音声出力装置、音声出力装置の制御方法及びプログラム
【課題】音声データがある個数のスピーカから出力されることを想定して作成された制御データを利用して、音声データを、該個数よりも多い数のスピーカ、又は該個数よりも少ない数のスピーカから好適に出力させることが可能になる音声出力装置を提供すること。
【解決手段】1又は複数の主スピーカ(前方左スピーカ32l−1,前方右スピーカ32r−1)に音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、上記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカ(後方左スピーカ32l−2,後方右スピーカ32r−2)と、に出力させる音声出力装置に関するものである。副制御データ記憶手段(2チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部52)は、1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データを記憶する。音声出力制御部56は主制御データと副制御データとに基づいて音声データを出力させる。
【解決手段】1又は複数の主スピーカ(前方左スピーカ32l−1,前方右スピーカ32r−1)に音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、上記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカ(後方左スピーカ32l−2,後方右スピーカ32r−2)と、に出力させる音声出力装置に関するものである。副制御データ記憶手段(2チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部52)は、1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データを記憶する。音声出力制御部56は主制御データと副制御データとに基づいて音声データを出力させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音声出力装置、音声出力装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲームの効果音等を2チャンネルスピーカから出力させてゲームを楽しむユーザがほとんどであったが、最近、マルチチャンネルスピーカ(例えば5.1チャンネルスピーカ等の2チャンネルよりも多いチャンネルのスピーカ)が普及してきており、また、マルチチャンネルスピーカによれば、ゲームの効果音等に臨場感が与えられるため、マルチチャンネルスピーカを利用してゲームを楽しむユーザが増えてきている。
【0003】
ところで、ゲームにおいて効果音等を出力しようとする場合、各効果音等の音量、周波数、音量バランス等のパラメータ値を所定のデータフォーマットで示す音声出力用の制御データをゲームサウンド制作者が作成し、ゲームプログラム側では、その制御データを解釈し、効果音等の出力を行うといった手法が一般的に用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2チャンネルスピーカを利用してゲームを楽しむユーザと、マルチチャンネルスピーカを利用してゲームを楽しむユーザと、が存在するようになると、ゲームサウンド制作者は、それぞれのユーザがゲームの効果音等の出力を好適に楽しめるようにするために、ゲームの効果音等の出力を2チャンネル音声出力及びマルチチャンネル音声出力(例えば5.1チャンネル音声出力等の2チャンネルよりも多いチャンネルの音声出力)に対応させる必要がある。その結果、ゲームサウンド制作者は、それぞれの音声出力に対応する制御データを作成しなければならなくなる。
【0005】
例えば、2チャンネルスピーカが利用されることだけが想定されていた時代に制作されたゲーム、すなわち、2チャンネル音声出力に対応する制御データのみが用意されているゲームを、マルチチャンネルスピーカで楽しめるようにする場合には、マルチチャンネル音声出力に対応する制御データを新たに作成しなければならなくなる。
【0006】
また例えば、新たにゲームを制作しようとする場合にも、ゲームサウンド制作者は、2チャンネル音声出力及びマルチチャンネル音声出力の各々に対応する制御データを作成しなければならなくなり、ゲームサウンド制作者の負担が無視できないものになっている。
【0007】
この点、音声データがある個数のスピーカから出力されることを想定して作成された制御データを利用して、音声データを、該個数よりも多い数のスピーカ、又は該個数よりも少ない数のスピーカから好適に出力させることが可能になると、上記のようなゲームサウンド制作者等の負担の軽減を図ることが可能になる。例えば、2チャンネル音声出力に対応する制御データのみが用意されているゲームをマルチチャンネルスピーカを利用して楽しめるようにする場合にも、マルチチャンネル音声出力に対応する制御データを新たに作成しなくてもよくなる。また例えば、新たにゲームを制作しようとする場合にも、2チャンネル音声出力及びマルチチャンネル音声出力の各々に対応する制御データを作成しなくてもよくなる。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、音声データがある個数のスピーカから出力されることを想定して作成された制御データを利用して、音声データを、該個数よりも多い数のスピーカ、又は該個数よりも少ない数のスピーカから好適に出力させることが可能になる音声出力装置、音声出力装置の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る音声出力装置は、1又は複数の主スピーカに音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力装置であって、前記1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データを記憶する副制御データ記憶手段と、前記主制御データと、前記副制御データ記憶手段に記憶される副制御データと、に基づいて、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、前記1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る音声出力装置の制御方法は、1又は複数の主スピーカに音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力装置の制御方法であって、前記1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データを記憶してなる副制御データ記憶手段から前記副制御データを読み出すための副制御データ読み出しステップと、前記主制御データと、前記副制御データ読み出しステップによって読み出される副制御データと、に基づいて、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、前記1又は複数の副スピーカと、に出力させるための音声出力制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るプログラムは、1又は複数の主スピーカに音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データを記憶してなる副制御データ記憶手段から前記副制御データを読み出す副制御データ読み出し手段、及び、前記主制御データと、前記副制御データ読み出し手段によって読み出される副制御データと、に基づいて、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、前記1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力制御手段、として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0012】
また、本発明に係る情報記憶媒体は、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体である。
【0013】
本発明は、1又は複数の主スピーカに音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力装置に関するものである。本発明では、1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データが記憶される。そして、主制御データと副制御データとに基づいて、音声データが、上記1又は複数の主スピーカと上記1又は複数の副スピーカとから出力される。本発明によれば、音声データがある個数のスピーカから出力されることを想定して作成された制御データを利用して、音声データを、該個数よりも多い数のスピーカから好適に出力させることが可能になる。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記主制御データは、複数の前記主スピーカから音声データを出力させる場合の出力音量バランスに関する第1音量バランスデータを含み、前記副制御データは、前記主スピーカと前記副スピーカとの間の出力音量バランスに関する第2音量バランスデータを含み、前記音声出力制御手段は、前記主スピーカの出力音量と前記副スピーカの出力音量とを、前記第1音量バランスデータと前記第2音量バランスデータとに基づいて決定する音量決定手段を含むようにしてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様では、ユーザに前記副制御データを設定するよう案内する手段を含み、前記副制御データ記憶手段は、前記ユーザによって設定された前記副制御データを記憶するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明に係る音声出力装置は、音声データを1又は複数の主スピーカと1又は複数の副スピーカとに出力させるための制御データに従って、音声データを、前記主スピーカたるスピーカに出力させる音声出力装置であって、前記制御データに基づいて、前記主スピーカに対応する主制御情報と、前記副スピーカに対応する副制御情報と、を取得する取得手段と、音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データを、前記主制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第1音声出力制御手段と、前記音声出力タイミングの到来に応じて、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第2音声出力制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る音声出力装置の制御方法は、音声データを1又は複数の主スピーカと1又は複数の副スピーカとに出力させるための制御データに従って、音声データを、前記主スピーカたるスピーカに出力させる音声出力装置の制御方法であって、前記制御データに基づいて、前記主スピーカに対応する主制御情報と、前記副スピーカに対応する副制御情報と、を取得するための取得ステップと、音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データを、前記主制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させるための第1音声出力制御ステップと、前記音声出力タイミングの到来に応じて、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させるための第2音声出力制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る音声出力装置の制御方法は、音声データを1又は複数の主スピーカと1又は複数の副スピーカとに出力させるための制御データに従って、音声データを、前記主スピーカたるスピーカに出力させる音声出力装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記制御データに基づいて、前記主スピーカに対応する主制御情報と、前記副スピーカに対応する副制御情報と、を取得する取得手段、音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データを、前記主制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第1音声出力制御手段、及び、前記音声出力タイミングの到来に応じて、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第2音声出力制御手段、として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0019】
また、本発明に係る情報記憶媒体は、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体である。
【0020】
本発明は、音声データを1又は複数の主スピーカと1又は複数の副スピーカとに出力させるための制御データに従って、音声データを、前記主スピーカたるスピーカに出力させる音声出力装置に関するものである。本発明では、制御データに基づいて、主スピーカに対応する主制御情報と、副スピーカに対応する副制御情報と、が取得される。そして、音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データが、主制御情報に基づいて、主スピーカたるスピーカから出力される。また、上記音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データの位相をずらしてなる音声データが、副制御情報に基づいて、主スピーカたるスピーカから出力される。本発明によれば、音声データがある個数のスピーカから出力されることを想定して作成された制御データを利用して、音声データを、該個数よりも少ない数のスピーカから好適に出力させることが可能になる。
【0021】
また、本発明の一態様では、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データは、前記対象音声データの位相を略反転させてなる音声データであってもよい。
【0022】
また、本発明の一態様では、前記制御データは、前記主スピーカと前記副スピーカとの間の出力音量バランスに関する音量バランスデータを含み、前記取得手段は、前記音量バランスデータに基づいて、前記主スピーカに対応する出力音量と、前記副スピーカに対応する出力音量と、を取得し、前記第1音声出力制御手段は、前記対象音声データを、前記主スピーカに対応する出力音量で、前記主スピーカたるスピーカから出力させ、前記第2音声出力制御手段は、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副スピーカに対応する出力音量で、前記主スピーカたるスピーカから出力させるようにしてもよい。
【0023】
また、本発明の一態様では、前記対象音声データの出力を開始するタイミングと、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データの出力を開始するタイミングと、を異ならせるようにしてもよい。
【0024】
また、本発明の一態様では、待機時間を記憶する待機時間記憶手段を含み、前記第2音声出力制御手段は、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データの出力を、前記待機時間記憶手段に記憶される待機時間に基づいて待機させる待機手段を含むようにしてもよい。
【0025】
また、本発明の一態様では、前記待機手段は、前記第1音声出力制御手段によって前記対象音声データの出力が開始されてから、前記待機時間記憶手段に記憶される待機時間が経過したか否かを監視する手段を含み、前記第1音声出力制御手段によって前記対象音声データの出力が開始されてから、前記待機時間記憶手段に記憶される待機時間が経過した場合に、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データの出力を開始させるようにしてもよい。
【0026】
また、本発明の一態様では、前記待機時間は、前記副スピーカたるスピーカが前記主スピーカたるスピーカとともに配置されたと仮定した場合における、前記主スピーカたるスピーカと、前記副スピーカたるスピーカと、の間の距離に基づいて決定されるようにしてもよい。
【0027】
また、本発明の一態様では、ユーザに前記待機時間を設定するよう案内する手段を含み、前記待機時間記憶手段は、前記ユーザによって設定された前記待機時間を記憶するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。ここでは、ゲームを実行するゲーム装置、音楽を再生する音楽再生装置や、映像を再生する映像再生装置等として機能するエンタテインメントシステム(音声出力装置)に本発明を適用した場合の例について説明する。
【0029】
