システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転者が車内で携帯電話を使用する際、安全運転を確保するために、ハンズフリー通話の利用が望ましく、ハンズフリーシステムを搭載した車載機器が実現されている。
従来のカーナビゲーション装置は、車内スピーカを介してハンズフリー通話を行うものが多いが、プライバシーの観点から、車内スピーカのみならず、ヘッドセットやイヤホンマイク等を利用したハンズフリー通話を可能とするシステムも普及している。
例えば、特許文献1には、ハンズフリー通話するハンズフリーキットとして、車内スピーカの他に、モバイル再生機器や音楽再生機器、ヘッドセットを利用することで、車内での通話や音楽再生等に関する音声出力を、ヘッドセット及び車内スピーカの双方から可能としている。
一方、従来のカーナビゲーション装置では、誘導経路の案内音声を車載器に設けた車内スピーカのみから出力しており、車載器に追加接続されたヘッドセットやヘッドフォン、ハンズフリーキットには案内音声が出力されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−529843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーナビゲーション装置の案内音声は、車両走行の安全性にも関わる非常に重要な情報であるにも拘わらず、従来では、車内スピーカでしか出力されず、運転者がヘッドセットを装着していると、案内音声を聞き逃す可能性があるという課題があった。
【0005】
また、近年では、事故が起き易い場所等の路側に設置したセンサやカメラで検知された車両や歩行者等の詳細情報を提供する安全運転支援システムが実用化されつつあり、当該システムを効果的に利用するためには、車両の運転者や歩行者に対して、当該システムが提供する情報を確実に通知する必要がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ナビゲーション機能による誘導経路の案内音声や安全運転支援システムが提供する交通安全に関わる案内音声が出力対象であると、音声出力が可能な音声出力装置を全て検知して当該案内音声を出力することにより、案内音声を確実に聞くことができる音声出力システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る音声出力システムは、ナビゲーション機能を有する第1の移動体用機器から出力対象の音声データを入力して、当該音声データの種別を判定する音声種別判定部と、音声種別判定部によって出力対象の音声データの種別がナビゲーション機能の案内音声であると判定されると、第1の移動体用機器と通信可能な第2の移動体用機器の音声出力装置で出力対象の音声データの案内音声を出力するよう制御する音声出力判定部とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、第1の移動体用機器から入力した出力対象の音声データの種別がナビゲーション機能の案内音声であると判定されると、第1の移動体用機器と通信可能な第2の移動体用機器の音声出力装置で出力対象の音声データの案内音声を出力するので、車両の運転者や歩行者が、案内音声を確実に聞くことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1による音声出力システムの概念を説明する図である。
【図2】実施の形態1による音声出力システム及びその周辺部の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態2による音声出力システムの概念を説明する図である。
【図4】実施の形態2による音声出力システム及びその周辺部の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態3による案内音声出力システムの概念を説明する図である。
【図6】実施の形態3による案内音声出力システム及びその周辺部の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態4による音声出力判定部及びその周辺部の構成を示すブロック図である。
【図8】案内音声種別テーブルの一例を示す図である。
【図9】音声出力装置種別テーブルの一例を示す図である。
【図10】その他音声音量パターンテーブルの一例を示す図である。
【図11】音声出力方法の一例を示す図である。
【図12】音声出力装置検知方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による音声出力システムの概念を説明する図であり、本発明の音声出力システムを、カーナビゲーション装置(車載器)の音声出力装置として適用した場合を示している。上述したように、従来では、カーナビゲーション装置で生成された交差点情報や各種の警告案内等の案内音声は、車内スピーカから出力されており、運転者がヘッドセットやヘッドフォン等を装着している場合、案内音声を聞き逃す可能性があった。
【0011】
そこで、実施の形態1による音声出力システムでは、出力対象の音声の種別が案内音声であると、装置に接続している音声出力可能な音声出力装置を全て検知して当該案内音声を出力する。例えば、図1に示すように、Bluetooth(登録商標;以下、記載を省略する)等の短距離無線通信又は有線ケーブルで装置に追加接続されたヘッドセットやヘッドフォンであっても、出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定した時点で音声出力可能であれば案内音声が出力される。このようにすることで、本来、案内音声出力用でない音声出力装置であっても案内音声が出力され、運転者が案内音声を聞き逃すようなことがない。
【0012】
図2は、実施の形態1による音声出力システム及びその周辺部の構成を示すブロック図であり、カーナビゲーション機能を有する車載器1の音声出力システムとして適用した場合を示している。図2において、実施の形態1による音声出力システムは、音声出力制御部2を備えており、音声出力システムの周辺部として、音声生成部3、音声出力処理部4、音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・を備える。また、音声出力制御部2は、音声種別判定部6、音声出力装置検知部7及び音声出力判定部8を備えており、音声生成部3は、案内音声生成部9を備える。
【0013】
音声生成部3は、カーナビゲーション機能を有する車載器1に設けた各種音声の音源であり、例えば、車載テレビやラジオのテレビチューナやラジオチューナ、CDやDVDの再生装置、案内音声生成部9等を備える。
案内音声生成部9は、音声生成部3を構成する音源のうち、カーナビゲーション機能の案内音声を生成する音源であり、ナビゲーション処理で利用される交差点情報や各種の警告案内等の案内音声データを生成する。なお、案内音声生成部9は、音声出力制御部2と接続しており、音声出力制御部2で出力対象の音声データの種別が案内音声であるか否かが判定される。