1.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係るエンタテインメントシステムのハードウェア構成を示す図である。図1に示すように、エンタテインメントシステム10は、MPU(Micro Processing Unit)11と、メインメモリ20と、画像処理部24と、モニタ26と、入出力処理部28と、音声処理部30と、スピーカ32と、光ディスク読み取り部34と、光ディスク36と、ハードディスク38と、インタフェース(I/F)40と、コントローラ42と、ネットワークインタフェース(I/F)44と、を含んで構成されるコンピュータシステムである。
【0030】
図2はMPU11の構成を示す図である。図2に示すように、MPU11は、メインプロセッサ12と、サブプロセッサ14a,14b,14c,14d,14e,14f,14g,14hと、バス16と、メモリコントローラ18と、インタフェース(I/F)22と、を含んで構成される。
【0031】
メインプロセッサ12は、図示しないROM(Read Only Memory)に記憶されるオペレーティングシステム、例えばDVD(Digital Versatile Disk)−ROM等の光ディスク36から読み出されるプログラム及びデータや、ネットワークからネットワークインタフェース44を介して供給されるプログラム及びデータ等に基づいて、サブプロセッサ14a乃至14hに対する制御を行う。
【0032】
サブプロセッサ14a乃至14hは、メインプロセッサ12からの指示に従って各種情報処理を行う。例えば、サブプロセッサ14a乃至14hは、エンタテインメントシステム10の各部を、例えばDVD−ROM等の光ディスク36から読み出されるプログラム及びデータや、ネットワークからネットワークインタフェース44を介して供給されるプログラム及びデータ等に基づいて制御する。
【0033】
バス16は、アドレス及びデータをエンタテインメントシステム10の各部でやり取りするためのものである。メインプロセッサ12、サブプロセッサ14a乃至14h、メモリコントローラ18、インタフェース22は、バス16を介して相互にデータ授受可能に接続される。
【0034】
メモリコントローラ18は、メインプロセッサ12及びサブプロセッサ14a乃至14hからの指示に従って、メインメモリ20へのアクセスを行う。メインメモリ20には、光ディスク36やハードディスク38から読み出されたプログラム及びデータや、ネットワークからネットワークインタフェース44を介して供給されたプログラム及びデータが必要に応じて書き込まれる。メインメモリ20はメインプロセッサ12やサブプロセッサ14a乃至14hの作業用としても用いられる。
【0035】
インタフェース22には画像処理部24及び入出力処理部28が接続される。メインプロセッサ12及びサブプロセッサ14a乃至14hと、画像処理部24又は入出力処理部28と、の間のデータ授受はインタフェース22を介して行われる。
【0036】
画像処理部24は、GPU(Graphical Processing Unit)とフレームバッファとを含んで構成される。GPUは、メインプロセッサ12やサブプロセッサ14a乃至14hから供給される画像データに基づいてフレームバッファに各種画面を描画する。フレームバッファに形成された画面は、所定のタイミングでビデオ信号に変換されてモニタ26に出力される。なお、モニタ26には例えば家庭用テレビ受像機が用いられる。
【0037】
入出力処理部28には、音声処理部30、光ディスク読み取り部34、ハードディスク38、インタフェース40、ネットワークインタフェース44が接続される。入出力処理部28は、メインプロセッサ12及びサブプロセッサ14a乃至14hと、音声処理部30、光ディスク読み取り部34、ハードディスク38、インタフェース40、ネットワークインタフェース44と、の間のデータ授受を制御する。
【0038】
音声処理部30は、SPU(Sound Processing Unit)とサウンドバッファとを含んで構成される。サウンドバッファには、光ディスク36やハードディスク38から読み出されたゲーム音楽、ゲーム効果音やメッセージなどの各種音声データが記憶される。SPUは、これらの各種音声データを再生してスピーカ32から出力させる。なお、音声処理部30(SPU)に代わって、MPU11が各種音声データを再生してスピーカ32から出力させるようにしてもよい。すなわち、各種音声データのスピーカ32からの再生出力が、MPU11により実行されるソフトウェア処理によって実現されるようにしてもよい。
【0039】
エンタテインメントシステム10は4つのスピーカ32を含み、4チャンネル音声出力可能に構成される。例えば図3に示すように、ユーザU(受聴者)の前方左に前方左スピーカ32l−1が配置され、ユーザUの前方右に前方右スピーカ32r−1が配置される。また、ユーザUの後方左に後方左スピーカ32l−2が配置され、ユーザUの後方右に後方右スピーカ32r−2が配置される。なお、図3における符号FはユーザUの前方方向を示している(後述の図8及び図14についても同様)。
【0040】
光ディスク読み取り部34は、メインプロセッサ12及びサブプロセッサ14a乃至14hからの指示に従って、光ディスク36に記憶されたプログラムやデータを読み取る。光ディスク36は例えばDVD−ROM等の一般的な光ディスクである。また、ハードディスク38は一般的なハードディスク装置である。光ディスク36やハードディスク38には各種プログラムやデータがコンピュータ読み取り可能に記憶される。なお、エンタテインメントシステム10は、光ディスク36やハードディスク38以外の他の情報記憶媒体に記憶されたプログラムやデータを読み取り可能に構成してもよい。
【0041】
インタフェース40は、コントローラ42等の各種周辺機器を接続するためのインタフェースである。このようなインタフェースとしては、例えば、各種周辺機器を無線接続するためのBluetooth(商標)インタフェースや、各種周辺機器を有線接続するためのUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。コントローラ42は汎用操作入力装置であり、ユーザが各種操作(例えばゲーム操作)を入力するために用いられる。
【0042】
ネットワークインタフェース44は入出力処理部28とネットワークとに接続されており、エンタテインメントシステム10がネットワークを介して他のエンタテインメントシステム10とデータ通信するのを中継する。
【0043】
上記の構成を有するエンタテインメントシステム10では、例えば、ゲームプログラムと、ゲーム効果音等の音声データと、各音声データを2チャンネル音声出力するための制御パラメータデータ(以下、2チャンネル音声出力用パラメータデータと記載する。)と、が光ディスク36又はハードディスク38から読み出され、ゲームが実行される。
【0044】
なお、2チャンネル音声出力用パラメータデータ(主制御データ)は、例えば、音声データを、ユーザの前方左に配置されるスピーカ32と、ユーザの前方右に配置されるスピーカ32と、の2つのスピーカ32(主スピーカ)から出力することを想定して作成された制御パラメータデータである。
【0045】
以下、2チャンネル音声出力用パラメータデータを利用して、音声データを、前方左スピーカ32l−1及び前方右スピーカ32r−1(主スピーカ)と、後方左スピーカ32l−2及び後方右スピーカ32r−2(副スピーカ)と、の4つのスピーカ32から好適に出力するための技術について説明する。すなわち、2チャンネル音声出力用パラメータデータを利用して、4チャンネル音声出力を好適に行うための技術について説明する。
【0046】
図4は、エンタテインメントシステム10において実現される機能ブロックのうち、本発明に関連するものを主として示す図である。同図に示すように、エンタテインメントシステム10は、音声データ記憶部50と、2チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部52と、前後バランスパラメータデータ記憶部54(副制御データ記憶手段)と、音声出力制御部56と、を含んで構成される。これらの機能ブロックは、例えば光ディスク36やハードディスク38から読み出されるプログラムや、ネットワークからネットワークインタフェース44を介して供給されるプログラムがMPU11によって実行されることによって実現される。
【0047】
[音声データ記憶部]
音声データ記憶部50は、例えば光ディスク36やハードディスク38によって実現される。音声データ記憶部50には例えばゲーム効果音等の音声データが記憶される。本実施の形態では、音声信号の波形を示す波形データが音声データとして記憶される。
【0048】
[2チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部]
2チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部52は、例えば光ディスク36やハードディスク38によって実現される。2チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部52には、2チャンネル音声出力用パラメータデータが記憶される。
【0049】
図5は、2チャンネル音声出力用パラメータデータの一例を示している。図5に示すように、2チャンネル音声出力用パラメータデータは、各音声データごとの、音量パラメータと、左右バランスパラメータと、発音ピッチパラメータと、を示すデータである。ここで、音量パラメータは出力音量を示すパラメータであり、発音ピッチパラメータは発音ピッチを示すパラメータである。
【0050】
また、左右バランスパラメータは、ユーザの前方(又は後方)左に配置されるスピーカ32(左スピーカ)と、ユーザの前方(又は後方)右に配置されるスピーカ32(右スピーカ)と、の間の出力音量のバランスに関するパラメータである。
【0051】
本実施の形態では、左右バランスパラメータは0から127までの間の数値になる。左右バランスパラメータが64である場合には、左スピーカの音量と右スピーカの音量とが等しくなる。左右バランスパラメータが64より小さい場合には、左スピーカの音量が右スピーカの音量よりも大きくなる。左右バランスパラメータが64より大きい場合には、右スピーカの音量が左スピーカの音量よりも大きくなる。
【0052】
ここで、2チャンネル音声出力がこの2チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合には、各スピーカ32(左スピーカ及び右スピーカ)の音量がどのようにして決定されるかについて説明しておく。
【0053】
2チャンネル音声出力が2チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合には、左スピーカの音量vl及び右スピーカの音量vrが下記の式(1)〜(6)によって決定される。なお、下記の式(1)〜(6)において、「v」は出力対象音声データの音量パラメータを示し、「a」は出力対象音声データの左右バランスパラメータを示している。また本明細書において、「*」は乗算演算子を示し、「/」は除算演算子を示している。
【0054】
出力対象音声データの左右バランスパラメータが64である場合、左スピーカの音量vl及び右スピーカの音量vrは式(1)及び(2)に示すようになる。この場合、左スピーカの音量vl及び右スピーカの音量vrは同じになる。
【0055】
vl=v ・・・ (1)
vr=v ・・・ (2)
【0056】
また、出力対象音声データの左右バランスパラメータが64より小さい場合、左スピーカの音量vl及び右スピーカの音量vrは式(3)及び(4)に示すようになる。この場合、左スピーカの音量vlは右スピーカの音量vrよりも大きくなる。また、左スピーカの音量vlは一定になるのに対し、左右バランスパラメータの値が小さくなると、右スピーカの音量vrは小さくなり、左スピーカの音量vlと右スピーカの音量vrとの差が大きくなる。
【0057】
vl=v ・・・ (3)
vr=v*(a/64) ・・・ (4)
【0058】
なお、出力対象音声データの左右バランスパラメータが0である場合、左スピーカの音量vlはvとなり、右スピーカの音量vrは0となる。
【0059】
また、出力対象音声データの左右バランスパラメータが64より大きい場合、左スピーカの音量vl及び右スピーカの音量vrは式(5)及び(6)に示すようになる。この場合、右スピーカの音量vrは左スピーカの音量vlよりも大きくなる。また、右スピーカの音量vrは一定になるのに対し、左右バランスパラメータの値が大きくなると、左スピーカの音量vlは小さくなり、右スピーカの音量vrと左スピーカの音量vlとの差が大きくなる。
【0060】
vl=v*((127−a)/64) ・・・ (5)
vr=v ・・・ (6)
【0061】
なお、出力対象音声データの左右バランスパラメータが127である場合、左スピーカの音量vlは0となり、右スピーカの音量vrはvとなる。
【0062】
2チャンネル音声出力が2チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合には、以上のようにして各スピーカ32ごとに決定された音量で、音声データが各スピーカ32から出力されることになる。
【0063】
[前後バランスパラメータデータ記憶部]
前後バランスパラメータデータ記憶部54は、例えばメインメモリ20、光ディスク36やハードディスク38によって実現される。前後バランスパラメータデータ記憶部54には、前後バランスパラメータを示すデータ(副制御データ)が記憶される。前後バランスパラメータは、ユーザの前方に配置されるスピーカ32(前方スピーカ)と、ユーザの後方に配置されるスピーカ32(後方スピーカ)と、の出力音量のバランスに関するパラメータである。本実施の形態では、前後バランスパラメータは0から127までの間の数値になる。図6は、前後バランスパラメータデータの一例を示している。
【0064】
前後バランスパラメータが64である場合には、前方スピーカの音量と後方スピーカの音量とが等しくなる。また、前後バランスパラメータが64より小さい場合には、前方スピーカの音量が後方スピーカの音量よりも大きくなる。また、前後バランスパラメータが64より大きい場合には、後方スピーカの音量が前方スピーカの音量よりも大きくなる。詳細については後述する(図7のS103乃至S107参照)。
【0065】
前後バランスパラメータデータは、2チャンネル音声出力用パラメータデータとは別体のデータとして記憶される。例えば、前後バランスパラメータはプログラマによって設定され、ゲームプログラム内に定数として保持される。また例えば、前後バランスパラメータはユーザに設定させるようにしてもよい。例えば、前後バランスパラメータの値を設定するようにユーザに案内する画面をモニタ26に表示させ、ユーザによって設定された前後バランスパラメータの値が前後バランスパラメータデータ記憶部54に記憶されるようにしてもよい。
【0066】
なお、前後バランスパラメータは、全音声データに対して共通に設定されるようにしてもよいし、各音声データごとに設定されるようにしてもよい。
【0067】
[音声出力制御部]
音声出力制御部56はMPU11や音声処理部30を主として実現される。音声出力制御部56は、音声データを、前方左スピーカ32l−1と、前方右スピーカ32r−1と、後方左スピーカ32l−2と、後方右スピーカ32r−2と、から出力させる。
【0068】
[音量決定部]
音声出力制御部56には音量決定部56aが含まれる。音量決定部56aは、音声データが出力される際の各スピーカ32の音量を、2チャンネル音声出力用パラメータデータと、前後バランスパラメータデータと、に基づいて決定する。
【0069】
ここで、エンタテインメントシステム10において実行される処理について説明する。図7は、音声データの出力を開始するために実行される処理のうち、本発明に関連するものを主として示すフロー図である。この処理を実行するためのプログラムがMPU11によって実行されることによって、音声出力制御部56が実現される。
【0070】
図7に示すように、まず、前方左スピーカ32l−1及び後方左スピーカ32l−2の基準音量vlと、前方右スピーカ32r−1及び後方右スピーカ32r−2の基準音量vrと、が取得される(S101)。ここで、基準音量vlとは、2チャンネル音声出力が2チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合における、左スピーカの音量である。また、基準音量vrとは、2チャンネル音声出力が2チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合における、右スピーカの出力音量である。
【0071】
このステップでは、出力対象音声データの音量パラメータv及び左右バランスパラメータaが2チャンネル音声出力用パラメータデータから読み出され、それらのパラメータに基づいて基準音量vl,vrが取得される。より具体的には、左右バランスパラメータaが64である場合には、基準音量vl,vrが上記の式(1)及び(2)によって取得される。左右バランスパラメータaが64より小さい場合には、基準音量vl,vrが上記の式(3)及び(4)によって取得される。左右バランスパラメータaが64より大きい場合には、基準音量vl,vrが上記の式(5)及び(6)によって取得される。
【0072】
次に、前後バランスパラメータbが前後バランスパラメータデータから読み出され(S102)、前後バランスパラメータbが64であるか否かが判定される(S103)。そして、前後バランスパラメータbが64である場合には(S103のY)、前方左スピーカ32l−1の音量vl1、後方左スピーカ32l−2の音量vl2、前方右スピーカ32r−1の音量vr1、後方右スピーカ32r−2の音量vr2が下記の式(7)〜(10)によって決定される(S104)。
【0073】
vl1=vl ・・・ (7)
vl2=vl ・・・ (8)
vr1=vr ・・・ (9)
vr2=vr ・・・ (10)
【0074】
この場合、前方左スピーカ32l−1の音量vl1と後方左スピーカ32l−2の音量vl2とが等しくなり、また、前方右スピーカ32r−1の音量vr1と後方右スピーカ32r−2の音量vr2とが等しくなる。
【0075】
一方、前後バランスパラメータbが64でない場合には(S103のN)、前後バランスパラメータbの値が64より小さいか否かが判定される(S105)。そして、前後バランスパラメータbの値が64より小さい場合には(S105のY)、前方左スピーカ32l−1の音量vl1、後方左スピーカ32l−2の音量vl2、前方右スピーカ32r−1の音量vr1、後方右スピーカ32r−2の音量vr2が下記の式(11)〜(14)によって決定される(S106)。
【0076】
vl1=vl ・・・ (11)
vl2=vl*(b/64) ・・・ (12)
vr1=vr ・・・ (13)
vr2=vr*(b/64) ・・・ (14)
【0077】
この場合、前方左スピーカ32l−1の音量vl1は後方左スピーカ32l−2の音量vl2よりも大きくなり、また、前方右スピーカ32r−1の音量vr1は後方右スピーカ32r−2の音量vr2よりも大きくなる。
【0078】
一方、前後バランスパラメータbが64より小さくない場合(S105のN)、すなわち、前後バランスパラメータbが64より大きい場合には、前方左スピーカ32l−1の音量vl1、後方左スピーカ32l−2の音量vl2、前方右スピーカ32r−1の音量vr1、後方右スピーカ32r−2の音量vr2が下記の式(15)〜(18)によって決定される(S107)。
【0079】
vl1=vl*((127−b)/64) ・・・ (15)
vl2=vl ・・・ (16)
vr1=vr*((127−b)/64) ・・・ (17)
vr2=vr ・・・ (18)
【0080】
この場合、後方左スピーカ32l−2の音量vl2は前方左スピーカ32l−1の音量vl1よりも大きくなり、また、後方右スピーカ32r−2の音量vr2は前方右スピーカ32r−1の音量vr1よりも大きくなる。
【0081】
S104、S106又はS107において、前方左スピーカ32l−1の音量vl1、後方左スピーカ32l−2の音量vl2、前方右スピーカ32r−1の音量vr1、後方右スピーカ32r−2の音量vr2が決定されると、音声データの出力が、その音量で、前方左スピーカ32l−1と、後方左スピーカ32l−2と、前方右スピーカ32r−1と、後方右スピーカ32r−2とから開始される(S108)。すなわち、音声データの4チャンネル音声出力が開始される。
【0082】
以上説明したように、第1実施形態に係るエンタテインメントシステム10によれば、本来は2チャンネル音声出力を行うために作成された制御パラメータデータ(2チャンネル音声出力用パラメータデータ)を利用して、4チャンネル音声出力を好適に行えるようになる。その結果、例えば、2チャンネルスピーカが利用されることだけが想定されていた時代に制作されたゲーム、すなわち、2チャンネル音声出力に対応する制御パラメータデータのみが用意されているゲームを、マルチチャンネルスピーカで楽しめるようにすることを、比較的簡易に実現できるようになる。
【0083】
なお、エンタテインメントシステム10は、前方左スピーカ32l−1、前方右スピーカ32r−1、後方左スピーカ32l−2、後方右スピーカ32r−2の他に1又は複数のスピーカ32を含むようにし、例えば5.1チャンネル音声出力可能に構成してもよい。通常、ゲーム効果音等の音相定位の表現には、前方左スピーカ32l−1、前方右スピーカ32r−1、後方左スピーカ32l−2、後方右スピーカ32r−2の4つのスピーカ32が用いられるため、エンタテインメントシステム10が例えば5.1チャンネル音声出力可能に構成されている場合であっても、同様にして、ゲーム効果音等の出力を2チャンネル音声出力用パラメータデータを利用して好適に行うことが可能である。
【0084】
2.第2実施形態
本発明の第2実施形態に係るエンタテインメントシステムは、第1実施形態に係るエンタテインメントシステム10と同様のハードウェア構成を有するため、以下では、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0085】
なお、第2実施形態に係るエンタテインメントシステムは、図8に示すように、ユーザUの前方左に配置される左スピーカ32lと、ユーザUの前方右に配置される右スピーカ32rと、を含み、ユーザUの後方左右に配置されるスピーカ32を含まない点で、第1実施形態とは異なる。すなわち、第2実施形態に係るエンタテインメントシステムは、4チャンネル音声出力が制限される点で第1実施形態とは異なる。なお、左スピーカ32l及び右スピーカ32rはテレビ受像機に内蔵されるものであってもよい。
【0086】
第2実施形態に係るエンタテインメントシステムでは、例えば、ゲームプログラムと、効果音等の音声データと、各音声データを4チャンネル音声出力するための制御パラメータデータ(以下、4チャンネル音声出力用パラメータデータと記載する。)と、が光ディスク36又はハードディスク38から読み出され、ゲームが実行される。
【0087】
なお、4チャンネル音声出力用パラメータデータ(制御データ)は、例えば、音声データを、ユーザの前方左に配置されるスピーカ32及びユーザの前方右に配置されるスピーカ32(主スピーカ)と、ユーザの後方左に配置されるスピーカ32及びユーザの後方右に配置されるスピーカ32(副スピーカ)と、の4つのスピーカ32で出力することを想定して作成された制御パラメータデータである。
【0088】
以下、4チャンネル音声出力用パラメータデータを利用して、音声データを、左スピーカ32l及び右スピーカ32r(主スピーカたるスピーカ)の2つのスピーカ32から好適に出力するための技術について説明する。すなわち、4チャンネル音声出力用パラメータデータを利用して、2チャンネル音声出力を好適に行うための技術について説明する。
【0089】
図9は、第2実施形態に係るエンタテインメントシステム10aにおいて実現される機能ブロックのうち、本発明に関連するものを主として示す図である。図9に示すように、エンタテインメントシステム10aは、音声データ記憶部60と、4チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部62と、待機時間パラメータ記憶部64と、音声出力制御部66と、を含んで構成される。これらの機能ブロックは、例えば光ディスク36やハードディスク38から読み出されるプログラムや、ネットワークからネットワークインタフェース44を介して供給されるプログラムがMPU11によって実行されることによって実現される。
【0090】
[音声データ記憶部]
音声データ記憶部60は、第1実施形態における音声データ記憶部50と同様である。
【0091】
[4チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部]
4チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部62は、例えば光ディスク36やハードディスク38によって実現される。4チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部62には、4チャンネル音声出力用パラメータデータが記憶される。
【0092】
図10は、4チャンネル音声出力用パラメータデータの一例を示している。図10に示すように、4チャンネル音声出力用パラメータデータは、各音声データごとの、音量パラメータと、左右バランスパラメータと、前後バランスパラメータと、発音ピッチパラメータと、を示すデータである。なお、音量パラメータ、左右バランスパラメータ及び発音ピッチパラメータは、第1実施形態における2チャンネル音声出力用パラメータデータ(図5参照)の、音量パラメータ、左右バランスパラメータ及び発音ピッチパラメータと同様である。また、前後バランスパラメータは、第1実施形態のおける前後バランスパラメータデータ(図6参照)の前後バランスパラメータと同様である。
【0093】
ここで、4チャンネル音声出力がこの4チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合には、ユーザの前方左に配置されるスピーカ32(前方左スピーカ)と、ユーザの前方右に配置されるスピーカ32(前方右スピーカ)と、ユーザの後方左に配置されるスピーカ32(後方左スピーカ)と、ユーザの後方右に配置されるスピーカ32(後方右スピーカ)と、の各スピーカ32の音量がどのようにして決定されるかについて説明しておく。
【0094】
4チャンネル音声出力がこの4チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合、前方左スピーカの音量vl1と、前方右スピーカの音量vr1と、後方左スピーカの音量vl2と、後方右スピーカの音量vr2とが、次のようにして決定される。
【0095】
すなわち、まず、出力対象音声データの音量パラメータv及び左右バランスパラメータaが読み出され、それらのパラメータに基づいて、前方左スピーカ及び後方左スピーカの基準音量vlと、前方右スピーカ及び後方右スピーカの基準音量vrと、が取得される。
【0096】
左右バランスパラメータaが64である場合、基準音量vl,vrが下記の式(19)及び(20)によって取得される。
【0097】
vl=v ・・・ (19)
vr=v ・・・ (20)
【0098】
また、左右バランスパラメータaが64より小さい場合、基準音量vl,vrが式(21)及び(22)によって取得される
【0099】
vl=v ・・・ (21)
vr=v*(a/64) ・・・ (22)
【0100】
また、左右バランスパラメータaが64より大きい場合、基準音量vl,vrが式(23)及び(24)によって取得される。
【0101】
vl=v*((127−a)/64) ・・・ (23)
vr=v ・・・ (24)
【0102】
そして次に、出力対象音声データの前後バランスパラメータbが読み出され、該パラメータと、基準音量vl,vrと、に基づいて、前方左スピーカの音量vl1と、前方右スピーカの音量vr1と、後方左スピーカの音量vl2と、後方右スピーカの音量vr2と、が取得される。
【0103】
前後バランスパラメータbが64である場合、各音量vl1,vl2,vr1,vr2が下記の式(25)〜(28)によって取得される。
【0104】
vl1=vl ・・・ (25)
vl2=vl ・・・ (26)
vr1=vr ・・・ (27)
vr2=vr ・・・ (28)
【0105】
また、前後バランスパラメータbが64より小さい場合、各音量vl1,vl2,vr1,vr2が下記の式(29)〜(32)によって取得される。
【0106】
vl1=vl ・・・ (29)
vl2=vl*(b/64) ・・・ (30)
vr1=vr ・・・ (31)
vr2=vr*(b/64) ・・・ (32)
【0107】
また、前後バランスパラメータbが64より大きい場合、各音量vl1,vl2,vr1,vr2が下記の式(33)〜(36)によって取得される。
【0108】
vl1=vl*((127−b)/64) ・・・ (33)
vl2=vl ・・・ (34)
vr1=vr*((127−b)/64) ・・・ (35)
vr2=vr ・・・ (36)
【0109】
4チャンネル音声出力が4チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合には、以上のようにして各スピーカ32ごとに決定された音量で、音声データが各スピーカ32から出力されることになる。
【0110】
[待機時間パラメータ記憶部]
待機時間パラメータ記憶部64は、例えばメインメモリ20、光ディスク36やハードディスク38によって実現される。待機時間パラメータ記憶部64には、待機時間を示す待機時間パラメータが記憶される。図11は、待機時間パラメータ記憶部64の記憶内容の一例を示す図である。待機時間パラメータの詳細については後述する。
【0111】
[音声出力制御部及び音声出力部]
音声出力制御部66はMPU11や音声処理部30を主として実現される。音声出力制御部66は、音声データを左スピーカ32l及び右スピーカ32rから出力させる。音声出力制御部66には、第1音声出力制御部66aと、第2音声出力制御部66bと、音量取得部66cと、が含まれる。
【0112】
[第1音声出力制御部]
第1音声出力制御部66aは、音声出力タイミングの到来に応じて、出力対象音声データを左スピーカ32l及び左スピーカ32rから出力させる。
【0113】
[第2音声出力制御部]
第2音声出力制御部66bは、音声出力タイミングの到来に応じて、出力対象音声データの位相を略反転してなる音声データを左スピーカ32l及び左スピーカ32rから出力させる。なお以下では、第2音声出力制御部66bによって出力される音声データを「出力対象音声データの位相反転データ」と記載する。また、これに対して、第1音声出力制御部66aによって出力される音声データを「出力対象音声データの原データ」と記載する。
【0114】
第2音声出力制御部66bは、出力対象音声データの位相反転データの出力開始を、待機時間パラメータによって示される待機時間に基づいて待機させる。より具体的には、第2音声出力制御部66bは、第1音声出力制御部66aによって出力対象音声データの原データの出力が開始されてから、待機時間パラメータによって示される待機時間が経過したか否かを監視する。そして、第2音声出力制御部66bは、待機時間パラメータによって示される待機時間が経過した場合に、位相反転データの出力を開始させる。
【0115】
図12は、左スピーカ32lや左スピーカ32rから出力される、出力対象音声データの原データ及び位相反転データについて示す図である。なお、図12において横軸tは時間軸である。また、時間「0」は音声出力タイミングが到来したタイミングである。図12(a)は、左スピーカ32lや左スピーカ32rから出力される、出力対象音声データの原データの一例を示している。図12(b)は、左スピーカ32lや左スピーカ32rから出力される、出力対象音声データの位相反転データの一例を示している。なお、図12(b)においてΔtは待機時間パラメータによって示される待機時間を示している。図12(a)及び(b)に示すように、音声出力タイミングが到来すると、まず、出力対象音声データの原データの出力が開始される。そして、出力対象音声データの原データの出力が開始されてから待機時間Δtが経過すると、出力対象音声データの位相反転データの出力が開始される。このとき、左スピーカ32lや左スピーカ32rからは、出力対象音声データの原データと、出力対象音声データの位相反転データと、が合成されてなる音声が出力されることになる。
【0116】
[音量取得部]
音量取得部66c(取得手段)は、出力対象音声データの原データを出力する場合における左スピーカ32l及び右スピーカ32rの音量(主制御情報)と、位相反転データを出力する場合における左スピーカ32l及び右スピーカ32rの音量(副制御情報)と、を取得する。この取得は4チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる。
【0117】
ここで、エンタテインメントシステム10aで実行される処理について説明する。図13は、音声出力タイミングが到来し、音声データの出力が開始される場合に実行される処理のうち、本発明に関連するものを主として示すフロー図である。この処理を実行するためのプログラムがMPU11によって実行されることによって、音声出力制御部66が実現される。
【0118】
図13に示すように、まず、出力対象音声データの4チャンネル音声出力が4チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合における、前方左スピーカの音量vl1と、前方右スピーカの音量vr1と、後方左スピーカの音量vl2と、後方右スピーカの音量vr2と、が取得される(S201)。
【0119】
このステップでは、まず、前方左スピーカ及び後方左スピーカの基準音量vlと、前方右スピーカ及び後方右スピーカの基準音量vrと、が上記の式(19)〜(24)によって取得される。そして、前方左スピーカの音量vl1と、前方右スピーカの音量vr1と、後方左スピーカの音量vl2と、後方右スピーカの音量vr2と、が上記の式(25)〜(36)によって取得される。
【0120】
次に、出力対象音声データの位相反転データが取得される(S202)。また、待機時間パラメータΔtが読み出される(S203)。
【0121】
そして、出力対象音声データの原データの出力が、左スピーカ32lから音量vl1で開始されるとともに、右スピーカ32rから音量vr1で開始される(S204)。
【0122】