この案内音声生成部9にて案内音声を生成し、音声種別判定部6へ送信する際、生成した音声の他に「音声種別」というデータも送信する。音声種別判定部6では、その「音声種別」にて案内音声か否かを判定する。
具体的には、例えば案内音声種別には下記A)からF)までの種類(任意)があり、C),E),F)はナビゲーション機能の案内音声であると判定するように予め定義する。
A)操作音
B)VICS割り込み音
C)追突情報
D)音声認識
E)ハンズフリー通話音声
F)交差点案内
【0014】
音声出力処理部4は、各種の音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・の音声出力処理を行う機能部である。例えば、音声生成部3に音声出力制御部2を介して接続しており、各種の音声データを音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・へ出力する処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)によって実現される。
音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・は、入力した音声データを音声出力する装置であり、車載器1に設けられた車内スピーカの他、短距離無線通信又は有線ケーブルで追加接続されたヘッドセット、ヘッドフォン等がある。
【0015】
音声出力制御部2は、車載器1のマイクロコンピュータにて音声出力制御用プログラムを実行することでその機能が具現化される構成部であって、音声生成部3における各種音声の音源から入力した音声データの種別が案内音声であると、音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・のうち、音声出力可能な音声出力装置を全て検知して、検知した全ての音声出力装置で当該案内音声を出力するように音声出力処理部4を制御する。
【0016】
音声種別判定部6は、音声生成部3における各種音声の音源と接続する構成部であり、入力された音声データの種別が案内音声であるか否かを判別する。なお、案内音声の判定は、例えば、音声データの入力元が案内音声生成部9であるか否かで判定してもよい。
【0017】
音声出力装置検知部7は、有線又は無線を問わず装置に接続している音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・の各インタフェースに接続する構成部であり、音声種別判定部6で出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定されると、各インタフェースを介したネゴシエーション処理により音声出力可能な音声出力装置を全て検知する。
ここで、音声出力装置検知部7で行う音声出力装置検知方法の一例を図12に基づいて説明する。音声出力装置5−1側の通信部アと音声出力装置検知部7の移動体側通信部イ間ではBluetoothなどの短距離無線通信又は優先ケーブルにて通信接続を行い、音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・側の通信部アから送られてきた情報を用いて外部装置判定手段ウにて接続された機器が音声出力可能か否かの判断を行う。判断するのに用いる情報として、「装置種別」と「距離」を使用し、接続された機器は音声出力が可能な装置なのか、その装置は車内座席のどの位置に存在しているのかを判定する。また、接続された機器が音声出力可能であると外部装置判定手段ウにて判定された場合、データ記憶部エにて情報の保持を行う。
【0018】
音声出力判定部8は、音声出力処理部4の音声出力処理を制御する構成部であり、音声種別判定部6によって出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定されると、その時点で音声出力装置検知部7に音声出力可能と検知された音声出力装置において、当該案内音声を出力するように音声出力処理部4を制御する。
【0019】
次に動作について説明する。
(1)通常音声(案内音声以外)の出力
音声種別判定部6は、音声生成部3から入力される音声データの種別を判定する。ここで、入力した音声データの種別が案内音声ではないと判定すると、音声種別判定部6は、音声出力判定部8に対して案内音声ではない旨を通知するとともに、当該入力音声データの情報(当該音声の種別も含む)を出力する。
音声出力判定部8は、音声種別判定部6から入力した情報に基づいて、音声種別ごとに予め設定された出力対象の音声出力装置を特定して、特定した音声出力装置で当該音声データを音声出力するように音声出力処理部4を制御する。
このようにして、音声出力処理部4は、音声出力判定部8から指示された音声出力装置に当該音声データを音声出力させる。例えば、車載テレビやラジオの音声であれば、車内スピーカで出力し、CDやDVD等の再生装置であれば、ヘッドセットやヘッドフォンで出力する。
【0020】
(2)案内音声の出力
音声種別判定部6は、音声生成部3から入力した音声データの種別が、案内音声生成部9にて生成された案内音声であると判定すると、音声出力判定部8に対して案内音声である旨を通知するとともに、当該入力音声データの情報を出力する。
音声出力判定部8は、音声種別判定部6から出力対象の音声データの種別が案内音声である旨の通知を受けると、音声出力可能な音声出力装置を検知するよう、音声出力装置検知部7に指示する。なお、ここで、あらかじめ音声出力装置検知部7で検知しておいた情報をデータとして格納し、音声出力判定部8は音声出力装置検知部7に格納してあるデータを参照する方法もある。
【0021】
音声出力装置検知部7は、音声出力判定部8からの指示に従って、車載器1に接続している全ての音声出力装置との間でネゴシエーション処理を実行して、音声出力可能な音声出力装置を全て検知する。この検知の結果は、音声出力装置検知部7から音声出力判定部8へ出力される。
【0022】
音声出力判定部8では、音声出力装置検知部7で検知された音声出力可能な全ての音声出力装置で、音声種別判定部6を介して入力した案内音声データを音声出力するように音声出力処理部4を制御する。これにより、車載器1に追加接続されたヘッドセットやヘッドフォンであっても案内音声が出力され、これらを装着した運転者が当該案内音声を聞き逃す不具合を回避することができる。なお、音声出力可能であると検知された音声出力装置が、別の音声を既に出力中である場合は、実施の形態4で後述するように当該音声に案内音声を一時的に割り込んで出力させる。
【0023】
以上のように、この実施の形態1によれば、ナビゲーション機能で生成された誘導経路や交差点情報、各種の警告案内等の案内音声が出力対象であると判定されると、音声出力が可能な音声出力装置を全て検知して当該案内音声を出力するので、車両の運転者が案内音声を確実に聞くことができるという効果が得られる。
【0024】
実施の形態2.