その後、出力対象音声データの原データの出力が開始されてからの経過時間がΔtになったか否かが監視される(S205)。出力対象音声データの原データの出力が開始されてからの経過時間がΔtになった場合には(S205のY)、S202で取得された位相反転データの出力が、左スピーカ32lから音量vl2で開始されるとともに、右スピーカ32rから音量vr2で開始される(S206)。このとき、左スピーカ32lからは、出力対象音声データの原データと位相反転データとが音量比vl1:vl2で合成されてなる音声が出力される。また、右スピーカ32rからは、出力対象音声データの原データと位相反転データとが音量比vr1:vr2で合成されてなる音声が出力される。
【0123】
以上説明したように、第2実施形態に係るエンタテインメントシステム10aでは、左スピーカ32l及び右スピーカ32rにおいて、出力対象音声データの位相反転データが出力される。また、左スピーカ32lにおける位相反転データの出力音量は、後方左スピーカが配置されていると仮定した場合における、該後方左スピーカの出力音量となる。また、右スピーカ32rにおける位相反転データの出力音量は、後方右スピーカが配置されていると仮定した場合における、該後方右スピーカの出力音量となる。
【0124】
出力対象音声データの位相反転データが、ユーザの前方に配置されたスピーカ32から出力された場合、ユーザには、元々の出力対象音声データが後方から出力されたかのように聴こえる。すなわち、実際にはユーザの後方にスピーカ32が配置されていないにも関わらず、あたかもユーザの後方にスピーカ32が配置されているかのように、ユーザを錯覚させることが可能になる。つまり、実際には2チャンネル音声出力が行われているにも関わらず、あたかも4チャンネル音声出力が行われているかのように、ユーザを錯覚させることができるようになる。
【0125】
以上のように、第2実施形態に係るエンタテインメントシステム10aによれば、音声データの2チャンネル音声出力が、4チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて好適に行われるようになる。第2実施形態に係るエンタテインメントシステム10aによれば、4チャンネル音声出力はもとより、2チャンネル音声出力までもが4チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて好適に行われるようになるため、ゲームサウンド制作者等は、4チャンネル音声出力用パラメータデータのみを作成すれば足りるようになる。つまり、2チャンネル音声出力用パラメータデータを別途制作する必要がなくなり、ゲームサウンド制作者等の負担が軽減されるようになる。
【0126】
ここで、出力対象音声データの原データと位相反転データとの出力が同時に開始されてしまうと、出力対象音声データの原データと位相反転データとが互いに打ち消しあってしまい、左スピーカ32l及び右スピーカ32rから音声が出力されなくなってしまうおそれがある。上述したように、左スピーカ32lからは、出力対象音声データの原データと位相反転データとが音量比vl1:vl2で合成されてなる音声が出力され、右スピーカ32rからは、出力対象音声データの原データと位相反転データとが音量比vr1:vr2で合成されてなる音声が出力されるため、特に、前後バランスパラメータの値が64付近である場合(すなわち、vl1及びvl2が略等しくなり、vr1及びvr2が略等しくなる場合)には、上記のような不具合が発生する可能性が高くなる。この点、第2実施形態に係るエンタテインメントシステム10aでは、出力対象データの位相反転データの出力が、原データの出力が開始されてから待機時間が経過したタイミングで開始されるため、上記のような不具合の発生の抑制が図られている。
【0127】
なお、上記のような不具合の発生の抑制を図るためには、出力対象音声データの位相反転データの出力を開始させた後、原データの出力を開始させるようにすることも考えられるが、一般的に、人間の耳では、前方で発せられた音声に比べて、後方で発せられた音声に対する認識が遅れるため、本実施の形態のように、出力対象音声データの原データの出力を開始させた後、位相反転データの出力を開始させた方が、ユーザをより好適に錯覚させることができる。
【0128】
ここで、待機時間について詳細に説明する。
【0129】
待機時間は、図14に示すように、左スピーカ32l及び右スピーカ32rとともに、後方左スピーカ32l’及び後方右スピーカ32r’が配置されると想定した場合における、左スピーカ32lと後方左スピーカ32l’との間(又は、右スピーカ32rと後方右スピーカ32r’との間)の想定距離dに基づいて決定すると好適である。より具体的には、下記の式(37)に示すように、想定距離dを音の伝達速度svで除算することによって得られる時間を待機時間Δtとすると好適である。音の伝達速度は約340m/sであるため、例えば想定距離dが3mである場合には、待機時間Δtを約0.009秒とすると好適である。
【0130】
Δt=d/sv ・・・ (37)
【0131】
以上のようにして待機時間を決定すると、ユーザUの後方の後方左スピーカ32l’及び後方右スピーカ32r’から出力された音声データが、ユーザUの前方の左スピーカ32r及び右スピーカ32rに反射されてユーザUの耳に達したかのような錯覚をユーザUに与えることが可能になる。
【0132】
なお、待機時間は他の方法によって決定するようにしてもよい。例えば、図14に示すように、4チャンネル音声出力が行われると想定した場合における、ユーザUと後方左スピーカ32l’(又は後方右スピーカ32r’)との間の想定距離d’に基づいて、待機時間を決定するようにしてもよい。
【0133】
また、待機時間はゲームサウンド制作者やプログラマが指定するようにしてもよいし、ユーザが指定するようにしてもよい。ユーザに待機時間を指定させることによって、ユーザが、自らの部屋に4つのスピーカ32を配置したとしたら、上記想定距離dがどの程度になるかを考慮しつつ、待機時間を指定できるようにしてもよい。また、ユーザに待機時間を指定させる場合には、待機時間そのものの入力を受け付けるようにしてもよいし、上記想定距離dの入力を受け付けるようにしてもよい。なお、上記想定距離dの入力を受け付ける場合には、ユーザによって入力された想定距離dに基づき、上記の式(37)によって待機時間を取得するようにすればよい。
【0134】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。
【0135】
例えば、本発明は、ゲームにおける音声出力以外にも適用することができる。また例えば、本発明はエンタテインメントシステム10以外の音声出力装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】第1及び第2実施形態に係るエンタテインメントシステムのハードウェア構成を示す図である。
【図2】MPUの構成を示す図である。
【図3】第1実施形態におけるスピーカの配置態様の一例について示す図である。
【図4】第1実施形態に係るエンタテインメントシステムの機能ブロック図である。
【図5】2チャンネル音声出力用パラメータデータの一例を示す図である。
【図6】前後バランスパラメータの一例を示す図である。
【図7】エンタテインメントシステムにおいて実行される処理について示すフロー図である。
【図8】第2実施形態におけるスピーカの配置態様の一例について示す図である。
【図9】第2実施形態に係るエンタテインメントシステムの機能ブロック図である。
【図10】4チャンネル音声出力用パラメータデータの一例を示す図である。
【図11】待機時間パラメータの一例を示す図である。
【図12】出力対象音声データの原データ及び位相反転データの一例について示す図である。
【図13】エンタテインメントシステムにおいて実行される処理について示すフロー図である。
【図14】想定距離について説明するための図である。
【符号の説明】
【0137】
10,10a エンタテインメントシステム、11 MPU、12 メインプロセッサ、14a,14b,14c,14d,14e,14f,14g,14h サブプロセッサ、16 バス、18 メモリコントローラ、20 メインメモリ、22 インタフェース、24 画像処理部、26 モニタ、28 入出力処理部、30 音声処理部、32 スピーカ、34 光ディスク読み取り部、36 光ディスク、38 ハードディスク、40 インタフェース、42 コントローラ、44 ネットワークインタフェース、32l 左スピーカ、32r 右スピーカ、32l−1 前方左スピーカ、32r−1 前方右スピーカ、32l−2,32l’ 後方左スピーカ、32r−2,32r’ 後方右スピーカ、50,60 音声データ記憶部、52 2チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部、54 前後バランスパラメータデータ記憶部、56,66 音声出力制御部、56a 音量決定部、62 4チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部、64 待機時間パラメータ記憶部、66a 第1音声出力制御部、66b 第2音声出力制御部、66c 音量取得部。
【技術分野】
【0001】
本発明は音声出力装置、音声出力装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲームの効果音等を2チャンネルスピーカから出力させてゲームを楽しむユーザがほとんどであったが、最近、マルチチャンネルスピーカ(例えば5.1チャンネルスピーカ等の2チャンネルよりも多いチャンネルのスピーカ)が普及してきており、また、マルチチャンネルスピーカによれば、ゲームの効果音等に臨場感が与えられるため、マルチチャンネルスピーカを利用してゲームを楽しむユーザが増えてきている。
【0003】
ところで、ゲームにおいて効果音等を出力しようとする場合、各効果音等の音量、周波数、音量バランス等のパラメータ値を所定のデータフォーマットで示す音声出力用の制御データをゲームサウンド制作者が作成し、ゲームプログラム側では、その制御データを解釈し、効果音等の出力を行うといった手法が一般的に用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2チャンネルスピーカを利用してゲームを楽しむユーザと、マルチチャンネルスピーカを利用してゲームを楽しむユーザと、が存在するようになると、ゲームサウンド制作者は、それぞれのユーザがゲームの効果音等の出力を好適に楽しめるようにするために、ゲームの効果音等の出力を2チャンネル音声出力及びマルチチャンネル音声出力(例えば5.1チャンネル音声出力等の2チャンネルよりも多いチャンネルの音声出力)に対応させる必要がある。その結果、ゲームサウンド制作者は、それぞれの音声出力に対応する制御データを作成しなければならなくなる。
【0005】
例えば、2チャンネルスピーカが利用されることだけが想定されていた時代に制作されたゲーム、すなわち、2チャンネル音声出力に対応する制御データのみが用意されているゲームを、マルチチャンネルスピーカで楽しめるようにする場合には、マルチチャンネル音声出力に対応する制御データを新たに作成しなければならなくなる。
【0006】
また例えば、新たにゲームを制作しようとする場合にも、ゲームサウンド制作者は、2チャンネル音声出力及びマルチチャンネル音声出力の各々に対応する制御データを作成しなければならなくなり、ゲームサウンド制作者の負担が無視できないものになっている。
【0007】
この点、音声データがある個数のスピーカから出力されることを想定して作成された制御データを利用して、音声データを、該個数よりも多い数のスピーカ、又は該個数よりも少ない数のスピーカから好適に出力させることが可能になると、上記のようなゲームサウンド制作者等の負担の軽減を図ることが可能になる。例えば、2チャンネル音声出力に対応する制御データのみが用意されているゲームをマルチチャンネルスピーカを利用して楽しめるようにする場合にも、マルチチャンネル音声出力に対応する制御データを新たに作成しなくてもよくなる。また例えば、新たにゲームを制作しようとする場合にも、2チャンネル音声出力及びマルチチャンネル音声出力の各々に対応する制御データを作成しなくてもよくなる。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、音声データがある個数のスピーカから出力されることを想定して作成された制御データを利用して、音声データを、該個数よりも多い数のスピーカ、又は該個数よりも少ない数のスピーカから好適に出力させることが可能になる音声出力装置、音声出力装置の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る音声出力装置は、1又は複数の主スピーカに音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力装置であって、前記1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データを記憶する副制御データ記憶手段と、前記主制御データと、前記副制御データ記憶手段に記憶される副制御データと、に基づいて、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、前記1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る音声出力装置の制御方法は、1又は複数の主スピーカに音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力装置の制御方法であって、前記1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データを記憶してなる副制御データ記憶手段から前記副制御データを読み出すための副制御データ読み出しステップと、前記主制御データと、前記副制御データ読み出しステップによって読み出される副制御データと、に基づいて、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、前記1又は複数の副スピーカと、に出力させるための音声出力制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るプログラムは、1又は複数の主スピーカに音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データを記憶してなる副制御データ記憶手段から前記副制御データを読み出す副制御データ読み出し手段、及び、前記主制御データと、前記副制御データ読み出し手段によって読み出される副制御データと、に基づいて、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、前記1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力制御手段、として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0012】
また、本発明に係る情報記憶媒体は、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体である。
【0013】
本発明は、1又は複数の主スピーカに音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力装置に関するものである。本発明では、1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データが記憶される。そして、主制御データと副制御データとに基づいて、音声データが、上記1又は複数の主スピーカと上記1又は複数の副スピーカとから出力される。本発明によれば、音声データがある個数のスピーカから出力されることを想定して作成された制御データを利用して、音声データを、該個数よりも多い数のスピーカから好適に出力させることが可能になる。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記主制御データは、複数の前記主スピーカから音声データを出力させる場合の出力音量バランスに関する第1音量バランスデータを含み、前記副制御データは、前記主スピーカと前記副スピーカとの間の出力音量バランスに関する第2音量バランスデータを含み、前記音声出力制御手段は、前記主スピーカの出力音量と前記副スピーカの出力音量とを、前記第1音量バランスデータと前記第2音量バランスデータとに基づいて決定する音量決定手段を含むようにしてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様では、ユーザに前記副制御データを設定するよう案内する手段を含み、前記副制御データ記憶手段は、前記ユーザによって設定された前記副制御データを記憶するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明に係る音声出力装置は、音声データを1又は複数の主スピーカと1又は複数の副スピーカとに出力させるための制御データに従って、音声データを、前記主スピーカたるスピーカに出力させる音声出力装置であって、前記制御データに基づいて、前記主スピーカに対応する主制御情報と、前記副スピーカに対応する副制御情報と、を取得する取得手段と、音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データを、前記主制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第1音声出力制御手段と、前記音声出力タイミングの到来に応じて、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第2音声出力制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る音声出力装置の制御方法は、音声データを1又は複数の主スピーカと1又は複数の副スピーカとに出力させるための制御データに従って、音声データを、前記主スピーカたるスピーカに出力させる音声出力装置の制御方法であって、前記制御データに基づいて、前記主スピーカに対応する主制御情報と、前記副スピーカに対応する副制御情報と、を取得するための取得ステップと、音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データを、前記主制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させるための第1音声出力制御ステップと、前記音声出力タイミングの到来に応じて、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させるための第2音声出力制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る音声出力装置の制御方法は、音声データを1又は複数の主スピーカと1又は複数の副スピーカとに出力させるための制御データに従って、音声データを、前記主スピーカたるスピーカに出力させる音声出力装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記制御データに基づいて、前記主スピーカに対応する主制御情報と、前記副スピーカに対応する副制御情報と、を取得する取得手段、音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データを、前記主制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第1音声出力制御手段、及び、前記音声出力タイミングの到来に応じて、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第2音声出力制御手段、として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0019】