近年、交通渋滞情報や事故情報の提供だけでなく、交差点やカーブ等の事故が起き易い場所の路側に設置したセンサやカメラで検知された車両や歩行者の詳細情報を、道路渋滞情報や交差点情報(信号情報等)とともに、安全運転支援システム情報(以下、DSSS(Driving Safety Support System)情報と呼ぶ)として車両へ提供し、運転者に注意を促す安全運転支援システムが実用化されつつある。
当該安全運転支援システムでは、DSSS情報が、路側無線通信装置や光ビーコン送信機等の路上機の通信エリアに存在する車両に搭載した車載通信装置に対して送信される。
これに対して、歩行者の検知情報等の歩行者に関するDSSS情報については、車両側に限らず、歩行者側で認識することができれば、車両と歩行者の双方向から事故を未然に防ぐことが可能である。
この実施の形態2は、上述のような歩行者に関するDSSS情報の案内音声を、歩行者に通知するものである。
【0025】
図3は、この発明の実施の形態2による音声出力システムの概念を説明する図であり、本発明の音声出力システムを、歩行者に持ち運ばれる携帯電話端末の音声出力装置として適用した場合を示している。この実施の形態2では、DSSS情報を受信するDSSS受信機を携帯電話端末に内蔵しており、出力対象の音声データの種別がDSSS情報の案内音声であると、携帯電話端末に搭載又は追加接続されている音声出力可能な音声出力装置を全て検知して当該案内音声を出力する。
例えば、図3に示すように、携帯電話端末の通話用スピーカの他、Bluetooth等の短距離無線通信又は有線ケーブルで追加接続したヘッドセットであっても、出力対象音声データの種別が案内音声であると判定された時点で音声出力可能であれば、案内音声が出力される。このようにすることで、携帯電話端末を所持する歩行者がDSSS情報の案内音声を聞くことができる。
【0026】
図4は、実施の形態2による音声出力システム及びその周辺部の構成を示すブロック図であり、携帯電話端末1Aの音声出力システムとして適用した場合を示している。図4において、実施の形態2の音声出力システムは、音声出力制御部2、案内音声生成部10及びDSSS受信部11を備えており、音声出力システムの周辺部として、音声出力処理部4、音声出力装置5a−1,5a−2,5a−3,・・・を備える。また、音声出力制御部2は、音声種別判定部6、音声出力装置検知部7及び音声出力判定部8を備える。
【0027】
案内音声生成部10は、携帯電話端末に搭載された音源のうち、DSSS情報の案内音声を生成する音源であり、DSSS受信部11で受信されたDSSS情報が、案内音声を必要とする情報であると当該DSSS情報の内容から案内音声データを生成する。なお、案内音声生成部10は音声出力制御部2と接続しており、音声出力制御部2によって出力対象の音声データの種別がDSSS情報の案内音声であるか否かが判定される。
【0028】
DSSS受信部11は、光ビーコン送信機12等の路上機から送信されるDSSS情報を受信する受信機であり、例えば、光送受信素子を介して光ビーコン送信機12と光波による無線通信を行う。光ビーコン送信機12は、光ビーコンヘッダ及びこれを用いた通信処理を実行する通信部から構成され、自身の通信エリアを通過した通信機にDSSS情報を光通信で送信する。
【0029】
音声出力制御部2は、携帯電話端末1A内のマイクロコンピュータによって音声出力制御用プログラムを実行することでその機能が具現化される構成部である。音声出力制御部2では、携帯電話端末1Aに搭載した各種音声の音源で生成された音声データを入力し、入力音声データの種別がDSSS情報の案内音声であると、携帯電話端末1Aに搭載又は追加接続している音声出力装置5a−1,5a−2,5a−3,・・・のうち、音声出力可能な音声出力装置を全て検知し、検知した全ての音声出力装置で、当該案内音声を出力するよう音声出力処理部4を制御する。
【0030】
音声種別判定部6は、携帯電話端末1Aに搭載された各種音声の音源と接続する構成部であり、入力音声データの種別がDSSS情報の案内音声であるか否かを判別する。なお、案内音声の判定は、例えば、上記実施の形態1と同様に、音声データの入力元が案内音声生成部10であるか否かで判定するようにしてもよい。
音声出力装置検知部7は、音声出力装置5a−1,5a−2,5a−3,・・・の各インタフェースに接続する構成部であり、音声種別判定部6で出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定されると、各インタフェースを介したネゴシエーション処理によって音声出力可能な音声出力装置を全て検知する。
音声出力判定部8は、音声出力処理部4の音声出力処理を制御する構成部であり、音声種別判定部6で出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定されると、音声出力装置検知部7が検知した音声出力可能な音声出力装置で、当該案内音声を出力するように音声出力処理部4を制御する。
【0031】
次に動作について説明する。
(1)通常音声(案内音声以外)の出力
音声種別判定部6が、入力した音声データの種別を判定する。ここで、入力音声データの種別がDSSS情報の案内音声ではないと判定された場合、音声種別判定部6は、音声出力判定部8に対して、案内音声ではない旨を通知するとともに、当該入力音声の情報(当該音声の種別も含む)を出力する。
音声出力判定部8は、音声種別判定部6から入力した情報に基づいて、音声種別ごとに予め設定された出力対象の音声出力装置を特定し、特定した音声出力装置で当該音声データを音声出力するように音声出力処理部4を制御する。
このようにして、音声出力処理部4は、音声出力判定部8から指示された音声出力装置に当該音声データを音声出力させる。例えば、通常通話の音声であれば、内蔵スピーカで出力し、ハンズフリー通話の音声であれば、ヘッドセット等で出力する。
【0032】
(2)案内音声の出力
音声種別判定部6は、入力された音声データの種別がDSSS情報の案内音声であると判定すると、音声出力判定部8に対して、DSSS情報の案内音声である旨を通知するとともに、当該入力音声データの情報を出力する。
音声出力判定部8は、音声種別判定部6から出力対象の音声データの種別が案内音声である旨の通知を受けると、音声出力可能な音声出力装置を検知するよう、音声出力装置検知部7に指示する。
【0033】
音声出力装置検知部7は、音声出力判定部8からの指示に従って、携帯電話端末に搭載又は追加接続されている全ての音声出力装置との間でネゴシエーション処理を実行して、音声出力可能な音声出力装置を全て検知する。この検知の結果は、音声出力装置検知部7から音声出力判定部8へ出力される。
【0034】
音声出力判定部8では、音声出力装置検知部7で検知された音声出力可能な全ての音声出力装置で、音声種別判定部6を介して入力した案内音声データを音声出力するよう音声出力処理部4を制御する。これにより、携帯電話端末1Aの内蔵スピーカや当該携帯電話端末1Aに追加接続されたヘッドセットにおいても、DSSS情報の案内音声が出力される。なお、音声出力可能として検知された音声出力装置が、既に別の音声を出力中である場合は、実施の形態4で後述するように、当該音声に案内音声を一時的に割り込んで出力させる。
【0035】
以上のように、この実施の形態2によれば、安全運転支援システムから送信される、路側に設置したセンサやカメラなどの検知手段で検知された道路状況に基づくDSSS情報を受信するDSSS受信部11と、出力対象の音声データの種別がDSSS情報の案内音声であると判定されると、音声出力が可能な全ての音声出力装置を検知し、検知された音声出力が可能な全ての音声出力装置で出力対象の音声データの案内音声を出力する。これにより、車両の運転者のみならず、歩行者等に対しても、DSSS情報の案内音声を出力することが可能となり、運転者と歩行者の双方向から事故を未然に防ぐことができる。
【0036】
なお、上記実施の形態2において、携帯電話端末1Aの代わりにカーナビゲーション装置でDSSS情報を受信し、案内音声の出力制御を行うシステム構成も考えられるが、携帯電話端末でDSSS情報の案内音声を出力することで、歩行者にも交通上の注意を喚起することが可能となる。
【0037】
また、上記実施の形態2による音声出力システムを携帯電話端末1Aに適用した場合を示したが、歩行者となり得る者が携帯可能なPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯情報端末に適用しても同様の効果が得られる。
【0038】
さらに、上記実施の形態2では、携帯電話端末1AでDSSS情報の案内音声を出力する場合について説明したが、当該携帯電話端末1Aがナビゲーション機能を有する場合には、DSSS情報の案内音声の他に、当該ナビゲーション機能で生成された案内音声についても、同様に、音声出力可能な全ての音声出力装置で出力するように構成してもよい。
ここで、通常のナビゲーションにおける案内音声とDSSS情報の案内音声の出力タイミングが重複する場合は、実施の形態4で後述するように、これら案内音声の種別に出力の優先レベルを設定しておく。これにより、優先レベルに基づいて使用者にいち早く伝えるべき音声の出力が優先される。
【0039】
さらに、上記実施の形態2は、DSSS受信部11を携帯電話端末1Aに設けることで歩行者にDSSS情報の案内音声を通知する場合を示したが、上記実施の形態1で示した車載器1にDSSS受信部11を設けて、DSSS受信部11で受信されたDSSS情報に基づき生成した案内音声データを、出力対象の音声データの種別が当該案内音声であると判定された時点で音声出力可能な音声出力装置において音声出力するように構成してもよい。このようにすることで、運転者がDSSS情報の案内音声を確実に聞くことができる。
【0040】
実施の形態3.