また、本発明に係る情報記憶媒体は、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体である。
【0020】
本発明は、音声データを1又は複数の主スピーカと1又は複数の副スピーカとに出力させるための制御データに従って、音声データを、前記主スピーカたるスピーカに出力させる音声出力装置に関するものである。本発明では、制御データに基づいて、主スピーカに対応する主制御情報と、副スピーカに対応する副制御情報と、が取得される。そして、音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データが、主制御情報に基づいて、主スピーカたるスピーカから出力される。また、上記音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データの位相をずらしてなる音声データが、副制御情報に基づいて、主スピーカたるスピーカから出力される。本発明によれば、音声データがある個数のスピーカから出力されることを想定して作成された制御データを利用して、音声データを、該個数よりも少ない数のスピーカから好適に出力させることが可能になる。
【0021】
また、本発明の一態様では、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データは、前記対象音声データの位相を略反転させてなる音声データであってもよい。
【0022】
また、本発明の一態様では、前記制御データは、前記主スピーカと前記副スピーカとの間の出力音量バランスに関する音量バランスデータを含み、前記取得手段は、前記音量バランスデータに基づいて、前記主スピーカに対応する出力音量と、前記副スピーカに対応する出力音量と、を取得し、前記第1音声出力制御手段は、前記対象音声データを、前記主スピーカに対応する出力音量で、前記主スピーカたるスピーカから出力させ、前記第2音声出力制御手段は、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副スピーカに対応する出力音量で、前記主スピーカたるスピーカから出力させるようにしてもよい。
【0023】
また、本発明の一態様では、前記対象音声データの出力を開始するタイミングと、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データの出力を開始するタイミングと、を異ならせるようにしてもよい。
【0024】
また、本発明の一態様では、待機時間を記憶する待機時間記憶手段を含み、前記第2音声出力制御手段は、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データの出力を、前記待機時間記憶手段に記憶される待機時間に基づいて待機させる待機手段を含むようにしてもよい。
【0025】
また、本発明の一態様では、前記待機手段は、前記第1音声出力制御手段によって前記対象音声データの出力が開始されてから、前記待機時間記憶手段に記憶される待機時間が経過したか否かを監視する手段を含み、前記第1音声出力制御手段によって前記対象音声データの出力が開始されてから、前記待機時間記憶手段に記憶される待機時間が経過した場合に、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データの出力を開始させるようにしてもよい。
【0026】
また、本発明の一態様では、前記待機時間は、前記副スピーカたるスピーカが前記主スピーカたるスピーカとともに配置されたと仮定した場合における、前記主スピーカたるスピーカと、前記副スピーカたるスピーカと、の間の距離に基づいて決定されるようにしてもよい。
【0027】
また、本発明の一態様では、ユーザに前記待機時間を設定するよう案内する手段を含み、前記待機時間記憶手段は、前記ユーザによって設定された前記待機時間を記憶するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。ここでは、ゲームを実行するゲーム装置、音楽を再生する音楽再生装置や、映像を再生する映像再生装置等として機能するエンタテインメントシステム(音声出力装置)に本発明を適用した場合の例について説明する。
【0029】
1.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係るエンタテインメントシステムのハードウェア構成を示す図である。図1に示すように、エンタテインメントシステム10は、MPU(Micro Processing Unit)11と、メインメモリ20と、画像処理部24と、モニタ26と、入出力処理部28と、音声処理部30と、スピーカ32と、光ディスク読み取り部34と、光ディスク36と、ハードディスク38と、インタフェース(I/F)40と、コントローラ42と、ネットワークインタフェース(I/F)44と、を含んで構成されるコンピュータシステムである。
【0030】
図2はMPU11の構成を示す図である。図2に示すように、MPU11は、メインプロセッサ12と、サブプロセッサ14a,14b,14c,14d,14e,14f,14g,14hと、バス16と、メモリコントローラ18と、インタフェース(I/F)22と、を含んで構成される。
【0031】
メインプロセッサ12は、図示しないROM(Read Only Memory)に記憶されるオペレーティングシステム、例えばDVD(Digital Versatile Disk)−ROM等の光ディスク36から読み出されるプログラム及びデータや、ネットワークからネットワークインタフェース44を介して供給されるプログラム及びデータ等に基づいて、サブプロセッサ14a乃至14hに対する制御を行う。
【0032】
サブプロセッサ14a乃至14hは、メインプロセッサ12からの指示に従って各種情報処理を行う。例えば、サブプロセッサ14a乃至14hは、エンタテインメントシステム10の各部を、例えばDVD−ROM等の光ディスク36から読み出されるプログラム及びデータや、ネットワークからネットワークインタフェース44を介して供給されるプログラム及びデータ等に基づいて制御する。
【0033】
バス16は、アドレス及びデータをエンタテインメントシステム10の各部でやり取りするためのものである。メインプロセッサ12、サブプロセッサ14a乃至14h、メモリコントローラ18、インタフェース22は、バス16を介して相互にデータ授受可能に接続される。
【0034】
メモリコントローラ18は、メインプロセッサ12及びサブプロセッサ14a乃至14hからの指示に従って、メインメモリ20へのアクセスを行う。メインメモリ20には、光ディスク36やハードディスク38から読み出されたプログラム及びデータや、ネットワークからネットワークインタフェース44を介して供給されたプログラム及びデータが必要に応じて書き込まれる。メインメモリ20はメインプロセッサ12やサブプロセッサ14a乃至14hの作業用としても用いられる。
【0035】
インタフェース22には画像処理部24及び入出力処理部28が接続される。メインプロセッサ12及びサブプロセッサ14a乃至14hと、画像処理部24又は入出力処理部28と、の間のデータ授受はインタフェース22を介して行われる。
【0036】
画像処理部24は、GPU(Graphical Processing Unit)とフレームバッファとを含んで構成される。GPUは、メインプロセッサ12やサブプロセッサ14a乃至14hから供給される画像データに基づいてフレームバッファに各種画面を描画する。フレームバッファに形成された画面は、所定のタイミングでビデオ信号に変換されてモニタ26に出力される。なお、モニタ26には例えば家庭用テレビ受像機が用いられる。
【0037】
入出力処理部28には、音声処理部30、光ディスク読み取り部34、ハードディスク38、インタフェース40、ネットワークインタフェース44が接続される。入出力処理部28は、メインプロセッサ12及びサブプロセッサ14a乃至14hと、音声処理部30、光ディスク読み取り部34、ハードディスク38、インタフェース40、ネットワークインタフェース44と、の間のデータ授受を制御する。
【0038】
音声処理部30は、SPU(Sound Processing Unit)とサウンドバッファとを含んで構成される。サウンドバッファには、光ディスク36やハードディスク38から読み出されたゲーム音楽、ゲーム効果音やメッセージなどの各種音声データが記憶される。SPUは、これらの各種音声データを再生してスピーカ32から出力させる。なお、音声処理部30(SPU)に代わって、MPU11が各種音声データを再生してスピーカ32から出力させるようにしてもよい。すなわち、各種音声データのスピーカ32からの再生出力が、MPU11により実行されるソフトウェア処理によって実現されるようにしてもよい。
【0039】
エンタテインメントシステム10は4つのスピーカ32を含み、4チャンネル音声出力可能に構成される。例えば図3に示すように、ユーザU(受聴者)の前方左に前方左スピーカ32l−1が配置され、ユーザUの前方右に前方右スピーカ32r−1が配置される。また、ユーザUの後方左に後方左スピーカ32l−2が配置され、ユーザUの後方右に後方右スピーカ32r−2が配置される。なお、図3における符号FはユーザUの前方方向を示している(後述の図8及び図14についても同様)。
【0040】
光ディスク読み取り部34は、メインプロセッサ12及びサブプロセッサ14a乃至14hからの指示に従って、光ディスク36に記憶されたプログラムやデータを読み取る。光ディスク36は例えばDVD−ROM等の一般的な光ディスクである。また、ハードディスク38は一般的なハードディスク装置である。光ディスク36やハードディスク38には各種プログラムやデータがコンピュータ読み取り可能に記憶される。なお、エンタテインメントシステム10は、光ディスク36やハードディスク38以外の他の情報記憶媒体に記憶されたプログラムやデータを読み取り可能に構成してもよい。
【0041】
インタフェース40は、コントローラ42等の各種周辺機器を接続するためのインタフェースである。このようなインタフェースとしては、例えば、各種周辺機器を無線接続するためのBluetooth(商標)インタフェースや、各種周辺機器を有線接続するためのUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。コントローラ42は汎用操作入力装置であり、ユーザが各種操作(例えばゲーム操作)を入力するために用いられる。
【0042】
ネットワークインタフェース44は入出力処理部28とネットワークとに接続されており、エンタテインメントシステム10がネットワークを介して他のエンタテインメントシステム10とデータ通信するのを中継する。
【0043】
上記の構成を有するエンタテインメントシステム10では、例えば、ゲームプログラムと、ゲーム効果音等の音声データと、各音声データを2チャンネル音声出力するための制御パラメータデータ(以下、2チャンネル音声出力用パラメータデータと記載する。)と、が光ディスク36又はハードディスク38から読み出され、ゲームが実行される。
【0044】
なお、2チャンネル音声出力用パラメータデータ(主制御データ)は、例えば、音声データを、ユーザの前方左に配置されるスピーカ32と、ユーザの前方右に配置されるスピーカ32と、の2つのスピーカ32(主スピーカ)から出力することを想定して作成された制御パラメータデータである。
【0045】
以下、2チャンネル音声出力用パラメータデータを利用して、音声データを、前方左スピーカ32l−1及び前方右スピーカ32r−1(主スピーカ)と、後方左スピーカ32l−2及び後方右スピーカ32r−2(副スピーカ)と、の4つのスピーカ32から好適に出力するための技術について説明する。すなわち、2チャンネル音声出力用パラメータデータを利用して、4チャンネル音声出力を好適に行うための技術について説明する。
【0046】
図4は、エンタテインメントシステム10において実現される機能ブロックのうち、本発明に関連するものを主として示す図である。同図に示すように、エンタテインメントシステム10は、音声データ記憶部50と、2チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部52と、前後バランスパラメータデータ記憶部54(副制御データ記憶手段)と、音声出力制御部56と、を含んで構成される。これらの機能ブロックは、例えば光ディスク36やハードディスク38から読み出されるプログラムや、ネットワークからネットワークインタフェース44を介して供給されるプログラムがMPU11によって実行されることによって実現される。
【0047】
[音声データ記憶部]
音声データ記憶部50は、例えば光ディスク36やハードディスク38によって実現される。音声データ記憶部50には例えばゲーム効果音等の音声データが記憶される。本実施の形態では、音声信号の波形を示す波形データが音声データとして記憶される。
【0048】
[2チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部]
2チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部52は、例えば光ディスク36やハードディスク38によって実現される。2チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部52には、2チャンネル音声出力用パラメータデータが記憶される。
【0049】
図5は、2チャンネル音声出力用パラメータデータの一例を示している。図5に示すように、2チャンネル音声出力用パラメータデータは、各音声データごとの、音量パラメータと、左右バランスパラメータと、発音ピッチパラメータと、を示すデータである。ここで、音量パラメータは出力音量を示すパラメータであり、発音ピッチパラメータは発音ピッチを示すパラメータである。
【0050】
また、左右バランスパラメータは、ユーザの前方(又は後方)左に配置されるスピーカ32(左スピーカ)と、ユーザの前方(又は後方)右に配置されるスピーカ32(右スピーカ)と、の間の出力音量のバランスに関するパラメータである。
【0051】
本実施の形態では、左右バランスパラメータは0から127までの間の数値になる。左右バランスパラメータが64である場合には、左スピーカの音量と右スピーカの音量とが等しくなる。左右バランスパラメータが64より小さい場合には、左スピーカの音量が右スピーカの音量よりも大きくなる。左右バランスパラメータが64より大きい場合には、右スピーカの音量が左スピーカの音量よりも大きくなる。
【0052】
ここで、2チャンネル音声出力がこの2チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合には、各スピーカ32(左スピーカ及び右スピーカ)の音量がどのようにして決定されるかについて説明しておく。
【0053】
2チャンネル音声出力が2チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合には、左スピーカの音量vl及び右スピーカの音量vrが下記の式(1)〜(6)によって決定される。なお、下記の式(1)〜(6)において、「v」は出力対象音声データの音量パラメータを示し、「a」は出力対象音声データの左右バランスパラメータを示している。また本明細書において、「*」は乗算演算子を示し、「/」は除算演算子を示している。
【0054】
出力対象音声データの左右バランスパラメータが64である場合、左スピーカの音量vl及び右スピーカの音量vrは式(1)及び(2)に示すようになる。この場合、左スピーカの音量vl及び右スピーカの音量vrは同じになる。
【0055】
vl=v ・・・ (1)
vr=v ・・・ (2)
【0056】
また、出力対象音声データの左右バランスパラメータが64より小さい場合、左スピーカの音量vl及び右スピーカの音量vrは式(3)及び(4)に示すようになる。この場合、左スピーカの音量vlは右スピーカの音量vrよりも大きくなる。また、左スピーカの音量vlは一定になるのに対し、左右バランスパラメータの値が小さくなると、右スピーカの音量vrは小さくなり、左スピーカの音量vlと右スピーカの音量vrとの差が大きくなる。
【0057】
vl=v ・・・ (3)
vr=v*(a/64) ・・・ (4)
【0058】
なお、出力対象音声データの左右バランスパラメータが0である場合、左スピーカの音量vlはvとなり、右スピーカの音量vrは0となる。
【0059】
また、出力対象音声データの左右バランスパラメータが64より大きい場合、左スピーカの音量vl及び右スピーカの音量vrは式(5)及び(6)に示すようになる。この場合、右スピーカの音量vrは左スピーカの音量vlよりも大きくなる。また、右スピーカの音量vrは一定になるのに対し、左右バランスパラメータの値が大きくなると、左スピーカの音量vlは小さくなり、右スピーカの音量vrと左スピーカの音量vlとの差が大きくなる。
【0060】
vl=v*((127−a)/64) ・・・ (5)
vr=v ・・・ (6)
【0061】
なお、出力対象音声データの左右バランスパラメータが127である場合、左スピーカの音量vlは0となり、右スピーカの音量vrはvとなる。
【0062】
2チャンネル音声出力が2チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合には、以上のようにして各スピーカ32ごとに決定された音量で、音声データが各スピーカ32から出力されることになる。
【0063】
[前後バランスパラメータデータ記憶部]
前後バランスパラメータデータ記憶部54は、例えばメインメモリ20、光ディスク36やハードディスク38によって実現される。前後バランスパラメータデータ記憶部54には、前後バランスパラメータを示すデータ(副制御データ)が記憶される。前後バランスパラメータは、ユーザの前方に配置されるスピーカ32(前方スピーカ)と、ユーザの後方に配置されるスピーカ32(後方スピーカ)と、の出力音量のバランスに関するパラメータである。本実施の形態では、前後バランスパラメータは0から127までの間の数値になる。図6は、前後バランスパラメータデータの一例を示している。
【0064】
前後バランスパラメータが64である場合には、前方スピーカの音量と後方スピーカの音量とが等しくなる。また、前後バランスパラメータが64より小さい場合には、前方スピーカの音量が後方スピーカの音量よりも大きくなる。また、前後バランスパラメータが64より大きい場合には、後方スピーカの音量が前方スピーカの音量よりも大きくなる。詳細については後述する(図7のS103乃至S107参照)。
【0065】
前後バランスパラメータデータは、2チャンネル音声出力用パラメータデータとは別体のデータとして記憶される。例えば、前後バランスパラメータはプログラマによって設定され、ゲームプログラム内に定数として保持される。また例えば、前後バランスパラメータはユーザに設定させるようにしてもよい。例えば、前後バランスパラメータの値を設定するようにユーザに案内する画面をモニタ26に表示させ、ユーザによって設定された前後バランスパラメータの値が前後バランスパラメータデータ記憶部54に記憶されるようにしてもよい。
【0066】
なお、前後バランスパラメータは、全音声データに対して共通に設定されるようにしてもよいし、各音声データごとに設定されるようにしてもよい。
【0067】
[音声出力制御部]
音声出力制御部56はMPU11や音声処理部30を主として実現される。音声出力制御部56は、音声データを、前方左スピーカ32l−1と、前方右スピーカ32r−1と、後方左スピーカ32l−2と、後方右スピーカ32r−2と、から出力させる。
【0068】
[音量決定部]
音声出力制御部56には音量決定部56aが含まれる。音量決定部56aは、音声データが出力される際の各スピーカ32の音量を、2チャンネル音声出力用パラメータデータと、前後バランスパラメータデータと、に基づいて決定する。
【0069】
ここで、エンタテインメントシステム10において実行される処理について説明する。図7は、音声データの出力を開始するために実行される処理のうち、本発明に関連するものを主として示すフロー図である。この処理を実行するためのプログラムがMPU11によって実行されることによって、音声出力制御部56が実現される。
【0070】
図7に示すように、まず、前方左スピーカ32l−1及び後方左スピーカ32l−2の基準音量vlと、前方右スピーカ32r−1及び後方右スピーカ32r−2の基準音量vrと、が取得される(S101)。ここで、基準音量vlとは、2チャンネル音声出力が2チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合における、左スピーカの音量である。また、基準音量vrとは、2チャンネル音声出力が2チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合における、右スピーカの出力音量である。
【0071】
このステップでは、出力対象音声データの音量パラメータv及び左右バランスパラメータaが2チャンネル音声出力用パラメータデータから読み出され、それらのパラメータに基づいて基準音量vl,vrが取得される。より具体的には、左右バランスパラメータaが64である場合には、基準音量vl,vrが上記の式(1)及び(2)によって取得される。左右バランスパラメータaが64より小さい場合には、基準音量vl,vrが上記の式(3)及び(4)によって取得される。左右バランスパラメータaが64より大きい場合には、基準音量vl,vrが上記の式(5)及び(6)によって取得される。
【0072】
次に、前後バランスパラメータbが前後バランスパラメータデータから読み出され(S102)、前後バランスパラメータbが64であるか否かが判定される(S103)。そして、前後バランスパラメータbが64である場合には(S103のY)、前方左スピーカ32l−1の音量vl1、後方左スピーカ32l−2の音量vl2、前方右スピーカ32r−1の音量vr1、後方右スピーカ32r−2の音量vr2が下記の式(7)〜(10)によって決定される(S104)。
【0073】
vl1=vl ・・・ (7)
vl2=vl ・・・ (8)
vr1=vr ・・・ (9)
vr2=vr ・・・ (10)
【0074】
この場合、前方左スピーカ32l−1の音量vl1と後方左スピーカ32l−2の音量vl2とが等しくなり、また、前方右スピーカ32r−1の音量vr1と後方右スピーカ32r−2の音量vr2とが等しくなる。
【0075】
一方、前後バランスパラメータbが64でない場合には(S103のN)、前後バランスパラメータbの値が64より小さいか否かが判定される(S105)。そして、前後バランスパラメータbの値が64より小さい場合には(S105のY)、前方左スピーカ32l−1の音量vl1、後方左スピーカ32l−2の音量vl2、前方右スピーカ32r−1の音量vr1、後方右スピーカ32r−2の音量vr2が下記の式(11)〜(14)によって決定される(S106)。
【0076】
vl1=vl ・・・ (11)
vl2=vl*(b/64) ・・・ (12)
vr1=vr ・・・ (13)
vr2=vr*(b/64) ・・・ (14)
【0077】
この場合、前方左スピーカ32l−1の音量vl1は後方左スピーカ32l−2の音量vl2よりも大きくなり、また、前方右スピーカ32r−1の音量vr1は後方右スピーカ32r−2の音量vr2よりも大きくなる。
【0078】
一方、前後バランスパラメータbが64より小さくない場合(S105のN)、すなわち、前後バランスパラメータbが64より大きい場合には、前方左スピーカ32l−1の音量vl1、後方左スピーカ32l−2の音量vl2、前方右スピーカ32r−1の音量vr1、後方右スピーカ32r−2の音量vr2が下記の式(15)〜(18)によって決定される(S107)。
【0079】
vl1=vl*((127−b)/64) ・・・ (15)
vl2=vl ・・・ (16)
vr1=vr*((127−b)/64) ・・・ (17)
vr2=vr ・・・ (18)
【0080】
この場合、後方左スピーカ32l−2の音量vl2は前方左スピーカ32l−1の音量vl1よりも大きくなり、また、後方右スピーカ32r−2の音量vr2は前方右スピーカ32r−1の音量vr1よりも大きくなる。
【0081】
S104、S106又はS107において、前方左スピーカ32l−1の音量vl1、後方左スピーカ32l−2の音量vl2、前方右スピーカ32r−1の音量vr1、後方右スピーカ32r−2の音量vr2が決定されると、音声データの出力が、その音量で、前方左スピーカ32l−1と、後方左スピーカ32l−2と、前方右スピーカ32r−1と、後方右スピーカ32r−2とから開始される(S108)。すなわち、音声データの4チャンネル音声出力が開始される。
【0082】
以上説明したように、第1実施形態に係るエンタテインメントシステム10によれば、本来は2チャンネル音声出力を行うために作成された制御パラメータデータ(2チャンネル音声出力用パラメータデータ)を利用して、4チャンネル音声出力を好適に行えるようになる。その結果、例えば、2チャンネルスピーカが利用されることだけが想定されていた時代に制作されたゲーム、すなわち、2チャンネル音声出力に対応する制御パラメータデータのみが用意されているゲームを、マルチチャンネルスピーカで楽しめるようにすることを、比較的簡易に実現できるようになる。
【0083】
なお、エンタテインメントシステム10は、前方左スピーカ32l−1、前方右スピーカ32r−1、後方左スピーカ32l−2、後方右スピーカ32r−2の他に1又は複数のスピーカ32を含むようにし、例えば5.1チャンネル音声出力可能に構成してもよい。通常、ゲーム効果音等の音相定位の表現には、前方左スピーカ32l−1、前方右スピーカ32r−1、後方左スピーカ32l−2、後方右スピーカ32r−2の4つのスピーカ32が用いられるため、エンタテインメントシステム10が例えば5.1チャンネル音声出力可能に構成されている場合であっても、同様にして、ゲーム効果音等の出力を2チャンネル音声出力用パラメータデータを利用して好適に行うことが可能である。
【0084】
2.第2実施形態
本発明の第2実施形態に係るエンタテインメントシステムは、第1実施形態に係るエンタテインメントシステム10と同様のハードウェア構成を有するため、以下では、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0085】
なお、第2実施形態に係るエンタテインメントシステムは、図8に示すように、ユーザUの前方左に配置される左スピーカ32lと、ユーザUの前方右に配置される右スピーカ32rと、を含み、ユーザUの後方左右に配置されるスピーカ32を含まない点で、第1実施形態とは異なる。すなわち、第2実施形態に係るエンタテインメントシステムは、4チャンネル音声出力が制限される点で第1実施形態とは異なる。なお、左スピーカ32l及び右スピーカ32rはテレビ受像機に内蔵されるものであってもよい。
【0086】
第2実施形態に係るエンタテインメントシステムでは、例えば、ゲームプログラムと、効果音等の音声データと、各音声データを4チャンネル音声出力するための制御パラメータデータ(以下、4チャンネル音声出力用パラメータデータと記載する。)と、が光ディスク36又はハードディスク38から読み出され、ゲームが実行される。
【0087】
なお、4チャンネル音声出力用パラメータデータ(制御データ)は、例えば、音声データを、ユーザの前方左に配置されるスピーカ32及びユーザの前方右に配置されるスピーカ32(主スピーカ)と、ユーザの後方左に配置されるスピーカ32及びユーザの後方右に配置されるスピーカ32(副スピーカ)と、の4つのスピーカ32で出力することを想定して作成された制御パラメータデータである。
【0088】
以下、4チャンネル音声出力用パラメータデータを利用して、音声データを、左スピーカ32l及び右スピーカ32r(主スピーカたるスピーカ)の2つのスピーカ32から好適に出力するための技術について説明する。すなわち、4チャンネル音声出力用パラメータデータを利用して、2チャンネル音声出力を好適に行うための技術について説明する。
【0089】
図9は、第2実施形態に係るエンタテインメントシステム10aにおいて実現される機能ブロックのうち、本発明に関連するものを主として示す図である。図9に示すように、エンタテインメントシステム10aは、音声データ記憶部60と、4チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部62と、待機時間パラメータ記憶部64と、音声出力制御部66と、を含んで構成される。これらの機能ブロックは、例えば光ディスク36やハードディスク38から読み出されるプログラムや、ネットワークからネットワークインタフェース44を介して供給されるプログラムがMPU11によって実行されることによって実現される。
【0090】
[音声データ記憶部]
音声データ記憶部60は、第1実施形態における音声データ記憶部50と同様である。
【0091】
[4チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部]
4チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部62は、例えば光ディスク36やハードディスク38によって実現される。4チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部62には、4チャンネル音声出力用パラメータデータが記憶される。
【0092】
図10は、4チャンネル音声出力用パラメータデータの一例を示している。図10に示すように、4チャンネル音声出力用パラメータデータは、各音声データごとの、音量パラメータと、左右バランスパラメータと、前後バランスパラメータと、発音ピッチパラメータと、を示すデータである。なお、音量パラメータ、左右バランスパラメータ及び発音ピッチパラメータは、第1実施形態における2チャンネル音声出力用パラメータデータ(図5参照)の、音量パラメータ、左右バランスパラメータ及び発音ピッチパラメータと同様である。また、前後バランスパラメータは、第1実施形態のおける前後バランスパラメータデータ(図6参照)の前後バランスパラメータと同様である。
【0093】
ここで、4チャンネル音声出力がこの4チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合には、ユーザの前方左に配置されるスピーカ32(前方左スピーカ)と、ユーザの前方右に配置されるスピーカ32(前方右スピーカ)と、ユーザの後方左に配置されるスピーカ32(後方左スピーカ)と、ユーザの後方右に配置されるスピーカ32(後方右スピーカ)と、の各スピーカ32の音量がどのようにして決定されるかについて説明しておく。
【0094】
4チャンネル音声出力がこの4チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合、前方左スピーカの音量vl1と、前方右スピーカの音量vr1と、後方左スピーカの音量vl2と、後方右スピーカの音量vr2とが、次のようにして決定される。
【0095】
すなわち、まず、出力対象音声データの音量パラメータv及び左右バランスパラメータaが読み出され、それらのパラメータに基づいて、前方左スピーカ及び後方左スピーカの基準音量vlと、前方右スピーカ及び後方右スピーカの基準音量vrと、が取得される。
【0096】
左右バランスパラメータaが64である場合、基準音量vl,vrが下記の式(19)及び(20)によって取得される。
【0097】
vl=v ・・・ (19)
vr=v ・・・ (20)
【0098】
また、左右バランスパラメータaが64より小さい場合、基準音量vl,vrが式(21)及び(22)によって取得される
【0099】
vl=v ・・・ (21)
vr=v*(a/64) ・・・ (22)
【0100】
また、左右バランスパラメータaが64より大きい場合、基準音量vl,vrが式(23)及び(24)によって取得される。
【0101】
vl=v*((127−a)/64) ・・・ (23)
vr=v ・・・ (24)
【0102】
そして次に、出力対象音声データの前後バランスパラメータbが読み出され、該パラメータと、基準音量vl,vrと、に基づいて、前方左スピーカの音量vl1と、前方右スピーカの音量vr1と、後方左スピーカの音量vl2と、後方右スピーカの音量vr2と、が取得される。
【0103】