図5は、この発明の実施の形態3による音声出力システムの概念を説明する図であり、本発明の音声出力システムを、カーナビゲーション装置(車載器)の音声出力装置として適用した場合を示している。実施の形態3では、カーナビゲーション装置を含む車載器の音声出力システムが、車載器に搭載又は追加接続している音声出力装置に加え、当該車載器に直接接続していない携帯電話端末の音声出力装置のうちから音声出力可能な音声出力装置を検知して、検知された全ての音声出力装置で当該案内音声を出力する。
【0041】
例えば、図5に示すように、車載器に搭載された車内スピーカ、Bluetooth等の短距離無線通信又は有線ケーブルで追加接続されたヘッドセット、さらに車載器と通信接続する携帯電話端末に内蔵されたスピーカ、当該携帯電話端末に追加接続されたヘッドフォンであっても、出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定した時点で音声出力可能に接続されていれば、案内音声が出力される。このようにすることでも、本来、案内音声の出力用でない音声出力装置においても案内音声が出力され、運転者や携帯電話端末を所持する歩行者等が案内音声を確実に聞くことができる。
【0042】
図6は、実施の形態3による音声出力システム及びその周辺部の構成を示すブロック図であり、カーナビゲーション機能を有する車載器1Bの音声出力システムとして適用した場合を示している。図6において、実施の形態3の音声出力システムは、音声出力制御部2及び車載器側通信部13を備えており、音声出力システムの周辺部として、案内音声生成部9、音声出力処理部4、音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・を備える。また、携帯電話端末1Cは、音声出力制御部2a、音声出力処理部4a、当該携帯電話端末1Cにそれぞれ接続する音声出力装置5a−1,5a−2,5a−3,・・・、携帯側通信部14を備える。
【0043】
案内音声生成部9は、車載器に搭載された音源のうち、カーナビゲーション機能の案内音声を生成する音源であり、ナビゲーション処理で利用される交差点情報や各種の警告案内等の案内音声を生成する。なお、案内音声生成部9は、上記実施の形態1と同様に音声出力制御部2と接続しており、音声出力制御部2で出力対象音声が案内音声であるか否かが判定される。
【0044】
音声出力処理部4は、各種の音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・の音声出力処理を行う機能部である。例えば、車載器1B側に搭載した音源に音声出力制御部2を介して接続し、各種音声データを音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・へ出力する処理を実行するDSPにより実現される。音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・には、車載器1Bに設けられた車内スピーカの他、短距離無線通信又は有線ケーブルで追加接続されたヘッドセットやヘッドフォン等も含まれる。
【0045】
音声出力制御部2は、車載器1B内のマイクロコンピュータで音声出力制御用プログラムを実行することでその機能が具現化される構成部である。音声出力制御部2では、車載器1Bに搭載した音源で生成された音声データを入力し、入力した音声データの種別がカーナビゲーション機能で生成された案内音声であると、車載器1Bに搭載又は追加接続されている音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・のうち、音声出力可能な音声出力装置を全て検知し、検知した全ての音声出力装置で案内音声を出力するよう音声出力処理部4及び携帯電話端末1Cの音声出力処理部4aを制御する。
【0046】
音声種別判定部6は、音声生成部3における各種音声の音源と接続する構成部であり、入力音声データの種別が案内音声であるか否かを判別する。なお、案内音声の判定は、例えば、音声データの入力元が案内音声生成部9であるか否かで判定してもよい。
音声出力装置検知部7は、音声出力装置5−1,5−2,5−3,・・・の各インタフェースに接続する構成部であり、音声種別判定部6で出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定されると、各インタフェースを介したネゴシエーション処理により音声出力可能な音声出力装置を全て検知する。
音声出力判定部8は、音声出力処理部4,4aの音声出力処理を制御する構成部であって、特に音声種別判定部6で出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定されると、音声出力装置検知部7,7aで検知された音声出力可能な音声出力装置において、当該案内音声を出力するように音声出力処理部4,4aを制御する。
【0047】
車載器側通信部13は、携帯電話端末1Cに設けた携帯側通信部14と通信する構成部であり、携帯側通信部14とBluetooth等の短距離無線通信又は有線ケーブルで通信接続される。
【0048】
音声出力制御部2aは、携帯電話端末1C内のマイクロコンピュータで音声出力制御用プログラムを実行することによりその機能が具現化される構成部であって、音声出力装置検知部7aを備える。音声出力制御部2aでは、携帯側通信部14を介して車載器側から出力対象の音声データの種別が案内音声である旨が通知されると、音声出力装置検知部7aで音声出力可能な音声出力装置を全て検知し、検知された音声出力装置を特定する検知情報を、携帯側通信部14を介して車載器側へ送信する。
【0049】
音声出力処理部4aは、携帯電話端末1Cに接続する各種の音声出力装置5a−1,5a−2,5a−3,・・・の音声出力処理を行う機能部であり、例えば、当該処理を実行するDSPによって実現される。音声出力装置5a−1,5a−2,5a−3,・・・には、携帯電話端末1Cに内蔵されたスピーカの他、短距離無線通信や有線ケーブルで追加接続されたヘッドセットやヘッドフォン等も含まれる。
【0050】
次に動作について説明する。
(1)通常音声(案内音声以外)の出力
先ず、音声種別判定部6は、車載器1Bが搭載する音源から入力した音声データの種別を判定する。ここで、入力した音声データが案内音声ではないと判定すると、音声種別判定部6は、音声出力判定部8に対して案内音声ではない旨を通知するとともに、当該入力音声データの情報(当該音声の種別も含む)を出力する。
音声出力判定部8は、音声種別判定部6から入力した情報に基づいて、音声種別ごとに予め設定された出力対象の音声出力装置を特定し、特定した音声出力装置で当該音声を出力するように音声出力処理部4を制御する。
【0051】
このようにして、音声出力処理部4は、音声出力判定部8から指示された音声出力装置に当該音声データを音声出力させる。例えば、車載テレビやラジオの音声であれば、車内スピーカで出力し、CDやDVD等の再生装置であれば、ヘッドセットやヘッドフォンで出力する。また、携帯電話端末1Cは、通常通話の音声であれば内蔵スピーカで出力し、ハンズフリー通話の音声であればヘッドセット等で出力する。
【0052】
(2)案内音声の出力
音声種別判定部6は、車載器1Bが搭載する音源から入力した音声データの種別が案内音声であると判定すると、音声出力判定部8に対して案内音声である旨を通知するとともに、当該入力音声データの情報を出力する。
音声出力判定部8は、音声種別判定部6から出力対象の音声データの種別が案内音声である旨の通知を受けると、音声出力可能な音声出力装置を検知するよう、音声出力装置検知部7に指示するとともに、車載器側通信部13を介して携帯電話端末1Cに対し出力対象の音声データの種別が案内音声である旨を通知する。
【0053】
音声出力装置検知部7は、音声出力判定部8からの指示に従い、車載器1Bに搭載又は追加接続している全ての音声出力装置との間でネゴシエーション処理を実行し、音声出力可能な音声出力装置を全て検知する。この検知の結果は、音声出力装置検知部7から音声出力判定部8へ出力される。
【0054】
携帯電話端末1Cでは、携帯側通信部14が出力対象の音声データの種別が案内音声である旨の通知を受けると、音声出力可能な音声出力装置を検知するよう音声出力装置検知部7aに指示する。音声出力装置検知部7aでは、携帯電話端末1Cに搭載又は追加接続している全ての音声出力装置とネゴシエーション処理を実行し、音声出力可能な音声出力装置を全て検知する。この検知の結果は、携帯側通信部14を介して音声出力装置検知部7aから車載器側へ送信される。
【0055】
音声出力判定部8は、音声出力装置検知部7で検知された音声出力可能な音声出力装置において、案内音声を出力するよう音声出力処理部4を制御する。これにより、音声出力処理部4は、音声出力装置検知部7で検知された音声出力可能な音声出力装置において、当該案内音声を出力させる。
また同時に、音声出力判定部8が、車載器側通信部13を介して携帯電話端末1Cへ出力対象の案内音声データを送信する。携帯側通信部14が、車載器側から出力対象の案内音声データを受信すると、音声出力処理部4aへ出力される。これにより、音声出力処理部4aは、案内音声データの受信時点で音声出力可能な音声出力装置に当該案内音声データを音声出力させる。
【0056】
このようにすることで、車載器1Bに追加接続したヘッドセットやヘッドフォンに加え、車載器1Bに直接接続していない携帯電話端末1Cの音声出力装置においても案内音声が出力される。なお、音声出力可能として検知された音声出力装置が、既に別の音声を出力中である場合は、実施の形態4で後述するように、当該音声に案内音声を一時的に割り込んで出力させる。
【0057】
以上のように、この実施の形態3によれば、出力対象の音声データの種別が案内音声であると判定されると、車載器1Bと通信可能な携帯電話端末1Cにおいてそれぞれ音声出力が可能な全ての音声出力装置を検知し、検知された音声出力が可能な全ての音声出力装置で案内音声を出力するので、車載器1Bを搭載する車両の運転者や携帯電話端末1Cを携帯して移動する歩行者が、案内音声を確実に聞くことができるという効果が得られる。
【0058】
なお、上記実施の形態3において、上記実施の形態2で示したDSSS受信部を車載器1B側に設けて、DSSS受信部11で受信されたDSSS情報に基づいて生成した案内音声を、車載器側通信部13及び携帯側通信部14を介して携帯電話端末1Cへ送信することで、携帯電話端末1Cの音声出力装置で当該案内音声を出力するように構成してもよい。これにより、運転者と歩行者の双方向から事故を未然に防ぐことができる。
【0059】
実施の形態4.
実施の形態4では、音声出力判定部8が決定する音声出力装置への音声出力パターンの詳細を述べる。この実施の形態4の内容は、上記実施の形態1から上記実施の形態3までのいずれの構成にも適用可能であり、その構成は本発明に含まれる。
図7は、この発明の実施の形態4による音声出力判定部及びその周辺部の構成を示すブロック図である。図7において、実施の形態4による音声出力判定部8は、データ読出部15、出力方法決定部16及び出力方法設定部17を備える。また、記憶部18は、データ読出部15から記憶内容の読み出しが可能な記憶装置であって、案内音声種別テーブル19、音声出力装置種別テーブル20、及びその他音声音量パターンテーブル21が記憶されている。
【0060】
データ読出部15は、音声種別判定部6から入力した出力対象の音声データの種別と、音声出力装置検知部7から入力した音声出力可能な音声出力装置の種別とに基づいて、記憶部18から、音声出力方法の決定に用いるデータを読み出す構成部である。出力方法決定部16は、データ読出部15で読み出されたデータを用いて出力対象音声の音声出力方法データを生成する構成部である。出力方法設定部17は、音声出力処理部4に接続している構成部であって、出力方法決定部16で生成された音声出力方法データを音声出力処理部4に設定する。
【0061】
案内音声種別テーブル19は、各種別の案内音声とその出力に関する優先レベルを対応付けて設定したテーブルデータである。案内音声種別テーブル19の一例を図8に示す。図8の例では、案内音声の種別として、DSSS情報から得られる追突情報、通常のナビゲーション機能で得られる交差点案内及び県境案内があり、また案内音声以外のその他音声の種別としてハンズフリー通話音声が設定されている。各種別の音声には、優先レベルA〜Dがそれぞれ割り当てられており、出力を優先する度合は、A>B>C>Dである。なお、音声種別及びこれに対応する優先レベルは、入力装置(不図示)を用いて案内音声種別テーブル19に任意に設定できるよう構成する。また、音声種別の種類として図8の例以外に、踏切案内やカーブ警告、あるいは車体から流れて来た情報による警告灯案内などを含めてもよい。
【0062】