前後バランスパラメータbが64である場合、各音量vl1,vl2,vr1,vr2が下記の式(25)〜(28)によって取得される。
【0104】
vl1=vl ・・・ (25)
vl2=vl ・・・ (26)
vr1=vr ・・・ (27)
vr2=vr ・・・ (28)
【0105】
また、前後バランスパラメータbが64より小さい場合、各音量vl1,vl2,vr1,vr2が下記の式(29)〜(32)によって取得される。
【0106】
vl1=vl ・・・ (29)
vl2=vl*(b/64) ・・・ (30)
vr1=vr ・・・ (31)
vr2=vr*(b/64) ・・・ (32)
【0107】
また、前後バランスパラメータbが64より大きい場合、各音量vl1,vl2,vr1,vr2が下記の式(33)〜(36)によって取得される。
【0108】
vl1=vl*((127−b)/64) ・・・ (33)
vl2=vl ・・・ (34)
vr1=vr*((127−b)/64) ・・・ (35)
vr2=vr ・・・ (36)
【0109】
4チャンネル音声出力が4チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合には、以上のようにして各スピーカ32ごとに決定された音量で、音声データが各スピーカ32から出力されることになる。
【0110】
[待機時間パラメータ記憶部]
待機時間パラメータ記憶部64は、例えばメインメモリ20、光ディスク36やハードディスク38によって実現される。待機時間パラメータ記憶部64には、待機時間を示す待機時間パラメータが記憶される。図11は、待機時間パラメータ記憶部64の記憶内容の一例を示す図である。待機時間パラメータの詳細については後述する。
【0111】
[音声出力制御部及び音声出力部]
音声出力制御部66はMPU11や音声処理部30を主として実現される。音声出力制御部66は、音声データを左スピーカ32l及び右スピーカ32rから出力させる。音声出力制御部66には、第1音声出力制御部66aと、第2音声出力制御部66bと、音量取得部66cと、が含まれる。
【0112】
[第1音声出力制御部]
第1音声出力制御部66aは、音声出力タイミングの到来に応じて、出力対象音声データを左スピーカ32l及び左スピーカ32rから出力させる。
【0113】
[第2音声出力制御部]
第2音声出力制御部66bは、音声出力タイミングの到来に応じて、出力対象音声データの位相を略反転してなる音声データを左スピーカ32l及び左スピーカ32rから出力させる。なお以下では、第2音声出力制御部66bによって出力される音声データを「出力対象音声データの位相反転データ」と記載する。また、これに対して、第1音声出力制御部66aによって出力される音声データを「出力対象音声データの原データ」と記載する。
【0114】
第2音声出力制御部66bは、出力対象音声データの位相反転データの出力開始を、待機時間パラメータによって示される待機時間に基づいて待機させる。より具体的には、第2音声出力制御部66bは、第1音声出力制御部66aによって出力対象音声データの原データの出力が開始されてから、待機時間パラメータによって示される待機時間が経過したか否かを監視する。そして、第2音声出力制御部66bは、待機時間パラメータによって示される待機時間が経過した場合に、位相反転データの出力を開始させる。
【0115】
図12は、左スピーカ32lや左スピーカ32rから出力される、出力対象音声データの原データ及び位相反転データについて示す図である。なお、図12において横軸tは時間軸である。また、時間「0」は音声出力タイミングが到来したタイミングである。図12(a)は、左スピーカ32lや左スピーカ32rから出力される、出力対象音声データの原データの一例を示している。図12(b)は、左スピーカ32lや左スピーカ32rから出力される、出力対象音声データの位相反転データの一例を示している。なお、図12(b)においてΔtは待機時間パラメータによって示される待機時間を示している。図12(a)及び(b)に示すように、音声出力タイミングが到来すると、まず、出力対象音声データの原データの出力が開始される。そして、出力対象音声データの原データの出力が開始されてから待機時間Δtが経過すると、出力対象音声データの位相反転データの出力が開始される。このとき、左スピーカ32lや左スピーカ32rからは、出力対象音声データの原データと、出力対象音声データの位相反転データと、が合成されてなる音声が出力されることになる。
【0116】
[音量取得部]
音量取得部66c(取得手段)は、出力対象音声データの原データを出力する場合における左スピーカ32l及び右スピーカ32rの音量(主制御情報)と、位相反転データを出力する場合における左スピーカ32l及び右スピーカ32rの音量(副制御情報)と、を取得する。この取得は4チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる。
【0117】
ここで、エンタテインメントシステム10aで実行される処理について説明する。図13は、音声出力タイミングが到来し、音声データの出力が開始される場合に実行される処理のうち、本発明に関連するものを主として示すフロー図である。この処理を実行するためのプログラムがMPU11によって実行されることによって、音声出力制御部66が実現される。
【0118】
図13に示すように、まず、出力対象音声データの4チャンネル音声出力が4チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて行われる場合における、前方左スピーカの音量vl1と、前方右スピーカの音量vr1と、後方左スピーカの音量vl2と、後方右スピーカの音量vr2と、が取得される(S201)。
【0119】
このステップでは、まず、前方左スピーカ及び後方左スピーカの基準音量vlと、前方右スピーカ及び後方右スピーカの基準音量vrと、が上記の式(19)〜(24)によって取得される。そして、前方左スピーカの音量vl1と、前方右スピーカの音量vr1と、後方左スピーカの音量vl2と、後方右スピーカの音量vr2と、が上記の式(25)〜(36)によって取得される。
【0120】
次に、出力対象音声データの位相反転データが取得される(S202)。また、待機時間パラメータΔtが読み出される(S203)。
【0121】
そして、出力対象音声データの原データの出力が、左スピーカ32lから音量vl1で開始されるとともに、右スピーカ32rから音量vr1で開始される(S204)。
【0122】
その後、出力対象音声データの原データの出力が開始されてからの経過時間がΔtになったか否かが監視される(S205)。出力対象音声データの原データの出力が開始されてからの経過時間がΔtになった場合には(S205のY)、S202で取得された位相反転データの出力が、左スピーカ32lから音量vl2で開始されるとともに、右スピーカ32rから音量vr2で開始される(S206)。このとき、左スピーカ32lからは、出力対象音声データの原データと位相反転データとが音量比vl1:vl2で合成されてなる音声が出力される。また、右スピーカ32rからは、出力対象音声データの原データと位相反転データとが音量比vr1:vr2で合成されてなる音声が出力される。
【0123】
以上説明したように、第2実施形態に係るエンタテインメントシステム10aでは、左スピーカ32l及び右スピーカ32rにおいて、出力対象音声データの位相反転データが出力される。また、左スピーカ32lにおける位相反転データの出力音量は、後方左スピーカが配置されていると仮定した場合における、該後方左スピーカの出力音量となる。また、右スピーカ32rにおける位相反転データの出力音量は、後方右スピーカが配置されていると仮定した場合における、該後方右スピーカの出力音量となる。
【0124】
出力対象音声データの位相反転データが、ユーザの前方に配置されたスピーカ32から出力された場合、ユーザには、元々の出力対象音声データが後方から出力されたかのように聴こえる。すなわち、実際にはユーザの後方にスピーカ32が配置されていないにも関わらず、あたかもユーザの後方にスピーカ32が配置されているかのように、ユーザを錯覚させることが可能になる。つまり、実際には2チャンネル音声出力が行われているにも関わらず、あたかも4チャンネル音声出力が行われているかのように、ユーザを錯覚させることができるようになる。
【0125】
以上のように、第2実施形態に係るエンタテインメントシステム10aによれば、音声データの2チャンネル音声出力が、4チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて好適に行われるようになる。第2実施形態に係るエンタテインメントシステム10aによれば、4チャンネル音声出力はもとより、2チャンネル音声出力までもが4チャンネル音声出力用パラメータデータに基づいて好適に行われるようになるため、ゲームサウンド制作者等は、4チャンネル音声出力用パラメータデータのみを作成すれば足りるようになる。つまり、2チャンネル音声出力用パラメータデータを別途制作する必要がなくなり、ゲームサウンド制作者等の負担が軽減されるようになる。
【0126】
ここで、出力対象音声データの原データと位相反転データとの出力が同時に開始されてしまうと、出力対象音声データの原データと位相反転データとが互いに打ち消しあってしまい、左スピーカ32l及び右スピーカ32rから音声が出力されなくなってしまうおそれがある。上述したように、左スピーカ32lからは、出力対象音声データの原データと位相反転データとが音量比vl1:vl2で合成されてなる音声が出力され、右スピーカ32rからは、出力対象音声データの原データと位相反転データとが音量比vr1:vr2で合成されてなる音声が出力されるため、特に、前後バランスパラメータの値が64付近である場合(すなわち、vl1及びvl2が略等しくなり、vr1及びvr2が略等しくなる場合)には、上記のような不具合が発生する可能性が高くなる。この点、第2実施形態に係るエンタテインメントシステム10aでは、出力対象データの位相反転データの出力が、原データの出力が開始されてから待機時間が経過したタイミングで開始されるため、上記のような不具合の発生の抑制が図られている。
【0127】
なお、上記のような不具合の発生の抑制を図るためには、出力対象音声データの位相反転データの出力を開始させた後、原データの出力を開始させるようにすることも考えられるが、一般的に、人間の耳では、前方で発せられた音声に比べて、後方で発せられた音声に対する認識が遅れるため、本実施の形態のように、出力対象音声データの原データの出力を開始させた後、位相反転データの出力を開始させた方が、ユーザをより好適に錯覚させることができる。
【0128】
ここで、待機時間について詳細に説明する。
【0129】
待機時間は、図14に示すように、左スピーカ32l及び右スピーカ32rとともに、後方左スピーカ32l’及び後方右スピーカ32r’が配置されると想定した場合における、左スピーカ32lと後方左スピーカ32l’との間(又は、右スピーカ32rと後方右スピーカ32r’との間)の想定距離dに基づいて決定すると好適である。より具体的には、下記の式(37)に示すように、想定距離dを音の伝達速度svで除算することによって得られる時間を待機時間Δtとすると好適である。音の伝達速度は約340m/sであるため、例えば想定距離dが3mである場合には、待機時間Δtを約0.009秒とすると好適である。
【0130】
Δt=d/sv ・・・ (37)
【0131】
以上のようにして待機時間を決定すると、ユーザUの後方の後方左スピーカ32l’及び後方右スピーカ32r’から出力された音声データが、ユーザUの前方の左スピーカ32r及び右スピーカ32rに反射されてユーザUの耳に達したかのような錯覚をユーザUに与えることが可能になる。
【0132】
なお、待機時間は他の方法によって決定するようにしてもよい。例えば、図14に示すように、4チャンネル音声出力が行われると想定した場合における、ユーザUと後方左スピーカ32l’(又は後方右スピーカ32r’)との間の想定距離d’に基づいて、待機時間を決定するようにしてもよい。
【0133】
また、待機時間はゲームサウンド制作者やプログラマが指定するようにしてもよいし、ユーザが指定するようにしてもよい。ユーザに待機時間を指定させることによって、ユーザが、自らの部屋に4つのスピーカ32を配置したとしたら、上記想定距離dがどの程度になるかを考慮しつつ、待機時間を指定できるようにしてもよい。また、ユーザに待機時間を指定させる場合には、待機時間そのものの入力を受け付けるようにしてもよいし、上記想定距離dの入力を受け付けるようにしてもよい。なお、上記想定距離dの入力を受け付ける場合には、ユーザによって入力された想定距離dに基づき、上記の式(37)によって待機時間を取得するようにすればよい。
【0134】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。
【0135】
例えば、本発明は、ゲームにおける音声出力以外にも適用することができる。また例えば、本発明はエンタテインメントシステム10以外の音声出力装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】第1及び第2実施形態に係るエンタテインメントシステムのハードウェア構成を示す図である。
【図2】MPUの構成を示す図である。
【図3】第1実施形態におけるスピーカの配置態様の一例について示す図である。
【図4】第1実施形態に係るエンタテインメントシステムの機能ブロック図である。
【図5】2チャンネル音声出力用パラメータデータの一例を示す図である。
【図6】前後バランスパラメータの一例を示す図である。
【図7】エンタテインメントシステムにおいて実行される処理について示すフロー図である。
【図8】第2実施形態におけるスピーカの配置態様の一例について示す図である。
【図9】第2実施形態に係るエンタテインメントシステムの機能ブロック図である。
【図10】4チャンネル音声出力用パラメータデータの一例を示す図である。
【図11】待機時間パラメータの一例を示す図である。
【図12】出力対象音声データの原データ及び位相反転データの一例について示す図である。
【図13】エンタテインメントシステムにおいて実行される処理について示すフロー図である。
【図14】想定距離について説明するための図である。
【符号の説明】
【0137】
10,10a エンタテインメントシステム、11 MPU、12 メインプロセッサ、14a,14b,14c,14d,14e,14f,14g,14h サブプロセッサ、16 バス、18 メモリコントローラ、20 メインメモリ、22 インタフェース、24 画像処理部、26 モニタ、28 入出力処理部、30 音声処理部、32 スピーカ、34 光ディスク読み取り部、36 光ディスク、38 ハードディスク、40 インタフェース、42 コントローラ、44 ネットワークインタフェース、32l 左スピーカ、32r 右スピーカ、32l−1 前方左スピーカ、32r−1 前方右スピーカ、32l−2,32l’ 後方左スピーカ、32r−2,32r’ 後方右スピーカ、50,60 音声データ記憶部、52 2チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部、54 前後バランスパラメータデータ記憶部、56,66 音声出力制御部、56a 音量決定部、62 4チャンネル音声出力用パラメータデータ記憶部、64 待機時間パラメータ記憶部、66a 第1音声出力制御部、66b 第2音声出力制御部、66c 音量取得部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の主スピーカに音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力装置であって、
前記1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データを記憶する副制御データ記憶手段と、
前記主制御データと、前記副制御データ記憶手段に記憶される副制御データと、に基づいて、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、前記1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力制御手段と、
を含むことを特徴とする音声出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音声出力装置において、
前記主制御データは、複数の前記主スピーカから音声データを出力させる場合の出力音量バランスに関する第1音量バランスデータを含み、
前記副制御データは、前記主スピーカと前記副スピーカとの間の出力音量バランスに関する第2音量バランスデータを含み、
前記音声出力制御手段は、前記主スピーカの出力音量と前記副スピーカの出力音量とを、前記第1音量バランスデータと前記第2音量バランスデータとに基づいて決定する音量決定手段を含む、
ことを特徴とする音声出力装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の音声出力装置において、
ユーザに前記副制御データを設定するよう案内する手段を含み、
前記副制御データ記憶手段は、前記ユーザによって設定された前記副制御データを記憶する、
ことを特徴とする音声出力装置。
【請求項4】