音声出力装置種別テーブル20は、各種別の音声出力装置とその音声出力に関する優先レベルを対応付けて設定したテーブルデータである。音声出力装置種別テーブル20の一例を図9に示す。図9の例では、音声出力装置の種別として、車内スピーカ、ヘッドフォン(運転座席)、ヘッドフォン(後部座席)が設定されている。各種別の音声出力装置には、優先レベル1〜3がそれぞれ割り当てられており、出力を優先する度合は、1>2>3である。なお、音声出力装置の種別及びこれに対応する優先レベルは、入力装置(不図示)を用いて、音声出力装置種別テーブル20に任意に設定できるよう構成する。
【0063】
その他音声音量パターンテーブル21は、案内音声を出力する際、案内音声以外の音声(その他音声)に設定される音声出力装置の種別毎の音量パターンをまとめたテーブルデータである。図10は、その他音声音量パターンテーブル21の一例を示す図である。図10の例では、音声出力装置の種別として、スピーカ(車内スピーカ)及びヘッドフォン・イヤホンが設定されている。各種別の音声出力装置に対応する音量パターンは、それぞれパターン識別子V1〜V4で識別される。
【0064】
パターン識別子V1で識別される音量パターンでは、案内音声を出力する際、スピーカ、ヘッドフォン・イヤホンのその他音声がいずれも消音される。パターン識別子V2で識別される音量パターンでは、案内音声を出力する際に、運転席側のスピーカで出力されていたその他音声が消音され、ヘッドフォン・イヤホンでは右耳側のみ消音される。パターン識別子V3で識別される音量パターンでは、案内音声を出力する際に、運転席側のスピーカのみ、その他音声の音量を下げ、ヘッドフォン・イヤホンでは右耳側のみ音量を下げる。パターン識別子V4の音量パターンでは、スピーカ及びヘッドフォン・イヤホンの双方で現在出力されているその他音声の音量が維持される。
なお、その他音声音量パターンテーブル21においても、各種別の音声出力装置、及びこれに対応する音量パターンは、入力装置(不図示)を用いて任意に設定できるよう構成する。
【0065】
次に動作について説明する。
先ず、データ読出部15は、音声種別判定部6から入力された案内音声データの種別に基づいて記憶部18の案内音声種別テーブル19を検索して、当該案内音声データの優先レベルを読み出し、出力方法決定部16に出力する。さらに、データ読出部15は、音声出力装置検知部7から入力された音声出力可能な各音声出力装置の種別に基づいて記憶部18の音声出力装置種別テーブル20を検索して、当該音声出力装置の優先レベルを読み出し、出力方法決定部16に出力する。
【0066】
出力方法決定部16は、上述のように、データ読出部15から、案内音声出力に関するデータを入力すると、この時点までに案内音声以外の音声(その他音声)を出力している音声出力装置を示す情報をデータ読出部15へ出力して、これら音声出力装置に対応するその他音声の音量パターンデータを取得するよう指示する。データ読出部15は、出力方法決定部16からの指示に従い、その他音声音量パターンテーブル21を検索して、その他音声を出力している音声出力装置に対応する音量パターンデータを読み出し、出力方法決定部16に出力する。
【0067】
出力方法決定部16は、データ読出部15から案内音声及びその他音声に関するデータを入力すると、音声出力可能な音声出力装置において、案内音声及び音声出力装置の優先レベルに応じた音量で案内音声を出力するとともに、これまで出力されていたその他音声については、その他音声音量パターンテーブル21から読み出された音量パターンデータに従う音声出力に変更する音声出力方法データを生成する。この後、出力方法設定部17は、出力方法決定部16で生成した音声出力方法データを音声出力処理部4に設定する。これにより、音声出力装置で定常的に出力され得る音声(音楽等)の出力中に案内音声を一時的に割り込ませて出力することができる。
【0068】
図11は、出力方法決定部16で決定された音声出力方法の一例を示す図であり、図8〜10のテーブルデータの内容に基づいて生成された音声出力方法データを示している。図11において、例えば、「追突情報」は、DSSS情報から得た優先レベルが高い案内音声である。このため、追突情報の案内音声を運転者が聞き取り易いように、優先レベルが高い運転座席のヘッドフォンで現在出力されていた音声(その他音声)が無音とされ、当該案内音声が音量を“大”にして出力される。
また、同じ「追突情報」の案内音声であっても、優先レベルの低い後部座席のヘッドフォンでは、ヘッドフォンから出力されていたその他音声が右耳のみ消音され、当該案内音声が音量を“中”にして出力される。なお、その他音声であるハンズフリー通話音声については、プライベートに配慮し、運転席のみ音声を出力する。
【0069】
以上のように、この実施の形態4によれば、案内音声の種別と優先レベルとを対応付けて記憶する記憶部18を備え、音声出力判定部8が、出力対象の音声データの案内音声の種別に基づいて記憶部18から優先レベルを読み出して、音声出力が可能な音声出力装置で、出力対象の音声データの案内音声を、当該優先レベルに応じた音量で出力する。このようにすることで、音声出力装置で定常的に出力され得る音声(音楽等)の出力中に案内音声を一時的に割り込ませて出力することができる。また、優先レベルにより出力音量を変えることで、同乗者の負担を軽減させることが可能となる。
【0070】
また、この実施の形態4によれば、音声出力判定部8が、出力対象の音声データの案内音声の種別に基づいて、記憶部18から当該案内音声の優先レベルを読み出すとともに、音声出力装置検知部7に検知された音声出力装置の種別に基づいて記憶部18から当該音声出力装置の優先レベルを読み出し、音声出力が可能な音声出力装置で、出力対象の音声データの案内音声を出力するにあたり、当該案内音声及び音声出力装置の各優先レベルに応じた音量で出力する。これにより、例えば運転者と同乗者への音声出力方法を区別することができ、優先レベルに応じて音声出力先や出力音量を変えることができる。
【0071】
さらに、この実施の形態4によれば、案内音声を出力する際に、案内音声以外の音声(その他音声)に設定される音声出力装置の種別毎の音量パターンデータを記憶し、音声出力判定部8が、音声出力装置検知部7に検知された音声出力装置の種別に基づいて記憶部18から当該音声出力装置の音量パターンデータを読み出し、音声出力が可能な音声出力装置で、出力対象の音声データの案内音声を出力するにあたり、当該音声出力装置で出力されていた案内音声以外の音声については、音量パターンデータで規定される音量で出力する。このようにすることで、案内音声の他に、優先レベルに応じて音声出力先や出力音量を変えることができる。このようにすることで、音声出力装置で定常的に出力され得る案内音声以外の音声(音楽等のその他音声)の出力中に案内音声を一時的に割り込ませて出力することができる。
【符号の説明】
【0072】
1,1B 車載器、1A,1C 携帯電話端末、2,2a 音声出力制御部、3 音声生成部、4,4a 音声出力処理部、5−1,5−2,5−3,5a−1,5a−2,5a−3 音声出力装置、6 音声種別判定部、7,7a 音声出力装置検知部、8 音声出力判定部、9,10 案内音声生成部、11 DSSS受信部、12 光ビーコン送信機、13 車載器側通信部、14 携帯側通信部、15 データ読出部、16 出力方法決定部、17 出力方法設定部、18 記憶部、19 案内音声種別テーブル、20 音声出力装置種別テーブル、21 その他音声音量パターンテーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション機能を有する第1の移動体用機器から出力対象の音声データを入力して、当該音声データの種別を判定する音声種別判定部と、
前記音声種別判定部によって、前記出力対象の音声データの種別が前記ナビゲーション機能の案内音声であると判定されると、前記第1の移動体用機器と通信可能な第2の移動体用機器の音声出力装置で前記出力対象の音声データの案内音声を出力するよう制御する音声出力判定部とを備えた
ことを特徴とする音声出力システム。
【請求項2】
安全運転支援システムから送信される、路側に設置した検知手段で検知された道路状況に基づく安全運転支援情報を受信する受信部を有する第1の移動体用機器から出力対象の音声データを入力して、当該音声データの種別を判定する音声種別判定部と、
前記音声種別判定部によって前記出力対象の音声データの種別が前記安全運転支援情報の案内音声であると判定されると、前記第1の移動体用機器と通信可能な第2の移動体用機器の音声出力装置で前記出力対象の音声データの案内音声を出力するよう制御する音声出力判定部とを備えた
ことを特徴とする音声出力システム。
【請求項3】
前記音声出力判定部は、前記音声出力装置が前記案内音声以外の音声を出力中である場合には、当該音声に前記案内音声を一時的に割り込んで出力させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音声出力システム。
【請求項4】
案内音声の種別と優先レベルとを対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記音声出力判定部は、前記出力対象の音声データの案内音声の種別に基づいて、前記記憶部から前記優先レベルを読み出し、前記音声出力が可能な音声出力装置で、出力対象の音声データの案内音声を、当該優先レベルに応じた音量で出力するよう制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音声出力システム。
【請求項5】
前記移動体用機器は、車両に搭載される車載器であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の音声出力システム。
【請求項6】
前記移動体用機器は、携帯端末であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の音声出力システム。
【請求項1】
ナビゲーション機能を有する第1の移動体用機器から出力対象の音声データを入力して、当該音声データの種別を判定する音声種別判定部と、
前記音声種別判定部によって、前記出力対象の音声データの種別が前記ナビゲーション機能の案内音声であると判定されると、前記第1の移動体用機器と通信可能な第2の移動体用機器の音声出力装置で前記出力対象の音声データの案内音声を出力するよう制御する音声出力判定部とを備えた
ことを特徴とする音声出力システム。
【請求項2】
安全運転支援システムから送信される、路側に設置した検知手段で検知された道路状況に基づく安全運転支援情報を受信する受信部を有する第1の移動体用機器から出力対象の音声データを入力して、当該音声データの種別を判定する音声種別判定部と、
前記音声種別判定部によって前記出力対象の音声データの種別が前記安全運転支援情報の案内音声であると判定されると、前記第1の移動体用機器と通信可能な第2の移動体用機器の音声出力装置で前記出力対象の音声データの案内音声を出力するよう制御する音声出力判定部とを備えた
ことを特徴とする音声出力システム。
【請求項3】
前記音声出力判定部は、前記音声出力装置が前記案内音声以外の音声を出力中である場合には、当該音声に前記案内音声を一時的に割り込んで出力させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音声出力システム。
【請求項4】
案内音声の種別と優先レベルとを対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記音声出力判定部は、前記出力対象の音声データの案内音声の種別に基づいて、前記記憶部から前記優先レベルを読み出し、前記音声出力が可能な音声出力装置で、出力対象の音声データの案内音声を、当該優先レベルに応じた音量で出力するよう制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音声出力システム。
【請求項5】
前記移動体用機器は、車両に搭載される車載器であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の音声出力システム。
【請求項6】
前記移動体用機器は、携帯端末であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の音声出力システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−102480(P2013−102480A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−282917(P2012−282917)
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2010−34652(P2010−34652)の分割
【原出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2010−34652(P2010−34652)の分割
【原出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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