1又は複数の主スピーカに音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力装置の制御方法であって、
前記1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データを記憶してなる副制御データ記憶手段から前記副制御データを読み出すための副制御データ読み出しステップと、
前記主制御データと、前記副制御データ読み出しステップによって読み出される副制御データと、に基づいて、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、前記1又は複数の副スピーカと、に出力させるための音声出力制御ステップと、
を含むことを特徴とする音声出力装置の制御方法。
【請求項5】
1又は複数の主スピーカに音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データを記憶してなる副制御データ記憶手段から前記副制御データを読み出す副制御データ読み出し手段、及び、
前記主制御データと、前記副制御データ読み出し手段によって読み出される副制御データと、に基づいて、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、前記1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項6】
音声データを1又は複数の主スピーカと1又は複数の副スピーカとに出力させるための制御データに従って、音声データを、前記主スピーカたるスピーカに出力させる音声出力装置であって、
前記制御データに基づいて、前記主スピーカに対応する主制御情報と、前記副スピーカに対応する副制御情報と、を取得する取得手段と、
音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データを、前記主制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第1音声出力制御手段と、
前記音声出力タイミングの到来に応じて、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第2音声出力制御手段と、
を含むことを特徴とする音声出力装置。
【請求項7】
請求項6に記載の音声出力装置において、
前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データは、前記対象音声データの位相を略反転させてなる音声データであることを特徴とする音声出力装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の音声出力装置において、
前記制御データは、前記主スピーカと前記副スピーカとの間の出力音量バランスに関する音量バランスデータを含み、
前記取得手段は、前記音量バランスデータに基づいて、前記主スピーカに対応する出力音量と、前記副スピーカに対応する出力音量と、を取得し、
前記第1音声出力制御手段は、前記対象音声データを、前記主スピーカに対応する出力音量で、前記主スピーカたるスピーカから出力させ、
前記第2音声出力制御手段は、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副スピーカに対応する出力音量で、前記主スピーカたるスピーカから出力させる、
ことを特徴とする音声出力装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかに記載の音声出力装置において、
前記対象音声データの出力を開始するタイミングと、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データの出力を開始するタイミングと、を異ならせることを特徴とする音声出力装置。
【請求項10】
請求項9に記載の音声出力装置において、
待機時間を記憶する待機時間記憶手段を含み、
前記第2音声出力制御手段は、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データの出力を、前記待機時間記憶手段に記憶される待機時間に基づいて待機させる待機手段を含む、
ことを特徴とする音声出力装置。
【請求項11】
請求項10に記載の音声出力装置において、
前記待機手段は、前記第1音声出力制御手段によって前記対象音声データの出力が開始されてから、前記待機時間記憶手段に記憶される待機時間が経過したか否かを監視する手段を含み、前記第1音声出力制御手段によって前記対象音声データの出力が開始されてから、前記待機時間記憶手段に記憶される待機時間が経過した場合に、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データの出力を開始させる、
ことを特徴とする音声出力装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の音声出力装置において、
前記待機時間は、前記副スピーカたるスピーカが前記主スピーカたるスピーカとともに配置されたと仮定した場合における、前記主スピーカたるスピーカと、前記副スピーカたるスピーカと、の間の距離に基づいて決定されることを特徴とする音声出力装置。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれかに記載の音声出力装置において、
ユーザに前記待機時間を設定するよう案内する手段を含み、
前記待機時間記憶手段は、前記ユーザによって設定された前記待機時間を記憶する、
ことを特徴とする音声出力装置。
【請求項14】
音声データを1又は複数の主スピーカと1又は複数の副スピーカとに出力させるための制御データに従って、音声データを、前記主スピーカたるスピーカに出力させる音声出力装置の制御方法であって、
前記制御データに基づいて、前記主スピーカに対応する主制御情報と、前記副スピーカに対応する副制御情報と、を取得するための取得ステップと、
音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データを、前記主制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させるための第1音声出力制御ステップと、
前記音声出力タイミングの到来に応じて、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させるための第2音声出力制御ステップと、
を含むことを特徴とする音声出力装置の制御方法。
【請求項15】
音声データを1又は複数の主スピーカと1又は複数の副スピーカとに出力させるための制御データに従って、音声データを、前記主スピーカたるスピーカに出力させる音声出力装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記制御データに基づいて、前記主スピーカに対応する主制御情報と、前記副スピーカに対応する副制御情報と、を取得する取得手段、
音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データを、前記主制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第1音声出力制御手段、及び、
前記音声出力タイミングの到来に応じて、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第2音声出力制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項1】
1又は複数の主スピーカに音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力装置であって、
前記1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データを記憶する副制御データ記憶手段と、
前記主制御データと、前記副制御データ記憶手段に記憶される副制御データと、に基づいて、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、前記1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力制御手段と、
を含むことを特徴とする音声出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音声出力装置において、
前記主制御データは、複数の前記主スピーカから音声データを出力させる場合の出力音量バランスに関する第1音量バランスデータを含み、
前記副制御データは、前記主スピーカと前記副スピーカとの間の出力音量バランスに関する第2音量バランスデータを含み、
前記音声出力制御手段は、前記主スピーカの出力音量と前記副スピーカの出力音量とを、前記第1音量バランスデータと前記第2音量バランスデータとに基づいて決定する音量決定手段を含む、
ことを特徴とする音声出力装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の音声出力装置において、
ユーザに前記副制御データを設定するよう案内する手段を含み、
前記副制御データ記憶手段は、前記ユーザによって設定された前記副制御データを記憶する、
ことを特徴とする音声出力装置。
【請求項4】
1又は複数の主スピーカに音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力装置の制御方法であって、
前記1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データを記憶してなる副制御データ記憶手段から前記副制御データを読み出すための副制御データ読み出しステップと、
前記主制御データと、前記副制御データ読み出しステップによって読み出される副制御データと、に基づいて、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、前記1又は複数の副スピーカと、に出力させるための音声出力制御ステップと、
を含むことを特徴とする音声出力装置の制御方法。
【請求項5】
1又は複数の主スピーカに音声データを出力させるための主制御データに従って、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記1又は複数の副スピーカに音声データを出力させるための副制御データを記憶してなる副制御データ記憶手段から前記副制御データを読み出す副制御データ読み出し手段、及び、
前記主制御データと、前記副制御データ読み出し手段によって読み出される副制御データと、に基づいて、音声データを、前記1又は複数の主スピーカと、前記1又は複数の副スピーカと、に出力させる音声出力制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項6】
音声データを1又は複数の主スピーカと1又は複数の副スピーカとに出力させるための制御データに従って、音声データを、前記主スピーカたるスピーカに出力させる音声出力装置であって、
前記制御データに基づいて、前記主スピーカに対応する主制御情報と、前記副スピーカに対応する副制御情報と、を取得する取得手段と、
音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データを、前記主制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第1音声出力制御手段と、
前記音声出力タイミングの到来に応じて、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第2音声出力制御手段と、
を含むことを特徴とする音声出力装置。
【請求項7】
請求項6に記載の音声出力装置において、
前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データは、前記対象音声データの位相を略反転させてなる音声データであることを特徴とする音声出力装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の音声出力装置において、
前記制御データは、前記主スピーカと前記副スピーカとの間の出力音量バランスに関する音量バランスデータを含み、
前記取得手段は、前記音量バランスデータに基づいて、前記主スピーカに対応する出力音量と、前記副スピーカに対応する出力音量と、を取得し、
前記第1音声出力制御手段は、前記対象音声データを、前記主スピーカに対応する出力音量で、前記主スピーカたるスピーカから出力させ、
前記第2音声出力制御手段は、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副スピーカに対応する出力音量で、前記主スピーカたるスピーカから出力させる、
ことを特徴とする音声出力装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかに記載の音声出力装置において、
前記対象音声データの出力を開始するタイミングと、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データの出力を開始するタイミングと、を異ならせることを特徴とする音声出力装置。
【請求項10】
請求項9に記載の音声出力装置において、
待機時間を記憶する待機時間記憶手段を含み、
前記第2音声出力制御手段は、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データの出力を、前記待機時間記憶手段に記憶される待機時間に基づいて待機させる待機手段を含む、
ことを特徴とする音声出力装置。
【請求項11】
請求項10に記載の音声出力装置において、
前記待機手段は、前記第1音声出力制御手段によって前記対象音声データの出力が開始されてから、前記待機時間記憶手段に記憶される待機時間が経過したか否かを監視する手段を含み、前記第1音声出力制御手段によって前記対象音声データの出力が開始されてから、前記待機時間記憶手段に記憶される待機時間が経過した場合に、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データの出力を開始させる、
ことを特徴とする音声出力装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の音声出力装置において、
前記待機時間は、前記副スピーカたるスピーカが前記主スピーカたるスピーカとともに配置されたと仮定した場合における、前記主スピーカたるスピーカと、前記副スピーカたるスピーカと、の間の距離に基づいて決定されることを特徴とする音声出力装置。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれかに記載の音声出力装置において、
ユーザに前記待機時間を設定するよう案内する手段を含み、
前記待機時間記憶手段は、前記ユーザによって設定された前記待機時間を記憶する、
ことを特徴とする音声出力装置。
【請求項14】
音声データを1又は複数の主スピーカと1又は複数の副スピーカとに出力させるための制御データに従って、音声データを、前記主スピーカたるスピーカに出力させる音声出力装置の制御方法であって、
前記制御データに基づいて、前記主スピーカに対応する主制御情報と、前記副スピーカに対応する副制御情報と、を取得するための取得ステップと、
音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データを、前記主制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させるための第1音声出力制御ステップと、
前記音声出力タイミングの到来に応じて、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させるための第2音声出力制御ステップと、
を含むことを特徴とする音声出力装置の制御方法。
【請求項15】
音声データを1又は複数の主スピーカと1又は複数の副スピーカとに出力させるための制御データに従って、音声データを、前記主スピーカたるスピーカに出力させる音声出力装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記制御データに基づいて、前記主スピーカに対応する主制御情報と、前記副スピーカに対応する副制御情報と、を取得する取得手段、
音声出力タイミングの到来に応じて、対象音声データを、前記主制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第1音声出力制御手段、及び、
前記音声出力タイミングの到来に応じて、前記対象音声データの位相をずらしてなる音声データを、前記副制御情報に基づいて、前記主スピーカたるスピーカから出力させる第2音声出力制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−10908(P2008−10908A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176137(P2006−176137)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】
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